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【サポート優先】花海の歌姫

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #栄華と破滅の歌姫 #スターライダー

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#スターライダー


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 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)

●スペースシップワールド
 広大な宇宙を旅する観光船『ブルーペタル』。
 かつて存在した水と花の惑星の名を持つ超巨大リゾートシップである。
 美しいビーチがある事でも知られるこの船の特徴は、水中に咲く花を育てていること。
 春祭りが始まるこの時期ならば、サクラ、ミモザにビオラ、と水の中には色とりどりの花が咲いている。
 柔らかな疑似陽光に煌めく波の向こうで揺れる花は愛らしい。
 かつての水上都市を再現した宿泊観光エリアでは、ゴンドラに乗った客達がその景色を楽しんでいる。

 還る星を失ったこの世界にも、春を歓ぶ心はある。
 待ち望んだ平和を取り戻して、人々は日々の営みを続けている。
「……うん?」
 ふいに、その声は聞こえた。
 穏やかな潮騒の合間に響くような、澄んだ歌声だ。

 ――さあ願うのです。

 歌声が、命じる。誘う。脳奥へ忍び込む。
 聞いてはいけない、そう思っても抵抗することはできない。
 優しく、ゆるやかに、その声は人々の思想を支配していく。

 ――さあ願うのです、帝国による再統一を。

 恐るべき銀河帝国継承軍を讃えよう。
 『栄華と破滅の歌姫』が命じるままに……。
 いつしか人々はそれが正しいことなのだと信じるようになっていた。

●グリモアベース
「猟書家の一人『栄華と破滅の歌姫』が、人々を歌声で洗脳しようとしている。それをどうか止めてほしい」
 切迫した面持ちでクック・ルウはそう切り出した。
 歌姫の洗脳音楽で操られた人々は、帝国継承軍に従うようになってしまう。
 破滅へと向かう彼等を救えるのは猟兵だけなのだ。

「残念ながら敵の正確な居場所を突き止めることができなかった為、皆にはまず現地での探索をしてもらうことになる。けれど広いリゾート船内を闇雲に探すのは大変であるから、皆には現地で働くゴンドラ乗りのスターライダーと協力して欲しいのだ」

 ゴンドラの船頭を努めていたスターライダー達。
 彼等は偶然にも洗脳音楽を退けることができたらしく、すでに独自の捜査を行っているらしい。
 乗り物全般の操縦にも長けた彼等のゴンドラに乗れば『栄華と破滅の歌姫』がいる場所へ素早く探せるはずだ。
 またゴンドラに乗らずに探索したい者も、ルートを聞くなどすれば船内で迷うこともなく敵の居場所を探ることができるだろう。

「それからもう一つ。『観光客の振り』をして探索すれば相手の警戒心を刺激しないはずだ。直前まで敵にこちらの存在を悟らせなければ、戦闘も有利になる――だから思いっきり、春祭りを楽しみつつ敵を探してほしい」
 クックは真剣な様子で観光パンフレットを取り出した。
 キラキラした紙面には、観光スポットや、花蜜のドリンク等が紹介されている。
 楽しむところがいっぱいありそうだと思ってもらえただろうか。
「妙な事を頼んでしまうが、この船にいる人々を救うためにもどうか力を貸してくれ」
 話が終われば移送の準備が始まる。
 グリモアが道を開けば、アクアマリンに染まる景色があなたを迎えるだろう。


鍵森
 鍵森と申します。
 よろしくお願いします。

●構成
 1章:探索。
 プレイングボーナス:スターライダーと協力する。
 超巨大リゾートシップ内で敵の居場所を探すことになります。
 観光しながら探すことで敵の警戒心を和らげれますので是非観光してください。
 スターライダーが操るゴンドラに乗ったりするといい感じに探索が進みます。
 ゴンドラに乗らず水遊びしたりお花見してもいい感じに探索は成功するでしょう。

 2章:ボス戦。
 『栄華と破滅の歌姫』との戦いです。

●他
 サポート優先依頼となります。
 細々と執筆時間のとれた時に進める予定です。
 ちなみに舞台は(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=11926)に登場した船となっていますが、こちらのシナリオを知らなくても全く問題はございません。
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第1章 冒険 『洗脳音楽を破れ』

POW   :    洗脳音楽に耐える手段を探す/スターライダーに熱意を持って協力を求める

SPD   :    洗脳音楽の影響を避ける手段を探す/スターライダーと一緒に調査に出向く

WIZ   :    洗脳音楽の情報を集める/スターライダーの体験談からヒントを見出す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 水上都市を模した観光エリアを人々が行き交い、水遊びを楽しんだり花を愛でたり思い思いに過ごしていた。
 一見、その光景は平和に見える。
 しかしどこからともなく聞こえる歌声が、あなたの耳にも届くだろう。
 その声が栄華と破滅を願えと人々の心を確実に蝕んでいくのが感覚でわかるはずだ。

「待ってたよ猟兵さん、来てくれて助かった」
 ゴンドラを操るスターライダー達が軽い調子で声を掛けてくる。
 しかしその瞳にはこの事態に立ち向かおうとする真摯な思いが宿っているだろう。
「作戦は心得てるよ。俺達もプロだからね……"案内"なら任せてくれ」
 小声で囁き、素早いウィンクを一つ。
 スターライダー達はゴンドラを岸へ寄せながら客へ向けるのと同じ様に誘い文句を投げかけた。

「ようこそ観光船『ブルーペタル』へ! 只今の季節は麗しの春、水の中で咲く花々があなたをお待ちしております――どうぞ水と花の織りなす景色をお楽しみください!」
風薙・澪(サポート)
穏やかで柔和な少女
だるい、めんどくさいと言いつつも、オブリビオン討伐には顔を出す
ただひとたびやると決めると、行動は早く無駄も少ない
物腰は柔らかで、だらけていなければ優等生に見える

調査や探索は、自身の人当たりのよさそうな容姿を生かして、聞き込みにまわることが多い。
UDC出身だがアックス&ウィザーズにいる精霊を扱う人間に師事しており、
状況が許せば「精霊に聞く」ようなことも行う



 穏やかな波の音を聞きながら、風薙・澪(ウィザードウォーリア・f17869)はゴンドラから景色を眺めた。
 水上都市の街並みには、ホテルやレストランといった建物が並び、人々が行き交っている。
 建物をつなぐ通路のように入り組んだ水路が幾重にも連なり、まるで模様を描いているようだ。
 迷いそうな道筋も船頭を務めるスターライダーは慣れた調子でゴンドラを進める。
「いいところね」
 のんびりと澪が呟く。
 水路の先は晴れた空と青い海が広がっていた。
 造り物とわかっていても、爽快な景色だ。
 ふっと目を細めた彼女の瞳には、楽しげな色が浮かんでいる。
「だるいし、めんどうだけど……船に揺られているだけでいいなら悪くないかも」
 ぽつりとこぼした言葉は、冗談とも本気ともつかない。
 だらりとくつろいだ様子でゴンドラの座席に背中を預けて澪は水面へと視線を移した。
 水の中に淡いピンク色の花が咲いている。……サクラだ。
 大きな枝いっぱいに咲き誇った桜の花々を水面から見下ろすのは、不思議な心地がする。
「きれいねぇ」
 この辺りは桜並木が続いているらしい。ゴンドラの周りには、波にさらわれたのか、小さな花びらが水面に浮かんでいる。その可愛らしく揺れている姿に、思わず手を伸ばし指先でそっと花弁に触れてみた。
 冷たい水の感触が指の隙間を流れていくのがくすぐったくて、澪は唇の端を緩める。

「――敵が隠れるなら、水の中かもね」

 けだるげな様子の中に一瞬浮かぶ、鋭い眼差し。
「聞こえてくる洗脳音楽はユーベルコードによるもので間違いない……物理的な方法で音を防げないのが証拠ね。確認したけどスピーカーや他のデバイスを通して音楽を流している様子もないわ」
 澪の言葉を聞いて、船頭がゴンドラを操る手に力を込めた。
 戦略的に効率のいいやり方を心得ている彼女は、船頭へ一番無駄のないルートで怪しい場所を回りたい。とだけ伝えている。
「今、水に触れた瞬間……一瞬だけど違和感を感じたの。伝わってくる音の断片が、少しだけ強くなったような感触よ」
 澪が感じたその感覚は、精霊を扱う術を知るからこそ察知できた繊細な波動かもしれなかった。
 自然界に宿る精霊たちがこの宇宙船の中に存在しているかは定かではないけれど。
 彼女の第六感はなにかを掴んだのだろう。
「水中にある施設を調べてみましょう。確かレストランや、水族館があったわよね?」
「ええ、向こうにもあります」
「焦らないで、のんびりした風で行きましょう」
 澪の目配せを受けて、ゴンドラがゆっくり向きを変えて動き出す。
 奇襲が成功する確率は上げておかなくちゃね。
 打てる手を打ち、戦いに備えながら少女はふうっとあくびをしてみせる。
「ああ、めんどうくさいなあ」
 まったくやる気のない、そんな顔で澪は景色を眺めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
 人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。

基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。

武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。

クロムキャバリアでも生身で戦います。

不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。



「この歌ってる敵を探しながら観光すればいいんだよね! おいしいものいっぱい食べたいなー!」
 やる気も元気もいっぱいな様子で、緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は瞳を輝かせる。
 観光船の中にはもちろんレストランやカフェもあり、食事を楽しむことができるのだ。
 きらきらと期待に満ちたまなざしを向ける彼女に、案内を務めるスターライダーは笑顔を浮かべた。
「うまいものを食べたいなら任せてください、私がこの観光船で一番うまい店をご紹介しますよ」
「やったー!」
 自信たっぷりな船頭の様子に、透乃は嬉しくなって頬をほころばせる。
「じゃあまずは腹ごなしも兼ねてランチにしたいな。あ、せっかくだから、食べ歩きできるものだと嬉しいかも」
 それなら、とゴンドラが向かったのはクレープの屋台だ。
 店先からは焼き立ての香ばしい匂いが漂ってくる。
 花びらを思わせる色とりどりのクレープがこの店の売りらしく、甘いものからご飯系まで様々なメニューが用意されている。
「にんじん! にんじんのクレープはある? あるんだ? じゃあこれと、これと――」
 さっそく好物のにんじんを使ったクレープを見つけた透乃は、ほくほくしながら色々なメニューを注文した。
 花より団子、腹が減っては戦はできぬ、美味しいものを沢山食べるのは敵を倒すにも必要なことなのだ。
 一山のクレープを乗せて、ゴンドラが水路を進み出す。
 さっそくもぐもぐしながら透乃はご満悦な表情を浮かべた。シャキシャキ野菜サラダクレープも炙り焼き人参クレープもキャロットジャムクレープも、にんじんの旨味を感じられて美味しい。
「やっぱり水がきれいだから、野菜もおいしく育ってるのかな?」
「そうですねえ……この船の野菜は水の中で育てられているので一味違うかもしれません」
「ああそっか、花も水の中で咲いているんだもんね。なるほど、水中で育つ野菜ね……面白いなあ」
 クレープの最後の一口を頬張って、ぺろりと唇を舐める。
 腹が満たされれば、次は敵を探すのに体を動かす番だ。ゴンドラの縁に手をかけて、透乃は身を乗り出した。
 ちゃんと水着を着ている透乃なら、水遊びをしても不自然ではないだろう。
「私ちょっとひと泳ぎしてくるね。水の中も見てみたいし」
「お気をつけて」
 船頭に見送られながら、透乃は水中へと飛び込んだ。
 きらめく水の中を進んでいくと、足元に淡白い色の花が咲き乱れているのが見える。
 水中に咲くサクラ。近づいてみると、花枝の間を魚たちが泳いでいてまるで珊瑚のようだった。
(きれいだけど、不思議な景色だな)
 水を蹴って進むたびに花びらが舞い上がる。
 ひらり、ふわりと泳ぐように舞う花びらの中を泳ぐ内、ふっと歌声が響いてくる。
 強敵の気配を感じて、透乃はつい楽しげな笑みを浮かべた。

成功 🔵​🔵​🔴​

メイリン・コスモロード(サポート)
『一緒に頑張りましょうね。』
人間の竜騎士×黒騎士の女の子です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「対人恐怖症(ワタシ、アナタ、デス、マス、デショウ、デスカ?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
人と話すのに慣れていなくて
「えっと……」とか「あの……」とか多様します。
戦闘ではドラゴンランスを使う事が多い。

その他、キャラの台詞はアドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 メイリン・コスモロード(飛竜の鉾・f13235)を乗せたゴンドラはゆったりと進みながら水上都市の奥を目指していた。
 敵が隠れていそうな場所を探そうと、賑やかな場所から離れて人の気配の少ない方へ進んでいく。
「……」
 落ち着かない気持ちでメイリンは無言のまま視線を彷徨わせた。
 自然の中でドラゴンと心を通わせながら育った少女は、人前だとつい緊張してしまう性格だった。
 特に見知らぬ人と会話するのは苦手なのである。
 幸いにもこのゴンドラの操舵を務めるスターライダーは物静かなウォーマシンが務めており、メイリンには背中を向けているのでさほど緊張を覚えずにすんではいるけれど。
(協力して行動するのですし……な、なにか会話をした方がいいのでしょうか)
 真面目な少女はそんな風に考えるものの、話題が思い浮かばない。
「えっと……ア、ノ」
 ギクシャクと何か話を振ろうとして口を開きかけたところで、ゴンドラが広けた場所へと出る。
 ゴンドラの縁に腰掛けたメイリンは、眼下に広がる美しい光景に瞳を瞬いた。
 広々とした水路に透明な水が満ちており、底には一面の草原が広がっている。まるで絨毯のような緑の上に色とりどりの小さな花が咲き乱れている。タンポポやムスカリ、ワスレナグサ……そんな春の花が水中で咲いていた。
「わあ、のどかですね……」
 故郷の景色を思い出して、メイリンは眼差しを和らげた。こんな景色の中であれば、きっと心穏やかな時間を過ごすことができるだろう。観光船を訪れる人々はきっと幸せな一時を求めてここへやって来ているのだ。
『……ワタシ、コノ景色、守リタイデス』
「え?」
 唐突なつぶやきにメイリンは驚いて振り返る。背中を向けたままのウォーマシンからは落ち着いた低い声が響いてきた。
『コノ船、滅ンダ惑星ノ、再現デス。失クシタ故郷ノ記憶、人々ハ、受ケ継イデ守ッテキマシタ』
 声が途切れる。けれどメイリンにはその思いを察することができた。
 だから、はっきり頷いて見せる。
「ええ、この船を守るために一緒に頑張りましょうね」
 言葉を交わすのはそれで充分だった。
 あたたかな思いを胸に、メイリンはふうっと肩の力を抜いた。
 水面に映る自分の顔は、緊張のとれた穏やかな表情を浮かべている。
「そうそう、観光をしている振りをするんでしたよね」
 そんなことを言いながら持ち物から取り出したのは特製の三色団子。
 もっちりとしたそれは花見にぴったりのアイテムだった。
「うん、おいしいです」
 もぐもぐと舌鼓を打って微笑む。その姿は和やかな時間を楽しむ観光客そのもの。

 遠くから歌が聞こえる。微かだがはっきりと耳に届いた歌声は、優しくもどこか妖しい響きを帯びていた。
 どこにいても、耳をふさいでも、小さな歌声が聞こえてくる。
 行き交う人々は誰もこの歌に疑問を感じていない、それこそが異変なのだろう。
「きっと、止めてみせます」
 確かな決意を穏やかな笑みの下に秘めて、船旅が続く。

成功 🔵​🔵​🔴​

赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブも可

合わせ等も自由にどうぞ



「さてっと、どこから見て回ろうか」
 石畳の路地を赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)が駆けていく。
 そのすばしっこい足取りは小鳥が跳ねるように軽やかなもの。
「この辺りは観光客が多いみたいだね」
 大きな広場に出て、スルスルと行き交う人々の中に混じって歩きながら周囲を見渡す。
(やっぱりみんな、楽しんでいる。この歌も気になってないみたい)
 水上都市は賑わいを見せている。
 微かに聞こえる歌声にもまるで気づいていない様子で、水遊びを楽しむ子供の姿もあれば、水路に咲く花を眺めて楽しむカップルもいる。家族連れで訪れる者も多いようで、あちこちから楽しげな笑い声が聞こえてくる。
「……認識の阻害、異変を感じさせずに意識を支配する。のが目的かな」
 表に出てこないのは、この場にいる人たちに危害を加えるつもりはないのか。
 なんにせよ、ここで暴れられるよりはずっといい。
「せっかくの旅行が台無しってなったら気の毒だもの」
 にこりと笑って、緋色は先を急いだ。
 広場を抜けて大きな水路に掛かる桟橋へと出ると、軽い口笛を吹いてゴンドラを呼び寄せる。
「そこまで乗せてってよ、スターライダーのおにーさん!」
 トンッ、と軽くステップを踏んで乗り込むと、ゴンドラはゆっくりと進み始めた。
 何者にも縛られない自由さが緋色にはあった。誰にも邪魔されず、好きなように振る舞う。彼にはそんな風に思わせるところがあった。あちらこちらと、目を離せば見失ってしまいそうな気配さえ感じさせる。
「きれいな景色だな」
 鮮やかな色彩の花々が水底に揺れていた。その景色を流し目に見つつ、緋色はふと思いついたように言った。
「ねえ、おにーさん! このゴンドラもっとスピード出せる?」
 人懐っこい笑顔で問いかける緋色へスターライダーは軽く瞳を瞬く。
 勿論できる。と、言葉にする前に表情に現れている。
「流星みたいにひとっ飛びしたい気分なんだ」
 ――観光客からのリクエストってことなら、問題ないでしょ。敵の目を誤魔化しつつ、本気で走ってよ。小さな声で宇宙の走り屋を焚き付けて、緋色は微笑む。
 スターライダーは、ニヤリと笑みを浮かべると力強く櫂を握り込んだ。ユーベルコード【ゴッドスピードライド】が発動し、ゴンドラがみるみる内に変形していった。(猟兵程の威力ではないが)移動速度が増強された状態で、勢いよく水面を走り出しはじめる。
「わぁ、すごい!」
 グンッと加速する船体で歓声を上げる緋色の目の前で、次々と景色が流れていく。
 轟々と風を切る音が響き渡る。あの空っぽな歌声も振り切ってしまいそうな勢いだ。
「さあここで私のガジェットショータイムもお披露目だ!」
 緋色の広げた両腕から小型の機械が飛び出してくる。様々なセンサーを搭載した、自律型情報収集機器はゴンドラに張り付いて周辺の情報を集め始めた。
「どこにいようと見つけ出してあげる」
 フフン、と得意げな顔で緋色は笑った。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『栄華と破滅の歌姫』

POW   :    さあ願うのです、帝国による再統一を
【民衆の知る有名な歌姫そっくりな姿 】に変形し、自身の【四肢】を代償に、自身の【帝国復活を願い行動するよう洗脳する歌声】を強化する。
SPD   :    銀河再統一を果たせるのは帝国だけです
【銀河帝国による銀河再統一を願う歌 】を披露した指定の全対象に【帝国継承軍を支持し帝国の復活を願う】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    抵抗する者は死し、賛同する者は生き残るでしょう
自身が【敵を蹂躙し味方を称賛する歌を歌って 】いる間、レベルm半径内の対象全てに【抗う心を砕き死に導く言葉】によるダメージか【従順な心を育み栄光へと導く言葉】による治癒を与え続ける。

イラスト:えな

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠森宮・陽太です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 蒼い海中に建てられたグランドオープン前のレストラン。
 そこに敵がいると突き止めた猟兵達は、相手に気取られることなく迅速に駆けつけた。
 店内は海の底にあるとは思えないほど明るく、白い大理石の床や柱が天井から降り注ぐ光を反射して煌めいている。
 ガラス張りの窓の外には海底に広がる珊瑚礁ならぬ水中花の園が広がり、時折魚たちが泳いでいく姿が見えた。
 店内に足を踏み入れた猟兵達が見たのは、中央で手を組み、祈るように目を閉じて歌っている女性の姿だ。
 『栄華と破滅の歌姫』はゆっくりと瞼を開き、輝く瞳で猟兵達を見据える。

 美しい女性だ。けれどその姿は崩れ、空洞の中身を晒している。
 彼女は実体を得た電子生命体であった。

 ――さあ願うのです、帝国による再統一を。

 澄んだ歌声は朗々と響き渡り、心に訴えかけてくる。
 栄光を、破滅を。
 ただそれだけを願えと彼女は歌う。

 不意に歌姫の瞳が怪しく明滅し、こちらへと視線が向けられる。
 猟兵の存在を感知した彼女は、敵の排除を始めようとしていた。
 歌声が殺気を帯びて鋭さを増していく――。
ローズ・ベルシュタイン(サポート)
『さぁ、楽しませて下さいますわよね。』
 人間のマジックナイト×電脳魔術士、女の子です。
 普段の口調は「高飛車なお嬢様(私、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、宿敵には「薔薇の棘(私、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は高飛車なお嬢様風の偉そうな感じです
花が好きで、特に薔薇が大好き
武器は、主にルーンソードや精霊銃で戦う。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


雛里・かすみ(サポート)
 バーチャルキャラクターの戦巫女×UDCメカニックの女性です。
 普段の口調は「明るく朗らか(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
寝起きは「元気ない時もある(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

明るく朗らかな性格の為、
男女分け隔てなくフレンドリーに会話を楽しみます。
どんな状況でも、真面目に取り組み
逆境にも屈しない前向きな性格です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「素敵なレストランですわね……海中に咲く薔薇も眺められるのかしら」
 こんな時でなければゆっくり食事を楽しみたいところだけれど。
 燃えるような赤い髪を揺らしながら、ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)はそう呟いた。
 その言葉を聞いた黒髪の少女がくすりと笑う。
「ふふっ、海中でお花見するのも面白そうね」
 ひらり、ふわり、隠密用迷彩の衣が動きに合わせて揺れる度に色彩が変化する。
 雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)は窓の外に見えるサクラの花を見遣って目元を和らげた。
 このレストランは海の中にありながら、壁一面を覆う硝子によって外の景色を見ることができる。そして窓の向こうでは春の花が咲き乱れ、花びらが水の中を舞う幻想的な光景が広がっていた。
「後でゆっくりお茶会でもしましょうか」
「そうね、是非……――」
 微笑みを交わした少女達は武器を手に取り、次の瞬間には駆け出していた。
 猟兵達の気配を感じ取った歌姫が攻撃を開始したのだ。

 美しい歌声が洗脳音楽を紡ぎ出し、周囲の空気を変えていく。
『願いましょう。私達の帝国が復活するように』
 帝国万歳! 帝国万歳!! 歌い続ける彼女の身体が崩れていき、別の女性の姿へと変わる。
「……あれは?」
 ローズは瞳を瞬いた。どこかで見た覚えのある顔……そんな気がしたのだ。
 けれど、そんなはずはない。
 僅かな困惑に、隣のかすみが素早く答えを出す。
「対象が好ましいと思う相手に見た目を変える、きっとそういうユーベルコードね……電子生命体らしい技ってことかしら」
 私みたいに、と呟きながら翻した衣が色を変えた。マリンブルーに染まった衣服を纏うかすみの姿にローズも成る程と頷く。
「ならば問題ないですわね」
 相手がどのような姿を取ろうとも、倒すべき敵であることに変わりはない。
「喰らいなさい!」
 ローズは銃口を敵に定めて引き金を引いた。
 プリンセス・ローズから放たれた弾丸が歌姫の胸を撃ち抜く。
 歌姫の体に亀裂が走る、だが相手は損傷にも怯まずに反撃を仕掛けてきた。

『共に繁栄を望みましょう。帝国への忠誠こそが私たちの幸せとなります』
 それは聞くものが聞けば抗い難い魅力を持った誘いとなる歌だ。
 感情を揺さぶり、歌姫の言葉を真実として意識を書き換えられてしまう力がある。
 かすみはその歌を真正面から聞いた。けれど平然と歌姫を見据える。
『どうして……あなた方はなぜ私達の理想に賛同しないのです』
「あいにく、楽しくないことには興味が無いの」
 素っ気なく返したかすみは、首を小さく左右に振る。
「あなたの歌って退屈よ」
「同感ですわ……あなたの歌には魂が感じられませんの」
 相手の心を惑わし、操ろうとするだけの歌などただの雑音に過ぎない。
 その程度の力で世界が変わることなどありえないと断じて。
「人の意志は簡単に操られるものではありません――ご覧あそばせ!」
 気高く凛と少女は言い放つと、地面を蹴って宙へ舞い上がった。
 燃える夕日の色がローズの体を包み、瞳が煌めく。
『――ッ、帝国の栄光を、願い……!?』
 攻撃に身構えた歌姫は驚愕に瞳を見開く。
 どこからか別の歌声が重なって、歌を遮ってくるのだ。
「さっきのお返しに楽しい歌を聞かせてあげるわ」
 そう明るく笑ったかすみは、セイレーンメロディで拡声された歌声を響かせる。
 綺麗なメロディが響き渡ると同時に歌姫の動きが鈍くなった。
『あぁ……私の、願いが……届かない……』
 ローズの銃が火を吹き、銃撃の音が嘆きの声をかき消す。
 砕けていく空洞の体を見つめて、かすみはそっと息を吐いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

大倉・新月(サポート)
アドリブ・連携歓迎
キャラ解釈幅広くどうぞ!
噛ませ展開も歓迎です

スカルロードの満月(ミヅキ)ちゃんを溺愛しています
新月→満月の一方的なヤンデレですが連携はきちっとこなしていきます
主に脳筋な行動で何とかしますが、知ってそうなことは出し惜しみしないタイプです

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動や性的な絡みはしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「ふふふ……ここは宇宙船の中なんですって、なんだか不思議ねミヅキちゃん」
 銀月を思わせる灰色の髪を揺らして、大倉・新月(トータルエクリプス・f35688)は傍らのスカルロードへうっそりと微笑みかけた。黒い衣を纏った白骨、新月の姉である満月は静かに大鎌を構えて佇んでいる。
 無反応のようにも思えるそうした態度を気にすることもなく、新月は穏やかな微笑みを絶やさない。
「水の中に花が咲いているのね。まるで棺を満たす供花のよう……オフィーリアは川で溺れ死んだけれど、彼女もこんな光景を見たのかしら」
 戯曲の一場面を描いた絵画のような幻想的な風景。
 壁一面の硝子の向こうに咲き誇る花々を見て、新月はやわらかく目を細める。
 その声音は慈愛に満ちた聖母の如く優しげだが、同時に底知れぬ狂気の色を感じさせるものだった。
 水底に咲く花々が春を謳う。
 生命溢れる季節を讃えるように。
 されど新月の瞳に映るのは死の影、置いた筈の武器を今一度手に取り戦場へ戻った彼女からは仄暗い気配が立ち上っている。
「さあミヅキちゃん、はじめましょう」

『この銀河を――再び統一できるのは帝国だけです!』
 歌姫が歌声を響かせる。哀切な願いを乗せて、砕けろうとする体で声を振り絞る。
 けれども人の心を操ろうとする音楽に新月の心が震えることはない。
『皆で願いましょう栄華を――共に破滅への道を進みましょう』
 歌を遮るように満月の体が両者の間へと滑り込み、大鎌を振り上げた。
 満月が傍にいて、盾となる限り新月へ攻撃が届くことはない。
「ふふ、うふふ、浅はかね……私の願いはもう決まっているの」
 一途な恋に身を焦がす少女のような表情を浮かべた新月が口元に手を当て、密やかな笑い声を立てる。
 そうしてささやくように告げたのは、己の望みだった。
「帝国の栄華も滅亡もどうだっていいわ。ただ私は――」
 ――ミヅキちゃんと一緒に居たいだけよ。
『ッ!』
 満月の振るう大鎌が歌姫を切り裂く。電子の体に亀裂が走り、光の粒子が飛び散った。
 歌姫はそれでも歌を紡ごうとする、彼女はそうすることだけしかできない。しかし、願いを乗せた調べは歌姫ではなく満月の口から発せられた。【欠片に宿る鏡面世界】によって、コピーされたユーベルコードが満月を伝って歌姫へと跳ね返っていく。
「……ああ、ミヅキちゃんが歌っている」
 白い骨となった満月から発せられる歌は、はたしてどんな旋律を奏でたのだろう。
 新月の心を揺らし、心が震わせる事ができるのは、想い人の満月だけ。
「わたしの為に歌ってくれてありがとう、ミヅキちゃん」
 新月はうっとりと幸せそうな笑みを浮かべ、歌い続ける満月だけを見詰めていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
 スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
 普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「なる程、この船はかつて滅び去った星の環境を再現してあるんですね。水の中に花が咲く惑星『ブルーペタル』……なにかの本で読んだ気もします」
 腕に本を携えた高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)は、おっとりとした所作で海中レストランから見える景色に視線を馳せた。
 硝子張りの窓の向こうに広がっているのは、青く透き通った水の世界。
 海底の珊瑚にも似た緑の野原には、色とりどりの花々が咲き誇っている。
 その光景は、まるで絵本の中の世界のように幻想的だ。
「ブルーペタルの人々は残したかったのですね……この景色を」
 例えば本に記しておくように、故郷の記憶を子孫へ伝えるために、この船は託されたのだろう。
 茉莉は、そのように感じ取る。だから彼女は少しだけ悲しげに微笑みながら、この景色を瞳に焼き付けた。――そして、次の瞬間には表情を引き締める。
 今自分が成すべきことは一つだけ、この船を支配しようとする敵を退ける事のみ。

 『栄華と破滅の歌姫』は茉莉へ向かって歌を響かせた。
 ――私達の願いを否定するものに死を!
 放たれたのは、死に至る呪いの旋律だ。音に触れただけで心を砕き命を奪おうとする恐ろしい死の調べに、しかし茉莉は慌てる様子もなく手にしていた絵本を開いた。
 すると絵本の中から飛び出してきた悪魔の爪が歌姫に向かって襲い掛かる。
 音を切り裂くような一撃が歌姫へと振るわれ、その体に傷を走らせた。
 ――栄華を、破滅……の願いを伝えるために、私は……!
 歌姫が切実な叫びを上げるのを聞き、茉莉はわずかに眉根を寄せた。
「あなたが歌う詞は人を破滅へと向かわせるものです。人に向けていいものではありません……けれど、あなたが同じ言葉ばかりを繰り返すのは、きっとそれしか知らないからなんですね」
 オブリビオンである歌姫には、人の感情というものを理解する事が出来ないのかもしれない。
 彼女の歌が人々に破滅を強いるのは、それが自分の存在理由だからなのだろう。
 ならば、それは悲しい事だと茉莉は思う。
「栄華と破滅……初めから滅びを望むあなたの歌は、悲劇的な結末に人を誘い込もうとする悪しきものです」
 歌姫は茉莉の言葉に目を見開く。互いの視線が交差し、一瞬の間が生まれた。
 理解できないものと対峙し困惑した様子で歌姫はわずかに後退る。
「あなたの物語に終止符を打ちましょう」
 けれどその前に。
 そう呟いて茉莉は絵本を開き、歌姫へと向ける。
「栄華と破滅しか知らないあなたに、ハッピーエンドを、お見せ致しますよ」
 ページをめくれば悪魔と天使の物語が紡がれて。
 きっとそれは歌姫が初めて知る、未来に希望を与えるストーリーだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。



自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
                      プロデューサーより



 ううう……プロデューサーさん、本当に行かなきゃだめなの?
 宇宙船内の海中レストランなんてどんな不幸が起こるかわからないのよ?
 もしかしたら宇宙船が墜落するかもしれないし、海中レストランが爆発して溺れるかもしれないし、とにかく危険がいっぱいなのよ。そうだわ、サメが出てくる映画のシチュエーションにも似てるわ。撮影中のアイドルなんてパニック映画ではだいたい最初の犠牲者になるに決まってるのよ。
 心配しすぎ?
 心配するに決まってるじゃない! わたしの不幸を舐めないで!
 え? それがいい?
 むしろ不運が起こった方が撮れ高が期待できる?
 …………鬼なの?

 長いウサ耳にふわふわヘアー、透けるような白い肌に不安げな瞳、ダークカラーの衣装を華麗に着こなす電子の海からやって来た、ちょっぴり憂鬱なバーチャルキャラクター――音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)は今日も今日とてお仕事だ。
 戦いの舞台は水の世界に取り囲まれた海中レストラン。
 壁一面の硝子張りの窓から見える水中に咲く花々は美しく彼女のステージを彩る。
 栄華と破滅の洗脳音楽が響く中、鬱詐偽は白い大理石をブーツで叩いて靴音を鳴らした。
「さあ、ここからは私の出番よ」
 場内の視線が集まってくるのを感じながら、スウ、と息を吸い込んで。
「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん――ただいま参上!」
 完璧な文句、ビシッとポーズも決めて、鬱詐偽は凛とした笑みを浮かべ……たのだが。
(ぅうっ、やっぱり恥ずかしい……でもこれも番組のため……がんばらなきゃ)
 内心ではとても恥ずかしがり、頬はうっすら赤くなりウサ耳もぷるぷる小さく震えている。
 彼女の生面線でもあり看板番組でもある『鬱るな! 鬱詐偽さん』は、 オブリビオンと戦う鬱詐偽さんの活躍をノンフィクションでお届けしている。
 バーチャルキャラクターの鬱詐偽さんは番組が終了すると存在できなくなってしまうので、番組の存続は文字通りの死活問題。だから彼女はどんなに大変な仕事でも全力で頑張っているのだ!
「……しゃ、さあ、覚悟しなさいオブリビオン!」
(ああ噛んじゃった。大事なところで噛んじゃった……わたしっていつもそう……!)
 しかし頑張っているからこそ、ちいさな失敗にも心が折れそうになる。
 臆病な鬱詐偽は繊細で傷つきやすい硝子細工のような心をしていた。
 『栄華と破滅の歌姫』はそんな鬱詐偽を見つめて、不意に歌い始める。

 ――電子生命体のあなたと私、与えられたプログラムも満足にできなくて、一人ぼっちで消えていくのね。
人を傷つけた過去があなたを追い詰めるのなら、私と願いを一つにして歌いましょう?

「これは……私宛の歌? や、やめてよ……そんな歌詞……」
 残酷に心をえぐり、優しく慰めように誘いをかける、そんな歌を聞いて鬱詐偽は震えた。
 震えて、怯えて、嫌になって……鬱鬱とした気持ちが膨れ上がる。
 ――さあ、私達と骸の海へ行きましょう。
 それが、その言葉が、鬱詐偽の心のスイッチを押してしまう。
「や――いやいやいや! うるさい、うるさい! やさしい振りをしてこっちに来ないでーーー!」
 拒絶のシャウトが響き渡った。
 悲鳴のように歌うアンサーソングと共に現れた無数のバロックレギオン達が歌姫へと襲いかかっていく。
「人の心を踏みにじって支配する音楽なんて……きらいよ」
 鬱詐偽は今にも泣きそうな表情を浮かべて呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

櫟・陽里(サポート)
『操縦が上手いは最高の誉め言葉!』

乗り物が活躍できる場と
レースとサーキットが得意分野
どんな乗り物も乗りこなしてみせる

走りこそが俺の武器!
乗り物と操縦者の総合力で戦う
サイバーアイで路面、相手の動きなど幅広い情報収集
集中力・傭兵の経験・判断速度で攻め所を見極める

シールド展開バイクで体当たり吹き飛ばし
走り回って撹乱・誘導
仲間を運ぶ足になるのも好き
バイクは機動力のある盾にもなる
壊れたらほら、直すついでに新パーツ試せるし!

明るく話しやすい先輩タイプ
補助仕事もドンと来い
乗り物が無い戦場では手数が少ない
普通の拳銃射撃や誘導、挑発など小技を利かせるしかなくテヘペロしてる

過去は過去に還すべき、その辺割と無慈悲



 時は少し遡る。
 宇宙を旅する観光船『ブルーペタル』のどこかに潜む『栄華と破滅の歌姫』を探すため、水上を移動するゴンドラ乗りのスターライダー達と協力することになった櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)は彼等と談笑する機会があった。
 気さくで明るい陽里の人柄はスターライダー達を惹きつけ、打ち解けるのも早く。
 彼の自慢の愛機たるハイテクバイクを見れば、宇宙の走り屋達は興味を抱かずにはおられなかった。
 一人の青年は熱心にバイクへの質問を繰り返し、瞳をきらめかせて陽里の話を聞いた。
 少し話しただけでバイク好きが伝わってくる。だが、だからこそ不思議でもあったのだ。
「なあ、単純な疑問なんだけどさ、どうしてゴンドラに乗ってるんだ?」
「この仕事は給料が良いんだよ。へへへ、大事な愛機の為に稼いでやらないと」
 さっぱりとした物言いに、陽里も軽くうなずきを返す。
 なるほど。バイクのカスタムには金がかかるものだ。
「あとさ、ここでの仕事が好きなんだ」
 ぽつりと青年が呟く声音が変わる。
「ここの景色を初めて見た時、なんか懐かしいなって気持ちになったんだ。生まれ育った船は全然別だしとっくに戦争で無くしててさ、海なんて見たこともなかったんだけど。不思議だよな……初めてここで波音を聞いた時、故郷に帰ってきた気持ちになったんだ」
 一息に語り尽くして、青年は照れたように笑う。
 その笑みに込もっていた悲哀や喜びを、陽里は感じることが出来た。
 宇宙で生まれ育った彼だからこそ、わかったのだ。

 ――そして、今。

 バイクのエンジン音を響かせながら、陽里は疾走する。
 青い海に色とりどりの花々が咲いている美しい景色に囲まれた海中レストラン。
 愛機『ライ』のハンドルを握りしめて前方を見据えた彼は、敵の姿を捉えた。
 声高らかに洗脳音楽を響かせる『栄華と破滅の歌姫』。
「あれか!」
 陽里はスロットルを開く。まるで呼応するようにエンジンが吠え猛って加速していく。
『銀河帝国は復活します! さあ帝国継承軍と共に願いましょう! 栄華と破滅を望みましょう!』
 哀切な歌声はまるで呪いのように心を蝕んでいく。
 それを振り払うように陽里は叫んだ。
「あんたが銀河帝国の復活を願う理由を俺は知らない――だが!」
 陽里はアクセルペダルを踏み込み、更に加速する。
 そして一直線に、敵の眼前に迫る。
『銀河帝国に栄光を――』
「やっと訪れたこの宇宙の平和を壊させるもんかよ!!」
 言葉と同時に陽里はハンドルを切り、銃口を向けた。
 放たれた弾丸が歌姫の胸元を貫き、彼女の身体を構成する電子の欠片が散っていく。
『……なぜ? どうして私を止めるのです? 私は、ただ、願いを――』
 身体が完全に崩壊する寸前、『栄華と破滅の歌姫』は呆然とつぶやく。
 その問いかけに陽里は、ただ一言だけを告げた。「あんたには解らないさ」と。
 静かに歌姫の姿が光と溶けて、躯の海へと還っていく。

成功 🔵​🔵​🔴​


 こうして観光船『ブルーペタル』で起こった事件は幕を閉じた。
 人々は花と海を眺めて春を歓ぶ。
 猟兵達の活躍によって守られた笑顔がそこにあった。
 穏やかな波音に、歌はもう聞こえない。

最終結果:成功

完成日:2022年04月11日


挿絵イラスト