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銀河帝国攻略戦⑯~魂縛のニンナナンナ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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#銀河帝国攻略戦


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 ――通信より不意に、優しく澄んだ子守歌が響いて来た。
 銀河帝国との激しい戦争の真っ只中であると言うのに、その歌は、漆黒の宇宙を包み込むように――もう何もかも忘れて、ゆっくりお休みと囁くように、解放軍の宇宙船のそこかしこで美声を響かせる。
『――さあ、ねないこだれだ』
 ああ、宇宙船のクルーが、解放軍の兵士たちが――次の瞬間、まるで糸の切れた人形のようにして崩れ落ち、深い眠りへと導かれていった。
『もう戦わずとも良いの、さあ永遠の眠りへ』
 ――それでも宇宙は、星の瞬きを繰り返し其処に在る。

 難攻不落の帝国大要塞『エンペラーズマインド』を突破した『解放軍』は、帝国旗艦『インペリウム』を目指し快進撃を続けている。しかし、其処へ立ちはだかるのが、黒騎士アンヘル配下の『クライングシェル』艦隊であった。
「大変なんだよー! この艦隊が妨害を仕掛けて来ていて、解放軍が行動不能状態に陥ろうとしてるんだ!」
 狐耳をぴょこぴょこ、両手をぱたぱたさせた篝・燈華(幻燈・f10370)は、一大事なのだと猟兵たちに告げて、この妨害攻撃をどうにかして欲しいのだと作戦を説明した。
「クライングシェルは洗脳音楽通信を送って、解放軍のひと達を精神攻撃してるんだ! 僕の知ったところだと、子守歌のような音楽を放送して、それを聴いたひとが昏睡状態に陥ってしまってるみたい……」
 電子戦に長けた、音響洗脳型電子戦艦『クライングシェル』――遥か昔の戦いでも、この洗脳音楽通信によって『伝説の解放軍』を混乱の渦に叩き込んだと言われているだけあって、一筋縄ではいかないようだ。
 しかし、対抗する手段はあるんだ、と燈華は拳を突き上げる。
「音楽には音楽の力で! 僕たち猟兵の音楽で、この洗脳音楽通信を打ち破るんだよっ!」
 燈華の話によると、この『洗脳音楽通信』に対抗するために、芸能船の放送設備を増強したので、そこで猟兵による音楽放送を行うことになったのだと言う。
 と言うのも、猟兵以外の人々は直ぐに洗脳音楽通信の影響を受けてしまう為、対抗して音楽を奏でることは出来ない――この任務は、猟兵しか行う事が出来ないのである。
「行動不能になった解放軍を立ち直らせて、希望を与える為に。宇宙に思いっきり思い思いの歌を響かせちゃおー!」
 激しいビートで魂を揺さぶる、或いは超絶的な技巧で聴く者を圧倒させる――もしくは心に響く歌声で、感情を揺り動かすも良し。
 戦うだけが戦争じゃない――それに、音楽を戦争の道具に使って、誰かを苦しめることなんてあってはならないから。
「準備が出来たら放送開始だよ。みんな、頑張っていこうね!」


柚烏
 柚烏と申します。音楽の力で戦争に立ち向かうシナリオと聞いて、思わず前のめりになってしまっております。音楽にこだわりのある猟兵さん、戦う以外の方法で戦争に立ち向かいたいと言う猟兵さん、是非是非どうぞです。

●シナリオフレームについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●プレイングの注意点について(重要)
 現実に存在する楽曲の曲名や歌詞、替え歌等が記載されているプレイングは採用できません。

 以上、ライブを盛り上げて敵の洗脳音楽を打ち破って下さい。シナリオの特性上、成功条件を達成した段階でプレイングを締め切る予定です。それではよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『洗脳音楽通信を撃ち破れ!』

POW   :    激しいビートで、魂を揺さぶり、洗脳音楽通信の影響を撃ち破る。

SPD   :    超絶的な技巧で、聴く者を圧倒して、洗脳音楽通信の影響を撃ち破る。

WIZ   :    心に響く歌声で、感情を揺り動かして、洗脳音楽通信の影響を撃ち破る。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ユウカ・セレナイト
※歌の詳細も含め、アドリブ・アレンジOKです

【WIZ】
音楽でと。
なら、勿論、応えないのは嘘というものでしょう
だって、ええ、だって――
私は、すべての人々の未来のために歌うともう決めているのだから
何より、音楽は心を豊かにするもの、希望や夢や幸福を与えるもの
戦いを引き起こす為の音楽なんて、許してはおけないわ

であれば、さあ!
歌いましょう、人々の希望を旋律に乗せて!

「私」――ヴィオラの調べに乗せるのは
未来への希望を語る歌
これから訪れる平和な宇宙の光景を
そこに在る見果てぬ夢を、希望を
……それを齎す力となる覚悟とともに、高らかに歌い上げましょう

誰の心にもこの旋律が届けばいい
私は、その為に生きているのだから


シャルファ・ルイエ
歌って、聞く人を楽しい気持ちにさせたり、癒したり、大事な何かを伝えたりする為のものです。
眠りや夢だって体や心を休めるためのもので、こんな風に使うものじゃありません。
ぐっすり眠った後には楽しみに思える明日が待ってる筈だって、きっと誰だって信じていたいです。

眠るのは気持ちがいいですけど、眠っているのが勿体ない時もありますよ。
そう、例えば流れ星の夜とか!
疲れて転寝をした後、起きたら目の前に満天の星が広がっていた時みたいな歌に【星が降る歌】を乗せて歌います。
遠くまで響くように全力で。『歌唱、全力魔法、範囲攻撃、楽器演奏、救助活動、祈り』
歌が届くなら、戦艦に流星が落ちたりすることもあるかもしれませんし。


サラ・カトレット
そう、歌は誰かを傷付けるものなんかじゃない
皆に勇気や感動を与えてくれる、素敵な物でないといけないんです!
私は歌手ではないし、まして作詞の才能なんか…
けど、それでも…!

【WIZ】(優しさ・歌唱)
♪暗く深い闇の中 例え冷たい孤独の中でも
心静かに自分を見つめ 懐かしい声に耳を傾けて
思い出して 大切な人 守りたいもの
全てを投げ出し何もかも忘れてしまうというの?
その力は何の為 戦う理由は何の為?

【UC発動:友愛の歌】
貴方は一人じゃない 貴方を想う者達はすぐ傍に
さあ目を覚まして 光射す道標へ
今一度立ち上がり 手を取り合い未来へ♪

…皆さん、どうかまやかしの希望なんかに負けないで!
私達と一緒に戦って下さい!



 銀河帝国攻略戦で、次々に勝利を重ねる解放軍――しかし其処へ、音響洗脳型電子戦艦『クライングシェル』が妨害工作を行ってきた。
 嘗ての解放軍をも大いに苦しめたと言う洗脳音楽通信は、ひとの精神に直接攻撃を仕掛けると言う厄介なもの。常人ならば成す術もなく屈したであろうが、世界の加護を受けた猟兵ならば、これに抗うことが出来る。
 ――それに何より、音楽を愛するものならば尚のこと。ひとを傷つけ戦争の道具に歌が使われるなど、見過ごせる訳がないのだ。
「歌って、聞く人を楽しい気持ちにさせたり、癒したり、大事な何かを伝えたりする為のものです」
 銀河を渡る数多のスペースシップ――その中の芸能船に特設されたステージの上で、シャルファ・ルイエ(謳う小鳥・f04245)が澄んだ声を響かせる。
 今もなお解放軍の艦隊には、意識を刈り取る魔性の子守歌が響いているのだろう。けれど本来、眠りや夢は体や心を休めるためのもので、こんな風に使うものじゃないのだとシャルファは訴えた。
「……ぐっすり眠った後には、楽しみに思える明日が待ってる筈だって、きっと誰だって信じていたいです」
 そう、歌は誰かを傷付けるものなんかじゃない――おっとりした様子でステージに立つ、サラ・カトレット(夢見る乙女・f06458)もまた、桃花で飾られたマイクを握りしめて、精一杯の想いを仲間たちに伝える。
「歌は皆に勇気や感動を与えてくれる、素敵な物でないといけないんです!」
 自分は歌手ではないし、まして作詞の才能なんかとサラは怯みそうになるけれど、それでも――人を助けることが出来るのなら、と。その一心で立ち向かうことを決めた彼女に、ユウカ・セレナイト(すべての夢見る者たちへの賛歌・f13797)は柔和な笑みで以って応えた。
「……音楽でと。なら、勿論、応えないのは嘘というものでしょう」
 だって、ええ、だって――飴色のヴィオラを手に、ユウカの銀月を思わせる瞳が、漆黒の宇宙をきりりと見据える。
「私は、すべての人々の未来のために歌うともう決めているのだから」
 ――何より、音楽は心を豊かにするものであり、希望や夢や幸福を与えるもの。戦いを引き起こす為の音楽なんて、許してはおけないのだと言う矜持が、ユウカの旋律に確かな力を宿していった。
「であれば、さあ! 歌いましょう、人々の希望を旋律に乗せて!」
 直後、万華鏡のような光が舞台を極彩色に染め上げていき、少女たちの可憐なステージが幕を開ける。ユウカの奏でるヴィオラの調べ――月響の奏律に乗せるのは、未来への希望を語る歌。
(「これから訪れる平和な宇宙の光景を、そこに在る見果てぬ夢を……希望を」)
 幾星霜を経ても曇ることなく、世界に音色を響かせるその楽器こそ、ヤドリガミであるユウカの本体であり。百年もの時を経て、その胸に有り続けた旋律を――そこに込められた願いと祈りを、彼女は余すところなく歌い上げるのだ。
(「……それを齎す力となる覚悟とともに、高らかに」)
 そんな優しい旋律に導かれながら、サラも溢れ出す想いを言葉に代えて、ノイズのように襲い掛かる妨害音楽に立ち向かっていった。
「――暗く深い闇の中、例え冷たい孤独の中でも。心静かに自分を見つめ、懐かしい声に耳を傾けて」
 異国情緒溢れるディアンドルのスカートが翻り、軽やかに歌うサラがステージを駆けていく。
「思い出して、大切な人、守りたいもの――全てを投げ出し、何もかも忘れてしまうというの?」
 ――ああ、その力は何の為、戦う理由は何の為? サラの歌声に対抗して、スピーカーから響く子守歌も声量を増していったが、此処で挫ける訳にはいかなかった。
「貴方は一人じゃない――貴方を想う者達はすぐ傍に。さあ目を覚まして、光射す道標へ」
 心安らぐ優しい歌――友愛の歌と共に、サラの相棒である風の精霊が舞うと、観客席に横たえられていた重篤だったひとびとの目がうっすらと開き、次第に意思の光を取り戻していく。
「――今一度立ち上がり 手を取り合い未来へ」
「そう、眠るのは気持ちがいいですけど、眠っているのが勿体ない時もありますよ。……例えば流れ星の夜とか!」
 ――そして、其処で曲調が一転した。金の星と月長石が煌めくチョーカーを揺らし、幻想的なシャルファの歌声がフィナーレに向けて、一気にステージを盛り上げる。
「疲れて転寝をした後、起きたら目の前に満天の星が広がっていた――そんな光景に出会えたら、素敵ですよね」
 さあ――空を見て、手を伸ばして。今なら星にだって手が届くから。シャルファの歌は本当に、星が降ってくるかのように力強い。
「ほら、歌が届くなら、戦艦に流星が落ちたりすることもあるかもしれませんし」
 遠くまで響くように全力で歌う、そんな彼女の視線の先で、きらりと流れ星が光り――直後、閃光と同時に妨害放送から爆発音が響いてきた、ような。
 ――いや、まさかね?
「……皆さん、どうかまやかしの希望なんかに負けないで! 私達と一緒に戦って下さい!」
 しかし、敵の放送が途切れた瞬間を見逃す訳にはいかない。サラがひとびとを鼓舞する中で、ユウカは生きるもの全ての想いを未来へ繋ぐ為、ヴィオラの音色を宇宙へと響かせる。
(「誰の心にもこの旋律が届けばいい。私は――その為に生きているのだから」)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宙夢・拓未
POW

重低音のドラム、ベースをバックに
エレキギターを奏でつつ
熱くてロックな雰囲気の曲を歌う

▼歌詞
I am Liberation Army!
Who are you?
Yes! We are Liberation Army!

さあ! 起き上がれ!
さあ! 立ち上がれ!
寝ている場合じゃないぜ!

今日は何の日だ?
今何してる?
戦争の只中だ!

Let's liberate!
今、俺は戦う

Let's liberate!
皆も戦う時だ!

I liberate you!
さあ……今こそ
――メ・ヲ・サ・マ・セ!

I am Liberation Army!
Who are you?
Yes! We are Liberation Army!


セリオス・アリス
アドリブ歓迎
明智・珠稀と同行

俺自身歌を戦うのに使いまくってるが…
あっちが使うのはなんか腹立つしな
問題は何を歌うかだが…
おい珠稀、お前なんか楽器できるか?

黒基調ファンタジーの王様風アイドル衣装マントつき
に着替え
映像も届くならいいし
そうじゃなくてもまあ形からってな

Are you ready?
低く囁き
短く息を吸って歌いだし
敵の音楽なんかより俺の歌を聞けと誘惑するように

徐々にスピードをあげる
珠稀をチラッとみて
遅れるなよとアイコンタクト

眠気になんざ負けてんじゃねえぞ?
さあ目ぇ覚ましやがれ!
激しくなるピアノに合わせて力強く歌いあげる
見てるやつがいるなら風の魔力をまといマントを靡かせ
見た目も楽しませる


明智・珠稀
※アドリブ大歓迎
※セリオス・アリスさんと共に

セリオスさんとご一緒…!(恍惚)
楽器は…そうですね(衣装を見)
芸能船の方、ピアノはお借りできますか?
※ファンタジーの騎士風アイドル衣装・マント付きに【早着替え】色は青

衣装に着替えると更に気分が上がります…!
しかもセリオスさんの歌声を誰よりも近くで…!ふふ
「さぁ皆様、お目覚めください…見逃してはなりません…!」

■行動
白く長い指を滑らかに動かし、美しいピアノの旋律を紡ぐ
徐々に情熱を増しテンポアップ

アイコンタクトには(お任せください…!)と笑み
艶やかに、また力強く歌うセリオスさんに合わせ
【サウンド・オブ・パワー】を駆使し
寄り添うような愛を込めたコーラスを


リル・ルリ
*アドリブ、絡み歓迎

「おや、僕の歌を聴く前に眠るなんて
勿体ないぜ。ほらほら余所見はいけないよ。お昼寝はお終いだ」
それとも目覚のキスが必要かい?

【空中戦】を組み合わせ【パフォーマンス】ステップ踏めないかわりに鰭を翻してリズミカルに舞い踊り、魅せて
目覚を促し導くように明るく声を張り上げて全力で歌う
視線を捉えたなら離さない
【歌唱】を駆使して歌う【凱旋の歌】を君の心に魂に届けてあげる!
歌は僕の全てだから僕の想いも技術も全てをのせる舞台を魅せよう

寝てる子も飛び起きる極上の歌を聴かせて身も心も圧倒してあげるから、覚悟して

ほら、目覚めたならば笑ってご覧
歌ってご覧!
さぁ、一緒に!
世界は君の目覚めを待っている!



 芸能船では、尚も『クライングシェル』艦隊との熾烈な攻防が繰り広げられていた。増強した船の放送設備は、ステージで奏でられる猟兵たちの音楽を、妨害攻撃で苦しむ解放軍の船団へ一斉に届けているのだ。
「ふ、ふふ……私達の姿が、何百もの人々の熱い視線に晒されると思うと……しかもセリオスさんとご一緒に……!」
 舞台の上でライブの準備を行う、明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)が、恍惚とした表情でそう呟くと――彼とデュオを組むことになった、セリオス・アリス(黒歌鳥・f09573)は、ああいつもの変態が居るなと言うように溜息を吐いた。
(「俺自身、歌を戦うのに使いまくってるが……あっちが使うのはなんか腹立つしな」)
 その繊細な美貌に反し『殴れば大体の敵は死ぬ』を信条とするセリオスだが、これでも一応、神秘の歌い手たるシンフォニアだったりするのだ。
 問題は、何を歌うかだが――演奏を担当する珠稀に合わせた方が良いと判断し、何か楽器は演奏出来るのかとセリオスが問えば。
「楽器は……そうですね。芸能船の方、ピアノはお借りできますか?」
 そんな珠稀の要望に応え、辛うじて洗脳音楽に耐えていたスタッフの一人が、舞台の上にグランドピアノを設置してくれたようだった。
「まあ形から入ろうって思ってたが……そうか、映像も届くのか」
 ――そして、此方のライブが映像として放送されると知ったセリオスは、改めて自分の衣装を見つめて気合を入れる。それは黒を基調とした、ファンタジーの王様風アイドル衣装であり――青を基調とした、珠稀の騎士風衣装とは対になっていた。
「ふふ、衣装に着替えると更に気分が上がります……! しかも本番では、セリオスさんの歌声を誰よりも近くで……!」
 見事な早着替えを行い、開始前からパフォーマンスを決める珠稀にアイドルの資質を見出したのも束の間。直後に囁かれた台詞で、鳥肌が立ちそうになったセリオスである。
 ――ともあれ、勢いを取り戻してきた敵の妨害放送に対抗するべく、猟兵たちの熱いステージが開幕した。
「……Are you ready?」
 低く囁くようなセリオスの声がマイクを震わせると同時、舞台の背後で派手なスモークが噴き上がる。重低音のドラムとベースをバックに、曲のイントロを印象づけるのは宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)の奏でる高速のギターリフだ。
「I am Liberation Army! Who are you? Yes! We are Liberation Army!」
 眩いばかりの光の洪水を浴びながら、拓未は熱く燃え滾るロックを解放戦線に届けていく。俺は俺だ、と己の魂を旋律に乗せる拓未は高らかに――自分たちは解放軍なのだと宇宙に知らしめるように、一際甲高い絶叫を響かせた。
「おや、僕の歌を聴く前に眠るなんて勿体ないぜ。……ほらほら余所見はいけないよ。お昼寝はお終いだ」
 ――更に、目まぐるしく変わる色彩の海を泳ぐようにして、銀細工の歌声と共にリル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)が姿を現わす。お伽噺の世界から抜け出してきたかのような美貌の人魚は、宙を踊るが如く華麗なパフォーマンスを決めた後、ステップを踏む代わりに月光ヴェールの尾鰭を揺らした。
「……それとも目覚のキスが必要かい?」
 囁く少年の声は、魔性の子守歌に囚われたひとびとの目覚めを促し、導くように。映像越しに手を差し伸べるリルはそのまま、リズミカルに踊り、魅せて――視線を捉えたなら離さないとばかりに、玻璃細工の水槽に腰掛けつつ歌声を届けていった。
「さあ! 起き上がれ! さあ! 立ち上がれ! 寝ている場合じゃないぜ!」
(「そう、敵の音楽なんかよりも俺の歌を聞け――」)
 力強い拓未の歌声に続いて、セリオスもまた短く息を吸った後、聴衆を誘惑するように歌い出す。優雅にマントを翻し、徐々に歌うスピードを上げていくと――珠稀の奏でるピアノの旋律も次第に情熱を増し、テンポアップを繰り返して追従していった。
(「遅れるなよ」)
(「お任せください……!」)
 ちらりとセリオスがアイコンタクトを送れば、白く長い指を滑らかに動かす珠稀が微笑んでいて。共感したものの力を高める歌声へ、寄り添うような愛を込めてコーラスを響かせると、辺りには艶やかな青薔薇の花弁が降り注いでいく。
「今日は何の日だ? 今何してる? 戦争の只中だ!」
 ピアノを基調とした歌から一転――主旋律は再び拓未のロックと入れ替わり、ステージの上に熱気が立ち込めていった。
「Let's liberate! 今、俺は戦う――Let's liberate! 皆も戦う時だ!」
 髪を振り乱しながら、スタイリッシュにエレキギターをかき鳴らす拓未の歌声は、シュプレヒコールの波を解放軍に齎し――音楽による洗脳から目覚める時だと、ひとびとの心に警鐘を鳴らす。
「さぁ皆様、お目覚めください……見逃してはなりません……!」
「眠気になんざ負けてんじゃねえぞ? さあ目ぇ覚ましやがれ!」
 ――高まるボルテージに、珠稀のピアノも激しくなっていって。風の魔力を纏ったセリオスは、マントを派手に靡かせると、更に力強い歌声を宇宙に届けようと喉を震わせた。
(「ほら……寝てる子も飛び起きる極上の歌を聴かせて、身も心も圧倒してあげるから、覚悟して」)
 明るい様子で声を張り上げたリルが紡ぐのは、心を昂らせ希望と勇気を喚ぶ、凱旋の歌――君の心に、魂に届けてあげると想いを込める彼は、全てを歌に託して舞台を魅せるべく宙を舞った。
「I liberate you! さあ……今こそ――メ・ヲ・サ・マ・セ!」
 ――直後、玻璃の水槽が粉々に砕け散り、人魚の少年は万華鏡の光が踊る煌びやかな世界へと飛び込んでいく。ほら、目覚めたならば笑ってご覧、歌ってご覧――次々に呪縛から解放されるひとびとに微笑むリルに続き、繰り返される拓未のフレーズが、ノイズ混じりの妨害放送を一気に押し流していった。
「さぁ、一緒に! 世界は君の目覚めを待っている!」
 ――I am Liberation Army! Who are you? Yes! We are Liberation Army!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

バレーナ・クレールドリュンヌ
【WIZ対抗】

【心】
この洗脳音楽、
わたしの歌と同質の物かもしれないわ。
もし、同じだとしても、わたしは知っている。

『誰が為に紡がれる歌に、心は宿る』

【歌】
UCを曲目に。

わたしの歌は甘い蜜の香りのように感情を呼び覚ます、
同じ子守唄でも、怖い夢から醒めた幼子が、もう一度、優しい微睡の中、健やかで優しい夢へと渡れるような、甘い旋律。

心から望む安らぎを。
瞼を塞ぎ、虚無の黒に染める歌には届かない、
暖かな微睡を、安心して人が眠る事の出来る、優しく見守る月の光のように。

偽りの子守唄を流すものよ、あなたも還りなさい、
この子守唄をレクイエムの代わりにして。

【終】
セイレーンはその声だけを観衆に残して。

●アドリブOK


ティア・レインフィール
歌は人を癒し、楽しませるもの
本来なら戦いに利用してはいけないのでしょうけれど……
人々を守る為、私は戦うと決めたのです
その為ならばこの歌声が枯れ果てるまで、歌い続けましょう

神に【祈り】を捧げ【シンフォニック・キュア】による聖歌を
【破魔】の力を込めて【歌唱】します
どんなに深い闇夜でも星と月
そして神は見守っていて下さるのだと、優しさを謳って

これでは足りないと思えば、右耳の耳飾りの青石を指先で掴んで
……お母様のようには、歌えないけれど

決意を固めて歌うのは、母から教わった古の歌
紡ぐ言葉は母亡き今、理解出来るのは私だけ
それでも、想いは通じると信じて
夜の果てに朝は来るのだと、希望を紡ぎましょう


東雲・咲夜
皆さん、すごい…うち、あないに綺麗に歌えるやろか
心配で震えてきてしもた
うちの歌は神様を下ろす為のもの
せやけどいまは、唯この想いを届けたい
できるやろか…

…ううん、今は精一杯やるしかあらへん
溢れる願いは平和な世を祈り
胸の前で指を組み、喉を震わせ、蝶々たちを放ちます

広がる海、澄んだ空、瞬く星、揺れる花々
大地の感触、水の冷たさ、空気のやわらかさ、木々の香り
そして、貴方の温もり…
そう、私は此処に生きている
果てない世界の片隅で貴方に出逢えた奇跡がここにある
ありがとう、生まれてきてくれて
私の未来を紡いでくれて
全てが、愛しくかけがえのない世界ーー

嗚呼、涙が止まらへん
それでも、湧き上がる想いは全て歌へと籠めて…



 猟兵たちの奏でる音楽が、解放軍を侵食する洗脳を打ち破り、新たなる希望を与えていく――ステージの上で繰り広げられる圧巻のライブとパフォーマンスに、東雲・咲夜(桜歌の巫女・f00865)の鼓動は高鳴り、何とも言えない感慨が胸を満たしていた。
「皆さん、すごい……うち、あないに綺麗に歌えるやろか」
 心配で震えてきてしもた、と呼吸を落ち着けようとする彼女へ、安心させるように微笑むのはティア・レインフィール(誓銀の乙女・f01661)。歌は人を癒し、楽しませるもの――禁欲的な修道服に身を包んだティアは、全てのものを慈しむまなざしを向け、茨の道を歩むが如く強い意志を抱いて告げる。
「本来なら戦いに利用してはいけないのでしょうけれど……人々を守る為、私は戦うと決めたのです」
「……うちの歌は、神様を下ろす為のもの。せやけどいまは、唯この想いを届けたい」
 そんなティアの熱意に背中を押され、咲夜もまた己の意志をはっきりと唇に乗せて。未だ最後の足掻きを見せている敵軍の妨害放送にそっと耳を傾けつつ、バレーナ・クレールドリュンヌ(甘い揺蕩い・f06626)は何処か達観した様子で泡沫の声を響かせた。
「この洗脳音楽、わたしの歌と同質の物かもしれないわ」
 ――それはまるで、魂に安寧を齎す波音のような。抗いがたい安らぎは、幸せの裡に聴くものの自由を奪っていく残酷なもの。魔性の子守歌はなるほど、伝承に謳われる海の魔女――セイレーンのようだ。
「……もし、同じだとしても、わたしは知っている」
『誰が為に紡がれる歌に、心は宿る』――遠い異郷、遥かな宇宙の果てに流れ着いた美しき人魚は、波間に躍る白銀の髪をゆったりと躍らせながら、洗脳に対抗するべく歌をうたい始めた。
(「わたしの歌は、甘い蜜の香りのように感情を呼び覚ますもの」)
 ――伴奏も要らない、ただ声があればいい。歌の持つ純粋な響きを極限まで凝縮したような、宝石の如く煌めくバレーナのアカペラが宇宙に響いていく。
(「……心から望む安らぎを」)
 微睡に沈みゆく、安息へ誘うその旋律は――強引に意識を奪い、隷属させる相手の子守歌とはまるで違っていた。それは怖い夢から醒めた幼子が、もう一度優しい微睡の中、健やかで優しい夢へと渡れるような――とても甘い旋律で。
(「……暖かな微睡を、安心して人が眠る事の出来る、優しく見守る月の光のように」)
 幻想的に尾鰭を揺らすバレーナの、静かな夜の海を思わせる旋律にはやがて、彼方から射し込む曙光が新たな色彩を加えていく。
(「人々を守る為……その為ならばこの歌声が枯れ果てるまで、歌い続けましょう」)
 ――厳粛且つ清廉な、聖歌の歌い手はティアだった。神に祈りを捧げる彼女は、邪悪なものを退けるべく、破魔の力を込めた清らかな歌声を響かせて。
(「できるやろか………ううん、今は精一杯やるしかあらへん」)
 信仰する神は違えど、巫女である咲夜はこの宇宙の片隅に息づく、確かな命の為――どうか平和な世が訪れるようにと願いながら、胸の前で指を組んで喉を震わせた。
(「どんなに深い闇夜でも星と月……そして神は見守っていて下さいます」)
 無限の優しさを謳うティアに、断末魔の叫びを思わせる歌が呪いとなって襲い掛かるが、彼女は右耳の耳飾りを指先で掴んで必死に耐える。
(「これでは足りない、なら……お母様のようには、歌えないけれど」)
 ――覚悟を胸にティアが歌い始めたのは、嘗て母から教わったことのある古の歌。紡ぐ言葉は母亡き今、理解出来るのは彼女しかいないけれど――それでも、想いは通じるのだと信じながら。
「夜の果てに朝は来るのだと、希望を紡ぎましょう……」
 耳飾りにあしらわれた青い石が煌めく中で、ティアの握りしめた白銀の懐中時計が、その歌声を増幅して宇宙の彼方まで届けようと針を揺らす。
(「広がる海、澄んだ空、瞬く星、揺れる花々……」)
 そうして咲夜もまた、機械仕掛けの蝶々たちをステージに放って――その蒸気機関式拡声器は、彼女の歌いあげる世界の美しさを、まるでその光景が目の前に広がるかの如く鮮やかに響かせていった。
(「大地の感触、水の冷たさ、空気のやわらかさ、木々の香り……」)
 ――そして、貴方の温もり。そう、私は此処に生きていて。果てない世界の片隅で貴方に出逢えた奇跡が、今ここにある。
「ありがとう、生まれてきてくれて。私の未来を紡いでくれて――」
 嗚呼、全てが、愛しくかけがえのない世界――咲夜の双眸からはとめどなく涙が溢れて止まらなかったけれど、それでも湧き上がる想いは全て歌へと籠めようと、彼女はそう誓って歌い続けた。
「瞼を塞ぎ、虚無の黒に染める歌には届かない。……偽りの子守唄を流すものよ、あなたも還りなさい」
 いつしか魔性の子守歌はひび割れ、色褪せて力を失い――彼方から妨害放送を送り続ける歌い手へと、バレーナは冷然と手向けの歌を贈る。
(「この子守唄をレクイエムの代わりにして」)
 ――今はお休み。甘い夢の中、幸せな時間を。此方の歌に対抗し、押され、負荷がかかり過ぎて限界を迎えたのだろう。妨害放送に一際大きなノイズが生まれると、直後爆発音が響き――魔性の子守歌はそれきり聞こえなくなった。

 ――ニンナナンナ、眠らない子供はもういない。
 ――だからセイレーンもまた、その声だけを残して去るとしましょう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月15日


挿絵イラスト