●グリモアエフェクト
将来訪れたであろう『大いなる危機』――それは強化された予知である『グリモアエフェクト』によって防がれた。
儀式魔術【Q】が世界の謎を暴く、暴虐なる知の剣であるというのならば『グリモアエフェクト』は在り得たかも知れない危機を未然に防ぐ盾である。
UDCアースにおいてUDC怪物が現れるのは、太古の封印が解かれる、邪悪な教団の儀式、謎めいた都市伝説、理解不能のオブジェクト……様々な原因が知られている。
どれもがとりとめもないものであったし、偶発的なものでもあった。
けれど、『グリモアエフェクト』が導き出した予知は、恐るべき未来を知らせるものであった。
「――……」
「うう、うううあ、ああ、ううう……」
声なき声と嗚咽が響き渡る。
不定形の黒い粘菌の如き怪物と嗚咽漏らし続ける影が蠢いていた。彼等に意志はない。
彼等がいるのは嘗ては鉱山として栄えた山村であった。
産出されていた銀が採れなくなったことによって閉山された鉱山は、もはや自然の中に飲み込まれようとしていた。
鉱石を搬出するためのトロッコの線路が敷かれた鉱山の入り口から次々と不定形の黒き粘菌『アモルフェス』と嗚咽への『影』が溢れ出していく。
「――……」
「ああ、う、うっ、ああ、うぐ、あああ……」
彼等は皆、鉱山の奥から発生したものであった。
いや、発生したのではない。迷路のように入り組んだ鉱山の坑道の奥に存在する『UDC怪物を無限に自動召喚する装置』によって召喚され続けているUDC怪物なのだ。
鉱山を切り開くために掘り進めた坑道が宇宙より見上げれば魔法陣を描いていた。
そして、それが鉱山の中にある銀を媒介にして力を発露させたのかもしれない。
それは偶然か必然かはわからない。
けれど、どちらにせよである。このまま自動召喚が続けばどうなるかなど火を見るより明らかである。
人知れず山村にあふれかえる黒き粘菌と影は意志無きままに溢れかえるように増殖し続けるのであった――。
●呪いの鉱山
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はUDCアース……無人の山村において溢れかえるUDC怪物たちを掃討していただきたいのです。そして……」
ナイアルテが示すのは一枚の紙。
そこに描かれていたのは複雑怪奇な魔法陣のような図面であった。
「これはある閉山した鉱山の坑道の図面です。偶然か必然かはもはや知りようがありませんが、どうやらこの坑道の内部にUDC怪物を無限に自動召喚する装置があるようなのです」
ナイアルテの言葉に猟兵達はどよめくことだろう。
UDC怪物が無限に召喚される装置。それは『大いなる危機』と呼ぶに相応しいものであったからだ。
溢れかえったUDC怪物を処理することは長大な時間がかかる。
今回の予知によって、それが早い段階で対処することができるというのは不幸中の幸いであったからだ。
「はい。幸いなことに、この鉱山は山村として機能していましたが、閉山してすでに無人です。今はまだ人的な被害が発生していないことを喜ぶべきでしょう。ですが、放置すれば、UDC怪物たちはあっという間に人里まで溢れ出てきてしまうことでしょう」
だからこそ、それより早く鉱山の坑道に乗り込み、最奥に存在している自動召喚装置を破壊し、召喚をとめなければならない。
やるべきことは単純明快である。
だが、単純なだけで困難な戦いになることは明白だった。
「鉱山の坑道内部は既に溢れ出していた低級UDC怪物に満たされつつあります。彼等を外界に解き放つわけにはまいりません。突入のために入口付近のUDC怪物を一掃し、坑道内部に秘匿された自動召喚装置を探しましょう」
入口付近を固めているのは黒い粘菌のような不定形の怪物『アモルフェス』である。蠢くように形を変えているが、猟兵の攻撃で打撃をうけるようである。
これらを撃破しつつ、まずは突入の道を拓かねばならない。
「入り口の『アモルフェス』を一掃したのならば、坑道に突入しましょう。先程ご覧になった坑道の図面を思い出してください。たとえ、魔法陣を坑道が描いていたのだとしても、自動召喚装置としては機能しないのです。ですが、装置として起動している以上、何らかの魔力や召喚のための源になっているものがあるはずなのです」
恐らく、鉱山に秘匿された鉱石が原因なのだろう。
これを見つけ出し、破壊することで自動召喚を止めることができる。
あとは自動召喚を止めた後、残存のUDC怪物である嗚咽への『影』を一体残らず掃討するのみだ。
「自動召喚は無限に続く恐るべき儀式です。一刻も早く止めねば、いずれ世界を飲み込むことでしょう。これを止めることができるのは皆さんだけです。どうかお願いいたします」
ナイアルテは頭を下げて猟兵達を見送る。
転移の先にあるのは激闘であろう。しかしUDCアースに世界の破滅をもたらさぬためにも猟兵は暗闇に閉ざされた坑道の中に蠢く怪物を打倒し、召喚儀式を止めなければならないのだ――。
海鶴
マスターの海鶴です。
今回はUDCアースにて強化された予知、『グリモアエフェクト』によって見いだされた『UDC怪物の無限自動召喚』を止めるシナリオになります。
●第一章
集団戦です。
無人の鉱山の坑道の内部には既に溢れ出したUDC怪物『アモルフェス』に満たされつつあります。
これらを外に放つわけにはいきません。
入り口付近に溢れそうになっている『アモルフェス』を打倒しましょう。
また入口付近ですので、多少は明るいです。
●第二章
冒険です。
鉱山の坑道内部の何処かにある召喚装置を止めないことにはUDC怪物は無限に湧き出し続けることになります。
坑道内部へと突入しますが、明かりなどはありません。工夫する必要があるでしょう。
未だ鉱山の坑道の中には、かつて使われていたであろう掘削の道具や、坑道内部の休憩スペースが儀式祭壇のように機能しています。
しかし、本命である儀式の中核である巨大な銀鉱石は秘匿されています。
これを探し出し破壊しなければ自動召喚は止まりません。
探索し、見つけ出して破壊しましょう。
●第三章
集団戦です。
自動召喚を止めてしまえば、後は残されたUDC怪物である、嗚咽への『影』を一掃するだけです。
引き続き坑道内部であるために明かりなどが必要となるでしょう。
坑道の中で蠢く影を掃討しましょう。
それでは、UDCアースにおいて無限なるUDC怪物の自動召喚儀式を止める皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『アモルフェス』
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POW : 打ち据え嬲るもの
【触手】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 刺し穿つもの
自身の肉体を【先端が尖った形状】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ : 侵食するもの
全身を【冒涜的なオーラ】で覆い、自身が敵から受けた【忌避感】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
イラスト:烏鷺山
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
誰かが意図したことか、それともただの偶然かはわからない。
けれど、空からその鉱山の内部に走る坑道を空から見下ろした時、確かにそれは不規則な魔法陣を描くようでもあった。
そして、それだけではUDC怪物の自動無限召喚の儀式となることはありえない。
立地的な意味合いもあり、そして内部に未だ産出されていない銀鉱石が存在していたことが全ての原因であろう。
「――……」
「……――」
鉱山の入り口から徐々に低級UDC怪物『アモルフェス』が溢れ出そうとしている。
彼等が何かをなそうとすることはない。
ただ邪神に奉仕するためだけに生まれ、そのためだけに存在してる不定形の怪物。
黒き粘菌のような蠢く姿は、怪物と呼ぶにふさわしかった。これらを人里に溢れさせるわけにはいかない。此処が嘗ては栄えた山村であっても、今は誰も住まぬ無人地域。
もしも『グリモアエフェクト』がなかったのならば、予知されることなく将来において恐るべき脅威となったことだろう。
これを未然に防ぐことができたのは僥倖と呼ぶしか無い。
ならばこそ、猟兵達は入り口へと向かう。
これらを蹴散らし、一刻も早く儀式を構成している祭壇の如き儀式装置を見つけ出し、破壊しなければならないのだ――。
杓原・潤
うわぁ、こんなのが人の多い所まで降りてきたら大変だ!
ここから出てくる前に全部やっつけなきゃ……気持ち悪いけど頑張る!
この気持ち悪いって感情が敵を強くしちゃうんだよね……よし、距離を取って戦おう!
箒で【空中浮遊】して空から攻める!
【空中機動】で敵の攻撃をかわして、泡に込めた炎の【属性攻撃】で牽制して……。
隙を見つけたらユーベルコードで一気に攻撃しちゃえ!
どろどろしてて斬っても突いても効かなそうだけど、【破魔】の力を込めた魔法剣ならきっと倒せるはず!
ダメ押しで炎を閉じ込めた泡で追撃してもいいね。
……相変わらず言い辛いな、みじぇりこるであ・すぱーだって!
UDC怪物の無限自動召喚。
それは如何に低級のUDC怪物であったのだとしても、驚異的な事件であったことだろう。
凄まじい勢いで鉱山の坑道の奥から召喚されたUDC怪物『アモルフェス』は今に外に溢れ出そうとしていた。
猟兵にとっては一体一体は倒しやすい存在であっても、一般人にとっては驚異的な怪物でしかない。だからこそ、この人里離れた無人領域であったことが不幸中の幸いであった。
「うわぁ、こんなのが人の多いところまで降りてきたら大変だ!」
杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は魔女のコスチュームを翻しながら、箒にまたがって鉱山の坑道入り口へと飛ぶ。
「ここから出てくる前に全部やっつけなきゃ……気持ち悪いけど、頑張る!」
思わず青ざめてしまう潤。
未だ僅かに坑道の入り口から溢れ出しただけの黒い粘菌の如き不定形の怪物。
それを見定め、潤は距離を取りながらバブルワンドを振るう。
泡が振りまかれ、炎の力を伴って『アモルフェス』の不定形の体を包み込む。けれど、どうしたって嫌悪感が込み上げてくるのだ。
「ううぅ、この気持ち悪いって感情が敵を強くしちゃうんだよね……」
だから潤は『アモルフェス』と距離を取って戦うことに決めたのだ。しかし、どうしても苦手意識のほうが先に立ってしまう。
不定形の怪物である『アモルフェス』の蠢く姿は、生理的に人に恐怖や忌避感を与えるものであったからだ。
それが『アモルフェス』という不定形の怪物の特性なのだ。
相対するものに忌避感を与え、その感情でもって己を強化する。そして、さらに己の体を増大させていく。
けれど、そのどろどろとした粘菌の如き不定形の怪物を潤は泡で封じ込め、空から箒にまたがって瞳をユーベルコードに輝かせる。
彼女の周囲に展開するのは複雑な幾何学模倣を描き飛翔する魔法剣。
破魔の力を込めた魔法剣が煌めく。
「どろどろしてて、斬っても突いても効かなさそうだけど!」
煌めく魔法剣の刀身には破魔の力が込められている。ならば、不定形の怪物と言えどその力の源を断ち切ることができるはずなのだ。
「みじぇろこるであ・すぱーだ!」
噛んだ。
とても言いにくいユーベルコードの名前。
けれど、その噛み噛みの言葉であっても潤のユーベルコードは煌めいて、千に近いほどの大量の魔法剣がほとばしり、坑道より這い出そうとしていた『アモルフェス』たちを切り刻み、霧消させていく。
さらにダメ押しのように炎を閉じ込めた泡がバブルワンドによって振るわれ、坑道の入り口からあふれようとしている『アモルフェス』たちを奥へと押し込んでいく。
これならば、坑道の中に泡に封じられた炎が灯りのようになって道を照らしてくれるだろう。
未だ蠢く『アモルフェス』の数は多い。
けれど、潤はこの道を往かねばならない。人里にこの不定形の怪物が溢れ出すことによって引き起こされる悲劇は彼女が防いで見せる。
「……相変わらず言いづらいな、みじぇりこるであ・すぱーだって!」
舌足らずな言葉であっても魔法の力は発露される。
自分が魔法使いであることの証明を知らしめるように、けれど、人知れず怪異と戦うことに彼女の深刻な中二病は刺激されまくることだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
楠井・沙智
やっぱり予知能力って便利よね。事前に事件を防ぐのが一番だもの。
とは言え、防げるかどうかは私達の働き次第。頑張らないとね。
動きやすい服と電灯を用意しておきます。
坑道の入口に向かい、出てこようとする怪物達を迎撃します。
不定形生物相手に、斬撃や振動波は効きにくいかな?
【災禍の手】を使います。坑道内の影から無数の赤い手を生じさせ、粘菌達に絡み付かせ動きを抑えつつ、猛毒を浸透させて倒していきます。
敵の攻撃は「音波障壁」で防御。ギターを奏で、「楽器演奏」「結界術」「オーラ防御」で音のバリアーを張り攻撃を受け流します。
召喚されたのが単なる偶然なら可哀想だけど、この世界にあなた達の居場所はないの。ごめんね。
「やっぱり予知能力って便利よね」
楠井・沙智(スレノディ・f36496)はグリモアエフェクトによって得られた予知の内容にうなずく。
確かにUDC怪物の無限自動召喚は凄まじい脅威であった。
無限に湧き続ける怪物。
それをもしも、大きな戦いの最中で引き起こされたのであれば猟兵達は後手に回らざるをえなかっただろう。
強化された予知は、『大いなる危機』を未然の防ぐ盾でもある。
ならばこそ、沙智は事件を未然に防ぐために、UDC怪物が溢れ出そうとしていた鉱山へと転移してきていた。
坑道の入り口にはすでに先行した猟兵に寄って泡で包まれたた火が明かりのように続いている。
ありがたいことだと沙智は感じただろう。
しかし、不測の事態はいつだって起こり得るものである。普段の彼女の格好からすれば動きやすい服装に、電灯を用意してある。
この泡の明かりが消えても即座に対応できるだろう。
「とは言え、防げるかどうかは私達の働き次第。頑張らないとね」
坑道に踏み込んだ瞬間、襲ってくるのは黒い粘菌のような不定形の怪物『アモルフェス』。
伸縮自在たる不定形の姿であるからこそ、暗闇の中から襲い来る棘のように鋭い触手の一撃は、沙智を貫こうとする。
だが、彼女の歌声がオーラとなって音のバリアへと変換され、触手の鋭い一撃を受け止める。
しかし、彼女の歌声は『アモルフェス』たちに通じている様子はない。不定形の粘菌の体であるがゆえに歌声の振動は通らないのかもしれない。
「なら――カラミティハンド!」
この坑道に続く泡の火。
その明かりが落とす影全てが彼女のユーベルコードに味方する。
災禍の手(カラミティハンド)たる赤い闇の手があらゆる影から飛び出し『アモルフェス』の不定形の体を掴み、縛り上げ、致死の猛毒を打ち込んでいく。
粘菌に絡みつくカラミティハンドは、即座に『アモルフェス』の肉体を死滅させていくだろう。
手にしたギターを奏でながら、坑道のあちこちから不意打ちを仕掛けてくる『アモルフェス』たちの攻撃を音の壁でもって防ぎ受け流していく沙智。
「――……」
「……――」
声無き声。
『アモルフェス』というUDC怪物にとって、意志は存在しないものであっただろう。ただ、邪神に奉仕するためだけに生み出された怪物。
その意思無くとも己の主人たる邪神の敵である猟兵を打倒さんとする本能だけが、悪意となって沙智を襲う。
「……召喚されたのが単なる偶然ならかわいそうだけど」
沙智にとって怪物との戦いは嘗ての青春の日々においては、問答無用のものであった。しかし、対話という手段をもって時に柔軟に動くことができたことは、彼女の財産であったことだろう。
目の前の不定形の怪物『アモルフェス』にもまた同じように感じていたのかも知れない。
可哀想。
そういう感情が浮かぶことは時に弱さであったかもしれない。けれど、同時にかけがえのない強さでもあったのだ。
「この世界にあなた達の居場所はないの。ごめんね」
奏でるギターの音色は鎮魂歌か。
せめてと手向けのように奏でられる音色と共にあらゆる影から飛び出し『アモルフェス』たちを坑道の外に出さぬ致死の猛毒でもって蹴散らし、沙智は坑道のさらなる奥へと進むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
わたくし知ってますわ
これはダンジョンですわ
ダンジョンから湧いてくる雑魚モンスターを舐め腐って滅んだ村のお話しを幾つも知っておりますのよ
今宵のわたくしはスライムスレイヤーですわ
スライムは皆殺しですわ
ヴリちゃんはお外でお留守番しているのでしてよ
なんです?生身で戦えるのかと?
今のわたくしには超天極光鎧装姫甲アンビシオンがありますのよ
名前なげぇですわね
とにかくスライムを撲殺しますわ
王笏ハンマー!
あらー?効いてませんわ!弾力ありすぎですわ!
ネメジストで撃っても切ってもダメですわ!
こうなったらいきなり超必殺技ですわ
ディバインハンマー発動承認!
向こうから近寄ってきた所を殴り返して光に分解してさしあげますわ!
UDC怪物の自動無限召喚。
それを為すのは鉱山の入り組んだ坑道を魔法陣とし、未だ産出されぬ鉱石を魔力の核として編み出される偶然か必然かわからぬ産物。
ここが無人地域であったことは不幸中の幸いであったことだろう。
しかし、このまま坑道にUDC怪物を溢れかえらせれば、どうなるかなど言うまでもない。だからこそ、猟兵達は転移し次々と坑道の中に飛び込んでいくのだ。
「わたくし知ってますわ。これはダンジョンですわ」
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は得意げにうなずく。
そう、彼女は知っている。ダンジョンから湧いてくる雑魚モンスターを舐め腐って滅んだ村のお話を。
メサイアにとって、それは御伽噺でもなんでもなかった。
「今宵のわたくしはスライムスレイヤーですわ。スライムは皆殺しですわ」
坑道の中に溢れかえるUDC怪物は黒い粘菌のような姿をした『アモルフェス』であった。
彼等は不定形の怪物。
意志があるようにはとても見えない。けれど、現れた猟兵を打倒しようとするのは本能であった。
むしろ、メサイアの物騒な皆殺し宣言に惹かれてしまったと言うべきであろうか。
敵意に反応するようにメサイアへと奔る触手。
それは黒い槍のように飛ぶ。
「ヴリちゃんはお外でお留守番しているのでしてよ」
坑道の外に待たせているキャバリアの声が彼女には聞こえる。生身で戦えるのかと。これまで彼女はキャバリアである『ヴリトラ』と共にあった。
しかし、彼女の猟兵なのである。
「今のわたくしは超天極鎧装姫甲アンビシオンがありますのよ」
名前なげぇですわね、とメサイアは己の身に纏う大型機械鎧を身にまとい、手にしたエルネイジェの王笏を振るう。
「とにかくスライムを撲殺しますわ!」
王笏でもってぶっ叩く物理。
しかし、物理攻撃は不定形なる怪物の前には意味のないことであったのかもしれない。
ぶよぶよと弾むばかりで少しも打撃を与えられている気配がない。
迫る触手を銃剣付きのビームライフでもって振り払うも、切り裂かれてはくっつき、穿たれてもすぐに修復していくのだ。
あまりにも相性が悪い。
誤解されがちなスライムの性質。ゲームの中では雑魚敵かもしれないが、現実においては最も相手にしたくない存在。
それが『アモルフェス』であった。粘菌の体はたわみ、歪み、メサイアへと迫るのだ。
「あらー? 効いていませんわ! 弾力ありすぎですわ! 斬っても撃ってもダメですわ!」
メサイアは慌てる。
この狭い坑道の中ではすぐに逃げ道が塞がれてしまう。
濁流のように迫る『アモルフェス』たちを前にメサイアの瞳がユーベルコードに輝く。
「こうなったらいきなり超必殺技ですわ。ディバインハンマー発動承認!」
手にした王笏ハンマーがユーベルコードの煌きを受けて、エルネイジェの王笏としての力を発露させる。
迫る『アモルフェス』へと叩きつけられる王笏の一撃は凄まじい速度ではなたれ、触れたものを光へと変えていく。
それは一気に連鎖するように『アモルフェス』たちに伝播し、メサイアの道を切り拓く。
「――……」
「……――」
「光に分解してさしあげますわ!」
『アモルフェス』たちの声なき声は光へと変わっていく。
メサイアは寄らば斬ると言わんばかりに王笏を振るい続ける。迫る濁流も、尽くを光に変えて坑道の中を走るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
怪物の無限召喚、か……
まさか、坑道はカバーで本当は魔法陣の為に掘られた、とか?
いや、そう言うのを考えるのは後だね。
この有象無象どもを片付けなきゃ、近くの街にまで被害が出ちまう!
出し惜しみはナシで、行かせてもらうよ!
『気合』を入れてサイキックのオーラを練り上げ、坑道中に嵐を起こす。
電撃の『属性攻撃』も織り交ぜて、一気に『範囲攻撃』でアモルフェスどもを滅しながら歩いていくよ。
数で攻めてくるんなら、一網打尽にするだけさ。
最優先は、この怒れるつむじ風、【闇払う旋風】の維持。
攻防一体の領域を保ったまま、『情報収集』しつつ坑道の奥へ進んでいくよ。
さあ、儀式の根源はどこだいっ!?
グリモアエフェクトによって『大いなる危機』の一つを予知できたことは大きな成果であったことだろう。
もしも、このUDC怪物の無限自動召喚が大きな戦いの最中に起こっていたのならば、猟兵は後手に回らざるを得なかった。
この無限に湧き出すUDC怪物たちへの対処はきっと、大きな戦いにおいて意味を持つものとなるはずだ。
だからこそ、この鉱山の坑道にはびこるUDC怪物『アモルフェス』たちを蹴散らし、自動召喚を止めなければならない。
「怪物の無限召喚か……」
数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は坑道の中に足を踏み出す。
先行した猟兵の放った泡に包まれた炎のお陰か、坑道の中は照らされている。しかし、その影から蠢き、飛び出すUDC怪物『アモルフェス』の黒き粘菌の如き不定形な姿は、嫌悪感を催させるものであった。
蠢く触腕がしなるようにして多喜へと迫る。
気合一閃、彼女のサイキックのオーラが練り上げられ坑道の中を嵐が荒ぶ。
触腕が吹き飛ばされ、坑道の狭い壁面へと叩きつけられる。
「まさか、坑道はカバーで本当は魔法陣のために掘られた、とか? いや、そういうのを考えるのは後だね」
吹き荒れる嵐のサイキックと共に多喜は足を踏み出す。
そう、このまま坑道に溢れかえるUDC怪物たちを放置していては、人里まで進出してしまう。
そうなっては、損なわれる人命は膨大なものとなるだろう。
だからこそ、多喜はその瞳をユーベルコードに輝かせる。
「出し惜しみはナシで、行かせてもらうよ!」
極限まで増幅したサイキックエナジーの嵐が坑道の中に吹き荒れていく。
放たれる襲撃は雷撃を伴って『アモルフェス』の不定形の体を切り裂く。滅せられ、消滅していく『アモルフェス』の黒い粘菌の体。
それらは確かに低級UDC怪物そのもの。
しかし、数が多い。これだけの数を揃えられ、坑道の中にはびこっているという限定的な状況こそが『アモルフェス』たちの手強さを増大させているとも言えた。
「――……」
「数で攻めてくるんなら、一網打尽にするだけさ」
サイキックエナジーが多喜の周囲に渦巻く、放たれる嵐が彼女に『アモルフェス』を近づけさせない。
彼女のユーベルコードはサイキックオーラを付与して、さらなる強化をもたらす。坑道の中は未だ多くの『アモルフェス』が充満し、はびこっている。
坑道の掘り進め方は確かにグリモアベースで見た図面と同じであった。ならば、この先にきっと無限自動召喚の儀式の中核を為すものがあるはずなのだ。
「……――」
『アモルフェス』たちの声なき声が響く。
そこに意志はない。あるのは、ただ目の前の猟兵を打倒しようとする本能のみ。
「さあ、儀式の根源はどこだいっ!?」
迫る『アモルフェス』はさらに色濃くなるように押し寄せてくる。
こういう時に本能だけで動く怪物は厄介である。情報を得ようとしても、得られるものはなにもないからだ。
そして、『アモルフェス』は答えることなく濁流のように粘菌の体をうごめかせ、さらなるおぞましを発露するだろう。多喜は、それらを吹き飛ばす闇払う旋風(サイキネティック・ストーム)となって坑道の中を進む。
この狭い坑道の中は、たしかに『アモルフェス』の力を脅威にするものであった。
けれど、それ以上に多喜のもたらす旋風は、濁流の如き『アモルフェス』たちをも無意味と言うように荒ぶ。
坑道の出口から怪物たちを溢れさせぬと、その不退転なる決意は蓋をするようにサイキックの嵐でもって『アモルフェス』たちを霧消させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『自動召喚儀式を破壊せよ』
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POW : 力尽くで怪しげな家具や床、調度品等を破壊する
SPD : 絨毯の下や壁紙の裏など、怪しげな場所を調査する
WIZ : 霊視や魔力感知によって、儀式の核となっている座標を探す
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
低級とは言えUDC怪物は数を揃えれば、それだけで脅威となる。
坑道の中にはびこっていたUDC怪物『アモルフェス』はある程度一掃されたが、未だに無限自動召喚は止まっていない。
この坑道の何処かに無限自動召喚の原因があるはずなのだ。
偶然か必然か、描かれた魔法陣の如き坑道。
そして、きっとこの何処かに儀式を為す核の如きものがあるはずなのだ。
UDCオブジェクトと成り果てた何かを、この坑道の中から探し出し、破壊しなければ無限自動召喚は止まらないだろう。
しかし、これだけ入り組んだ坑道の中である。
探し出すのは骨が折れることだろう。だが、時は止まってはくれない。今こうしている間にもUDC怪物は召喚され続けている。
猟兵達は急ぎ、この儀式の核を迷路の如き坑道の中から探し出すため、行動に移るのであった――。
メサイア・エルネイジェ
入り組んでる上に真っ暗ですわね
わたくし暗い所は嫌いですわ…
でも大丈夫ですわ
エルネイジェの光で坑道の隅々まで照らして差し上げますわ
これで探索が捗りますわ
因みに光は背中の光輪から出ますわ
さてはて、無限召喚装置の鉱石とやらはどこにあるのでしょう?
見当も付きませんわ
頭のこれに探知機能が備わっているのですけれど、そんな都合よく発見出来るようなものではありませんわ
なので怪しいものは手当たり次第にぶっ壊しますわ!
王笏ハンマー!
鉱石でも掘削設備でも最終的に全部壊せばよかろうなのですわ
どうせ残しておいても碌な事になりませんわ
ついでにぶっ壊したものは探索する際の目印になりますわ
同じ場所をぐるぐるせずに済みますわ
行動の中は闇に包まれた。
しかし、未だこの奥には多くのUDC怪物を召喚せしめる祭壇の如き核が残っている。ならば、これを取り除かなければUDC怪物の無限自動召喚は止まらない。
暗闇に包まれた中、メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は神聖なる大型機械鎧をまとったまま真っ暗な坑道の中で身震いする。
「入り組んでいる上に真っ暗ですわね」
メサイアはこのような場所が苦手である。嫌いと言っていい。
しかしながら、彼女の瞳がユーベルコードに輝き、そして大型機械鎧を通してエルネイジェの光(セイントシャイニング)を放つ。
坑道の中を照らし出す光は、メサイアの道を拓くように周囲にあった掘削器具や、道を照らすのだ。
「これで探索がはかどりますわ」
集約した光が大型機械鎧の光輪へと集まる。
この無限自動召喚を為しているのは、魔法陣と魔力の核だ。
魔法陣は掘り進められた坑道で間違いない。これを取り除くには、この鉱山一体を吹き飛ばさなければならない。
しかし、それは現実的ではないだろう。
如何に無人地域であったとしても、山一つを吹き飛ばしてしまえば、世界に対するダメージは大きなものとなる。
「となれば、やはり無限召喚装置の核……鉱石を探すのが現実的ですわね。しかし、核、鉱石はどこにあるのでしょう?」
メサイアは検討もつかないようであった。
光が集約された光輪に探知機能が備わっているはずなのだが、今は反応がない。ということは、今メサイアが居る場所には少なくとも存在していないということだろう。
まあ、それ以上にメサイア自身がそう簡単に都合よく発見できるものではないと理解している。
だからどうするのか。
メサイアは光輪を掲げた頭上の光と共にその手にした王笏を掲げる。
お、何か機械鎧の機能を使用するのかと思った瞬間、彼女の手にした王笏が振るわれる。
「怪しいものは手当たりしだいにぶっ壊しますわ!」
振るった王笏のハンマーがあらゆるものを粉砕していく。
掘削設備も、休憩のスペースに散財している資材などもことごとく破壊していく。
「そう、鉱石でもなんでも最終的に全部壊せばよかろうなのですわ! どうせ残しておいても碌なことになりませんわ」
どっせい。
まさかの力技である。
いや、メサイアという姫を良く知る者であったのならば、彼女はまあ、わりとこう、脳筋なところがあることからこうなることは予測できたかもしれない。
その精緻にして美麗なる姫たる雰囲気からはとてもじゃないが初見の者は判断することなどできようはずもない。
彼女が振るう王笏ハンマーが轟音を打ち鳴らしながら、坑道の中を突き進んでいく。
迷宮のように入り組んだ坑道の中を進む彼女は、やたらめったら破壊をもたらしていたが、破壊の痕さえ残っていれば、そこは探索済みというふうに目印にもなる。
「これならば同じ場所をぐるぐるせずに済みますわ!」
クレバーである。
そうか? と外で待機しているであろう『ヴリトラ』は思ったかもしれないが、今は留守番である。
誰もメサイア姫を止めることなどできようはずもない。
今の彼女は囚われの姫でもなければ、無力な姫でもなんでもない。
そう、その王笏の力を以て、そしてユーベルコード、エルネイジェの光でもって遍く全てを照らし出し、あらゆる闇を払拭する鉄槌の姫として坑道の中を突き進んでいくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
楠井・沙智
さて、行ってみようか。まだ残敵がいるかもしれないので、奇襲を警戒しながら探索。
灯りは用意してるけど、ここは私らしく。アイテム「ソナーシステム」を使います。音波を発し、反響を立体音響として捉え周囲を『視る』エコーロケーション。「聞き耳」「暗視」「情報収集」技能で坑道を三次元的に把握しながら進みます。
【コトダマヴォイス】使用。ソナーの音波に合わせたハミングに魔力を込めて世界と共鳴。世界は波動で出来ている。即ち、世界は歌で出来ている。
土と石と空気と鉱物と次々に共鳴を広げる。三重唱、四重唱、五重唱、六、七、八……さぁ、貴方達の中心を教えて。
ユーベルコードで高めた推理力で召喚装置をさがします。
楠井・沙智(スレノディ・f36496)の耳には如何なる音が聞こえていたことだろうか。
世界に響く音は一つではない。
どれもが同じ音はない。風の音も、水の音も、人の心音でさえ同じものはない。それらを正しく理解できているのならば、彼女の世界は見るよりも、もっと広がっていく。
たとえ、それが暗闇深き鉱山の坑道の中であったのだとしても変わらぬことであった。
「さて、行ってみようか」
未だに坑道の中にはUDC怪物の残敵が残っている。
奇襲されることを恐れて、沙智は慎重に警戒しながら進んでいく。
手にした電灯のバッテリー残量はまだ残っている。
けれど、彼女は電灯の明かりを消す。
それは自殺行為であったが、沙智はあえてそれを消す。彼女の手にしたのはスマートフォン。
イグニッションカードから取り出されたそれは、『ソナーシステム』と名付けられていた。
「ここは私らしく行く」
彼女の足が踏み出す度に音が反響して坑道の中に響いていく。
UDC怪物が蠢く音も、他の猟兵が動く音さえも全て彼女は近くする。
『ソナーシステム』はそれ為すスマートフォンだ。
音波を発し、反響を立体音響として捉え周囲を『視る』エコーロケーション。
反響定位。
その力で持って、沙智は暗闇の中であっても、坑道内部にあるもの全てを正しく把握する。
三次元的な音の響きは、坑道内部を駆け巡る。
さらに、彼女の歌声が響く。
世界と共鳴する魔力の込められた音が、コトダマヴォイスとなって走る。共鳴していく。ソナーの発する音波とハミング。
さえずるように響き渡る音は、あらゆる音を音楽に変えていく。
「世界は波動で出来ている。即ち、世界は歌で出来ている」
その歌の名前を彼女は知っているだろう。
何度も響いてきた。
生命賛歌。
その歌の名を彼女は今でも言える。歌える。ならばこそ、彼女の瞳は閉ざされていながらも、そのユーベルコードの輝きでもって一点を捉える。
このUDC怪物の無限自動召喚。
その儀式の核となるものが何処にあるのかを知るだろう。
この坑道が全て魔法陣として作用しているのならば、無限自動召喚を為すための原動力が必要となる。
必然ではなく偶然であったのだとしても、これを放置することはできない。
誰の責任でもない。罪でもない。
けれど、彼女に力があるのならば、その力の責任でもって、この無限自動召喚儀式は破壊しなければならない。
「土と石と空気と鉱物……三重唱、四重唱、五重唱、六、七、八……さぁ、貴方達の中心を教えて」
煌めくユーベルコードの瞳が見据える先。
そこはこの魔方陣の中心。
入り組んだ坑道が重なり合い、交錯する場所。
高められた彼女の音の反響に寄る視界が開けていく。
「やっぱり其処……!」
沙智は走り出す。音が響く。
こんなにも様々な音が世界には満ちている。
時に激しく、時に優しく。
それはいつだって自然の中にある。生命の煌きを歌う詩があるのならば、ユーベルコードがそれに答えてくれる。
沙智は歌響く世界にあって、それを『視る』ことのできる稀有なる力でもって導かれるように儀式の中心部へと走るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
坑道かぁ……暗くて怖い、けど大丈夫!
うるうは魔法使いだから!
まずは出ておいで、うるうのサメたち!
ユーベルコードの【召喚術】でサメを呼べば寂しくないし怖くない!
ついでに炎の【属性攻撃】を込めた泡を出して……これで明るいね。
後はスマホの中にいる骸魂に【道案内】してもらおう。
猫なら向こうが暗くても見通せるはず!
ヘイ黒猫!召喚装置の場所が知りたい!
どっち行ったら良い?こっち?
黒猫も召喚装置がどんなのかは知らないだろうし、それっぽいのを見つけてくれたらいいよ。
そしたらそれをサメが回転ノコギリで壊しちゃうから!
うるうは壊し役とは別のサメに乗って運んでもらおーっと。
今の内休憩休憩。
炎を込めた泡が周囲に漂う。
それは暖かな光であり、坑道内部の暗がりを照らすものであった。その明かりに安心を覚えるのは人元来の性質故であろう。
人の瞳は暗闇を見通すには足りない。
だからこそ闇に恐怖を覚えるのである。
「坑道かぁ……暗くて怖い、けど大丈夫!」
杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は猟兵と言えど、未だ幼い少女である。そんな彼女が暗闇を恐れるのは至極当然のことであった。
けれど、彼女が魔法に寄って生み出した泡が包み込む火は、坑道の道を照らす。
さらにユーベルコードに寄って呼び出された回転ノコギリを生やしたサメと共にあることで彼女は恐怖を克服している。
寂しさも怖さも、サメが一緒にいてくれるのならば心強い。
絵面は他者から見たのならば、軽くホラーであったけれど、潤にはこれ以上ないくらい頼もしい援軍であった。
「うるうのサメたちが居れば大丈夫だいじょうぶ!」
言い聞かせるように潤はサメたちと共に坑道の中を往く。
ゆっくりとした足取りではあったものの、それでもうるうはスマホを取り出す。
「ヘイ黒猫! 召喚装置の場所が知りたい!」
人工知能に呼びかけるようにして潤が言葉を発すれば、マイクマーク点滅し、その画面から、にゃーんと骸魂である黒猫が飛び出す。
黒猫が地面に降り立てば、その瞳が暗闇の中を見通す。潤はUDC怪物の無限自動召喚の核が何処にあるのか見当がつかないし、それがどんな形をしているのかもわからない。
だからこそ、黒猫にそれっぽいものが見えれば、それを教えてほしいと願ったのだ。
「どっち行ったら良い? こっち?」
潤の言葉に黒猫がうなずいて、その尻尾を揺らしながら、こっちだというようにとことこ歩いていって一声鳴く。
その様子に潤はすっかり安心しきって進むだろう。
まったくもって頼りになる黒猫である。
その隣でサメたちが自分たちもいるんすよ、と空中を揺らめくようにして泳ぐ。
「そうだった。じゃ、行こう!」
サメの一体に潤は乗り、黒猫の案内にしたがって坑道を進んでいく。
坑道はそれ自体が魔法陣のように機能している。本来なら、ありえない偶然だ。坑道だけでは魔法陣たり得ず、また儀式の核である魔力を生み出しているものもまたそれ単体では儀式として成り立たない。
けれど、このUDC怪物の無限自動召喚は儀式として成立している。
ならば、この魔力の淀みの向こう側に祭壇、召喚装置が存在しているだろう。黒猫の瞳が捉えているのは、その淀みである。
「今のうちに休憩休憩」
サメの背に乗ってのんびり潤は休憩をする。
こういう時に召喚術というのは便利である。使い魔を扱うのは魔法使いとしては当然のスキルであったのかもしれない。
ひんやりとした坑道の中は、魔力の淀みによってさらなるおどろおどろしい雰囲気を生み出している。
けれど、潤はそんなことから目をそらすように、サメに抱きつきつつ目を閉じ、ゆらりゆらりと揺られながら進む。
「こわくないこわくない。こわくいないもの」
暗闇を恐れるのは生物として、人間として当たり前のことだ。
けれど、いつだって勇気を持って暗がりの中を進むからこそ、人はあらゆる困難を乗り越えてこれたのだ。
ならばこそ、潤は己の魔法使いとしての本質を忘れない。
叡智でもって暗闇を照らすものこそ、彼女の憧れる魔法使いであったはずであろうから。
「全然怖くなんて無いんだから!」
けれど、今はまだ、ちょっと早いのかも知れない――。
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
事は一刻を争う、って奴だよな。
あんな奴らでも……いや、あんな奴らだからこそ無限に生み出されるとあっちゃ危険極まりねぇ。
スマホの地図アプリで『情報収集』しておいた
坑道のルートと現在地を照らし合わせながら、
サイキックの電撃火花で辺りを光らせて進む。
勿論、めくらめっぽうに進むだけじゃあ迷子になるだけだろうさ。
だからここにうってつけの「ガイド」に道を聞こうじゃないのさ。
【超感覚探知】のテレパスを周囲に巡らし、
邪神や呪物の不穏な思念を探るよ。
そうして方角を坑道の地図に当てはめながら、
ポイントを絞り込む。
必要なら他の猟兵と情報も共有するよ。
早く無効化させたいもんだけどねぇ……!
「事は一刻を争う、ってやつだよな」
数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は蹴散らしたUDC怪物たちが霧消する姿を見送り、坑道の奥を見やる。
UDC怪物の無限自動召喚。
それはともすれば、世界の破滅に繋がることである。
今は坑道にはびこる怪物たちを振り払ったとしても、すぐさま召喚されたUDC怪物で溢れかえるであろう。
きりがない。
ならばこそ、この無限自動召喚の儀式、その核である祭壇を破壊するしか無い。
「あんな奴らでも……いや、あんな奴らだからこそ無限に生み出されるとあっちゃ危険極まりないねぇ」
手にしたスマホの地図アプリを多喜は起動する。
すでにグリモアベースで得ていた坑道のルートと現在地を照らし合わせる。どうやら、UDC怪物を打倒しているうちに奥へと入り込んでいたようである。
自身の現在地と地図アプリを頭に入れ込む。
サイキックの電撃火花とスマートフォンの画面の明かりが僅かに周囲を照らす。
周囲にあるのはトロッコの線路や、掘削器具。
そうした嘗て在りしものの残骸である。
ぱっと周囲を見ても、すでに得ている坑道の地図を見ても、やはり盲で祭壇を探すのはあまりにも不用意というものである。
「だったら、『ガイド』に道を聞こうじゃないのさ」
多喜の瞳がユーベルコードに輝く。
サイキック能力の転用、応用というやつである。みなぎるサイキックがテレパスによって、周囲にあった運搬用のトロッコの線路にふれる。
超感覚探知(テレパシーリンク)。
それはテレパスによって線路を伝っていく。線路があるということは必ずトロッコの本体もあるということだ。
この坑道が鉱山にあり、鉱石を運び出していたというのならば、産出される鉱石にこそ邪神や呪物などの不穏な思念が残っているはずなのだ。
「……早く無効化させたいんでね。迷子になっている暇はないのさ」
多喜の脳裏に反響するテレパス。
それは疾風のように坑道の中を駆け巡っていく。先に探索を始めていた猟兵達ともテレパスで情報が共有されていく。
時間を掛けられない。
人はただ一人では生きていくことはできない。それは生命の埒外である猟兵でも同じであろう。
一人ではオブリビオンの脅威に立ち向かうことはできないのだ。
「ポイントは絞り込めた。すでに近くまで行っている子もいるようだね。いいね、そのまま真っ直ぐだ」
多喜はテレパスで他の猟兵たちの位置を把握する。
線路を伝って走るサイキックが邪念を捉える。やはりそうなのだ。この鉱山が本来発掘、産出していた銀。
その大きな銀鉱石の塊こそが儀式の核。
偶然の産物であろう。
けれど、今此処に坑道と巨大な銀の鉱石が魔力の核となって儀式を完成させているのだ。
多喜は他の猟兵たちと共に儀式の祭壇たる巨大な銀の鉱石を見上げる。
其処に在ったのは魔力宿る露出した鉱脈。
「これの魔力と坑道が描く図が偶然にも噛み合ったってところか……まったく、面倒事はいつだってこうだ」
誰かの悪意でないことだけが幸いであったことだろう。さらに無限自動召喚によって生み出されたUDC怪物たちが蠢き始めている。
これを破壊し、さらに残存するUDC怪物を掃討する。
事件の解決まであと僅かであることを多喜は知る。煌めくサイキックがほとばしり、さらに他の猟兵たちのユーベルコードが走る。
儀式の中核たる銀の鉱石を砕き、『大いなる危機』そのものを未然に防ぐ盾とならんために――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『嗚咽への『影』』
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POW : 嗚咽への『器』
戦闘力が増加する【巨大化】、飛翔力が増加する【渦巻化】、驚かせ力が増加する【膨張化】のいずれかに変身する。
SPD : 嗚咽への『拳』
攻撃が命中した対象に【負の感情】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【トラウマ】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ : 嗚咽への『負』
【負】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【涙】から、高命中力の【精神をこわす毒】を飛ばす。
イラスト:透人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達は儀式の祭壇に至る。
そこにあったのは巨大な銀の鉱脈。
鉱石が魔力を放ち、坑道が魔法陣を描いた偶然の産物。それがこのUDC怪物の無限自動召喚であった。
誰かの悪意ではなかったことは幸いであった。
もしも、誰かの悪意でこれが行われているのならば、UDCアースのあらゆる場所が呪いの建造物として無限自動召喚の可能性を秘めているからである。
しかし、確実に悪意の産物もあるだろう。
だからこそ、猟兵達をこれを一つずつ潰していかねばならない。
ほとばしる猟兵たちのユーベルコードが鉱石の鉱脈を砕いていく。すると魔法陣となっていた坑道に満ちる邪念が薄れて消えていく。
儀式の祭壇として機能しなくなった鉱脈は魔力のほとばしりを止め、その役割を終える。
しかし、未だ坑道内部に残るUDC怪物は排除しきれていない。
「う、うう、ぐ、うぐあ、ああ……」
嗚咽のような声が坑道の中に響く。
嗚咽への『影』たるUDC怪物たちが、己達を召喚し続けていた魔法陣の消失を嘆くように、坑道のあちこちから現れ始める。
『アモルフェス』といい嗚咽への『影』といい、この坑道に巣食うUDC怪物は、不定形な怪物ばかりである。
これが何に関係しているのかはまだわからない。
けれど、これを放置することはできないのだ。ただの一体すら残すことないように猟兵達は戦う――。
楠井・沙智
よかった、黒幕はいなかったんだね。
たまたま運が悪くて世界が滅びそうになるのも、稀によくある事。悪意が無いなら、不具合を治してあげれば元通り。
ギターでヒーリングミュージックを奏で、【ヒーリングヴォイス改】を歌います。
生命力を操作する場を発生させ、自身や仲間の怪我や疲労を回復させます。
同時に、『影』達がこの世界に存在する為の力を奪い消滅させていきます。魔法陣がなくなったから貴方達も苦しいでしょう?ごめんね。元の世界に還れるといいね。
反撃を受けたとしても、自己回復で対応。
正義感や憎悪や同情じゃなく、穏やかな祈りを込めて歌うよ。世界がみんな平和で幸せだといいな。
世界はいつだって危機に瀕している。
自分たちの踏みしめている今が明日に続くとなぜ言える。
その危うい綱渡りのごとき日常を世界が歩んでいるのかもしれない。世界を滅ぼすのは、いつだってそうした偶然の積み重ねであり、後に見やれば、それは必然の積み重ねであったのかもしれないのだ。
「よかった、黒幕はいなかったんだね」
このUDC怪物の無限自動召喚の儀式は偶然の産物であった。
坑道を魔法陣に。
鉱脈を魔力の核に。
そうすることで生み出された祭壇は、全てが偶然の一致。されど、楠井・沙智(スレノディ・f36496)は知っている。
偶々運が悪くて世界が滅びそうに為ることを。
それが稀によくあることであることも。
けれど、悪意が介在しないのであれば、不具合を治してあげれば元通りになるのだと沙智は知っている。
奏でるギターの音色が、旋律が坑道の中に響き渡る。
「あぐ、ああ、うう、ぐ……」
嗚咽への『影』が立てる音は、意味のない嗚咽だけであった。
そこに意志はない。
あるのはただ本能だけだ。ただ、嗚咽を紡ぐだけの『影』。UDC怪物たる彼等は、不定形の影。
この行動の中には不定形の怪物ばかりがはびこっている。
影から溢れる涙は猛毒。けれど、その猛毒をヒーリングミュージックが癒やしていく。
沙智は、それが悲しいことだとわかっているからこそ、ヒーリングヴォイス改(トランスヒーリングヴォイス)のユーベルコードをきらめかせる。
生命力を賦活する力と奪取の力。
それらが場に満ちていく。
「魔法陣がなくなったから、貴方達も苦しいでしょう?」
奏でる音はいつまでも優しいものであった。敵を攻撃するのではなく、癒やしたいという思いがギターの音色に乗っていく。
存在するための力を奪い取っていく。
彼等の嗚咽は、如何なる理由かはわからない。けれど、この場に召喚されるということは、本意ではないのかもしれない。
どれもが沙智にとっての都合の良い幻想であったのかもしれない。
けれど、それでも沙智は戦うことの恐ろしさと厳しさを知っている。どうしようもない現実の哀切を知る。
「ごめんね。元の世界に還れるといいね」
影の猛毒が走る。
けれど、それらを即座に奏でられるギターの音色が癒やしていく。
その音色にあるのは正義感や憎悪や同情ではない。
ただ祈るばかりである。
「世界が、みんな平和で幸せだといいな」
儚い願いであるのかもしれない。
途方もない夢物語であるのかもしれない。
誰もが願っているが、誰もが貶し、そっぽを向く祈りであったのかもしれない。偽善と罵る者だっているかもしれない。
けれど、歌うことはやめられない。
そう願うことがどれだけ汚されようとも、沙智の歌声だけは染まらない。願い続け、祈り続け、そして導くことのできるより良い未来がある。
それを彼女は青春の日々で勝ち取ってきたのだ。
「もう少しだけ戦ってみよう」
戦いが終われば、また新たな戦いが呼び込まれる。
分かっていたことだ。けれど、それでも彼女は歌うのだ。
平和は尊いものだと。
誰もが心の中で平穏を願っているのだと。儚くも消え失せそうなものであったとしても、それを護る者があると知らしめる。
それこそが沙智の戦いであるというように、霧消していく嗚咽への『影』を見送り、彼女は高らかに歌い続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
偶発的な魔法陣とはなぁ……
分からなくもねぇ、そりゃそう言う可能性だって有るんだよな。
まさか、いや。
アタシの疑問と今のこの場はひとまず別だ、
残滓だけが相手なら一気に駆け抜け蹴散らすよ!
これだけ本能的に蠢いているだけなら、
害意の強さも図り切れないね。
だからアタシから動いて、一気に消し飛ばす。
探索にも使っていた電撃のオーラを球状に纏め、
アタシ自身が【嵐裂く稲妻】となって坑道を駆け抜けるよ!
毒と涙を『ダッシュ』による『衝撃波』と
バリア―の『オーラ防御』で凌ぎ、
『属性攻撃』で影どもを吹き散らしていく。
恨みつらみは分からなくもない、
ただこれだけは言わせておくれ。
アンタら、巡り合わせが悪かったのさ。
この鉱山のUDC怪物無限自動召喚は、偶然の産物であった。
しかし、こればかりが全てではないこともまた然りである。呪いの建造物。それはUDCアースのあちこちに点在しているだろう。
今回は偶然。
悪意の介在無き自動召喚であったが、もしかしたのならば邪神教団のような悪意に満ちた者たちが仕掛けた無限自動召喚の儀式も存在しているかもしれない。
「偶発的な魔法陣とはなぁ……わからなくもねぇ、そりゃそう言う可能性だって有るんだよな」
数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)にとって、それは新たな疑問が生まれた瞬間であったのかもしれない。
嗚咽が聞こえてくる。
坑道のあちこちから、無限自動召喚の儀式が破壊されてもなお、残されたUDC怪物である、不定形の影のような存在。
嗚咽への『影』たちは呻くようにして這い出してきている。
「まさか、いや。アタシの疑問と今この場はひとまず別だ。残滓だけが相手なら一気に駆け抜け蹴散らす!」
多喜の瞳がユーベルコードに輝く。
確かに『影』は多い。
だが、これらを残して逃すことはできない。探索に使っていた電撃のオーラを己の体へとまとわせる。
サイキックバリアを球状へと変え、坑道の中を走り抜ける。
「稲妻のごとく、駆け抜ける……!」
「おおお、ああ、あぐ、ああ、うう……」
嗚咽が聞こえる。
それはサイキックバリアに激突した『影』たちが霧消していく痛みによるものであったか。
それとも別の何かであったのか。
「ああ、あ、あ、うぐ、あ……」
そこに意志はない。
あるのは反応だけ。紡がれてきた恨みつらみ。それらがもたらす幻影のようなものが、目の前の不定形の影である。
多喜は毒も涙も吹き飛ばす、嵐裂く稲妻(ストレガ・オーバードライブ)となって走り抜けるのだ。
「『それ』はわからなくもない。ただこれだけは言わせておくれ」
彼女は弾丸のように坑道内部に残った『影』たちを消し飛ばしていく。
一切の躊躇いはない。
そして、その『影』たちが持つ感情に理解を示しながらも、猟兵とUDC怪物という立場の違いを知らしめる。
どれだけ悲哀、哀切に満ちた嘆きの嗚咽が響くのだとしても。
それが他者に累を及ぼすというのならば、これを止めなければならない。何処かで断ち切らねばならぬものであるからこそ、多喜は立ち止まることを由としない。
いつだってそうだ。
弱者こそが悪意の食い物にされる。
この坑道に足を踏み入れたのだって、そのためだ。
悪意によって翻弄される弱き者達を出さぬためにこそ多喜は戦う。
凄まじい加速を見せる彼女はほとばしるサイキックの電撃と共に『影』をまた一体吹き飛ばす。
「アンタら、巡り合わせが悪かったのさ」
運命というものがあるのならば、それは誰もが持ち得るものである。
始まりがあり、終わりがある。
嗚咽よりの『影』が対峙した多喜という猟兵は、彼等にとっての終わり。
それが良いことなのか、悪いことなのかはわからない。
けれど、それでも多喜は果てなきように見える戦いの道の先を見る。
坑道を駆け抜けて光指す出口へと飛び出す。
稲妻纏う姿は、坑道の入り口を振り返りながら一人感慨に耽る。一体たりとて内漏らしてはならない。
「此処で待っていれば、逃げ出す『影』もわかるだろうさ」
不定形の怪物。
邪神たちに奉仕し、あらゆる苦痛を代弁するかのような嗚咽の『影』。
偶然によって生み出されたUDC怪物の無限自動召喚。
それらを手繰る糸の先に在る者が如何なる存在か。
言うまでもなく邪神の類。
ならばこそ、多喜は最速で己の道を駆け抜けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
スライム…ではありませんわね
影のオバケですわ!わたくしオバケは嫌いですわ!
いやー!助けてヴリちゃーん!
あ、お外でお留守番させておりましたわ
なんですヴリちゃん?影なら光で消してしまえばいいと?
なるほど!ヴリちゃんは賢いですわね!
またしてもエルネイジェの光ですわ
燃える太陽のような眩い光で照らし…んぎゃー!目が!目がー!
光量が強すぎて自分の目を潰してしまいましたわ…自爆ですわ
程々にしておきますわ…
おやおや?どこに逃げようと言うのです?
光を避ける障害物は先程わたくしが殆ど壊してしまいましたわよ
岩陰に隠れるなら王笏ハンマーですわ
心を乱そうとしても無駄ですわ
この光にはその手の類を除去する効果もありますのよ
鉱山の坑道を魔法陣に見立て、最奥に存在する鉱脈の鉱石を魔力としたUDC怪物の無限自動召喚の儀式は猟兵達によって破壊された。
祭壇を形成していた銀の鉱石は砕け、後は残敵を掃討するだけであったが、不定形の怪物は『アモルフェス』だけではなかった。
嗚咽への『影』と呼ばれる苦悶の声を上げるだけの『影』が蠢いている。
「あ、ぐ、おおお、ああ、あぐ……」
その嗚咽に意味はない。
しかし、その哀切にも似た声色は、対峙する猟兵の心に如何なる影響を与えるものであったことだろうか。
少なくともメサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)にとって、UDC怪物である『影』の嗚咽は、哀切以上に恐怖を感じさせるものであったのかもしれない。
坑道の中に涙が溢れていく。
それに触れてしまえば、精神を侵す毒となってメサイアの心を散り散りに引き裂くものであったことだろう。
「スライム……ではありませんわね。影のオバケですわ! わたくしオバケは嫌いですわ!」
怖い。
もう、それしかない。
却って、同じ不定形の怪物でも『アモルフェス』のほうがまだメサイアにとっては苦手意識はないものであったのかもしれない。
坑道の中に揺らめく『影』は彼女にとって最も苦手とするものであったからだ。
心霊現象の類。
そういうものにメサイアはからっきしであった。
「いやー! 助けヴリちゃーん!」
あ、とメサイアは思い出す。
この坑道の中に己のキャバリアである『ヴリトラ』は存在しない。サイズがサイズであるから。
外でお留守番しているのである。
しかしながら、『ヴリトラ』の声は彼女に届くのだ。
「なんですヴリちゃん? 影なら光で消してしまえばいいと? なるほど! ヴリちゃんは賢いですわね!」
そうかな?
と思わないでもあにが、それでもメサイアの恐怖心が薄れるのならば儲けものである。
放たれる光輪からの光。
それはユーベルコードであり、エルネイジェの光(セイントシャイニング)であった。
「ぐ、お、ああ、あう、ぐ……」
『影』たちを照らす光は、徐々にその姿を霧消させていく。
「これが燃える太陽のような眩い光……」
しかし、メサイアは恐怖心より光量を一気に引き上げたせいで、自身の目を焼く。
マジでヤバイ。
姫がしていい感じの顔をしていないし、言ってることも悪役のそれである。
自爆そのものなユーベルコードのとばっちりをうけながらメサイアは光輪より放たれる光を程々に落としながら、『影』に迫る。
さっきまで、目が! 目がー! と叫んでいた姫とは思えない。
「おやおや? どこに逃げようと言うのです?」
光より逃れようとする『影』たち。
しかし、光を遮る物陰はもうない。これまでメサイアが探索する度に王笏のハンマーで根こそぎ破壊してきたからである。
岩陰に隠れようとすれば、メサイアのハンマーが振り下ろされ、轟音を響かせる。
「お、ぐ、お、ああ、あう、ぐ……」
「心を乱そうとしても無駄ですわ」
『影』がもたらすのは、恐怖心。
ならばこそ、メサイアは光でくらむ目であるがゆえに、直視することはない。
さらに自身が放つ光には己の肉体に神聖なる属性を付与する力がある。
王笏のハンマーは『影』たるUDC怪物たちをことごとく叩き潰し、浄化せしめる。不定形の怪物であろうとも、それが害意を持つのならば、これを許しておくわけにはいかない。
UDC怪物を浄化しながらメサイアは坑道の外に飛び出す。
お留守番をしていた『ヴリトラ』が出迎え、メサイアはようやく一息つくのだ。
「お外って素晴らしいのですわ。狭い、暗い、スライムにオバケ……懲り懲りですわ」
息を吐きだし、やはり落ち着くのは『ヴリトラ』の中であろう。
一時の安息を得て、メサイアは己の疲れを癒やすのであった――。
大成功
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杓原・潤
何とか大体止められた、って感じかな……でももう少し、後始末が残ってる!
その相手は幽霊みたいな感じだから、きちんと成仏させてあげなきゃね。
やる事はさっきと大体同じ。
【浄化】の光を放って弱らせて、それから【破魔】の魔法剣で攻撃だ!
違うのは心。
怪物の気持ちは分からないけど、こんなに泣いてるんだもん。
きっと悲しかったり苦しかったりするんだよね。
たまたまが重なって召喚されちゃったんだから何も分からないよね。
ミゼリコルデって名前がついたこの魔法は、皆を解放するのに相応しいと思うんだ。
うるうは魔法使い。
【全力魔法】でユーベルコードを放ってこの坑道の中ごと綺麗にしてあげる!
UDC怪物の無限自動召喚の儀式は猟兵達によって止められた。
それは辛うじて『大いなる危機』に先んじて防ぐことができた事を意味する。しかし、未だ坑道の内部には多くのUDC怪物が残っている。
嗚咽への『影』。
彼等は無限自動召喚によって召喚された不定形の怪物である。
『影』は呻くようにして暗闇の中を這いずる。
「うぐ、ぐ、お、ああ、あう、ぐ……」
意味のない音の羅列。
其処に在るのは哀切か悲哀か。どちらにしたところで、彼等の嗚咽は止まらない。常に嗚咽を紡ぐことを運命づけられた怪物たち。
その嗚咽が坑道の中に響き渡り、杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は、召喚したサメから降りて暗闇の中に蠢く『影』たちを見やる。
大本は止めることができた。
ならば、後は後始末だけである。目の前にある『影』たちは幽霊みたいなものだと彼女は感じていた。
恐ろしさや嫌悪がないわけではない。
けれど、それ以上に彼女は紡がれる嗚咽に心を痛めるだろう。
「幽霊みたいなものなんだね。なら、きちんと成仏させてあげなきゃね」
為すべきことを彼女は知っている。
黒い粘菌の怪物『アモルフェス』たちと同じだ。彼女のバブルワンドから浄化の光が放たれる。
「お、が、ぐ、おおお、ああ、あ……」
『影』たちが蠢く。
光にさらされ、その浄化の力が効いているのだろう。
苦しみもがくような姿に潤の心は僅かに痛むだろう。
ただ倒すだけなのならば、こんな胸の痛みは必要ないはずだ。けれど、彼女の心は、それを否と告げる。
ただ倒すだけでいいのならば、こんな感情は必要ない。
「怪物の心はわからないけど、こんなに……」
泣いているのだものと、彼女は『影』たちの嗚咽を聞く。意味のない嗚咽なのかもしれない。
人の心は他者を映し出す鏡そのものだ。
潤の心に映るのは、『影』たちの哀切。
「きっと悲しかったり苦しかったりするんだよね。たまたまが重なって召喚されちゃったんだから何も分からないよね」
その瞳がユーベルコードに輝く。
偶発的はUDC怪物の召喚。それはUDCアースにあっては侭在ることである。けれど、UDC怪物は世界にとっての異物であり、破滅をもたらすものである。
猟兵としての潤は、これを滅ぼさなければならない。
どんな理由があれ、人を傷つけることは許されない。ならばこそ、潤の瞳に輝くユーベルコードは召喚された魔法剣に破魔の力をもたらすのだ。
「ミゼリコルデって名前が付いたこの魔法は、みんなを開放するのに相応しいと思うんだ」
その剣の名は『慈悲』。
無数に飛翔する魔法剣は幾何学模様を描き、坑道の中を走る。
召喚された『影』たちを切り裂き、霧消させていく。
もう、この坑道に人が戻ってくることはないだろう。朽ち果てていくだけの文明の残滓に過ぎない
けれど、此処を怪物たちの根城にしてはならないのだ。
「うるうは魔法使い。あなたたちを綺麗にしてあげる!」
『影』は人の嗚咽により生まれた存在。
どこまでも悲しみと苦しみだけが満ちる存在。
ならばこそ、光と『慈悲』とで導かねばならない。潤は、その瞳に煌めくユーベルコードでもって、その力を発露させる。
これ以上彼等が傷つかぬように。
要らぬ苦しみと悲しみが、その嗚咽を生まぬように。
端無く生まれたのだとしても、滅びるは必定。
潤の放つ慈悲は、『影』たちを尽く霧消させ、二度とこの地にUDC怪物が、その嗚咽が響くことのないように煌めくのであった――。
大成功
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