広々とした会議室で、狼の耳と猫のしっぽが揺れた。
「皆、集まってくれてありがとう」
キマイラのグリモア猟兵、ライヴァルト・ナトゥアは平静とした顔、穏やかな声音で話し始めた。だが、彼の狼の耳がピンと立っているのを見れば少なからず緊張や不安があるのは明白だろう。現に、次に続く言葉は、真剣味を帯びている様に思えた。
「近く、キマイラフューチャー世界で事件が起きるのを視た。君達にはこの事件の解決、及び住民の安全の確保をお願いしたい」
キマイラフューチャー世界は、人類が絶滅した後、キマイラ達が勝手気ままに暮らしているポップなサイバーパンク世界だ。
「俺が視たのは、彼らの住まう都市の一つに、『怪人』が襲来する様子だ。内訳としては、イソギンチャクの様な頭部をした怪人が複数体。そしてその背後にぼやけてはいたが、恐竜の様な頭部の怪人が見えた様に思える」
『怪人』と言うのは、滅びに瀕した人類が自らを変化させた姿であると言われている。だとすれば、キマイラ達を襲って、かつての自分達の都市を取り戻そうとしているのだろう。
「その都市は、キマイラ達にとって重要な場所であるらしい。と言うのも、適切な場所を適切なタイミングでコンコンすると、何故か食べ物や衣服や道具やらが出てくる、便利な遺物の集合している都市だからだ。俺も実際に現場を見たわけではないから少し眉唾ではあるが、気になるなら解決後に試してみてもいいだろう」
要は奪われるわけにはいかない、と言うことだ。
そこまで喋り切ると、ライヴァルトは少し思案げな顔で続けた。
「敵も弱くはない、激戦になるだろう。特に恐竜型の怪人には萎縮させられるものを感じた。くれぐれも油断しない様に努めてくれ」
彼はふと表情を崩すと、穏やかさの戻った声音で続ける。
「だが、討伐が完了しさえすればあとは自由だ。遺物の眠る都市で体力に任せてひたすら遊ぶもよし、テクニックを駆使して楽しむもよし、アイデア次第で面白いことができる遺失物で色んなことを試してみるのもよしだ。一例を挙げれば、美味しいドーナッツが次々と実るドーナッツの木や、デザイン画がすぐに服になって出てくる服飾機械などなど、個性豊かな遺物があるそうだぞ?存分に世界を楽しめるだろう」
労働には対価を、を基本的な考え方としているライヴァルトは、戦うだけをよしとするつもりはない。辛いことの後には楽しいこと、それが頑張れる理由の一つになると彼は知っていた。
「遊ぶために戦えなどとは言うつもりはないが、極度の緊張は身を固める。いつも通りに戦えば、必ずや勝利できるだろう」
ライヴァルトは、集まった猟兵達を見渡し、最後に、と己の願いを口にした。
「欲を言えば俺も共に戦いたいが、転移能力の維持のため今回は君たちに任せる。俺の同族を、どうか救ってやってくれ」
夜宵
皆様こんにちは、はじめまして。
夜宵と申します。
第六猟兵で初めてのシナリオということで、お見苦しい点もあるとは思いますが、一緒に遊んでいただければ幸いです。
●フラグメント目的
イソギンチャク怪人の群れの討伐 。
●敵情報
滅びに瀕した人類が、生き延びる為に自らを怪人化した姿です。母なる海に帰る事で、滅びを乗り越え生き延びる事が出来ると考えた者達が、イソギンチャク怪人などの海産物怪人になりました(なお結局滅びました)。オブリビオンとなった今、今の住民達を滅ぼして人類を再興しようと考えています。
●キマイラフューチャー世界
『概要』
人類滅亡後の地球?らしき惑星。人類の遺したポップなサイバーパンク都市に、なんでか生き残ったキマイラ達が楽しく暮らしています。食べ物が豊富で暮らしに困らないので、住民はみんな何らかのアーティストになって、動画をアップしていいねを貰ったり、ダンスをしたりして暮らしています。
『文明』
惑星全てが都市化しています。都市の適切な場所を適切なタイミングでコンコンコンすると、何故か食べ物や衣服や道具やらが出てきます。ただ、同じ場所では同じ物が出てくるので、欲しい物を探すのが面倒な時は店で買います。
『猟兵の扱い』
この世界のキマイラにとって、猟兵とはまさしく『怪人をやっつけるめちゃくちゃカッコいいヒーロー』です。それこそ、動画をアップすればすぐミリオン、子供に見つかったら無限握手会になるほどの人気者です。
●補足
このシナリオは純戦闘+αのシナリオです。
皆様のキャラらしさに重点を置いて書いていきたいと思います。
素敵なプレイングをお待ちしております!
第1章 集団戦
『イソギンチャク怪人』
|
POW : テンタクル・テンペスト
予め【触手を振り回しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : ウネウネ・アネモネ
自身の肉体を【ウネウネモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ : ポイゾナス・ポリプ
【頭部】から【毒針のついた触手】を放ち、【麻痺毒】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:伊藤あいはち
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
久留米・圓太郎
なるほどー。俺はヒーローになっちゃったんだな?
よーし、俺の住む世界、いっちょ救っちゃうもんね!
触手にぶつけないよう、なるったけ頭を狙って、ウィザード・ミサイルを発射するぜ!あったれ~!!!!
「なるほどー。俺はヒーローになっちゃったんだな?」
久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)は鳩の翼を羽ばたかせ、赤い瞳を輝かせながら自分の在るところを確認した。
この世界では、猟兵たちはヒーロー。拍手喝采の中迎えられる本当の英雄たちだ。彼は今、その一人として戦いに赴こうとしていた。
彼の眼前には、イソギンチャクの頭をした異形の怪人の群れ、が隊形を取ることもなく衝動のままに進軍している。このまま進ませれば、近い未来にはこの都市の住民であるキマイラ達に累が及ぶだろう。
「よーし、俺の住む世界、いっちょ救っちゃうもんね!」
常日頃、『俺の前世は、世界を救った偉大な魔法使いの一番弟子』と豪語している彼は、目の前の脅威にも動じることなく、自信満々に言い放った。
ややあって、三毛猫の耳と尻尾を揺らしながら、彼の体からゆらりと魔力が立ち上る。
魔力から形成されるのは炎、炎、炎ーーー、50本にも及ぶ炎の矢である。
それを脅威とみなしたのか、イソギンチャク怪人の無機質な顔が彼に向けて指向された。
頭部が波打つように揺れ、瞬間的に加速した触手が殺到する。その先端には、ギラリと鈍い輝きを放つ針のようなものが見えた。
それでも彼は動じない。触手にぶつけないよう、なるべく頭を狙えるよう軌道を調整してゆく。
「あったれ~!!!!」
解き放たれたマジックミサイルが、炎の尾を引きながら飛んでゆく。壮麗な炎の絨毯は、幾本かは触手に阻まれるが、その殆どが狙い通りの軌道を描き、怪人達の頭に着弾した。
怪人のもがく様を見れば、痛撃を与えたのは疑いようがない。普段豪語する肩書きに恥じない戦果と言えるだろう!
成功
🔵🔵🔴
触叢・アン
怒涛の如く、宇宙バイクで突き抜ける!
バイクから伸びたワイヤーで壁も走って登るし、上から踏んだり轢いたり背中ドスンしたり。
敵の攻撃より速く…騎乗1、鎧無視攻撃1、逃げ足1を駆使してヒット&アウェイ。
何があろうと決して止まらず
「わりぃけど、わしゃ誰も止めれんでぇ!」
「オラオラオラ、轢~き逃げじゃ~っ!」
攻撃対象は、より弱ってる敵が多い塊り
そのうちどれかに当たればOK
「なんなぁおめーら、ぐじィのぅ!」
で、片付いたら颯爽と逃げる。轢き逃げる。ドーナツ掴んで。
「ほんならのぅ!」
そんなバイクのネーチャン。
うん、なんかもうただ轢き逃げしまくっただけの暴走バイクな気がするけどたぶんきっとおそらく気のせい…か?
ビルが立ち並ぶ都市部を、触叢・アン(銀河疾風・f01011)が乗る宇宙バイクが、怒涛の如く突き抜けてゆく!
「わりぃけど、わしゃ誰も止めれんでぇ!」
威勢のいい掛け声とともに一陣の風と化したそれは、目に見える怪人との距離をどんどんと縮めていった。
しかし、怪人もさるもの、触手をウネウネと伸縮させ、迎撃の体制を取っている。
バイクを射程に捉えた刹那、触手が砲弾と見まごう速度で放たれる!
しかし、そこにはもう彼女も、そのバイクも在りはしなかった。困惑に包まれた怪人達がキョロキョロと周囲を見回す姿は滑稽ですらある。
「オラオラオラ、轢~き逃げじゃ~っ!」
ドスン!!と景気のいい音が響き、怪人達の注目が集まる。そこには哀れ背中からひき潰された怪人の姿があった。
見ればバイクから伸びたワイヤーがシュルシュルと収納されていく。どうやら急な方向転換のカラクリはこれであるようだ。
そこからはまさに蹂躙というにふさわしい戦いだった。敵の、その砲弾のような速度を誇る触手でも、彼女をとらえることは出来ない。
弱っている敵を的確に見抜き、決して止まらずヒット&アウェイを繰り返す彼女に怪人達は完全に振り回されていた。
「なんなぁおめーら、ぐじィのぅ!」
笑いながら彼女は駆ける。ひとしきり攻撃を加え、体制を整え始めた敵を横目に、ーーーきびすを返す。
颯爽と逃げた。轢き逃げた。ドーナツ掴んで。
「ほんならのぅ!」
潔いにも程があるバイクのネーチャンは、後目もふらずに離脱していく。
うん、なんかもうただ轢き逃げしまくっただけの暴走バイクな気がするけどたぶんきっとおそらく気のせい…か?などと独りごちながら。
大成功
🔵🔵🔵
オルハ・オランシュ
生き延びたいのは誰だって同じだよね。
でも残念。
君達はここでおしまい。
同胞を襲ってまで生に執着するような奴を
見逃すわけにはいかないでしょ?
恐竜型はまだいないか。まずは小手調べだね。
一体ずつ確実に仕留めていこう。
こちらにも仲間がいるようならよく協力して
その都度、負傷の一番大きな敵を攻撃するよ。
上着を脱いで少しは身軽になっておこうか。
毒針がめんどくさそうだねー。
ダガーでできる限り頭部の触手を狙おう。
攻撃したら間合いを取って、なるべく一定の距離を保っておきたいな。
全ての敵の動きに警戒して、
攻撃の傾向を掴んでいけたら後々楽かも。
「生き延びたいのは誰だって同じだよね」
オルハ・オランシュ(アトリア・f00497)はそう言って自らの上着を取り払った。
彼女の言葉は敵に一定の理解を示しているようにも思える。だが、その内心はすでに怪人達を打倒することを決意していた。
「でも残念。君達はここでおしまい。同胞を襲ってまで生に執着するような奴を見逃すわけにはいかないでしょ?」
怪人とて元人間、それが同じ人の同胞を駆逐しようとしている様は、彼女にとって許し難いことであるのだろう。
「恐竜型はまだいないか。まずは小手調べだね」
一体ずつ確実に仕留めていこう。都合のいいことに、先程轢き逃げにあった敵がそこら中に散在している。
正確に、そして確実に。負傷の最も大きな敵をその手のダガーで刺し、斬り、抉ってゆく。上着を脱ぎ、身軽になったことによって、その速度は傍目には消えたと思えばまた現れと言うほどの速度に達していた。
攻撃を受けたことに気づいた怪人達も、触手で広い範囲を薙ぎ払うように対抗するが、消えた相手を追うことなど出来はしない。
「毒針がめんどくさそうだねー」
間合いを取り、一定の距離を保ちながら、迫る触手を次々と落としてゆく。
死角からの攻撃ですら、彼女は悠々と対処していく。歩む道の後に残るのは、分かたれた怪人の成れの果てだけであった。
大成功
🔵🔵🔵
グレゴリオ・カルディヤ
キマイラフューチャーを乗っ取ろうたぁふてぇやつらだ!!
てめぇら叩き潰して魚の餌にしてやるぜ、ヘンテコ怪人共が!!
(この世界でのヒーロー扱いが大変お気に召している様子)
まずは群れてるザコからだな!
【ドラゴニアン・チェイン】で繋いで……動くんじゃねぇ当てにくいだろうがッ
……めんどくせぇ直接ぶっ込んでやらぁ!!
(ドラゴンオーラを拳に纏い、直にぶん殴ることで使用)
よっし繋がったな!
んじゃあ次は、お望み通りまとめて海に帰りやがれやぁ!!
(オーラの鎖で繋いだ個体をめったやたらに敵陣で振り回す)
猟兵達の活躍により、敵の数はもう数える程、しかし、怪人たちの戦意は衰えることを知らなかった。
応戦した猟兵達をすり抜けた一群が、今まさに住民達に牙を剥こうとしている!
そこに立ちふさがったのは、グレゴリオ・カルディヤ(バトゥンブロット・f03150)だ。
「キマイラフューチャーを乗っ取ろうたぁふてぇやつらだ!!てめぇら叩き潰して魚の餌にしてやるぜ。ヘンテコ怪人共が!!」
彼の一喝に、もう大丈夫だと判断したのだろう、住民達は足を止め、喝采と同時にヒューヒューと口笛を吹きながら、我先にと位置取りをして動画を撮り始めた。
それに対して満更でもない顔を浮かべると、彼は怪人達へと向き直った。
「まずは群れてるザコからだな!」
彼の体からドラゴンオーラが溢れ、怪人達へと放たれていく。
怪人達も当然、座して命中するのを待つわけもなく、オーラをかわして攻撃せんと迫ってくる。
「動くんじゃねぇ当てにくいだろうがッ!」
思うように当たらぬ攻撃に痺れを切らしたのか、彼は吹っ切れたような顔をして言い放った。
「……めんどくせぇ、直接ぶっ込んでやらぁ!!」
跳躍、70を越える年齢を感じさせないそれは、一瞬のうちに怪人の一体に彼の体を肉薄させた。
そこからは単純だ。オーラをまとった拳で、殴る、殴る、殴る---!
暴風のように戦場を疾駆し、怪人達を殴り倒す様に、観客達はキラキラとした目を向けた。
だが、彼の攻勢はそれで終わりではなかった。
「よっし繋がったな!んじゃあ次は、お望み通り、まとめて海に帰りやがれやぁ!!」
殴りつけたオーラが繋がり、怪人達を連結させていたのだ!怪人達はもがくも、オーラの鎖はそう簡単には解けない。
それを尻目に、グレゴリオはオーラをビュンビュンと振り回し始めた。当然、そこに連結されていた怪人達とともに…!
縦横無尽に振り回される怪人達が、地面に、壁に、叩きつけられてゆく。その後、この上ない完全勝利を演出したグレゴリオに、拍手喝采が浴びせられたのは言うまでもないだろう!
大成功
🔵🔵🔵
イデア・ファンタジア
うわあ、数が多いわね。私のアートで一網打尽にしちゃうよ。
里へのルートを塞ぐように、一帯に大きな壁を描き出すわね。
壊そうとしてもムダよ!
この壁は『ここから先は存在しない』証!存在しない物を壊すことなんて出来ないんだからね!
敵が壁に毒針を放っている隙にこっちは塗料を飛ばし放題ね。
途切れたかに見えた怪人の侵攻だが、どうやらまだ後詰がいたらしい。
先ほどよりも規模は小さいが、かなりの数が再び押し寄せていた。
「うわあ、数が多いわね。私のアートで一網打尽にしちゃうよ!」
その様子に感嘆しながら、イデア・ファンタジア(極星に至る道・f04404)はその手に愛用の絵筆を握った。
「空想者より愛を込めて、その姿を描き出そう!君の名は--!」
するりと宙を滑る絵筆が、逃げた住民達へのルートを塞ぐように、一帯に大きな壁を描き出した。
“最果ての世界壁”
その名を冠した巨大な黒壁が現出し、怪人達の前に立ちはだかった。
気づいた怪人達から、毒針を仕込んだ触手が放たれるも、
「壊そうとしてもムダよ!この壁は『ここから先は存在しない』証!存在しない物を壊すことなんて出来ないんだからね!」
その言葉通り、壁を抜けることは叶わない。
だから、それは一瞬の油断であったのだろう。大きく壁を迂回した触手に、気が付かなかったのは、ひとえに自らの力量を信じているがゆえだった。
毒針が肩をかすり、その麻痺毒が体に回る。酩酊したような心地の彼女だったが、それでも体は動く。
壁越しに塗料の瀑布を放ちつつ、彼女は必死に応戦を続けた。
苦戦
🔵🔴🔴
霄・花雫
「すっっごく気持ち悪いんだけど!? なんでそんな姿になっちゃったの!?」
これ、昔に本当にこの世界にいた人間なのか……。思わず微妙な気持ちになるのも仕方ないと思う。イソギンチャクはもっとかわいいものであって欲しい。
なんかこう、子供の教育に良くなさそうな見た目の怪人はちょっと間違っていると思う。
「食べたくない! 食べたくないけど!」
仕方ないっ!
苦渋の決断だった。
スライディングで足元を狙い、すれ違いざまにガチキマイラで足を食い千切りに掛かる。自分の回復も出来て一石二鳥!
「すっっごく気持ち悪いんだけど!? なんでそんな姿になっちゃったの!?」
黒壁から躍り出て、嫌悪感を顔に滲ませながら、霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)は開口一番に言った。
これ、昔に本当にこの世界にいた人間なのか……。
思わず微妙な気分になりながらも、その色違いの青い瞳を向けて、怪人を見据えた。
だが、内心では、イソギンチャクはもっとかわいいものであって欲しい。と叫んでいたことを言い添えておこう。
イソギンチャクの頭部を持った怪人はその様子を恐れと見たのか、殊更に触手を波打たせながら迫ってくる。
子供の教育に良くなさそうな見た目の怪人はちょっと間違っていると思う、そんな持論を胸に、彼女は怪人に踊りかかった!
「食べたくない! 食べたくないけど!」
仕方ないっ!
苦渋の決断だった。
放たれた触手をスライディングでかわし、敵の懐へと潜り込む。
すれ違いざま、変化させたライオンの頭が、怪人の足元を食いちぎった!
嫌悪感はあれど、自分の回復も出来て一石二鳥!と言う魔法の言葉でごまかした。
思った以上に広範囲を抉り取ったその一撃に、怪人は倒れ、やがて動かなくなった。
予想以上に大きな戦果に思わずガッツポーズを取った彼女は、次の敵を狙うべくまた駆け出していった。
大成功
🔵🔵🔵
フロッシュ・フェローチェス
【戦法・戦略】
・SPDの高さを活かして動き回り
銃型ガジェットで牽制、及び隙を生み出し
接近後にレガリアシューズでの蹴りを叩きこむ。
(もし可能であれば、エアステッパーでの回避、
敵反撃誘発を試みる)
・UCは右眼より発動。
目視で照準合わせ、食らいつかせる。
・敵がSPD反撃を繰り出した場合
戻る速度を己よりも速い事を考慮し、「10」m前後伸びると仮定して
かわすと同時に接近。
可能であればUC、不可能であれば蹴りを叩きこむ。
【心情】
死ね。お前らに居場所は無い。
遅い……怪人化してもその程度?
……動画を撮るな。近寄るな。一々ウザったいから。
(追い付かれた場合)
まだ足りなかったの……こんな奴相手に、速さが……!?
「死ね。お前らに居場所は無い」
フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)はその怜悧な容貌に似合った言葉を放つ。
巨大な黒壁からするりと抜け出た彼女に、残り数体となった怪人の視線が浴びせられた。
黒壁の少女に続き、まだこんなにも邪魔がいるのかと憤慨しているのか、その触手はいつにも増して大きく波打っているように思える。
駆け出した彼女の手には銃型のガジェット。その銃口が怪人の頭部に照準され、引き金が引かれた。
弾かれるようにのけぞる怪人達、その目が再び彼女を捉える時はついぞ来なかった。
前を向こうとしたその瞬間、鳩尾に炸裂した蹴りが怪人を吹き飛ばし、その勢いで怪人達の背後に彼女が回ったからだ。
「遅い……怪人化してもその程度?」
侮蔑の言葉と共に、攻撃が再開される。
そして最後の一体が、彼女の右目から現出したライオンに喰われた時、戦闘は終結した。
住民たるキマイラ達を守った黒壁から、ひょこひょこと獣の耳、沢山の目が飛び出した。中にはすでにスマホを握りしめているものさえいる。
「……動画を撮るな。近寄るな。一々ウザったいから」
そう言った彼女は、やはりどこまでもクールだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ティラノサウルス怪人』
|
POW : ザウルスモード
【巨大なティラノザウルス】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ティラノクロー
【鋭く長い爪】による素早い一撃を放つ。また、【装甲をパージする】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 学説バリエーション
対象の攻撃を軽減する【羽毛モード】に変身しつつ、【体から生えた鋭く尖った針のような羽毛】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:九廸じゃく
👑17
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
イソギンチャク怪人を殲滅し、都市に平和が戻ったように思えたのも束の間。新たなる脅威はすぐそこまで迫っていた。
たったの1体、それも巨大な体躯と言うわけではない。それこそ、普通の人間より一回り大きいと言う程度だろう。だが、その体は硬質かつ頑強な鎧に覆われ、最大の特徴であるティラノサウルスの巨大な頭が、猟兵達を睥睨している。
スゥ、と息を吸った、その直後、
『グルアァァァァァァァ!!!』
怪人の咆哮が響き渡る。現実としての威力を持って放たれたそれは、都市の窓を割り、地面に亀裂を生じさせた。
それは誰もが心胆寒からしめる破壊の具現であり、決して相入れることのない敵との、開戦の狼煙だった。
久留米・圓太郎
やっぱり怪人とはいえ、ティラノサウルスの頭ってのは、怖いなぁ
…いやいやいや!ヒーローたる者、怯まない、恐れない!
古典的だが、サモニング・ガイストで戦士を召喚して、槍で攻撃だ
ただ、急ぎすぎても拙いから、ここは狙いは脚だ
先ずは行動力を奪おう。
爪攻撃への注意は怠らず、鎧の隙間というか継ぎ目をキッチリと狙い
そこを攻撃しなくては、な
オルハ・オランシュ
あ、ちょっと……!窓の修理にいくらかかると思ってるの?
もう。責任取ってよね!
その見た目で素早く動くなんて反則じゃないかな。
でも、速さで負けるわけにはいかないよ!
靴を脱いでさっきよりもっと身軽になって、
加速には加速で立ち向かっちゃおうか。
ダガーでの一撃であの爪を狙っていきたいな。
折れやしないだろうけど、武器を少しでも損傷させられたらいいよね。
後で楽するために頑張るよ。
当てたら距離を取って、相手の動きをしっかり見ておかなきゃ。
攻撃からはなるべく回避を狙いたいから。
難しそうならちゃんと防御して、少しでも負傷を軽くするんだ。
グレゴリオ・カルディヤ
ゴルアァァァァァァァ!!!
(負けるか馬鹿野郎とばかりに対抗して大声を上げる)
おいコラてめぇ、それでビビるとでも思ったのか?
頭だけの竜擬きがよう……。
(喝采を浴びて満足げだった表情から一転、真剣味を帯びて)
違うだろうが!
竜ってのはなぁ、もっと勇ましくてイカしてんだろうがよ!!
ああクソ、人派としちゃあそうそう使いたくはないが仕方ねぇ……
おうおめぇら、紛い物なんざ気にすんな!
今から本物を見せてやる!!
(キマイラ達へとそう示しつつ、手甲型のバラックスクラップを構え、【機龍化】を発動)
てめぇの不運を呪いやがれ、阿呆が
――これで終いだ
(詠唱セリフをビシッと決め、兵器をまとう機龍と化して怪人へと突貫)
霄・花雫
「うるっ、さぁぁぁぁあいっ!!」
思わず耳元を抑えかけてから、反射的に叫び返す。恐怖よりも文句が口をついて出た辺り、度胸は十分。
敵が他の仲間に狙いを定めない内に、SPDや見切りを活かして飛んで跳ねてスライディングして、攻撃を引きつけるよ。回避盾みたいなもんかな?
勘は良い方なんだよね、頭で考えるより身体に任せた方がいいかもしんない。勿論、ちゃんと周りのことは見ておくよ。他の仲間が危なくなるなら、引っ張ってあげることくらいは出来るはず!
レガリアスシューズはあたしの翼で武器だもの、もし隙があったら蹴り入れてやるんだから!
咆哮したティラノサウルス怪人。その威力を直に受けた猟兵たちは、四者四様の対応を見せていた。
「ゴルアァァァァァァァ!!!」
「うるっ、さぁぁぁぁあいっ!!」
二条の叫びが恐怖に支配されかけた戦場を塗り潰す。
負けるか馬鹿野郎とばかりに対抗して大声を上げたのは、グレゴリオ・カルディヤ(バトゥンブロット・f03150)だ。彼は喝采を浴びて満足げだった表情を引き締め、ビビるとでも思ったのか?頭だけの竜擬きがよう!とでも言わんばかりの威圧をもって怪人へと相対した。
そして、思わず耳元を抑えかけてから、反射的に叫び返したのは、霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)。恐怖を越えて文句が口をついて出るあたり、戦うには十分な度胸を備えている。
そんな中、恐怖以前に全く別のことを心配している猟兵もいた。
「ちょっと……!窓の修理にいくらかかると思ってるの?」
怒りを露わにしたのはオルハ・オランシュ(アトリア・f00497)。ある意味彼女も肝が太い。自分ではなくお金の心配をしてのけたのだから。
「もう。責任取ってよね!」
そう叫んで先の2人とともに敵陣へと駆け出した。
4人の中で、真っ当に恐れを抱いているただ1人であるところの久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)は、怪人とはいえ、ティラノサウルスの頭ってのは、怖いなぁ、と、至極真っ当な感想を抱いていた。しかし、彼も立派な猟兵。ヒーローたる者、怯まない、恐れない!という意思の元、迎撃のための魔力を練っていく。
敵の懐に最も早くたどり着いたのは、花雫だった。それと同時に轟音とともに振るわれる
爪。それを花雫は宙を泳ぐように躱していく。
時に飛び、時に跳ね、時にはスライディングで足元を駆け抜ける。
「回避盾みたいなもんかな?」
そう独りごちた彼女の動きは、確実に他の猟兵に攻撃にチャンスを与えていた。
第二陣としてたどり着いたのは、オルハだ。
「その見た目で素早く動くなんて反則じゃないかな」
彼女は予想以上に素早い攻撃にほんの少しだけ躊躇を見せるも、
「でも、速さで負けるわけにはいかないよ!」
と、己を叱咤し、戦線へと加わった。
接敵の直前に靴を脱ぎ、さらに身軽になったオルハは、風に乗ったかの様に加速する。
花雫の作った隙を突いて見舞ったダガーの一撃は、怪人の爪を的確に捉え、二撃、三撃と振るうたびにその鋭さを減じさせていった。
一向に当たらない攻撃に危機感を抱いたのだろう、怪人はその瞳をギラリと光らせると、身に纏った鎧の一部をパージした。
それは鉄塊となって飛来し、一瞬ながら2人の動きを止める。
そこに振るわれたのは先程よりも加速した爪撃。オルハを捉えるかに見えたそれは、突如現れた槍によって阻まれた。
圓太郎のサモニング・ガイストによって召喚された古代の戦士、その霊魂が確かな存在感を持って爪の一撃を阻んでいた。
「まずは行動力を奪う。狙いは、脚だ!」
戦士は爪撃を受け流すと薙ぎ払うように脚を狙う。狙い過たず放たれたそれは、パージされた右脚の鎧の継ぎ目を正確に捉えた。
「グルルアァァァァ!!」
絶叫が響く。堪らず後ろへと跳躍した怪人は、地面を削りながら停止すると背を震わせ始めた。
何事かと猟兵達が身構える中、怪人の背中に、翼が、生えた!
驚愕する猟兵達にも構わず、翼から白い針のようになった羽毛を射出する!
回避は難しい、そう判断して身を固めたオルハの体を、柔らかな手が引っ張った。
「勘は良い方なんだよね」
頭で考えるよりも先に体が動いた。
花雫が相方を連れて踊る場所は、羽毛飛び交う戦の舞台。だが、まるで羽毛自身が避けているかのように、その攻撃は2人に対してかすり傷程度にしかならなかった。
そして、古代の戦士が守る圓太郎のさらに後方に憤慨を隠せない漢がいた。
「違うだろうが!竜ってのはなぁ、もっと勇ましくてイカしてんだろうがよ!!」
吠えたグレゴリオは竜らしからぬ相手に、納得がいかないようだ。
「ああクソ、人派としちゃあそうそう使いたくはないが仕方ねぇ……」
決意を秘めた瞳で、彼は呟く。
「おうおめぇら、紛い物なんざ気にすんな!今から本物を見せてやる!!」
背後で隠れながら観戦しているであろうキマイラ達にそう示す。何が本当の竜なのか。それを見せるのだと。
ガシュッ!という音ともにグレゴリオの手甲が展開する。
「てめぇの不運を呪いやがれ、阿呆が、――これで終いだ」
徐々に肥大化する手甲が、グレゴリオの体を覆い尽くしていく。ややあって変形が終わると、そこには身の丈3mを越える機械の竜が鎮座していた。
『行くぜ』
ガシャンガシャンと、金属特有の擦過音を響かせ、機竜は進撃する。もはや羽毛など、何ということもない。
怪人の対応もまた早かった。見るや羽毛での攻撃をやめ、翼をしまうと、徐々に体が肥大化し始める。瞬き一つのうちに10mを超える巨大なティラノサウルスへと変化した。それは、視界の中で今、最も早く動く物体、機竜へと狙いを定めた。
その鋭い爪が振り下ろされるその瞬間だ。膝が抜けたように巨大化した怪人がよろめいた。
何が起きたのか、怪人には判断がつかなかっただろう。
花雫とオルハが、かたや蹴りで、かたやダガーで足元を撃ち抜いたなどとは。
よろめく怪人を目に、好機と言わんばかりに機竜の拳が握られる。
直後、解き放たれた拳が、その巨体をはるか後方へと吹き飛ばした!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルド・ベンジャー
頑丈そうな奴だな……
だがどれだけ頑丈だろうが、少しづつ削っていけば最後には削れて無くなるもんだ
何か落ちてるモノがあれば投げて注意を逸らしたいところだ
もし無ければ上着でも脱いで投げつければ多少注意は逸らせるだろう
その隙に接近して【シーブズ・ギャンビット】で、硬くても間接なら通る部分があるだろうから間接を攻撃してみるか
それで上手くダメージが通れば、隙を狙ってチクチクいかせてもらおうか
通らなければ、他にいるダメージを通せそうなヤツの援護に回ろうか
援護する場合は、こちらに注意を向けさせて敵に攻撃を当てやすいように動こう
サポートも大事な仕事だからな
受けた仕事はキッチリ終わらせようか
触叢・アン
「そろそろじゃな…お、やっとるやっとる」
仲間たちが戦ってるのを確認し、その敵の脇腹目がけて、鎧無視攻撃2っ、宇宙原付ど~~~ん!
「ほら、ど~~~んっ」
その弾みで…踏み付け1、ジャンプ1、騎乗2、操縦1、逃げ足1、地形の利用1、等と機体に付いたワイヤーを活用しビル等の高い場所に移動
「ほんならまぁ、ここで決めちゃらぁ!(タンクトップ破り捨て)」
ミリオンライドアタック、それは宇宙のエネルギーをその身に吸収し体内生成した幻影分身を放出する…すなわち露出が多いほど分身が増えその威力が増すのだ!
「とぅ! ふぅらっしゅ!Ah~~~♪」
敵に目がけて降り注ぐ無数のセクシーネーチャン、それが1点に集束し蹴り貫く!
エウトティア・ナトゥア
兄様の頼みとあれば断る事はできないのう。
初陣じゃが頑張るのじゃ!
基本方針は、ティラノサウルス怪人の足止めと後続に対する援護じゃ。動きを止めて後続の攻撃を容易にしようかのう。
大きなトカゲじゃのう…爬虫類には低温が定石じゃろうか?
野生の勘1出」タイミングを見計らって全力魔法1のエレメンタル・ファンタジアで氷結の液状化現象を引き起こし、低温の噴砂と地盤沈下でティラノサウルス怪人を絡め取るのじゃ!
ほれ、その大層な羽毛に流砂はよく絡むじゃろう?この先には多くの人々でおるでな、そのままここ凍て付くがいいわ。
イデアール・モラクス
へぇ、コイツが…なかなか壊し甲斐のある面白い化け物じゃないか、これだから異世界渡りはやめられん。
さぁ踊れトカゲ擬き、貴様の啼き声を私に聴かせてみろ!
戦法
遠距離から高速詠唱によるウィザードミサイルの連射。
敵は素早いが独り、対してこちらは複数、ならば私が炎でヤツを狙い続け自由を奪ってやる。
「我が魔力に焼かれる誉れをくれてやろう!」
ヤツは動くモノに反応する野生的な戦いをするらしい、私は下手に動かず魔法に集中し、狙いをつけて炎の矢を四方から降らせて敵を焼き尽くす。
「そらそら!啼け!喚け!暴虐に晒される恐怖を刻み込め!」
久留米・圓太郎
うわ~最後は巨大化か。理性を失ったケモノと化したというのなら、
こっちが良いかな?
再びサモニングガイストで。今度は炎の攻撃で、ティラノサウルスの丸焼き作っちゃおう!
ただ、どうしても圧倒的な火力は無いから、トドメは他の仲間にお願いする格好になるので、遠距離で仕留められる能力持った仲間がいたら、行動を共にする。
「頑丈な奴だな……」
そう呟いたのは、ひどく無愛想な少年だった。彼、ルド・ベンジャー(ブレイクメイク・f01524)は砕けた瓦礫を拾ってそう呟いた。
「だがどれだけ頑丈だろうが、少しづつ削っていけば最後には削れて無くなるもんだ」
機械化された腕を軋ませ、手に持つ瓦礫を投擲する。普通の人間であれば即死するような速度と質量ではあったが、怪人は煩わしそうにそれを爪で振り払った。どうやら、この程度では痛痒にはならないらしい。
ならば直接と、ルドはその速さを活かして怪人へと駆け出した。
「へぇ、コイツが…なかなか壊し甲斐のある面白い化け物じゃないか、これだから異世界渡りはやめられん」
そのルドの後ろで楽しそうに笑うのはイデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)だ。その美少女然とした外見とは裏腹に、その赤い瞳はギラギラと輝いている。
「さぁ踊れトカゲ擬き、貴様の啼き声を私に聴かせてみろ!」
その言葉ととも現出したのは、炎の矢。間断なく生成され、射出されるそれは、数瞬の暇もなく怪人へと殺到する。流石にこれは無視できないのか。怪人の爪撃が振るわれ、炎の矢が消し飛んでゆく。
それをみてイデアールはさらに笑みを深めた。計算通りであると!
足を止めた怪人の懐に、ルドが飛び込む。
一撃、二撃と振るわれるダガーは、肉の隙間をえぐり、確実に怪人の命をそぎ落としてゆく。
「グラアアァァァァアア!!」
怒り心頭と言わんばかりの咆哮が響く。
背が盛り上がり、先ほども見せた白き翼を構成してゆく。巨大化した分、その大きさも、飛来する羽毛の密度も先ほどとは比べ物にならない。
嵐景の中で、小柄な人影が動いた。
「兄様の頼みとあれば断る事はできないのう。初陣じゃが頑張るのじゃ!」
気合い十分という声を発した彼女の名は、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)。今事件のグリモア猟兵であるライヴァルトの妹である。
兄の期待に応え、戦場へと馳せ参じた彼女は、肝が座っているのか、怪人の巨体を見ても動じた様子はない。
「大きなトカゲじゃのう…爬虫類には低温が定石じゃろうか?」
精霊術師たる彼女の魔法によって、怪人の周囲の温度が急激に下がっていく。
瞬間的に氷結した地面は、次の瞬間、全てが元に戻るかのように液状化した。
ドロリとした地面に足が沈み込み、怪人の機動力を奪う。
さらに、緩くなった地盤を突き抜け、泥を含んだ地下水が噴出する。翼へと絡んだそれは、瞬く間に凍結し、その翼を完全に抑え込んだ。
「ほれ、その大層な羽毛に流砂はよく絡むじゃろう?この先には多くの人々でおるでな、そのままここ凍て付くがいいわ」
今が好機と、猟兵たちは攻撃の手を厚くしてゆく。援護射撃とばかりに、古代の戦士の放つ炎で攻撃を加えるのは、先ほどの一戦にも参加した圓太郎だ。
「炎の攻撃で、ティラノサウルスの丸焼き作っちゃおう!」
最後は巨大化、理性を失ったケモノと化したというのなら、炎による攻撃が適切であると判断した彼の攻撃は、着実に怪人の体力を削いでいった。
それに加えて、猛る炎を叩きつけるのはイデアールだ。
「我が魔力に焼かれる誉れをくれてやろう!」
さらに加速した炎の矢が怪人の身体を強かに叩く。四方から降り注ぐ炎は、カーテンのような文様を形作っていた。
「そらそら!啼け!喚け!暴虐に晒される恐怖を刻み込め!」
彼女のテンションはどこまでもどこまでも上がってゆく。恐らく、敵を焼き尽くすまでは止まらないだろう。
「受けた仕事は、キッチリ終わらせようか」
ルドも加わり、怪人の身体に瞬く間に裂傷を増やしてゆく。
だが、圓太郎は、いや、他の誰もが感じていた。怪人は徐々にこの窮地を脱しつつあると、一転すればどうなるか分からないと。
『あと一手足りない』と。
「そろそろじゃな…お、やっとるやっとる」
そこに現れたのは、バイクのネーチャンこと触叢・アン(銀河疾風・f01011)だった。
「ほら、ど~~~んっ!」
猛烈な勢いで飛来した宇宙バイクが、怪人の脇腹に突き刺さる。
メキメキという音を立てて着弾したそれは、次の瞬間ワイヤーアクションよろしく縦横無尽に駆け回り始めた。
度重なる攻撃に、怪人はその挙動について行けず、右往左往している。そして、その間にも炎、氷、ダガーによって傷は増えてゆく。
宇宙バイクはビルを駆け上がり、走り抜け、怪人の頭上へと躍り出た。
「ほんならまぁ、ここで決めちゃらぁ!」
タンクトップを破り捨て、満を持して放つその技はミリオンライドアタック、それは宇宙のエネルギーをその身に吸収し体内生成した幻影分身を放出する…すなわち露出が多いほど分身が増えその威力が増すのだ!(諸説あり)
「とぅ! ふぅらっしゅ!Ah~~~♪」
無数のセクシーネーチャンが舞い、一点へと収束してゆく。
だが、怪人も黙って見ているわけではない。
迎撃せんと振るわれた爪は、万全の時と遜色ない速度で振り抜かれる。だが、その爪がアンに届くことはなかった。
キィンという音、熱と氷によってもろくなった爪が、ルドのダガーによって切り落とされたのだ。
「受けた仕事は、キッチリ終わらせる」
再び言葉として表出したその想いも乗せて、アンの渾身の蹴りが、怪人の眉間を貫いた!!
「ガ、ギア、ガ…」
数拍の苦悶の声が響くと、ズズンと、轟音を立て、巨体が倒れ臥す。
数度の痙攣。そして、その体が二度と動くことはなかった。
この戦いは、猟兵たちの勝利という形で幕を閉じたのだ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『遺失文明お楽しみ会』
|
POW : 体力に任せてひたすら遊ぶ
SPD : テクニックを駆使する
WIZ : 遺失技術で楽しむ面白いアイデアを考える
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
死闘を制し、凱旋する猟兵達の周囲に、人の気配が現れる。そこら中に現れる、様々な獣の耳、耳、耳。
彼らはヒーローである猟兵たちにキラキラとした熱い視線を送っていた。
そして、口々に乗せられる喝采、そして感謝の言葉。
それはまさに熱狂だった。中には猟兵たちに抱きついてきているものもいる始末だ。
そんな彼らを救ったのは自分たち猟兵なのだと、自信を持っていいだろうと思わされる光景だった。
そして、猟兵たちは、あるものは気ままに、あるものは住民に手を引かれながら、各々が楽しみへと向かうのだった。
オルハ・オランシュ
ふー、終わった終わったー!
できれば誰かが先に倒してくれるのを待っていたいんだけど、
この達成感があるから戦うのも嫌いじゃないな。
身体を動かしたからかな。すっかりお腹が空いてきちゃったよね。
ドーナッツの木からグレーズドーナッツを1個いただこうかな?
ん、おいしー!
やっぱりもう1個!
今度はホワイトチョコがけドーナッツ。
ジャムトーストばっかり食べてるから、たまには他のも食べなきゃね。
食後はやっぱり昼寝に限るんだよ。
ドーナッツの木の下で甘い匂いをかぎながら横になっちゃう。
アラームなんて要らないって。目が覚めた時に起きればいいよね。
たまにはこうして頑張ってみるのもいいかも。
もちろん、気が向いたらの話!
久留米・圓太郎
よーし!何とか勝てたな~
安心したら、何か眠くなっちまった(ふぁ~)
服飾機械で、もちもちのクッション作れないかな?
(もし、首尾良く出来たなら、それに身体を預けて、まさに猫の如く丸くなる)
「良い出来だぜ?いっちょ昼寝と洒落込まないか?」
と、住民や仲間を手招き(招き猫のポーズで)
「よーし!何とか勝てたな~」
戦闘を終えて、圓太郎は勝利を噛みしめるように言った。
始まりのイソギンチャク怪人から今まで戦い詰めであったのだから、さもありなんと言えるだろう。
「安心したら、何か眠くなっちまった」
ふあ~とあくびを一つ、とにかく、今までの疲れをいやせる場所が欲しいと圓太郎は思っていた。
「服飾機械で、もちもちのクッション作れないかな?」
「それならこっちにいいのがあるよ!」
その言葉を聞きつけて、今まで声をかけるタイミングをうかがっていたのだろう。圓太郎と同じ猫耳の少女が話しかけてきた。こっちこっちと指さす先には、彼と話したいのだろうキマイラの少年少女が集まっていた。
それに笑みをこぼして、圓太郎は彼らとともに歩き出した。
「ふー、終わった終わったー!」
圓太郎とは別の区画で、達成感を覚えていたのはオルハであった。
「できれば誰かが先に倒してくれるのを待っていたいんだけど、この達成感があるから戦うのも嫌いじゃないな。」
果報は寝て待てが信条ではあるが、雑用すら楽しめるポジティブな彼女にとっては、あの死闘も楽しいものであったのだろう。
「身体を動かしたからかな。すっかりお腹が空いてきちゃったよね。」
目についたのはドーナツの木。色とりどり、世界中のドーナツを集めましたと言わんばかりのバリエーションを誇るそれを見て、オルハはドーナツを食べることに決めた。まずは、グレーズドーナツから。
「ん、おいしー!」
その口から歓喜の声があふれ、食欲がまだ足りないと背中を押す。
「やっぱりもう1個!」
そう言って彼女は次のドーナツに手を伸ばすのだった。
首尾よく服飾機械でもちもちクッションを手に入れた圓太郎は、本格的に寝床を探していた。そんな中で目に入ったのは、ドーナツの木の下で、ホワイトチョコがけのドーナツを食べているオルハの姿だ。
共に戦ったもの同士、親睦を深めるのも悪くないと思い、キマイラの少年少女たちとともに大量のクッションを抱えながら歩みを進めていく。
ジャムトーストばっかり食べているから、たまには他のも食べなきゃと思いつつ、ドーナツを口に運んでいたオルハは、最後の一口を食べ終えて軽い眠気を覚えていた。
そんな中、彼女に近づいてくる一群がある。その先頭に立った圓太郎が、オルハにクッションを差し出しつつ声をかけた。
「良い出来だぜ?いっちょ昼寝と洒落込まないか?」
猫耳だけに招き猫のようなポーズで言い添えられたそれに、オルハは笑顔で応えて、
「うん、食後はやっぱり昼寝に限るんだよ」
クッションに身を預け、横になる二人の周りで、キマイラの少年少女たちも思い思いに横になっていく。
ふと、オルハはいつ起きようかなという思いが頭をかすめたが、
「目が覚めた時に起きればいいよね」
アラームなんていらないと思い直し、そのまま床に就いた。
昼下がり、満腹のおなかに甘い匂い、この場所には言い知れぬ充実感があった。
目を閉じながら笑みを深め、オルハは思う。
たまにはこうして頑張ってみるのもいいかも、と。もちろん、気が向いたらの話だけど。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
触叢・アン
なんかえぇ感じになってきたんで、そん様子を眺めて…ん?視線?……あぁそーいや忘れとった。乳出とったわ。(恥ずかしさ耐性2)
替えのタンクトップ着ながら、考える
そのへん叩いてドーナツ齧りながら考える。ん、もう用は無ぇじゃろ、帰ろ。
「そんならのぉ、またじゃ」
宇宙原付に跨ったらゴッドスピードライドで細けぇ事ぁ気にせんで帰るで。
「悪ぃのぅ、わしゃこーゆーなぁえぇんじゃ、またどっかで縁があるけぇそん時ぁ宜しくの。」ばびゅーん
ルド・ベンジャー
【SPD】
ふぅ、ひとまず無事に終わったか
早速この興味深い都市を見て回るとするか
(無愛想ですが内心楽しそうにしています)
とりあえずいたる所をコンコン叩いて、出てくる物の傾向や位置などを探っていこう
見た事ない食べ物や道具はあるだろうか……楽しみだな
一通り楽しんだら、出てくる物の種類や場所について現地の住人と情報交換しておこう
もしかしたら役に立つかもしれないしな
エウトティア・ナトゥア
POW体力に任せてひたすら遊ぶ
フハハハハ!…もっと敬うがよいぞ。
皆の喝采に気をよくして同年代の少年少女を引き連れて意気揚々と狼に乗ってどや顔で練り歩きます。
おお!ドーナッツの生る木じゃ!これぞ自然の恵み!
ちょっとあんた達!沢山集めるのよ!
すっかり有頂天になり、テンションに任せて後先考えずお菓子を食べまくります。
グレゴリオ・カルディヤ
よぉしよし、正義は勝つ!
勝った方が正義!ってやつだ!!
(本当にそういうものだと思っている)
んで、だ。あとはお楽しみってなわけだな?
となりゃあ……遊んで遊んで遊び尽くすしかねぇよなぁ!!
どっかオススメ案内してくれ!
(近場にいたキマイラたちに声をかけて)
楽しけりゃどこでもなんでも構わねぇが……。
例えばそうだな、気持ち良く体を動かせるとことかあるか?
他の世界でやった……ぼるだりんぐ、だったか。
普段やらねぇ動き方ってのはなかなか面白ぇもんだ。
こっちでもなんかあるだろ?期待してるぜ!
(グワッハッハとご機嫌に笑いながら。握手やら何やらも求められれば勿論いくらでも)
拍手喝采に湧く広場を、アンはひとしきり眺めていた。
ふと目を止めると、ちらほらとアンの方に視線を向け、顔を赤くして下を向いている少年たちが散見される。何故なのかとアンは考えたが、
「あぁそーいや忘れとった。乳出とったわ」
と、青少年の心情としては当然のことに思い至る。スタイルがよく、美しい彼女はまさに目の毒ともいえるだろう。それでも全く恥ずかしそうにしていないのは、恥ずかしさというものに耐性があるからなのか、それとも本人の気質なのか。
替えのタンクトップを着ながら、手慰みにその辺をコンコンと叩くと、出てきたのは奇しくもよく木になっているドーナツだった。それを齧りながら彼女は考える。
「ん、もう用はないな」
そう結論付けた彼女は、歓待の準備をしているキマイラたちを尻目に、宇宙バイクへとまたがった。
「そんならのぉ、またじゃ」
引き留める声もマイペースな彼女にとっては何のその。細かいことは気にしないという彼女の気質も影響しているのだろう。
ユーベルコード、ゴッドスピードライドを用いて加速し始めたバイクの上で彼女はキマイラたちに声をかけた。
「悪ぃのぅ、わしゃこーゆーなぁえぇんじゃ、またどっかで縁があるけぇそん時ぁ宜しくの」
ここで縁は終わりではない。また会えるのだと、そう言った彼女は、ばひゅーんという音とともに去っていった。
「ふぅ、ひとまず無事に終わったか」
ひとしきり喧騒の去った広場で、ルドは不愛想な表情のままではあるが不思議と楽しそうな雰囲気で息をついた。
早速この興味深い都市を見て回るとするかと思い、いたるところをコンコンと叩きつつ練り歩いてゆく。何でも出てくるという話は本当だったようで、野菜や菓子、文具や服飾に至るまで、様々なものが、引出しのようなものに入って出てきた。
同じところを叩いてみれば、同じものが出てくるのを見れば、やはり完全にランダムというわけではなく、法則にしたがって生産されているらしい。メモを取りつつ出てくるものの傾向を探っていく。
中には、どうやって使うのかも不明な奇妙な形をした金属製のフックや、ハンバーガーとビスケットのあいの子のような料理など、ルドが今まで目にしたことがないものも多くあり、それを彼はためつすがめつして楽しんでいた。
ひとしきり調査を終えた彼は、現地の住人と情報交換に赴いた。
「もしかしたら役に立つかもしれないしな」
その後、鍛冶屋ですら扱えない未知の金属の情報を得た彼は、意気揚々と小高いビルの頂上を目指すのであった。
ひとまずの熱狂が去った広場とは少し離れた場所、そこでは二人の人物が大名行列よろしく多くのキマイラたちを引き連れて歩いていた。
「よぉしよし、正義は勝つ!勝った方が正義!ってやつだ!!」
本当にそう思っているのだろう。その言葉に疑問など一切挟ませない豪快な笑みで言い放ったのは、グレゴリオだ。
「んで、だ。あとはお楽しみってなわけだな?となりゃあ……遊んで遊んで遊び尽くすしかねぇよなぁ!!」
戦闘中と変わらぬ豪放磊落さで群れなすキマイラたちの握手に応じながら、目線はすでに次の楽しみに向いていた。
「どっかオススメ案内してくれ!」
近場にいたキマイラの青年に声をかけたグレゴリオに、青年も満面の笑みで応える。
「もちろんッス!何か希望とかってあるッスか?」
「楽しけりゃどこでもなんでも構わねぇが……」
数瞬、思考に沈むグレゴリオだったが、すぐに顔をあげると、
「例えばそうだな、気持ち良く体を動かせるとことかあるか?他の世界でやった……ぼるだりんぐ、だったか」
それを受けて、青年は頭の中を検索していく。
「ボルダリングッスか。そうッスねぇ…」
考えを巡らせる青年に、グレゴリオはグワッハッハとご機嫌に笑いながら、
「普段やらねぇ動き方ってのはなかなか面白ぇもんだ。こっちでもなんかあるだろ?期待してるぜ!」
と声をかける。その瞬間、青年の目がいいことを思い付いたとばかりにキラリと光った。
「あの路地の先に、岩そのものが自動で移動するボルダリング場があるッス。そこの最高難度は前人未到。いくら猟兵さんでも厳しいかもしれないッス」
望むところと青年に応じたグレゴリオが、本日二つ目の伝説を作るのは、もう少し先のお話。
大名行列のもう一つの片割れであるところのエウトティアは、意気揚々と、どや顔で都市を練り歩いていた。
「フハハハハ!…もっと敬うがよいぞ!」
狼にまたがった彼女は、皆の喝采に気をよくして、向かうところ敵なしといった風情だ。
同年代の少年少女を引き連れて進む様は、一種ほほえましいものを感じる人もいたという。 そんなさなか、彼女の目に留まるものがあった。ドーナツの木、先の二人のものとはまた別種のようだが、そのレパートリーの豊富さにはいささかの違いもない。
「おお!ドーナッツの生る木じゃ!これぞ自然の恵み!」
本当に自然の恵みであるのかは疑問が残るところだが、彼女の目はすでにドーナツに釘付けだった。ちぎっては食べ、ちぎっては食べを繰り返しているうちに感極まったのか、
「ちょっとあんた達!沢山集めるのよ!」
と、キマイラの少年少女たちに指示を出す。いつもの『のじゃ口調』は鳴りを潜め、年頃の少女のように屈託のない口調で騒ぐ彼女は、すっかり有頂天だ。
テンションに任せて後先考えずお菓子を食べまくる彼女を見れば、常識人の兄は苦言を呈すだろうが、この場に彼はいない。彼女の独壇場となったドーナツパーティは、気の向くまま、思うままに進行してゆくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵