殺人鬼の衝動、その行き先は……
●やめたくてもやめられない
アリスラビリンスの不思議の国。
どこか、寂しそうな光景のその国に向けてオブリビオン達は侵略を開始する。
いつものように追いかけ回して、いつものように殺して回ればそれでいい。
そう考えていたはずなのに……国の中には誰もいない。
逃げ終わった後なのか? それともどこかに隠れているのか?
考えている暇など無い、さっさと見つけて殺して――。
――しまおうと思ったのに、何故かオブリビオン側が死んでいる。
積み上がった死体の数は数えられないほどに多く、侵略なんて出来ていない。
何が起こったのか、何があったのか。
オブリビオン達は皆、死ぬ前に双眸に映ったモノを見上げる。
「殺しはいいよね。特に、侵略なんて考えている奴らは……殺しても、誰にも文句は言われないんだからさ!」
「僕たちの国に来てくれたんだ、少し遊んであげただけ」
「ああ、ああ! 次はどんな殺し方にしてあげようかなぁ!」
多種多様な大量の殺人鬼達が、死の間際を眺めるオブリビオン達の身体を見下ろしている。見た目には恐ろしい光景だが、殺人鬼達にとっては普段の光景と特に変わりはないもので。
まだ足りない、まだ少ない、という声が殺人鬼達から漏れる。
殺人衝動を抑えきれない彼らの声はみるみる内に大きくなって、衝動がやがて彼らを飲み込む。
自分達ではもう、止められないし、止まらない。
オブリビオンを殺し続けたら、彼らはもう戻れない……。
●止めなければ大惨事
「アリスラビリンスに殺人衝動に飲み込まれそうになっとる殺人鬼集団が、今現在ハチャメチャに暴れまわって世界を侵略しようとするオブリビオンと相手してるっぽくてな?」
集まってくれた猟兵を前に、メルヒオール・ツァーベル(トリック&スピードスター・f36178)は簡単な説明を入れる。今回は少し毛色の違う仕事なのだそうで、興味があるやつはぜひ聞いてほしいという。
猟書家によるアリスラビリンスの侵略は少しずつではあるが抑え込まれている。それは良い報せでもあり、そこから突破口を見出すことも出来るだろう。
だが今回、そんなアリスラビリンスにある不思議の国の1つに異変があったという。
「そこに侵略してきたオブリビオンが顔出したっぽいねんけど、誰もおらんから帰ろ~ってしてたん。してたんやけど、フルボッコ受けてんな」
なんとも不思議な光景が広がっていた、とはメルヒオールの言葉。
普通であれば逃げ惑うはずの住人達の光景が広がるところが、まさかの返り討ちにされるオブリビオンの光景。猟兵から見ると不可思議なものに見えるだろう。
その正体は、その国に住む殺人鬼達による罠が作り出した光景。殺人衝動を抑えきれず、どうにか晴らしたいと考えた殺人鬼達がオブリビオン達を滅多斬りにしたという。
言葉でも殺人鬼達の優勢がよくわかる状態。
だが、メルヒオールは首を横に振って、それはまずいのだと告げる。
「俺みたいな殺人鬼と違って、アリスラビリンスに住んでる殺人鬼は衝動を解放するとオウガ……オブリビオンになるって話がある。ホントかどうかはわからんけど……」
「もし本当なら、侵略を受けてる中でオウガが増えてまうのだけは避けたい。せやから皆に今から手伝ってもらおうと思って、こうして声かけさせてもらったん」
今回の目的は殺人鬼達が衝動に飲み込まれないようにしなければならないため、敵陣では抑え込みながらの戦いとなる。適度に発散させるのもよし、無理矢理気絶させるのも良し。とにかく、衝動の増加を抑え込むことが大事なのだそうだ。
また、敵は集団敵とそれを操るボスに分かれているため、まずは集団敵を蹴散らすことに専念しなくてはならない。その際、殺人鬼達は敵を倒してもオウガとなり得るため、どうにか先に敵を倒して欲しいとのこと。
「殺人鬼達を適度に抑えつつ、なおかつラストの一撃を与えさせないように敵を蹴散らす。ちょっと大変やけど、皆なら出来るって信じてるで」
「……あっ、ちなみにボスは連中より遥かに強いっぽいから、気をつけてなぁ」
ひらひらと手を降って、猟兵達に入り口を指し示したメルヒオール。
はてさて、殺人鬼達の衝動の行き先は如何に。
御影イズミ
閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
アリスラビリンスのシナリオをお届けに参りました。
なにやら(オブリビオン側にとって)大惨事な状態が広がっている様子。
初めての方はMSページをご確認の上、ご参加ください。
また以前に参加済みの方も更新が入っていますのでご確認の程をお願いします。
●場所:不思議の国
瓦礫が多い朽ち果てた家が並んだ国。一度滅ぼされたかのようにも見えます。
身を隠せるような家屋が多く、死角も多数見受けられます。
誰も手入れをしていない故に草木も適当に伸びており、下手すると転びます。
なお火気があると一瞬で燃え広がります。
●プレイングボーナス:殺人鬼達を適度に抑えながら、共に戦う。
どちらの章でも、殺人鬼達は衝動に飲み込まれる寸前となっており、もしかしたらオウガになってしまう? という状態です。
これを抑え込まなければアリスラビリンスには大量のオウガが溢れ、侵略を受けてる最中でも大惨事になってしまうでしょう。
●第一章:集団戦シナリオ
集団敵『ハーベスター』との戦いです。
不思議な国へやってきたハーベスター達は殺人鬼を殺そうと奮闘しています。
が、殺人鬼達の力が強く、現在は殺人鬼側が優勢……ですが、ハーベスター達を倒してしまうと殺人鬼達はオウガとなってしまいます。
抑え込む手法は問いません。とにかく、猟兵達が先にハーベスターを倒してください。
●第二章:ボス戦シナリオ
ボス敵『くくり姫』との戦いです。
集団が倒されまくったため、やはり自分が出なければと彼女が前に出てきます。
殺人鬼達よりも強いため、ここでは協力関係を築くプレイングもボーナス入ります。
詳細は断章にて。
皆様の素敵なプレイング、お待ち致しております。
第1章 集団戦
『ハーベスター』
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POW : 収穫の時
【大鎌】が命中した対象を切断する。
SPD : 瞬時の首狩り
【大鎌】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : 収穫の舞
【大鎌を振り回し、衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
イラスト:時丸 佳久
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
メルティア・ストランディ
あは…♡
素敵、その殺意
でもわたし欲張りですの
目に入る誰も、わたしのものにしたいの
だから殺人鬼の皆さんには申し訳ないけど、トドメはわたしがもらいますわ
UC寵姫の瞳を発動
皆さんわたしの思いを汲んでくださいな
殺人鬼の方々にむけて、トドメを譲ってもらいますわ
ハーベスターの方々には、わたしに油断してもらおうかしら
ねぇ、殺人鬼に負けたくないでしょう?わたしのことは気にしないで
……その命が散る瞬間だけでいいから
最期の瞬間は、メティの鋏で絶ち切らせて?
あは、あははは♡
いいわ、もっと、もっと、メティに命を頂戴?
最期の瞬間をくれるなら、なんでもいいから!
メティの愛を受けて、最期をくださいませ!!
●こうやって《愛》を受け取った
アリスラビリンスの一角にある国は、今や殺人鬼達の殺戮ショーで満載だ。侵攻してきた集団オブリビオン・ハーベスター達の攻撃なぞものともせず、斬りたい衝動、刺したい衝動、殺したい衝動が波となって辺りに渦巻いている。
そんな殺意の渦中で、メルティア・ストランディ(魅惑の殺人ドール・f36822)は恍惚とした表情を浮かべていた。同じ殺人衝動持つ者として、周囲の殺人鬼達の衝動は素晴らしいものだと。
「でも……わたし、欲張りですの。目に入る誰も、わたしのものにしたいの」
小さく笑ったメルティアの横を、1人の殺人鬼がすり抜けるが……突如としてその動きは止まる。メルティアのユーベルコード『寵姫の瞳』が発動し、魅惑の視線が直撃した故に無意識な行動を取っているようだ。
「ねぇ皆さん、わたしの思いを汲んでくださいな。わたしも皆さんのように戦いたいの」
その言葉と同時に、殺人鬼達の動きがみるみる内に変わってゆく。それまで確実にハーベスターを殺していた殺人鬼達は最後のトドメとなる一撃をメルティアへと譲り、元気な個体へと突撃していった。
何が起こっているのか。ハーベスター達はそれぞれが警戒しつつも、大鎌を振り回しては衝撃波による無差別攻撃を行うものの、メルティアはそれを軽々と避けながら魅惑の視線をハーベスター達にも向けた。
「ねぇ、殺人鬼には負けたくないでしょう? わたしのことは気にしないで、彼らを相手してあげて?」
衝撃波を放っていたハーベスター達は魅惑の視線とともに、抗おうと必死で大鎌を振るっては殺人鬼と渡り合う。……とは言え、これまで優勢だった殺人鬼達が負けることはないため、ギリギリまで痛めつけられる側になってしまうのだが。
そんなハーベスター達へのトドメのために、メルティアは殺戮のために鍛え抜かれた鋏で一撃。人体の1番の弱点、血の巡りの良い首筋にぷっつりと鋏を差し込むと、その中にある血管をきっちりと断ち切った。
噴水のように吹き上がる血しぶきを前に、メルティアの笑顔は浮かび上がる。人間には一度しか訪れないと言われている『死』の間際を間近で見ることが出来た喜びが、表情として浮かんだ。
「いいわ……。もっと、もっと。メティに命を頂戴? 最期の瞬間をくれるなら、なんでもいいから!」
――メティの愛を受けて、最期をくださいませ!!
大成功
🔵🔵🔵
イヴ・オーガスト
ふうん、殺したいの? なら僕にしなよ、そんなのにしないでさ。その気持ちはわかるから、ほらほらこっちこっち(ひらひら【軽業】で動いて避けまわる)
で、君は、ハーベスターは、こっちね! 殺人鬼を引きつけながら暗器の【投擲】【傷口をえぐる】【部位破壊】と、指定UCで戦おう。この殺戮刃物、けっこう大振りだからある程度離れながら攻撃できるはず。殺人鬼たちあたったらごめん、でもこんなの、オブリビオン相手に優勢に戦うような君たちにはスパイス程度のことでしょ?
……でも一応殺さないようには気を付けたほうがいいかな。うん。
●殺したいなら、別のものを
「ふうん、殺したいの?」
殺人鬼の国へと降り立ったイヴ・オーガスト(執着の呼び声・f36217)は、今もなおハーベスター達を残虐に殺し回る殺人鬼達に声をかける。殺したいのならハーベスターではなく、自分にするといいと。
「え、お前を?」
「こいつらのほうが楽しいと思うんだけど……」
突然の宣言にビックリする者、殺したい相手よりも別の相手をと言われてふてくされる者、様々な殺人鬼の様相が見えたが……イヴはその気持ちを振り払うように、殺人鬼達に言うのだ。殺したいという気持ちはよく分かるのだと。
「だからこそ、僕を殺してみない? そっちよりも楽しく、殺せると思うんだよね」
軽く言い放ったイヴに向けて、殺人鬼達はそれぞれの得物を振るい殺そうとする。それを軽々と回避したイヴは、出来る限り殺人鬼との距離を付かず離れずにしながらハーベスターの処理へと向かった。
「で、君はこっちね!」
暗器を投擲しながらハーベスターの視界を自分に引き付けつつ、既に殺人鬼に与えられた傷をガッツリと抉り取って、腕や足などを破壊してゆく。
出来るだけ多数のハーベスター達を引き付けた後は殺戮刃物をぶんまわし、ユーベルコード『九死殺戮刃』を発動。金色に輝く瞳が己の中の殺戮衝動を解放させ、目の前の獲物の首と胴体を切り離す。
殺人鬼とハーベスター、両者の軍勢の波を掻き分けながら、ズタボロになるまでイヴは殺戮刃物を振り回す。腕も、脚も、胴体も、首も、すべてを等しく分離させれば蘇りの術がない限りは戻ってくることはないのだから。
しかし、現在殺人鬼達は皆殺戮衝動に飲まれ、イヴの動きをトレースして彼を追いかけている。そしてイヴはハーベスター達を倒すためぶんちゃかぶんちゃか、殺戮刃物をぶん回している。そんなイヴが突然急転換するものだから、殺人鬼の1人に殺戮刃物が当たってしまった。
「あいたぁ!?」
「あっ、ごめん。……でも、こんなのってオブリビオン相手に優勢に戦うような君たちにはスパイス程度のことでしょ?」
「んなこと言ったって、痛いものは痛いんですーー!!」
「まあ、今度から気をつけてね。殺さないように気をつけるけど、うん」
「殺されたら殺し返すだけですよーだ!!」
無限の追いかけっこは続くよ、どこまでも。
ハーベスター達の大鎌が届かない距離を、延々と。
大成功
🔵🔵🔵
小松・久秀(サポート)
サイボーグのヤクザウォリアー×ライブストリーマー、43歳の男
口調は(僕、~くん、~ちゃん、です、ます、でしょう、ですか?)
「タイガーチャンネルのタイガーです!今回のターゲットはこちら!」
「炎上上等。アカBANはナシでお願いします🙏」
「ハジくならタマ取られる覚悟しろや」
戦闘時は日本刀による斬撃をメインに殴る蹴るもします
両利きです
動画映えや撮れ高を意識して、泥臭い戦いを好みます
サイボーグなので首後ろのコネクタから有線接続でハッキングもできます
UCはどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します
流血上等、汚れ上等、連携歓迎
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
あとはお任せです
宜しくお願いします
●やっぱ時代はライブっすわ
「さあ、やってまいりましたアリスラビリンス! 実況はタイガーチャンネルのタイガーが血と涙と炎上商法でお届けいたしましょう!」
殺人鬼のはびこる国、ハーベスター達によって侵略(仮)を受けていたはずのその現場に、小松・久秀(烟る轍・f36566)は降り立つ。……ユーベルコード『グッドバッド・プレイヴァー』によって呼び寄せられた動画撮影&配信用ドローンと一緒に。
殺人鬼達も、ハーベスター達も、一瞬だけ動きが止まった。
え、なにこれ? 配信されてる? 動画にされてる? という思考が彼らの中に巡る合間に、久秀は軽快な口調で動画配信を続けていた。根性。
「今回の配信現場はなんと、殺人鬼がオブリビオンを倒す現場! いやあ、これ下手に映したら垢BANされちゃうかな? 流石にそれは勘弁してほしいんですよねえ」
背後のカメラの視点がゆらり、ゆらりと殺人鬼、ハーベスターのどちらにも動く。思わぬ闖入者に呆気にとられていたが、先に動きだしたのはハーベスター達。優勢だった殺人鬼達を蹴飛ばして、現場を立ち去ろうとしていた。
しかし、ハーベスター達を逃がすのは猟兵としてはご法度。久秀は持ち前のドスソードを構えると、ハーベスター達との距離を詰めて一気にその首と胴を切り離した。
「あっと、ちょっと危ない部分が見えちゃいましたけど、見なかったことー……には出来ないと思うので、後でモザイク処理かけておきますね~。垢BANは怖いので!」
炎上はぜんぜん大丈夫だけど、アカウントが止まるのだけは怖い。そんな感じで久秀は次々にハーベスター達を斬り伏せ、殺人鬼達よりも先に駆逐していく。
「これがですね、こうなって……こうなるんですね!」
まるで演舞をするかのような動きは、次々に動画撮影用や配信用ドローンのカメラに収められてゆく。
なお、殺人鬼達は久秀のその様相が何をしているのかよくわからなくて、動画に映り込むのもちょっと怖くてそのまま待機していたとかなんとか……。
成功
🔵🔵🔴
ロータス・プンダリーカ(サポート)
素早さが売りの格闘猫
口調は「ですにゃ、ますにゃ、ですかにゃ?」と丁寧語に「にゃ」が付く
年齢の割に子供っぽい、と言うか猫っぽい
時々猫の本能には抗えない
尻尾や耳が感情と共に良く動く
拳法と銃を組合せた武術の達人
敵の動きを読み、計算された動きで戦う
悪を許さない正義と立ち向かう勇気を持ち合わせた漢
卑劣な事は嫌いだが、相手がそれ以上の悪であれば勝つ為の奇襲や搦め手は厭わず用いる
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず積極的に行動
迷惑行為NG
公序良俗は遵守
●猫の素早さは人より早い
「なるほど、殺人鬼の方々よりも先に倒さなければオウガになってしまうわけですにゃ」
殺人鬼の国へと足を踏み入れたロータス・プンダリーカ(猫の銃形使い・f10883)は現在の状況を確認し、殺人鬼達の優勢を見てこれはまずいと感じ取っていた。
衝動を抑え込むよりも効果的なのは衝動に身を任せること。しかしそれが引き金となって別の事柄が発生してしまえば、またさらなる問題が生み出されて厄介なことになる。
今回はまさにその状況で、殺人鬼がオブリビオン・ハーベスターを複数体殺してしまうことでオウガへの変貌を遂げてしまい、また新たな問題としてオウガの処理が発生してしまう。それだけは絶対に避けなければならないわけで。
「こうなったら、彼らよりも先に動かなきゃ危ないですにゃ。ということで……」
軽く身体をほぐしたロータスはぐっと脚に力を入れて、ユーベルコード『奥義・猫虎乱舞』による飛翔能力を使ってハーベスター達へと差し迫る。突然吹き荒れた風によって殺人鬼達の身体はぐらりと揺れ、ハーベスター達が無防備となったためそこへロータスの一撃が入っていった。
一撃が入ることでそれが連鎖の引き金となり、超高速の連打がハーベスター達に入る。1体が倒れればまた次の1体へ攻撃を当てるため、ロータスの連鎖打撃が止まることはない。
「よいしょ!」
次々とハーベスター達を倒していくロータスだが、ハーベスター達だって何もしない訳では無い。
ハーベスター達にとって、近づいてくるロータスは好都合な獲物。30cmの間合い以内に入ってこなければ超威力の大鎌を振るうことが出来ないため、一撃を与える為に近づくロータスの身体を切り刻むのは難しくはない。
だが既にハーベスター達は殺人鬼によって手負いの状態となっている。そのため満足な一撃を放つことが出来ず、ロータスへの一撃はゆるいものになっていた。
「出来れば一発で倒れてくれると嬉しいんですが、そうもいかないんですにゃぁ……」
もう少し、強い一撃を与えてみようと。ロータスは何度も何度も画策する。
殺人鬼達に殺させる訳にはいかない。その思いを胸に、猫は飛び回る……。
成功
🔵🔵🔴
ティー・セツナ(サポート)
「あ˝あ˝?悪ぃな、ちょっと…暴れさせてくれよ」
凶悪な顔の新米執事
顔と口調の割には戦いは好きではない
好きではないが、得意ではある
何より執事の仕事を全うするためにも、定期的に戦ってスッキリする必要がある
そのため戦いの場では率先して前に出る
誰かを庇っているとなおさら戦いやすい気がする
どちらにせよ、ただひたすら殴り、暴れるのみ
一通り暴れたら、無表情で感謝を
「すっきりいたしました、ありがとう御座います」
戦い以外の依頼では、執事として皆のサポートを。
色々な人に仕えるのも、よい経験になると手は抜かない。でも顔はチンピラ。
●執事の仕事のために
殺人鬼の国では既に数多の猟兵達によってハーベスターの数を減らしている。残る数体ほどのハーベスター達は殺人鬼から逃げ惑い続けていたが、それももう終わりを告げようとしていた。
「あぁ、クソ……なんか暴れ足りない……」
ティー・セツナ(オウガブラッドの闇執事・f36272)はそんなハーベスター達を次々に殴っては落とし、殴っては落とし、を繰り返していた。陰ながらにハーベスター達の数が減っていたのは彼のおかげでもある。
だが彼は戦いがあまり好きではない。にも関わらずこうして戦いに出てきているのは、時々暴れたくなるからだそうだ。今回の殺人鬼達に似た衝動が彼を支配し、こうして戦いに繰り出すことに。
「まぁ……先にぶっ倒せって言われてるし、暴れるにはちょうどいいか……」
ふう、と大きくため息を付いて一呼吸。もう一度拳に力を込めて、今度はユーベルコード『一撃必殺』の力も加えてハーベスターの身体を殴る。
くの字に折れ曲がったハーベスターの身体は、ティーの拳が当たった部位から破壊されてゆく。人の身体とはなんとも脆いもので、拳の一撃を受けたハーベスター達が起き上がることはなかった。
拳を切り落とそうとハーベスター達は大鎌を振るうも、それを邪魔するのが殺人鬼達の刃。殺すのは自分だと言いたげに振るわれた刃は大鎌を払い、体勢を崩させる。
「お、ラッキー。良いサポート」
体勢の崩れたハーベスターに向け、思いっきりぶん殴るティー。人から聞こえてもいい音ではない音が聞こえてきたかと思えば、ハーベスターは一気に崩れ落ちて消滅してゆく。
こんなの聞いてない。そう言いたそうにするハーベスター達は皆、蜘蛛の子を散らすように逃げていくが……少々機嫌の悪いティーにはすぐに追いつかれてしまって、拳を当てられる。
「ふぅ……すっきりいたしました」
やがて、ティーの表情が無表情に戻る。一通り暴れまわったおかげで衝動が消え去ったのだろう、感謝の言葉を述べていた。
殺人鬼達はまだ倒し足りないという表情をしているが、それも束の間。ティーはちらりと自分の背後を見やると、殺人鬼達に向けて一言。
「もうすぐ、最上の獲物が現れますので……それを楽しみにしていると良いかと」
無表情のままに語られるその言葉は、すぐに実現する――。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『くくり姫』
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POW : 斬殺
【自身の殺気】が命中した対象を切断する。
SPD : 鏖殺
【自身の殺気】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ : 殺心
【自身の強烈な殺人衝動】を籠めた【不可視の腕】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【心】に殺人衝動を植え付け、対象の【理性】のみを攻撃する。
イラスト:稲咲
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「須藤・莉亜」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
ハーベスター達を倒し、無事殺人鬼達がオウガになることを未然に防いだ猟兵達。
殺人鬼達はまだまだ殺し足りないと喚いていたが、そのうちに殺人鬼の1人が視線をある場所へと向ける。
ある場所――殺人鬼達にとっては特に何も意味をなさない、小さな広場。
けれどその場所には赤黒い殺意をばらまく者がいた。
「あら……見つかっちゃった。せっかく、いい感じに仕上がっていたから変わる所が見たかったのだけど……」
「でも、やっぱり彼女たちじゃダメだったんですね。そうなると、私が出なければあなた達を変えることは出来そうにない」
赤黒い殺気は周囲を取り巻き、殺人鬼達の衝動を膨れ上がらせる。
どうやらこの殺気が原因で殺人鬼達は暴れたくなり、オウガ化への一歩を踏み出していた様子。
これらは全て、殺人鬼達を仲間にしたがる彼女――くくり姫の目論見。
それを知った殺人鬼達は皆、一様に叫ぶのだ。
『この姫を殺せ』と。
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プレイング受付:即時
プレイングボーナス:殺人鬼達を適度に抑えながら、共に戦う
ボス敵『くくり姫』との戦いです。
殺人鬼達に配下を殺させ、オウガにすることを目論んでいたようです。
しかし殺人鬼達が全ての真実を知ったため、「こいつ殺そうぜ!」という意識が高まりました。
ですがくくり姫は強大すぎて殺人鬼達の力だけでは倒せず、逆に殺戮衝動を高める要因となっております。連携を行うとプレイングボーナスです。
殺人鬼達は多種多様な攻撃方法を持っています。基本攻撃は殺戮刃物による斬撃が多いですが、弓や銃といった遠距離攻撃も使用できます。
猟兵達の言うことは素直に聞いてくれますので、簡易的な指示を出すとその通りに動いてくれます。
場所は引き続き殺人鬼達の国。
多少は戦闘によって瓦礫は吹き飛びましたが、まだまだ身を隠せる家屋は多いです。
殺人鬼達はこの家屋を利用してくくり姫に攻撃を行います。
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筒石・トオル(サポート)
「邪魔をしないでくれるかな」
「油断大敵ってね」
「ここは任せて」
正面切って戦うよりも、敵の動きを封じたり、属性防御を固めて盾や囮となったり、味方が倒し切れなかった敵にトドメを刺して確実に倒すなど、味方の安全性を高めるように動く。
ユーベルコード使用はお任せ。
使用しない場合は、熱線銃での援護射撃を主に行う。
人見知りではあるが人嫌いではないし、味方が傷付くのは凄く嫌。
戦うのも本当は好きではないが、誰かを守る為には戦う。
もふもふに弱い。敵がもふもふだと気が緩みがちになるが、仕事はきちんと行う……ホントだよ?
●黒い稲妻が奔る
殺人鬼達が湧き上がる中で、筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)は考える。
このまま殺人鬼達がくくり姫を殺せばくくり姫の思惑通りに殺人鬼達はオウガとなり、この世界に悪影響を及ぼす可能性がある。
かと言って殺人鬼達の衝動を抑え込むことは、現時点では難しい。ただでさえ先の戦いで猟兵達が手を出しているため、爆発寸前だ。
ならば、どうするか? 協力を得ながらくくり姫の討伐を行うことは容易いが、ただ協力を申し出るだけではきっと手を借りる必要はないと言われてしまうだろう。
だからこそトオルは1つ、殺人鬼達に質問をした。『殺す方法はどんな感じか』と。
「殺す方法? 刃物でめった刺しが1番だろう!」
「そうして、名前のとおりにくくりつけてやるのが1番じゃないか?」
「ああ、それもありかもね! 動けなくして、めった刺し!」
「なるほど、ありがとう。……それなら、皆さんには自由に動いてもらっても良さそうだ」
1つの答えを導き出したトオルは、あえて殺人鬼達の行動を制限することはなかった。それを聞いた殺人鬼達は大喜びでくくり姫を取り囲み、それぞれの得物を使ってくくり姫を攻撃してゆく。
喜び勇んだ殺人鬼達はトオルの熱線銃の射撃を援護に受けながら、次々に得物を振り下ろしてはくくり姫を切りつけてゆく。彼らの攻撃だけではくくり姫は死ぬことはないようで、平然とした様子で殺人鬼達を見つめていた。
そんな中、数人の殺人鬼達の様子がおかしくなってきた。殺人衝動をどうにかするためにくくり姫を攻撃していたはずだが、いつの間にか殺人鬼同士の切り合いへと発展しているのだ。
「っ、まずい!」
トオルは感づいた。これはくくり姫によって、殺人衝動を植え付けられていると。素早くユーベルコード『漆黒の稲妻』によって作られた鎖を操られた殺人鬼達に向けて放ち、現場より遠くへ放り投げる。長く使うことは寿命を縮める結果になるため、本当に手早く処理を済ませた。
「出来ることなら、味方は傷つけたくないからね……」
小さく呟いたトオルは殺人鬼達の援護を行いながら、的確に状況を把握してくくり姫への攻撃を続ける。
ここにいる皆を失わせる訳にはいかない。その想いを胸に秘めて。
成功
🔵🔵🔴
メルティア・ストランディ
あらあら、あなたが親玉さんですの?
随分とだらしのないお姿してますわね…
基本は殺人鬼の方々にお任せしたいのだけれど…そういうわけにはいきませんわよね
うーん、はじめましての方々と連携するのは得意じゃありませんの
出来るだけ家屋に隠れて援護に徹していただきたいわ
でないと…メティの餌食になってしまうからね♡
UC九死殺戮刃を発動、隠れ損なった殺人鬼には犠牲になってもらうわ!
メティの鋏で愛しのくくり姫様を何度でも【蹂躙】して、向けられる殺気を殺人鬼になすって、何度でも!
嗚呼、愛しのくくり姫様、メティと踊りましょ?死の舞踏を愛しの貴女と共に、この国を壊すほど愛し合いたいの♡
●殺戮の宴に、死の舞踏を
「あらあら、あなたが親玉さんですの? ずいぶんとだらしのないお姿をしてますわね……」
ずるり、ずるりと裾を引きずりながら歩くくくり姫。それを見かけたメルティアは小さく息を吐いて、これからをどうするか考えた。己の殺戮の宴を披露するのは問題ないのだが……問題は、周囲にいる殺人鬼達。
殺人鬼達の衝動はもう限界が近く、戦わなければオウガ化への道を進むことになる。しかしメルティアははじめましてな人々と連携をするのはあまり得意ではなく、彼らに前に出られても困るのだ。
「そうですねぇ……出来るだけ家屋に隠れ、援護に徹していただきたいわ。出来ます?」
「前に出ずに戦えと言うのか? 我々に……」
「ええ。……でないと、メティの餌食になってしまうから」
クスクスと小さく笑みを浮かべたメルティア。その言葉に対して反発を見せようとした殺人鬼達だが、メルティアが本気なのだと知ると全員家屋へと走り、遠距離の武器を構えてくくり姫を囲う。
「さ、くくり姫。長らくお待たせしました」
メルティアがゆるりと歩を進めると、再びくくり姫はずるり、ずるりと裾を引きずりながらメルティアへ近づいてくる。殺気さえ当てることが出来れば勝ちだ、そう言いたげに。
だがメルティアは手に鋏を構えて横へ飛び退くと、向けられた殺気を殺人鬼達になすりつけた。自分が食らうわけにはいかない。この殺戮の宴の主役は、メルティアなのだからと。
鋏を片手にユーベルコード『九死殺戮刃』を発動。死を誘うような紫の瞳が輝くと、手に握った鋏が生きているかのようにくくり姫に食らいつく。何度も何度も、服を、髪を、肉を貪り食らうように切り裂いて、姫の身体に無数の切り傷を作り上げた。
「嗚呼、嗚呼! 愛しのくくり姫様、メティと踊りましょ? 死の舞踏を、愛しの貴女と共に……この国を壊すほどに、愛し合いたいの!」
明るく、陽気に、しかし残酷に笑うメルティアの姿はまさに殺戮の宴を作り出す主そのもの。自分とくくり姫だけの舞台、血に濡れた宴は終わりを知らずに続く。
赤く、紅く、朱く、塗り替えられた殺人鬼の国。
そこに散らばる跡は、恐るべき宴が開かれたことだけを残していた。
大成功
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イヴ・オーガスト
連携か、あんまり考えたことないな。遠距離攻撃の人には退路を塞ぐように制圧射撃してもらって、近距離攻撃の人とは足並みを揃える。かな。暗器を使って罠でも置いとくか(【罠使い】)。そんなに時間に余裕があるとは思えないけど、あれば。
小さいターゲットじゃ面白くないでしょ、と挑発しつつ、敵の後ろに回って(【早業】【敵を盾にする】)指定UCを使用。殺人鬼たちのためにね。
あとは切るだけだよ。みんな得意だよね? 僕も同じくらい得意だ。もうみんなに攻撃してもらって、僕は暗器の【投擲】だけでもいいかなあ。連携の関係上逃がしちゃいけないからね。
●適材適所の戦い方
「連携か……あんまり考えたこと無いな……」
イヴは悩んだ。殺人鬼達との戦いはどのように工夫すれば良いか、また連携を取るにしてもどのような動きで自分が動けば殺人鬼達の動きを阻害しないか。様々な考えが瞬時に浮かぶ。
くくり姫はそんなイヴと殺人鬼達に近づこうと、ずるり、ずるりと裾を引きずって歩き出す。殺人鬼達をオウガにしてみたいという欲求のもとに動く彼女を、早く殺そうと叫ぶ殺人鬼達もいる。
「ならば、遠距離攻撃の人は退路を塞ぐように制圧射撃を。近距離の人は僕と足並みを揃えて。出来るだけ僕は君たちの邪魔をしないように、くくり姫を抑え込むよ」
その言葉と同時、イヴは一気に距離を詰めてくくり姫の周囲を走る。そうすることで暗器による罠の仕掛けを見破られにくく、またイヴの動きを読まれないようにする目的を作り出していた。
しかしそれだけではくくり姫を挑発するには弱く、彼女を罠にかけるのは難しい。そう考えたイヴは、殺人鬼達にも聞こえるように大声で挑発の言葉をぶん投げた。
「小さいターゲットを追いかけるだけじゃ、面白くないでしょ? だから――」
だから、と言葉を終わらせたイヴはくくり姫の背後に周り、彼女を盾に取りながらユーベルコード『咎力封じ』を発動。くくり姫に向けて手枷、猿轡、拘束用のロープを放つことで彼女の動きを封じ、殺気を出しても怖くないように縛り付けておいた。
むぅ、むぅ、と何かを言おうとする声が聞こえる。猿轡によって口を封じられたくくり姫は、殺気を使って殺人鬼達を破壊していくが、思った以上に力を抑え込まれているせいで完全なる破壊とまではいかない。
そんなくくり姫を前に、イヴはくるりと振り向いて殺人鬼達に声をかけた。あとはこちらの手番のみだ、と。
「あとは切るだけだよ。みんな、得意だよね?」
柔らかに微笑んだイヴの問いかけに、殺人鬼達は嬉々とした答えを返してくれた。そんな様子に彼らを邪魔する訳にはいかないと、イヴは一歩下がって殺人鬼達にくくり姫を譲る。
残酷に切り裂かれるくくり姫は、殺人鬼達の一撃を受けてもなお生き残る。
そんな様子にイヴは静かに、そして的確に暗器の一撃を叩きつけた。
「みんなの攻撃だけでも十分だと思うけど……まあ、連携の関係上逃しちゃいけないからね」
小さく呟いたイヴの手元からどんどん投げ込まれる暗器。その数は、殺人鬼の数にも引けを劣らなかったそうだ。
大成功
🔵🔵🔵
ソフィア・エーデルシュタイン(サポート)
わたくしは愛され望まれたからこそ生まれてきましたのよ
だからこそ、わたくしはこの世の全てが愛しいのですわ
狂気的な博愛精神の持ち主
命あるものは救われるべき
蘇った過去はあるべき場所に還るべき
果たすためならば手を下すことに躊躇う必要などないと胸を張る
主に【煌矢】を使用し、牽制や攻撃を行います
勿論、他のユーベルコードも必要があれば使いますわ
わたくしの愛するきょうだいである水晶髑髏は、盾にも刃にもなってくれますのよ
怪我など恐れる必要はありませんわ
わたくしが役に立てるのであればこの身が砕かれようとも構いませぬ
他の方の迷惑や公序良俗に反する事は致しません
それは、わたくしを愛してくれる人達への裏切りですもの
●愛するからこそ、死なせない
既に幾人かの猟兵達によってくくり姫はほとんど息も絶え絶えだ。あとは殺人鬼達の一撃さえ通れば、倒れるというほどに弱りきっている。
だが曲がりなりにも大軍を率いるほどの強さを持つオブリビオン。猟兵の力を持たないだけの殺人鬼達の攻撃では、僅かな傷しか与えられないようだ。
「――届きなさい、穿ちなさい、……貫きなさい」
ソフィア・エーデルシュタイン(煌珠・f14358)は支援のために、ユーベルコード『煌矢』で氷属性の青玉髄の楔を射出していた。愛する者たち、すなわち殺人鬼達を守るためにくくり姫の一撃を受けながらも、己の心に植え付けられた殺人衝動を振り払うように575本もの楔を雨のように振らせた。
「わたくしのことは気にしないで。さあ、皆様の衝動の赴くままに」
殺人鬼達の一撃と同時に降り注ぐように楔を的確に操るソフィア。くくり姫を斬りつけるタイミングにも、くくり姫の攻撃から守るタイミングにも合わせ、殺人鬼達が上手く衝動を発散できるように攻撃を繰り返していた。
やりやすい、と誰かが声を上げた。
楽しい、と誰かが声を上げた。
そのどれもが殺人鬼達からの声であり、ソフィアはその声に対して笑みを浮かべる。
命あるものは救われるべき。その理念に基づいて助けに向かってみたら、オウガになろうと無理矢理に殺人衝動を引き起こされた者達が戦っている。
それを発散させない限りは彼らのオウガ化が近づく一方。もしオウガとなってしまえば、それは生きていても死に等しい。
故にソフィアは彼らのやりやすいように、青玉髄の楔を打ち込むことにした。彼らを生かすため、オウガへと至らせないために。
「まだまだ楔は残されていますわ。さあ、皆さん、思う存分戦ってくださいな!」
青く輝く、麗しき博愛の彼女は指揮する。
殺人鬼達という愛する者達を死なせないために。
成功
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大空・彼方(サポート)
《アドリブ、連携、苦戦描写、UC詠唱変更、その他何でも歓迎です》
「はじめまして。今回バックアップに回る舞姫です。未熟者ではありますがなんなりとご用命ください。」
UDC組織に所属する新人猟兵。戦闘経験は豊富。
一人称:私
口調:敬語で機械的
性格はクールでマイペース。そしてドがつく程の面倒くさがり。一見、常識人で冷静沈着に見えるが、どこか天然なところがある。獲物は日本刀。
前衛であれば未来視を用いて舞うように敵の攻撃を引き付けながら隙を伺う。
後衛では異界召喚により援護と回復役をこなす。
UCは指定した物をどれでも使用可能。基本的に情報を収集し、慎重に行動。命令や指示には忠実に従い他の猟兵をサポートします。
●姫と姫の絢爛舞踏会にて
殺人鬼達の衝動は徐々に発散され、残るはくくり姫を倒すのみとなったその時。戦場に現れるは己を舞姫と称する者――大空・彼方(眠れる神の巫女・f33087)の姿。殺人鬼達はその姿に少々驚く様子を見せたが、やることは変わりないからと彼とともに戦う。
「衝動のままに戦う方々と共に戦う時の作法を知らないので、ちょっと面倒ではありますけれど……これも勉学の一つとして受け入れることにします。さあ、残る一撃を与えましょう」
ユーベルコード『異界召喚・屍姫』を用いて不死の女王の霊を呼び寄せると、くくり姫の生命力を操作して殺人鬼達に分け与える。これまでの戦いで消耗しきっていた殺人鬼達の体力を再び戻すということは、好きなように戦う機会を与えたということでもあるわけで。
だが、くくり姫は最後の最後、残る力を振り絞って彼方へ向けて不可視の腕を放つ。自身の強烈な殺人衝動を込めて彼方の心に殺人衝動を植え付けることで暴走を促したようで、少しだけ彼方の目の前がぐらりと揺らぐ。
「くっ……!」
己に植え付けられた殺人衝動が、辺りに散らばる者達を殺せと囁きかける。殺人鬼達を殺せと、自分が呼び寄せた女王の霊を殺せと、見知らぬ自分が囁きかけるように頭の中をかき混ぜる。
それでも自分が自分でいる事が出来たのは、自分が舞うように戦っていたから。『舞姫』の名を冠する者として、その名に恥じぬように華麗に舞ってはくくり姫を特殊なワイヤーで切りつけていた。
「私は舞姫……、名を汚すようなことはあってはならないのです!」
くくり姫を名のとおりにワイヤーでくくりつけ、骨に到達するほどの強さでぎっちりと巻きつけ身動きを止める。その隙に殺人鬼達がありとあらゆる武器を用いて、くくり姫を痛めつけた。
彼方の前で行われたのは、姫と姫の絢爛舞踏会を血で染めるような退屈なショー。
刺殺、射殺、縊殺、殴殺、絞殺、斬殺、焼殺……ありとあらゆる殺人鬼の殺戮ショーが目の前で広げられ、そのどれもがくくり姫を致死に至らせるほどの痛みを与えていた。
「……けれど、あなたは死なない。オブリビオンというのはそういうものだから」
小さく呟いた彼方は殺人鬼達の殺戮ショーの合間に一つ、刀を構えた。
最後に決めるのは、舞姫の一撃のみ。それを知っている彼方は柄を握り、くくり姫の身体を横切るように大きく振り払って――。
●衝動は晴らされる
「んん……?」
「あれ、もう終わった感じ?」
「ふわぁ……疲れたぁ」
くくり姫の死と同時、殺人鬼達の衝動は全て無くなった。
どうやらくくり姫から溢れていた殺気によって彼らは衝動を揺り動かされ、許容量ギリギリの活動となっていたようだ。
原因であるくくり姫が倒れたことにより衝動のブレは無くなり、普段どおりの彼らの姿が見受けられる。……一部は国の状態がとんでもないことになっていると驚いており、自分達がやった、という思考には至らなかったようだ。
ともあれ、これにて殺人鬼の物語は一旦はおしまい。
同じように殺人鬼達の衝動を爆発させようとする者が現れたなら、再び、彼らは同じ事を繰り返すのだろう。自分達の家を犠牲にして。
成功
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