グリモアベースへとやってきた猟兵たちはヒース・アーベル(胡散臭い掃除屋・f35538)の元へと集まると、彼は一人でぱちぱち、と光る線香花火を楽しんでいた。やがて光は小さくなっていき、火玉がぽとりと地面に落ちる。
グリモア猟兵は各々の持つグリモアによって、オブリビオンの発生を事前に予知することができる。だというのに、詳細が分からないということはどういうことなのか。とにかく、ヒースの話を聞く。
「カクリヨファンタズム、皆さんご存知ですよね。毎度毎度、滅亡の危機に晒されている世界です。とはいえ、皆さんが何度も何度も滅亡の回避をしましたので、面白い現象が観測されまして」
「幽世蝶、と呼ばれる霊力を帯びた蝶が現れたんです。その蝶は、世界の綻びを察知できるらしく……つまり、追いかけた先に骸魂に飲み込まれた者がいる、ということです。
私が見た予知というのは、その幽世蝶が出現した一場面です。ですので、幽世蝶を追いかけ、その先にいる骸魂に飲み込まれた方を救出してください。普通に倒せば解放できますので、問題が起きる前に解決してしまいましょう」
「ええ、残念ながら。オブリビオンらしき影は見えたんですけどねぇ……ある者が骸魂に飲み込まれた点以外、特に事件は起きていませんからね。ですので、ここからは私の推測です。
幽世蝶が目撃されたのは、ある花火大会の会場です。毎年夏になる前に行われるこの花火大会は、家族や友人は勿論、恋人同士が良く観に行くそうです。どうも、この花火大会で花火を一緒に見ると、絆が深まるとかなんとか言われているようで。恋愛、友愛、家族愛……それらを邪魔する、試練を与える、そんなオブリビオンが出そうな気がします」
となると、会場にいる人たちが危ない。だが、そう簡単に避難させられないだろう。ならば、オブリビオンとなってしまったその人が、自分たちに興味を持つように誘導できれば……そのオブリビオンの目の前で、花火大会を楽しんでいる一般客のように振る舞えば……。猟兵たちは各々意見を交わし合う。
萩野 千鳥
はじめまして、こんにちは、こんばんは。萩野千鳥です。
早速ですが簡単に説明致します。
『第一章:日常』
花火大会真っ只中です。友人、家族、恋人、お一人からでも参加できます。
幽世蝶を追った先にいるオブリビオンを、人気のない場所へ誘い出しましょう。普通に花火を楽しみつつなんらかの絆を感じていれば、それっぽくなります。
『第二章:ボス戦』
骸魂に飲み込まれた者との戦闘です。普通に倒せば、骸魂から救出できます。絆を試すような攻撃をしそうです。
『断章について』
今回は、第二章の前に入れる予定です。
その際のプレイング受付時間等は、タグ上でお知らせ致します。
『他』
アドリブ、共闘不可の場合は、その旨をお伝えください。(例:ア×、共×、等)
こちらのシナリオは、〆切無しのまったり進行です。ただし、OP承認後から一ヶ月後よりサポート採用をし始めます。
どうぞ最後まで、よろしくお願い致します!
第1章 日常
『夜空に大輪』
|
|
POW | 菊に牡丹、万華鏡 |
SPD | 冠に柳、飛遊星 |
WIZ | 花雷万雷、千輪菊 |
👑5 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔴 |
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
倉坂・緋澄
きらびやかな花火に埋められた、闇の空か。冷たき静けさも方なしだな。俺様は、騒がしい方が性に合ってるがな。
ってゆうか、恋人たちにとっては、花火なんてどうでも良いんじゃないのか?
闇を降す大輪も、賑やかしにすぎないのか…。せめて、俺様が、花火師たちの技前を見届けよう。
た~まや~。か~ぎや~。
隣のカップルと目があった。
俺様が、気圧されるなんて…。良いだろう、今回だけは静かにしていてやる。
さしあたって、幽世蝶を見つけなければだしな。見つけたら蜘蛛糸でも付けて泳がしながら見失わないようにするか。
ターゲットは『絆』に反応して姿を見せるかもという話だったが?信頼と思い込みと誤算、恋に失敗はつきものだろう?
痴話喧嘩を仲裁して、仲直りさせれば、普通のカップルより目立たないか?
やってみるか。
この世の終わりと言わんばかりの、絶賛こじらせカップルを見つけて、声をかける。
お取り込み中のようだな?早めに謝ったらどうだ?
すでに、試したあとで、原因は。鯛焼きの食べ方が、頭からじゃなかったからって、ク◯程どうでもいい。
パンッ、と闇の空を埋めるのは菊や牡丹などの花々を模った煌びやかな花火たち。冷たい夜空を華々しく飾っている。恋人同士なのだろうか。花火を見ながら、くすくすと笑いあう声も聞こえる。そんな中、倉坂・緋澄(中学デビューだ!夜露死苦・f36607)は一人、空を見上げていた。
(この状況、恋人たちにとっては、花火なんてどうでも良いんじゃないのか?)
周りを観察している限り、純粋に花火を見て楽しむ者は少ないように思えた。どうやら、闇を降ろす程の大輪も、彼らにとっては賑やかしに過ぎないらしい。緋澄は見事なまでに夜空に花を咲かせた花火師に、敬意をもって掛け声を送った。
「た~まや~。か~ぎや~」
緋澄が空に向けて放った言葉は、かつて存在していたとされる花火屋の屋号だ。今では、花火を見ながらそう言う風に言うのが慣習かされている。だというのに、隣のカップルは緋澄をじろり、と睨みつける。静かな方よりも賑やかな方が性にあっていると自分でも思っている緋澄でも、その冷たい目線に気圧されて口を閉ざす。
(ま、まぁ仕方ない。今回の目的は楽しむだけじゃないからな)
緋澄はこっそりと周りの様子を観察する。すると、花火とはまた違ったほんのりと光を帯びた蝶を見つけ出した。運が良いことに、緋澄の近くを通りかかる。
(これが噂の幽世蝶か)
他の者が目視できないほど細い蜘蛛の糸を、緋澄の目の前を飛んでいた幽世蝶に付ける。ひらり、ひらり、と舞う幽世蝶は蜘蛛の糸が付いたことに気づかず、どこかへと向かっているようだ。緋澄は蜘蛛の糸を追いかけ、その幽世蝶が向かう先へ足を進める。
「……これは、」
緋澄は気づかれないように、木の陰に隠れる。幽世蝶が向かった先は、痴話喧嘩をしている恋人同士の元だった。ぎゃんぎゃんと騒ぎ立て、周りの人たちも随分と遠巻きに見ている。
(これを仲裁して仲直りさせれば、普通のカップルより目立ちそうだな……よし)
骸魂に憑りつかれたターゲットは、絆に反応して姿を現すらしい。ならば、目立った行動をしている者の側にいれば、遭遇する確率はあがりそうだ。どんな内容で喧嘩しているのかは分からないが、緋澄はとりあえず仲裁に入ろうと決める。
「どうしてよ! 絶対こっちじゃないと駄目なの!」
「なんでだよ、意味が分からん。別にどっちでも……」
「良くない、良くないわ……!」
「そこのあなたたち、折角の花火だと言うのに随分と騒がしいな」
「な、なによ貴女……」
「何か納得いかないことでもあったんだろうが、ここはムキになりすぎても、な? 早めに謝ったらどうだ? ここで喧嘩を長引かせたら、後戻りできなくなる」
「それは……」
緋澄の言葉に、女性の瞳が揺れる。悪いとは思っているらしい。
「……ごめんなさい、私、我儘だったわ……」
「いや、俺も……こんなにこだわりがあるとは思わなかったからさ」
そう言って、男性は女性の手を取った。周りからも何だか暖かな視線が二人に送られている気がする。幽世蝶も二人の周りに集まりだす。どうやら、成功したようだ。
「そういえば、何で喧嘩してたんだ?」
緋澄は二人にそう訊ねた。ふと、疑問に思ったからだ。「それは、」と女性が答える。
「この人ったら、鯛焼きを尻尾から食べたの! 尻尾ってカリカリの部分が残ってるから、最後に残した方が美味しいのに……」
「あー……まぁ、そうだ、な……(どうでもいい!!!)」
表では適当に返事をしながらも、緋澄はあまりのくだらなさに内心舌打ちをした。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィヴィ・ジーヴ(サポート)
キマイラの力持ち×精霊術士、15歳の女。
名前はヴィヴィ、一人称は自分の名前でビビ。表記はどちらでも。
服の下はフクロウ。
腕はハーピー(鳥の羽)、器用な作業は少しだけ苦手。
「あまりお手手は見ないでね、女の子の秘密よ。」
《力持ち》
素早いの、苦手。お目目くらくらする。一撃ドーン、が得意よ。
《精霊術士》
困った時は精霊さんに聞く!
《好き》
美味しいもの、食べる事、大好き!
あとね、ビビ、空中浮遊でふよふよするの好きよ。
◆日常
興味の引かれるまま、直観で動く。
力仕事は任せて!
ひとりでのんびりも、精霊さんとお話しながらも、好き。
美味しいごはん、綺麗なお花、好き!
頭を使う事は苦手なの。誰か教えてくださいな。
あるカップルの喧嘩を仲裁した側で、ヴィヴィ・ジーヴ(いつも誰かのお手伝い・f22502)は近くの屋台で売っていた鯛焼きを頬張っていた。
「甘くて美味しい~!」
『――、』
「うん、ビビ分かってるよ。大丈夫」
グリモア猟兵の予知によると、幽世蝶と呼ばれる蝶の行く先に骸魂に飲み込まれた者がいるらしい。そして、その者は絆に反応するらしい。先程の恋人たちの喧嘩があった付近で、幽世蝶の数が増えている気がする。
「ひらひら、綺麗ね」
『――――』
「うん。この先にいるかも」
ヴィヴィは精霊と話しながら、ひらひらと幽世蝶の後を追う。その間に、パンッと大きな音がしたかと思うと、夜空に火花が散る。空で火花が散ったかと思うと、流星のように空を駆ける。ヴィヴィはつい、そちらの方に気を取られてしまう。
「わぁ……」
『――!』
「あ、うん。大丈夫よ。ほら」
幽世蝶を見失いそうになったヴィヴィに、精霊が声をかける。ヴィヴィも慌てて、先程まで幽世蝶がいた場所に目を向けると、ちょうど角を曲がって見えなくなりそうになっていた。急いで追いかけると、角を曲がった先で幽世蝶が一ヶ所に留まっていた。その中心に居るのは……白い、女性、だろうか。
(周りに人は……うん、いないみたいだね)
彼女が例の骸魂に飲み込まれた者なのだろう。ヴィヴィは精霊を『エレメンタルロッド』に変え、他の猟兵たちの到着を待った。
成功
🔵🔵🔴
ひらひらと舞う幽世蝶。その中心にいるのは、天使のような姿をした『絆の試練』アナスタシアだった。彼女は本来、恋や愛を守護していた神性妖怪だった。それが、試練を与える何かに飲まれ、今こうして花火大会の会場に来ている。
夜空を見上げながら、ぼそりと呟く。周りに人影はない。だが、このままでは会場へと向かうだろう。それは放ってはおけない。幽世蝶を追いかけこの場に辿り着いた猟兵たちは、彼女の前に立ち塞がった。