4
美しき絆の華

#カクリヨファンタズム #戦後

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#戦後


0




 パンッと夜空に華が咲く。美しきその華を見に、友人や家族、恋人たちが花火会場である広場へと集まっていた。
「……このまま、時が止まれば良いのに」
「何を言うんだ。儚いからこそ良いんだろう?」
「もう、花火のことじゃないのに……あら?」
 ある恋人の前に、ひらり、と蝶が飛ぶ。それはただの蝶ではないようだ。微かではあるが霊力を感じる。その霊力のお蔭か、蝶は仄かに光っていた。
「夜なのに、珍しいこともあるのね」
「一匹二匹……まぁ、なんにせよ粋だなぁ」
「そうねぇ」
 蝶はひらひらと舞う。二人は寄り添うように、打ち上がる花火と蝶を眺めていた。二人は、その蝶の向かう先を知らない。


 グリモアベースへとやってきた猟兵たちはヒース・アーベル(胡散臭い掃除屋・f35538)の元へと集まると、彼は一人でぱちぱち、と光る線香花火を楽しんでいた。やがて光は小さくなっていき、火玉がぽとりと地面に落ちる。
「美しいですね、花火。皆さんは花火、お好きですか?」
 ヒースは水バケツに先程の線香花火を入れると、猟兵たちの方を振り向いた。
「お集まりいただき有難うございます。ま、いつも通りの依頼です。とはいえ、私も詳細は分からないのですが」
 グリモア猟兵は各々の持つグリモアによって、オブリビオンの発生を事前に予知することができる。だというのに、詳細が分からないということはどういうことなのか。とにかく、ヒースの話を聞く。
「カクリヨファンタズム、皆さんご存知ですよね。毎度毎度、滅亡の危機に晒されている世界です。とはいえ、皆さんが何度も何度も滅亡の回避をしましたので、面白い現象が観測されまして」
 面白い現象とは何だろうか。猟兵たちは首を捻る。
「幽世蝶、と呼ばれる霊力を帯びた蝶が現れたんです。その蝶は、世界の綻びを察知できるらしく……つまり、追いかけた先に骸魂に飲み込まれた者がいる、ということです。
 私が見た予知というのは、その幽世蝶が出現した一場面です。ですので、幽世蝶を追いかけ、その先にいる骸魂に飲み込まれた方を救出してください。普通に倒せば解放できますので、問題が起きる前に解決してしまいましょう」
 とりあえず、概要は分かった。だが、肝心のオブリビオンがどういう者なのか分からない。予知で見れなかったのだろうか。
「ええ、残念ながら。オブリビオンらしき影は見えたんですけどねぇ……ある者が骸魂に飲み込まれた点以外、特に事件は起きていませんからね。ですので、ここからは私の推測です。
 幽世蝶が目撃されたのは、ある花火大会の会場です。毎年夏になる前に行われるこの花火大会は、家族や友人は勿論、恋人同士が良く観に行くそうです。どうも、この花火大会で花火を一緒に見ると、絆が深まるとかなんとか言われているようで。恋愛、友愛、家族愛……それらを邪魔する、試練を与える、そんなオブリビオンが出そうな気がします」
 となると、会場にいる人たちが危ない。だが、そう簡単に避難させられないだろう。ならば、オブリビオンとなってしまったその人が、自分たちに興味を持つように誘導できれば……そのオブリビオンの目の前で、花火大会を楽しんでいる一般客のように振る舞えば……。猟兵たちは各々意見を交わし合う。
「方針は決まりましたか?」
 猟兵たちはこくん、と頷いた。ヒースはその様子を見ると、指を鳴らしてグリモアを召喚する。
「それでは、現地へと送ります。いってらっしゃい」
 もう一度指を鳴らすと、猟兵たちは花火大会の会場へと送られた。


萩野 千鳥
 はじめまして、こんにちは、こんばんは。萩野千鳥です。
 早速ですが簡単に説明致します。

『第一章:日常』
 花火大会真っ只中です。友人、家族、恋人、お一人からでも参加できます。
 幽世蝶を追った先にいるオブリビオンを、人気のない場所へ誘い出しましょう。普通に花火を楽しみつつなんらかの絆を感じていれば、それっぽくなります。

『第二章:ボス戦』
 骸魂に飲み込まれた者との戦闘です。普通に倒せば、骸魂から救出できます。絆を試すような攻撃をしそうです。

『断章について』
 今回は、第二章の前に入れる予定です。
 その際のプレイング受付時間等は、タグ上でお知らせ致します。

『他』
 アドリブ、共闘不可の場合は、その旨をお伝えください。(例:ア×、共×、等)
 こちらのシナリオは、〆切無しのまったり進行です。ただし、OP承認後から一ヶ月後よりサポート採用をし始めます。

 どうぞ最後まで、よろしくお願い致します!
19




第1章 日常 『夜空に大輪』

POW   :    菊に牡丹、万華鏡

SPD   :    冠に柳、飛遊星

WIZ   :    花雷万雷、千輪菊

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

倉坂・緋澄
きらびやかな花火に埋められた、闇の空か。冷たき静けさも方なしだな。俺様は、騒がしい方が性に合ってるがな。

ってゆうか、恋人たちにとっては、花火なんてどうでも良いんじゃないのか?
闇を降す大輪も、賑やかしにすぎないのか…。せめて、俺様が、花火師たちの技前を見届けよう。

た~まや~。か~ぎや~。

隣のカップルと目があった。
俺様が、気圧されるなんて…。良いだろう、今回だけは静かにしていてやる。

さしあたって、幽世蝶を見つけなければだしな。見つけたら蜘蛛糸でも付けて泳がしながら見失わないようにするか。

ターゲットは『絆』に反応して姿を見せるかもという話だったが?信頼と思い込みと誤算、恋に失敗はつきものだろう?

痴話喧嘩を仲裁して、仲直りさせれば、普通のカップルより目立たないか?
やってみるか。

この世の終わりと言わんばかりの、絶賛こじらせカップルを見つけて、声をかける。

お取り込み中のようだな?早めに謝ったらどうだ?

すでに、試したあとで、原因は。鯛焼きの食べ方が、頭からじゃなかったからって、ク◯程どうでもいい。



 パンッ、と闇の空を埋めるのは菊や牡丹などの花々を模った煌びやかな花火たち。冷たい夜空を華々しく飾っている。恋人同士なのだろうか。花火を見ながら、くすくすと笑いあう声も聞こえる。そんな中、倉坂・緋澄(中学デビューだ!夜露死苦・f36607)は一人、空を見上げていた。
(この状況、恋人たちにとっては、花火なんてどうでも良いんじゃないのか?)
 周りを観察している限り、純粋に花火を見て楽しむ者は少ないように思えた。どうやら、闇を降ろす程の大輪も、彼らにとっては賑やかしに過ぎないらしい。緋澄は見事なまでに夜空に花を咲かせた花火師に、敬意をもって掛け声を送った。
「た~まや~。か~ぎや~」
 緋澄が空に向けて放った言葉は、かつて存在していたとされる花火屋の屋号だ。今では、花火を見ながらそう言う風に言うのが慣習かされている。だというのに、隣のカップルは緋澄をじろり、と睨みつける。静かな方よりも賑やかな方が性にあっていると自分でも思っている緋澄でも、その冷たい目線に気圧されて口を閉ざす。
(ま、まぁ仕方ない。今回の目的は楽しむだけじゃないからな)
 緋澄はこっそりと周りの様子を観察する。すると、花火とはまた違ったほんのりと光を帯びた蝶を見つけ出した。運が良いことに、緋澄の近くを通りかかる。
(これが噂の幽世蝶か)
 他の者が目視できないほど細い蜘蛛の糸を、緋澄の目の前を飛んでいた幽世蝶に付ける。ひらり、ひらり、と舞う幽世蝶は蜘蛛の糸が付いたことに気づかず、どこかへと向かっているようだ。緋澄は蜘蛛の糸を追いかけ、その幽世蝶が向かう先へ足を進める。
「……これは、」
 緋澄は気づかれないように、木の陰に隠れる。幽世蝶が向かった先は、痴話喧嘩をしている恋人同士の元だった。ぎゃんぎゃんと騒ぎ立て、周りの人たちも随分と遠巻きに見ている。
(これを仲裁して仲直りさせれば、普通のカップルより目立ちそうだな……よし)
 骸魂に憑りつかれたターゲットは、絆に反応して姿を現すらしい。ならば、目立った行動をしている者の側にいれば、遭遇する確率はあがりそうだ。どんな内容で喧嘩しているのかは分からないが、緋澄はとりあえず仲裁に入ろうと決める。
「どうしてよ! 絶対こっちじゃないと駄目なの!」
「なんでだよ、意味が分からん。別にどっちでも……」
「良くない、良くないわ……!」
「そこのあなたたち、折角の花火だと言うのに随分と騒がしいな」
「な、なによ貴女……」
「何か納得いかないことでもあったんだろうが、ここはムキになりすぎても、な? 早めに謝ったらどうだ? ここで喧嘩を長引かせたら、後戻りできなくなる」
「それは……」
 緋澄の言葉に、女性の瞳が揺れる。悪いとは思っているらしい。
「……ごめんなさい、私、我儘だったわ……」
「いや、俺も……こんなにこだわりがあるとは思わなかったからさ」
 そう言って、男性は女性の手を取った。周りからも何だか暖かな視線が二人に送られている気がする。幽世蝶も二人の周りに集まりだす。どうやら、成功したようだ。
「そういえば、何で喧嘩してたんだ?」
 緋澄は二人にそう訊ねた。ふと、疑問に思ったからだ。「それは、」と女性が答える。
「この人ったら、鯛焼きを尻尾から食べたの! 尻尾ってカリカリの部分が残ってるから、最後に残した方が美味しいのに……」
「あー……まぁ、そうだ、な……(どうでもいい!!!)」
 表では適当に返事をしながらも、緋澄はあまりのくだらなさに内心舌打ちをした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィヴィ・ジーヴ(サポート)
キマイラの力持ち×精霊術士、15歳の女。
名前はヴィヴィ、一人称は自分の名前でビビ。表記はどちらでも。

服の下はフクロウ。
腕はハーピー(鳥の羽)、器用な作業は少しだけ苦手。
「あまりお手手は見ないでね、女の子の秘密よ。」

《力持ち》
素早いの、苦手。お目目くらくらする。一撃ドーン、が得意よ。

《精霊術士》
困った時は精霊さんに聞く!

《好き》
美味しいもの、食べる事、大好き!
あとね、ビビ、空中浮遊でふよふよするの好きよ。

◆日常
興味の引かれるまま、直観で動く。
力仕事は任せて!
ひとりでのんびりも、精霊さんとお話しながらも、好き。
美味しいごはん、綺麗なお花、好き!
頭を使う事は苦手なの。誰か教えてくださいな。



 あるカップルの喧嘩を仲裁した側で、ヴィヴィ・ジーヴ(いつも誰かのお手伝い・f22502)は近くの屋台で売っていた鯛焼きを頬張っていた。
「甘くて美味しい~!」
『――、』
「うん、ビビ分かってるよ。大丈夫」
 グリモア猟兵の予知によると、幽世蝶と呼ばれる蝶の行く先に骸魂に飲み込まれた者がいるらしい。そして、その者は絆に反応するらしい。先程の恋人たちの喧嘩があった付近で、幽世蝶の数が増えている気がする。
「ひらひら、綺麗ね」
『――――』
「うん。この先にいるかも」
 ヴィヴィは精霊と話しながら、ひらひらと幽世蝶の後を追う。その間に、パンッと大きな音がしたかと思うと、夜空に火花が散る。空で火花が散ったかと思うと、流星のように空を駆ける。ヴィヴィはつい、そちらの方に気を取られてしまう。
「わぁ……」
『――!』
「あ、うん。大丈夫よ。ほら」
 幽世蝶を見失いそうになったヴィヴィに、精霊が声をかける。ヴィヴィも慌てて、先程まで幽世蝶がいた場所に目を向けると、ちょうど角を曲がって見えなくなりそうになっていた。急いで追いかけると、角を曲がった先で幽世蝶が一ヶ所に留まっていた。その中心に居るのは……白い、女性、だろうか。
(周りに人は……うん、いないみたいだね)
 彼女が例の骸魂に飲み込まれた者なのだろう。ヴィヴィは精霊を『エレメンタルロッド』に変え、他の猟兵たちの到着を待った。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『『絆の試練』アナスタシア』

POW   :    疑心の罪
【滔々と語られる愛の説法】を披露した指定の全対象に【己に向けられている愛情に対する、疑いの】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD   :    煌々たる失翼
【慈愛と歓喜の感情】を籠めた【飛ばした羽根の乱舞】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【持つ、大切な者との様々な関わりの記憶】のみを攻撃する。
WIZ   :    真偽不明の愛
自身が【愛する者同士の深く強い絆】を感じると、レベル×1体の【両者の、極めて精巧なニセモノ】が召喚される。両者の、極めて精巧なニセモノは愛する者同士の深く強い絆を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠御形・菘です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ひらひらと舞う幽世蝶。その中心にいるのは、天使のような姿をした『絆の試練』アナスタシアだった。彼女は本来、恋や愛を守護していた神性妖怪だった。それが、試練を与える何かに飲まれ、今こうして花火大会の会場に来ている。
「……ああ、美しいわ」
 夜空を見上げながら、ぼそりと呟く。周りに人影はない。だが、このままでは会場へと向かうだろう。それは放ってはおけない。幽世蝶を追いかけこの場に辿り着いた猟兵たちは、彼女の前に立ち塞がった。
雪代・桜花(サポート)
 桜の精の仙人×パーラーメイド、17歳の女です。
 普段の口調は女性的(私、~様、です、ます、でしょう、ですか?)
サクラミラージュの山奥で生じた桜の精で、普段は『帝都桜學府』に通いながら色んなアルバイトをしている猟兵です。

UCによる技能強化で他参加者の文字通りのサポート役(戦闘支援の他、一般人相手の情報収集や敵地の偵察、給仕など)が理想です。
UCの『オールワークス!』で状況や目的に応じた手持ちの防具に着替え、その初期技能を上昇させ【情報収集】や【破魔】などでサポートします。あるいは軽機関銃と素の【援護射撃】や【制圧射撃】で戦闘をサポート。
その他、桜の精として影朧の転生やUCによる回復も可能。


花厳・椿(サポート)
白い蝶という魂を蝶に変え、自分の一部として取り込み力をつけてきた妖怪

・口調
一人称:椿
二人称:あなた、~さん
なの、よ、なのね、なのよね?

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 花厳・椿(夢見鳥・f29557)の周りを飛ぶ白い蝶が、アナスタシアの元へと案内してくれた幽世蝶たちと共に舞う。異種であるにも関わらず戯れる姿は、愛らしく美しかった。
「美しいわ。でも、その絆は本物?」
「本物よ。……本物なの」
 声をかけられようやく椿の存在に気付いたアナスタシアは、ゆっくりと微笑んだ。それはまるで、椿の過去を見透かしているようだ。だが、椿は動じることもなく剪定鋏『落ち椿』を取りだすと、アルテミシアとの距離を詰める。
「とまれよ。あそべ。あそべよ、とまれ」
 幽世蝶と戯れていた白い蝶が、一斉に輝く。その光が椿の持つ落ち椿に力を与える。椿は刃をアナスタシアに向けると、ちょきん、とその首を切ろうとした。だが、それは叶わない。アナスタシアは寸でのところで避けると、髪がはらりと落ちた。
「あら、抵抗するの? 貴女がそのつもりなら……」
 はらり、はらり、とアナスタシアの周りに羽根が舞う。それらは椿に向かって飛んでくる。その羽根に触れても、椿の身体には傷が増えることはない。だが、
「――っ!」
 椿の記憶。かつて、恋をした、彼女の記憶。それが、一瞬でも見知らぬ誰かに傷つけられる。その瞬間だった。バババババッ、と軽機関銃の連射音が鳴り響くと、周りに舞っていた羽根が全て撃ち抜かれる。後からやってきた雪代・桜花(桜仙・f23148)が、椿の異変に気づき撃ったようだ。椿の記憶を浸食しようとしていた物も、はらりと落ちて精神攻撃を止める。
「ありがとう」
「いえ、お役に立てたなら何よりです。それより……」
 桜花は改めてアナスタシアに対峙する。
「この花火大会は絆が深まる、と言われています。そんな中、絆を試すようなことをするなんて……あまりにも無粋です」
 桜花は【オール・ワークス!】で桜學府制服に着替えると、もう一度軽機関銃を構えて乱射する。アナスタシアはその攻撃をなんとか防ぎながらも、再び羽根を二人に向ける。だが、それはあっけなく銃弾によって落ちていく。
「美しいからこそ、試さなくては。それが、本物なのかどうか」
「試したところで、変わりないよ。私の想いは本物だから」
「っ!」
 銃弾に気を取られていたアナスタシアは、椿に背後をとられていた。椿は落ち椿で横腹を刺すと、すぐにその場から離れる。アナスタシアはふらふらと刺された場所を抑えながら、二人から距離を取る。
「本物かどうかなんて、分からないわ!」
 そう言いながらアナスタシアは体勢を整えると、再び猟兵たちに襲い掛かった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

湊川・亮一(サポート)
基本的に屋外では宇宙バイクに搭乗。屋内では十分な広さが確保されている場合のみ宇宙バイクを使用。
センサーゴーグルで【索敵】しつつ行動し、情報を元に【戦闘知識】で有利な位置取りを取る様に移動。
敵を確認出来る位置まで来たらブラスターカービンの【スナイパー】で【先制攻撃】する。
状況に応じて味方を【援護射撃】で支援するが、基本的にはガトリングブラスターの【弾幕】と複合兵装ユニットの【誘導弾】の【一斉発射】で【制圧射撃】を行いながら宇宙バイクで突撃し、車体による【吹き飛ばし】と【衝撃波】で追加ダメージを与える。
突撃に合わせて状況に応じたUCを使用する。
敵の攻撃は【地形の利用】【見切り】【ジャンプ】で回避


ティー・セツナ(サポート)
 「あ˝あ˝?悪ぃな、ちょっと…暴れさせてくれよ」

凶悪な顔の新米執事。という名のフットマン。
顔と口調の割には戦いは好きではない
好きではないが、得意ではある
何より執事になるため、仕事を全うするためにも、定期的に戦ってスッキリする必要がある

そのため戦いの場では率先して前に出る
基本はただひたすら殴り、暴れるのみ

誰かを守りながら戦うのも、執事の訓練になるかと
たまに守りながら敵を殴りつける

一通り暴れたら、無表情で感謝を
「すっきりいたしました、ありがとう御座います」



 絆を試すという目的で、住人の元へといこうとするアナスタシアを止める猟兵たち。花火大会には住人が沢山いる。そんな中、彼女が暴れたらひとたまりもない。
「絆云々の前に、一人の猟兵としてここを通すわけにはいかないな」
 湊川・亮一(スペースノイドの鎧装騎兵・f06481)は宇宙バイク『スペース・ファルコン』に跨ると、空中からアナスタシアの死角に向けて『ブラスターカービン』による狙撃を行った。亮一の先制攻撃は見事命中。アナスタシアの肩を撃ち抜いた。アナスタシアは撃たれた方向へ振り向く。
「っ! 邪魔しないで!」
 アナスタシアの周りを舞う羽根を、投げナイフのように飛ばす。亮一はそれをスペース・ファルコンで防ぎながらも、移動して、搭載された武器を全て展開し始める。
「フルバースト! 全弾発射だ!」
 亮一がそう言うと、アナスタシアに向けて様々な武器からレーザーや弾丸の雨が降る。アナスタシアは羽根で防ごうとするも、全ては防ぎきれない。じっとその場で耐え凌ぐ。その間に、アナスタシアの背後に一つの影が忍び寄る。
「うぉらあああ!!」
「――!!」
 ティー・セツナ(オウガブラッドの闇執事・f36272)は、アナスタシアに拳を振るった。亮一の弾幕に気を取られていたアナスタシアはティーの気配に気づかず、ティーの拳をもろに受けた。
「悪ぃな、ちょっと……暴れさせてくれよ」
 ティーは本来戦いを好まない。だが、自身のためにも定期的に戦ってスッキリする必要があるのだ。ティーは再び拳をアナスタシアに向ける。だが、アナスタシアもやられてばかりではない。ひらり、と羽根がティーの周りに舞う。その羽根はが、ティーの身体に触れる。
「……!」
 彼の記憶の中にいる主人の姿。自分を雇ってくれた人物の姿が、急に脳裏に現れた。動きを止めるティー。亮一はその異変に気づき、ティーを傷つけないように、羽根を吹き飛ばす。
「大丈夫か?」
「……ええ」
「あら、素敵な仲間の絆ね。……試させてもらうわ」
 アナスタシアは猟兵たちに余裕を見せる。だが、表情までは完全に繕いきれていない。あともう少しで彼女を止めることができる。猟兵たちはそう確信した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティエン・ファン(サポート)
シルバーレイン出身の除霊建築士です。
モットーは「明るく楽しく元気よく」で、自分にできることがあるならば、できる限りを尽くそうとします。
通常は【道術】【竜脈使い】【仙術】の技能を主に駆使して問題解決に取り組みます。
戦闘時は主武器のT定規と副武器の浄銭貫を用いて、近距離戦も遠距離戦もこなします。
キャバリアが必要な場面、若しくは有効な場面では、『蚩尤』を使用します。
『蚩尤』は普段イグニッションカードに収納しています。
ユーベルコードは『蚩尤』搭乗時は”蚩尤”とついたものを、そうでないときはそれ以外のものを状況に応じて使用します。

以上を基本として、シナリオに合わせて思うままに動かして頂ければと思います。


魚目・めだか(サポート)
「戦場の矢面から些細な支援行動まで、めだかになんでもござれだぞ!」

普段の口調は「自分の名前(めだか)、~殿、だ、だな、だろう、なのか?」、適宜敬語も使用可です。

外見は少女ですが、判断基準や倫理観などは若い成人男性相当で、落ち着いた風を装った言動を心掛けていますが、精神が肉体に引っ張られて快活になりがちです。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

その他、連携・アドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 他の猟兵たちの攻撃により、表情に余裕のないアナスタシア。「仲間との絆を試す」と言っていたが、何をするつもりなのだろうか。
(――いや、何かさせる前に骸魂から解放した方が良いよな!)
 魚目・めだか(偽典の巫女・f36514)は儀礼大剣『葵』を振り上げる。本来戦闘用ではない大剣だが、ただ骸魂に憑りつかれただけならば、これでも十分だろう。アナスタシアに向けて思い切り振り下ろす。
「そーれっ!」
 勢いよく振り下ろされる大剣を、アナスタシアは避けられなかった。だが、めだかの攻撃を受けてもなお、ふらふらと立ち上がり笑みを浮かべ、羽根をひらひらと舞わせる。これに触れれば、どうやら精神的な攻撃を受けるらしい。その前に、めだかはアナスタシアとの距離をさらに詰め、その身体に指先で触れる。
「めだかが触れたあなたの“記憶”は本物だろうか」
「一体、なに……?」
 触れた指先から、アナスタシアの記憶が呼び起される。それは、花火大会の映像だ。沢山の家族や友達、恋人たちが空を見上げている。そんな人々を、アナスタシアが祝福している――骸魂に飲み込まれた今では、絶対に有り得ない記憶。
「……っ!」
 その記憶に、アナスタシアは言葉に詰まる。
「隙あり! 現れ出でよ、天を摩する草木の群れ!」
 一時的に動けなくなっていたアナスタシアの隙を突くように、ティエン・ファン(除霊建築学フィールドワーカー・f36098)はこの場全体に巨大な植物群を発生させる。それらは地脈の邪気を払う。猟兵たちや一般人に対しては毒にも何にもならないが、骸魂に飲み込まれオブリビオンと化した彼女には毒だった。
「ああ、ああ!」
「これでとどめだよ!」
 ティエンは『浄銭貫』で剣を作りあげると、浄化の力がこもったその剣でアナスタシアを斬る。
「わ、私は、私はただ……!」
「元の人のためにも、ここで浄化してあげる」
「――、」
 再びアナスタシアを斬ると、彼女はその場に倒れて動かなくなる。それと同時に、邪気を纏った骸魂が離れていく気配を感じた。同時に、彼女の周りから幽世蝶がゆっくりと姿を消していく。
「……これで終わりみたいだな」
「そうだね。これで、彼女も救われると良いんだけど」
 パンッと花火が上がる。その花火は夜空を彩り、猟兵たちの絆を称えるように皆を照らしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年06月03日


挿絵イラスト