●地獄の沙汰も金次第
甲斐国某所。ここに小さな藩があった。今その城……と呼ぶには少々憚られる大きさの建物に、藩の主だった重臣たちが集められていた。
「殿、何を置いても駆けつけよとは如何な思し召しに」
見ての通りの小さい藩、重役とて政務はおろか雑事までもをこなさねばならない。それは藩主とてよく分かっているはず。
戦触れのある戦国の世でもあるまいし……そう思う重役たちの前で、年若き藩主は驚くべきことを口にした。
「うむ。実はな、私はこれよりクルセイダー卿にお味方し幕府を倒そうと思うのだ」
その言葉に一気に場が一気にざわつく。そのようなこと戯れにでも口にし幕府の耳に入れば、お取り潰しだけでは済まぬ一大事となるのだ。
「と、殿……一体何を」
「考えても見よ。我が祖父は長く徳川に尽くしその財を預かって来た。にもかかわらずその死と共に奸臣どもの言が入れられ、伯父御たちは皆切腹の憂き目、さらには相模の殿も改易となり余命いくばくもなし。我が一族を先に裏切ったは徳川の方ぞ!」
「し、しかし! 女児故に母君はご助命され、殿を無事お産みになることができました。あまつその境遇を哀れまれた家光公が関東に千石の知行も与えぬという神君のお言葉を反故にしてまで、わざわざこの藩をお作りになり殿を封ぜられたではないですか! 我ら幕府に恩こそあれ恨む道理など毛一筋もござりませぬ!」
父祖の時代に冷遇を受けたのは本当だが、当代になってそれに余る報いを受けたはず。そう重臣たちが諫めていると、藩主の背にした屏風の裏から一人の女が現れた。
「つまらないことを喚く男たち。それだからこのような田舎城一つで懐柔されてしまうのですわ」
黒目がち……を超えて完全に漆黒の闇に支配された両目を持つその女は明らかにただならぬ存在であるが、藩主はそれを愛おし気に抱きとめる。
「おお、小少将、これは見苦しい所を見せた」
美しくもどこか不気味さも感じさせるその女に、甘えるように擦りつく藩主。それは子供の仕草ではなく、明らかに情欲を露にした雄のそれ。
「殿、その女性は……」
「卿との連絡役を務めてくれる忍びの者だ。案ずるな、それ以上の関係ではない」
言葉とは裏腹に過剰なまでに藩主は女の体に手を這わせ、女もそれを拒む様子はない。
「そう。この甲斐国には金山があったはず。元をただせばそれも殿のものといえましょう。それだけではない。佐渡、石見、生野……全て殿の下にあるのが正しき姿のはず。城もこのような名ばかりの田舎屋敷ではなく八王子八千石、いえ、もっと東のより大きな……」
ならぬ、それだけは。あまりにも大きすぎる叛意を焚きつける女から、しかし重臣たちは唾を飲み込むばかりで目を離せない。
「ああ、なるほど。自分たちの利が明らかにならねば動く気が起きぬのも道理。殿、彼らにも褒美を」
「うむ。それもそうだ」
藩主が手を叩くと、まるでその場に突然現れたかの如く高露出の衣装をまとったくノ一たちが現れ重臣たちに纏わりつく。
(カネ……アタシのカネ……アタシが作って溜めてやったカネ……!)
くノ一たちが重臣たちに囁く。否、それは口から耳にではなく、その場にいる者全ての脳裏に直接響く声。
「事が成りし暁には、偉大なる祖父に倣いそなたら全員の墓石まで金で作ることを約束しよう」
「ふふ、それでこそ我が殿……」
藩主に抱き着きながらじっと重臣たちを見る女。その目の闇の中に吸い込まれるように、彼らの意識は落ちていくのであった。
●墓に着物は着せられぬ
「お疲れ様。今日はサムライエンパイアでの依頼よ」
子豚・オーロラ(豚房流剣士・f02440)が集まった猟兵たちにそう告げた。
「場所は甲斐国、今の山梨県ね。そこにある小さな藩の藩主が、猟書家に唆されて徳川幕府の転覆を企てているわ」
家光の時代だと甲斐はまだ幕府直轄地で正式な藩政は敷かれていなかったはずだが、やはりサムライエンパイアとUDCアースなどとでは微妙に歴史に差異があるのだろう。
「猟書家の名は『小少将』。これ自体は身分ある女性の呼称だけれど、戦国時代に数人、遡れば平安時代までそう呼ばれた有名な女性がいるわね。彼女は地位ある男を意のままにする魅了術を持っていて、それで藩主や重臣を籠絡して謀反に駆り立てたみたい」
小少将と呼ばれた者の中には傾国の美女と呼ぶにふさわしい来歴を辿った者もいるが、それと同一人物かは定かではないという。
「だから小少将を倒しに行って欲しいのだけど、既に彼女は警備の名目で配下の『白影流忍者』というくノ一オブリビオンの集団を城全体に配備しているわ。その数は尋常じゃなく、猟兵でもまともに相手取っていたらきりがないくらい。さらに小少将は『超・魔軍転生』で『日野富子』を大量召喚、配下たちに装備として憑依させているわ。富子の力は言うまでもなく金。それによって配下の装備はかなりグレードアップしているから気を付けてね」
自分の意思を持たず任務を文字通り命懸けで遂行する忍びの鑑の如き集団。さらにエンパイア・ウォーで全てに牙を向けた大悪災が憑装として憑けられているという。いかに猟兵とて多数相手取るのは骨だろう。
「ただ一つ抜け道があって、小少将の魅了が効いているのは『身分ある人』だけ。現場部隊レベルの武士たちは魅了されているわけではなく、疑問を持ちながらも上の命令だからとりあえず従っているだけ。彼らを説得して味方に着ければ、それなりの戦力にはなってくれるはずよ」
将軍家光の収めるサムライエンパイアにおいて猟兵の威光は絶大。天下自在符の下説明すればすべてを納得し力を貸してくれるだろう。
「白影流忍者たちを倒せば小少将との決戦よ。彼女本人は極端に強いわけじゃないけれど召喚術や装備貸与、地形書き換えを使い数や地の利を取ろうとしてくるわ。彼女を倒せば藩主や重臣も元に戻るから、思いっきりやっちゃって。武士たちは流石に直接の戦力にはならないけど、藩主たちを取り押さえるくらいは出来るんじゃないかしら」
猟兵の名があれば正気に戻った後これを不忠と呼びはするまい。予知では籠絡済みの状態しか見えていないが、元はそこまで愚かでも苛烈でもない男だという話だ。
「どうやらここの藩主、祖父の代に幕府成立時のゴタゴタで一族が一度没落したみたいね。そのお爺さんは相当なお金好きの女好きで、だけどそれを帳消しにするくらい有能だったみたい。本人はその時まだ生まれてなかったし、重臣が言ってたみたいに家光公に情けを掛けられてむしろ感謝してるくらいだったんだろうけど……まあ、他の世界の江戸時代ならともかく、サムライエンパイアの家光公ならこれで苛烈な処断を下しはしないでしょう。それじゃあ皆、よろしくやってきてちょうだい」
そう言ってオーロラは転移を開き、猟兵をサムライエンパイアの甲斐国へと送り出した。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。お金大好きな歴史上の人物ってなんか好きです。
今回はサムライエンパイアの甲斐国小藩で猟書家戦です。今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス(全章共通)……藩の武士達を説得する』
藩主はじめ偉い人達は猟書家に洗脳されてしまっていますが、実働部隊の武士たちは上に言われているから軍備しているだけでその行動自体には疑問を持っています。彼らを猟兵の名の下説得し味方に着ければ、手足として大いに働いてくれます。
第一章では『白影流忍者』との集団戦。肌も露なくノ一たちですが、戦闘では機械の如く冷徹に主命を果たすためのみに行動します。また彼女たちは『日野富子』が憑装されており、その力で装備が最高級品にグレードアップ、道具を使う能力が格段に向上しています。数も多いので、一定数は武士たちに任せた方が戦いやすいでしょう。
第二章では『小少将』とのボス戦。直接の殴り合いはさほどでもありませんが、地形を水浸しにしてのパワーアップや元夫たちの召喚、洗脳対象に具足を与え戦わせるなど召喚や強化を多用してきます。武士たちは流石に直接戦えるほどではありませんが、藩主や重臣を取り押さえさせることで利用されるのをある程度邪魔することができるかもしれません。なお彼女を倒せば洗脳は解けます。
藩主は予知では洗脳状態で無茶苦茶言っていますが、本来は幕府に逆らう気は全く持っていません。
名は大久保・安高(おおくぼ・やすたか)、年齢は15歳。母は既に亡く、祖父の事は『なんか良くも悪くも凄い人だった』くらいにしか本来は思っていない。
別世界の徳川配下にもいた同姓の似たような来歴の人物の孫かは不明。
それでは、プレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『白影流忍者』
|
POW : 斬撃
【忍者刀やクナイ】が命中した対象を切断する。
SPD : 手裏剣攻撃
【懐】から【手裏剣】を放ち、【痛み】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 分身の術
【複数の自分】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
イラスト:まっくろくろな
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
甲斐国某藩。その城に務める武士たちは、突如支給されたあまりにも豪華すぎる装備に困惑していた。
「正直、こんな刀渡されても俺たちには……」
今まで数打物のなまくらを飾りのように腰に下げていた自分たちが、突如として相州産の大業物を持たされた。それだけでなくその刀を自在に扱えるよう、毎日厳しい軍事訓練が課されるようになったのだ。
しかもその訓練の目的は、島原に居を構えたオブリビオンの新たな総大将クルセイダーの与力となり、徳川幕府を討ち滅ぼすためだという噂がまことしやかに流れている。
かつては容易にくぐれた城の門は今は固く閉ざされ、入ることができるのは訓練時に庭先までとなっている。そしてその訓練を監督するのは、見たこともない忍びの女。余計なことは一切口にせず、まるで感情などないかのように訓練を指揮し遅れた者は容赦なく打ち据える。それは愛の鞭などというものでは全くなく、役に立たぬ牛馬を打ち据える非情の鉄鞭。
そしてある者が気づいた。常に同じ女が監督をしていたのかと思っていたが、なんと同じ顔をした女が何人もいるらしいのだ。忍びだから多少の不思議はあって当然かもしれないが、家光公の知らしめすこの天下、それを超えて思い当たる存在がある。
『殿はオブリビオンに魂を売ってしまわれたのでは』
訓練の合間、偶然通りかかった家老にそれとなく尋ねてみようとしたが、帰ってきた答えが『卑しき下郎が口を開くな』。
答えられることには常に答え、言えぬことも冗談交じりに分かりやすくはぐらかしてくれたあの親切なご家老が。
そして、その家老が場内に入る時ちらと見えた黒い目の女と、その女を前にした家老の蕩けたような顔。
誰もが何かを感じ、しかし言えないでいた。言ってしまえばきっと全てが真実になってしまうから。
もはや城の中に、あの白装束のくノ一が溢れかえっている絵が見てきたかのごとく脳裏に描ける。そしてその奥、恐るべき乱行に耽る若き殿と黒い目の女の姿が。
そして今日も、恐怖を飲み込むが如く城の門が開く。
だが、この日門をくぐろうとするのは藩士たちだけではなかった。異国……否、異界の様相さえ纏った者たち。そして彼らが携えるは、葵の御紋の記されし『天下自在符』。
さあ、天下御免の猟兵たちよ。その威光にて彼らの口に出来ぬ恐怖を照らし、共に城に満ちる白き忍びと一戦交えよ!
秋津洲・瑞穂
一匹の狐火を道連れに大手門を堂々と潜り、番所には天下自在符を突き付けて通過。
止められるまではそのまま進みます。
止められても進みます。
「この身は神宮の神使、秋津洲の瑞穂。ご当家を惑わす尾振り者に神威を示しに参りました。――まかり通る!」
いえまぁ、妖狐に尾振り者言われてもって感じだろうけど。
悔しかったら、わたしの尾を振らせてみろ☆
「只人は下がられませ。尾振り者は逃しませぬ」
というわけで、秋津洲家の新当流は妖狐の流派。
実戦一本槍の戦国流のうえに、騙し惑わし幾らでも有。
駆け抜けながら叩き斬って回り、囲む暇など与えないわ。
ついでに言えば妖術も混ぜて戦う流派だけど。
せっかくの剣術勝負に無粋は無しよ。
甲斐国の小藩。突如豹変した藩上層部の指示の下、苛烈な訓練を強要される藩士たちを入れるため固く閉ざされた城門が開いた。その門を暗い顔で潜っていく藩士たち。
その藩士たちの後ろから、見覚えのない女が大手門を堂々とくぐろうとした。その傍らには焚き付けもないのに宙に浮く火球……狐火が。
突然のことに一瞬あっけにとられるも、慌てて番所から番兵が飛び出しその前に立ちふさがる。
「待たれよ、許可なき者を通すわけには……」
その言葉を遮るかのように、番兵の顔に何かが突き付けられた。それは葵の御紋の記された手形……『天下自在符』。
これがあらばそれ以上の許可など何に置いても必要はない。初めて直に目にするそれに、番兵たちはその威光に押されるかの如く後退って道を開けた。
そのまま女が追い越していく度、藩士たちからはどよめきが起きる。
「そ、そなた……」
時に思い切って声を掛けようとするものあれど、女の歩みは止まることは決してない。
「この身は神宮の神使、秋津洲の瑞穂。ご当家を惑わす尾振り者に神威を示しに参りました。――まかり通る!」
堂々たる宣言。己が名と身、そして目的を明かした秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)を止める胆力など藩士たちに在ろうはずもなかった。そしてその前に立ちふさがれる者あるとすれば、それは。
「狐風情が尾振りとは片腹痛し」
藩士たちの訓練を監督していた白装束のくノ一。忍者刀構えるその姿に隙は無く、闖入者を即座に排除せんとそちらへ一直線に駆け寄っていく。
(悔しかったら、わたしの尾を振らせてみろ☆)
そんな言葉は内心にだけ留め、僅か一歩、横にずれる。そのまま『神獣刀』を抜き打ちにし、女の体を一刀のもとに切り伏せた。
そのままどうと倒れ、白い肌と服を朱に染めるくノ一。
あの恐ろしいくノ一が。庭先が血で汚されたことよりそれに驚嘆する藩士たち。だが、瑞穂はさらに奥、城屋敷へと向けて言い放つ。
「只人は下がられませ。尾振り者は逃しませぬ」
それはまるで今から戦を始めるかの如き宣言。それに答えるかのように城から、さらには辺りの庭木や土の中からさえ大量の女忍者が飛び出してきた。その見た目は衣装のみならず、顔までもがたった今斬られた忍者と全く同じもの。感づいてはいたが改めて現実と現れたその光景に、藩士たちは震えあがる。
その忍者オブリビオン『白影流忍者』の群れの中を、狐火を連れた瑞穂が一気に駆け回った。
忍者たちは一斉に手裏剣を弾幕にするかのように投げるが、瑞穂はそれを刀を一閃し叩き落とす。さらに横から刀を構え飛び出してきた者は柄で殴りつけ、蹴り飛ばして後続にぶつけて邪魔とする。空中から飛び込んでくる者には対空突きを食らわせ、その骸から刀が抜けぬ間にと来る者あれば強引に骸を槌のように振り回して押し返す。
秋津洲家の新当流は妖狐の流派。実戦一本槍の戦国流のうえに、騙し惑わし幾らでも有。勝つこと、生き延びることが絶対の戦場に作法などなし。駆け抜けながら叩き斬って回り、囲む暇など与えぬかのようにあらゆる手を尽くし動き続ける瑞穂。
「断て」
言葉少なに号令を躱し、一気に飛び掛かる忍者たち。それを迎え撃とう……そう思った瑞穂の心に危険を知らせる直感が走り、とっさに身をかわす。ほんの一瞬前まで瑞穂のいた場所、そこにはくノ一たちが持っていた忍者等が、まるで豆腐にでも刺したかのように深々と石畳に突き刺さっていた。
(アタシの……金……!)
怒りに満ちた声が脳裏に響く。そうだ、彼女たちは『超・魔軍転生』によって『日野富子』を憑装され、その装備は金にあかせて最上のものに代えられているのだ。
集団型とはいえ最上級の装備を振り回せばそれはもうユーベルコードの域。気づけは神獣刀も僅かに刃が毀れている様にも見える。
それが圧巻の数、自分に向けられているのだ。果たしてこの不利、如何に覆すか。
手はある。妖狐の流派は妖しの流派。妖術も混ぜて戦ってこそその本領となる。
だが、瑞穂はあえてそれはしない。
「せっかくの剣術勝負に無粋は無しよ」
これより始まるは『戦』にある。剣のみにて相手取ってくれようと身一つで大勢の忍びを切って回る瑞穂。少しずつ疲労や負傷はその身に溜まっていくが、それでも恐るべき忍びを一人で多数切り伏せるその姿は戦の盤面を一人で塗り替える猛者のもの。
【剣刃一閃】にて白刃舞い血華咲かせるその姿は、この小藩において猟兵とオブリビオンの『戦』が始まったことを告げるのであった。
成功
🔵🔵🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
ご本人だけなら自業自得ですが、配下を巻込むのは?
『FAS』を使用し飛行、注目を集めると共に【酷郭】を発動、『裁域』を形成しますねぇ。
そして『自在符』を掲げ、武士さん達に「藩主がオブリビオンに魅惑されている」「お救いするのが忠義、事情を鑑みれば御上も悪い様にはしない」と告げ、御協力と城の案内を願いましょう。
忍者の『切断』は『裁域』による『大気の爆破』や『地形操作』で接近を封じ、『投射』は『爆破』による[カウンター]と『FGS』の重力結界で逸らして対処しますぅ。
後は『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]を中心に、武士さん達への[援護射撃]も併せて叩きますねぇ。
モアナ・ティアレ
天下自在符を見せ、武士達を説得
「藩主様達は、人ならざるもの、黒い目の女に操られていますわ」
「このままでは幕府と戦う事になりますわよ」
「操っている黒い目の女を倒せば、藩主様達は正気に戻られますわ」
「くノ一達は、黒い目の女の手のもの、倒すのを手伝って下さいませ」
敵味方を【誘惑】して『水精霊の魅了』
敵を、わたくしに見惚れさせ動きを止めたり、同士討ちさせたり。
武士達を強くし、傷を癒やしたり。
はちきれんばかりの豊満な胸、すらりとした美脚がまぶしい
色っぽく着崩した着物姿。
舞を踊るような美しい動きをするたび
豊満な胸がこぼれそうに揺れ
着物がはだけ、なまめかしい白い足が露わに。
神々しさすら感じる美しさで【誘惑】
ほとんど名も知られていないような田舎藩で突如として起こった猟兵とオブリビオンとの戦い。門の開閉を担当する番兵たちも所詮は上に言われて閉じていたにすぎず、天下自在符を見せられてからの一連の事に最早門を閉じることすら忘れてしまっている。
その門を通り、また新たな猟兵たちがやって来た。
「ご本人だけなら自業自得ですが、配下を巻込むのは?」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は天下自在符を掲げながらのんびりと門をくぐるが、それを聞いた傍らの藩士は顔を引きつらせて首を横に振る。
「そ、そんな……殿は日頃より徳川様には感謝の念しかないと仰せであられました。まさかそのようなことを……」
確かに、彼の一族は徳川によって処断され没落した。だがそれは当人が生まれる前の話だし、当代の藩主はむしろ苦境から救われたような状態だという。もちろん叛意が本当なら彼らも路頭に迷う故のこともあろうが、決してそのようなことをするはずがないと懸命に藩士たちは藩主をかばう。
「藩主様達は、人ならざるもの、黒い目の女に操られていますわ」
そこに割って入ったのがモアナ・ティアレ(海花姫・f26952)。気崩した着物姿は一瞬噂にあるその黒い目の女を思い起こさせたが、その手には間違いなく天下自在符が握られていた。
「このままでは幕府と戦う事になりますわよ」
例え心に疚しいところがなかろうと、その心そのものを掌握され操られてしまえば本人の意思など関係ない。その女に操られれば譜代、あるいは親藩大名でさえ幕府に弓引く兇徒と成り果てるのだ。そして主がそうなれば、たとえ心を奪われていなくとも末端の武士たちもまたそれに連ならざるを得ない。
「操っている黒い目の女を倒せば、藩主様達は正気に戻られますわ」
そしてその解決法は、端的に分かりやすいもの。
藩主に心からの叛意はなかろうということで、るこるも改めて藩士たちに協力を依頼する。
「藩主がオブリビオンに魅惑されているのならば、お救いするのが忠義。事情を鑑みれば御上も悪い様にはしないかと」
江戸幕府の長徳川家光はオブリビオン退治の指揮を執る、猟兵の総元締めにも近い存在。望まずしてオブリビオンに洗脳された者を責める意味などないことは誰よりも分かっていよう。
「くノ一達は、黒い目の女の手のもの、倒すのを手伝って下さいませ」
なれば藩を、そして己を守るためにすべきは何か。それをモアナは端的に藩士たちへと伝えた。
「出来ることならそうしたい……だが、我らにオブリビオンと戦う力など……」
「いえ、腕だけが力だけではありません。この城の構造などを教えていただけるだけでも十分でして」
るこるはまず屋敷の構造を藩士たちに尋ねた。その建物は城としては極めて小さいが、家と見れば十分に大きいのだ。
「はい、はい……入ってすぐは広間と控えの間、廊下を渡れば役人の執務室にござる。さらに奥には家老の間、そして二階の天守……いえ、冗談で皆そう呼んでいるだけにござりますが、とかくそこに殿は御座します」
たった二階建ての小さな城。彼のような一般武士が構造を知るとなれば出入りも簡単にでき、藩主共々皆でこの城の小ささを話の種に笑い合っていたのだろう。
然らば突撃と行きたいところだが、それを指せぬと白装束のくノ一……白影流忍者の集団が立ちふさがった。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その刑場の理をここに」
そうそうにるこるは【豊乳女神の加護・酷郭】を発動、周囲を自らの支配下とすることで敵の操作と爆破を試みる。
突如として爆発する空間に飲み込まれ、くノ一たちは吹き飛んでいく。その爆発は彼女らの投げたクナイや刀などの投擲物も吹き飛ばし、それによる切断さえ防いだ。
さらに周囲には重力空間を形成、決して近づけぬよう相手を抑え込み封殺の構えを取るるこる。
(テメェ、いくらしたと思ってんだ……倍にして返しやがれ!)
目の前のくノ一の表情こそ変わらぬが、確かに聞こえる怒りに満ちた声。それと共に破壊された地形に寄りかかり、自らを梯子とすることで数人のくノ一たちが障害を越え迫り来た。
「うっふん♪」
その迫るくノ一を、モアナは肌を露にし誘惑して待ち構えた。しかし誘惑術への耐性など忍びの基本。しかも相手は同性。そうかかるわけもない。そのはずなのに。
(クソッ! 動けよバカ忍者! 何の為に武器買ってやったと思ってんだ!)
忍びたちの動きが明らかに鈍っていた。敵に向かう足取りは重く、その鋭い刃を味方に向けようとさえする。
それもそのはず、モアナはただ肌を曝しているわけではない。ユーベルコード【水精霊の魅了】が集団型オブリビオンであるくノ一たちを乱し、洗脳していた。
敵が洗脳を使うならこちらも同じ手を使っても文句はあるまい。はちきれんばかりの豊満な胸、すらりとした美脚がまぶしい色っぽく着崩した着物姿が舞い踊り、周囲に色気を振りまく。舞を踊るような美しい動きをするたび豊満な胸がこぼれそうに揺れ、着物がはだけ、なまめかしい白い足が露わに。その神々しささえ感じさせる裸の舞いは、サムライエンパイアに伝わる古代神話の太陽を呼び覚ます踊りか。
そしてその動きに魅せられるは敵だけではない。踊りだけで岩戸が開かぬなら、その奥に籠る主の係累たる己たちがこじ開けてくれよう。その意と力を湧き上がらせた藩士たちが、我先にとくノ一たちへ切りかかっていった。
「ならば、援護しましょうかぁ」
その吶喊に、るこるは自らの兵とも言える兵装たちを援軍の如く従わせる。砲撃と爆撃が藩士たちを迎え撃つくノ一たちの視界を閉ざし体を崩し、そしてその身に彼らの太刀が降りかかる。
(あああああチクショウ! アタシの金で買ったのに! 全部アタシのもんだろうに!)
藩士たちの武器もまた、金の力で最上級品に代えられている。さらには彼らは短い期間とはいえ白影流忍者から地獄の特訓を課されて来た。オブリビオンが幕府転覆の為に彼らに与えたそれは、今この地を守る力としてそのオブリビオンに牙をむいていた。
二つの豊かな身からもたらされる、苛烈なる攻撃と魅惑の舞い。美しき女に力を与えられた兵たちのぶつかり合い。それは女と彼らに共にある『義』の差によって勝敗が決まったのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
WIZ
日野富子を憑装してるのは好都合。
前の戦争では救済する機会を逃したもの
『女帝の交渉』は一度に
14641G(1億4641万円)ばら撒くUC。
それをベテラン猟兵の財力で【乱れ撃ち】周囲を金で埋め尽くす。
くノ一達に憑いている日野富子が反応したら
【誘惑・催眠術】も上乗せして魅了
憎悪に歪んだ表情ではなく
貴女の満面の笑顔が見たいの。
私とお友達になって?
霊力による【ハッキング】で
日野富子の憑装を【盗み】自身に【ドーピング】
媚毒の【呪詛】入り母乳を雨の如く降らせる【範囲攻撃】で
憑装を失ったくノ一達を発情させ
【化術】で肉棒を生やして【串刺し】
舌や指先を使って、腋・乳・尻も【慰め・生命力吸収】よ♥
この動乱により、番兵たちも戦場へと入り最早門を守る者は誰もいない。何も阻むことなくなったそこを、また一人の猟兵が悠々とくぐっていく。
既に混戦となりつつある城の庭先。だが、白影流忍者たちの優れた感覚は新たな敵の来襲を見逃さない。
(テメェもか……テメェもアタシの金を奪いに来やがったのか……!)
変わらぬ表情の女たちから確かに聞こえる怒り狂った怨嗟の声。だが、それが聞こえたドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は期待通りと言わんばかりの笑みを浮かべた。
「日野富子を憑装してるのは好都合。前の戦争では救済する機会を逃したもの」
数多くのオブリビオン、とりわけ幹部クラスの女性型とは積極的に戦いその魂を吸収していたドゥルールだが、エンパイア・ウォー時に日野富子と相まみえることはついになかった。それから二年半、オウガ・フォーミュラであるクルセイダーの『超・魔軍転生』で彼女を含めた魔軍将たちは再び現世に、しかも大量に召喚され再び戦う機会を得ることとなったのだ。
相手が単独と見て、即座に多数に分身し囲みにかかるくノ一たち。その分身一人一人までに鋭く輝く忍者刀が持たされているのも日野富子の大いなる財力の賜物だろうか。
その刃が一機に突き立てられるその前に、ドゥルールは懐から巨大な袋を取り出し放り出した。
「私に従うなら永遠の幸福を約束するわ」
それはくノ一たちの目の前に落ち、がちゃんと重々しい金属音を立てる。それと同時に袋の口が緩み中身がその場にばらまかれるが、その中身は眼にも眩しい黄金色の大判……即ちこの世界における現金であった。
その眩い輝きに遠巻きに見ていた藩士たちからはどよめきが起こるが、くノ一たちは対照的に一切表情は変えなかった。彼女たちはまさに自分自身が金で売り解される道具にも等しい存在。自分の欲など持ってはいない。それを踏みつけそのままドゥルールに切りかかろうとするが、さらに追加で同じ金袋がそこに投げつけられた。
それも踏み越えようとするくノ一たち。だが、その足の動きが鈍る。
(金……金は全部、アタシのもんだ……!)
音としては発されていないはずなのに、大音量で響くが如きその声。それはくノ一たち一人一人に憑装されている、多数の日野富子が一斉に叫んだ声だった。
憑装された魔軍将は己の意思を失っていない。オブリビオン・フォーミュラである信長ならいざ知らず、実力はあるとはいえ一介の集団型に過ぎない白影流忍者たちがその意志を100%制御できるはずもない。そして今ばらまかれた金は、単なる目くらましでもない。
一袋につき14641G(1億4641万円)、【女帝の交渉】でばらまかれた金は、その輝きに魅入られたものに幸福と従属の感情を大きく湧き上がらせる。そしてその感情が強ければ強いほど、その効果時間もまた長くなるのだ。
(金、金がありゃ、徳川も、猟兵も、クルセイダーも! どいつもこいつもアタシに平伏すんだ! アタシの足元に這いつくばってアタシの足を舐めるんだよ!)
世を戦国に導いたほどの彼女の金銭欲は、満足という言葉を知らぬ程に深い。どれほどの金を得ても一瞬たりと満ちることはなく、千を得れば万、万を得れば億を欲しがる強欲の心が金を見て震えぬはずがない。
己の欲を持たぬ忍びと底なしの欲を持つ大悪災。両者の間に亀裂が入った所で、憑装の日野富子の方へ催眠術をかけより誘惑するドゥルール。
「憎悪に歪んだ表情ではなく貴女の満面の笑顔が見たいの。私とお友達になって?」
(よこせ……もっと! 金だけが、アタシの居場所を作ってくれるんだ! 金、金、カネぇぇぇぇぇっ!!)
それは浅ましく、あるいは純粋に、己の欲に忠実なる姿。だがその力を失おうと、白影流忍者たちは忍びとして成すべきことに変わりはない。輝きを失った名刀を捨て愛用の数打ちものを構えてかかる白影流忍者たちを、ドゥルールは今しがた金を吐き出した懐をより開いて待ち構えた。
そこから迸るのは、今しがた吸収した日野富子の呪いを乗せた呪詛の水流。それがかかったくノ一たちは、憑装を失ったこともありその呪詛に飲まれ動きをまたも鈍らせる。
そして目の前で富子が金の欲を貪るなら、己はこちらの欲を貪らんと一人のくノ一の衣装を剥ぎ取る。動けぬ相手のその体を弄び、自らの『槍』で串刺しとしていくドゥルール。
くノ一の数は圧巻。たとえ鈍ってもその最中に切りかかってくるものもいるが、憑装を失い鈍った動きではそれを躱すのはさして難しいことではない。金にむしゃぶりついている上に実体のない富子たちは防壁にはならないが、刃が己の身に届いたと手何とか浅手ではすむ。
ただその都度多少なりと行為を中断せねばならないが、そういった『おあずけ』でより欲は滾るもので。
「いつになったら満足するか、逆我慢比べといきましょう」
富子にそう言いながら、ドゥルールは掻き消えたくノ一の代わりにちょうど自分に切りつけた別のくノ一を捕らえるのであった。
成功
🔵🔵🔴
宴・段三郎
子豚殿が予知した依頼ってだけで、どんな助平な事を妖怪変化共にしても許される気がするのはなぜじゃろな
【行動】
今回はえちちくのいちと、熟女じゃな!
アリじゃのう!
でもおなごを斬るのは気が引けるでのう、そうじゃ、妖刀の原料にするのがええのう!
今回使うやや子はこちらぁ!
号 『無声慟哭』
号 『化生炉』
まずは号 『無声慟哭』で奴等の忍者刀に対し【武器落とし】をして無声慟哭に吸収させる
そして手ぶらな奴から化生炉自体に宿るコード、地国炉開闢を用いて、炎で【焼却】してやわこくし、刀身で【怪力】を使いて鋼を鍛えるがごとく何度も打ちつけるでの。もし一振り完成したら熟女戦に持ってくかのう!
あれ、助平なことしとらん!
オブリビオン事件には当然ながら必ずそれを予知したグリモア猟兵がいる。そしてグリモア猟兵によっては、なぜか似た傾向の事件を予知することが多くなる者もいる。
「子豚殿が予知した依頼ってだけで、どんな助平な事を妖怪変化共にしても許される気がするのはなぜじゃろな」
宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)はサムライエンパイアにおける今回の事件を予知したグリモア猟兵の顔……というかむしろそこから下を思い出しつつ、今回の事件もまた同種の事件なのではという気分になっていた。
まあ確かにそれっぽい依頼多く出してるし、彼女の同門が出てくれば大概そういう方向に流れるのであながち間違ってもいないのかもしれない……まあバルバロス兄弟も予知したりとかしていたので、例外も少なからずあったりするのだが。
とはいえ今回の敵はばっちり女性型、しかもボスは魅了を駆使するタイプである。
「今回はえちちくのいちと、熟女じゃな! アリじゃのう!」
段三郎のテンションも上がろうというもの。だが見た目が良ければそれはそれで躊躇いも出るもの。
「でもおなごを斬るのは気が引けるでのう、そうじゃ、妖刀の原料にするのがええのう!」
そして至る結論がそれというのは、やはり何かがおかしい気がしないでもないのだが。
だが、敵が如何な考えを持っていようと忍びたちは気にしない。敵が来たなら排除する。それだけを目的に一斉に周囲を囲み忍者刀を抜き放つ。
その抜かれた剣を、段三郎はまるで獲物でも来たかのような目で見た。その手に抜かれるは、号『無声慟哭』、号『化生炉』の二振りの刀。
一斉にかかった忍びの忍者等を、『無声慟哭』で叩き落とす。その刀は忍びの手から離れるが、地に落ちることなくまるで食われるかのようにその刀身へと吸い込まれて行った。
無手となったその忍びに、さらに『化生炉』が向けられる。だが、そこから繰り出されるは斬撃に非ず。
「鍛刀」
その身に纏うのは一片の創作意欲。そして刀身から【地国炉開闢】の炎が巻き起こり、忍びを包み込んだ。この刀を用いてしか放てぬその技は忍びを高熱で焼き、『溶かして』いく。そのまま高速で駆け寄り、己が刀身を大力を持ってその身に打ち付けた。
高い金属音と共に忍びの体が曲がる。さらにもう一打ちすれば、長く、薄く伸びる。それはまさに鋼を鍛え、刀を打つが如く。
敵に刀は通じぬ。ならばと残る忍びたちは武器を変え、懐から取り出した手裏剣を一斉に投げつけた。使い捨ての武器であるはずのそれは鋭く研がれ、まるで一投ごとに大枚を投げ捨てるかの如き上物の大盤振る舞い。
段三郎はそれを避けも、受けもしない。深くその身に刃が刺さり、血を溢れさせる。肉を切り裂くその激痛に、刀を打つ手が一瞬止まる。
だが、それも一瞬。すぐにまた刀を振り上げ、忍びを地金にした刀づくりを続ける。服はとうに燃え尽き、美しかった顔も潰れ、骨も肉も混然となり人の形はとどめていない。しかし、段三郎にとっては彼女は今のこの姿こそより美しいと思えた。
その一刀の仕上がりを前に、突き刺さる無数の手裏剣による傷も忘れる。出血量はとうに危険域。肉は裂け、短い刃でも繰り返し当たればいずれ骨にも届こう。
それでも、目の前の刀を作るという一点を止めるには至らない。
「もし一振り完成したら熟女戦に持ってくかのう!」
炎の中出来上がっていく刀。これは彼の黒目の女を切る一刀となるや否や。そして一振り出来上がれば、次の地金へ目を移す。
そうして意思を超えて体の限界が来るまで刀を打ち続けた果てに段三郎は気づいた。
「あれ、助平なことしとらん!」
己の血に濡れて化生を素材とした刀を打ったその姿に、色気の挟まる余地など無かったのであった。
成功
🔵🔵🔴
ベアトリス・ミラー
ホークと行動
アドリブ・絡みOK
「あなたは」
同心であり恨みを晴らす暗殺者、中村五郎との再会するとは。
「助っ人連れてきた」
第六感でまだ契約できていない霊体である浪人を見ると腕の立つ人と分かりますね。
私は戦乙女達を呼び出し対処しましょう。
集団戦術による指揮をとりつつ説得に回ります。
刑部さんの一喝でどこまで迷いが消えてるか、そこも見つつですね。
味方になってくれた人もうまく立ち回らせましょう。
ホーク・スターゲイザー
ミラーと行動
アドリブ・絡みOK
「俺も使ってくれ」
霊体である浪人の言葉を聞き、契約。
呼び出すのは中村五郎、刑部、鞘に付けられた紐で背負った太刀を持つ大柄な浪人、平手見喜。
「問う。命を賭す覚悟はあるか?」
十数年前、幼子であった現藩主と乱心したその実父との対決への覚悟を聞いて命を賭した刑部。
実の父と対峙するという覚悟、実の子を手に掛けんとする怒りが鬼へと変え、死してなお切れない絆を紡いだ。
「命を賭す覚悟在る者よ、俺と共に元凶を討つか?」
五郎の連れてきた見喜、鞘でいなして抜刀、鞘を腰に差して太刀を振い、無駄のない動きで首筋を斬ったりする。
五郎も複数の免許皆伝の実力で応戦して対処する。
侍。それは日本の剣士を指す言葉としてすでに世界に通じる言葉である。だが、元をただせば『侍う』、つまり誰かに付き従うことを語源とする言葉であり、仕える主を持たぬ者はたとえ刀を携えていようと侍とは呼べないとも言うことができた。
「あなたは」
ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)の前にいるのは同心であり恨みを晴らす暗殺者、中村五郎。彼はある男に使役される存在であり、語源に照らしても侍と言えた。たとえ呼び出しているであろう者は違っても、七度主君を変えねば武士とは言えぬという言葉すらある戦場ではそれは些細なことなのかもしれない。
だが、それが連れているもう一人の男。
「助っ人連れてきた」
そう言って中村が紹介する男は、恐らくどこかに紐づけられた存在ではない。その直感を肯定するかの如く、男は口を開いた。
「俺も使ってくれ」
言われた相手はホーク・スターゲイザー(六天道子・f32751)。その言葉を聞き、ホークはその男を自らの【守護者召現】の一員としての契約を交わした。多数の英霊を使役する男だが、人前でその人員を増やすのは珍しい事である。いつの間にか増えているような印象すらあったが、こうして増えていたのかとベアトリスも妙な気分でそれを見ていた。
そうして揃えた人員を、改めて並べる。中村に加え黒い陣羽織の男、刑部、そして今しがた参列した鞘に付けられた紐で背負った太刀を持つ大柄な浪人、平手見喜。
さらにはベアトリスも、【神世創造】による戦乙女たちを大量に召喚して戦列に加える。
俄かに集団戦の様相を呈してきたこの戦場。だが相手が増え続けていても、それを超える程に白影流忍者の数もまた膨大。忍者たちは臆することなく、研ぎ澄まされた刀や使い捨てとは思えぬほどに丁寧に作られた手裏剣を用い一斉に敵へと攻めかかった。
短い刃でまるで鋼すらも立つほどに鋭い斬撃を繰り出す忍者たちを、中村は剣で裁き、平手はその太刀で相手諸共切り裂かんとする。ベアトリスが見立てていた通り、その動きは鋭く彼の腕が立つことは明白だ。
そして刑部は鎖分銅で戒め体勢を崩させ、そこに他の者たちへととどめを掛けさせていく。
「問う。命を賭す覚悟はあるか?」
十数年前、幼子であった現藩主と乱心したその実父との対決への覚悟を聞いて命を賭した刑部。今藩主が敵の手に落ちた藩士たちに、己と同じように命懸けで切るべきを切る覚悟があるかと問う。
元より作られたばかりの小さな藩。過酷な戦場の経験や背負うべき歴史など誰も持っていない。だが、様々な理由で路頭に迷いかけていた者や閑職に追いやられていた者が集められ、その再起の場として作られた藩でもあるのだ。もしここで藩を捨てたとして、行く場所のない者も少なくない。
刑部は実の父と対峙するという覚悟、実の子を手に掛けんとする怒りが鬼へと変え、死してなお切れない絆を紡いだ。それと比べれば話のスケールはだいぶ落ちるが、それは一方でより生々しい、現実に直結した焦りと覚悟を生む。
「命を賭す覚悟在る者よ、俺と共に元凶を討つか?」
その言葉に、藩士たちは各々の刀を抜き戦列に加わった。
(こいつら雇うのにいくらかかったとおもってやがるんだ……!)
人手を動員するには相応に金が要る。それを踏み倒すような鼓舞は白影流忍者たちに宿る日野富子の神経をこの上なく逆なでした。彼らを制圧せんと、忍者たちは一斉に手裏剣を投げつけ全員の体を刻もうとする。
それに対しては、射線上に戦乙女たちを差し向けることでベアトリスが庇わせた。手裏剣の痛みは藩士たちに当たればその歩みを鈍らせようが、想像の続く限りは無敵な戦乙女たちは痛みには無縁。それを盾に差せながらも、ベアトリスは藩士たちの動きに注視する。
(迷いが消えていればいいのですが)
彼らとて己の為に藩を守る気概はあろう。だが、ほとんどの者が実戦な今日が初めて。それに対する迷いはないか、あるいは逆に高揚しすぎて突出しないか。時に戦乙女を壁のように出して動きを制限しつつ、集団戦の指揮を執るベアトリス。
そして中村が見出しただけあり、平手の剣技も中々のもの。鞘でいなして抜刀、鞘を腰に差して太刀を振い、無駄のない動きで首筋を斬る。忍びたちの忍者刀も鋭いが、リーチの差を活かして相手を両断していく。もちろん当の中村も、複数の流派の免許皆伝という腕前を存分に降るい戦っている。
これだけの達人を複数召喚するのだからその制御の難度は並ではないが、それはベアトリスと互いに召喚したものを差し向けあって守り合い、さらには藩士たちにある程度の忍者を任せることでその隙を何とか確保する。
少数の剣豪と多数の武士、そしてそれを指揮する者という小さな軍勢は、同じ命の下同じ動きだけで戦う白き忍びたちを少しずつ押し返していくのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鍋島・小百合子
POW重視
他の猟兵との連携可
久方ぶりに戻れば陰で戦の準備か・・・
幕府に楯突かんとする者らに討ち入ろうぞ
「肥前鍋島藩が女武者・鍋島小百合子!お目通り願う!」
まずは武士達に接触し自身の天下自在符を掲げ、事態を収めるために参った旨を伝えてから協力を取り付け情報を共有す
討ち入りの際にはUC「即興足軽兵招集」発動にて武士達に合った得物を調達、鬨を上げた後敵軍に強襲をかける
武士には集団戦術の徹底と敵の不意討ちの常時警戒を呼びかけ
わらわは薙刀の武術にて敵軍を蹴散らし(なぎ払い、範囲攻撃、鎧砕き、乱れ撃ち併用)、武士との連携を重視し孤立を避ける
戦こそ武士の本懐ぞ!各自の心意気を見せてみよ!
猟兵は多数の世界を渡る存在である。そして世界の情勢は一定ではない。殲神封神大戦のあった封神武侠界、新たに発見されたサイバーザナドゥ、そしてオウガ・フォーミュラとの決戦が行われているヒーローズアースと、今年に入ってからだけでもホットゾーンと呼べる世界は次々と移り変わっている。そしてそれらに積極的に向かう活動的な猟兵であれば、自分の故郷の世界ですら長く帰れぬことも決して少なくない。
「久方ぶりに戻れば陰で戦の準備か……幕府に楯突かんとする者らに討ち入ろうぞ」
鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)はこのサムライエンパイアは肥前鍋島藩、今でいう佐賀県を故郷とする者であったが、同時に活躍目覚ましい猟兵であるが故大きな乱の気配のないサムライエンパイアからは離れることも多くなっていた。そうした中で久しぶりに生まれた世界に戻ってみれば、起こっていたのは幕府に弓引く戦の支度をさせる毒婦の暗躍。例え生国ではなかろうとこれは捨てては置けぬ事態と、最早何も阻むことなくなった門をくぐり小百合子は城の庭へと進み入った。
「肥前鍋島藩が女武者・鍋島小百合子! お目通り願う!」
天下自在符を掲げ、生まれと共に堂々と名乗る小百合子。猟兵の口から出た知った地の名とその名乗り通りの武者姿に、藩士たちも彼女を受け入れる。
「肥前とは……遠き地からよくぞ参られた、忝し!」
実際には異世界に比べればむしろ近いとも言えるのだが、理解が及ばない場所は意識の上ではないも同然。そしてその理解を下敷きに、小百合子は武士たちとの情報共有を図る。
「この事態を収めるため、知るところを教えて欲しい。今の戦況はいかに?」
その問いに答えて曰く、敵の忍びの数は極めて多い。なれどここまでの戦いでついに尽きる様子が見えてきたとのこと。少なくとも人数頼みで城から相手を押しだせるような数は間違いなく残っていないはずだ。
そしておそらく藩主や重臣、そして彼らを誑かした黒い目の女は城の上階にいるはずだとも。
「なるほど……なれば、今こそ討ち入る時」
藩士たちをじっと見据え、共に戦うものとしての覚悟を確かめ合う小百合子。その言葉は、今こそ戦の時という意思で藩士たちを一つ薙ぎにした。
「我は誓う、全ての者を守ると……皆よ、我に続くが良い!」
その繋がりは心の身に非ず。【即興足軽兵招集】の力で現れた弓矢や手槍が、藩士たち全員の手に行き渡った。それは財にあかせて買い揃えられた高級品の武器をも超えて彼らの手に馴染み、その戦う力そのものを増大させ彼らを一段上の兵へと押し上げた。
「いざ参るぞ、己が城を奪還せん!」
「おおおおおおお!!」
鬨を上げ、自藩の城に強襲をかける武士たち。それを阻むかのように、何人もの白影流忍者たちが入口を固め忍者刀を突き出してきた。
「かような短い刀に槍が負けるか、突けい!」
何人もの武士が槍を構え、槍衾を作ったまま突進していく。いかに身のこなしの鋭い忍びといえどそれを全て切り捨てることなどできず、そのまま槍に穿たれ一度地を流した後消滅した。
そうして阻む者もなくなり、城内へとなだれ込んでいく小百合子と武士たち。
「敵は忍び、どこから来るか分からない! あらゆる方向を警戒せよ!」
この城は確かに彼らのホームグラウンド。だが、今は大量の敵が詰めていた敵地ともなっているのだ。天井から、床下から、通り過ぎた後の一瞬の隙を狙い白影流忍者が飛び出して来る。それが起これば即座に警戒していた者が対応し、かかってきた者を一斉に囲んで有無を言わさず刀や槍で突き刺して倒した。
一人で敵に当たらず、必ず取り囲み逃げ場ない状態で仕留めること、そして敵はいついかなる場所からでも襲ってくると警戒し続けること。この二点を武士たちに徹底させ、小百合子は誰一人欠けることなくての天守への到達を目指した。
もちろんただ指示を出すだけではない。小百合子自身が先頭に立ち、主力部隊として前から来る忍者たちを薙刀によって蹴散らし、なぎ払い、薄衣の下に纏った防具さえ貫いて荒武者の武を見せていく。
それはまさに一騎当千の兵の姿だが、小百合子自身は決して孤立することはなく、あくまで広く薙ぐという役目を持った一兵として武士たちとの連携を忘れない。
孤立してしまえば如何な強者とて数に押し潰される。ましてや共に戦う武士たちをや。戦いは数、数は力、それは戦における一つの常識であり、まさにここの『戦場』にて勝利を成すために必要なもの。
「戦こそ武士の本懐ぞ! 各自の心意気を見せてみよ!」
ここにあるは平和な小藩の弱卒に非ず。国を守り忠義を示すために戦う武士であると藩士たちを鼓舞し、女武者は彼らを率いて城の二階へと駆けあがる。
(ちくしょう……なんで、なんで、こんな安っぽい城に本気になりやがるんだ……! アタシの建ててやった城の方が、ずっとでかくて派手だったろうに……!)
大悪災の声を断ち切るかの如く、その行軍の前に最後の白き忍びが体を朱に染め倒れ後ろの大きな襖が露になる。その一枚向こうにあるのは、真に取るべき首とその盾とされた者たち……!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『小少将』』
|
POW : 墨に溺れて、武を忘れよ
【墨色の扇から呼び出される黒い津波】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を水場に変え、召喚した小型船に乗って】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 死生知らずの野武士のあなた
【扇から溢れる墨で創られた黒い具足を与える】事で【誑かした対象が天下無双の武者】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 傾城の烈女
【魅了】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【かつて『小少将』の夫だった亡者達】から、高命中力の【妻に言い寄る者を排除するための怨念】を飛ばす。
イラスト:木庭
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠火霧・塔子」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
甲斐国の小さな藩。そこを収める藩主の居城は、城とは名ばかりの二階建ての田舎屋敷であった。その小さき城の二階部分を、藩主含め城の者たちは冗談に『天守』と呼び笑っていた。その天守閣に、この藩を収める者たち全てが集っていた。
「これは何事ぞ! 私を次なる甲斐国国主……否、日ノ本全ての金銀を従える者と知っての狼藉か!」
まるで妄言としか言えないようなことを宣うのは、今だ少年の面影を残す若き藩主。その目は血走り、口からは泡を飛ばしおおよそ正気とは思えぬ形相だ。
「殿、どうやら彼らは不逞の輩に唆され恐れ多くも殿に槍を向けたようです。やはりこのような安い田舎に閉じ込められた者たちは心根も貧しくなるのでしょう」
そして藩主にしなだれかかりそう言うのは、闇の如き漆黒の目を持つ女。上等な着物をはだけ白肌を露にしたその姿は確かに美しいが、底なしの闇の如きその目を見れば心に抱くはまず恐怖であろう。
しかし、藩主はその女を愛おし気に抱き、淫靡な手つきでその体を撫でまわす。
「おお、そうだな……きっと祖父もこのような心卑しき奸物に妬まれ、一族の悲劇につながったのだろう。クルセイダー卿と共にこのような輩どもを日ノ本より排し、佞臣ばかりを飼う徳川を必ず滅ぼさねばならぬと改めて思うぞ」
サムライエンパイアにおいて、否、それどころかどの世界であっても言ってはならぬ言葉を並べる若き藩主。だが、それを聞いた藩士たちの表情に最早動揺や恐怖はない。
「おのれこの毒婦め、我らが殿から即刻離れよ!」
藩主の言葉に一切の本意はない。これは全て傍らのこの女が言わせていること。それを知り、戦う決意をした藩士たちは斬るべき敵を見間違えることなどありえなかった。
「ああ、何と恐ろしい。これが徳川の犬に誑かされた者の末路。かような者ども殿に近づけさせるわけにはまいりませぬ」
藩主から離れ、前に進み出る女。藩主は慌ててそれに追いすがる。
「待て小少将、何もそなたが行かずとも……」
「いいえ行かせてくださいませ。殿の願いはわたくしの願い。クルセイダー様もそうお望みになられております」
目と同じく墨色に塗られた扇を広げる小少将。だが目ざといものは見つけるだろう。その扇に隠された口元が全てを嘲るような笑いを浮かべていることに。
「我が君に天下を平らげていただくために。わたくしの思うがままにならぬ男などおりませぬ。その為なら……小少将、罷り越す」
扇を武器として構えるその身から溢れる闇の気配は、白影流忍者など及びもつかぬほど濃いもの。正気を保ったものならば、かような邪悪な女が奉ずるその君が誰かなど聞かずとも分かるだろう。猟兵よ、傾国の妖姫を討ち、小さき藩を取り戻せ!
鍋島・小百合子
SPD重視
他の猟兵との連携可
年浅き若君を誑かし幕府への叛意を口にさせるなど許し難き所業なり
毒婦なぞ討ち果たしてくれる
「それが若君の思い描きし天下無双の武者かえ?笑わせてくれるなよ!」
まずは黒い具足を与えられた若君の無力化を図る
速さに物を言わせるであろう戦法に対しわらわは薙刀で武器受け防御、相手の一撃を受け流してはこちらからは咄嗟の一撃を叩き込んでいく(見切り、カウンター、鎧砕き併用)
己が臣下に習った武芸すら忘れたか!
若君への一喝を浴びせたらUC「冷厳冬将軍」発動
薙刀より絶対零度の吹雪を起こし、黒い具足の若君ごと毒婦を氷結させれば毒婦にこちらの武技を叩き込む(なぎ払い、鎧砕き、乱れ撃ち併用)
小さな藩の小さな城、その『天守』に御座したるは幕府への叛意を明らかにした藩主。なれどそれを止めるために討つべきは彼自身ではない。
「年浅き若君を誑かし幕府への叛意を口にさせるなど許し難き所業なり。毒婦なぞ討ち果たしてくれる」
鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)がそう言って刃を向けるのは、藩主の前に立った黒い目の女。墨で塗りつぶされたかのようなその目を細め嘲るように笑うこの女こそ、地位ある男を意のままにする魅了の術を用いる猟書家『小少将』だということは猟兵たる彼女にはすでに分かっているのだ。
「おお小少将よ、そなただけを戦わせはせぬぞ」
彼女を守るように、その隣に藩主が並ぶ。その身は細く、最低限の嗜み以上の武芸は身に着けていなさそうにも見えるが、小少将は彼を見てくすりと笑う。
「ああ、頼もしゅうございます殿。それでは殿に相応しき具足を用意しましょう。どうぞお召しになってくださいませ」
小少将が藩主に向けて扇ぐように扇を一振りすると、まるでそこから溢れたかのように黒い墨が溢れ出し、藩主の体に纏わりついて形を取った。
「おお……素晴らしいぞ。これがクルセイダー卿のご加護か! これにて私は天下無双の武人ぞ!」
墨塗したかのような漆黒の具足。基本は日本鎧ながら所々に西洋風の意匠があるのは、小少将の真の主でありサムライエンパイア猟書家の首領たるクルセイダーの影響か。
サムライエンパイアにおいては江戸幕府は異国、異世界文化への傾倒を禁じてはいないが、その代わりに明確なる禁忌、脅威としてオブリビオンの名が知れ渡っている。明らかにそれに類する力を纏い高揚しているのは、彼がそれに類する者に魅入られてしまっているという証だろう。
その具足姿で刀を抜く藩主の姿勢は、先に見えた若輩の姿を覆すほどの達人のそれ。
「それが若君の思い描きし天下無双の武者かえ? 笑わせてくれるなよ!」
なれど、その姿を小百合子は言葉によって一蹴した。その言葉と同時に踏み込み、切りつけてきた藩主の太刀を己の薙刀で受ける。それは確かに早く鋭いが、決して受け止められぬものではない。
さらに一歩離れては切り返し、それを受け流されれば今度は刀を反転させ斬り上げる。それはまさに行きつく間もない神速の攻撃だが、小百合子は的確にそれを見切っては攻撃の隙間に細かな反撃を加えていた。
命は奪わぬよう鎧の留め具や薄い部分などを突き、その装備を少しずつ崩していく小百合子。それに構わず藩主は攻め続けるが、それそのものが決して『ならぬ』戦い方だと小百合子は確信した。
そして、大ぶりの一撃を薙刀に滑らせそのまま藩主の体制を崩す。
「己が臣下に習った武芸すら忘れたか!」
上に立つ者の武芸に必要なのは、一つは下を従える威を見せるもの。そしてもう一つは、国や軍の要として己だけは死んではならぬ堅守のもの。早く攻めるその姿は勇ましくこそあれ、平時の、それも文官を源流とする若君が修めるべき武では決してない。
小さかれども藩を纏め、訳あり者も多い藩士たちを預かる己の本当の身を思い出されよ。その一喝に、崩れた藩主の体の動きが止まる。
「仕方なし、なれば……」
閉じた扇を短棍のように振るい、小少将が前に出る。なれど肥前鍋島の女武者は、他者を誑かすことが本業の武辺に在らざるものに後の先など取られはせぬ。
「我が薙刀に込めしは猛烈なる寒波を纏いし冷気の渦……轟け!」
薙刀に溜め込んだ霊力が、猛吹雪となって小さな天守に荒れ狂った。その氷は黒き具足の若君とそれを誑かした毒婦を凍結させ、その動きを遮る。
「お、おのれ……」
歯噛みの声を上げるはどちらか。だがそのようなもの戦場で聞いている暇はない。
藩主は動けぬよう凍結を強め、小少将の方にはその白き肌を蝕む凍傷をさしむける。
「肥前鍋島藩女武者鍋島・小百合子、義によって貴藩をお救い申しあげる!」
薙刀の乱れ打ちが、氷もろとも削り砕かんばかりに黒き毒婦に叩き込まれた。
大成功
🔵🔵🔵
秋津洲・瑞穂
(神獣刀を肩に乗せて嘆息)
武を修めていない者を斬ってもね。
美貌が武器ということらしいけれど、こちらも妖狐。
手管は丸判りだし、異種族だわ同性だわでは仕方ないでしょう。
ま、試してみたらいいわ。
幼くして剣豪の称を得た戦巫女の精神修養が如何ばかりか。
呪詛や魔道の類を使っても無駄よ。
呪詛耐性/破魔/浄化と取り揃えているわ。
「神々を見慣れた目にその方など、塵芥と変わりませぬよ」
そして、わたしはもっと即物的よ。
百十五の狐火に取り囲まれて丸焼きになりなさいな。
「おいでおいで、火の子たち」
ついでに2回攻撃(二回目)/見切り/ダッシュ/鎧無視攻撃/
串刺し/生命力吸収で、神獣刀の贄にしてしまいましょう。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
「不逞の輩に誑かされた」ですかぁ。
自己紹介ということで宜しいです?
藩主や重臣に邪魔されては厄介ですからねぇ。
武士の皆さんは、其方の抑えを願いますぅ。
回避しても影響が残るなら、消去すれば良いでしょう。
『FAS』を使用し飛行、『扇』の発動に[カウンター]を合わせ【餮囹】を発動、範囲内を『乳白色の波動』で包みますねぇ。
此方はは敵対者の行動を阻害すると共に『攻撃』と『存在』を吸収する『波動』、『墨』自体を吸収し消し去ってしまえば『地形変化』も出来ません。
後は『行動阻害』により回避行動を抑え、『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FMS』の光線、『FBS』の斬撃を集中させ叩きますぅ。
小少将は若き藩主を様々な言葉で煽り、謀反に駆り立てる。魅了の術で籠絡済みとは言えそれを補強する目的もあるのか、ことさらに自らに敵する者を貶し、藩主に歯向かう不埒者であると囁きかけていた。
「「不逞の輩に誑かされた」ですかぁ。自己紹介ということで宜しいです?」
その言葉を、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はそのまま相手に投げ返した。その通り、まさに小少将本人こそが藩主に己を失わせ、あらぬ謀反に駆り立てた『不逞の輩』そのものなのだ。お前にだけは言われたくないと言わんばかりのその言葉。普段の彼女らしからぬほどの辛辣さだが、それだけこの敵が許しがたいということだろう。
そしてその不逞、不埒の手管は相手を洗脳し、己の言うがままにすること。自ら前線に立つより、たとえ自身より弱くとも籠絡した相手を戦わせることの方が彼女にとっては好ましい手段であり得手とするところなのだ。
極力自らの手を汚さぬそのやり方に、秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)は『神獣刀』を肩に乗せて嘆息する。
「武を修めていない者を斬ってもね」
魅了、美貌を武器とする小少将は自身の直接の力は低いと聞く。向こうも真剣勝負など望んでもいなかろうし、かような斬りがいなき相手に向き合うのも無駄というものだ。
「わたくしに憑装はありませぬが、彼女の考えは分かるところがあります。武を動かす力を持つ者こそが至上……それが金か色かの違いだけです」
墨色の扇を一振りすると、そこから墨の如き濁流が巻き起こる。それは瞬く間に狭い室内を満たし、そこをまるで小さな水槽の如くに変えた。その墨の海で、小少将は黒い小舟に乗り相手を見下ろす。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、咎人を留め置く扉の鍵を此処に」
それへの反撃として、るこるは【豊乳女神の加護・餮囹】を発動。部屋に乳白色の波動を広げることでそれによる墨の吸収を図った。波動に触れた墨は吸収され消えていくが、小少将は船の上で扇を振り直し、また墨を出す。
「慎みなく食ろうてばかり。動かぬ者の浅ましさよ」
言いながら墨を出し続け、白と黒が食らい合い、塗りつぶし合う。そのせめぎあいの下、藩主や重臣たちは手も出せずに見ているばかりであった。
「藩主や重臣に邪魔されては厄介ですからねぇ。武士の皆さんは、其方の抑えを願いますぅ」
共に来た藩士たちに、余計な手出しをされぬよう彼らの取り押さえを依頼するるこる。
「な、何をするか! 私を誰と!」
「分かっております! それ故にでござりまする!」
彼を抑えることこそ忠義。それを分かっている藩士たちは何を言われようと決して手を止めない。
「さて、わたくしはこれでも傾国の妖姫などと言われてきました。その食うばかりの者はともあれ……女狐、その獣性でわたくしに抗えますか?」
藩主たちを抑えられた小少将は、より強力な手駒を得ようと瑞穂の方へと目を向けた。その墨色の目は全てを魅了する深き闇を湛えているが、それを瑞穂はつまらなさそうに見返す。
「神々を見慣れた目にその方など、塵芥と変わりませぬよ」
瑞穂の記憶にあるのは、幼くして剣豪の称を得るための戦巫女の精神修養。怪力乱神に向かうこともあるそれは、ただ剣の技を得るだけでは到底足りずあらゆる呪詛や魔道の類の技に耐える必要がある。
「美貌が武器ということらしいけれど、こちらも妖狐。手管は丸判りだし、異種族だわ同性だわでは仕方ないでしょう」
さらに小少将の魅了はかかる者には深く強いが、その範囲は『地位ある男』のみと極めて狭い。猟兵ならぬ身である下級の藩士たちですら一切の効果がないのだ。ましてや女性の猟兵になどそう簡単に効くものではない。
そして何より、彼女はもっと即物的である。
「おいでおいで、火の子たち」
百十五の狐火が、丸焼きになれと襲い掛かる。
その攻撃、殺意を一つの形での自らへの欲求ととらえ、ようやく一人の男が呼び出される。
『我が……谷へ……小少将よ……』
切れ切れに言いながら怨念を飛ばすその男。係累に裏切られ、その頭を盃とされた雅の将。なれど、文に聡くとも武運拙きその男の怨念は狐の炎に焼き落とされる。
さらにそこへるこるが放った『FRS』『FSS』の砲撃と『FMS』の光線が散弾内にその男自身をも焼き消した。
「鉄砲を買えなんだ殿……富子殿を捧げたく存じました」
かつての夫に言い放つ小少将の心にあるのは蔑みか、哀れみか。
だが、それを聞いている暇も、聞いてやるつもりも女たちには無い。
「ではあなたもそうなればぁ」
その殿と同じく頭を落としてくれんと戦輪『FBS』が小少将の首を薙ぐ。扇を振り上げどうにかそれを止めるが、聞いた通り武に疎いその体はがら空き。
「贄となるのがお似合いよ」
そこに素早く踏み込んだ瑞穂が、神獣刀でその身を一突きにした。首を守り続ける小少将に、剣豪の突きをそこから躱す技量などない。
「ああっ……!」
その刀身を伝い、悪女の闇が刀へと吸われていく。人を誑かし力とする悪女の力は、ここに自ら練り上げた女たちの力に屈したのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
火土金水・明
「やれやれ、藩の乗っ取りとは穏やかではありませんね。邪魔をさせてもらいます。」「洗脳された方々は一時的に眠ってもらいました。武士のみなさんで安全な場所に退避させてください。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【蒼き魔法使い】を【範囲攻撃】にして、『『小少将』』達を纏めて攻撃します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【呪詛耐性】で、ダメージの軽減を試みます。(魅了も呪詛と仮定して)
「(攻撃を回避できたら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に繋げる事です。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
モアナ・ティアレ
『水精霊の超過強化』
人知を超えた美しさの妖艶な姿に
思わず美しさに魅了された藩士に
「あの女の事は、お任せ下さいませ」
「藩主様達の事、お願いしますわ」
「勝負ですわ」
大量の水を、龍の形にして操作する
【全力魔法】で攻撃。
津波を相殺、船を転覆も
藩主達を魅了して鈍らせ、藩士を援護
「ああんっ♪藩主様ぁ♪」
脳が蕩ける甘い声
「むぎゅー♪」
着物が窮屈そうな、豊満な胸を寄せ
藩主達に見せて【誘惑】
それだけで、胸の谷間に挟まれ
快楽に溺れている気分にさせる
『水精霊の超過強化』の効果が切れる寸前
水操作で目をくらまし離脱
「こんな姿、見られるわけには」
ロリ化し、着物ぶかぶかの少女の姿に。
ぺたんこになった胸を、恥ずかしそうに隠す
様々な言を弄す小少将。だが、結局のところその目的は一つだ。
「やれやれ、藩の乗っ取りとは穏やかではありませんね。邪魔をさせてもらいます」
火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)の言う通りに、彼女の目的は藩を乗っ取りクルセイダーの手駒に仕立て上げること。それが分かっているから、猟兵たちは彼女を止めに来たのだ。
なれど、小少将の方でも上層部の籠絡は既に完了している。それは表面的に動く傀儡としてだけでなく、有事の際には人質や使い捨ての盾としても用いるためでもある。現に、一度助けられてなお藩主たちは藩士の制止を振り切り小少将の下へ戻ってしまっていた。
その手段は、己の魅力、美貌を根源にした魅了の洗脳術。猟兵たちはいかにしてそれに対抗するか。
「超過強化!」
そのためにモアナ・ティアレ(海花姫・f26952)が【水精霊の超過強化】で強化したもの、それは自分自身の力であった。彼女が用いる技は二つ、水の力と、魅了の力。
「あの女の事は、お任せ下さいませ」
後ろに控える藩士たちにそう言って、纏っていた着物をさらにずらし肌を見せつける。それは藩士たちを魅了し心を震わせるが、やはり直に小少将の魅了に曝され続けた藩主たちまでもを解放するにはまだ足りない。
「墨に溺れ、黒く染まりませ」
小少将は扇を振り、墨の津波を巻き起こした。それは瞬く間に狭い室内を満たし、小舟に乗り込んだ小少将と藩主たち以外を黒い海の中に沈めようとする。
「勝負ですわ」
それに真っ向からぶつかっていくのは、モアナが召喚した水の龍。清浄なる水の力を黒き奔流にぶつけ、相殺する。
ぶつかり合う力は多方向に大きな波を起こし、それは小少将たちの乗る船すら揺らし、転覆させようとする。その上でも小少将はバランスをとり船の上に立つが、ただ魅了されているだけの藩主たちは船にしがみついているのがやっとだ。
その藩主の方へ、モアナは視線をやる。
「ああんっ♪藩主様ぁ♪」
脳が蕩けるような甘い声。普通ならその程度小少将に魅入られたものに届くはずもないが、魅了を本分とするモアナがユーベルコードでその力を強化しているのだ。その力は並のものではない。
「むぎゅー♪」
窮屈そうに胸を寄せ、誘惑する。それだけで、藩主たちを胸の谷間に挟まれ快楽に溺れている気分にさせた。
小少将の魅了は相手を手駒とするための滅びの魅了だが、こちらは相手を救うための魅了。性とは命と直結する衝動。なれば同じユーベルコード級の術となれば、どちらの魅力がより深く命に刺さるか。
その魅了に捕らわれた藩主たちが、思わず船にしがみつく力が緩んで墨の中へと転落した。
「藩主様達の事、お願いしますわ」
モアナの言葉に、藩士たちが賢明に墨の海を泳いで藩主を助けに行く。
「はな、がぼっ、はなせっ……!」
「殿、お暴れめさるな! 水を飲み申す!」
大声を上げ暴れるその体を水上で取り押さえるのは難しい。余計に水を飲み、溺れてしまう可能性すらあるのだ。そして当然と言えば当然だが、小少将は彼らを助けに行こうとなどはしない。
水上で暴れまわる藩主や重臣に手を焼く藩士たち。だが、突然彼らの体から力が抜け、抵抗をしなくなった。
「洗脳された方々は一時的に眠ってもらいました。武士のみなさんで安全な場所に退避させてください」
そう言うのは箒に跨り水の上に浮かぶ明。その隣には、蒼色のローブを着た女魔法使いの姿が。その声に応え、藩士たちは動かなくなった藩主や重臣を引っ張って泳ぎ室外へ退避していく。
「人の心を操る猟書家にそれ相応の報いを」
明と、その魔法使いが同時に言う。それに応えるように蒼い炎が広範に広がり、小少将の小舟を包み込んだ。【蒼き魔法使い】のその力は、人心を惑わす術を好む猟書家を倒し、それに操られた者を傷つけずに鎮圧するために練り上げられた、まさに小少将のような相手にピンポイントに深く刺さる力だ。
「ああ、何と……それほどの力あらばクルセイダー様も重宝なされましょう」
炎の中、小少将は妖艶に笑いかける。敵意、殺意も欲するもののうちとばかりに一つの男の霊が現れる。
「ああ、あの子も徳川により腹を切らされました。殿、どうか我らが国と子を奪いし徳川の血を吸い尽くしてくださりませ」
その声に応えるかのように、男はその身から蝙蝠のような怨念を飛ばした。だがその蝙蝠も、青い炎に包まれすぐに燃え落ちる。
「あなたの魅了は所詮呪詛……残念、それは残像です」
小少将の魅了はただ色気で相手を籠絡しているだけではない。より心の奥を侵し、本来の意志さえ塗りつぶす恐るべき術。なれど、それは常ならぬ手段故に呪詛の一種と括ることもできた。魔の法なら魔の力で防ぎ能う。燃えゆく蝙蝠が明の残像をすり抜け墨の海に落ち、そしてそれを放つ夫の霊も消えていく。
「なれば、墨に飲まれ……」
小少将が再び扇を振り上げる。その瞬間、龍の如き大津波が小少将にぶつかりその目を塞いだ。
「こんな姿、見られるわけには」
モアナが強化が切れる前の最後の力で、ありったけの大津波をぶつけ小少将の動きを封じたのだ。その直後力を使い果たしロリ化して着物ぶかぶかの少女の姿になったモアナが、ぺたんこになった胸を恥ずかしそうに隠しながら離脱する。
「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に繋げる事です」
一気に燃え上がる炎。それは猟書家だけを燃やし、それ以外の一切を傷つけることなく墨の海を炎の海へと塗り替えた。その炎の中崩れ落ちる小少将。その姿から察せられるダメージは、少しなどという言葉では到底表せるものではなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ホーク・スターゲイザー
ミラーと行動
アドリブ・絡みOK
前回のメンバーに加えて白虎の耳と尻尾を生やし長い銀髪を纏め上げた女戦士、馬の形をした宇宙としか言いようのない青く光る双眸の馬、黒装束にリュックを背負いフードを被り薄オレンジ色に光る目の怪人。
「私はアーカムのエージェントにして案内人のネモだ。馬がお前たちに付き合うと言ってここへ来た」
顔は黒一色かつ何かが蠢いているのは分かった。
「馬がお前たちに力を貸してくれる」
馬は能力付与や足場の具象化を行い、有利になるようにしてくれる。相手の創創り出す武具や地形への対処になる。
(この男と馬は一体)
サジタリアスを用いり弓矢による支援攻撃を行う。
軽業、見切りで回避しつつ五郎は暗殺を狙い刑部は鎖分銅で動きの抑制を狙い、見喜は斬撃波で扇子を狙う。
迷彩で隠れて爆発矢を取り出して小型船を狙う。
(姉妹だったのか、あの二人)
ベアトリス・ミラー
ホークと行動
アドリブ・絡みOK
「エリー姉さん?」
呼び出された銀髪の女は行方不明となった姉、エフリディート。
「見間違えたぞ、あれから大分経ったのか」
「変わってないのはエリー姉さんだけですよ」
募る話は後にし、今は敵を倒すことを優先にする。
グレイブを用いるエフリディートのアシストに回る中、ネモが声をかける。
「話さないか?」
バイザーにヒビの入ったアーマーのヘルメットを差し出される。
それを手にしたときに見えたのは装着者、そして最期の時。
「物語の紡ぎ手よ、これが運命を切り開く事を祈る」
新たに創造するのは黒いアーマーに青いバイザーのSF作品に出てきそうな兵士たち。
それぞれライフルやランチャーを持ち対応。
「させてはダメ」
一斉射撃により妨害を狙う。
「いいかよく聞け!殺すつもりで止めろ!できないとか言った奴はクソ以下の存在だ!」
とある軍曹並みの暴言に苦笑しつつも話す。
「すみません、姉は昔からこう」
男勝りで物怖じしない性格だったが再会したらより突き詰められてたと。
「助けたいなら本気で止めていろ!」
この藩は新造の藩であり、城もそれ相応に小さい。小少将との決戦の場となっている『天守』と呼ばれている間も決して広くないが、今その部屋にそれを埋め尽くすほどの人数がひしめいていた。
二人の猟兵と三人の侍。さらにそれに加えて白虎の耳と尻尾を生やし長い銀髪を纏め上げた女戦士、馬の形をした宇宙としか言いようのない青く光る双眸の馬、黒装束にリュックを背負いフードを被り薄オレンジ色に光る目の怪人。
まさか馬まで乗りこんでくるとは。その光景に藩士たちも呆然とするが、本人たちはそれに動じた様子はない。
「私はアーカムのエージェントにして案内人のネモだ。馬がお前たちに付き合うと言ってここへ来た」
怪人が自己紹介するように言う。その顔は漆黒に染まり、その内では何かが蠢いているようにも見える。墨で塗った小少将の黒い目とはまた異なる黒に塗りつぶされたその姿はやはり通常の感覚では異形としか言いようのないものだが、少なくとも目の前の猟兵を害する意思があるようには見えない。
だがその異形よりも、もう一人の銀髪の女のほうをみてより驚いている者がいた。
「エリー姉さん?」
ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)が信じられないとでもいうように女に声をかける。その女は行方不明となった彼女の姉、エフリディートその人であったのだ。
「見間違えたぞ、あれから大分経ったのか」
「変わってないのはエリー姉さんだけですよ」
積もる話もあるが、ここは敵地。この狭い部屋の中では自然距離を詰める形で接敵を余儀なくされるのだ。
「大勢でこのような手狭な部屋に……窮屈なのは好みません。去りなされませ」
扇を振り、墨の大津波を起こす小少将。それはまたしても小さな部屋を満たし、そこを墨の海へと変えた。
「馬がお前たちに力を貸してくれる」
ネモは馬にまたがりそう言うと、馬の方は足元に何かの足場のようなものを作り出してその上に立つ。そして次々と足場を作り出しては、墨に溺れぬよう他の者たちもその上へ乗るよう促した。
「さて、そう人数が多くてはわたくしも抗し切れぬというもの。殿、天下に令する身となれば水軍を率いることともなりましょう。及ばずながらこれにて水練の嗜みを」
今度はこちらも戦力として加えようということか、黒い具足を藩主たちに与える小少将。今度は軽く動きやすいそれを纏った藩主たちは、まるで水中戦の達人となったかのごとく墨の上に浮き上がる。
それをエフリディートがグレイブを用いて遠方から押し返そうとし、その後ろで援護に回ろうとしたベアトリスにネモが声をかけた。
「話さないか?」
今はそれどころでは、そう言おうとする間も与えず、バイザーにヒビの入ったアーマーのヘルメットを差し出すネモ。思わずベアトリスがそれを受け取ると、突如として装着者とその最期の時が脳裏に浮かんだ。
「物語の紡ぎ手よ、これが運命を切り開く事を祈る」
それがどういう意味か。はっきりとは分からないが、そのビジョンが頭にある以上できることはある。
「これが私の力です」
【神世創造】を用い、今見たばかりの黒いアーマーに青いバイザーのSF作品に出てきそうな兵士たちを創造する。それらは手にしたライフルやランチャーを用い小少将の乗る船を撃沈にかかるが、無双の武者と化した藩主たちは見知らぬ技術の兵器にも恐れずその前に進み出る。
「させてはダメ」
ベアトリスの指示に、さらに兵器を一斉発射しその妨害を試みる兵士たち。だが、技術の進み過ぎた兵器は殺傷能力も高い。幸いにして藩主たちに与えられた黒い具足が防御を補っているため殺さずに済んではいるが、広範囲を破壊するタイプの兵器では器用な鎮圧はやはり成しがたい。
そうなれば、やはり彼らを抑えるには人の手を用いるほかはない。
「いいかよく聞け! 殺すつもりで止めろ! できないとか言った奴はクソ以下の存在だ!」
突如、エフリディートが控える藩士たちを一喝した。それは映画に出てくる暴言だらけの軍事教官の如き声。白影流忍者が付けていた無機質な訓練とは違うそれに一瞬藩士たちも驚いて身をすくませる。
「すみません、姉は昔からこう」
男勝りで物怖じしない性格だったが再会したらより突き詰められてたと、ベアトリスが言い添える。
男勝りという範疇に収めていいのかというくらいの勢いだが、それでも伝えたい言葉ははっきりと。
「助けたいなら本気で止めていろ!」
そう、成すべきはまさにそれ。助けるべき者たちを自分が抑えていれば、あの恐るべき女は猟兵たちが倒してくれるのだ。決死の思いで墨の海を突っ切り、再度藩主たちを取り押さえにかかる藩士たち。
「幾度振り払われようと、我ら殿をお止めします!」
彼が治めるこの藩が、自分たちの生きていく場所なのだ。現実的な問題と、武士としての忠義。その双方が合わさり、実戦経験などない田舎侍を無双の武人すら抑え込む死兵へと変える。
(姉妹だったのか、あの二人)
その二人を横目に見つつ、ホークもまた戦線を支えようとする。藩主たちが抑え込まれた今、狙うは小少将の方。『サジタリアス』を抜き、小少将の乗る小舟を撃ち転覆を狙う。
「狭き場所で弓など射ても。それは遠間においてこそ真価を見せるものに」
遠距離武器は近接戦では効果を発揮しない。そう嘲る小少将に、なら望み通りとばかりに剣士たちが乗り込んでいく。
一人は鎖分銅で戒め、一人は扇子を切り払い、一人はそうして抵抗できなくなった相手を仕留めにかかる。剣士たちの三位一体の攻勢が、直に戦う力は高くない小少将を一気呵成に責め立てた。
とうぜん、彼らとて足場が確かでなければその力は存分には振るえない。それを作ったのは、戦況を見る異形の怪人。
(この男と馬は一体)
幌馬車の商人、白き明星、そしてこの怪人。またしても己にも計り難き力が増えた。オーバーロードを用いた今にしてなお彼らの存在は計り知れない。ただ言えることは一つ。今眼前で成すべきを成すには、彼の、彼らの力を利用すべきだということ。
先に剣士たちの支援に用いた弓に、また別の矢をつがえる。そしてそれを察したか、剣士たちは今度は己が支援役となる番だと、絡めた鎖を強く引いて小少将を引き倒し、立てぬよう足を切りつけ、大きな斬撃波でその生命力を削ぐ。
「く……あぁ……」
うめき声をあげ、何とか立ち上がろうとする小少将。だが、その眼前の船べりに一本の矢が突き立った。そこに括りつけられているのは大量の爆薬。
「あ……!」
何かを叫ぼうとするが、その間もなく矢は大爆発を起こした。小さな船が爆炎に包まれ、大きく吹き飛ぶ。
それは部屋の天井にぶち当たり、小少将諸共床へと落下した。そのまま船、そして墨の海は消え去り、残った小少将の体だけが畳に叩きつけられる。
「う、あぁ……」
華奢な体を曲げ、苦しみの声を上げる小少将。墨ではなく火傷と焦げに黒く塗られたその体は、彼女が不得手とする直の戦で大きくその命が削られたことの証のようにも見えた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘グロ×
WIZ
真の姿で背中に黒炎の翼
小少将様……なんて妖艶なお方……♥
彼女の夫だった亡者達が怨念を放ってきても
守護霊の【ドーピング】による強化と
【オーラ防御・呪詛耐性・狂気耐性・気合い】で物ともせず
【残像】が残る速度で小少将様に抱き着く【ダッシュ・怪力・捕縛】
そのまま彼女を窓辺から連れ去り【空中戦】
亡者達が追って来ても『快楽の檻』で直径121mの群体淫魔となり
戦闘力605倍化した私の【属性攻撃】の光で殲滅
黙れ人間!!
お前に彼女の運命が変えられるか?
彼女を何度も殺している猟兵達から守れるだけの力があるか?
お前に小少将様を救えるか!!
藩主を黙らせつつ自身を【鼓舞】
小少将様を群体内に取り込んで服を脱がし
【祈り】を籠めた手で彼女の全身を愛撫して傷を癒しつつ
漆黒の瞳を見つめ【誘惑・催眠術・全力魔法】と
媚毒の【呪詛】唾液を注ぐ濃厚なキスで魅了
私なら貴女の運命を変えられる。
共に来て。貴女は美しい
彼女の知る誰よりも
優しい愛撫、力強い抱擁、熱く濃厚な【串刺し・乱れ撃ち】で
身も心も魂も【慰め・生命力吸収】
サムライエンパイアには日本以外の国は存在しない。神隠しや持ち込み品、将軍家光の影響などで異国の文化がまれに現れることもあるが、基本的には江戸時代の日本にある文化しか存在していない。
それ故、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)の今の姿はこの場所では違和感の強いものであった。
その背には黒い翼。無理にこの世界で解釈しようとするならば烏天狗あたりか。だが、それが炎でできているとあれば、この世界において何かにあてはめて考えることはやはり難しいだろう。
「小少将様……なんて妖艶なお方……♥」
黒炎の翼を背負った真の姿で、ドゥルールは小少将にうっとりと笑いかけた。だが、それを見返す小少将の目は常と変わらぬ墨色。
「そう。ですが、貴女はこの日ノ本に国を持つ身ではない模様。わたくしが興味あるのは力ある殿方だけです」
江戸時代に置いて女性の領主は、一般的に認知されている範囲にはほぼいないと言ってよい。それ故小少将は女性には誘惑対象としての興味は抱かないのだろう。
小少将は手にした扇を振り、傍らに男の亡霊を呼び出す。
「阿波の諍いは泡と消ゆとも、此度は共に島原へありましょう」
現れる二人の男の亡霊。まるで競い合うように呪詛をドゥルールに向けて飛ばすが、ドゥルールはそれを正面から受け止める。
黒い炎の翼で男たちの呪詛を打ち払いながら、その翼をはためかせ強引に小少将へと抱き着くドゥルール。
その姿に、妻に言い寄ることを許さぬという男たちの怨念はより強くなり、また小少将もそれが分かっているのかあえてされるがままにしている。そしてドゥルールもそれを良しとばかりに、そのまま翼をより強くはばたかせて小少将を窓に向かって押し出そうとした。
「おのれ魔の物め、我が小少将をいかにするか!」
藩主たちが追いすがろうとするが、それを無視してドゥルールは小少将を窓の外へと連れだしていく。
窓から身を乗り出し喚き散らす藩主たちを、空中でドゥルールは一瞥した。
「黙れ人間!! お前に彼女の運命が変えられるか? 彼女を何度も殺している猟兵達から守れるだけの力があるか? お前に小少将様を救えるか!!」
山犬の如き形相と咆哮での一喝。操られているだけのものに無茶苦茶なとも言えるが、同時にそれは紛れもない事実。所詮ただの人間たる藩主たちに空飛ぶ者を追う術などなく、いかに正気を失った彼らと言えど窓から飛び出したとて何もできず落ちていくだけということくらいは分かっている。そうして手をこまねいている隙に、藩士たちが藩主を今度こそ完全に取り押さえた。
だが、人は追えなくてもそうでないものは追ってくる。夫の霊たちが窓から飛び出し、空を飛ぶドゥルールに追いすがる。
「愛は全てを包み込むの」
その霊たちを、ドゥルールは【快楽の檻】で大量の群体となりその中に包み込んだ。その中で大量の光で包み、男の霊たちを消し去っていくドゥルール。
同時に、その群体で小少将の全身を包み込み、その服を剥ぎ取って体を撫でまわす。小さな手一つ一つに祈りを込め、相手の黒い目を誘惑の催眠波を放ちながら覗き込み、唇には口づけて唾液を流し込む。
「私なら貴女の運命を変えられる。共に来て。貴女は美しい」
オブリビオンは死した存在。生きろなどとは言えないが、骸の海の先で幸せになれれば。
「わたくしの今の殿はクルセイダー様……そこより離れるは我が君が死するときのみ」
小少将と呼ばれた有名な女性は、生前複数の有力者の元を側室として渡り歩いた。その中には、戦で前夫を死に追いやった者への再嫁もある。
そうして幾人もの男を知る彼女に、ドゥルールはその誰よりも優しく、力強く、濃厚にその身を求め、己の肉の槍で突き刺し生命力を啜る。
召喚した者を消され、籠絡した藩主たちからも引き離された小少将は強引に戒めを敗れるだけの力はない。あるいはそれを理解しているからこそ、彼女は様々な意味で力ある男の傍に常に侍りたがったのか。
「強き方を、我が盾、我が城に……それがわたくしの生き方……」
それが自らの在り方と言いながら、群体の中に小少将の体は消えていった。そしてそのまま一つに戻ることなく群れが散るように、ドゥルール自身の姿も掻き消えた。
「この度は申し開きの仕様もない。全ては私の不徳の致すところ」
小少将の消滅と共に正気に戻った藩主と重臣たちが、猟兵に向かい深々と頭を下げた。その表情には深い悔恨と謝意のみがあり、散々口にしていた言葉が全て心にもない事だったということが容易に見て取れる。
「私はこれより江戸表へ行き、将軍様に申し開きをしてこようと思う。その上で如何なる処罰も甘んじて受けるつもりであるが、それと引き換えに最後の我が儘として藩の者たちの命だけは免じて頂くつもりだ」
本人は本気で斬首でも切腹でも受け入れるつもりなのだろうが、猟兵の側からすれば肩透かしに終わると分かり切っている覚悟を決める彼が滑稽にすら見える。猟兵ならぬ身がオブリビオンの術に抗し得ることは、よほどうまく相手と自分の能力が噛み合わぬ限りほとんどないのだ。それを知る将軍が彼を責めることはあるまい。
江戸から返ってきた彼は、此度の一件で疲弊した藩の立て直しに追われることになるだろう。かつて彼の祖父は日ノ本全ての金山銀山を管理した証と誇りとして、死後は黄金に満たされた棺で葬られることを望んだという。その孫である彼には、まず生きる場を皆に必要な金で満たすという仕事がこれから長く待ち受けているのだ。
彼が骸を金の中に収められる日は、きっとまだまだ遠い。
大成功
🔵🔵🔵