●アナザー・グリード前ストリート四番ブロック 4:21 p.m.
「ヒィヤッハアアアアアアー! やっぱ『新品』の使い心地は最高だぜー!!」
「やめてください! お願いです、許してください、ああっ、そんな……!」
サイバーザナドゥのストリートに悪徳武装警官の下卑た笑いと、若い女性の悲痛な声がこだまする。周囲を行きかう人々は自分達にその災難が降りかからない様に見て見ぬ振りをしていた。
「次はここか! ここを擦ってやればいいんだな!」
「そこだけは許してください、お慈悲をください!」
武装警官の手が女性のモノを乱暴に弄ぶ、女性の声はいつしか悲鳴へと変わっていく。
「……ふぅ、こんなところで許してやるか。ホレ、返してやるよぉ!!」
武装警官が女性の足元に何かを叩きつけた。
そこにあったのは――。
激しく擦られて角が丸くなった『新品』だった消しゴムだ。
「ああああああああぁぁぁあああ!!!」
慟哭する彼女を見下ろしながら武装警官はニヤニヤと笑いを浮かべる。そんな彼の顔をうっかり見てしまった不運な男がいた。
「あああああん!? てめぇ、今俺にガンつけやがったなあぁ!?」
「ひ、ひぃ! そんなことないです!」
「いいや、俺は見たぞぉ? その発売されたばかりの超高級サイバーグラス越しの目をよぉ!!」
そう言うと武装警官は男のサイバーグラスを引ったくった。これは彼が半年もの間、汗水垂らして働いて貯めた金で買った最新型のサイバーグラスだ。
「や、やめてください! それは今日買ってきたばかりなんです!」
「なんだよ、まるで俺がこれを奪っちまったみたいな言い方じゃねえか! 俺がそんなことをするような悪人に見えるか? え?」
「そ、それは……」
銃をちらつかせる武装警官に対してしどろもどろになる男。それを見ると武装警官は実に嫌らしい笑みを浮かべながら――。
サイバーグラスのレンズ部分をその汚い指でべたべたと触りだしたのだ。
「うわああああああああぁぁぁああああ!!!」
悲鳴をあげて地面でのたうちまわる男の顔に指紋だらけのサイバーグラスをかけると、武装警官は大笑いをしながらストリートを闊歩しだす。次の犠牲者はそんな武装警官の足にぶつかってしまった女の子だった。
「あっ……ごめん……なさい……」
明らかに脅えている女の子を一瞥すると、武装警官は咄嗟に作った猫なで声で彼女を煽りだした。
「謝って済むなら警察はいらなぁ~い、そうだろぉ~? 誠意を見せるんだよ、誠意をよおおぉ?」
「で、でもどうすれば……」
「お嬢ちゃん、良いモノ二つ持ってるじゃねぇか……なぁ?」
武装警官の手が彼女に伸びる。思わず目をつぶる女の子であったが、特に何かされる様子はない。恐る恐る目を開けるとなんとそこには――。
彼女が持っていた雪山オモチ(求肥でおもちを包んだアイスクリーム)を一個食べている武装警官の姿があった。
「そんなあああああああ! それ二個しか入ってないのにぃいいいいい!!!」
泣きじゃくる女の子に対し、武装警官は手に付いた粉を舐めながら下品な笑いをした。
「一個貰っただけじゃねぇか! 俺様への賄賂だと思えよ、ワ・イ・ロ!」
彼は老若男女問わず卑劣の限りを尽くす。
それを止める者はもはやこのストリートにはいないのだ。
●グリモアベース 9:27 a.m.
「……以上が、私の予知だよ」
グリモアベース全体に微妙な空気が漂う。これは本当に猟兵が対処すべき事態なんだろうかという圧が天導・鈴音(世話焼き狐巫女・f36489)を襲う。
それに耐えきれなくなったのだろう、どこか怒った様子で鈴音が続けた。
「貴方達にはこの騒動を事前に防ぐべき三つの理由があるの! まず一つ目! この悪徳武装警官は骸の海を含む違法ドラッグを大量に摂取してオブリビオンと化してるんだよ!」
オブリビオンである以上、猟兵が出ていかざるを得ないだろう。今は小さな悪事を働いている彼等であるが、次第にエスカレートしていかないとも限らないからだ。
「二つ目! みんな知ってると思うけど、サイバーザナドゥでは政府や警察がメガ・コーポの傘下になっていて私達に協力してくれないよね。でもこのストリートでは武装警官に対するレジスタンスが組織されている。今回彼等に恩を売ることで何らかの足がかりを得られるかもしれないでしょ」
サイバーザナドゥにも正義の人はいる。中にはユーベルコードを扱うほどのものが所属するレジスタンスもあるという。彼等とコネを作るのは、今後サイバーザナドゥで戦う上で確かに有利になるだろう。
「そして三つ目! なんとこの武装警官は……串カツを二度漬け、三度漬けと平気でするやつなんだよ!」
グリモアベースが突如騒然とする。二度漬けだけでも許されざる禁忌なのに、奴らは三度漬けまでするという。これはまさに人でなしの畜生の所業と言わざるを得ないだろう。
鈴音は猟兵達の反応を見ると満足そうに頷き、話を続けた。
「みんなには、まずこの悪徳武装警官に反抗しようとして失敗したレジスタンスの撤退を援護してほしいの。あと彼等は武装警官によって心に酷い傷を負っているから、猟兵のみんなの体験談を話して励ましてあげてね」
ここでいう体験談とは『人にされてイラッとした小さな悪事』だ。まさに買いたての消しゴムの角を使われたり、眼鏡のレンズを触られたり、雪山オモチを一個頂戴された時のようなことだ。その話を聞くことできっとレジスタンスは仲間がいると感じて喜んでくれるだろう。
「それじゃ転送するね。串カツを三度漬けする悪徳武装警官に正義の鉄槌を!」
鈴音の声がグリモアベースに大きく響き渡る。
その手には串カツが力強く握られていた。
キラキラオモチ
実は串カツ屋に行ったことないキラキラオモチです。
三本目の通常シナリオ、皆様と共に進められたら幸いです。
『第一章・レジスタンスの撤退を援護しろ』
悪徳武装警官を排除しようと武力行使に出たレジスタンスですが、返り討ちに遭い敗走しています。猟兵の皆様は彼等の撤退を援護しつつ、出来れば『人にされてイラッとした小さな悪事』を話してあげてください。話すことで非常に大きなプレイングボーナスが加算されます。
『第二章・悪徳武装警官』
オープニングに登場した悪徳武装警官です。
第一章で『人にされてイラッとした小さな悪事』をレジスタンスに話していた場合、彼等がストリートの一般市民に対してそれを行う場面を目撃することになります。全身全霊で怒りを込めてぶちのめしてあげてください。
第一章で特に話していない場合も何らかの悪事を行いますが、その場合プレイングボーナスがつきません。
『第三章・安心安全カフェでの一時』
悪徳武装警官の支配から解放されたストリートにあるカフェで、レジスタンスや市民と一緒に喜びを分かち合ってください。カフェには本来被害に合うはずだったオープニングの市民や、第一章で体験談を話してあげたレジスタンスの一員、第二章で武装警察官に悪事を働かれた市民がいます。
ちなみにカフェと謳っていますが、主力の商品は串カツです。
勿論タレも備え付けてあります。
フリじゃないですよ、ええ勿論。
一章のプレイング受け付けはOP公開時点から、二章と三章は断章公開時点からとします。猟兵の皆様が串カツの三度漬けへの鉄槌とならんことを。
第1章 冒険
『レジスタンスの撤退を援護しろ』
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POW : ●『追手を迎撃する』
SPD : ●『レジスタンスを安全な場所まで護衛する』
WIZ : ●『妨害工作をする』
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ネロ・アンドラス
「おーい❗こっちだ❗レジスタンス達❗全員乗りな❗」玄武号のハッチを開きレジスタンス達を回収する「追いかけてくるカス共はじき追いつけなくなるから安心しな。」汚職警官目掛けてuc総鮫撃発動❗汚職警官は次々と見えない鮫に噛まれて身動きがとれなくなり追撃困難になる。運転しながらネロは言う。「人が楽しみしていた物が割り込んで来た奴に買われてしかも売り切れになったらムカつくよな❗それと同じだぜ❗お前達がやられた事も億倍にして返してやるから安心しな❗」
「イヤアァァァッハアアアアアー! 反逆者は焼却だぜー!」
「くそっ、ふざけた悪事ばかりしているから雑魚だと思っていたが、これがオブリビオンの力なのか……」
アナザー・グリード前のストリートから必死で走って逃げる男達と、それをバイクで追いかける悪徳武装警官達。機動力の差は歴然だ、彼等は一方的に蹂躙されている。
「オラオラァ! ママに泣きついて助けてもらえよぉ!」
武装警官達はバイクで煽りながらゲラゲラと笑う。その気になれば男達を殺す事など簡単だが、彼等はそうしない。ただいたぶって楽しんでいるのだ。
「だ、誰か助けてくれ……もう、駄目だ……」
男達が諦めかけたその時、虚空が歪み巨大な装甲車両が地鳴りと共に現れた。その車体には『玄武』とペイントがされている。
「おーい! こっちだ! レジスタンス達! 全員乗りな!」
装甲車両のハッチを開いて顔を出したワーウルフの男、彼こそが最初に駆け付けた猟兵のネロ・アンドラス(バイオモンスターの殺人鬼・f33761)だ。彼は結婚して幸せな家庭を築いていたが、奸賊のせいでその全てを失った過去がある。そんな彼にとって今回の悪徳武装警官は実に許しがたい相手だ。
「あ、ありがとうございます! でもあいつらのバイク違法改造されていてすごく速いんですよ、装甲車両じゃ追い付かれてしまうんじゃ……」
「なーに、追いかけてくるカス共はじき動けなくなるから安心しな」
そう言うとネロはハッチから身を乗り出し、鮫魔術師から習った術式を開始した。
「目標三十二体! 捕捉開始!」
魔眼の網膜に武装警官の姿が次々と焼き付いていき、蒼炎が燃え上がる。
「目標捕捉! 行っけぇぇぇええー!」
ネロの咆哮が周囲の空気を切り裂く。同時に空間が波打つようにうねると、武装警官目掛けて牙を剥いた。
「うおおおおぉぉ! な、なんだ!?」
「ぐおおぉぉお、腕に力が入らねぇええ!」
一人、また一人と武装警官の動きが止まっていく。彼等はきっと気づいていないのだろう。自身の身体を鮫の牙が穿ち、麻痺毒が注入されていたことに。
「くそっ、逃がしちまったか……」
武装警官は、レジスタンスを収容した玄武号が悠々と走り去るのを舌打ちしながら見る事しか出来なかった。
「助かりました! なんとお礼を言えば……」
「礼はアジトについてからでいいぜ! ま、それまで寛いでてくれよ!」
歓喜の声で溢れていた玄武号であったが、次第にレジスタンス達の表情が暗く重いものに変わっていく。それは恐らく、彼等が武装警官から今までに受けた仕打ちが関係しているのだろう。
それを察したネロは努めて気さくに彼等に声をかけた。
「楽しみにしていた物が割り込んで来た奴に買われて、しかも売り切れになったらムカつくよな! それと同じだぜ! お前達がやられた事も億倍にして返してやるから安心しな!」
「ネ、ネロさん。そんな極悪非道な仕打ちを受けたことがあるんですか!?」
「両替えしてもらった新品のお札を折られて落ち込んでた僕なんて足元にも及ばないじゃないですか!」
「お前、今時現金使ってんのかよ!」
ようやく笑顔を見せたレジスタンス達を見ると、ネロは満足そうに頷いて玄武号を走らせるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
春原・冬馬
SPD
アドリブ・連携OK
「とりあえず、さっさと逃げようか。ちょっと街の地形は変わるかもしれんが許してくれ」
レジスタンスと合流後、速やかに移動開始だ。
まずはUCを駆使だ。半分は立体映像でかく乱、残りは手裏剣だ。
かく乱しつつ逃げて、追いついてきたら反撃だ。攻撃は銃と拳、前述の手裏剣だな。どれも電撃を纏うしびれるやつだ。
殲滅じゃなくて撤退がメインだ、倒す必要もないから行動不能にしたらそれでいい。レジスタンスと警官の様子を見つつ移動と攻撃を判断して動こう
イラっとした悪事は道すがら話すことにしよう
ちなみに俺のは他人に『あいつが君の悪口言ってたよ1』って報告されたとき。そんなもん聞きたくないだろ?
アナザー・グリード前のストリートにある三番倉庫の中で、息を潜めるように身を置いているレジスタンス達がいた。彼等は悪徳武装警官の返り討ちに遭い敗走中であったが、退路を断たれてしまったのだ。
「俺達どうなっちまうんだろう……もしかしてここで……」
「馬鹿野郎! 弱気になるんじゃない! きっと仲間が助けに来てくれるはずだ!」
レジスタンスの一人がタブレットを取り出して操作をするが、武装警官の妨害電波に邪魔をされて通信が出来ない。
「くそっ!」
思わず投げたタブレットが倉庫内に廃棄されたPCモニターを直撃し、派手な音を立ててしまった。
「もしかしてこの倉庫にいるのかな~? ん~?」
倉庫の扉を蹴破って武装警官がぞろぞろと足を踏み入れる。優に二十人を超える彼らは周囲を舐めるように見渡した。
「イェェェアアアアアアアー! 見つけたぜ、子猫ちゃーん!」
レジスタンスを見つけた武装警官達は小躍りをすると、一斉にアサルトライフルの銃口を彼らに向けた。
「このままここで撃ち殺されるか、この前味わった苦しみを再び受けるか……好きな方を選んで良いぜぇ?」
レジスタンス達は絶望した。
あの時に味わった苦しみを受けるくらいなら、いっそ死んでしまった方がマシかもしれない。そう考えて銃に手を伸ばした時のことだった。
「残念だったな。彼らはどちらも選びたくないそうだ」
大胆にも武装警官の後ろから声をかけたのは春原・冬馬(自称親愛なる隣人・f35277)だ。細かいことはあまり気にしない大雑把な彼らしいこの行動は、武装警官を大いに怯ませた。
「な、なんだ、てめぇは!」
慌てて振り向く彼らであるが、冬馬にばかり視線がいってしまい足元に這い寄る影に気づかない。影は静かに、そして確実に彼らの元に行くと突如カチリと音を鳴らした。
「う、うわあああああああああ!」
「化け物だ! 撃て! 撃て!」
気づけば彼らの目の前に巨大な蜘蛛が現れていた。それは顔を左右に揺らしながら牙をカチリカチリと鳴らしている。
冬馬は、慌ててアサルトライフルを乱射する彼らの横を素通りすると、レジスタンスの元へ行き声をかけた。
「大丈夫か?」
「は、はい。ところでアレは一体……」
冬馬は蜘蛛型ドローンが映し出した立体映像にちらりと目をやる。
「とりあえず、さっさと逃げようか。説明は後でも出来る」
そう言うと冬馬は倉庫の壁を拳で鋭く突いた。轟音と共に壁が吹き飛び、新たな退路が出現する。
「ちょっと街の地形が変わってしまったが、許してくれ」
「い、いえ、大丈夫です! みんな逃げるぞ!」
レジスタンス達は急いで壁の穴から脱出を開始した。
「うお! あいつら逃げる気だぞ! 追え! 追え!」
蜘蛛が立体映像であることに気づいた悪徳武装警官達がレジスタンスに突撃を開始した。しかし四方から飛び交う手裏剣が彼らの行く手を遮る。
「おうふっ! これ……痺れるぞ……!」
手裏剣が掠めた武装警官は呻き声を上げながら倒れるが、その身体を乗り越えるように次々と後続が押し寄せる。
最後のレジスタンスが穴から出たのを確認すると冬馬はイェーガーマグナムを取り出して引き金を引いた。銃口から飛び出した弾は意思を持つかのように飛び回り的確に武装警官の足を撃ち抜いていく。
「ヒィィィヤァアアアアー! リボルバーで撃てる弾なんてそう多くないだろぉ! これで終わりだぜぇー!」
残った最後の武装警官が冬馬の目の前に躍り出た。アサルトライフルの銃口が冬馬を捉え、彼が引き金を――。
「終わりなのはお前だ、覚悟しな」
冬馬の拳が武装警官のみぞおちを突きあげた。持ち上がった身体に雷撃が走り、武装警官は完全に麻痺して倒れ込んだ。
戦いの音を聞きつけたのか、武装警官の誰かが連絡をしたのか、倉庫の外が騒がしくなってきた。元々今回の戦いは敵の殲滅ではなく撤退がメイン、そう考えた冬馬は穴から外に出ると、レジスタンス達に合流しアジトへと急ぐことにした。
「この前味わった苦しみ、とは何なんだ?」
道すがら冬馬は疑問に思っていたことを口にした。レジスタンスの一人が下を向きながら小さな声で答える。
「俺達はぬいぐるみのタグを絶対に切りたくない派なんですが、それを知りながらあいつらハサミで……! 冬馬さんもそういうイラッとした悪事受けたことありますか……?」
「他人に『あいつが君の悪口言ってたよ!』って報告されたときだな。そんなもん聞きたくないだろ?」
「そ、そんなのめっちゃ余計なお世話じゃないですか!」
「当人は良い事したと思ってそうな分、滅茶苦茶腹立つじゃないですか!」
一時は生きることすら諦めかけたレジスタンス達であったが、冬馬によって活力を取り戻した。例えそれが怒りからくるものであっても、死よりは遥かにマシだ。
大成功
🔵🔵🔵
オネスト・ファッション
トンデモねぇワル共だな!
デビルキングワールドなら喜ばれるかも知れないけどこの世界の皆は困ってんだろ?なら許しちゃおけないぜ!
レジスタンスと武装警官の間に割って入り撤退の援護をするぜ
この世界の奴らはメタリックな衣装が多くてイカしてるよな!こうすりゃもっとイカすと思うぜ!
指定UCを発動して武装警官達の服へ劇重のメタルアクセとスタッズを装飾!
似合ってるけどそんな格好で追いかけて来れるかな?
飾り立てた服装を操って足止めだ
靴紐を絡ませてやったり服のサイズを縮めて動けなくしてやるぜ!
イラッとしたことかー…お母さんに預けてたお小遣いで買い物された時とか?
イラッともしたがそれ以上にワルすぎて震え上がったぜ…!
アナザー・グリード前ストリートから大分離れた郊外を走るレジスタンス達。
彼らの後ろから牛乳パックを大量に抱えた武装警官達が追いかけていた。
「イエェエエアアアアー! 見ろよ! 牛乳パックの開け口じゃない方を破って飲んでやるぜぇー!」
「や、やめろ! お前ら人としての心は無いのか!」
「俺達オブリビオンだもんねぇー!」
そんな悪魔のような所業を見ている一人の猟兵がいた。光り輝く灰色の髪、赤く美しい瞳、そしてサイバーザナドゥにおいても全く見劣りしない最高にイカしたファッション、彼こそが本当の『悪魔』オネスト・ファッション(見せ掛け以上・f31551)だ。
「トンデモねぇワル共だな! デビルキングワールドなら喜ばれるかも知れないけどこの世界の皆は困ってんだろ? なら許しちゃおけないぜ!」
ワルいことは大好きだがオブリビオンは許さない、オネストが颯爽と両者の間に割り入った。突然現れたオネストに驚いた武装警官は、牛乳を地面にぶちまけてしまった。
「な、なんだコイツ……猟兵かぁ? ……クソッ、イカしたファッションしやがって!」
彼らはデビルキングワールドの悪魔と違って根っからのワルだ。当然オネストのちょっとワルいイカしたファッションが大好物だ。それを見抜いたオネストは髪をかきあげると左手を彼らに向けて差し出した。
「この世界の奴らはメタリックな衣装が多くてイカしてるよな! こうすりゃもっとイカすと思うぜ!」
オネストが左手の指を鳴らすと同時にカラフルな光線が弾けるように飛び出した。それは武装警官達の周りを駆け巡り、首にはドクロのネックレス、腕には大量のスタッズがついたブレスレット、全ての指にジャラジャラのシルバーアクセ、靴に光り輝くプレートを装飾していく。
「フ、フ、フゥー! なんだこの最高にイカしたファッションは!」
「俺達最高にイカした警官になっちまったぜぇー!」
「でも、何かくっそ重いぞ、コレェ!」
最高に気分がアガッた武装警官達であったが、それに反して足取りは非常に重いものになっていた。しかし、そうは言っても彼らはオブリビオン、このままでは疲弊したレジスタンス達は追い付かれてしまうだろう。
「ちょっとその服オーバーサイズすぎるぜ! 靴紐も崩しをいれるのが今の流行だ!」
ターンをしながら今度は右手の指を鳴らすオネスト。途端に武装警官達の服が縮まり、靴紐が絡みだす。
「クソッ! ファッションは我慢だと言ってもなんかおかしくないか、コレ!」
「なかなか似合ってるぜ? 礼はいらないからな、あばよ!」
身動きの取れなくなった武装警官達に背を向けて手を軽く振ると、オネストは逃走したレジスタンス達の元へと向かった。
無事にレジスタンス達と合流したオネストであったが、脱出に成功したにも関わらず彼らは暗く沈んでいた。レジスタンスの一人が悲壮感を漂わせながら口を開く。
「あの武装警官、毎日人の家に押し入っては牛乳パックの開け口じゃない方を破るんですよ……そういうイラッとする小さな悪事、オネストさんは経験したことあります……?」
「イラッとしたことかー……お母さんに預けてたお小遣いで買い物された時とか? イラッともしたがそれ以上にワルすぎて震え上がったぜ……!」
「ま、まさかそれってお年玉ですか!?」
「貯金しておいてあげるねって言ってたのにいつのまにか無くなってたアレですか!?」
「俺も経験ありますよ、それ!!」
――お母さんに預けていたお年玉がいつのまにか姿を消す事件。
これはデビルキングワールドに限らずあらゆる世界で起きる怪異だ。
そう、きっと貴方の世界でも……。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
さて…レジスタンスの援護か…沢山居るなぁ…悪徳警官…
こっちこっちとレジスタンスを自分の居る路地裏へ誘導…
…追ってくる警官を【戦術構築:奸計領域】を使って効果を増した罠に引っかけて撤退の援護をしよう…倒さなくても足止め出来れば充分だしね…
複雑に入り組んだ路地裏をすいすいと移動して臨時のセーフハウスまでレジスタンスを連れて行こう…
…イラッとした悪事は…うん。
…唐揚げにレモンとか…目玉焼きにソースとか…
…勝手に調味料かけられるのイラッとくるよね…
さも親切に手間省いておきましたー的に言ってくるけど…
…何もかけずに食べたいときもあるし別のものを掛けたいときもあるのにね…
山崎・圭一
(激憤込めて命捕網の柄の先で地面を叩き)
使役難易度は上がるが【蟲使い】の本領見してやンよ!
UCでトラックを蟲化させてレジスタンス達を護送
大丈夫。翅あるからコレ飛ぶから
一応俺もトラックの“上”に乗っとく、と
…なあ、せっかくだし聞いてくれよ
あれは黄身に程良く火の通った目玉焼き
旧知の悪友がいるんだ。そいつが事もあろうに…
俺の目玉焼きに醤油なんてかけやがって…!
俺は塩胡椒派だと何度も言ったのに!
あの黄色と白の眩いコントラストを一瞬にして汚した黒!
だからアレに比べりゃマシだから…(自分が落ち込み)
おいゴルァ!武装警官!このバカアホタコ!
俺はテメェみてーのが許せねー!あとお前鼻毛出てンだよ
アナザー・グリード前には大きな一本のメインストリートがあり、そこから網目のように細かい路地が張り巡らされている。迷路のようなそこを逃げる一人のレジスタンスに、悪徳武装警官が煽るように大声で叫んでいた。
「ウゥゥゥゥリィアアアア! お前の家の靴下を一足残らず裏返しにしてやるぜぇ!!」
「ひ、ひぃ、そんなことして何の意味があるんですか!」
必死に逃げ回るレジスタンスだが、武装警官の数は四十程だ。このままでは捕まってしまうのは時間の問題だろう。
「……沢山居るなぁ……悪徳警官……」
その様子を路地裏からこっそり覗いている猟兵が一人いた。灰色の髪に青い瞳、少し眠たげな表情がミステリアスなメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)だ。
「……こっちこっち……」
「あ、あなたは……?」
「……いいから……こっちにきて……」
レジスタンスを路地裏に招き入れると、メンカルは指先で軽く円を描いた。虚空から秒針の止まった時計がその姿を現して彼女の掌へと落ちる。
「におうぜぇ! こっちからレジスタンスのにおいがするぜぇ!」
武装警官が路地に足を踏み入れたその時、時計の秒針が動き出した。
「おうふっ!」
突如路地に張られた鋼線に足を取られ武装警官が倒れ込む。
「いってぇっ!」
倒れ込んだ先にあった有刺鉄線が武装警官の手に食い込む。
「あうちっ!」
急いで立ち上がり駆け出す武装警官の身体が落とし穴にハマる。
「……面白いくらい、全部に引っかかるね……」
足止めに成功したのを確認すると、メンカルはレジスタンスを連れて路地裏をすいすいと移動し始めた。
「オイ! こっちだ! 早くこいよ!」
少し大きな通りに出たメンカルとレジスタンスは一人の猟兵に声をかけられた。右目を髪で隠し、手に命捕網を持った青年猟兵……彼こそが元・銀誓館学園の能力者の山崎・圭一(宇宙帰りの蟲使い・f35364)だ。
「使役難易度は上がるが、蟲使いの本領見してやンよ!」
圭一が命捕網の柄の先で地面を力強く叩く。彼の激憤が柄を通じて網に注がれると、蟲型ゴーストが勢いよく飛び出して近場のトラックへと飛び込んだ。途端にトラックから毛の生えそろった足が、透き通った翅が、しなやかな触覚が、大きな一つ目が出現する。
「よし、乗ンな!」
「こ、これ本当に乗っても大丈夫なんですか? 喰われないですか?」
「大丈夫!」
「追い付かれませんか? あいつらバイクとか持ってますよ!」
「翅あるから、コレ飛ぶから」
「……ほら、早く乗るよ……」
微妙に躊躇するレジスタンスと共にメンカルが車内に乗り込み、圭一が頭に乗ると蟲トラックは大空へと飛び出した。
臨時のセーフハウスへと向かう道すがら、レジスタンスは先ほどの武装警官に受けた悪事について二人に話していた。
「あいつは毎日俺の家に来ては靴下を全て裏返していくんです……洗濯機に入ってるのまで全部ですよ! 俺もう辛くて……」
それを静かに聞いていた圭一が、レジスタンスへと語り掛けた。
「……なあ、せっかくだし聞いてくれよ。俺には旧知の悪友がいるんだ。そいつが事もあろうに……」
何事かと思ったメンカルとレジスタンスが身を乗り出す。
「俺の目玉焼きに醤油なんてかけやがって……! 俺は塩胡椒派だと何度も言ったのに! あの黄色と白の眩いコントラストを一瞬にして汚した黒! くっ……!」
「……わかるよ……唐揚げにレモンとか……目玉焼きにソースとか……勝手に調味料かけられるのイラッとくるよね……さも親切に手間省いておきましたー的に言ってくるけど……何もかけずに食べたいときもあるし、別のものを掛けたいときもあるのにね……」
「そうなンだよっ! わかってくれるかっ!」
思いがけず意気投合した圭一とメンカル。世界が目玉焼きで繋がった瞬間だ。
「アレに比べりゃ靴下なんてマシだからさ……」
レジスタンスを励ますつもりが、当時の出来事を克明に思い出し落ち込む圭一。
そんな彼に対して更に追い打ちするような声が下から聞こえてきた。
「降りてこい! クソ共がぁ! てめぇの目玉焼きに醤油ぶちまけてやるぞぉ!」
ゆらりと立ち上がる圭一。
彼は蟲トラックから警官を見下ろす。
その目は怒りに震え燃え上がっていた。
「おいゴルァ! 武装警官! このバカアホタコ! 俺はテメェみてーのが許せねー!あとお前鼻毛出てンだよ!」
圭一の激憤が言葉となって武装警官に鋭く襲い掛かる。
無理もないだろう、目玉焼きに勝手に醤油を掛けるのは大罪なのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「メガコーポに対抗するレジスタンスたちですか。
将来、我々ブラックカンパニーの敵となった場合に備え、今のうちに潜入調査をしましょう。
行きますよ、フォスさん。特殊渉外課出動です」
まずはレジスタンスの撤退を援護し、アジトまで案内していただくとしましょう。
【電脳制御】で武装警官たちの乗り物をコントロール。
絶妙に追い付かれないようにエンジンの出力を制御しましょう。
え、信用されるためには『人にされてイラッとしたこと』を話さないといけないのですか!?
「フォスさんっ!?
拘束されてくすぐられ、恥ずかしいところを生配信されたのは、イラッどころではありませんでしたよっ!?」
半分はフォスさんのせいですし!
フォス・オネイロス
【ブラック】
せっかくの調査ミッションなのに、
レジスタンスが地味にダメージを受け続けてるね。
ここはミッションコンプリートのためにも、
レジスタンスに協力して、撤退を成功させないとね。
わたしは、殿で追手を蹴散らすことにしようかな。
……で、イラっとしたことを話すの?
えっと、ペルセポネさんの『イラっ』といえば、
下着姿を生配信されちゃったこととかかな?
わたしは、それでペルセポネさんのファンが増えたのにイラっとしたんだけどね。
ま、あんな状況でなければ、
拡散する前にサーバーごとすり潰す案件だけど(黒笑)
っと、え? 半分はわたしのせいですか?
(ペルセポネさん、優しいですね。全部わたしのせいな気がするのですが)
「メガコーポに対抗するレジスタンスたちですか」
脳内に埋め込まれたサイバーブレインチップでグリモア猟兵の言葉を思い返しているのはサイボーグのペルセポネ・エレウシス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属・f36683)だ。メガコーポの一つであるブラック・カンパニーの社長令嬢である彼女にとって、レジスタンスというのは将来敵となる可能性を秘めている。
「今のうちに潜入調査をしましょう。行きますよ、フォスさん。特殊渉外課出動です」
ペルセポネの言葉に静かに頷いた右目、右腕、右足がサイボーグ化している少女の名はフォス・オネイロス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属、腕力担当・f36684)だ。彼女はその戦闘力を買われてブラック・カンパニーの特殊渉外課の腕力系を担当している。
「フゥウウウー! ねぇ、ちゃんと風呂入ってんのか!?」
「ひ、ひぃ! 入ってますよ!」
「おいおい、聞いたかー!? こいつ、姉ちゃんと風呂入ってるらしーぜぇ!」
アナザー・グリード前のストリートを疾走するレジスタンスのバイクと、それを爆音と共に追いかける武装警官のバイク。徐々にその差が縮まっているのもそうだが、武装警官から掛けられる精神攻撃でレジスタンスたちが疲弊しているのは火を見るより明らかだった。
「せっかくの調査ミッションなのに、レジスタンスが地味にダメージを受け続けてるね」
「それならまずは彼らの撤退を援護し、アジトまで案内していただくとしましょう」
ペルセポネが左手の人差し指で自身のこめかみに触れる。パチンと弾けるような音が聞こえたかと思うと、武装警官たちのバイクに搭載された集積回路の構造が彼女の脳内に鮮明に展開された。
「ふふ、絶妙に追い付かれないようにエンジンの出力を制御しましょう」
「うお!? なんか調子わりぃな! あの違法バイク屋しくじりやがったか!?」
手を伸ばせばレジスタンスに届く距離まで迫っていた武装警官のバイクの出力が徐々に落ちる。そこに後方から一気に追い抜くように流線形のフォルムを持つタンデムバイクが躍り出た。
「わたしが殿を努めます、レジスタンスのみなさんは先に逃げてね」
声の主はフォスだ。彼女はディスクガンを腰から抜くと武装警官のバイク目掛けて次々と光線を浴びせていく。セットされているデータディスクは『フリーズ』だ。
「くっそ! なんだ!? エンジンが動かねぇ!」
「お、俺のはブレーキが効かねぇ!」
「こっちに来るんじゃねぇ! 事故るなら被害を最小限にして死ねぇ!」
バイクに搭載されているOSがフリーズしたことで大混乱に陥った武装警官を確認すると、ペルセポネはタンデムバイクの後ろに乗り込む。フォスはアクセルを全開にして一気にレジスタンスたちと合流したのだ。
「ここに仲間たちがいるはずなんだが……見当たらないな」
救援を求めている仲間がいると言うレジスタンスの言葉に従いアナザー・グリード前の三番倉庫まで一緒に来たペルセポネとフォスであったが、どうやら行き違いが発生しているようだ。
「そのようだな、仕方ない。このままアジトへ向かおう……君たちとは、ここでお別れだな」
「え? ど、どうしてでしょうか?」
「助けてくれたことには感謝しているが、君たちは『人にされたイラッとしたこと』があるのかい? 無ければ信用できないからね、アジトまでは連れて行けない」
「ちなみに僕たちは執拗に玄関に置いた靴の左右を逆にする嫌がらせを受けている。日によって逆じゃないこともあるから地獄だよ」
どうしたものかと焦るペルセポネがフォスの服の裾を引っ張る。それに気づいたフォスは落ち着いて周囲を見渡した。
そう、ここは『あの』アナザー・グリード前の三番倉庫だ。
「えっと、ペルセポネさんの『イラっ』といえば、下着姿を生配信されちゃったことかな? わたしは、それでペルセポネさんのファンが増えたのにイラっとしたんだけどね。ま、あんな状況でなければ、拡散する前にサーバーごとすり潰す案件だけど」
薄らと微笑を浮かべながら話すフォス。予想外の話を暴露されたペルセポネは顔を真っ赤にしてまくしたてた。
「フォスさんっ!? 拘束されてくすぐられ、恥ずかしいところを生配信されたのは、イラッどころではありませんでしたよっ!?」
「恥ずかしいところを生配信……だと……!?」
「拘束されてくすぐられ……だと……!?」
「下着姿……だと……!?」
思いがけない話に食いつくレジスタンスたちであったが、もう彼らはペルセポネの視界に入っていなかった。彼女は腕をぶんぶんと振り回してフォスに迫る。
「そもそもああなったのは半分はフォスさんのせいですし!」
「……え? 『半分』はわたしのせいですか?」
フォスはあの時の事を思い返した。どう考えても全部自分のせいな気がする。それでもペルセポネは『半分』と言ってくれたのだ。
「ペルセポネさん、優しいですね」
「だから! ……え? 何か言いました?」
「いいえ、何でもありませんよ」
不思議そうな顔をするペルセポネを見てフォスは思わず笑った。
それを見たペルセポネもまた笑顔を返したのだった。
一方、レジスタンスたちは真剣な眼差しでタブレットを操作していた。
彼らは生配信のアーカイブを探しているのだ。
無論、やましい気持ちなど微塵も無い。
彼女たちが信用に足るのか、その言葉に嘘偽りがないのかを確かめる為だ。
きっと、そうだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シャムロック・ダンタリオン
あー、「人にされてイラッとしたヤツ」か…。
僕は普段は図書館にいるのだが、たまにいるのだよ、蔵書をぞんざいに扱う輩が。
付箋を貼りつけるのはまだよい。頁を汚したり落書きしたり、ひどいのになると頁を破り取ってしまう。これでは貴重な書物が台無しだ。
――それはさておき。
(襲撃されるレジスタンスの間に割って入り)そこの腐れ外道ども、僕が相手をしてやろう(【威厳・挑発・存在感・恐怖を与える】)。
で、魔法剣で適当にあしらいつつ(【なぎ払い・串刺し・傷口をえぐる】)、撤退の【時間稼ぎ】でもしてやろうか。
※アドリブ・連携歓迎
アナザー・グリード前のストリートにある電子図書館。そこに一人の猟兵と複数のレジスタンス達が息を潜めていた。
「そうだ、傷口を心臓より高く掲げて強く圧迫するのだ」
「こうですか……? いてて、あ、でも出血が大分収まってきました」
レジスタンスへ応急手当の指導をしているのはシャムロック・ダンタリオン(図書館の悪魔・f28206)、幽世の一角に佇む図書館に住む、少年の姿をした妖怪だ。世の中のあらゆる知識を得んと欲する彼にかかればこの程度は造作も無い。
「身体の傷はこれで収まるとしても、心の傷ばかりはこうはないかないですよね……シャムロックさんはなんか人にされてイラッとしたことありますか……?」
「あー、『人にされてイラッとしたヤツ』か……」
シャムロックは周囲を見回すと電子図書館の一角にあったレトロ図書室を指差した。
「僕は普段はああいう図書館にいるのだが、たまにいるのだよ、蔵書をぞんざいに扱う輩が。付箋を貼りつけるのはまだよい。頁を汚したり落書きしたり、ひどいのになると頁を破り取ってしまう。これでは貴重な書物が台無しだ」
それを聞いたレジスタンスの一人が興奮したかのように話し始めた。
「わ、わかるっす! 俺レトロな紙の漫画本集めてるんですけど、武装警官に取り上げられて……返ってきた時にはありとあらゆる頁に煎餅だのクッキーだのご飯粒だのが付いてて……! あ、漫画と本を一緒にしちゃいけなかったっすかね……」
「いや、書物に貴賤は無い。貴様の怒りは最もだ」
「そ、そうっすよね! 良かったっす!」
大喜びのレジスタンスを見ながら、シャムロックはこれからどうするか考えていた。幸い悪徳武装警官達は追い付いてきていない、それなら少しこの電子図書館とやらの本を読めるのではないか。
「ここの本はどうやって借り――」
その時だった。
図書館の扉を蹴破り大量の武装警官達が雪崩れ込んできたのだ。
「ヒュウゥゥエエェェェイ! ここに隠れてるのはわかってるぜぇ! 大人しく出てこないと図書館ごと爆破してやるぞぉ!」
彼らは気づいていなかった。
最も口にしてはいけないことを言ったことを。
シャムロックがゆっくりと歩き出し、武装警官の前に姿を現す。
その赤い瞳に静かな炎を宿らせて。
「そこの腐れ外道ども、僕が相手をしてやろう」
「ひ、ひぃっ! なんだこいつ……」
威勢よく現れた武装警官達であったが、シャムロックから放たれる威厳に完全に怖気づいてしまった。恐怖に駆られた一人が思わずアサルトライフルのトリガーの引き金を引こうとする。
「図書館ではお静かに願おう」
虚空から出現した魔法剣が引き金の指を串刺しにする。思わずとり落したアサルトライフルを拾おうとするが、新たな魔法剣がそうはさせじと薙ぎ払う。気づけば彼らは無数の魔法剣に囲まれていた。
「今の内に撤退するとよい」
「は、はいっ!」
裏口から脱出するレジスタンス達を確認すると、シャムロックは武装警官達を見据えて帽子を少し深く被り直した。
「時間稼ぎだけするつもりであったが、少々やりすぎてしまうかもしれんな」
命まで奪わないのはせめてもの慈悲なのか。
魔法剣による舞踏会が始まった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『悪徳武装警官』
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POW : 正義の鉄槌を喰らえッ!この蛆虫どもォオッ!!!
【サイバーザナドゥ化した剛腕】で超加速した武器を振るい、近接範囲内の全員を20m吹き飛ばし、しばらく行動不能にする。
SPD : 公務執行妨害でぇ……死刑ッ!!!
【銃火器による無差別乱射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 助かりたいならわかるよな…袖・の・下(ワイロ)♪
対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【顔に唾や痰を吐きつけながら金品】、否定したら【胸ぐらを掴み顔面を殴り付けて闘争心】、理解不能なら【殴る蹴るの集団リンチで生命】を奪う。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「た、大変です、みなさん!」
アジトで串カツを振る舞われていた猟兵達の元に、慌てた様子のレジスタンスが現れた。
「悪徳武装警官達がアナザー・グリード前ストリート四番ブロックで一斉に悪事を働き始めました! 広範囲に渡って悪事が行われているので、皆様にも手分けをして対処をお願いしたいです! 各自担当のレジスタンスがつきますので詳細は彼らから聞いてください!」
ネロ・アンドラス(バイオモンスターの殺人鬼・f33761)担当
「ネロさん! アナザー・グリード前のストリートにあるドリンクカフェで今日新発売の強炭酸エナジードリンクがあるんですが、悪徳武装警官が割り込んできたとの情報が入りました! このままだときっと買い占められてしまうと思います、助けてください!」
春原・冬馬(自称親愛なる隣人・f35277)担当
「あ、ぬいぐるみのタグ切りたくない派の俺ですよ! 悪徳武装警官が高校に押し入って手当たり次第に『あいつがお前の悪口言ってたぜぇ!』って告げ口してるみたいなんです! お陰で新学期早々、学校内の雰囲気が最悪です……お力を貸してください!」
オネスト・ファッション(見せ掛け以上・f31551)担当
「オネストさんのファッション、マジかっけーっすね……俺リスペクトしちゃいます……あ! 任務の話でしたね! このストリートには悪徳武装警官がお年玉を成人するまで預かるという条例があるんですが、案の定あいつらが使い込んでることが判明しました! 今まさにやつらが焼肉屋を貸切って豪遊してるので乗り込んでください!」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)担当
「アナザー・グリード前のストリートに『安心安全カフェ』という有名なお店があるんですが、そこの『トマトのカプレーゼ』というサラダが大人気なんです。ところがそれを注文すると、どこからともなく悪徳武装警官が現れてソースを大量にかけていくんですよ……僕、もうソースが嫌いになりそうです……」
山崎・圭一(宇宙帰りの蟲使い・f35364)担当
「圭一さん、大事件です。『安心安全カフェ』で提供されている『目玉焼き ~春風を乗せて~』という料理を注文すると、天井から悪徳武装警官が現れて醤油をぐるんぐるんかけ回すんです。これでは『目玉焼き ~醤油に浮かぶ孤島~』に名称を変えざるを得ません。ご助力お願いします」
ペルセポネ・エレウシス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属・f36683)担当
「ペルセポネさんの発言は噓偽りがなかったこと、証明されました! ありがとうございます! えーそれで担当して欲しい内容なんですが……アナザー・グリード前三番倉庫内にて悪徳武装警官が可愛いペットを大量に強奪して、くすぐる姿を生配信してるらしいです! なんでもアニマル・ビデオを作ってやるんだとか……ペットの救助お願いします!」
フォス・オネイロス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属、腕力担当・f36684)担当
「フォスさんもアニマル・ビデオを製造する悪徳武装警官の対処をお願いしたいです! ……で、あの、ちょっとこれ言いにくいんですが……その武装警官が動画配信を始めたのは例の生配信を見たのがきっかけらしくて……それでみんなペルセポネさんのファンらしいんです……あ、僕はフォスさん派です、ハイ!」
シャムロック・ダンタリオン(図書館の悪魔・f28206)担当
「き、聞いてください! シャムロックさんに撃退された悪徳武装警官がその腹いせに電子図書館を占拠したとの報が入ってきたっす! その手には大量のハサミに赤ペンにクッキーがあったとか……きっとあいつら本を汚す気っすよ! 許せないっす! 奴らに正しい図書館の利用方法を叩き込んでやって欲しいっす!」
慌てた様子のレジスタンス
「他にも『スーパーの商品を手に取って別のコーナーに置き去りにする武装警官』や『映画館の前で大声でネタバレをする武装警官』などが目撃されています、もし手が空いてる方がいましたらご対応お願いします! また、担当のレジスタンスは現地につき次第周囲の安全確保に努めますので、皆様は悪徳武装警官との戦いに専念して頂ければと思います!」
ストリートの住民の平穏な生活の為に猟兵達が今立ち上がる。
さあ、悪徳武装警官を滅するのだ!
ネロ・アンドラス
「何だと❗そいつはゼッテエ許せねえな❗よし❗早速現場に急行だ❗」玄武号に乗り現場に急行。割り込み現場を目撃👀‼️大声で「おい💢こら💢💢💨何割り込んでんだ💢ちゃんと一番後ろに並べ❗」ゲスな答えが返ってき次第「そうか💢そんなに割り込みたいか💢だったら全員地獄に割り込ませてやる❗息吸い込んで歯食いしばれ❗」ucを発動し、汚職警官達に霧を殺到させ自身は玄武号に避難。「てめえらの豆鉄砲じゃあこの玄武号には通用しねえぜ❗強炭酸エナジードリンクより霧でも吸ってくたばんな❗」
「何だと! そいつはゼッテエ許せねえな! よし! 早速現場に急行だ!」
レジスタンスの話を聞くや否やネロはアジトを飛び出して玄武号に乗り込んだ。
「僕が案内しますね!」
「おう! 任せたぜ!」
続けて乗り込んだレジスタンスに威勢良く声をかけると、ネロは玄武号を急発進させた。悪路を物ともしない巨大重装甲車はあっという間にアナザー・グリード前の現場に到着する。
「ネ、ネロさん、あそこのドリンクカフェです!」
レジスタンスが指差したのは、今まさに悪徳武装警官が行列の先頭に割り込む場面だった。
「ようよう、俺の為に順番待ちしてくれてご苦労だなぁ! そんじゃ先頭貰うぜぇ!」
「え、僕自分のドリンク買いたくて並んでたんですけど……」
「ああん!? 俺の為に順番待ちしてたんだよなぁ!?」
武装警官達は拳銃を手にすると先頭に並んでいた善良な市民の頭に銃口を突き付けた。
「あ、は、はい。そうでした、どうぞ……」
「そうだよ、わかりゃあいいんだよ」
ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら武装警官達はドリンクカフェの店員に声をかける。
「そんじゃ強炭酸エナジードリンクを全部くれやぁ! 市民の安全を守る俺達にはエナジーが必要だからよぉ!」
「そ、そんな……」
絶望する市民の顔を見たネロに怒りが芽生える。玄武号のハッチを開けて飛び出すと大声を浴びせた。
「おい! こら!! 何割り込んでんだ! ちゃんと一番後ろに並べ!」
「割り込んだぁ~? 俺は順番を譲ってもらっただけだがぁ?」
「犬のあんちゃんこそちゃんと並べよなぁ! 『一番後ろ』によぉ!」
「まあ、多分ドリンク一滴も残っちゃいねぇだろうけどなぁ!」
汚い声で大笑いする武装警官達であったが、この間にレジスタンスが店内の市民を全員退避させていたことには気づいていなかった。安全確保の合図を出したレジスタンスを見たネロは、地面が揺れる程強く右足を踏み込むと武装警官を指差した。
「そうか! そんなに割り込みたいか! だったら全員地獄に割り込ませてやる!」
ネロの全身の毛が逆立ち、電気が弾ける音がする。怒りに燃えた左目の炎が青く吹き荒れる。全身を大きく震わせると、ネロは腹の底から咆哮した。
「息吸い込んで歯くいしばれ!」
ドリンクカフェ全体に霧が充満する。煙幕かと思って椅子やカウンターに隠れる悪徳武装警官達であったが、すぐにその考えが間違っていたことを思い知る。
「う、うあああああああ! か、感電する!」
「身体が、動かねぇえええ!」
――雷の霧。
吸い込んだ者の身体に電気を走らせる霧を噴出するネロのユーベルコードだ。的確に敵味方を識別するそれは悪徳武装警官達の行動を大きく阻害した。
「く、くそっ! あいつは死刑だ! お前らぶっ放せ!!」
痺れる身体に鞭打ち拳銃を取り出す武装警官達であったが、ネロは既に玄武号に退避していた。いくらトリガーを引いても玄武号の厚い装甲は貫けない。
「てめえらの豆鉄砲じゃあこの玄武号には通用しねえぜ! 強炭酸エナジードリンクより霧でも吸ってくたばんな!」
「くっそぉ……地獄では……一番最後に並ぶぜぇ……」
それが武装警官の最期の言葉になった。
ネロは見事に、行列に割り込んだ上に買占めする悪徳武装警官達を滅したのだ。
ドリンクカフェの店員と行列の住民が歓喜したのは言うまでもない。
大成功
🔵🔵🔵
春原・冬馬
「おちおち食事もできんのか…この街は…」
「悪い奴を吹っ飛ばすのはヒーローの務めだ…コードスプリガン!」
POW
アドリブOK
自称正義には正義のヒーローで相手してやる
あと人からの悪口は「誰が言ってたか」って話よりも「誰が伝えてきたか」の方が重要だと思うぞ
手持ちの飯を食いつつエントリーしてから変身だ
姿は大黒屋炎雀絵師が作成の全身図を見てくれ
戦闘は初手でご自慢のメカ腕を潰す
「鎧砕き」は得意だからな、この程度は造作ないさ
間合いに入り次第UCを使用し、燃えてもらう
ついでに痺れてくれればなお良しだ
流石に燃えつつ痺れちゃま共に戦えないだろう
一方的にやらせてもらう
何よりも串カツを食えなかった恨みを受けてもらうぞ
「おちおち食事もできんのか……この街は……」
生体金属の影響で常人の数倍のカロリーが必要な冬馬にとって、食事というのは非常に重要なファクターだ。それにも関わらず今回彼は、レジスタンスから振る舞われた串カツを食べることができなかった。
「悪徳武装警官め……串カツを食えなかった恨みを受けてもらうぞ」
マッチョなメイドさんが描かれた箱から棒状の携帯食を取り出すと、冬馬はそれに齧り付いた。彼が目指す高校はもう目の前だ。
「ようようようよう! 隣りのクラスの生徒会長がお前のことキノコみたいな頭だなって言ってたぜぇ!」
「は、はぁ……」
「なあなあ! 担任がお前のこと学校史上最悪の生徒だって言ってたぜぇ! ほら! 録音してきてやったぞ!」
「そうですか……」
「聞いてくれよぉ! サッカー部のキャプテンがお前なんて戦力外って悪口言ってたぜぇ!」
「え、そもそもあなた誰ですか……」
アナザー・グリード前ストリートにある高校の雰囲気は新学期早々最悪だった。
正直伝え聞いた悪口の内容が云々以前に、悪徳武装警官達に対しての困惑が強い生徒達であったが、彼らはそんなことは一切お構いなしだった。
「いやあ、良いことするって気持ちいいなぁ、おい!」
「俺達は正義の警官だからなぁ!」
「次はどのクラスを助けてやろうかぁ!」
食堂を占拠して大声で笑う三人の武装警官を、冬馬は廊下からじっと見ていた。不愉快なことに彼らは冬馬が食べそこなった串カツらしきもの食べている。
「あいつら、これ見よがしに串カツを……」
携帯食の最後のひとかけらを口に放り込むと、冬馬は武装警官の元へ歩み寄った。
「おぉ? お前もここの生徒かぁ? そーいえばよぉ、さっきすれ違った奴がお前のことを……」
「おい、人からの悪口は『誰が言ってたか』って話よりも『誰が伝えてきたか』の方が重要だと思うぞ」
先ほどまで馬鹿笑いしていた武装警官達の顔がみるみる険しくなる。
「正義の警官様が言ってるんだぞぉ? なんか問題でもあんのか? え?」
武装警官達は席を立つと冬馬を囲みシャドーボクシングを始めた。機械化義体と化している腕が冬馬の顔を掠める。
「わかっちゃいないようだな。まあ、それで良い」
冬馬はシャドーをしている武装警官の左腕を掴み取った。
「お? てめぇどういうつもり……」
「悪い奴を吹っ飛ばすのはヒーローの務めだ……コードスプリガン!」
冬馬の身体から電撃が弾け、ポニーテールがふわりと浮き上がる。
「こ、こいつ猟兵だ……うぐっ!」
食堂が真っ白にスパークした次の瞬間、武装警官の視界に入ったのは蜘蛛が浮かび上がったアーマーに身を包んだ冬馬の姿であった。
「これがご自慢のメカ腕か?」
掴んでいた腕を握りつぶすと、そのまま武装警官の頬に右ストレートを放つ冬馬。途端に武装警官が炎上し床を転げまわる。
「くっそぉぉお! この蛆虫がぁああ!」
一瞬の出来事に呆気に取られていた二人の武装警官が、冬馬目掛けて義体の剛腕を振り抜く。しかし、冬馬はそれをしゃがんで躱すと華麗な水面蹴りで足を払った。転倒した二人は身体を起こそうとするが、手足に力に入らないことに気づく。
「な、なんだ、身体が動かねぇ!」
アラストルの力により麻痺し、紅蓮撃・改により炎上した武装警官達を冬馬は見下ろした。
「一方的にやらせてもらう、覚悟しろ」
「ひ、ひぃいいいい! もう悪口の報告はしないから許してくれぇ!」
それが武装警官の最期の言葉になった。
冬馬の活躍により他人に『あいつが悪口言ってたぜぇ!』と報告する悪は滅した。
正義のヒーローはどんな悪にも屈しない、かならず弱き者を救うのだ。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
…安心安全カフェのトマトのカプレーゼ……あれは絶品だよね…
…あれはソースと素材がほどよく調和しているからこそ美味しいのであって
ソースを大量にかけては素材の味が殺されてしまう…それを勝手に行うのはかなりのギルティ…
串カツの三度漬け並みにギルティ…
…なので安心安全カフェにやってきてカプレーゼを注文しよう…
…悪徳警官達が来たら机の影から【闇に潜りし貪食の群狼】によって呼び出しておいた影狼を襲わせて動きを止めて…
…そしてソースぶっかけの理由を聞いて…その理由の如何を問わず適切にソースが掛ったカプレーゼを口にねじ込むんで味わわせるね…
…まあその後けじめとしてレジスタンスや市民と一緒にぶちのめすんだけど…
アナザー・グリード前ストリートに『安心安全カフェ』と呼ばれる飲食店がある。素材は安心安全、調理も安心安全、店員も安心安全と異常なほどの『安心安全』推しが気になるが、何を頼んでも串カツ食べ放題が付いてくることで行列が絶えない人気カフェだ。
しかし悪徳武装警官がオブリビオンと化してからはここも安心安全とは言えなくなっている。なんとトマトのカプレーゼを頼むと武装警官が現れて別添えのオリジナル安心安全バジルソースを大量にかけていくというのだ。
奇しくもメンカルはこのカフェのカプレーゼを食べたことがあり、絶品だと評したことがある。これも何かの運命だろう、彼女は店内の席につくと早速カプレーゼを一つ注文することにした。
「え、トマトのカプレーゼですか……あの、今それ頼むとですね……」
「……大丈夫、わかっている……」
躊躇する店員であったが、メンカルの青い瞳から強い意志を感じ取るとお辞儀をして去っていった。
注文が届くまでの間、メンカルは何か小さく呟くと机の下を指差した。机の影が一瞬揺らめき、そして元に戻る。
「お待たせしました。トマトのカプレーゼとオリジナル安心安全ソースでございます」
「トマトのカプレーゼだって……!?」
「あの人、大丈夫かしら……」
途端にカフェ内がざわめく。彼らも本当はトマトのカプレーゼと一緒に串カツを食べたいのだ。しかし、いつもあいつらが来るから注文できない。
そう、あいつらだ。
「いよぉぉおおお! 久しぶりのソースチャァーンス!」
「カプレーゼ頼んだ奴はどこのどいつだぁ!」
窓ガラスを派手にぶち破って悪徳武装警官達がカフェの中に押し入ってきた。メンカルの前に提供されたトマトのカプレーゼを見ると彼らは小躍りをしながら迫ってくる。
「このカフェのソースはマジでうまいよなぁ! ほら、俺様が掛けてやっからよぉ!」
机の上のソース容器を手に取ると、武装警官は下品な笑みを浮かべてメンカルの顔を見下ろした。
「グルルルゥ! ガウッ!」
「うおぉ!?」
その瞬間、机の影から影狼が飛び出し武装警官達の手足に喰らいつく。メンカルはその手からソースを奪い返すと、適切な量をカプレーゼに掛けながら問いかけた。
「……どうして……お前達は勝手にソースをぶっかけるの……?」
「どうしてぇ? そりゃあ俺達が親切な警官様だからよぉ! 自分で掛ける手間が省けるだろぉ、感謝してほしいくらい、ぐ、ぐふぉ!」
武装警官の言葉を遮ったのはトマトのカプレーゼだった。身動きの取れない武装警官達の口に次々とカプレーゼをねじこんでいくメンカル。
「……どう? これが適切にソースが掛かったカプレーゼの味……」
「トマトの酸味と甘味が口に広がり、チーズのコクが素材の味を引き立たせてサラダ本来の味を感じる上に、バジルソースがその全てと調和している……これが……本来のトマトのカプレーゼの味なのか……!?」
「……そう、それを勝手にソースを掛けて台無しにしたのは……ギルティ……」
メンカルが手を上げて合図すると、入り口からカプレーゼの被害者を大量に引き連れたレジスタンスが現れた。
「……串カツの三度漬け並みにギルティ……」
メンカルの手が振り降ろされる。レジスタンスと市民達は武器を掲げながら、影狼によって動けない武装警官達に殺到した。
「ひ、ひぃっ! すいません! もう勝手にソース掛けたりしません!!」
それが武装警官達の最期の言葉になった。
メンカルによって勝手に調味料を掛けた上に親切ぶる悪は滅した。
これから住民たちは好きな時に好きな量のソースを掛けることができるのだ。
大成功
🔵🔵🔵
山崎・圭一
だ、黙ってられっか…!
悪徳なんて言葉で収まらぬ所業!(敵に対して指差し)
俺は9年間宇宙を旅してた
目玉焼きなんて食えなかった。卵がなかったから
猟兵になり、地球へ戻ってきて
まだ一度も目玉焼きを食ってない…それを…
要求は【蟲使い】だけに無視(というか怒りのあまり聞いてない)
テメーらがやってンのは醤油に対しても冒涜だ
ところでなんでさっきお前らに指差したか分かる?
仕掛けてたからよ、この血糸を。説教中の身振り手振りも含めてな
俺は目玉焼きのためなら寿命だって削る!
さあ、これでお前らのUCは封じたぜ?どう調理してやろうか…
醤油かけてやろうか?この『毒ナイフ』で首かき切ってよォ
ただし醤油ってなァお前らの血でな!
圭一は安心安全カフェの席につくと『目玉焼き ~春風を乗せて~』を一つ注文した。悪徳武装警官達をおびき寄せるためという名目であったが、彼自身目玉焼きには強い思い入れがある。可能ならばそれを味わいたいと思ったのだ。
「お待たせしました、こちらが『目玉焼き ~春風を乗せて~』になります」
目の前に置かれた目玉焼きから香ばしい匂いがする。その余りにも懐かしい匂いが、地球へと戻ってきたことを改めて実感させてくれた。
「悪徳武装警官達こねェな。じゃあこれ食って他の猟兵と合流すっか」
圭一が別添えの塩胡椒を手に取ったその時だった。
「イェエエエエエエイ! めっちゃ Show you day!」
「フゥウウウウウウウ! Show you dance!?」
天井から滝のような醤油が流れ落ちてあっという間に圭一の目玉焼きが真っ黒になった。黄身だけが悲しそうに黒い海に浮かんでいる。
「お待たせしましたぁ! こちら『目玉焼き ~醤油に浮かぶ孤島~』でぇす!」
「おらおらぁ! 黙って食えよ、おらぁ!」
圭一は震えていた。怒りに打ち震えていた。
両手で机を叩くと立ち上がり、目の前の悪徳武装警官を力強く指差す。
「だ、黙ってられっか……! 悪徳なんて言葉で収まらぬ所業!」
両腕を振り払い、一人一人の顔を睨みつける圭一。
武装警官達はニヤニヤしながら次の言葉を待っている。
「俺は九年間宇宙を旅してた、目玉焼きなんて食えなかった。卵が無かったから……」
視線を落とすと、そこには黄色と白のコントラストを失った目玉焼きの姿があった。
湧き上がる怒りが自然と圭一の拳を強く握らせる。
「猟兵になり、地球へ戻ってきて、まだ一度も目玉焼きを食ってない……それを……」
握りしめた両拳を顔の前に上げた圭一に対して、武装警官が目玉焼きの皿を突き付けて無茶な要求を突き付けた。
「あるじゃねぇか、目玉焼きならここによぉ! ほら、食えよ!」
不敵な笑みを浮かべる悪徳警官であるが、圭一はそれを無視して続ける。
「テメーらがやってンのは醤油に対しても冒涜だ」
「ハーン、どうやらこいつ俺達の『要求』を理解してないらしぃなぁ!」
義体化した腕をぐるぐると回して圭一を取り囲む武装警官。
しかし、圭一は全く動じずに目の前の武装警官の鼻面に指を突き付けた。
「ところで、なんでさっきお前らに指差したか分かる?」
「あ? そんなん知ら……ぬおっ!」
「か、身体が動かねぇ!」
ここにきてようやく悪徳武装警官達は気づいたのだ。
すでに自身の身体が血糸に絡めとられ完全に動きが封じられていたことを。
「仕掛けてたからよ、この血糸を。説教中の身振り手振りも含めてな」
「くそっ、大袈裟な動きをしてやがるとは思ったがっ……!」
「俺は目玉焼きのためなら寿命だって削る!」
「削んなよ! 目玉焼きなんかのために!」
威勢衰えない武装警官達であったが、圭一がナイフを取り出したのを見ると顔色が変わった。
「さあ、これでお前らのユーベルコードは封じたぜ? どう調理してやろうか……醤油かけてやろうか? この『毒ナイフ』で首かき切ってよォ」
「へへ……勝手に醤油かけるのは冒涜って言ったじゃないっすかぁ……」
首元に当てられた毒ナイフと圭一の顔を交互に見ながら武装警官が声を震わせる。
「ただし醤油ってなァお前らの血でな!」
「ああああああぁ! もう二度と勝手に醤油かけません!!」
それが武装警官達の最期の言葉になった。
圭一は目玉焼きに勝手に醤油をかける悪を滅した。
だが、そのために払った犠牲は余りにも大きかった。
――九年ぶりの目玉焼きを食べられなかったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
南・セリカ
「これ以上の悪事は許さないわ!本当の警官とは何か教えてやる!」
「とはいえあのメカ腕は厄介だわね…」
悪徳武装警官達との距離が開けている場合はピストルで射撃で対応、相手の武装を破壊してから前に進んで接近戦で制圧する。
「くっ…きりがないわね…」
囲まれた場合は素早く回り込んで背後から襲いかかる。
【NGなし、苦戦でもOK、アドリブ歓迎】
コーデリア・リンネル(サポート)
アリス適合者の国民的スタア×アームドヒーローの女の子です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
内気な性格のため、三点リーダーや読点多めの口調になります。
ですが人と話すのが嫌いでは無いため、
様々な登場人物とのアドリブ会話も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「ユートピア連続殺人事件ってなんだろう、ちょっと観て行かない?」
「助手の人かっこいいね! 観よう観よう!」
アナザー・グリード前ストリートにある映画館で本日上映開始の『ユートピア連続殺人事件』には大行列が出来ていた。極力メディアで情報を出していなかっただけに犯人が誰なのか、トリックが何なのか、その全てが謎に包まれておりSNSで大きな話題になっていたからだ。
しかし、そんな住民の憩いの場に限ってやつらは現れる。
「ようよう! この映画の犯人って助手のヤスってやつなんだぜぇ!」
「えっ……」
「SNSでも教えてやろうぜぇ! 『ユートピア連続殺人事件 犯人はヤス』っとぉ!」
彼らは警察権限を使って封切りの前日に鑑賞会をしていたのだ。そこまではまだ良いとしても、楽しみにしていた善良な市民の前でネタバレをしたのは許されない悪行だ。彼らこそ事件の被害者となって崖から転落死するべきだ。
「いやぁ! 犯人教えちゃうなんて俺達親切だなぁ! これで無駄金払わなくて済むなぁ、おい!」
「は、はい……そうですね……」
声をかけられた女性は涙を浮かべていた。彼女は今日の為に二週間に及ぶSNS断ちまでしていたのだ。
「その浮いた金で俺達とカラオケでも行こうやぁ! なぁ!」
「そ、それは……」
言い淀む彼女の手を無理やり引っ張る武装警官と、それを周りで笑いながら見ている仲間達。心ある市民達も当然いるが、オブリビオン相手では手の出しようもない。
しかし、そんな群衆の中から茶色の髪をなびかせて飛び出した一人の女性がいた。
「これ以上の悪事は許さないわ! 本当の警官とは何か教えてやる!」
セクシーなハイレグスーツに身を包んだスタイル抜群の正義の警官、それが南・セリカ(捜査官セリカ・f36765)だ。潜入捜査官として各地の犯罪組織と戦いを繰り広げている彼女は射撃の腕の良さでも知られている。
「おぉん? どっちが本当の警官か教えてやろうじゃねぇか」
掴んでいた女性の手を離すと武装警官達は義体の腕をぐるぐると回し歩み寄ってくる。
「とはいえあのメカ腕は厄介だわね……」
セリカはピストルを抜くと次々とトリガーを引いた。銃弾が義体の腕に命中するが、致命傷とはならない。
「くっ!」
マガジンを取り替えて続けざまに撃つセリカであったが、武装警官達の包囲は徐々に狭まっている。
「……きりがないわね……」
弾は撃ち尽くした、もう替わりのマガジンも無い。目の前に迫った武装警官が邪な笑みを浮かべて手を伸ばす。
「させません!」
セリカはその手首を掴み外に捻ると、そのまま背後に回り込んだ。
「い、いててててて! いてぇ!」
武装警官は膝を突き、痛みから逃れるように地面に倒れ込む。セリカはその背中に跨ると完全に腕を極めて制圧することに成功した。
「さあ、逮捕します!」
もし武装警官がこの一人だけであったらセリカの勝ちだっただろう。しかし、周囲には彼の仲間が三人もいるのだ。
「逮捕されるのはテメェだよぉ!」
セリカはあっという間に他の武装警官に引き剥がされ、地面に突っ伏す形になってしまった。
「はぁ~……まだ手首がいてぇぜ、くそっ……」
先ほどまで制圧されていた武装警官は手首を振りながらセリカの元へと歩み寄ると、そのセクシーなハイレグスーツを乱暴に掴んだ。
「警官にしとくには勿体ねぇ身体してんじゃねぇか、なあ、おい?」
武装警官がスーツを引き裂こうと義体に力を込めたその瞬間だった。
「がっ……! はっ……!?」
彼の頭を収束した光が貫いた。
「な、何が起きやがったっ!?」
「うおっ!?」
「ぐふぅ!」
続けざまに光が武装警官の頭を的確に貫く。気づけば立っている武装警官は一人だけになっていた。
「見つけたぞ、このクソ猟兵がぁ!!」
「……あっ、見つかって、しまいました……」
物陰から飛び出したのはフリフリの衣装に身を包んだ可愛らしき国民的スタアのコーデリア・リンネル(月光の騎士・f22496)だ。その手には光子を強化増幅させて放つフォトンサイクロンが握られている。そう、武装警官の頭を撃ち抜いたのは彼女だ。
武装警官は拳銃を取り出すと走りながら引き金を引いた。コーデリアは白銀に光り輝く夢幻槍を具現化すると、バトンのように振り回して銃弾を弾く。
「ちっ!」
拳銃が効かないと見た武装警官は警棒に持ち替えるとスイッチを入れた。先端からビームが伸び、夢幻槍を遥かに凌ぐ長さとなる。
「これでてめぇも終わりだよぉ!!」
武装警官が警棒を振りかぶる。絶体絶命かと思われたその時、警棒を持つその手を銃弾が貫通した。それを見たコーデリアは夢幻槍を腰だめに構えると、武装警官に向かって猛チャージを仕掛ける。
「ひ、ひぃぃぃい! もう映画のネタバレはしねぇから!!」
それが武装警官の最期の言葉になった。
「……ありがとう、ございます。セリカさん……。あの距離から、ピストルで……よく手を、撃ち抜けましたね……」
「それを言ったらコーデリアさんの『無音の慈悲』の方がすごいわ、あっという間に三人も逮捕したわね!」
「……逮捕……? ふふ……あのユーベルコードは……敵に、気づかれては、ダメなんです……。その隙を、作り出してくれた……セリカさんに、感謝です……」
目立つ登場をして派手に立ち回り武装警官に捕らえられる、これは潜入捜査を数々繰り広げてきたセリカが提案したものだった。武装警官達は最初からセリカの手の平で踊らされていたのだ。
「この世界の警官はほとんどがメガコーポに堕ちてしまったわ。だからこそ正義の警官がいることを知らしめないとね!」
「……はい!」
セリカとコーデリアの活躍で映画のネタバレをする悪は滅した。
これでうっかりSNSでタイトル検索してもネタバレを踏む可能性が消え去ったのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シャムロック・ダンタリオン
ハサミに赤ペンにクッキー…だと…?(連中が何やらかそうとしてたのか大体想像できた)
よかろう、ならば殲滅だ。精々死にゆく【覚悟】を決めるがいい。
(で、現場に乗り込んで早々に)
そこまでだ貴様ら、これ以上の狼藉は――言わずともわかろう?(【威厳・挑発・存在感・悪のカリスマ】)
(で、敵の【弾幕】を【ジャストガード】し)
――運の悪いことに全弾命中だ。貴様らのおかげで、貴重な書物に傷がついたわ!!(ぇ)纏めて滅びるがいい!!(UCによるお返しをしつつ、圧倒的【暴力】で叩きのめしてる(ぇ))
(当然ながら、図書館および蔵書には危害を加えない)
※アドリブ・連携歓迎
「ハサミに赤ペンにクッキー……だと……?」
レジスタンスからの言葉を聞いたシャムロックの眉間に皺が寄る。悪徳武装警官達が何をやらかそうとしているのか手に取るようにわかったからだ。
「よかろう、ならば殲滅だ。精々死にゆく覚悟を決めるが良い」
電子図書館へと赴く彼の背中から言い知れぬ殺気が立ち昇っていた。
「おいおい、見ろよぉ! 偉人の顔に赤ヒゲ描いてやったぜぇ!」
「俺は頁の右下にパラパラ漫画描いたぜぇ! どうだ? レトロだろぉ!」
「クッキー食いながら読む漫画は最高だなぁ! このコマ面白いから切り取って持ち帰るかぁ!」
ある者は赤ペンで本に落書きをし、ある者は本の頁を切り取り、ある者は食べカスを本の上に巻き散らす。暴虐の限りを尽くす悪徳武装警官達であったが、夢中になりすぎた彼らは気づいていなかったのだ。
図書館の扉が開けられたことを。
そして真後ろに猟兵の影が迫っていたことを。
「そこまでだ貴様ら」
背後からかけられた声に驚き振り向く武装警官達。
そこにいたのは白い髪に赤い瞳、ゴシックな衣装に身を包んだ少年のような猟兵。そう、前に自分達を軽くあしらったシャムロックだ。
「こ、こいつあの時の……!」
「これ以上の狼藉は――言わずともわかろう?」
左手で蝶ネクタイの位置を整えながら話す彼の声は、体躯からは想像できないほど威厳に満ち溢れていた。武装警官達の持つ小物のそれとは違う、本物の悪のカリスマだ。
その雰囲気に気圧されたのだろう。武装警官達は軽口を叩くこともせず即座にアサルトライフルをシャムロック目掛けて構えた。
「公務執行妨害だぁ! 撃て撃てぇ!!」
銃口から飛び出した銃弾が弾幕となって襲い来るが、シャムロックは落ち着き払って右手の指を鳴らす。虚空に現れたダンタリオンの書がまるで踊るように宙を舞い、弾丸の全てをその一身で受け止めた。
「くそっ! 全部外したか!」
「いいや――運の悪いことに全弾命中だ」
シャムロックがダンタリオンの書を手に取り開くと、銃弾がバラバラと音を立てて床に零れ落ちる。先ほどまで白紙だった頁にアサルトライフルの図面が書き起こされていた。
「貴様らのおかげで、貴重な書物に傷がついたわ!! 纏めて滅びるがいい!!」
「そ、それは書物を盾にしたお前が――う、うわああああ!」
ダンタリオンの書の周囲に三十六挺ものアサルトライフルが浮かび上がり、悪徳武装警官達目掛けて銃撃を開始する。慌てふためく武装警官達であったが、本当の悲劇はこれからだった。
「これが傷つけられた蔵書の痛みだ!」
シャムロックは黄金銃を取り出すと分厚い辞書型へと変形させた。彼はそれを手に取り、逃げ回る武装警官の頭にその角を激しく振り降ろす。
「ひぃ! もう二度と本を傷つけません! ほんとです! ひぃいい!」
それが武装警官達の最期の言葉になった。
シャムロックは蔵書をぞんざいに扱う悪を全て滅した。
――知識を疎かにする者は知識によって滅びるのだ。
大成功
🔵🔵🔵
フォス・オネイロス
【ブラック】
はい。この悪逆非道さ……って、
確かにそうなんだけど、ペルセポネさんがそれ言っちゃう?
でもまぁ、ペットさんは助けないとね。
うん。手分けして装置をはずしていこう!
と、ペットに装着された装置をはがしていきますが、
ペルセポネさんの悲鳴に振り向いてみれば、
装置を装着されたペルセポネさんが!
あなたなにを……なんで羽箒を手渡すの?
え?ファン?もう一度見たい?
意味がわからないんだけど……?
動画?ああ、そういうこと。
それにしてはくすぐりのポイントが甘いね。
お手本見せたいところだけど、そうもいかないか。
くすぐりの機械を引きはがしたら、ペルセポネさんの下着ごと……!?
え、えっと、ファンは増えた、かも?
ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「かわいいペットをくすぐるとは、なんて悪逆非道なおこないでしょう……!
フォスさん、助けにいきましょう!」
ペットたちを救うため、現場に急行します。
「今助けますからね!」
ペットに装着された、くすぐり装置を【電脳制御】でハッキングして動物たちを解放しましょう。
しかし、そこで次の撮影対象は私だと『要求』され……
当然否定しますが、殴りかかられて……バリアで防いだものの強制的にくすぐり装置を装着されて!?
「いやっ、ああっ、そ、そこは弱いのっ……!ひゃああんっ」
配信されているところに、フォスさんが助けに来てくれますが。
「……ふぇっ!?」
勢い余って装置ごと服も剥ぎ取られ……
さらに下着までっ!?
「かわいいペットをくすぐるとは、なんて悪逆非道なおこないでしょう……! フォスさん、助けにいきましょう!」
「はい。この悪逆非道さ……って、確かにそうなんだけど、ペルセポネさんがそれ言っちゃう?」
ペルセポネと言えば『くすぐり地獄の刑』を与えるユーベルコード尋問技術の遣い手だ。あまりにも残酷なそれを間近で見たことのあるフォスからすれば突っ込まざるを得ないだろう。
「それは……状況! 状況が違います! ほら、早く行きましょう!」
首を傾げるフォスの手を引いてペルセポネが走り出した。
アナザー・グリード前三番倉庫に急行したペルセポネとフォスは、入り口の警備をレジスタンスに任せて早速中に潜入することにした。
「ペルセポネさん、あそこにペットさんが」
倉庫の片隅で手足を拘束されて鳴いている大量のペット達。拘束具には強力な電子ロックがかかっており、無理に外すのは危険な雰囲気が漂っている。
「私の出番ですね」
ペルセポネのサイバー・ブレインチップから電磁波が放たれ、たちどころに電子ロックが解除される音が倉庫内に響き渡る。後は一つ一つ装置を外すだけで救助完了だろう。
「今助けますからね!」
「うん。手分けして装置をはずしていこう!」
手分けをして装置を外す。この判断が思いもかけない悲劇を生むことになるのであった。
「こらぁ! お前何してやがる!」
ペルセポネの後ろから突如怒号が浴びせられる、振り向けばそこには四人の悪徳武装警官の姿があった。
「なっ……! レジスタンス達は何してるんです!?」
「あぁん? そんなもん見てねぇぞ」
三番倉庫には本来入り口が一つしかないのだが、現在裏側に大きな穴が開いている。武装警官達はそこから出入りしてたのだ、レジスタンス達は今でも本来の入り口をしっかりと警備している。
「そんなことよりも俺達のアニマル・ビデオ計画を邪魔しやがって……この埋め合わせはお前の拘束くすぐり生配信でしてもらおうじゃねぇか!」
「そ、そんなこと出来ません!」
「俺様の要求を拒否したな? それが何を意味するか教えてやろうじゃねぇかぁ!」
悪徳武装警官が義体の拳をペルセポネの顔面に向けて振りかぶる、咄嗟にバリアを張り目をつぶるペルセポネであったが……来ない、いつまで経ってもパンチが飛んでこない。
「……?」
恐る恐る目を開けると、そこには武装警官の腕を掴む手が見えた。
「フォ、フォスさんですか……?」
いや、違う。フォスは拘束を解いた犬のお腹をもふもふしている。なんと武装警官の腕を掴んだのは、周囲の別の武装警官だった。
「おい、待てよ。このお方ってよぉ……あの伝説のお方じゃないのか?」
「え? マジかよ……。あの、お名前を伺っても宜しいでしょうか……?」
「ペルセポネ……ですわ」
急に腰が低くなり言葉遣いが丁寧になった武装警官に戸惑いつつ、ペルセポネは名乗った。途端に武装警官達が歓声をあげて右手を差しだす。
「うおおおおお! ペルセポネさん! 握手してください! 大ファンです!」
「生ペルセポネさんだ! 夢みたいだ!」
「俺、オブリビオンになって良かったぜ……」
「え? え?」
なんと彼らは以前配信されたペルセポネのくすぐり動画を見て彼女のファンになってしまっていたのだ。
「ここに来たってことは、またあれを見せてくれるってことですよね!」
「そんな訳ないでしょう! もう二度とあんなこと……あっ」
気づけばペルセポネの手足は拘束され、後はオブリビオン製全自動羽箒マシンのスイッチを入れるだけの状態となっていた。うっかり握手をしている間に装着させられていたのだ。
「生配信のスタンバイ、オーケーです!」
「それじゃスイッチいれますよ、ペルセポネさん!」
「ちょ、外しなさ……いやっ、ああっ、そ、そこは弱いのっ……! ひゃああんっ」
一方その頃、フォスは無事に全てのペットの拘束を解き終わっていた。
「この子で最後かな……お腹が良い感じにもふもふしてるね」
ウサギのお腹をもふもふしているフォスであったが、背後が何やら騒がしいことに気づいた。
「ペルセポネさん、どうかしましたか?」
何気なく振り向いたフォスの目にとんでもない光景が映った。そこには手足を拘束されているペルセポネと、周囲を囲む悪徳武装警官達の姿があったのだ。このままでは彼女がやられてしまう。
「あなた達なにを……!」
「あ、もしかしてフォスさんじゃないですか!? これをどうぞ!」
最高に眩しい笑顔と共にフォスに手渡されたのは一本の羽箒だった。
「あの、俺達ペルセポネさんの大ファンなんです! もう一度あの神配信を見たいと思いまして!」
「え? ファン? もう一度見たい?」
何を言ってるのか意味がわからないフォスであったが、改めてペルセポネを見たことで全てを理解した。
彼女はあの時のように手足を拘束され全身を全自動羽箒マシンでくすぐられているのであった。
「それにしてはくすぐりのポイントが甘いね。ペルセポネさんの弱点はそこじゃないのに」
手渡された羽箒でお手本をみせようかと思ったフォスであったが、このまま彼女を生配信させてしまう訳にはいかない。何よりこの悪徳武装警官達はオブリビオンなのだ。
「あなたたちの思惑通りにはさせません!」
フォスはペルセポネの腰に装着されている全自動羽箒マシンに手をかけると一気に引き剥がした。
「あ」
「……ふぇっ!?」
引き剥がす事には成功した。
しかし電子ロックが解除されていないまま引き剥がしてしまった。
フォスの手には全自動羽箒マシンとペルセポネの服と……下着があった。
「「「「ふぅうううううううう!」」」」
それが武装警官達の最期の言葉になった。
彼らは感情が高まりすぎて昇天してしまったのだ、文字通り。
「で、電子ロック外しましたから、早く手足の拘束具も外してください!」
「は、はい、今すぐ」
「それにしてもいつも私のピンチに気づくの遅くありませんか!? もしかしてわざとしてるんじゃ……」
拘束具を外そうとしたフォスの手が止まる。心外だ、いつだってフォスはペルセポネの元に真っ先に向かおうとしているのに。
「ペルセポネさん、これが何だかわかります?」
フォスが見せたのは先ほど武装警官に手渡されたあの羽箒だ。
「私はペルセポネさんの弱点を知っているんですよ」
不敵な笑みを浮かべながら羽箒を近づけるフォスに対してペルセポネは顔を真っ赤にして抵抗する。
「ちょっ、配信まだ止まっていないんですよ!? フォスさん、それ以上近づけたら……ひゃっ、ひゃんっ!」
ペルセポネとフォスは強奪されたペット達を見事奪還した。
二人のファンも増えてしまったが、その理由は謎に包まれたままだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
禍沼・黒絵(サポート)
『クロエと遊んでくれる?』
人間の人形遣い×ビーストマスター、13歳の女の子です。
普段の口調は「無感情(自分の愛称、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」、独り言は「ちょっと病んでる(自分の愛称、アナタ、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
一人称はクロエ、人からクロエと呼ばれると喜ぶ。
ちょっと暗い感じの無表情なキャラ
武器は装備している物を自由に使って構いません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「あれ? なんで寿司が合成酒の棚にあるんだ?」
「天然養殖マグロがエナジーゼリーのコーナーに置いてある……痛んじゃうよ、これ」
アナザー・グリード前ストリートにある、食料品以外も充実している何でもスーパーで商品が本来あるべき棚と違うところに置かれる事件が勃発していた。こうなった商品は基本的に廃棄するしかなく、スーパーとしては大打撃になる。
こんなことをするのは勿論あいつらしかいないだろう。
「ホォォォー! 買うつもりのない商品を別の棚に置くの楽しいなぁ! おい!」
「俺は合成酒を冷凍コーナーに突っ込んできたぜぇ!」
店内で大声をあげているのは無論武装警官達だ。三人で手分けをして実に手際よく悪事を働いている。そんなもの手際良くやらないで欲しい。
「商品移動させるのも飽きてきたし、いっそ冷凍コーナーにダイブすっかなぁ!」
「フゥー! 撮影してSNSに乗せたらバズっちまうぜぇー!」
冷凍食品用のケースに飛び込む武装警官達であったが、突如その身体が炎に包まれる。
「うおああっちゃああああ!」
「ひ、ひぃぃ! なんだ! 温度管理ちゃんとしてんのかよ、こら!」
「やっぱりそこに行きましたね、貴方たちの行動パターンは全て把握済みです!」
本を片手に現れた、赤いアンダーリム眼鏡が似合う知的美人は高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)だ。彼女は世界の何処かに存在する『秘密図書館』の司書さんであり、当然その趣味は読書である。
「クソがぁ! 公務執行妨害で死刑だ、こら!」
怒り心頭に達した武装警官達はアサルトライフルを取り出すが、それすらも見切っていた茉莉は既に後方に走り出していた。彼女を射程内に捉えるべく、義体の足のブースターを使い店内を駆ける武装警官達。
「くそ、あいつ逃げ足早いな!」
「コーナーをちょこまか曲がりやがって……ブースターのせいでこっちは急旋回できねぇのに!」
巧みに地形を利用して逃げ回る茉莉であったが、気づけばぬいぐるみコーナーに追い詰められていた。武装警官達はアサルトライフルを構える。
「へっへっへ……ついに追い詰めたぜぇ」
「あら、私追い詰められていたのですか?」
怪訝そうな顔をする武装警官達を横目に、茉莉は隣りにある大きなライオンに問いかけた。
「クロエさん、どう思いますか?」
「クロエは武装警官達の方が追い詰められたと思うの」
三メートル近い黄金のライオンが動き出し、その前足で武装警官達を薙ぎ払う。予想外の事に彼らは受け身も取れず、アサルトライフルも手放してしまった。
「ぬ、ぬいぐるみじゃ無かったのか……」
黄金のライオンに乗っている、クロエと呼ばれた黒のゴスロリ衣装を纏っている女の子の名前は禍沼・黒絵(災禍の輩・f19241)だ。ぬいぐるみと遊ぶのが大好きな彼女はあらかじめこのコーナーで彼らを待ち伏せしていたのだ。
「エクリプス、おいで」
日食の名を持つ闇属性を秘めたアリスランス『エクリプス』、黒絵はそれを手に取るとライオンを走らせ次々と武装警官の身体を貫いていく。
「ひぃぃ! とんでもねぇ強さだ! こうなったら逃げるしかねぇ!」
唯一エクリプスから逃れた武装警官がスーパーの出口へと駆け寄る。
「はぁ、はぁ。もうすぐで逃げられる! 応援を呼んでくっから覚えてろよ!」
「どこに逃げられるのですか?」
出口に迫った武装警官の目に茉莉の優しい笑顔が映り込む。パラパラとめくられた宇宙魔術古代書から炎が渦を巻いて武装警官へと襲い掛かった。
「ひぃいい! 二度と商品を違う棚に移動させねぇからっ!!」
それが武装警官達の最期の言葉になった。
「クロエさん、ここにいらしたのですね」
戦いを終えた茉莉がぬいぐるみコーナーに戻ると、そこには黒絵の姿があった。
「うん、クロエはぬいぐるみが好きだから」
「そうなんですね。私はいまからここを掃除するつもりなんです」
茉莉は、武装警官達によって汚された床の掃除や商品棚の整理を自ら志願していたのだ。
「クロエも手伝うよ」
「よろしいのですか?」
「うん」
床に散らばったぬいぐるみを手に取ると黒絵は小さく呟いた。
「『クロエ』って呼んでくれたから」
「え?」
「……何でもないよ」
無表情なはずの黒絵の顔が、どことなく喜んでいるような気がした。
茉莉と黒絵の協力によりスーパーの商品を別の棚に放置する悪は滅した。
これで常温の食品を置く棚で悲しむ生鮮食品はいなくなるのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
オネスト・ファッション
お年玉の横取りだって!?
お母さんにやられてもイラッとくるのに他人にやられたら尚更ムカつくぜ!
焼肉屋へ殴り込みだ!
他人の金で食う飯はうまいかよ!?うまそうだな!(デビキン思考)
だが今回ばかりは話が別だ、気合い入れていくぜ!
UCを発動し【ヤンキー・スタイル】に[早着替え]
“理解(わか)”らせてやるぜぇ…“本当(ガチモン)”の“悪(ワル)”ってやつをよぉ…
奴らの要求は勿論拒否じゃ…胸倉掴まれたんならそのままメンチ切りの[威圧]で闘争心の奪い返しじゃ
怯んだ瞬間を狙って思いっきり頭突きを食らわせたるわ
一人倒した勢いのままマッポ共全員へ頭突きを叩き込む
これがワシからの“お年玉”じゃけぇ!スッゾオラー!!
アナザー・グリード前ストリートには成人するまで悪徳武装警官がお年玉を預かるという謎の条例がある。言うまでもないが、このお年玉が成人後に返却されることはない。気づけば綺麗さっぱり消滅しているのだ。
毎年お母さんに預けていたお年玉が銀行送りにされていた経験があるオネストにとって、そんな武装警官の悪行は許しがたいものであった。
「お年玉の横取りだって!? お母さんにやられてもイラッとくるのに他人にやられたら尚更ムカつくぜ!」
レジスタンスによると武装警官達は預かったお年玉で焼肉屋を貸切っているという。
オネストは取る物も取り敢えず駆け出すのであった。
「ふぅぅー! そろそろ焼けたんじゃねぇか!」
「ちゃんとした肉食うのは久々だなぁ、おい!」
子供達から預かったお年玉を手に豪遊をする武装警官達。彼らが焼いているのは骸の海に曝されないよう徹底管理の下に生産された肉だ。安い合成肉では出ない肉汁が食欲をそそる。
「じゃあ俺が代表して……取り分けちゃいまぁーす!」
「「「ふぅううー!!」」」
最高にテンションが上がったその時、オネストが凄まじい勢いで扉を開け放った。
「他人の金で食う飯はうまいかよ!? うまそうだな!」
盛られた焼肉を見てうっかりデビルキングワールド的な思考が口から漏れてしまうが、ここはサイバーザナドゥだ。考えを振り払うように首を振ると、オネストは真っ白な歯を見せつけながら両腕を大きく開く。
「だが今回ばかりは話が別だ、気合い入れていくぜ!」
オネストの背後に異界の扉が現れる。
ゆっくりと音を立てて開いた『それ』の中に流れる様々な衣装。
オネストはその中から最高にイカす一揃いを手に取ると、高く放り投げた。
「“理解(わか)”らせてやるぜぇ……“本当(ガチモン)”の“悪(ワル)”ってやつをよぉ……」
「!?」
気づけばオネストはハチマキをしめ、ブリバリの特攻服に身を包んでいた。一瞬で替わったオネストの衣装に何が何だかわからない武装警官達であったが、楽しい食事の時間を邪魔されたことだけは確かだ。席を立つと体を揺らしながらオネストへ歩み寄る。
「“俺達(オブリビオン)”を“ナメ”るんじゃねーゾ……“猟兵(イェーガー)”……土下座しろ、オラァ!!」
機械化した義体の腕で胸倉を掴む武装警官。しかしオネストは一歩も引かない、それどころから更にメンチを切って武装警官を威圧する。
「土下座すんのはワレじゃ、コラァ!」
所詮武装警官はオブリビオンであることを笠に着ているだけの仮初の悪だ、本物の悪の迫力に勝てるはずもない。怯んで胸倉を掴む手が緩んだ。
「ッシャアアアア! オラー!」
「!?」
オネストは武装警官の鼻に思いっきり頭突きを食らわせた。余りの激痛に仰け反った武装警官は、そのまま焼肉が盛られた皿の上へと倒れ込む。まだ一口も食べていない焼肉が床に散らばったのを見て、他の武装警官達がオネストへと詰め寄った。
「テメェ……あんまチョーシくれてっと“ひき肉”にすンぞ!」
「マッポのくせに上等じゃ! やってみせんかい、コラァ!」
両手をポケットに入れたままオネストが次々と武装警官に頭突きを叩き込む。メンツを潰された武装警官が次々と消滅する中、最後に残った武装警官が震える手でお年玉を掴んでオネストへと差し出した。
「ま、待て! 残った“お年玉”ならここにある……これを半分お前にやるからそれで手を打とうじゃないか。見逃してくれよ、俺への“お年玉”だと思って……」
「これがワシからの“お年玉”じゃけぇ! スッゾオラー!!」
渾身の頭突きが炸裂。武装警官は眉間を押さえたまま床に倒れると、呻くように呟いた。
「……これからは、ちゃんと持ち主の名義の口座で……貯金しておくぜぇ……」
それが武装警官の最期の言葉になった。
オネストの活躍によりお年玉を預かると称して着服する悪は滅した。
……そう、『サイバーザナドゥ』の悪は滅した。
他の世界にはまだいるのかもしれない。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『安心安全カフェでの一時』
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POW : 安心安全ランチ=スシ・セットを頼む
SPD : 安心安全エスプレッソのカップを傾ける
WIZ : 安心安全バイオフルーツタルトをフォークでつつく
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達の活躍でアナザー・グリード前ストリートのオブリビオンは一掃された。そのお礼として市民やレジスタンスが『安心安全カフェ』を貸し切って猟兵を慰労してくれると言う。
「皆さんのお陰でようやくこのカフェも通常営業が出来そうです。どうかお好きな品を注文してください、メニューにある品の他に『トマトのカプレーゼ』や『目玉焼き ~春風を添えて~』もご用意できますよ。中央にある串カツは食べ放題でございますが……決してタレの二度漬けはなさらないでくださいね」
店員から差し出されたメニューには『安心安全ランチ=スシ・セット』と『安心安全エスプレッソ』と『安心安全バイオフルーツタルト』が記載されている、それに加えて先ほどの二つのメニューを頼めるようだ。
「悪徳武装警官がのさばるようになってから串カツの提供は中止してたらしいっすよ! それがようやくこの度解禁になったとか、嬉しい限りっす」
喜色満面で話すレジスタンスの一人。見渡せば店内には今回関わった人々がたくさんいる。自分の担当だったレジスタンスと語っても良し、それ以外の担当の中で共感できる話の者がいれば語っても良し、もしくは今回被害にあった市民達と語っても良しだ。
「私、今日新品の消しゴムを買ったんです。もしあのオブリビオンに見つかってたと思うと……本当にありがとうございました」
「見てください、これ半年頑張って稼いだお金で買ったサイバーグラスです! 皆さんがいなければきっとすごい嫌がらせを受けてたと思うんです」
「えへへ、雪山オモチ買っちゃった。これ二つしか入ってないんだよ」
グリモア猟兵の予知で被害に遭う予定だった三人もいる。幸いみんな被害に遭うことはなく無事のようだ。
「ではでは皆さん静粛にー!」
レジスタンスの一人がグラスを手に取る。
「悪徳武装警官殲滅を祝ってカンパーイ!」
楽しい宴の始まりだ。
春原・冬馬
「さあ…食うぞ!」
POW
アドリブOK
全てが終わったわけだ。
ありとあらゆるメニューを食べさせてもらおう
こういう時は焦らずゆっくり歓談しつつ食べるんだ
今回のことを振り返りつつ食事の手は止めない
それが俺だ
いっぱい動いた後はいっぱい食べねばならない
エネルギー補充のためだ
決して食い意地が張ってるわけではない……おそらく
食べる量でドン引きされるかもしれないけど気にしないでくれ
「お待たせしました、こちら安心安全ランチ=スシ・セットとなります」
冬馬の目の前にずらりと並べられたのは、骸の海の影響を受けないように徹底管理の下に生産された天然養殖海産物をふんだんに使ったスシだ。
「さあ……食うぞ!」
冬馬はスシを手に取り醤油をつけると口に放り込む、味わい深い濃厚なネタとさっぱりとした酢飯が舌の上でハーモニーを奏でる。続けてもう一つと手を伸ばした時、思わぬ客人が対面に現れた。
「やあ、冬馬さん! ボクも混ぜておくれよ!」
声の主は大きなクマのぬいぐるみ……いや、その後ろにいるレジスタンスだった。
「へへへ、なんちゃって。前の席失礼しますね!」
レジスタンスはぬいぐるみを席に座らせると、その隣りに自分も着席して料理を注文した。
「冬馬さん……今回は本当にありがとうございました」
「大したことはしてない、俺はオブリビオンを倒しただけだ」
歓談しながらも冬馬はスシを食べる手は止めない。レジスタンスはその様子を見て目を丸くする。
「めっちゃ食べますね! どちらかというと小食に見えますけど」
「ああ、いっぱい動いた後はいっぱい食べねばならないんだ」
もしかして食い意地が張ってるように見えただろうか、と思う冬馬であったがこれもエネルギー補給のためだと自分に言い聞かせた。
「あ、じゃあ良かったらこれどうですか。俺の安心安全バイオフルーツタルト半分差し上げますよ!」
「良いのか?」
「へへへ、このクマのぬいぐるみのタグ切られないで済んだお礼ですよ、貰ってください!」
スシ・セットを全て平らげた冬馬の目の前に宝石のようなフルーツが山盛り乗ったタルトが切り分けられた。
「では、ありがたく頂くぞ」
フォークを刺し口に運んだタルトから瑞々しい果汁の味が弾けた、なんと生地の部分に幾層にも連なったフルーツが練り込まれていたのだ。
「ここのバイオフルーツタルトほんっと旨いんですよね~、普段は合成フルーツばっか食べてるから余計にそう思いますよ」
「こういう天然食材は珍しいのか?」
「珍しいですよ! この世界は骸の海でどうしても身体を汚染されますから……ほら、俺の右腕だってこれ機械化義体ですし」
「人間以外の動物も例外じゃないんですよ……隣りの席良いですか?」
安心安全エスプレッソの入ったカップを二つ手にしたレジスタンスが声をかけて席に着く。彼はカップの一つを冬馬へと差し出した。
「皆さんのお陰で悪徳武装警官も倒せましたし、これからは骸の海を垂れ流すメガコーポと戦う組織になるつもりです。良かったら協力の程お願い致します」
「ああ、わかった」
無事にオブリビオンを排除し、サイバーザナドゥとの足がかりも出来た。これで今回の任務は全て終わったのだ。
「……いや、まだ終わっていない」
冬馬は席を立つと店内の中央にある串カツ食べ放題エリアへと向かった。
「あいつらのせいで食べそびれたからな。心ゆくまで食べさせてもらう」
タレをつけた串カツを頬張る冬馬を見て、レジスタンス達は拍手喝采をしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
山崎・圭一
とりあえず一安心、だな(咥えた煙草に着火)なんかすげぇ疲れた
俺も白燐蟲達も空腹だし、早速目玉焼きに有り付くわ
あ…ちょっと待って。カツあるんだろ?
そんじゃ俺カツカレーが食いてーわ。目玉焼き乗せてくれる?
悪徳警官に勝ったんだしいいだろ?
しかしまあ、靴下の裏返しねぇ。知らぬ間にそのまま履いちゃいそう
また何処の誰かも知らん奴にやられるから嫌なんだよな
まっ、お前も食えって。レジスタンス活動はまだまだ忙しくなる筈だぜ
ところでこの目玉焼きの卵産んだ鶏も義体化してンの?
大変な世界なこって。
俺、義体化なんてしたら蟲達の住処なくしちゃうし〜
…なあ、アンタ等の目指してるものってどんなンなの?
せっかくだし話してくれよ
圭一は安心安全カフェの席につくと煙草を一本取り出して咥えた。
「とりあえず一安心、だな」
火をつけて紫煙をくゆらすと、これまでの疲れがどっと押し寄せてきた。
「ご注文は何になさいますか?」
「そーだな、目玉焼き……あ、ちょっと待って。カツあるんだろ? そんじゃ俺カツカレーが食いてーわ。目玉焼き乗せてくれる?」
悪徳警官に勝ったんだし良いだろ? と白い歯を見せる圭一に対して、店員はニコリと笑うとお辞儀をして去っていった。それと入れ替わりに圭一に助けられたレジスタンスが現れて対面の席に座る。
「圭一さん、今回はお疲れ様でした! これでもう靴下に脅えなくて済みますよ」
「お、あン時のレジスタンスか、お前もお疲れな。しかしまあ、靴下の裏返しねぇ。知らぬ間にそのまま履いちゃいそう」
「自分でうっかり裏返しちゃったとか、妻がやっちゃったとかなら良いんですけどね」
「何処の誰かも知らん奴にやられるから嫌なんだよな。まっ、お前も食えって。レジスタンス活動はまだまだ忙しくなる筈だぜ」
「はい! 店員さん! 俺も圭一さんと同じの一つお願いしまーす!」
レジスタンスは手を上げて元気よく注文したのであった。
「こちら、安心安全バイオカツカレー ~目玉焼きを乗せて~ になります」
二人の目の前にすごいボリュームのカツカレーが置かれた。その頂上には目玉焼きが鎮座している。圭一は待ってましたとばかりに目玉焼きに有り付くと、白身と黄身のコントラストを堪能した。
ふと視線を上げるとレジスタンスの義体化した左腕が目に入る、圭一は今かぶり付いた目玉焼きを見ながら彼に問いかけた。
「ところでこの目玉焼きの卵産んだ鶏も義体化してンの?」
「このカフェで使われてる卵は徹底管理された鶏から産まれたものなんで義体化はしてないはずです。俺達が普段食べる卵は義体化した鶏の卵とか、そもそも不味い合成食品がほとんどですね……」
義体化した生き物の肉や卵を食べれば微量ながら骸の海に汚染されることになる、それを避けるべく一般人が食べるのが合成食品だ。味も食感も最悪だが、安価かつ栄養を補給することができるのだ。
「大変な世界なこって。俺、義体化なんてしたら蟲達の住処なくしちゃうし〜」
圭一はその身に生きた白燐蟲と死んだ白燐蟲を飼っている。義体化してそれらが飼えなくなってしまう未来なんて考えたくもなかった。
「……なあ、アンタ等の目指してるものってどんなンなの? せっかくだし話してくれよ」
食事を終えた圭一は煙草を手に、レジスタンスへと問いかけた。彼らが見据えている未来がどんなものか気になったのだ。
「そうですね……これは組織としてより俺個人の話になるかもしれないんですけど、今妻のお腹に子供がいるんですよ」
レジスタンスがタブレットで栗色の髪の女性の写真を見せた。
「この子が機械化義体に換装しなくても良くなる世界を目指してますね……その為にも骸の海を垂れ流すメガコーポを倒したいです」
「メガコーポか、そういえば今回はそいつら関わってなかったンかな」
「今回の悪徳武装警官はこの近くにあるメガコーポの『アナザー・グリード』傘下のオブリビオンですね」
「なるほど、ね。そこに繋がってくンのか」
圭一は灰皿に煙草を押し付けると席を立った。
「そンじゃ、俺はそろそろ帰るわ。またなんかあったら駆けつけっから」
「あ、圭一さん!」
カフェを後にしようとする圭一を追ってレジスタンスが声をかける。
「ン?」
「もし、子供が男の子だったら……圭一って名前つけても良いですかね?」
圭一はニッと笑うと、親指を立てて見せた。
大成功
🔵🔵🔵
ネロ・アンドラス
「ぷはー🍺😆✨やっぱり勝利の後は並んで買った強炭酸エナジードリンクに限るな❗」正に勝利の美酒、更に安心安全ランチ=スシセットと目玉焼き~春風を添えて~を注文して串カツをタレにつけて口に運ぶ。「やっぱり串カツにはこのタレが一番だぜ❗いやー解禁してよかったぜ。よりドリンクもうまく感じるぞ。やっぱり並んで買うからこそ意味があるぜ。」
アナザー・グリード前のストリートにあるドリンクカフェには行列が出来ていた。悪徳武装警官が倒された事で改めて強炭酸エナジードリンクの販売を開始したからだ。そしてそんな行列の中に一人のワーウルフが並んでいた。
「お待たせしました! こちらが強炭酸エナジードリンクに……あ、貴方は悪徳武装警官を倒してくれた方じゃないですか! 言ってくだされば並ばずにすぐお出ししましたのに!」
「それじゃアイツラと一緒になっちまうぜ! そもそも並ぶことに意味があるからな!」
恐縮する店員から強炭酸エナジードリンクを受け取るとネロは玄武号に乗り込み、早速一口飲んでみることにした。弾ける炭酸の喉越しが、疲れた身体を潤してくれる。
「ぷはー! やっぱり勝利の後は並んで買った強炭酸エナジードリンクに限るな!」
うっかり飲み干さないように蓋を閉めると、ネロは玄武号を安心安全カフェへと走らせた。
「あ、ネロさん、お疲れ様です! どうぞこちらの席に座ってください!」
「おう! ありがとな!」
レジスタンスに案内された席に安心安全ランチ=スシセットと『目玉焼き ~春風を添えて~』が運ばれてくる。ネロはスシを一つ手に取ると口の中に放り込んだ。脂の乗ったネタが舌の上でとろける様に消えてなくなり、酢飯のさっぱりとした味わいが口中に広がる。
目玉焼きも至高の一品であった。つつけば溢れるように黄身が流れ出し、白身と合わさる事で命の味を感じさせてくれる。どうやら安心安全カフェは濃厚かつ淡泊という味わいを大事にしているらしい。
「へへへ、ネロさん楽しんでますか? 実は……僕も今並んで買ってきたんですよ!」
見ればあの時のレジスタンスが強炭酸エナジードリンクと串カツの皿を手に持っていた。彼は席につくとタレの入った容器をネロに差し出した。
「ささ、どーんと漬けていっちゃってください!」
言われるがままに串カツを手に取ると、ネロは容器のタレをたっぷりつけて齧り付いた。
スシと目玉焼きとは違い、濃厚一直線のタレがガツンとネロの脳内に響く。
「やっぱり串カツにはこのタレが一番だぜ! いやー解禁してよかったぜ」
「ほんとですね! もうこの味を楽しめないのかと思ってましたよ、僕……」
バンバンとレジスタンスの背中を叩くとネロは強炭酸エナジードリンクを再びあおった。痺れるような炭酸がタレ一色になっていた脳を激しく揺さぶる。
「ドリンクもよりうまく感じるぞ」
「頭にガツンと来ますよね!」
ふとカフェの外に目をやると、ここからでもドリンクカフェの行列が見えた。店内から出てきた人達が嬉しそうに飲んでいる姿を、ネロは目を細めて見ていた。
「やっぱり並んで買うからこそ意味があるぜ」
最後の一滴まで飲み干すと、ネロは頷きながら空き容器を机の上に置いたのだ。
大成功
🔵🔵🔵
シャムロック・ダンタリオン
なんか今回の敵、悪徳警官を名乗ってる割には随分とみみっちいものだったな…。
それにしても――(と、店のメニュー表を見つつ)
いちいち「安心安全」を謳うのはいいとして(まあよくはないが)、なんだこの「天然バイオポーク」って、天然だかバイオだかどっちなんだ?(とか心の中で突っ込みつつ【世界知識】も引き出しつつ【情報収集】)
――ところで貴様ら、何故レジスタンス行為を行うようになったのだ?
できれば対立している組織などについても、できる限り教えてくれないだろうか――ああ、今後の戦いのためにでもあるな。
※アドリブ・連携歓迎
「なんか今回の敵、悪徳警官を名乗ってる割には随分とみみっちいものだったな… …」
普通悪徳警官と言えば権力を笠に着て財産を奪ったり、暴行を働いたり、それはひどい悪事を重ねるものを想像する。それに対して彼らがしたことは悪事には変わりないのだが、あまりにもスケールが小さかったとシャムロックは感じていた。
「それにしても――」
店内のメニューに目をやったシャムロックはそこに並ぶ文字に違和感を持った。
「いちいち『安心安全』を謳うのはいいとして、なんだこの『天然バイオポーク』って」
天然だかバイオだかどっちなんだ、と思いつつシャムロックは電子タブレットを取り出した。これは先ほど悪徳武装警官を倒した際に、お礼として貸し出された電子図書館のタブレットだ。
「ふむ、これなど良さそうだな」
シャムロックは如何にも今回の謎に答えてくれそうなタイトルの電子書籍を読み始めた。
「『サイバーザナドゥの食文化史』
サイバーザナドゥの食文化を語る上で避けて通れないのはやはり骸の海だろう。
メガコーポが己の企業の繁栄のみを追い求めた結果、骸の海が世界に垂れ流され地球環境は壊滅的な打撃を受けた。その影響は我々人間だけでなく、動物や植物など広範囲に渡る。この世界に生きる以上骸の海の汚染から逃れる術はないが、出来るだけ避ける方法ならある。
その一つが合成食品だ。ライフサイクルの短いオキアミは骸の海があまり蓄積されていない。これらを粉末状にした上で固めたものこそが合成オキアミフードだ。安価かつ栄養豊富なため毎食これだけという市民も少なくはない。
しかし合成オキアミフードには大きな欠点がある――それは非常に不味いということだ。
いくら骸の海の汚染が少ないからといって不味い食べ物を毎日食べたいだろうか? 否、私は食べたくない。故に大抵の人は多少汚染されているのがわかっていても義体化した牛や豚の肉、変色した野菜などを口に運ぶことになる。本来の味には劣るものの合成オキアミフードに比べたら遥かにマシだからだ。
中には産まれた時から骸の海に汚染されないよう徹底管理された家畜や作物を提供する料理店もある。少々値は張るものの、骸の海にほとんど汚染されていないそれらは非常に美味だと言われている。
また、それに伴い最近では『天然養殖』や『天然バイオ』という聞きなれない言葉が使われるようになってきた。昔は天然といえば自然に育った家畜や作物を指し、養殖よりも重宝がられていた。
しかし、今は天然と言ったら骸の海に曝され放題という意味になる。そんなものを好き好んで食べるものはいないだろう。故に徹底的に管理された食べ物を『天然』の味がする『養殖』『バイオ』と呼ぶのだ。矛盾した言葉である故、違和感を持つ者も多いので一般的な飲食店では接頭に『安心安全』とつけて提供することが多い。
これらはあくまで私が感じて纏めた食文化史であり、これが正解とは限らないことを追記して筆を置く」
「なるほど、安心安全と天然バイオの謎が両方解けたな」
机の上に置かれた安心安全エスプレッソのコップを傾けて一息ついたシャムロックの所にレジスタンスの一人がやってきた。
「シャムロックさん! 今回は手伝ってくれて本当にありがとうっす!」
対面の席に座ったレジスタンスに対し、シャムロックはふと浮かんだ疑問を口にした。
「――ところで貴様ら、何故レジスタンス行為を行うようになったのだ?」
「骸の海に脅えなくて良い世界にしたいからっす! 俺達の世代はもうダメっすけど、その下の世代や、その先の子孫たちがこんな機械化義体に換装しなくて良い世界にしたいっす!」
そう言うとレジスタンスは義体化した両足をシャムロックに見せた。
「なるほど――できれば対立している組織などについても、できる限り教えてくれないだろうか――ああ、今後の戦いのためにでもあるな」
「今、俺達が直接対立しているのは『アナザー・グリード』っていう映像制作を行うメガコーポっす! 今回の悪徳武装警官はやつらが尖兵として使う為に骸の海を含む違法ドラッグを投与したって聞いてるっす! まだ実験段階のドラッグだったらしくて嫌がらせ程度の悪事をするオブリビオンで済みましたけど……」
シャムロックの頭に割れ窓理論という言葉が浮かんだ。今回のオブリビオンは実にみみっちい悪事を働いていたが、これを放置していたら更に改良したドラッグを投与され重大事件を引き起こしていたかもしれない。今回自分達が出撃して芽を摘んだことで『アナザー・グリード』とやらも警戒してすぐには動かないだろう。
「――そう考えると、実は大した事件だったのかもしれないな」
シャムロックは空になったカップを見ると、コースターの上に乗せたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「可愛いペットたちが無事でよかったです。
こほん。ええと、巨大企業として動物虐待事件に関わっていると知れたら他の企業に弱みを握られますから、これも仕事です。ええ」
助けたペットたちも連れてカフェに行きましょう。
この子たちもお腹空いてそうですし……い、いえ、動物愛護のパフォーマンスも重要な仕事です。
ペットとの交流をSNSで配信して会社のイメージアップを図りましょう。
「拘束具は回収しましたけど、これどうしましょうか……
って、きゃあっ」
間違って拘束具を発動させてしまい動きを封じられ、ペットたちにじゃれつかれて!?
やっ、スカートのベルトに爪立てないでっ!
「助けてください、フォスさんーっ!」
フォス・オネイロス
【ブラック】
再生回数も増えて経費も潤沢だし、
ここは社のイメージアップってことで、
ペットオーケーのカフェに行くことにしようか。
ペルセポネさんの癒しも兼ねて、ね。
生配信をしながらみんなでご飯&反省会をしていたんだけど、
戦利品のチェックに入ったところで危ないものが。
この拘束具は配信しないほうがいいかなって思う……って、あ。
片付けようとしたペルセポネさんが、スイッチを押してしまって……。
再び拘束されたペルセポネさんに、
連れてきたペットのみんなが群がっちゃった!?
あ、ペットさんの爪でベルト切られてスカートが……。
けど『いいね』伸びてるね。
ここは……うん。
もちょっとサービスが必要かな(くすぐりに加わる)
「可愛いペットたちが無事でよかったです」
ペルセポネとフォスは大量のペットを引き連れてストリートを歩いていた。少々予定外のことも起きたが、とりあえず任務には成功したのだ。
「こほん。ええと、巨大企業として動物虐待事件に関わっていると知れたら他の企業に弱みを握られますから、これも仕事です。ええ」
うっかり出てしまった本音を隠すように軽く咳ばらいをすると、ペルセポネは右手の人差し指をくるくると回しながら続けた。
その様子を見たフォスは微笑みながらペルセポネに一つの提案をした。
「再生回数も増えて経費も潤沢だし、ここは社のイメージアップってことで、ペットオーケーのカフェに行くのはどうかな」
「それは良い考えです。この子たちもお腹空いてそうですし……い、いえ、動物愛護のパフォーマンスも重要な仕事です」
「それじゃ決まりだね」
社のイメージアップというフォスの言葉に嘘偽りは無い。しかし本当はこの戦いで心身共に疲れ切ったペルセポネを癒したいという想いが強かった。無論、本人にはそんなこと微塵も言わないけども。
「では食べながら反省会をしましょうか」
安心安全カフェのペット用ブースを貸し切った二人は早速生配信を開始した。今回は社のイメージアップを狙うという目的があるのでペルセポネのSNSを通じて社名込みの配信だ。今から嫌な予感しかしない。
「ペルセポネさん、食レポしよう」
無心で安心安全バイオフルーツタルトをつついていたペルセポネにカメラを向けるフォス。
「え? バイオフルーツタルト……とてもバイオでフルーツなタルトです。その~……バイオな味わいですわ!」
『バイオしか伝わらなくて笑う』
『なんか社長令嬢みたいな喋り方してる!』
『ペルセポネちゃん、かわいい!』
ペルセポネは頬を膨らませるとジト目でフォスに抗議した。
「もう、突然振らないでください……まあ、好評だから良いですけども」
「ふふ、それじゃペットとの交流いってみよう」
ペルセポネがペット用のケーキを手に取り床に座る。途端にペットが押し寄せてペルセポネはもみくちゃにされてしまった。
「ほら! フォスさん、もふもふし放題ですよ! ……あ、スカートはダメ! そこには潜っちゃダメだから! 今日はそういうの無しですよ!」
「ペルセポネさん、ずるい。わたしも混ぜてください」
美少女二人が動物たちと触れ合う生配信。
サイバーザナドゥではどちらかというと戦場の生配信と言った血生臭くエキサイトなものが人気だが、それ故にこういう平和で尊い光景に飢えているものも多い。着実に再生回数は増えていった。
「……羽箒、ちょっとフォスさん。何でこんなもの持ち帰ってきてるのですか」
「何かに使えるかと思いまして」
一通りペットとの交流を終えた二人は今回の戦利品のチェックに入っていた。
「何かって何ですか……っと、拘束具も回収しましたけど、これどうしましょうか……」
電子ロック付きの拘束具、基本的に拷問などに使われる道具であり世間に良い印象は与えない。加えて配信に映すことでその機構などを解析し生産する者が現れる危険性もある。
フォスは拘束具が映らない様に手で覆うとペルセポネに囁いた。
「これは配信しないほうがいいかなって思う……」
「え? あ、そ、そうですね。それじゃこれは片づけ……って、きゃあっ」
慌てて片づけようとしようとしたペルセポネの手がうっかり電子ロックに触れてしまう。あっという間にペルセポネの手足は拘束されてしまった。
「助けてください、フォスさんーっ!」
「なんとなくこうなる気はしてたけどっ……!」
フォスはすぐにペルセポネへと駆け寄った。ペルセポネの電脳制御に期待できない今、地道に電子ロックを解除するしかない。
「四桁の正しいナンバーを入力か、とりあえず1,5,0,7と」
『Hit0、Blow2 正しいナンバーを入力してください』
「ヒットアンドブロー、ね……」
ヒットアンドブローとは四桁の異なる数字を当てるクイズだ。数字と位置が一致していればHit、数字のみが一致している場合はBlowが返ってくる。
「なんでクイズ形式なのかはわからないけど、手がかりがないよりはずっとやりやすいね……ん?」
そう、何も邪魔が無ければこのまま電子ロックを解除できただろう。しかし今ここには無数のペットたちがいる。先ほど遊んでくれたペルセポネが床に拘束されたのを見て、彼らは彼女にじゃれつきにいってしまったのだ。
「ひゃっ、やっ、スカートのベルトに爪立てないでっ!」
ペットたちには何の罪もない、彼らはペルセポネにじゃれついてるだけなのだ。結果としてベルトが切られてスカートがずり落ちそうになっているだけなのだ。
「フォスさん~……!」
その時、フォスのアンシラリーブレインに電撃が走る。このまま正しい数字を入力するより遥かに良いナニカがここにある気がする。ふと配信用ディスプレイを見ると、みるみる『いいね』が伸びているのが目に入った。
「ペルセポネさん」
「ふぇっ!?」
ペットにスカートを持っていかれない様に脚をもぞもぞ動かしてたペルセポネの身に予想外のことが起きた、なんとフォスがスカートを引っぺがしたのである。しかもその手にはあの羽箒が握られている。
「早速何かのときがきました」
「さ、早速じゃないですー! ……ふふふ……んんっ、ひゃぅん……あはは、フォスさん、やめっ……ぁぁんっ」
ペルセポネとフォスの生配信はこの日の最高視聴回数ランキング一位を獲得したのだった。
大成功
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メンカル・プルモーサ
……さて……串カツもフルーツタルトも美味しいけどやりたいことあるんだよね…
…(レジスタンス達に)各々譲れない物はあると思う…だけど試しもせずに否定するのも良くはない…
…即ち皆で目玉焼きに付けるものを色々試そう…
…私は醤油で食べるのが好きだけど…
…塩とか胡椒とかソースとかケチャップとかマヨネーズとか…それぞれにそれぞれの良さがあると思う…これが良いと思う食べ方を皆で教えあおう…
…例えば半熟の目玉焼きだと黄身とソースを良い感じに混ぜるのも美味しいよね…
(和気藹々と目玉焼き試食大会を行う)
「……と言う訳で俺はまず骸の海が出る原因を断つのが先だと思うんですよ」
「僕はやっぱりメガコーポを潰すのが良いと思うんですよね」
「その場合はやっぱり手近なアナザー・グリードからっすかね?」
「……なるほど……」
メンカルが串カツを食べている横でレジスタンス達の議論が活発化していた。当面の敵である悪徳武装警官を倒した今、組織としてどう動くべきかという重要な局面だからだ。
「……アナザー・グリードと戦える程の戦力はあるの……?」
「うっ、今の僕達にはそこまでの力は……」
「団長が行方不明じゃなければ……」
「だからと言って何もせずにはいられないっす!」
先ほどから聞いていると、どうやらこのレジスタンスにはユーベルコード使いの団長がいたらしい。しかし、アナザー・グリードとの小競り合いで彼は消息を絶ってしまいレジスタンス全体がやや迷走をしているようだ。
「……私はアナザー・グリードと戦ったことあるけど……正直、悪徳武装警官に勝てないようじゃ……難しいと思うよ……」
安心安全バイオフルーツタルトを食べながらメンカルは苦言を呈した。一見厳しく見えるが、これは優しさの裏返しだ。このまま彼らがアナザー・グリードに戦いを挑んでも万に一つも勝ち目は無いだろう。
「そうなるとやっぱり団長の捜索が先なのかな」
「無駄だっ! もうあれからどれだけ経つと思うんだよ!」
「連絡も一切無いっすからね……」
「……串カツもフルーツタルトも美味しい……さて……」
白熱する議論を余所にメンカルは席を立つと、店員に何か耳打ちをした。
「……各々譲れない物はあると思う……だけど試しもせずに否定するのも良くはない……即ち皆で目玉焼きに付けるものを色々試そう……」
ずらりと机の上に並べられた目玉焼きと調味料の前でメンカルが堂々と宣言する。唐突な目玉焼きにレジスタンス達は面食らった。
「目玉焼き……ですか……?」
「……塩とか胡椒とかソースとかケチャップとかマヨネーズとか……それぞれにそれぞれの良さがあると思う……これが良いと思う食べ方を皆で教えあおう……」
「言われてみれば……目玉焼きにかけるものって『コレ』って自分の中で決まってて、他の物を試したことってないですね」
「僕ケチャップ好きなんですけど……黄身との相性結構良いんですよ!」
「俺は黄身だけソースかけて、白身は塩胡椒っす! 一度に二つ楽しめてお得っすよ!」
「……半熟の目玉焼きだと黄身とソースを良い感じに混ぜるのも美味しいよね……」
「なるほど、混ぜるなんて方法も……」
そこまで言うとレジスタンスの一人は何かに気づいたようにハッとした。
「混ぜる……そうか! 団長の捜索だけ、メガコーポの打倒だけ、じゃなくて同時にやる道があるってことか……!」
「確かに『コレ』と決めた方法しか許さない感じになってたっすね……」
「メンカルさんはこのことを教えようと目玉焼きを……!?」
三人のレジスタンスの視線を一身に受けたメンカルは目玉焼きにケチャップをかけながら表情を崩すことなく返した。
「……さあ、どうだろう……私は目玉焼きの試食大会をしたかっただけだよ……」
メンカルとレジスタンスの目玉焼き試食大会は和気藹々と行われたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
オネスト・ファッション
アドリブ◎
最後は真のワルが勝つのさっ!
お疲れ様、打ち上げに行こうぜ!
……焼肉屋さんの片付け手伝ってからな!
安心安全なんていい子なメニューだな!
安心安全じゃないのもあるってことだよな?そっちもいつか食べてみたいぜ
映えそうなカプレーゼと安心安全フルーツタルトを最初に頼んで写真撮影だ!
レジスタンスのみんなも写真に入ってくれたら嬉しいぜ
デビスタに挙げたら早速いただきます!
野菜と肉をバランスよく食べつつ
ソースの二度漬けがダメ……ならあえてソースなしで串カツを堪能だ!
ルールを破るだけがワルじゃない、裏を掻くのもワルってね!
#サイバーザナドゥ #串カツパーティ #ゲーミングフルーツタルト #実際ソースは必要
悪徳武装警官を一掃したオネストの下に続々とレジスタンスが駆け寄る。オネストは両腕を開いて彼らと肩を組むと、満面の笑みと共に口を開いた。
「最後は真のワルが勝つのさっ! お疲れ様、打ち上げに行こうぜ!」
「うおおおおお! オネストさん、さすがです!」
「イカしたオネストさんに悪徳武装警官が勝てる訳ないですよね!」
「安心安全カフェで予約取ってあるので早速行きましょう!」
すっかりテンションの上がったレジスタンスと喜びを分かち合うオネストであったが、ふと床に目をやると武装警官によって散らばった肉が目に入った。机の上も破損した皿などが散乱している。
「……焼肉屋さんの片付け手伝ってからな!」
率先して後片付けを始めるオネストを見て、慌てて手伝い始めるレジスタンス達。ワルをことさら強調するオネストであるが、レジスタンス達は薄々あることに気づき始めていた。
「もしかしてオネストさんってめちゃくちゃ善良なのでは……?」
無事に焼肉屋の片づけを済ませた一行は安心安全カフェへと辿り着いた。
やたらと安心安全を推すメニューがオネストの心をくすぐる。
「安心安全なんていい子なメニューだな! 安心安全じゃないのもあるってことだよな? そっちもいつか食べてみたいぜ」
「サイバーザナドゥで安心安全じゃない方食べたいって言う人初めて見ましたよ……」
「オネストさんって、やっぱパねぇっすね!」
「とりあえず何頼みますか? 俺達もオネストさんと同じのにしますよ!」
「それじゃトマトのカプレーゼと安心安全フルーツタルトで!」
あっという間に机に運ばれた料理を見ると、オネストは口笛を吹きながらデビルズスマホを取り出した。料理が全部入るように角度を調節していると、レジスタンス達が画面に入らないように遠慮してるのが見える。
「みんなも入ってくれよ! 俺達仲間だからなっ!」
手招きをするオネストの笑顔が眩しい。レジスタンス達は我先にと飛び出てイカしたポーズを取った。
「それじゃ撮るぜ! ……ハイ、デビチーズ!」
「「「デビチーズ!」」」
「これで良しっと、へへ……それじゃワルいことしちゃおっかな!」
撮った写真をデビスタにあげると、オネストは串カツを手に取って不穏な発言をした。
「オネストさん、まさか二度漬けですか!?」
「そ、それはやばいっすよ……出禁になっちゃいますよ!」
オネストはニヤリと笑うと、なんとタレなしの串カツにワイルドに齧り付いた。ワルと言えばルールを破るものだと思っていたレジスタンス達は完全に裏を掻かれたのだ。
「その発想はなかったっす……!」
「マジっすか! タレなしとか……ワルすぎですよ!」
「それ美味いんですか……?」
「みんなもやってみようぜ! 最高に美味いからよっ!」
レジスタンス達は串カツを手に取ると各々齧り付き……笑い出した。オネストも手を叩いて大笑いをする。
最高に楽しい時間は閉店まで続いたのであった。
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ソースなしの串カツの味はどうだったかって? それを語るにはオネストがデビスタにあげた写真を見て貰うのが一番良いだろう。
イカした改造制服を纏いウインクをするオネストと、彼に見立てて貰った服を着たレジスタンスたちの映った派手な写真。机の上にはトマト、サラダ、チーズの三色が彩られたカプレーゼに、宝石箱のようにキラキラしたフルーツタルト。
そこに添えられたタグに答えは乗っている。
#サイバーザナドゥ #串カツパーティ #ゲーミングフルーツタルト #実際ソースは必要
――やっぱワルって最高だぜ!
大成功
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