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知識への渇望がアリスを喰らう

#アリスラビリンス #戦後 #【Q】

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#戦後
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#【Q】


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●貪欲な書架
 不思議の国は迷路に満ちていた。日常茶飯事の光景、而して今日の迷路は書架である。
 知りたい知りたい、好奇心、知識欲の旺盛な書架は運悪く迷い込んでしまったアリスの道を阻む。
「え~!? またぁ~!? もう僕が知ってること、ないよぉ~……」
 あまり勉学に勤しんでいなかったのがツケ、とはあまりにも酷であろう。少年、タクトは振り絞った知識でどうにかこうにか書架の妨害を逃れてきたが、またも行き止まりとなってしまい、いよいよ観念してしまう。
 新たな知識を与えなければ書架は道を開いてくれない。途方に暮れるタクトであったが、その背後には書架の主とも言うべき禁書が迫っていた。

●アリスラビリンス・6thラウンド
「書架のお話は、ちょっと前の戦争でもありましたね。ですが今回は易しい? ですので大丈夫かと思います! ですから迷えるアリスさんを助けに行きましょう!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が予知の中に視た書架は、例えば脳を破壊してくるとかいう危険なものではない……が、アリスにとっては行く手を阻み、その結末がオウガの餌食なのだからそこそこに危険である。
「今回、不思議の国で迷い、オウガに襲われてしまうのはタクトさんという男の子です。彼のいる場所は『好奇心の書架』というものが存在する不思議の国で、そこは言わば、書架の大迷路状態になっています。迷路の攻略法、というものはあるかと思いますが書架の大迷路はそもそも『書架が動いて道を完全に塞いでいる』状態なので通常の方法では攻略できません」
 何処へ行っても行き止まり。出口への道が完全に閉ざされてしまっている状態では猟兵と言えど攻略は不可能。ではどうするか。
「迷路を構成している書架は『好奇心が満たされる』と道を開けてくれるようです。好奇心とはつまり『知りたい』という欲求のことですね。なので皆さんは、道を塞いでいる書架に何でもいいから知識を与えてあげて道を開き、タクトさんを次の不思議の国に繋がるウサギ穴へと導いてあげましょう。……ただし、そのウサギ穴の前には強力なオウガが待ち構えていることもわかっています。解き放たれし禁書『レスレクティオ』、書架の国に相応しいオウガかもしれません。その禁書を倒さない限りタクトさんをウサギ穴に送り出すことができませんので、全力で戦ってやっつけちゃってください! 迷えるアリスさんはまだまだいるのかと思いますので、一つ一つ、しっかりと解決していきましょう! それではよろしくお願いします!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 まだ見ぬ宿敵を求めて不思議の国にやってきました。

●フラグメント詳細
 第1章:冒険『好奇心の書架』
 不思議の国は書架の迷路となっています……が、書架が何処も彼処も塞いでしまっているのでウサギ穴まで続く道は完全に閉ざされています。
 解決手段は「書架に知識を与える」ことです。満足すると書架は道を開けてくれますので、何でもいいので皆さんが知っていることを教えてあげましょう。

 第2章:ボス戦『解き放たれし禁書『レスレクティオ』』
 まあなんかやべー本がウサギ穴の前で浮いていました。
 オウガですので倒してください。こいつには知識を与えるとか必要ないです。倒しましょう。
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第1章 冒険 『好奇心の書架』

POW   :    知っている諺や慣用句を教える

SPD   :    知っている風習を教える

WIZ   :    知っている物語を教える

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鳶沢・成美
何だか僕のユーベルコードと似た不思議の国ですね
しかし書架に知識を与えると言われてもね……

ううん
正月などに揚げられる凧は、
昔はイカとかイカノボリとか、よばれていたんですが
ある時禁止令が出てしまうんですよね、
でも凧あげしたいなあっていう庶民は
「これはイカじゃなくてタコなんで、禁止されてるやつと違うんで」
みたいな言い訳をしたんだとか
一説によればこれが凧(イカ)が凧(タコ)によび方が変わった理由だとか

……こんなんでいいのかな?



●凧揚げは如何に人気だったか
 書架――即ち本棚が迷路を構成する不思議の国は、さぞ知識が蓄えられているのであろうと思えばそうではなく。
(これも……これも、中身は真っ白だ。全部「入れ物」だけ……僕のユーベルコードと似てはいるけど)
 鳶沢・成美(探索者の陰陽師・f03142)はこの不思議の国に迷い込んだ少年、タクトに追いつくまでの手持ち無沙汰を手近な本で解消しようと手に取ってみたが、表紙にも背表紙にも裏表紙にも何一つ文字が無い装丁の本は真っ新な紙束でしかなく、諦めて書架に戻し先を急ぐ。
 好奇心、と言えば聞こえはいいが、早い話が飢餓状態だ。だから書架達はなりふり構わずに、迷い込んだアリスの前に立ち塞がっている。
「うぅーん……」
 曲がり角の先から苦悶が聞こえてきた。成美がひょいと顔を覗かせると、今まさに書架に道を塞がれて動けなくなっている少年が一人。
「あぁ、いたいた。タクト君、だよね?」
「あっ……はい。お兄さん……もしかして、猟兵、さん……?」
「その通り。事情は大体分かってる。どうにかしてこの書架には動いてもらわないとね」
 通路を丸ごと塞いでいる書架は、空いた棚に知識が入ってくるのを雛鳥のように待っている。成美は試しに書架を押してみたが、世界と一体化しているかのようにびくともしない。
「やっぱり知識が必要……しかし、書架に知識を与えると言われてもね……ううん」
 一体どんな知識がお気に召すのか。書架の好みでも聞ければいいが、それは棚があるだけで口はない。成美は迷いに迷って、それでとっておきの豆知識、というわけでもないが。
「……お正月なんかの遊びに『凧揚げ』がありますよね。その『凧』は、昔は『イカ』とか『イカノボリ』とか呼ばれていたんですよ」
「へぇ~」
 成美がぽつぽつと話し始めた知識を、書架がどれほどの熱心さで聞き入っているかは分からない。代わりにタクトが相槌を打つ。
「でもある時、あまりにも流行り過ぎた『イカノボリ』で、落ちてきたイカが住居や畑に被害を出したり喧嘩で怪我人なんかも出たりしたことから、『イカノボリ禁止令』が出てしまうんですよね。それでもイカノボリしたいなあっていう庶民は『これはイカじゃなくてタコなんで、禁止されてるやつと違うんで』みたいな言い訳をしたんだとか。一説にはこれが元で『凧揚げ』と呼ぶようになったようですよ」
「そうなんだぁ!」
 空に揚がる凧と海を泳ぐタコ、音が同じだけかと思えば、実はそのタコとイカの屁理屈が元になっているらしいと知ってタクトは感嘆の声を上げていた。そしてひとまず知識を披露した成美は塞ぐ書架に目を向ける。
「……こんなんでいいのかな?」
 成美の問いに書架はうんともすんとも言わないが、少し待っていると書架が持つ空白に、虚空より現れた本が一冊、すこんと形良く収まった。背表紙には何語とも言えぬ妙な刺繍が施されている。書架はそれで満足したようで、開き扉のようにずずずと回転して通路を成す壁と同化した。
「通れるようになった!」
「うまくいったみたいだね。さて……歩きながら、次の知識を考えておかないと」
 食欲旺盛な書架はまだまだあるに違いない。タクトと共に歩み出した成美は早速、知識披露の予行を始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。

 あとはおまかせです。よろしくおねがいします!


コーデリア・リンネル(サポート)
 アリス適合者の国民的スタア×アームドヒーローの女の子です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

内気な性格のため、三点リーダーや読点多めの口調になります。
ですが人と話すのが嫌いでは無いため、
様々な登場人物とのアドリブ会話も歓迎です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


七星・桜華(サポート)
『天魔流免許皆伝、更なる高みへと!』
『一か八かの勝負?必要無いね!私達の勝ちだ!』
『後は派手に騒ぐんだ!誰も倒れないようにね!』
隠れ里に伝わる『天魔流』歴代最年少であり派生流派も含めての免許皆伝。
腰に挿している六振りの刀と扇子を使い戦闘する。
物理的な技術を異能のUCにまで昇華させた。
闘う姿は艶やかな舞踏が如く空中戦もできる。
第六感も鋭く見切るまでも早い。
先手後手問わず。
殺気や覇気を残像に残し分身と勘違いさせる事も。
常に最善を最短で気づき勝ってきた。
防御無視の内部破壊を当たり前に行う。
柔剛の技を扱い両立させる。
消耗を生命力吸収で補う。
優れた第六感で賭け事も強い。
家事も万能。
両親と妹も猟兵である。



●書架と桜と星と月
 迷路の中に動く「知識」がある。どこかから嗅ぎ付けた書架達はこぞって猟兵達とアリスの少年、タクトの前に現れていた。一つ見つけたら三十はいると思え――不吉な俗説が現実となってしまったようだった。
「知識……と、一口に言っても難しいものですね」
「叩っ斬れりゃ楽だったのにねえ、一体何で出来てるんだか」
「みんなで……頑張って、考えましょう……!」
 またも空腹の書架に突き当たって、姫神・咲夜(静桜・f24808)、七星・桜華(深紅の天魔流免許皆伝・f00653)、コーデリア・リンネル(月光の騎士・f22496)は足を止めていた。
 書架は一見木目調なのに、桜華が二刀振り回し乱れ斬ってもかすり傷一つ付くことなく、岩戸の如き頑固一徹で知識のみを待ち続けている。これでは桜華も観念して知識の輪に加わるしかなく、百物語を語るかのように順番を決めて、それぞれが書架と相対していた。
 これまでの試行錯誤から、知識の全てが書架の満足する答えにはならないことが分かっていた。例えば、リンゴは赤い、バナナは黄色い、といったありふれた事実は知識の判定から外れる。それから個人情報の類。誰それの生年月日、血液型、好きなもの、嫌いなもの――そんな知識は知ったとて腹も膨れない、というのが書架の言い分だ。
「それでは……もう春もすぐそこまで来ていますし、私は桜の精でもありますから、桜に纏わるお話を一つ」
 咲夜が語らずして誰が語るのか。書架へ向けての語りとなるが、意外と互いに知らないことが多いのでコーデリア、桜華も耳を傾け、タクトは調子のいいオーディエンスになっていた。
「皆さん、この時期には桜のお花見をされる方が多いかと思いますが……その葉には毒があることをご存知ですか?」
「えっ!? そうなの!?」
「ほぉ、興味深いねえ」
 タクトのリアクションはいつも微笑ましく、その名に桜の字を持つ桜華は未だ果てを見ない知識の海原に関心を示し始めている。
「はい。それは『クマリン』と呼ばれるもので、毒性はあまり強くありませんが抗菌作用があるため、桜餅は桜の葉で巻かれているそうですね。桜の葉の特有の香りも、このクマリンによるものなんですよ」
「でも……桜餅、は、葉っぱごと、食べている人が……多いと、思います……。大丈夫、なんですか……?」
「少量ですし、毒性も強くないので大丈夫、と言われています。ですが科学的に立証されているわけではありませんので……桜餅をたくさん召し上がる時には、葉はよけておいたほうがいいのかもしれませんね」
 桜を見る目も少しは変わってしまう……かもしれない、桜の葉の秘密。咲夜によって明かされたそれは書架に収まるには十分な知識で、一冊の本になり塞ぐ書架に収まった。
 知識が満ちる。書架はずずずと真横にスライドして壁の中で眠りについた。そうすると少し先に順番待ちの書架がまた一つ。
「さぁて、私の番だ。姓は七星、名は桜華、と来れば、私は七星――北斗七星の話でもしようか。名前は誰でも聞いたことがあるだろう? 丁度今時期の空に見える星さ。北斗の『斗』は柄杓を意味して、その先端から北極星を探すことができるのは有名な話だが……古来は視力を測るためにも使われていたのさ」
「そのような、使い方……聞いたこと、ない、です……」
「どうやって測るの?」
「簡単さ。柄杓の柄の端から二番目の星の近くにはもう一つ暗い星がある。そいつが見えるか見えないかで目の良さがわかり――見えなくなったらその年のうちに死ぬ。まあこれは迷信なんだろうが、老化で見えなくなっちまってるって言うならバカにもできない話だよ。こんなもんでどうだい?」
 桜華は書架に問う。これでダメならお手上げさ、と腹を括ってはいたが、書架にはまた一つ知識が収まっていく。不満無し、而して書架はすごすごと退散、埋まって壁になった。
 二度あることは三度ある。その後ろにはまだ書架があり、必然的にコーデリアが話すターンが回ってきた。
「私が、できるのは……お月様の、お話……。UDCアースの、日本、では……お月様に、うさぎが、住んでるって……言われることが、あります……。でも、そのお話、実は……インドっていう、別の国の、お話……なん、です」
 あまり饒舌ではないコーデリアに合いの手を入れてしまうのは逆効果な気がして、咲夜、桜華、タクトはじっと見守っていた。
「……神話、ですね……。神様に、食べ物を、持ってきて、あげられ……なくて……自分を、捧げた……うさぎの、神話……。神様は、うさぎを……かわいそうに、思って……月に、その姿を、残した……そう、です…………」
「月ではうさぎがお餅をついている、なんてお話も耳にしますけど……そういったお話が神話としてちゃんと残されているんですね。勉強になりました」
 神話とは往々にして切ない。コーデリアの語り口も相まって、咲夜はじんと胸打たれる感動を覚えた。それで書架のほうはというと、知識を徒に求めてしまったことを後悔――しているかどうかは不明だが、確かに本は収まって道は開かれた。
「万事順調、私らには向かうとこ敵無しさ! この調子で一気に迷路突破といこうか!」
 桜華が一番の声を張り上げる。知識の海の航海は前途洋々。それは書架が最も良く知るところだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『解き放たれし禁書『レスレクティオ』』

POW   :    生命を
レベルm半径内を【歪んだ鎖】で覆い、[歪んだ鎖]に触れた敵から【血液や生命力】を吸収する。
SPD   :    願いを
対象への質問と共に、【自身のページの断片】から【羨望の異形】を召喚する。満足な答えを得るまで、羨望の異形は対象を【溶けた腕】で攻撃する。
WIZ   :    目覚めを
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【還りそこねた異物】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。

イラスト:葛飾ぱち

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は茜・皐月です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●知恵のりんごより罪深い
 禁断の知識の集積体。レスレクティオは封印から解き放たれた。
 生命を蝕む鎖がある。願いを潰す腕がある。目覚めの曲がった異物があり、それらが禁書たる所以。邪悪なオーラに包まれた黒装丁の禁書はウサギ穴の前に鎮座して阻む。
 オウガとして蘇ったからには、アリスを悉く喰らい尽くす――その強欲は書架に収まりようがなかった。
日下・彼方(サポート)
人間のUDCエージェント × 月のエアライダーの女です

戦闘での役割はレガリアスシューズを使っての空中戦、
影の狼を使役して斥候・偵察ができます
武器は通常大型ナイフを使用しますが
強敵には太刀・槍を持ち出す事もあります

普段は(私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)
機嫌が悪いと (私、~様、です、ます、でしょう、ですか?)

性格は受けた仕事はキッチリこなす仕事人のような感じです
仕事から抜けると一転惚けた風になります

ユーベルコードは必要に応じて、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
 人間のパラディン×シーフの女の子です。
 普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


パルピ・ペルポル(サポート)
名乗るときにはフルネーム。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。
基本は隠密行動。
空中に雨紡ぎの風糸を張り巡らせて攻守両方に利用し、敵の行動を阻害したところに穢れを知らぬ薔薇の蕾を併用して行動を封じる、もしくはそのまま糸で切り裂くのが主な攻撃方法。
もしくは徳用折り紙で作成した折り鶴を筆頭に折り紙動物たちをけしかけてのかく乱兼攻撃を行う。
敵UCは古竜の骨のマン・ゴーシュで受け流す。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしない。
好奇心旺盛ではあるが、行動は慎重。
お宝は勿論素材になりそうな物も出来る限り確保しエプロンのポケットに格納する。
もふもふは抵抗できないよう拘束してもふる。

アドリブはご自由に。


緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
 人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。

基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。

武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。

クロムキャバリアでも生身で戦います。

不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。


川村・育代(サポート)
バーチャルキャラクターの悪霊×ゴーストキャプテン、12歳の女です。
普段の口調は「 年相応の少女口調(あたし、~くん、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には 慣れない敬語(あたし、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。
普段は明るく元気な性格で年相応の考え方、行動をします。
戦闘では自分から積極的に攻撃するよりは呪詛で自爆させたり、同士討ちさせるなど、相手をおちょくるような戦い方を好みます。(Sっ気があるようです)
ユーベルコードは状況に応じて使用します。
エキストラ感覚であらゆる状況で使い倒して頂いて大丈夫です。
描写に関するタブーは一切ありません。


城田・紗希(サポート)
基本的には考えるより行動するタイプ。
でもウィザードミサイルや斬撃の軌跡ぐらいは考える。…脳筋じゃナイデスヨ?
暗器は隠しすぎたので、UC発動時にどこから何が出てくるか、術者も把握していない。
逆恨みで怒ってる?…気のせいデスヨ。UCの逆恨みじゃアルマイシ。

戦闘は、範囲系ユーベルコードなら集中砲火、単体攻撃なら可能な限りの連続使用。
必要に応じて、カウンターでタイミングをずらしたり、鎧破壊で次の人を有利にしておく。

……防御?なんかこう、勘で!(第六感)
耐性……は、なんか色々!(覚えてない)


土御門・泰花(サポート)
※アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱変更・その他歓迎

「あらあら……。大変な事態です。微力ながらお手伝い致します」

一人称:私
口調:基本的に敬語。柔和な印象を与える口ぶり。
表情:基本的に柔和な笑みを湛え、義憤もその下に隠す。
性格:普段はおっとりだが「陰陽師の家系の当主」という自覚があり、凛々しくみせる時も。

先ずは私や仲間へ【オーラ防御/結界術】展開、守りを。

【早業/軽業/地形の利用】で移動。

敵の攻撃は防御結界で弾き、物理攻撃は薙刀で【武器受け】し薙刀or式神の黒揚羽で【咄嗟の一撃/カウンター/2回攻撃】。

UCは戦況と効果次第で適切なものを使用。
可能な限り【早業】で敵のUC発動前に発動。

後はお任せ。


ニケ・ブレジニィ(サポート)
技能を、フル活用します。

仲間を守りつつサポートし、敵を倒すという戦闘スタイルです。

また、このシナリオ内で戦闘不能になったオブリビオンの肉体と魂を、ユーベルコードの『桜の癒やし』で鎮め、転生できるように祈ります。

「…もう鎮まりたまえ、あなたの名を忘れないように私は憶えておいてあげるから…」

リプレイのために、このキャラクターを自由に扱っていただいて、全く問題ありません。


アイクル・エフジェイコペン(サポート)
正直よくわかんにゃいけどなんとなく気に入らない顔してるからぶっ●すに゛ゃ。
パワーイズジャスティス。真正面から行っておもいっきり攻撃するのみにゃ。

むちゃくちゃ怒ったらむちゃくちゃ口が悪くなる。
「ぶっ●おおおおおおす!●ぁぁぁぁぁぁっく!!」


グレナディン・サンライズ(サポート)
『ここはこの年寄りに任せてもらおうかね?』
『こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ』
年齢3桁の婆。
スペースシップワールド出身の元宇宙海賊。
主な武装はフォースセイバーとブラスター。
戦闘スタイルは基本的には前衛遊撃。敵を翻弄するような戦いを好む。
グルメではない酒好き。
年齢なりの経験を積んでいるので、冷静さと余裕をなくすことはない。
口調(あたし、あんた、だね、だよ、~かい?)



●アリス脱出劇
 我欲、強欲。本の器には収まり切らぬ邪悪な情念はウサギ穴の前で静かに獲物を待っていた。
 アリスはウサギ穴を通らねば自分の扉がある世界に辿り着けないのだ。必然、ここにやってくる。狡猾であり悪辣。狩りの時は近い。
「アリスの護送任務、確かに請け負った」
「タクトさんを必ず送り届けてあげましょう!」
 レスレクティオの姿を確認し、少し離れた場所で戦闘の準備を整えていた一団。日下・彼方(舞う灰の追跡者・f14654)と赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)は共に前線に立ち護る役目を果たすつもりでいた。勝てる相手であろう、という認識は共通だったが、油断大敵。彼方は試製翔靴『Managarmr』の具合を確かめるようにとんとんと地面を鳴らし、愛はエアスライサーを手に初動のイメージを入念に確認する。
「このパルピ・ペルポルが来たからにはもう大丈夫! 大船に乗ったつもりでいてちょうだい!」
「すごい心強いよ! ありがとう!」
「微力ながら、私もお手伝い致しますね」
「多分、役に立つ……はず」
 この不思議の国に迷い込んでしまったアリスの少年、タクトを囲むのはパルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)、土御門・泰花(風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833)、城田・紗希(人間の探索者・f01927)の三人。アリスとは往々にして望まぬまま異世界に飛ばされた者達だ。まして年齢は十を過ぎたかどうかも怪しい少年。パルピのように頼れるお姉さん風を吹かせたい気持ちもわかるし、泰花の助けになりたいという気持ちも分かる。紗希はややマイペースな部分もあるものの、依頼解決に際しては、むっ、と気合の籠った表情を見せている。
「今日の相手は……なんか強そうな本! 楽しみ!」
「正直読めにゃいし! なんかよくわかんにゃいから、とにかくぶっ潰すにゃあああ!!」
「若いねえ。……いや、あたしが湿気っちまったのかい。耄碌を感じるようじゃあたしもまだまだだよ」
 若さとは、老いとは。緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)は今日も我が道一直線。重戦斧【緋月】を片手でくるくると回転させて、準備運動もばっちりだ。一方、アイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)はと言うとぎゃんぎゃんだかにゃんにゃんだか、とにかくよく吠える。積年の恨みを体よく存在していたオウガに纏めてぶつけてしまおうという魂胆でこの場に居るが、レスレクティオを前にして恨みの塊が一回り大きくなったようだ。その点、グレナディン・サンライズ(永遠の挑戦者・f00626)は落ち着き払っている――ように見えたが、若さを実感するということは老いを認識することであり、齢三桁を越えて尚、未熟さを痛感していた。
「私達はサポート役、大事な役目よ。精一杯頑張りましょ?」
「はい、よろしく、お願いします」
 ニケ・ブレジニィ(桜の精の王子様・f34154)が柔和に微笑み、対し川村・育代(模範的児童・f28016)は畏まっての挨拶となる。グレナディンは別格だが、ニケは残る九人の中では最年長。片や育代は最年少であり、先の声掛けは主張の強い面々の中で押し潰されてしまうのではないかというニケの心遣いからだった。とは言え育代もそれなりに場数は踏んでいる。敬語は慣れないながらも落ち着いた様子で意気込みを述べていた。
 各々が最終確認を終え、ついに決戦の時が来る。レスレクティオはアリスがやってくるのを待ちわびていることだろう。ならば望み通り――。
「よーし、突撃ー!!!」
 エネルギー100%、透乃の号令で、わっと鬨の声を上げた猟兵達が一斉に駆けていく。やや縦長の団子状態。タクトを最後尾に置いて全員で前を固めているが、その集団から一足先に前に出たのは透乃、彼方、愛の三人だ。
「先頭は私だ。皆は後から続け」
 戦端を切る任は彼方が負った。レガリアスシューズの大気圧縮駆動により爆発させた推進力はのほほんと待ち呆けていたレスレクティオの虚を突く。緩やかな浮遊運動からびくりと硬直したレスレクティオ。気付いて背表紙から背後に伸びていた鎖をじゃらじゃらと展開した時にはもう遅く、試製蝕刀『Hati』を上段に構え宙に跳んでいた彼方は見開きのページに銀閃一刀――ざん、と刃を叩き込み、ページを纏めて斬り飛ばしながらレスレクティオの体をウサギ穴上部へと吹き飛ばした。
 まるで貼り付け状態になってページを展開されたレスレクティオ。それでも歪んだ鎖は伸び続けて戦場を覆い始める。
「逃げ場は無い感じだね……耐え抜かないとやばいこのスリル! たまらないね! 昂気抗辛梁!!」
 透乃は極限まで気合を高めて最前線に陣取る。放射状に広がった鎖は真っ先に透乃へ絡みついてぐるぐるのがちがちに巻き付いてしまい動けなくなるが、今の透乃はあらゆる攻撃に耐える代わりに動くことができないため鎖の行動封じは無いに等しい。
 戦斧は持つが、今は壁――徹する。仲間のためというよりは、極限の果てを見るため。己のためだ。血液、生命力の吸収効果を気合で跳ね退ける。どこまで持つかは透乃自身にもわからない。
「今がチャンスよ! おいでませ、騎士達よ!」
「見た目で判断しちゃダメよ! こう見えてわたし……こんなこともできちゃうんだから!」
 透乃の後方、鎖の広がってこない安全地帯で愛が祈りを捧げて騎士と盗賊の霊を召喚。バスタードソードを持つ騎士はずるりとウサギ穴の前に落下してくるレスレクティオ目掛けて鎖を掻き分け正面から特攻し、ダガーを持つ盗賊は戦場を回り込み鎖の間を掻い潜りながらレスレクティオを射程に収め、隙をついて細かくダガーを投擲していく。
 騎士は鎖に触れていたが、霊とはそもそも生命力、血液の無い存在でレスレクティオは奪いようがない。ゆっくり浮遊するレスレクティオを騎士の霊が真一文字に剣を薙いでページを破壊、更に上下裂けたページを標本にするかの如くダガーが突き刺さっていく。
 この時、愛は代償として戦闘行動が行えない。せっかく持ち出した短剣も宝の持ち腐れか――いや、違う。パルピがいるのだ。フェアリーという超小柄な体躯ながらその怪力は透乃さえ凌駕する。愛の衣服の背を掴んで一気に空へ飛翔すると、クレーンゲームよろしくレスレクティオ目掛けて水平直行大突撃。
「名付けて『愛ちゃんミサイル』よ! いっけー!!」
 愛は身動き一つしないが、短剣の切っ先は確実にレスレクティオの開かれたページに向いていた。愛は吊られていただけ。攻撃はパルピが受け持って、ズバッとページを斬り飛ばし旋回する。ばらばらと舞ったページには数式のような呪文のような理解しがたい言語が詰め込まれていたが、効力を失って宙に煤けて燃えていた。
『汝に、問う……』
「!?」
 不意にその場の猟兵達へ声が届く。まるで脳内に直接届けられているようなエコーがかった音声。それがレスレクティオのものであることに気付くのには個人差があったが。
『一番の、望みを言え……』
 声と共にべりべりとレスレクティオのページが自ら千切れて宙をひらりと。描かれた魔法陣が輝きだすと、人体を酸で溶かしたかのような緑色の異形がページより現れて紗希を襲う。
「望み……望み……?」
 溶解した肉片をまき散らしながら異形は右腕を振り下ろす。ばっちいなぁ――そんなことを思いながらも紗希は予測した未来に従い右に跳ねた。ずしん、と隕石の如きひび割れを生じさせたが、それは即ち攻撃が空を切ったということ。紗希の予測のほうが早い。
「とりあえず……寝たい!」
 春眠、暁を何とやら。今時期は陽気に包まれている世界が多い。アリスラビリンスは不思議の国が個で存在しているためその例から漏れてしまう典型でもあるが、この不思議の国においては外の世界と然して違いはなさそうで、眠くなる。
 だから本音を言ったのに、
『愚かな……』
 レスレクティオは満足した様子がなく異形は執拗に紗希を追い続けている。ずしん、どしん、紗希が跳びはね躱す度に異形の肉片が撒き散らされ、不思議の国は破壊されていく。
「望みを言え、って言ったのに……」
「あまりお気になさらないほうがよろしいかと……相手はオウガですし」
 不思議の国には自然修復能力もあるのかもしれないが。このまま戦場を破壊されてはまずいと感じて泰花は結界を紗希と異形の間に差し込んだ。鋼鉄の板のような固さで溶ける腕を受け止めた結界の上には崩れて跳ねた緑色のゲルが広がる。
「もおおぉぉぉぉ!! 言ってることとやってることがわけわかんない!!!!」
 つじつまの合っていないことに耐えがたい苦痛を覚えたアイクルが短気を剥き出しにして突っ走っていく。そこは鎖の海の中。べしべしと両手で叩き落としていくうちに血液と生命力を少しずつ失っていく。
(もう少しだけ、頑張ってね……そうすれば、私がすぐに治すから……)
 アイクルの背中にニケの祈りの眼差しが向けられる。癒すことは可能、しかしそれは睡眠を伴う。攻撃中のアイクルを支援することはできない。だから祈りを向けてアイクルの背中を後押しする。
「乗って……ください!」
 育代の支援は別の形。極彩色の空から時空を超えて現れたのはカトラスとラッパ銃で武装した海賊の幽霊をわんさか乗せた幽霊船であった。流氷のように蔓延る鎖をごりごりと削りながら航行していく。
「洒落が利いてるじゃないか。この年寄りに幽霊船に乗れだなんて」
「あっ……す、すみません!」
「謝る必要はないさ、むしろ褒めてるんだよ。あんたには血生臭い戦いは似合わない。これくらいユーモラスで仲間達を笑顔にできる、あんたの個性ってやつを信じな!」
「ふふ……さすがにお歳を重ねていらっしゃいますね。では、参りましょうか」
「私も! なんか納得いかないから!」
 グレナディンに続いて泰花、紗希も幽霊船に跳び乗って、一大勢力、育代海賊団が即席爆誕。
「あ! ちょ……もおおおおおお!! あんたのせい!!!!」
 なんか一人乗りそびれた格好になったアイクルはその怒りのやり場を見つけた。レスレクティオ、不憫な禁書だ。鎖をむんずと掴むと、アイクルは背負い投げよろしく本体を豪快に地面へと叩きつけた。見開きページがぐしゃんと潰れて千切れた藁半紙が吐き出される。
「幽霊の皆さーん、お願いします!」
「もうそろそろ『物語』も終わりさね。派手に行くよ!」
 ラッパ銃からばぽんばぽんと弾丸が吐き出されて、人で言うところのうつ伏せ状態で表紙を空に向けたレスレクティオの上に雨が降る。ハードカバー調であったがぼこぼこと穴が開き、そこにグレナディン、泰花、紗希が飛び降り、更には彼方、愛、パルピ、透乃までも駆けつけての総攻撃。
「うりゃー!!」
 ここぞ、という場面で透乃が戦斧を振り下ろして、レスレクティオの背表紙にごすんと一撃。刃に刺さった状態で更に宙へと戦斧ごと振り回して斬り飛ばす。
「いい感じの――禁書叩きね!」
 空はパルピの領域だ。打ち上がってきたレスレクティオに正拳打ち下ろしをやはりの怪力で振り下ろして、レスレクティオは背表紙がボキリと真ん中から折れる衝撃を受けながら急転直下。
 ただでさえレスレクティオが見ている世界は壊れている。だのに、それを追撃で破壊しに来る彼方が在った。空と地の間に、影で形作られた狼の群れを引き連れて、
「一番の望み、と言いましたね? 私の一番の望みは――お前を、倒すことだ」
 刀を、あたかも禁書を封印するかのように真上からぐさりと突き込んで叩き落とす。ダァン、と泰花が敷いた結界の上に着地、もとい墜落したレスレクティオから刃を抜いて彼方は残りの者に引き渡す。
「私は……世界の平和のために! そのためにあなたを倒さなければならないなら――!」
 それは決意である。勇気とも言う。綺麗事を言うつもりはないが、戦い無く平和が実現するならそのほうがいい。しかし猟兵の訪れる世界とは総じて何かしらの戦いを経る。その時は覚悟を胸に、愛は自ら短剣を薙ぐ。
 裏表紙が抉れて分解して、残滓がぼろぼろと崩れ去る。世界を平和に導く確かな一撃であった。
「……怒ってないデスヨ、気のせいデスヨ」
 片言が胡散臭い紗希が手にした一振りは特殊な塗料の塗られた紅時雨。どこから斬ろうかな、と考えている内にレスレクティオの姿が眼前に迫っていて、已む無く(?)表紙を悪即断で一刀に伏す。半身が割れて、レスレクティオの残りは四分の三。
「あなたの納得する願いは、ありましたか? ……今となっては、知りようがありませんけど」
 レスレクティオの言葉は切れている。泰花は巴形薙刀【菫】を手に、空を切るかの勢いで舞いながら裏表紙を二分した。これでレスレクティオは三片に分かれ、最後を飾るのは。
「望みなんて今更無いね。強いて言えば、あんたがこのまま消えてくれればそれでいいさ」
 グレナディンの右手には鈍く赤黒いフォースセイバー、それを通い慣れた道のように薙ぎ払う。三片のうちの中央部、背表紙を真ん中から叩き斬った後、レスレクティオだった欠片は全て分解し塵と消えていく。
「……皆さん、お疲れ様でした。そしてあなたの名前、私は憶えておいてあげるから……」
 ニケが舞わせた桜の花吹雪が共に戦場に立った者達を癒し――。


「みんな、ありがとう……うぅん、ありがとうございました!」
 タクトは自分の扉を求めて、次なる不思議の国へと旅立つのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年04月02日


挿絵イラスト