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蒸気の向こうの楽園〜誰のために〜

#アルダワ魔法学園 #『安寧』のフィロソフィア #NPC:ベテラン学生(ダンテ) #探索 #説得

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#アルダワ魔法学園
#『安寧』のフィロソフィア
#NPC:ベテラン学生(ダンテ)
#探索
#説得


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●安寧の楽園
 地下迷宮にある蒸気で動く謎の工場群。そのさらに奥の奥にひっそりとその楽園はあった。
 簡素でいながらふかふかの絨毯が敷かれ、どこか懐かしさや温かみを感じるこの部屋で人をダメにしそうなクッションに沈み無気力に横たわるアルダワ魔法学園の学生が一人いた。
「……俺は、何がしたかったんだろうな……」
 彼のいる部屋にノック音と共に一人のメイド服の少女が入り、彼の近くに寄ると絨毯に座って自分のひざをポンとかるく叩いて膝枕へと誘う。
「さあご主人様、ソフィの膝を枕になさってください。ここでは『もう頑張らなくて良い』んですよ」
 彼は少女の膝に頭をのせて横になる。それを見るソフィは慈愛に満ちた表情で言葉を投げかけた。
「ご主人様はもう十分に頑張りました。もう怖い目や危険な目に合わなくて良いんですよ。『誰かのため』や『自分のため』にもう頑張る必要はないのです」
 甘美な言葉を投げかける小さなメイドは、安らかに眠る彼を優しく抱きしめた。
「もう頑張らなくて良いのです。何も考えなくて良いのです。ソフィがご主人様のお世話をします……永遠に」

●まずは行方不明の学生に繋がるものを!
「集まってくれて、ありがとうございます!事件です!」
 グリモア猟兵のユーノ・エスメラルダ(f10751)はグリモアベースに集まってくれた猟兵たちにぺこりとお辞儀をし、簡素な説明を始める。
「アルダワ魔法学園で行方不明者です!」
 簡素すぎる。
「ええと、アルダワ魔法学園で地下の探索に向かったまま三ヶ月も返ってこない人が1人います。何度か実績も上げてるベテランの人だよ」
 アルダワ魔法学園の世界は全ての災魔――つまりオブリビオンを『究極の地下迷宮「アルダワ」』に封印している世界。この地下迷宮からオブリビオンが出てこないように戦う存在が『アルダワ魔法学園』とその学生たちである。
 最近は猟兵でなければ対応しきれないようなオブリビオンも出始めているため、戦い慣れている彼らに行方不明者が出るからにはやはり猟兵の出番なのだろう。

 どんな強敵と危機的状況が……と息を呑む猟兵たちにさらに予知の内容が告げられる。
「予知した内容だと行方不明の人はまだ無事です。劣化版の賢者の石から造られたメイドさんオブリビオンの『『安寧』のフィロソフィア』さんという、人を堕落させる達人に迷宮の奥で甘やかされています!」
 今なんて?
「甘やかされています!大事なことなので!」
 ここでどや顔。いちど言ってみたかった様子だ。
「返ってこない学生さんは『世界の笑顔を守る』ためにと、人々のために入学して頑張って強くなったすごく頑張り屋さんです。そんな彼だからこそ頑張りすぎて疲れてしまったのかもしれません……。もう十分に休み気持ちは回復しましたが、いまいちキッカケが掴めずダラダラと三ヶ月も滞在してしまっています」
 ユーノは持ってきたノートへ1人の人とメイドさんを描く。骸の海から蘇るオブリビオンは存在そのものが世界の時間を消費してしまい、いずれは世界を滅ぼしてしまう。そのため少なくとも現状は見つけたら倒すしかない。しかし倒すために単純に戦えば良い話ではなさそうではある。
 ユーノはさらに説明を続ける。
「そして、問題の甘やかされている場所までは分かりませんでした。なのでみなさんを転移させられるのはこの区画までです!ここは蒸気機械と魔法で創造された地下迷宮『アルダワ』の中のドコかです」
 ユーノはさらにノートへ、手にしたペンで工場っぽいものと雲を描いた。
「蒸気で動く工場が一杯で入り組んでいて、すごくモクモクして見えにくいです。天井まではすごく高くて魔法の月に照らされて明るいですが薄暗く、夜みたいになっています。蒸気も濃いので高いところからは特に何も見えないと思います。この工場群が迷宮のどのあたりかはユーノもわかりませんが、行きと帰りは転移でお助けします」

 予知の内容を一通り説明したユーノはノートのページをめくり新たに文字を書き込む。『まとめ』と書いてある。
「この行方不明の学生さんの居場所がわかりません。なので学生さんの居る場所のヒントまたはそこに繋がる所をまずは見つけて下さい。細かい話はあとで、まずは探索です!」
 そして補足説明を追加。
「あと、工場にどんな役目があるかわからないから壊すのはダメです。もしも迷宮の維持に必要だったら大変です」

●迷い人に手を
「誰かのために頑張って来た人が、いま目的を見失い身も心も迷っています。休めた羽を再び羽ばたかせるためにも皆さんの協力が必要です。どうか彼の胸にもう一度情熱を灯してください」
 ユーノは胸の前で手を組み無事の祈りを捧げながら猟兵たちを転移させる。
「ユーノはみなさんを転移させなければならないので、探索には同行できません。みなさまに幸運がありますように……」


ウノ アキラ
 はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
 バブみいいよね……、ウノ アキラです。
 このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。

●お得情報
 マスター紹介ページにもあるとおり執筆は主に土日になるので、【プレイングを安定して受け付けられるのが『毎週木曜』から『土曜の間』になります】ことをご了承ください。
 章がクリアにならず引き続き参加を募る場合も木曜から土曜にかけてが採用しやすいです。
 他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。

●依頼について
 アルダワ魔法学園の依頼となります。
 一章は冒険。二章も冒険。三章がボス戦となります。
 ボス戦も含めて参加者のプレイングによって決めたいので先の展開は全く考えていません。シリアスの良い話となるか混沌とした話になるか楽しみにしています。
 OPでも触れたとおり事件の一般人も心の疲れは癒えてるため禁句ワードも特に無いです。
 よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『迷宮内の工場群の調査』

POW   :    気合で蒸気の中で片っ端から工場を見てまわり情報を集める。

SPD   :    持てる技術を駆使して蒸気の中を駆け抜け工場を片っ端から見て回り情報を集める。

WIZ   :    蒸気の対策を用意して工場を片っ端から見て回り情報を集める。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●蒸気の中の工場群
 転移を終えた猟兵たちがまず見たのは真っ白な濃い霧……いや、濃い蒸気か。じっとりとしたほの温かいモヤに包まれた視界とその先に薄っすらと見える黒い影。
 魔法で生成されている月明かりに照らされ白く光るモヤは、建築物の摩天楼の群れを陰影でより色濃く映し出しており見上げれば柔らかく霞む朧月――ここは蒸気に包まれた工場群。
 猟兵たちは各々の得意なことを駆使し行方不明者に繋がる手がかりを探し始めた。
泉・火華流
レガリアス・エアシューズで駆け抜け、とにかく工場内を見て回る


…とはいえ、闇雲に駆け抜けるのではなく、可能な限りはじからはじまで駆け抜け、出来るだけ見逃しのないようにする(蒸気の中…だけに、視覚も遮られたり、かと言ってじっくり確認できるだけの余裕もあるとは思えない)

場所によっては『壁面走行』や周囲のものをジャンプ台などに見立てるなどして、通れない場所を避けて通るなど、【地形の利用】を活用する

また、ユーベルコードを活用して、蒸気でおったダメージの回復を兼ねて休憩もする

『今度…冷暖房も完備か…外界と隔離する調整とか必要かもね…』
(外の熱気がそれとなく伝わってきて、汗を拭いながら思う)



●もやの中を駆ける
 蒸気に包まれるモヤのなか工場から工場へと移動してはその内部を駆け抜けて行方不明者に繋がるものがないかを高速で探し回る人影が一つ。
 泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)はその足に履く特殊なレガリアスシューズ――渦巻く大気でホイールを形成したインラインスケート型のシューズで、可能な限り端から端までなるべく見逃しの無いようにと見ていく、しかし。
「やっぱり蒸気の中……だけに、視覚も遮られるわね」
 工場の中は蒸気が排出される外よりはマシとはいえ、全く蒸気が無いわけでもなく暗さもあり視界は良くない。
(かと言ってじっくり確認できるだけの余裕もあるとは思えないし……)
 だから少しでも足で稼いで多くを見ることで何かを発見できる確率を上げたかった。階段はその手すりに飛び乗りシューズの駆動力で駆け上がり、上の階を見たら駆け下りる。巧みに地形とシューズの特性を操って素早く移動し一つの工場内を一通り駆けたら次の工場へ。

 時おり噴出する排気を浴びてしまいその熱で体力を奪われながらもいくつかの工場を見終え、さらに次の工場へ入ろうとした時にドアの取っ手に何か紐が結び付けられていることに気がついた。
「あれ、これなんだろう?」
 アルダワ魔法学園を示す紋章と、方位を示す記号、そして番号。行方不明の学生が残した探索のための目印のようだ。すると今探している相手はここを通ったということ。番号から察するに火華流が見つけた目印はだいぶ散策が進んだ状態のもののようだ。
 最終的にこの目印がいくつあり最期の番号が何番になるのかは解らない。けれど……。
「もしかして私、けっこう近い?」

 この工場群は広く、全てを見て回るにはまだ時間がかかりそうだ。火華流はいちど転送ガジェット『火華流の特別野戦病院』を用いて休憩用の空間で一休みをすることにした。
「今度……冷暖房も完備か……外界と隔離する調整とか必要かもね……」
 蒸気の湿気や熱気で吹き出した汗を拭いながら火華流はガジェットの改善点について考えた。
 休んだら再び探索の再開だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルカ・スノードロップ
安寧と堕落は違いますからね
堕落については安寧とも限らないですし

■WIZ
調査します
ユーベルコードでもう一人の自分を呼び出して、くまなく調査です
暗がりにも手がかりがあるかもしれませんので【暗視】で確認したりですね

もう一人の自分にも、同じように調査してもらいます
別で調査しているであろう味方の猟兵へも
逐一情報は提供していきますよ

「止めたり壊したり出来ないので、下手に触るわけにも行かないですからね」


文車・妖
学生さん甘やかされてるだけとか……興味深いです

迷宮の中に蒸気まみれの工場とか……幻想的です
むーむむ 悩みますです

色々な工場の中を覗かないとわからないのです
本体の鞄に乗っても手が届かないのです
こうなれば……
私一人だと探すのキリないのでここは頼れる助っ人参上です
ウィングキャットの妃さん登場です

翼生えてるんだから飛んで窓の中からとか工場の中覗いて
手掛かりがないか探してきてほしいのです

大きな工場、小さな工場 どんな工場がここにあるのかも気になるので
待ってる間にお本でも読んで待ってるのです

蒸気都市を駆け回る探偵さんのお話とか
今日は感情移入いっぱいできそうなのです

何か手がかりあったです?

アドリブや連携ok



●霧の中の模索
 何か手掛りになりそうなものはないか――そのために人手をとにかく増やす手段を取った者たちもいる。

 ユーベルコード『オルタナティブ・マイン』でもう一人の自分を呼び出したベルカ・スノードロップ(享楽を求め続ける"ようかん"司祭・f10622)は、『暗視』の技能も交え薄暗さと蒸気の霧の中で工場の内外を見て回る。
 工場は近づけば様々なパイプが入り組みそれぞれは蒸気が通っているのか熱い。工場も入り口については特に鍵は掛かっておらず、内部はほとんど明かりがないため足元を照らす僅かな魔法による明かりと窓からの月明かりのみ。
 これらの工場が何を作っているのかは不明だが時おりプシューと排気をしながら常にガシュ、ガシュと音をたてて何かが動き続けている。
「止めたり壊したり出来ないので、下手に触るわけにもいかないですからね」
 動く機械には触れないようにしながら蒸気の湿気の中を進んでいく。行方不明となっている学生もこの困難な視界の悪さの中を探索していったのだろう。ふと甘やかされているとされる救助対象に思いを馳せる。
(しかし、安寧と堕落は違いますからね。堕落については安寧とも限らないですし)
「おや、これは……?」
 手摺りに紐が結び付けられている。ベルカもまた、行方不明の学生が残した探索のための目印のうちの一つを見つけていた。

●幻想に思いを馳せ
 工場群の一角、工場備え付けの明かりがついている一角で本を読む少女が一人。
 文車・妖(本が無ければこの世は闇よ・f14528)はユーベルコードで『ウィングキャットの妃さん』を召喚して羽根の生えた猫さんに探索を依頼し結果を待っていた。
「迷宮の中に蒸気まみれの工場とか……幻想的です。大きな工場、小さな工場、どんな工場がここにあるのかも気になるのです」
 蒸気で動く機械や魔法仕掛けの月からある物語を連想する。――エーテルと蒸気で動く機械で溢れた蒸気都市、そこに起こる事件、それを解決する探偵、ボーイミーツガール……読んだことのある本に思いを馳せる妖。
 自らもこのなかを探索し行方不明者の手掛かりを探しながらも探偵物語への感情移入を進めたかったが、ヤドリガミである妖は自分の本体となるレトロな旅行鞄を抱えて障害物や階段を登り降りする探索を進めるのは楽ではなではないと見て『頼れる助っ人』であるウィングキャットの妃さんに頼ったというわけだ。

 持ってきた本のページをめくりしばし待つと『妃さん』が戻ってくる。
「何か手がかりあったです?」
 そう聞く妖に近寄り、服のすそをクイッと引っぱる『妃さん』。何かを見つけてようである。
 工場内に入り『妃さん』に導かれるまま旅行鞄を両手に抱えて階段を登り降りして蒸気の通るパイプを越えたりしていく妖。
 工場内の熱気と湿気で汗だくになりながらたどり着いた場所で『妃さん』が視線で示すその先にあるのは、細い管に結び付けられた紐。行方不明の学生が残した探索のための目印の一つだった。

 猟兵たちはそれぞれ次に繋がる手がかりを見つけていく。探索はまだ続くが糸口は見えつつある。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

オイフェ・アルスター
WIZ
蒸気対策を【世界知識】で対応
動きやすく、耐久性があるものを検討しますわ

▼探索
生徒のものを探して何が起きたか確認しますわ
急がず、それでも早く。
ダンジョンに入るのですから、帰り道に目印を残したり、物を置いていくこともあるでしょう。
床、壁、天井。【失せ物探し】
少しでも気になるところがありましたら、確認をしますの。

▼視界
見つけた情報は他の猟兵にも共有しますわ。
暗い場所なら【暗視】で見やすいようにしますの。

▼罠対策
間近で蒸気が噴射しそうな場所や、罠がありそうな場所では
『絶望の福音』で回避しますわ。
危険な場所も【地形の利用】で判断、回避しますの。

▼共闘
他の猟兵とも協力関係を築きますの。


ユーフェリア・オルゴット
&&&
蒸気でモクモクですね…ここを何の手がかりもなしに探し回るというのは難しそうです。でも、彼も「きっかけ」を待っているようですので、彼の心に届くように歌いましょう!
「全力魔法」「歌唱」を組み合わせ【シンフォニック・キュア】!
聞こえますか!今まで頑張ってきたこと、あなたが一人で辛くならないように一緒に考えたいと思っています!立ち上がらなくて構いません、動かなくても結構です!ただこの歌があなたの心に届いたなら、お返事を!!
聞こえたらきっとあなたの元へ向かいますから!あなたの笑顔のためお手伝いをさせてください!


ニレ・スコラスチカ
&&&

【SPD】
……堕落は最も危険な病です。自力では抜け出せない、抜け出そうという気になれない。かと言って、無理矢理連れ出すだけではまた別の場所に引きこもるだけ……彼には救いが必要です。

連れ去られたのか、辿り着いたのか。どちらにせよ【追跡】が役に立つでしょう。まずは走り回って彼の痕跡を探します。

また、甘やかされている、ということは何らかの部屋の中のはず。
一部ではショットガンの事をマスターキーと呼ぶそうですね。【怪力】で大量のスラグ弾を持ち込み、散弾銃で怪しそうなドアをひたすらぶち破ってみます。

「堕落と休養は違います。目を覚ましなさい」



●目印を辿る
 それぞれか思い思いに探索を進める中、オイフェ・アルスター(妄信する神の代行者・f12262)は早くも目印を見つけていた。
「ダンジョンに入るのですから、帰り道に目印を残したり、物を置いていくこともあるでしょう」
 さらに今回の行方不明者は何度か実績も上げてるベテランの人だと聞いていた。ならば尚更、探索のための目印は残してあるハズだ。
 探索のための目印に絞って探すとさっそく転移された場所の近くで工場の外の細いパイプに紐が結び付けられているのを見つけたのだった。
 アルダワ魔法学園を示す紋章と方位を示す記号、そして番号は『1』と『0』。『0』はこの階層の入り口を示している用だ。ならば。
「この目印を残した方が向かったのは、あちらということですわね」
 オイフェは『1』が示す方向へと進んでいく。少し歩くと曲がり角にも紐があり『2』。さらに『2』の方角に進むと次があるのだろう。
「見つけた情報は他の猟兵にも共有したいですわね……」
 他の猟兵とも協力関係を築くことを考えたオイフェだが既に独自に動いている者もいる。途中で合流できた時にこの目印のことを伝えれば良いだろうか、あるいはすでに自力で見つけている人もいるかもしれない。
 時おり工場から排出される蒸気をユーベルコード『絶望の福音』で回避しながらオイフェは目印を辿って進んでいった。

●耳を澄まし
 蒸気に包まれた幻想的な空間で歌声が響いている。ユーフェリア・オルゴット(未知の知・f14771)のユーベルコード『シンフォニック・キュア』だった。
 行方不明者が声の届く場所に居ればきっとこの歌が届き何かしら返事をしてくれるだろうと期待をしての行動だった。
(聞こえますか!今まで頑張ってきたこと、あなたが一人で辛くならないように一緒に考えたいと思っています!)
 ユーフェリアは歌い終えて耳をすますが返ってくるのは工場の機械が動く音と蒸気の排出音。どうやら音の届かない場所に行方不明者の学生は居るらしい。
「蒸気でモクモクですね……ここを何の手がかりもなしに探し回るというのは難しそうです」
 どうしましょうか、と思案するユーフェリアの耳に大きな破壊音が聞こえた。
「今のは一体……?」
 音の正体は不明だが何かが起こったに違いない。好奇心旺盛な研究者気質でもあるユーフェリアは確認のために音の元へと向かった。

●合流
「ふむ……ここも違いましたか。甘やかされている、ということは何らかの部屋の中のはずなのですが」
 散弾銃を片手に鍵のかかっていた部屋の中を確認するのはニレ・スコラスチカ(旧教会の異端審問官・f02691)。彼女は工場の機能を壊さない範囲で、その中の鍵のかかったドアを片っ端から破壊して確認をしていた。
 この広い空間には多数の工場があり、対象となる鍵のかかったドアを見つけるだけでも大変だ。そのためニレは走り回って痕跡を探しならドアを破壊し中を見ていたのだが、メンテナンス用と思われる機材――もしこの工場群が何者かに管理されていたのならメンテナンス用だろう――があるのみで特に痕跡になりそうなものや隠し通路のようなものは見当たらない。
「次は、あの扉です」
 ズガン、と大きな音を立てて鍵を破壊。
「むう……ここもハズレですね」
 ニレが次の工場へ向かおうか――という時だった。
「気になる音がしたので確認をしにきましたら……何をしているのですか?」
「戦闘、でしょうか……?」
 この散弾銃の音でオイフェとユーフェリアがニレの元に集まってきたのだった。
「共に来た猟兵の方……でしたね、何らかの部屋に閉じ込められているのではと考え鍵のかかった扉を開けていたのです」
 散弾銃へ弾を込め直したニレは再び歩き出す。
「この工場内の鍵のかかった部屋は、全てヒントとなる痕跡は見られませんでした。私は次に行こうと思います」
 移動しようとするニレをオイフェが引き止める。
「お待ちになってください、残されていた目印はもうご存知ですか」
 オイフェは見つけた目印の情報をニレとユーフェリアへと共有する。
「目印をまずは最期まで辿り、最期の一つと思われる場所に探索を集中することを提案しますわ。急がず、それでも早く。いかがでしょう」
 それを聞きニレは残された探索の痕跡を辿る先導を申し出る。
「なるほど……それは良い案です。目印があるならば、それを辿る追跡は得意です。わたしがその痕跡を辿ってみせましょう」

●迷える者へ
 目印を順に辿っていく三人は、時おり排出される蒸気をやりすごしながら熱気と湿気の中を進んでいった。

「この先に、彼がいるんですよね」
 ユーフェリアは行方不明の学生に思いを馳せる。
「待っていてください、きっとあなたの元へ向かいますから。あなたの笑顔のためお手伝いをさせて下さい」
 その言葉を聞き、ニレも思いを口にする。
「……堕落は最も危険な病です。自力では抜け出せない、抜け出そうという気になれない。かと言って、無理矢理連れ出すだけではまた別の場所に引きこもるだけ……彼には救いが必要です」
 迷える者へ救いの手を。それぞれの思いを胸に好きんで行く……そしてついにたどりついた。数ある工場のうちの一つ、その地下に66番目の目印があった。その先には重厚そうな扉が一つ。
「この先がそうなのでしょうか」
 ユーフェリアが問いかけ、オイフェとニレが扉を確認する。
「鍵はかかっていないようですわ」
「他に目印も無ければ、この先で合っていそうです」

 行方不明の学生の元に繋がるものを見つけた。他の猟兵たちも同様に見つけた目印で近くまで来ているため、もう少ししたら全員が集まってこの先へ進む準備ができるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『イタズラ人形達の回廊』

POW   :    力こそパワー!人形を蹴散らしながら、力づくで真正面から強行突破する

SPD   :    当たらなければどうということはない!スピードにモノを言わせ、捕まる前に駆け抜ける

WIZ   :    こんな事もあろうかと!行動の穴を突いたり、アイテムをうまく使ったりして要領よく抜ける

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●二章についてのお知らせ
 一章へのご参加ありがとうございました。
 引き続き、二章のプレイングの受付は予定通りに木曜の2月28日(木)からとなる見込みです。
 引き続きよろしくお願い致します。

●隠された回廊へ
 探索の途中で見つけた目印を元に隠された回廊の入り口へ集った猟兵たち。その中からメイド姿の人形がでてくる。
 メイド姿の人形は全長130cmほど、球体関節とツルッとした髪のみで顔のない頭部から魔法による録音と思われる音声を流す。
「おかえりなさいご主人様。まずはお荷物お預かり致します」
「さあ、お疲れでしょう。お荷物をお預かり致します」
「お世話を致します」
「お世話を致します」
 奥から出てくるメイド人形たちはその数を徐々に増やしながら荷物を奪おうとしてきた。戦闘能力は無さそうだが……数も多くかなり厄介だ。
 この奥で行方不明の学生は甘やかされているのだろう。ならばここを通り抜けなければならない。
ユーフェリア・オルゴット
&&&
ここまで仲間の猟兵さんに助けられました。私からも協力を申し出ていこうと思います。

【WIZ】行動の穴をつく

それにしても数が多いですね……お仕事熱心なのは良いことですが、あまりしつこいのもどうかと思いますよ。
言動から察するに彼女たちの行動パターンは単純なもの。「『荷物』を預かる」。今一番厄介な『荷物』は決まっています、これを持っていってもらいましょう。
近づいてきたメイドの腕を掴み叫びます。「これ『荷物』です!持っていってください!」
これを手当たり次第繰り返しメイドの数を減らしていきます。ある程度減ったら〈目立たない〉を発動してこの場を抜けましょう。

さあ、頑張り屋さんのところに向かいましょう!


文車・妖
これが隠し回廊……目印残しておいてくれて助かりました。

 甘やかしすぎるのも度というものがあるですね。
メイド人形達をまずやり過ごす事から……です。

お世話するというのなら、私の読みたい本を早く持ってきて欲しいのです。
ここではない図書館に置いてある本なので大至急取ってきてなのです。

それに読書には美味しい紅茶が必須なのです。
お茶っ葉まさかこれしか置いてないのです?
いいお茶に素敵なカップそして何よりスコーンの一つも用意してくれないと
優雅な読書タイムになると思うです?

八百万の書庫で舞い散らせたページを人形達の顔に貼り付けて
今のうちに通り抜けて奥へと進むです。

戦うのは苦手なのでこれにて失礼……なのです。


ベルカ・スノードロップ
■WIZ

先頭の人形さんを指さして
ユーベルコードで、燃え盛る槍を召喚します

「じゃあ、これ預かってくださいね」
と言いながら、召喚した槍を渡します
もちろん、燃えさかるままで

そのまま砕いても良さそうですけど
後から来る人たちの憂いを取り除く意味でも
燃やしておきます

人形みたいですし、熱さも感じないまま炭になって貰うだけです

「それにしても、休みすぎて復帰のタイミングを逸するなんて」
UDCアースの日本には結構いそうな気がしますね
そういう方々
世界共通なのでしょうか

そんなことを頭の片隅で考えながらも
人形の動きは【見切り】して必要とあれば回避しますし、直接砕きます


ポーラリア・ベル
【WIZ】
サムライエンパイア流、潜入作戦なの!
落とし物の氷像に化けて、お荷物と認識されて預かってもらって、
まんまと本拠地に…上手くいくかしら?
あ、でもでも、
行方不明者さんの取られた荷物どこで預かってるか知りたいの。
ここは冒険の迷宮だから、そだねー武器に化けちゃおう。

行方不明者さんの名前書いたメモの上
もしくは他の猟兵さんのお荷物を装ってセルフフローズン。
あたしを先端の鈍器にした
氷のハンマーみたいな形に氷漬けになって
極力触れた人を凍らせないよう冷気を制御してじっとしてる!

全然拾われなかったり、やばそーな気がしたり、うまい事潜入出来たら
氷砕いてサイコキャノンでふっとばしてくね。
連携・アドリブ歓迎だよ



●『お荷物をお預かり致します』
 球体関節で顔のない130cmほどのメイド人形たちが回廊のなかで猟兵たちを迎え入れようとする。
「おかえりなさいご主人様」
「お荷物をお預かり致します」
 折れ曲がった細長い廊下は奥がよく見えず、人形は奥から少しずつ現れその数を増やしていった。

 荷物を取ろうとする人形たちを見たベルカ・スノードロップ(享楽を求め続ける"ようかん"司祭・f10622)は少し思案をし、ユーベルコード『紅蓮を纏う真紅の槍』により炎をまとう槍を召喚してそれを人形に渡してみた。
「じゃあ、これ預かってくださいね」
「お預かり致します」
 ベルカが差し出した燃える槍を受け取るとメイド人形は『預かった荷物』を持ちその場を去ろうとするが、しかし槍の炎は人形へ燃え移りその体を燃やす。
 槍を持ったまま燃えて動かなくなった人形は炭となりその場に崩れ落ちた。落ちた槍を認識した別の人形もまたベルカの荷物を預かろうと槍を拾い上げ、燃えていく。
「有効そうですね、後から来る人たちへの憂いを取り除く意味でも数は減らしておきたいですし……そのまま燃やしていきましょうか」
 ベルカはさらに燃える槍を召喚しながら回廊に入り歩みを進めていく。
「お預かり致します」
「お預かり致します」
 人形たちは戦闘能力もなく耐久性も低く行動もシンプルな様子だ。召喚された燃える槍をベルカの所持品と認識したメイド人形たちは職務を忠実に遂行しようとし自ら火に焼かれていく。
 その様子を後目にベルカは回廊の奥へと進んでいった。
「それにしても、休みすぎて復帰のタイミングを逸するなんて」
 ベルカはこの回廊の奥で甘やかされて帰りそびれている行方不明の学生について考えを巡らせる。
「UDCアースの日本には結構いそうな気がしますね、そういう方々。世界共通なのでしょうか」

 同じように人形の習性を利用しようとする者がいた。ユーフェリア・オルゴット(未知の知・f14771)も同様に『荷物』を預からせて人形を止めようと考えていた。
(言動から察するに彼女たちの行動パターンは単純なものです)
 メイド人形たちの特性を理解したユーフェリアが取った行動は……。
「これ『荷物』です!持っていってください!」
 ユーフェリアがその手に持つのは近づいてきたメイド人形。仲間の人形を掲げて所有物だから預かって欲しいと主張したユーフェリアを前に動きが止まるメイド人形たち。すごく悩んでる感じがする。
「えっ、あっ、じゃあこれも荷物です!」
 そう言い、ユーフェリアは近くに落ちていた妖精さんっぽいひんやりした20cm余りの長さの鈍器を拾い上げて人形に渡す。
「お預かりしました。他のお荷物もお預かりします」
 ここまでのやりとりを元にユーフェリアは研究者気質の性格からメイド人形たちの能力について推測を始めていた。
(ふむふむ……最初は問答無用で荷物を奪おうとしてきましたが、仲間の認識は出来るようです。しかし即座に否定も預かりもせず止まったということは、こちらの主張を汲みろうとはしていたようですし…?)
 考えたユーフェリアはさらに荷物を預かろうとする人形に対して研究をしてみたくたなった。――どこまで意思疎通ができるのか?
「お仕事熱心なのは良いことですが、あまりしつこいのもどうかと思いますよ……!それに残りは自分で持つので結構です」
 ユーフェリアがそう言うと言葉に納得した様子のメイド人形たちはユーフェリアへお辞儀をする。
「かしこまりました。それでは部屋へご案内いたします」
 実験は成功のようだ。『もう預かるべき荷物はない』と判断した人形たちは行動パターンを変えてユーフェリアを回廊の奥へ案内しようとする。

 ユーフェリアの『荷物』となった妖精さんっぽい鈍器を預かったメイド人形は途中で別の通路へ入っていった。荷物を保管する場所でもあるのだろう。

●『お世話を致します』
「お世話するというのなら、私の読みたい本を早く持ってきて欲しいのです。ここではない図書館に置いてある本なので大至急取ってきてなのです」
 メイド人形へ要求をするのは文車・妖(本が無ければこの世は闇よ・f14528)。その言葉に反応した人形たちは妖のレトロな旅行鞄(本体)に群がり預かろうとしていた手を止めた。
「ご主人様、我々はこの館からは出られません。そのため当館の書庫の本をお持ちします。お望みのものは御座いますか」
 メイド人形の一体がそう答え、待機状態になった。言葉に反応して行動のパターンが変わるのは間違いないようだ。
 最初に荷物を奪おうとしてきたのは、例えるなら『目が合うと聞いてもないのに話しかけてきて商品を勧めてくる店員』のような接客対応の一種だったのかもしれない。
 イケる、と感じた妖はさらに畳み掛ける。
「それに読書には美味しい紅茶が必須なのです。茶葉を見せてくださいです」
「畏まりました」
 お辞儀をしメイド人形たちが一度、妖の元を離れると今のうちにとユーベルコード『八百万の書庫』で召喚した魔道書のページで邪魔な数体の人形を無力化して先に進む。
「戦うのは苦手なのでこれにて失礼……なのです」
 しかし角を曲がったところで茶葉を持ってきたメイド人形に道を塞がれる。
「ご主人様、茶葉をお持ちしました」
 撒いたと思った店員が気を利かせて再び現れるが如き状況に、うぐっとなりつつさらに要求を重ねる妖。
「お、お茶っ葉まさかこれしか置いてないのです?いいお茶に素敵なカップそして何よりスコーンの一つも用意してくれないと優雅な読書タイムになると思うです?」
「畏まりました、他の茶葉とテーブルとカップ、そしてスコーンをお持ちします。お待ち下さいませ」
 そう言うと妖に集まっていた人形のかなりの数が奥へと消えていった。その隙にとさらに足を早める妖。
(これが隠し回廊……目印残しておいてくれて助かりました)
 行方不明の学生のことを思う妖、あの目印のお陰で回廊の入り口までは簡単にたどり着けたのだ。
「しかし、甘やかしすぎるのも度というものがあるですね」
 この回廊のメイド人形の対応もおそらくこのフロアの主の意思によるものだろう。

●一方で荷物の保管場所では
 ユーフェリアから荷物として差し出され運ばれていった、妖精さんっぽい20cmほどの鈍器が荷物置き場の部屋でカタカタと動き出した。
「サムライエンパイア流、潜入作戦なの!」
 ユーベルコード『眠れる氷の女王様』を解除して氷漬けの状態から戻ったポーラリア・ベル(冬告精・f06947)はうまく事が運んだことに満足をし周囲を見渡す。
「氷のハンマーみたいな形に氷漬けになって、お荷物と認識されて預かってもらって、まんまと本拠地に……上手くいったかしら?」
 ポーラリアは、メイド人形が部屋に入ってくることを警戒しつつ預けられている荷物を確認していく。
「行方不明者さんの取られた荷物どこかしら」
 部屋の中の荷物は殆ど無いに等しい、おそらくこの回廊を訪れる者がほとんど居ないのだろう。そのため目的の荷物はすぐに発見できた。
「このロングソードかしら?それと、探索に使う傷薬とかを入れるカバンがあるわ」
 回収した荷物をヒラヒラと飛んで持ち上げたポーラリア。よく見ると扉は2つある。一方は先ほどまでいた回廊に続く扉。こちらはまだ騒がしくメイド人形たちが扉の前を慌ただしく移動する音も聞こえる、ならば。
「こっちから奥にいけるかしら?」
 ポーラリアは回廊とは逆方向の扉を開けて館の奥へと進んでいった。回廊を進む他の猟兵たち同様に、さほど迷わずに目的の奥へたどり着けるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

村崎・ゆかり
&&&
あー、戦争にかまけて後れをとったわ。
その分、働いて取り返す。

巫覡載霊の舞。
ダメージが来ないから神霊体になる必要までは無いんだろうけど、なぎなたを確実に扱うとなるとね。

じゃ、なぎなたを振るって「衝撃波」を伴う「なぎ払い」で道を空けましょうか!
安心なさい、峰打ちよ。

って、固定砲台してたら人形が余計に集まってきちゃうわね。
開けた空間が人形の群で埋まる前に、その先まで駆け抜けるわ。
また道が塞がれたら、再びなぎなたで「なぎ払い」。今度はその場で身を一回転させて、追ってきてる人形も対象にした「範囲攻撃」!

生憎ね。お人形遊びをする歳は卒業したのよ!
回廊を抜けたら、最後まで「なぎ払い」で人形を牽制する。


オイフェ・アルスター
SPD
メイドが主を甘やかすのはよくある話ではございますが
彼は主ではありませんの。もちろん、私達もですわ。

【聞き耳】でメイド達の動きを見極め
抜ける際は『絶望の福音』で一番手薄なスペースを予知しますの
さらに他の猟兵の動きも見て、後ろを走ることが良さそうならついていきますわ。

メイドも近づくなら【なぎ払い】と【怪力】でどいていただきますわ
それでも囲まれるようなら【衝撃波】で吹き飛んでもらいますわ

ごめんなさい。貴女達に恨みはないけど、敬意もありませんの。
人形は人形らしく愛でられていなさい。
止まることなく、走り続けて、目的の場所まで


暁・エリカ
&&&

お世話してくれるメイドさんの人形…
もうちょっと愛想が良さそうだったら店番を任せたいんだけどな

彼女達は荷物を奪う性質なのか、なら…彼らの相手をしてもらおうか
こゃーんこゃーんと鳴いて【大量の狐達】を呼び出しておく
そしてメイド人形達がお世話しようと近づいてきたら狐達を大量にけしかけて動きを止めさせるよ

大きな狐なら抱っこしてもらえば両手が塞がるかな
子狐でも2,3匹でまとまってじゃれつかせたらなら行けるかな
そうやって狐達が毛繕いやお世話してもらっている間にうまく通り抜けよう
人形達と私の狐達…どちらが多いかな?



●こゃーん
 一方その頃、迫るメイド人形たちを排除して進もうとする者もいた。

「安心なさい、峰打ちよ」
 ユーベルコード『巫覡載霊の舞』を使った神霊体となりなぎなたをふるって衝撃波やなぎ払いで人形たちを吹き飛ばしているのは村崎・ゆかり(紫蘭・f01658)。明確な危害を加えるゆかりを人形たちは排除しようと集まってく。
「生憎ね。お人形遊びをする歳は卒業したのよ!」
 と、さらに抵抗をするゆかり。人形たちを吹き飛ばし、空いた隙間へ駆けて再び取り囲まれ吹き飛ばすということを繰り返していた。戦闘能力を持たない人形たちは容易くやられていくが、数が多い。

 持久戦になるかと思われたその時だった『こゃーんこゃーん』という鳴き声が回廊に響き、大量のふかふかの狐が現れ回廊を埋め尽くしていく。暁・エリカ(妖狐の聖者・f06763)のユーベルコード『狐がいっぱい出てくる』だ。
 現れた大量のふかふかモフモフの狐たちはマイナスイオンの癒しをばら撒きながら人形たちの動きを封じていく。
「お世話してくれるメイドさんの人形……もうちょっと愛想が良さそうだったら店番を任せたいんだけどな」
 そう呟くエリカ。別の猟兵とメイド人形との本を要求したやり取りからこの人形たちはこの館からは出られないらしいことも知ったため愛想が良くても難しかっただろう。
「荷物を奪う性質なのは解った、なら……彼らの相手をしてもらおうか。一体につき2、3匹ほど……ならさらに追加だね、『こゃーんこゃーん』」
 さらに追加で回廊を埋め尽くす狐。
「……人形達と私の狐達……どちらが多いかな?」
 回廊から溢れるほどの狐が現れ周囲を一時的に埋め尽くしていった。
「なんなのこれ、狐!?」
 メイド人形に囲まれていたゆかりもまた狐たちの毛皮に包まれていく。

●メイドとは
 オイフェ・アルスター(妄信する神の代行者・f12262)は音でメイド達の動きを見極め、ユーベルコード『絶望の福音』でまるで10秒先の未来を見てきたかのように対象の動きを予想、一番手薄なスペースを確保しながら近づくメイド人形たちをなぎ払いや怪力で引き剥がしつつ進んでいた。
「メイドが主を甘やかすのはよくある話ではございますが」
 お荷物お預かりしますと近づいてきた人形を強引に引き剥がし振り払うオイフェ。
「彼は主ではありませんの。もちろん、私達もですわ」
 この回廊の先にいるであろうこのフロアの主のメイドに一言物申してやりたい心地になりながら、さらに集まる人形たちを衝撃波で払う。
「ごめんなさい。貴女達に恨みはないけど、敬意もありませんの。人形は人形らしく愛でられていなさい」
 さらにまとわりつく一体を鷲掴みにし投げ捨てる。

 ふと『こゃーんこゃーん』という声が聞こえた。その瞬間、突然『絶望の福音』でも予想できなかった狐の群れが現れ回廊を飲み込んでいく。
「なんですのこの狐たちは!?」
 オイフェが狐たちを掻き分け回廊の真ん中まで出てくると回廊を埋め尽くす狐とその毛づくろいに必死なメイド人形たちの姿があった。

●回廊の突破
「じゃあ、この子たちのお世話を頼むよメイドさん」
 エリカがそう言うと。
「畏まりましたご主人様」
 メイド人形たちは大人しく手近な狐たちの毛づくろいを始めていった。
「どういう状況ですのこれは……」
「すまない、巻き込んでしまったようだ……大丈夫かい」
 狐に埋もれているオイフェに気がついたエリカはオイフェへ手をのばし引っ張り上げる。
「……ぷはっ、やっと出られた、なんなのこれ」
 同様に狐の群れから脱出したゆかりも合流する。周囲のメイド人形たちはそれぞれ両腕に狐を抱えてお世話をしていた。
 満たされるマイナスイオンも加えて光景だけなら微笑ましい感じであるが所々に燃える槍が落ちてたりティーセットとテーブルが運び込まれていたりと少々混沌としている。

「何にせよ、これで通れそうね」
 まだ新たに出てくる少数の人形をなぎなたで追い払いながらゆかりは胸をなでおろす。
「私がしんがりを受け持つわ。最後までなぎなたで人形を牽制するから、行きましょう」
 ゆかりの提案にエリカも頷き。
「よろしく、じゃあいこう」
 と、答える。オイフェにとっても元から他の猟兵たちについていくことも考えていたので悪くない話だ。
 そのまま三人で回廊を進み奥へ進んでいった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『『安寧』のフィロソフィア』

POW   :    錬金メイドフィロソフィア
自身の【メイドとしての矜持】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    ソフィはメイドとして必要なことはなんでもできます
対象のユーベルコードを防御すると、それを【劣化版"賢者の石"に記録し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    ソフぃさんのお掃除タイム
いま戦っている対象に有効な【呪いが付与された弾丸を撃てる銃】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は錬金天使・サバティエルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●三章についてのお知らせ
 二章へのご参加ありがとうございました。
 引き続き、三章のプレイングの受付は予定通りに木曜の3月7日(木)からとなる見込みです。
 引き続きよろしくお願い致します。

●錬金メイドフィロソフィア
 それぞれの方法で回廊を突破した猟兵たち。この回廊の先、回廊の先のさらに奥の部屋に目的の場所はあった。
 簡素でいながらふかふかの絨毯が敷かれ、どこか懐かしさや温かみを感じるこの部屋。そこで小さなメイド――『『安寧』のフィロソフィア』に膝枕をされるアルダワ魔法学園の学生がいた。彼は部屋に入ってきた猟兵たちを見ると上体を起こし起き上がった。
「『転校生』……いや、猟兵か。俺を連れ戻しに来たのか……」
 アルダワ魔法学園では学園の運営側も学生達も猟兵の存在や現在の状況を把握して、猟兵全員を『転校生』として迎え入れている。
 そのため彼は『転校生』たちの登場で別れの時が来たのだと察した。苦渋の表情を見せる彼の手をとりフィロソフィアは微笑む。
「ご主人様が帰りたくないとおっしゃるのなら、ソフィはご主人様の代わりに戦いましょう。しかし……ご主人様さまが帰ることを望むならソフィは止めません」
「けれど、彼らには災魔である君を生かす理由がない……君は殺されてしまう」
「ソフィはメイドとしてご主人様が望むことを全力でサポートします。ご主人様がここの生活を捨て『未来に進む』ことを望むのならば、ソフィは倒れなければならない障害です」
 フィロソフィアはいずれこの時が来ると覚悟していた様だった。
 骸の海から蘇るオブリビオンは存在そのものが世界の時間を消費してしまう。いずれは世界を滅ぼしてしまうのだ。オブリビオンである以上は倒さなければならない。
「……俺が望めば抵抗もせずに打ち倒されるというのか……フィロソフィア」
「はい、それがメイドとしての矜持です。このソフィがソフィであるためにも、これは譲れないことです。……ソフィは久しぶりに誰かの世話を焼くことができて幸せでした……。さあご決断を」
 そう言い悲しげに微笑むフィロソフィア。言動に不審なところはなく、この言葉は信じても良いだろう。するとこの場の行方は彼がどちらを選ぶかに左右されそうだ。
 彼は様子を見守る猟兵たちと、目の前のメイドを交互に見て苦渋の表情を浮かべている……。

●補足
1.一般人の彼の安全については、意図的に狙わなければ都合よく保証されます。
2.説得に全振りでも大丈夫です。成功した上で攻撃する人が居ない場合はアルダワ学園の学生として彼がトドメを刺します。
3.三章の冒頭とOPにある情報が全てです。
ベルカ・スノードロップ
※アドリブ、連携歓迎
UC不使用

【コミュ力】【言いくるめ】で説得
「今の状況は、あなたが望んだことです」
悪意無く応えた災魔がいただけのこと
「正直…"彼女"を私たちが倒すのは簡単だと思います」
ですが、彼女の本心が『彼が前を向くこと』
「あなた自身『このままではいけない』と思っているはずです」
彼が今まで何のために頑張っていたのか
私達も彼女も知っていますが
「あなたは、誰かの笑顔を守るために頑張ってきたのですよね」
「自らを『障害』と自覚した彼女に『笑顔の最期』を迎えさせることが出来るのは、あなただけです」
共に在ることが叶わない以上、
せめて『最期は笑顔で』と【祈り】ながら
彼の元来持っていた心を【鼓舞】します。


村崎・ゆかり
&&&

「コミュ力」で友好的に話すわ。オブリビオンも今は人として扱う。

この場合、おはようでいいかしら? 二人とも察しがよくて助かるわ。
長い休暇もここまでよ。待ってる人もいるでしょう? 帰りましょう、○○さん。(名前を知っていれば代入、聞いていなければ「学生さん」)

掃除が行き届いたいい場所ね。長居したくなるのも分かるわ。ここにいれば、ずっと幸せかもしれない。
でも、あなたの知ってる人達は、三ヶ月も帰ってこないあなたのことを心配していると思うわ。誰だって、『その人の代わり』はいないのよ。
あなたも、会いたい人は誰かいないの? その人の顔をあなたのせいで曇らせたままにしておいて満足?

さあ、目覚めの時間よ。


泉・火華流
何故かメイド服姿
「あんな寝間着姿で来れないわよっ!!」

経緯
メイド人形達に服を脱がされ、全身を綺麗に洗われ、可愛い寝間着に着替えさせられ…後はメイド人形達相手?に『学生』と同じ状況
我に返り?…メイド人形から服を奪ってここまで来た(着てた服は行方不明)

『学生』にこの『誘惑』を断ち切る事が出来たかと問われれば…
「簡単に言うなら『私は一人じゃない』…って事かな…」
大事な『馬鹿兄』と『義理の妹』がいる
そんな兄妹を捨てて、この状況を手に入れようとは思わない


戦闘になった場合
スチームエンジン+レガリアス・エアシューズで機動力&蹴り技で戦闘


余談
何気に『クッション』やら『可愛い寝間着』とか、こっそりゲットしてます


ユーフェリア・オルゴット
&&&

誰かの笑顔のためにというのなら自分の笑顔を大切にしてください。しゃかりきにならず休みながらで良いんです。その為に我々猟兵がいるのですから。

そのメイドさんがあなたにとって救いであったことは分かります。それでも最終的な解決にならないことは理解されていると思います。ただ、その献身はただひたすらに彼女のエゴであってあなたの為ではありません。エゴが悪いとは思いませんが彼女がオブリビオンで、あなたのこれからの障害になるのなら除かなくてはならないものなのです。
辛いなら見なくても良いです。きっとすぐ終わりますから。

スチームエンジンを打ち込むことで全てを終わらせようと思います。


ポーラリア・ベル
うん!あたし難しい事わかんない!
説得は皆におまかせしよう1


でもねー ポーラにはおとどけものがあるんだよ!
はい!さっき部屋で見つけたロングソードと、探索用おどうぐかばん!
おにーさん、この剣で何できるの?この鞄、普段何入れて使ってるの?
あたし見たいなー!今ちょっと振るってみせてー!

えへへ、おにーさん、かっこいいんだね!(無邪気な笑顔)
ね、ね、今からちょっと冒険してみない?(学生さんにぎゅっと抱き着こうと)
あたしポーラ。こーんな事ができるんだ!
(【コールドクリエイト】で作った氷の装飾品を学生さんに装備し、んふーと満足そうに。)

終わった後未練たらたらなら
お守りフィロソフィアさん氷像をプレゼントしちゃう



●迷い
 アルダワ魔法学園で地下の探索に向かったまま三ヶ月も帰らなかった学生の場所までたどり着いた猟兵たち。

 ここにいる『『安寧』のフィロソフィア』は傷つき疲れて迷い込んだ学生をご主人様として迎え入れて世話を焼いていたが、それも己が己でいるためである。ならば『ご主人様』が自身の足で独り立ちをして世話が不要になればどうなるのか……。
 少なくとも、この場のフィロソフィアは『ご主人様の意思』を最優先すると決めていた。つまりはこの学生がここに残るか、それとも帰るのか。

●そして『今』がある
 迷っている学生――『頑張り屋さん』を見てユーフェリア・オルゴット(未知の知・f14771)は、ここにたどり着く前の蒸気に包まれた工場群の調査を行った時の気持ちを思い返していた。
(迷いがありますね。もうすこし彼に『きっかけ』を与えることができたら……)
「私は、あなたの笑顔のためお手伝いをしたいと思っています。今のように一人で悩んできたのではないですか?一人でも辛くならないように、私も一緒に考えさせください」
 その言葉で学生の目線が猟兵たちの方へ向く。気持ちが動いたようだ。
 そこへさらにベルカ・スノードロップ(享楽を求め続ける"ようかん"司祭・f10622)も問いかけを重ねた。教会の司祭としての経験も活かして穏やかに、悩みを聞くように。
「あなたはなぜこの迷宮に潜ったのですか。なぜ災魔と戦う危険な魔法学園に入学をしたのか、聞かせてもらえますか」
 今まで何のために頑張っていたのか。学生はこの言葉でかつての自分を思い返しながら答える。
「……世界の笑顔を守りたかったんだ。全ての災魔を封印した迷宮『アルダワ』、そこから抜け出そうとする災魔を抑え込む学園は……世界を守る最前線だから」

 けれど、と彼は続ける。
「倒しても倒しても、終わらないんだ……。どんなに努力をしても、耐えて困難に立ち向かっても、災魔たちは凶暴化したものが増えて事態は悪化していく」
 終わりのない疲労と緊張。張り詰めた先にプツリと気持ちが切れてしまったのだろう。
「あなたは、誰かの笑顔を守るために頑張ってきたのですよね」
 ベルカは改めて確認をした。コクリと頷いた学生にユーフェリアも言葉をかける。
「誰かの笑顔のためにというのなら自分の笑顔を大切にしてください」
 その言葉に彼はハッとした。甘やかされている最中も含めここまでずっと、無気力にはしていても笑顔は見せていなかったのだ。
「そういえば……しばらく笑ったことがなかった」
 ユーフェリアの言葉は、彼が今ほしかった言葉だったのかもしれない。
 呆然と呟きながら彼は自分の初志を思い出し始めていた。

●帰るところ
「ポーラにはおとどけものがあるんだよ!」
 20cmほどの小さな体がふわりと舞う。両手に皮のベルトや鞄を抱えて飛んできたのは
ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)だ。
「これあなたのだよね?はい!さっき部屋で見つけたロングソードと、探索用おどうぐかばん!」
 学生に渡された迷宮を生き抜くための武器と道具たち、彼はその重さを両手でずっしりと受け止める。
「おにーさん、この剣で何できるの?この鞄、普段何入れて使ってるの?」
「あ、ああ……迷宮から出ようとする災魔たちをこれで倒すんだ。鞄は回復ポーションや毒消し、それと保存食と水だよ」
 周囲を軽く確認して剣を振ってみせる。久しく忘れていた懐かしい重さだった、身体は今まで積み重ねた技をしっかり覚えていた。
「おおー、ポーションは自分用?ちょっと多いよね」
「傷ついた仲間を見つけたら使うための予備だよ」
「えへへ、おにーさんかっこいいんだね!」
 初志を思い出し気持ちが持ち直してきたところへポーラリアの無邪気な笑顔とやりとりが加わり、学生の表情は和らいできた。ここまで来ればあとは促すだけだろう。

「長い休暇もここまでよ。待ってる人もいるでしょう? 帰りましょう」
 村崎・ゆかり(紫蘭・f01658)がもうひと押しと言葉をかける。
「あなたの知ってる人達は、三ヶ月も帰ってこないあなたを心配していると思うわ」
「三ヶ月……そんなにか……」
 三ヶ月。それほどの期間が過ぎていたのだという事実もまた彼には衝撃だった。
「そうよ、誘惑は断ち切るのよ!」
 と泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)も言葉をのせる。
「簡単に言うなら『私は一人じゃない』……って事かな……大事な『馬鹿兄』と『義理の妹』がいるの。そんな兄妹を捨ててまで楽な状況を手に入れようとは思わないわ」
 なんだかんだで一緒に居たい人がいる。帰りたい場所は出会いの数だけその存在が強くもなる。帰る動機としてプラス要素だ。
 余談だが火華流は何故かメイド服姿だった。そしてクッションなども持っている。先程の回廊でメイド人形たちに捕まりそのまま奥でお世話をされていたが途中で我に返り、誘惑を振り切って脱出してきたらしい。
 その際に着替えさせられた可愛い寝間着では出歩けないためメイド服を強奪したとか。『あんな寝間着姿で来れないわよっ!!』ということらしい。着ていた服はおそらくは洗濯されて何処かで干されていることだろう。

 二人の言葉で学生の彼は学園の仲間たちの事を思い出していた。『生きてる内に引退できれば、英雄として故郷で余生を過ごせる』ほど危険であり世界に必要とされているのがアルダワ魔法学園の学生である。
 封印した災魔たちを迷宮から出さないために危険を承知で学園に入学した学生たちには世界を守るという同じ志を持つ者も少なくはないはずだ。

●決断
 彼の様子を見てゆかりは帰ることをさらに促していく。
「あなたはきっと一人ではないわ。それに笑顔を守りたいならまずは親しい人や知り合いを曇らせないようにしないとね」
 ゆかりの言葉の後にユーフェリアも思いを伝える。
「しゃかりきにならず、辛さを感じたら休みながらで良いんです。その為に我々猟兵がいるのですから、私達のことも頼って下さい」
「頼る……そうか、いつもは頼ることをあまり考えたことがなかったな……」
 今回の原因の一つはそれもあったかもしれない。苦虫を噛み潰したような顔になった彼の剣の鞘にひんやりとした装飾がつけられた。
「改めまして、あたしポーラ。こーんな事ができるんだ!」
 氷の装飾を作ったポーラは、んふーと満足そうに微笑む。
「あたし難しい事わかんない!ね、ね、迷宮を一緒に冒険してみない?きっと楽しいよ!」
「アクセサリーありがとう。冒険は一度戻って準備をしてからだね」
 唐突なプレゼントと誘いに困り顔になりながら答える学生。『一度戻って』と答えた彼の気持ちは固りつつある様子だ。

「あなた自身『このままではいけない』と思っているはずです」
 ベルカは、この学生の『決断』のための話を始めた。
「休みすぎて復帰のタイミングを逸してしまったことだけではなく、災魔のことも。今の状況は、あなたの望みに悪意無く応えた災魔がいただけのこと」
 過去を排出し新たな未来を生産するには、過去から染み出てきたオブリビオンは倒さなければならない。それはオブリビオン個人の性質と関係がないのだ。
「正直……"彼女"を私たちが倒すのは簡単だと思います」
 ですが、と言葉を続ける。
「自らを『障害』と自覚した彼女に『笑顔の最期』を迎えさせることが出来るのは、あなただけです」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オイフェ・アルスター
WIZ

勇んでやってきましたら、死ぬ覚悟のオブリビオンがいるなんて聞いておりませんの
少し不満げではあるが、戦わないならそれも良いと思いますわ

『何かのため』でも、何かを犠牲にしなければ生物は生きていけませんの
フィロソフィアも世界を犠牲にして生きていますの

彼女のためになるなら貴方がトドメを刺してさしあげなさい
それが主人としての務めでもありますの

私は説得し、見守りますの
彼のためでもあり、彼女のためでもあるなら私は待ちますわ

ただし、メイドが変な行動を取ろうとしたら、【左目】で見て【高速詠唱】で『流星の如く聖なる螺旋光』をメイドのみに撃ちますの

彼女無き後、【祈り】を捧げて冥福を祈りますわ


ニレ・スコラスチカ
&&&

……なるほど。

あなたが何もしないなら、わたしが異端狩りを代行します。
ただし…元々のわたしの役割は審問──殺さず痛めつけること。わたしは爪の弾丸を撃ち、その傷口をえぐり、洗礼聖紋の怪力をもて首を絞めます。
結果はどうあれ、その異端は必要以上に苦しむことでしょう。

自分を守ろうと戦う者が、自分のために傷つけられる。それを見て何も感じないなら、指を咥えて見ていなさい。望み通りに致しましょう。

もし、彼女のことを少しでも想うならば。
あなた自身が終わらせなさい。それがあなたの贖罪です。


文車・妖
フィロソフィアさんは自分の立場も弁えて、自分のやらねばならない事をきちんとやろうとしています。
お二人の別れは必定のもの。

フィロソフィアさん
私のこの魔術書のページを貸してあげるのであなたの主人に何か言葉を残してあげてくださいな。
日々のちょっとした何々を気をつけたねとか、好き嫌いはないようねとかそんなのでいいですので。

そして二人で写真を撮ってあげますから
一枚ずつすぐに現像して差し上げますね

そして学生さん、あなたもわかっているはずなのです。
人は立ち止まれない前に前にと進んでいかなければなのです。

男ならその可愛いメイドさんにしてあげなければならないことはわかってるはずです。

あなたの手で送ってあげてね



●『過去』を背負う
(……堕落は最も危険な病です。自力では抜け出そうという気にならない)
 ニレ・スコラスチカ(旧教会の異端審問官・f02691)もここまでの成り行きを見守っていた。
(かと言って、無理矢理連れ出すだけではまた別の場所に引きこもるだけ……彼には救いが必要です。しかし……この様子なら恐らく大丈夫でしょう)

 学生の心はほぼ決まった様子であった。そしてこの場にいる個体、『『安寧』のフィロソフィア』は自分は自分であるという哲学的な理性に従う生き方として――『ソフィがソフィであるために譲れないこと』としてメイドの有り様を貫くことを信条としていた。そのためには自身が滅ぼされることも覚悟していた様だ。
「それがご主人様のご決断なのですね」
 成り行きを見守っていた錬金メイドは学生へ意思を確認した。
「……ごめん、俺にはまだ帰るところがあったよ。帰ったらやりたいこともあった」
 なぜ自分はアルダワ魔法学園に入学をしたのか。そして誰のために頑張ってきたのか。
「そうですか……。疲れ切った状態で迷い込んだご主人様が、ソフィのお世話で回復されることはとても嬉しく思いました」
 しかしフィロソフィアは柔らかな笑顔を作った。なるべく平静に見えるように。
「このまま迷宮の片隅でひっそりと永遠に隠れ住めたら良かったのにと……、そう考えていました。しかし見つかってしまいました。さらにご主人様がそうご決断されたのならば、ソフィは従います」
 フィロソフィアは『ご主人様の意思』を最優先すると決めていた。最期まで自分と思える自分でいるために。……ならば残るは別れだ。

 ここで文車・妖(本が無ければこの世は闇よ・f14528)がカメラを片手にフィロソフィアと学生に声をかけた。
「二人で写真を撮ってあげます。思い出があると明日が楽しみになるですよ」
 二人を並ばせてパシャりと撮影。そしてすぐさま現像。
「このように絵として映し出せる道具なのですよ。そしてフィロソフィアさん」
 ちょいちょいと手招きする妖。
「私のこの魔術書のページを貸してあげるのであなたの主人に何か言葉を残してあげてくださいな」
 そう言い、妖は魔術書の紙とペンをフィロソフィアに渡す。
「日々のちょっとした何々を気をつけてねとか、好き嫌いはないようにねとかそんなのでいいですので」
「あ、はい……。基本的に全てソフィがやるのがソフィのお世話スタイルなのでこういうのはどうしたら……ええと、苦いお野菜もちゃんと食べてください……とか」
 言葉が書かれた紙を学生へ渡して妖は学生にも声をかける。
「そして学生さん、あなたもわかっているはずなのです。人は立ち止まれない、前に前にと進んでいかなければなのです」
 写真も一緒に渡す。
「そして進むならば、苦しいことも良いこともちゃんと思い出として背負って、自分たちで運ばないとなのです。未来を楽しみに迎えるためです」

●『未来』へ
 フィロソフィアは自身の心臓部になっている場所をこの場の全員に伝えた。この個体はこの伝えた場所が破損するとその機能を停止するらしい。
 ロングソードを抜き放つ学生。しかし仮にもしばらく同じ空間で過ごした相手を殺さなければならないことに、抵抗が無いわけではない。

「『何かのため』でも、何かを犠牲にしなければ生物は生きていけませんの。フィロソフィアも世界を犠牲にして生きていますの」
 オイフェ・アルスター(妄信する神の代行者・f12262)はロングソードを手に深呼吸を繰り返す学生へ最期の覚悟を持つようにと言葉を伝えた。
「彼女のためになるなら貴方がトドメを刺してさしあげなさい。それが主人としての務めでもありますの」
 オイフェは『勇んでやってきましたら、死ぬ覚悟のオブリビオンがいるなんて聞いておりませんの』と少し不満気ではあったが、戦わないで済むならそれも良いと考え見守ることと決めた。
(彼のためでもあり、彼女のためでもあるなら私は待ちますわ)
 念の為にフィロソフィアの挙動を監視しながらじっと見守っていた。

 しかしここでじっと成り行きを見ていたニレが口を開いた。
「もしあなたが何もしないなら、わたしが異端狩りを代行します」
 そう言い踏み出すニレ。
「ただし……元々のわたしの役割、つまり得意分野は審問――殺さず痛めつけること。結果はどうあれ、その異端は必要以上に苦しむことでしょう」
「いや、大丈夫だ。自分でやる」
 必要以上に苦しむという言葉に反応して鈍りかけた決意が再び固まった様子だった。彼はロングソードを改めて握り直す。
 ニレはその様子を見て、どことなく優しげに言葉をかけた。
「もし、彼女のことを少しでも想うならば。あなた自身が終わらせなさい。それがあなたの贖罪です」

 トス、と軽い音を立ててロングソードが小さなメイドの身体に突き立てられた。
 オブリビオンは心臓部を破壊され機能を停止した。こうしてまた一つ世界の脅威が消え、世界と一人の学生の未来が守られたのだった。

 消えていくフィロソフィアの肉体へオイフェは祈りを捧げる。
 オブリビオンに死後の世界があるのかは分からない。しかしそれでも、冥福の祈りを。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月10日


挿絵イラスト