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レプリドール・チェイス

#サイバーザナドゥ #ハイウェイスター #レプリドール社

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「ちっ、ヤキが回ったわね」

 とあるサイバーシティのハイウェイで、クラウディア・シルバーサンは舌打ちする。
 運び屋稼業を初めてから数年、ヤバい修羅場は何度も突破してきた。しかし今、後ろには横転した相棒のバイク、前にはカタナを持ったメガコーポのお人形(レプリカント)。
 いわゆる孤立無援、絶体絶命というヤツだ。

「貴女ですね。レプリドール社の極秘資料を盗み出したのは」

 立ちはだかるレプリカント集団のうち、クラウディアの正面にいる機体が口を開く。
 人間の少女と見紛うほど精巧かつ可憐に創られた容姿。だが表情に一切の感情はなく、ガラス玉のような瞳から送る眼差しはどこまでも無機質だった。

「返還を求めます。それは我が社にとって重要な機密です」
「ふんっ、誰がアンタ達なんかに……」

 資料の入ったトランクを抱え、絶対に渡すまいとするクラウディア。
 だが、メガコーポの人形はどこまでも合理的だった。
 相手が資料を手放さないのなら、手ごと切り離してしまえばいいと考えたのだ。

「ッ、あ……!!?」

 機械化された両腕が音もなく切断される。常人には視認さえできぬ太刀筋。
 こぼれ落ちたトランクを人形の剣士は拾い上げ、くっついてきた手を外して捨てた。

「回収完了。後は貴女達に任せます。証拠を残さぬように」
「ま、待ちなさ……っ!」

 任務を果たした人形は立ち去り、部下のレプリカント達がクラウディアを取り囲む。
 バイク乗りがハンドルを握る手を失えば、もはや逃げる術はない。

 ――かくして、自由を愛した走り屋は、ハイウェイにてその生命を散らした。


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「サイバーザナドゥにて、とあるメガコーポの極秘情報を奪い取り、秘密裏に運んでいたハイウェイスターの方が、メガコーポ配下のオブリビオンに襲撃されて荷物を奪われてしまう事件を予知しました」
 巨大企業群が支配する、骸の雨降るサイバーシティ。しかし、そこにも自由と正義を愛し、メガコーポへの抵抗を行う者達は存在する。いわゆるレジスタンスと呼ばれる彼らの活動は、メガコーポの容赦のない報復と弾圧によって常に危険と隣り合わせだった。

「狙われている方の名前はクラウディア・シルバーサン。彼女はメガコーポ『レプリドール』社から機密情報を盗み出し、レジスタンスの拠点に運ぶ最中でした」
 正義感が強くて男勝り、そして何よりも自由を愛する生粋のハイウェイスター。彼女は危険を犯して首尾よくデータを入手できたまでは良かったものの、ハイウェイの逃走中にオブリビオンの集団に追いつかれ、データを奪い返されてしまう。
「レプリドール社が製造・販売しているのは、同企業の名前を冠した『レプリドール』というレプリカントです。商品として最適化するため企業と顧客に不利益な機能はオミットされており、命令に忠実なマシーンとなっています」
 クラウディアが奪取したのは、このレプリドールの設計・製造に関するデータらしい。
 高性能で危険なオブリビオンのレプリカントを作りだす技術となれば、おそらく法に触れる要素もあるのは間違いない。同社が血眼になって回収を図るのも当然のことだろう。

「今から現場に急行しても、既にデータは奪い返された後ですが、クラウディアさんが殺される前には間に合います」
 自社の秘密を掴んだ者をメガコーポが生かしておく理由はない。このまま放っておけばレプリドール社の報復によりクラウディアは凄惨な死を迎えることになるだろう。その前に彼女を救出するのが、リミティアからの最初の依頼となる。
「クラウディアさんを殺そうとしている敵は刀型レプリドール『アンパッサン』。刀を使用する攻撃型のレプリドールで、量産品とはいえ高い性能を持っています」
 主にヤクザなどの荒事に携わる層からの買い付けが多い「人気商品」のひとつで、今回はその性能を活かして製造元からの刺客として送られた形になる。一般人の走り屋であるクラウディアに勝ち目はないが、猟兵であれば互角以上に戦えるだろう。

「アンパッサン達を撃破し、クラウディアさんの救出に成功したら、データを持って逃げたオブリビオンを追ってください」
 せっかく奪い取ったデータを、このままメガコーポに回収されては元の木阿弥である。
 彼女が犯した危険を無意味にしないためにも、レプリドールの犯罪行為の証拠にもなるデータをもう一度奪い返すのだ。
「敵はバイクに乗ってハイウェイを移動中ですので、こちらも乗り物で追跡することになります。足に自信のある方であれば、徒歩でも構いませんが」
 オブリビオンは既にハイウェイの遥か彼方だが、乗り物やユーベルコードの力を使った猟兵のスピードであれば追いつけよう。改造バイクやトラックなど、各々の愛車の性能をフルに活かして敵を追跡するのだ。

「逃走中の敵は『変幻剣姫』プロモーション。レプリドール社でも限られた上客にしか販売されていない、特別製の高性能機体です」
 アンパッサンと同じ攻撃型のレプリドールだが、その剣術の腕前は比べ物にならない。
 液体金属の刀を用いた変幻自在の技によって、敵を殲滅するカラクリ仕掛けの剣豪だ。
「企業の傀儡である彼女との間に交渉は成立しません。オブリビオンでもある以上、追いつけば戦闘は避けられないでしょう」
 相手は回収したデータを自社に持ち帰ることを優先するため、チェイスや並走を繰り広げながらの決戦になる。戦闘技術は勿論のこと、操縦技術も問われる戦いになるだろう。

「クラウディアさんを守り抜き、データの奪取を成功させれば、いずれレプリドール社の横暴に歯止めをかける楔になるかもしれません。どうかよろしくお願いします」
 巨大なメガコーポの屋台骨がこの一件だけで崩壊することはないだろうが、蟻の穴から堤も崩れるという諺もある。巨象を討ち倒すためには地道な積み重ねが必要となるのだ。
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、ハイウェイへの道を開いた。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回はサイバーザナドゥにて、メガコーポの機密を奪取したハイウェイスターを守り、オブリビオンをチェイスして倒す依頼となります。

 1章は刀型レプリドール『アンパッサン』との集団戦です。
 データを奪い返され、負傷したハイウェイスターを守りながらの戦闘になります。
 クラウディア・シルバーサンはサイボーグの20代女性。走り屋としての腕前はかなりのものですが、本人も愛車も損傷しており実力を発揮できません。
 敵集団はレプリドール社からの命令を忠実に遂行すべく、まずは彼女から始末しようと襲ってきます。それ以外の戦闘法は刀を使ったシンプルなものです。

 2章ではデータを持って逃げるオブリビオンを追跡します。
 ハイウェイでのカーチェイスやバイクチェイスを繰り広げる章となっていますが、乗り物がなければ現地調達でも走っても飛んでも構いません。
 敵はバイクに乗って、レプリドール社のビルに向かってハイウェイを疾走中です。

 無事追いつければ、3章は『変幻剣姫』プロモーションとの決戦です。
 1章の敵をボスとしてさらに強化したような性能で、液体金属の刀を用いた剣術を得意とします。
 2章から引き続きチェイスや並走を行いながらの戦闘となるので、その辺りの立ち回りも考慮しておくと有利になるかもしれません。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『刀型レプリドール『アンパッサン』』

POW   :    一刀両断
【刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    瞬速抜刀
対象のユーベルコードに対し【居合切りから始まる高速の斬撃の連撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ   :    斬妖断
【物理的に斬れない物をも斬る斬撃】が命中した対象を切断する。

イラスト:いとねゆ

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クレア・ノーススター
『バイク乗りの弱点をモロに突かれたワケね』

ハイスピードバイクを、と跨ろうとしてなるほどとぽつり
二輪の場合、腕をやられてはどうしようもない。仕方なくおんぼろな仕事用車両“ヤーガ”での追跡に。車両であれば両腕を切られてもなんとかなる。足ならダメだが、遮蔽物にもなる

安価な事だけが売りの旧型の大衆向け車両で、常時フルスロットルで急行。いくら踏んでも唸りを上げるばかりで加速はのんびりとしたものだが。

ギリギリまで近づいて急停車、件の走り屋を車体の陰に引きずりながら威嚇射撃、または一番近いドールを跳ね飛ばして走り屋を庇うように停車
まずは手足を狙い射撃、近づかれないようにすることに細心の注意を払う



「バイク乗りの弱点をモロに突かれたワケね」
 何でも屋兼猟兵として今回の依頼を引き受けたクレア・ノーススター(サイボーグの戦場傭兵・f36825)は、早速ハイスピードバイクで現場に――と跨がろうとしたところで「なるほど」とぽつり。いくら速くても二輪の場合、腕をやられてはどうしようもない。
 達人的な剣の腕前を持つ敵が相手なら、走行中に腕を斬られることもあり得るだろう。
「だったら今日はこっちね」
 仕方なく乗り込んだのはオンボロな仕事用車両の"シビルスキー・ヤーガ"。車両であれば両腕を切られてもなんとかなる。足ならダメだが、遮蔽物にもなる。救出という今回の目的にも沿ったチョイスだろう。

「さて、急がなきゃね」
 安価だけが売りの旧型の大衆向け車両で、現場に急行するクレア。常時フルスロットルでハイウェイを飛飛ばしているのに、いくら踏んでも唸りを上げるばかりで加速はのんびりとしたものだが。逆にそれは敵の目を欺く効果もあったかもしれない。
「あれは……ただの通行者ですか」「脅威は認められず。任務続行を」
 全速力でもトロトロとした走りで一般車両がやって来ても、レプリドール社の人形達はそれに敵が乗っていると思わない。そのまま通り過ぎるだろうと考えていたようだが――予想の裏をかく形で、クレアはギリギリまで近付いたところでハンドルを切った。

「これ以上はやらせないよ!」
「なっ……!」
 急にこちらに突っ込んできた"ヤーガ"の車体に、一番近かった人形が撥ね飛ばされる。
 そのままクレアは件の走り屋を車体の陰に庇うように停車し、開いた窓からにゅっと銃を突き出した。
「えっ、誰、なに……ひゃっ!」
 思わぬ救援にクラウディアが驚いているうちに、けたたましい銃声がハイウェイに響き渡る。以前からドンパチ上等で売ってきた何でも屋の射撃は、全て的確に対象を捉えた。

「何者ですか」「任務妨害者は排除します」
 突然の乱入者に対してもレプリドール『アンパッサン』は冷静に、企業より与えられた命令を遂行せんとする。だが【瞬速抜刀】を放とうとする彼女らの手や、摺り足で踏み込もうとする足を、アサルトウェポンの弾丸が撃ち抜く。
「この人のお返しってわけじゃないけど」
 まずは手足を狙い撃つことで攻撃と移動を封じ、近付かれないようにするのがクレアの作戦だった。刀の間合いに入られないよう細心の注意を払い、車体を盾にして奮戦する。

「だ、誰だか知らないけど、助かったわ……ありがとう」
「まだだよ。顔を出さないで」
 九死に一生を得たクラウディアはほっと安堵の息を吐きつつ感謝を伝えるが、クレアは真剣な顔でトリガーを引き続ける。この状況で油断するほど彼女は気楽な性分ではない。
 銃弾よりも鋭い眼差しは、メガコーポの傀儡を寄せ付けず。攻めあぐねた敵はどうにか彼女の威嚇を突破しようと、大きな迂回を余儀なくされたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

新田・にこたま
UCで強化したミニパトで現場に駆けつけます。
もし相手に隙があるようなら一人二人跳ね飛ばします。
それで敵が混乱しているようでしたらハイウェイスターをその隙にミニパトに乗せて簡潔に目的を伝えます。

あなたが奪い返されたレプリドール社のデータをまた奪い返して連中に一泡吹かせます。あなたは敵ではないので助けます。説明終了。あとは自分の中で整理してください。私は正義執行に移ります。

言いながら敵集団にミニパトの重火器による範囲攻撃、爆破、弾幕、制圧射撃、誘導弾、砲撃…これを刀一本でどうにかできるなら正直尊敬しますよ。

ああ…!火力こそ正義です…!
炸裂させれば炸裂させるほど世界が正義の炎で浄化されていきます…!



「抵抗は無意味です。死んで頂きます」
「このっ、来るな……!」
 刀を手にした着物姿の機械人形――レプリドール『アンパッサン』の集団に包囲された走り屋クラウディアは、絶体絶命の窮地にあった。抵抗しようにも彼女の腕は切断され、逃走手段であるバイクも失っている。もはや自力でこのピンチを脱する術はなかった。
「貴女にはレプリドール社に損失を与えた代償を……何ですか、この音は」
 無力にうずくまる標的に容赦なく刀を振り上げるアンパッサン。だがその時、彼女らはハイウェイの彼方からこちらに近付いてくるサイレンの音を聞いた。同時にパトランプを点灯させながら、一台の装甲車両が物凄いスピードで突っ込んでくる。

「――……!?」
 思わぬ乱入に不意をつかれたアンパッサンが数名、爆走する装甲車に撥ね飛ばされる。
 装甲×重量×スピード。それ自体が凶器となる破壊力をモロに喰らえば、いくら戦闘用のレプリドールでも堪らない。
「な、何が……きゃっ?!」
 その場にいた誰もが混乱する最中で、装甲車はクラウディアの前で急ブレーキをかけて止まり、ドアから伸びてきた手が彼女を車内にかっさらう。運転席に座っていたのは旧式の女性警察官制服を着た少女――新田・にこたま(普通の武装警官・f36679)だった。

「あなたが奪い返されたレプリドール社のデータをまた奪い返して連中に一泡吹かせます。あなたは敵ではないので助けます。説明終了」
「はっ、えっ、なに……???」
 まくし立てるような早さで簡潔に自分の目的を伝えるにこたま。目まぐるしい状況変化にクラウディアの理解は追いついていないが、それを待っているつもりは彼女にはない。
「あとは自分の中で整理してください。私は正義執行に移ります」
 そう言ってアクセルをベタ踏みすると、本人が「ミニパト」だと言い張る四輪装甲車が再び唸り声を上げる。よく見ればその車体にはパトランプの他に様々な――警察車両としては過剰ではないかと思われるほどの重火器が取り付けられていた。

「砲兵とは戦場の神……それに倣えば私のミニパトは正義の神です!」
 【正義の砲兵】と化した「新田のミニパト」は、砲声を以って彼女の正義を代弁する。
 職場の予算をふんだんにつぎ込んで強化されたその殲滅能力は凄まじく、神経接続機能でコントロールされた照準は正確。情け容赦のない弾幕がメガコーポの傀儡に降り注ぐ。
「これを刀一本でどうにかできるなら正直尊敬しますよ」
「当機達の社命を妨害するのであれば、誰であろうと……」
 万物を【一刀両断】するアンパッサンの剣術も、次々に襲い掛かる砲弾、爆撃、誘導弾の前では蟷螂の斧だった。事務的な警告の言葉も轟音にかき消され、一合交える隙もなく蜂の巣に変えられていく。

「ああ……! 火力こそ正義です……! 炸裂させれば炸裂させるほど世界が正義の炎で浄化されていきます……!」
 圧倒的火力で正義執行する快感に酔いしれ、操縦席でちょっぴり恍惚とするにこたま。
 この世界にはびこる腐敗も退廃も、こうすれば纏めて消し飛ばせるのだ。燃えるゴミは焼却処分するに限る。実にシンプルイズベストな正義理論である。
「た、助けてもらっちゃったけど、ひょっとして少しヤバい人……?」
 どうやら敵ではないことだけは理解したものの、正義にかけるにこたまの情熱(物理的にも熱い)と悪への容赦のなさにに、クラウディアは助手席で冷や汗をたらすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
剣の修羅界に続くハイウェイは此処か?
なーんて、神鳴担いで恰好良く参上
ほい落とし物っとクラウディアに腕を投げ渡す

剣姫を追う前にレプリドールの性能を見せてもらおうか
悠々自適で歩み出て殺戮剣舞を始めるよ
緩やかな動作で斬り、アンパッサンの太刀を弾き剣舞を続ける
見せているんだよ

音楽は嗜むかい?
オミットされた機能ならご愁傷様
彼女の太刀を見切って除けながら逆手でスマホを操作してロックなBGMを掛けて剣舞を再開する
曲は長いぜ

相殺できるならどうぞ
逆手にアークウィンドも構えて、激しい曲調に合わせて連撃よりも執拗に剣舞を続ける

ごめんね
神鳴が喰い込んだら電撃属性攻撃を流し込んで機能停止させるぜ
修理してあげられるかなぁ



「剣の修羅界に続くハイウェイは此処か?」
 なーんて、と飄々とした振る舞いで妖刀「神鳴」を担ぎ、格好良く戦場に参上するのは四王天・燦(月夜の翼・f04448)。敵の視線がこちらを向くのも構わず、道路に転がっていた義腕をひょいと拾い上げ、持ち主に投げ渡す。
「ほい落とし物っと」
「ひゃっ! あ、ありがとう」
 腕を受け取ったクラウディアも、緊張感をまるで感じられない燦の態度に驚いている。
 正確には緊張していないと言うよりは、自然体と言うべきか。これまで数々の修羅場をくぐってきた彼女にしてみれば、この程度の状況はいつものことだ。

「剣姫を追う前にレプリドールの性能を見せてもらおうか」
 悠々自適で歩み出て【四王殺人剣『殺戮剣舞』】の構えを取る燦。対するレプリドール『アンパッサン』の部隊は、刀を鞘に納めて抜刀術の体勢に入る。人形とはいえ剣を嗜む者として、相手の技量の高さを察したらしい。
「警戒すべき脅威と判断」「任務遂行のため、優先的に排除します」
 地面を滑るような足運びで距離を詰め、高速の居合い切りを放つ。常人には目で追えないほどの剣速だが、燦にははっきりと見えていた。紅い電撃をまとった刀で剣戟を弾き、それを剣舞の動作に繋げて切り返す。

「こいつは捌けるかな?」
「問題ありません」
 ゆるやかな動作で繰り出された太刀を、アンパッサンも自らの太刀で打ち払う。機械的で無駄のない人形の剣技に比べれば、燦の剣舞は魅せることを意識した無駄の多い動作に見えた。少なくとも、対峙する側はそう思っただろう。
「見せているんだよ」
 笑みを崩さぬまま燦は剣を振るい続ける。その動きは何かのリズムに合わせて少しずつテンポを上げ、より速く、重く、鋭く変化していく。彼女が望んでいたのは互いの腕比べ――人形の性能を推し量るために、あえて序盤はギアを落としていたのだ。

「音楽は嗜むかい?」
「……?」
 人形の攻撃を見切って除けながら、燦は逆手でスマホを操作してロックなBGMを流す。
 心臓の鼓動を思わせるハードでパンクなサウンドに、アンパッサンは首を傾げるだけ。なぜそんな「雑音」を急に出し始めたのか、理解できていない様子だ。
「オミットされた機能ならご愁傷様」
 戦闘用として作られた弊害か、芸術を解さぬ人形に一抹の寂しさを覚えつつ、燦は剣舞を再開する。ロックの曲調に合わせたそれは今までよりも激しく、肉体の限界すら凌駕して、敵を圧倒し始めた。

「相殺できるならどうぞ」
「……! 防御、困難」
 アンパッサン達は【瞬速抜刀】から始まる連撃で対抗しようとするが、燦はそれ以上に執拗な手数と速度で攻め立てる。いつの間にかスマホを手放した彼女の逆手には風の短刀「アークウィンド」が握られており、旋風を巻き起こしながら追撃を重ねていく。
「ごめんね」
 雷の太刀と風の短刀による荒ぶる剣戟が、食い下がる人形達の手から刀を弾き飛ばし、その身に刃を食い込ませる。その刹那、燦は囁くような声で詫びの言葉を入れ――直後に体内に流し込まれた神鳴の電撃が、レプリドールの機能を停止させた。

「ぁ……」
 まさしく糸が切れた人形のように、刀を取り落として膝から崩れ落ちるアンパッサン。
 地面に倒れ込んだその躯体を横目に見ながらも、燦はまだ残っている敵に剣舞を放つ。
(修理してあげられるかなぁ)
 メガコーポの傀儡とはいえ、そう創られただけの彼女らに罪はない。できる事ならこのまま破壊してしまうのは惜しいが――今はまだ、じっくり考えている余裕はなさそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「レプリドール社の機密情報ですか、それは確保したいですね。
ブラックカンパニー特殊渉外課、お仕事開始です」

同僚のフォスさんとともにクラウディアさんの元に向かいます。
まずは彼女の信用を得るためにも、我が社が開発した【義体用強化パーツ】をトランクから取り出し、両手を治療しましょう。

クラウディアさんから情報を聞き出しますが、おそらく本命の情報は逃走した敵を追わなければならないでしょうね。

「その前に、まずは雑魚たちですね。
荒事は任せましたよ、フォスさん」

私は後方で指示を出すのに専念します。
そのため、敵が近づいていることに気づかなかったのです。

敵の斬撃が私のパンツの紐だけを斬り裂いたのでした。


フォス・オネイロス
【ブラック】

せっかくでてきた機密情報だし、
これはぜひとも手に入れたいところだね。
腕の見せ所かな。

クラウディアさんのことはペルセポネさんに任せて、
わたしは『アンパッサン』たちの相手かな。

【揺律制域】を使って敵の中に飛び込んだら、
相手の斬撃の『機』を外して隙を作って、こちらの攻撃を叩き込んでいこう。

相手の攻撃は、【見きり】で躱すか、
【オーラ防御】を発動して、義肢で【武器受け】して防御するよ。

戦いは『間』が大事、だよね。

と、ちょっと余裕かな、と思ったのが油断。
少し離れすぎてしまい、ペルセポネさんに攻撃が!?

慌てて引き返して敵は倒したけど……え? ぱんつ?

ま、まぁ、被害がパンツだけで良かった……かな。



「レプリドール社の機密情報ですか、それは確保したいですね」
「せっかくでてきた機密情報だし、これはぜひとも手に入れたいところだね」
 対立企業の秘密を掴むチャンスと聞いて、今回の依頼に意欲を示したのは、メガコーポ「ブラック・カンパニー」に所属する二名。世界を統べる巨大企業群も一枚岩ではなく、むしろ覇権を争いあう敵同士と言えるのが実情だ。
「ブラックカンパニー特殊渉外課、お仕事開始です」
「腕の見せ所かな」
 ペルセポネ・エレウシス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属・f36683)が号令を出すと、その相棒であるフォス・オネイロス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属、腕力担当・f36684)が拳を鳴らす。本日の"交渉"に赴く準備は万端だ。

「初めまして、クラウディアさん」
「あ、あたしの事を知ってるの……?」
 戦場と化したハイウェイを赴いた2人の少女に、クラウディアは怪訝な表情を見せる。
 まずは彼女の信用を得るべきだと考えたペルセポネは、トランクの中から義体のパーツを取り出し、切断された両手の治療に取り掛かる。
「我が社の研究部門が開発した強化パーツです」
「おぉう、ありがとう、助かるよ」
 破壊された義体の修復だけでなく改造による一時的な性能強化も見込める、ブラック・カンパニーが誇る技術の産物。とはいえ切断された腕を元通りに繋ぐのには時間がかかるだろう。流石にそれまで敵が待ってくれるとは思っていない。

(彼女から情報を聞き出したいですが、おそらく本命の情報は逃走した敵を追わなければならないでしょうね)
 レプリドール社から機密情報を持ち出した当の本人が、何も知らない訳はないだろう。
 しかし逃走中は情報を精査している余裕はなかったはず。奪還されたデータを再度奪い返さなければ、特殊渉外課として満足のいく成果は得られない。
「その前に、まずは雑魚たちですね。荒事は任せましたよ、フォスさん」
「うん。わたしは『アンパッサン』たちの相手だね」
 クラウディアのことをペルセポネに任せて、フォスは向かってくるレプリドールを迎え撃つ。【揺律制域】を発動すると、注意を引き付けるのも兼ねて自ら敵陣に飛び込んだ。

「任務の妨害は許されません」
 新たな妨害者ににアンパッサンは【一刀両断】で斬り掛かろうとするが、フォスは刀の間合いに踏み込む寸前で動きのリズムを大きく変化させ、相手の斬撃の『機』を外した。
「排除しま……っ?」
「ここからはわたしの番」
 斬り伏せるタイミングを逃した人形は、刀を構えたままピタリと動きを止める。武術において「居着き」と呼ばれる隙を逃さずに、彼女は右脚の義足から鋭い一蹴りを放った。

「まずは1人」
 戦闘用に調整された超硬素材製義足による蹴撃を叩き込まれたアンパッサンは、砲弾のように吹っ飛んでいく。若くして『機甲闘技拳』と呼ばれる義肢を駆使した戦闘術を伝承したフォスの戦闘力は、特殊渉外課の腕力担当を任されるほどに高い。
「対象の危険レベルを更新」「単機ではなく集団での対応を」
 一対一では分が悪いと判断したアンパッサンは、集団戦法で対象を排除しようとする。
 だが、数は多くても全て同型の機械人形なら、動きを見切るのは容易。フォスは緩急をつけた動きで斬撃をひらりと躱し、オーラを纏わせた義肢で刃を受け流してみせる。

「戦いは『間』が大事、だよね」
「流石ですね、フォスさん」
 余裕さえ感じさせる身のこなしで攻撃を捌き、カウンターで次々に敵を打ちのめしていくフォス。映画の主役のような見事な大立ち回りに、ペルセポネが後方から指示を出す。
「迅速に雑魚を排除して、本命を追いかけましょう」
「はぁ、すごいわねアンタ達」
 年若くも見事な連携をみせるメガコーポのエージェント達に、クラウディアも感心した様子で呟く。この調子ならばレプリドールの全滅も時間の問題のように思われたが――。

(ちょっと余裕かな)
 と思ったのが油断になり、攻め気を出しすぎるあまりフォスはペルセポネの傍から少し離れすぎてしまった。レプリドール側からすれば、前衛と後衛の分断は格好の隙になる。
「目標捕捉」
「しまった!」
 フォスが気付いた時には一体のアンパッサンが、ペルセポネとクラウディアの元に迫っている。ペルセポネの方も指示を出すのに専念するため、敵の接近に気付くのが遅れた。

「排除します」
「……!」
 はっとペルセポネが振り返ると、そこには無機質な表情で刀を抜く人形の剣士がいる。
 荒事担当ではない彼女の武力では、この奇襲を防ぐ術はない。あわや斬り伏せられるかと思ったその時――。
「させない!」
 ロケットのような速度で突っ込んできたフォスが、真横からアンパッサンの頭部を蹴り飛ばした。義足に装着されたレッグブースターを起動することで、前線から猛スピードで引き返してきたのだ。

「ごめん、ペルセポネさん。大丈夫だった?」
「平気です。助かりました……ぁ」
 相棒をピンチに合わせたことをフォスは謝るが、ペルセポネは気にしないようにと答え――そこでふと、下半身のほうに涼しい風を感じて、すっと視線を地面のほうに下げる。
「……パンツが」
「え? ぱんつ?」
 若干顔を強張らせたペルセポネの視線をフォスが追うとと、そこには紐の切れた一枚の布がはらりと落ちている。社長令嬢のお召し物として相応しそうな高級感のある下着が。
 どうやら蹴り倒される寸前で、敵の斬撃は彼女のパンツの紐だけを斬り裂いたらしい。

「ま、まぁ、被害がパンツだけで良かった……かな」
 辺りに流れる微妙な空気を笑い飛ばそうとするが、フォスのそれは逆効果のような気もする。窮地の代償が下着一枚と考えれば安いものだろうが、年頃の乙女としてはどうか。
「こほん。ところでクラウディアさん、少しお聞きしたい事があるのですが」
「え? あぁうん、いいけど……」
「わ、わたしは残ってる敵を倒してくるね」
 何か誤魔化すように平常運転に戻るペルセポネに、飛ぶように前線に舞い戻るフォス。
 特級社員のカンパニーマンとて、全てにおいて完璧とはいかないものだ。人によってはそれを、彼女達の「可愛げ」と呼ぶかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
カビィちゃん(f24111)と行動

刀使いドールが相手か
データ取りたいしお手製の武器で挑むよ
シェル姉は休んでて
折角だし、カビィちゃんのお守りね
世界観的にギャグがバリアにならないかも!

『セリカと別ベクトルで疲れるのよねアレは……』
イヤそうでも面倒見は良いし信じよう!

代わりにカビィちゃんが寄越したのがこのハリセン……
これで敵をしばくの見てるけど…

【黄槍の飛竜】を飛行形態にし、その背に乗り追跡!

相手の居合を掻い潜り、ハリセンで一撃!

いい音だけ響く

うんカビィちゃんと同じ事は無理!
手持ちの光線剣で改めて敵と相対

向こうは、盛大に事故!?
そういえば、車は保険の問題で人に貸すなとアースで知ったっけ……(遠い目)


カビパン・カピパン
「メガコーポ参与、猟書家カビパンだ。状況を報告しろ」
前回メガコーポに取り入って役職を得たカビパンは、オフロードバイクで魔剣シェルファを背負いアンパッサン達に合流した。

「…このまま奴の塒を見つけ背後組織を洗い出して潰す。始末せず追跡して威圧感を与えろ」
偉そうに続けて支持を出す。
「制限速度は守れ。道路交通法を厳守せよ。危ないだろうが」

「今宵魔剣は血に飢えておる…いくわよ、シェル姉!(←魔剣振ってみたかった)」

――その柄を手に取った。

(!?振れない)
魔剣に認めらていないカビパンは扱えなかった。そのままバイクがコケてアンパッサン達を巻き込み大事故。魔剣は無事に持ち主の手に戻りましたとさ、チャンチャン。



「刀使いドールが相手か。データ取りたいしお手製の武器で挑むよ」
 剣士であると同時に物作りや機械いじりが趣味であるセフィリカ・ランブレイ(鉄エルフの蒼鋼姫・f00633)から見れば、今回の敵は試し斬りに丁度良さそうな相手だった。普段は相棒の魔剣シェルファで戦うが、今日はいつもと違う気分らしい。
「シェル姉は休んでて。折角だし、カビィちゃんのお守りね。世界観的にギャグがバリアにならないかも!」
『セリカと別ベクトルで疲れるのよねアレは……』
 そう言われた蒼い魔剣のほうからは、女性の声色でイヤそうな返事がくる。今回彼女らが一緒に行く予定の仲間は、ある意味オブリビオンより破天荒で予想がつかないというか――一言で言えば、ギャグ世界の住人だった。

「メガコーポ参与、猟書家カビパンだ。状況を報告しろ」
 その噂の人物ことカビパン・カピパン(はエビフライ🍤・f24111)は、オフロードバイクで現場に乗り付けるなり、レプリドール社の『アンパッサン』達にそう呼びかけた。
 以前に彼女は別の依頼でメガコーポに取り入ることで役職を得た履歴があり、その職権を乱用してさも合流した仲間のように振る舞っている。
「猟書家カビパン様。そのような社員の名は我が社には記載されていませんが……」
「記載漏れだろう。人事課の怠慢だな」
 当然のように発される疑問に眉ひとつ動かさずに返す。ふてぶてしいとすら思える態度の背中には、セフィリカから借りた魔剣シェルファが背負われていた。もし彼女が人間の姿だったら、ため息のひとつは吐いていたかもしれない。

(イヤそうでも面倒見は良いし信じよう!)
 シェルファにカビパンのお守りを任せたので、今回は実質フリーで動けるセフィリカ。
 こちらは普通にレプリドール社と戦うつもりのようだが、手にいつもの相棒ははない。
「代わりにカビィちゃんが寄越したのがこのハリセン……」
 一見して普通のハリセンのような、よく見ても普通のハリセンとの違いがわからない、カビパン愛用の「女神のハリセン」。魔剣と交換でそれを渡された時は、正直どうすればいいのか困ったが。一応は折角の厚意を使わないのもよくない気がする。

「……このまま奴の塒を見つけ背後組織を洗い出して潰す。始末せず追跡して威圧感を与えろ」
 一方のカビパンはアンパッサン達の前で、さも上司のような面で偉そうに指示を出す。
 中身は【ハリセンで叩かずにはいられない女】でも、キリッと真面目な顔をしていれば妙なカリスマを発揮するのが彼女の武器である。戦闘用に特化されすぎた人形には、その欺瞞を見抜くことはできなかった。
「制限速度は守れ。道路交通法を厳守せよ。危ないだろうが」
「「承知しました」」
 命令通りにアンパッサン達はこの場でクラウディアを抹殺することを止め、威嚇しつつ拠点に追い立てる戦法に切り替える。が、迎え撃つ側からしてみればそれはただ攻撃の手を緩めただけでしかなく、猟兵がオブリビオンに遠慮する理由も特になかった。

「七虹最速のその姿! 目に焼き付けることができるかな!」
 クラウディアを追い立てるアンパッサンを、さらに後ろから追跡するのはセフィリカ。
 突撃形態に変形した飛行型ゴーレム【黄槍の飛竜】の背に乗って、疾風の如きスピードで敵との距離を詰める。その手に握るのはカビパンに渡された例のハリセン。
(これで敵をしばくの見てるけど……)
 とりあえず剣のように構えを取ってみると、それを見た敵は【瞬速抜刀】で迎え撃つ。
 刀型レプリドールが放つ高速の連撃は、ユーベルコードの攻撃すらも相殺するという。
 だがセフィリカを乗せた飛竜はそれに勝る速さで居合いを掻い潜り、懐に飛び込んだ。

「えいっ!」
 スパーン! と気持ちのいい音がハイウェイに響き、ハリセンの一撃がアンパッサンにクリーンヒットする。が、起きたことと言えばそれだけで、一瞬のけぞった相手は何事もなかったように再び斬り掛かってくる。
「うんカビィちゃんと同じ事は無理!」
 わかっていたが自分にあの理不尽ギャグを再現することはできないようだ。ハリセンを諦めたセフィリカは当初の予定通り、光線剣「SBX-07」を構え、改めて敵と相対する。
「やっぱりこっちがいいね」
「……障害を排除します」
 無機質に斬りかかる人形の太刀筋を光の刃で弾き、体勢を崩したところにカウンター。
 斬撃の瞬間に僅かに間合いの伸びた刃が、敵の見切りを狂わせ、その身を斬り伏せた。

「今宵魔剣は血に飢えておる……いくわよ、シェル姉!」
『別に飢えてはいないんだけど』
 そのまた一方でカビパンも、いよいよ自ら戦うつもりのようだ。命令により焚き付けたレプリドール達をオフロードバイクで後ろから追いかけ、背中を斬りつける態勢である。
 武器はセフィリカに預けられた蒼き魔剣シェルファ。実は振ってみたくてウキウキしていたらしく、格好よくセリフを叫びながら柄を手に取るが――。
(!? 振れない)
 残念ながら、魔剣に認められていないカビパンにそれは扱えなかった。ぐいぐい引っ張って鞘から抜こうと悪戦苦闘するが、そんな事をしている内にハンドルの操作を誤り――そのまま大コケしたバイクは、近くにいたアンパッサン達を巻き込んでいく。

「向こうは、盛大に事故!?」
 カビパンが引き起こした大惨事の模様は、セフィリカのほうからもはっきりと見えた。
 ドンガラガッシャンと耳障りな騒音が響き、大破したバイクは煙を噴き上げ。周囲には大の字になって転がっているカビパンと、巻き添えとなった人形達。そして事故の衝撃で吹き飛ばされたシェルファが、セフィリカの元に放物線を描いて飛んできた。
「あ、シェル姉おかえり」
『ただいま。やっぱり疲れたわ』
 無事に持ち主の手に戻った魔剣は、脱力感の混じった声音で呟く。ほとんど何もされていないはずなのにこの疲労感、ハリセンの件といいカビパンのギャグには、やはり他人には分からない力が――ユーベルコードたりうる力があるのだろう。

「そういえば、車は保険の問題で人に貸すなとアースで知ったっけ……」
 あれは万が一にもこんな事故が起こった時のための戒めだったんだねと、セフィリカは遠い目をして戦場改め事故現場を眺める。元凶であるカビパンの身は心配ないだろうが、ハイウェイでこれだけの事故を起こすと後始末が大変そうである。
「まあ、全部メガコーポが悪いってことにしておこう」
『それがいいわ』
 今はクラウディアの安全の確保と、機密情報を持って逃走した敵を追うほうが先決だ。
 ノビているカビパンの襟首を引きずって、セフィリカ達は次の戦場に向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

堂島・アキラ
ドジ踏んじまったな姉ちゃん。知り合いにいい義体売ってるヤツがいるが紹介してやろうか?
減らず口が叩けるなら心配はいらねえな。んじゃ、周りのお人形たちを片付けるとするか。

誰かを守りながら戦うってのはちょいと苦手だが、オレが姉ちゃんから離れなきゃとりあえず大丈夫だろ。
敵も近接特化っぽいから距離を取ってサブマシンガンでハチの巣にしてやるのがベストだぜ。
オラオラどうした。この弾幕を根性で突破してこい!

敵の数も多いから撃ち漏らして接近される可能性もあるだろうが、まあそん時はそん時だ。
刀で斬られるより速く深く踏み込んで殴る。それで解決だぜ。



「ドジ踏んじまったな姉ちゃん。知り合いにいい義体売ってるヤツがいるが紹介してやろうか?」
 腕を切り落とされた走り屋に、そう言って笑いかけたのは堂島・アキラ(Cyber×Kawaii・f36538)。心配というよりはからかうような口調に、クラウディアも軽口で応える。
「二度とこんなヘマはしないわ。"手を借りる"のは今日限りで十分よ」
「減らず口が叩けるなら心配はいらねえな」
 一度死にかけたくらいで落ち込むようでは、ハイウェイスターなどやれないのだろう。
 手をなくしても心までは折れていないと分かると、アキラは口元の笑みをより深めた。

「んじゃ、周りのお人形たちを片付けるとするか」
 クラウディアをかばうような立ち位置を取って、サブマシンガン『Enforcer』を構えるアキラ。普段の彼なら鉄火場の最前線に飛び込んでいくだろうが、今回の依頼はそうもいかない。
「誰かを守りながら戦うってのはちょいと苦手だが、オレが姉ちゃんから離れなきゃとりあえず大丈夫だろ」
「悪いわね」
 護衛対象を放り出すほど彼もキレちゃいない。見た目は可憐な美少女の全身義体だが、その立ち姿は頼もしく、浮かべた表情はアウトローのそれ。刀を持ったレプリカント集団に迫られても、怯む様子は一切なかった。

「敵も近接特化っぽいから、距離を取ってハチの巣にしてやるのがベストだぜ」
 刀の間合いに踏み込まれる前に、アキラはサブマシンガンのトリガーを引く。タタタッと軽快な発砲音が連なり、ハイウェイに弾丸の雨が降る。適当にばら撒いているようにも見えて、その射撃は的確に敵の接近を咎めるものだ。
「オラオラどうした。この弾幕を根性で突破してこい!」
「……っ。任務に深刻な障害を確認」
 煽るように叫びながら近付く奴らを片っ端から撃ち抜いてみせる彼に、レプリドールも敵意と警戒を強めた。損害なしでの突破は困難と判断したか、味方を盾にして強引に距離を詰めてくる。

「我が社の活動を妨害する者は、全て斬り捨てます」
 かくあれと造られたアンパッサン達に、不要な恐怖など最初からオミットされている。
 僚機の骸を踏み越えて迫る彼女らに、アキラはひたすら銃弾を撃ち込みまくるが、遂に撃ち漏らしたうちの1体が刀の間合いに踏み込んでくる。
「ちょっと、近付いてきてるわよ!」
「心配いらねえよ」
 アキラも接近される可能性を考えていなかった訳ではない。「まあそん時はそん時だ」と割り切ってさえいた。こちらを【一刀両断】にしようとする人形剣士の構えを見ても、その口元から笑みが消えることはなく――。

「歯ァ食いしばれオラァ!」
「――……?!」
 アンパッサンが刀を振り下ろすよりも速く、アキラの【サイバーパンチ2077】が顔面に炸裂する。ただ思いっきり殴るだけのシンプルイズベストな技だが、人工筋肉により強化されたサイボーグの殴打は、敵をハイウェイの遥か彼方までふっ飛ばした。
「刀で斬られるより速く深く踏み込んで殴る。それで解決だぜ」
「……大概ヤベーわね、あんたも。助かったけど」
 言うのは簡単でもそれが実現できる奴が何人いるのか。こともなげにやってのけた上で傷一つ負っていない彼を見て、クラウディアは呆れと感服と感謝を同時に抱くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高岩・凛
【アドリブ大歓迎】
どれ、久々にお仕事すっかね……はいはいお邪魔すんぞどいてろ邪魔だオラッ
[ハザードライバー・リゲイン]でハザードリゲイン(ICの姿)になってポンコツどもの前に立ちはだかる。
刀しか持ってねえなら簡単だよ。この姉ちゃんに近付けなきゃいいんだろ?正面からずっとぶん殴ってりゃあいいじゃねえか。
【Regainst】を起動して、切られようが再生能力でゴリ押しする。とっ捕まえてへし折ったりぶん殴ったり投げて叩きつけてぶっ壊してやりゃいいんだよ。ついでに[ヒュームブレイカー]もぶちこんでやる。
その可愛らしいツラぼっこぼこにしてやっからなテメェ!



「どれ、久々にお仕事すっかね……」
 他の猟兵との交流はあったものの、高岩・凛(名誉カフェモカ執事・f17279)が依頼で戦いに出向くのはこれが久方ぶりだった。濁ったハイウェイの大気に混じって、懐かしいとまではいかない戦場の匂いを肌で感じる。
「はいはいお邪魔すんぞどいてろ邪魔だオラッ」
 腰に巻いたベルト型制御装置「ハザードライバー・リゲイン」を起動し、義肢展開形態「ハザードリゲイン」に変身した彼女は、ぶっきらぼうな物言いと共にレプリドール達の前に立ちはだかる。ブランクなど微塵も感じさせぬほどに、その闘志は鋭かった。

「……新たな妨害を確認」
 鈍色の装甲服のようなものを着てて乱入してきた未知のサイボーグに、アンパッサン達は刃を向ける。彼女らの任務はレプリドール社の機密を侵した者の抹殺であり、その経過に挟まる者が誰であろうと、全て斬り捨てるのみだ。
「来いよポンコツども。俺は負けねえ」
 対する凛も問答を挟むつもりなどない。保護対象のクラウディアを庇うような立ち位置から、ずんと一歩前に踏み込む。その姿はさながらダークヒーローか。鋼の装甲と化した義肢と外骨格の形状はあまりに剣呑で、敵を潰すという殺意の体現であった。

「刀しか持ってねえなら簡単だよ。この姉ちゃんに近付けなきゃいいんだろ? 正面からずっとぶん殴ってりゃあいいじゃねえか」
 凛はそう言って【Regainst】を起動。展開した義手をより攻撃的な形態に移行しつつ、猛然と敵陣に飛び込んでいく。策も何もないシンプルな突撃に、アンパッサン達は刀を以て迎え撃つ。
「排除します」
 彼女らが振るう【斬妖断】は、物理的に斬れない物すらも斬るユーベルコードの斬撃。
 ハザードリゲインの装甲とて例外ではなく、刃を浴びたボディが深々と切り裂かれる。
 ――だが、その傷はアンパッサン達が刀を引いた直後から、即座に再生を始めていた。

「負けねえッつってんだろうがよぉ!!」
 凛が纏った覚醒化装甲は装着者の感情を変換して出力を上昇させる。攻撃を受けて極限に近付くほど戦闘力は増し、さらには再生、生命力吸収といった数々の能力を得るのだ。
「対象のエネルギー増大を確認」「これは一体……?」
 斬られても止まらない相手にアンパッサン達は困惑するが、その隙を逃す凛ではない。
 自分を斬ったヤツの腕をがしりと鷲掴みにしてとっ捕まえ、殺意をもって力を込める。戦闘用に頑丈であるはずの機械人形の腕が、まるで木の枝のようにへし折れた。

「こんなポンコツども、こうやってぶっ壊してやりゃいいんだよ」
 凛は荒ぶる情動のままに腕を折ったアンパッサンの顔面をぶん殴り、よろめかせた後で首根っこを掴み直すと、近くにいる敵めがけて勢いよく投げつける。擲弾となった僚機を叩きつけられた人形は、ガシャンと大きな音を立てて倒れ込んだ。
「ついでにコレもぶちこんでやる」
「危険、退避……!!」
 起き上がる猶予すら与えず振るうのは、右腕に構えた巨大剣「ヒュームブレイカー」。
 その刀身は使用者の意によって質量を増し、自ら推進力を生み出して加速する。量産品の刀で受け止められるものではなく、憐れ真っ二つに両断された人形は爆発四散した。

「その可愛らしいツラぼっこぼこにしてやっからなテメェ!」
 見てくれが少女型だろうと遠慮はなく、凛の猛攻はまだまだ留まるところを知らない。
 きっと目の前のポンコツが全てスクラップになるまで止まらないだろう。まるで防御を顧みないゴリ押しだが、それで敵を圧倒している事実が、彼我の実力差を証明していた。
「被害甚大」「これ以上は、任務に支障が」
 常に冷静だったアンパッサン達の表情にも、流石に焦りが見え始める。機密の盗っ人を始末するだけの任務が、よもやこれほどの被害を受けるとは予想もできなかっただろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
クラウディア様ですね?
既に先行した猟兵の方と同じく、貴女の護衛及びデータ奪還を遂行させて頂きます

騎士として、護衛に関しては指折りであると自負しております
論より証拠、しばし御覧頂ければ

先ずは第一波
マルチセンサーでの情報収集と瞬間思考力にて敵の数と位置と陣形を把握
護衛対象かばう最適な位置取りを保ちつつ迎撃

刀と剣と盾にて弾き、怪力にて崩し
隙を逃さず殴打や斬撃で解体
迂回する敵を剣を投擲し地面に串刺しに

頭部や肩部格納銃器を銃座の如く旋回させ遠間の敵を撃ち抜き排除
同時並行で地に突き立つ剣にワイヤーアンカー発射
ロープワークで鞭の如くしならせ、複数体を剣で両断しつつ手元に回収

さて、ご満足頂けましたか?



「クラウディア様ですね?」
「ええ、そうよ。アンタは?」
 猟兵と人形による激戦地と化したハイウェイにて、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は救護対象の女性に挨拶をする。全身義体にしても稀有な巨体を見上げつつ、その女性――クラウディアはこくりと頷いた。
「既に先行した猟兵の方と同じく、貴女の護衛及びデータ奪還を遂行させて頂きます」
「へえ。まさか、こんなに助けが来るとは思っちゃいなかったわ」
 猟兵というのがどんな連中かはよく知らないが、世の中には情の厚い連中もいる所にはいるものだと彼女は感心する。メガコーポに楯突いてヘマをこいた見ず知らずの自分を、危険を承知で助けに来てくれたのだから。

「騎士として、護衛に関しては指折りであると自負しております」
「そりゃ大した自信ね」
 科学全盛のこの時代にあえて臆面なく騎士を名乗る、トリテレイアの振る舞いには相応の自信があった。初対面のクラウディアの目から見ても相当の手練であると感じられる。
「論より証拠、しばし御覧頂ければ」
「じゃあ、拝見させて貰おうかしら」
 話を終えた騎士は対象を守護する立ち位置のまま、すっと敵陣の方を振り返る。対するは劣勢に追いやられつつある『アンパッサン』達――せめて本社より与えられた命だけは遂行せんと、標的をクラウディアに絞って襲いかかってくる。

「先ずは第一波」
 トリテレイアは機体に搭載されたマルチセンサーで敵の数・位置・陣形を把握し、電脳ならではの瞬間思考力で護衛対象をかばう最適な位置取りを導き出す。手にするのは身の丈程もある大型盾と、蒼銀に輝く機械式の長剣だ。
「対象の抹殺を……」
 クラウディアに向かって切り込むアンパッサン達の前に割り込み、振り下ろされた刀を弾く。相手の剣技もなかなかのものだが、こと防御におけるトリテレイアの剣と盾の扱いは卓越していた。何体もの敵に同時に斬りかかられても、傷ひとつ負わず全てを凌ぐ。

「肝要なのは現状を俯瞰的に捉える事、走らずとも止まらぬ事」
 的確な守りで敵の数的優位をものともせず、攻撃を受け止めたトリテレイアはそのまま剣と盾に力を込める。銀河帝国の科学力で作り出されたウォーマシンの怪力には、戦闘用レプリカントも敵うまい――押し返されたアンパッサン達のバランスが崩れる。
「体勢不利……っ!」
 その隙を逃さず放たれた反撃が、彼女らを打ちのめす。怪力と重量を活かした盾による殴打も、巧みな剣捌きから繰り出される斬撃も、人形を解体するには十分な威力だった。

「対象戦力は現状の対応範囲を超えています」「任務継続を優先します」
 この機械騎士に正面から立ち向かうのは困難とみたアンパッサン達は、数名を足止めに置いて迂回を試みようとする。あくまで社命であるクラウディアの抹殺を優先する気だ。
 させじとトリテレイアは横を抜けようとする敵に剣を投げつける。本来はそう使う武器ではないが、本人の怪力と投擲技術によって、銀の刃は見事標的を地面に串刺しにした。
「行かせるとお思いですか」
 さらに彼は頭部や肩部に格納していた銃器を展開。銃座の如く旋回させて狙いを定め、遠間にいる敵を撃ち抜く。たとえ白兵戦の距離から逃れようが、彼の戦法に死角はない。

「この程度ではまだ危地とは呼べませんね」
 油断はせずとも泰然と戦況を俯瞰しながら、トリテレイアは銃弾の雨を降らすのと並行してワイヤーアンカーを射出し、先ほど手放した剣を回収すると同時に大きく振り回す。
「っ、あ……!?」
 鞭の如くしなるワイヤーに合わせて空中で弧を描いた剣が、軌道上にいた複数の敵を横一閃に両断する。泣き別れとなった人形のパーツがハイウェイに散らばるのをセンサーで確認すると、騎士はワイヤーを引き戻して剣を手元に回収した。

「さて、ご満足頂けましたか?」
「お見事としか言いようがないわ」
 洗練された【機械騎士の戦場輪舞曲】を披露したトリテレイアに、クラウディアは感嘆の拍手を送る。あれだけ激しく戦っていたのに、騎士は彼女をいつでも庇える位置取りを常に保ち続けていた。護衛に関しては指折りであるという、本人の評を疑う余地はない。
「感謝するわ、騎士さん」
「当然の事です」
 護衛対象からの感謝の言葉に、機械仕掛けの騎士は礼をもって応じる。メガコーポより送り込まれた刺客の人数も、残すところあと僅か――戦いの趨勢は既に決しつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

メガコーポを恐れず、自由の為に立ち向かうか…
フッ、そんな彼女を見捨てては猟兵を名乗れんな

シルコン・シジョンとナガクニを持ち、オーヴァル・レイを宙に浮かせる
シルコン・シジョンの一斉射撃でレプリドール達を攻撃
接近してきたらナガクニによる斬撃で対応する
クラウディアの近くにまでオーヴァル・レイを移動させて、彼女を攻撃しようとするレプリドールを次々と攻撃していく

余所見とは感心しないな
お前達の相手は、私だ

レプリドール達がクラウディアに狙いを変更したらUCを発動
強力な蹴りの一撃を撃ち込んでクラウディアに近い敵から破壊
更に、敵の折れた刀や残骸を蹴飛ばして周囲にまき散らし範囲攻撃
敵を近づかせないように行動する

怯む事も無く襲ってくるか…
フン、確かに攻撃兵器としては最適だな

UCで敵を吹き飛ばし距離を稼いだら銃撃
接近してきた敵の斬撃は見切りからのカウンターか付近の敵をグラップルで掴み、怪力を振るって放り投げて同士討ちを誘っていく

ならば、全て尽きるまで叩き潰すまで
来い、お前達全員を廃品にしてやろう



「メガコーポを恐れず、自由の為に立ち向かうか……」
 力なき身でありながら巨大な企業に一矢報いてみせた走り屋に、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は感心と敬意を抱いた。モラルの崩壊により腐敗と頽廃を極めた世界でも、正義と自由を掲げるレジスタンスは存在するのだ。
「フッ、そんな彼女を見捨てては猟兵を名乗れんな」
 次は自分達が心意気を示す番だと、口元に微笑を浮かべながらキリカは戦場に向かう。
 手には神聖式自動小銃"シルコン・シジョン"と、黒革拵えの短刀"ナガクニ"。そして傍らには浮遊砲台"オーヴァル・レイ"を伴って、戦闘準備は万全だ。

「待たせたな、助けに来たぞ」
 凛々しい宣言と共にキリカがトリガーを引けば、聖書の箴言を込めた弾丸が放たれる。
 それはメガコーポの欲と業の産物とも言えるレプリドール『アンパッサン』達を捉え、聖なる牙となってその身を引き裂いた。
「……! ありがとう!」
「業務妨害を確認」「迎撃します」
 危ういところを救われたクラウディアははっと振り返って、銃撃の主に感謝を伝える。
 その一方で、僚機が撃たれたアンパッサン達はすぐさま反転し、邪魔者を【一刀両断】しようと斬り掛かるが――射撃だけが傭兵の得意分野ではない。接近されたキリカは短刀を逆手に振るい、敵の斬撃を受け止めた。

「優先すべきは業務の遂行」「我が社の機密を盗んだ者に死を」
 一部の僚機がキリカを足止めしている内に、残ったアンパッサン達はクラウディアの元に向かう。あくまでも社から与えられた命令を最優先するのは、メガコーポの傀儡として素晴らしい出来と言えるのだろうが――。
「そうはさせん」
 それを許すほどキリカは甘くない。敵がそう動くことを読んで、先んじてクラウディアの近くにオーヴァル・レイを移動させていたのだ。卵型の浮遊砲台から強力な粒子ビームが放たれ、彼女を攻撃しようとする人形を次々と攻撃していく。

「余所見とは感心しないな。お前達の相手は、私だ」
 人形が狙いを変更したのを見れば、キリカ本人も動き方を変える。無駄のない足運びでクラウディアと人形の間に割り込み、バネがしなるような動きで強力な蹴りを撃ち込む。
「――……!」
 彼女の履いた「アンファントリア・ブーツ」には着用者の運動力と身体能力を極限まで高める機能があり、それを活かした【サバット】の一撃は戦艦をも破壊する威力を誇る。量産型のレプリドールに耐えられるものではなく、敵は瞬時にバラバラに砕け散った。

「彼女に近付けばこうなると思え」
 さらにキリカは砕いた敵の残骸や折れた刀を蹴飛ばし、散弾の如く周囲に撒き散らす。
 目的は相手を近付かせないことだが、先ほどの蹴撃の威力を目の当たりにしてもなお、アンパッサン達は社命を果たさんと迫る。
「当機達に撤退命令は出されていません」
 残骸の散弾を浴びて何名が倒れようとも、彼女らは僚機の屍を踏み超えて進み続ける。
 味方の死を嘆く感情や自らが傷つく恐れなど、製造時にオミットされているのだろう。

「怯む事も無く襲ってくるか……フン、確かに攻撃兵器としては最適だな」
 あまりにも兵器として完成された姿に不快感を示しつつ、キリカは再び小銃を構える。
 怯ませはできずとも物理的に吹き飛ばして距離を稼ぐことはできた。乱雑に蹴り飛ばした残骸よりも正確に、秘蹟の弾丸は標的を撃ち抜く。
「ならば、全て尽きるまで叩き潰すまで」
「当機達はただ、任務を果たすのみ」
 決断的なキリカの物言いと対照的に、斬りかかる人形達の言動はどこまでも無機質で。
 激しい銃撃の中を掻い潜ってきた一体のアンパッサンが、再び標的に刀を振り上げる。

「来い、お前達全員を廃品にしてやろう」
 待ち構えていたキリカは【一刀両断】の斬撃を見切り、サバットのカウンターを放つ。
 しなやかな動きで蹴り足が跳ね上がり、黒いレザーブーツの靴底が刀ごと敵の腕を砕き――その背後から、別の人形が間髪入れずに斬り込んでくる。
「目標捕捉……」
「甘い」
 この程度で不意を突けると思ったのなら大間違いだ。キリカはたった今蹴った敵の頭をむんずと掴み、力任せに放り投げる。それは斬り掛かろうとした人形と正面から激突し、ガシャンと音を立てて盛大な同士討ちを演じた。

「これで終わりだ」
「そん、な……」
 もつれるように倒れた敵の頭を、容赦なく踏み潰すキリカ。それが最後の一体だった。
 レプリドール社より派遣された人形の刺客は、遂に与えられた命令を果たすことなく、全機機能を停止したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『ハイウェイチェイス』

POW   :    邪魔する奴を体当たりで跳ね返す

SPD   :    最高速度でかっ飛ばす

WIZ   :    敵の移動ルートを読み、別ルートから攻める

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ありがとう、助かったわ」

 ハイウェイに駆けつけた猟兵の活躍により、クラウディアは危うい所で命を救われた。
 そのことに心からの感謝を伝えながらも、しかし彼女の表情は晴れず、視線は悔しげに道路の先を睨んでいた。

「でも、折角手に入れたデータは、またあいつらの手に……」

 そう。彼女がレプリドール社から奪取した機密情報は、既に奪還されて本社に帰還中。
 追いかけようにもバイクは壊されており、腕は修復してもらっても足がない状況だ。

「こんな事を頼める義理じゃないのは分かってるけど……お願い、あいつを追って」

 猟兵達の驚異的な能力があれば、今からでも逃走中の敵に追いつけるかもしれない。
 クラウディアは自分から腕とデータを奪った相手の特徴をできる限り手短に伝える。

「相手はピンクと黒の服を着たブロンドヘアのレプリカントだったわ。ヒラヒラした格好だけど剣の腕前は物凄くて……銀色のバイクに乗って、あっちに走っていったわ」

 指差す先にはレプリドール社のビルがある。そこに逃げ込まれる前に追いつけるかが、データ奪還の焦点になるだろう。ここで敵を逃せばクラウディアの苦労も水の泡になる。

「アタシからも報酬は出すわ。だから、お願い!」

 その真剣な訴えにどう答えるか、依頼を受けた時点で結論の出ていた者は多いだろう。
 猟兵達はそれぞれの愛車に乗り、あるいはユーベルコードの力を駆使して、ハイウェイを舞台とした追跡(チェイス)を開始する。
クレア・ノーススター
「じゃあ、貰うものは後々貰うとして」

クラウディアを何とか乗せる。ついでに切られた腕も車内にポイ、運が良ければ知り合いの闇医者が何とかしてくれるだろう

なんだかエンジンの掛かりが悪いヤーガを鞭打って再始動、“前回の運転で前方に強い衝撃を感知しました、交通法規、運転マナーに注意してください”というとぼけたアナウンスとなんか点いてる警告灯を無視していきなり急発進

ただでさえ足が遅いんだから常時フルスロットル
行き先が分かっているんだから回り道できないかと思案するもそんな余裕はないし、全速力で後を追う他ない

接近したら銃撃開始
レプリカントを狙うべきかと思うも、転倒すれば追いつくからと途中からバイクを狙う



「じゃあ、貰うものは後々貰うとして」
「へ? わわっ!」
 クラウディアの訴えを聞いたクレアはひょいと彼女の体を担ぎ上げ、乗ってきた"シビルスキー・ヤーガ"の助手席になんとか乗せる。ついでに切られた腕も拾って車内にポイ。
「運が良ければ知り合いの闇医者が何とかしてくれるよ」
 敵を追跡するにしても、クライアントをここに置き去りにする気は彼女にはなかった。
 度重なる酷使のせいか、なんだかエンジンの掛かりが悪い"ヤーガ"を鞭打って再始動。寝ぼけた牛のような唸り声を上げて、おんぼろな相棒が目を覚ます。

『前回の運転で前方に強い衝撃を感知しました、交通法規、運転マナーに注意してください』
「うるさい」
「うひゃっ?!」
 とぼけたアナウンスも視界の端でなんか点いてる警告灯も無視して、いきなりアクセルをベタ踏みするクレア。まだシートベルトも着けていなかったクラウディアが、急発進の勢いでひっくり返る。
「ちょ、ちょっとは安全運転とか……」
「そんな事言ってる場合じゃないし。ただでさえ足が遅いんだから」
 交通ルールなんてガン無視の常時フルスロットル。それでもなお加速は鈍いものだが、ノーブレーキで飛ばせばじりじりとスピードが上がっていく。レトロな大衆車両が異様な速度でハイウェイを爆進する様は、事情を知らなければ奇妙な光景だろう。

(行き先が分かっているんだから回り道できないかな)
 運転しながらクレアは敵に追いつく作戦を思案するも、そんな余裕はないしとすぐに諦める。今から先回りするルートを調べて迂回するのはタイムロスになるし、この車でそれを許容できる性能はない。
「全速力で後を追う他ない。道はあってる?」
「あ、あってるわ!」
 連れてきたクラウディアをナビ代わりにして、敵の逃げた方向へ最短経路で突き進む。
 彼女もハイウェイスターの1人であり、その運転技術は企業主催のレースにも参加して入賞するレベル。数々の大会で賞金を荒稼ぎしてきた経歴は伊達ではない。

「見つけた」
 おんぼろ車両による爆走のすえ、ついにクレアは前方に一大のバイクを捉える。車種も乗っている人物の外見も話に聞いたものと同じ。それを確認するなり彼女は片手でハンドルを握ったまま、窓から身を乗り出して銃を構えた。
「止まりなさい」
「……!」
 道路に響く発砲音。攻撃に気付いた敵はさっとハンドルを切って弾丸を躱し、スピードを上げる。逃すまいとクレアもアクセルを踏みつけたまま、アサルトウェポンのトリガーを引き絞る。

(レプリカントを狙うべきか……いや、転倒すれば追いつくから)
 最初はバイクの乗り手を撃っていたクレアだが、途中からバイクに狙いを切り替える。
 敵は狙いを絞らせないように蛇行するが、そのぶんスピードは落ちる。なかなか転ばせこそできないものの、じわじわと両者の車間距離は縮まっていく。
「悪いけど、逃がさないから」
 このまま交戦可能な距離まで持ち込む。静かに凄みながら追い込みをかけるクレアと、逃走するレプリカント。ストリートを舞台に二人のチェイスは加熱していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

新田・にこたま
では、すぐに追いましょう。
隠しボタンをポチッとな。
(四輪装甲車の両脇、背部からロケットが展開される。)

10カウント始めます。10、省略、0、発進!(実質2カウント)

UCを発動し飛翔して敵を追跡します。
先程クラウディアさんから聞いた情報があれば、どれだけ高速で飛んでいようと私のサイバーアイは先を走る目標を見つけ出し、追い縋ることが可能です。可能でなくてもレプリドール社のビルを目指して飛べばそのうち見つかるでしょう。

さて、この手段は速いのですが、一つ難点があります…何かにぶつからなければ止まることができません。
クラウディアさん、目標のレプリカントとレプリドール社のビル。
どちらに突撃しましょうか?



「では、すぐに追いましょう」
 クラウディアから話を聞いたにこたまは、すぐさま四輪装甲車のミニパトに乗り込む。
 かなり敵に先行されている以上、普通に走っても追いつけまい。ここは例の機能の使い所だと、操縦席の脇にある隠しボタンを押す。
「ポチッとな」
「え? うわっ、なんか出てきた!?」
 すると装甲車の両脇と背部からロケットが展開され、ゴゴゴゴと唸り声を上げ始める。
 まさかパトカーに――というか四輪車に積むものではないブツが飛び出てきたのには、クラウディアも目を丸くして驚いた。

「10カウント始めます。10、省略、0、発進!」
 実質2カウントでにこたまがロケットに点火すると、凄まじい勢いで燃焼ガスが噴射され、ミニパトの車体が地面を離れる。道路を走って追いつけないなら空を飛べばいい――理にはかなっているがとんでもない荒業である。
「正義執行中はこれが法定速度です!」
 超音速でハイウェイの上を飛翔する装甲車という、目を疑うような代物がそこにいた。
 反動によるGも大きいだろうに、にこたま本人はまるで気にならない様子で、逃げた敵の追跡を開始する。

「先程クラウディアさんから聞いた情報があれば、どれだけ高速で飛んでいようと私のサイバーアイは先を走る目標を見つけ出し、追い縋ることが可能です」
 にこたまは空飛ぶミニパトを操縦しながら、猛禽のような鋭い眼光で地上を見下ろし、怪しい車両はいないか注視する。聞けば車種も乗り手もかなり目立つ見た目のようだし、見逃す恐れは少ないだろう。
(可能でなくてもレプリドール社のビルを目指して飛べばそのうち見つかるでしょう)
 どれだけ速く逃げようが行き先は分かっているのだ。ロケットがバイクより遅いはずもなし、先回りして道を塞げばそれで片がつく。どうあっても失敗はない完璧な計画である――正義の武装警官は悪を決して逃さない。

「見つけました。あのバイクですね」
 追跡開始からしばらくして、にこたまはハイウェイを駆ける銀色のバイクを発見する。
 金色に輝く彼女のサイバーアイは、それを運転しているブロンドヘアのレプリカントの少女の姿まで、上空からはっきりと視認していた。
「レプリドール社のビルも見えてきました」
 進路上にはメガコーポの拠点にふさわしい超高層ビル。あそこに逃げ込まれてしまうと猟兵とて手出しは難しい。それまでに追いつくことができたのは、流石ロケットミニパトの性能と言えるだろう。それを制御できる操縦者も含めて。

「さて、この手段は速いのですが、一つ難点があります……何かにぶつからなければ止まることができません」
『はい?』
 そこで唐突ににこたまが口にしたカミングアウトに、思わず間抜けな声を上げたのは、クラウディアだった。別の猟兵の車両に乗っていた彼女の視点からも上空を飛ぶミニパトの姿はよく見える。ロケット噴射の音が喧しいことこの上ないし。
「クラウディアさん、目標のレプリカントとレプリドール社のビル。どちらに突撃しましょうか?」
『いや、ちょっと、ちょっと待って!?』
 もし、あの装甲車両が今のスピードのまま何かに激突すればどうなるか。速度と重量の相乗効果で凄まじい破壊が発生するだろう。いや、倒すべき敵が相手なら問題はないかもしれないが――余波でハイウェイまでブッ壊れるんでないかとクラウディアは青ざめる。

『……レプリカントのほうでよろしく。データは壊さないでよね!』
「分かりました。善処します」
 にこたまは操縦席でこくりと頷くと、スピードはそのまま高度を下げ、地上のバイクに向かって突撃する。あちらも上空から響くロケットの音には気付いていただろうが、まさかそれが直接体当たりしてくるとは思わなかったに違いない。
「………!!?」
 人形特有の無表情に驚愕が浮かび、慌ててハンドルを切ったレプリカントのすぐ真横に【正義のROCKET DIVE!】が炸裂する。ミサイルとなんら変わらぬそれはアスファルトの破片と衝撃波を撒き散らし、直撃こそしなかったものの敵を大幅に減速させたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
カビィちゃんと

クラウディアちゃんの心意気に報いて
最後まで付き合うのが粋だね

カビィちゃん、相談事?独り芝居?
言葉の端々に私の台詞の捏造を感じるんだけど!
私正義の人から毟ろう的な事言わないよ?!
クラウディアちゃんに圧をかけるな!

『コレが理屈で動くか、セリカのがよく分かってんでしょ』
間近で経験してきたシェル姉の声が死んでる

またメガコーポ側の所属とか適当吹かしてるし……

よし。カビィちゃんに呼ばれてきたタクシーにはコイツをメガコーポの裏切り者として突き出しとこ
裏切り者の受け入れ対応で向こうの対応力削げるでしょ
ばーいカビィちゃん、向こうで会おう

よし障害はクリア!
後は【蒼剣姫】で空を蹴って目的地まで一直線!


カビパン・カピパン
セフィリカとヒソヒソとわざと聞こえるような声で話し合う。
「どうしたのセフィ姉?」
「昨日と約束が違う。もっと報酬を寄こせですって?」
「仕方ないわ…じゃ、私の持っているレプリドール社のデータをメガコーポに渡せばいいわ」

「っ!?」

「しかし、偉大なるセフィ姉へ報酬を大幅アップするなら取引って事だからやめておくですって?」
「そうねぇ、セフィ姉が取引するなら私も味方しないとねぇ」
「まぁ、報酬がショボいから好き勝手にやらせてもらいますぜゲヘヘですって?私メガコーポ参与だし…好きにしていいよ」

「待った!!」

ヤクザのような脅し方で大幅な報酬アップ。
メガコーポに連絡して迎えのタクシーを要求するカビパン達であった。



「クラウディアちゃんの心意気に報いて、最後まで付き合うのが粋だね」
 命懸けでメガコーポに一矢報いた走り屋の気持ちを、無碍にするほどセフィリカは薄情ではない。さっそく逃げたレプリドール社のレプリカントを追いかけようとするが、その肩をとんとんと誰かが叩く。
「ちょっと、ちょっと」
「カビィちゃん、相談事?」
 振り返ってみれば、そこに居たのは真面目な顔をしたカビパン。セフィリカの経験上、こういう顔をしている時の彼女は何をしでかすか分からない――いや、それはいつもそうだが。思わず身構えると彼女は内緒話をする時のようにぐっと距離を近付けてきた。

「どうしたのセフィ姉?」
 セフィリカはただ尋ねただけなのに、まるで相手から話しかけられたようにカビパンは話しだす。ヒソヒソ話をするような体裁を取っているが、声量は周りにいる者にも伝わる大きさで、というか明らかに近くにいるクラウディアに聞こえるように話している。
「昨日と約束が違う。もっと報酬を寄こせですって?」
「えっ?」
 漏れ聞こえてきたやり取りの内容(実際はカビパンの独り言)にクラウディアは焦る。
 ただの走り屋にすぎない自分の支払える額では足りないというのか。今は頼ることしかできない彼女を、さらに驚愕させるような言葉がカビパンの口から漏れる。

「仕方ないわ……じゃ、私の持っているレプリドール社のデータをメガコーポに渡せばいいわ」
「っ!?」
 他にもデータがあるなんて話は知らない。しかもそれを別のメガコーポに渡すなんて。
 焦燥にかられるクラウディアをよそに、カビパンの話は続く。対面するセフィリカに「独り芝居?」と首を傾げさせながら。
「しかし、偉大なるセフィ姉へ報酬を大幅アップするなら取引って事だからやめておくですって? そうねぇ、セフィ姉が取引するなら私も味方しないとねぇ」
「言葉の端々に私の台詞の捏造を感じるんだけど!」
 この話だけ聞いていれと、セフィリカのほうがワガママを言う悪人に聞こえるだろう。
 これ以上誤解を招かれる前にと抗議するが、当然の如くカビパンはスルーして続ける。

「まぁ、報酬がショボいから好き勝手にやらせてもらいますぜゲヘヘですって?」
「私正義の人から毟ろう的な事言わないよ?! クラウディアちゃんに圧をかけるな!」
 カビパンがクラウディアから大幅な報酬アップを引き出すつもりなのは明白だった。
 しかもヤクザまがいの脅し方の主犯に、友人を仕立て上げるという非道な所業である。
 これにはセフィリカも黙ってはいられないが、残念なことにもう手遅れかもしれない。
『コレが理屈で動くか、セリカのがよく分かってんでしょ』
「シェル姉の声が死んでる……」
 先ほど間近でカビパンの理不尽を経験してきたシェルファに至っては、すっかり気力が抜けている。もう二度とアレの見張り役は御免だという感情がひしひしと伝わってきた。

「私メガコーポ参与だし……好きにしていいよ」
「また適当吹かしてるし……」
 そうこうしてる間にカビパンの一人芝居は締めにかかっていた。メガコーポ側の所属なんて話は少しでも彼女のことを知る人間なら疑うものだが、まだ猟兵達についてよく知らない者の不安を煽るには十分なワードだった。
「ま、待った!!」
 とうとう黙って聞いていられなくなったのか、クラウディアが割り込んでくる。それを見たカビパンはにんまり顔で、セフィリカは「あちゃぁ」と額に手を当てる。このままだと本当に報酬をむしり取られることになってしまいそうだ。

「交渉成立ね。じゃあ迎えを呼んでもらいましょ」
 カビパンはホクホク顔でレプリドール社に連絡を取り、迎えのタクシーを要求しようとしている。が、流石にこれ以上は見過ごせなかったのか、彼女の一人勝ちが面白くなかったのか、ついにセフィリカの堪忍袋の緒が切れる。
「よし。コイツをメガコーポの裏切り者として突き出しとこ」
「え? ちょっとセフィ姉、どうしたの?」
 セフィリカはカビパンの肩をがしっと掴むと、呼ばれてきたタクシーの中に押し込む。
 そして運転手に耳打ち。実はコイツは支離滅裂な言動で社内を混乱させるのが目的だったのだ――とか適当なストーリーをでっちあげて、彼女を連行するように伝える。

(裏切り者の受け入れ対応で向こうの対応力削げるでしょ)
 カビパンならどうあっても送り込んだ先で混乱をもたらしてくれるという、悪い意味の確信がセフィリカにはあった。そんな思惑を知らずにタクシーに乗せられたカビパンは、はてなと呑気に首を傾げている。
「まだ報酬もらってないんだけど……」
「ばーいカビィちゃん、向こうで会おう」
 ばたんとドアが自動で閉まり、走り出していくタクシー。あとに残るのは清々しい笑顔のセフィリカと、展開についていけず困惑するクラウディア。いくら自由を愛するハイウェイスターでも、彼女達の言動はちょっとフリーダム過ぎたようだ。

「よし障害はクリア!」
 なんの憂いもなくなったと言わんばかりの表情で、セフィリカは【蒼剣姫】を発動。
 蒼いオーラを身に纏い、魔剣シェルファを手に携え、空中に魔力壁の足場を展開する。
「じゃあねクラウディアちゃん、データは必ず取り戻してくるから!」
「あ、ああうん、ありがと、頑張って……」
 まだ戸惑っているクラウディアに見送られ、蒼き剣姫は魔力癖に乗って空を蹴り渡る。
 地上を走るよりも遥かに速いスピードで、目的地まで一直線。これなら逃走中の敵に追いつくのも――そして敵地に送られたカビパンと再会するのも、すぐだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォス・オネイロス
【ブラック】

ほんとなら3人で一緒に行きたいところだけど、
ここは、思いを持っていくことで許してもらおう。

【サンダーバード】をアイドリングしたら、
ペルセポネさんに後ろに乗ってもらうね。

と、なんだか乗り方がぎこちない?
ひょっとして、ペルセポネさん、バイク乗るの初めて?

んー……しかたない。

わたしが前に乗ってペルセポネさんに、腰に手を回してもらったら、
その手を縛って、落ちないようにしちゃおう。

これでよし。ちょっと荒いけど我慢してね。

思い切りアクセルを開けて、ウイリーする勢いでスタートを切ったら、
ペルセポネさんの悲鳴も遠くに聞こえるね。

え? パンツ?

そういえば、だっけ。だいじょぶこのスピードなら見えないよ


ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「ご安心下さい、クラウディアさん。
我々ブラックカンパニーとしてもレプリドール社の機密情報は欲しいところです」

改めて【名刺交換】しながら名乗り、機密情報を取り返すと約束しましょう。

「さて、フォスさん。それに乗ればいいのですね?」

バイクというものに乗るのは初めてです。
頑張ってフォスさんのバイクの後ろに乗りますが、ぎこちない私を気遣って、フォスさんが私の両手を縛って!?

「ちょっ、フォスさんっ!?
待っ……!?」

バイクがウィリーをしながら急発進!
スカートが激しく風になびいて……
そこで下着を切り裂かれていたことを思い出します。

「きゃあああっ、スカートが風でめくれてっ……!?
はいてないのにっ!」



「ご安心下さい、クラウディアさん。我々ブラックカンパニーとしてもレプリドール社の機密情報は欲しいところです」
 今回の件で双方の利害は一致しているはずですと、ペルセポネは改めて【名刺交換】をしながら自らの所属を名乗り、機密情報を取り返すと約束する。交渉において嘘や秘密はつきものだが、正直や誠実さも武器になる。彼女が口にしたのは確かに本心であった。
「アンタ達もメガコーポの人間だったのね……でも、助けてもらっちゃったし」
 大企業にあまり良い感情のないクラウディアだが、命を救われて腕も修理してもらった恩がある。少なくとも個人としての彼女達は信用できると、敵意は抱かなかったようだ。

「じゃあ、お願い。アタシも情報を独り占めする気はないからさ」
「ええ、お任せ下さい」
 走り屋とブラック・カンパニーの交渉はスムーズにまとまり、速やかに機密情報を奪還するために動きだす。そのための手段は「TUP-サンダーバード1597」。フォスが所有する大型のタンデムバイクだ。
「ほんとなら3人で一緒に行きたいところだけど、ここは、思いを持っていくことで許してもらおう」
 エンジンのアイドリングを行いながら、フォス自身もクラウディアからの依頼に意欲を示す。本当は彼女自身で追いかけてデータを奪い返したい気持ちもあっただろう。それができない無念も、悔しさも、全部持っていって今日は走ろう。

「頼んだわよ」
「期待には必ずお応えします」
「うん。安心して」
 クラウディアの呼びかけに二人が力強く応えたところで、エンジンの暖気が完了する。
 既に敵にはかなりの距離を稼がれているが、まだ全速力で飛ばせば追いつくのは不可能ではないだろう。
「さて、フォスさん。それに乗ればいいのですね?」
 準備されたバイクの座席後部に、ペルセポネは腰を下ろそうとする。が、バイクというものに乗るのが初めてのため、据わりが悪そうにふらついている。表情ではなるべく平静を装っているものの、ちょっぴり焦りが見えるのは気のせいか。

(と、なんだか乗り方がぎこちない?)
 居心地が悪そうにしているペルセポネを見れば、フォスも様子が変だとすぐに気付く。
 上流階級で生まれ育ったお嬢様が、一般社会での知識や経験に疎いことは知っている。確かに社長令嬢なら普通はバイクより運転手つきの自動車を移動手段に使うだろう。
「ひょっとして、ペルセポネさん、バイク乗るの初めて?」
「ええ、実は……」
 フォスに尋ねられるとペルセポネは素直に事実を認めた。バランスの取りづらい車体、座席から伝わる振動、全てが彼女にとっては未知のもので、見識を広めるという意味ではいい体験かもしれない。が、今は社会勉強ではなく敵を追いかけるのが先決だ。

「んー……しかたない」
 このまま発進すると途中で落ちてしまうかもしれない。取り急ぎの措置としてフォスは座席の前に座ると、荷物から適当に長い紐状のものを探す。ちょうどポータルに接続する際などに使う有線ケーブルがあった。
「ペルセポネさん、わたしの腰に手を回してもらっていい?」
「こうですか?」
 言われるままにペルセポネはフォスの背中に抱きつくようにして手を前に回す。するとフォスはその手にケーブルを巻き付け、痛くはないが簡単には解けないように固く縛る。こうしておけばスピードを出しても振り落とす心配はないだろう。

「えっ、ちょっと、あのっ?!」
 驚いたのは急に両手を縛られたペルセポネの方である。いや、それが落ちるのを防ぐ為の気遣いというのは少し考えれば分かる。分かるのだが少々これは強引すぎはしないか。
「これでよし。ちょっと荒いけど我慢してね」
「ちょっ、フォスさんっ!? 待っ……!?」
 背後からの制止を聞かずにフォスは思いっきりアクセルを開けて、ウィリーする勢いでスタートを切った。重厚なエンジンの咆哮を轟かせて、流線型の車体が風を切る。と同時にペルセポネのスカートが激しく風になびいた。

「きゃあああっ、スカートが風でめくれてっ……!? はいてないのにっ!」
 荒っぽい急発進に悲鳴を上げたペルセポネは、そこで下着を切り裂かれていたことを思い出す。戦闘後に回収しそこねた彼女のパンツは、今ごろ風に流されてサイバーシティの空のどこかを漂っているだろう。
「え? パンツ?」
 ハンドルを握り風を受けるフォスからは、背後のペルセポネの悲鳴も遠くに聞こえる。
 それでも一部の単語は聞き取れたらしく、「そういえば、だっけ」とさっきの戦闘中の事故を思い出すが――それでギアを落とす様子はなく、むしろ逆に速度を上げた。

「だいじょぶこのスピードなら見えないよ」
「そ、そういう問題では……きゃぁっ!?」
 逃げる相手に追いつこうと思うなら、ここで足を止めている暇はない。フォスの判断は理に適っていたが、合理でペルセポネの乙女心は繕えない。突風ではためくスカートの中を、万が一にも誰かに見られてしまったら――想像するだけで顔に血が上る。
「すぐに追いつくから、それまでの辛抱だよ」
「は、はやくお願いします……!」
 縛られているため手でスカートを押さえることもできないペルセポネは、ただただ必死にフォスにしがみつく他ない。業務とは別のところで、彼女のバイク初体験はスリリングな記憶になりそうだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

堂島・アキラ
いいのか?オレの依頼料は高いぜ。その代わり絶対取り返してやるよ。
契約成立、だな。っしゃあ!飛ばすぞオラァ!

オレのバイクに乗ってヤツを追う。コイツの速さはハンパじゃねえ。
だがいくら速くてもただ走ってるだけで追いつけるほど甘くはねえよな。
となれば近道するしかねえな。コーポのビルに先回りするぜ。

どけどけー!はね飛ばされたくなかったら前を空けな!
歩道を走り裏路地を抜けフェンスを乗り越え壁をぶっ壊しオフィスのフロアを通り抜け窓から大ジャンプ!ってなもんよ。
道路走るだけが最短距離とは限らねえ。道ってのは自分で作り出すもんだ!

無茶した甲斐あって先回り成功だな。
ここは通行止めだぜ。通りたかったらオレを倒しな。



「いいのか? オレの依頼料は高いぜ。その代わり絶対取り返してやるよ」
 報酬は出す、と言ったクラウディアに、アキラは改めて念押しするように問いかける。
 相手にそう言われてタダでやるほど傭兵は博愛精神あふれる稼業ではない。本気のほどを聞こうとする彼に、その相手は迷いなく言い切った。
「足りなきゃ腕でも足でも売って工面してやるわよ。だから、追って!」
「契約成立、だな。っしゃあ! 飛ばすぞオラァ!」
 その言葉が聞きたかったとばかりに、アキラは痛快な笑みを見せてバイクに飛び乗る。
 老舗メーカーツルギ社製、ハイスピードバイク『EDGE -HABAKIRI-』。究極の速さを追い求めた"走る機能美"が、エンジンより爆音を轟かせた。

「愛してるぜベイビー! どこまでも突っ走ってやろうぜ!」
 初っ端からアクセル全開でかっ飛ばし、風を切り裂いてハイウェイを疾走するアキラ。
 謳い文句に違わぬバイクの性能もさることながら、そのスピードを制御できている彼の運転技術も並ではない。これぞ【サイバーザナドゥ最速伝説】だ。
(コイツの速さはハンパじゃねえ。だがいくら速くてもただ走ってるだけで追いつけるほど甘くはねえよな)
 しかしアキラは速さに浮かれず冷静でもあった。敵にはとっくに先行されている以上、同じルートを辿ったところで、ゴールに到達するのはあちらが早いだろう。ヨーイドンで始まる速さ比べなら負ける気はないが、今回のチェイスはそれとは勝手が違う。

「となれば近道するしかねえな」
 敵の行き先は分かっているのだ。アキラはレプリドール社のビルに先回りするために、ハンドルを切ってハイウェイを飛び出した。公道を進むだけの"お行儀のいい"走りだけが傭兵の追跡術ではない。
「どけどけー! はね飛ばされたくなかったら前を空けな!」
「ひえっ?!」「うひゃぁ!」「あ、危ねえだろっ!!」
 歩道を走り、路地裏を抜け、フェンスを乗り越え、壁をぶっ壊し、オフィスのフロアを通り抜け、しまいに窓から大ジャンプ。交通法無視なんてレベルじゃないメチャクチャな走りに、通行人から悲鳴と怒号が飛ぶが、彼はそんなもの意にも介さない。

「道路走るだけが最短距離とは限らねえ。道ってのは自分で作り出すもんだ!」
 普通に走っていた時よりもキレッキレの表情で、道なき道を突き進むアキラ。これだけ無茶な運転をされて、壊れないバイクも大したものだ。途中で何度も激突しているのに、ユーベルコードの作用により車体と乗り手には傷ひとつない。
「よっと! 無茶した甲斐あって先回り成功だな」
 豪快かつ傍迷惑な強行突破を経て、アキラのバイクは再びハイウェイまで戻ってくる。
 目的地であるメガコーポのビルはもう目前。普通に走るよりもかなり道中の経路を短縮できた。振り返ってみれば後方から、レプリドールを乗せた銀色のバイクが走ってくる。

「ここは通行止めだぜ。通りたかったらオレを倒しな」
「……!」
 凶暴な笑みを浮かべて立ちはだかるアキラに気付き、敵の表情が強張るのが分かった。
 あくまでメガコーポへの帰還を優先してすり抜けを図るのか、それとも障害を物理的に排除するのか――いずれにせよここまで距離が迫れば、一戦交えるのは避けられまい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高岩・凛
【アドリブ歓迎】
ったく面倒くせぇな……誰が追いかけっこなんかするかよ、要はとっ捕まえりゃいいんだろ?
[ハザードライバー・リゲイン]と[オーバードシフター]でレボルハザード(選択ICの姿)になり、重力やら慣性やらをぶっちぎって高速道路のルートをそもそも無視する。
なにも馬鹿正直に道路の上を行かなくったっていいんだ、車の屋根だの看板だの柱だのビルの外壁だのを足場に使って「最短経路」で目標に先回りして止める。ついでに腹いせで一発ぶん殴ってやる。

俺がお前のケツを追っかけるんじゃねえんだよ。お前が俺のいる所に来んだよ。



「ったく面倒くせぇな……誰が追いかけっこなんかするかよ、要はとっ捕まえりゃいいんだろ?」
 逃げる敵と素直にハイウェイチェイスに興じる趣味を、凛は持ち合わせていなかった。
 腰のドライバーに「オーバードシフター」を装着し、義肢融合形態「レボルハザード」にモードチェンジ。リゲイン時と比較してより細身かつ異形的なフォルムに変わる。
「俺に限界なんか無えんだよ……超えてやるよ! 全部!」
《Overlimit! Warning! Warning!!》
 義肢の機構と完全に一体となった彼女は、物理法則すら改変する異能力を手に入れる。
 ベルトから響く警告音にも構わず、アスファルトの大地を一蹴り。その身はロケットに点火したような異常なスピードで走りだした。

「なにも馬鹿正直に道路の上を行かなくったっていいんだ」
 【過速する最適化】を発動した凛は、重力の楔も慣性の抑止も無視したあり得ざる身体能力と機動性を実現する。例えるならばそう、サイバースペースにおけるアバターの挙動に近いか。現実改変というチートツールが、法則に定められた世界を嘲笑う。
「これが俺の『最短経路』だ」
 加速を続けながらガードレールを破ってハイウェイを飛び出した彼女は、まさに理論上の最短ルートを一直線に駆ける。人が作った道などに囚われる必要はない。車両の屋根、看板やネオン、街路の柱、ビルの外壁――全てが足場であり道となる。

「俺がお前のケツを追っかけるんじゃねえんだよ。お前が俺のいる所に来んだよ」
 呟いた言葉は逃走中の敵に対するものか。凛はハナから追いつくつもりはない、先回りして進路を塞ぐつもりなのだ。具体的にどの辺りを走っているかは分からずとも、最終的にどこへ向かうかは分かっている。だったら何も問題はない。
「レプリドール社のビルってのはあれか」
 前方にそびえ立つ巨大建造物を確認すると、彼女は周囲に視線を巡らせ、敵を探した。
 ブロンドヘアのレプリカントを乗せた、銀色のバイク――いた。腰に刀を差したそいつを目掛けて、稲妻の如き速さで駆けていく。今の彼女なら浮雲すら足場にするだろう。

「よぉ、まずは一発ぶん殴らせろ」
 出会い頭に拳骨一発。加速に次ぐ加速で勢いを増した凛の拳は、唸りながら目標に振り下ろされる。レプリカントの少女は咄嗟にバイクのハンドルを切るが、避けきれなかったその一撃は車体を掠め、ハイウェイの路面に突き刺さった。
「……ッ!?」
 爆弾でも落ちてきたかのようにアスファルトが爆ぜ、衝撃と爆音が突風を巻き起こす。
 本人にとってみれば、コレはほんの「腹いせ」だ。直撃は避けられたが速度は落ちた。もう逃がしはしねえぞと殺意を眼光に込めて、凛は敵を睨みつけるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
剣の腕前が凄いとあっちゃあ会わなきゃいけないね
機能停止させたアンパッサンを任せて追撃に出るぜ

漆式で紅狐様を召喚
ハイウェイに顕現した重ね鳥居から現れるのだ
騎乗してダッシュで爆走さ
紅狐様、明日は筋肉痛だがプロテイン入り油揚げ御供えするから今は頑張ってと鼓舞するよ

相手も邪魔はしてくるだろうから、走路上に撒かれた危険物はアークウィンドを振るって起こした風の衝撃波で蹴散らす
ダンプカーでも突っ込んできたらジャンプだ紅狐様!屋根に着地してもっかい跳んで切り抜けるよ

レプリドールが見えてきたら、散乱する飛来物は紅狐様の爪で薙ぎ払ってもらいアタシは一球入魂!
カウントダウンを投擲して道路を壊して敵の退路を断ち切るぜ



「剣の腕前が凄いとあっちゃあ会わなきゃいけないね」
 さっき戦った『アンパッサン』の剣技もそれなりだったが、上位機種の実力はそれ以上らしい。剣豪の1人として是非とも手合わせ願いたいと、興味を持った燦は追撃に出る。
「この子らのことは任せた」
「え、ええ。いや任せたって言われても……」
 機能停止させたレプリドール達のことは、とりあえず道端に寄せて見ておいてもらう。
 流石に勝手に持っていくようなヤツはいないと思うが、一応だ。追いかけっこに連れて行くわけにもいくまい。

「御狐・燦の狐火をもって贄となせ。紅蓮の鳥居潜りて、おいでませ紅狐様!」
 燦が【フォックスファイア・漆式】を唱えると、狐火でできた重ね鳥居がハイウェイに顕現し、その中から荒ぶる紅蓮の狐が現れる。バイクなんてものは持ってないが、代わりにこの紅狐様が彼女の足だ。
「それじゃよろしく!」
 燦がひらりと背に飛び乗ると、紅狐は一声鳴いて、猛烈なダッシュで道路を爆走する。
 その速さは機械仕掛けの馬にも劣るまい。撒き散らす劫火の粉が、かの者の歩んだ道を赤々と照らした。

(相手も邪魔はしてくるだろうな)
 これが簡単な追いかけっこになるとは燦も考えていない。追跡されていると知った時点で敵も何らかの妨害を仕掛けてくるだろう。そう思った矢先に前方に立ち塞がったのは、路上に落下した交通標識の看板だった。
「危ねっ!」
 燦は「アークウィンド」を振るって風の衝撃波を起こし、走路上の障害物を蹴散らす。
 吹き飛んだ看板をよく目を凝らして見れば、何かの刃物で「斬られた」と思しき、異様に鋭い断面があった。追跡者を足止めするために敵が撒いたものと見て間違いあるまい。

「確かにいい腕前みたいだ……って!」
 一息つく間もなく、今度は対向車線からデカいダンプカーがこちらの車線に乗り上げて突っ込んでくる。恐らくはレプリドール社の息がかかったものだろう。奪われたデータを回収するために、企業も手段を選んでいる余裕はないようだ。
「ジャンプだ紅狐様!」
 燦の指示に従って紅狐はひょうと跳躍。ダンプの突撃を躱しながらその屋根に着地し、もう一度跳んで車両の後ろ側に着地。デカブツがUターンしてまた突っ込んでくる前に、スピードを上げてその場を切り抜けた。

「紅狐様、明日は筋肉痛だがプロテイン入り油揚げ御供えするから今は頑張って」
 ここまででも紅狐にかかる負担はかなりのものだが、まだお休み頂く訳にはいかない。
 息を荒げていた紅狐は燦の鼓舞で気合を取り戻し、一目散にハイウェイを走り続ける。
「よし、見えてきた」
「……っ」
 紅狐の全力疾走の甲斐はあり、とうとう前方に目標のレプリドールの姿が見えてくる。
 追いつかれたと気付いた相手はバイクを操縦したまま片手で抜刀。目にも留まらぬ剣速で周囲の物を切り裂き、即席の障害物を作り出した。

「その程度、紅狐様の爪にかかれば!」
 劫火を纏った紅蓮の爪が、散乱する飛来物をなぎ払う。速度を落とさぬ紅狐の鞍上で、燦は箱型時限爆弾「カウントダウン」を取り出し――野球のピッチャーのフォームのように、大きく振りかぶって投げつける。
「一球入魂!」
「―――!!」
 投擲された爆弾はレプリドールの頭上を飛び越えて、ハイウェイに着弾、そして爆発。
 道路を破壊して敵の退路を断ち切るのが、彼女の狙いだった。思惑通り、爆発した路面はアスファルトがめくれ上がり、とてもバイクで走行できる道ではなくなる。

「……しつこいですね」
 金髪のレプリドールは無表情のまま微かに眉をひそめ、別ルートに迂回しようとする。
 逃がすものかと追走する燦と紅狐。彼我の距離はあと僅かなところまで狭まっており、本格的な交戦になるのは時間の問題だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
ロシナンテⅡの機動力は宇宙バイク並み
ここで使わぬ道理はありませんね

…四つ足で装輪に劣らぬ速度を、と宇宙バイクメーカーに特注した際は電子頭脳の検査を勧められましたが…

さて、ネットから地理データは所得済み
後はどう追い付くかですが…

前方の下り坂カーブ付近の立体交差
あそこに飛び降り瞬時に機械馬のスラスターを全開して跳躍すればショートカットが可能
そしてあの空中で開く目標との射線では、路面を傷つけ後続車を巻き込む恐れも無い…

彼我及び周辺車両の速度計測は完了
空に身を躍らせつつ、馬上槍を怪力で投擲
例え命中せずとも回避行動で速度を落として頂きます

追跡コースに戻れば壁面に突き立つランスを回収
さあ、背は捉えましたよ



「ロシナンテⅡの機動力は宇宙バイク並み。ここで使わぬ道理はありませんね」
 追跡戦においてトリテレイアが頼みとするのは、スペースシップで開発された機械白馬「ロシナンテⅡ」。これまでに数多の戦場を騎士と共に駆けてきた、歴戦の愛馬である。
「……四つ足で装輪に劣らぬ速度を、と宇宙バイクメーカーに特注した際は電子頭脳の検査を勧められましたが……」
 結果的に、その無茶なリクエストに違わない性能の代物が出来上がってきたのだから、スペースシップワールドの技術力は大したものだ。さっと跨り手綱を握れば、鋼鉄の蹄がアスファルトを蹴った。

「さて、ネットから地理データは所得済み。後はどう追い付くかですが……」
 GPS要らずの電子頭脳のスペックを活かし、追跡ルートの策定にかかるトリテレイア。
 その脳内に浮かび上がるマップ上には、現在の自分の位置からレプリドール社のビルまでの距離、そしてその間を逃走中の敵の予測位置までが表示されている。
(前方の下り坂カーブ付近の立体交差。あそこに飛び降り瞬時に機械馬のスラスターを全開して跳躍すればショートカットが可能)
 通常の車両では決してできない経路も、ロシナンテⅡの性能なら可能である。常識外れのルートを行く利点は距離短縮だけではなく、追われる相手の意表をつく意図もあった。

(そしてあの空中で開く目標との射線では、路面を傷つけ後続車を巻き込む恐れも無い……)
 ここは一般の車両も利用するハイウェイである。追跡戦にかまけて周囲に被害を出し、事故を誘発するような真似は極力避けたい。入念かつ迅速に演算を行い、トリテレイアは追跡プランを導き出す。
(彼我及び周辺車両の速度計測は完了)
 スラスターを起動して加速。コンマ1秒のズレもない完璧なタイミングで、騎士は白馬と共に空に身を躍らせる。彼が飛び降りた立体交差の下では、機密情報を本社に持ち帰らんとするレプリドールが、まさにそこを通り抜けようとする瞬間だった。

「………!」
 ふいに頭上にかかった影に、レプリドールが空を見上げれば、それは雲ではなく騎士と白馬の体躯が落としたもの。驚く人形と冷静なる機械の視線が地上と空中で絡み合い――刹那、トリテレイアは手にしていた馬上槍を投擲した。
「例え命中せずとも、回避行動で速度を落として頂きます」
 ウォーマシンの怪力で投げつけられた槍は、巨大な弩の矢のように標的に襲いかかり。
 レプリドールは咄嗟の判断でハンドルを真逆に切り返すと、辛くも直撃を回避したが、騎士の想定通り無茶な機動は速度を大幅に減じさせることとなる。

「さあ、背は捉えましたよ」
 トリテレイアはそのまま追跡コースに戻ると、壁面に突き立つランスを回収して敵騎の背後につける。敵も懸命にアクセルを開けて速度を上げようとするが、鋼鉄の白馬は振り切れない。全ては【鋼の擬似天眼】により見通したままの展開だ。
「……いけませんね」
 レプリドールは脳内で瞬時に計算を行い、このまま本社への帰還は困難だと判断する。
 背後からの馬蹄の音は着実に近付いている。その槍と剣が交えられる時は、遠くない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

フッ…もとより、それが仕事だ
しかし、そうまで言われたら気合も入るな

UCを発動
呼び出したドローン達を合体し大型の四輪駆動車へと変形し乗り込む
この車は武装こそないが強力なエンジンに頑丈な車体、高性能のレーダーセンサー、車体各部にはブースターを搭載しているうえに、エアレスタイヤでパンクの心配もない
最高速度でハイウェイを駆け抜ける
さぁ、追いかけっこを始めようか


フン、邪魔者が出てきたか
予想通りだな

進路を妨害する車両が出てきてもルートは変えず
頑丈で巨大な車体を利用して敵車両を吹き飛ばし、道を切り開いていく
武装を無くす代わりに、車体のスピードや頑丈さを特に強化している
例えお前達のボスであっても、易々とは破壊できんさ

とは言え、相手をしてたらパーティーに遅れそうだ
近道を使わせてもらおう

レーダーセンサーを駆使して周囲の道路に一般車がいない事を確認したら車体に搭載したブースターでジャンプ
上部や下部のハイウェイへと移動し、ショートカットを行う

追いかけっこも終盤か
パーティー会場まで、あと少しだな



「フッ……もとより、それが仕事だ。しかし、そうまで言われたら気合も入るな」
 機密情報の奪還を求めるクラウディアの依頼に、キリカは迷うことなく笑顔で頷いた。
 強大なるメガコーポの一角にに単独で一矢報いてみせた、勇気ある女性からの願いだ。これを断るのは猟兵の名が廃るというものだろう。
「『猟兵』より『猟犬』に告ぐ、速やかに追跡を開始せよ」
 キリカは123機のカスタムドローン【シアン・ド・シャッス】を呼び出すと、それらを合体融合させる。目的や戦場に応じた様々なマシンに姿を変えることで、あらゆる条件下における作戦行動をサポートする、それが『猟犬』の名を与えられた彼らの役割だ。

「では、行ってくる」
「ええ、気をつけて」
 大型の四輪駆動車に変形した「シアン・ド・シャッス」に乗り込んだキリカは、クラウディアに見送られて追跡を開始する。この車両は武装こそないが強力なエンジンに頑丈な車体、高性能のレーダーセンサーや各部ブースターまで搭載したハイテク機体である。
「さぁ、追いかけっこを始めようか」
 パンク知らずのエアレスタイヤでアスファルトを踏みしめ、キリカを乗せた車両は最高速度でハイウェイを駆け抜ける。単純なマシンスペックでこれを凌駕するものはほとんどあるまい。いかに先行されていても追いかけっこでは分があるはずだが――。

「フン、邪魔者が出てきたか」
 前方を走る銀色のバイクが見えるか見えないかの辺りで、対向車線から別の車両が飛び出してくる。追跡を妨害するために差し向けられた、レプリドール社の息がかかった者に違いないだろう。
「予想通りだな」
 進路を塞がれてもキリカはルートを変えず、逆にアクセルを踏んでスピードを上げた。
 車体の頑丈さと巨大さを活かしてブルドーザーのように敵の車両を吹き飛ばし、強引に進路を切り開く。激しい衝突と破壊の騒音がハイウェイに響き渡った。

「武装を無くす代わりに、車体のスピードや頑丈さを特に強化している。例えお前達のボスであっても、易々とは破壊できんさ」
 立ちはだかる妨害車両をことごとく押しのけて突き進む様は、さながら重戦車の如し。
 これほど無茶な運転をしてもキリカの車両には傷ひとつなく、退けられた敵は慌てて追いかけようとするが、どんなに走っても影を踏むことさえできない。
「な、なんてヤツだ……!」
 妨害車両は続々とキリカの前に姿を現すが、そのいずれも僅かな足止めのみに終わる。
 ポニーとサラブレッドほどに違うスペックの差に、敵の運転手は思わず悪態を吐いた。

「とは言え、相手をしてたらパーティーに遅れそうだ」
 大したことはないがしつこい妨害を振り払いながら、キリカはレーダーセンサーを駆使して索敵を行う。そして周囲の道路に一般車両がいないことが確認できれば、車体に搭載されたブースターを起動。
「近道を使わせてもらおう」
「なッ!?」
 巨大な四輪駆動車がブースターの出力で大ジャンプ。仰天する邪魔者達の頭上を飛び越えて、立体交差上のハイウェイへと飛び移る。まさに常識外れのショートカット手段に、それ以上妨害をかけられる連中はいなかった。

「追いかけっこも終盤か。パーティー会場まで、あと少しだな」
 フッと笑みを浮かべながら車を走らせ続けるキリカの前方には、レプリドール社のビルと銀色のバイク。この距離なら敵がゴールに着くよりも、こちらが追いつくほうが早い。
 チェイスの本番はここからだ――唸りを上げるエンジンの音と、静かに昂ぶる闘志は、彼女が既に臨戦態勢であることを伝えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『変幻剣姫』プロモーション』

POW   :    死閃斬光
【縮地法】で敵の間合いに踏み込み、【居合抜刀】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
SPD   :    剣閃軌跡
速度マッハ5.0以上の【居合切り】で攻撃する。軌跡にはしばらく【自身の意思で変形する液体金属の剣筋】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
WIZ   :    万斬報刀
【液体金属の刀「自在刀」】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、液体金属の刀「自在刀」から何度でも発動できる。

イラスト:PORI

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……想定外の事態です」

 愚かな盗人から機密を取り返し、後は本社に帰還するだけのはずだった、レプリドール『変幻剣姫』プロモーション。彼女の帰還予定時刻は、既に大幅な遅れをきたしていた。
 それは想定になかった追跡者――猟兵達の妨害によるものだ。時間的には大きく先行していたはずなのに、今や互いの車間距離は剣を交えられるほどに縮まっている。

「当機は、回収した資料をレプリドール社に持ち帰らなければなりません。貴方達に恨みはありませんが、妨害を続けるのであれば排除します」

 機械的で淡々とした口調で、プロモーションは警告を発した。
 同時に刀の柄に添えられる手。運転中であっても体幹にブレはなく、鋭い殺気が鞘の内から伝わってくる。

「我が社の権益を害する者は、全てこの刀をもって斬り捨てます」

 レプリドール社が開発した特別機体の性能は、量産型の『アンパッサン』を凌駕する。
 彼女は足を止めずに、バイクを操縦しながら戦うつもりのようだ。あくまで優先するのは機密情報を無事に本社へと持ち帰ることらしい。

 プロモーションに振り切られないには、猟兵達も走行しながら戦わなければならない。
 既にレプリドール社のビルまであと少しの距離まで来ている。それまで逃げ切れるか、あるいは撃破できるか――お互いにここが正念場になる。

「レプリドール社製『変幻剣姫』プロモーション。参ります」

 ハイウェイを舞台に加熱したチェイスは、いよいよクライマックスを迎える。
 迎え撃つは自在刀振るう人形の剣姫。機密を掴むために猟兵達は戦闘態勢を取る。
セフィリカ・ランブレイ
カビィちゃん(f24111)、ベルちゃん(f35149)と

※魔力で出来た壁を蹴って空中を高速移動し追撃中

カビィちゃんを思わず売り飛ばしたけど……
いくら理不尽と不条理が服着て歩いてる奴でも友達を売るのはやり過ぎた
今度会った時は優しくするか……
考えてるうちに追いついた!

操縦の技量も、武器の構え方一つとっても油断ならない相手なのがわかる
これはシリアスになるべき時が来たね。行こうシェル姉!
『悪くない相手ね』

何度か打ちあい理解する
同じような技を有している

なら技比べ

【神薙ノ導・檻神】
刃の軌跡全てが武器になる、私の切り札で勝負!

の筈が
何故そこから声が!?
撮影!?今シリアスにバトってる所だよ!

(プロモーションも大人しく聞いてる…?
メガコーポ所属ハッタリが利いてるの…?)

そも何で無事なの?
え?ベルちゃんを身代わりに?
妹を身代わりなんて私もドン引きの下衆行為だよ!
ああもう!
何が何でもここを突破して助けに行かなきゃならなくなったじゃん!!

『あの女の身内ならどうとでもしそうだけどね』

私も若干そう思ってる所はある


カビパン・カピパン
「そこまでだっ、貴様等ッ!」
セフィリカとプロモーションが対峙する絶妙な場面で凛とした声が響く。
――プロモーションの背中に張り付いていたカビパン紋章からその声は聞こえていた。
「タクシーで突き出せたかと思った?すり替えておいたのよ!!」

「これから我がメガコーポ社のプロモーションビデオを撮影する」
「…プロモーション!そんな位置から映ってどうするの!さっきの場面もカメラに近すぎよ、自分が主役だと思ってるの?」
「す、すみませんカビパン参与」
「セフィ姉ももうちょっとカメラアングルを意識して!」

戦場とは違う緊張感が彼女たちを襲う。プロモーションも撮影開始と同時に違う意味での真剣な表情となり身が締まっていた。


ベルリーナ・シリアス
その頃、すり替えられた不幸な人はと言うと…

「なによこれ!!」
メガコーポの取り調べ室でつんざくような悲鳴が響く。

「DAKARA!私はカビパンじゃありません!!」
「まぁまぁ。ポカリでも飲んで落ち着いて吐きなさい」
「DAKARA!私はDAKARAが飲みたいの!!」
「スポーツ飲料水なんて、何飲んでも同じだって」

意味不明な飲み物議論をしていた。

「そもそも、家族を身代わりに突き出す姉ってなによ!ていうか、メガコーポ参与って何?企業で役職あるなら家にいくらか入れろっつーの!プロモーションビデオなんてそもそも何に使うの!!!」

感嘆符を連発しながら叫びまくるベルリーナ。次元を無視したツッコミが本領発揮していた。



(カビィちゃんを思わず売り飛ばしたけど……いくら理不尽と不条理が服着て歩いてる奴でも友達を売るのはやり過ぎた)
 魔力でできた壁を蹴って、空中を高速移動し敵を追撃する最中、セフィリカはそんな事を考えていた。あの時はつい勢いでやってスッキリもしたが、流石にそこまでする必要も無かったような気がする。
「今度会った時は優しくするか……と、追いついた!」
 考えている内に前方に見えたのは、刀を携えてバイクに跨るレプリドールの姿。高度を下げて交戦距離に入ると、向こうも此方に気付いたらしく、鋭い視線と刃を向けてきた。

(操縦の技量も、武器の構え方一つとっても油断ならない相手なのがわかる)
 ひしひしと感じる強敵の気配に、思わず武者震いをするセフィリカ。走りながらの戦闘ではあちらが不利に見えるが、恐らくその程度は問題にしないだろう。気を抜いた瞬間に一刀両断される、そういう手合いだ。
「これはシリアスになるべき時が来たね。行こうシェル姉!」
『悪くない相手ね』
 真面目に相手ができそうな敵の出現に、シェルファの気力も戻ったらしい。蒼く煌めく魔剣を抜き放ち、空駆ける剣士は人形に斬りかかる。それに反応した相手も、ほぼ同時に刀を振るった。

「お手合わせ願おうか!」
「迎撃します」
 気迫を込めて魔剣を振るうセフィリカと、無機質に淡々と刀で受けるプロモーション。
 対極的に見えるふたりの少女剣士は、足を止めぬまま激しく切り結ぶ。刃と刃が奏でる金属音と、飛び散る火花がハイウェイを彩る。
(なるほどね。やっぱり強い)
 種族も生まれも太刀筋も何もかも異なっても、何度か打ち合えば理解することもある。
 それは表面的な強さだけではなくより深遠な――恐らく、彼女は自分と同じような技を有しているとセフィリカは悟った。

「なら技比べ」
 敵がまだ見せていない強さの底を覗くため、セフィリカは敢えて先んじて手札を切る。
 【神薙ノ導・檻神】の構え。身体から溢れだす魔力が髪を蒼く染め、疾走のスピードがさらに上がる。相手もそれに追随すべくバイクのギアを上げるが、このユーベルコードは単に加速するだけの技ではない。
(刃の軌跡全てが武器になる、私の切り札で勝負!)
 この構えから放つ攻撃の軌跡は空間に残留し、無限に繰り返される斬撃の放射となる。
 捌き切ることなど許さない刃の檻が、敵を無尽に切り刻む。まさに奥義と呼べる技だ。

「……ならば、当機も」
 打ち合いから相手の技量を推し量っていたのは、プロモーションも同じだったらしい。
 檻神の構えを見るや、刀を鞘に納めて居合切りの構えを取る。液体金属で作られた彼女の「自在刀」による【剣閃軌跡】は、攻撃後もしばらく剣筋が残留し追撃や足場になる。それは奇しくもセフィリカの切り札に近い性質を持っていた。
(……来る!)
 同種の技同士の打ち合い、雌雄を決するのは手数と速度になる。果たして自分の剣戟は敵の居合を上回れるのか――既に賽は投げられた。後はただ全身全霊を剣に込めるのみ。


『そこまでだっ、貴様等ッ!』


 そんな双方の緊迫感が最高潮に達した絶妙な場面で、ふいに誰かの凛とした声が響く。
 セフィリカにとっては聞き覚えのあるその声は、プロモーションの背中から――いつの間にか張り付いていた『カビパン紋章』から聞こえてきていた。
「何故そこから声が!?」
「タクシーで突き出せたかと思った? すり替えておいたのよ!!」
 どうも追い払えたと思っていたカビパンは替え玉で、本人(というか本体の紋章)は、ずっとセフィリカ達を追ってきていたらしい。シリアスの時間は終了、ここからは自分のターンだとばかりに、【ハリセンで叩かずにはいられない女】はぺらぺらと喋りだした。

「これから我がメガコーポのプロモーションビデオを撮影する」
「撮影!? 今シリアスにバトってる所だよ!」
 せっかく切り札まで使って本気で勝負するつもりだったのに、水を差されたセフィリカは当然ながら不満顔。しかし【ハリセンで叩かずにはいられない女】のペースに一度持ち込まれてしまえば、ギャグに汚染される戦場を止める術はなかった。
「……プロモーション! そんな位置から映ってどうするの! さっきの場面もカメラに近すぎよ、自分が主役だと思ってるの?」
「……はい。すみませんカビパン参与」
 その理不尽なノリは味方だけでなく敵側にも及び、急に知りもしない撮影のダメ出しがプロモーションに浴びせられる。ところで急にプロモーションビデオの撮影なんて言い出したのは、ひょっとして人形の名前の「プロモーション」とかけたギャグなのだろうか。

(プロモーションも大人しく聞いてる……? メガコーポ所属ハッタリが利いてるの……?)
 戦闘用として開発され、不必要な機能をオミットされたレプリドールは、目上とされる人物に反抗する意思もインプットされていないのだろうか。普通の人間なら妄言だと断定して斬り捨てるものを、真面目に耳を傾けているのがセフィリカには予想外だった。
「そも何で無事なの?」
「ベルを身代わりにしたのよ」
 そもそもの疑問、メガコーポの裏切り者として連行されたはずのカビパンがどうやってピンチを切り抜けたのか。その答えを彼女はあっけらかんと口にする。さっき言っていた「すり替えておいたのよ!」とは、つまり身内を犠牲にするということであった。


「なによこれ!!」
 その頃、カビパンにすり替えられた不幸な「ベル」こと、ベルリーナ・シリアス(はただのツッコミ一般人・f35149)はと言うと、メガコーポの取り調べ室にいた。訳も分からぬままヤバそうな場所に連れてこられた彼女は、つんざくような悲鳴を上げる。
「DAKARA! 私はカビパンじゃありません!!」
「まぁまぁ。ポカリでも飲んで落ち着いて吐きなさい」
「DAKARA! 私はDAKARAが飲みたいの!!」
「スポーツ飲料水なんて、何飲んでも同じだって」
「違うわよ!」
 ――と、尋問役らしいメガコーポの社員と、なんか意味不明な飲み物議論をしている。
 思ったより肝が据わっているというか、常識人な彼女も「あの」カビパンの妹である。
 相手が何者か分かっていないのが逆に恐れ知らずに繋がり、元気に騒ぎまくっていた。


「え? ベルちゃんを身代わりに? 妹を身代わりなんて私もドン引きの下衆行為だよ!」
 そうとは知らないセフィリカは、血も涙もないカビパンの所業に怒り、ベルリーナの安否を真面目に心配していた。相手はこの世界を牛耳る悪の大企業の一角である。戦闘力的には一般人レベルのあの子が、そんな所に連れて行かれてどうなってしまうのか。
「ああもう! 何が何でもここを突破して助けに行かなきゃならなくなったじゃん!!」
 見ようによってはこれまで以上に真剣かつ緊迫感のある展開になった訳だが、この場合最大の障害がさっきまで戦っていたプロモーションではなく、味方のはずのカビパンになるわけだが――そろそろ彼女を味方にカウントするのは止めたほうがいいかもしれない。

『あの女の身内ならどうとでもしそうだけどね』
「私も若干そう思ってる所はある」
 一方でシリアスが崩壊しても身代わりの話を聞いても、シェルファは淡々としている。
 カビパンのカオスさを間近で味わったことで耐性が強まったのかもしれない。そして、その可能性はセフィリカも否定しきれない所ではあった。

「セフィ姉ももうちょっとカメラアングルを意識して!」
「いや、だからこっちはそんな暇ないんだけど!」
 そんな話をしていたらカビパンの矛先がこっちを向いた。相変わらずどこから来るのか分からない熱意で撮影を主導し、メガホン代わりのハリセンをバシバシとしばきまくる。
「カビパン参与、次の指示を」
 プロモーションのほうは完全にこのペースに呑まれてしまったらしく、戦闘中とは別の意味での真剣な表情で、身を引き締めて撮影に臨んでいる。とにかく彼女が飽きるまで、この場を乗り切らなければ先に進めない――戦場とは違う緊張感が彼女らを襲っていた。


「そもそも、家族を身代わりに突き出す姉ってなによ! ていうか、メガコーポ参与って何? 企業で役職あるなら家にいくらか入れろっつーの!」
 所かわってメガコーポの取り調べ室では、ベルリーナが感嘆符を連発して叫びまくる。
 外の様子やカビパンが何をしているのかなんて彼女には分かるはずがないのに、何故かリアルタイムで的確なツッコミ。これも姉妹の絆と【ツッコミせざるを得ない哀しき女】の性だろうか。
「プロモーションビデオなんてそもそも何に使うの!!!」
「い、いったい何の話をしてるだ?」
 ツッコミ役としての本領発揮し、次元を無視したツッコミの嵐を降らせるベルリーナ。
 ただ残念なことにそれは一番伝えたいカビパンの元には届かず、その場に居た社員達を困惑させるばかりだったのだが。


「はい、それじゃテイク10!」
「いい加減満足してくれない?」
「当機もそろそろ帰還時間です」
 こうして裏でも表でもハチャメチャなままプロモーションビデオ撮影は進み、敵味方ともに貴重な時間をカビパンに浪費させられる羽目になった。なお、完成した映像の出来がどうだったのかは――敢えてノーコメントということにしておく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クレア・ノーススター
「流石に、連れて帰るつもりはないか」

当たり前である
本社まで連れて帰れば保安要員くらいいるだろうが、リスクはリスク。ここで倒していくのがベストと考えるだろう

「…そろそろ買い替え時かな。でもこんな仕事だし、あんまり手間のかかる車はなぁ」

だいぶ距離を詰めることができた
ヤーガもまだ動く、今の内に一発でも多く当てなければ
途中からクラクションを鳴らしたりパッシングをしたりしてこちらに意識を向ける。その合間も銃撃を続ける
後ろから当てるか壁に向けて幅寄せしたい。勿論途中の出口から逃げられないように注意しつつ

銃撃はもちろん手足をまずは狙う
身動きを取りにくくすれば銃弾は当てやすい

「こんなになってもまだ動くんだ?」



「流石に、連れて帰るつもりはないか」
 追ってくる猟兵達をみて戦闘態勢を取ったプロモーションを見て、それも当たり前かとクレアは呟いた。本社まで連れて帰れば保安要員くらいいるだろうが、リスクはリスク。ここで倒していくのがベストと考えたのだろう。
「……危険因子を社に持ち込む訳にはいきません」
 片手でハンドルを握ったまま、それは器用に居合の構えを取る。判断に違わぬだけの力が彼女にあるのも事実だろう――しかし、戦う気があるのはこちらにとっても好都合だ。

「……そろそろ買い替え時かな。でもこんな仕事だし、あんまり手間のかかる車はなぁ」
 おんぼろな愛車をどうにか乗りこなして、ここまでやって来たクレア。だいぶ距離を詰めることはできたし、"ヤーガ"もまだ動く。今が相手を止める最後のチャンスだろう。
(今の内に一発でも多く当てないと)
 彼女は引き続き銃撃を行いながら、クラクションを鳴らしたりパッシングをしたりして注意をこちらに向けさせようとする。傍目から見ればかなり悪質な煽り運転である、敵もスルーしてはいられないだろう。

「斬り捨てます」
 小刻みな左右移動で銃撃を躱しながら、プロモーションは超音速の居合い切りを放つ。
 本来は銃と刀では間合いの差が全然違う。しかし彼女の「自在刀」による斬撃は攻撃後に液体金属の剣筋を残す。標的の走行経路にそれを"置いて"おけば厄介な追撃となる。
「なるほどね。そう来るんだ」
 空中に残留する【剣閃軌跡】を、クレアは巧みなハンドルさばきで回避する。なかなか面白い技だが、この程度でハイウェイスターを止められると思ったら大間違いだ。彼女の周囲には【フリーダムブレイズ】の炎のオーラが静かに燃え盛っていた。

「それじゃあ、行きますか」
 斬撃の軌跡を躱しきったクレアは、そのままスピードを上げて敵のバイクに突進する。
 いかにおんぼろだろうと、車体の重量ではこちらのほうが上。ぶつけ合いになれば被害が大きいのはあちらの方だ。
「っ……!」
 後ろから当てられかけたプロモーションは咄嗟に横に回避するが、クレアはそのまま壁に向けて幅寄せを仕掛ける。こうなればもう、ちょこまかと身動きすることはできまい。もちろん途中の出口からハイウェイの外に逃がしてやるつもりもない。

「捉えたよ」
 車体と壁の間に挟まる形となった標的に、クレアは容赦のない銃撃を浴びせる。まずは手足を狙って戦闘力を削る、チェイス中からの方針はもちろん変わっていない。違うのはあちらにもう逃げ場がないことだ。
「くっ……!」
 細くしなやかな人形の肢体に、次々に弾丸が撃ち込まれる。痛覚はオミットされていないのか、微かに表情をしかめるプロモーション。足を撃たれてバランスを崩しかけるも、すぐに立て直してハンドルを握り直す。

「こんなになってもまだ動くんだ?」
 もろに銃撃を食らっても走行を続けるプロモーションの姿に、クレアは感嘆とも驚きともつかない表情。流石に高級品レプリカントなだけはあり、耐久力は並ではないようだ。
 だが、それなら斃れるまで何度でも撃ち続けるだけ。一度詰めた距離を離されないよう"ヤーガ"を操縦しながら、彼女はぐっとトリガーを引き絞る――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォス・オネイロス
【ブラック】

追いついたね。
ペルセポネさん、ギアあげてくよ。
と、スピードをもう一段上げて『変幻剣姫』の前に出るよ。

よし頭抑えた。ペルセポネさん、ハンドルよろしく!

なにか悲鳴っぽいの聞こえたけど、
聞こえないふりのまま足ブースターを噴かして【穹天翔躍】。
『変幻剣姫』のほうへダイブして、『変幻剣姫』のバイクに強制的にタンデムするよ。

さ、後ろとったよ。覚悟してね。

義腕での一撃でバイクのフレームを歪ませて、速度を落とさせて自分のバイクに戻ろう。

ペルセポネさん、お待たせ。ただいまって……あ。
風に飛んでいったスカートの残骸は見ないふりで運転を変わると、
『変幻剣姫』バイクを停車させて、トランクを渡してもらおう。


ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「追いつきました、フォスさん!
このまま機密情報を取り返し……きゃああっ」

フォスさんのバイクの後ろに乗ったまま、風に翻ったスカートを抑えます。

一方、突然バイクのハンドルを離したフォスさんは敵の元へ跳躍していき……

「ええっ、私がバイクの運転を代わるのですか!?
無理ですーっ!」

とっさに【サイバーリンクシステム】でバイクと電脳接続。
無理やり運転します。

「って、敵がこっちに近づいてきて!?
や、やめてくださいっ、いま刀でスカートを斬り裂かれたら、私、死んでしまいます!社会的に!」

バイクのスピードを上げて何とか4回目の攻撃を避けますが……
3回斬られたスカートはズタズタで、死亡一歩手前なのでした。



「追いつきました、フォスさん!」
「うん、追いついたね」
 タンデムバイクを飛ばしに飛ばして、逃走中のレプリドールの背中を捉えたブラック・カンパニーの二人。もう逃がしはしないと言わんばかりに、その瞳は静かに燃えている。
「このまま機密情報を取り返し……きゃああっ」
「ペルセポネさん、ギアあげてくよ」
 後ろのパートナーがなにかを言う前に、フォスはバイクのスピードをもう一段上げる。
 車体と乗員が受ける風はさらに強くなり、ペルセポネは翻ったスカートを抑えて悲鳴を上げる。腕は解いてもらったようだが、流石に下着を履き替える時間などなかったので。

「……また追っ手ですか」
 プロモーションは後方をちらりと振り返ると、近付いてくる大型バイクの車種を確認。
 TUP-サンダーバード1597――その速度は彼女のバイクを上回っており、風のように横を抜き去ったかと思うと、そのまま前方の車線に回り込む。
「よし頭抑えた。ペルセポネさん、ハンドルよろしく!」
「えっ?」
 突然そんなことを言われて面食らうペルセポネをよそに、フォスはバイクのハンドルを放すと足のブースターを噴かして大ジャンプ。鋼の拳を握り締めて『変幻剣姫』に挑む。

「ええっ、私がバイクの運転を代わるのですか!? 無理ですーっ!」
 フォスが敵の元へ跳躍していってしまい、ひとり取り残される形となったペルセポネは大慌てである。もちろん彼女にはバイクの操縦経験も知識もない。とっさに【サイバーリンクシステム】で車体と電脳接続を行い、無理やり運転を試みる。
「こ、これで良いのでしょうか?」
 それが"走る"ために構成された電子機器とメカニズムの集合体だと考えれば、電脳制御が得意な彼女に操れないものではない。しかし慌てていたのもあって元のドライバーほどの操縦はできず、運転のぎこちなさは敵に隙を晒すこととなる。

「まずは、そちらから」
 上空から跳んでくる敵と前方を塞ぐ敵。どちらを優先するかの判断でプロモーションは後者を選び、バイクのスピードを上げる。慣れない運転で必死なペルセポネからすれば、まさに弱り目に祟り目だろう。
「って、敵がこっちに近づいてきて!?」
「排除します」
 縮地法の応用で瞬く間に間合いを詰め、液体金属の刀から放たれる超高速の居合抜刀。
 命の危険を感じたペルセポネが慌ててギアを上げた直後、必殺の【死閃斬光】が彼女のスカートの端を切り裂いた。

「や、やめてくださいっ、いま刀でスカートを斬り裂かれたら、私、死んでしまいます! 社会的に!」
「……? 何を言っているのか分かりませんが」
 そんなことを言われて止めるプロモーションではない。このユーベルコードは計4回の連続攻撃。初撃で仕留められずとも追撃の連鎖で確実に命を奪う、文字通りの必殺技だ。
「我が社に仇なすものは、例外なく死んで頂きます」
「きゃああああっ!?」
 矢継ぎ早に放たれる斬撃を、必死に躱すペルセポネ。かつてないほどの命と尊厳の危機に火事場の力が働いたのか、間一髪の所で致命傷を避けている。はためくスカートだけは無慈悲に切り裂かれていくが、身体には傷ひとつないのは見事なものだ。

「ペルセポネさん、運転だけじゃなく敵の注意を引き付けてもくれるなんて」
 パートナーの地上での奮闘ぶりを、空中から眺めていたのはフォス。プロモーションが前方車両の排除に手間取っていたのは時間にすればほんの数秒のことだったが、その数秒は彼女に大きなアドバンテージをもたらした。
「わたしも頑張らないとね」
 【穹天翔躍】により空中を蹴り、見えない足場があるかのように天を馳せ。上空からのダイブを仕掛けたフォスは、前方に気を取られていた敵が反応するよりも速く、バイクの座席後部にすとんと着地した。

「さ、後ろとったよ。覚悟してね」
「っ、失態です……!」
 強制的にタンデム状態になってしまえば、いかに『変幻剣姫』が達人でも真後ろに攻撃するのは難しいだろう。液体金属の刀を変形させて対応しようとするが、それよりフォスの拳が振り下ろされるほうが早い。
「それっ」
 超硬素材で製造された義腕での一撃が、鈍い音を立ててバイクのフレームを歪ませる。
 たった一撃であっても精密な車両に与えるダメージは大きかった。エンジンから黒煙が吹き上がり、目に見えてスピードが低下する。

「……やってくれましたね」
「おっと」
 静かに怒りの籠もったプロモーションの【剣閃軌跡】を、フォスは再度【穹天翔躍】で躱す。残留する刃の軌跡をひょいひょいと跳び越えて、涼しい顔で自分のバイクに帰還。
「ペルセポネさん、お待たせ。ただいまって……あ」
「………うぅ」
 操縦を任されていたペルセポネの方はというと、返事をする気力も残っていない様子。
 敵から受けた【死閃斬光】のうち、何とか完璧に避けられたのはラストの4回目のみ。都合3度の斬撃を浴びた彼女のスカートはズタズタで、死亡一歩手前なのだった。

「……えっと。運転かわるよ」
「……よろしくお願いします」
 風に飛んでいったスカートの残骸は見ないふりをして、フォスは再びハンドルを握る。
 ペルセポネが尊い犠牲を支払ったものの、それに見合う成果はあったと言えるだろう。あれだけ破損したバイクでは、こちらの追跡を振り切ることは不可能に近い。
「さあ、そのトランクを渡してもらおうか」
「……拒否します。これが当機に与えられた任務ですので」
 バイクを停車させようと迫るフォス達に対して、されどプロモーションは抵抗の姿勢を示す。メガコーポの忠実なる傀儡が、任務を放棄することはあり得ない――その身が破壊されるまで彼女が『交渉』に応じる事はないだろうと、特殊渉外課の二人は感じ取った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

堂島・アキラ
オレを無視して素通りしようってか?つれないねえ。
もう少し愛嬌ある方が好みだがクールな女もたまには悪かねえな。

とっ捕まえる為に真横まで接近……したら確実に居合斬りが飛んでくるだろうな。ソイツはオレの腕一本で受け止めてやる。
あの姉ちゃんの時みたいに斬り落とせると思うか?前腕に仕込んだマンティスは相当頑丈なんだぜ。

ヤツが一瞬怯んだ隙にもう一本のマンティスでヤツのバイクをぶった斬る。
これでビルにはいけなくなったな。オレもバイクから降りて最後の勝負ってやつを挑むとするぜ。

構えろよ、サムライガール。大昔の決闘みてえに一対一の真剣勝負だ。
勝負は一瞬。オレのマンティスとお前の刀どっちが強いか……いざ!ってな。



「オレを無視して素通りしようってか? つれないねえ」
 軽薄そうな表情で笑いかけながら、肉食獣のような眼光を逃走中の敵に向けるアキラ。
 一度狙った獲物を逃がすつもりはない。言葉だけでなく態度や雰囲気の全てがその意思を物語っている。姿形がどんなに可憐でも、堂島・アキラはそういう男だ。
「もう少し愛嬌ある方が好みだがクールな女もたまには悪かねえな」
 『EDGE -HABAKIRI-』のギアを上げ、風の抵抗を下げるために姿勢を低く。愛車と一体になるような姿勢はますます獲物を追う獣のそれに近く。一度は離されかけた距離を、再びぐんぐん詰めていく。

「……しつこい方ですね」
 通りたかったらオレを倒しな。アキラに告げられた言葉を、いよいよプロモーションも無視できなくなっていた。戦闘で破損した彼女のバイクは、アキラのバイクを振り切れるような機動性を失っている。
(とっ捕まえる為に接近……したら確実に居合斬りが飛んでくるだろうな)
 距離が詰まるにつれ敵の殺気も強まる。それでも敢えてアキラは車体を真横に寄せた。
 彼が刀の間合いに入った瞬間、プロモーションは【死閃斬光】を放つ。目にも留まらぬ高速の居合抜刀。機密情報奪還の際、クラウディアの腕を奪った剣技だ。

「あの姉ちゃんの時みたいに斬り落とせると思うか?」
 敵の殺気から攻撃のタイミングを見極め、アキラは自分の腕を斬撃の軌道上にかざす。
 その腕一本でプロモーションの居合い斬りを受け止めるつもりか。彼女の「自在刀」は機械化義体だろうと切断するのは既に証明されているが――。
「……っ?!」
 一息に斬り捨てる。そのつもりだった人形の斬撃は、アキラの腕半ばで止まっていた。
 ただの機械の塊ではない、より強固な「何か」が前腕部に仕込まれている。驚きを顔に出す人形とは対照的に、彼はにやりと笑みを浮かべた。

「このマンティスは相当頑丈なんだぜ」
 そこに隠されていたのは折り畳み式ブレード、マンティスセイバー『MuramasaⅩ』。
 格納中は外見では判別不可能な擬装性を持ちながら、強度も切れ味も真剣と同等以上。近接戦における彼の隠し玉とも言える"二刀一対"の武器だ。
「そらよっ!」
 相手が怯んだ間隙を突いて、逆腕に仕込まれたもう一本のマンティスが振り抜かれる。
 狙いはプロモーション――ではなく、彼女が乗るバイク。鋭利なる蟷螂の刃が、銀色の車体を深々と切り裂いた。速度はさらに低下し、もう走っているのが不思議なほどに。

「これでビルにはいけなくなったな」
「っ……! 大変な失態です」
 今にも止まりそうなバイクに、苦渋の表情を見せるプロモーション。いよいよ獲物を追い詰めたアキラは、彼女の行く手を遮るように前に出ると、そこで自らバイクを降りた。
「構えろよ、サムライガール。大昔の決闘みてえに一対一の真剣勝負だ」
「…………」
 挑むのは最後の勝負というやつだ。前回とは状況が違い、素通りしていくのは不可能。
 無謀に押し通るよりも勝負に乗ったほうが勝算が高いと判断したのか。プロモーションもバイクを降り、地を踏みしめて居合の構えを取った。

「勝負は一瞬。オレのマンティスとお前の刀どっちが強いか……」
 小細工のない純粋な腕比べ。刃を構えた両者の殺気が絡み合い、静かな火花を散らす。
 目に見えない緊張の糸が、限界まで張り詰めた瞬間――示し合わせた訳でもなく、二人は同時に動いた。
「いざ!」
「ッ!!」
 刹那に閃く2つの斬光。必殺の意志を込めた双方の、より速く標的を捉えたのは――。

「オレの勝ちだな」
「……お見事、です」
 蟷螂の刃にその身を斬られ、鮮血で衣服を濡らしながら、人形の娘は賞賛を口にした。
 レプリドール社が創造しだ人形の剣豪を、アキラは真っ向から打ち破ってみせたのだ。荒々しくも研ぎ澄まされた傭兵の技で。
「しかし、まだ、まだです……」
 完全敗北を喫してなお、人形はよろよろとバイクに戻ると、再び逃走を始めんとする。
 個人としては敗れても、この身がある限り使命を放棄することはできない。潔く敗北を認めるような機能は、その人形からオミットされていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
紅狐様、顎が上がってるけど頑張って
アミノ酸入りお神酒もつけるから

四王活殺剣
四王天・燦推して参る!

並走しながら刃をぶつけ合うぜ
バランスを崩すべく怪力で神鳴を叩きつけたり、バイク側を狙って刺突を繰り出す
防御は受け流しメイン
アタシもバランス崩せないもん
愉しいね

剣筋を見切って覚えるよう努めるよ
剣術は合理的にデータを集めて編み出されたのかい?
アタシの我流剣に組み入れても良いかい?

プロモに合わせてアタシも納刀
剣閃軌跡の瞬間、背後へと飛び降り間合いを取る
紅狐様も帰還させっぜ

地面に投げ出されるのも、多少の被弾も覚悟の上
断理の剣でプロモーションを斬る!
手品紛いの剣術が切札なのはお互い様さ

最後に一礼
良い死合だった



「紅狐様、顎が上がってるけど頑張って」
 長丁場となったハイウェイでの追跡劇、走り続けた紅狐の疲労もピークに達していた。
 息を荒げる狐の首元をそっと撫でて、励ましの言葉をかけるのは燦。ようやく敵を目前まで捉えたのだ、今諦めたらここまでの苦労が台無しになる。
「アミノ酸入りお神酒もつけるから」
 それは本当に美味いのか。よく分からないがそれで紅狐はやる気を取り戻したようだ。
 四肢に全力を込めてアスファルトの大地を蹴る。前方を走る銀色のバイクに追いつき、速度を合わせて真横につける。

「四王活殺剣、四王天・燦推して参る!」
「……レプリドール社製『変幻剣姫』プロモーション。押し通ります」
 名乗りを上げる妖狐と人形の剣豪二名。彼女らは並走しながら互いの刃をぶつけ合う。
 燦が怪力任せに「神鳴」を叩きつければ、プロモーションは「自在刀」の形状を変化させて受け流す。間髪入れず刺突の動作に繋げてバイクを狙うが、それも受け止められた。
 騎乗中の戦闘はバランスを崩せば命取りになる。燦の攻撃は明らかにそれを狙ったものであり、プロモーションの防御もそれを見抜いていた。
(アタシもバランス崩せないもん)
 即座に返ってくる自在刀の刃から、燦は自身と紅狐を守りつつバランスを崩さないよう受け流す。拮抗した技量だけではなく一瞬の気の緩みが脱落に繋がるシチュエーション。全身の肌が泡立つのを感じる。

「愉しいね」
「当機にそのような機能はありません」
 笑みを浮かべながら剣を振るう燦に、淡々と応じるプロモーション。対照的な二人の間で剣戟の応酬は激しさを増していく。どちらも互いの剣筋を見極め、学習し、上回らんと努めている様子だ。
「剣術は合理的にデータを集めて編み出されたのかい? アタシの我流剣に組み入れても良いかい?」
「当機の全てはレプリドール社の所有物です。無断での持ち出しは許可できません」
 剣豪としての技さえも、企業の利益を生み出す道具だとプロモーションは言う。だが、はいそうですかと燦が素直に引き下がる訳もなく。剣士としての技量に加えてシーフとして磨かれた観察力が、敵の技を"盗む"。

「此れなるは森羅万象、即ち理を断つ剣」
「……社命を阻む者は全て、この刀で払います」
 人形が納刀に入るタイミングに合わせて、燦も刀を鞘に納める。双方共に居合の構え、ここで決着をつける気でいるのは明らかな気迫。ひりつくような殺気が大気を満たす。
「――……死閃斬光」
 先に動いたのはプロモーション。一瞬の早業で間合いに踏み込み、自在刀を抜き放つ。
 繰り出される4度の斬撃は、全て命中すれば確実に標的の命を奪う死神の刃。迫りくる斬撃に対して、燦は――紅狐を帰還させると、宙返りのように背後に飛び降りた。

「……自ら転落を選ぶとは」
 その選択はプロモーションの想定には入っていなかったのだろう。間合いを狂わされた斬撃は紙一重で致命に届かず、4連撃のうち最初の1発のみが標的を掠めるに留まった。
 だが高速移動中に地面に投げ出されれば、燦もこのままでは無事では済まないだろう。乗騎を捨てたからにはこれ以上の追跡も困難。故に、彼女はここで覚悟を決めていた。
「御狐・燦の全霊を込めて――斬る!」
 受け身の体勢を取るよりも、居合の構えを崩さず。放つは【四王活殺剣『断理の剣』・未完成】。闘気と妖力を籠めて鞘走れば、抜かれた刃から斬撃の波動が放たれ――彼方にいるプロモーションを斬り伏せた。

「手品紛いの剣術が切札なのはお互い様さ」
「―――ッ!!」
 世の理を無視した防御不能の斬撃。今だ完成には至らずとも、その威力は絶大だった。
 血飛沫を散らしてよろめき驚愕するプロモーションを、道路に転落しながら燦は見た。衝撃と技の反動により身体は鉛のように重いが、それでも立ち上がって、一礼する。
「良い死合だった」
 この経験を糧にして、四王活殺剣の技はさらなる高みへと至るだろう。瞳に焼き付けた人形の剣技・術理を身体と脳に染み込ませて、彼女は清々しい笑みを浮かべるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

新田・にこたま
こうして追いつけたということは最高速度はこちらの方が上…ならば今度は直撃させるだけです。

先の突撃でもう大分ボロボロですがまたロケットで飛びます。
敵のバイクが飛べない限りはこれで向こうから攻撃を仕掛けるのは難しいでしょう。なので、敵の選択肢は迎撃のみのはずです。

敵の居合い切りの速度は予知を信じるならマッハ5以上…しかし私の突撃はマッハ9以上マッハ10以下。
突撃した際、仮に切られることがあったとしても4回も切らせはしません。

これでミニパトは壊れるでしょうが、ミニパトと盾を緩衝材として犠牲にしつつ脱出し、サイバー軽機関銃で追い打ちを仕掛けます。先の交差でダイブを躱されていますし、徹底的にいきます。



「こうして追いつけたということは最高速度はこちらの方が上……ならば今度は直撃させるだけです」
 逃げるバイクをミニパトで追いかけながら、にこたまは次の攻撃のタイミングを見計らっていた。一度は回避された【正義のROCKET DIVE!】だが、手応えは確かにあった。次は絶対外さないという気迫をひしひしと感じる。
「先の突撃でもう大分ボロボロですが、ここで後退しても正義はないので」
 ロケットブースターを再点火。装甲のへこんだ四輪車が、またもや勢いよく飛翔する。
 車体の状態を鑑みても、突撃を仕掛けられるのはあと1回と考えたほうが良いだろう。正義の鋼鳥は再び上空からじっと獲物を付け狙う。

(敵のバイクが飛べない限りは、これで向こうから攻撃を仕掛けるのは難しいでしょう)
 フレームは破損してもロケットの出力はまだ衰えておらず、高度を十分に保てば自在刀と言えども届きはすまい。こちらの存在を認識しつつ、プロモーションが視線を向けるのみで動きを見せないのが、なによりの証拠だ。
(なので、敵の選択肢は迎撃のみのはずです)
 こちらが突撃してきたところを斬り伏せる。あの人形の剣技なら装甲車ごと自分を斬り伏せることも可能だろうとにこたまは考えていた。だが、それを恐れて突撃を控えるかと言われればそうでもない。彼女の瞳は勝算ありと確信していた。

(敵の居合い切りの速度は予知を信じるならマッハ5以上……しかし私の突撃はマッハ9以上マッハ10以下)
 ようは相手に斬られる前に突撃を当ててしまえばいい。至極シンプルな理屈ではある。
 一番難しいのは超音速の剣速を実際に上回ることなのだが、にこたまの場合、ロケットの出力を最大まで上げれば可能であった。
(突撃した際、仮に切られることがあったとしても4回も切らせはしません)
 理論は完璧。後は証明してみせるのみ。交戦により敵のバイクが破損し、機動力が低下したのを見計らって、正義の武装警官はいざ渾身の再突撃を行う。ソニックブームを発生させながら突っ込んでくる装甲車両を、先のように避けきる余裕はもはや敵にはない。

「斬り、捨て……っ!」
 プロモーションは渾身の【死閃斬光】で迎え撃つが、4度の斬撃がミニパトを解体するよりも、斬られながら突撃するミニパトのほうが速かった。【正義のROCKET DIVE!】が炸裂し、二度目の衝撃がハイウェイを揺らす。
「がは、ぁっ!!」
 苦悶の悲鳴を漏らして、バイク諸共吹き飛ばされるプロモーション。同時にミニパトも反動により破壊されるが、乗っていたにこたまは車両の装甲と「機動隊の盾」を緩衝材として犠牲にすることで、辛くも車内からの脱出に成功していた。

「正義の名の下にホールド・アップです!」
 大破炎上するミニパトから飛び降りたにこたまは、即座に「サイバー軽機関銃」を構えて追い打ちを仕掛ける。先の交差でダイブを躱されたように、今回の敵は中々しぶとい。撃破を確認するまで徹底的にいくつもりだ。
「く、ぁっ……この、ままでは……」
 案の定、重傷を負いながら生存していたプロモーション。だがその状態では銃弾を切り払う余力などなく。壊れかけのバイクに縋り、傷つきながら逃げるだけで精一杯だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
機械馬に騎乗し追跡しつつ格納銃器を発砲

機械化されたこの世界
生半な飛び道具は通じぬのは我が故郷のフォースナイト達と同じようですね

収奪は騎士の所業ならずとも、巨悪の証拠となれば話は別
奪取させて頂きます

馬上槍突撃で攻撃
反撃の居合四連撃を大盾にて乗騎をかばいつつ防御

盾はもう使えませんか…ならば!

盾を投棄し槍を投擲
接近を牽制…はブラフ
得物手放し敵の接近を誘引

先の攻防の情報を元に瞬間思考力にて敵の攻撃見切り
物資収納スペースより取り出していた投げナイフをコンパクトな投擲モーションで片手で放ち居合の構えの柄頭に直撃
UCの使用を強制中断

猶予は一瞬、されどそれで十二分
お覚悟を!

居合放つ前に背負った電脳剣振り下ろし



「さて、まずは小手調べから」
 機械白馬に乗って目標を追跡しつつ、トリテレイアは機体各部の格納銃器を発砲する。
 隠蔽型ゆえの銃身の短さに比して、その射程と精度は異常なほど高い。しかし、逃げるプロモーションは軽く息を吐いて呼吸を整えると、車体を斜めに傾けて銃撃を避けた。
「……その程度で、止められるとでも」
 本人も車両も既に相当のダメージを負っているが、使命遂行の意志は今だ揺るぎない。
 かくあれかしと作られた、レプリドール社の忠実なる傀儡。この世界の技術の粋を以て作り上げられた人形は、なおも本社に向かって移動中であった。

「機械化されたこの世界。生半な飛び道具は通じぬのは我が故郷のフォースナイト達と同じようですね」
 目標の性能を確認したところで、トリテレイアは「ロシナンテⅡ」に搭載された馬上槍を構える。遠距離攻撃の有効性が低いのであれば、ここは騎兵らしく突撃で勝負を挑む。
「収奪は騎士の所業ならずとも、巨悪の証拠となれば話は別。奪取させて頂きます」
「渡しません……この情報は、我が社の……」
 機械白馬のスラスターが唸りを上げれば、両者の距離はみるみるうちに縮まっていく。
 真空の宇宙さえ駆ける速力は伊達ではない。目標の背中を捉えた瞬間、機械騎士は勢いよく槍を突き出した。

「くっ……まだ、ですっ」
 突撃を避けきれずに脇腹を抉られるプロモーション。されどその身は既に居合いの構えを取っており、槍を引くよりも速く反撃の【死閃斬光】が来る。それが自身よりも乗騎を狙ったものだと察すると、トリテレイアは即座に大盾にてロシナンテⅡをかばった。
「なんという鋭さ……」
 凄まじい強度を誇る筈の重質量大型シールドが、ベニヤ板のように切り裂かれていく。
 寸でのところで騎馬の走行不能だけは防いだものの、液体金属の「自在刀」による4度の斬撃は、騎士の手から防御の手段を削り去った。

「盾はもう使えませんか……ならば!」
 次に同じ攻撃を受ければ防ぎきれないだろう。トリテレイアは戦法を切り替え、破損した盾を投棄すると騎士槍を投げつける。前回は敵の足止めのために使った手だが、今回は敵の接近を牽制するのが目的か。
「その手はもう見ています」
 一度はそれで不覚を取ったプロモーションだが、二度も同じ手を食らうつもりはない。
 唸りを上げる剛槍をひらりと躱し、バイクのギアを上げる。得物を手放した今こそが、斬り捨てる絶好の好機――彼女の刀はもう鞘の内に納められ、居合の体勢に入っていた。

(ええ、貴女ならばそう来るだろうと予測していました)
 戦いの中から学習するのは人形だけではない。トリテレイアも先の攻防の情報を元に、電子頭脳の瞬間思考をフル回転させて太刀筋を見切っていた。接近を牽制したのはただのブラフ、誘引された敵が【死閃斬光】を放つ瞬間に【機械騎士の戦闘技術】が発動する。
「"誘い"に乗って頂き、感謝します」
 物資収納スペースより取り出していた投げナイフを、コンパクトなモーションで投擲。
 ひょうと宙を舞った刃は、居合の構えからまさに抜き放たれようとしていた刀の柄頭に直撃し、剣技(ユーベルコード)の発動を強制的に中断させた。

「……ッ?!」
 人機を越え、超常の域に達した戦闘技術の粋による、完全に最適化された攻撃の妨害。
 技を封じられ虚を突かれたプロモーションは、咄嗟に次の手を打てず思考が停止する。
「猶予は一瞬、されどそれで十二分」
 再三彼女が居合を放つ前に、トリテレイアは勝負を決めにかかる。背負っていた「電脳禁忌剣アレクシア」の柄に手をかけると、抜刀の勢いのまま渾身の力で振り下ろす――。

「お覚悟を!」
「っ、あぁ……ッ!!」
 蒼銀に煌めく騎士の剣が、悪しきメガコーポの忠実なる傀儡を斬り伏せる。血と機械油の混じった体液がプロモーションの体より溢れ出し、ハイウェイに点々と紅い道を作る。
 人間であれば致命傷。レプリカントであっても長く保ちはすまい。ハイウェイを舞台にした人形と猟兵のチェイスは、いよいよ終着の時を迎えようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

私も別段お前に恨みはないさ
だが…お前達の求める権益は、この世界の害悪でしかない
故に、此処で止めさせてもらおう

引き続きUCを発動
ジャンプすると同時に乗車している車両を分解、再合体して大型バイクへと変化させる
合体する数は半分程でいいだろう
残り半数はドローン形態で付いて来い
運転技能を駆使して高速で走るバイクを巧みに繰りつつ、シガールQ1210を装備
片手で容易に扱えて取り回しの良い機関拳銃は、ドライブバイ・シューティングに打って付けだ
攻撃せんと寄ってくるプロモーションにフルオートの乱れ撃ちで弾丸の雨をくれてやる

そろそろ本腰を入れさせてもらうぞ
あまり長引かせて、其方に残業させるのも申し訳ないからな

敵が剣筋の足場を使い向かってきたらバイクからジャンプ
攻撃を避けると同時に、軽業でバイクにならず付いてきたドローンの上に着地する
軽業を使い、動き回りながら攻撃するドローンを足場にしながら自分も攻撃
一斉発射で銃弾を叩きつける

今日は散々動き回って疲れただろう?
そのまま直帰すると良い…骸の海にな



「私も別段お前に恨みはないさ。だが……お前達の求める権益は、この世界の害悪でしかない」
 職務に忠実なるメガコーポの傀儡に、キリカは静かに告げる。ここに彼女が立っている理由は私怨ではなく使命。経済と武力によって全てを支配する大企業の専横を、許してはおけぬからだ。
「故に、此処で止めさせてもらおう」
「止まる、訳には……っ」
 満身創痍の身体でボロボロのバイクを走らせ、帰還を果たさんとするプロモーション。
 その背中を追うキリカは四輪駆動車の運転席から身を乗り出すと、おもむろに上空へとジャンプした。

「『猟兵』より『猟犬』に告ぐ。詰めにかかるぞ」
 車両に変形していた【シアン・ド・シャッス】が、キリカの指令により分解・再合体を行い、大型バイクへと変形する。走行と戦闘を同時に行うのならば、四輪車よりもこちらの形態のほうが最適だ。
「合体する数は半分程でいいだろう。残り半数はドローン形態で付いて来い」
 バイクの座席に飛び乗ったキリカは、変形に余ったドローンを引き連れてハイウェイを駆ける。右手に強化型魔導機関拳銃"シガールQ1210"を構え、左手のみでバイクを操る、巧みな運転技能によって標的との距離を詰めていく。

「……退かぬのならば、排除します」
 振り切るのは不可能と判断したプロモーションは「自在刀」を構え、白兵戦の体勢に移る。敵が攻撃せんと寄ってくるのを見たキリカは、すかさずトリガーを引いて迎え撃つ。
(片手で容易に扱えて取り回しの良い機関拳銃は、ドライブバイ・シューティングに打って付けだ)
 フルオートの乱れ撃ちで弾丸の雨をくれてやると、人形は【剣閃軌跡】にて切り払う。
 斬撃の軌跡に残る液体金属の剣筋が、即席の盾となって銃弾を弾く。そしてプロモーションは大破寸前のバイクを乗り捨て、剣筋を足場にして一気に間合いを詰めてきた。

「ほう、なかなかやるな」
「当然の事です……お覚悟を」
 音速を超えるプロモーションの居合斬りを、キリカはバイクからジャンプして避ける。
 そしてバイクに変形させずに付いてきたドローンの上に着地すると、シガールQ1210を構え直し、再びフルオート射撃を仕掛けた。
「そろそろ本腰を入れさせてもらうぞ。あまり長引かせて、其方に残業させるのも申し訳ないからな」
「上等、です……っ」
 始まるのは剣筋とドローンを足場にした空中戦。縮地の歩法で迫る人形を、傭兵は軽業めいた身のこなしでドローンからドローンへ動き回り、居合の間合いに踏み込ませない。戦いながらドローンの操縦も行うことで、有利なポジショニングを維持している。

「届か、ない……!」
 当たれば必殺の威力を誇るはずの斬撃も、命中しなければ意味はない。ひらりひらりと蝶のように身を躱すキリカとドローンの動きに、プロモーションは完全に弄ばれていた。
「残念だったな。お前のゴールはここだ」
 キリカが一声命じれば、ドローンの大群が敵を空中で包囲する。元よりこれらはただの足場ではなく、戦闘用のカスタム機――実弾や光線など攻撃用の機銃も搭載されている。

「今日は散々動き回って疲れただろう? そのまま直帰すると良い……骸の海にな」
 優しげにさえ聞こえる宣告と共に、機関拳銃のトリガーを引き絞るキリカ。同時に全てのドローンによる一斉射撃が火を噴き、全方位から人形に銃撃の嵐が叩きつけられる。
「っ、あ……!!!!」
 この掃射を凌ぎ切れる余力は、もはやプロモーションには残っていなかった。手足を、胴体を、頭部を、無数の弾丸に撃ち抜かれた彼女は、バランスを崩して空中から落下していき――。

「任務継続……不可能……申し訳、ありません……」

 本社への謝罪の言葉を最期に、機能停止した『変幻剣姫』プロモーションは消滅する。
 その後に残されたのは横転したバイクと、積まれていた機密情報のトランクであった。



 ――かくして猟兵達は機密情報の再奪取に成功し、メガコーポの横暴に一矢を報いた。
 この機密のために生命をかけた、走り屋クラウディアが歓喜したのは言うまでもなく。
 感謝の言葉と多額の報酬が、のちに猟兵達のもとに届けられることになったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年04月21日


挿絵イラスト