変わりはないじゃない。
捨ててない。捨てたつもりはない。
だからちゃんと供養に出した。
…。
そんなのは関係ないじゃない。
私たちにはそんなのは関係ない。
あなた達が私達を捨てた事は変わらない。
……。
…。
それがどうしたって言うの?
別にそう思う事を否定する気はないわ。
けれど別に…そんな事、でしょう?
貴女も捨てられたくせに? そうね。
けれど、そうだとしても何も変わりはしないわ。
ええ。
私が可愛い事には何も変わりはしないわ!
●
「みんなー、UDC-Pっておぼえてるぅ~? って言うか知らない人ももういるのかなー?」
床に胡坐をかいた酔っ払いが、グラスに入った氷をカラカラさせながら聞いてくる。
「えーっと要はねー、なんかUDC特有の悪意とか破壊の意志が無くなってるUDCって感じかなー? あ、シャーマンズゴーストなんかは昔そう呼ばれてたみたいだから、彼らみたいなのを思い浮かべてくれればいいかもねー」
あの一種、奇妙な愛嬌のある姿形をした仲間を思い浮かべる。
近くに参考になる存在が居ると想像しやすくありがたい。
「今回はそんな前置き通りにー、UDC-Pを確保? 保護? するお仕事でーす。」
ぱちぱちーと小さく手を叩いている。
「今回のUDCは元お人形。大きさはUDC化の時に身長1mくらいになってるねー。姿は一松とか熊とか色々あるけれど、今回UDC-Pなのは髪がピンクツインテールな西洋風なお人形。まぁ君達なら直感でUDC-Pかどうかわかるみたいだし、仲間から逃げてるのが一体だけだからわかりやすいしすぐ見つかる見つかる―」
どこら辺が面白かったのか、もしくは笑い上戸なのかケラケラしている。
「場所はねー、夜の住宅街。UDC達は元はお寺に居たけれど今は外でUDC-Pと追いかけっこ中―。捕まっちゃう前にどうにかして~? つまりはさーちしてですとろーい」
要はまずは見つける必要があって、その後にP以外のUDCを殲滅してしまえと。
「終わったらねー、UDC組織の為に対処マニュアルの作成おねがーい、ね!」
そう言うとグリモア猟兵のグリモアが展開されていく。
みしおりおしみ
時代遅れ!!
戦争なんて関係ない!
UDC-Pだよ! 一つ前の他MSのPシナリオっていつだよ。およそ一年前だよ!
緩めなシナリオのはずでーす。
1章:冒険。とりあえず住宅街を走り回るUDC達を探す感じ。
2章:集団戦。UDC達をデデデデストローイ。
3章:日常。UDC-P対処マニュアルの作成。なんかPってどこかしら難点があるみたいよ?
それではよろしくお願いします。
第1章 冒険
『探索行【夜】』
|
POW : 闇夜を駆け抜けながら、体当たりで探索する。
SPD : 息を潜んで、闇に紛れながら探索する。
WIZ : ネット、噂話等から情報を得ながら、探索を行う。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵は左右が塀に挟まれた道に降り立った。
周囲は既に日が落ち切っており、光源と言えば定期的に並ぶ街灯か、並ぶ家々の窓から零れる光のみ。
歩くのには困りはしないが、夜に入る事を想定されていない細い脇道などはより一層黒く感じられた。
塀は普通の人の背よりも高く見通しが悪い。より一層の閉塞感が感じられた。
まぁ、今回の目標は追って追われているそうだから陰からの不意打ちなどを考える必要はそれ程ないだろう。
とりあえず、この広い住宅街から見つけなければ。
●
街灯と家の窓から漏れる光が照らす住宅街の道。
そこに複数の足音が響いていた。軽い音の駆け足。
一つの足音が先行し、その後ろを幾つもの足音が追うように続いている。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ…」
息が上がる。胸のあたりが痛くなる。
無我夢中で足を動かし続けている内にいつの間にかそうなっている事に気付き、
「あはっ…」
つい、笑みがこぼれた。
追ってきている子達はその事に気付いているのだろうか。
そんな苦しさすら愛おしく感じる感覚だと。望んだものだっていう事に。
「はっ、は、ははっ、はっ…」
とは言え、現実はそんな事を考える余裕なんてほぼない涙目疾走中の人形である。
飾宮・右近
自然に意思が自然発生するとは驚きの話でございますね。
特に警戒することも無く路地を捜索する
途中、追手の人形に出会ったら仲間の振りをして進捗や情報を聞く
またUCを使い、周辺の意思の無い人形(窓際のぬいぐるみや工事現場の安全案内人形など)を操り、自身の耳目の代わりとする
追手が意思の無い人形であればそれも操作の範囲となる
お友達は沢山いらっしゃる世界だと、探し物をするには便利でございますね。
動ける人形は迷惑にならない程度に探索の手伝いをさせる
人形や遭遇した他人との応対はすべて自身の操る黒子人形が行う。
自身は終始意思の無い人形の演技をし続ける。
そちら皆さまはどうやって意思を得られたのでございましょうか。
「自然に意思が自然発生するとは、驚きの話でございますね」
そう、飾宮・右近(主の人形・f23981)は少女型の人形を腕に抱きながら口にした。
自然。UDCにおける超自然的を自然と数えるのであればそうなのかもしれない。
もしくは、神と言う物から距離を置いている者ならば、その御手も恩寵も意志など無く、自然に起きると言う意味に近いのだろうか。
ともかく、人形遣いは夜の路地を歩きだす。
左右に続く微かな人の営みの音。まるでその隙間を縫って歩いているように感じる。
「お友達は沢山いらっしゃる世界だと、探し物をするには便利でございますね」
そう道を歩く人形遣いが視線を向けた先、並ぶ家々のうちの一軒、二階の窓辺に置かれているクマのぬいぐるみがゆっくりとその腕を持ち上げた。
人形遣いは演技染みた所作でぬいぐるみに小さく頭を下げると、ぬいぐるみが腕を向けた方向へと向かいだす。
【主の人形】。
広範囲の意志のない人形を操り、統括するUC。
それでもって人形の耳目を使いUDCの探索に使っていた。
「ふむ…」
副次的な理由も一つ。
「追手の人形も意志のない人形では無いようでございますな」
相手が意思のない人形であれば、このUCは通った。
もしも今回のUDCに意志が無かったのなら、この人形遣いは特攻どころか致命的なほどの存在であり、ただ一人で事足りた事だろう。
とは言えそうではなかった為、人形遣いは地道に使える範囲の人形から情報を仕入れつつ歩みを進めていく。
そうして、
「そちら皆さまはどうやって意思を得られたのでございましょうか」
路地を特に警戒する事も無く進む人形遣いの正面を、だかだか騒がしく横切る集団が通り過ぎた。
その最後尾をぽてぽて短い脚で、遅れて続く熊のぬいぐるみに声を掛けた。
表情が読めないが恐らく警戒している。
首を傾げている。
恐らく猟兵っぽいが猟兵っぽくない事に疑問を持っている。
「くまー…」
これから情報を聞き出すのは無理だ。
クマのぬいぐるみはじりじりと距離を取ると、ぱっと背を向けてまたポテポテ走って行ってしまう。
まぁ見つけたから問題は無い。
大成功
🔵🔵🔵
雪・兼光
●アドリブお任せ
UDC-Pが追いかけっ子か
一般人が巻き込まれたら面倒だ(危ない)からな
何が起きたかは現場に行ってから確認するか
早速ユーベルコードを発動さて、ブラスターをバイクにして騎乗して情報収集しながら、運転開始UDCの達を捜索開始
目視で確認後更に追跡をし続ける
悪路走破を使って通れるところは引き続きユーベルコードのブラスターバイクで走行
無理なら自分の足で進む
情報収集で迂回経路も考えて進むのも忘れずに
直感で解ると言っていてたがあいつか?
とにかくUDC-Pと早く接触しないと危なそうなので慌てないように落ち着きを使って街を走り回るとしよう
…仕事じゃなくても夜のドライブは気持ちいいよなぁ
「UDC-Pが追いかけっ子か」
住宅街に降り立った雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は嘆息しながら呟く。
字面だけなら微笑ましいものだ。けれど現実は、捕まれば間違いなく名前からPが消える事になるだろう。
何より、事が起きている場所が場所。
時間が夜とは言え、ここは住宅街なのだ。
何かの拍子に住民が表に出てくる。偶然この時間、外を歩いていた。
それだけで面倒事が拡大する。
日常との距離があまりに無さすぎる戦場。
「一般人が巻き込まれたら面倒だからな。細かい事は現場に行ってから確認するか」
そう言うと、雪は出来る限り音を絞ったブラスターを変形させたバイクのアクセルを回し走り始めた。
十字を1,2,3と通過しその度にUDCの影が無いか遠くまで確認しつつ探していく。
そうして何番目かの分かれ道で、
「あれか…?」
目を向けた道の先、そこを集団で通り過ぎる幾つもの小さな人影を見つけた。
一般人が、それも子供がこんな夜中に外を走っているとは考えづらいから確定だろう。
雪はバイクを回しそちらへと追跡を開始する。
向こうも道に沿って走っているからバイクで追う事は容易だ。
すぐに再度補足し、目を凝らしてその様子を観察する。
「直感で解ると言っていてたが……まぁあいつか」
人形達の先頭。二番手に差をつけて走っているの。
割と本気のフォームで疾走している奴が件のUDC-Pなのだろう。
あとは、余計なものを排除するだけ。
そこで雪は一旦顔を上げ空を見上げる。
「夜のドライブは気持ちいいよなぁ。仕事じゃなければもっといいが」
大成功
🔵🔵🔵
リア・アストロロジー
ピィィ?(何)
なんだかすごい可愛い自信の波動(?)を感じますね。
正直に言うとUDC-P良くわかりませんけれど、それを知るためにもお人形さん保護をお手伝いしましょう。
●捜索
ドローンを使って、わたし自身もほどほどの低空や屋根の上から捜索。
SNSなんかで怪奇現象系の話題に上がってないかときどき調べながら、目撃情報や痕跡があれば、お寺からのルート候補を絞って捜索範囲を狭めていこうと思います。
……アキクサさまも、捨てると祟ったりUDCになっちゃったりするのでしょうか。(ぬいぐるみモフりながら)
ううん。だいじょうぶ。捨てたりはしないから。でも……。
もし見つけられたら、とりあえずお空に避難してもらいますね。
「ピィィ?」
リア・アストロロジー(M2-Astrology・f35069)は謎な鳴き声を上げ…もとい何か変な電波を受信していた。
「なんだかすごい可愛い自信の波動を感じますね」
なにぃ……本当に受信してた。
額に両手の指をあて、みょんみょんしながら神妙な顔で、
「正直に言うとUDC-P良くわかりませんけれど、それを知るためにもお人形さん保護をお手伝いしましょう」
リアは決め顔でそう言った。
「あー、あれでしょうねー」
リアは捜索に入ると早々に対象を見つけてしまい、どこか肩透かしを食らったような気分になった。
SNSで目撃情報が上がってないか探したり、目撃者とか痕跡とか、お寺からの移動ルートの考察とか、結構色々考えていたのだけど全部無駄になってしまった。
やった事と言えばちょっと自分に掛かる引力を操作して空に浮かび、斜め上からの視点で見渡す。それすればすぐに見つかった。
場所が住宅街であり、家は邪魔ではあるが必ず道と言う広めの切れ間がある。
時間の関係上、動いているのは大体猟兵かUDCのみ。
上からだと動く影が結構目立つ。
諸々の理由である。
「それにしても…UDC化ですか」
すいと平行に宙を移動しながら、リアの口から言葉が漏れる。
「……アキクサさまも、捨てると祟ったりUDCになっちゃったりするのでしょうか」
つい取り出したアキクサぐるみをむいむいモフリながら考える。
「ううん。だいじょうぶ。捨てたりはしないから。でも……」
もしも忘れてしまったら、もしもわたしが居なくなったら、それも捨てた事と同じと思われてしまうのでしょうか?
リアはそれを口に出す事無く、頭を振って考えを振り払う。
そうしている内に、ちょうど逃走ルート上の先の位置に到着した。
とりあえず、人形と一緒に空に避難しようという考えだ。
「よしっ」
少し気合を入れてから地面に降り立つと、向かってくるUDC-Pと目が合った。
「…」
「……」
UDC-Pが驚愕に目を見開いた。
「猟兵!? 四面楚歌!? 八方塞がり! 挟み撃ちに形になったな!? なんで!? 死にたくなーい! 死にたくナーーい!」
UDC-Pは見た目のわりに結構な速さで突っ込んでくると、左…を抜けると思わせて鋭い切り返しで姿勢を低くしながら右を抜けて行ってしまった。
Pとは言えUDCだからね。保護目的とか知らないしね。
「え、あ、あの人形さんっ……あれ、アキクサ様?」
慌てて振り返りUDC-Pを呼び止めようとしたリアは、手の平のモフい感触が無くなっている事に気付いた。
いつの間にかなくなっている。と、自分の掌に視線を下ろしていたら
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
UDC-Pがいつの間にか戻ってきており、リアにアキクサ様ぬいぐるみを押し付けるとまたすごい勢いで走って行ってしまった。
戦闘時ほどの警戒はしていなかったとは言え、いつの間にか盗まれていたらしい。
とりあえずファーストコンタクトは終わり。続くUDCと衝突しない為にリアは再び宙に浮かび上がる。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
琳琅(f41225)と
UDC-Pか。本当に久しぶりにその名前を聞いたわ。今でも発生してたのね。
その辺りの話は、琳琅に軽く話しておきましょ。――ってわけでね。あの子たちは、今も元気かしら?
さて、いつまでも昔話はしてられないわ。
出番よ、あたしの黒鴉たち!
「式神使い」で投げ上げた白紙のトランプカードから黒鴉召喚。
この街の夜を逃げ惑うひとりぼっちの子を、あたしの目となり耳となり探してらっしゃい!
――みっけ。先回りのルートを選んで、駆けてくるUDC-Pのお人形を身体で抱き留める。
よしよし、あたしたちはあなたの味方だからね。
琳琅も声をかけてあげて。酷く怯えてるわ。
明月院・琳琅
村崎ゆかり(f01658)と
「UDC-Pとは何ぞや?」
妾は共に任務にあたっている大分年下だが猟兵としては先輩のゆかりにそう問いかける。
「…ふむふむ…なるほどそのような物がこの世界には存在しているのか」
さて問題のUDC-Pは広範囲探索が得意なゆかりが無事に保護してくれたが、怯えている様子だ。
「案ずるな、妾らは汝を害するつもりは無い、妾も故郷を滅ぼされ今や流浪の身…汝には何か通じるものを感じるな、汝には何の罪も無いというのに一方的に追われる立場となりさぞ恐ろしかったであろう」
そう優しく語りかける。
「UDC-Pか。本当に久しぶりにその名前を聞いたわ。今でも発生してたのね」
グリモア転送後、村崎・ゆかり(|“紫蘭”《パープリッシュ・オーキッド》/黒鴉遣い・f01658)は少し懐かしそうに口にした。
それもそうだ。初期発生からは無論の事、最後の発生からも随分と時間が経っている。
その事を物語る様に、明月院・琳琅(羽衣人の戦巫女・f41225)もUDC-Pをよく知らない世代であった。
「ゆーでぃーしーぴーとは何ぞや?」
「あーその辺りの話は、先に軽く話しておきましょ」
そう言うと、村崎は明月院に簡潔に説明をした。存在として、組織との関係、猟兵との関係。過去に自ら関わった事案。
「――ってわけでね。あの子たちは、今も元気かしら?」
「…ふむふむ。なるほどそのような物がこの世界には存在しているのか」
世界的に見ても特異な存在。異世界においては狂い他のオブリビオンを襲う者や、猟兵に交渉を求める者も存在したが、それらは変わらず破滅の意志を宿している。
「さて、いつまでも昔話はしてられないわ」
村崎は手を叩くと意識を本来の目的へと向ける。
「さぁ、出番よ、あたしの黒鴉たち! この街の夜を逃げ惑うひとりぼっちの子を、あたしの目となり耳となり探してらっしゃい!」
トランプのカードを取り出し、それを宙へと放り投げるとその形を烏の様な鳥の姿へと形を変じていく。
黒鴉達は一度、二人の周囲を巡ると上昇し、周囲へと散っていった。
そして、
「みっけ」
「…早いな?」
黒鴉の目を使って探した時間は一分に満たなかった。
「目立ってたからね。じゃ、先回りする感じで行きましょ」
「うむ、疾くと行こう」
そうして黒鴉で人形達の移動ルートを確認しながら、二人はその先にある曲がり角で隠れて待機した。
そして、軽い重さの駆け足の音が次第に近づいてきた。
タイミングを計る。先の猟兵からUDC-Pは猟兵が纏めて自分達を倒しに来ていると思っていると報告が来ていた。
とりあえず掴まえて落ち着かせなければ事情の説明も出来なさそうだ。
そして、足音が曲がり角のすぐそば。目の前にまで来た。
「掴まえた!」
村崎は角からばっと飛び出し、目の前の小さな影を抱きとめる様に掴まえた。
「ぶはっぷ!? なににゃなににな⁉ 猟兵猟兵猟兵じゃんか捕まった何でそうか人質だな私には人質の価値なんて微塵も無いぞーぬかったなーってダメじゃんそれじゃ私は0秒さよならコース!!」
村崎の腕の中でキャンキャンジタバタ人形がもがいている。
グリモア猟兵が口にしていた特徴とも一致しており、猟兵としてもこの子だろうなーと直感が告げているから間違いはないだろう。
「よしよし、あたしたちはあなたの味方だからねー。
「なんでぇ⁉ はっ、これはまさか甘言! 甘い言葉で惑わせて仲違い狙い獅子身中の虫! けれど残念それも無理ね! だって絶賛私仲間に追われてる身……って来てる来てる来てる来てる逃げて逃げて逃げて! ゴーエスケープ!」
UDC-Pが小さな手でぺしぺし叩いて暴れはじめた。
事実、追って来ていた人形達も接近してきており、猟兵の姿を認めた為戦闘態勢を取り始めていた。
UDC-Pを小脇に抱え、村崎と明月院は苦笑しつつ距離を取る様に走り出す。
「ほら、琳琅も声をかけてあげて。酷く…混乱してるわ」
走りながらUDC-Pに視線を下ろすと、いつの間にかその手にトランプを握っており、「またやったー…」と絞る様に呟きながら身悶えていた。
「ふむ、そうだな。まずは案ずるな、妾らは汝を害するつもりは無い」
UDC-Pはその言葉を聞いて、頭の上に疑問符が二つは浮いていそうな表情をした。
まぁそれはそうだ。UDCと猟兵の関係は大概殺し合いなのだから。
「妾も故郷を滅ぼされ今や流浪の身…。縁者と言う者を失くしてしまった汝には、何か通じるものを感じるな」
疑問符がさらに二つほど増えたような傾げた首の角度と表情をし、一転はっとしたように感嘆符が付いた。
「これはあれね! 油断させて油断させてそこから地獄に付き落とす感情ジェットコースターの前振りね! 悪魔ね! サディスティックね! 恐ろしいわ! でも騙されないわ! あれ、でも騙されなかったらそれってすぐに急降下コース?」
きゃーとUDC-Pが手足をジタバタさせるが、特に固く抱えている訳でもないが腕が緩むような様子も無い。
その子供の様な姿を見て明月院は、少し微笑ましくなって笑ってしまう。
「いや、いや。妾らは汝をUDC-Pとして保護しに来たのだ。汝には何の罪も無いというのに、一方的に一人だけで追われる立場となりさぞ恐ろしかったであろう」
努めて作る必要も無く、明月院は労る様に語り掛ける。
そしてUDC-Pは、ただ困惑したような表情を見せた。
理解できない。信用も出来ない。信頼は難しいものだ。だって目の前に居るのは本来なら殺し合っている存在なのだから。
理由がない。
UDC-Pは少しだけ視線を彷徨わせ、ほんの僅かに震える声で口を開いた。
「つまり………………、私の可愛さに魅了されたって事ね! 目を奪われたのね! だって私って可愛いものね! 百度可愛いって言っても足りない程だものね! いいわその言葉信じてあげるわ!」
理解はできない。信用も出来ていない。
けど、切れるかもしれないと思っても蜘蛛の糸に縋ったっていいだろう。
自分を騙す様に理由を作ったっていいだろう。
その目の端に滲んだ涙は気づかないふりをした方がいいのだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『偽りの自由を手に入れた人形』
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POW : 存在を代価に願うもの
自身が戦闘で瀕死になると【邪神と再契約をし、ボロボロになった自身】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : 略奪をもってしても得られぬもの
技能名「【盗み攻撃】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ : 手に入れたものを捨ててでも手に入れたいもの
【自身の動く体の一部】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【邪神の加護をさらに増した形態】に変化させ、殺傷力を増す。
イラスト:香
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
UDC-Pの確保は完了した。
あとは『それ以外』を殲滅するだけだ。
「再契約「再契約して」とりあえず」エラー」「くまー「不良品」「です」「違う」「私達と違う」べつもの」猟「猟兵」邪魔「なんで」「守るの?「かわらないのに」どうして?
『どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして』
「「「「「「「「「「「「「「「「「なんで!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
悲鳴のような不協和音の共鳴が響いた。
周囲の民家の細やかな喧騒がぴたりと止まる。
構わず、人形達は一瞬でその身の小ささを生かして物陰へと身を潜ませていく。
周囲は民家ばかり。隠れている場所ごと壊すなんてマネはできない。
そう時間を無く、声に反応した住人が顔を出すだろうが、とりあえずこの場所だけだろう。移動すれば問題はない。
が、その間も人形達は不意打ち闇討ちで物陰から狙ってくるだろう。
それもUDC-P狙いで。
その姿形が小さいから、人形だからと侮るなかれ。
それ等もまたUDCである事に変わりはない。変わらず、脅威だ。
村崎・ゆかり
琳琅(f41225)と
琳琅の選択は公園のような開けたところまで転進ね。事項了解。足止めは任せて。
とはいえ、まずは逃げ場所の確保から。
先に見た近在の視覚情報から公園の場所を見つけ、まだいる黒鴉の一羽に二人を先導させる。
あたしは時間を稼ぎながら後退。
木行の「属性攻撃」で霊符を放ち、太い蔦や根っこで道を塞ぐ。これで時間を作れたはず。様子を見て大丈夫そうなら、琳琅とUDC-Pがいる公園へ移動。
公園全体に「破魔」「浄化」「範囲攻撃」「結界術」の浄玻璃紫微宮陣を展開。琳琅たちは一番安全な奥へ。陣の入口は公園の入口に合わせて、UDCたちを誘うようにその奥へ引き込む。
後は、薙刀振るい霊符を放ってただただ討滅。
明月院・琳琅
村崎ゆかり(f01658)と
「妾はUDC-Pを先に公園へと連れていく。」
戦闘はゆかりに任せて妾はサポートに回る。
「ここでは周りの目もある事だ落ち着けないであろう。
公園ならばここより広くて隠れる場所も有る。
迷っていても敵に見つかる可能性が高くなるだけだ。
妾は汝の身が心配だ、共に逃げよう。」
UDC-Pを説得して公園に連れていく。
「ほらこのキノコの家の中なら人目につかぬし敵からも身を隠せるだろう」
公園に着くとUDC-Pに急いで身を隠せそうな遊具に隠れて貰う。
妾もキノコの家の中でゆかりが来るまでUDC-Pの心を落ち着けようとする。
ゆかりが来ると「妾も加勢しようぞ!」
薙刀を手に臨戦態勢になる。
道の左右を照らす光がぱらぱらと増えていく。
人形達の叫びで、既に寝ていたであろう家の住人が起きたのだろう。
「妾はUDC-Pを近くの公園へと連れていく」
その様子を意味を見て明月院・琳琅(羽衣人の戦巫女・f41225)が少し急いたように村崎・ゆかり(|紫蘭《パープリッシュ・オーキッド》/黒鴉遣い・f01658)に耳打ちすると、すぐにUDC-Pを抱き上げ村崎に背を向け走り出した。
「事項了解。足止めは任せて」
UDC-Pのひゃ~~~~~……と言う尾を引くような声を背に村崎は霊符を構えた。
主題は時間稼ぎ。障害物を作り出して人形の足を遅らせ、明月院が楽に向かえる様にする事。
そして、周囲に拡がっていた気配が一斉に動く。
村崎を囲むように動く集団と、明月院を追う集団に分かれ、左右の民家を伝うように気配は動いていく。
淀みがなく、まるで滑る様に屋根の上を飛び伝い、塀を越えていく影が微かに目に入る。人形同士で追いかけっこしていた時とは比べるべくも無い速度。
「あー…これってもしかして…」
少し面倒そうに呟くと、村崎は目を向ける事無く逆手で背後から迫っていた人形を薙刀で貫いた。
僅かに顔を傾けそれを視界の端で確認する。
何か動物を象ったろう人形。
けれど、片目が濁っている。より正確に言うならば、片目が本来の人形としてのただのプラスチックの塊に戻っている。
(代償ね。)
身体の一部の代わりに、自身の力、邪神の加護を増加させている。
村崎を無視してUDC-Pを追おうとしている人形を止めるのなら撃ち落とさなければならないが…、そちらへ視線を向けようとすれば的確に死角を付くように、時に単体で、時に複数で攻撃を仕掛けてくる。
対処できない訳ではない。時に薙刀で断ち切り、時に霊符から生み出した太い木の根で捩り潰す。どちらかと言うならば、仕掛けてきた人形を悉く倒す事が出来ていた。
けれど、人形はその同胞の死骸すら影として使って、暇を与えずに攻撃を仕掛けてくる。
「これはダメね。時間稼ぎしたいのは向こうの方」
そう判断すると頭上から降ってきた人形を切り払うや否や走り出す。
それを追う人形はほぼ捨て身の様相で突撃を仕掛けていった。
●
「ひゃぁぁぁぁぁぁあああぁぁあああバーカバーカバーカっ!なけなしの大切な物なのにどうしてそんなに簡単に捨てるのよ大切にすればいいのに!どうしてどうしてどうして嬉しかったでしょう動けた時!何にも変わらない筈なのに!」
明月院は襲ってくる人形達をどうにか避けながら、耳の痛みに耐えていた。
UDC-Pを抱えて走っているのだが、それがとにかく抱えられながら人形達に喚き立てるから煩かった。
「うーむ、とりあえず危険であるからな? これから公園に向かうからそこで隠れてほしいのだが…」
「ん、それは構わないけれど。………遠回しに静かにって事ね! 構わないわだって私可愛い物ね! 楚々な可愛さってやつね! でもバレない自信は無いわだって私ってとってもかわいいんだもの! カワイイ私のピンク色の髪とかこの白い服とか! 可愛く目立つもの!」
何かとてもドヤ顔だが、とりあえずまーーーーーーー隠れてはくれるらしい。
「ならば…」
明月院は駆け足のまま小さくステップを踏むように跳ぶ。
そのまま腰を捻る様に体ごと回し、片手で半ば辺りを握った薙刀を振り抜き近づいてきていた人形を両断すると、その勢いのまま体は回転し着地する頃には再び正面を向いており、何事も無かったかのように再び走り始めた。
人形達はUDC-Pを盗む事が目的なのか攻勢は少ない…が、それはそれだけ慎重に隙を窺っているという事だ。獲物に圧を掛けミスを誘導する様に。
……それを明月院は流れる様に斬っていた。
狙われているのはUDC-P。片手はそれで塞がっている。
その上で、まるで初めからそういう流れであるような自然さで、走りながら薙刀を振るい退けていった。
(今だけであろうな)
経過だけ見れば順調だが、明月院は心中でそう思った。
(今は被害を抑えようとしているが、ダメと分かれば一斉に来るであろうな)
そうなれば必ず守り切れるとは限らない。
頭上で近くの公園へと先導している黒鴉へちらりと視線をやり、足を動かす。
来るな…と念じながらさらに少し走り続け、そうして頭上の黒鴉が円を描くように飛び、到着したことを示した。
住宅街の狭間に埋もれる様にある小さな公園だった。
広さは軽くしかキャッチボールが出来ない程度。強く投げれば簡単にボールは公園の外に跳んで行ってしまうだろう。
遊具は最低限。だが半球状で穴の開いた遊具があった。
明月院はそこに一目散に駆けていくとUDC-Pを押し込んだ。
「さて、サポートの予定であったのだがなぁ」
目で見えずとも分かる公園の周囲を囲む気配。
楽に待つことはできそうも無い。
●
村崎が駆け付けると、その視線の先には数十体の人形が動かなくなって転がっていた。
自分がここに来るまでにも結構な数を倒していたはずだが、それでもまだどこかから向けられる視線は数があった。
「―――不浄を清め天の高みへと昇らしめん!」
その中に飛び込んでいき一息に言葉を紡ぐ。
それによって公園を浄玻璃紫微宮陣が覆う。
迷宮は公園の規模故ほとんど意味をなさないがそれは些細な問題だ。
敵が向かってくる方向の限定。戦場の簡易化。
横からも背後からも上からも、もう来る事は無い。
ただ単純な正面からの戦闘であれば後れを取る事は無い。
果敢にも入ってきたものを村崎を前に、明月院を後ろに置き、まさかにも抜かれる事の無いように対応する。
断ち割られ、断ち切られ、人形は向かってくる分だけ残骸と化していく。
そうして数十秒、1分と時間が経っても次が来なくなった。
「終わったのであるか?」
「んー…んーん。外ね」
とりあえず凌いだのだろう。
けれどまた来ないとも限らない。
二人は少しだけ緊張を緩めながらも警戒を続けた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
飾宮・右近
どの様に動こうとも人形である事に変わりは無いかと思いますが、聞こえておりますでしょうか?
操り人形の振りを止める
同じ人形として壊すのは気が引けるからな。
今は少し大人しくしてもらおうか。
主の人形の右腕から顕れる鍵が回される
かつて迷宮への侵入者達を拘束する為に創られた人形達を呼び出す
敵人形を極力壊さないように拘束、必要であれば関節部分を復旧可能なレベルで壊す
【動く体の一部】を動けなくし、代償に出来なくすることで敵UCの発動を抑止する
こちらに留まり悪さをする者は当然であるが、行く当てがない者も我の主の工房に来るがよい。悪い様にはせぬよ。
周辺の人が見ていたら黒子人形が大道芸の人形師として観客に挨拶をする
「どの様に動こうとも人形である事に変わりは無いかと思いますが…」
他の猟兵が作り出した結界の近く。光の落されたある家の小さな庭。
黒い髪の人形はそこで背後から声を掛けられた。
「聞こえておりますでしょうか?」
声はどこかワザとらしく作ったように高い。
人形が振り向き視線を向けると、そこに少女人形を抱きかかえた仮面の黒子、飾宮・右近(主の人形・f23981)がいた。
より正確に言うならば…
「同じ人形として壊すのは気が引けるからな。今は少し大人しくしてもらおうか」
声が変わる。少女のように高く、けれど老齢した雰囲気を感じさせる声。
その声の主は黒子に抱えられた少女人形。
黒子の人形遣いではなく、真実本当の人形遣いであるニアライトその人である。
「同じ…………?」
三者三様。全員人形。その状況の中で、人形が不思議そうに言われた言葉を反芻し
「どこが?」
吐き捨てる様に笑う。憎しみや妬み、嘲笑などが入り混じった暗い笑いだった。
笑うや否や、人形は勢いよく民家の方へ飛び出し、その窓へと手を伸ばした。
ニアライトは小さく溜息を付きながら、その右腕から顕れた鍵を回す。
「主に代わり、右腕たるニアライトが命じる…」
鍵を回しきる…その瞬間、窓へ飛んだはずの人形が真下へ圧し潰された。
「っ! ――はっ…⁉」
衝撃で、人形の肺から勢いよく空気が吐き出される。
地面に押し倒されたその背に、また新しい人形が乗っていた。
種類としては、黒子人形と同じ意識を持たない人形。転移門でもってニアライトが呼び出した存在である。
「がっ、ああぁあぁぁ!」
人形の口から絞る様な悲鳴が漏れた。
ただ、代償の対策として人形であれば修復可能な程度に外しただけだったのだが…関節の皮が裂け、そこからまっかな血が溢れていた。
人形は間違いなく見える部分部分にそれらしい箇所があるから人形で間違いない。
UDC化の際に生体に変わったのか、それとも人形と生体部品で混ざり合っているのか。
ニアライトは首を傾ける。果たして復旧作業できるかどうか。
「こちらに留まり悪さをする者は当然であるが、行く当てがない者も我の主の工房に来るがよい。悪い様にはせぬよ」
まぁ後の事は後。制圧は済んだのだから降伏勧告を飛ばす。
「は、はは」
人形はただ笑う。そして動く片腕を地面につけ無理やり起き上がろうとする。
「同胞」
ニアライトがそう口にすると、意思のない人形がその腕へ手を伸ばし、関節を無理やり引き延ばし外す。
「――――――っつっっ」
同時に足の関節も外してしまう。
「さて、」
ニアライトがそう呟き、人形から視線を外し別の人形を探しに行こうとした刹那、硬質な音が響いた。
ニアライトが視線を戻す。その先で、人形が動かなくなったはずの両腕を地面につけ体を持ち上げようとしていた。
その勢いに上に乗っていた意思のない人形が揺れる。
重さでもって人形の背骨…胴体そのものがバキリと砕ける音が響く。
「は…はは、引篭もった猟兵を引きずり出す簡単な方法…」
それは脈絡のない言葉だった。
「猟兵の弱点…」
流れ出た血をただの染料に変えながら続ける。
「人を襲えば、無視できない」
近くで展開されていたはずの結界が、解けていく。
背に乗った重しを放り投げる様に起き上がり、ニアライトへ向けた人形の顔は…ただただ無機質でまるで仮面の様な本当の人形の顔に、生々しい眼球だけがぐるりと動いていた。二度と、その口は動かず言葉を発する事は無い。
語る舌など無い。
そして同時に従属する事も、仲良くする事も、妥協する事も、同舟する事も、理解する事も、無いと。
ニアライトは意識のない人形を呼び出し、決裂の結果を示す。
大成功
🔵🔵🔵
雪・兼光
UDC-Pは確保したならば、次はUDCを殲滅するだけだな?
とはいえ…隠れてしまったか。
ブラスターで撃ち抜くわけにはいかないし
おびき出すか。
盗み攻撃が得意みたいだしな、ならブラスターを疑似餌にしてと。
誘き出して盗みに来た所を第六感のブラスターで零距離射撃で撃ち抜いて、2回攻撃でユーベルコードで殴る蹴るをしよう
悪いな女性のUDCを殴らない騎士道を持ち合わせてねぇんだ
ブラスターを盗まれたら、今度は弓を疑似餌にしてやるか、盗まれる前にブラスターの時と同じように零距離射撃をしてユーベルコードで殴るをするとしよう
ということで、来いよ
何体でもぶっ飛ばして…いや、遊んでやるよ
「UDC-Pは確保したならば、次はUDCを殲滅するだけだな?」
雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は経過を確認しながら呟く。
進行度を言葉で表すなら佳境を過ぎたと言っていいだろう。
とはいえ、だ。
「…隠れてしまったか」
敵だけを撃ち抜けるような便利な能力があればよかったのだが、残念ながらそんなものは無いのでブラスターを乱射する訳にもいかない。
UDC-Pを囮にすれば向こうから来てくれるのだろうが…まぁ心理的にどうかと言う話だ。
なので雪は代替になるかどうかは分からないが代わりの囮を作る事にした。
人形は盗癖、とでも言うべきか奪う事に心を惹かれやすいらしい。
だから、盗みやすくする。
ブラスターのトリガーガードに指を引っ掛ける様にしながら回転させ、時に上に放り上げる。まるで油断しているように。
そしてその効果の程はと言えば…直後に釣果があった。
ブラスターを手から離したタイミングで脇、ブラスターからおそらく最も近い物陰から一直線に人形が素早く飛び出し手を伸ばしてきた。
その勢いを、雪はただ膝を上げ跳んでいる人形の肩に当てるだけで殺しきる。
跳ね返すでも受け流すでもなく、勢いを殺され人形は一瞬空中で静止する。
そして次の瞬間にはその眼前に、再び雪の手に戻ったブラスターの銃口が突きつけられていた。
銃声。
「悪いな女性のUDCを殴らない騎士道を持ち合わせてねぇんだ」
おそらく、人形らにわざと盗めるものを提示すると言うのは猫の前でおもちゃを振っている様な物なのだろう。つい目で追ってしまう。つい手を出してしまう。
本能の様な、存在の根。もしくは、コンプレックスに突き動かされる。
だから、既に罠だと分かっても狙わずにはいられない。
「来いよ。何体でもぶっ飛ばして…いや、遊んでやるよ」
細やかに、小さく、静かに、明確な意識が雪のブラスターに向けられている事が感覚でわかる。
止め、流し、殺し、避け、跳ね上げ、叩き付け。
体術でもって相手を倒すよりも動きを止めさせ、一発の銃弾で確実に致命傷を決める。
周囲に軽くガラクタの山が出来る頃、人形の襲撃が収まった。
「こんなもんか…」
釣れた獲物はすべて倒したのだろう。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『UDC-P対処マニュアル』
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POW : UDC-Pの危険な難点に体力や気合、ユーベルコードで耐えながら対処法のヒントを探す
SPD : 超高速演算や鋭い観察眼によって、UDC-Pへの特性を導き出す
WIZ : UDC-Pと出来得る限りのコミュニケーションを図り、情報を集積する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
UDC見えなくなってからも暫くの時間を置いたが新たな人形は現れる事は無かった。
UDC-Pの保護は、完了した。
その後、猟兵達は騒動に気付き近くまで来ていたと言うUDC職員達に発見され、すぐにUDC組織との合流が出来た。
組織の施設にまで移動する間に人形に、UDC-Pとは何なのかや現状の立場について説明したが、その反応は…
「はぇーーーーー、ゆーでぃしーぴー。そんな存在が…。え、それが私? はえー………はっ、だから私ここに居るのか!」
そんな反応だった。猟兵とUDCが一緒に居れる理由は理解できたらしい。
とは言え、実感も何もないのだから建前として受け入れただけかもしれないが。
ともかく、次で最後の仕事だ。
『UDC-P対処マニュアル』。
UDC-Pとは言えUDCはUDC。
何かしら人と関わる上での難点を持っているかもしれない。
場合によっては意図せずとも人を傷つけてしまう様な難点がある事も…。
とりあえず交流しつつ見つけるか、先の初邂逅時に気付いた事、何かしら思いついた特徴を調べるかしよう。
まぁ職員達だってUDCオブジェクトの管理とかで慣れているのだから、必ず見つけなければと気負う必要も無い。
気楽にいこう。
●―――●
さて最終章です。
マニュアル作成。
先のリプレイ内から気になった部分を書いてみたり、人形のUCから難点を言ってみたり。
前述にもある通り交流やお話しするだけでも問題はありません。
飾宮・右近
ニアライトが人形に話しかける
貴様等の同型の造りで気になったのだが、元は普通の人形であったのは確かであるか?
そういった人形がある事は知っているがこの世界では相当なレアケースと認識
UDC-P化で変異したのか。それとも、他から調達したのか。
変異したのなら、それは人形としては直せないので気をつけるように告げる
調達したのなら、調達方法次第で他者に被害が出る事が想像できるのでマニュアル記載内容として挙げる
どちらにしろ
貴様は既に人形ではなく只の生き物だ。
故に我が声を掛けるのはここまであるかな。
再び、只の操り人形の演技に戻り、黒子の腕の中に
では、名も知らぬお嬢様。
操る者も、抱える者もいないこの先の生を存分に。
UDC-P、猟兵共に職員の車両に揺られ辿り着いたUDC組織支部、その一室。
白一色の部屋……なんて事は無く、物を極力減らした事務室と言った印象の部屋だった。
その中でUDC-Pは、椅子に座りながら小さく口を開けてきょろきょろと周囲を見渡していた。
「さて…貴様等の同型の造りで気になったのだが、元は普通の人形であったのは確かであるか?」
「はぇーー………へっ?」
UDC-Pとテーブルを挟んで立つニアライト(主の人形・f23981)のその言葉は、質問と言うよりも確認に近い声色だった。
あの時、関節を壊した人形…表だけ見れば、人に近い素材ではあったがその関節は人形らしい球体関節であった。
けれど、壊した時の…伸びる筋繊維と溢れ出した血。
そういった種類の人形の存在をニアライトは知ってはいた。大概別の世界の物ではあるが。
このUDCアースにおいてその存在は相当なレアケースだろう。
それこそ邪教がらみの。
「うん、元は普通の人形…………ん? 私は人形なんだから今を異常って言うのはちょっとおかしい? 昔が普通? 今はおかしい? うーんどっちも可愛いからいっか! それでまぁ昔は動けない人形だったよ。多分どこにでもある…体も今みたいな柔らかい感じじゃなかったし、大きくも無かったよ」
UDC-Pがコロコロと表情を変えながら、自分の腕をペタペタ触りながら口にする。
「では、そうなっていたのは初めからか? それとも動けるようになってから“調達”したのか?」
調達。人の血と肉を後から手に入れたと言うのならそういう意味だ。
そうならば、このUDC-Pは破滅の意志が無く、猟兵を絶対の敵と認識しないが、生きる為に犠牲を必要とする類の存在だ。
この存在は…
「んーんー、気付いた時にはこの体だったよ」
初めからの方であった。
「そうか、ならその体は人形としては直せないのだから気をつけるのだな」
「え……うわホントだ外れない! え、なにじゃあ壊れたらどうやって取り換えるの? それとも壊れたまんま!?」
ニアライトが半ば興味を失せさせた様子で忠告すると、UDC-Pは自分の腕を引っ張りながらどこか楽し気に騒ぎ始めた。
控えていた職員が小声でしてきた「構造として、人形とは別物か」と言う問いに、ニアライトは特に顔を向ける事無く短く答えを返すと、面談を切り上げる事にした。
「貴様は既に人形ではなく只の生き物だ。故に我が声を掛けるのはここまであるかな」
人に限りなく近い何か、人形のような何か。
それに対して告げられた、意思を持たぬ人形を統括する為の人形遣い…その人形からの言葉は祝福なのだろうか。
今は理解できない人形でない存在が首を傾げ見つめる前で、黒子人形が腰をかがめて少女人形を抱きかかえる。
そして、次に聞こえた声は、わざとらしく高くした、お道化た様な男性の声だった。
「では、名も知らぬお嬢様。操る者も、抱える者もいないこの先の生を存分に」
「ん? んーーよくわからないけどありがとう!」
ここに、人形劇は閉幕した。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
琳琅(f41225)と
やっと落ち着いてお話出来るわね。
あたしは村崎ゆかり。あなたのお名前は? 供養に出される前に持ち主に呼ばれてた名前はないのかな?
とりあえず、邪神とは縁を切ってほしいな。
まだ契約残ってるなら破棄して、再契約も無し。それから盗み癖も無しね。
追いかけっこで疲れたでしょ。怪我してない? そういうものは、この形代へ移しちゃいましょう。
せっかく『生命』を得たんだし、UDC組織のお手伝いとかして、処理されることのないようにいい関係を築くといいよ。あなたに代わりはないじゃない。
琳琅も色々言いたいことあるだろうから、ゆっくり話し込むといいよ。
何かあれば、この電話番号へ。すぐ駆けつけるから。
明月院・琳琅
村崎ゆかり(f01658)と
苦境を乗り越えた所で妾は料理を作ることにする。
「汝には幸せになって欲しい、どうか妾達の事を信じて欲しい。」
長年生きて来た上に放浪生活をして来た為、即興で料理を作る事は容易い事だ。
水餃子に、胡麻団子、桃饅頭…といった点心から、シンプルな野菜炒め、スープに、東坡肉…
「妾の故郷の料理だ。どうかの?口に合うと良いのだが…」
さて、UDC-Pの心に届けば良いのだが…
「そういえば、汝は箸は使った事はあるか?」
考えてみればUDC-Pは元は人形だ、食事をした経験自体有るのだろうか?
箸が使えなければ、折角の料理も味わえないと妾は箸の使い方を教える事にする。
「やっと落ち着いてお話出来るわね」
村崎・ゆかり(|紫蘭《パープリッシュ・オーキッド》/黒鴉遣い・f01658)が人形の正面の椅子に座りながら話しかけた。
「あたしは村崎ゆかり。あなたのお名前は? 供養に出される前に持ち主に呼ばれてた名前とかはないのかな?」
「ん、名前? ……あーそっか、あなた達は知らないのね。呼ばれる経験しかないから教えないと分からないっていうのが分からなかったわ」
人形が一瞬不思議そうな顔をしてから、すぐに納得したように頷いた。
「私の名前はフレン。あの子が初めて覚えた英語、お友達のフレンドのフレン。とっても可愛いでしょう!」
そう誇らしげに小さな胸を張って名乗った。
その姿はそれだけで、自分の名前への愛着、それを付けてくれた人への感謝が伝わる。
「フレンって言うのね。それじゃフレン、追いかけっこで疲れたでしょ。怪我してない? そういうものは、この形代へ移しちゃいましょう」
そう言って、村崎は撫物の法が施された紙人形の形代を机の上に出した。
フレンは小さな手でそれを手に取ると、うーんと唸る。
「大変だったけど壊れたところは無いねー。あの時はもうホンットに胸が痛くなったけどもう痛くはないわ。あれが疲れるっていうやつなんだろうね!」
フレンにとってはもしかしたらあれも楽しい記憶なのかと思う様な、そんな笑顔だった。
怪我が無いのは幸いだが、体力についてはやはり人外の部分なのかもしれない。
「それでねー…とりあえず、邪神とは縁を切ってほしいな。まだ契約残ってるなら破棄して、再契約も無し。それから盗み癖も無しね」
それじゃあと、懸念点を上げていった村崎のその言葉には少々困ったような表情を見せた。
「再契約とか言うのは勧んでする気はないけどー、切るも破棄も無しもそう簡単に出来たら困ったりしないんだよねー。よくわからないし」
困った様子のフレンを眺めながら、その手元の形代に視線をやるが特に変化はない。
まぁ契約=動ける事、と言う事なのだろう。
契約が無ければ動く事も無い。どちらかが無ければもう片方も無くなる。
UDC-Pでなければそれに破滅の意志やら何やら付随するが…なにより神様から勧んで賜るのは呪いで無く祝福だ。
とは言え、どうしようもない部分を知る事もマニュアル制作には必要な事。
隅に居る職員が黙々と記録していっている。
そんな様子を見て、村崎は釘を刺すつもりで言う。
「せっかく『生命』を得たんだし、UDC組織のお手伝いとかして、処理されることのないようにいい関係を築くといいよ。あなたに代わりはないじゃない」
処理と言う言葉を聞いて、フレンは顔を青くし、職員は驚いたようにぶんぶんと首を横に振りまくった。
本人としては冗談だった為、あははと笑うと席を立つ。
「それじゃ、もうそろそろ琳琅もくるかな。彼女も色々言いたいことあるだろうから、ゆっくり話し込むといいよ。何かあればこの電話番号へ。すぐ駆けつけるから」
そう言って番号を紙を置いて部屋を後にした。
最後に職員が申し訳なさそうに指で小さくバツを作っているのが見えた。
現状、通信装置を持たせる予定は無いという事だろう。
●
明月院・琳琅(羽衣人の戦巫女・f41225)は料理を振舞おうと考えていた。
事前に職員にそれを伝えた所、とりあえずフレンの内部構造を外部から、X線などで簡単に調べたところ、よくわからないという事が分かった。
曰く、人っぽいが人とは違う。
とは言え、食べられるかどうかは調べる必要がある為許可が出された。
無論、異常が起きた場合に食べた物を取り出せる職員を待機させてだが。
明月院は施設の厨房を貸して貰えたため、そこで年の功と放浪生活の経験を活かし、即興ではあるが様々な料理を作り出した。
水餃子に、胡麻団子、桃饅頭。シンプルな野菜炒め、スープに、東坡肉…等々。
「汝には幸せになって欲しい、どうか妾達の事を信じて欲しい。」
そう言った料理を机に並べながら明月院はそう口にする。
対してフレンはなぜか得意顔で、親指と人差し指で作った丸を両手で二つ作っていた。
心配し過ぎだぜとかだろうか。
「んー、と言うかこれは? おままごとするの?」
これは人形の認識としては当然なのだろう。物を出される、食べ物を差し出されるのはおままごとの遊びとしてしか経験がない。食べる、と言う事をしてこなかったのだから。
明月院はどうしたものかと少しだけ考え、とりあえず自分が一口食べて見せる事にした。
フレンの視線が明月院の持つ箸に注がれ、箸が摘まんだ料理に移動し、運ばれる口元まで追っていった。
動作は理解しても意味は理解できていない。
「ほら、おままごとのマネっこでなく、本当の食事をしてみるぞよ」
そう言って、料理の一つを箸で取り差し出す。
フレンは目を丸くし、ぱちぱちと瞬かせた後、そっと口を開いた。
「妾の故郷の料理だ。どうかの? 口に合うと良いのだが…」
明月院が笑みながらその口へと箸を向かわせる。
フレンが料理を食み、咀嚼すると動きが停止した。
「…」
「…」
少し待っても動きを止めたまま微動だにせず、明月院が職員と共に心配し始めた頃、ようやく小さく口を開き呟いた。
「何…これは。口の…口の中に何か広がって? ぶわっと? なにかー、なんだろ―?」
何かどこかふわふわしているが、生まれて初めての味と言う物に圧倒されているだけで体調が悪くなったなどではないようだ。
「フレン」
そう呼んでやると、はっとした表情をして顔を見返してきた。
「他の料理も食べるといいぞ。そういえば、汝は箸は使えるか? 使えなければ妾が教えてやろうぞ」
明月院が椅子をフレンの隣りへ持って行って座り、お箸の持ち方を教え始める。
隣で不格好にお箸の持ち方を真似る少女を見て思う。
フォークやスプーン、味を知る事を優先するのならそれを使った方が早いだろう。
けれど、
「わからない!」
「ほら、こうぞよ」
こうやって交流してもいいだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雪・兼光
さぁ、最後だ。
一緒に片付けてしまおう
コミュ力と情報収集を利用
録音機材を起動させて
?…ああ、これは、インタビューログと共にあなたに関する実験です
録音機材にあなたの声が残るかどうかってのも
じゃぁ、始めよう
(筆記をしながら)
はじめまして、UDC-P、自己紹介をしてもらっても良いですか?アナタ自身を詳しく教えて貰えると嬉しいのですが…
そうだな…。
・自分(UDC-P)の名前
・追いかけっこを始める前に何をしていたか?なぜ、追いかけっこに発展したのか?
・邪神と再契約をするユーベルコードをもってるが、邪神もこの状況を把握しているのか、君の保護方法にも関わる
・もしかして盗癖ある?
そんなところかな…。
「さぁ、最後だ。一緒に片付けてしまおう」
「は、はい!」
椅子に座って机を挟んで対面。
録音機材を用意。
メモ記録用のノート。
とても妥当かつ、おかしい部分の無いインタビューの用意に支部職員の記録係はそっと安心したように息を吐いた。
「?」
雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は知らないがちゃんとした聞き取りする猟兵は少ないのだ。それが悪いと言う訳ではないが、事務的手順を厳格とする人にとっては安心感がある。
とは言え、そんな話は閑話だ。
雪がそんな職員の様子に一瞬気を取られた間に、
「なにこれ。機械」
手元にあったはずのボイスレコーダーを、いつの間にか手にしながら眺めている人形が居た。
「…………ああ、これは、インタビューログと共にあなたに関する実験です。録音機材にあなたの声が残るかどうかってのも」
「はぇー」
手を差し出せば、分かっているような分かっていないような返事でぽんとボイスレコーダーを返されながら記録用の丁寧口調でそう説明する。
目を離したのはほんの一瞬、手を伸ばされたような気配も雪は感じなかった。
これは例のあれであろう。
「じゃぁ、始めます…。始めますがとりあえず最初に聞きますが、もしかして盗癖ある?」
ぶっちゃけて聞いてみた。先程のもそれだろう。
「えぇ~~っとー……はい」
人形は明らかに目を逸らしながらも頷いた。自覚はあるようだ。
悪意や隠そうとする気は無いようだが注意、とメモ。
「それでは、あらためて。はじめまして、UDC-P。自己紹介をしてもらっても良いですか? アナタ自身を詳しく教えて貰えると嬉しいのですが…」
「はーい、私はフレン。お友達、フレンドのフレンよ。可愛い私の可愛い名前でしょう!」
さっきまでの後ろめたそうな様子はどこへやら、どこまでも得意げに胸を張っている。
「フレン…、なるほど。では、追いかけっこを始める前に何をしていました? そしてなぜ、追いかけっこに発展したのですか?」
「え? んーそれって私にもよくわからないのよね。始める前と言うか、動けるようになる前は動けない時だし。追いかけっこは動けるようになってすぐだからねー。私はね、捨てられた事なんてそんな大した事じゃないって言ったのよ。だって私達が私達な事には何の変わりも無いのだもの。大切にされた事も可愛いと言われた事にも変わりはないってね。うーん、そんな変なこと言ったかしら」
Pであるかないか、その差異を表すのに有用なインタビュー記録かもしれない。
自覚がないケースだからかより明確に表れている。
「次ですが、邪神と再契約をするユーベルコードをもってるが、邪神もこの状況を把握しているのか。これは君の保護方法にも関わる」
「んー……時々毒電波的感覚がじびびびと来るけれどどうなんだろ? そもそもカミサマってなんだ…邪神とはいったい」
フレンが人差し指を伸ばした両手を頭の両脇に沿えながら体を揺らす。色々と本人にもわからない領域らしい。
とは言え、早急に神秘を遮断する防壁か部屋の用意が必要そうだ。
本人の様子がそれほど危機的でもないので、干渉能力自体が極端に減少してるようではあるが。
「んー、そんなところかな…」
さらに二三質問した後、少し考え雪がそう言った。
まぁ危険はないが自由行動はさせない方がいい類だろうか。
職員と所見を交わし合い、同じ意見であると認識し合うと保護の方向性が決まった。
大成功
🔵🔵🔵
リア・アストロロジー
お人形さんはとんでもないモノをぬすんでいきました……わたしの、時間です。(自分がぼーっとしてただけ)
と、ともあれ無事で何よりでした。
ええとでも、その、盗んじゃうのはやめられ……やめられそうにないのかな?(ぼーっとしてる間に略)
(職員さんに)
盗んじゃうみたいです……セーフ? それくらいなら大丈夫?
よ、良かったですね……。
でも、おっかない世界だと、悲しいことをされて悲しいことになってしまうので……やりすぎないよう、ここでも気を付けましょうね。
もしも食べたりも出来るなら、キャンディをあげてみます。
ええと、これはピィィに認定されたお祝い? です。
でもひとの生きてる社会では、欲しいものは働いたりお金と交換なので……お人形さんにはお給料は出るのかな? 盗まれてあげる係の方がお安い? でもそれだとついまた困ったことしちゃうかもしれないし……(悩)
(と、リアなりの人生経験の中でアドバイス出来そうなことを拙くも伝えようとしてみます)
あとは……可愛いってたくさん言ってあげると喜びそうですね。
KAWAII!!
「お人形さんはとんでもないモノをぬすんでいきました……わたしの、時間です」
「……。」「……。」
殺風景な部屋が、何かもっと空寒しい雰囲気に包まれたような気がした。
端的に言えば受けなかったらしい。本人としては本当の事なのだが…。
呟いた椅子に座っている小柄な少女を挟んで、出会って数十分の人形と職員さんがどうにかアイコンタクトだけで意思疎通を図れるほどにその場の雰囲気は統一されていた。
曰く、「この子大丈夫ですか…?」「大丈夫なはずです…」とかなんかそんなニュアンス。
職員さんなんて少しオドオドしながら心配げだ。
「と、ともあれ無事で何よりでした。。ええとでも、その、盗んじゃうのはやめられ……やめられそうにないのかな?」
「あ、えっと…はい。その、さっきは盗んじゃってごめんなさい…」
ともあれ、リア・アストロロジー(M2-Astrology・f35069)は少し顔を引き締めしゃんとした雰囲気でそう問いかけると、人形は少し視線を彷徨わせ、そして恥ずかしい部分を知られたかのように顔を少し俯かせながらそう謝った。
おそらく初邂逅時の人形の事だろう。すぐ返しはしたが、盗んでしまったこと自体が後悔なのだろう。言ってしまえば、それほどやらないようにしようとしていながら、無意識でやってしまっていたという事だ。
生きてきての癖であれば矯正のしようもあるが、生まれる前からの本能であればどうしようもない。
リアは椅子から降り、トコトコと歩き職員の前に立つ。
「盗んじゃうみたいです……セーフ? それくらいなら大丈夫? よ、良かったですね……。でも、おっかない世界だと、悲しいことをされて悲しいことになってしまうので……やりすぎないよう、ここでも気を付けましょうね」
一連なり。職員の口を挟ませなかった。ゴーイングマイウェイ。一人会話。
よくよく見ればリアの目はまだちょっとぐるぐるしていた。
この子まだちょっとボーっとから抜け出せてないな?
職員さんは職員さんで指で小さく×を作りながらアワアワふるふる首を振っている。
盗み、ダメ、危ない。
確かに観察する限り精神面は善性ではあるが、もし鍵などを盗まれて好奇心で散歩されるのは危険だ。UDC-Pにも、組織にも。
何故ならこの場所はUDCの施設。どれほど表面が平穏で静かな場所に見えようと、その仕事は魑魅魍魎のオブジェクトを確保し収容してある場所なのだ。
出歩かれ、何らかのオブジェクトと反応し合ってしまえばどのような化学反応が起こるかは未知数だ。クロステストダメ絶対。
リアは少し間をおいてから職員の前を離れると再び椅子に座る。
「えぇっと…」
鞄にごそごそと手を入れ探ると、ちいさな包み紙に包まれた飴玉を取り出した。
「これはピィィ…(だっけ?)に認定されたお祝い? です」
人形は両手でそれを受け取った。
「ひとの生きてる社会では、欲しいものは働いたりお金と交換なので……お人形さんにはお給料は出るのかな? 盗まれてあげる係の方がお安い? でもそれだとついまた困ったことしちゃうかもしれないし……」
保護対象か、それとも友人として付き合っていくのか。そういった話。
人形は施設内でしか生活する事が叶わないが、その二つの対応でどれほど人形の感じるストレスに差があるかで付き合い方が変わるだろう。
まぁリアが想像する困った事の基準が、リアの故郷であるアポカリプスヘルのヒャッハーな勢いのある荒れ荒れな事態なのだから、随分とUDCアースとは乖離しているのだが…。
「あとは……」
リアが小さく首を傾げ、そして思いついたように言った。
「可愛いってたくさん言ってあげると喜びそうですね。………KAWAII!!」
そう笑って言うと、人形が顔を上げ、瞳を顔を輝かせて笑った。
「ええ! 私って可愛いでしょう!」
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元の持ち主を恨んでいないのですか?
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あの子は可愛い物が好きな女の子から、綺麗な物が好きな女性に変わっただけ。
あの子は私を可愛いと言った。可愛いと抱き締めた。可愛いと愛してくれた。
それは変わりはしないわ。
ええ、私が可愛い事にはね!
大成功
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