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銀河帝国攻略戦⑮～敵戦艦を撃沈せよ！

作者：波多野志郎

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　銀河帝国『白城』艦隊は、数に勝る解放軍艦隊を士気と練度でもって迎え撃った。その戦いは激しく、宇宙はまさに死闘の舞台と化していた。
　解放軍艦隊には勢いがあり、互角の戦いを繰り広げるにまで至っていた。しかし、それが限界だ。士気と練度に勝る『白城』艦隊は、時間が経てば経つほど有利になる、その事を理解していた――だからこそ、この膠着状態は、『白城』艦隊の優位を意味している。
　ならばこそ、この膠着状態を打破しなくてはならない。精鋭ぞろいの『白城』艦隊を切り崩す、そのための強襲――それが今行えるのは、解放軍においても猟兵達のみだった……。

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「何、敵戦艦をおぬしらの手で撃沈させれば良いだけよ」
　ガングラン・ガーフィールド（ドワーフのパラディン・f00859）は、こともなげにそう言ってのけた。否、そうしなければ勝機はないのだ――それは、ガングランのみならず前線で戦う者達にとって身に染みてわかっている事だ。
「おぬしらに頼みたいのは、精鋭ぞろいの『白城』艦隊、その敵戦艦の撃沈じゃ」
　現状、帝国艦隊の士気と練度を支える一角こそが、『白城』艦隊だ。その宇宙戦艦が数を減らす、それは帝国軍解放軍双方の士気や戦力に影響が大きい。
「宇宙空間からそれぞれが襲撃、最大火力を敵戦艦に叩き込むだけじゃ……もちろん、簡単にはいかぬがな」
　向こうも迎撃のため、反撃してくる。その砲撃を掻い潜って、攻撃を叩き込む必要がある。ただ、火力のみを追求しても駄目だろう。いかに強力な一撃を、確実に叩き込めるか？　これはその勝負になる。
「良いか？　解放軍はようやく戦闘に慣れて来たところじゃ。いわば、新兵が戦場の主軸となれるところまで育ったばかり、ここで余計な消耗をさせるのは後々影響が大きくなるじゃろう。だからこそ、ここが踏ん張りどころじゃ。厳しい作戦だが、よろしく頼むぞ」

第1章 ボス戦 『帝国宇宙戦艦』

POW   :    フルバースト・コズミック 【全砲一斉射撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。 SPD   :    デストロイレーザー 【10秒間のエネルギーチャージ】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【主砲からのレーザー砲撃】で攻撃する。 WIZ   :    インペリアル・マカブル 【自身の稼働可能時間】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【帝国式鏖殺形態】に変化させ、殺傷力を増す。 👑15 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●銀河帝国『白城』艦隊
　広大なる大宇宙、その一角に銀河帝国『白城』艦隊は存在していた。宇宙の広さからすれば、あまりにも小さくそれらだが、間近にすれば巨大な宇宙船の群れだ。
「其の名が示す様に、或る意味で城攻めか。骨は折れるが成す甲斐はある」
　悠然と進む宇宙艦隊を映像に収め、鷲生・嵯泉（烈志・f05845）は宇宙バイクの操縦桿を握る。
「……馬とは勝手が違うが多少の騎乗心得はある。まあ、何とかなるだろう」
「ドッグファイトの次は戦艦相手か……丁度いい。この形態の扱いにも慣れてきたところだ」
　ステラ・ハーシェル（星屑のサンダーボルト・f00960）はヘール・ボップの宇宙戦闘機形態――ヘール・ボップ:ファイターモードを駆って、視線を一隻の宇宙戦艦へと落とす。
「あれだな」
　銀河帝国『白城』艦隊、その一隻こそが今回の彼らの獲物だ。城に例えれば城壁、そして門でもあり小天守と当たるのだろう――少なくとも、一筋縄で行ける相手ではない。
「厳しい戦いになりそうですね。周りのお味方様が頼りとなりますでしょうか」
　ルベル・ノウフィル（星守の杖・f05873）は、言うのと同時。目標の宇宙戦艦が、回頭した――こちらの背後から回り込み、解放軍の横っ腹を突く遊軍になろうという意図だ。
「比類なき強敵との遭遇、俄然胸が躍る。手合わせ願おうか」
　マハティ・キースリング（はぐれ砲兵・f00682）が、そう言った瞬間だ。前面の砲門を一斉に繰り出す射撃が、宇宙空間を薙ぎ払った。無数の光線は、情け容赦なく進行上のものを焼き尽くしていく――だからこそ、マハティはプルートリングを変形させ、改造で造り出した液体金属の盾で防ぐ。

「伝達ディアトニック稼動、制動ショットアンカー射出、カタリストセーフ解除。遺物の力を解放する」

　マハティは、液体金属の盾に受けた熱と衝撃をチャージする！　直後、大爆発を巻き起こした。宇宙空間に、空気は存在しない。目の前で無音で展開される爆発が、猟兵達と戦艦との視界を奪った。
　巨大戦艦の砲撃と同等、相殺するほどの全力を尽くして、マハティは叫んだ。

「杯を逆さに、高虚より降り注ぐは夢の星粒」

　ルベルが舞い降らせた金平糖が、仲間達に触れて光の粒子になっていく。ルベルの星守の杯（コンペイトウレイン）を受けながら、猟兵達は真っ直ぐに宇宙戦艦へと駆けていく！
　先制攻撃を受け止められた、そう判断した戦艦側の対処は速い。即座に個々の砲門からレーザーを乱射、弾幕を張ることにより接近を防ごうとした。
「させません！」
　そのレーザーの前に立ったのは、パル・オールドシェル（古き戦友・f10995）だ。解放軍艦との交戦で沈んだ敵艦を素材にし展開した人型機動兵器――ヒューマン・カウル。帝国戦艦の装甲と同じ色の巨躯が、その身を壁にレーザーを受け止めていった。
「戦友、解放軍の皆を守るために。僚機僚艦を守護することが僕の存在意義です――そして、目的を同じくする猟兵戦友諸君も守ってみせる」
　パルはヒューマン・カウルの一部を変形させ、対艦誘導弾を発射する。だが、その誘導弾も戦艦の弾幕の前に装甲まで届かない。
「それは百も承知です！」
　パルは自身を追ってくる誘導ミサイルに、バーニアを吹かして対応。迫る誘導ミサイルを、ギムレット76mmSBRのビームで丁寧に迎撃した。
（「これで十分です」）
　わざわざヒューマン・カウルを大型にしたのは、こちらを目立たせて攻撃を集中させるためだ。ならば、自分に攻撃が集中するのは願ってもない好機だ。
「うーん、派手でいい。テーマパークに来たみたいだね、テンション上がるなぁ～」
　触れれば鋼鉄さえ溶かすレーザーの彩りに、霑国・永一（盗みの名SAN値・f01542）は軽い口調で言ってのけた。永一にとっては、戦場でさえ日常と変わらない――そこに盜むべきものがあれば、そこが自分の居場所だ。
　だから、猟兵達は行く。それぞれの理由を胸に、この宇宙でさえ戦うのだ。

●戦艦まで、何マイル？
　遠近法とは、比較対象があって初めて成り立つ。あれはこのぐらいの大きさだから、あっちもこのぐらいだろう――言わば、自分の中にある物差しで感覚で理解するのだ。
　しかし、宇宙に比較対象などあるはずがない。だからこそ、襲いかかるのだ――遠近法の悪意が。
「遠いな」
「星の上と違うからな！」
　嵯泉の感想に、ステラが笑う。二人は巧みに宇宙バイクを操って戦艦側のレーザーを掻い潜っていく。上へ、下へ、左へ、右へ。いや、宇宙に重力はない。自身を中心としたＸ軸Ｙ軸Ｚ軸を、感覚でそう認識しているだけだ。
「――代償はくれてやる。相応の益を示せ」
　己の血と精神力を武器に捧げ、嵯泉の開放した天魔鬼神が眼前に迫るミサイルを素手で受け止め、投げ返す。空中で起こる爆発、ステラは爆発の中を高速機動で駆け抜けると対艦ミサイルを撃ち込んでいった。
　猟兵側は、完全に攻めあぐねいていた。戦艦の弾幕は、決して薄くない。何より、この距離が広すぎて詰めるのに時間がかかるのだ。もう間近なはずだ、そう錯覚させるほど戦艦のサイズが大きいのも、要因の一つだ。
「向こうさんも本気を出してくるのであれば、こちらも相応のもてなしをしなければな」
　そう言ってのけるのは、セゲル・スヴェアボルグ（豪放磊落・f00533）だ。この距離を詰めるための一手、それを逃さないために今は待ちの一手だった。
「――来るぜ！」
　ロード・ブラッドリー（累々血路・f06133）の声と同時、戦艦が青い光をまとい始めた。いや、それは確かに光だがまとっているのでも発しているのでもない――その前段階なのだ。帝国宇宙戦艦が持つ全砲門の一斉掃射、フルバースト・コズミックだ。

「ではパワー比べと行こうか――！」

　マハティが報いの火（イニシエート・バスター）で得たエネルギーを一点集中、圧縮プラズマを放つ！
　戦艦の一斉掃射とマハティの圧縮プラズマが、空中で激突した。視界を、真っ白な光が埋め尽くしていく――特別製の宇宙服を軋ませるほどの熱エネルギーが、宇宙空間で荒れ狂った。
　その中を、イヴ・クロノサージュ（《機械天使》花と自然を愛する機械人形・f02113）が真っ直ぐに宇宙戦艦《クロノトロン＝ユニット》を発進させた。全長275m、巨大《宇宙戦艦》の砲身が銀河帝国宇宙戦艦へと向けられる！

「《宇宙戦艦》クロノトロン＝ユニットから通達、砲撃を行います。射程から退避して下さい。―――最大出力、クロノトロンブラスト発射！！」

　ドン！　という聞こえるはずのない衝撃を、その宙域にいた者は聞いた。巨大な重力波砲撃《クロノトロンブラスト》が、放たれたのだ。
　それに対して、銀河帝国側の対応は早かった。すぐさま、帝国式鏖殺形態へと変形した後方砲門から、凄まじい威力のレーザーが放たれる！
　直撃する、刹那。レーザーが重力波によって歪められ、あらぬ方向へとねじ曲がった。しかし、《クロノトロンブラスト》は帝国戦艦を捉え、装甲をひしゃげさせる。
　そこへ、ヒューマン・カウルで加速したパルが迫る。その肩の上には、セゲルの姿があった。
「準備は良いですか？」
「ああ。……デカイのであれば考えるまでもない。絶巓の帝を叩き込んでやればいいだけの話よ」
　セゲルは応龍槍【ギュールグルド】を大きく、振りかぶった。

「義を見てせざるは勇無きなり。巨城すら穿つ一撃をくれてやろう！」

　放たれる絶巓の帝（インペリウム・アブ・ヘイドプント）は、銀河帝国宇宙戦艦一隻分の重量を持って、主砲へ突き刺さった。小さな誘爆が起きる中、ステラがありったけの弾薬で弾幕を張りながら言った。
「行け！」
　それに応えるのは、ルベルを後ろに乗せた嵯泉の宇宙バイクだ。
「剣の腕を磨いてまいりました――僕は後方支援を得手としますが、後ろで見ているだけではございません。牙もあわせ持つ人狼なのでございます」
「妖威現界、此の一刀にて砕いてくれる」
　ルベルによる墨染の一閃が砲塔を、嵯泉の天魔鬼神による豪快な一撃が砲門を、それぞれ破壊する。爆発によって、大きく戦艦の後方が『ブレ』た。

「――回頭するつもりですか！？」

　宇宙戦艦《クロノトロン＝ユニット》の艦橋で、イヴは帝国戦艦の意図にいち早く気付いた。後方の爆発を利用しての回頭、もはや曲芸の領域だ。加えて、背後を敵に取られれば、一方的に撃ち込まれるだけだ。
　しかし、それは帝国側が一隻のみなら、だ。後方から、銀河帝国『白城』艦隊の艦影が見えたからこその回頭の判断だ。後方から撃たれている間、味方の援護射撃があれば体勢を立て直せる――それは、間違いなく英断だと言えた。

　しかし、帝国戦艦は思い知る――それは、発見した艦影が味方であるという大前提があってこそだ、と。

●不意の一撃
「なんてったっけ……UDCアースの歴史マンガ読んでて閃いたんだけど……三角木馬がどうとか……まぁいっか」
　それは、トロイの木馬だ、とツッコミを入れられる者はここにはいない。だから、ミア・ウィスタリア（天上天下唯画独尊・f05179）の間違いを正す者はいなかった。双子の姉のユノ・ウィステリア（怪異蒐集家・f05185）は、他の事に気を取られていて、聞き逃していたのだが。
「こっちに敵戦艦が来るよ、ミアちゃん」
「見たいだねぇん」
　――そう、帝国戦艦が味方だと誤認したのは、ミアの領域改変:レイヤーマスクによる変身だった。あの爆発による干渉で、レーダーと通信が不能になっていたのが幸いした。もっとも小さい宇宙船に変身したものの、サイズが明らかに小さい――そう、光学映像を頼りにした戦艦側もまた、遠近法の悪意に囚われたのだ。

「System Code: moment swap weight」

　だからこそ、ユノの力が必要だった。シールオブ・マイシップ――ユノの全力の一撃が、戦艦へと突き刺さった。

　味方に攻撃された、その混乱がいかほどのものかわかるだろうか？　味方がいたからこその英断は、ここに最悪の一手へと変わる。
「突撃！」
　イヴが宇宙戦艦《クロノトロン＝ユニット》を、帝国戦艦へとぶつけた。戦艦に、衝撃が走る――しかし、帝国兵はそのぶつかった箇所を訝しむ。
「何で、あんなピンポイントにこっちの『急所』を突きやがる！？」
（「――いや、俺が盗んだからだけどね」）
　破壊した箇所から迷彩によって姿を消して、永一が忍び込んでいたのだ。そこで帝国戦艦の情報をハッキング、宇宙戦艦《クロノトロン＝ユニット》へと位置情報を送ったのである。
「簡単には壊れないんだろう？　そう来なくてはね」
　――その頃、帝国戦艦内を駆け回る者がいた。ロードだ。
「よし、いくぞハク！」
　肩に乗っていた小白竜のハクを槍に変え、ロードが宙を駆ける。相棒は、自分の手足の延長線のようによく動いた。帝国兵からの散発的な攻撃を槍で受け流し、上空から捨て身の一撃で串刺しにしていく。
「どうだ、ハクの切れ味はよ」
　もはや、戦艦内に猟兵を止められる者はいない。外側と内側、対応不可能なほど蹂躙され、やがて帝国戦艦は無数の爆発を巻き起こし、分解していった。
　その撃沈していく戦艦を見下ろし、嵯泉は言った。
「如何な１手であろうとも未来へと繋がるものに違いは無い。新兵を護る先達の務めとあらば、疎かには出来んというものだ」
　そう、今日戦うのは明日という未来のためであるべきだ――ならばこそ過去に、オブリビオンに負けてはならないのだと、猟兵達は改めて心に刻むのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月17日