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銀河帝国攻略戦⑭~『白魔』艦隊自爆大作戦!

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●『白魔』艦隊の襲撃
 難攻不落の帝国大要塞「エンペラーズマインド」を突破した『解放軍』は、帝国旗艦『院ぺリウム』を目指して快進撃を続けていた。
 しかし、その快進撃に待ったをかけると言わんばかりに帝国の特効戦力『白魔』艦隊が強襲をかけてきた。
『白魔』艦隊―ーそれは遥か昔『伝説の解放軍』を散々に翻弄し苦しめたと伝えられる、高速艦のみで編成された白騎士ディアブロ直属の艦隊。彼らの戦法は、己の命を懸けた捨て身の特攻。
 銀河帝国皇帝に絶対の忠誠を尽くし、命を捨てて攻撃を仕掛けてくる『白魔』艦隊を前に解放軍のスペースシップたちはなすすべもなく撃沈されようとしていた―ー。

●自爆装置を起動せよ!
「みんな、急いで集まってほしいのねー!」
 緊急事態だと言わんばかりにユニ・エクスマキナは慌ただしく宙に浮いたディスプレイを操作する。ディスプレイに浮かんだのは宇宙空間に浮かぶスペースシップ―ー次に向かう世界はスペースシップ・ワールドのようだ。
「あのね、『白魔』艦隊っていう全滅覚悟の特攻艦隊が攻めてくるってわかったの!」
 彼ら『白魔』艦隊の戦法は、強力な自爆能力を持つ高速輸送艦に、強襲用の兵力を満載して敵艦隊に特攻し、敵艦隊内部で輸送艦を自爆させ、敵を混乱させた所を、強襲兵力で蹂躙するというものだという。
「今からみんなを移動する高速輸送艦の内部に転送するのね! だから、この輸送艦がスペースシップの艦隊に到達する前に、艦内に搭載されている自爆装置を起動させてほしいのねー!」
 もちろん、輸送艦内にも敵はいるため、油断は禁物だ。
 この船にいるのはアイスバーグレンジャーたち。かなりの数がいるため、全ての敵を撃破する時間はないだろう。
「残念だけど、コアルームに直接転移することは出来ないから……敵を撃破しつつコアルームを目指して欲しいのね」
 敵が集まってくる前に、可能な限り素早くコアルームに向かい、コアマシンと直結された自爆装置を起動し、輸送艦を自爆させるのが今回の作戦だとユニは告げる。
「大丈夫! みんなだったら絶対に出来るのねー!」
 いってらっしゃい、とユニは笑顔で猟兵たちを送り出すのだった。


春風わかな
 はじめまして、またはこんにちは。春風わかなと申します。
 オープニングをご覧いただきありがとうございます。

●当シナリオについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●シナリオ補足
 作戦についてはオープニングにある情報の通りです。
 時間をかければ、攻撃に気づいた敵が大挙して押し寄せてくるという状況で、最小限の敵を撃破しながら、コアルームに向かう潜入破壊ミッションとなります。
 敵を倒すプレイングに加えて『コアルームに向かう為のアイデア』が重要になります。
 なお、自爆装置起動後は、グリモア猟兵による転移で脱出しますので脱出について考える必要はありません。

●その他
 執筆状況についてはマスター自己紹介ページ等で適宜ご連絡させていただく予定です。
 プレイングを送信する際の参考になれば幸いです。

 以上、皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 集団戦 『アイスバーグレンジャー』

POW   :    フォーメーション『霜』
【冷凍ビーム】が命中した対象を爆破し、更に互いを【氷の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    フォーメーション『霰』
【隊長ペンギンの特攻体当たり】が命中した対象に対し、高威力高命中の【隊員ペンギン達の連続体当たり】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    フォーメーション『雹』
【隊員全員のパワーを合わせて巨大氷山】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シュデラ・テノーフォン
おいで、ハーキマー
君の出番だ

特攻して交戦する際
コアルームに防衛、若しくは伝達しに行くのがいる筈だ
こっちに来る敵の流れに逆らう奴を俺の不可視の狼に追跡させる
追跡中の戦闘は仲間の後方で援護射撃に徹しルートを確認
ルーム確認次第仲間に伝え一気に駆け抜ける
その際は前に出て誘導と、指輪の盾を展開し攻撃を弾き道を切り開く
邪魔だよペンギン君達

攻撃はCenerentolaに炎の精霊弾をセット
複製し一斉射撃
紅いGlasregenで蹴散らす

コアルーム到達時、基本起動は他の猟兵に任せ
俺はルーム入口を陣取り敵増援の足止め
硝子の城壁を発動、この城は崩せないさ
今のうちに頼んだよ

起動スイッチに誰も手が届かないなら狙撃で押すよ


コトト・スターチス
自爆攻撃はゆるせないコトトですっ
この艦はぜったいにここで止めてみせます!

侵入したら、迷彩でバーチャルレイヤーを周りの色に似せて隠れます
そして近くの端末をめがりすどらいぶでハッキングして、館内マップやコアルームの場所、敵が少なそう・隠れやすそうなルートなどの情報を手に入れますね
周りの仲間のみなさんにもできる限り情報を伝えます!

物陰に隠れながらこそこそ進みますが、見つかったら戦います!
敵が単体なら、メイスで頭をガツンと叩く気絶攻撃で無力化します
複数出てきたら、はなことばで艦内の色に似た花びらを出して、まとめて吹き飛ばしてその間に進みます!
場合によっては、あえてオトリになって敵をひきつけて逃げますね


ガーネット・グレイローズ
今度は高速輸送船を使っての自爆テロか! とにかく、急いでコアマシンにたどり着かねば。

敵との接触は最小限に留め、接敵したら【妖剣解放】で敵を斬り倒しながら突き進む。ペンギンの攻撃は、防具についた〈氷結耐性〉を利用して耐えよう。

船のコアマシンはもっとも重要な機関。一番被弾しにくい区画にあるはずなので、〈メカニック〉の知識を活用して最短ルートを探そう。ペンギン達も知らない、秘密の近道が有れば尚良しだ。鍵開けが使える猟兵がいないなら、扉を強引にぶっ壊して強行突入!
起爆装置を作動させたら長居は無用、さっさとこの船から脱出しよう。


月殿山・鬼照
拙僧は調査能力は持たぬゆえ、コアルームへ向かう【SPD】【WIZ】系のお仲間を護衛し、進みやすいよう手助け致しまする。
囮の役目が必要ならばそちらでも(UC使用)。
【早業・先制攻撃】で道中の見張りをいち早く倒す。
敵は連携が得意な様なので、集団で向かってきた場合、錫杖の【なぎ払い】や、大連珠を絡みつけたりしてまとめて足止めし、仲間を先に行かせる。
コアルームまで同行できたら、通路で立ちはだかりUC発動。自爆装置起動ができるまで、絶対に敵は通さないという気合いで。
UC起動時は不動明王の真言を詠唱。
※もちろんアドリブ連携ネタ大歓迎。
DFのイメージです。力技や盾役が必要な際、びしばし使ってやってください。


メリー・メメリ
素早く…!かんがえる、たくさんかんがえるよ!

ええい、ライオンライドで友だちを召喚だー!
スナイパーとそれから聞き耳を使って突破口を探す!
ライオンライオン、鼻は良かったかな?
たくさんのペンギンが相手だから戦闘は囲まれないように!それからなるべくいないところを通ろう!

ライオンで駆けて、それから見つからないようにかくれて
かくれるときはライオンはバイバイする…!
じゃないと見つかっちゃうからね!
よじ登れそうな場所とかあったらよじ登って逃げ切ったり、不意打ちで倒したり!
忍者みたいでちょっとどきどきする…!




 輸送艦内へと転移した猟兵たちの眼前に広がるのは、がらんとした空間だった。
 ここにオブリビオンはいない――ほっとして安堵するや否や、コトト・スターチスはキリリと表情を引き締めきょろきょろと艦内を見回す。
「自爆攻撃はゆるせないコトトですっ。この艦はぜったいにここで止めてみせます!」
 揺るぎのない決意を胸に、コトトは素早く傍にあった端末へと近づいた。
「あったですっ、ここはめがりすどらいぶの出番ですっ」
 じゃーん! とコトトが取り出したのは物心ついたころから一緒に過ごしてきたデバイス【めがりすどらいぶ】。コトトはちゃっと素早くデバイスを端末に差し込むと慣れた手付きでコンピュータへの侵入を開始する。
 最優先で得るべき情報は、この輸送艦内のマップ。マップがあればコアルームへの場所はもちろん、潜入ルートの計画も立てやすい。そして、出来れば敵配置図や隠し通路の情報等も欲しいが、果たしてそこまでの時間はあるだろうか……。
 真剣な表情でディスプレイを見つめ、カチャカチャと端末を操作して情報の入手を試みるコトトだったが、近くに敵の気配を感じ思わず手をとめ周囲の様子を伺った。
「ここは私が様子を見てこよう」
 ガーネット・グレイローズは逸る気持ちを押さえ、コトトに早く情報を入手するように促し、敵の気配がする方へと急いで近づいていく。【妖刀・アカツキ】に手を添え、ガーネットはそっと通路へと顔を覗かせた。見れば、見張りと思しき敵が1体、しゅーっとのんびりと通路を滑ってこちらへと近づいてくる。
 まだこちらには気づいていないのが幸いか。
 ガーネットは背後から静かに敵に近づくと、妖刀を大きく振り上げた。ザシュッと敵を斬り付けた感触が刀を通じて伝わってくる。
「艦内マップ、入手しました!」
 嬉しそうなコトトの声を聞き、ガーネットも急いで仲間たちの元へと戻っていった。
「みなさん、これを見てください」
 コトトが手に入れた艦内の見取り図を皆と一緒に覗き込み、メリー・メメリは艦内の中央付近にある小さな部屋を指し示す。
「ここが、コアルーム?」
「だろうな。船のコアマシンはもっとも重要な機関。一番被弾しにくい区画にあるのがセオリーだ」
 肯定するガーネットの言葉にコアルームの位置を確認した月殿山・鬼照も深く頷いた。
「承知したでござる。コアルームへ向かう際の護衛は拙僧にお任せくだされ。進みやすいよう手助け致しまする」
「よし、では、行こう――」
 1分、1秒でも早くコアルームへと辿り着きたい。
 シュデラ・テノーフォンの台詞を合図に、口には出さずとも同じ思いを抱いた仲間たちと共に一斉にコアルームへと向かって駆けだして行った。


(「素早く……! 素早く……!」)
 今回の任務は時間との勝負とも言えるため、メリーはどうやったら早く、無駄なく動くことが出来るかをたくさん考える。たくさん、たくさん考えた、その結果……。
「ええい、友だちを召喚だー!」
 ぴひょろろ~と【なかよしのふえ】が艦内に響き渡ったかと思うと黄金のライオンが現れた。ライオンの背に乗ったメリーを先頭に、一行はコアルームへと向かって足音を忍ばせ物陰を進む。
 敵と遭遇すれば鬼照が先手必勝とばかりに錫杖で敵を纏めて薙ぎ払い、運よく錫杖の攻撃を交わした敵もすかさずガーネットが妖刀で切り伏せ、シュデラが精霊銃で撃ち抜き切り抜けていった。
「次の通路は右に曲がってください!」
 コトトの指示に従いメリーは右の道を選ぼうとするが、曲がり角の直前でライオンがピタリと足をとめる。
「ライオンライオン、どうしたの?」
 優しくライオンの首筋を撫で、メリーもそっと耳を澄ませればしゅーっしゅーっと何やら音が聞こえてきた。
「ペンギンがいる……!」
 それも、音や気配から察するに今まで遭遇した以上の数が予想される。慌てて振り返り仲間たちに「どうしようー?」とメリーは困ったような視線で訴えた。
「…………」
 一同は無言のまま視線を交わし、目だけで会話をする。
 今まで極力戦闘を避けてきた5人であったが、ここを抜けねばコアルームへと辿り着くことはできない。迂回路を探す時間も惜しい今、取るべき策は一つ――。
「拙僧が囮になるでござる」
 鬼照の言葉に皆の視線が一斉に向けられた。だが、鬼照は揺るぎのない目で仲間たちを見回し、言葉を紡ぐ。
「コアルームへ行って自爆装置を起動するのが我らのお役目。そのための手助けが必要とあらば、その努め、拙僧に任せていただきたくござりまする」
「それなら、コトトもお手伝いしますっ」
 はいっとコトトも手を挙げて囮厄に立候補し。鬼照とコトトが囮となって敵を引きつけている間にメリー、シュデラ、ガーネットの3名がコアルームを目指す、という作戦で話は纏まった。
「コトト殿、準備は良いでござるか」
「はい! コトトはいつでも大丈夫ですっ」
 大きく深呼吸を一つして、まず最初にコトトが敵の前に姿を見せる。
『いたぞ! 侵入者だ!!』
 猟兵たちの姿を見つけるや否や、ペンギン――もといアイスバーグレンジャーたちは得意のフォーメーションを展開して攻め込んできた。
『フォーメーション・霜!』
 ペンギンは冷凍ビームを鬼照に向かって放つ。だが、鬼照は肩にかけていた大連珠でビームを防ぐと、すぐさま連珠をペンギンたちに向かって投げつけた。大連珠が身体に絡まり、動きを止めたペンギンの頭をコトトがメイスでガツンと叩いて気絶させる。
 しかし、敵は予想していた通り1体だけではない。ペンギンたちは息つく暇もなく攻撃を仕掛けてきた。その攻撃を受け止めたり、交わしたりしつつ、鬼照とコトトはペンギンたちを反対の通路へと引きつけていく。
「……おや? アイツ、動きが変じゃないか?」
 囮となった仲間を見守りながら、通路を駆け抜けるチャンスを伺っていたガーネットが敵の異変に気付いた。ガーネットが指さしたペンギンだけ鬼照やコトトを追随せず、逆方向へと向かって進んで行く。
 艦内の地図を見たシュデラたちにはあの方向にあるものがわかった。あのペンギン、コアルームへ向かっている―ーと。
「なるほど、これは好都合だ」
 侵入者へ対する援軍の要請か、はたまた侵入者たちの目的がコアルームではないかと察しての守りの強化か。
 敵の思惑までは残念ながらシュデラにはわからなかったが、いずれにせよ、あのペンギンを使わない手はない。
 妖刀に手をかけペンギンを斬り倒すチャンスを伺うガーネットを、シュデラはスッと手で制し、静かに口を開いた。
「彼にコアルームまでの道案内をお願いしよう。――おいで、ハーキマー」
 出番だよ、とシュデラが【Call Harkimer】を発動させて召喚したのは仲間たちにしか見えない翼を持つ透明な狼。
 ハーキマーは主の命を受け、すぐさまコアルームへと向かったペンギンの追跡を開始する。
「俺たちも行こう」
 ガーネットとメリーも小さく頷くと、シュデラと共に鬼照たちに攻撃が向いている隙をついてこっそりと通路へと足を踏み入れた。


 鬼照とコトトの囮作戦は成功し、ハーキマーが追跡するペンギンの後をついてシュデラたちはコアルームへと道を急ぐ。
 ライオンとは別れ、ペンギンに追跡がばれぬよう物陰に隠れながらこっそりと進んでいくメリーだったが、気分はまさしく忍者。
(「ちょっとドキドキする……!」)
 こっそりと足音を忍ばせて慎重に進むのはもちろんのこと、ペンギンに見つからぬようにサッと通路の陰に隠れたり、あるいは壁にぺたりと張り付いて息を殺してみたり。尾行など滅多に経験しないことではあるので不謹慎ながらちょっとワクワクしてしまうのも致し方のないことであろう。
 万が一敵と遭遇した時に備え愛用の精霊銃【Cenerentola】を構えながら殿を進むシュデラだったが、先頭を進むハーキマーが視た景色を共有している彼は、追跡しているペンギンが何やら重厚な扉の前に到着した姿を見た。
「ペンギン君が扉の前で止まった――あの扉の奥がコアルームに違いない」
 それであれば、奴をコアルームの中に入れてはいけない――。
 すかさずガーネットが妖刀の力を開放し、目にも止まらぬ速さでペンギンの背後まで接敵すると躊躇うことなく手にした刀で斬り付ける。
『だ、誰だっ!?』
 確かに、背後には誰もいなかったはずなのに……。
 完全なる不意打ちに驚きを隠せないペンギンだったが、刀と同じ妖しく輝く赤い妖気を纏ったガーネットが放つ斬撃の衝撃波を避けきれず、バッタリと倒れ伏した。
「間に合ったな」
 間一髪のところで敵を倒し、ガーネットは小さくふぅと安堵の息を漏らしながら、アカツキを鞘に納める。そして、扉に近づくと慎重にその造りを調べ始めた。
 扉の横に端末があり、ディスプレイに表示されている内容から察するにキーワードを打ち込んで扉を開ける仕組みになっているようだ。
 キーワードを推察して入力することも不可能ではないが、時間がかかってしまうことと、もしも間違えてしまったときの動きまでは予測できない点から今回は試すべきではないとガーネットは考える。
「ふむ――」
 ばさりと長い髪をかき上げ、ガーネットは背後で見守っていた仲間を振り返った。
 ガーネットが扉を調べている間に囮役のコトトと鬼照も無事に合流を果たした今、コアルームに突入することは何も不安はない。
「この扉を開けなければコアルームに入れないわけだが、誰か鍵開けに自信のある者はいないか?」
 だが、ガーネットの言葉に仲間たちは視線を落とし、ゆっくりと首を横に振った。
 そうか、と小さく呟くガーネットもまた鍵開けは決して得意とはいえない。
「ならば、仕方がないな」
 諦めたガーネットは潔く強引に扉をぶち壊す道を選択する。
「そういうことであれば、拙僧にお任せくだされ」
 力技には自信のある鬼照が扉に向かって大連珠を振り下ろした。1回、2回、3回――。
 メリメリッと音を立てて扉は大きく歪んでいく。そして、渾身の力を込めて鬼照が扉に向かって大連珠を投げつけると扉は見事に破壊され、と同時に開放されたコアルームの中には唖然とした顔で侵入者たちを見つめるペンギンたちがいたのだった。


『な、何が起こったんだ!?』
『大変だ、緊急事態だ! 侵入者を、侵入者を倒せ!』
『コアマシン! コアマシンを守れ!』
 予想だにしていなかった事態にコアルームにいたペンギンたちはわたわたと大慌てでコアルーム内を所狭しと駆け回っている。
「邪魔だよペンギン君達」
 シュデラは【Cenerentola】に炎の精霊弾をセットすると、ペンギンたちに銃口を向けて引き金をひいた。硝子細工装飾が目を引く白い美しい大型拳銃から降り注ぐ紅い硝子の雨がペンギンたちを蹴散らしてゆく。
「コトトもっ、花を咲かせますっ!」
 【はなことば】を発動させたコトトが無数の花びらを召喚し、コアルーム内に花の嵐を巻き起こした。舞い踊る花びらと一緒にペンギンたちが吹き飛ばされていく。
 しかし、ペンギンたちも大人しくやられているわけではない。
『侵入者! 侵入者を始末しろ! 早く!!』
 ペンギンが非常ボタンを押したのだろう。ビービーと大きなアラーム音が艦内に鳴り響いたかと思うとわらわらとペンギンたちがコアルームへと集まってきた。
「ここは何人たりとも通しませぬ」
 壊れた扉の前に立った鬼照は、厳かな声で不動明王の真言を唱え始める。
 ノウマク サンマンダ バザラダン カン――。
 真言の詠唱と同時に、鬼照の身体は鋼のように硬くなっていった。敵の増援部隊をコアルーム内へ入れてなるものかという鬼照の固い信念と共にペンギンたちの前に立ちはだかる。
 増援ペンギンたちは冷凍ビームを放ち、氷の鎖を繋いだ鬼照をなんとか入口の前から引きはがそうとするも鉛のように重くなった鬼照の身体を動かすことは困難を極め。増援部隊はコアルームに入れず、入口の前でわらわらと集まったまま立ち往生していた。

 一方、コアルーム内はというと……猟兵たちは苦戦していると言わざるを得ない状況にあった。
 あとはコアマシンに直結しているという自爆装置を押すだけなのだが、ペンギンたちが邪魔で自爆装置へと辿りつくことが出来ない。
「ライオン、来て!」
 メリーは再び笛を吹いて黄金のライオンを召喚するとすぐさまその背に飛び乗り、ペンギンたちをライオンの鋭い爪で斬り裂いた。
 ガーネットもまた妖刀の力を開放して応戦するが、ペンギンたちはフォーメーションを整えると隊長らしきペンギンを先頭に猛スピードで床を滑り回り、特攻体当たりを仕掛けてくる。
「ライオン、避けて!」
 メリーの指示に合わせ、ライオンはひらりとペンギン隊長の体当たりを交わした。だが、ペンギン隊長も攻撃を諦めない。部屋の壁を使って器用に体勢を変えると今度はガーネットに向かって床を滑ってゆく。
「コトトたちの邪魔をしないでほしいのですっ」
 ボカっとコトトがメイスでペンギンの頭を殴って気絶させた隙をつき、ガーネットはアカツキの放った衝撃波で纏めてペンギンたちを屠っていった。
「んん……っ、とどかない……!」
 起爆装置に向かってメリーは手を伸ばすが、ペンギンの攻撃を避けながらという状況ではあと少し、手が届かない。
「ならば、俺が――!」
 鬼照と共に入口を守っていたシュデラは、メリーの声を聞くや否や素早く姿勢を変えると銃を構え起爆装置へと照準を合わせた。
『ダメだ、撃たせるな!』
『起爆装置を守れ!』
 慌ててペンギンたちが起爆装置を守るように動くが、シュデラが引き金を引く方が早い。
 パァァンという大きな音とともに、シュデラが撃った弾丸が起爆装置のスイッチをカチリと押した。
 起爆装置が起動したことを確認したガーネットが仲間たちを見遣り、ざわめく室内で声を張り上げる。
「長居は無用、さっさとこの船から脱出しよう!」

 輸送艦は目的地へと辿り着くことなく共に眩い光と共に大きな爆発音に包まれたのは、猟兵たちが脱出した直後の出来事。
 宇宙の塵となり輸送艦の姿が跡形もなく消えた後、猟兵たちの眼前には普段と変わらぬ見慣れた無音の空間が広がっていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月17日


挿絵イラスト