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嗚呼、死ニ還ル事勿レ(作者 天宮朱那
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#サクラミラージュ  #反魂ナイフ  #オーバーロード二名様、少し日数頂きます 


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#サクラミラージュ
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#反魂ナイフ
#オーバーロード二名様、少し日数頂きます


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●姉から弟へ
 数年ぶりに故郷に戻ってきた弟は、すっかり骨になって帰ってきました。
 恵まれた身体を持たなかった彼は、やはり小さな小さな骨壺に納められておりました。
 文學で身を立てるのだと帝都行きの汽車の窓より見せた笑顔は今でも覚えております。
 毎週の様に届いていた手紙も、徐々に間が空き。
 やがて病に伏せたと報せが届いたのも束の間。
 結核に侵された弟は、私が看病に行くその前に、短い生涯を閉じたのでした。

 父も母も既に亡く。夫に捨てられ離縁されたわたしの、たった一人の大事なおとうと。
 死に目に会えず終いだったわたしは、せめてもう一度会いたいと願っておりました。
 そんな折りです、送り主の名も無い不思議な小包が届いたのは。

『愛しき人の遺骨に突き立てよ』

 一筆箋にはただそれだけ。そして不思議な形の短刀が封入されておりました。
 それが何かは解りませんでしたが、柄を握った瞬間……悟ったのです。
 これは、わたしの願いを叶えてくれるものなのだと。
 気が付いたら、わたしは遺骨にその刃を突き立てておりました。

「……姉、さん」

 するとどうでしょう! おとうとが……愛しき弟が蘇り現れたではありませんか……!

●有っては為らぬ反魂
「その短刀ってのは、影朧兵器『反魂ナイフ』さよ。かつての大戦で開発された兵器なんだけど、非人道的で倫理面に問題がありまくりなんで封印された筈のシロモノさね」
 早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)は肩を竦めつつ集まる猟兵達に説明を開始する。

 夭折した弟の死を嘆き、再び会いたいと願う姉。そんな彼女の元に匿名で『反魂ナイフ』が送られてくる。
 それは遺骨に突き立てる事で、その故人を生前そのまま――知識も記憶も感情も遜色なく蘇らせる事が出来る道具。その姉もまた、突き動かされる様に弟を蘇らせた。
 だが代償も無しにそのまま死者が蘇るなんて巧い話が有る筈も無い。
「反魂者、とでも呼ぶかねぇ。それは『本人の魂』と『強力な影朧』の二つを融合する事で生み出された人外の存在さよ。その弟さんは、弟さんであってそうじゃない存在だ」
 蘇った弟の姿を借りた強力な影朧として、それはいずれ世の中に混乱を巻き起こす。文學を志した青年の身体を使って、怪異を呼び寄せ凶行を巻き起こす存在と化す。

「お姉さんは弟さんを大切に守って囲ってるけど……薄々気付いちゃいるみたいさね、それが弟の姿をした別の何かだってのは」
 しかし彼女は止める事が出来ない。力無き事だけが理由では無い。愛おしい弟が折角自分の元に戻ってきたと言うのに、手放す事など出来ようか。
「その辺はさ、上手く説得してあげられると良いんだけど。彼女も不安な筈なんだ……弟さんが時折違う恐ろしいモノに見えるんだから当然さよね」
 上手くいけば、術者の思いで反魂者の魂の融合は分離される。そうすれば取り憑いていた影朧だけを倒し、弟の魂を救う事も可能なのだと翼は告げる。

 姉弟は近所の夜桜を見に散歩に出るが、既に反魂者に惹かれた低級の影朧達が姿を見せ始めている。それらを撃破しながらその出所であるターゲットを探す事になる。
 二人が僅かの間に別行動をする隙を見て姉と接触し、反魂者と化した弟を――その内に融合した影朧を撃破する事となるだろう。

「彼の魂が無事に召される様に……頼んださよ」
 祈りを捧げてから。翼は転移の道を開くのだった。





第2章 日常 『夜桜の宴』

POW花見に適した場所を確保する。
SPD周囲を散策しながら夜桜を楽しむ。
WIZ提灯の灯りを調整し、最も桜が美しく見える光量を模索する。
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「…………おや?」
 青年はふと足を止め、姉はそれに倣うと心配そうに彼の顔を覗きこんだ。
「どう、したの……?」
「ああ……いや、ね。大した事じゃ無いんだけども」
 弟は軽く首を横に振り、ぐるりと遠くを見る様に周囲に視線を向ける。

(「――惹かれて集まってきていた連中の気配が、消えた――?」)
 全てを感知出来る訳では無いが、先程まで漂っていた禍つ気配が感じ取れない。

「ごめん姉さん。少しここで待っていてくれる?」
「え?」
「大丈夫、すぐ戻るから。さっきの野犬はもう襲ってこないだろうし」
 それは消えたからだとは告げぬが、弟の言葉には妙な確信が篭められていた。
 何より弟が向けたその笑みが――どこか、怖く見えた。
「ええ……解ったわ。けど、早く戻ってきて頂戴ね」
「全く、姉さんは心配性だな。桜でも眺めていればすぐだよ」
 そう告げた弟は足早に姉の側から離れ――女が一人、幻朧桜の並木道に残される。

 その隙を猟兵たちが見逃す訳には行かぬ。姉と接触し、言葉を交わす機会なのだ。
 告げねばならない、残酷な事実を。
 問わねばならない、彼女の思いを。
 請わねばならない、非情な決断を。
杜崎・紅祢
驚かせてしまうのは仕方ないとして、どう伝えたものか
隠れたりはせずに、あえて姿を見せて近付いてみましょう
ゆっくりと道を進んで、すれ違う際に足を止めて

こんばんは
櫻の、美しい夜ですね
春は出会いと別れの季節、なんて言い方をする事もありますが
言いながら弟さんが向かった方向に立ち、視線を遮ります

貴女は、一度別れ…そして再び手繰り寄せてしまった
でもその糸は正しいモノではない
分かっているのでしょう?
彼は、貴女が願う人では無いと
俺は貴女のような人を沢山見てきました
皆悩んで、後悔して…それでも、最後には皆正しい道を選んだ
強いわけでは無い、普通の人達です
還してあげましょう
貴女ならきっと、決断出来る筈


(「驚かせてしまうのは仕方ないとして……」)
 杜崎・紅祢は遠くから姉弟の様子を覗い、そして弟がその場を離れていったのを見届けながら考える。彼女に、あの姉にどう何を伝えたものか、と。
 しかし、隠れていては始まらない。敢えて姿を見せ、紅祢はゆっくりと道を歩く。散歩に歩く青年にしか見えぬ様にすれば、女と青年の距離が自然と近づいて行く。
 そして、すれ違うかと思った所で――彼は足を止め、静かに振り向いた。
「……こんばんわ。櫻の美しい夜、ですね」
「え……? あ、はい……そうですね……」
 声をかけられ、驚いた顔で女は頷いた。紅祢の優しげで美しい笑みに一瞬ドキリとし、顔を赤らめた様にも見えただろうか。
「春は出会いと別れの季節、なんて言い方をする事もありますが」
 紅祢はやはりゆっくりと歩を進め、彼女の弟が向かった先の視界を遮る様に立ち――そして一呼吸置いてから告げた。
「貴女は、一度別れ……そして再び手繰り寄せてしまった」
「……!? 何の、事ですか……」
 ズサッ、と地面を滑る音。女は困惑を顔に浮かべ、足を一歩引いた。その様子に紅祢は肩を竦め、困った表情で言葉を続ける。
「そんな顔をするって事は……分かっているのでしょう? その糸は正しいモノではないのだと」
 後ろめたい気持ちがあるからこそ、彼女は紅祢の言葉に斯様な態度を見せたのだ。図星を言い当てられ、見透かされた気持ちになった女は視線を伏せ、絞り出す様な声で告げる。
「あなたさまはご存じなのですね……? わたしは……わたしのしたことは、間違っていたのでしょうか……?」
「俺から言える事は――彼は、貴女が願う人では無いと言う事」
 紅祢は彼女の行為そのものは否定はしない。だって分かるから。過ちを犯さぬ人間なんて決して居ないと言う事を。
「俺は貴女のような人を沢山見てきました。皆悩んで、後悔して……それでも、最後には皆正しい道を選んだ」
 それは皆、特別強い訳では無い。普通の人達なのだ。無論、目の前の彼女だって。
「還してあげましょう」
「…………」
「貴女ならきっと、決断出来る筈」
 紅祢は女の背を押す様に語りかけ。対し、女は泣きそうな顔でただ俯いた。
「もう少しだけ……時間を下さい。考える、時間を」
大成功 🔵🔵🔵

久遠寺・絢音
流茶野先輩(f35258)と

いた…お姉さん、今は一人ね

(警戒させないよう、なるべく柔らかく応対しようと試み。イグニッションカードの衣装チェンジで世界に合わせた着物姿へ)
あの、少しよろしくて?あっ、怪しく見えるかもしれないけど安心してね
ええと…貴女とお話がしたくて
貴女と弟さんのお名前、伺ってもいいかしら?

弟さん、生きていた頃と少しずつ違ってきているのは、気付いているわよね?
家族の死に目に会えなかった悔恨は分かるの…
(脳裏に過ぎるのは大昔。来訪者種族故に色々とあったのだ)

このままだと、弟さんの魂はもう戻ってこれなくなる
…反魂ナイフを使った、貴女に問います
弟さんを、再び喪う覚悟はありますか?


流茶野・影郎
久遠寺(f37130)と同行

どうやら一人
みんなで囲んで説得って、圧迫感強そうだな
イグニッションは解除しておこう

ある程度タイミングを計って複数方向から話しかけないようにしつつ、一息ついたところで

「願いはかないましたか?」
一声

最初の願いはもう一度会う為であって永久に過ごすことではなかった筈
それが一本のナイフで狂ってしまった

「俺には貴女が羨ましい、会えなかった人に会えたのだから」

母が死に父が狂気に捕らわれた俺にとっては
でも

「この世では幻朧桜の元、影朧は転生を果たす。けれど生き返るわけではない。別れは必ず訪れる、ましてや人ならば」

「人生の延長時間は終わりにしましょう、それを望むのは貴女次第です」


 弟が影の狼達の様子を探りに離れた所で間髪入れずに一人の猟兵が声をかけた事も、そこでどんな言葉が交わされたかも、二人は知らぬ。
 分かる事はただ一つだけ。たった今、見える彼女の周囲に人がおらぬ事。
「いた……お姉さん、今は一人ね」
 久遠寺・絢音は闇の狼を屠った後、その出先を追う様に此処に辿り着き。そして振り返り、絢音が先輩と慕う男――流茶野・影郎にそれを指し示していた。
「ああ、一人なら……好都合だな」
 皆で囲って説得となれば圧迫感甚だしい事になる。一般人に過ぎない女を怯えさせる真似は二人ともけして望む所では無かった。
 絢音はその衣装をこの世界に合わせた着物姿へと変じ、影郎も戦闘装備を解除して眼鏡をかけ、ネクタイの形を整えて紳士然とした姿を作り上げた上で女に近づいた。
「――あの、少しよろしくて?」
「……!? は、はい……なんで、しょう?」
 考え事に耽っていた女は絢音の声に一瞬ドキリとした表情で振り返る。その慌てた様子に絢音は極力柔らかい笑みを向けながら、そっと窺う様に言葉続けた。
「あっ、怪しく見えるかもしれないけど安心してね」
「い、いえ、そんな事は……ああ、お二人ともお花見の方、ですか?」
 人は初対面であればその見た目を判断材料にする――見目で違和感を与えぬ猟兵であれど、場に合わせた服装の効果は相手の警戒心を取り払うには充分であった。
「ええと……貴女とお話がしたくて」
「わたし、と……? またどうして……」
 困惑の色が隠せない姉の様子。突然の事に驚いているだけでは無いのは様子を見ていた影郎の目から見て明らかだった。この女は何か後ろめたい気持ちを抱えている――故の挙動不審なのだと。
「久遠寺」
 ここは俺に、と影郎は目配せ一つ。一歩彼女が引いた所で彼は軽く息を吐き出してから――告げるのだ、一言だけ。
「願いはかないましたか?」
「……!!」
 何の願いかは彼は告げてはいない。なのに彼女はその顔色を変えたのは、その意味を理解したが故なのだ。
「あなたがたも……ご存じなのです、ね」
「まぁ、うん、簡単に言えばそう言うこと」
 絢音はあっさりと肯定する。ここで否定する意味は皆無であった。
「願いは――叶ったと申し上げて良いのでしょうか。ああ、しかし……最早分からなくなりました」
「最初の願いはもう一度会う為であって、永久に過ごすことではなかった筈」
 影郎が告げる。それが一本のナイフで狂ってしまった、と言う事も。引き継ぐ様に絢音は女に問いかける。
「弟さん、生きていた頃と少しずつ違ってきているのは、気付いているわよね?」
「……ええ」
 力無く女は頷いた。そして絞り出す様に告げるのは、最近弟に感じる怖ろしさや不気味さについて。上手く言葉に表せないと言いつつぽつりぽつりと口に出していく。
 それでも、と女が口にするのは――弟への愛情。弟が自分に向ける表情は、言葉は、微笑みは昔と変わらないのであれば、それにどうしてもしがみついてしまうのだとも。
「――俺には貴女が羨ましい」
 一通りを聞いた影郎がついそんな言葉を口に出す。
「あなたも……家族を喪って……?」
 青年は寂しそうに笑って頷き肯定した。母は死に、父も狂気に囚われ――失ったのだと。だからこそ羨むのだ。女は会えなかった人に愛する家族に会えたのだから。
 でも。其れはまやかし。残留思念の如き存在。有っては為らぬものなれば。
「この世では幻朧桜の元、影朧は転生を果たす。けれど生き返るわけではない。別れは必ず訪れる、ましてや人ならば」
 女の生きる世界の理(ことわり)。反魂では無く輪廻。それは彼女も分かっている筈なのだ。
「家族の死に目に会えなかった悔恨は分かるの……私も、ね。うん」
 絢音も自分の事を思い返しながらポツリと言葉を吐き出す。その脳裏に過ぎるは大昔の記憶。人有らざる身故に経験した過去。同朋の死を聞かされたのは一度や二度では無かった気がする。
「でも……このままだと。弟さんの魂は、もう、戻ってこれなくなる」
「あれは……わたしが甦らせた弟は、本当に弟なの……ですか?」
「半分は、そう。でももう半分、別のモノが入ってる」
 二人は説明する。反魂ナイフとは、人の魂と影朧を合わせた人ならざる存在を生み出す呪具であると言う事を。無論、それを知った女の後悔じみた表情を見つめながらも――残酷だと知りながらも絢音は問うのだ。
「――弟さんを、再び喪う覚悟はありますか?」
「…………」
「人生の延長時間は終わりにしましょう、それを望むのは貴女次第です」
 更に続く影郎の言葉に女は目を伏せ、袖口で目元を抑え、嗚咽しそうなのを必死に堪えて――。
「ええ……願いは叶いました。弟に再び会えた……本来であれば、それだけで充分幸せなのですよね」
 最初の問いに改めて答える様に、女は告げた。その言葉に迷いは消えていた。
「そうだ、伺ってもいいかしら――」
 絢音は思い出した様に問う。この二人の姉弟の事をもっと知りたかったから。
「貴女と、弟さんのお名前」
「わたしの、おとうとの名、は……」
 その名を絢音も影郎も然りと記憶に刻む。此度の忌まわしき出来事の記録と共に。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵