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長き因縁に終止符を・母の巻

#アポカリプスヘル #戦後 #ドクター・オロチ #マザー・コンピュータ #風魔小太郎 #魔軍転生

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 頭部全てが脳になった子供というまさに『異形』と呼ぶべき何か。その名はドクター・オロチ。スペースシップワールドで、アックス&ウィザーズで、そして違う名を持ってシルバーレインで、幾度討ち果たされても蘇り続けた生ある者全ての敵。
 今、彼はアポカリプスヘルにおいて己が配下を従え、フィールド・オブ・ナインの生存者奪取という目的を持って暗躍していた。
「ああ、こんなにも早く引きずり出されるなんて。いいでしょう。あなた達の前に最早小賢しい思索は無意味。鋼鉄の力で、真正面からあなた達を叩き潰しましょう」
 もし彼を知る者が聞いたら、その言葉は鼻で笑われる事だろう。よくぞそこまで似合わぬ台詞を吐けるものだと。だが、それをする者は今この場にはいない。
「よろしいですね。あなたも、その知識と力の全てを持って、彼らを正々堂々と、完膚なきまでに叩き潰してきなさい」
 そう言われたガラスケースの中の、人のような機械のような『何か』……それに変じた忍びは、ただ主命を承諾したかのようにモザイクの如き光を発するのであった。


「皆、ドクター・オロチが引きずり出されたわ」
 そう言うのはグリモア猟兵子豚・オーロラ(豚房流剣士・f02440)。アポカリプス・ランページが終結してからまだ半年ほど。他のオウガ・フォーミュラたちの跳梁している期間と比べれば異例と言えるほどの速さであろう。
「今回は彼の居城である「メンフィス灼熱草原」の中心部にある漆黒の『影の城』、そこに乗り込んでもらうわ。皆にはそこで彼を討伐してもらいたいの」
 影の城、多くの猟兵には耳馴染みない言葉だが、その言葉を聞いた瞬間表情をこわばらせたものも数人いた。だがそれはそれとし、ドクター・オロチは何度倒しても別の世界で復活を遂げており、彼自身それを前提に倒される事すら恐れていないような言動を見せてもいた。此度もまた一時しのぎにしかならないのでは。その危惧は多くの猟兵が抱くところであろう。
「ええ、皆の不安は分かるわ。どうせ今回も逃げるんじゃないかって思ってるんでしょう。ただ、この『影の城』には彼の本体であり復活の源である『コンクリ塊』が置いてあるの。彼もそれは本気で守りたいらしく、この本体の移送とフィールド・オブ・ナイン発見を死に物狂いで進めているみたいね。恐らく、二週間もあれば彼の脱出は完了し、さらに一月あれば残りのフィールド・オブ・ナインまで見つけて連れ帰ってしまうみたいよ」
 今回も逃げる算段は付けているが、一方でそれをついに阻止することもできるということだ。今まで余裕の態度を見せていた相手が本気を出す。それはつまりそれだけ相手を追い詰めているということでもあり、同時に最大級の抵抗をかけてくるということでもある。
「だから、皆には急いでこの影の城を落として欲しいの。ただ、城の周囲は『アザー・コンピュータ』というドクター・オロチが作ったマザー・コンピュータの模造品、それに化けた風魔小太郎が守りを固めているわ。彼はまさに機械の如き冷徹さでこちらの妨害にあたるほか、【増殖無限戦闘機械都市】の力で辺り一帯を迎撃用の機械都市に変えてしまっているわ。それこそ、デトロイトのようにね」
 デトロイト、それはグリモア猟兵という絶対優位が最大の弱点であることが露呈した因縁の地。己もまたそこに因縁を持つオーロラは、ただ黙って眉根を胸を寄せる。
「機械都市を突破し小太郎を倒せば、影の城の中でオロチとの決戦よ。彼は『魔軍転生』を用いて、マザー・コンピュータを憑装しているわ」
 己の暗躍した世界のみならず、サムライエンパイアのフォーミュラ信長、さらにクルセイダーの奥義まで真似るとは。しかも魔軍と言いながら異世界のフォーミュラであるマザー・コンピュータまでもを。
「ただ、やっぱり所詮真似は真似、どうやら意識をマザーの方に引っ張られていて、丁寧な口調で正々堂々勝負を好む正確に変わっているわ。それとマザーの深すぎる思慮まで受け継いじゃったのか、彼の頭部である脳みそが異常に肥大しているわ」
 相手を愚弄し、非道を好む彼とはある種真逆の性格のマザー・コンピュータ。脳が異常に肥大しているということは、彼女の思索と知力がオロチのそれを上回ったということなのか。
「彼は周囲の猟兵が直接操作していない機械全ての操作権を奪い取るほか、周囲を機械都市に代えて圧巻の火力と物量で押し潰そうとしてくる。また元々ここには彼の弄っていた機械がかなり置かれているから、それを使っても攻めてくるわね」
 正々堂々、持てる力と戦術の全てを持って攻めてくる。拳一つなどという精神論ではなく、文字通りの『使えるものは何でも使う』全力こそがマザーに引きずられた彼の正々堂々の本気なのだろう。
「彼とはスペースシップワールド……いえ、それ以前から因縁のある人もいるんじゃないかしら。この腐れ縁、そろそろ切ってきてちょうだい。それじゃ皆、よろしく頼んだわよ」
 そう言ってオーロラはグリモアを起動し、猟兵をアポカリプスヘルへと送り出した。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。彼と10年越しの決着を。

『注意!』
 今回は5月1日午前中までの完結を目指し、文字数、参加者少な目でお送りする予定です。プレイングを頂いてもリプレイは短めになります。ご参加の場合ご了承の上プレイングをご送信ください。

 第一章では『アザー・コンピュータ』とのボス戦。彼は本物ではなく風魔小太郎が『百面鬼の術』によって化けた存在です。マザー・コンピュータに似た見た目をしていますが、風魔小太郎としての意思でただ猟兵を排除するために科目に力を振るいます。本来の能力の他【増殖無限戦闘機械都市】(https://tw6.jp/html/world/441_worldxx_ogre11.htm)を使用してきます。

 第二章では『ドクター・オロチwithマザー』とのボス戦。彼はマザー・コンピュータを魔軍転生で憑装していますが、その性格に引っ張られ正々堂々正面から相手を叩き潰そうとします。また、頭部の脳みそが異常に肥大化しています。口調もマザーっぽくなっていますが、目的や自我を失くしているわけではないのであくまで本来の目的のため行動します。戦闘力はそこそこ高いですが、先制攻撃や特殊ギミックはありません。

 シナリオが20本完結した時期により展開が異なり、5月1日午前中まででドクター・オロチの本体奪取可能(完全撃破の可能性有)、5月15日午前中まででドクター・オロチは撃破するも本体行方不明(つまりまたどこかで湧いてくる可能性大)、それ以降で生存中のフィールド・オブ・ナインのうち2体をオロチが持ち帰り、残り1体をアポカリプスヘルに置いていくこととなります。
 また、時期に関わらず20回倒せば風魔小太郎は完全撃破できます。

 以上、時間がない戦いとなりますが、決して倒せない強さではありません。長きにわたる因縁に終止符を打ちましょう。

 それでは、よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『🌗アザー・コンピュータ』

POW   :    蘇生実践素体
自身の創造物に生命を与える。身長・繁殖力・硬度・寿命・筋力・知性のどれか一種を「人間以上」にできる。
SPD   :    迎撃機械迷宮
戦場全体に、【悪意と迎撃機構】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    演算保護機能
非戦闘行為に没頭している間、自身の【筐体ケース】が【1680万色に激しく光り】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。

イラスト:綾智

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ボーリャ・コータスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シフィル・エルドラド(サポート)
『皆に元気を分け与えにやって来たよ!』 

ハイカラさんの勇者×国民的スタアの女の子。
 普段の口調:明るい(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)
 嬉しい時の口調:ハイテンション(あたし、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

元気一杯で天真爛漫な性格をしていて、ポジティブな思考の持ち主。
困っている人や危機に陥っている人は放ってはおけず
積極的に助ける主義です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
 人間のパラディン×シーフの女の子です。
 普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 メンフィス灼熱草原、そこは黒き炎燃える死の世界。荒れ果てた大地に逞しく生きるアポカリプスヘルの人々でさえ、生あるものを徹底的に拒むその地に根付くことは出来なかった。
 だが、この地は今その炎を踏みつけるように、巨大な鋼鉄の都市が聳え立っていた。
 高度な機械技術によって作られたその街は、しかし人々の力強き再生の意思の賜物では決してない。それはあるいは黒き炎以上に生あるものを拒むもの。中に入った生命を一片たりと残さず殺しつくすことだけを目的に作られた、『増殖無限戦闘機械都市』なのだ。
 その中心にあるは、透明なガラスに包まれ機械と接続された存在。一見すれば女性的な形をとっているそれは、しかしあくまで女性のような形の透明な外枠に人骨のような機械を収めただけの異形。
 それはフィールド・オブ・ナインが一人、マザー・コンピュータを真似てドクター・オロチが作り出したまがい物、『アザー・コンピュータ』。しかもそれそのものですらなく、『百面鬼の術』を持って風魔小太郎がそれに化けた存在。
 紛い物の紛い物などという冗談のような存在は、しかしこの黒き大地に鋼鉄の街を築き上げ、踏み入る者を抹殺せんと待ち構えていた。
「皆に元気を分け与えにやって来たよ!」
 命なき殺戮の街に、それを否定するが如き明るい声が響く。シフィル・エルドラド(ハイカラさんの勇者・f32945)は、命の輝きを一杯に詰めた声で街全てに届けとばかりに名乗りを上げた。
「世界が平和になりますように」
 そして、赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)も。ただ殺すためのこの街は、滅びながらも今日を、そして明日を生きようとするこの世界には不要なもの。この街の突破の先に世界の平和になるならと、恐ろしい街へ踏み込むことをためらわない。
「迎撃する」
 二人の進入を感知したアザー・コンピュータ、風魔小太郎は合成音の如き声でそう言うと、殺戮都市を組み替え二人をその中へと飲み込んだ。
 ただでさえも込み入った摩天楼の如きとしはまるで鉄でできた迷路となり、そしてそれを構成する建物すべてから銃器やミサイルなどあらゆる兵器が二人を襲う。
「これくらいの罠、突破してこその勇者よ!」
 シフィルは『聖剣エデン』を振るい、迫る小型戦車や殺人ロボットを次々切り捨てる。相手は命を奪うために作られた命なき兵、切り伏せることに何ら躊躇はないし、あるいはその悲しき定めを終わらせる救済にすらなると、その太刀筋に一切の迷いはない。
 そのシフィルを、遠間から無数の銃が狙う。それはまるで銃が剣を駆逐し戦場により一層の殺戮を齎した、技術革新の負の側面を象徴するかのように。
「大丈夫、私が守るよ……!」
 その銃撃は、『ハート形の盾』を構えた愛が前に出て受け止めた。このハートを射抜けるものなら射抜いてみろ、そういうかの如く小さな盾が無慈悲な銃弾を次々とはじき返していく。
 攻め、守り、互いに助け合い殺戮の都市を進んでいく二人。迷宮はユーベルコードによっても補強されているが、その代償としてただ一つ、必ず出口がどこかにある。
「私には手に取る様に分かっているよ!」
 シフィルの【勇者の勘】が、殺戮兵器の動きからその出口の方向を導き出し、そちらへ向けて剣を振るって道を開いていく。それは殺戮機械のみならず、迷宮という最大の『攻撃』そのものへの回避か。
 その道の果て、ガラスに包まれた異形が見える。
「全ての者に慈愛の力を、そして邪悪なる者には制裁の力を!」
 それが見えた瞬間、愛の【ハートフル・レインボー】がその異形、アザー・コンピュータを撃ち抜いた。慈愛に満ちた七色の光が、無意味なモザイクの如き光を飲み込んでいく。
「なぜ、これほどに早く……理解、不能……!」
 機械にすら化けることができても、愛や平和への願いなど微塵も理解せぬ風魔小太郎。まるで理解不能なプログラムを押し付けられたコンピュータの如く、彼は動きを鈍らせ機械都市の奥に沈むのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

櫟・陽里(サポート)
『操縦が上手いは最高の誉め言葉!』

乗り物が活躍できる場と
レースとサーキットが得意分野
どんな乗り物も乗りこなしてみせる

走りこそが俺の武器!
乗り物と操縦者の総合力で戦う
サイバーアイで路面、相手の動きなど幅広い情報収集
集中力・傭兵の経験・判断速度で攻め所を見極める

シールド展開バイクで体当たり吹き飛ばし
走り回って撹乱・誘導
仲間を運ぶ足になるのも好き
バイクは機動力のある盾にもなる
壊れたらほら、直すついでに新パーツ試せるし!

明るく話しやすい先輩タイプ
補助仕事もドンと来い
乗り物が無い戦場では手数が少ない
普通の拳銃射撃や誘導、挑発など小技を利かせるしかなくテヘペロしてる

過去は過去に還すべき、その辺割と無慈悲


久遠寺・遥翔(サポート)
UCでフレアライザーや派生形態に変身するか
イグニシオンに【騎乗】して戦う
死角を突いたりといった戦法に躊躇はない
戦いでは取れる手を全力でとる
ただ人質を取ったりなんて義にもとる真似はしないけどな
救助対象がいる場合それ優先で動くぜ

変身・騎乗どちらの場合でも基本的に【空中戦】を仕掛ける
飛行系UCの速度やワイヤーを使った【地形の利用】【ダッシュ】による高速機動戦闘だ
相手の攻撃は【第六感】【視力】を駆使した心眼で【見切り】ながら【残像】でかわし
避けきれない攻撃を【オーラ防御】や【各種耐性】で受け流しながら【カウンター】の
【生命力吸収】する黒焔で対象を【焼却】する【2回攻撃】を叩き込む戦術になる



 鋼鉄で作られた殺戮機械都市。その命なき都市の中を、機械が走り抜けようとしていた。
 それは都市の中を異物を排除すべく巡回する冷たき殺意か。否、それは機械でありながらその中に、あるいは上に命を乗せ、それを奪おうとする機械の群れを振り切り、あるいは押しのけていく。
 機械でありながらまぎれもなく燃える命。その一つは、殺意さえ追いつけぬほどの速さで街の中を突き抜けようとしていた。
「操縦が上手いは最高の誉め言葉!」
 愛車『ライ』に跨り殺戮都市を駆け抜けるのは、櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)。周囲の兵器たちが狙うその命を、無二の相棒である宇宙バイクに預け街を駆け抜ける姿はまさに速さに命を懸けた男のそれ。
 もちろん遊びでここに走りに来たわけではない。レースには必ずゴールがある。今目指すそれは、この都市の奥にいるアザー・コンピュータ、風魔小太郎。
 そして同じ道を、こちらは向かい来る兵器を破壊しながら進む機械もあった。
 人型をした高さ5メートルの機兵。それは紛れもなく戦うための機械だが、その中にはやはり熱く燃える命が乗っていた。
「久遠寺遥翔、イグニシオン、出る!」
 久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)が高らかに出撃を宣言し、有象無象の敵機を駆逐しながら進むその姿は人の心を熱く燃え上がらせ、平和を守るために戦うヒーローロボット。滅びの地に残った命を殺しつくす機械、それでいて己は何度滅ぼされても逃げおおせる異形の手先を倒し進むその戦いは、紛れもなく先へ進むための命を繋ぐ戦い。
 漆黒の剣が戦車の装甲を叩き切り、巨大な火炎放射器が群れ集った戦闘機を焼き払う。その進む速さは陽里の乗ったライに比べれば遅いが、一方で首魁のみならず命を奪うこの機械全てを破壊しつくさんばかりの力強さに溢れていた。
 早く、強く、命に命じられた二つの機械が殺戮の世界を進んでいく。
「なぜだ、なぜ」
 風魔小太郎は機械に化けた体の中でそう考える。この体は模造品とはいえ作ったのはドクター・オロチ、元にしたのはマザー・コンピュータ。宇宙世界の技術すら掠め取って来たものが、九の内の一とは言えオブリビオン・フォーミュラを元に作ったもの。それが作り、伸ばした機械の街さえかように駆け抜け、叩き壊して来るとは。
 分からない、そう考えるのは、早さに全てを捧げた男の前ではあまりにも悠長に過ぎた。
「勝者は1人……もちろん俺だ!」
 まだ遠くにいたはずのその男は、既に眼前まで迫ってきていた。陽里の【Victory lane】の爆走は、無数の兵器による妨害と恐ろしき殺戮の街すらただのワインディングロード、そしてビクトリーロードと変え数度の呼吸の内に彼をゴールへと導いていたのだ。
 そのままライの前面に『空力デバイス付きシールド』を展開、早さ全てを力に変え、シールドごと体当たりをぶちかました。
 その圧倒的な衝撃にアザー・コンピュータの体が容器ごと大きく歪む。それはまさに陽里をただ一人の勝者と示すかのような姿だったが、それに異を唱える加の如く別の機械が都市を抜け現れた。
「我が身に纏え、落陽の剣! 行け、イグナイト・セイバーッ!」
 イグニシオンの周囲に、その装備する『焔黒剣』が122本現れる。それは全てがアザー・コンピュータを全方位から囲み、元より動かぬ相手を逃げ場など与えぬと言わんばかりに貫いた。速さの勝者は認めよう、だが力の勝者は譲らぬ。まるでそう言わんばかりの圧巻の攻撃。
「うぐ、おぉっ……!」
 いかに化けていても本質までは機械になれぬ。生あるからこその苦悶の声を上げ、全身を刻まれる風魔小太郎。
 命ある限り求める速さ、正義、そしてそれを預けるに値する機械の相棒。コンピュータが無数に展開した命なき機械は、命ある者たちの無二の『友』たる機械に敗れたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
王手をかけた以上、このまま叩きたいですが。

『FAS』を使用し飛行、『FMS』のバリアと『FGS』の重力結界で守りを固めますねぇ。
そして【崇卓】を発動、『太陽の表面』で発生する『現象』を指定し超重力と炎の空間を形成しましょう。
元々の数が凄まじい上『実践素体』で更に強化されているでしょうが、『都市自体を飲込む天変地異』への対応は相当困難なはずですぅ。
地上の相手はそのまま焼き尽くせばよく、飛行する相手には『超重力』で動きを阻害、展開済みの防壁に加え『紅炎』を操り対処しますねぇ。
後はコンピュータ本体を中心に『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]を追加し叩きますぅ。



 風魔小太郎が変じたアザー・コンピュータが作り上げた『増殖無限戦闘機械都市』。これは誰かを住ませたり、あるいは何かしらの拠点や中継地とするための街ではない。進入してきた者を殺すために作られた兵器の塊であり、その中、奥にあるものへの到達を防ぐための要塞である。そしてその守るもの、それはこれを作り出したアザー・コンピュータそのものではない。
「王手をかけた以上、このまま叩きたいですが」
 守りたいのはこの世界でオウガ・フォーミュラと同等の活動を行うドクター・オロチ。何度倒しても別の世界で復活してきた彼の、その源が安置されている『影の城』に続くこの場所へ到達したということは、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の言う通り彼に王手をかけたも同じことであった。
 そしてその最後の一手を詰めるべく、るこるは殺戮機械の街の中を飛ぶ。
 当然機械の群れは迎撃に出てくるが、それに対しるこるは動じることなくユーベルコードを発動する。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その祭壇の理をここに」
 【豊乳女神の加護・崇卓】を発動、太陽の表面で発生する現象を周囲にばらまいて迎撃に当たるるこる。太陽の周囲となればまずは当然高熱。そして周囲の惑星を捕らえ『太陽系』を形成してしまう程の超重力がそれにあたる。もちろんユーベルコードとはいえそんなもの100%再現できるはずもないが、戦闘に用いるのならそれくらいがちょうどいい。高熱と重力が都市全体を飲み込み、その機械としての機能を一気にダウンさせていった。
 だが、その中でも迫ってくる兵器はいる。戦闘機や戦車のような乗り物型の兵器に、人型をしたロボット……あるいはパワードスーツのようなもの。それらは機能を限界以上に引き出されたかの如く、過酷な環境を乗り越えるこるに攻撃をかけてきた。
 砲撃を躱せばその先に機銃が置かれ、それらを機体ごと重力で破壊すればその残骸を踏み台にパワードスーツが飛び上がってくる。今までと一線を画するその連携は、恐らくはこれらが自動操縦の機械ではなく肉入り……アザー・コンピュータによって生み出された【蘇生実践素体】が操縦しているからなのだろう。
 知力を強化され精密な動作と作戦を立てて襲い来る相手は、増殖戦闘機械をはるかにしのぐ脅威。それに対し、るこるは自らも兵装を差し向けて破壊にかかる。
 まかれていた過酷な環境に加え、こちらも思考に連動して動く機械の群れの加勢。たとえどちらかとは対等に渡り合えても両者に畳みかけられては肉入り機械たちもひとたまりもない。
 太陽という究極の自然が、意思なき殺戮という不自然の極みの街を飲み込み、焼き潰していく。皮肉にもそれは、殺戮の極致である近代兵器に壊しつくされたかの如き街並み。
 その見通しの良くなった街に、一つのガラスの筒が残されていた。
「殺すか、己を。機械も猟兵も、何を考えているかなどやはり分からぬ」
 ガラスの筒の中、アザー・コンピュータに化けた風魔小太郎は己の言葉でそう言った。体は完璧に変じれど、意思、思考までは変えられない。強大であれど慣れぬ手を取った彼は、ここに動けぬまま追い詰められたのだ。
 それに答えず、るこるは兵装を一気に差し向ける。ガラスが砕け、中のアザー・コンピュータ、風魔小太郎も、骨を模したその中枢機械も残さず消滅した。
 その消滅と共に、廃墟すら残さず街は消える。そしてそれに代わるよう現れた、影が立ち上がったかのような真っ黒な城。まるで来訪者を招くかのように開かれたその門に、るこるは入っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ドクター・オロチwithマザー』

POW   :    メカニカル・シティ
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【戦闘機械】の威力と攻撃回数が3倍になる。
SPD   :    スチール・ビルディング
戦場全体に【無限増殖機械都市】を発生させる。レベル分後まで、敵は【増殖する戦闘機械】の攻撃を、味方は【自動修復システム】の回復を受け続ける。
WIZ   :    マザーズ・リンクシステム
レベルm半径内の、敵が制御していない装備・設備を自身の【コアユニット】と接続し、命中率と処理速度を増加させる。

イラスト:みやこなぎ

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

藍原・蒼夜(サポート)
 人間の學徒兵×力持ち、20歳の女です。
 普段の口調は「おっとり系(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 偉い人には「敬語(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

のんびり、おっとりした性格で、多少天然ボケな面もあります。
武器は主に退魔刀を使用して戦います。
好きな物は、可愛いぬいぐるみ、綺麗な花、静かな場所。
趣味は小説等の読書。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


六島・風音(サポート)
ガレオノイドのスターライダーです。
スピードなら誰にも負けません。

基本的に人の話を聞かず、スピード勝負に持ち込みます。
そんなことより駆けっこです。
天使核ロケットエンジン搭載の宇宙バイクで駆けるか、ガレオン船形態で駆けるかは状況によります。

ユーベルコードは使えそうなものはどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 殺戮機械で作られた街、その向こうには、黒い大きな城があった。それは『影の城』。ドクター・オロチが居城とする漆黒の城だ。
 外見は色はともかく、典型的な中世の城と言った趣のその場所。だが、猟兵が一歩底に踏み込むと、突如としてその材質は全く別のものへと変化を遂げた。
「ああ、きましたね、猟兵。風魔小太郎さえ踏み越えたあなた方を、私もまた持てる全てを持って迎え撃ちましょう」
 落ち着いたその声は間違いなくドクター・オロチのもの。だが、その口調は彼とは思えぬほどに真摯で真剣だ。そしてその声に呼応するように、城の構造が一機に姿を変えていく。複雑に重なり合った金属でできたそれはまごうことなき摩天楼。まさしくそれは、たった今猟兵が風魔小太郎を駆逐し抜けてきたばかりの【無限増殖機械都市】そのものであった。
 その街となった城の中を、一直線に駆け抜けていくものがいる。
「私には誰も追いつけないよ!」
 六島・風音(スピードなら誰にも負けません・f34152)は宇宙バイク『ムゼカマシン』に乗り、外見から創造もできない広さとなったそこを高速で走り抜けんとしていた。
「なぜ、街があれば走ろうとするものが現れるのでしょう。私が言えたことではないかもしれませんが」
 奇しくも先に風魔小太郎、アザー・コンピュータが作った都市にも、己のマシンに乗ってそこを高速で駆け抜けた者がいた。道路があればそこをいかに早く走るかを考える者が必ずいるのはなぜなのか。まさにマザー・コンピュータの如く答えのない思索を重ねながら、ドクター・オロチは都市の中から無人の攻撃車両を大量に出現させ風音に差し向けた。
 それを超高速で避け、時に弾き飛ばしながら風音は進んでいく。その道行の果てにあるのはゴールでありここの製造者であるドクター・オロチ。
「スピードなら誰にも負けません」
 それはまるで先に速さを誇った者に挑むかのよう。自らはこれほどの速さで真のゴールまでたどり着いたぞ。それを会ったこともない誰かに誇示するかの如く、【ゴッドスピードライド】での突撃でその場から動かないドクター・オロチを強烈に跳ね飛ばした。
「戻りなさい……機械たちよ……!」
 スピードの乗せたその突撃はまさに超威力。なれど、この機械都市は侵入者を殺戮すると同時に、ドクター・オロチ本人を『修理』し続ける機能をまた持っている。長距離移動からの突撃が相手の持ち味ならば次までは隙があろう。そう考え殺戮機械たちを呼び戻そうとするが、それに応える機械はない。
「ふふっ、私の出番かしら?」
 その代わりに応えたのはゆっくりとした声。藍原・蒼夜(蒼き宝刀・f23131)は特に急ぐ様子もないまま、『コメットフォール』を手に歩いてドクター・オロチに迫ってきていた。その後ろには、まるで玩具の如く切り捨てられた無数の殺戮機械たち。
「遅き、静けきを良しとする、それもまた人ですか」
 何に対してものんびりと過ごし、周りも穏やかな空気に染めてしまう蒼夜はスピード競争とは無縁な存在。なれど、その歩みは緩やかであるが故に道中にある敵を漏らさず斬ることもできる。
 普段は退魔刀を主に用いる彼女だが、命なき機械を斬るならば実体あるバスタードソードの方が適している。隕石が落ちるが如きその一撃で鋼鉄の塊を斬り潰し、ゆっくり、のんびり、しかし決して乱れなく、蒼夜はドクター・オロチへと近づいた。
 それに対してドクター・オロチは逃げない……あるいは逃げられない。彼の治癒は機械に接続されているからこそ齎される。それを切って逃げてしまえばたちどころにもう一人の猟兵に捕まるだろうし、攻撃に使う増殖機械都市も機能を停止してしまう。
 マザー・コンピュータの弱点までそのまま受け継いでしまったかのように、ただその場で敵を待たざるを得ないドクター・オロチ。
 そして瞬時に、その剣が妖気をまといドクター・オロチを切り裂いた。十分に近づいての【妖剣解放】からの一閃は、その瞬間だけならば風音にも劣らぬ速さ。
 動けぬ機械を憑装したドクター・オロチは、二つの『動き』に機械都市ごと破壊されるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

紬雁・紅葉(サポート)
『業邪…御鎮めします』
基本戦闘場面に参加

破魔、属性攻撃、衝撃波、薙ぎ払い等とUCを適宜組み合わせて攻撃

見切り、残像、オーラ防御、武器受け等とUCで防御や回避

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

範囲攻撃と2回攻撃での雑魚払いが得意だが
ボスとの戦闘も遜色なく行えるし行う


羅刹紋を顕わに戦笑み
傷負っても笑みを崩さず
何処までも羅刹の血と"剣神"の導きに従い
災魔業邪を打ち倒す

敵の最期に
去り罷りませい!
の言葉を

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


エダ・サルファー(サポート)
アックス&ウィザーズ出身の聖職者で冒険者です。
義侠心が強く直情的な傾向があります。
一方で、冒険者としての経験から割り切るのも切り替えるのも早いです。
自分の思想や信条、信仰を押し付けることはしません。
他人のそれも基本的に否定はしません。
聖職者っぽいことはたまにします。
難しいことを考えるのが苦手で、大抵のことは力と祈りで解決できると言って憚りません。
とはいえ、必要とあらば多少は頭を使う努力をします。
戦闘スタイルは格闘で、ユーベルコードは状況とノリで指定のものをどれでも使います。
ただ、ここぞでは必殺聖拳突きを使うことが多いです。

以上を基本の傾向として、状況に応じて適当に動かしていただければ幸いです。



 自ら機械と融合したマザー・コンピュータに化けたドクター・オロチ。その性格はマザー・コンピュータに引っ張られたものとなっているが、それでもそうなっても結局変わらない部分もあろう。
「祈りなど生きる力なき弱い者が他者に縋るためにするもの。利用価値こそあれそれそのものは力になどなりません」
 神や信仰など、ヴォーテックス一族の一人が勢力拡大に利用しただけのもの。マザー・コンピュータ自身もそれ自体は信じていなかったろうし、ドクター・オロチに至っては何をかいわんやである。
「あなたがそう考えるのまでは否定しないけど、大抵のことは力と祈りで解決できる!」
 真っ向からそれに立ち向かうのがエダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)。聖職者である彼女は他人の信条を否定こそしないが、それ故に自分のそれも決して曲げず、譲らない。
「業邪……御鎮めします」
 そしてもう一人、巫女服を着た紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)も神に仕える神職である。その力にて敵を討ち滅ぼさんと、彼女は機械にまみれた影の城へと赴いたのだ。
「いいでしょう。その祈りが圧倒的な力を上回るものなのか。試してみなさい」
 ドクター・オロチの周囲の機械がうなりを上げ、持ちあがる。恐らく増殖機械都市の材料だったものだろう、それらは一部作りかけやパーツ欠けを起こしてはいるが、十分に兵器としての性能を備えていた。
 その機械の群れを、紅葉が『薙刀「巴」』を振りなぎ払う。
 羅刹紋も露に笑顔を絶やさぬまま、羅刹の血と"剣神"の導きに従い災魔業邪を打ち倒すなぎ払うその様はまさに鬼神の如し。一度振り抜かれたと思えばまた戻り、薙刀のリーチを最大限生かした広範囲の連撃に殺戮機械たちは簡単に蹴散らされていく。
「凄まじき力。なれどそれは肉から来ているものでは?」
 それは神の力ではない、己自身の実力だ。そう言いながら、ドクター・オロチは大型の機械を差し向けた。欠けた部分を合わせ隙間を塞ぎながら巨大化したそれは、本来の設計とは違う形ながらこの場限りの大威力の兵器としては申し分なし。その十分な力の切っ先を紅葉に向けて叩きつけるが、それを横からエダが強引に掴み取った。
「その肉を支えてくれるのが祈り!」
 体を心が支えるのだと、力を込めてその機械を抱えて抱き潰し、投げ捨てる。
 小さな機械を紅葉が払い、大きな機械をエダが潰し、ドクター・オロチが利用できる戦闘兵器を文字通りの力尽くでなくしていく二人。そうして開いた道を行くその姿は、ある種神々しくすらある。
「去り罷りませい!」
「くらえ必殺! 聖拳突きぃっ!」
 そうして開かれた道の先、【気吹雄詰・衝敵】の衝撃波と【必殺聖拳突き】の一撃が、ドクター・オロチにこれでもかと叩きつけられた。
 信仰を軸に鍛え上げられた確かな一撃は、信じる心の強さをドクター・オロチに刻み込んだのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
無事会敵出来た様ですねぇ。
始めましょうかぁ。

『FAS』を使用し飛行、『FMS』のバリアと『FGS』の重力結界で守りを固めますねぇ。
そして【虚籃】を発動、『影の城』を対象として戦場全体に『威』を放射しますぅ。
『城』という、巨大で動かない的に対し『威』による初撃を外すことは無く、『建造物』に対し『共振の発生する地震や振動』は致命的、『物品』や『建造物』が超振動で崩壊してしまえば利用して戦うことも出来ません。
後は『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]に加え、崩れる『城』の瓦礫を重力結界で誘導し[重量攻撃]、オロチさん(+残る配下が居れば其方)を押し潰しますねぇ。



 鋼鉄の街を抜けた先の影の城。そこに待ち構えるのはマザー・コンピュータを憑装したドクター・オロチ。
 彼は自身が作った機械と繋がり、正にマザー・コンピュータがそうしていたように猟兵を動かず待っていた。
「無事会敵出来た様ですねぇ。始めましょうかぁ」
 死んで逃げるという手を躊躇なく取る彼にここまで迫れたと、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は宙に浮きながら言う。
「機械たちは私の手足。さあ、行きなさい」
 壊れていようと作りかけだろうと、周囲の機械と自分が繋がってしまえばそれは自分の体のように自由に利用できる。フレームだけの銃を無理矢理うち、組み合わせ前のパーツを短剣のように突き刺し攻撃にかかるドクター・オロチ。
 その出鱈目な攻撃をどうにか避けながら、るこるは反撃のユーベルコードを発動する。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『霊脈の加護』をお与え下さいませ」
 【豊乳女神の加護・虚籃】。それは『威』を当てたものに振動を加える技。ドクター・オロチは動かない故当てるのは容易かろうが、それだけで倒せる相手ではあるまい。それはるこるも分かっていること。だから、対象にしたのは彼ではない。
「私の機械が……!?」
 作りかけ、継ぎ合わせの機械が震えて崩れていく。元々ここにある機械は未完成品が多いこともあり、そう言った揺さぶりには弱い。対象に取ったのはドクター・オロチが利用してくる機械ということか。いや、それもまた正確ではない。
 それに続くように、戦場全体が大きく揺れ始めた。
「『建造物』に対し『共振の発生する地震や振動』は致命的でしょうから」
 るこるが対象に取ったもの、それはこの『影の城』そのものであった。かつてどことも知れぬ空間にあったころならともかく、このアポカリプスヘルに実体として顕現している以上はただの建造物。それも崩壊し、およそ建物を建てるには向かない荒れた地盤だ。ついでに言えば地震の少ないアメリカである。その耐震性など推して知るべしだろう。
「まさか……ここにきて城そのものを壊すと!? 流石は猟兵、やはり思索の外……!」
 遠くからミサイル、などの攻撃程度は予想していたが、まさか中に入ってきて城を壊しにかかるとはさすがのドクター・オロチも予想していなかった。
 だが、ドクター・オロチとて何も抵抗しないわけではない。残った機械を集め、それをるこるに叩きつける。それに対しては、るこるも自らの兵装を差し向けぶつけ合い、ドクター・オロチ共々の殲滅にかかった。
 崩れ行く城の中、操る武器同士のぶつかり合い。やがて城の全てが瓦礫となり、崩れていく。
「あれだけは、壊されるわけには……!」
 最後にドクター・オロチ自身の肥大した脳髄が震え、ぐしゃりと潰れて飛び散った。その最後に気にかけたものが何か、それは依頼を受けこの地に赴いた猟兵には分かり切っていることだ。
 今ならそれはまだどこかに残っているはず。崩れ行く城の中、るこるはそれが猟兵の手に渡ることを信じそこから脱出するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年04月24日


挿絵イラスト