●夕映えの中の研究所
アポカリプスヘルのとある廃墟。
文明崩壊後のこの世界にありふれた光景の中を、奪還者達が食料や資材を求め探索していた。
その廃墟は複数の大型の建物が組み合わさった場所だったようで、オブリビオン・ストームによる倒壊や崩落により複雑な迷路のように変化していた。更には侵入者を拒絶するような危険なトラップまで数多く仕掛けられていた。
夕暮れのそんな場所で、一人の奪還者が危険な罠をどうにか突破して地下深くへと潜る崩壊していない通路を偶然に発見した。
地上や地下の浅い場所ではあまり成果がなかったが、この奥ならば何かあるかもしれないとその奪還者は推測する。
ただ、妙な寒気があった。
それは奪還者としての勘、この先に一人で進むのは危険だという警告。
その奪還者は他の奪還者と合流する為に、これまでつけてきた目印を辿り一旦仲間と合流を約束していた場所へと向かう。
合流して、一晩明かして改めて探索に来ればいいと。
――彼の判断は正しかった。
その地下奥深くには恐るべきドクター・オロチの配下が侵入者を排除する為に待ち構えていたのだから。
グリモアベース。
「時間質量論って知ってるかな。ほら、去年のアポカリプス・ランページにいたマザーコンピュータが記したって論文なんだけど」
騎士の格好をした男装のケットシー、クーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は集まった猟兵達にそう切り出した。
「あの時大量のデータを回収してたんだけど、その解析の途中でさらに大量のデータが世界中に隠された研究所に点在してることが判明したんだ。重複データも多いかもしれないけれども沢山データを集めれば情報の精度は間違いなく高くなるだろうね」
それで、その隠された研究所の一つについて予知できたのだとクーナは言う。
「場所はどこにでもあるような廃墟の一つだね。大型の建物の地下に隠された研究施設で地上部が迷路のようになっている。おまけに元々建物自体の警備が厳重だったみたいで罠だらけみたいでね。廃墟となった今でも容赦なく銃弾とか爆弾を侵入者にぶつけて排除しようとするみたいなんだ」
猟兵の皆ならそこまで怖くはないかもしれないけど、できる事なら消耗は避けたいよね、と騎士猫は続ける。
「この場所には奪還者がやってきてて、データのある地下への入り口まで目印をつけつつ辿り着いてるんだ。その人たちは一旦引き返して体勢整えて改めてくるつもりみたいだけど、その目印を参考にすれば罠を回避しつつ進めるだろう。目印というのは地面に点々と残ってる特殊な塗料で、夕日の光の波長に反応して淡く青く光る。大体等間隔に目印あるみたいだけど、罠がある位置で乱れてるから注意深く辿っていけば罠の位置を察知できるだろう」
それで目的地に着いてすぐにデータ回収、とはいかないとクーナは残念そうに言う。
「どうやらデータを警備しているオブリビオンがいるようなんだ。ドクター・オロチの配下のビッグマザーってのが侵入者を殲滅する為に地下のデータルームで待ち構えている。……オロチの配下だからフィールド・オブ・ナインの能力も持っていて、【増殖無限戦闘機械都市】の力で自動的に攻撃してくる戦闘機械を山盛りにして地下へ降りる通路に入った辺りから迎撃してくる。その上でビッグマザー自身のユーベルコードも使ってくるから上手く戦わないと厳しいかもね」
まあ、皆ならどうにかできると思うと騎士猫は優しく微笑み、
「データが大量に集まったら何か起こるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。それでも集める分には悪い事はなくて、オブリビオンも倒せるし奪還者も護れる。うん、いいこと尽くめだ」
だから宜しく頼むよ、とクーナは話を締め括りグリモアを取り出した。
そして、猟兵達を時間質量論のデータ眠りし夕暮れの廃墟へと転移させたのであった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
沢山集めて何か分かるといいですね。
第一章は夕暮れの名もなき廃墟に隠された研究施設を目指します。
研究施設は空からは見えないように隠されており、また廃墟は罠だらけで複雑に入り組んで迷路のようになっているようです。
偶然研究施設を発見した奪還者が夕日に反応して僅かに光る目印を残しているため、それを辿っていけば早く目的の施設へ辿り着けるかもしれません。
第二章はデータの警備を行うドクター・オロチ配下の『🌗ビッグマザー』との戦いになります。
戦場は廃墟の地下、最奥へ続く一本道の通路とやや広めのデータルームになります。
こちらは罠はありませんが、データルームに待ち構えるビッグマザーの【増殖無限戦闘機械都市】の力により、自動攻撃してくる無限に増殖する戦闘機械に埋め尽くされています。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 冒険
『点々と続く痕跡』
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POW : 障害物は力で押しのけ、ただひたすら痕跡を辿る
SPD : 手がかりが何らかの弾みで失われぬよう急いで辿る
WIZ : 方向と周辺の地形から痕跡の向かう先を読み、ショートカットする
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
「目印を辿っていきたいけど、夕日が沈むと見えなくなりそうね「
それなら攻略スピード重視。
初手からユーベルコード【クォンタム・ハンド】を起動。
量子結合の見えざる手を使って怪しいところは叩いたり、[念動力]も使って瓦礫をぶつけたりして罠を物理的に遠距離からつぶしにかかるわ。
他の猟兵もいるのなら、そちらの行動を阻害しないように配慮はするわよ。
影響が出そうな罠が発動したら[オーラ防御]と[結界術]の二重防御で可能な限り凌ぐ。
落とし穴系の罠は[ジャンプ]で回避。
「手早く進みましょう」
日が傾きかけ、茜色に染まり始めた廃墟の前へと転移した猟兵達はその外観を見渡した。
窓は見える範囲では全壊、壁も所々崩壊している上に複数の建物が組み合わさっているようで見通しも悪い。
この建物のどこかに時間質量論のデータの眠る地下への入り口がある。データの前には番人がいるようだが、まずは入口を発見しなければ話にならないだろう。
「目印を辿っていきたいけど、夕日が沈むと見えなくなりそうね」
ヤドリガミの金の髪の少女、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は入口の床に残る淡く青に光る塗料を確認しながら呟く。
夕日に反応し光るこれを辿ればいいとグリモア猟兵は説明していたが、日が完全に沈んでしまえば辿る事もできなくなる。
この廃墟の広さと複雑さを考えるに、あまり時間の余裕はないだろう。
だから、ヴィオレッタは青く光る痕跡を辿り走り出す。塗料の間隔は凡そ一定、あまりくっきりとは見えないが注意すれば見失う事はなさそうだ。
コンクリートの瓦礫を軽く飛び越え分岐路を進み、そして塗料の間隔が異様に狭まった所で足を止める。
ぱっと見ではこれまでの風景と何ら変わらぬ景色、けれどここを訪れた奪還者は危険を感じて止まったのだろう。
注意すればやや先に不自然に見える場所は幾つかあるが、それらに隠されているかもしれない罠を探し解除するにも時間はあまりない。
「手早く進みましょう」
と、ヤドリガミの少女はユーベルコードを起動する。
「不可視にして不可触の手よ来たれ」
見えない量子結合の手が彼女から伸びて、不自然な箇所を思い切り殴打する。
衝撃に崩れるコンクリート、その破片の中に小型のマシンガンやクロスボウが紛れていて、恐らく侵入者を殺傷する為の罠だったのだろう。
その調子で不自然に感じた通路の箇所を念動力で触れたり量子結合の手で攻撃し罠を物理的に破壊していく。
底に槍の仕掛けられた落とし穴などを発見した時は、この建物が普通に使われていた時はどうしていたのだろうと少々疑問に思ったりもしたが、軽く飛び越えて突破する。
そして再び塗料の痕跡が規則正しく残る位置にまで到着し、夕焼けに光る青の痕跡をヴィオレッタは再び辿り進み始めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
シン・クレスケンス(サポート)
「大抵のことはこなせますので、何でもお申し付けください」
◆人物像
・落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。
・窮地でも動じず冷静に戦況を判断し切り抜ける。
◆猟兵になる以前の経歴から調査、情報操作、諜報が得意。
◆戦闘
【破魔】の魔力を込めた銀の銃弾等の詠唱銃による攻撃や、魔術による攻撃を得意としている。
◆UDC『ツキ』
シンに取り憑いているUDC。闇色の狼の姿をしている。
こちらも追跡が得意(魔力を嗅ぎ分けている)で、戦闘は牙や爪で攻撃。
◆口調
・シン
僕/相手はさん付け(使役は呼び捨て)
~です、~ます、~ですか?等丁寧で穏やかな話し方。
・ツキ
俺/お前、呼び捨て。
~だぜ、~だろ、~じゃないか?等男性的な話し方。
天日・叶恵(サポート)
私なりの、お狐さまの矜持としてささやかなお願いがあればついでで積極的に叶えたいです
例えば、探しものを見つけたり、忘れ物をこっそり届けたり、道をこっそり綺麗にしたり、といったものです
それ以外では、オブリビオン退治に必要であればできるだけ違法ではない範囲でお手伝いしたいと思いまーす
戦闘については、昔は銀誓館学園で能力者として戦っていたので心得はありますー
補助や妨害といった動きが得意ですねぇ
あとは、白燐蟲へ力を与えて体当たりしてもらったり…術扇で妖力を込めたマヒ効果の衝撃波を出したり、でしょうか?
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行為はしません。
念動力と不可視の手で罠を破壊しつつ進んでいく猟兵に少し遅れ、二人の猟兵が廃墟を歩いていた。
穏やかな雰囲気のシン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)という青年と、妖狐の天日・叶恵(小さな神社のお狐様・f35376)。
「どことなくゴーストタウンに似ていますね」
元いたシルバーレインの世界で能力者として生きてきた叶恵が懐かしむように言う。
あの地のようにゴーストは出てこないからその点は安心なのだけれども、日が沈むまでという時間制限がある事はちょっとだけ焦りを感じてしまう。
ここまで所々に点在する痕跡の塗料を追いかけていたのだが、いつの間にか先に猟兵が通ったような破壊の跡が見えなくなっていた。
塗料の痕跡がかなり飛んだ位置にある。ここに罠があると看破したシンは注意深く周囲を確認し銃弾の痕跡と発射位置を確認すると、そこを回避するようにして叶恵と共に突破する。
この廃墟はかなり入り組んだ作りになっている。地面に点々と残る塗料も分岐地点で迷ったり折り返したような跡もいくつかあった。
「もしかすると先行した方と別の分岐に進んでいるのかもしれませんね」
ごく冷静にシンは結論付けた。とはいえどちらが奪還者と同じ道を辿りどちらが別の道を辿っているのかは分からない。
「それなら引き返した方がいいでしょうか?」
「どうでしょうね……」
白い狐耳を揺らし叶恵が尋ねるが、シンはどうにも歯切れが悪い。
引き返す事も時間があるなら選択肢には入るが、日が完全に沈めば痕跡を辿る手段もなくなってしまう。
シンは持ち前の情報収集、追跡技術でここまで注意深く痕跡を辿ってきている。それを信じて進めるかどうか、だが。
「……進みましょう。まだこの先に痕跡は続いていますから」
そう言ってシンは先へと進み、叶恵もその後を追いかけていく。
「ところで、お願い事ってありますか?」
不意に叶恵がシンに問う。
「お願い事? そうですね。ツキを元に……いえ、今は目的の場所に皆さんで無事に辿り着ければ」
言い直すシンに真面目だなあ、と叶恵は思う。
猟兵達の実力を踏まえると彼の願いはきっとささやかなもので、このまま何もしなくてもきっと彼は目的地には辿り着けるのだろう。
けれどもこの名前になる前からお狐さまとして過ごしてきた叶恵はちょっとばかり手助けしたくもなる。
(「そのささやかーな願い、ささやかーに叶えましょう」)
だからそのお願いを聞き届けて、叶恵は静かに呟いてユーベルコードを発動する。
データの眠るという地下への入り口を探り当てる、その事を意識しつつ彼女は周囲を改めて注意深く観察する。
頭が冴え渡る感覚――これまで歩いてきた道程と廃墟自体の構造が整理されていく。
この先に危険な罠があるならちょっとばかりお掃除してしまう事もできそうだけど、その必要がない事も同時に気が付いた。
「もうちょっとだけ、進むといい事があるかもしれませんよ」
穏やかに叶恵が言って、そして少しばかり進めばその言葉通りになった。
地下へと続く真っ暗な入口、それが猟兵達の到来を待つかのように開いていた。
更にちょいちょいと壊れた天井から上層階へと登り少し歩けば、その先の床の穴に入口が見えた。
このショートカットルートが判明したならばわざわざ複雑で罠の多い廃墟の中を通らずとも合流できる。
もしかすると彼女の幸運が何か仕事をしたのかもしれないけれども、それを詮索するのは野暮と言うものだろう。
ともあれ、これで地下への入り口を発見する事ができた。後は中に居座るドクター・オロチの配下を撃破して時間質量論のデータを回収するだけだ。
猟兵達は準備を整え、そして地下へと向かうのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『🌗ビッグマザー』
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POW : ナイン・ゴースト・セラフ
自身の【データベース内のアポカリプス・ランページ】を代償に、【今は亡きフィールド・オブ・ナイン】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【それが持つユーベルコードや武装】で戦う。
SPD : アイム・アドミニストレータ
【全身にバリアを張り、管理者権限強制執行】によって、自身の装備する【ビッグマシンで、周辺の機械や無機物】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
WIZ : スクランブル・マザーベース
【増殖無限戦闘機械都市の地面】から、対象の【自身を死守する】という願いを叶える【無数の機械戦闘知性体】を創造する。[無数の機械戦闘知性体]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ジュリア・レネゲード」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●無増殖無限戦闘機械地下都市を突破せよ
地下へと足を踏み入れた猟兵達は慎重に道を進み地下奥深くへと下っていく。
入口は狭く暗いが、ある程度中へ進むと猟兵達を感知し照明が灯っていく。
そして通路も広く天井も高くなり、数人で派手に立ち回っても支障の無い程になってきている。
そんな風な通路を歩く猟兵達だが、突如機械の駆動音が通路に響く。
身構える猟兵達の前に現れたのは異形の戦闘機械。
ドクター・オロチの配下『ビッグマザー』が召喚した無限に増殖する機械群の一つ――と、同時天井に影が蠢き始める。
やや小型のそれも戦闘機械、壁も床も天井も、どこからか湧き出たように戦闘機械の群れに埋め尽くされる。
このまま留まっていては数の暴力に圧殺されてしまう。機械の群れを代価力で殲滅しつつ進むか、上手く突破してビッグマザーだけを叩き戦闘機械の生成を止めさせるか、はたまた別の手段か。
それを考える間もなく、戦闘機械の群れは猟兵達を圧し潰す津波の如く一斉に襲い掛かってきた。
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
群れを叩くか、元凶を討つか。
答えはね。
「両方まとめて叩き切る、よ」
ということで開幕ユーベルコード【蒼き刃の円舞】。
「貴方たちすべてに不幸を上げるわ」
範囲内の敵をビックマザーも機械もまとめて攻撃。
その後は拳銃【平和を作るモノ】で戦闘機械とビッグマザーを[貫通攻撃]で打ち抜き続けるわ。
他の猟兵がいるのなら突破口を作る援護にもなるかもね。
地下通路の照明すら埋め尽くす勢いで銃器や刃を備えた戦闘機械の群は増殖し、奥から次々に湧き出してくる。
天井や壁に爪を食い込ませ地形すら無視して前進してくる機械の群はまるで壁のよう、それを前にしてヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は青のチャクラムを手にしユーベルコードを起動する。
(「群れを叩くか、元凶を討つか」)
この視界いっぱいの機械全てを破壊しつつ突破するか、どうにか隙を突いてビッグマザー本体を狙うか。
彼女の選んだ答えは、
「両方まとめて叩き切る、よ」
青き金剛石のチャクラムが巨大化してヴィオレッタの手から離れる。
それは高速で回転しながら戦闘機械の群へと突っ込んでいって鋼鉄の機体を易々と破壊していく。
「貴方たちすべてに不幸を上げるわ」
このユーベルコードに数は関係ない。半径116メートル以内にいる全ての敵を容赦なく切り裂く青金剛石の円刃は通路上の戦闘機械を次々にがらくたへと変えていってそのまま最奥へと飛んでいく。
その先にいたのはビッグマシンを装備し全身にバリアを展開したドクター・オロチの配下、戦闘機械の群を管理者権限の強制執行によりコントロールし自身を守る盾とし真っ向から防がんとする。
巨大チャクラムはそれらに勢いを弱められながらもビッグマザーへと到達、バリアに衝突してそれを破壊した所で元の大きさに戻り、ビッグマザーの手前まで迫っていたヴィオレッタの手元へと戻っていく。
チャクラムが切り開いた道を踏破してきた彼女は平和を作るモノという名の長銃身の拳銃を抜いてビッグマザーに連続で発砲する。
バリアが破壊された直後というタイミングーー戦闘機械の群で阻まんとするが間に合わず、その本体に風穴を穿った。
しかしビッグマザーは表情一つ変えずに周囲の床から新たに戦闘機械の群を創り出し、再び戦闘機械の壁を展開する。
向かってくる戦闘機械の群に対し、ヴィオレッタは後続の猟兵達がやってくる音を聞きながら拳銃で迎撃しその進行を食い止めていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
斯波・嵩矩(サポート)
『俺の演奏と歌で、きみを支援するよ』
『大丈夫、安心して』
神将の陰陽師×仙人、21歳の男
口調は 【肯】終焉の現(俺、呼び捨て、だね、だよ、だよね、なのかな?)
銀雨時代の大切な想い出を弾き語り、歌い、誰かに覚えていてほしいと願うギタリスト
好きな音楽ジャンルはロック、ヒップホップ、ジャズ、ポップス、ゲーム音楽
戦闘時は演奏や歌唱による他者支援&回復役として戦線維持に努めるよ
状況に応じて習得済み全技能から任意のものを自由に使うね
UCは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動するよ
他猟兵さんに迷惑をかける行為はしない
依頼成功のためでも、公序良俗に反する行動もしない
あとはお任せ
宜しくね
シェーラ・ミレディ(サポート)
※OK:シリアス
※NG:エロ、ネタ、コメディ、心情系
※傭兵的なスポット参戦
称号通り、僕の身体を維持するための金儲けと、弱者をいたぶる醜い行いが許せぬ義侠心が行動指針だ。
美しいものは愛でるべきだが、恋愛には結びつかないなぁ。
性格ブスは醜い。見るに堪えん。
複数の精霊銃をジャグリングのように駆使する、彩色銃技という技(UC)を使って、敵を攻撃しようか。
敵からの攻撃は基本的に回避する。が、護衛対象がいるならかばうのも検討しよう。
……嗚呼、僕を傷付けたなら、代償は高くつくぞ!
先行した猟兵が破壊した残骸が、広い廊下のあちこちに転がっている。
「うーんちょっと数が多いね」
最奥を目指す狩衣姿の神将、斯波・嵩矩(永劫回帰・f36437)が穏やかに言う。
大量に転がる残骸は足の踏み場を見つけるのも難しいくらい、その上戦闘機械はまだまだ新たに増殖しているようだ。
同じく隣を往くシェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)というミレナリィドールは愛銃をいつでも抜けるよう構えながら、転がる残骸達を注意深く観察していた。
万が一この中に無事な戦闘機械があれば後方から奇襲を受ける事になる。容易く後れを取るような事はないと思うが、不意討ちに傷つけられてしまうのはどうにも気に食わない。
ましてや美意識とも価値とも程遠いこの使い捨ての量産品のような見た目の機械だ。
壊しても大して気が晴れそうにないから、傷つかぬよう警戒するのは高価な身体の彼には当然の事。
幸い廊下に転がっている機械は全て機能停止していて、奇襲を受ける事はなかった。
だがある程度二人が進んだ先、廊下の左右の扉から押し出されるようにして戦闘機械の群が飛び出してきた。
即座に銃を抜くシェーラだが、
「大丈夫、安心して」
彼を制しつつ、嵩矩はイグニッションカードを手にする。
「――こんにちは世界」
その言葉によりイグニッションカードに収納されていた武装を瞬時に装着する嵩矩。手にする多節鞭は仙人の持物たる雷を放つもの。
ユーベルコードを起動すれば、雷公鞭より雷が戦闘機械の群に降り注ぎ、その機体を感電させていく。
戦闘機械である故に、制御中枢に過剰な電流をうければ故障してしまうのは当然。耐電装備があったとしても、仙界の雷はそれを上回るものだったようで電撃を受けた戦闘機械は次々に停止していく。
そして機能停止した戦闘機械を踏み越え、二人は残骸に囲まれたビッグマザーのいる最奥まで進んでいった。
『貴方達も、ですか。……これは渡さないわ』
新たな侵入者二人に対し、ドクター・オロチの配下は無表情にユーベルコードを発動し、周囲の床から機械戦闘知性体の群を新たに創造する。
ビッグマザーの願望を叶えるために行動を開始しようとする機械の群に対し、嵩矩が雷公鞭から雷を放つ。
創造された機械はビッグマザーを守らんとその身を挺して障壁となるが、その間にシェーラがユーベルコードを起動。
「――この呪いは、明日への対価だ」
手にした精霊銃二丁に周囲に漂う無数の悪感情が宿る。
このオブリビオンによる犠牲者、この地で犠牲になり今も漂い続ける怨霊の無念――それらは精霊銃を酷く強化するが、代償としてシェーラの体が呪縛を受ける。
身体が動かし難い、この状態では攻撃の回避も難しいだろう。
だから、やられる前にやる。紫電清霜と一顧傾城という銘の精霊銃から銃弾をありったけ放つ。
雷により切り裂かれた戦闘機械の壁を銃弾は見事にすり抜けその奥のビッグマザーを撃ち抜かんとする。
咄嗟にバリアを展開するが、貫通力の高い銃弾は易々と貫いてビッグマザーの急所を撃ち抜いた。
銃撃に怯むビッグマザー、しかし新たにバリアを展開すると、装備したビッグマシンを介し停止した機械を強引に再起動させると、再び二人を数で押し切らんと攻撃指令を出す。
向かってくる機械の群に対し、二人は機械の増殖を食い止める為に雷と銃弾で迎撃していく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)
「今日はどんなところに行けるのかな?」
楽観的で感情豊か、夢見る乙女な性格の少女
年相応に無邪気であり、根本が人でない故に残酷
神出鬼没に出現し、気まぐれに歩き回り、楽しげに爪を振るう
猟兵の役割は理解し依頼も一応遵守しようとするが、それはそれとして楽しそう、面白そうで物事を判断し、それを優先して行動する
バイオモンスターの特徴として、肉体は植物の性質を持つ
戦闘では怪力の発揮や身体の巨大化、鋭い爪での引き裂き、捕食等の野性味溢れる攻撃スタイル
理力の扱いも得意で、体表で自生する蔓や苔植物を操り、防御や隠密に罠等サポートも行わせる
リーヴァルディ・カーライル(サポート)
「…お前がどんな存在で、どんな過去があったとしても関係無い」
「…今を生きる人々を害する存在を討つ。それが猟兵としての私の使命よ」
故郷のダークセイヴァーで主に活動する吸血鬼狩り
他世界の知識に疎く、最初は様子見に徹して見切り戦闘知識を蓄積する
必要に応じ「精霊石の耳飾り」に各属性の精霊を降霊し、
第六感的な精霊の視力を借りて暗視や索敵を行う
敵の攻撃は「写し身の呪詛」の残像による回避や、
「怪力の呪詛」のオーラで防御して受け流し、
大鎌のなぎ払いやUCによるカウンターで迎撃する
「…無駄よ。その攻撃なら、既に見切ったもの」
「…お前よりヴァンパイアの方が余程、手強い」
「…さあ、吸血鬼狩りの業を知るが良い」
次々に地面から生成されていく戦闘機械を盾に、ビッグマザーは機械を遠隔操作しながら自身のデータベースに記録されたアポカリプス・ランページへとアクセスを行っていた。
重要な記録を代償に今は亡きフィールド・オブ・ナインを戦わせる――そのユーベルコードを発動しようとした瞬間、新たな猟兵が戦闘機械を蹴散らしながら飛び込んでくる。
この場に訪れた彼女、アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)は既にユーベルコードにより獰猛なる恐竜の姿へと変身していて、その高められた暴力で邪魔となる機械を蹂躙しながらやってきたのだ。
咄嗟にビッグマザーは蓄積されたアポカリプス・ランページのデータを消費し、フィールド・オブ・ナインを召喚する。
代償としたデータで召喚できたのは戦闘能力の劣化したフルスロットル・ヴォ―テックスとマザー・コンピュータの二人のみ。
しかしその二体でこの状況を切り抜けんと、フルスロットル・ヴォ―テックスがV12エンジンを唸らせ恐竜に突撃していく。
遺伝子に刻まれし古き形状――バイオモンスターとしての植物の性質もやや残っているアウルは、その突撃に対し恐竜としての馬鹿力で楽しそうにぶつかっていく。
チェーンソーが振るわれる前にその胴にぶちかますアウル。フルスロットルのV12エンジンが唸りを上げるが、アウルの方も足を床に食い込ませ一歩も引かない。
この至近距離ではチェーンソーも振り切れない、そんな状況で恐竜とオブリビオンが鬩ぎあう中、マザー・コンピュータのセンサーに僅かな反応があった。
音も影も臭いも何もないし、増殖する戦闘機械も何も反応していない。
ただ、戦闘機械を通し張り巡らせた触覚は、機械の群れの間を何かがすり抜けつつビッグマザーへと接近している事を知らせていた。
有線リンクでビッグマザーへとマザー・コンピュータがそのデータを送信しつつ戦闘機械の操作を開始。
(「……気づかれたようね」)
陽炎の呪詛で自身と武装を覆ったダンピールのリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は静かに思考する。
アウルの突撃のタイミングに合わせ、ユーベルコードにより視聴嗅覚での感知を不可能とした状態で飛び込んできた彼女の狙いは戦闘機械を操る本体狙い。
センサーの感覚を頼りに戦闘機械の群れを操るマザーだが、見えもせず聞こえもしないリーヴァルディの位置を正確に捉える事は困難。
闇雲に振るわれる刃や放たれる銃弾を見切りつつ床を走り時には天井へと跳ね戦闘機械の隙間に見える壁を蹴りながら音もなく距離を詰めていく。
だが、それ以上の接近は許さないというようにマザーの操作により戦闘機械の群はビッグマザーを包みこむように陣を組んで、周囲に銃弾をばら撒いていく。
見えなくともそこにいる、ならばシンプルに通さぬようにして守ればいいという対処なのだろう。
だが、そのタイミングでアウルが力を抜いてフルスロットルを受け流す。
体勢を崩したフルスロットルの肉体にアウルは鋭き爪を突き立て引き裂き、そのままビッグマザーへと突進を開始する。
フルスロットルとも互角にせめぎあった恐竜の突進、まともに受ければビッグマシンごとバラバラにされてしまうだろう。
そう判断したオブリビオン達は新たに無限増殖により生成された戦闘機械を操り壁にして、アウルへと集中砲火を行わせんとする。
だが、その瞬間。
マザー・コンピュータの背後に音もなく黒の大鎌を構えたリーヴァルディが現れる。
「……お前がコントロールしているのなら先に討てばいい」
そして大鎌を一閃、マザーの機能を停止させる。
アウルを警戒してビッグマザーの防御と反撃に費やした故に、マザー・コンピュータの守りが疎かになったそのタイミングを見切り仕掛けたのだ。
リンクの途絶にビッグマザーの反応が遅れ、戦闘機械の制御が乱れる。
その隙を見逃さず恐竜の姿のアウルが全力で突進、戦闘機械の反撃と陣を破壊しながらビッグマザーへと突っ込んでいく。
その表情には全力を出し切った満足感が浮かんでいて、オブリビオンが障壁を展開する前に装備したビッグマシンを体当たりで吹き飛ばした。
強烈な衝撃と共に壁に叩き付けられた機械は半壊、そして更にダンピールが飛び込んできて。
「……今を生きる人々を害する存在を討つ。それが猟兵としての私の使命よ」
過去を刻み未来を閉ざすという黒い大鎌で、その生命を断ち切ったのであった。
その後、ビッグマザーのいた場所より最奥に向かった猟兵達は意外と大型のデータサーバーを発見する。
その中に記録された時間質量論の一部がどのように役立つのかは、今はまだ誰も知らない。
けれど、少なくとも彼らがドクター・オロチの配下を倒したことにより善良なブリンガーが無惨にやられてしまう未来は避けられた。
このデータもいつか役立つ日が来ると期待して、猟兵達はそのサーバーをグリモアベースへと持ち帰らんと、戦闘機械の残骸転がる地下通路を戻り、地上へと帰還したのであった。
成功
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