6
【サポート優先】トマトにかけるのは砂糖か塩か

#UDCアース #邪神山脈

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース
#邪神山脈


0




 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。

「みんなトマトに砂糖ってかける? 私はかけて食べるんだけど」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に天導・鈴音(世話焼き狐巫女・f36489)がよくわからないことを言い出した。
「ちょ、ちょ、ちょっと帰らないで! これはちゃんと依頼に関係することなんだから! 邪神山脈に封印された凶悪極まりないUDCをみんなに倒してほしいの!」
 邪神山脈はチベット高山周辺にある人類未踏の高山の一つだ。そこには完全復活を目前にした邪神がいることが確認されている。

「……予知でわかったのだけど、この高山には信じ難いほど強力な爪と牙を備えたオブリビオンが存在するみたいなの。その爪は鋼鉄を容易く切り裂き、牙はダイヤモンドですら咬み砕くとか……」
 鈴音がグリモアベースのビジョンの電源を入れると、そこには小さな可愛らしいパンダの姿が映し出された。
「わかってる。全部言わないでもわかってる。可愛いとか抱きしめたいとか今絶対思ったでしょ? 私も思った」
 一人で頷きながら鈴音は続けた。
「でも見た目に騙されてはダメ、このオブリビオンはUDCアースの世界でも屈指の残忍さを持っている。対峙した際には全力で掃討することだけを考えてね」
 ビジョンの映像をスマホで撮影する鈴音が言っても何の説得力もないが、このオブリビオンが残忍かつ強力なことは事実だ。帰れなくなることも考えて高山を登らなくてはならないだろう。

「次に邪神の完全復活を阻止されないように立ちはだかる、封印の守護者の話をするね。彼はとあるオブリビオンの中でも特に強大な力を持ち、彼らから王と崇め奉られている存在だよ。その王冠から放たれる無慈悲な光は周囲の地形を一瞬にして変えるほどの威力だとか」
 鈴音がビジョンの映像を切り替えると、そこにはちんまりとした王冠を被り赤いマントを羽織ったセキセイインコが映った。
「やめて。言わないで。このもふもふの身体に飛び込んだら気持ち良さそうとか思ったんでしょ? 私は思った」
 一人で頷きながら鈴音は続けた。
「でも見た目に騙されてはダメ、このオブリビオンはUDCアースの世界でも屈指の冷酷さを持っている。対峙した際には全力で撃破することだけを考えてね」
 ビジョンの映像をスマホで撮影する鈴音が言っても何の説得力もないが、このオブリビオンが冷酷かつ極悪なことは事実だ。対峙した際には骨も残らず焼き尽くされる覚悟で挑まなければならないだろう。

「最後に封印されている邪神の話をするよ。彼は凡そ20メートルの体高を持ち、周囲の生き物を無差別に攻撃する性質を持つみたい。伝承ではあらゆる攻撃を受け付けず、破滅的な弾丸を飛ばしてくるとか……あくまで伝承だけどね」
 鈴音がビジョンを操作すると、そこにはトマトが映った。
「……と言う訳で最初の話に戻ってくるの」
 猟兵達の方に向き直ると鈴音はトマトに砂糖をかけて齧り付いた。

「みんなトマトに砂糖ってかける?」


キラキラオモチ
 初めてのサポート優先シナリオ、キラキラオモチです。
 オブリビオン達は見た目に反してガチで猟兵を倒しにかかってきます。シリアスに立ち向かうことでプレイングボーナスが発生します。

『第一章・ちびっこパンダ』
 集団でちびっこパンダが襲い掛かってきます。
 凶悪な爪と牙が特に厄介です、何らかの対策をすると有利に事を進められます。
 一人の猟兵に対してかならず複数で襲ってきます、こちらも対策があると有利に事を進められるでしょう。

『第二章・きんぐセキセイさま』
 封印の守護者とのボス戦です。
 彼の弱点は頭の王冠です、積極的に狙うことで有利に事を進められるでしょう。
 彼は王たる威厳というのを何よりも大事にしています、それをくじくことが出来れば戦意を奪えるでしょう。

『第三章・正気を奪う赤い果実』
 トマトです。

 一章のプレイング受け付けはOP公開時点から、二章と三章は断章公開時点からとします。猟兵の皆様が邪神への楔とならんことを。
17




第1章 集団戦 『ちびっこパンダ』

POW   :    おかあさん
自身の身長の2倍の【おかあさんパンダ】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    こうげき!
【もふっとした前足】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    おやすみ~
【きらきらとした光】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

天王寺・あいる(サポート)
ご機嫌よう、我輩はサクラミラージュの敏腕探偵天王寺あいるであります
事件を察知してどのような現場にも勇んで参ります
インドア派と侮るなかれ自宅警備で鍛え上げた白虎拳でどのような相手にも柔軟に対応可能であります
規律を守り猟兵の職務を全うして参りますのでどうぞ宜しくお願い致します


川村・育代(サポート)
バーチャルキャラクターの悪霊×ゴーストキャプテン、12歳の女です。
普段の口調は「 年相応の少女口調(あたし、~くん、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には 慣れない敬語(あたし、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。
普段は明るく元気な性格で年相応の考え方、行動をします。
戦闘では自分から積極的に攻撃するよりは呪詛で自爆させたり、同士討ちさせるなど、相手をおちょくるような戦い方を好みます。(Sっ気があるようです)
ユーベルコードは状況に応じて使用します。
エキストラ感覚であらゆる状況で使い倒して頂いて大丈夫です。
描写に関するタブーは一切ありません。


夜鳥・藍(サポート)
生まれも育ちもサクラミラージュ。誰かの願いで転生した元影朧。そのため影朧には同情しがち。
それなりの良家の出で言葉遣いは丁寧。だが両親とは違う種族で生まれたのを悩み高等部(高校短大相当)卒業を機に家を出ている。現在は帝都で占い師。

もふもふ大好き。
実家ではいろいろ我慢してたのもあって、飼えなくとも一人暮らし&猟兵となったことで爆発しがち。
猟兵になっていろいろ経験し悩みを乗り越えた。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭いません。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は絶対にしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 寒風吹き荒ぶ人類未踏の高山を行く猟兵が三人。
 邪神を完全復活前に滅するという重要な依頼のはずなのだが、どこか夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)の心は浮足立っていた。
「あの……確か最初に私たちが対峙するのは、パンダさんなんですよね? もふもふできるのでしょうか……」
 もふもふした物が大好きな藍にとってパンダは最上級の癒しだ。
 しかし、そんな彼女に異を唱える者がいた。
「藍さん、油断してはなりません! 私少し前に動物園でアルバイトをしていたことがありますが、パンダはああ見えて物凄い腕力を持っています! 同僚の飼育員が上着を引っ張られて……」
 同僚の飼育員の話を始めたのは様々なアルバイト経験を持つ探偵、天王寺・あいる(脳筋探偵・f36076)だ。彼女はその豊富な経験を活かして事件解決に尽力しようとするが、なぜか最後は力技で解決するため、脳筋探偵と呼ばれている。
「パンダって言ってもそもそもオブリビオンなんだよ。あまり油断しないようにね、もふもふできたら嬉しいけどね」
 一見小さな女の子に見える川村・育代(模範的児童・f28016)は様々な事情で学校にいけない子供たちの教育支援用に製作されたバーチャルキャラクターである。戦いの時以外は明るく元気な年相応の女の子、と言った感じだ。

 高山も半ばまで来た時、藍が突然歓喜の声を上げた。
「あっ、二人とも見てください! あそこにパンダさんです!」
 彼女が指差した先には、もふもふのちびっこパンダが二十頭。彼らは藍の声に気づくと手にしていた笹を地面に叩きつけて、ゆっくりと口を開いた。
「猟兵風情が何の用だ? 頭から喰ってやる。やるぞ、お前ら!」
「え……」
 これはもふもふさせてくれそうにもない、藍は瞬時に理解した。
「おお、吾輩の推理によりますと、どうやらすっかり取り囲まれてるようです!」
「推理というか、見ればわかるでしょう」
 あいるに突っ込みをいれつつ、育代は周囲の様子を窺った。ちびっこパンダは三人を包囲し徐々に距離を詰めつつあるようだ。
「藍さん、あたしに考えがあります」
 育代が藍にこっそりと耳打ちをした。
 藍はそれを聞くと頷き、あいるをギュッと抱きしめる。
「おお、これはいったい何が起きてるのですか!?」
「少しお静かにお願いします……物音は消せないので」
 たちまち藍とあいるの姿が雲散霧消と化した。後に残されたのは育代ただ一人。
「くっくっく。姿を消すユーベルコードか? 無駄なんだよなぁ……無駄無駄。お前ら全員おねんねしやがれ!」
 ちびっこパンダが掲げた手から閃光が放たれ、辺り一面が真っ白に覆われる。
「うっ、まぶしい! 吾輩の推理によりますと……これは……睡眠の……」
「あいるさん……お静かに……お願い……」
 光が収まると、そこには睡眠に陥った猟兵たちとちびっこパンダたちがいた。
 このユーベルコードは敵味方の区別なく発動するのだ。

「ドアホが! 俺たちまで寝ちまったじゃねえか!」
 ちびっこパンダの一人が寝ている仲間の頭をどついて起こして回る。その視線の先には突っ伏して寝ているあいると、折り重なるようにして寝ている藍がいた。寝たことで姿を透明にするユーベルコートは解除されてしまったのだ。
「もう一人のチビは逃げちまったのか? まあ、良い……こいつらを屠って邪神様の供物にしてくれる」
 ちびっこパンダたちは円陣を組むと空に向かって大きく咆哮をした。
「母上ーーーーー!!!」
 空から大きな体躯を持った母パンダが落下し、轟音と共に着地した。その手には長さ三十センチほどの鋭い爪が見え隠れしている。
「なんだい、情けないね、お前たち。猟兵の一人や二人くらい自分たちで何とかしなさいよ」
 いまだ目の覚めない二人に向かって母パンダがのっしのっしと歩く。その後ろからはゾロゾロと二十一頭のパンダたち。
「こいつらを片づければ良いんだね? それじゃ一気にやっちまうよ」
「うわああああああああああああああ! や、やめろおおぉおお!」
 母パンダがその丸太のような腕を振り上げたのと同じタイミングで、凄まじい悲鳴が響き渡る。
 悲鳴の主は先ほど仲間の頭をどついて回っていたちびっこパンダだった。彼は魔法少女のステッキに頭から捕食されて手足をじたばたさせている。
 突然のことに仲間のちびっこパンダも母パンダも何もできない。気づけばその身体は完全に丸呑みにされ、後にはステッキを持って立っているちびっこパンダがいた。
「お前……誰だ……」
「あたしのこと? あたしはね、育代……猟兵よ」
 彼女が身に着けている女児服はバーチャルレイヤーだ。ちびっこパンダが全員を睡眠に陥れるタイミングで光学迷彩機能を発動させ、パンダそっくりに偽装していたのだ。
「さあ、自分たちの技を味わいなさい!」
 育代のステッキから次々と母パンダが召喚される。悲鳴を上げて逃げ惑うちびっこパンダに対して母パンダの爪と牙が唸る。わずか1分半の間にその数は十頭まで落ち込んでいた。
「……うっ、はぁ……はぁ……」
 しかしその無双っぷりもここまで。時間が経つにつれて召喚した母パンダの力は弱まり、ついには消え失せてしまった。敵の母パンダも消滅したのは幸いであったが、決して良い状況とは言えない。
「良くもやってくれたな……生きて帰れると思うなよ」
 仲間を倒されて怒りに打ち震えるちびっこパンダが迫ってくる。
 育代、絶体絶命のピンチだ。

「あいるさん……あいるさん、起きてください」
「……んん? 私は寝ていたのですか……?」
 寝ぼけ眼をこすりながら、あいるは起き上がった。周囲を見渡すと育代がちびっこパンダに囲まれるているのが見える。
「おお、育代さんがピンチです! 今すぐ駆けつけますからね!」
「私もサポートします、行きましょう」
 探偵帽子を深くかぶり直し、コートの中から虫メガネを取り出すと、あいるは颯爽と駆け出した。そのままちびっこパンダの背後に回り込むと、虫メガネを放り投げて手袋を装着する。
「吾輩の技巧が炸裂しますよ!!」

 あいるは腰を落とし、鋭い正拳をパンダの腹に叩き込む。
 ――それは正に白虎の咆哮の如し。

 続けて地に手をつけると、勢いそのままにしなるような蹴りを放つ。
 ――それは正に龍の髭の如し。

 回転の余勢を駆ると、そのままパンダの顎に拳を当てて飛翔する。
 ――それは正に龍虎相搏つが如し。

 一瞬で三頭のパンダが地に倒れ伏した。

「ひ、ひぃぃっ! こいつ探偵の癖に超つええ! 逃げろ!」
 大慌てで逃げ出すパンダであったが、そこには既に打刀の青月を抜き放った藍がいた。
「もふもふできなかった悲しみ……晴らさせて頂きます」
 雷を纏う青月を一閃。感電したパンダが音を立てて倒れる。
 逃げ場を失ったパンダに対してあいるが一気に距離を詰めた。
「みなさん、これが探偵の力ですよ!」
「それは絶対探偵の力などではない! ぐああああああ!」
 これこそがあいるの白虎拳「巧技」竜虎青白陣。
 今回の事件も無事解決したのであった。

「もー、二人とも寝すぎですよー。お陰で危なかったじゃないですかー」
「えへへ、申し訳ないです」
 ニッコリ笑いながら窘める育代に、頭を掻きながら謝るあいる。
 戦場を後にしようとする二人であったが、何かおかしいことに気づいた。
「あれ? 藍さんはどうしました?」
「やや? さっきまで一緒にいましたが」
 慌てて振り返ると、そこには一頭のちびっこパンダをもふもふしてる藍がいた。
「もふもふ……もふもふできました……」
 青月によって麻痺したパンダだけが消えずに残っていたのだ。藍は顔を埋めてひたすらもふもふしている。
「ちょ、それオブリビオンなんでしょ。大丈夫なの……?」
 恐る恐る近づく育代に対して、あいるが元気よく声をかける。
「大丈夫です! 吾輩の推理によりますと、これはもふもふできます!」
 そう言うと、あいるはパンダのお腹にダイブした。
 育代はそれを見ながら、嬉しそうに言った。
「推理通りなら仕方ないね。あたしも、もふっちゃおっと」

 ――さあ、もふもふタイムの始まりだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ジェイソン・スカイフォール(サポート)
おもに「衛生小隊」を使ってメイン参加者を援護したり、救護したりします。

▼行動例

「自分たちが援護をします。総員戦闘配置!」
敵の数が多い/敵が優勢のとき、衛生小隊を率いて登場。援護射撃を行い、猟兵が行動するチャンスを生み出すほか、敵の足止めや味方の撤退支援などを行う。

「避難は任せてください。さあ、みなさんはこちらへ!」
現場に一般人がいるとき、避難誘導や救助を行う。必要に応じて炊き出しなども可。


ジン・マキハラ(サポート)
サイボーグのゴッドハンド×ブレイズキャリバー

胸に永久機関を持つ

口調は「俺、呼び捨て、だ、だな」

標的に事情があるなら同情する事もあるが手加減はしない(できる限り殺さない様にする)ただの悪人とオブリビオンには一切容赦しない

戦闘スタイルは前衛型
一撃重視か広範囲の殲滅に長けている
武器は両手剣クロックヘイズとアサルトライフルのレイジングストームと蒼炎覇気を纏った格闘術

探索時には自身の視覚同調型演算機器による解析やハッキングツールによる情報収集を行う他使える物は全て使う

ユーベルコードは指定した物を使用する

公序良俗に反する行動はせず猟兵達との連携を重視する

アドリブOK
複数リプレイOK



「ジェイソン、これ食えよ。俺の自慢の携帯食糧だぜ」
 永久機関を搭載した流浪のサイボーグ、ジン・マキハラ(ブレイズ・オブ・マキナ・f36251)が携帯食料を差し出す。彼は本来飲食不要だが長い放浪の旅路で飲食を楽しむことを覚え、それが高じて今や一流の料理の腕前を持つという。
「これは美味しいですね。従軍する時に是非携帯したいです」
 携帯食料に舌鼓を打ったのはジェイソン・スカイフォール(界境なきメディック・f05228)。UDCアースの戦場で記憶がない状態で発見されたが、そのまま衛生兵として従軍、癒しの力を扱う猟兵として覚醒したという経歴の持ち主だ。
 二人は高山に封印されし邪神を倒すべく行軍していたのだが、突然の吹雪に見舞われたので洞窟にキャンプを張ることにしたのだ。

「吹雪も止んできたし、そろそろ行くか……ん?」
 外に出ようとしたジンが、ふと洞窟の奥の方を見た。
「ジンさんも気づいたでありますか」
 片膝をつきアサルトウェポン:Seven Trumpetsを構えるジェイソン。
 洞窟の奥から唸り声と共に足音が聞こえてくる。
「14頭いるな、グリモア猟兵から聞いた通りの残忍そうなパンダだ。どうする?」
 ジンが眼球に装着された高度演算デバイスで即座に分析する。暗視できることが
今回かなり有利に働いたと言えよう。
「恐らく向こうはまだこちらを把握しきれてないはずであります。策を一つ提案したいであります」
 ジェイソンから内容を聞いたジンは親指をグッと立てると大きく頷いた。
「その策、乗ったぜ」

「食い物だ……食い物の匂いがする」
「はらわたを抉って食ってやる……」
「笹なんか食ってる場合じゃねぇ……」
 ちびっこパンダの群れは強烈な空腹感に襲われていた。故にその鼻が猟兵の匂いを捉えるのは必然だったと言えよう。
「食い物は何人いる……?」
「多ければ多いほど良い……俺たちの腹を満たしてくれるからな……」
「悪いな、一人だけだぜ」
 突如聞こえてきた声に驚くパンダたち。しかし、洞窟内の暗闇が彼等の視界を遮る。
「俺の場所がわからないのか? ほら、鬼さんこっちだぜ!」
 ジンがちびっこパンダの足元に威嚇射撃をした。
「くそっ! あいつは俺たちが見えるのか」
「このまま追い立てて洞窟の外に出してしまおう、そうすれば姿が見えるはず」
 ちびっこパンダは横一列に並ぶと、その凶悪な爪で薙ぎ払いながら前進を開始した。ジンは時折射撃を交えつつ洞窟の入口へと退いていく。
「見えてきた! 光が見えてきたぞ!」
「あの光こそ俺たちの希望! ついに猟兵を追い込んだ!」
 洞窟の外に出たジンが光に照らされくっきりと浮かび上がる。
 それを見たちびっこパンダは涎を垂らしながら猛然と飛び掛かった。
「追い込まれたのは貴様等だ、愚か者」
 ジンがニヤリと笑みを浮かべた。

 どういうことかと見回すパンダの視界に、ジェイソンとユーベルコードで具現化した衛生兵たちの姿が入る。
「今です! 撃て!」
 ジェイソンの指示で衛生兵が銃の引き金を引く。無数の弾丸が吹雪の様にパンダを襲い蜂の巣にしていった。
「殺られてたまるか! 亡き同胞の身体を盾にせよ!」
 銃撃で命を失った仲間の身体を盾にし、パンダがジェイソンとその衛生兵に迫りくる。至近距離まで来た彼らはその鋭い爪を振り抜き、衛生兵を一人ずつ消し飛ばしていった。
「貴様で最後だ! くたばれ、猟兵!」
 生き残った7頭のパンダがジェイソン目掛けてその腕を振り上げた。もはやここまでと思われたその時、無数の結晶の流星がパンダに降り注ぐ。
「おいおい、俺がいること忘れるんじゃないよ」
 パンダがジェイソンに気を取られた隙に、ジンは終焉炎獄式永久機関をチャージしていたのだ。後には物言わぬパンダたちが転がっていた。
「罪深き咎人に裁きの鉄槌を、ってな」
「上手くいきましたね」
「ジェイソンの作戦あってのことだぜ、さすが軍属だな」
「ジンさんの陽動の賜物です」

 二人は笑顔で拳を合わせると勝利に酔いしれた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです


数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。



 邪神が封じられている山頂を目指して雪の上を走る宇宙カブが一台。
 イカしたライダーズゴーグルを掛けた猟兵が、相乗りしている猟兵に声をかけていた。
「しっかり掴まっててくれよ。もうちょい飛ばすからな」
 焦茶色の髪をたなびかせながら運転しているのはスターライダーにしてサイキッカーの数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)だ。操縦している『宇宙カブJD-1725』は以前馴染みのバイク屋へ押しかけた時に押し付けられた曰くつきの品である。
「はい、よろしくお願いいたしますわ。多喜様」
 振り落されないようにしっかりと多喜に掴まっているのは響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)だ。上流階級のお嬢様でありながら困っている人を放っておけないという正義感溢れるオラトリオの聖者である。

「んん? なんだいあれは……」
 多喜が突然カブを停車させた。
 首を傾げながら周囲を見渡している。
「なんか白黒したものが目の前を横切った気がするんだよな」
「そこの茂みが怪しい気がいたします」
 リズの言葉に従って多喜が茂みの裏を覗こうとしたその時だった。
「ひゃぁ!」
 後ろから上がった悲鳴に驚き振り返る多喜。
 そこには雪の上で転んで真っ白になっているリズの姿があった。
「びっくりしたぜ、なんかあったのかと思ったじゃないか」
「す、すいません。何も無いところでよく転ぶんですの……」
 差し出された手を掴んで立ち上がろうとするリズであったが、何かに気づくと目を見開いて動かなくなってしまった。
「ん? どした?」
「……う、後ろ……」
「後ろに何が……?」
 ゆっくり振り返った多喜の視界に十二頭ものちびっこパンダが飛び込んできた。
 彼等は綺麗に整列して二人をジッと見ている。
「うわっ! 驚いたな。今日は驚きっぱなしだぜ、全く」
 恐らくこれはグリモア猟兵から聞いたオブリビオンだろう。やや不利な状態で対峙する形になったことを悔やみつつ、どうしたらいいか考える多喜。
 しかし、リズが発した言葉が彼女の考えをぶち壊したのだ。
「あの……この子達、守ってあげなきゃいけない気がします……」
 ふらふらと何かに引き寄せられるようにパンダに向かっていくリズ。
「あっ、おい! 引き返せ!」
 慌てて引き留める多喜であったが、時すでに遅し。リズは彼等の前に立つと手を差し出していた。その手を見たパンダ達は……その小さな手をそっと重ねたのだ。
「ほら、気持ちが通じるならこの子達は悪い子ではないですわ。もふもふしましょう」
 パンダ一頭一頭と握手を交わしながら頭を撫でるリズ。多喜はその光景を信じられない思いで見ていたが、今回彼女に示された依頼は『高山に封印されている邪神の完全復活を阻止』する事である。道中にいるこのオブリビオンを倒せとは言われていない。
「う~ん、アタシ達の邪魔しないってんなら別に倒さなくても良いのか……?」
 思わず呟いた独り言に対して、パンダが反応した。
「えぇ、ボク達は邪魔をする気ありませんよ」
「喋った!?」
「喋りました!」
 素っ頓狂な声をあげた多喜と目の前のもふもふに抱き着いたリズに対してパンダが続けた。
「ボク達はここで静かに暮らせればそれで良いのです。そういう意味ではあの『邪神』とやらに迷惑すらしているのです」
「ふ~ん、そう言えば他の世界だとオブリビオン同士で戦うなんてことがあるって聞いたことあんな……」
 パンダと会話してる内に多喜の頭に妙案が浮かんだ。彼女はリーダー格と思われる喋るパンダの前で屈むと、彼に一つの提案をした。
「……なあ、お前ら。邪神とやらの場所にアタシ達を案内してくんないか?」
「えぇ、えぇ。願ったり叶ったりです。つきましては一つお願いがあるのですが」
 リーダーパンダは多喜が運転していた宇宙カブをそのもふっとした前足で差し示すと、少し遠慮がちに言った。
「あなたの乗っていたあの乗り物にボク達も乗せてくれませんか?」
「あっはっは! 良いぜ! アタシのカブに乗りたい奴に悪い奴はいないからな!」
 交渉成立だ。これこそが多喜の持つコミュ力の為せる技と言っていいだろう。
「ああ……多喜様、私幸せですわ……」
 パンダに埋もれて歓喜の声を上げるリズに対して、多喜は親指を立てて見せた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ギャレット・ディマージオ(サポート)
●設定等
ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士です。
かつてオブリビオンに滅ぼされた都市で自分一人だけ生き残ってしまった過去を悔いており、人々を守り、被害を防止することを重視して行動します。

●戦闘において
「露払いは私が努めよう」
(敵に)「貴様らの技で、私が倒せるのか……試してみるがいい」

・牽制攻撃
・敵の攻撃から他の猟兵や一般人を守る
・敵の攻撃を回避してカウンター
・ついでに敵の強さを解説する
など、防御的・補助的な行動を得意とします。

メイン武器は「黒剣」です。

他は全てお任せします。
別の猟兵との交流や連携等も自由に行ってください。
どうぞよろしくお願いします。


グレナディン・サンライズ(サポート)
『ここはこの年寄りに任せてもらおうかね?』
『こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ』
年齢3桁の婆。
スペースシップワールド出身の元宇宙海賊。
主な武装はフォースセイバーとブラスター。
戦闘スタイルは基本的には前衛遊撃。敵を翻弄するような戦いを好む。
グルメではない酒好き。
年齢なりの経験を積んでいるので、冷静さと余裕をなくすことはない。
口調(あたし、あんた、だね、だよ、~かい?)



 UDCと呼ばれる太古から蘇った邪神とその眷属達がいる。彼らは時に邪悪な教団として、ある時は謎めいた都市伝説として、はたまた理解不能のオブジェクトして狂気を振りまく存在として猟兵に知られている。
 今回、人類未踏の高山に封印されている邪神もそんなUDCの一角だ。もし奴が完全復活を果たしてしまえば地球上にどのような災厄が振りまかれるかわからない。
 そんな邪神の完全復活を阻止するべく二人の猟兵が雪道を歩いていた。

 漆黒の板金鎧と極端に白い肌のコントラストが目を引くのはギャレット・ディマージオ(人間の黒騎士・f02429)だ。素顔を隠している為にその表情を窺い知ることは出来ないが、どことなく高貴な生まれであることを感じさせる。
 一方、右手にウィスキーの瓶を持ち、喉を鳴らしながら飲んでいる皺だらけの老婆はグレナディン・サンライズ(永遠の挑戦者・f00626)だ。彼女は齢百にして猟兵となった異色のスペースノイドだが、実は反帝国の宇宙海賊として名を馳せたことがあるという。しかし、今となっては当時のことを覚えているのも少なくそれが事実であるのかどうかすらわからない。

「あんたも飲むかい? 身体の底からあったまるよ」
 雪が降り積もる道中に冷えは大敵だ。それを良く知るグレナディンは酒をよく飲む。もしかしたら単なる酒好きなだけかもしれないが。
「いや、結構です。それよりも飲み過ぎるとお身体に障りますよ」
 老婆の身体を労わるつもりで声をかけたギャレットであったが、グレナディンは鼻で笑うと一気に残りを飲み干した。
「ふん、こんなもん飲んだ内にも入らないね。あたしにとっては水と同じだね」
 その様子を苦笑しながら見るギャレットであったが、ふと視界を横切る影に気づいた。それは岩から岩へ実に俊敏な身のこなしで移動していた。
「ご老体、今のを見ましたか?」
 振り返ったギャレットの視界に、古いブラスターを取り出して安全装置を解除するグレナディンの姿が入った。
「とっくに気づいてたともさ」
 グレナディンは岩に向かって引き金を引いた。途端にブラスターから熱戦が放たれ岩が蒸発し消えていく。そこから顔を出したのは震えるちびっこパンダだ。
「なるほど、グリアモ猟兵が言ってましたな。これが噂の残忍なオブリビオンですか」
 思っていたほど残忍そうでもないな、そう考えたギャレットが近づこうとするのをグリナディンが手で制した。
「若いの、油断するんじゃないよ。あたしは宇宙でこういうやつを嫌と言うほど見てきたのさ」
 先ほどまでと打って変わってグレナディンの眼光が鋭くなる。刻まれた皺の一本一本が彼女の経験を物語る。
「正体を現しな。オブリビオン」
 熱戦がパンダの足元に着弾して派手に雪を溶かした。それを見たパンダの眉間に皺が寄り、口角が上がり、牙をむき出しにする。
「庇護欲をそそって近づいたところを攻撃する、そういう作戦だった訳ですね。そうなると周囲に隠れているパンダ達はさしずめ伏兵と言ったところですか」
「おや、あれに気づいてたとは若いのにやるじゃないか。見直したよ」
 物陰から次々と姿を表すちびっこパンダ達。そのどれもが策を見破られた事に苛立ちを隠せず涎を垂らして咆哮をする。

「ご老体、私に露払いを努めさせてください」
「あんたがやるって言うなら好きにすると良いさね」
 ギャレットはグレナディンに一礼をすると、パンダ達の前に立ちはだかった。手にした漆影剣リグガガから黒煙が揺らめく。只ならぬ気配を察知したパンダ達は散会するとギャレットを取り囲むように回り込んだ。
「さて、ここからどうするか見ものだね」
 グレナディンが懐から新たなウィスキーを取り出して栓を開けた瞬間、パンダがギャレットの死角から漆黒の爪を振りかざした。しかし、まるでそれが見えているかのようにギャレットは回避する。四方から次々と襲い来る超高速の一撃を身を翻して全て回避する。
「ふん、どうやら未来を『視て』いるね」
 嬉しそうにウィスキーを呷るグレナディン。
 未来が見えているかのように回避するギャレットに業を煮やしたパンダは地の底から震えるような咆哮をした。
 その咆哮に応えるかのように天から地鳴りと共に現れた母パンダ。彼女はギャレットを見るとその筋骨隆々の腕を振り上げた。
「あんたなんてほんの指先一本で十分さね」
 振り上げた腕を掴まれたかのように宙に浮き上がる母パンダ。何が起きたかわからず慌てふためく彼女は地上高くまで昇りつめた後――急降下して地面に叩きつけられた。その下にはちびっこパンダだったもの達の姿もある。

「ご老体、さすがですね」
 戦いを終えて声をかけるギャレットにグレナディンはニヤリとして返した。
「なに、あんたが散り散りのオブリビオンを一か所にまとめてくれたからね。それが狙いだったんだろう?」
 フフッ、と小さく笑うとギャレットはリグガガを鞘に納めた。
「見抜かれておりましたか」
「当然さね。さて、それじゃ……」
 グレナディンは懐から新たにウィスキーを取り出すと栓を開けてギャレットに差し出した。
「あんたも飲むかい? 身体の底からあったまるよ」

 ギャレットとグレナディンの笑い声が高山に響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

七星・龍厳(サポート)
『俺に挑むには10年早いな。』
 羅刹の魔法戦士。
 普段の口調は男性的、仲間にはフレンドリー

行動の基準は戦闘が楽しめるか又は興味を持った事柄に積極的に関わる。
パッと見た印象では自身過剰に見えるかもしれないが戦場を渡り歩いてきた経験からの発言
戦闘は戦場で敵の技術を盗み自身が扱えるものに昇華させるため戦場を探してる竜殺し。
戦場では弱肉強食、故に弱者に手を差し伸べる者への優しさと敬意は無くしていない。
力押しから技術比べまで多彩な戦闘可能。
猟兵の妻と二人の娘がいる。
 ユーベルコードはどれでも使用、怪我は厭わず行動します。
例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしく!


七星・天華(サポート)
 羅刹のガンナーで元気娘。
 仲良しな人には優しく楽しく。

『一般人に過度な期待はしないでよね。』
自分は才能など無い平凡な存在だと思っているが実は天才。
二丁拳銃「白雷」と「黒雷」をメインにナイフ系も扱える。
二丁拳銃を使った近接戦闘もできる。
遠近両方の距離でも戦闘を成立させる。
装備の影響で帯電しているが自由自在に扱える。
世界を放浪して手に入れたアイテムで出来る事の幅が広い。
少々過酷程度の環境は即座に対応適応するサバイバル能力。
左肩に生まれつき痕がある。
美人な元気娘だが暗殺もするデンジャラスな一面も。
家族のみんなが好きだが特に姉が大好きで姉の一番のファン。
自分にもファンが居るとは微塵にも思っていない。



「はっはっは! まさか天華と同じ班になるとは思わなかったぜ!」
 豪快に笑いながら目を細めている筋骨隆々のワイルドな男性、彼こそがあの有名な剣豪にしてマジックナイトの七星・龍厳(紅蓮の竜殺し・f14830)だ。彼は特定の流派に学ぶことはせず、戦場でその戦闘技術を磨き上げるという叩き上げタイプの猟兵だ。
「まだまだ未熟な身なれど、足手まといにならないように頑張ります!」
 八重歯を覗かせながら元気よく答えたのは龍厳の二女の七星・天華(自覚無き天才・f36513)だ。隠れ里を飛び出して放浪していた時期があり、その時に手にした二丁銃を扱う天才アーチャーだ。しかし、彼女の父、母、姉がそれぞれ勇名を馳せている猟兵ということもあり、自身を平凡な一般人だと過小評価している。
「そう気を張るな! 聞いた話では道中のオブリビオンはパンダみたいなやつらしいじゃないか……ほら、あそこにいるのみたいな」
 龍厳が指差した先からパンダが二頭、三頭とぞろぞろと顔を出す。
「……もしかしてあれが今回の討伐対象ではないですか?」
 気づけばその数は十五頭にも膨れ上がっていた。各々が二本足で立ち目をギラギラとさせて二人を見ている。
「どうやらそうみてえだな。天華、いっちょお前の戦いを俺に見せてくれよ」
 龍厳は娘の戦いを見守ることにした。もちろん、いざとなれば飛び出して戦えるようにバルムンクを地面に突き立てつつであるが。
「はい! 見ていてください!」
 天華は愛用の白雷と黒雷を構えると、地を蹴って元気よく飛び出した。

「そこっ!」
 走りながら二丁銃を撃つ天華であったが、意外に俊敏な動きをするパンダに手を焼いていた。いつもの天華だったら何の問題もなく捌けたのかもしれない。しかし、父と言う一流の猟兵に戦いを見られているというプレッシャーが、どこか彼女の照準を狂わせていたのだろう。
「くっ!」
 音もなく背後から忍び寄っていたパンダの強烈な一撃を寸前で躱す天華。その身のこなしはさすが天賦の才と言ってもいいだろう。
 ちらりと父の顔を見る天華であったが、龍厳は何も言わずにバルムンクの柄頭に両手を重ねて佇んでいた。

 ――なんとか認められる働きをしたい。

 歯を食いしばり両手の平を合わせた天華から青白い雷が浮かび上がる。彼女は後方に大きく飛びのくと、パンダに向かってその手を鋭く放った。
「はいっ!!」
 戦場全体に轟雷が降り注ぐ。それは的確にパンダの身体だけを捉えて彼らの動きを麻痺させていった。
 動かなくなったパンダを確認した天華は父を振り返ると、飛び跳ねて喜んで見せた。
「やりました! 全部倒しましたよ!」
 しかし、龍厳はニコリともしない。視線だけを天華に向けると鋭い眼光と共に口を開いた。
「いや、まだだ。天華」
 天華の背から大きな影が伸びて彼女を覆う。振り返るとそこには三メートルにも及ぼうかと言う巨大なパンダが複数立っていた。
「……あ」
 彼らがその丸太の様に太い腕を振り上げた時、龍厳から凄まじい闘気が燃え上がり一瞬にして爆発して広がった。
「全てを滅ぼせ!!」
 闘気が意思を持っているかのように巨大なパンダに襲い掛かり、内から焼き尽くす。
 戦いはほんの数秒で終わり、後には龍厳と天華だけが残された。
 そう、龍厳は一歩も動かずにオブリビオンを掃討したのだ。
「天華、お前は天才だ。背後からのユーベルコードを躱し、即座に全てのオブリビオンの動きを止めたのは実に称賛に値する」
 龍厳は天華の頭をポンポンと叩きながら続けた。
「だが、まだ経験が足りん。それさえ重ねれば……俺を超えるかもしれんぞ。はっはっは!」
「は、はいっ! 頑張って追い付きます!」

 元気に答えた娘を見て龍厳は実に嬉しそうに笑った。
 その笑顔を見た天華もまた、心の底から笑うのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

満月・双葉(サポート)
ダメージは【激痛耐性】を用いて無視
連携が必要であれば行う
仕事を完遂するためなら手段は選ばず、何らかの犠牲を払う事もする

【爆撃】の魔術が専門で格闘技に爆撃を混ぜて威力をあげるなど戦術に織り交ぜる
アイテム【虹瞳】は義眼として左目に収まり、裸眼として晒せば視界に収める対象に対して【生命力吸収攻撃】を行う。仕様の際に眼鏡(魔眼殺し)を外す必要がある
大根には爆発の【属性攻撃】が付随し【爆撃】で広範囲の攻撃を行う
敵の攻撃は【野生の勘】で交わすことが可能
武器桜姫は【捕食】による【生命力吸収攻撃】がある

請け負った仕事は完遂させるが、『自分は滅ぼされるべき悪』という思考回路から破滅的な行動をとることが多い


チル・スケイル(サポート)
「皆さん、よろしくお願いします(お辞儀)」
「…(仕事の時間)」

「では、吉報をお待ちください」

竜派ドラゴニアンのクールな女性です。普段の口調は『私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?』誰にでも礼儀正しく接します
戦闘中は 『私、あなた、~さん、言い捨て』不要な発言はしません

戦闘スタイルは魔法による射撃が主体。氷の魔法を操ります。それ以外の属性は使いません

侮辱や暴言、報酬の踏み倒しなど、敬意に欠ける行為を嫌います

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません
スシが大好きです

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
 人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。

基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。

武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。

クロムキャバリアでも生身で戦います。

不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。



 邪神の完全復活を阻止するべく集まった猟兵達が三人、高山の中腹に転送された。
 青い瞳に青い髪の美しきドラゴニアンが丁寧にお辞儀をしながら二人に挨拶をする。
「皆さん、よろしくお願いします」
 彼女の名前はチル・スケイル(氷鱗・f27327)。故郷の人々に食料や物資を届けるために世界各地で依頼を受けるアックス&ウィザーズの冒険者だ。銃火器によく似た魔法の杖を得物とするのは彼女がウィザードでありアーチャーである証と言えよう。
「今日の相手はどのくらい強いのかなー、今から楽しみだよね!」
 高山を登るには余りにも露出が多すぎる服装の戦闘大好きバーバリアン、それが緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)だ。母が作ってくれた重戦斧【緋月】でぶんぶん素振りをしながら軽快に歩いていく。斧に付随する鈴が元気よく音色を奏でている。
「オブリビオンはパンダとか言ってたか? 見た目はどうあれ悪意を持つ者であれば良い。ふふ、その悪意を僕が食ってやる」
 不穏な物言いをする銀縁眼鏡の美形オラトリオは満月・双葉(時に紡がれた忌むべき人喰星・f01681)だ。彼女はある女神に運命を呪われ、『決して幸せになれず、周りを巻き込んで死に追いやる』ことを決定づけられていると言う。そのせいか彼女の言動はどこか破滅的なところがある。
 余りにも個性的な三人の猟兵がどのような戦いを見せるのか、この時点では誰も知る由がなかった。

「どうしてこんなことになってしまったのでしょう……」
 チルは目の前で起きている惨状に頭を抱えていた。アックス&ウィザーズ以外ではこういうことが普通なのかと一瞬思ったが、そんな訳無いと再び頭を横に振る。
 彼女の視線の先には大量の人参を食べながら空を飛ぶ透乃と、彼女に抱き着いて同じく空を飛ぶ無数のパンダたちがいた。
「ほらほら! いっぱい食べればお腹が満たされて空を飛べるんだよ!」
 何を言っているのか、お腹がいっぱいになるだけで空を飛べる訳がないではないか。そう思ったチルであるが、事実目の前で透乃が飛んでるのだから訳が分からない。
「サムライエンパイアではああいうのが『普通』なんでしょうか……」
 目の前で起きている惨状はそれだけではなかった。視線を地表に向けると、そこには謎の大根料理をパンダに食べさせながらもふもふしている双葉の姿があった。
「もふもふで魅了しようとはずるいですねぇ。ほら、大根のチョコソース掛けに大根おろしを掛けた大根ですよ、どんどん食べなさい」
 大根のチョコソース掛けはまだギリギリわかる、いや、わからないけど。大根おろしを掛けた大根は大根なのでは? そう苦悶するチルであったが、そこに答えなどあろうはずがない。
 更にチルの頭を悩ませているのはパンダたちが目の色を変えてそれをむさぼり食べているという点であった。彼らは本当はパンダではなくオブリビオンなのだから謎の大根料理を食べていても何の不思議もないのだが、ビジュアル的には最高に意味不明である。
「オラトリオの方はこれが『普通』なんでしょうか……」
 チルは溜息をつくと、たおやかな身のこなしでスシを口に運んだ。シャリが口の中でほどけるように崩れ、ネタの味が華やかに広がっていく。
 そう、これがチルにとっての『普通』なのだ。

 最初に異変が起こったのは大根を食べていたパンダたちだった。突如食べていた大根が弾けて彼らを吹き飛ばしたのだ。普通だったら取り乱してもおかしくない出来事だが、チルは自分でも不思議なくらい冷静にそれを受け止めた。
「なぜ大根が爆発したのですか? 彼らと友好的に付き合うつもりだったのでは?」
 それを聞いた双葉はパンダをもふもふしながら平然と返した。
「いや、倒しますけど。だってこれオブリビオンですし……もふもふしますけど倒しますよ」
 アホ毛をパタパタ、パンダをもふもふしながら爆発する大根を与える双葉。それは正に『決して幸せになれず、周りを巻き込んで死に追いやる』姿であった。気づけばマスコットのカエルが口から紅蓮の炎を吐き出してパンダを追いかけている。
「さーて、人参食べたから楽しく戦おうね!」
 声がした方に目をやると透乃が緋月を振り回してパンダと戦いを繰り広げていた。いつしか召喚された身の丈三メートルにも及ぶ巨大パンダと斧一丁で渡り合う透乃。鈴がリンと鳴る度にパンダの身体は傷つき、透乃が返り血で染まる。
「ほらー! もっともっと私を楽しませてよ!」
 透乃は巨大パンダの鋭い鉤爪をしゃがんで躱して、斧の柄で足を払う。倒れこんだパンダの真上から笑顔で斧の刃を振り降ろすが、巨大パンダは必死の思いでそれを転がって避けた。
「そうそう! そういう戦いを待ってたの!」
 戦いが白熱すればするほど楽しそうにする透乃。彼女は根っからの戦闘好きなのだろう。

「なるほど。私は少し浅はかだったようです。皆さんきちんと戦いをしていたのですね」
 微妙に勘違いをしているようだが、チルはスシを食べるのに使った食器を丁寧に片づけると、冷気放射杖『マルヴァールマ・スロワー』を取り出し天へと高く掲げた。
「絶凍を発つ船に、我が氷雪を巡らそう」
 杖の先端から絶対零度の冷気が吹き荒れ、周囲の水分を凝固させてゆく。それは次第に帆船を象り、帆が大きく広げられた。全長百六十三メートルのアイスシップ、これこそが彼女のユーベルコードだ。
「主砲、打ち方始め」
 いつの間にか船長室の座席に陣取ったチルが号令をかけると、帆船から大量の雪弾が雨あられとパンダたちに撃ち込まれる。小さいパンダも、大きいパンダも、その全てが雪弾に囚われ雪だるまのようになり動きを止めていった。

「終わりましたね。みなさんお疲れ様です」
 帆船から降りて二人に丁寧にお辞儀をするチル。
 しかし、なぜか周囲には微妙な雰囲気が漂っていた。
「もっと……もっと戦いたかったのにもう終わりなのー!?」
「この余った大根料理どうしてくれるんです? いや、食べるんですけど」
 予想外の展開になったがチルは全く慌てない。彼女はいつだって冷静でクールなのだ。
「それではこうしましょう。私がスシを握りますので、みなさんの人参と大根でピクニックです」
 繰り返すが、彼女はいつだって冷静でクールなのだ。
 人参をまた食べられるとわかって喜んだ透乃に双葉が大根のパフェを差し出した。
「人参も良いけど、大根も棄てたもんじゃない。破滅的に美味しいから食べていいよ」
 見慣れない食べ物に嬉々として手を出してかぶりつく透乃。
 途端に大根から閃光が放たれて周囲一帯に爆風が広がり大きなクレーターが生まれた。後に残されたのは頭から煙を出す三人の猟兵。

「爆発オチなんてサイッテー!」
 双葉の声が高山に響き渡ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「邪神……すなわちオブリビオンですね。
そのデータを解析すれば、我がブラックカンパニーの研究も進むはず。
フォスさん、特殊渉外課出動です」

同僚のフォスさんと共に高山に登ります。
寒さは『サイバーバリア』で防げるからいいものの運動が苦手なのが祟り。

「フォスさん……
頂上はまだですか……?」(ぜぇはぁ

そこに現れたのは妨害しようとするオブリビオン。
……オブリビオン?

「フォスさんフォスさん、あのオブリビオン、我が社に持ち帰って、マスコットオブリビオンとして広報に使いませんか?
……だめ?」

仕方ありません。
我が社の【試作機械兵器】で制圧しましょう。

気絶してるなら、思いっきり、ぎゅーってしちゃいます。


フォス・オネイロス
【ブラック】

解りました。
特殊渉外課として、邪神のデータを集めて業績アップですね。

と、山を登っていきますが……。

ペルセポネさん、登山の基本は『ペースを乱さないこと』です。
さ、もう少しですから、がんばってください。

そこに現れたオブリビオンを見て、

気持ちは解ります(うずっ)
とっても解ります(うずうずっ)

でも、あれはオブリビオン……。
もふぎゅーしてなでくりたくてもオブリビオンなんです(ぐっと唇噛んで)

ペルセポネさんの試作機開兵器と連携して攻撃して、
【纏繞連擲】でパンダを気絶させていきます。

さ、ペルセポネさん。
とどめをさすまでの短い間ですが、気絶している間ならもふれますよ!

と、自ら率先してもふりますね。



 頂上に封印されし邪神を目指して雪道を歩く猟兵が二人いた。
「邪神……すなわちオブリビオンですね。そのデータを解析すれば、我がブラック・カンパニーの研究も進むはず。フォスさん、特殊渉外課出動です」
 先を歩く青髪の少女はサイバーザナドゥのメガコーポ『ブラック・カンパニー』の社長令嬢、ペルセポネ・エレウシス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属・f36683)だ。特殊渉外課とは会社のために手段を選ばず交渉をおこなう部署である。
「解りました。特殊渉外課として、邪神のデータを集めて業績アップですね」
 ペルセポネの後ろを歩く銀髪の少女の名前はフォス・オネイロス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属、腕力担当・f36684)だ、その業務内容から荒事の多い特殊渉外課において、主に腕力系を担当する腕利きのエージェントだ。
「寒さは『サイバーバリア』で余裕ですね、一気に登ってしまいましょう」
 ペルセポネはフォスに声をかけると意気揚々と速度を上げだした。

「フォスさん……頂上はまだですか……?」
 先ほどまでの威勢はどこにやら、ペルセポネは息も絶え絶えになっていた。彼女はフォスと違って交渉をするのが業務であり、運動は専門外なのだ。
「ペルセポネさん、登山の基本は『ペースを乱さないこと』です。さ、もう少しですから、がんばってください」
 一方のフォスは全く息が乱れていない。さすがブラック・カンパニーの腕力担当と言ったところだ。
「もう少し歩幅を小さくした方が良いです。それから姿勢を……」
 ペルセポネの背中に手を当ててアドバイスを始めたフォスであったが、次第に声が小さくなりついには聞こえなくなってしまった。
「……フォスさん? どうしました?」
 異様な雰囲気を感じ取ったペルセポネが振り返ると、フォスは何も言わずに前方を指差した。
「前に何が……」
 顔をあげたペルセポネの視界に飛び込んできたのは――。

 パンダだ。
 
 あるパンダは笹を食べながら寛ぎ、あるパンダは雪の上でゴロゴロと転がり、あるパンダは仲間にじゃれつくという正にパンダ天国だ。
 しかし、グリモア猟兵により彼らがオブリビオンだということはわかっている。わかってはいるが、ペルセポネはどうしても感情を抑えることができなかった。
「フォスさんフォスさん、あのオブリビオン、我が社に持ち帰って、マスコットオブリビオンとして広報に使いませんか?」
 まさかのマスコットオブリビオンという言葉に心惹かれながらもフォスはなんとか自分に言い聞かせるように口を開いた。
「気持ちは解ります。とっても解ります。でも、あれはオブリビオン……」
 ちびっこパンダたちが二人に気づいた。彼らは仲間を迎えるかのように腕を広げてヨチヨチと歩きながら寄ってくる。
「……だめ? 」
 ペルセポネが目をウルウルさせながらフォスに懇願する。
「だめです。もふぎゅーしてなでくりたくてもオブリビオンなんです」
 ぐっと唇を嚙みながら言うフォスを見て、ペルセポネは観念したかのようにパンダたちに向き直った。
「……仕方ありません。我が社の試作機械兵器で制圧しましょう」
 まだ一般公開するには早すぎるブラック・カンパニーの試作機械兵器が音を立てて雪の中から出現した。実はペルセポネはこの試作機械兵器の動員の為に重大な企業秘密を一つ漏洩している。その秘密とはなんとペルセポネの秘蔵写真だ、それがどんな物なのかは不明だが、とにかく漏洩してしまったことをこの時の彼女はまだ知らない。
「さあ、行きなさい。もふもふパンダを制圧するのです!」
 雪を掻き分けて高速で突撃する試作機械兵器。それに対してちびっこパンダたちは後ろ足で立ち上がると、その実に凶悪な丸っとした前足でタッチした。

 ぽふ。ぽふぽふ。

 無数のパンダたちが試作機械兵器を取り囲みぽふぽふしている。恐らく……いや、多分それはユーベルコードなんだろうが……ぽふぽふしている。
 それを見たペルセポネは身悶えしながら、再びフォスに青い瞳で懇願した。
「……だめ?」
「う……持ち帰るのは難しそうですが……それなら、こうしましょう」
 フォスは左足を踏み込むとパンダに向かって静かに構えをとった。右手と右足の義肢の出力があがり最高潮になったその瞬間、フォスが飛び出す。
「きゅ、きゅい?」
 何事かと驚いたパンダたちをフォスが恐ろしい早さで攻撃……するように見せかけて撫でてゆく。無論フォスはただ撫でているわけではない、その掌から発する刺激は瞬時にしてパンダたちの神経に達し、動きを封じていくのだ。
 あらかた見える範囲のパンダたちが気絶したのを満足げに見ると、フォスは足元のパンダをもふもふしながらペルセポネに呼びかけた。
「さ、ペルセポネさん。とどめをさすまでの短い間ですが、気絶している間ならもふれますよ!」
「フォスさん……さすがです。それでこそ一流の特殊渉外課ですわ……」
 ペルセポネはそう言うとパンダのお腹にダイブした。

 もふもふした毛並みがペルセポネの顔をくすぐる。
 パンダの柔らかい肉球がフォスの心を惑わす。

 このままの時間がずっと続けば良いのに、そう思っていた二人の後ろからユラリと近づく影があった。

「きゅ、きゅいー!」
 ずっと物陰に隠れていたちびっこパンダが仲間の危機を見て駆けつけたのだ。彼はその手を掲げるときらきらとした光を周囲に放った。
「う……フォスさん、なんだか眠くなってきました……」
「ペルセポネさん……おやすみなさい……」
「きゅい~……」
 パンダのお腹の上で眠りにつくフォスとペルセポネ。そしてその上から掛け布団のように倒れ込むパンダ。

 パンダに挟まれて眠る二人は実に幸せそうな顔をしていた。
 きっと素敵な夢を見ているのだろう。

 ――それにしても猟兵の心をここまで弄ぶとは、さすが噂通りの凶悪パンダだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『きんぐセキセイさま』

POW   :    王の一閃
【靡くマント】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ちいさな従鳥
レベル×5体の、小型の戦闘用【ちびセキセイ】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    王の輝き
【王冠から光】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鈴・月華です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 様々な経路で山頂に辿り着いた猟兵達であったが、合流後の打合せで不可解な事実に気づいた。なんと同じ『ちびっこパンダ』というオブリビオンであったにも関わらず、その性質が戦った猟兵ごとにあまりにもかけ離れすぎているのだ。

 あるパンダは猟兵を貪り食べようと襲ってきた。
 あるパンダは猟兵の乗り物に興味を示して道案内をしてくれた。
 あるパンダは猟兵を包囲して戦うという知性を見せた。
 あるパンダは猟兵と食事を共にした。
 あるパンダは猟兵と共に眠り至福の時を過ごした。

 話し合ってもその答えはついぞ浮かばず、邪神の完全復活には直接関係ないだろうという結論に至った猟兵達は山頂にある祠に足を踏み入れた。
 UDCアースに良くある学校の体育館くらいの広さの祠、その真ん中に鎮座されているトマト。まだ完全復活を遂げていないのだろう、スーパーで売っているサイズのトマトだ。
 そしてその前で大仰に身体を動かして祈祷をしているオブリビオン……恐らく彼こそが封印の守護者に違いない。

「来たッピね……」
 彼は猟兵の気配に気づくと豪奢なマントを翻して振り向いた。頭にはちんまりした可愛い王冠を載せている。
「戦う前に……きみ達が今感じている疑問に答えてあげるッピ」
 そう言うと彼は床にペタンと座り込んだ。
「ここに来るまでに戦ったちびっこパンダ達の性質に大きな差異があったこと、気づいてるッピね? あれはこの『きんぐセキセイさま』の能力なんだッピ」
 きんぐセキセイさまが邪悪な笑みをした……ような気がした、クチバシだから良くわからないが。
「ぼくは対峙した猟兵の心情を映し出すオブリビオン……きみ達が恐れを持てばより残忍に、きみ達が敵意を持てばより凶悪になり得る……のだッピ。ちびっこパンダはぼくの眷属だから当然その性質を持つッピ」
 きんぐセキセイさまの目つきが鋭くなった……ような気がした、つぶらすぎて良くわからないが。
 「もう言わなくてもわかるッピね? さあ、ぼくを恐れるッピ! ぼくを倒すと願うッピ! そうすれば、ぼくはより凶悪に残忍になれるッピ! 間違っても、もふもふしたいとか可愛いとか思ってはいけないッピ! 絶対にだッピ! あとぼくの弱点は王冠だから狙うなッピよ!」
 
 きんぐセキセイさまが猟兵に向かって果敢に飛び出した。
 ……いや、その小さな足でよちよちと駆け寄ってきた。
ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「これが封印の守護者……
守護者というからには、相当の実力者に違いありません。
フォスさん、初めから全力で倒しに行きましょう!」

【一斉蜂起】によりフォスさんに強化用装備を装着してもらい戦闘力を強化。
恐るべき残忍な封印の守護者へと立ち向かいます。

「フォスさん、何としても守護者を倒し、邪神(トマト)を持ち帰って解析するのです」

私は後方からフォスさんの支援をおこないますが……
一瞬のうちに肉薄され、敵のマントが靡いて!?

目にも留まらぬ速度の攻撃によりスカートが切断されて足元に落ちてしまいます。

「きゃあああっ!」(赤面

くっ、相手の弱点さえ分かれば……
どこかに弱点はないのですか!?


フォス・オネイロス
【ブラック】

そうだね。
『封印の守護者』なんだし、
出し惜しみできる相手じゃないよね。

ペルセポネさんが準備してくれた装備……。
これはレーザーレイピア? 機密兵器じゃない!

スピード負けしないようにってことだね。
よし、いざ勝負!

フォスさんの援護を受けながら、
封印の守護者に真っ直ぐ飛び込んで、高速の三連突きを見舞いますが、
華麗なステップで躱されたと思ったら、
わたし以上のスピードで、ペルセポネさんのほうへ!?

「しまった……!」

踵を返して、相手の背に向け再び突きを見舞うと、
手ごたえはあったのだけど、相手はまだ元気。

みれば、小さな布が剣先にまとわりついていて……。
ペルセポネさんの弱点を晒しちゃった……?



 まんまるのお饅頭のような体型に、微妙に丈の足りていない赤いマント、そして頭に乗せた小さな王冠。如何とも形容し難い威厳を持つ封印の守護者――それこそがきんぐセキセイさまだ。
 そんな恐るべき残忍なオブリビオンの前にペルセポネとフォスが敢然と立ちはだかる。

「これが封印の守護者……守護者というからには、相当の実力者に違いありません。フォスさん、始めから全力で倒しに行きましょう!」
「そうだね。『封印の守護者』なんだし、出し惜しみできる相手じゃないよね」
 飛び出そうとしたフォスを遮り、ペルセポネが丁寧に梱包された箱を手渡す。
「ペルセポネさん、これは……」
 箱の中にあったのはなんとブラック・カンパニーの機密兵器『レーザーレイピア』だ。機密兵器と言うからには社長クラスの権限がないと持ち出せないはずだが、どういう訳かペルセポネはそれを用意したのだ。
「フォスさん、きんぐセキセイさまのあの身体……きっと恐ろしく俊敏な相手です。だからこそ、これを託すのです」
「スピード負けしないようにってことだね」
 レーザーレイピアを手に取ったフォスの身体にペルセポネの想いが、ユーベルコードの力が流れ込む。きっとこれなら互角……いや、それ以上に立ち回れるに違いない。
「ありがとう、ペルセポネさん。わたしやります!」
「えぇ、私も後方から支援します。全力でいきましょう!」
 笑顔でハイタッチする彼女達の真横で、きんぐセキセイさまが申し訳なさそうに立っていた。
「あの、そろそろ戦っても良いッピ……?」

 あらためて配置についたきんぐセキセイさまが厳かに口を開く。
「くっくっく……ぼくを倒さなければ、邪神様は完全復活を遂げてこの世界は狂気で満ち溢れるッピ。きみ達がそれを阻止できるとでも思ってるッピ?」
 そのあまりにも凶悪なフォルムから邪悪なオーラが放たれる。強敵ではあるが、ここで退く訳にはいかない。
「フォスさん、何としても守護者を倒し、邪神(トマト)を持ち帰って解析するのです」
 ペルセポネの周囲に携行型の砲が展開され、たちどころにレーザーが発射される。その後を追いかけるようにダッシュするフォス。
「ピィエエエエエエエ!」
 意外にも華麗なステップでレーザーを躱すきんぐセキセイさまであったが、着地した時に大きな隙が生まれた。フォスがレーザーを追いかけていたのはこの一瞬の為だ。
「いざ、勝負!」

 ――目にも止まらぬ高速の三段突き。

 確実に捉えたと思ったフォスであったが、きんぐセキセイさまの姿は既にそこに無かった。
「フォ、フォスさん! こっちです!」
 振り向けば既にきんぐセキセイさまはペルセポネに肉薄していた。マントが怪しく靡き、裾が刃物のように鈍く光る。

「くっ、ダメっ……」
 思わず目をつぶってしまうペルセポネ。
「これで終わりだッピ……」
 マントを大仰に振り抜くきんぐセキセイさま。
「しまった……!」
 踵を返して、その背にレイピアを見舞うフォス。

 ――祠に静寂が訪れた。

「確かに手ごたえがあったのに……」
 フォスはきんぐセキセイさまの背中をじっと見ていた。その手には確かに何かを捉えた手ごたえがあったのだ。しかし、彼はピンピンとしている。
「哀れな姿ッピね……」
 きんぐセキセイさまの呟きがフォスの感情を激しくかき乱す。
「ペルセポネさん! 大丈夫ですか!」
 まさかマントがペルセポネさんの身体を……最悪の事態を想像して駆け寄った彼女の目に思わぬ光景が飛び込んできた。
「な、何がおきましたの……」
 そこには清楚で可愛らしい下着姿をさらけ出したペルセポネがいた。足元には鋭く切り裂かれたスカートが落ちている。
「あの、ペルセポネさん、スカートが」
「え……きゃあああっ!」
 ペルセポネは思わず赤面してしゃがみこむと、悔しそうに叫んだ。
「くっ、相手の弱点さえ分かれば……どこかに弱点はないのですか!?」
「ふっふっふ、どうやらぼくの弱点が王冠なことはバレていないようッピ……」

 弱点がわからないどころか、相手の弱点を立ちどころに見つけて的確に攻撃するきんぐセキセイさま。その強敵ぶりに唇を噛むフォスであったが、ふと自分のレイピアの剣先に小さな布切れがまとわりついているのに気づいた。
「これは……スカートの切れ端……もしかして、わたしがペルセポネさんの弱点を晒しちゃった……?」
 フォスはレイピアをこっそり背中の後ろに隠した。幸いペルセポネは自分のスカートがきんぐセキセイさまに切り裂かれたと思っている。

 ――バレていない、大丈夫。

 凶悪な封印の守護者と猟兵達の戦いは、こうして幕を開けたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
 サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
 嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!


月詠・莉愛(サポート)
『あの……宜しくお願いしますね。』
 オラトリオのシンフォニア×聖者の女の子です。
 普段の口調は「丁寧口調(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
 独り言は「普通かな(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

大人しくて口数が少ないですけど、心優しく
動物や植物などの自然が好きな少女。
争い事は苦手ですけど、依頼の成功の為なら戦う事も厭わないです。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)は考えていた。サムライエンパイアの将軍であり猟兵である彼にとって権謀術数を目にする機会は非常に多い。それ故にきんぐセキセイさまの言葉がどうにも頭の片隅に引っかかるのだ。
「あまりにも自分の弱点を口にしすぎますね、さては罠ですか?」
「くっくっく、ぼくがいつ頭の王冠が弱点だと口にしたッピ? 考えすぎッピ……」
 間違いない、罠だ。そう判断した家光は大天狗正宗の柄に手をかけた。

「お待ちください、家光さん。私が確認してきましょう」
 家光を押しとどめたのは長い銀髪が美しいオラトリオのシンフォニア、月詠・莉愛(銀の月を謳う・f16320)だ。大人しく口数が少ないが、動物や植物などの自然を愛する心優しい彼女は静かにきんぐセキセイさまの元へ歩み寄る。
「きんぐセキセイさま、本当にその王冠が弱点ではないと言うのなら私に触らせてはくれませんか?」
「ピ、ピィェエ!? い、いや、それはダメだッピ! べ、別に全然弱点じゃないけどダメだッピ! いや、ほんと弱点じゃないけどッピ!」
 露骨に慌てた姿を見せるきんぐセキセイさま。余りにも慌てふためき、ずり落ちる王冠をそっと翼で押し戻す。その様子をじっと観察した莉愛はきんぐセキセイさまの元を離れると家光に耳打ちをした。
「いくら何でも慌てすぎです、やはり王冠は弱点では無い気が致します」
「莉愛さんも同じ考えですか、それなら間違いありませんね」
 言い終わるか言い終わらないかの内に家光が動いた。床を蹴るとぐんぐんと加速してあっという間にきんぐセキセイさまに接近する。
「援護致します!」
 莉愛の月光の聖銃から眩い光が放たれた。それは家光の影から飛び出すときんぐセキセイさまの足元目掛けて突き進む。
「ピェエエエエ!」
 必死の思いで片足を上げて躱すきんぐセキセイさま。しかし片足になったことでバランスを崩してしまった。
「一か八か……マントを狙わせて頂きます!」

 一閃。

 気づけば家光の大天狗正宗が抜き放たれていた。
 あまりにも早すぎる居合が周囲の時を止める。

「ピ、ピエ……?」
 きんぐセキセイさまのマントがハラリと落ちてそのまんまるフォルムがより一層強調される。
「まだまだ行きますよ、莉愛さん」
「はい、家光さん!」
「ちょ、ちょっと待つッピ!」
 大天狗正宗を正眼に構える家光と、月光の聖銃に魔力を補充する莉愛にきんぐセキセイさまがストップをかけた。
「ユーベルコードッピ!」
「ユーベルコードが……何か?」
「ユーベルコードも使わないで圧倒するのは良くないッピ! もっとこう……戦ってる感が欲しいッピ!」
 これは罠だ、家光はそう直感した。
「ならば貴方から撃ってきてください」
「くっくっく、そんな余裕ぶっても大丈夫かッピ? ぼくのユーベルコードは痛いッピよ……」
 床に落ちたマントをいそいそと拾い身に纏うと、きんぐセキセイさまは高らかに翼を広げた。
「さあ、我が従鳥たちよ、この愚かなる猟兵の喉笛を喰い破るッピ!」
 きんぐセキセイさまの頭上にうぐいす色の小さなちびセキセイが無数に現れた。あまりにも可愛い……いや、あまりにも凶悪なそれはクチバシを開くと家光めがけて錐もみ回転して特攻を仕掛けた。
「誰も傷つけたりはさせません!」
 莉愛が前に出る。両手を広げてまるでちびセキセイを受け入れるかのように。

 彼女の身体に次々とちびセキセイが飛び込んでいく。
 しかし、莉愛は慈愛に満ち溢れた笑みを浮かべて翼で彼らを優しく抱きかかえた。

「ピヨ……ぼくたち、こっちの子になるピヨ……」
 すっかり無害化したちびセキセイさまを撫でる莉愛。
 従鳥に裏切られて開いた口が塞がらないきんぐセキセイさま。

「ゆ、ゆ、許せないッピ! 鬼! 悪魔! オブリビオン!」
 怒りに打ち震えるきんぐセキセイさまの王冠から雷が擦れ合う音が聞こえる。
「全部ぶっ壊してやるッピー!」
 祠にきんぐセキセイさまの声が響き渡り、稲光が轟く。邪神トマトも思わず震えだす。
「おやおや、オブリビオンは貴方ではないですか……それにしてもこれは少々危険ですね」
 きんぐセキセイさまは我を忘れている。もし稲光が邪神トマトに当たったら完全復活が為されてしまうかもしれない。
「しばし貴方には眠ってもらいます。夢か現実かわからぬ胡蝶の夢を」
 家光は千子村正権現を抜くと、その刃に静かに指を這わす。微かな刃鳴りが稲光の間を縫ってきんぐセキセイさまの耳へと届いた。
「許せな……いッピ……?」
 ぱたりと倒れるきんぐセキセイさま。
 お腹を上下に揺らして、実に幸せそうな寝顔をしている。
「このまま大人しくしていてくれると良いのですが……おや?」
 気づけば莉愛もちびセキセイを抱えて眠っていた。刃鳴りは彼女の耳にも届いてしまっていたのだ。
「ちびセキセイ……かわいいです……」

 彼女の言葉は現実のちびセキセイに対して出たものなのか。
 それとも夢の中で見ているちびセキセイに対して出たものなのか。

 ――夢か現実かわからない、正に胡蝶の夢の如し。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

火土金水・明
「どちらかと言えば、ちびセキセイさんの方をもふもふしたいところです。」「ともかく、邪神を倒す前にあなたを倒さないといけないようですね。」
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【炎の嵐】を【範囲攻撃】にして、『きんぐセキセイさま』と召喚された者達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に繋げる事です。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



「い、今なんて言ったッピ……?」
 きんぐセキセイさまは信じられないという表情をすると聞き返した。
「どちらかと言えば、ちびセキセイさんの方をもふもふしたいところです」
 ニッコリと笑って答えたのは、自称『荒廃の魔王』アゼル=イヴリスの落とし子、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)だ。使い魔の黒猫クロが彼女の足に顔をすり寄せている。
「王であるぼくを差し置いて従鳥如きをもふもふしたいなんて……ゆ、許せないッピ、許せないッピー!」
 怒り心頭という様子で小さな足で地団太を踏むきんぐセキセイさま。
「後でぼくの方をもふもふしたかったって言っても、もう遅いッピ! なんせぼくは邪悪で残忍なオブリビオンッピ!」

 地団太の振動で震える邪神トマトを横目に、明は七色に輝く不思議な杖を高く掲げた。
「ま、それはともかく、邪神を倒す前にあなたを倒さないといけないようですね」
 突如、祠内に熱風が吹き荒れた。杖の先端に小さな火球が現れたかと思うと、次第にその大きさを増してゆく。
「ピ、ピィエッ……なんかやばそうなのが来そうッピ。お前たち行くッピ!」
 きんぐセキセイさまが翼を大きく広げると、大福サイズのちびセキセイが無数に現れた。
「猟兵のユーベルコードが発動する前に先制攻撃ッピー!!」
 勇ましい掛け声に応じてちびセキセイが明に向かって急降下――しない。ちびセキセイ達は動かない。
「ピィェ!? 何してるッピ! 早くあの猟兵を地獄の釜に落とすッピ!」
「……きんぐセキセイさま、僕たちはさっきの王様の言葉を聞いていたピヨ」
「僕たちを『従鳥如き』と呼んでいたのを聞いていたピヨ」
「あれは言葉のあやだッピ! ほんと! きんぐセキセイうそつかないッピ!」
 ちびセキセイが反逆している間に明の七色の杖は燃え盛っていた。周囲の酸素を取り込み、炎が杖の先端を渦巻くように踊りだす。
「荒ぶる炎の嵐に……全てを焼き尽くされよ」
 明の杖から炎の嵐が放たれて一直線に吹き荒ぶ。
「そ、その程度、見切ったッピ!」
 きんぐセキセイさまは無慈悲にもちびセキセイをほっぽりだして炎の嵐を回避する。ちびセキセイたちが嵐に包まれてちび火球と化した。
「なんてひどい王様ピヨ!」
「ぼくたちはもう貴方を王様と認めないピヨ!」
「ピィエエエエエエー!?」
 火球と化したちびセキセイがきんぐセキセイさま目掛けて急降下する。きんぐセキセイさまのマントがあっという間に炎上し、魅惑のまんまるボディが露わになる。
 それだけでは終わらない。明が続けざまに放った炎の嵐がきんぐセキセイさまの死角から襲い掛かったのだ。嵐の軌跡は炎の道となり、まさに祠の中は地獄の釜という様相を呈する。
「や、や、焼き鳥になっちゃうッピー!」
 色んな意味で大炎上し、どたどたと走り回るきんぐセキセイさまに背を向けると、明はウィザードハットを被り直した。
「次の方に繋げる良い仕事が出来たみたいですね。クロ、少し下がりましょう」

 気づけばクロの頭に一羽のちびセキセイが乗っていた。明はクロとちびセキセイをもふもふすると次の猟兵に戦いを託したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル(サポート)
『ヒャッハー!頭ねじ切ってオモチャにしてやるでござる!!』

口調:拙者、名字+氏、~でござる、~ですぞ
属性:混沌・悪

弱きを困惑させ強きを嫌がらせの果に弄り倒す正義なんてどこ吹く風なゴーイング・マイ・ヒャッハー系

シリアスな空気だと破壊するか自分が爆発する
可愛い女の子を見れば興奮する変態
エンジョイ&エキサイティングをモットーに好きなように生きて好きなように死ぬギャグキャラ
オタクらしく戦闘中でも状況に有ったセリフやパロ技を適当にぶっ込みながら戦う様はイカレポンチすぎて敵味方問わず困惑と驚愕させることに定評がある
公言しないが空軍のパイロット


コノハ・ライゼ(サポート)
使用UCはPOW/WIZの内でお任せ。

態度口調、一人称までも気分次第、嘘吐きで気紛れなお調子者。
オブリビオンは喰らうもの、猟兵業は餌場で狩場。悪食で酒好き。
楽しい事と人の笑顔が好きで戦闘中も飄々と笑みを絶やさない。
敵に対しては嫌味や挑発もよく吐く。

※妖孤だが耳と尻尾は晒さない

・以下PC口調
接近戦と術を併用した戦い方が得意だねぇ、怪我とか気にしないタイプ。
敵へ言葉掛ける時は呪詛や誘惑目的が多いンじゃないかしら。
得意なのは懐へ飛び込んで『2回攻撃/傷口をえぐる/生命力吸収』の流れ、負った傷分喰らってやるわ。
自分の価値観が一番ダケド、公では公序良俗には反しないようにしてるヨ。
敵を喰らう事以外は、ネ。



「すごい危険な雰囲気を感じるッピ。今までにない何かヤバイ雰囲気をッピ。猟兵……なんだろう、向かってきてる確実にッピ、着実に、ボクの方にッピ……」
 きんぐセキセイさまが後ずさりをしている。彼は明らかに目の前にいる猟兵達を恐れている。
「何を脅えているのかな? オレはただきんぐセキセイちゃんを喰らいたいと思ってるだけだヨ」
 フライパンを片手に笑みを絶やさない妖狐の名はコノハ・ライゼ(空々・f03130)だ。UDC組織の犬を自称しているが、その実は要監視対象という曰くつき。彼にとって猟兵稼業とは餌場であり狩場、きんぐセキセイさまとて例外ではないのだ。
「デュフフフ! きんぐセキセイ殿はどんなジャンルのゲームやアニメが好きでござるか? 推しの美少女猟兵トークで拙者と一晩語り合おうでござる!」
 侍キャラでもないのに謎のござる語を扱うこの男こそエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)だ。本人曰く歴戦の傭兵らしいが過去の戦闘記録が残っていない上に、そもそもどうやってこの世界に現れたかすら不明の謎のおっさんである。

「で、どうする? エドゥアルトちゃんから喰らうのかナ?」
「いやいや、ここはきんぐセキセイ殿のテリトリーでござるよ。まずはきんぐセキセイ殿から行くのが定石にしてセオリーでござろう」
「えぇ……ぼくちょっと用事思い出したから帰っていいッピ……?」
 妖しいと怪しいが合わさり最強に見える猟兵を前に、きんぐセキセイさまはすっかり意気消沈していた。だが、ここで退いては邪神様に申し訳が立たない。
「……正直やれるとは言えないッピ。けど、やるしかないッピ!」
 きんぐセキセイさまは自身を奮い立たせると、羽毛を膨らませた。中から無数のちびセキセイが飛び出して二人の猟兵を見下ろす。
「ちびセキセイはダテじゃないッピー!」
「ちょ、ちょ、ちょっと待つでござる、きんぐセキセイ殿! もしかしてロボットアニメとか好きだったりしないでござるか? 先ほどから貴殿の口ぶりに何かこうシンパシー的なものをひしひしと感じるでござるよ。拙者達の仲じゃあないか、全部さらけ出そうではござらぬか……デュフフフ!」
「ピュエ!? どうしてぼくがあの伝説のロボットアニメ好きなことわかったッピ……まさか貴殿も好きなのでござるッピ? ぼく伝説の円盤持ってるから良かったら一緒に見ないかッピ?」
「ンンンンン! もしかして二秒間だけ敵機体の肩が塗り忘れられてたことで回収されたあの伝説の円盤でござるか? さすがきんぐセキセイ殿は御目が高いでござるな!」

 きんぐセキセイさまは気づいていなかった。
 これがエドゥアルトのユーベルコード『隣人力』であることに。
 完全に彼の術中にハマってしまいちびセキセイのことを忘れ去っていたのだ。

「あら、エドゥアルトちゃん結構やるじゃない。それじゃ次はオレの出番だネ」
 コノハは語り合うことに夢中になっているきんぐセキセイさまの後ろに忍び寄ると、フライパンにワインを投入して少し熱した。あたりに芳醇な香りが漂いだしたのを確認すると、コノハはそのフライパンを高々と掲げて――。
「さあ、遠慮なく調理されてネ」
 きんぐセキセイさまの背中目掛けて叩きつけたのだ。
「ピュオエェエー! 熱いでござるッピ! 熱いでござるッピ! ……この猟兵、まじでぼくの事を喰うつもりッピ……」
 震えあがるきんぐセキセイさまであったが、コノハは自身の銀髪を触りながら邪神トマトの方を眺めていた。
「あら、コチラの方が美味しそうネ。なんだかきんぐセキセイちゃんにはもう興味なくなっちゃったワ」
「ピェ……」
「デュフフフ! 邪神殿はどんなジャンルのゲームやアニメが好きでござるか? 推しの美少女猟兵トークで拙者と一晩語り合おうでござる!」
「ピェェ……」
 あっという間に二人の猟兵の興味は邪神へと向いてしまった。
 きんぐセキセイさまは心から助かったという思いと、一抹の寂しさを同時に感じた。

「なんだろう、この敗北感ッピ……」

 頑張れ、きんぐセキセイさま!
 負けるな、きんぐセキセイさま!
 邪神様が完全復活を待っているぞ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

厳・範(サポート)
長年の修行で誘惑に強いお爺です。
食べ物に制限はありません。
話し方は古風です。

亡き親友との約束(世界を守る)で、封神武侠界のみで活動していましたが、『仁獣』性質と親友の幻影の後押しで決意し、他世界でも活動し始めました。
「放っておけぬのよ」

動きとしては、主にサポートに回ります。
【使令法:~】では、麻雀牌を利用して、対象生物を呼び出します。
【豹貓】は睡魔を呼ぶ、【胡蜂】は恨みの毒(理由は秘密の設定にて)という感じです。

また、半人半獣もしくは本性の麒麟形態だと、背に人を乗せることがあります。

なお、武侠の血が騒ぐと足技が出ます。

依頼達成のためとはいえ公序良俗に反する行為はしません。
あとはお任せします。


向・存(サポート)
もし手助けが必要でしたらお手伝いするのですよぉ~。
ユーベルコードの出し惜しみをするつもりはありませんけどぉ、だからと言って乱発すればいいってものでもないですよねぇ~。
使いどころに迷ったときはぁ、ご同輩に相談すればいいでしょうかぁ~?
けどぉ、非道なことをなされる方には手加減無用、全力で参らせていただきますねぇ~。
あとは最後まで油断大敵、【咄嗟の一撃】も放てるように【逃亡阻止】は意識しておきましょう~。
大丈夫ですよぉ~、手足の二・三本くらいもげてもなんとかなりますのでぇ~。
荒事以外の御用ならめいっぱい楽しんじゃいますよぉ~。
特に読み物なんかは好きですねぇ~。
※アドリブ・連携歓迎



「ふむ、あれはこの世界における瑞獣か何かか? 貴殿の考えをお聞かせ願いたい」
 きんぐセキセイさまから一瞬たりとも目を離さずに疑問を口にしたのは齢七十を超える見た目のお爺、厳・範(老當益壮・f32809)だ。実は彼は瑞獣として名高い黒麒麟であり、本当の年齢はとうに千歳を超えると言われている。
「どぉ~ですかねぇ~。今までに読んだ書物にあんなトンチキな瑞獣は載ってなかったですねぇ~」
 おっとりした口ぶりで返したのは僵尸の悪霊、向・存(葭萌の幽鬼・f34837)だ。彼女は生前劉璋に仕えていたが葭萌関にて落命、しかし蜀を想う気持ちから僵尸として再び舞い戻った憂国の士だ。

「誰がトンチキだッピ! ぼくは威厳に満ちたきんぐセキセイさまッピ!」
 怒りに打ち震えて羽毛がばっさばっさと落ちるきんぐセキセイさまであるが、厳範と向存はそんな様子には惑わされずに静かに佇んでいた。
「ではぁ~、わたしぃ~から様子見させていただきますねぇ~」
 向存はきんぐセキセイさまの前に軽快に現れると、懐から棒手裏剣のようなものが先端に取り付けられた三メートルほどの縄を取り出して振り回し始めた。
「ほう、縄鏢か。威力と取り回しに優れてはいるものの扱いの難しい得物だが、向存殿は如何程の遣い手かな」
 じりじりと距離を詰める向存に対して、きんぐセキセイさまは不動の構えを貫いた。いや、もしかしたらビビって動けないだけなのかもしれないが。

「良いんですかぁ~? そのままだともうすぐわたしぃ~の射程内ですよぉ~」
 縄鏢が空気を切り裂く音が祠内に響き渡る。
 その音が一瞬止まった刹那、縄鏢の先端がきんぐセキセイさま目掛けて鋭く投げられた。きんぐセキセイさまはそれを紙一重で躱すと、翼を広げて向存の目前まで迫りマントを翻した。マントの裾が怪しく光り向存の右腕に狙いを定める。
「うわっとぉ」
 気づけば向存の身体が宙を舞っていた。その下には黒麒麟と化した厳範の姿。
「大丈夫か、向存殿」
「えっへっへ~、ホントは腕を斬り落とされる予定だったんですけどねぇ~」
 向存は自身の額に貼られていた封魂符を剥がして人差し指と中指で挟みヒラヒラとはためかせた。先ほどきんぐセキセイさまのマントで傷つけられた右腕の傷がみるみる治っていく。
「それは屍身超越……なるほど、少々早まってしまったか」
「そんなことないですよぉ~、こうしてると何だか東州兵だった頃を思い出しますねぇ~」
 どこか懐かしい目をしながら向存は包帯を解くと、強く霊力を込めた。たちまち包帯が一対の双剣となり向存の両手に収まる。
「厳範のお爺、このまままっすぐお願いしますねぇ~」
「あいわかった、向存殿」
 祠の天井ぎりぎりの所から急降下する厳範。再びマントを靡かせて迎え撃つきんぐセキセイさまであったが――早い、厳範が余りにも早すぎる、これこそが黒麒麟の真の力。
「ピ、ピェエエエエー!」
 向存の双剣がきんぐセキセイさまのマントを十字に切り裂いた。

 ――厳範と向存の姿はさながら赤兎にまたがる飛将の如し。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

陽殿蘇・燐(サポート)
バーチャルキャラクターの寵姫×国民的スタア?いいえ、これでも(元)ラスボスな悪女NPCよ。
基本は高性能スマホを利用して、配信しつつの行動になるわね。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用するし、多少の怪我は厭わず積極的に行動するの。これでもバーチャルキャラクターだもの。
悪女たるもの、その行為は健全な世界あってこそなのよ。だから他の猟兵に迷惑をかける行為はないわ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしない。配信垢BANされちゃう。
あとはおまかせ。よきに計らいなさい(思い出した悪女ムーブ)


キマフュ出身なので、トンチキでも適応していきます。


花厳・椿(サポート)
白い蝶という魂を蝶に変え、自分の一部として取り込み力をつけてきた妖怪

・口調
一人称:椿
二人称:あなた、~さん
なの、よ、なのね、なのよね?

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 きんぐセキセイさまはいそいそと赤いマントを羽織っていた。
「なんでどいつもこいつもぼくのマントを攻撃するッピ……このマントだってタダじゃないんだッピ……」
 ぶつぶつと愚痴る彼の背後から一人の猟兵が迫る。
「ちょっとあなた……愛しのきんぐセキセイさま、戦いの様子を生配信したいのだけど良いかしら?」
「え、今度は生配信ッピか……もう、最近の猟兵はどうなってるッピ……ぶつぶつ」
 差し出された配信許可証にサインをするきんぐセキセイさまを見ているのは『悪女するなら、そこは健やかな国でなければならない(=悪女倒れれば、その後は国が平和になる)』 に出てくるラスボス『炎術士・燐』こと陽殿蘇・燐(元悪女NPC・f33567)だ。彼女は生配信をする時は必ず確認を入れるネットリテラシーの高い悪女なのだ。
「椿様も良かったらサインしてくださる?」
 静かに頷き、燐から配信許可証とペンを受け取ったのは花厳・椿(夢見鳥・f29557)、儚く美しい少女の姿をしているが、その姿は以前蝶の化生が愛した人の姿、その名は椿。
 偶然にも白い蝶を身に宿す椿と、クロアゲハを纏わせる燐が手を組むことになった。よく見ると蛾が数匹混ざっているが細かいことは気にしなくても良いだろう。とにかく白と黒のコントラストが実に幻想的だ。

「なんかあの黒い方ヤバイ何かを感じるッピ……」
 ちびセキセイさまの危険感知センサーが燐に強く反応する。オブリビオンである自分に背を向けて『悪女NPC(ラスボス)だったけど、猟兵になってみた』の生配信を開始して挨拶している猟兵は絶対に危険だ。
「あっちの大人しそうな奴から倒してやるッピ!」
 椿にターゲットを絞ったきんぐセキセイさまが転がりなら猛スピードで迫りくる。新調したマントが風に靡き空気を切り裂く。
「……愛しい人、美しい人、どうか微笑んで……」
 椿の身体から白い蝶がひらひらと舞い上がる。いつしか彼女の姿が蝶に包まれ、その姿が再び露わになった時、その手には身の丈程もある鉈があった。
「ピィエ!?」
 彼女が鉈を振るう度にきんぐセキセイさまの赤いマントが切り裂かれ、宙に舞う。白い蝶と赤い布切れが舞う様はまるで白無垢に広がる血痕のようであった。

「怖いッピ! も、もういっそ弱点の王冠を攻撃してほしいッピ! 頼むッピ!」
 きんぐセキセイさまは小さな足を全力で回転させると燐の方へと向かった。
 燐は生配信に使っている超高性能スマホを手にしたままきんぐセキセイさまに向かって妖しく囁いた。
「炎の揺らめきにて、堕ちなさい」
 祠の中を埋め尽くさんとするクロアゲハが現れて炎を纏う。それらはきんぐセキセイさまの前に集まるとゆらゆらと蠟燭の灯のように揺らめいた。
「な、なんだかまた眠くなってきたッピ……」
 パタリと倒れて眠るきんぐセキセイさまが画面に映るように調整すると、燐は生配信の視聴者に向かって得意そうに語り掛けた。
「ふふふ、見ましたわね? 今のが私がラスボスの時に設定上有していたけど使わなかった炎術:催眠蝶ですことよ。今日の生配信を見た方は本当に僥倖よ」
 視聴者が喜ぶ姿を満足そうに見た燐は、ふと椿が祠を後にしようとするのに気づいた。
「椿様、お待ちになって。良かったら視聴者に挨拶してくださいません?」
「良いよ……」

 人がすること、考えることは蝶の化生である椿には良くわからない。
 でもふと思うのだ、本来の椿であったらどうしただろう、と。
 もし彼女があの籠のよう世界から解き放たれていたらどうなっていただろう、と。

「みんな……こんにちは」
 椿はニッコリと微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マホルニア・ストブルフ(サポート)
◇口調:男性的
一人称:私
三人称:お前、呼び捨て
【だ、だな、だろう、なのか?】~か、〜するよ、構わん、等
協力者には丁寧に接する。

◇行動方針:問題の解決
一般人がいれば保護が優先。
多少の負傷は気にせず行動。

◇戦闘・技能
知覚端子を張り巡らせ、地形や敵の動向を情報収集しながらサポートしようか。
電子媒体はハッキング、戦闘はグラップル、切断、射撃系がメインだな。使える技能は使っていこう。

武器はレヴィアスクかアサルトライフル。移動や捕縛、足場に転用でGleipnirを使うこともあるな。
UCはハッキング・UDC由来の呪詛を組み合わせて実現させる。詠唱は長いからな、有っても無くても構わない。後はよろしく頼む。


スフィア・レディアード(サポート)
『皆さん、頑張りましょう!』
 ミレナリィドールの妖剣士×鎧装騎兵、21歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(私、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は元気で、楽しい祭りとかが好きな少女。
武器は剣と銃をメインに使う。
霊感が強く、霊を操って戦う事も出来る(ユーベルコード)
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「お願いするッピ。どうか僕の弱点の王冠を攻撃してほしいッピ」
 邪神の完全復活を目論む封印の守護者とは思えない言葉を口にするきんぐセキセイさま。彼はここまでに至る猟兵の様々な攻撃についに心折れ力尽きたのだ。
 だが、堂々と弱点を口にされて「はい、そうですか」と攻撃するものはそうはいない。マホルニア・ストブルフ(欠けた年代記・f29723)もそんな猟兵の内の一人だ。
「UDCのオブリビオンは多種多様だけど、これも少し変わってるね。本当の弱点はどこにあるのだろうか」
「うーん、案外本当に王冠が弱点だったりして!」
 元気よく答えたのは人型機械人形の妖剣士スフィア・レディアード(魔封騎士・f15947)だ。機械人形とは思えないほど表情豊かで人懐っこい彼女には楽しいお祭りが大好きという側面もある。

「よし、まずは私から行く」
 マホルニアはアサルトライフルを構えると拡張義体のダッシュで一気に距離を詰めながら制圧射撃を開始した。
「ピィエエエエエエ!」
 再び新調したマントを今度こそ攻撃されてなるものかと必死に逃げ回るきんぐセキセイさま。その様子を見たマホルニアはアサルトライフルを投げ出すと、きんぐセキセイさまのマントを掴んで奪い取った。
「そ、そんなのありッピか!?」
「ふ、明らかに大事そうにしていたな。すなわちこれこそがお前の真の弱点――」
 マホルニアがマントを宙に投げ出す。
「CODE:EMISSION//LDF_B_MODULE COORDINATE SHIFT.」
 彼女の周囲に突如大量のビットが出現し、マントをロックオンする。
「や、やめるッピィー!」
 このままではマントがどうなるかは目に見えている。きんぐセキセイさまの怒りと悲しみが王冠を通じて空気へと伝播する。それは次第に光り輝き、稲光となって祠に降り注ぐ。
「そうはさせないよっ!」
 スフィアがマホルニアの前に飛び出して霊魔葬送弾を祠の天井に向かって撃ちだした。途端にそこから光り輝く稲光が現れ、きんぐセキセイさまの稲光と衝突し相殺する。
「偶然にも光り輝く者たちの共演となったな」
 マホルニアのユーベルコード『光り輝く者』が発動し、ビットから強力なレーザーが放たれる。後には赤いマントだったものが残された。

「ああああああああああああ!」
 余りにもあんまりな仕打ち。きんぐセキセイさまは慟哭した。許せぬ、猟兵が許せぬ。
「もう全部ぶっ壊してやるッピ!」
 祠内に三度稲光が降り注ぐ。無差別に放たれたそれは気づけば邪神トマトにも直撃していた。
「ちょ、大丈夫かな? やばくない?」
 封印の守護者が残ってる今、できるだけ邪神トマトには刺激を与えたくない。そう考えたスフィアは紅月の小盾を頭上に掲げてきんぐセキセイさまへと接近した。
「ピィエエエエエエエエエエエエエ!」
 泣き叫ぶ彼の元に迫ると、スフィアは畏怖の魔剣を水平に構えて催眠の魔法を詠唱する。
「ピィ……エエエ……」
 今日何度目かわからない眠りにつくきんぐセキセイさま。起こさないように恐る恐る離れるスフィアであったが、ある事に気づいてしまった。
「トマト……大きくなってない?」

 邪神トマトが震えている。
 邪神トマトが肥えている。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

チル・スケイル(サポート)
「皆さん、よろしくお願いします(お辞儀)」
「…(仕事の時間)」

「では、吉報をお待ちください」

竜派ドラゴニアンのクールな女性です。普段の口調は『私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?』誰にでも礼儀正しく接します
戦闘中は 『私、あなた、~さん、言い捨て』不要な発言はしません

戦闘スタイルは魔法による射撃が主体。氷の魔法を操ります。それ以外の属性は使いません

侮辱や暴言、報酬の踏み倒しなど、敬意に欠ける行為を嫌います

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません
スシが大好きです

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ギャレット・ディマージオ(サポート)
●設定等
ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士です。
オブリビオンに滅ぼされた都市で自分だけが生き残った過去を悔い、人々を守ることを重視して行動します。

●戦闘において
「及ばずながら、手助けさせて貰おう」
「貴様の相手は、この私だ!」
「なんと強力なユーベルコードだ……! (解説) 直撃すれば一たまりも無いぞ!」

・牽制攻撃
・敵の攻撃から他の猟兵や一般人を守る
・敵の攻撃を回避してカウンター
・ついでに敵の強さを解説する
など、防御的・補助的な行動を得意とします。

メイン武器は「黒剣」です。

他は全てお任せします。
別の猟兵との交流や連携等も自由に行ってください。
どうぞよろしくお願いします。



「これ以上邪神に刺激が入っては危険だ。早急に守護者との決着をつけるべきだろう」
 ギャレット・ディマージオ(人間の黒騎士・f02429)が漆影剣リグガガを音も無く抜き放ち、きんぐセキセイさまの前に立ちはだかった。
「私思うんですが、弱点は本当に王冠なのではないですか?」
 今までの戦いを冷静に見ていたチル・スケイル(氷鱗・f27327)が鋭い指摘をする。確かにきんぐセキセイさまは散々自分の弱点を王冠だと言い張っていたし、マントをいくら攻撃しても倒れることは無かった。
「私もそう思う。恐らくきんぐセキセイさまはあえて弱点を口にすることで我々に疑念を持たせたのだろう」
「なんかただ単に弱点口走っただけな気もしますが……」

 ついに真実に辿り着いた二人の猟兵に対して、きんぐセキセイさまは自暴自棄になりつつあった。
「もう邪神様復活とか良いからぼくがこのトマトを喰らってやるッピ!」
 鎮座されているカボチャ大の大きさのトマトを手に取るとクチバシを大きく開き飲み込もうする。
「いかん、そうはさせない!」
 ギャレットの漆影剣が影の斬撃を飛ばす。たちまちそれは邪神トマトを持つきんぐセキセイさまの翼を切り裂いた。
「邪魔するやつはもう容赦しないッピ……」
 きんぐセキセイさまの姿がギャレットの視界から消えた。
「む、どこにいった」
「ギャレットさん、上」
 切り裂かれた翼を煙幕とし、きんぐセキセイさまは高く飛びあがっていた。その目は邪気に満ち溢れ、マントはさながらギロチンの刃のように鈍く光る。
「このまま首を切り落とすッピ!」
 ギャレットは左手で漆影剣の柄を、右手で刃を支えると頭上に掲げた。
「我が身体よ、人々を守る城塞となり、石垣となり、堀と化せ」
 きんぐセキセイさまのマントの刃が漆影剣に食い込み凄まじい金属音と火花を散らす。常人であれば容易く突き破られるであろうそれを、ギャレットは渾身の力で押し返す。
「チル、今の内に王冠を狙うのだ!」
「えぇ、元よりそのつもり」
 チルは狙撃杖『カシュパフィロ』を手に取ると狙いを王冠に定めた。きんぐセキセイさまは今ギャレットの首を落とすことしか考えていない、チルへの注意は完全に失われている。

 一撃で。

 心の中でそう念じるとカシュパフィロから氷の魔法弾が飛び出した。氷弾の軌跡が凍り付き、周囲の熱を奪っていく。きんぐセキセイさまがその冷気に気が付いたのは王冠が撃ち抜かれた後だった。
「ピッ……」
 凍り付いた王冠が音を立てて床に転がり、きんぐセキセイさまが倒れた。
「無事に倒せましたね、これで後は封印状態の邪神にとどめをさすだけです」
「万が一という事がある、それは私にやらせてもらおう」
 ギャレットが邪神へと歩みを進めると、きんぐセキセイさまが笑い出した。
「くっくっくっく……まさか終わったと思ってるッピ?」
「なんだと?」
「完全復活には少し届かなかったけど、ぼく自身を捧げる事で邪神様は復活するッピ……」
 力尽きたきんぐセキセイさまの姿が溶けていき邪神トマトと融合する。祠が大きく振動を始めて天井が崩れだした。
「いかん、祠から退避だ!」
「入り口はこちらです」
 二人が外に出ると同時に、祠が砂煙と共に崩壊した。
 跡地に現れたのは凡そ二十メートル程の大きさの巨大な赤い――。

「トマト、ですね」
「ああ、トマトだ」

 ――邪神復活だ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『正気を奪う赤い果実』

POW   :    硬化する赤い果実
全身を【硬質の物質】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    振動する赤い果実
【高速で振動することで衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    空腹を満たす赤い果実
【空腹】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【無数のトマトの塊】から、高命中力の【トマト弾】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠赤城・傀です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 雪が吹き荒ぶ邪神山脈の頂。
 先ほどまで祠があった場所に鎮座する赤き果実。
 包囲を開始する猟兵たちであったが突如脳内に声が響き渡る。

『来ましたね、猟兵』

 疑うべくもない。
 声の主は邪神だろう。
 意外に低くダンディな声に戸惑うがこれは邪神だ、正気を保て。

『本来であればこの百倍の大きさになるはずでしたが……完全復活を阻止した貴方達のその手腕は褒めざるを得ません』

 やめてほしい。
 百倍と言ったら福島県にある緑豊かな山、会津磐梯山並の大きさだ。
 そんな大きさのトマトが現れたらUDCアースの住民の正気が奪われてしまう。

『かくなる上は貴方たちを倒し贄としましょう。さあ、かかってきなさい』

 邪神の周囲から凄まじい衝撃波が巻き起こり猟兵たちの身体を駆け抜ける。
 どうやら見た目に反してその実力は本物のようだ。

『……ところで、貴方達はトマトはどうやって食べますか。そのまま丸かじり? サラダにいれて? 塩をかけて? ……まあ、良いでしょう』

 邪神は身を震わせると静かに続けた。

『まさか……砂糖をかけて食べるなんて冒涜的なことをするものはいないでしょうね? もし、そんな愚かな猟兵がいたとしたら……この俺が嬲り殺しにしてやるからな! ウッヘッヘッヘッ!』

 急に邪神の声のトーンが狂気に満ち溢れる。
 こいつの名前は『正気を奪う赤い果実』。
 そう、既に自身も正気を失っているのだ。

『オラァ! 猟兵ども! かかってこいよ! 砂糖かけてぶち殺してやるっ!』

 猟兵よ、奴のペースに乗せられてはならぬ。
 逆にこちらのペースに乗せてやるのだ。
フォス・オネイロス
【ブラック】

出てきましたね、生きとし生けるものすべての敵。
あなたなど、話さなくても動かなくても邪神です。

しかも『食べる』?
祭りで投げつけるしか存在価値がないくせに。

それに……わたしたちに砂糖をかける?
ならばあなたはマヨネーズに塗れさせてあげましょう。

それはもう大量に……何リットルでも何十リットルでも!

って、え? ペルセポネさん?
そうですよ、あれが三十六世界の諸悪の根源です。

いま叩き潰してすり潰しちゃいますから待っててください
でもあんなの食べちゃダメですよ?

【纏繞連擲】でトマトに攻撃をしかけたら、
汁が飛び散り、ペルセポネさんのお洋服に!?

脱いで!すぐ脱いで!穢れちゃいます!

と服を剥ぎ取りますね。


ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「あれが……トマトなのですか?
いいえ、そんなはずがありません!」

だって食卓に出てくるトマトは、切れてサラダに入っていたり、スープになっていたりと、あんな丸い形ではないですもの!
この私を騙すつもりでしょうけれどそうはいきませんからね!

「フォスさん、あんなトマトを騙る邪神は倒してしまいましょう」

【義体用強化パーツ】を射出しフォスさんをサポートします。
強化されたフォスさんならあんな赤い邪神に負けたりはしません。

「って、きゃああっ!?」

戦いで飛んできた赤い塊を避けきれず、お洋服――とスカート履いてないので丸見えになっている純白の下着に染みが!?

「やっ、フォスさんっ!?
脱がさないでっ!?」



 光り輝く赤いボディ、瑞々しく茂るヘタ、狂気に満ち溢れた笑い声。
 きんぐセキセイさまやちびっこパンダとは一線を画した威圧感を持つ邪神、それこそが『正気を奪う赤い果実』だ。完全復活を成し遂げていないとは言えその実力は計り知れないだろう。

「出てきましたね、生きとし生けるものすべての敵。あなたなど、話さなくても動かなくても邪神です」
 恐るべき邪神の前に最初に立ち向かったのはブラック・カンパニーの特殊渉外課に所属するフォスだ。右腕の義体を軋ませながらゆっくりと邪神へと歩みを進める。
「しかも『食べる』? 祭りで投げつけるしか存在価値がないくせに」
「『投げる』だと……? 今投げるって言ったか!?」
 邪神がフォスの発言に激高する。どうやら邪神は一応食べ物として見て貰いたいらしい。
「それに……わたしたちに砂糖をかける? ならばあなたはマヨネーズに塗れさせてあげましょう。それはもう大量に……何リットルでも何十リットルでも!」
 声高らかに宣言したフォスの横には、ブラック・カンパニーの社員食堂から拝借してきた大量のマヨネーズがうず高く積み上げられていた。

「あれが……トマトなのですか? いいえ、そんなはずがありません!」
 一方、ペルセポネはマヨネーズの山の横から顔を出して不思議そうに邪神を見ていた。マヨネーズの山に隠れているのはちびセキセイさまとの戦いでスカートを失って恥ずかしい姿になっているからだ。
「だって食卓に出てくるトマトは、切れてサラダに入っていたり、スープになっていたりと、あんな丸い形ではないですもの!」
「って、え? ペルセポネさん?」
「え? 丸くない……?」
 ペルセポネはメガコーポ『ブラック・カンパニー』の社長令嬢だ。自分でトマトを栽培することはおろか、お店で買う機会すら無い。彼女にとってトマトとは調理済みで食卓に提供された姿を指すのだ。
 とんでもないお嬢様っぷりを発揮したペルセポネだが、自身を恐るべきトマトだと認識している邪神にはこれが意外にも効いた。彼は一転、自分を見失い始めたのだ。
「トマトは丸くない……? 俺はトマトじゃない……? 俺は誰だ……?」
「フォスさん、あんなトマトを騙る邪神は倒してしまいましょう」
 自信満々に目を輝かせてフォスを見るペルセポネ。その姿を見たフォスは何かを言いかけてグッと飲み込むと頷いた。
「……そうですね、あれが三十六世界の諸悪の根源であることには変わりません」
 静かに息を吐くと、フォスは邪神へと向き直る。
「いま叩き潰してすり潰しちゃいますから待っててください。でもあんなの食べちゃダメですよ?」
 地を蹴るとフォスはそのまま邪神へと急接近、すれ違いざまに義肢による連撃を叩き込む。しかし、邪神の果肉は衝撃を受け止め弾むだけに過ぎなかった。
「くっ……」
「フォスさん、サポートします!」
 ペルセポネがトランクを開けてスイッチを入れると、義体用強化パーツが音を立ててフォスへと向かっていった。フォスは右腕と右足をグッと構えて拡張スロットを開き、三日月形のパーツを受け入れる。
「……これは!」
 義肢に装着されたのは鋭い刃の強化パーツ、これなら弾力のある邪神の身体を傷つけることが可能だろう。
「ペルセポネさん、ありがとう……いくよ!」
 再びフォスが目にも止まらぬ乱撃を放つ。義肢に装着された刃が邪神の身体を容易く切り裂き、血なのか果肉なのかトマトなのか良くわからない何かが辺りに飛び散る。

「ふふ、強化されたフォスさんなら、あんな赤い邪神に負けたりは……って、きゃああっ!?」
 飛び散った赤い何かがペルセポネに降り注ぎ、洋服と純白の下着がみるみる赤く染まってゆく。それに気づいたフォスは踵を返すと、大慌てでペルセポネの下へ向かった。
「ペルセポネさん! 脱いで! すぐ脱いで! 穢れちゃいます!」
「やっ! フォスさんっ!? 脱がさないでっ!?」
「ダメですっ! 邪神の仔になっちゃうかもしれませんっ!」
「俺はトマト……俺は誰……」
 自問自答する邪神の隣で服を奪おうとするフォスと必死で抵抗するペルセポネ。しかしフォスは特殊渉外課の腕力担当だ、運動が苦手なペルセポネが叶う訳もなく――。

「きゃっ!」
 勢いよく下着ごと服を脱がされたペルセポネはそのままマヨネーズの山に尻もちをついてしまった。顔や身体が乳白色塗れになってしまう。
「ひゃん、ねばねば塗れ……」
「ふぅ……これで一安心ですね!」
「俺は……マヨネーズ……?」

 恐るべき邪神と猟兵達の戦いは、こうして幕を開けたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神塚・深雪(サポート)
※連携およびキャラを逸脱しないアドリブ歓迎
※お色気、公序良俗に反する行動、所謂R18やR18Gの系統はNG
※口調等はステシ参照ください

元能力者の猟兵。
通常依頼であれば、基本的にはお手伝い/サポート役に徹しますが、状況に応じて対応でも可。判断はお任せします。
サポート優先依頼の場合は、状況に応じます。

基本的には高いステータスのUCを状況に応じて使用します。
他の猟兵に迷惑をかけたり、脚を引っ張る、目的達成に反する行為はしません。
人道から外れたような行いには嫌悪感と怒りを強く示します。

基本的には、礼儀正しい丁寧な物腰。
出身の銀雨世界以外であれば興味津々な様子も見せます。


厳・範(サポート)
長年の修行で誘惑に強いお爺です。
食べ物に制限はありません。
話し方は古風です。

亡き親友との約束(世界を守る)で、封神武侠界のみで活動していましたが、『仁獣』性質と親友の幻影の後押しで決意し、他世界でも活動し始めました。
「放っておけぬのよ」

動きとしては、主にサポートに回ります。
【使令法:~】では、麻雀牌を利用して、対象生物を呼び出します。
【豹貓】は睡魔を呼ぶ、【胡蜂】は恨みの毒(理由は秘密の設定にて)という感じです。

また、半人半獣もしくは本性の麒麟形態だと、背に人を乗せることがあります。

なお、武侠の血が騒ぐと足技が出ます。

依頼達成のためとはいえ公序良俗に反する行為はしません。
あとはお任せします。



「俺は邪神……? 俺はトマト……?」
「完全復活に至らなかった故か、あるいは元々そういう性質なのか。どうやら精神が未熟なようだな」
 焦熱鎗を片手に厳範(老當益壮・f32809)は鋭い目つきで邪神を見ていた。例え相手が面妖な邪神であっても一分の隙も見せない立ち振る舞いが、重ねてきた年月の功を感じさせる。
「このまま祓いますか?」
 透き通る刀身が美しい日本刀を手にした銀髪の女性、彼女こそが神塚・深雪(光紡ぐ麟姫・f35268)だ。娘がありながら能力者として活動を続けていた最中に猟兵として覚醒した美しきストームブリンガーだ。
「しばし様子を見るが良かろう。何せあやつは動けぬからな」
 厳範の言葉に頷くと、 深雪は麟楔刀を鞘に納めて改めて柄に手をかけた。

「猟兵? フヘヘ、猟兵? お前はトマトが好きか? 何をかけて食べる?」
 こちらに気づいた邪神が厳範に妖しく声をかける。
「トマトとな、わしの世界ではあまり見かけぬ食べ物だが。まずはそのまま生で頂きたいところだな」
 厳範は仙人にしては珍しく普通の食事も楽しむタイプだ。食べる機会のあまりないトマトに対して食指が動く。
「食わせてやるよぉおお! オラァ!!」
 邪神の周囲に無数のトマトが出現したかと思うと、厳範目掛けて高速で向かっていく。しかし、厳範は身動き一つせず口を開いた。
「そう来ると思っておった」
 焦熱鎗をバトンのように回すと飛び来るトマトを次々と打ち払う。同時に厳範の周囲から桃の花びらが舞い散り始めた。
「深雪殿、今こそ好機!」
 気づけば焦熱鎗自体が桃の枝と化し、花びらが嵐の様に辺りに渦巻いていた。邪神の視界は完全に桃一色となり、猟兵の姿を認識できなくなったのだ。

「光よ……」
 深雪は桃の花びらの間を縫うように舞いながら邪神へと接近する。それはさながら神楽を舞う巫女のように美しい動きであった。
「共に舞え……!」
 麟楔刀の柄から光が満ち溢れる。深雪は柄に手をかけると邪神の身体へと一閃した。軌跡に沿って銀色の羽根が舞い落ち、切り裂かれた邪神から赤い液体がほとばしる。
「人々を狂気に陥れるなんて……許せません」
 返す刀が邪神の傷跡を更に深く抉る。銀色の羽根が朱に染まり、桃の花びらと共に辺りを彩る。
「だから私があなたを倒します!」
 舞うように身体を翻すと深雪は刀を斬り上げた。邪神の身体に大きな傷が入り、銀色の羽根が天高く舞い上がる。
「これで……!」

 最後の一太刀。
 これが入れば邪神の命を断てる。
 刀を大きく振りかぶって力を籠める深雪。

「深雪殿、そこまでだ」
 気づけば厳範は半人半獣の姿となり深雪の真後ろまで迫っていた。そのまま深雪を鞍に乗せると物凄い速さで雪上を駆ける。同時に背後で身をつんざくような恐ろしい音と共に衝撃が走った。
「こ、これは……」
 振り返った深雪の目に入ったのは信じられない光景であった。邪神の周囲百メートルほどの間にあった木や雪や岩が全て消し飛んでいたのだ。もしあのまま巻き込まれていたら大惨事になっていただろう。
「でもあと一太刀浴びせていれば……」
 唇を噛む深雪に対して厳範が静かに語り掛ける。
「一人で抱えて倒そうとしなくて良い、継いで行くのだ。そう、親から娘へと続くようにな」

 ふと娘とパートナーの顔が深雪の頭に浮かぶ。
「……そうですね」
 そこにいたのは優しい母の顔をした深雪の姿だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

コーデリア・リンネル(サポート)
 アリス適合者の国民的スタア×アームドヒーローの女の子です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

内気な性格のため、三点リーダーや読点多めの口調になります。
ですが人と話すのが嫌いでは無いため、
様々な登場人物とのアドリブ会話も歓迎です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


隠神・華蘭(サポート)
※えっちなのはよろしくないと思いますぅ。それ以外でしたら割となんでも。

化け狸の華蘭と申しますぅ。
一人称はわたくし、お名前呼びは〇〇様で口調は丁寧語、カタカナ表記の単語は人名以外はひらがなで喋りますよぉ。

化術や逃げ足を駆使して駆け回りながら攻撃は鉈での切断と小判ばらまきや狸火での範囲攻撃をめいんに使っていきますよぉ。
UCは何でもいけますねぇ、『山口霊神』や『怨み狸』辺りはとっておきですので強敵さんに当たってしまったらそれも使用考えましょう。

他の妖怪さんをはじめ、人間以外は優先的にお優しく接しますよぉ。
普通に接するだけで別に人間にきつく当るというわけではないですのでご安心を。


編堵・希亜(サポート)
「……なに?」
「そうなんだ。」
「私は、私だよ。」

囚人服のようなものを着て、いつも黒猫のぬいぐるみを抱えた女の子。口数は少なく、人見知りで猜疑心は強いものの、猟兵としての仕事をこなすためなら、それなりに人と付き合っていける。
甘い物が大好きで、食べればすぐに機嫌がよくなる。嫌いなモノは、かつて自分のいたアリスラビリンスの世界と、それを連想させるもの。

戦闘では、自分ではあまり戦わず、自身に宿るオウガの『カイ』を戦わせたり、ぬいぐるみをバロックレギオンとして相手を押しつぶしたりする。

『カイ』は上等なドレスを着たラミアで、少し高飛車な話し方。宿主の身は守り、敵には容赦がない。『さぁ、敵はどこかしら!?』



 流石は邪神と言うべきだろうか。度重なる猟兵の攻撃を受けて傷にまみれているにも関わらず、一向に倒れる様子がない。
「……砂糖を……砂糖よぉ……」
 しかし戦闘前の不遜な物言いは影を潜め、口数が少なくなっていた。その変化は当然猟兵達にも伝わっている。
「……これは……どういうこと、なんでしょう……?」
 そのことに言及したのはフリルのついた可愛らしい和風メイド服を着たコーデリア・リンネル(月光の騎士・f22496)だ。もしかしたら邪神の様子が、人付き合いが苦手ながらも一生懸命会話を続けようとする自分と重なったのかもしれない。
「……さぁ」
 そんな邪神を睨むように見上げながら返答したのは編堵・希亜(蛇に囚われた少女・f19313)だ。一見不愛想な物言いだが、実は彼女もコーデリアと同様人見知りで猜疑心が強いだけなのだ。
「とまとの考えることなんてわかりませんよぉ。わたくし達はわたくし達の為すべきことを考えましょうねぇ」
 そんな二人を緩く優しくまとめ上げているのは化け狸の隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)だ。そのおっとりとした喋り方と物腰からは想像がつかないが、怒り狂うと自分でも何をしでかすかわからないという。

「それにしてもこの邪神さんの身体を見ているとお腹が空きますねぇ」
「私は、もっと甘いもの食べたいけど」
 何気なく発した華蘭とそれに答えた希亜であったが、二人の言葉を聞いた邪神が突如嬉しそうに震えだした。
「ウフフフフ、空いた? ねぇ、今お腹空いた?」
 邪神はその身から次々と小さなトマトを生み出すと二人の方を向いた、どこが顔なのかはわからないが。
「まさか砂糖をかけて食べないよねぇ? そんな悪い奴にはお仕置きだ!」
 小さなトマトは宙に浮くと、二人目掛けてきりもみ回転しながら襲い掛かってきた。
「おっとぉ、みぃんな出番ですよ!」
 華蘭が印を結ぶと雪の下から次々と化け狸が飛び出す。彼らはお腹をポンと叩くと、トマトに向かって齧り付いた。
「いやっ……来ないで!」
 一方、希亜は襲い来るトマトに恐怖した。それに呼応するかのように抱きしめている黒猫のぬいぐるみが発光し、瞬く間に分身をした。
 ぬいるぐみ達は希亜を守るように囲むと、飛び来るトマトをその手で次々と叩き落とす。
「コーデリア様……どうか力をお貸し下さい!」
 邪神の執拗なトマト攻撃は華蘭と希亜に対して行われている。逆に言えばコーデリアは今フリー、絶好の機会だ。
「……はい!」
 コーデリアは虚空から夢幻槍を取り出すと、邪神目掛けて地を蹴った。

「華蘭さん、飛んでくるトマトは私に任せて……コーデリアさんの援護を」
 つぎはぎだらけのぬいぐるみ達はフシャーと威嚇すると飛び跳ね、空中のトマトを次々と潰していく。それはさながら黒猫の狩りのようであった。
「わかりましたぁ、コーデリア様、行きますよぉ」
 速い、あまりにも速い。華蘭は自慢の脚であっという間にコーデリアを追い抜くとかなり大振りの鉈で邪神の身体に一撃を加えた。邪神が震え、その身から赤い液体がほとばしる。
「これはとまとの汁なんですかねぇ、血液なんですかねぇ……うわっと」
 予想以上に吹き出る液体に驚いて一歩退いた華蘭の前にコーデリアが立ちはだかった。
「華蘭さん、動かないで!」
「え? は、はいぃ」
 邪神が小刻みに揺れたかと思うと、周囲に凄まじい衝撃波が放たれた。コーデリアはその衝撃波を一身に受ける。
「コーデリア様!」
「コーデリアさん!」
 続けざまに放たれる衝撃波を受けながら、コーデリアはその右手を華蘭が傷つけた邪神の身体へとかざした。
「……あなたが、砂糖をかけられて食べられるのが、嫌いなのはわかりました……」
 右手が揺らめいたと思うと、ライオンの頭部へと変化し大きな口を開く。
「……でも、それを押し付けてはいけません。一生懸命話し、分かり合う努力をするべきです!」
 ライオンが邪神の身体を齧り取り、その生命力がコーデリアへと注がれる。先ほど受けた傷が瞬く間に癒えていった。

「コーデリア様、ありがとうございますぅ……」
「……とんでもないです、華蘭さんが、突破口を……開いてくださいました……」
「傷は、大丈夫なの?」
「はい、あのライオンさんの力で……この通りです」
 お互いを気遣い合う三人を見ながら邪神は一人呟いた。
「……分かり、合う……?」
 山の頂に、再び雪が舞い降り始めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

紬雁・紅葉(サポート)
『業邪…御鎮めします』
基本戦闘場面に参加

破魔、属性攻撃、衝撃波、薙ぎ払い等とUCを適宜組み合わせて攻撃

見切り、残像、オーラ防御、武器受け等とUCで防御や回避

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

範囲攻撃と2回攻撃での雑魚払いが得意だが
ボスとの戦闘も遜色なく行えるし行う


羅刹紋を顕わに戦笑み
傷負っても笑みを崩さず
何処までも羅刹の血と"剣神"の導きに従い
災魔業邪を打ち倒す

敵の最期に
去り罷りませい!
の言葉を

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


七星・桜華(サポート)
『天魔流免許皆伝、更なる高みへと!』
『一か八かの勝負?必要無いね!私達の勝ちだ!』
『後は派手に騒ぐんだ!誰も倒れないようにね!』
隠れ里に伝わる『天魔流』歴代最年少であり派生流派も含めての免許皆伝。
腰に挿している六振りの刀と扇子を使い戦闘する。
物理的な技術を異能のUCにまで昇華させた。
闘う姿は艶やかな舞踏が如く空中戦もできる。
第六感も鋭く見切るまでも早い。
先手後手問わず。
殺気や覇気を残像に残し分身と勘違いさせる事も。
常に最善を最短で気づき勝ってきた。
防御無視の内部破壊を当たり前に行う。
柔剛の技を扱い両立させる。
消耗を生命力吸収で補う。
優れた第六感で賭け事も強い。
家事も万能。
両親と妹も猟兵である。


子犬丸・陽菜(サポート)
 ダンピールの咎人殺し×聖者、15歳の女です。
「いっしょに苦しんであげるよ」
「臓物がはみ出したくらいで動けなくなると思った?」
「はらわたを搔き回される苦しみはどう?」

 宝珠による臓物を掻き回しを多用し、知られざる枷を使います。怪我は厭わず積極的に行動、臓器の負傷でユーベルコードの威力が上がるので負傷は状況によりわざと受けたりもします。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
 潜在的なマゾヒストなのでユーベルコードの苦痛になにか感じる場面もあるかも?
 負傷重症描写歓迎むしろ希望、内臓が出るくらいやっていただいて全く構いません!
よろしくおねがいします!



 七星・桜華(深紅の天魔流免許皆伝・f00653)は雪がかからないように雁首を左手で覆うと、右手でそっと着火した。そのままゆっくりと煙を味わうと、煙管を口から離して息を吐く。
「それにしても面妖な邪神だねぇ」
 その視線の先には大きなトマトの形をした邪神の姿。幾度の戦いを経た今、邪神はついに物も言わずただひたすらに硬化を始めたのだ。
「えぇ、ですがその内に激しき思いと悲しきさざめきが去来しているご様子」
 邪神の身体に触れながら言葉を紡いだのは羅刹の戦巫女、紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)だ。業邪を鎮める事に心血を注ぐ彼女にとって邪神は正に格好の対象と言えよう。
「それって苦しんでるって意味? ふぅん、そうなんだぁ」
 手の甲でコンコンと邪神の身体を叩いたのは一見可愛らしくて元気いっぱいな女の子、子犬丸・陽菜(倒錯の聖女・f24580)だ。実は彼女にはある秘密があるのだが、それを語るにはまだ早いだろう。

「そんで、どうする?」
 桜華は煙管の灰を落とすと、雁首で邪神の身体を叩いた。金属の様な反響音が周囲に響き渡る。
「ぅふふ、さながら天岩戸に御隠れし天照大神様のよう……なんとか意識を外に向けさせるべきね」
「外ねぇ、なんか良い方法あるかい?」
 紅葉の言葉に頭を捻ると、桜華は陽菜に問いかけた。
「うーん、思いつかないこともないけど……あたしちょっとお腹空いちゃった」
「おいおい、腹空かせてる場合かよ! 終わったらなんか作ってやっから」
 豪快に笑う桜華に釣られて陽菜も笑う。その様子を微笑ましく見ていた紅葉であったが、何かに気づくと二人に声を掛けた。
「お二人とも、何か聞こえませんか?」
 耳を澄ますと、どこからか空気を切り裂くような音が聞こえてきた。その音は次第に大きくなり、ついには陽菜の悲鳴へと変わる。
「うっ! んぐっ……! んっ、んん~~!」
 何かが空から降り注ぎ陽菜の腹部へと激突、赤い液体が周囲に飛び散り雪の上を赤く染めていった。
「陽菜さん!」
 身を呈して庇おうとする紅葉を手で押しとどめると、陽菜は苦痛と恍惚が入り混じった吐息をもらしながら口を開いた。
「ふふ……この赤いのはトマトみたい。うえっ! ぐっ……あたしの血じゃないから大丈夫だよ」
 確かに腹部から滴り落ちるのは降り注ぐトマトの果肉のようだ。しかし、口からは間違いなく当人の血が吹き出ている。
「お、おい。大丈夫かよ……」
「大丈夫……ん、ぐ、んぐぅっ! これは……宝珠で自分の内臓をかき回しているの……!」
 陽菜が目を見開き邪神を見る。途端に邪神が身体を震わせのたうち始めた。
「これがあたしの……思いついた方法!」
 邪神に陽菜の受けている苦痛が共有されたのだ。宝珠だけではなく自身の放ったトマトの痛みも受けて邪神の意識が苦痛に揺らぐ。

「天岩戸に隠れし業邪」
 紅葉の身体に羅刹紋が浮かび上がる。
「苦痛に呼ばれ岩戸から覗く」
 二振りの刀を抜き放つ。
「その身を引き剥がす鬼の手が有り」
 刀から見えない腕が伸びて邪神の身体を掴む。
「引きずりだされたるは災魔業邪」
 邪神はそのまま宙へと浮かんだ。

「よっし! 私の出番だね!!」
 桜華は紅葉の刀から伸びた見えない腕の上を走るとあっという間に邪神に接近、そのまま高く空を飛んだ。
「天之羽々斬……行くよ!」
 天魔冥滅・天之羽々斬を顕現させると強く握りしめ、重力の力に身を任せながら振り降ろした。
「このままぶっ壊す!」
 宙に浮き体勢が崩れた邪神に天之羽々斬が深々と刺さり、鋭く切り裂いた。これこそが天魔覇皇流の基礎でありながら究極奥義と伝わる技、破砕撃・壊の威力だ。

 三人の見事な連携が邪神の身体に大きな傷跡を残した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

スピネル・クローバルド(サポート)
『お姉ちゃんに任せておいてね♪』
 妖狐のクレリック×アーチャーの女の子です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、兄弟姉妹には「優しい(私、~君、ね、よ、なの、なの?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は温厚で人に対して友好的な態度をとります。
滅多に怒る事はなく、穏やかです。
怖そうな敵にも、勇気を持って果敢に挑む一面もあります。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


燈夜・偽葉(サポート)
★これはお任せプレイングです★
『ぶった斬ってあげます!』
妖狐の剣豪 × スカイダンサー
年齢 13歳 女
外見 黄昏色の瞳 白い髪
特徴 長髪 とんでもない甘党 柔和な表情 いつも笑顔 胸が大きい
口調 元気な少女妖狐(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)

性格:
天真爛漫年下系ムードメーカー(あざとい)

武器:
刀9本
黄昏の太刀(サムライブレイド)を手に持ち
場合によっては念動力で残り8本を同時に操る

ユーベルコードはどれでもいい感じで使います

敵の動きは見切りや第六感を生かして回避
避けられなければ武器受けで対処します

多彩な技能を持っていて、問題に対していい感じで組み合わせて対処します


土御門・泰花(サポート)
※アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱変更・その他歓迎

「あらあら……。大変な事態です。微力ながらお手伝い致します」

一人称:私
口調:基本的に敬語。柔和な印象を与える口ぶり。
表情:基本的に柔和な笑みを湛え、義憤もその下に隠す。
性格:普段はおっとりだが「陰陽師の家系の当主」という自覚があり、凛々しくみせる時も。

先ずは私や仲間へ【オーラ防御/結界術】展開、守りを。

【早業/軽業/地形の利用】で移動。

敵の攻撃は防御結界で弾き、物理攻撃は薙刀で【武器受け】し薙刀or式神の黒揚羽で【咄嗟の一撃/カウンター/2回攻撃】。

UCは戦況と効果次第で適切なものを使用。
可能な限り【早業】で敵のUC発動前に発動。

後はお任せ。



 ついに邪神に大きな楔が打ち込まれた。赤い果肉が切り裂かれ、そこからは液体が垂れ流しになっている。
「あらあら……このまま見ているだけでも倒せるのではないのでしょうか」
 霊符を手にしながら柔和な笑みを湛えているのは陰陽師の土御門・泰花(風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833)だ。猟兵としてかなりの経験を積んでいるが、当人はまだ未熟だと考えており、常に修練・鍛錬に余念が無い。
「それで解決するなら血も流れませんし、良いのですが……」
 金色のもふもふ尻尾を振りながらスピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)は首を傾げた。その優しく可愛らしい顔からは想像も出来ないが、彼女は聖樹で作られた大弓を扱う歴戦のアーチャーだ。
「えー? ぶった斬っちゃおうよ! だって邪神だよ、邪神!」
 黄昏の太刀をぶんぶんと振り回しながら元気よく言ったのは燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)だ。祖父から学んだ剣に妖狐の術を交えて繰り出す空間切断は絶大な威力を誇ると言われている。

「そうと決まれば早速行かせて頂きます」
 泰花が印を結ぶと霊符が燃え上がり三人の身体がオーラで包まれた。そのまま新たな霊符を取り出すと、泰花はそれらを空中に解き放つ。
「雪に舞い散る白揚羽たちよ」
 霊符が白揚羽の式神となり雪と共に舞い踊る。それを見たスピネルは精霊樹の一枝を取り出すと天に向かって掲げた。
「さぁ、狩りの時間ですよ」
 雪と共に葉が舞い落ち、気づけば辺り一帯は広大な森林と化した。泰花の白揚羽が嬉しそうに木々の間を縫うように飛び回る。
「これは姿を隠すのにうってつけの森です!」
 偽葉が森に紛れて、その姿を消した。

 物言わぬ邪神が液体を流しながら小さなトマトを生み出す。トマトは宙を浮遊し、猟兵目掛けて飛び掛かる。もしもこれが雪原であったら、猟兵達は恰好の的になっていただろう。
 しかし、今ここは森林だ。立ち並ぶ木々がトマトから猟兵を守る。中には木々をすり抜けてくる活きの良いトマトもいるが、それらは白揚羽が身を呈して打ち落としてゆく。
「く……可哀想に」
 白揚羽が倒れる度に泰花の薙刀が淡く白く光る。式神の想いを受けた泰花が雪上を駆けて邪神へと迫る。邪神の赤い身体はもう間近に迫っていた。

 可能ならば平和的に解決をしたかった。しかし相手は邪神だ、そうも行かないことは薄々わかっていた。
「それでも……」
 聖樹の大弓を強く引き絞りながらスピネルは考えていた。今から打ち込む矢が、邪神の心に何らかの変化を与えられないのかと。
 スピネルの手から矢へと魔力が注ぎ込まれる。彼女は木々の間を縫った先にいる邪神の赤い身体に狙いをつけた。

 邪神はその身体をダイヤのように硬質化させ沈黙を貫く。それは次なる一手の前振りなのか、それとも諦めの境地なのか。
「えへへ、ついに私の出番です!」
 偽葉が森の中から突如その姿を現し、邪神へと肉薄した。手にした黄昏の太刀から空気を切り裂く音がする。偽葉は太刀を下段に構えると、そのまま邪神へと斬り上げた。
「おっと! かったーい!」
 太刀が弾かれた偽葉であるが、その顔に笑みが浮かぶ。これ程の硬さを持つ相手に自身の力が通用するのか興味を惹かれたのだ。
 偽葉が黄昏の太刀を鞘に納める。周囲の木の葉が次第に舞い上がり、渦を巻くように舞い踊る。それらは黄昏色と化し、同時に八本の太刀となった。
 続けざまに太刀が邪神の身体の一点を狙って斬撃を加える。初めは弾かれていたそれらであったが、次第に傷のようなものが浮き上がってきた。
「どれだけ硬い敵だとしても……」
 偽葉が地を蹴り空高く舞い上がる。そのまま黄昏の太刀を抜き放つと、最上段に構えて落下した。
「斬ってみせます!」
 急降下した偽葉の太刀が、邪神の傷へと食い込み凄まじい火花を散らす。黄昏色の嵐が彼女を包み、その力を更に強大なものへと変えていく。
「くっ……!」
 しかし邪神の身体を切り裂くまでは行かない。確かに太刀は喰い込んでいるものの、それ以上奥へとは進まない。

 その時だった。

「微力ながらお手伝い致します」
 光り輝く薙刀の刃が偽葉の刃と同じ所へ打ち込まれる。式神の力と、泰花の力とが合わさり普段の数倍もの力が泰花の身体へと流れ込む。
 二人の刃が邪神の身体に一歩分深く沈み込んだ。

「貫きます!」
 スピネルの矢が二人の刃と共に邪神の身体へと突き刺さった。矢に込められた魔力が推進力となり、更に奥へと突き進もうとする。

 矢は森を吹き抜ける風を纏い、太刀は黄昏色の嵐を纏い、薙刀は紫のすみれの花を纏う。
 三人の力が一つとなり、ついには邪神の身体を大きく穿った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ミルケン・ピーチ(サポート)
『ミルケンピーチ、参上!』

常識的だけどやられ属性の17歳の桃姫、無邪気で元気な6歳のぺしぇ、体育会系褐色ギャルのアカリの三人のボディの内依頼に合わせた誰かで出撃
口調は
『桃姫:私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?』
『ぺしぇ:自分の名前、くん、ちゃん、だよ』
『アカリ:あたし、相手の名前+ちゃん、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?』
マスクのミルケンはほぼ喋りません

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません

公序良俗に反する行動はそういう依頼でない限りしません
後はお任せ、よろしくお願いします!


ミーガン・クイン(サポート)
サキュバスの魔女、ミーガン・クインよ。
物を大きくしたり小さくしたりする魔法が得意だわ。

主な目的は食事ね。
魔法の影響で生まれた感情を美味しく頂くわ。
ついでに事件を解決できればラッキーな感じじゃない?

UCは指定の物を使うわ。
汚れるの嫌だし、怪我もしたくないから程々に行動するわね。
公序良俗は守ってあげるわ。
他の猟兵さんに迷惑はかけないようにするけど、
イタズラぐらいはいいわよねぇ?

魔法を解決に活かせる事件ならどんなものでも伺うわ。
えっちなことは好きよ、サキュバスだものねぇ♡
(普通の大きさじゃ燃えないけど)

絡み・連携・アドリブお好きなように。
それじゃあ、よろしくお願いするわぁ♪


ミカエル・アレクセイ(サポート)
●戦神は戦の中で生きる者
●殺す者で生かす者ではない
●生かして救うことは不得手
●殺して救う事に躊躇いはなく、それこそ自分の仕事

等の思考回路

相手の勢いを使って投げ飛ばす
ユーベルコードで相手の技を反射する
等、自滅を誘う戦い方をする
自分が傷つくことは厭わず痛みは感じるがそのせいで行動が鈍るなどはない。
戦場で何千年と生きてきた為痛みとの付き合い方は心得ている。

女性は誉めるもの。
賛辞はストレートに口にするし、貶すことはあり得ない。
容姿を褒められることを苦手とする相手の場合は行動や性格に褒めるところを見つけて口にしたりする。

冷静沈着、臨機応変

人心掌握、指揮、等が得意

無能力者故か神族であることは普段忘れている



「……俺は……何者なんだ……」
 久々に邪神が喋った。その言葉は最初の慇懃なものではなく、かと言って粗野に満ちたものでもなかった。何かに困惑してるという様子が見受けられる。
「邪神とは邪の中で生きる者、それ以上でもそれ以下でもあるまい」
 ミカエル・アレクセイ(山・f21199)はそう嘯いた。戦神である自身は戦の中で生きる者という矜持が彼の中にある。ならば邪神とてそうであろうと考えたのだ。
「んふふ♪ ミカエル、その考え方とても素敵ね。良かったら私と一晩語り合わないかしら?」
 セクシーなローブを着て艶めかしく発言したのはサキュバスのミーガン・クイン(規格外の魔女・f36759)だ。彼女は物体の大きさを拡大縮小させる魔法を得意とする魔女である。時としてその魔法を自身の嗜好の為に使うとか使わないとか。
「一晩語り合う? って何をするのー?」
 二人を見上げながら無邪気に聞いたのは花園・ぺしぇだ。彼女がつけているゴーグル型のヒーローマスクこそミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)、装着すれば年齢関係なく魔法少女になれる素晴らしいシステムだ。

「俺は邪神……」
 どこか迷いを感じる声の邪神であったが、猟兵達の耳にそれは届いていなかった。
「ねぇ、ミカエル♪ ちょっと手を出して頂戴♪」
 ミーガンは自身の胸の谷間に手を入れると、ゆっくりと引き抜いた。その手に摘ままれた小さな箱は、ミカエルに渡ると同時に手のひらサイズへと変化する。
「ミーガンのような美しい女性から頂けるなんて実に有難いな……開けても?」
 ミカエルはミーガンが頷いたのを見て箱を開けた。その中には実に食欲をそそるケーキが一つ入っていた。
「あなたが大きくなりたいと願えばその通りになるわ……意味、わかるわよね?」
 妖しく笑みを浮かべるミーガンを見て、ミカエルもまた笑みを返した。そのままケーキへと手を伸ばす。
「えー!? 大きくなれるのー!? ぺしぇにちょーだい!」
 ミカエルの手が宙を掴む。気づけばケーキはぺしぇの口の中にあった。
「おいしー! おっきくなぁれぇー!」
 ぺしぇの身体がぐんぐんと大きくなり、身の丈二十メートル程もある邪神と並び立つほどになった。それは多分ぺしぇの望んだ『大きい』とは違うだろう。しかし、彼女はその規格外のサイズに大喜びだ。
「へへ、これだけおっきいとーミルクもいっぱい出そうだよね!」
 ぺしぇが片手を腰に当て片手を天に突き上げる。天から降り注ぐサイキックエナジーが彼女の身体に流れ込む。
「おいしいからって飲みすぎ注意! ミルクストリーム!」
 ぺしぇの両腕からミルクのように噴き出たサイキックエナジーが邪神の身体を白濁とさせていく。
「あら、トマトにミルクだなんて……ちょっとえっちじゃない?」
「ふっ、違いない」
 ミカエルは魔杖を構えるとそのまま邪神に向かって地を蹴った。ミーガン目掛けて飛んでくるトマトを魔杖で打ち払い、続けざまに放たれる衝撃を雪上を滑るように躱す。まるで邪神の攻撃が全て見えているかのような動きで、あっという間にその赤い身体へと肉薄した。

 ――ラプラスの悪魔。

 対象の攻撃を予測してその全てを回避するミカエルの技能。それはまるでユーベルコードのような力を発揮するが、ミカエルにとってはただの『通常技能』に過ぎない。彼が何千年もの間に積み上げてきた知識と経験がそうさせるのだ。
 ミカエルはそのまま『聖剣』と呼ばれる魔杖を握りなおすと邪神の赤い身体目掛けて打ち下ろした。ミルクによって柔らかくなった果肉が飛び散り、ピンク色となった液体が雪上に流れ出る。
「ああああああっぁああああ!!」
 ついに邪神が苦悶の声を上げた。それが彼の心の痛みから来るものなのか、それとも肉体的な痛みから来るものなのかはわからない。

 しかし、どちらであろうとミカエルのやることは変わらない。
 どんな苦痛であろうが命を断てば救われるに違いない、それこそが彼の信念なのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヒース・アーベル(サポート)
*性的表現のあるシナリオは不可
アドリブ・共闘:可
UC:ご自由に
メイン武器:各種投擲用ダガー

「さて、“掃除”を始めましょうか」
基本的には、相手の隙を作る方に特化しています。
主に呪文付の投擲武器を【武器複製】で複製しつつ戦うことが多いです。それらを投擲して対象に当たったら呪文発動、という感じです。それ以外の使い方でも構いません。
また、【霧の街】で敵の視界を塞ぎつつ味方を回復するなど、他の方を支援することもあります。
仕込み杖はいざという時か、暗殺など騙し討ちをする時くらいしか使いませんね。

怪我をすることは特に気にしません。また、他の猟兵さんに迷惑をかけること等は致しません。
どうぞ宜しくお願いします。


夜鳥・藍(サポート)
生まれも育ちもサクラミラージュ。誰かの願いで転生した元影朧。そのため影朧には同情しがち。
それなりの良家の出で言葉遣いは丁寧。だが両親とは違う種族で生まれたのを悩み高等部(高校短大相当)卒業を機に家を出ている。現在は帝都で占い師。

もふもふ大好き。
実家ではいろいろ我慢してたのもあって、飼えなくとも一人暮らし&猟兵となったことで爆発しがち。
猟兵になっていろいろ経験し悩みを乗り越えた。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭いません。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は絶対にしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


陽環・柳火(サポート)
東方妖怪のグールドライバー×戦巫女です。

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
正面からのぶつかり合いを好みますが、護符を化け術で変化させて操作したりなどの小技も使えます。
全力魔法使用後の魔力枯渇はにゃんジュール等の補給で補います
名刀『マタタビ丸』は量産品なので、もしも壊れても予備があります。

 ユーベルコードは指定した物を使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動し他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「そうだ、俺は邪神……トマトの邪神だ……!」
 この邪神がどのような儀式で生まれたものなのかはわからない。しかし先の戦いできんぐセキセイさまが守護していた時は間違いなくただのトマトであった。彼には彼なりのトマトとしての矜持があるのかもしれない。
「俺の使命はこの世界を狂気で満たすこと……トマトに砂糖をかける連中を滅すること……それを果たすまでここで死ぬ訳にはいかんのだ!」
 邪神は再び自身の身体を硬化させる。意識を取り戻したことでその身体は今までとは比にならない程の硬度となった。
「いずれ眷属か教団の物が駆けつけてくるはず……それまで俺は耐え続けるのだ!」
 ちらついていた雪が強くなり、吹雪の様になりだした。

「オラァ! とりゃあ!」
 名刀『マタタビ丸』という如何にも猫妖怪が持ちがちな名前の武器を振り回しているのは陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)だ。自慢の名刀も異常な硬さとなった邪神の身体には通用せず、その全てを弾かれてしまっている。
「くっそー、こんなかってぇのどーしたら良いんだ?」
 どうしたら良いものか悩む柳火の耳がピコピコと揺れ動く。そのモフモフの耳を触りたそうにモジモジとしているクリスタリアンの仙人がいた。
「そうですね……もふもふしたい……なんとか弱点のようなものがあれば……もふもふしたい……良いのでしょうけど」
「おい、心の声が駄々洩れてんぞ」
 柳火に突っ込まれた仙人はちびっこパンダとの戦いにも駆けつけた夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)だ。今更言うまでもないが彼女はモフモフが大好きで仕方がないのだ。
「なるほど、弱点ですか。それは良い着眼点かもしれませんね」
 銀色の髪を纏め、貴族風の格好をしているダンピールの男性の名前はヒース・アーベル(胡散臭い掃除屋・f35538)だ。彼は掃除屋を自称しているが、何を掃除しているのかは教えてくれない。掃除は掃除ですよ、といつも煙に巻く。
「実は怪しいと思っている箇所があるのですが、ここからではどうしようもないんですよね」
「それはどこですか?」
「えぇ、それはですね……」
 藍に対してヒースが何かをこっそりと伝えた。

「ひゃー、すっげぇ景色だぜ!」
 辺り一面を見渡しながら柳火が感嘆の声を上げた。吹雪が若干視界を遮るが、邪神の全身は完全に視界に捉えることが出来る。
「いやはやお見事、藍嬢のお陰で上手く行きそうです」
 笑みを浮かべたヒースが振り返り、藍の顔を見る。
「みなさんのお役に立てるのなら幸いです」
 そこには身の丈二十メートル、邪神とほぼ同じ大きさの女性の姿があった。彼女は光の翼を持ち、顔を隠しているが間違いなく藍だ。彼女の手のひらの上からヒースが邪神を見下ろす。
「ここからなら良く見えます。恐らく彼の唯一にして絶対の弱点が」
 そう言うとヒースは炎を纏う投擲用ダガーを手にし、邪神のヘタ目掛けて放った。ダガーは空気を切り裂きながら進むとヘタの中心に突き刺さり、一気に燃え上がる。
「うぐぅ!? き、貴様何をしたぁああああああ!」
「硬化することで何物も受け付けない身体になったみたいですが、それは同時に身動き一つ取れなくなることを意味します。ほら、隙だらけでしょう?」
 辺りに霧が噴出し、邪神のユーベルコードが解除される。それを見た柳火は意気揚々とマタタビ丸を振りかざして藍の手のひらから飛び降りた。
「いよっしゃああああ! ついに俺の出番だぜ!」
 柳火の全身が金色のオーラで包まれ、マタタビ丸が赤く燃え上がる。柳火は空中でマタタビ丸の柄を握りなおすと、最上段に構えた。
「オラァッ!! 喰らいやがれってんだ!!!」
 重力を活かしてマタタビ丸を力任せに振り降ろす。柳火の軌跡に合わせて邪神の身体が大きく斬り開かれ赤い果肉がドロリと流れ出す。
 同時に彼女のマタタビ丸も炎の負荷に耐えられずに刀身が焼け焦げてポロリと折れた。
「ありがとな、マタタビ丸」
 柳火はマタタビ丸を雪上に突き刺すと邪神に背を向けた。

「こんにちは、マタタビ丸」
 そして新たなマタタビ丸を腰に差した。
 マタタビ丸はお土産屋の木刀並に大量生産されているのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ニコリネ・ユーリカ(サポート)
あらあら、盛り上がってるわねぇ
お忙しい所、お邪魔しまーす!
新しい販路を求めてやってきた花屋です
宜しくお願いしまーす(ぺこりんこ)

~なの、~なのねぇ、~かしら? そっかぁ
時々語尾がユルくなる柔かい口調
商魂たくましく、がめつい

参考科白
んンッ、あなたって手強いのねぇ
えっあっヤダヤダ圧し潰……ギャー!
私も気合入れて働くわよー!
悪い子にはお仕置きしないとねぇ
さぁお尻出しなさい! 思いっきり叩いてあげる!

乗り物を召喚して切り抜けるサポート派
技能は「運転、操縦、運搬」を駆使します

広域では営業車『Floral Fallal』に乗り込みドリフト系UCを使用
狭域では魔法攻撃や『シャッター棒』をブンブンして戦います


ヴィヴィ・ジーヴ(サポート)
キマイラの力持ち×精霊術士、15歳の女。
名前はヴィヴィ、一人称は自分の名前でビビ。表記はどちらでも。

服の下はフクロウ。
腕はハーピー(鳥の羽)、器用な作業は少しだけ苦手。
「あまりお手手は見ないでね、女の子の秘密よ。」

《力持ち》
素早いの、苦手。お目目くらくらする。一撃ドーン、が得意よ。

《精霊術士》
困った時は精霊さんに聞く!

《好き》
美味しいもの、食べる事、大好き!
あとね、ビビ、空中浮遊でふよふよするの好きよ。

◆ボス
ぼす。ビビに倒せるかな。心配。
一緒に行ける人がいたら、ビビ連携とるよ。囮もやる。
難しい事苦手なの。作戦、教えてくださいな。

空中を飛び急降下落下。怪力載せた鹿の足で着地、地面を割る、など。


赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブも可

合わせ等も自由にどうぞ



「あらあら、これだけ吹雪いてると車を出せないわねぇ……」
 天を仰いで残念そうな顔をしているロングウェーブの女性はニコリネ・ユーリカ(花屋・f02123)だ。お花を売る為に移動販売車を自身で運転しているのだが、そのドラテクは実にワイルドだという噂がある。
「困ったねー! もしも天候なんかを変えることが出来れば良いんだけどね、そんな都合の良い事ないよね」
 ニコリネに明るく答えたのはバーチャルキャラクターの赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)だ。たまたま偶然ここに天候を操作出来るユーベルコードを持っている者でもいれば何とかなるかもしれないが、そうそう都合よくは行かないものだ。
「ビビ、できるよ。精霊さんに頼めば何とかなるよ」
 そうそう都合よく行った。彼女の名はヴィヴィ・ジーヴ(いつも誰かのお手伝い・f22502)、キライマの精霊術士だ。自身の名を『ビビ』と呼んでいるが、それは『ヴィ』の発音が良くわからないという可愛らしい理由なのだ。

「それで、ビビ、どんなことを精霊さんに頼んだら良い?」
「そうねぇ、とりあえず吹雪を止めて貰えば良いのかしら?」
「車を走らせたいんでしょ? ついでにこの辺の積もった雪も一掃出来ないのかな?」
 二人の言う事をウンウンと頷きながら聞くと、ヴィヴィは微笑みながら答えた。
「ビビ、できるよ。吹雪を止めて雪を消せるよ」
 ヴィヴィが胸の前で両手を合わせると、揺らめく炎の精霊が現れた。精霊は次第に大きくなると、熱を帯びながら螺旋を描くように舞い踊る。
「お願い、炎の竜巻となって全部溶かしてね」
 精霊は返事をするかのように強く瞬くと、渦を巻いて大きな竜巻へと変化した。あっという間に雪原は草原へと化し、雪を降らす雲も晴れてゆく。
「まぁ、ヴィヴィさんすごい! 『Floral Fallal』も喜んでるわねぇ」
 ニコリネはニコニコと笑顔になりながら車を撫でる。
「……あら?」
 ふとルーフを見ると何やら見慣れぬ物が載っていた。よくよく目を凝らしてみれば、それは設置式ガトリングガンであった。
「あ、それ私のだよ。上から撃てたらかっこいいかなーって」
「かっこいいかなーですってぇ……」
 緋色が呑気に答えたのを聞いて、ニコリネがゆらりと振り返る。
「私の大事な大事な『Floral Fallal』に何てことするの! お尻出しなさい! 思いっきり叩いてあげる!」
「うわぁああぁ! 大丈夫ですよ、ユーベルコードで設置してますから傷一つ付けてませんよ!」
「せめて私に断ってからやりなさーい!」
 車の周りでグルグルと追いかけっこをする二人を見て、ヴィヴィは所在無さげにモジモジとしていた。
「あの、そろそろ行こ?」

「それじゃ、しっかり掴まってなさいよ」
 ニコリネは2速にギアを入れるとクラッチペダルを少し緩めた。『Floral Fallal』が彼女に応えるようにエンジンの回転数を上げたのを見てニコリネはアクセルを踏むこむ。
「行くわよぉ!」
 車がエンジン音を上げながら草原の上を駆け巡る。邪神の姿が次第に見えてくるが、その時助手席に座っていたヴィヴィが何かに気づいた。
「ニコリネ、何か飛んでくる。赤い、小さい、丸いもの」
「んん~? トマト……かしら?」
 トマトがグングン車に近づいてくる。しかし、ここからがニコリネの本領発揮だ。彼女はステアリングを右に左に切り、降り注ぐトマトの隙間を縫うように車を運転する。その様子はまるでニコリネが車と一心同体であるかのようであった。
「うぅ。ヴィヴィ、お目目くらくらする」
「もうちょっと飛ばすからねぇ、ごめんねぇ」
 一段と車が速度を増し、草原を突っ走る。飛ぶように走る車のルーフ上で、緋色がガトリングガンに属性弾を込めていた。
「ああいう植物タイプの敵は大抵炎に弱いんだよねー」
 装填を終えるとそのまま照準を邪神の赤い身体へと向ける。悠に二十メートルはあるその身体に属性弾を撃ち込むのは簡単だ。しかし緋色はあえて難しい道を選ぶ、既に猟兵達の手によって傷つけられた部位を狙う事にした。
「へへ、そっちの方がなんとなーく、面白そうだよね」
 そこに立ち向かうべき困難が無ければ自分で作る。これこそが緋色のフリーダムさの象徴だ。
「よーし照準オッケー、ひっさーつ!」
 ガトリングガンから七色の属性弾が飛び出し邪神の身体が燃え上がる。同時に香ばしい匂いが辺りに充満した。
「あちちちち! なんてことしやがる!」
 邪神は火を消すために高速で回転すると、即座に衝撃波を放った。真空の刃が次々と緋色に襲いかかる。
「うわああ、これやばいんじゃないかな?」
「だいじょーぶ! 私に任せなさーい!」
 ニコリネがステアリングを切り返して衝撃波を巧みに躱す。そのまま一気にギアを5速に入れると、邪神目掛けて車を走らせた。
「このままだと正面からぶつかるよ、大丈夫?」
「ふふ、まあ、見てなさい!」
 ぶつかる寸前にステアリングを左に切る。そしてテールが流れ出す寸前に右へと切る。前輪と後輪を完全に掌握したニコリネのステアリングが流れるようなドリフトを起こし、邪神の身体へと車両の横っ腹をぶち当てた。

「ふふ、楽しくなってきちゃったわねぇ。このままドライブしようかしら?」
「あのー、せめて私をルーフから降ろしてからにしてくれませんかねー!」
「お目目と頭、くらくら」
 三人を乗せた『Floral Fallal』が楽しそうに走り去っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

魚目・めだか(サポート)
「戦場の矢面から些細な支援行動まで、めだかになんでもござれだぞ!」

普段の口調は「自分の名前(めだか)、~殿、だ、だな、だろう、なのか?」、適宜敬語も使用可です。

外見は少女ですが、判断基準や倫理観などは若い成人男性相当で、落ち着いた風を装った言動を心掛けていますが、精神が肉体に引っ張られて快活になりがちです。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

その他、連携・アドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。


陰日向・千明(サポート)
「このあと用事があるんで、さっさと地獄へ堕ちるッス」
◆口調
・一人称は「うち」、二人称は「あんた」、くだけた敬語をつかう
◆性質・特技
・マイペースで合理主義
・雨女
◆行動傾向
・特権階級者の車に轢かれ事故すら揉み消された女子高生の悪霊
・地元を鎮守する竜神の力を借りて受肉を果たした
・利己主義で秩序や慣習にこだわりはなく、勝つためなら手段を選ばないしたたかさを備えているが、なんだかんだで面倒見はよい
・神器化したスマホで霊界通信サービス「天孫(あまそん)」に武器を注文して戦う
・一度死んだ経験から死に対する恐怖心がなく、戦闘をゲームのようにとらえている。敵にも当然慈悲はない



 既に邪神はその身の半分ほどを抉られ、赤い果肉と液体を垂れ流していた。
「何故だ……俺は邪神のはず……何故これほどまでに猟兵は強いのだ……」
「俺達にあって貴様に無いもの、それが鍵だが……わかるか?」
 邪神にブルーブラスターの銃口を突き付けながらアス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)が問いかける。
「俺に無いもの……?」
 邪神は考えた。圧倒的な力を持つ自分に無いものが何なのかを。
「わっかるかなー? わからんだろうなー。だってめだかにも良くわからんからな」
 胸を張って現れたのは見た目は幼女、でも二十代男性だと主張する魚目・めだか(偽典の巫女・f36514)だ。自身が何者なのかはっきりとわからないという点ではこの邪神と似たところがあるのかもしれない。
「お喋りはそのへんで。そろそろ殺ろッス」
 スマホを操作しながら陰日向・千明(きさらぎ市の悪霊・f35116)が気だるげに話す。千明は実は一度命を失ったことがある、しかし竜神の一族・陰日向家と意気投合し再び受肉を果たしたのだ。

「うっし、届いたッスね」
 虚空から落ちてきた両手剣を片手で掴み取ると、千明が即座に仕掛けた。走りながら両手で握りなおすと邪神の赤い身体目掛けて振り降ろす。
「ぐわあああああああ!」
 邪神の叫び声が辺りに響き渡る。同時にその身体が震えだしたかと思うと、邪神は周囲へと衝撃波を繰り出した。
「この程度なら避けるまでもないッス」
 千明はこの程度と形容したが、衝撃波の威力は凄まじい。しかし彼女は一度死んだ経験から死への恐怖心が無いのだ。

「よーし、めだかも行くぞ!」
 めだかは透き通るように美しい儀礼大剣『葵』を握りしめて邪神へと駆けだした。大剣の周囲を螺旋状に水飛沫が舞い、めだか自身も水のヴェールで覆われていく。
「そーれっ!」
 葵を振り抜くと軌跡に沿って邪神の身体が吹き飛んでいった。
「こしゃくな、小娘が……!」
「小娘じゃないんだよなー」
 再び振りかぶると、めだかが葵を邪神へと叩きつける。
「んんっ!?」
 しかし、先ほどと違い葵が弾かれた。邪神の身体はいつしか硬い鋼のように化していたのだ。

「ゆくぞ、アクアブルーよ」
 アスはサイキックキャバリア『アクアブループラチナII』に騎乗していた。全長二十メートルの邪神に対抗するにはこの方が良いと考えたのだ。
 アクアブルーがサイキックエナジーで出来た青白く光り輝く剣を水平に振り払う。弧を描くように放たれた斬撃が邪神を襲うが、硬質化した邪神の身体に傷をつける程度に留まった。
「なるほど、そういうユーベルコードか」
 強引に突破すれば何らかの犠牲を払うことになるだろう。アスはどうするべきか思案した。

「考えるまでもないッスよ」
 千明はスマホを取り出すと霊界通販サービス『天孫』の会員ページを開いた。
「プレミアム会員特典の封印解除、っと」
 手にした両手剣に強大な力が奔流のように流れ込み、溢れるような水飛沫が刃から零れ落ちる。
「ま、ちょっと寿命削れるけど構わないッス」
 改めて両手剣を構えなおした千明を見てめだかも動いた。
「それならめだかも……!」
 葵を天高く掲げるめだか。天空から滝のように水が流れ落ち、めだかの身体へと降り注ぐ。
「わかる……英霊の力がめだかに流れ込むのがわかるぞ……!」
 偶然にも水の大剣遣いが二人揃った。めだかと千明はお互いの顔を見て頷くと、同時に邪神の身体へと大剣を振り降ろす。大剣の軌道に沿って水が流れ、邪神の身体にヒビが入った。
「いけるッスね」
「いけるぞ!」
 二人が再び大剣を返すように斬り上げる。地から天へと滝が駆けあがり、竜と化すと邪神の身体を大きく喰い破った。
「千明殿、まだ行けるか?」
「余裕ッスよ」
 斬り上げた余勢を駆って二人が身体を回転させる。舞うような剣戟が三度邪神の身体を襲い抉り取った。
「ぐぅううう! これが猟兵の力……!」
 呻き声を上げる邪神を見て二人は最後の攻撃を叩き込もうとした。しかし、それは思わぬ方面から阻止されることになる。

「そこまでだ!」
 アスの操るアクアブルーが二人を掴み、肩へと乗せた。同時に邪神の身体から強力な衝撃波が放たれ地上を襲う。
「アス殿、どうして止めるのだ!」
 葵を片手にめだかが抗議する。アスはめだかと千明を交互に見ると、静かに答えた。
「もし、最後の一撃を入れていたら……どうなっていた?」
「それは……」
 めだかが黙る。英霊を憑依した戦い方は凄まじい威力を出せる代わりに自身の生命力を大きく失う。恐らく三発が限界であろうことをアスは見抜いていた。
「千明も何らかの代償を伴う戦い方をしていた、そうだろう?」
「そうッスね。でもうちは別に死ぬことは恐れてないッスから」
 平然と答える千明を見てアスは目を閉じて首を振った。
「お前が恐れていなくても、俺は恐れる。俺は誰も失いたくないんだ」
 アスの脳裏に生き別れになった姉と妹の姿がかすめる。
「俺達猟兵には、あいつには無いものがある」
 アクアブルーの肩から身を乗り出すとアスは二人が傷つけた邪神の部位を指差した。
「協力し、共に戦う絆だ。行くぞ、千明! めだか!」
 千明は頷くとゴッスン・ネイルズを構えてアスの指差した箇所に五寸釘を射出した。同時にめだかの詠唱アサルトライフル『カグツチ』が火を吹く。手作り故に精度が粗いはずなのに今日は狙ったところへ呪殺弾が向かう。
 二人の攻撃が着弾するタイミングを図ってアスが動く。両足のサイドが展開したかと思うと無数のミサイルと弾丸が撃ちだされた。

 三人の攻撃が邪神の身体に同時に着弾し、大きな悲鳴が山頂にこだました。
 いつしか周囲に、しのつく雨が降り始めていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

パルピ・ペルポル(サポート)
名乗るときにはフルネーム。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。
基本は隠密行動。
空中に雨紡ぎの風糸を張り巡らせて攻守両方に利用し、敵の行動を阻害したところに穢れを知らぬ薔薇の蕾を併用して行動を封じる、もしくはそのまま糸で切り裂くのが主な攻撃方法。
もしくは徳用折り紙で作成した折り鶴を筆頭に折り紙動物たちをけしかけてのかく乱兼攻撃を行う。
敵UCは古竜の骨のマン・ゴーシュで受け流す。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしない。
好奇心旺盛ではあるが、行動は慎重。
お宝は勿論素材になりそうな物も出来る限り確保しエプロンのポケットに格納する。
もふもふは抵抗できないよう拘束してもふる。

アドリブはご自由に。


蒼月・暦(サポート)
 デッドマンの闇医者×グールドライバー、女の子です。

 普段の口調は「無邪気(私、アナタ、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 嘘をつく時は「分かりやすい(ワタシ、アナタ、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で明るい性格をしていて、一般人や他猟兵に対しても友好的。
可愛い動物とか、珍しい植物が好き。
戦闘では、改造ナノブレード(医療ノコギリ)を使う事が多い。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


レパル・リオン(サポート)
こんにちは!あたしはレパル!またの名を『魔法猟兵イェーガー・レパル』よ!よろしくね!

お祭りとかイベントとか友達と遊んだりとか、とにかく楽しい事大好き!

あたしが戦うのは、怪人(オブリビオン)から人々と平和を守るため!そのためなら、ケガをしたってかまわないわ!
(強敵相手だと少し怯えるが、表には出さないように努める)

得意なのは肉弾戦!ダッシュで切り込んだり、ジャンプやオーラ防御でよけたり、激痛耐性でガマンしたり、怪力パンチ&キックでぶっ飛ばしたりするわ!
ユーベルコードに怪人の弱点属性を組み合わせてパワーアップさせたりもするわよ!

頭を使うのは苦手かな。でも、パワーとスピードでなんとかするわ!



「やっぱりもふもふは良いよね、もふもっふ~」
 もふもふの毛並みを堪能しているのは自称もふりすとのフェアリー、パルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)だ。彼女が今まで戦場でもふもふしてきた数は両手では足りない、生粋のもふりすとと言っても良いだろう。
「ね! 可愛いもふもふは最高だよね!」
 パルピと一緒にもふもふしているのはデッドマンの闇医者にしてグールドライバーの蒼月・暦(デッドマンの闇医者・f27221)だ。彼女が可愛い動物に目がないのは周知の事実である。
「ちょっと、二人とも! くすぐったいからその辺にしてね!」
 そしてずっともふもふされていたのはキマイラのレパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)だ。狼と虎とドラゴンのキライラの彼女の耳は実にもふもふし甲斐がある。

「貴様らも協力して戦うというのか……」
 個々としての能力ならば邪神である彼の方が猟兵を遥かに凌駕しているはずだった。しかし現実として彼の身体は既に半分程失われている。猟兵が仲間と共に紡ぐ『絆』という力が確実に彼を疲弊させていた。
「少し時間を稼いで!」
 わずかに身体が震えているのは武者震いなのか、あるいは邪神の放つオーラに怯んだのか。レパルは大きく息を吸って吐くと腰を落として右腕を静かに引いた。
「おっけー、わたしに任せて!」
 パルピは宙返りをしながら徳用折り紙を取り出すと素早く動物を折り始めた。完成した狼型、虎型の折り紙動物たちが邪神目掛けて踊りかかる。
「その程度の目くらまし……俺には効かん!」
 邪神が果肉を震わせながら一喝する。同時に衝撃波が周囲に走り、折り紙動物もろともパルピの身体を襲う。
「危なーい!」
 暦が咄嗟にパルピを抱きかかえた。衝撃波が直撃し、暦の身体が吹き飛ばされる。
「大丈夫!?」
 パルピが暦の腕から飛び出した。慌てて暦の背中を確認すると血が滲んでいる。
「くっ……アンタ! タダじゃすまないよ!」
 パルピがエプロンのポケットから白い薔薇の蕾を取り出し邪神へと放り投げる。蕾から伸びた茨が赤い身体に絡みついたかと思うと、更なる蕾が現れていく。
「一滴残らず吸い上げてしまいなさい!」
 茨が脈打ち、あっと言う間に白い薔薇が赤い薔薇へと彩られていく。茨はそのまま邪神の身体をゆっくりと締め付けていった。

「暦ちゃん……大丈夫?」
 ふらつきながら身体を起こす暦にレパルが声を掛ける。暦はレパルに対して笑顔を見せると、落ちた帽子を拾い被りなおした。
「ゼンゼン、平気だから、大丈夫です」
 細かいノコギリ状の刃を持った改造ナノブレードを手にすると、暦は自身の血を手のひらに塗りたくった。そのままその手でナノブレードを握ると、刃がチェーンソーのように高速で回転を始める。
「これで……やってやりますよ!」
 暦がナノブレードを邪神の身体に突き立てる。回転する刃が赤い果肉を切り刻み、周囲に飛び散る。何とかその攻撃から逃れようとする邪神であったが、パルピの薔薇がそうはさせない。
「く、くそおおおおおおお!」
 邪神が大きく咆哮すると、ナノブレードが弾かれて暦の手から離れた。
「な、なに? 急にこいつの身体が硬くなったよ」
 慌ててナノブレードを手に取ろうとする暦。しかし、邪神が続けて攻撃を畳みかけた。
「何が絆だ! 何が協力だ! 最後には圧倒的な力が勝つのだ!」
 邪神が身体を震わせると、暦目掛けて再び衝撃波が巻き起こった。
「暦!」
 パルピが必死に羽ばたいて暦の元へ行こうとする。だが、間に合うはずもない。衝撃波はもう暦の目の前に届いて――。

「でりゃーっ!!!」
 レパルが火球の様に暦の前へ飛び出した。そのまま右腕を振り抜くと、地鳴りのような衝撃波がレパルの拳から放たれる。
「小娘……その程度の力で俺に勝てるとでも思うたか!」
 邪神が続けざまに衝撃波を放つ。レパルの右腕が押され、踏ん張る足が後方に少し流れる。
「猟兵如きが俺に勝つ事など出来ぬ! そのままくたばれ!」
 一際大きな衝撃波が放たれレパルの身体が仰け反る。
 しかし、彼女は歯を食いしばると邪神を強く睨んだ。
「あたしには、倒す怪人が、共に戦う仲間が、守るべき人々がいる!」
 レパルの赤い瞳が燃え上がり、紅蓮の炎が彼女の拳に宿る。
「そうよ、わたしたちを侮らないでほしいね!」
 パルピが古竜の骨で出来たマン・ゴーシュを左手に持ちレパルの頭に乗る。マン・ゴーシュが邪神の衝撃波の威力を弱めていく。
「アナタは私たちに敗れるのよ!」
 暦が改造ナノブレードを邪神目掛けて投げつける。高速回転する刃が、弱められた邪神の衝撃波を打ち破り一本の道を作り出す。
「「「いっけぇー!!!」」」
 大きく踏み込んだレパルの拳が邪神の身体を捉えた。邪神の赤い身体が燃え上がり、そのまま遥か後方へと巨体が吹き飛ぶ。

 三人の力が邪神を遥かに凌駕した瞬間であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

天日・叶恵(サポート)
私なりの、お狐さまの矜持としてささやかなお願いがあればついでで積極的に叶えたいです
例えば、探しものを見つけたり、忘れ物をこっそり届けたり、道をこっそり綺麗にしたり、といったものです
それ以外では、オブリビオン退治に必要であればできるだけ違法ではない範囲でお手伝いしたいと思いまーす

戦闘については、昔は銀誓館学園で能力者として戦っていたので心得はありますー
補助や妨害といった動きが得意ですねぇ
あとは、白燐蟲へ力を与えて体当たりしてもらったり…術扇で妖力を込めたマヒ効果の衝撃波を出したり、でしょうか?

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行為はしません。


凶月・陸井(サポート)
※連携・キャラを逸脱しないアドリブは歓迎
※お色気・公序良俗に反する行動、R18やR18Gの表現はNG
※口調等はステシ参照

元能力者で猟兵。仲間を大事にし、敵には容赦しない
基本的に自分から攻め込むタイプだが、戦闘の補佐や忍んで討つ戦闘も行う
仲間の動きや状況に応じて対応も可能

使用武器は武骨なガンナイフで中近の戦闘が得意
UCは一撃の威力を重視した攻撃か対複数戦を想定したものを使用
一般人等護るべき対象は身を挺してでも護り通す

「護」という一字を心に、弱き者を護る
あとはMS様にお任せします



 天日・叶恵(小さな神社のお狐様・f35376)は夜の帳が降り始めた中、祠の残骸を丁寧に取り除き片づけていた。人類未踏の高山であるが、猟兵や動物がここを通る可能性はある。故にお狐さまの矜持として放っておくことができなかったのだ。
「天日さん、こんなところにいたんだな」
 凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)が叶恵に声を掛けた。叶恵のすることはお見通し、という感じの優しい眼差しを向けると最後の残骸を手に取った。
「このような人里離れたところに現れる怪異……思い出すな」
 陸井から破片を受け取ると叶恵は小さく頷いた。
「そうですね」
 二人の頭の中に『ゴースト』という単語が去来した。

「何故だ……何故俺は猟兵に勝てぬ……」
 半分潰れたトマトのようになった邪神が呻く。完全復活を遂げられなかったとは言えその力は圧倒的なはずだった。にも関わらずこれまでただ一人の猟兵を倒す事すら出来なかった。
「ならば問おう、お前は何のために戦うんだ」
 羽織をはためかせながら陸井が問う。邪神はしばらく沈黙した後に答えた。
「……最初はトマトに砂糖をかけるものが許せなかった……そいつらをこの世から消し去り、この世界を狂気で満たしたかった……」
「なるほど、な」
 陸井は筆を手にすると、空中に力強く点を打った。

「すみません、目眩ましをさせてもらいますー」
 陸井の行動を見た叶恵が白燐蟲の群れを邪神目掛けて解き放つ。夜の闇に白燐の嵐が加わり邪神の視覚が完全に遮断された。驚き慌てて衝撃波を放つ邪神であるが、二人は完全に射程外だ。
 衝撃波が虚しく空振る中、陸井は筆を走らせていた。
「なあ、邪神よ。お前の戦いの理由は全部自分のためでしかない」
 叶恵はあえて邪神の聴覚は奪わなかった。故に陸井の声は今彼に届いているはずだ。
「だが、俺たちは違う。天日さん、教えてやると良い」
 叶恵は頷くと、一歩前に出て邪神へと語り掛けた。
「私たちは大切なモノ、己の場所、誇りと記憶、それらを胸に抱いて戦うのです」
 そのまま扇を取り出すと、叶恵は白燐蟲へ向けて扇いだ。暗闇の中、白燐蟲が光り輝き邪神の位置を照らす。
「一振りの刀となり、守るべきものを守り、護るべきもの護れ。それが俺たちの戦いだ」
 陸井の筆が力強く跳ねる。空中に書き上げられたのは龍が四つ並んだ『テツ』という漢字。
「少し喋りすぎたか? 受けてみな」
 漢字から墨色の弾丸が飛び出し、白燐蟲の目印へと突き進む。それは邪神の身体を穿ち、大きな風穴を開けた。

 白燐蟲から解き放たれた邪神の視界に陸井の背中が写る。
 そこには『護』の一文字があった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

勝守・利司郎(サポート)
神将の四天王×花蝶神術拳伝承者、勝守・利司郎だ。
花蝶神術が何かって?オレが言い張ってるだけだが、練った気を花や蝶のごとく扱うやつ。
しっかし、『トーシロー』が達人っていう設定なぁ。あ、オレ、神隠し先で神将になる前はバーチャルキャラクターな。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動する。そうだな、主に拳に練った気を集めてグローブ代わりにして、殴ることが多いか?

他の猟兵に迷惑をかける行為はしない。オレの美学(味方ならば邪魔をしない)に反するからな。作戦なら別だが。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないからな。
あとはおまかせ。好きによろしく!


仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!


百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生

正義感が強く困っている人は見過ごせない

UCは業火の一撃、灼熱の束縛に加えて
自分たちが押し切られそうになったらオーバーヒートバッシュ
🔴の数が多い場合はバーニングリベンジャーだ

攻撃には怪力、属性攻撃、2回攻撃、グラップルなどの技能をのせる

逆に敵の攻撃をからみんなをかばう、耐えるために
武器受け、挑発、おびき寄せ、時間稼ぎ、激痛耐性なども使用
敵に一撃入れられそうなら咄嗟の一撃や捨て身の一撃、カウンター
こいつがボスか…
みんな大丈夫?助けにきたよ!

そんなの許せない、ボクの炎で焼き払ってやる!

技能の勇気、覚悟、気合いは常に発動状態

アドリブ絡み歓迎

影朧などの場合は説得もしたい



「こいつがボスか……」
 身の丈二十メートルほどの巨大な邪神を、崖の上から見下ろしている少年が一人いた。
「へー、これがボスか。愛しの悪女様の方が遥かに美しい上に強そうだな」
 少年の後ろから覗き込むように邪神を見ているのは勝守・利司郎(元側近NPC・f36279)だ。彼はこの邪神の守護者である『きんぐセキセイさま』を倒すのに尽力した陽殿蘇・燐の側近NPCであったという過去を持っている。
「この邪神はUDCアース全体を狂気で満たそうとしているらしいわね。この世界をぶち壊そうなんて許さないんだから」
 少年の肩を優しく叩きながら袖口からダガーを取り出したのは一人でありながら五人、五人でありながら一人の仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)だ。今は美術好きなお姉さんの『ネイル』が表に出ている。
「UDCアースを狂気で……」
 少年が右の拳を胸の高さで握りしめ、歯を食いしばる。UDCアースの小学校に通う彼にとってそれは実に許しがたい行為であった。
「そんなの許せない、ボクの炎で焼き払ってやる!」
 ルーンがあしらわれたソードを抜き放つと、少年――百地・モユル(ももも・f03218)が崖から飛び降りた。

「うおおおおおおお!」
 邪神の上部に降り立ったモユルの身体に凄まじい衝撃波の連撃が繰り出される。しかし、モユルはその激痛に耐えながらルーンソードを邪神のヘタの中心に突き刺す。
「ボクは負けない! この世界を狂気で満たさせやしないんだ!」
 ルーンソードが燃え上がり、刀身が炎で溢れる。同時に邪神が燃え上がり、反撃の衝撃波も強くなっていく。
「これだけの大きさだと外套で目くらましという手は難しそうね。なら冷静沈着なあなたの得意技を使わせて貰おうかしら」
 ネイルはルーンソードを抜くと手をかざす。刀身を中心に風が渦巻くように生まれ、ネイル自身をも包み込んだ。
 そのまま崖の上から片足で飛び立つと、空中で一回転しながら邪神のヘタへとルーンソードを突き立てた。邪神の全身に神経毒が行き渡り麻痺を引き起こす。
「た、助かったぜ」
 邪神の衝撃波が止まり、モユルが一息つく。二人はルーンソードを引き抜くと再び全力でヘタの中心目掛けて刀身を振り降ろした。
「うお!?」
 しかし邪神の身体がルーンソードを受け付けない。硬質化した身体が二人の攻撃を弾いたのだ。
「くそっ、どうしたら……」
 歯ぎしりをするモユル。思わず地団太を踏むが、その時足元に花が咲いているのに気が付いた。
「これは……チューリップ?」
 瞬く間に邪神の上部に大量の鬱金香が咲き誇り、その花びらが燃え上がる。周囲に甘い香りが漂い邪神を眠りへと誘った。
「あら、キレイね。利司郎ちゃんはこんな美しい戦い方をするのね」
 ネイルが崖の上を見上げると、そこには拳に光を纏った利司郎の姿があった。
「だろ? まあ、愛しの悪女様ほどじゃないけどな!」
 利司郎は笑いながら返すと、モユルへと声を掛けた。
「モユルくん、やられた分を全部返してやろう! オレも行くからよ!」
 崖から飛び降りると、利司郎が更に輝きまるで一つの光の塊のようになった。そのまま重力を活かし邪神のヘタの中心に拳をぶち当てる。
「ぐおおおおおおお!」
 睡眠と麻痺で邪神の硬質化はすでに解けていた。衝撃でヘタが吹き飛び邪神の赤い果肉が露わになる。
「私も続くわ!」
 ネイルがルーンソードを空中に放り投げる。それは回転しながら次第に熱を帯び、炎で包まれた。ネイルはそのまま逆手で掴み取ると、邪神へと刀身を突き立てる。
「あああああああああ!」
 身悶えする邪神。二人の攻撃が突破口となり、邪神の弱点が露出した。

「モユルくん」
「モユルちゃん」
 利司郎とネイルがモユルの顔を見て頷く。モユルは一度大きく頷くと息を吸った。
「倍返し……いや、十倍くらいにしてやるぜ!」
 モユルの勇気が、覚悟が、気合がルーンソードへと流れ込み、刀身が身の丈を超えるほどの長さになる。
「ボクたちがボスを倒してやるんだ!」
 弱点に燃えさかる炎の剣が力強く突き立てられた。邪神の半身が吹き飛び、山頂に悲鳴が響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

高柳・源三郎(サポート)
旅芸人一座の座長、それが高柳源三郎じゃ!!(まだ零細なんじゃがな......)。
性格は酔いどれおやじじゃが旅芸人一座の座長なので本番(戦闘)では酔いが殆ど覚めて戦うことが出来るんじゃ。
武器である【不思議なたぬき人形「はな」】【暗殺用たぬき人形「たろう」】を使いまるで踊りや人形劇をするかのう様にユーベルコードを使い戦うのじゃ。時々【竜珠】に封じ込めてある骸魂・八岐大蛇に乗っ取られて暴れて回ってしまうんじゃ。
情報収集は芸をして道行く人の足を止めて人達の噂話を聞けば集められると考えてとるんじゃ。
宴会技能が高いので戦場で宴会をするんじゃ。
口調は(わし、~殿、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)です。


虚偽・うつろぎ(サポート)
世界問わず大歓迎
世界を超えて自爆活動さ
アドリブ連携等ご自由に

登場即自爆
自爆できれば台詞も活躍もいらぬ!
速攻で自爆することが最優先
1歩も動かず即自爆
そう、自爆だ
僕に自爆をさせるんだ!
僕もろとも鏖殺だ
これぞ鏖殺領域なり

ただ自爆するためだけに現れる存在
何かいきなり自爆する怪奇現象
もはや災害である

技能:捨て身の一撃を用いての
メッサツモードによる高威力な広範囲無差別自爆

射程範囲内に敵が1体でもいれば速攻で自爆
自爆することが最重要
なので敵がいなくても自爆するよ
大事なのは自爆までのスピード
有無言わせぬスピードで自爆する
これ最重要だね

捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
1回限りの大爆発
自爆後は爆発四散して戦闘不能


音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。



自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
                      プロデューサーより


大豪傑・麗刃(サポート)
一人称は『わたし』『麗ちゃん』

基本右サムライブレイド左フライングシャドウの二刀流+随行大剣
スーパー変態人2時右サムライブレイド+フライングシャドウ、左日本刀+妖刀の四刀流
伝説のスーパー変態人時キャバリアソード
真・ガチ剣士モード時妖刀
なんらかの理由で上記を装備していない場合は適当に

で真っ向から行くだけなのだ。

ユーベルコードはお任せだが決まらなければ

ネタ可なら
ネタキャラとしての矜持>鬼殺し>変態的衝動>正々堂々真っ向勝負>爆発オチ>誰にでも苦手なものはある>わたしのネタを聞け>燃える男

ネタ不可なら
スーパー変態人2>伝説のスーパー変態人>真・ガチ剣士モード>達人の智慧>剣刃一閃



「僕に自爆をさせるんだー!」
 轟音と共に閃光が放たれ邪神が爆風に巻き込まれる。その余りの威力と唐突さにバーチャルキャラクターのネガティブアイドル音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)が脅えながら口を開いた。
「え? 今の爆発はなんなの? まさか私の番組を潰す刺客……?」
 予想もしなかったマイナス思考に思わず飲んでいる酒を吹き出してしまったのは旅芸人一座の座長、高柳・源三郎(幕府公認?の飲んだくれ野郎な旅芸人で座長・f15710)だ。源三郎は口元を拭うと鬱詐偽に向かって声を掛けた。
「いやいや、あれは自爆の極みを目指す虚偽殿のユーベルコードじゃよ。それにしても今までになく早い自爆じゃったのう」
 仲間の活躍に想いを馳せ嬉しそうに酒を呷る源三郎。しかし、それを良しとしない一人の猟兵が拳を握り打ち震えていた。
「なんてやつなのだ……麗ちゃんのやりかったことを先にやられてしまったのだ……」
 彼こそがネタキャラであることに全身全霊を注ぐ大豪傑家の次期当主、大豪傑・麗刃(24歳児・f01156)だ。今回、彼は敵に出会うや否や自爆装置を押して大爆発をするつもりであったのだ。
「こうなったら、麗ちゃん真っ向から行くだけなのだ」
 右手にサムライブレイド、左手にフライングシャドウを握ると麗刃は邪神目掛けて地を蹴った。随行大剣が麗刃に続いて空中を飛んでついていく。
「斬れば終わるのだ! 斬れば終わるのだ!」
 意外にも凄まじい剣戟を見せる麗刃であるが、邪神の身体がそれを全て跳ね退ける。どう見ても柔らかそうな果肉であるが、その硬度は何物も受け付けない程になっていたのだ。

「あれは奴さんのユーベルコードじゃろうか? 力押しで何とかするのは難しそうじゃのう」
 源三郎はたぬき人形の『はな』と、同じくたぬき人形の『たろう』を相手にしながら宴会をしていた。鬱詐偽も何となくそれに巻き込まれて座っている。
「鬱詐偽殿は呑まんのか?」
「放送中に呑むのはマイナスイメージになるので……」
 丁重にお断りする鬱詐偽の前で一台のドローンが浮いていた。これは彼女の一挙手一投足を撮影しファンにお届けする動画撮影ドローンなのだ。
「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん。ただいま参上」
 ドローンに向かって可愛くポーズを取りながらキメる鬱詐偽であったが、セリフを言い終えると何故か頬を赤らめて少し俯いてしまった。
「何じゃ、その……どろぉん? って奴で放送できるんじゃろうか?」
 あまりこういうガジェットに詳しくない源三郎は首を傾げると更に酒を呷る。そして麗刃の方を見ると、素っ頓狂なことを言い出した。
「お? ちと酔い過ぎたじゃろうか。トマトが沢山飛んでくるのが見えるのう」
「トマトが……?」
 顔を上げて源三郎と同じ方を見る鬱詐偽の目に無数の小さなトマトが飛び込んできた。しかもそれは鬱詐偽目掛けて飛んできているではないか。
「ひゃん! プ、プロデューサー!? こんな仕事だなんて聞いてないわよ!」
 万が一トマトが直撃したらせっかくの衣装が真っ赤に染まってしまう。必死にトマトを避ける鬱詐偽の姿を見たファン達がドローンを通じて応援を送る。それを見た鬱詐偽はマイクを取り出すと『鬱るな!鬱詐偽さん』のオープニング曲を歌い始めた。
「はっはっは、宴会に歌は付き物じゃのう。それじゃ人形劇のはじまりじゃ!!」
 たぬき人形の『はな』と『たろう』がまるで命が宿ったかのように動き出した。

 『たろう』は手裏剣をトマトに投げつけ次々と打ち落としていく。
 『はな』は邪神へ抱き着くと光り輝きユーベルコードを打ち消した。

 たぬき人形が普通では考えられないような強さを発揮しているのは宴会が実に楽しく賑やかなものであったからだ。

「んん!? なんか邪神の身体が豆腐のように柔らかくなったのだ、トマトだけど」
 ついに麗刃のサムライブレイドが邪神の身体を切り裂いた。噴き出るトマトの汁を見ると麗刃はニヤリと笑い、武器を天に掲げる。
「この時を待っていたのだ、斬って終わりにしてやるのだー!」
 飛び跳ねながら邪神の身体に武器を振り下ろす麗刃。しかし、そこには何故か自爆装置が鎮座していたのだ。
「だめだこりゃー!!」
 麗刃は邪神諸共吹き飛び空の彼方へと飛んで行った。
 それを見た源三郎と鬱詐偽は顔を見合わせて思わず苦笑する。
「いや、爆発するんかーい……って言えば良いのよね?」
「はっはっは、面白かったのう

 かくして四人の猟兵が邪神を手玉に取ったのだ。
 最初に登場して即爆発したのは虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)という転生殺人鬼であったことを、ここに記しておく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

キャロライン・メイ(サポート)
ダークセイヴァーの貧民街の生まれ。生きるため、悪事に手を染めてきた。ある日商人から一振りの剣を盗み出す。剣は呪われており、その邪悪な魔力によって、呪われし黒騎士へとその身を堕とす。その冷酷な様を人々はアイスドールと呼ぶ。

自身の半生に強いコンプレックスを持ち、心の中では常に自己を否定し続けている。死に場所を探しているかのような言動をとることがある。

ダーインスレイヴ~漆黒の魔剣による強力な一撃。
ライフドレイン~魔剣の血塗られた鉄鎖が無数の棘に変形し敵に突き刺さる。


※エロやグロNG
※5人以上まとめたリプレイNG


大神・零児(サポート)
アドリブ共闘可
単純戦闘の場合
強力な一撃を叩き出せそうなUCか、形勢逆転が狙えそうなUCを

味方や護衛・救助対象への援護や支援が必要な場合
味方や護衛・救助対象へのサポートとなるようなUCを

戦闘のみ
所持している武器・アイテムを効果的に使い戦局を有利にするよう行動(所持アイテム等を駆使し攪乱や敵の隙をつくる等)

救出・護衛
対象者の命最優先で行動
敵の動きに注意し、牽制しながら戦う
仲間との連携・連絡はアイテムも駆使し密に

常時使用技能
戦闘知識
第六感
野生の勘
見切り
地形の利用
世界知識
咄嗟の一撃
情報収集
早業

護衛・救出対象等有
拠点防御
時間稼ぎ
鼓舞
失せ物探し
オーラ防御
覚悟
救助活動
かばう
聞き耳

C-BA使用
運転
操縦
運搬
騎乗



「何故だ、何故どいつもこいつも俺のやり方を否定する……貴様らは否定されたことが無いからそんなことが出来るのだ!」
 もはや、その身が三分の一ほどになってしまった邪神が慟哭する。
「それはどうかな、私は常に己を否定し続けている」
 漆黒の大剣を雪上に突き刺し、キャロライン・メイ(アイスドール・f23360)が答える。彼女はダークセイヴァーの貧民街でその生を受け、生きるためなら何でもやってきた。あるいはその半生に強いコンプレックスを持っているのかもしれない。
「己を否定だと……ならば何故貴様は生きている!」
 邪神の声を聞いたキャロラインはしばし目を瞑ると、そのまま口を開いた。
「死ぬ勇気がないなら、生きるしかないじゃないか」
 キャロラインの言葉を聞いた邪神は押し黙り、もう一人の猟兵へと声を掛けた。
「貴様はどうだ、何故生きている!」
「俺か? そんなこと考える暇すらねぇよ」
 妖刀『魂喰』の柄を握りながら大神・零児(魂から別れたもう一人の令二・f01283)が吐き捨てる。日々訪れる『大生守令二の戦いの記憶』という名の悪夢、自身の意思決定を誘導しようとする『始祖』、そして『オリジナル』という存在。零児は悪夢と災難に打ち勝ち、生き残る事で精一杯なのだ。
「くそっ! くそっ! くそぉおお! 馬鹿にしやがって!」
 しかし、邪神は零児の置かれてる境遇を知る由も無い。自身の問いかけを無下にされたと考え激高した。そして己の身体を硬質化させると、そのまま殻に閉じこもったかのように静かになった。

「再生しようとしているのか」
 ダーインスレイヴの柄に両手を乗せながらキャロインが呟く。その視線の先には硬質化したまま徐々に果肉を再生させようとしている邪神の姿があった。
「植物タイプの敵にはああいう手合いが多い。キャロライン、どうする?」
「奴の全身は今硬質化し、あらゆる攻撃を受け付けない状態だ。ならば、私たちがやるべきことは一つしかあるまい」
 雪上からダーインスレイブを引き抜くとキャラロラインはその切っ先を邪神へと向けた。
「その防御力を上回る攻撃を叩き込むのみ、だ」
 その言葉を聞くと、零児は待ってましたとばかりに手を叩き、邪神の方へ向き直った。
「良いねぇ、そういうわかりやすい奴」
「行くぞ」
 キャロラインが雪上を駆けると、零児もそれに続くように後を追った。

 邪神が間近に迫ろうかという時、零児が姿勢を低くしてキャロラインの前に飛び出す。キャロラインは零児の意図を汲み取ると、その背中を踏み台にして大きく跳んだ。空中でダーインスレイヴを強く握ると、そのまま邪神の身体目掛けて大きく振り下ろす。
「ぐぅうう!」
 硬質化した邪神の身体が強力な一撃で打ち砕かれる。同時に地面が衝撃で揺れ動く。
 零児はその衝撃を利用して更に高く高く跳んだ。落下しながら身体を捻ると魂喰の柄を握り直す。そのまま鞘に沿うように刀身を滑らせると、邪神の身体目掛けて一閃した。
「なぜ、なぜ俺の身体が……!」
 次元をも切り裂く零児のユーベルコードが邪神を捉えた。硬質化した身体をものともしない一撃が邪神を切断したのだ。

 元の四分の一ほどの大きさになった邪神を一瞥すると、零児は魂喰を鞘に納めた。
「てめぇには覚悟が足んねぇんだよ」
「覚……悟……?」
 雪上を去る二人の姿を見て邪神は考えた。
 勇気とは何なのか、覚悟とは何なのか、と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。


七星・天華(サポート)
 羅刹のガンナーで元気娘。
 仲良しな人には優しく楽しく。

『一般人に過度な期待はしないでよね。』
自分は才能など無い平凡な存在だと思っているが実は天才。
二丁拳銃「白雷」と「黒雷」をメインにナイフ系も扱える。
二丁拳銃を使った近接戦闘もできる。
遠近両方の距離でも戦闘を成立させる。
装備の影響で帯電しているが自由自在に扱える。
世界を放浪して手に入れたアイテムで出来る事の幅が広い。
少々過酷程度の環境は即座に対応適応するサバイバル能力。
左肩に生まれつき痕がある。
美人な元気娘だが暗殺もするデンジャラスな一面も。
家族のみんなが好きだが特に姉が大好きで姉の一番のファン。
自分にもファンが居るとは微塵にも思っていない。


マホルニア・ストブルフ(サポート)
◇口調:男性的
一人称:私
三人称:お前、呼び捨て
【だ、だな、だろう、なのか?】~か、〜するよ、構わん、等
協力者には丁寧に接する。

◇行動方針:問題の解決
一般人がいれば保護が優先。
多少の負傷は気にせず行動。

◇戦闘・技能
知覚端子を張り巡らせ、地形や敵の動向を情報収集しながらサポートしようか。
電子媒体はハッキング、戦闘はグラップル、切断、射撃系がメインだな。使える技能は使っていこう。

武器はレヴィアスクかアサルトライフル。移動や捕縛、足場に転用でGleipnirを使うこともあるな。
UCはハッキング・UDC由来の呪詛を組み合わせて実現させる。詠唱は長いからな、有っても無くても構わない。後はよろしく頼む。



「俺は……絆……覚悟……勇気……砂糖……?」
 これがあの傲慢で慇懃であった邪神の姿なのか。二十メートルあった身の丈も今や三メートルほど、その気になれば容易に叩き潰せるだろう。
 しかし、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)はそれを良しとしなかった。彼女は宇宙カブから降りると邪神に歩み寄り声を掛けたのだ。
「なぁ、そもそもアンタはどうしてトマトに砂糖をかけるのを嫌うんだい?」
「どうして? それは……」
 邪神は言葉に詰まった。砂糖を拒否するのは、結局のところ自身がそれを嫌いだからという理由に過ぎない。だが、これまでの戦いを通じて『押し付け』が何も生まないということは理解してしまった。故に答えることが出来ないのだ。
「お前、最初は果敢に猟兵に挑み攻撃をしていたな。だが次第に積極的に戦わず、殻に籠るように守りを固めた……何故だ?」
 マホルニア・ストブルフ(欠けた年代記・f29723)が続けて問いかける。邪神はしばらく悩むと、静かに答えた。
「眷属が駆けつけてくれると思ったからだ……来てくれなかったが……」
「眷属? それって家族のようなものなの?」
 七星・天華(自覚無き天才・f36513)が口を挟む。天華にとって家族は尊敬すべき相手であり愛すべき存在だ。奇しくも今回の邪神山脈の任務に父と姉も参加している。
「家族というものは良くわからないが、守るべき存在であり守られる存在である、と俺は認識している」
 邪神がその身を震わせながら答える。それを見た多喜は目を瞑りながら何かを思い出すように語りだした。
「実はアタシここに来る時にちびっこパンダをカブに乗せたんだよ。その時パンダたちはこう言ってた。『トマトに砂糖をかけても笑って許してくれた邪神が好きだった。今の邪神は好きじゃない』ってな」
「何だと……それじゃあ俺の仲間はもういなかったって言うのか……」
 意気消沈する邪神にマホルニアが近づく。そしてその身体に触れると、自身の戦いの記憶を邪神へと流し込んだ。
「それは違うな。封印の守護者……きんぐセキセイさまはお前を必死に守り、散り際に自身を贄としたんだ。見えるだろう?」
「おおお……自身を贄にだと……」
 邪神はきんぐセキセイさまが自身の贄になっていたことを知らなかった。側近がそのような決死の覚悟を持っていたことに今更ながら気づいたのだ。
「私が戦ったちびっこパンダは猟兵を近づけまいと必死に戦ってたよ。それに……家族だって喧嘩することはある、多喜と話してたパンダだって本当は仲直りしたかったんじゃないの?」
「そうだろうね。本当に心の底から嫌ってたらこの山を降りてるはずだ」
 邪神は沈黙した。あるいは、それはちびっこパンダやきんぐセキセイさまに思いを馳せていたのかもしれない。
「他の猟兵が聞いていたけど、改めて問おうじゃないか。アンタ、何のために戦うんだい?」
 しばらく間を挟み、邪神が声を張り上げた。
「俺は……俺を守ろうとして散ったちびっこパンダと、俺を復活させたきんぐセキセイさまのために戦う!」
 多喜はニヤリと笑うと、手のひらに拳を打ち付けた。
「そう、それで良いんだ!」

 邪神は果肉を震わせると、今までにない数のトマトを召喚してマホルニアへと投げつけた。マホルニアは雪上を駆けながらアサルトライフルのトリガーを引き、その全てを撃ち落とそうとする。
「まだだ! まだ俺はやれる!」
 どこにこれほどの力が残っていたのか。いや、あるいはこれが邪神の本当の力なのか。撃ち落とされる端からトマトが生み出され、礫のようにマホルニアへと降り注ぐ。
「ちっ、ちょっと多いな」
 弾倉を取り替える暇はない。マホルニアはアサルトライフルを投げ捨てるとレヴィアスクを取り出してバトンのように振り回した。トマトは青い刃に切断され、次々と雪上を赤く染め上げていく。
 しかし、マホルニアの死角からもトマトが襲い掛かる。あと少しで彼女に直撃しようかというその瞬間、果肉が弾けて四散した。
「マホルニア! 援護するよ!」
 天華が二丁拳銃『白雷』『黒雷』のトリガーを引く。弾丸がトマトの礫を捉え、電撃が連鎖していく。ついにトマトの猛攻が収まった。
「へぇ、アンタも雷が得意とはねぇ!」
 多喜のサブマシンガン『SMG-MP5udc』から煙が立ち昇る。天華は満面の笑みを見せると、そのまま雪上を走り出した。
「私は……雷そのものになれるよ!」
 雷の軌跡のように天華が走る。その余りの速さに邪神はトマトをぶつけることを諦め、極大の衝撃波を放った。
「うわあ!」
 天華は恐るべき反応速度でなんとか後方に飛び退いた。如何に雷のような速さと言えども、間断なく放たれる衝撃波相手では越えようがない。どうしたものかと思案していると多喜が声を張り上げた。
「行け! 天華! アタシが援護する!」
 天華は頷くと再び邪神目掛けて駆けだした。同時に邪神が衝撃波を放つ。天華と衝撃波が交錯しようとしたその瞬間、多喜が強く雪を踏み締め電気を衝撃波へと放った。
「行ける!」
 電気が一筋の道となり衝撃波に穴を開ける。天華はその穴を潜り抜けるとライトニングダガーナイフを邪神の身体に突き刺しいっきに電流を放った。
「あああああああああ!!」
 果肉が焼け焦げ微妙に良い匂いが漂よう中、マホルニアが動いた。UDCの一部で作られたワイヤー機構『Gleipnir』を邪神の身体目掛けて射出したのだ。
「多喜! 決めてやれ!」
 その言葉を聞くと多喜はワイヤーに飛び乗り、その反動を利用して大きく跳んだ。彼女のライダーブーツから電流がほとばしり、サイキックエナジーがみなぎる。
「3・2・1……ゼロ!」
 空中で身体を大きく翻すと、そのまま多喜の後ろ回し蹴りが邪神の身体へと炸裂する。これまで共に戦ってきた仲間たちの絆が、想いが、その一撃に込められていた。

「ああ……俺は負けたのだな……」
 気づけば邪神は元のトマトの姿に戻っていた。
 UDCアースのスーパーで売っていそうな小さなトマトだ。
「なあ、俺は眷属のために戦えただろうか……」
 三人が頷いたのを見ると邪神は一度震え、小さく続けた。
「もう俺は……トマトに砂糖をかけても怒らない……」
 それが邪神の最期の言葉だった。
 多喜は小さなトマトになった邪神を手に取ると、綺麗に片づけられた祠の瓦礫の上に彼を置いた。
「それじゃ、報告に帰ろうかね」
 三人が帰路につく。天華はトマトを振り返ると、二人に問いかけた。
「多喜とマホルニアはトマトに何かけて食べるの?」
「トマトねぇ、アタシは――」
「私かい? そうだな――」
 トマトがもう一度だけ、震えたような気がした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年05月17日


挿絵イラスト