「猟兵は病気です! 治療法は履帯で轢き潰すことです!」
●アポカリプスヘル - どこかの荒野
キュラキュラキュラキュラキュラキュラキュラキュラ。
履帯が回る。
「猟兵はいませんか! 猟兵はいませんか!」
戦車が大地を進んでいく。
「猟兵はいませんか! 猟兵はいませんか!」
戦車の騒音を上回る音がメガホンから辺りに響き渡る。
「猟兵は病気です! 猟兵は病気です!」
キーンというハウリングを一切気にせず、戦車の群れは前進しながらその騒音を垂れ流し続ける。
「大丈夫、猟兵は治せる病気です! 猟兵は履帯で轢き潰せば治ります!」
たまたま近くを通っていた奪還者(ブリンガー)がこっそりとその場を去ろうとするが。
「おや、そこのあなた、あなた、猟兵ですね?」
もちろん違うが。彼らはそうと疑わない。
「猟兵は治せる病気です! 今すぐあなたを轢き潰します!」
「おい、やめろ、俺はその……猟兵ってのじゃない、う、うわああああああああ」
キュラキュラキュラキュラキュラキュラキュラキュラ。グチャ。
履帯が回る。
●グリモアベース
「と、いうわけで、ですね……」
なんとも複雑そうな表情で告げるのはグリモア猟兵のムゲン・ワールド(愛に生きたナイトメア適合者・f36307)だ。
「アポカリプスヘルに、ですね。その、我々猟兵は皆病気で、戦車で轢き潰せば治る、と主張する、戦車の群れが現れたようです」
なんとも言いにくそうにムゲンが続ける。
「えぇ、気持ちは分かります。私とて予知じゃないただの意味不明な悪夢だと思いたかった。けど、その、困ったことにやっぱり分かるんですよね、予知かただの夢かって」
ムゲンはナイトメア適合者としてのアイデンティティ故か悪夢の形で予知をする。そして、ただの夢とそうでないものは区別が付き、残念ながら、先程の説明は全て純然たる予知に基づくものだった。
「敵について説明します。敵は怪しい医者の集団です。先程の説明の通り、全員が戦車に乗っています」
戦車は履帯と旋回する主砲を持ち、しかも硬い。オブリビオンなので猟兵の攻撃にもある程度耐える。
「敵は注射クロスボウという注射を遠投するクロスボウを主な武器としていて、その射程や威力、効果を向上させる能力や、注射で薬品を注入することで、命中した相手を幻覚状態にする代わりに治療する能力、死亡したり気絶した対象を強化生物に変える能力などを持っています」
とにかく数が多いので大量の戦車相手にどう相手どるかを意識してください、とムゲン。幸いなのは無効はあくまでこちらを治療したいと考えていることだろう。砲撃はあくまで牽制に留まり、履帯で轢き潰すことを主目的としてくるはずだ。
「それから、彼らを唆している狂気の主も分かっています。その名は、箱舟機関『ARC』。あの無血宰相……いえ、ドクター・オロチでしたね、彼の配下のようです。なんでも人類救済を目指していたようですが、禁忌に手を染めた結果、めでたくオブリビオンと化し、今ではその最大の敵である我々猟兵を排除するのを人類救済の第一歩としているようです」
ARCは無敵の偽神兵器を想像から生み出したり、無数の偽神兵器と再生能力を持った人工生命体を生み出したり、特殊な薬で強化人間になったりするらしい。
「こちらは医者を唆した側、皆さんを治療しようとは考えないでしょう。主砲からの砲撃にも、お気をつけて」
ふぅ、と一度ムゲンはそこで言葉を切る。そして言いにくそうに次のように告げた。
「しかも、ドクター・オロチによりフィールド・オブ・ナインの能力を移植されているようで、あらゆる攻撃と状態異常に耐性を持つようです。例外はストームブレイドと、偽神細胞液の摂取……」
偽神細胞液は猟兵であってもダメージを負うほどの激烈な拒絶反応がある薬品だ。その使用は一歩間違えれば命に関わる。
「一応、調達は出来ました。皆さんに渡しておきます。使うときは覚悟して下さいね」
ムゲンが心配そうにしながら、何らかの液体の入ったシリンジを差し出す。
「それでは、転移ゲートを開きます。本当の本当に、お気をつけて」
ムゲンが仕込み杖を抜き放ち、空間を切断するように振るう。すると空間が裂けて、転移ゲートが出現する。
メリーさんのアモル
人類の大半が死滅した近未来の地球よりこんにちは、メリーさんのアモルです。
猟兵狩りの戦車軍団から人々を守るため、本物の猟兵としてこっちから乗り込んでやりましょう!
●第一章
戦車軍団との戦闘です。注射クロスボウによる攻撃、ユーベルコードの他、主砲と履帯による攻撃を敢行してきます。主砲はあくまで牽制程度にしか使ってこないので、演出に使いたい以外の場合は無視して構わないと思います。
とにかく厄介な上に数が多いので「大量の戦車をどうやって倒す?」という部分にフォーカスして書かれているとボーナスがあると思います。
●第二章
ドクター・オロチの配下、箱舟機関『ARC』との戦いです。これまた戦車に乗っていますので、偽神兵器による攻撃、ユーベルコードの他、主砲と履帯による攻撃に注意して下さい。こちらは本当に皆さんを狙ってぶっ放してきます。
また、デミウルゴス・セルという能力を持っており、ストームブレイド以外は偽神細胞液の摂取が必要です。猟兵といえど命に関わる摂取ですので、お気をつけて。
ちなみに周囲には先程まで戦っていた戦車の残骸が散らかっています。戦いに利用できるかもしれません。
第1章 集団戦
『緊急医療チーム『ヤミードクターズ』』
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POW : 不屈のドクター・スピリット
装備中のアイテム「【注射クロスボウ】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
SPD : ドクターの愛
【依存性が高く、幻覚作用のある薬品】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
WIZ : ドクターのオーバーワーク
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【治療し改造することで神経異常発達強化生物】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
イラスト:サカモトミツキ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
レパイア・グラスボトル
猟兵が病気なんて、意外な着眼点だな。
ただ轢殺すれば治るってのには異議を言いたい所だな。同じ医者としては。
ちなみにワタシの見解はアンタらオブリビオンがいなくなるってのが治療方法だけどどう思う?
家族による力ずくの特攻
勿論、猟兵でもないただの人間である家族はあっけなく吹き飛ばされる
ついでにレパイアも吹き飛ばされる
家族は戦闘能力としてはこの世界の有象無象と同レベル
結果
世紀末救世主がやってくる
レパイアも家族もソイツにとってはどうでもよく体の良い飛び道具的扱いをされる
レパイアは都度、家族の治療を無意識に行う
砂混じりの風で伝わる噂話、伝説
人の限界を超えるまで鍛えた神話級拳法の前には主砲でも豆鉄砲となる
「猟兵が病気なんて、意外な着眼点だな」
荒野に転移してくるなり、目前の戦車軍団にそう告げるのはレパイア・グラスボトル(勝利期限切れアリス・f25718)だ。
「ただ轢殺すれば治るってのには異議を言いたい所だな。同じ医者としては」
医療(Repair)型試作として作られたフラスコチャイルドのレパイア、医者仲間(?)として医者オブリビオン達には言いたいことがあるようだ。
「猟兵は病気です! しかし、治せる病気です!」
ただ、履帯の進む音とシュプレヒコールの騒音に負け、その声はオブリビオンの耳には届かない。
「ちなみにワタシの見解はアンタらオブリビオンがいなくなるってのが治療方法だけど、どう思う?」
「大丈夫、猟兵は治せる病気です! 猟兵は履帯で轢き潰せば治ります!」
見解の相違。これ以上語り合えることはないらしい。そもそも語り合えてはいないが。
「よーし、いくぞ! 突撃!」
ならば後は拳で語り合うだけだ。
レパイアとその家族――いや、仲間? それとも、肉壁? ともかく彼女を育て、彼女に育てられたレイダー達だ――が一斉に突撃していく。
キュラキュラキュラキュラキュラキュラキュラキュラ。
「おや、あなた方、猟兵ですね」
違う。いや、一人はそうだ。
ドォン。
景気よく戦車の主砲が放たれる。本来牽制のために放たれたはずのそれに、レパイアの家族は吹き飛ばされる。
レパイアも吹き飛ばされる。
ユーベルコード発動条件、成立。
ユーベルコード、レジェンド・オブ・アポカリプス・ヒーロー。それは、レパイアとその仲間が雑魚の如く吹き飛ばされるとき、砂塵と共に現れ砂塵と共に去る世紀末救世主が姿を現し、悪を挫き、弱者を救う神話級の拳法で戦うというもの。
今回も例外ではなく。
主砲の砲撃が作り出した砂塵、その中から、世紀末救世主が姿を現す。
「猟兵は病気です!」
戦車軍団の医者達が一斉に注射クロスボウを構える。
「ふんっ!」
世紀末救世主は手近なレパイアの家族を飛び道具として扱い、次々に戦車のキューポラから顔を出して注射クロスボウを構えていた医者に向けて投擲していく。
続々と戦車から落下していく医者達。
飛び道具として使われ、地面にだらりと落下するレパイアの家族をレパイアは無意識的に治療していく。医療型フラスコチャイルドとしての性、製品仕様である。
しかし、一個一個投擲していくだけでは間に合わず、ついに注射器がクロスボウから放たれるが……。
「ふんっ!」
世紀末救世主には通じない。
ならば、と再びの戦車の砲撃。轢き潰すことが目的とはいえ、動きを止めねば轢き潰せないのだ。
流石に戦車の主砲が効かない人間はいまい。
しかし、砂混じりの風で伝わる噂話、伝説ではこう語られている。
曰く――人の限界を超えるまで鍛えた神話級拳法の前には主砲でも豆鉄砲となる、と。
そしてその言葉の通り、世紀末救世主は戦車の砲撃をいともたやすくその拳で払ってみせた。
敵の攻撃が意味をなさないという時、その敵に苦戦する道理はない。
世紀末救世主は拳で自身を守りつつ、レパイアの家族を有効に使い、戦車を駆る医者達を次々と倒していった。
成功
🔵🔵🔴
アーネスト・シートン
…猟兵を病人扱いし、更には誰彼構わずキャタピラで轢き殺す…
このままだと、解放される全ての動物たちにも被害が及びますね。
よって、こいつらを全員退治していかないと、平和はやって来ませんね。
この状況的に、一番有効な手立ては…鳥になって、低空飛行で高速で飛んで戦車に行き、そこで人に戻って、戦車の中に居るオブリビオンにM.S.L.で撃ち抜いていきますよ。
動物たちの明日のために、あなたたちの行動は有害と判断し、排除させていただきますからね。
(……猟兵を病人扱いし、更には誰彼構わずキャタピラで轢き殺す……)
戦車軍団を見下ろす高台に降り立ったのはアーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)だ。
(このままだと、解放される全ての動物たちにも被害が及びますね)
猟兵はいわゆる純粋な人間だけとは限らない。賢い動物を始めとした様々な姿形を取る。おそらく彼らは人間以外の動物たちも「猟兵である」と判定して襲いかかるだろう。
もちろん、今解放が進みつつあるコールドスリープ中の小型哺乳類以外の賢い動物達も例外ではない。
それを動物愛好家であるアーネストが看過できるはずがない。
(よって、こいつらを全員退治していかないと、平和はやって来ませんね)
つまり、それが理由だった。故に、アーネストは戦う。
「この状況的に、一番有効な手立ては……コレですかな」
ユーベルコード、動物変身:虎/燕/大蛇(アニマルシェイプ・タイガー・スワロー・ボア)発動。アーネストは燕に変身し、高台から飛び立つ。
そのまま一気に急降下し、低空を高速で飛び、戦車に接近する。
低空を高速で飛ぶその影に、医者達も慌てて注射クロスボウを向けるが、燕の速さにとても追いつかない。
戦車からも同軸機銃が放たれるが、やはり燕のほうが早い。
「動物たちの明日のために、あなたたちの行動は有害と判断し、排除させていただきますからね」
到達するは戦車のうち一つ。そこで人間に戻って、精密射撃モードのマルチプル・スナイパーライフルでズドン。オブリビオンは倒れる。
周囲の医者達がその医者に高速治療薬を注射クロスボウで打ち込み、回復させるが、幻覚作用がある状態では、到底燕を捉え切れはしない。
むしろ治療薬の投与は医者の疲労を呼び、アーネストの接射回避をより困難とする。
結果、アーネストに攻撃を当てることは誰も出来ず、ただただ無人となった戦車だけが増えていった。
成功
🔵🔵🔴
火土金水・明
「私は魔法使いですから、ここは空からの攻撃ですね。」「相手は大軍、範囲攻撃で上空から仕掛けましょうか。」
魔法の箒に跨って【空中戦】【空中機動】の技能を使用します。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【ホーリーランス】を【範囲攻撃】にして、『緊急医療チーム『ヤミードクターズ』』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避できたら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に繋げる事です。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
戦車軍団を眼下に見据えて高台に立つ女性が一人。自称、”荒廃の魔王”アゼル=イヴリスの落とし子、又は自称、オーヴァーランダー:F.E.A.R.、その名も火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)だ。
「私は魔法使いですから、ここは空からの攻撃ですね」
戦車は強力だがどこまで行っても陸を這う兵器。空中からの敵に弱いのは、文明崩壊前からの決まりである。
明が魔法の箒に乗って高台から飛び立つ。
「猟兵ですね!」
アポカリプスヘルにおいて箒で空を飛んでいるのは流石に猟兵に決まっているかもしれない。
医者達は戦車のキューポラに添えつけられた重機関銃を操り、対空攻撃を敢行する。
が、ただでさえ航空機にもなかなか命中しない重機関銃、まして相手はそれよりさらに小さい箒で空飛ぶ人間、そうそう当たるものではない。
万に一つのラッキーヒットさえ、
「残念、それは残像です」
と、明にはさしたる影響を与えてはくれない。
医者達は「対空砲があれば!」と嘆くが、対空砲弾を近接信管で明の周囲で爆発させたとしても、オーラ防御を身に纏う明には効かなかっただろう。
実質的に空を飛ぶ明に対して戦車達が出来ることなど、何もないに等しかったのである。
「相手は大軍、範囲攻撃で上空から仕掛けましょうか」
そう言いながら、明はユーベルコード、ホーリーランスを発動。空を飛ぶ明の周囲に1220本もの聖なる槍が出現する。
それが一斉に放たれる。
それはまるでミサイルの雨。やはりミサイルに対するように、医者達が重機関銃で迎撃を試みるが、フェイントすら交えた複雑な幾何学模様を描いて飛翔する聖なる槍にはとても命中しない。
戦車に突き刺さった聖なる槍はそこで攻撃を追えない。そのまま装甲を貫通し、まるで装甲などないかのように戦車を食い破っていく。そして最終的に、膨大な光を放って範囲攻撃のごとく、戦車の中の医者達を破壊する。
それが戦車ごとに都合二発ずつ。
「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に繋げる事です」
とは言うが、聖なる槍が突き刺さった戦車はその悉くが戦闘不能に陥っており、明は確実に戦車軍団を無力化せしめたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
猟兵の病気は轢殺しないと治らない、って?
馬鹿げてる。
いかにもアレに力を与えられたのの成れの果て
って感じするよね。
今此処で全部片づけてしまおう。
余計なお世話だよって、ね!
UC「白燐大拡散砲」を詠唱。
この世界へ来て作り直した詠唱は勿論あるけど
これだけの大群を目にして使うなら
裂帛の気合で、これも。
「消えて!無くなれっ!」
どれだけ沢山いようとも、俺のククルカンが
殲滅するし、俺自身でも撃破に向かう。
蟲が大破まで持ち込んでくれたのを優先的に
転職前の武器がそのまま使えるのありがたいね。
蟲笛だと破壊に適さないし。
「お前たちが走る大地なんか何処にもない!消えろ!」
これで全滅に持ち込めたら良い。
本番は次、だしね。
「猟兵の病気は轢殺しないと治らない、って? 馬鹿げてる」
戦車軍団を鋭い眼光で睨みながら言い放つのは葛城・時人(光望護花・f35294)だ。
「いかにもアレに力を与えられたもの成れの果て、って感じするよね」
アレとは勿論ドクター・オロチ、いや、時人の脳裏に浮かぶのはそれによく似た無血宰相トビアスか。
「今此処で全部片づけてしまおう。余計なお世話だよって、ね!」
時人は得物を持って駆け出す。
駆け出しながら詠唱するはユーベルコード、白燐大拡散砲。
――この世界へ来て作り直した詠唱は勿論あるけど、これだけの大群を目にして使うなら
「消えて! 無くなれっ!」
能力者時代からのお馴染みの裂帛と共に、見慣れたアビリティがユーベルコードと化して発動する。
天の川が地上に現出したような白燐蟲の大群が出現し、敵に襲いかかる。
見慣れたアビリティだが、しかし、効果範囲はまるで違った。従来の直線20mに対して、ユーベルコードと化した今、その効果範囲は戦場全体。
戦場にいる全ての戦車に向けて、ククルカンと名付けられた純白の羽毛と翼持つ蛇の姿をした時人の白燐蟲が雪崩のごとく押し寄せていく。
それは戦車を次々と飲み込み、破壊していく。
大破止まりの戦車に向けて他の医者達が治療薬を注射クロスボウで放つが、それより早く時人が戦車に飛び移り、長剣で戦車を操る医者を撃破する。
――転職前の武器がそのまま使えるのありがたいね。蟲笛だと破壊に適さないし
ククルカンが戦車を破壊せしめ、もし大破止まりでも、足を止めたその戦車に時人が飛び移り、操縦をする医者を撃破する。
「お前たちが走る大地なんか何処にもない! 消えろ!」
白燐蟲と時人の鋭い連携が戦車軍団を撃破していった。
戦車軍団全滅まで、あと少し。
「本番は次、だしね」
白燐蟲が戦車軍団を蹂躙しきったのを確認し、時人はそう言って、一度戦線を離れた。
成功
🔵🔵🔴
佐藤・和鏡子
可哀想に、皆さんも大分重症の頭の病気みたいですね……。
皆さんもこの救急車で轢いてさしあげますね。
轢けば病気も治るみたいですから。
大丈夫。轢くのには慣れてますから。すぐ終わりますよ。
私の運転技術と救急車の馬力で救急車そのものを超高速の砲弾にして敵の大量に集まっているところに突っ込んでまとめて吹き飛ばします。
(ボーリングのストライクのようなイメージです)
元々、敵に突っ込んで手当たり次第に轢くのは得意分野ですし、数が多くても皆殺しにするまで轢き続ければ良いだけですから。
(可哀想に、皆さんも大分重症の頭の病気みたいですね……)
そうオブリビオンの医者達を憐れむのは佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)だ。
でも大丈夫、心優しいナースがきっとなんとかしてくれますよ、ほら……。
「皆さんもこの救急車で轢いてさしあげますね」
え。
「轢けば病気も治るみたいですから」
和鏡子は優しい笑顔でそう言い放つ。確かに先方はそう仰っている。ならばそれを実践して差し上げるのも優しさというものか。
目には目を、歯には歯を、轢殺には轢殺を。それは言われてみれば道理かもしれない。
「大丈夫。轢くのには慣れてますから。すぐ終わりますよ」
和鏡子を捕捉し、注射クロスボウを構える医者達に対し、優しきナースは言い放つ。
え、慣れてる? 慣れてるって何ですかね。
アルダワの心優しきナースは他人を轢くのが日常なんです?
つい言葉なきオブリビオンの言葉の言葉を代弁してしまいました。
そんなことをしている間に、和鏡子は年代物のアメリカン救急車に乗り込み、発進する。
戦車対ボロ救急車! あまりに勝負が見えているその戦い!
しかし、ボロ救急車を舐めてはいけない、なにせ、こちら、ユーベルコードなのだ!
「猟兵を治療します!」
「救急車、通過します!」
ユーベルコード、轢殺(ロードキル)。それは和鏡子の運転技術と救急車の馬力で救急車そのものを超高速の砲弾として対象にぶつける大技。その威力は直撃地点の周辺地形を破壊するほどである。
密集陣形を取る戦車に向けて、救急車が衝突する。
結果は、救急車の勝ち! 戦車達はまるでボウリングのピンのように吹き飛んだ。
たった一度の衝突で戦車を全滅させることは叶わない。
だが、和鏡子は怯まない。
「元々、敵に突っ込んで手当たり次第に轢くのは得意分野ですし、数が多くても皆殺しにするまで轢き続ければ良いだけですから」
そう、救急車は止まらない! 次の戦車群に向けて、救急車はより加速する。
縦横無尽に救急車は戦場を駆け抜ける、戦場の戦車と医者オブリビオンが一掃されるその日まで!
轢くのが得意分野なナースって本当になんなの。もしかして轢くのって一般的な療法だったの?
医者達を全滅させられた敵の首魁オブリビオンが背後で密かに首を傾げていた。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『🌗箱舟機関『ARC』』
|
POW : 敵性体研究部会/捕え、研究し、対抗する
無敵の【偽神兵器】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD : 人工兵研究部会/人類救済の為に手段は選ばず
召喚したレベル×1体の【人類救済用人工生命体】に【偽神兵器】を与え、【強力な再生能力】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
WIZ : 生体兵器化部会/我々は箱舟(Ark)足りえない
【生体兵器化の特殊薬】により【強化人間】に変身する。変身の度に自身の【装備する偽神兵器】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
イラスト:柴一子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ナターシャ・フォーサイス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●アポカリプスヘル - どこかの荒野
戦車軍団の殲滅に成功し、ついに敵の首魁オブリビオン、箱舟機関『ARC』を炙り出す事に成功した。
ARCは他よりやや巨大な戦車に機関全員でまとめて搭乗しているようだ。
戦車には相手を敵を轢き潰す履帯、敵を撃ち吹き飛ばす主砲、牽制や対空射撃には充分の同軸機銃に重機関銃が搭載され、そのいずれもが偽神兵器と化しており、それらを使い攻撃してくることが予想される。
そして何より厄介なのはドクター・オロチに与えられた能力、デミウルゴス・セル。
ARCにダメージを与えられるのはストームブレイドを除けば、偽神細胞液を注射した猟兵の攻撃のみ。
しかし、偽神細胞液には死の危険すらある副作用がつきまとう。
また、戦場全域には戦車の残骸が広がっている。さらに、中には動かせるものも残っているように見える。
もしかしたら、何かに活用出来るかもしれない。
●マスターより
箱舟機関『ARC』は三種類のユーベルコードに加え、以下の能力を有しています。
【デミウルゴス・セル】
あらゆる攻撃と状態異常に耐性を持つ。ただし、ストームブレイドや「偽神細胞液(激烈な拒絶反応あり)」を注射した猟兵の攻撃ではダメージを負う。
葛城・時人
こんなのをのさばらせてはいけない
絶対に倒す!
此処で終わらせよう
偽神細胞液…これさえ注射したら攻撃が届くなら
躊躇う事はない
直ぐ袖をあげ叩き込む
血が逆流する、苦痛や循環と共に駆け抜ける
痛みで全身から汗が噴き出し滴る
激痛と恐怖を身に備えた技能の凡てを励起し堪える
遠ざかる意識を、己の意志で掴んで離さない
「俺は、お前らを倒す為に此処に来たんだから!」
真っ直ぐ敵を見据えUCアークヘリオン詠唱
幾度強化しようが絶対に引かない
見える位置と判断したら落ち着いて幾度でも
「創世の光に焼かれて消えろ!」
白羽蟲笛も使用しククルカンを乱舞させる
偽神細胞液を入れた俺が呼び出した蟲なら
攻撃が通る可能性がある
無理でも攪乱を目的に
「こんなのをのさばらせてはいけない。絶対に倒す! 此処で終わらせよう」
そう決意表明し、敵を見返すのは再び戦場に戻ってきた葛城・時人(光望護花・f35294)だ。
そしてその手には偽神細胞液。
(偽神細胞液……これさえ注射したら攻撃が届くなら、躊躇う事はない)
素早く袖をあげ、そのシリンジを腕に叩き込む。
血が逆流する。苦痛が循環と共に駆け抜ける。
痛みで全身から汗が噴き出し滴る。
しかしそれを、その激痛とその恐怖を身に備えた技能の凡てを励起し堪える。
遠ざかる意識を、己の意志で掴んで離さない。そしてそのために叫ぶ。
「俺は、お前らを倒す為に此処に来たんだから!」
覚悟は此処に。
遠ざかる意識を確かに此処に掴まえて、時人はこちらに接近しつつある戦車を見据える。
「始まりの刻印よ、創世の光もて敵を討て!」
空に高く、輝く始まりの刻印が描かれる。
ユーベルコード、アークヘリオン。能力者時代からのアビリティが、ユーベルコードとなって発動する。
始まりの刻印が世界創世の光を放ちながら大爆発を起こし、ARCを戦車ごと吹き飛ばす。
しかし、ARCも怯みはしない。生体兵器化の特殊薬がオブリビオンと化している戦車に突き立てられ、戦車がより巨大化し、砲の数を増やす。
その全ての砲から強烈なる砲撃が放たれる。
だが、時人とて怯みはしない。もはや覚悟は完了しているのだから。
白羽蟲笛を吹き、純白の羽毛と翼持つ蛇の姿を取った白燐蟲、ククルカンを呼び出す。
ククルカンは宿主たる時人の接種した偽神細胞液の影響を受け、やはりその痛みと苦しみを受けつつも、時人のために乱舞する。
戦車の砲弾はその悉くがククルカンの乱舞により防がれる。
「なんどだってやってやる! 創世の光に焼かれて消えろ!」
砲撃しつつ距離を取ろうとするARCにさらに距離を詰めて、逃がさないとばかりに再びユーベルコードを発動する。
何度強化されようと、何度回復されようと、その輝く始まりの刻印は戦車の頭上から離れはしない。
何度だってただひたすらに戦車を破壊するのみ。
偽神細胞液を接種したその時に覚悟は決まっているのだから。
成功
🔵🔵🔴
アーネスト・シートン
またしても、ドクターオロチの配下ですか。
一体、何を考えているのですか?
全ての生命のために、排除させていただきますよ。
またしても、偽神細胞使わなくてはならないとは…
戦車砲の射程距離は不明ですが、こちらがUCで命中力を強化すれば、戦車砲の弾丸を撃ち落とす事が出来るので、強化した状態で徹甲弾(鎧無視攻撃)で戦車ごとオブリビオンを撃っていきます。
「さすがに、弾を撃ち落とすとは思わないでしょうね。隙は、そこですよ」
アドリブ歓迎
(またしても、ドクターオロチの配下ですか。一体、何を考えているのですか?)
戦場に降り立ち、答えの無き問いを投げかけるのはアーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)だ。
「全ての生命のために、排除させていただきますよ」
だが結論は先程の戦いと同じ。彼らを放置すればまた彼らは誰かをだまくらかし、狂気のオブリビオン戦車軍団を創造するだろう。そうなれば再び様々な生命が脅威にさらされる。それを許すアーネストではなかった。
(またしても、偽神細胞使わなくてはならないとは……)
過去に一度、偽神細胞液を摂取したことのあるアーネスト。その痛みは実を以て知っている。それでも、あらゆる動物を、生命を守るためには、その痛みに耐えるしかない。
その痛みを知っているからこそ、その覚悟に一切の嘘はなかっただろう。
アーネストは再び左肩へシリンジを突き立てる。
再び、腕の痺れと激痛がアーネストを襲い、数秒も経たぬうちに、それが全身へと広がっていく。
「ぐっ……。何度経験しても……この痛みに慣れることはなさそうですね……」
歯を食いしばりながら、アーネストは自らのM.S.L.正式名称マルチプル・スナイパーライフルを構える。
敵戦車に新たな砲が生じる。ARCが生み出した無敵の偽神兵器だ。
ズドン、と無敵の偽神兵器、戦車砲がその砲撃を放つ。
無敵である、ということはあらゆる防御手段は困難に思える。だが、
アーネストには秘策があった。
――戦車砲の射程距離は不明ですが、こちらがユーベルコードで命中力を強化すれば、戦車砲の弾丸を撃ち落とす事が出来るはず……
偽神細胞液の副作用で腕が震える、視界が霞む。それでもアーネストは狙撃の体制をやめない。自分の狙撃の腕をそれを支えるユーベルコードを深く信じているからだ。
ズドン、とアーネストの狙撃が放たれる。
その弾丸は鋭く、戦車と砲弾を一直線で結び、砲弾を貫通する。
しかし、相手は無敵の戦車砲。迎撃など不可能に思える。しかし、
「さすがに、弾を撃ち落とすとは思わないでしょうね。隙は、そこですよ」
アーネストの言葉が正しかった。
ARCの構成員は思ってしまった。
――嘘だろ、当てられた、そうなると流石に迎撃されてしまう?
そう、ARCの無敵の戦車砲の欠点、それは、能力に疑問が生じると大幅に弱体化してしまうこと。
戦車砲弾は空中で炸裂し、アーネストの放った弾丸はそのまま伸びていく。その先はARCの乗る巨大戦車。
徹甲弾が”無敵”の偽神兵器を貫通し機能不全に陥らせる。
そのままアーネストの徹甲弾が矢継ぎ早に放たれ、次の砲撃が放たれるより早く、戦車を”無敵”の偽神兵器ごと、蜂の巣へと変えていった。
成功
🔵🔵🔴
納花・ピンチン(サポート)
ブギーモンスターの勇者×殺人鬼
布を被ってから7年が経ちましたわ
普段はお嬢様口調で、時々関西弁がちょこっと
……って、勉強中なんですわ!
あくまでお仕置きをしに来ているから
あまり殺伐とした戦い方はしませんわ
武器も直前で刃を返して叩いたり
その光景はギャグになることが多いですわ
商人街出身、お話しや交渉なんかも好きです
小さなスイーツや飴ちゃんを渡して一緒に食べると
色々話してくれるんですわ
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し
多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功の為でも
公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
ほないっちょ、よろしくおねがいします
村雨・ベル(サポート)
困ったときにどこからともなく現れる便利な助っ人、ベルおねーさん参上でーす
困った時にはご利用くださーい
人質などの保護から探し物までこの溢れる第六感でビビっと解決
呪唱銃に雷属性付与して痺れさせたり
UCを使用して相手の動きを封じる事で皆さんに貢献しますよ
周りの支援メインに徹しますのでそこはそこ
「高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応」
っていう行き当たりばったり頑張りますよ!
あっ……ちょっとやりすぎた時は呪唱銃で記憶を消してから帰りましょう
大丈夫バレナイバレナイ
アリス・セカンドカラー(サポート)
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい♥
ヴィジランテの説明と初期UCを根拠に技能値100以上の技能はUC並に鍛え上げたと主張。
サポートとして狂言回し。あると便利な舞台装置、高い幸運の技能で御都合主義を押し通すデウス・エクス・マーキナー。
己の裡の世界観を瞬間的に切り替える魔術的パラダイムシフト(瞬間思考力)をコンセプトとする混沌魔術(多重詠唱結界術)の使い手。既存の技術を実在フィクション問わず借用(Sampling)し組み合わせ(MIX)自作(DIY)することで白兵戦、魔術戦、諜報戦とマルチに動けます。
依頼の成功を大前提に、あわよくば己の欲望を満たそうとするかも?
えっちなのうみそおいしいです♥
レパイア・グラスボトル
医者には説明義務があることを過去に別の医者から聞いた
また、自身も医者として彼等の診察、判定基準に興味
猟兵が病としてその原因と感染被害による悪影響の確認
ユーベルコードを敵に使用し思考能力を正常化
まともに会話、思考ができるようにする
自身が猟兵である以前に医者であるように彼等もオブリビオンである前に医者であると考える
彼等が病人、怪我人を放置しない医者として行動するのなら何物だろうがどうでもいい
敵対するなら相応に対応するが
こんな世界である以上生い立ちに価値はなく医者はどれだけいても仕事に困らないから
趣味と実益と本能を兼ねた医療技術、生体技術の知識交換には乗り気
周囲に怪我人がいれば治療行為を行う
荒野に降り立つ四人の猟兵。
「ほないっちょ、よろしくおねがいします」
と最初に挨拶するのは納花・ピンチン(ブギーモンスターの勇者・f31878)だ。
「はーい、困ったときにどこからともなく現れる便利な助っ人、ベルおねーさん参上でーす」
とそれに続くのは村雨・ベル(エルフの錬金術士・f03157)。
「ふふ、よろしくね」
と小悪魔の笑顔で彼女たちに笑いかけるのはアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト艶魔少女・f05202)。
「あぁ、よろしくな」
と育ちの悪い挨拶をするのはレパイア・グラスボトル(勝利期限切れアリス・f25718)。
ベル、ピンチン、アリスの三人は意を決して偽神細胞液の入ったシリンジを自らの皮膚に押し当てる。一人だけ布越しの人がいるけど、おそらく問題はないのだろう。
「ぐっ」
三人がその激痛に思わず膝をつく。その隙に。
レパイアは偽神細胞液も摂取せず、一気に敵戦車に向けて駆け出す。
――医者には説明義務があることを過去に別の医者から聞いた。それにワタシ自身も医者として彼等の診察、判定基準に興味がある。
レパイアは自身の思惑を以て、戦車の砲弾を華麗に回避して戦車に飛び移る。
「な、なんだ!」
キューポラから顔を出していたARCの戦車長が慌てて重機関銃を向けるが、もう遅い。
レパイアの医療ノコギリがARCの戦車長に突き刺さる。
本来、デミウルゴスセルを持つARCに攻撃は通じない。しかし、レパイアのそれは攻撃ではなかった。
「……これで、まともに話せるだろ?」
レパイアが話しかける。
――自身が猟兵である以前に医者であるように彼等もオブリビオンである前に医者であるはずだ。
レパイアのその信念に従って放たれる問いかけ。
そう、先程の医療ノコギリによる一撃はレパイアのユーベルコード、ギタギタ血まみれ外科手術。対象を治療するユーベルコードだ。
「な、なんだ、あんた……何をしたんだ? 俺は確か……人類を救済するために……」
困惑するARCの戦車長。
驚くべきことにレパイアのユーベルコードはARCの戦車長の意識を一時的にオブリビオンになる以前のものに戻してみせた。
「猟兵が病だって、言ったな。医者なら説明しろ。その原因と感染被害による悪影響について」
「な、何を言ってるんだ……。猟兵はオブリビオンという病原体に対する抗体みたいなものだろう? 猟兵が病気だなんて、まるで真逆じゃないか」
「なん……だと」
猟兵が病というのはオブリビオンとなったARCが猟兵を疎んじたがゆえに流した偽情報。真実ではなかったのだ。
「おい、何をやってる!」
そこに別のARCの構成員が割り込んでくる。
「お前らこそ、一体何をやってるんだ」
戦車長が言い返す。
「なんだ、こいつ猟兵の病に侵されたのか、こうしてやる」
ARCの構成員が戦車長にシリンジを突き刺す。
「テメェ!」
レパイアが止めに入るが間に合わない。
シリンジの中に入っていたのは、生体兵器化の特殊薬。その薬が戦車長のオブリビオンとしての意識を呼び戻した。
「お、おい、あんた……」
心配するレパイアに戦車長が容赦なく重機関銃を放つ。
「ぐあっ」
レパイアはそれをモロに食らって、戦車から落下する。
「部下たち! 回収なさい!」
アリスの声が響く。
即座にアリス同盟(アリスユニオン)所属の資産家特級社員カンパニーマン達がレパイアを回収する。
その回収先にはいつの間に作られたのか、周囲の戦車の残骸を素材として利用した巨大城塞が。
「あなたが時間を稼いでくれたおかげで、これを作ることが出来たわ」
アリス同盟のカンパニーマンは優秀だ。十分な時間があれば城や街を築く。もちろん、巨大城塞などお手の物。その時間は、レパイアが作ってくれた。
敵戦車の無敵の偽神兵器たる主砲が火を吹くが、城塞に仕掛けられたユーベルコードに匹敵する結界術がそれを防ぐ。
城塞から鹵獲した戦車砲による砲撃が応射される。
それらは偽神細胞液を摂取したカンパニーマンによる砲撃、敵戦車にも有効に作用する。
カンパニーマンは猟兵ではない、多くのカンパニーマンが副作用で死にかけることになったが、そこは自分を治療して復活したレパイアが治療に回ることでカバーする。
「ちょこまかと動くわね、動きを封じたいわ」
「お任せあれ、拘束制御術式三種・二種・一種、発動。「ワイズマン」発動の承認申請、「敵機の完全沈黙まで」の能力使用送信ー「限定使用」受理を確認!」
ベルのユーベルコード、拘束制御術式『賢者の霊鎖』(アンチ・ワイズマン・チェイン)が発動する。
ベルの露出させた素肌に浮かびあがる魔法陣からオリハルコンの霊鎖が放たれ、敵戦車に絡みついていく。
「いいわね! 仕掛けるわよ! 全力射撃!」
動きを止めた敵戦車にカンパニーマンによる戦車砲一斉射撃が放たれる。
敵戦車はボロボロ、後は時間の問題だが……。
「いきますわっ!」
もうひとり、ここには猟兵がいる。
ピンチンは花とリボンでデコレーションされた勇者の剣を構える。するとその刀身が光で輝き始める。
ユーベルコード、ブレイブソード。味方の負傷に応じて威力と攻撃範囲が増大するユーベルコードだ。
ここには負傷したレパイアと、そして多くのカンパニーマンが偽神細胞液の副作用で苦しんでいる。え、それも含んでいいの。いいんです、だってARCがデミウルゴスセルを持ってるから摂取する羽目になったんだもの。
「やりすぎはいけませんわ! ……こんくらい痛かったんやでっ!!」
巨大な光の斬撃が戦車を切断する……、のはあくまで「お仕置き」なピンチンの主義に反するので、剣のフラーの部分で相手を殴る!
ベン!
その一撃のもとに、敵戦車はぺったんこに潰れてしまった。
もちろん、中に乗っていたARCの面々も皆まとめてそのひしゃげた戦車の車体に押しつぶされたことだろう。
ギャグのような死に様だが、冷静に考えると少し怖い。
なんにしても全てはここまで。今ここに猟兵を病と断定する迷惑な医者戦車軍団は倒れたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴