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さよならメインクーン

#UDCアース

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#UDCアース


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 郊外の駅前通りは、22時には一日の活動を終え眠りにつく。
 すっかり寝静まった街に、遅番のアルバイトを終え帰路につく一人の女性がいた。
「今日の夕飯はコンビニで済ませちゃおうかなぁ……」
 そんなことを考えながら、曲がり角を曲がると。
 道の真ん中に、一塊の触手がいた。
 街灯の明かりを受けぬらぬらと光るその姿は、常人が知りうるどの生物より悍ましく、他の何にも喩え様のない狂気の塊。
「な、何……何なの!?」
 その声に反応するように、ゆるゆると女性に近づく触手生物。
「嫌……来ないで……来ないで……!」
 逃げようにも、足がすくんで動けない。
 女性の目の前で塊をはらりと解し、自由になった触手を差し伸べる。
 伸びる触手に頬を撫でられ死を覚悟した瞬間、彼女の胸にふと懐かしい感覚が沸き上がった。
「ララちゃん、なの……?」
 ララちゃん。彼女が勤める猫カフェに半年前まで在籍していた、ふわふわ長毛のおばあさん猫。
 彼女に一番懐いてくれたのに、ちょうど彼女が非番の日に息を引き取った、ララちゃん。
「あぁ、ララちゃんだったんだ。また、会えたね」
 最期を看取れなくてごめんね。姿は違っても、ララちゃんだって分かるよ。
 涙を流しながら、触手を抱きしめる。
 その後ろから別の異形が迫っていることに、彼女は最期まで気付くことはなかった。


「こうしてララちゃんと女の子は、天国でいつまでも幸せに暮らしましたとさ」
 まるで物語を語るように予知の内容を話していたクロード・キノフロニカ(物語嗜好症・f09789)は、突如怒りを露わにしてグリモアを床に叩きつけた。
「は? 何それ。全っ然美しくないよね。ただ死者を騙って無辜の民を殺しただけじゃないか。そんな物語、僕は絶対に認めないよ? ……っと、失礼」
 気を取り直して、クロードは改めて今回の事件の概要を解説し始めた。
「現場はUDCアースの市街地。ほとんど人通りのない時間帯だから、周りのことは気にかけず戦闘に専念してしまって構わないよ。ただ、今回の敵の特性は少々厄介でね……」
 予知の内容を反芻するように、クロードが続ける。
「一瞬でもその触手に触れた者は、このUDCに『一番愛おしい、可愛らしい動物』の姿を垣間見てしまうらしい」
 自らの姿を大切なペットや可愛らしい動物と錯覚させ、抵抗する気を奪い捕らえる。そういう手口だという。
「幸い、戦闘力はさほど高くないようだから、幻惑にさえ打ち勝てれば倒すのはそうそう難しくはないはずだよ。だから、気を確かに持って、ね?」
 一度でも抵抗に成功すれば、幻惑にとらわれずに倒しきることができるだろう。
「たとえ大切なペットや可愛らしい動物に見えてしまっても、正体は気持ち悪い触手だよ。つらい戦いになるかもしれないけど、ちゃんと倒してきてね?」
 君達なら、この悲劇を覆せるはずだからと。
 力強く頷いて、クロードは猟兵達を送り出した。


椿初兎
 椿初兎です。
 誰が何と言おうとこれはもふもふ依頼ですもふもふ。

●第一章について
 目の前の敵を「愛おしいペット、または一番可愛らしいと思う生き物」と誤認する幻覚を見せられた状態からのスタートとなります。
 戦闘自体は一撃入れれば倒せるくらいの難易度に設定していますので、心情や幻覚への抵抗の仕方などをメインにプレイングをお書きいただければと思います。
 どんなモノに見えているのか? どんなふうに抵抗するのか? あなたらしさを存分に活かしたプレイングをお待ちしております。

●第二章について
 第一章と同じく、心情>戦闘になると思われます。

●第三章について
 本物のもふもふと触れ合える日常パートをご用意していますので、気晴らしにぜひどうぞ。
 お呼びいただければクロードも同行いたします。

 よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『パープルテンタクルズ』

POW   :    押し寄せる狂気の触手
【触手群】が命中した対象に対し、高威力高命中の【太い触手による刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    束縛する恍惚の触手
【身体部位に絡みつく触手】【脱力をもたらす触手】【恍惚を与える触手】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    増殖する触手の嬰児
レベル×5体の、小型の戦闘用【触手塊】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

八重森・晃
懐かしい幻を見る、あれはまだ家族と暮らしていた頃の記憶、カンカンと音がする、洗濯物を干しに庭に出た時の記憶、季節は春、雪は解けて花の咲きだすころ、カンカンと音がする、物干し竿に止まった小鳥たち、夢を見る意識とは別に、体は予め決めたタスクを機械めいて行う、ぴよぴよと愛らしい声に思わず心が綻んだ、当たり前に続くと思っていた幸せな時間、陽だまりの日々、不安はあった、火打ち石は火種を生む、でもそれは遠くだと思っていた、ずっと、そう思っていたかった、火は育ち、生き物のように旋回する、焼け落ちろ、あの日のように、美しい記憶よ、焼け落ちろ≪属性攻撃≫≪全力魔法≫を使用。記憶は美しいまま、そこにあれ。



●八重森・晃(塩の魔術師・f10929)の追想
 カンカンと、音が聞こえる。

 暖かな風が、ふわりと頬を撫でる。
 物干し竿には、ふわふわ可愛らしい先客。
 洗い晒しの真白いシーツを広げながら、晃はその小鳥に微笑みかけた。
 うららかな日差し、どこからか漂う花の香りに、もう季節は春なのだなぁとしみじみ思う。
 いつもと変わらない、穏やかな日々。
 この世界は物騒な噂が絶えないけれど、きっとそれは対岸の火事。
 軒先から呼び掛ける家族に返事を返すと、物干し竿の小鳥がぴよぴよと囀った。
 その愛らしい鳴き声は、まるで未来永劫の平穏を祝福しているかのようで。

 ぴよぴよと、小鳥が囀っている。
 カンカンと、頭の中で火打石が鳴り響く。

 ふわふわ夢見心地の頭とは裏腹に、身体はつとめて冷静に為すべきことを辿っていて。
 夢の名残を祓うように、小鳥めがけて業火を放つ。
「焼け落ちろ、あの日のように、美しい記憶よ、焼け落ちろ」
 小鳥の身体が炎に包まれ、悍ましい触手へと変貌する。
 ソレが燃え尽きる頃には、辺りには冷たい夜闇が広がっていた。
「記憶は美しいまま、そこにあれ」
 その燃え殻に落ちた雫は、雪解けの雨か、それとも。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴォルフ・クライト
『コレは…流石にいただけないですねぇ?』

内心・本音:
死んだものを侮辱するのは、どんなに『やり方』としては上手い作戦であっても流石に褒めてはやれないな。

戦闘:
例え、敵が愛らしい猫や動物の姿で現れても淡々と攻撃を行う。
敵を索敵後、リザレクト・オブリビオンで【死霊騎士】と【死霊蛇竜】を召喚。
【死霊騎士】と【死霊蛇竜】に敵に攻撃を行わせながら、敵の動きや周囲の異変に警戒。
敵が不審な動きを取った時は、即座に敵の次の動きを止める為には攻撃する。
敵の逃走をけして許しはせず、地上からの死霊騎士と上空からの死霊蛇竜による攻撃を敵の討伐完了までは容赦せずに継続する。



他参加者との連携:歓迎



●ヴォルフ・クライト(闇狼・f03355)の静かな怒り
 にゃあ、と愛らしく鳴き声を上げ、ヴォルフの足元に猫がすり寄る。
 この世界の野良猫ならばたいして珍しくもない、短毛の茶トラ猫。
 左耳に刻まれた印は『地域猫』という存在を示すものなのだと、この世界出身の猟兵が話していたのを小耳に挟んだことがある。
「……なるほど」
 気付けばヴォルフの足元では、さらに数匹の猫が甘えるように足に擦り付いたり、撫でてほしそうにころんと寝転がっていた。
 ヴォルフはしゃがみ込み、甘えてくる猫たちをじっと見つめる。
 たとえ動物を好まない性格の者であっても、この誘惑に抗うことは難しいものだろう。

 もっとも、最初から彼等の正体を見破っていたヴォルフにとって、その誘惑はまったくもって無意味なものであったのだけれど。

「コレは……流石にいただけないですねぇ?」
 ヴォルフの後ろに控えていた死霊騎士と死霊蛇竜が、戦闘開始の構えをとる。
 確かに敵の幻惑術は完璧であった。自分が見せられていた幻も、きっと実際にここに存在していた猫たちを正確に模したものなのであろう。
 だからこそ、許す気は微塵も起きない。
「死んだモノを侮辱するとは」
 独り言に秘め隠された感情の色は、どれほどのものであったか。
 その声に呼応するように、騎士と蛇竜が次々と猫の姿をしたモノを屠る。
 その猛攻が終わる頃には、辺りには細切れの触手だけが転がっていた。
「これで全部……とは考えにくいですね」
 ヴォルフは騎士と蛇竜に索敵を命じ、この悪趣味な怪物を根絶やしにすべく作戦を続行するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

パラス・アテナ
戦場傭兵として駆け出しの頃
町で拾った野良犬のバレットを軍犬として飼うことになった
バレットは優秀な軍犬になったよ
頭が良くて勇敢で、アタシに一番なついてた
って部隊全員に思わせる愛嬌もあった
散発的な戦闘で、流れ弾からアタシを庇ってあっさり死んだけどね

ねえバレット
アタシに拾われなきゃあの町で、もっと長生きできただろう
お前さんは恨んでいるかい?
ねえバレット
命を捨てて助けたアタシは戦場で、敵も味方も散々殺した
お前さんは後悔しているかい?

アタシはしてないよ
何の因果か猟兵になって、死なせた分くらいは救えるかも知れないんだ
嬉しいじゃないか
だから、まだお前さんのところへは行けないね
先に骸の海へお帰り

銃弾を犬に一発



●パラス・アテナ(サトラレ・f10709)の記憶
 一匹の犬が、尻尾を振りながらこちらを見ている。
「……バレット」
 その姿は忘れもしない、かつて共に戦場を駆けた軍犬の姿。

 それは、パラスがまだ駆け出しの傭兵だった頃。
 作戦のために立ち寄った町で、彼女は一匹の野良犬と出会った。
 拾おうと思ったその時のことはよく覚えていない。ただ、一緒にいたいと強く思ったことだけは覚えている。
 バレットは教えたことを何でも覚え、やがて優秀な軍犬となった。
 決してやるべき事を違えない賢さと、弾丸飛び交う戦地でも歩みを止めない勇敢さ。
 誰にでも愛嬌を振り撒いていたけれど、パラスには特別懐いていたように思えた。
「なんて、他のヤツらも同じことを言ってたっけねぇ」
 過酷な戦地で、バレットの存在は部隊全体の癒しだった。

 そんなバレットが命を落としたのは、やはり戦場であった。
 流れ弾からパラスを庇い、急所を貫かれ死亡したのだ。
「お前さんは恨んでいるかい?」
 パラスがあの時拾わなければ、別の飼い主に拾われ長生きしていたかもしれない。
「ねえバレット、お前さんは後悔しているかい?」
 命を賭して守った拾い主が、他の誰かの命を奪い続けてきたことを。
 その問いかけに応えるように、バレットがパラスへと駆け寄った。

「アタシは、してないよ」
 目の前の幻影へ、銃口を突き付ける。
「何の因果か猟兵になって、死なせた分くらいは救えるかも知れないんだ」
 今の自分には、為すべきことがある。嬉しいじゃないかと、口元で笑みを作ってみせる。
 だから、まだバレットの元へは行けない。
 決心を固め、引き金に力を込める。
「先に骸の海へお帰り」
 乾いた銃声が、夜の闇に響いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニーナ・アーベントロート
【アドリブ、他参加者との共闘描写可】
目の前に現れた、つやつや真っ黒な子犬
桃色と紫の輝き宿すその瞳を見て確信した
……メル、あんたそっくりだね
今まさに手にしているドラゴンランス
その竜形態を思い出し、呟く
でもなんで犬なんだろーね
あたし、ペットなんて飼ったことないよ?

応えるように、槍の刃先は鈍く光って
はいはい、わかってるよ
あたしの相棒は、あんただけだもんね
この世に二匹もいらないよね

「いっせーの」で振りかぶって
槍による【串刺し】で縫いとめ
『ブレイズフレイム』で【2回攻撃】
サヨナラなんて、言わないよ

とうの昔になくなった心臓の辺りが痛むのも
跡形もなく燃やし尽くした頃には消えるかな



●ニーナ・アーベントロート(斜陽・f03448)の空白
 ニーナの目の前に現れたのは、一匹の子犬であった。
 つやつや真っ黒い毛並みに、桃色と紫のキラキラ輝く瞳。
 初めて会う犬、のはず。なのに。
「……メル?」
 口をついて出てきたのは、大切な相棒の名前。
 手にしたドラゴンランスの竜形態に、その犬はあまりに似すぎていた。
 メルによく似た子犬が尻尾を振り、ニーナへと視線を向ける。
 その仕草にわずかに頬をほころばせながら、ニーナは首を傾げた。
「でも、なんで犬なんだろーね?」
 ペットなんて、飼ったことはないはず。
 現にメルはドラゴンで、唯一無二の存在で、今も自分の右手に握られていて。
 ふと槍へ視線を遣ると、ニーナの迷いへ答えを返すように刃先が鈍く光った。
「……はいはい、わかってるよ。あたしの相棒は、あんただけだもんね」
 決意を固め、槍を振りかぶる。
「いっせーの!」
 子犬めがけて槍を振り下ろす。その姿を隠すように熱く激しく、紅蓮の炎で包み込む。
「サヨナラなんて、言わないよ」
 子犬は炎の中で怪物へと変化し、そのまま灰と消え去った。
 全て燃やし尽くした後、ちくりとした胸の痛みだけが残った。

「なんなんだろーね、この痛みは」
 ぽつりと呟くニーナの側へ、仔竜の姿に戻ったメルが寄り添う。
「うん、ありがと。この世にメルはあんただけ、わかってるからね」
 メルの頭を優しく撫でながら、ニーナは事件の黒幕を探すべく歩みを進めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

鹿村・トーゴ
あれ?お前ひい祖母ちゃんとこのハナ?
白くてぎざ耳で兎みたいな短い尻尾で
胴に梅の花模様のでかいオス猫
どー見てもハナだろ
他猫の空似はねーよな

曾祖母の家に爺然としたヤツは居て
ちびだったオレはよく泣かされたけどなんか憎めなくてなー
前足、悪くしてからはオレの膝にも乗るようになったし
案外ふわふわで…そう、この毛触りだった
でも変だろ
ひいバアさんの野辺送りの次の雨の日
オレ、濡れて死んでたお前を埋めて墓作ったんだぜ
恨まれるような覚えもないしよ
あ、それにフツー化けて出るなら最期の姿じゃね?

まいっか
ハナ、せっかく会えたし昔の遊びをやろうぜ
お前は爪と牙でオレは手裏剣の一発勝負だ
オレが狙うのはいつもその花模様だったよな



●鹿村・トーゴ(鄙村の忍者見習い・f14519)の思い出
「ハナ……?」
 トーゴの目の前に現れたのは、一匹の大きな猫だった。
 ギザ耳に兎みたいな短い尻尾、白い身体に梅の花模様。
「どー見てもハナだろ? 他猫の空似はねーよな」
 その姿は、曾祖母の家にいたオス猫のハナだった。

 ハナは、幼いトーゴの遊び相手であった。
 その大人げない動きに泣かされることも多かったけれど、何故か憎めなくて。
「……そう、この手触りだった」
 ふわふわの毛並み。足を悪くしてからは、トーゴの膝でくつろぐこともあった。
 何もかもが懐かしい、あの頃のハナのままだった。
「でも、変だろ」
 あの頃のままだからこそ、トーゴは違和感を覚えた。
 だって、曾祖母の野辺送りが終わった次の雨の日に、冷たくなったハナを見つけたのは――紛れもない、自分自身なのだから。
「お前、やっぱり変だよ。恨まれるような覚えもないし、フツー化けて出るなら最期の姿じゃね?」

 綺麗な夢を、終わらせるように。トーゴは、手裏剣を構えた。
「ハナ、せっかく会えたし昔の遊びをやろうぜ」
 先に当てたほうが勝ちの、シンプルな『遊び』。
 ハナは爪と牙を、トーゴは手裏剣を。
「オレが狙うのは、いつもその花模様だったよな」
 二つの影が交差する。
 一瞬の勝負が終わる頃、トーゴだけがそこにいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

酒本・あれん
あ、なんか変なの
猫に犬にうさぎに羊に仔馬
パークで見た可愛い動物たちでいっぱい…
説明で聞いた奴の正体ってうにといそぎんちゃくの混ざったみたいな?やつだったけど
…これは事前にタネ明しされてても騙されちゃうなあ
ふわふわしてて、それにこんなに真摯に見つめるそぶりも巧いなんてねえ?
殴りにくいよねー
幻術と悪戯は妖精の好むところだもん
コツを教えて欲しいぐらい❤

ねえでもやっぱり幻だよ
普段ならあたしを見て吠えるキミも追っかけまわすキミも
甘えた目で見てるだけなんだもん

【牙を呼ぶ囁き】で緑の犬を召喚
さあ奔ってクー・シー
自身は笛を模した吹き矢を手に

真面目に戦うのって殆ど初めてなのよ
…あたしの拙い幻術で乗り切れるかな?



●酒本・あれん(Twilight・f01717)の楽園
「あ、なんか変なの」
 あれんの目の前にいるのは、パークで見た可愛らしい動物たちの姿。
 猫、犬、うさぎ、果ては羊に仔馬まで……。
「……これは事前にタネ明かしされてても騙されちゃうなあ」
 予知情報によると、この子たちの正体はウニのようなイソギンチャクのような、気持ち悪い怪物のはず。
 それなのに、目の前の動物たちは皆本物のような愛らしさを帯びていて。
「ふわふわしてて、それにこんなに真摯に見つめるそぶりも巧いなんてねえ?」
 殴りにくいよねー、と口にしつつ、あれんは動物たちの仕草にある違和感を覚えていた。

「ほんとにリアル。コツを教えて欲しいぐらい?」
 きらきら透き通る羽を羽ばたかせ、動物たちの鼻先をわざと悪戯っぽく掠めて飛んでみる。
 そんなあれんを愛おし気な瞳で見つめる動物たち。
 その甘えた瞳が、違和感の原因だった。
「……やっぱり幻だよ」
 普段なら、そんな悪戯をすれば絶対みんな吠えたり追いかけ回すはずなのだから。
「次はあたしの番だよ。おいで、私のクー・シー」
 虚空に囁きかけると、目の前に緑色の犬が現れた。
 クー・シー。あれんの幻術で召喚された、妖精郷の忠実な番犬。
「さあ奔って、クー・シー」
 あれんの呼び声に応え、緑の犬が咆哮を上げた。
 闇を貫くその声は、敵の術を凌駕するリアリティをもって動物たちを追い立てる。
 退路を断つように、笛を吹くようなポーズであれんが立ちはだかる。
 牙と吹き矢の嵐が過ぎ去った後に残されたものは、ばらばらに千切れ飛んだ紫の触手のみであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

伽宝・真冬
フォーリー(f02471)と一緒に参加

熱線銃片手に、惑わされたりしないと気合を入れて臨んだ矢先、大好きな桃猫ちゃんが目の前に……!
(桃猫ちゃん→ふわふわなピンク色の毛に愛らしい二頭身の猫。可愛い見た目に反して偉そうな口調のバーチャルマスコット)

愛らしい姿についメロメロ
待って待ってこれは偽者!真冬、しっかり!!
葛藤しながらも欲望に抗えず手を伸ばし
思わずギュッと抱きしめて頬ずり!
したところで熱線銃のレバーを引いてしまう
意図せずクイックドロウ。誤射で《零距離射撃》
桃猫ちゃーん!
悲痛な叫びで崩れ落ち、けれど段々と我に返って──

フォーリー、大丈夫だった?
何事もなかったかのようにしれっと質問。

アドリブ歓迎


フォーリー・セビキウス
真冬(f09320)と共に参加

とある景色を垣間見る。
黒い天井、灰色の壁、白い光。
試験管に浮かぶ蛇の頭。死んだ蛙。イカの触手。
水槽に沈む狼、獅子、無数の動物。それ以外に接していた事はーー

景色が途絶えた。

ーーどうした?動物に関する記憶を見せてくれるのでは?

何の記憶か、何時の記憶かも定かでは無い。ただ一つ、解る事は

ーーどうやら、私は動物と接した事も、ましてやペットを飼った事など無いようだ。生憎、記憶が無いのでね。例え飼っていたとしても、何の感慨も湧かんよ。

冷静に弓を引き、黒血妖犬を放つ。

何、支障は無い。それこそ君の方は大丈夫?どうやら随分と大騒ぎをしていたようだが?と皮肉気に笑いかける。

アドリブ歓迎



●ふたりの視点、ふたりの交点
 伽宝・真冬(404 Not Found・f09320)とフォーリー・セビキウス(夢幻の残骸・f02471)は、敵の術に惑わされぬよう注意深く路地を進んでいた。
 そんな二人の傍らにも、邪神の幻覚は知らぬ間に這い寄る。

 真冬の目の前に現れたのは、ふわふわピンクの毛が可愛らしい二頭身の猫型マスコット。
「桃猫ちゃん……!?」
 大好きなバーチャルマスコットの桃猫ちゃんが、ぺこりとお辞儀をする。
「か……かわいー……。って、待って待ってこれは偽物! 真冬、しっかり!!」
 あざといほどに可愛らしい仕草につい頬が緩んでしまうが、なんとか自分を律しようと気を引き締める。
 ニヤニヤしたりびしっとしたり、そうやって百面相を数度繰り返した後。
 ついに真冬は欲望に抗えず、桃猫ちゃんへ手を伸ばした。
 フォーリーが何か異様なものを見るような目でこちらを見ているような気がするけど、気にせず桃猫ちゃんへ一直線。
「わぁぁ、ふわふわもふもふ!」
 全力で抱きしめ頬ずりをしたその直後、真冬はある事実を思い出す。
 それは、自分が片手に熱線銃を持っていたということ。
 何が出てきてもすぐ攻撃開始できるよう、引き金に指をかけたままでいたこと。
「……あ」
 眩く光る視界。それが自らの得物から発射された熱線ということに気付いたのは、零距離射撃を受け胸に穴をあけた桃猫ちゃんが倒れた後だった。
「……きみは、どうしようもないうっかりさんなの……だ……」
「桃猫ちゃーん!?」
 本物を模した口調で喋る桃猫ちゃんの姿が次第に解れ、触手の塊となって動きを止める。
 真冬の悲痛な叫びが、夜の街に響いた。

 一方。フォーリーの目の前に広がっていたのは、何の記憶かも定かではない断片の光景。
(――どうした?動物に関する記憶を見せてくれるのでは?)
 黒い天井、灰色の壁、白い光。
 試験管に浮かぶ蛇の頭。死んだ蛙。イカの触手。
 水槽に沈む狼、獅子、無数の動物。
(それ以外に接していた事は――)
 記憶が途絶える。
 目の前にいるのは、予知通りの触手生物。
 その一匹に飛びつき頬ずりをする真冬を横目に、冷静に弓を引き絞る。
「……どうやら、私は動物と接したことも、ましてやペットを飼ったことなど無いようだ」
 例えこれ以外の過去があったとしても。記憶がないのだから、感慨の抱きようもないというものだ。
「黄泉路を行け、地獄の猟犬」
 触手めがけて、矢を放つ。
 痺れたように全身を震わせた後、触手はぴくりとも動かなくなった。

「フォーリー、大丈夫だった?」
 さっきの狂乱が嘘のように、真冬がフォーリーへと問いかける。
「何、支障は無い。それこそ君の方は大丈夫? どうやら随分と大騒ぎをしていたようだが?」
 皮肉気に笑いかけながらも、フォーリーも真冬を気遣う素振りを見せた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『大神霊』

POW   :    大神霊分裂増殖撃
自身の身体部位ひとつを【シャーマンズゴースト】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    大神霊巨鳥進化撃
【大神霊としての尊厳】に覚醒して【頭部と鬣はそのままに、燃え盛る巨鳥】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    大神霊超常災害撃
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は火奈本・火花です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●夢の誘い手
 触手生物を倒し大通りで合流した猟兵達の前に、ひとつの人影が現れた。
「今日のお客様は、とても意志の強い方が揃っているようだ。私のユメは、お気に召しませんでしたか?」
 シャーマンズゴーストの姿をした、しかし味方のそれとは大きく異なる異様な空気感を纏った怪物。
 それは杖を振るうと、猟兵達の前に光のスクリーンを映し出した。
 そこに映っていたのは。

 懐かしい、もう決して戻れない日の追想。
 いとおしい存在が常に側にいる、幸福で満ち足りた楽園。
 あるいは、とうの昔に失ってしまった記憶の断片。

 その蜃気楼を一旦かき消すように、シャーマンズゴーストは杖先で空気をかき混ぜる。
「私と共に、邪神に連なる者となって生きましょう。そうすれば、好きなだけユメに浸れる。幸せだった過去も、理想の願望世界も、お好みの世界でずっと生きていける。ねぇ、悪い話ではないでしょう?」
 慈愛に満ちた狂気の声音で、囁くように語り掛ける誘惑。
 その呼び声を受け、あなたの出した答えは――。
ニーナ・アーベントロート
白く長い髪に赤い瞳、優しい声の
見間違えるわけがない、懐かしい大切なひとの顔が眼前に浮かぶ
……おかーさん
気を抜けば溢れてしまいそうな熱いものをぐっと堪えて

参ったなぁ
益々ホンモノのおかーさんに会いたくなっちゃうじゃん
……これであたしを釣れるとか、本気で思ってるの?
何処にいても絶対探し出すって覚悟決めてる猟兵が
生ぬるいニセモノの幸せで満足するわけないでしょ

『Agito』で愛槍に力を吹き込み、中型のドラゴンに変えて
正面から襲わせて気を引いてる間に【目立たない】技能で死角に回り込み
……ほら、どこ見てるの?
手持ちのナイフでぶすり
【生命力吸収】でカラカラになるまで吸い尽くしてあげる!
あたし、欲張りだからね




「ニーナ、会いたかったわ」
「……おかーさん」
 ニーナ・アーベントロート(斜陽・f03448)の目の前に現れたのは、見間違えるはずのない母の姿。
 白く長い髪に赤い瞳。優しい声さえも、本物そっくりで。
「……本当に、おかーさんなの……?」
 何言ってるの、と目の前のひとが笑う。
 まぶたがじんと熱くなり、こみ上げてくるものをぐっと堪える。
 ぎゅっと目を瞑ったニーナめがけて、シャーマンズゴーストの顎を宿した異形の腕が食らいつこうとしていた。
「さぁ、取り込まれてしまいましょう。永遠の幸福の世界へ……!」

「なーんて。これであたしを釣れるとか、本気で思ってるの?」
 大神霊の目前に、槍の穂先が突き付けられる。
 それもそのはず。ニーナは最初から、完全に幻惑に取り込まれてはいなかったのだ。
 少し潤んだ瞳で大神霊を睨み、槍先めがけてその真の名を告げる。
「メル……じゃなくてデンメルング、思う存分やっちゃって!」
 咆哮を上げるように槍が震え、みるみるうちに敵の身長をゆうに追い越すほどのドラゴンに変化する。
「ぬぅ……! 邪魔をするな!」
 目の前に立ち塞がるドラゴンを排除すべく、大神霊が異形の腕を振り回す。
 その動きが、不意に止まった。
「……ほら、どこ見てるの?」
「ぐっ!?」
 大神霊の背中に、深々とナイフが突き刺さる。
 メルが時間を稼いでいる間に、ニーナが背後に回り込んでいたのだ。
「覚悟しときなよ? あたし、欲張りだからね」
 突き立てたナイフを通じて、大神霊の生命力を吸い取っていく。
「我と共に来れば、その欲を見たすほどの幸福を……」
「あんな生ぬるいニセモノの幸せで満足するわけないでしょ」
 だって、何処にいても絶対探し出すと覚悟を決めているのだから。
 ナイフを引き抜くと、大神霊の身体がどさりと崩れ落ちた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
邪心の手下にねェ…それって生きてるって言う?
悪趣味な詐欺師かと思ったら宗教勧誘だったんかい

…故郷か
オレにとっちゃまだ一年も経ってない風景だ…
郷の連中や親父はきっとまだ元気だろうし
あの経緯が無けりゃオレもあの子も
アンタの見せるこの夢の通りまだ一緒に過ごせてたんだろうよ
そーだな、悪い話じゃねェよ
幸せな世界の続きってのは惜しいけど
…妄想の為にアンタに世話になるってのは癪だからなーお断りするよ

降魔化身法で強化
手に持ったクナイで投げずに刺して攻撃

悪い夢から醒めるには痛みが一番かね
せっかくだからアンタが見せてくれたあの子に降りて貰おうか?
ま、オレには夢じゃなくても好いた子と一緒にいる手も技もあるわけな




 鹿村・トーゴ(鄙村の忍者見習い・f14519)は、大神霊の言葉を馬鹿馬鹿しいとばかりに鼻で笑い飛ばした。
「邪神の手下にねェ……それって生きてるって言う?」
「ええ、ひと思いに受け入れてしまいなさい。そうすれば、全てを悟るはず」
 穏やかに語りかけるように言葉を紡ぎながら、大神霊は自らの身体に炎を宿す。
 燃え盛る巨鳥となった大神霊が翼をはためかせると、蜃気楼の中に幻像が浮かび上がった。

 それは、まだ記憶に新しい故郷の風景。
 郷の皆も父親も、いつも通りの元気な姿を見せていて。
 ふと、ある少女がトーゴの目の前へ歩み寄り、もの言いたげな瞳で語り掛ける。
「――、――!」
 今はもう欠けてしまった、幸せな日常のピース。
「……そーだな、悪い話じゃねェよ」
「――?」
 少女の声は、聞こえない。
 何故なら、この想いに気付いた頃には、彼女は既にこの手で――。

 不意に、頬を思い切り叩かれたような痛みが走る。
 降魔の術で呼び寄せた、少女の霊によるものであった。
 目覚めたトーゴは迷いを断ち切るようにクナイを握りしめ、巨鳥めがけて飛び込む。
「妄想の為にアンタに世話になるってのは癪だからな。お断りするよ!」
 永久でなくても、こうして彼女と共に在ることはできるのだから。
 炎をかわしながら、死角めがけてクナイを突き刺そうと突っ込んでいく。
 その勇猛果敢な戦いぶりは、子供時代からハナとの遊びを通じて少しずつ培ったもの。
 遂にクナイの切っ先が翼を捉え、大神霊は地面へ転がり落ちるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パラス・アテナ
「ばあちゃん!」
子犬のようにじゃれついてくる孫達が、無邪気な笑顔で見上げてくる
「ばあちゃんこれありがと! 大事にするな!」
誇らしげな笑顔に、こっちまで笑みがこぼれちまう
孫達が持ってるのは、誕生日に作ったバレット型のマスコット
こんな細かい針を使ったことないから苦労したよ
駆け寄ってくる孫たちに、駆け寄りたくなる
抱きしめてやりたいよ

でもね
これ以上情が湧く前に銃口を突きつける
孫達の眉間に弾丸を放つ
こいつらはオブリビオン
あの子達はもういない
いないんだよ

晴れる視界に手を握り締めて弾幕を張る
「胸糞悪い! 大神霊! アタシが蜂の巣にしてやる!」
持てる全ての技能とUCを駆使して、大神霊を骸の海へ叩き返してやる!




 蜃気楼は揺らめき姿を変え、パラス・アテナ(サトラレ・f10709)の記憶の中の一風景を映し出す。

「ばあちゃん!」
 無邪気な声を上げ、駆け寄る小さな影がひとつ、ふたつ。
 それは忘れるはずもない、孫たちの姿。
「ばあちゃんこれありがと! 大事にするな!」。
 彼らが持っているのは、誕生日プレゼントにとパラスが作ったバレット型のマスコット。
 慣れない針仕事に苦戦して、少し歪な仕上がりになってしまったそれを、孫たちは素直に喜んで受け取ってくれた。
「あぁ、喜んでもらえて嬉しいよ。嬉しかったよ」
 抱きしめてくれと言わんばかりにじゃれついてくる孫たちへ、パラスは。

 表情を殺して銃口を突きつけた。
「……こいつらはオブリビオン。あの子達はもういない」
 いないんだよ、と震える声で自分に言い聞かせ、弾丸を放つ。
 蜃気楼はかき消され、その後ろに控える大神霊の姿が露わになった。
「おやおや。これが見たかったのではないのですか? お望みならば、17、8に成長した彼らの姿を見せることも」
「うるさい!」
 大神霊の言葉を遮るように、両手の銃からの一斉射撃を放つ。
「胸糞悪い! 大神霊! アタシが蜂の巣にしてやる!」
 左手の銃を連射し牽制しながら、右手の熱線銃で杖を撃ち払う。
 怯んだ隙に懐へと駆け込むと、大神霊の腕に宿る異形の喉元へ銃を突き付けた。
「骸の海へ還りな!」
 噛み付かれることも厭わず、喉の奥へ銃を突っ込み零距離射撃。
「何故!? 何故拒否するのです!?」
 錯乱した様子でのたうち回る大神霊を冷ややかに見下しながら、パラスはもう一度引き金を引いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フォーリー・セビキウス
「のこのこお出ましとは、随分と余裕だな道化師。
陳腐な手品もネタ切れか?
悪趣味を通り越して下品だが、貴様如きにはお似合いだ。」
弓を引くが、果たして矢は放たれなかった。
目を見開く。
喉が渇いて口がひりつく。
「なんで…アンタが、アンタは…死んだ…。
アンタはオレが、殺した筈なのに…!」
過去を喪失した男の、失われえぬ一欠片。
救ってくれた彼女を殺した事だけは、地獄に落ちても忘れる事のないーー。
然し彼女は現れた。アレはなんだ?

そうか、奴も言っていた。これは夢だと。
なら、覚めないと。
全く、笑えない悪夢だと自嘲し、彼女の眉間に矢を放つ。
「さよなら、メルクリウス。」
今のオレは、躊躇わなくなってしまったよ。




「のこのこお出ましとは、随分と余裕だな道化師。陳腐な手品もネタ切れか?」
 目の前に姿を現した黒幕は、いかにも貧弱そうな小男。手下がいなければ何もできない、ただの下品な手品使いにすぎないのだろう。
 ならば、と弓に矢をつがえ引き絞ろうとしたフォーリー・セビキウス(夢幻の残骸・f02471)は、陽炎の中に見た人物の姿に目を見開いた。
「なんで……なんでアンタが……」
 身体から力が抜け、弓矢を取り落としそうになるのを必死に堪えた。
 それは過去を喪失した男の、失われえぬ一欠片。
「アンタはオレが……」
 殺したはずなのに。
 地獄に落ちても忘れる事のない、永久に消えない十字架のはずなのに。

「どうです? どんな幸せな夢でも思いのまま、永久に見せ続けることが私にはできるのです」
 そう、これはただの夢。
 甘く囁きかける大神霊の声に揺らぐ心を必死に抑え、フォーリーは再び弓を構えた。
「夢なら、早く覚めないとな」
 全く笑えない悪夢だと自嘲しながら、弓を引き絞る。
「さよなら、メルクリウス」
 躊躇わず射れるようになってしまった自分に、様々な感情がないまぜになった気持ちを抱きながら。
真っ直ぐな射線が陽炎の中の彼女を捉え、燃え盛る翼ごと打ち抜いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

伽宝・真冬
むしろもっと堪能したかったのに……!
敵には変な方向で怒りつつ

光のスクリーンには即座に反応。
光なら電脳魔術で介入できちゃったりする?
舌舐めずり〈技能: ハッキング〉
電子キーボードを空中展開
記憶を眺めながら敵の能力や弱点を探る

記憶
両親と雪だるまを作っていた幼い頃の幸せな記憶
顔を思い出せない

施設の前に置いていかれた記憶
Data Processorを抱えて泣く

一瞬指が止まった。
それを注意する桃猫ちゃん再登場。
彼はわたしにハッキングを教えてくれたアングラアイドル

わかってる。もっと上手くなって私もそっちへ……

敵の誘い声には笑って「お好みの世界には自分で行けるから」
罠使い、零距離射撃、だまし討ち


ノストラ・カーポ
【WIZ】
連携・アドリブ歓迎。

■心情
中々悪くねぇ話だ。だが俺が与えられる立場だと?
「悪い話じゃねぇが俺は欲しけりゃ自分で手に入れたくなる性質でな」
「そして今俺が欲しい物はお前の死体だよ」
この俺を嘗めてやがるな?。

■行動
敵がUCを使うようなら【ミレナリオ・リフレクション】を使って打ち消し
【オノーレ】で【クイックドロウ】による【2回攻撃】を行う。
仲間が敵に接近して攻撃を行えば【アミーチ】を仕込み杖に変化させ【念動力】によって動かして仲間と共に敵を攻撃する。




「むしろもっと堪能したかったのに……!」
 伽宝・真冬(404 Not Found・f09320)に理不尽な怒りを向けられ、大神霊は困惑した表情でノストラ・カーポ(ミレナリィドールのフォースナイト・f14707)へ勧誘の矛先を向ける。
「悪い話じゃねぇが俺は欲しけりゃ自分で手に入れたくなる性質でな」
 この俺を嘗めているのか?と睨み付ける。
 けんもほろろに断られた大神霊は、仕方ないと溜息をついて杖を掲げた。
「では、そちらのお嬢さん。そんなに堪能したいのならば、お好きな記憶をお受け取りください」
 大神霊が杖を振り下ろすと、オーロラのような光が地上へと舞い降りた。

(これ、電脳魔術で介入できちゃったりする?)
 真冬は舌舐めずりをしながら、電子キーボードを展開しオーロラに映る幻影を解析しようと試みる。
 その最中に垣間見たのは、幼い頃の幸せな記憶。
「あれ……おかしいな」
 両親に手伝ってもらいながら、雪玉を転がす幼い真冬の姿。
 出来上がった雪だるまを囲んで、家族仲良く笑い合っていた。
「顔が……思い出せないや」
 幸せな夢がリアリティを帯びるほど、暗い記憶が真冬の心に濃い影を残して。
 いつの間にか真冬は、愛用の機械を抱えて泣いていた。

「落ち着け。取り込まれるな」
 不意に光が閃き、オーロラがかき消えていく。
 真冬が掴みかけた解析の糸口を利用し、ノストラが幻影を相殺したのだ。
「ありがと。……あっ、桃猫ちゃん!」
 消えゆくオーロラの中で、桃猫ちゃんが気合いを入れるようにびしっと真冬を指差す。
 その姿はまるで、真冬を現実に押し返すようで。
「わかってる。もっと上手くなって私もそっちへ……」
 涙を拭い、大神霊へ向き直る。
 その瞳に、もう迷いはなかった。

「そうですか、残念です」
 巨鳥に変身した大神霊が真冬へ飛び掛かる。
 それを制止するように、宙に浮く仕込み杖が閃いた。
 ノストラが操る精霊杖の『アミーチ』だ。
「まったく、諦めの悪い奴だ」
 怯む大神霊に更に素早く銃撃を二閃叩き込むノストラ。
 その隙をついて真冬が電子トラップを発動。大神霊の翼を雁字搦めにして動きを封じた。
「……もう一度考え直してはいただけませんか?」
 これだけの攻撃を受けても尚壊れた機械のように勧誘の言葉を繰り返す狂気に内心ぞっとしながらも、二人はその言葉を一笑に付し大神霊めがけ銃を向けた。
「悪いけど、お好みの世界には自分で行けるから」
「今俺が欲しいものはお前の死体だよ」
 二発の銃声が、ユニゾンを奏でた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

風魔・昴
麻生竜星(f07360)と共闘
彼を『竜』と呼んでいる
アドリブ歓迎

私が見たのは、父の肩車で一緒に星空を見上げている記憶
優しい温かい記憶……


「貴方、可愛そうね?邪神がいないと幸せじゃないんだ」
ふっと憐みの表情を。そしてにっこりと言葉をつづける
「竜が言うように、私も過去以上の幸せを掴むために生きてるの、戦ってるの……」
「私達は止まらない……たとえ辛く苦しい現実の中でもね?」
そして【エレメンタルロッド】の先を敵に向ける
「邪神の世話になんてならないわ!幸せは自分達で掴むものなの!」
呪文を唱え【星光雨】を発動

止まった時間の中でしか生きる事が出来ないなら、速やかに骸の海にお帰り?
お前達にはお似合いの場所だわ


麻生・竜星
風魔昴(f06477)と共闘
彼女を『スー』と呼んでいる
アドリブ歓迎

敵が見せたのは楽しかった幼少期の記憶
ただ楽しかった頃の……


「……だから何だ?」
敵の言葉に鼻で笑う
「夢は現実があるからこそ見る事が出来る。理想も同じだ……」
そう言いながら【Hesperos】を優しく撫でる
「幸せな過去は、前に進む糧になる……」
そして呪文を唱え【大蛇召還】を発動
「俺は仲間と同胞と、そして友と今を未来を生きる。自分達の力でな!」
「さぁ、我が友ウラル。今を未来を生きる力を見せつけよ!」
同時に現れた白大蛇『ウラル』に攻撃を命じる

未来も夢も理想も、自分で叶えるからこそ意味がある
止まった時間の中でいるのは生きていないのと同じだ




 やがて幻影は闇属性のオーロラとなり、猟兵達をドーム状に取り囲む。
 その中に映し出されるのは、幼き日の記憶。

「ほら、あっちの星座がオリオン座。3つの星が見えるだろう?」
 視界いっぱいに広がる、満点の星空。
 風魔・昴(父の心と星の力を受け継いで・f06477)は父の指差すほうを一生懸命見上げ、見つけた星座に無邪気な喜びの声を上げた。
 肩車されながら冬の夜空を見上げるのが、まるで星に手が届きそうでお気に入りだった。
 そんな昴と父親を、麻生・竜星(銀月の力を受け継いで・f07360)が羨ましそうに見上げる。
「スー、いいなー。おじさん、次は俺も!」
 無邪気に肩車をねだると、昴の父も快く笑みを返してくれて。
 大神霊が見せたのは、まだ使命も責任も知らない、ただ楽しかった幼少の頃の夢だった。

「懐かしいでしょう? いつまでも浸っていたいのでしょう? 私達の眷属になれば、背負った重いものを捨てても誰も何も言わないのですよ?」
 夢にスッと混じるように、優しく囁きかける誘惑の声。
 その異様なまでに慈愛に満ちた呼び声を竜星は、
「……だから何だ?」
 と軽く鼻で笑った。
「夢は現実があるからこそ見る事が出来る。理想も同じだ……」
 竜星を取り込むことは難しいと判断した大神霊が、昴へ視線を向ける。
 しかし昴も大神霊の言葉を軽く笑い飛ばし、
「貴方、可愛そうね? 邪神がいないと幸せじゃないんだ」
 と憐みの目すら向けるのだった。
「お二人とも、こちらに加わるつもりはないのですね。では、せめて生贄としてここで命を戴いていきます」
 大神霊がくるりと杖の先を回すと、星空の幻影から流星が二人めがけて降り注ぐ。
「スー!」
 竜星が昴へ駆け寄り、オーラの盾で幻の星を弾き飛ばした。
 昴もまた、竜星の死角をカバーするようにオーラを展開していた。
 その連携は、子供のままの彼らでは決して為しえなかった絆の形。
「幸せな過去は、前に進む糧になる……」
 竜星が手にしたオーブを撫で、友を呼ぶ呪文を唱え始めた。
「竜が言うように、私も過去以上の幸せを掴むために生きてるの、戦ってるの……」
 昴がエレメンタルロッドを掲げると、降り注いだ流星が再収束するかのようにその先に光を宿す。
「俺は仲間と同胞と、そして友と今を未来を生きる。自分達の力でな!」
 竜星のオーブから召喚された大蛇が大神霊に絡み付く。
「私達は止まらない……たとえ辛く苦しい現実の中でもね?」
 昴のロッドから光がふわりと浮き立ち、再び星のように頭上を舞う。
「さぁ、我が友ウラル。今を未来を生きる力を見せつけよ!」
「邪神の世話になんてならないわ!幸せは自分達で掴むものなの!」
 大蛇の毒が、圧倒的な輝きが、大神霊に襲い掛かる。
 それは、未来へと歩みを進める者だけが手にすることのできる、大いなる絶望に打ち勝つための力であった。

 星の光が散り散りになり、辺りが再び闇に包まれる。
 猟兵達の強い想いをのせた攻撃を受け続けた大神霊は、骸の海へ沈むようにその姿を灰へと変えた。
 過去に打ち勝ち掴み取ったそれぞれの未来を祝福するように、東の空が仄明るく色づき始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ねこねこねこ』

POW   :    不動。俺はキャットタワーださぁ上っておいで!

SPD   :    猫じゃらしをふりふりと、捕まえられないギリギリを狙う!

WIZ   :    猫の好い場所をくすぐり撫でくりツボをつくならおまかせ!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 戦いを終えた猟兵達は、放心した様子で白み始めた東の空を眺めていた。
 突き付けられた過去の幻影。それを自ら打ち砕く決意。
 その過程の葛藤や苦悩はどれ程のものであったか。

「……癒しが欲しい。夢じゃなくて、本物の」
 不意に、誰かがそんな事を呟いた。
 同じことを思っていた者は少なからずいたようで、ぽつぽつと同意の声が上がる。
 確か予知によれば、本来襲われるはずだった女性は近隣の猫カフェで働く店員とのこと。
 ならば……ということで、癒しを求める猟兵達は街が目覚めるのを待ち、件の猫カフェ「ララキャット」の前へ再び集まったのだった。
パラス・アテナ
ああ胸糞悪い
カウンター席で泥のようなエスプレッソを飲み下すよ
無水アルコールでも呷りたい気分だね
……アタシの決断は、間違っちゃいない
間違っちゃいないんだ
でもね
「……それとこれとは、話が別さ」
痛む胸を、エスプレッソで洗い流そうか

カウンターのメインクーンがパラスをじっと見ると、頬を舐める

「なんだい、くすぐったいね」
舐められる感触に、バレットを思い出す
純粋な目に、孫達を思い出す
すり寄る毛並みの感触に、泣いていることを自覚する
「っ……!」
慌てて猫を抱きしめて、猟兵達に背中を向けるよ
こんな姿、他の連中には絶対に見られたくない
猫の鼓動が耳に心地いい
すぐにいつものアタシに戻るから、今だけは毛並みを貸しておくれ




「……ああ胸糞悪い」
 活気づく街をカウンター席から眺めながら、パラス・アテナ(サトラレ・f10709)は泥のような濃いエスプレッソを啜った。
 自分たちの戦いの結果、街の人々は何も知らず平和な今日を迎えることができた。
 それは幻影に打ち勝ったからこそ勝ち得た結果。この決断は、決して間違いではない。
 でも。
「……それとこれとは、話が別さ」
 痛む胸に、エスプレッソの苦味が沁みる。
 店が店なら自棄酒でも呷っていたのだけれど、と溜息をつくパラスの側に一匹のメインクーンの仔猫が歩み寄り、不意にその頬をぺろりと舐めた。
「なんだい、くすぐったいね」
 口ではそう言いつつも、可愛らしいその仕草に気持ちが解れていくのを自覚していた。
 その舌の温もりは、どこかバレットに似ていて。
 純粋でまっすぐな瞳は、幼い孫たちを思い出させて。
「っ……!」
 擦り寄る毛並みが、わずかに水を含んでいた。
 自分が涙を流しているのだと、その感触で気付いた。
「……今だけは、毛並みを貸しておくれ」
 きっとすぐに、いつもの自分に戻るから。
 他の猟兵達に背を向け、仔猫を抱きしめる。
 その温かな鼓動は、今を生きる生命の温もり。
 そんなパラスを気遣うように、そっと無言でコーヒーのお代わりが傍らに置かれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

伽宝・真冬
フォーリー(f02471)と一緒に参加。
可愛い猫たちを前にメロメロ。
猫じゃらしを駆使しては一匹ずつおびき寄せて、フォーリーの横できゃっきゃっとはしゃぎ、集めた猫たちをモフモフ愛でるよ。

配膳の手伝いなんて……真面目だね?猫に話しかけたり。
キャットタワーを試みて失敗したり。私が倒れたら猫たちが体の上にどさどさ〜って!むしろご褒美だよね!

近くにフォーリーが来たら猫を優しく押し付けて抱っこさせてみようかな。

彼はどんな記憶を見たんだろう。聞くことはないけど、これから楽しい思い出を沢山作ることには協力できたらいいな。だから……
ほらほら!抱っこして?


アドリブ歓迎


フォーリー・セビキウス
真冬(f09320)と一緒に参加。

猫カフェか、前に見かけたが。
然し…(真冬の様子を見て苦笑する。)いや、矢張り君でも女性という事か。
さて、といってもどうしたものか…、猫は嫌いではないが、ただこうしているだけというのもな。

最初は真冬や猫の様子を眺めているが、途中からやる事なさに女性に料理や配膳等の手伝いを打診し、手伝い始める
(※因みに料理の腕前はプロ級)

配膳をした際に真冬の様子を見に行き、猫を押し付けられて困惑しつつ撫でたり戯れる。

こんな事をしている暇は…いや、
全く、君には面を食らわされてばかりだよ。
だが…まぁ、たまには悪くはないか。
はは、よせよ擽ったい。

昔は、こんな機会は無かったからな…。




「すみませんね、こんなにお手伝いいただいて」
 カウンター席へコーヒーを配膳し終えたフォーリー・セビキウス(夢幻の残骸・f02471)に、店員の女性が頭を下げた。
「お気になさらずに。こういう場所での過ごし方には疎いものでね。こうしているほうが気が紛れるというものさ」
 共に戦った恩人に誘われて来てはみたものの、どうも良い過ごし方が思いつかない。
 ならば、ということで、フォーリーは料理や配膳の手伝いをしているのだ。

 その恩人――伽宝・真冬(404 Not Found・f09320)は、全力で猫たちのいる空間を堪能していた。
「おいでおいでー。よーしいい子だ」
 猫じゃらし一本を巧みに操り、猫をおびき寄せてひたすら愛で放題。
「あーもう可愛すぎるっ! そっちの子もわたしと遊ぼ!」
 視線を上げた瞬間、不意にフォーリーと目が合った。
「お手伝いお疲れ様。真面目だねー」
 膝にのせた猫をモフモフしながら、真冬がフォーリーに楽し気な笑顔を向ける。
 その様子に、思わず苦笑を零すフォーリー。
「……いや、矢張り君でも女性という事かと思ってね」
「むー、失礼なー。ていうか、猫ちゃんの可愛さの前では男女とか関係なくない? ほらほらー」
 悪戯っぽく笑いながら、フォーリーに猫を優しく押し付ける真冬。
「こんなことをしている暇は……」
「可愛いよ? すっごく人懐こいよ?」
 困惑するフォーリーに、少し強引に真冬が猫を抱っこさせた。
 まったく人見知りしない様子でじゃれつく猫をあやしながら、気付けばフォーリーは笑みを浮かべていた。
「はは、よせよ擽ったい。……どうした?人の顔をそんなに見て」
「んー? 別に。楽しそうだなって思って」
 フォーリーの笑みにつられて、真冬も明るく笑う。
 フォーリーがどんな記憶を見たのかは敢えて聞かないけれど、戦い終えた後の彼はひどく苦しそうな顔をしていた。
 その記憶を消すことは叶わなくても、せめて楽しい思い出で上書き出来れば。
 そんな気持ちを胸に抱き、真冬も全力で楽しんでみせる。
「みてみてー。人間キャットタワー! ……って、バランスがぁー!?」
「全く、君には面食らわされてばかりだよ」
 苦笑しながら、フォーリーが真冬を助け起こす。
 幸せな思い出を積み重ねるように、二人は平和な昼下がりを過ごすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

風魔・昴
麻生竜星(f07360)と
彼を『竜』と呼んでいる
アドリブ歓迎

「ど、どうしよう。可愛いが一杯!」
店に入ったとたん、思わず瞳をキラキラさせてしまって……
側に来た子猫をそっと膝の上に
「だってだって、この潤んだ瞳で見られたら……」
そして子猫を撫でたりくすぐったり
少々の甘噛みは気にしないわ
だってそれは元気な証拠だもの
「ふふ、君は元気ないい子だね?」
撫でていた手に今度はじゃれようとしてるようで……
「よし、今度は猫じゃらしで遊ぼう!」
負けないからね。とちょっと本気で子猫と勝負開始♪

時間を忘れて、思い切り猫達と遊びます


麻生・竜星
風魔昴(f06477)と
彼女を『スー』と呼んでいる
アドリブ歓迎

店に入るとすぐにスーの表情が少女になって、思わずくすっと笑ってしまう
「可愛いが一杯って……ったく、昔から好きだからなぁ」
そう言えば、母も猫を飼っていたな……あの子はシャムネコだったけれど。
子供の頃の俺とよく母の取り合いをしたよなぁ……。
色々思い出しながらスーの行動を見ていたら一匹の子猫が側に
そっと撫でると気持ちよさそうに目を細めて……
(なるほど。これは……確かに可愛い)

気がつけば、膝の上で寝ている子猫
別の子猫と戯れているスーを笑顔で見ながら、
安心しきって寝ている子猫を撫でる

優しい癒しを、ありがとうな?




「ど、どうしよう。可愛いが一杯!」
 風魔・昴(父の心と星の力を受け継いで・f06477)が瞳をキラキラ輝かせて店内を見回す。
 店内では、品種も歳もバラバラな猫たちが思い思いに遊んだり、のんびりお昼寝している。
「可愛いが一杯って……ったく、昔から好きだからなぁ」
 そんな昴のはしゃぐ姿を見て、麻生・竜星(銀月の力を受け継いで・f07360)も思わずくすっと笑ってしまう。
「だってだって、みんな可愛いんだもん……」
 昴がフロアのカーペットに腰を下ろすと、一匹の仔猫が人慣れした様子で膝の上に飛び乗った。
 顎の下を撫でてやると、気持ちよさそうにごろごろと喉を鳴らす。
 撫でる指にじゃれつくように甘噛みしようとする仔猫へ、昴は優しい眼差しを向けていた。
「ふふ、君は元気ないい子だね?」
 ふと床へ視線を下ろすと、手の届くあたりに猫じゃらしが落ちている。
 他の客が片付け忘れたのであろうそれを手に取ると、まるで魔法の杖を振るように猫の前で動かしてみせた。
「今度は猫じゃらしで遊ぼう!」
 巧みに振られる猫じゃらしに、仔猫も本気モードでじゃれつこうとジャンプする。
 まるで童心に返ったように、昴は仔猫と無心に遊んでいた。

「スーは元気だなぁ」
 仔猫と戯れる昴を微笑ましく見守りながら、竜星は昔の記憶を思い出していた。
 ペットの猫と、母を取り合った思い出。
 人によく懐いて遊び好きで、ちょうど今目の前で飛び跳ねている猫と同じくらい元気だったっけなぁ。
 そんなことを思い返しながら昴たちを見ていたら、いつの間にか竜星の傍らにも仔猫が座っていた。
 その容姿は偶然にも、母が飼っていた猫に似た面影のあるシャム猫。
 懐かしさをこめて頭を撫でると、幸福そうに目を細める。
(なるほど。これは……確かに可愛い)
 撫でる手を一瞬止めると、もっと撫でてほしそうに膝の上で丸くなる仔猫。
 竜星もまた、仔猫との触れ合いで温かな癒しを得たのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
おお、すげーや
ほんと猫屋敷だぜ、神社裏の猫集会みてーだ
え、猫カフェね、はいはい

人に慣れてんなあ(寄ってきた猫の喉をごろごろさせて)
あの子もばあちゃんもネコ派だったよなー

よ、お前オレの知ってるハナに似てんな?
よしよし
ハナはお前みたいに愛想もスタイルも良くなかったけどね
悪趣味な敵さんだったけどさぁひっさしぶりにハナにも会えたし
あの子にも会えたし
ま、いーんじゃね?
…ハハ、ホンモノより3割増し淑やかだったけど

まー贅沢言うならあの子とここに来たかったね
トーゴありがと
どう致しましてミサキ
このお菓子キレイで美味しいよ
とかそんな適当な話を…

なんてね
過去をねだっちゃダメだな
猫って笑わずに聞いてくれるから好きだよ




「おお、すげーや」
 鹿村・トーゴ(鄙村の忍者見習い・f14519)が店内を見回し、歓声を上げた。
 たくさんの猫がフロアでくつろいでいる姿は、まるで神社裏の猫集会。
 店員に促されカーペットに腰掛けると、一匹の猫が傍らでごろごろと寛ぎ始めた。
「人に慣れてんなあ」
 喉を撫でると、ゴロゴロと満足げに目を細める。
 その仕草に、トーゴは昔のことを思い出すのだった。
「お前オレに知ってるハナに似てんな?」
 愛想も器量も全然違うのに、温かな毛並みは過去の思い出を想起させて。

「……悪趣味な敵さんだったけどさぁ」
 膝の上に乗っかる猫を撫でながら、トーゴは昨夜の出来事を反芻していた。
 ハナとの思い出。あの子の幻。
 確かにそれは、邪神の教えへと誘う悪趣味な撒き餌、だったのだけれど。
「ま、いーんじゃね?」
 確かにあれは幸せな幻影だったのだから。
「まーでも、贅沢言うならミサキとここに来たかったね」
 二人で猫と遊んで、お菓子を半分こして。幸せなふたりがごく普通にする、幸せなデート。
「なんてね、過去をねだっちゃダメだな」
 猫がトーゴの顔を見上げ、不思議そうにニャアと鳴く。
 その態度が有難くて、トーゴは猫の頭をわしゃわしゃと愛おし気に撫でた。

 店を出ると、昨夜の出来事など何もなかったように街は活気に溢れていた。
 戦いの中で向き合った幻影にそれぞれの想いを抱きながら、猟兵達は自分の世界へ帰還するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月09日


挿絵イラスト