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竜神親分と温泉

#カクリヨファンタズム #戦後 #碎輝 #温泉

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 その日、グリモアベースは「殺人現場か?」と思うほどに血で満ちていた。血だまりの真ん中には、雨月・雨莉(は何もしない・f03581)が、床に血文字を書いた状態でグッタリと倒れている。それを目撃した猟兵達は、
「だ……大丈夫か!?」
「しっかりしろ!!」
 と慌てて駆け寄り、抱き起した。
「一体、誰にやられたんだ!?」
 急き込んで尋ねる猟兵に、雨莉は、
「ア……ア……」
 微かな声を上げて、震える指で床の血文字を指差す。そこには、下手くそで読みづらいが、「さいき」「おんせん」の字が確かに読み取れた……「碎輝」「温泉」?
 まさかかの竜神親分がこんなことするわけないだろうと改めて雨莉の顔を見る。そして気付いた。この血、こいつの盛大な鼻血だ。その瞬間に、猟兵達はだいたいの事情を察して心配するのを止めた。
 案の定、しばらくすると雨莉はむくりと起き上がって、ハンカチで鼻を押さえながら、
「死ぬかと思った……いや実際昇天してましたね……わが生涯に一片の悔いなし……」
 とかぶつぶつ呟き、猟兵達に向き直った。
「ご心配どうもです。俺は大丈夫です。いやオタク的な意味で死にましたが。というのも、碎輝がおんせ」
 言いかけてまた鼻血吹いて倒れた。このままだと話が進まないので要約すると。
『『大祓百鬼夜行』で目覚めるまで、カクリヨファンタズムの最奥で封印されてきた竜神親分『碎輝(さいき)』は、最弱の状態から無限に成長する彼自身の性質が原因でカタストロフを起こしてしまう危険性がある』
『それを防ぐため、定期的に猟兵と戦って倒されることでしばらく成長しない『小学生形態』になる必要がある』
「……で、今回の戦いの舞台が温泉だと?」
「そういうことっす」
 猟兵達の問いに、雨莉は氷嚢で鼻の頭を押さえながら頷いた。どうやら、UDCアースであまりに秘湯過ぎて忘れ去られた温泉がカクリヨファンタズムに出現したらしい。
「秘湯ってだけあって、険しい山奥にありましてねそれ。行くだけで修行になりそう! って、ウッキウキで向かってるんすよ彼。ついでに猟兵達も、せっかくだから一緒に温泉どうかって」
 ……まあ、「碎輝」「温泉」のワードでだいたい察してはいたが、やはりというか。推しが温泉に入っている姿というのは確かに、想像しただけで昇天ものだろう。特にコイツにとっては。
「で、碎輝と温泉……と、くれば、やることはひとつっすよね?」
 身を乗り出して尋ねる雨莉に、猟兵はおそるおそる返した。
「……盗撮、とか言わないよな?」
 雨莉のハリセンが炸裂した。
「ざっけんな俺にだって良識と常識くらいあるわ!! 碎輝との温泉に浸かりながらのカッコいいトークっすよ! 碎輝は相手がカッコいいとそれほど成長しないんだから!」
 なら最初からそう言えよ、お前のキャラだと紛らわしいんだよ、という猟兵達のツッコミは聞かず、雨莉はプリプリと頬を膨らませ、腰に両手を当てて言う。
「だいたい、その温泉、秘湯ってだけあって、仕切りもなんもないんで普通に混浴だし、混浴ってことで水着着用が必須なんで、そんなムフフな展開にはなりようがないんすよ」
 じゃあ温水プールとそんな変わりないじゃないか、何も出血多量で倒れるほど騒がなくても、と猟兵達は思ったが、よく考えれば推しの水着姿はそれはそれで破壊力高いよなと思い直した。
「つーわけで、猟兵の皆さんも水着持参で行ってくださいね。掘っ立て小屋のようなもんですが、一応男女別の更衣室はあるんで」
 雨莉の注意に、猟兵達は分かったと頷いた。
「で、碎輝と温泉でカッコいいトークなりなんなりしたら……あとはもう、言わなくても分かってると思いますが。彼と戦って倒して、彼の成長を止めてください」
 猟兵達は思った。逆にして欲しいと。どうせなら、戦った後でひとっ風呂浴びてサッパリしたいと。その気持ちを読み取ったのか、雨莉は難しい顔で腕を組んだ。
「気持ちは分かりますけど……そういうわけにもいかないんすよ。ほら、猟兵の皆さんなら、どんな秘湯であろうと、グリモアパワーで現場まで直行できますけど……猟兵じゃない碎輝は、そうもいかないでしょう? 普通に険しい山超えてくるんで、着く頃には泥だらけなんすよ」
 言われてみれば確かにだった。それはまず風呂に入れてやりたい。
「でも、アイツ黄金竜に変身すれば飛べるじゃん。飛んでくるわけにはいかないのか?」
「卑怯な敵に怒りを覚えた時最も無限成長が早くなるって彼が、そんなズルすると思いますか?」
 ごもっともだった。おそらくはどんな敵にも真っ向勝負、正面からぶつかり合うであろう彼は、険しい山だって飛んでショートカット、なんてことはしないだろう。
「なんで、分かってると思いますが……戦う時は、こっちも正々堂々、真っ向勝負でお願いしますね。まあ、終わった後で時間があれば、また温泉入ってもいいんで」
 小学生形態になった碎輝と一緒に……と言いかけたところで、その光景をうっかり想像してしまったらしい雨莉は、猟兵達を件の秘湯に転送しつつ、再び鼻血吹いて倒れたのだった。


ライ麦
 明けましておめでとうございます。ライ麦です。今年もよろしくお願いします。
 辰年ですね! つまり竜神親分の年!! ってわけで、温泉にぶっこんでみました。ずっと前からやりたかったんだ~! ようやくその機会が巡ってきましたよ……!

 というわけで、以下簡単なまとめと注意事項です。

●第一章
 碎輝と一緒に秘湯の温泉に入ります。混浴なので水着着用は必須。掘っ立て小屋みたいなもんですが、一応男女別の更衣室ぐらいはあります。
 OPではカッコいいトークしろとありますが、無理にしなくて大丈夫です。普通に温泉楽しんでいただければ。
 元の世界で忘れ去られるほど山奥にある秘湯ですが、猟兵の皆さんならグリモアパワーで直行できますので移動についてはご心配なく。碎輝は普通に険しい山超えてきます。

●第二章
 温泉から出て、成長電流形態の碎輝と戦います。水着は着たままでも、着替えていただいても、どちらでもけっこうです。碎輝は……皆さんのプレイングによります。
 倒されると碎輝はダウンして、この戦闘分も含め、しばらく成長しない「小学生形態」に変形します。
 その後余裕があれば再び温泉入るというプレイングをかけていただいても大丈夫ですが、その部分のプレイングを採用できるかはその時のタイミング(書く順番もありますので)次第です。
 戦闘後どうしても温泉入りたい! というのであれば、オーバーロードで来ていただければほぼ確実かと。

 それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております!
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第1章 日常 『忘れられた秘湯』

POW   :    熱い湯に肩まで浸かって、身体を癒す

SPD   :    妖怪たちとお話しながら湯を楽しむ

WIZ   :    温泉といえばお酒! 宴会!!

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シモーヌ・イルネージュ
カクリヨには何回か来ているけど、親分衆と会うのは初めてだな。
つい温泉と強い奴と戦えると聞いて応募しちゃったけど。

カッコいいトークしろって言ってたけど、そういうの得意じゃないんだよな。
温泉の泉質とか気にしないし。酒飲めないし。
ま、いいかー

水着着用。
険しい山超えてボロボロだな。
さすがに背中ぐらいは流してやろうか。
お互いに水着だから、変なことは考えるなよ、男子。

ここまでの山行は大変だったろう。
1回ぐらいは落ちたのか?
道中の苦労話を聞いてあげよう。


御園・桜花
「…温泉です?」
目がキラキラ

「年末にGGOで山のように烏賊と餅と鶏を仕入れましたの。温泉で雪見酒しつつ鍋を突付きつつ過ごすなんて最高です」
「も、もちろんバトルもしますよ、分かってます」
慌てて手をパタパタ

醤油仕立てのお雑煮は大根里芋人参法連草椎茸入り
餅の上にはイクラと柚子をトッピング
烏賊には酒で溶いた瓶詰雲丹塗り網焼き
日本酒はお燗して温泉に浮かせる大きな桶に入れて持込み
他の人も食べるかな、と思い自分が食べる分以外の料理もUC「古木の宿」で持込む

日本酒ちびちび
「他にも食べたい方がいらっしゃるなら、すぐお出し出来ます」
「GGOの美味しそうなオブリビオンを食材にするのは私だけじゃありませんから」
微笑む


豊水・晶
はぁ~、温泉が沁みますねぇ。
そういえば巷では陰の実力者なるものが人気だそうですね。世界の裏から世界を守る。ふふっ、まるで我々のようですね。個人的には、戦闘メインで無くとも本心ではやりたくないと思っていても、自分にしかできないと分かっているから頑張れる方ってかっこいいと思いませんか?どう想います、碎輝さん。
誰かのために今自分ができる精一杯を、それができれば誰でも誰かのためにヒーローになれると思うのです。
あとは、その行為を誰かに褒めてもらえたらすっごく嬉しいと思うので、親分として新年最初の労いと激励の言葉をこちらの機械に向かって喋って下さい。報酬は後のかっこいい手合わせでどうでしょう。



「カクリヨには何回か来ているけど、親分衆と会うのは初めてだな。つい温泉で強い奴と戦えると聞いて来ちゃったけど……」
 黒のモノキニ姿で、シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)はぐるりとゴツゴツの岩場に囲まれた秘湯を見回した。険しい山奥は肌を刺すような寒さだが、湯気が立ち上る温泉の傍は存外暖かく。一刻も早く入りたくなってしまう。やはり、温泉というものには人を惹きつけてやまない魅力がある。とはいえ、温泉の泉質とか気にしないし、カッコいいトークしろと言われても、得意じゃないし。どうしたもんかな、とシモーヌはガリガリ頭を掻いた。一方、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)の方は、
「……温泉です?」
 そう、目を煌めかせている。
「年末にGGOで山のように烏賊と餅と鶏を仕入れましたの。温泉で雪見酒しつつ鍋を突付いて過ごすなんて最高です」
「雪見酒ですか、いいですねぇ」
 ウキウキと準備を進めている桜花の一言に、豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)が反応した。シモーヌも頷く。
「鍋もいいな。アタシ好き嫌いないし。酒は飲めないけど、ま、いいかー」
「本当ですか? よかった」
 微笑む桜花。他の人も食べるかと、自分の分以外もユーベルコードで持ってきた甲斐があった。すぐお出しできます、といそいそユーベルコード|古木の宿《コボクノヤド》内部にある温泉付別荘風コテージが併設された無限倉庫に向かう彼女と入れ違いになるようにして、
「はぁっ、はぁっ……やっと着いた……」
 紅の瞳に金色の角を備えた青年が、槍を杖のようにしてよろよろとやって来た。顔も髪も体も全身泥にまみれ、生傷だらけだ。痛々しい姿に、思わずうわっと声が出る。
「お久しぶりです、碎輝さん……ここまで来るのに大変だったみたいですね」
 気遣うように声をかける晶。シモーヌも、
「険しい山超えてボロボロだな。さすがに背中ぐらいは流してやろうか?」
 と労わる。
「いいのか? 助かるぜ!」
 拝むように両手を合わせ、早速掘っ立て小屋でオレンジの膝丈のハーフパンツの水着に着替えてきた彼に、シモーヌは一応、
「お互いに水着だから、変なことは考えるなよ、男子」
 と釘を刺しておく。碎輝は赤くなった。
「わ、分かってるよ!!」
 そうして、申し訳程度に設置された洗い場でゴシゴシと彼の背中を洗いつつ、シモーヌは訊いてみる。
「ここまでの山行は大変だったろう。一回ぐらいは落ちたのか?」
「ああ、大変だったぜ。登り始めて早々、岩だらけの滝に落ちちゃってさぁ……」
 しみじみと語る彼の体についた生々しい傷跡が、ここまでの激闘を物語っている。
「何せ俺は生まれたばかりの竜神にも負ける、自他ともに認める最弱の竜神だからな。一回と言わず、何回も落ちたぜ」
「あれ、アンタ強いんじゃ……」
 首を傾げるシモーヌだが、ふと思い出して合点がいった。彼の恐ろしいところは、最弱の状態から最強へ、さらにそれを超えた存在へと、無限に成長していってしまう点だ。だからこそ猟兵達が定期的に戦って、彼の成長を止める必要があるのだが。険しい山越えを乗り越えた彼はきっと相応に強くなっているだろう。相手にとって不足なしと、背中を流しながらシモーヌは密かに口角を上げた。
 体も洗い終わり、さて、と二人して温泉に向かえば、そこには人数分の鍋と酒の準備を整えた桜花が、先に入って待っていた。
「あら、お疲れ様です、碎輝さん。せっかくの温泉ですし、疲れを癒すためにも鍋と雪見酒と洒落込んでみてはいかがでしょう?」
 ほら、遠慮なくぐいっと! と温泉に浮かべた、大きな桶に入ったお燗した日本酒を差し出す桜花。碎輝は歓声を上げた。
「温泉に鍋、酒付きだなんて豪華だな! 険しい山超えてきた甲斐があったぜ」
「ええ。鍋は、醤油仕立てのお雑煮で、大根、里芋、人参、法連草、椎茸入りです。餅の上にはイクラと柚子をトッピングして、烏賊には酒で溶いた瓶詰雲丹を塗り、網焼きにしました」
 パカッと鍋の蓋を開けて解説する桜花に、碎輝はますます瞳を輝かせる。
「すごい、美味そうだな!」
「食材はGGO産です。さあ、召し上がれ」
 微笑んで促す彼女が言う、聞きなれない世界の名前に碎輝は首を捻る。
「GGO?」
「ああ、ご存じありませんでしたか。ゴッドゲームオンライン……平たくいうと、ゲームの世界です」
「へえ、本当に色んな世界があるんだな」
 烏賊をもぐもぐしながら相槌を打つ彼に、桜花は笑顔で言う。
「そちらはGGOで獲れた、ラングスクイード……新鮮な烏賊オブリビオンです」
 碎輝がブッと噴き出した。
「オブリビオン……オブリビオンなのかこれ!?」
「GGOの美味しそうなオブリビオンを食材にするのは私だけじゃありませんから」
 日本酒をちびちび飲みつつ、桜花は微笑んでみせた。
「いや、美味しいけども」
 やや困惑した様子で餅を口に運ぶ彼の横で、晶はん~っと伸びをして空を見上げる。
「はぁ~、温泉が沁みますねぇ」
 ほうっと息を吐く彼女に、碎輝も、
「ああ、そうだな」
 と頷く。気づけば温泉で、水着姿の美女に囲まれながら美味しい鍋と雪見酒を楽しむという大分うらやまけしからん状態になっている彼だが、気にしてはいけない。温泉の熱さに体が馴染んできたところで、晶はそういえば、と切り出した。
「巷では陰の実力者なるものが人気だそうですね。世界の裏から世界を守る。ふふっ、まるで我々のようですね」
「だな、猟兵は陰と言わず、表で活躍してる実力者も多そうだけど」
「それでも陰で、戦闘メインで無くとも、本心ではやりたくないと思っていても、自分にしかできないと分かっているから頑張っている方もおられると思うんです。個人的にはそういう方ってかっこいいと思うんですけど、どう思いますか、碎輝さん」
「ああ、俺もかっこいいと思うぜ。まさに陰の実力者って感じだよな」
 同意する彼に、晶は顔を綻ばせる。
「そうですよね。誰かのために今自分ができる精一杯を、それができれば誰でも誰かのためにヒーローになれると思うのです」
「いい言葉だな、それ」
 頷く碎輝に、晶はボイスレコーダーを向けた。
「それでは、その行為を誰かに褒めてもらえたらすっごく嬉しいと思うので、親分として新年最初の労いと激励の言葉をこちらの機械に向かって喋って下さい」
「えっ、なんか、恥ずかしいな……」
 照れつつ、碎輝は咳払いをしてレコーダーに向き直る。
「えー……陰で誰かのために頑張ってるヤツ、俺はかっこいいと思うぜ! だから、これからもその調子で頑張ってくれ!」
 そう、レコーダーに向かって言った後、
「こんな感じでいいか?」
 と微かに頬を赤らめて晶に問う。バッチリです、と晶は満足げにレコーダーを切った。
「報酬は後のかっこいい手合わせでどうでしょう」
「おっ、ついに手合わせか」
 温泉に浸かって鍋をパクついていたシモーヌがザバッと立ち上がる。その目は爛々と輝いていた。一方、桜花の方は、
「……バトル」
 と箸を片手に目を逸らしている。
「……どうした?」
 訝し気に尋ねる碎輝に、桜花は慌ててパタパタ手を振った。
「い、いえ、も、もちろんバトルもしますよ、分かってます」
 ……言えない。温泉と鍋と雪見酒が楽しみすぎて、戦闘のこと半ば忘れてたなんて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『竜神親分『碎輝』成長電流形態』

POW   :    成長電流
【黄金竜】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【状態から次第に強くなっていく電流】を放ち続ける。
SPD   :    黄金竜神
【体に雷を纏う】事で【無限に成長を続ける黄金竜の姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    超電竜撃滅衝
自身が装備する【槍】から【無限に成長する巨竜型の雷電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【麻痺】の状態異常を与える。

イラスト:108

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シモーヌ・イルネージュ
いよいよ手合わせだな。
いつもなら勝つために手段は選ばないけど、そういうのは嫌いってことだから、
ちゃんと正々堂々とやるよ。
それでは始めようか。

装備なら、このコイン『ガンマプリズム』を天に弾けば、準備完了だ。
こっちがフル装備じゃないと、そっちも全力出せないだろ。

黒槍『新月極光』で戦おう。
スピードで遅れをとる訳にはいかない。
ここはUC【月影戦士】で対応。
動体【視力】で動きを捉えて、相手攻撃を【武器受け】。
槍の柄を使って【カウンター】を狙おう。

最後は【気合】と【根性】勝負。
心ゆくまで打ち合おう。



「いよいよ手合わせだな」
 シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は、拳を鳴らして不敵に笑う。
「いつもなら勝つために手段は選ばないけど、そういうのは嫌いってことだから、ちゃんと正々堂々とやるよ」
「ああ、そうしてくれると有り難いな」
 碎輝も頷き、そしてシモーヌの水着に目をやった。
「……けど、そんな装備で大丈夫か? 見たとこ、武器も持ってないし……」
 丸腰の相手と戦うのは自身のポリシーにも反する。心配そうに尋ねる彼に、シモーヌはああ、と八芒星型のコインを掲げてみせた。
「装備なら、このコイン『ガンマプリズム』を天に弾けば、準備完了だ」
 キィン、と音を立てて、ガンマプリズムが宙に舞う。それを手に取った瞬間、シモーヌの水着はいつもの戦闘服に、手には闇夜を照らすオーロラの如く、ゆらゆらと穂先の光がきらめく黒檀の槍が握られる。
「こっちがフル装備じゃないと、そっちも全力出せないだろ。それでは始めようか」
 黒槍『新月極光』の穂先を突きつけ、シモーヌは言う。碎輝はニヤリと笑った。
「へぇ、カッコいいじゃないかそれ。なら、こっちも遠慮はいらないな。全力で行くぜ!」
 雷を纏った碎輝の姿が、無限に成長を続ける黄金竜の姿へと変化する。咆哮を上げ、真っ直ぐに突っ込んできた彼の攻撃をからくも避け、シモーヌは油断なく黄金竜を見据えた。早い。素早く体勢を整え、再び突撃してくる彼は先ほどよりも速さを増している。スピードで遅れをとる訳にはいかない。シモーヌは一瞬だけ目を閉じ、詠唱した。
『月よ、月よ。我に眠りし野生を解き放ち、真なる力を与え給え』
 彼女の全身から月光の魔力が迸る。再び目を開いた刹那、襲いかかってきた鋭い爪を素早く動体視力で捉え、槍の柄で受け止めた。そのまま彼の勢いを利用し、柄を捻って地に叩きつける。スピードが増していた分、その衝撃も大きい。血反吐を吐いて人の姿に戻った彼は、口元から流れる血を拭って笑った。
「俺のスピードを利用するとはさすがだな……! だが、まだまだ負けないぜ!」
 負けじと構えた碎輝の槍の穂先に、シモーヌも自身の槍の切っ先を合わせて頷く。
「ああ、最後は気合と根性勝負だな。心ゆくまで打ち合おう」

大成功 🔵​🔵​🔵​

豊水・晶
さてさて、かっこいい手合わせと言った手前約束を違えるわけにもいきませんので、こういうのはどうでしょう。
結界術で防御固め
竜脈使い、神罰、UC発動。
さぁ、かっこいい手合わせがしたいという傲慢で欲深い貴方にいた〜いお仕置きです。果てさて逃げ切れますか?
逃げ切れずに落ちてしまったら…
そうですねぇ。追加で弱体化状態の時の寝ているときの音声でも頂きましょうか。
大丈夫です。悪用なんてしませんし出来ません。然るべき人に保管してもらうだけですから。ええ、保管してもらうだけです。何も悪いことなど起こりません。なので、墜ちてください。



「さてさて、かっこいい手合わせと言った手前約束を違えるわけにもいきませんので、こういうのはどうでしょう」
 豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)は結界術で防御を固めつつ、両手を組んで微笑む。瞬間、天より雨の如く、六角柱状の水晶が降り注いだ。
「うわ、とと!」
 慌てて黄金竜に変身した碎輝は、水晶の柱を避けるように空へと舞い上がり、お返しとばかりに電流を放ち続ける。次第に強さを増すそれは晶の結界にヒビを入れ、穿つ。結界が破られていく様を見た碎輝は勝ち誇ったように吠えた。
「やっぱりな! 昨日より今日! 今日より明日! 俺は、どこまでも強くなる……!」
 だが、その瞬間に六角柱状の水晶は向きを変え、空を飛ぶ黄金竜へと殺到した。
「!? な……なんだぁ!?」
 体を捻り、避けようとするものの、降り注ぐ水晶は彼を集中砲火する。避けきれるものではない。それも当然。この水晶は、より己の欲を優先した者を優先して攻撃するもの。「強くなる」という欲を出した彼が狙われるのは必然だった。微笑みをたたえたまま、晶は凛と言い放つ。
「さぁ、昨日より今日、今日より明日、どこまでも強くなりたいという傲慢で欲深い貴方にいた〜いお仕置きです。果てさて逃げ切れますか?」
 水晶に穿たれ、それでもなお逃れようともがく竜は大きくバランスを崩し、きりもみ回転しながら土煙を上げて地面に激突する。辺りはゴツゴツした岩場だ。ダメージは大きいに違いない。案の定、衝撃で人の姿に戻った彼は額から血を流しながら、力なく倒れていた。晶は悪い笑みを浮かべて、ボイスレコーダー片手に彼に近づく。
「そうですねぇ。追加で弱体化状態の時の寝ているときの音声でも頂きましょうか」
「なにを……する気だ……?」
 微かに目を開け、弱々しく尋ねる碎輝に、晶はボイスレコーダーを近づけながらにっこり笑った。
「大丈夫です。悪用なんてしませんし出来ません。然るべき人に保管してもらうだけですから。ええ、保管してもらうだけです。何も悪いことなど起こりません。なので、墜ちてください」
「そう……言われて、も」
 意識が朦朧として何も考えられない。次第に重くなっていく瞼に任せ、碎輝の意識は闇に落ちていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「雷竜、ですか。それはそれで興味があります。貴方の体内も雷で出来ているのかどうか」
UC「浸食・花霞」
雷属性持つ花霞に変じ一気に黄金竜に肉薄
纏った雷伝いそのまま体内へ
体内で雷鳴電撃発し中から焼き尽くす
「雷竜なら普通の竜より耐性はあるでしょうから死ぬところまでは行かないと思ったのです。後は碎輝さんとの我慢比べですもの。これが終わった後の反省会でお手当すれば、碎輝さんなら充分間に合うと思いました」
実は今まで1度も碎輝と戦った事がなかった
雷属性の竜に雷が何処迄効くか興味があったのと無限成長なら無限回復もあるだろうと言う予測の下、碎輝がUCを切る(寿命考え終了する)迄使う分には問題ないだろうと考えた



 晶との戦いで倒れた碎輝に、御園・桜花
(桜の精のパーラーメイド・f23155)が近づく。
「雷竜、ですか。それはそれで興味があります。貴方の体内も雷で出来ているのかどうか」
 ピンク色のウェーブヘアを耳にかけ、屈み込んでしげしげと眺める桜花が、そっと倒れている彼に手を伸ばす。碎輝は弾かれたように立ち上がった。
「うお、あぶね! 落ちてたわ!」
 おねんねしてる場合じゃないと、両頬を叩いた彼が雷を纏う。瞬間、黄金竜へと変じた彼は既に桜花から遠く離れた位置にいた。まさに電光石火、このスピードには追いつけまい。この間に体勢を整えようとする彼の鼻先にひとひら、桜の花弁がちらつく。顔を上げた時にはもう遅い。稲妻の如き速さで移動する桜吹雪へと姿を変えた桜花が、一気に肉薄してきていた。
「っ!」
 咄嗟に身を守るように放った雷を伝い、桜花は彼の体内に侵入する。
「うわ、なんだこれ、気持ち悪い……!」
 体内を移動する花吹雪に、ぞわぞわと毛を逆立てた碎輝はその爆発的なスピードでもって振り払おうとするが、そもそも体内にいる相手には自慢のスピードも無意味だ。桜花はそのまま体内で幾度も雷鳴電撃を放った。
「……!!」
 内部からの衝撃に黄金竜は膝をつく。避けようのない電撃を体内から何度も浴びせられるのはキツい。中を焼き尽くされるような衝撃に暴れ、耐えきれず人型に戻った彼の体内から桜花が弾き出される。荒い息を吐いている彼に、桜花は囁いた。
「雷竜なら普通の竜より耐性はあるでしょうから死ぬところまでは行かないと思ったのです。後は碎輝さんとの我慢比べですもの。これが終わった後の反省会でお手当すれば、碎輝さんなら充分間に合うと思いました」
「いや……殺す気かよ、やめてくれ」
 そりゃ俺なら他の奴よりは耐えられるだろうけど、と空を仰ぐ。この我慢比べはどうやら、桜花の勝利に終わったらしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水・あめ
「嘘だろ、もう風呂終わったのか!?」
大遅刻。

ユーベルコードも使わず、道具も使わず、山の入り口から走ってきた――
正々堂々真っ向勝負、ちょっと憧れた言葉だったので真似たのだ。

「初仕事の前に、碎輝サンってすげえ雷様に胸借りてこいって言われたんだオレ!お願いしゃす!」

【台風ノ目】にて巨鳥に戻り、黄金竜にお辞儀してから飛び上がる。

纏う積乱雲を【天候操作】で渦に変え、
広がる「圧倒的に格上の雷」を、綿飴を巻き取るように自分の雲に絡めとり耐える。
同時に横殴りの暴雨で飛行を阻害し温泉に落とそうと。

リソースは「胸を借りる意思」1つだけ。
まっすぐに碎輝を見据えて
「どっちが先にチビに戻るか、我慢比べってヤツだぜ!」



「嘘だろ、もう風呂終わったのか!?」
 秘湯の入り口で、水・あめ(召喚獣――『始まりの雨』・f42444)は愕然と立ちすくむ。ゴツゴツした岩場の中で湯煙を上げる秘湯には誰も入ってない上に、かの竜神は既に満身創痍で力なく座り込んでいた。それでも、あめの声に気付いた碎輝は笑って手を挙げる。
「よう、|猟兵《イェーガー》。遅かったじゃないか、お前も山越えてきたのか?」
「実はそうなんだ」
 頷くあめに、碎輝は目を丸くした。まさか自分以外に山越えて秘湯にやってくる奴がいるとは思わなかったのだろう。
「マジでか!? ここに来るまで、大変だっただろ」
「ああ、でも、正々堂々真っ向勝負ってちょっと憧れた言葉だったから真似たんだ」
 山越えで傷ついた体すら誇るように、あめは胸を逸らす。ユーベルコードも使わず、道具も使わず、山の入り口から走ってきたのだ。大遅刻も当然というもの。あめの言葉に、碎輝の目が嬉しそうに煌めく。
「正々堂々真っ向勝負、か。気に入ったぜ。それじゃ、戦いも堂々とやろうか!」
 碎輝が黄金竜へと変じる。あめも合わせるように、暖かく甘い豊穣の雨雲を纏う本来の巨大神鳥に変身した。
「初仕事の前に、碎輝サンってすげえ雷様に胸借りてこいって言われたんだオレ! お願いしゃす!」
 ぺこりとお辞儀をして、あめは空へ飛び上がる。
「ああ、かかってこい!」
 頷いた碎輝も飛翔し、電流を放つ。あめは猟兵としてはまだまだ駆け出しだ。満身創痍とはいえ、時間経過とともに強くなる碎輝のそれが、圧倒的に格上であることは間違いない。バリバリと音を立てて自身を苛む電流を、あめは纏う積乱雲を天候操作で渦に変え、まるで綿飴を巻き取るように自分の雲に絡めとり耐えた。同時に放つ暴風と豪雨で彼の飛行を阻害しようと試みる。あめとて本来は青い海を育てた台風の1つだ。その暴風雨は、下手をすれば町ひとつが消えるほど。横殴りの雨と強い風に煽られた黄金竜は、宙で大きくバランスを崩す。それでも力強く翼をはためかせ、どうにかその場に留まった碎輝をあめはまっすぐに見据えて吠えた。
「どっちが先にチビに戻るか、我慢比べってヤツだぜ!」
「望むところだ!」
 碎輝が笑う。放つ電流がますます強くなった。巻き取り耐えるのもそろそろ限界だ。しかし、負けるわけにはいかないとあめも必死で雨と風の勢いを強める。リソースは「胸を借りる意思」1つだけ。どちらが勝つか。まさしく我慢比べだ。だが……。
「これで、終わりだ!」
 雨風に耐える碎輝がトドメとばかりにひときわ大きな電流を放つ。あめは息を呑んだ。あれをくらったら終わりだ。最後の力を振り絞り、どうにかそれを巻き取ったあめは、その勢いを暴風雨に乗せて放つ。
「いっけえええええ!!!」
 と。碎輝とて限界だったに違いない。最大瞬間風速を記録するほどの突風と暴雨に打たれた彼は、
「うわあああ~!」
 と叫びを上げて温泉に落下する。バシャーンと大きく水柱が立った。
「ぷはっ」
 温泉から顔を出した碎輝は子供の姿になっている。それはあめの勝利を意味していた。安堵し、力が抜けた彼も小学生並みの大きさの白い鳥獣人に戻り、温泉の傍らに降り立つ。
「手合わせ、あざっした!」
 頭を下げた彼に、碎輝は笑って手を伸ばし……その手を掴んで温泉に引きずり込む。
「わぷっ!?」
 飛沫を上げて落ちたあめに、碎輝は悪戯っぽく笑う。
「温泉、入りたかったんだろ? こっからは無礼講だ。一緒に入ろうぜ!」
「……ああ!」
 ほどけたお団子からこぼれた青いタテガミを濡らし、あめも笑う。戦いを終えた小学生二人一緒に、のんびり秘湯を楽しんだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年01月13日


挿絵イラスト