銀河帝国攻略戦⑯~ヘヴィ&デスメタル!!
●音楽とは
──解放軍の艦隊の中にソレが響き渡ったのは突然のことだった。
『アー、アー。マイクテスマイクテス。……さァて、解放軍のレディース&ジェントルメン共ォ、帝国軍からのゲリラライブだ! しっかり耳に焼き付けろよォ? オレ達の音楽を!』
キィン、としたハウリングの音と割れるような音声がしたそのすぐ後、『演奏』は始まった。
地獄の底から響き渡るような重厚な歌声、聞くものの心を突き刺すかの如き攻撃的なギター、腹を抉ろうとする激しいドラム。
周囲総てを蹂躙するかのように邪悪な歌詞が、吹き荒れる暴風のような低い声によって歌い上げられれば、それは空気をビリビリと震わせた。
「グ、ウ、グガァァァァッ!!」
間もなくして、解放軍に乗り合わせている人々が暴れ始める。
机や椅子を持ち上げては床に叩きつけ、自分の頭を壁に打ち付け、お互いに殴り合い血を散らし始めた。
その様は正に修羅。依然として艦隊内に響く爆音は鳴り止まず、一人また一人と暴れ始める者は増えていった。
『ギャハハ! いいぜェいいぜェ! その調子だ! お前達の獣を見せてみろや!』
船員達の様子を見ているのか聞こえているのか、より演奏は激しさを増す。
暴虐の宴はまだ終わらない。この艦隊が落ちるまで。
●
「音楽を嗜んでるやつはいるか?」
グリモアベースにやってきたユートピア・ディスは開口一番そんなことを言った。
頭上にクエスチョンマークを浮かべる猟兵達に、ユートピアはこう続ける。
「黒騎士アンヘル配下の『クライングシェル』艦隊が解放軍の艦隊に攻撃をしかけることを予知した。それもただの攻撃じゃねー。『洗脳音楽』っつー聞いたやつを行動不能に陥らせるやべーもんだ」
手早くグリモアを操作し、己の視た予知の映像を猟兵達にも提示するユートピア。
「この場合は『聞いた対象の暴力性を著しく上昇させる洗脳音楽』みてーだな。もしこのまま攻撃が実行されたら、船員たちは死ぬまでお互いを攻撃しちまうし、最悪自爆しちまうかもしれねー」
つまりは音楽による支配。それを聞いた一部の猟兵達が顔を曇らせる。
「だが、こいつに対抗するために一番手っ取り早いのも『音楽』だ。猟兵以外は洗脳音楽の効果を受けちまうから、正真正銘、おまえらにしかできねー」
曰く、芸能船の放送設備を増強した為にこちら側が音楽放送を行う準備は整っているという。
「相手側もライブ演奏をしてる中、おまえらの演奏をすることになるから実質対バンだな。なーに、要するに相手より熱い曲をかまして、オーディエンスをおまえらの虜にしちまえばいいんだ」
にぃ、とユートピアは笑う。
「さて、あんまり時間もねーからもう送るぜ? そんじゃ、がんばれよ」
ユートピアがグリモアを手繰れば、猟兵達を影が包み込む。
一瞬の暗転。そうして次に猟兵達の前に広がっていたのは、解放軍の艦内だった。
──さぁ、猟兵達よ。魂を震わせる演奏をぶちかませ!
ヒガキ ミョウリ
●ろっきゅー!
音楽系の戦争シナリオ! 楽しそうなのでつい出してしまいました………。
相手はデスメタルを演奏してきますが別にこちらもデスメタルを演奏しなければならないというわけではないです。
なのでお好きな音楽を演奏してくださいませ!
ですが、『現実に存在する楽曲の曲名や歌詞、替え歌等が記載されているプレイングは採用できません』!!
ご注意を!
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
第1章 冒険
『洗脳音楽通信を撃ち破れ!』
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POW : 激しいビートで、魂を揺さぶり、洗脳音楽通信の影響を撃ち破る。
SPD : 超絶的な技巧で、聴く者を圧倒して、洗脳音楽通信の影響を撃ち破る。
WIZ : 心に響く歌声で、感情を揺り動かして、洗脳音楽通信の影響を撃ち破る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
明日葉・雅
人々の心を踏みにじるのは許せません。
なにより、歌は穏やかな気持ちにしてくれるもの……。唯一、私に許されたものだから……。
私が歌えるのは子守唄と鎮魂歌なので、この場にそぐわないかもしれません。
それでも、祈りと願いを込めて歌わせていただきます。
獣のように暴れているのなら、安らかな温もりを、正の祝福を子守唄に。
荒ぶる心を鎮めるために鎮魂歌を。
こちらは意味がずれますが、獣性を理性の檻に封じられるように、お手伝いしたいから。
……間に合わなかったなんて、嘆きながら歌うのはもう、嫌だよ。
●No.1 祈りの聖唱
爆音が空中を荒れ狂い、振動を伴って艦隊全体を襲う。
それは涜神の歌。己の内側の獣性を解き放てと囁きかける悪魔の甘言。
欲望を解放しろ。気に入らないなら壊せ、潰せ、轢き殺せ。
「グァァアア!! キシャアア!!」
白目を向き、最早人とは思えないほどの形相で奇声を発しながら暴れまわる船員たち。殴り、蹴り、噛み付き、引っ掻き、体のいたるところから血を流しながら、鼓膜を震わせる音に隷属させられていた。
『ハハハ!! やればできるじゃねぇか! そうだその調子だ!』
スピーカーから聞こえるのは相手のヴォーカルの下卑た笑い声。
第二の音の波がやって来ようとしている──その時に。
「人々の心を踏みにじるのは、許せません」
明日葉・雅(咎喰らい・f07590)は言葉を紡いだ。
(「なにより、歌は穏やかな気持ちにしてくれるもの……。唯一、私に許されたものだから……」)
己の鼓膜を貫かんと聞こえてくる音の攻撃に顔をしかめながら、彼女はすぅと息を吸い込むと、マイクを握りしめてその『歌』を口ずさむ。
「───」
それは、緩やかな子守唄だった。
獣のように暴れ、狂う船員たちに安らかな温もりと祝福を。
雅はこころからの祈りを込めて歌う、歌う、歌う。
やがてそれは鎮魂歌となり、荒ぶる心を鎮める慰めの歌へと変わってゆく。
「グ……、ゥ、ア……?」
これまでの歌とは正反対の神聖で安らかな歌声に、船員たちの動きが鈍る。不可思議な様子で、その暴れる手を止めて周囲を見渡す。
雅の歌声に耳を傾けていれば、みるみるうちに船員たちの傷が塞がっていく。これこそが、シンフォニアである彼女が歌い上げる祈りの力。
(「……間に合わなかったなんて、嘆きながら歌うのはもう、嫌だよ」)
獣性を理性の檻に封じられるように。身を苛む悪魔を祓えるように。
彼らの心を、癒せるように。
『なんだァ……?』
ぼそりと、相手のヴォーカルが不満げに声を漏らす。
突如響いた厳かな歌声に面食らったのか、彼らは演奏の手を止めてしまっていた。
――そして、それが大きな隙となる。
成功
🔵🔵🔴
コゼー・カッツェンバッハ
貴族の嗜みとして、ヴァイオリンはそれなりに弾けますので、船の皆様にリサイタルをお届けしましょう。敵に対抗するには、電子ヴァイオリンのほうがいいかもしれませんな。せっかくなので、燕尾服も着ることにしましょうか…(明らかに張り切っている)
演奏の前に、弦と弓をUCでゴシゴシしておくであります。これで、常人の目には捉えられない高速の超絶技巧をお聞かせしますよ…!
一人で弾くのなら、誰もが知っているクラシックの定番曲で注目を集めるつもりであります。他の猟兵どのと一緒に、ロックなナンバーを弾くのも楽しそうですな!伴奏もお手の物であります。
アドリブ、連携大歓迎であります!
パウル・ブラフマン
【SPD】
レペゼン“エイリアンツアーズ”!
『MC jailbreak』いっきまーす☆
ハンドマイク握り締め『Lyrical murderer』を発動。
オレの【パフォーマンス】で目ェ醒ましな、ヘッズ!
今日もトバすぜ、Bring the beat!
解放軍の相棒 jailbreakが参上
全て見透かすぜ オレのeyeball
ガバいbase headじゃbusted&bogus
fuh sho 24/7 燃えてんだろ 闘志
Rise in revolt!掲げんだ拳!
(聴衆を煽る)
■アドリブ&共闘セッション大歓迎!
※男性には【鼓舞】を、女性には紳士に。
※メインVoのフォロー役のリードVo(Rap担当)でもOK
●No2&3 Jailbreak/Virtuoso
生じたその隙を見逃すほど、ここにいる猟兵達は温くはない。
なぜなら彼らはアーティスト。己の存在を吠え立てる手段は誰よりも知っている。
さぁ――反撃を開始しよう。
「レペゼン“エイリアンツアーズ”! 『MC jailbreak』いっきまーす☆」
たとえば彼、パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)。
握りしめるのは心の在処たるマイク――Herz。灰色の鈍い光を放つそれはパウルの手の中で起動され、己の持ち主たる牢破りの声を響かせる。
「オレのパフォーマンスで目ェ醒ましな、ヘッズ!」
指先を船員たちへと向けてニヤリとパウルは嗤う。
「ハハァ――今日もトバすぜ、Bring the beat!」
告げる言葉は開演の合図。オーディエンスは少し混線してるが、なぁに心配ない。
ここにいるのはオレだけじゃないのだと、隣に立つまんまるとした彼を視る。
「これも貴族の嗜みであります。ご一緒しますぞ、檻壊しの囚人殿」
しっかりと燕尾服を着込み、その手に高級感漂う電子ヴァイオリンを握りしめるのはコゼー・カッツェンバッハ(もふもふの大盾・f06648)。
自慢の肉球で隅々まで磨かれた弦と弓が艶やかに光を反射する。
コゼーがふんすと意気込み構えれば、程なくして弦と言の二重奏が始まった。
「解放軍の相棒 jailbreakが参上。全て見透かすぜ オレのeyeball。ガバいbase headじゃbusted&bogus」
パウル――MC jailbreakによってフルスロットルで捲し立てられるは言語の弾丸悪。魔の口車を穿つべく、それはマシンガンのように炸裂する。
「fuh sho 24/7 燃えてんだろ 闘志! Rise in revolt!掲げんだ拳!」
聴衆たる船員たちを指差し、拳を突き出す。
目を覚ませ。いつまで操られてんだ? 拳を掲げろ、その糸をぶった切れ。
男性船員たちにはそのままでいいのかと鼓舞し、女性船員たちには紳士に。
パウルが口走るのはラップ。対して相手はデスメタル。幾ら敵側が果敢に反撃の言葉を紡ごうとすれど、パウルの技巧には追いつけない。
一節を対応しようとすればすぐに次の一節へと移るその『歌』は、鈍重な嵐を叩きつける『歌』では捉えられない。
そして―――。
(「伴奏もお手の物であります。それにこういったナンバーを弾くのも楽しいでありますな!」)
パウルの歌撃に引けを取らないコゼーの演奏がそれをより強靭なものとする。
ここにいるのはコゼーただ一人、だが。
(「準備は万端にしたでありますからな。常人の目には捉えられない技、お聞かせしますよ……!」)
繰り出す超絶技巧は一人の演奏の迫力を、色彩を何倍も増幅させる。
指先が指板を滑り、弓が弦を撫でる。指一本一本が独立した生き物のように精密に動くたびに、奏でる音色が重なり、弾け、一つの曲を造形する。
それは獣性を圧倒し、覚醒を促す反撃の旋律。
通常のヴァイオリンであれば相手の演奏に飲まれていたかも知れないが、コゼーの選択は正しかったようだ。彼らの演奏はこの戦艦全土に響き渡り、ただの一人も逃しはしない。
「オ、オォぉぉぉ……!!」
演奏によって、次第に正気へと戻っていく船員たち。
瞳に移る狂気の色は先程よりも薄まっており、あとひと押しすれば完全に解除できるだろう。
『クソが……! なんだよ、なんだよお前達はァ!! 気に食わねぇ、気に食わねぇぇぇぇッッ!!!』
絶叫するヴォーカル。あれほど暴威を奮っていた洗脳音楽も、今では風前の灯火となっていた。焦り、怒り、取り乱し、それでも彼らは、演奏をやめない。
だが、その技術や歌声は明らかに劣化していた。
大成功
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ヘンリエッタ・モリアーティ
【POW】
……う、歌ですか。……ンンン……あんまりひ、人前で歌うのは、得意じゃ、なくて……。
そ、それに……バラードだと寝ちゃうから……普段はロックしか……!
ううう!!!!で、でもでもそんなの、言ってられないわ……!
洗脳音楽ごときで、余計に命を落とさせるわけにはいかない……彼らの想いを、堕とさせない!!
私はプロでもないし、歌姫のように、上手くないかもしれない、けど……!!
下品に叫ぶだけじゃ芸がないわよ。
魂に、響かせなきゃ――ロックじゃない!!
――【勇気】を与えられたなら!!
自分を探して、目の前の相手を見て!
目を覚まして同志たち!!
あなた達が叩くべき敵は、「外」にいる!――怒りを宇宙へ!!
●last number BRAVE ROCK
「わひっ?! わ、私?! ……う、歌ですか。……ンンン……あんまりひ、人前で歌うのは、得意じゃ、なくて……。そ、それに……バラードだと寝ちゃうから……普段はロックしか……!」
ビクゥ! と肩をはねさせてもごもごと言葉を漏らすのはヘンリエッタ・モリアーティ(獣の夢・f07026)。何を隠そう、次の歌手は彼女だ。
少しばかりうむむと考えていた彼女だが、やがて意を決したように口を開く。
「ううう!!!! で、でもでもそんなの、言ってられないわ……! 洗脳音楽ごときで、余計に命を落とさせるわけにはいかない……彼らの想いを、堕とさせない!!」
キッと前を向き、マイクを手にして息を吸い込む。
(「私はプロでもないし、歌姫のように、上手くないかもしれない、けど……!!」)
それでも、こんな音楽は許せない。誰かを苦しめ、唆し、傷つけて命を落とさせるなんて、そんなことはさせはしない。
下品に叫ぶだけじゃ芸がないわよ、と紅玉の彼女がふっと微笑む。
そうだ。誰かへの悪意を、何かへの殺意をただただ叫び散らすだけだなんてそんなのは、そんなものは。
「魂に、響かせなきゃ――ロックじゃない!!」
ヘンリエッタは否定する。いまこの場に吹き荒れる音楽を。
ヘンリエッタは拒絶する。いまこの場に鳴り渡る洗脳を。
(「勇気を、与えられたなら!!」)
故に、彼女は歌う。絶唱を成す。
自分を探して、目の前の相手を見て! 目を覚まして、同志たち!!
その歌は本職のアーティストの猟兵達には劣るかもしれない。
けれど、すこしばかり不格好で、荒削りで、それでいて──何よりも己の気持ちを素直に歌い上げるヘンリエッタの『歌』が、船員たちに届かないはずがない。
「あなた達が叩くべき敵は、『外』にいる!」
船員たちの瞳に光が射す。それは先程までの獣の如くギラついた光ではない。勇気を持って、闘志を抱いて、そうして前へと進む人間の光だった。
「俺たち……何を……?」
「激しい歌が聞こえて、それから……」
一人、また一人と正気に戻っていく船員たち。
『バカな……オレ達の音楽が、負けンのか? ありえねぇ、ありえねぇ! オマエみたいなヤツに、オレ達の音楽が、ありえねぇぇええ!!!』
反対にスピーカー側から混乱の絶叫が響いてくると同時、相手ヴォーカル側から大きな爆発音が鳴り響いた。
『リーダー! アンプが爆発した!』
『こっちはドラムがぶっ壊れちまったよォ~ッ!』
爆発音は連続し、やがて一際大きな轟音の途中で放送はぶつりと途絶えた。
――猟兵達は悟るだろう。
自分たちの『音楽』は聞くものの精神を蝕む音楽に打ち勝ったのだと。
このあと興奮冷めやらぬ船員たちからアンコールを熱望されるのだが、それを受けたかどうかは、貴方達のみぞしる。
大成功
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