ニンジャ・スレイヴ・ファクトリー
ワン・イーナ(シンギュラリティ・f30274)は空中に資料を投影すると、説明を開始する。
「今回の依頼は、サイバーザナドゥの企業への潜入破壊救出ミッションだ。レイゲツってメガコーポの傘下であるその企業は、低賃金労働者をあの手この手で掻き集めて、地下工場で奴隷みたいに働かせてるって話だ」
メガコーポ『レイゲツ』は、ジェネレータやラジエータ、バッテリーにモーターといった機械の部品関係に優れた、技術者集団の色が強い企業群である。その他ソフトウェア、義体にも強く、レイゲツの商品は民間・企業問わず好評で、値段が少々お高めの割に人気である。
一方でメガコーポ全体としては中の上~上の下といった具合で、純粋な戦力も多いとは言えないらしい。
「この地下工場で何を製造しているかは不明だ。けど、最近の情勢を考えると戦力増強のために作った可能性がある。工場を潰すついでに、何かしら資料を回収してきてくれ。こういうのは後々効果があるものだからな」
何を、何のために作っているのか。レイゲツ傘下であることを示す資料も回収できれば、後に役立つ、かもしれない。
「さて、作戦の話に入るぞ。この工場は工業地帯の一角に存在する。海沿いに建っているビルが目印で、その地下に工場がある。地上部分はダミーだ、中は空、地下への出入り口は無い。予知をもとに調査したところ、どうやら海中から入れるみたいだ」
海中に隠されている出入り口を発見し、潜入する。何かしら水中装備があると良いだろう。生身は非推奨だ。なぜなら、サイバーザナドゥの海は汚染されている。
「画像を見てもらうとわかると思うが、このケミカル色のヤベー感じの海に生身でドボンは危険なので対策なしにやらないようにな」
岸に近いが、一応キャバリアが動くに足り、見つからない程度の深さはあるようだ。
「中に入った後だが、労働者を監視しているオブリビオンたちがいるから、そいつらを撃破するんだ。オブリビオンを倒せば、労働者たちは一先ずの安全が確保されるから、そのまま親玉のところまで行ってくれ」
大型機械の搬入や操作の都合上、工場内は広い。敵であるオブリビオンは暗殺者タイプらしく、死角の多い工場は敵に有利な地形である。
「敵のボス、この企業の代表者は最下層にいる。こいつもオブリビオンになっているから、遠慮なくブッ飛ばしてしまえ。その後は資料を回収して帰還だ。労働者たちの方は、こっちの方で手配しとくから心配はいらないぜ」
かなりの自信があるのか取り巻きはいない。真正面からの戦闘になるだろう。予知で手に入る情報は少なく、どんな相手かは対面して判断するしかない。
「説明は以上だ。ちょっと面倒な相手かもしれないが、まあいつも通り解決してくれ。準備が出来たら、転送するぜ」
グッドラック、良き闘争を。
松六
松六です。サイバーザナドゥシナリオ2つ目となります。
第一章は冒険です。海中に隠された出入り口を探します。生身で入るのは危険なのでやめましょう。ウォーマシンや悪霊のような生身じゃないですって方は大丈夫です。
第二章は集団戦です。暗殺者たちが侵入者を排除するため襲い掛かってきます。暗殺者らしく不意打ちを狙ってきます。
第三章はボス戦です。こちらは二章とは逆に正面から来ます。よほど自信があるようです。倒せば勝利です。
資料を探す等は第三章で行動されると良いでしょう。
以上となります。それでは、皆さまの冒険の一助となりますように。
第1章 冒険
『暗く濁り、泡立って異臭がする海』
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POW : ●『根性』海に飛び込んでみる、怪しい海産物を食べてる…etc
SPD : ●『工作』魚を釣る、船に細工をする…etc
WIZ : ●『調査』海水や海産物の成分を調査してみる…etc
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
堂島・アキラ
汚染が怖くてデスブリンガーやってられっかってんだ。ビビらず行くぜ。
オレは全身機械化義体だから生身の人間よりも息は続くし、多少の汚染も気にはならねえ。
その上でユーベルコードでテキトーな能力削って移動力を上昇させる。
目的地まで早く到着すればその分汚染も軽度で済むだろ。
自慢のカワイイおべべが汚れちまうのだけはどうしようもねえな……。
にしてもわざわざこんな面倒な偽装までして、何作ってんだか。
ま、このオレが全部ぶっ壊しちまうんだから関係ねえか。
岸から望む海は、実にケミカルな色合いだった。体に悪いどころか見ているだけで生命の危機を感じる汚濁と悪臭は、確かに入り口を隠すならうってつけ、と言えるのだろうか。
「汚染が怖くてデスブリンガーやってられっかってんだ。ビビらず行くぜ」
堂島・アキラ(Cyber×Kawaii・f36538)は全身義体のデスブリンガー。汚染された海に阻まれるような作りはしていないと、可憐な顔でニヤリと口を歪め、鼻で笑う。
さらに移動力に特化した形態になれば、汚染も重度化する前に抜けれるだろう。
「自慢のカワイイおべべが汚れちまうのだけはどうしようもねえな……」
可憐さと煌びやかさと可愛さを追求した衣装と義体だ。あまり汚したくはないが、着替えるのは嫌だと彼…… 彼女? は不満顔である。
仕方ないと諦めて、アキラは汚れた海に飛び込む。視界は最悪だが、岸に沿って潜ればいいので問題は無い。出入り口の隠し場所は経験と知識から当てを幾つかつけているので、順番に回るだけだ。
(にしてもわざわざこんな面倒な偽装までして、何作ってんだか)
随分と金と手間がかかっている。そこまでするほどのものがあるのか、単に凝り性だったり臆病だったりといった性格的なものか。
(ま、このオレが全部ぶっ壊しちまうんだから関係ねえか)
最終的には全て壊すのだから、と思考をシャットアウト。好き放題暴れれば良いのだと、アキラは潜っていった。
大成功
🔵🔵🔵
支倉・錫華
わかりやすい『ブラック企業』だね。
それに『中の上~上の下』とはいってもメガコーポだし、
部品関係やソフトウェアに強いなら、なにかいいもの拾えるかもだね。
キャバリアでもいけそうではあるけど、
あとで動きづらくなりそうだし、
海中には【ノートゥ・スーツ】を着ていけばいいかな。
入り口は偽装されてそうだけど、
アミシアにスキャンでサポートしてもらいながら、
岩肌とかに動きの痕跡をみつけて辿っていこう。
出入り口をみつけたら【クーリエポーチ】を使って扉を開けて潜入。
さ、ここからは情報とお宝……物証探しだね。
狙いは、この工場で作っているものに関する書類と現物。
倉庫みたいなところを見つけられるといいんだけど。
ステルス素材で作られたボディスーツ装備、ノートゥ・スーツに着替えた支倉・錫華(Gambenero・f29951)は、体を捻ってズレが無いかを確認。その他、潜水装備も念入りに点検していく。毒々しい海に入る以上、準備は入念にしておかねばならない。
「わかりやすい『ブラック企業』だね」
けれど、錫華に緊張は感じられない。いつも通りの調子を崩さず装備を纏っていく。
「それに『中の上~上の下』とはいってもメガコーポだし、部品関係やソフトウェアに強いなら、なにかいいもの拾えるかもだね」
さりげなくお宝回収しますと口にした後、潜水用の装備に身を包んだ彼女は、躊躇いなく汚染された海に飛び込んだ。
「アミシア、スキャンして。偽装の痕跡を探すよ」
『スキャン開始します』
視界はケミカルな色で埋まっているが、岸壁に手を添えて潜っていく。感覚を研ぎ澄ませば視界に頼らずとも地形を知覚できるし、パートナーユニットであるアミシア・プロフェットの支援があれば見通すことも容易い。
それに、人も物も海中から運んでいるのならかなりの規模の出入り口になるはずで、複数存在する可能性もある。隠せばこそ、隠した痕跡や証拠が生まれるのだから。
『スキャンに反応がありました。場所を指示します』
アミシアの指示に従い錫華は泳ぐ。手で触れながら移動すれば、確かに擦れたり、動かしたような跡が微かにわかる。
「へぇ、これは……」
『ホログラムによる偽装を確認。おそらく排水口の類でしょう』
「そうだね。でも、排水口も偽装だ。これは出入りのための穴だね、コソコソ動くための、さ』
ホログラムで岩壁の映像を被せて偽装されていたのは、使われていない排水口、に見せかけた非常用もしくは隠し通路といったところか。
塞いでいるフェンスや扉にもセキュリティが仕掛けてあるようだが、錫華は諜報員である。クーリエポーチからツールキットを取り出し、カチャカチャと作業するとあっと言う間に陥落、悠々と内部に潜入を果たした。
研ぎ澄まされた感覚と、アミシアの支援で敵がいないことを確認して、簡素な室内に入り込む。
「さ、ここからは情報とお宝…… 物証探しだね」
不要になった装備を外していく。錫華は見え難い場所に装備を隠すと、周囲を警戒しながら通路に出る。
「狙いは、この工場で作っているものに関する書類と現物。倉庫みたいなところを見つけられるといいんだけど」
この地下工場はかなり広いようだ。一先ずマッピングしながら、案内図なり見つけたいところである。
大成功
🔵🔵🔵
カグヤ・アルトニウス
〇海中から入ると思いましたか…無理です
アドリブ歓迎
要するに潜水艇で出入りしている工場に侵入せよという事ですね
ビルの下にあるという事は地上部分があるという事ですよね
それに、湾内の水深からすると、地上から探査できる射程圏内だと思われますから、テレポート阻害への対策さえすれば件のビルの辺りからでも入れると…やってみますか
まずは、【ハッキング】+【地形の利用】で地理データから正確な位置と構造を炙り出し、さらに探索の為に【追跡】で警備のセキュリティホールを探してアクセスします
そしてビルの地上部に侵入
UC使って場所を特定したら阻害に対しては【封印を解く】で突破し資材倉庫を狙ってテレポートで降下して隠れます
カグヤ・アルトニウス(辺境の万事屋兼宇宙海賊・f04065)は、海を見てすぐに回れ右をした。一応見ておこうと足を運んだものの、やはり海中からは無理だった。いや、防護服は大丈夫かもしれないが、それはそれというものだ。
「ビルの下にあるという事は地上部分があるという事ですよね」
ダミーのビルは工場の真上にある。工場への出入りは潜水艇だと推測でき、湾内を見た限り地上からの距離、水深は深くないはずで、探査できる射程圏内だと思われる。
「テレポート阻害への対策さえすれば件のビルの辺りからでも入れると…… やってみますか」
調べる程度なら問題も発生しない。やってみようとカグヤは行動を開始する。
電脳端末で適当な機器にハッキングして各種地理データを取得。地形、組成等から地下を作る際のデータを計算し工場の位置と構造を炙り出す。直接調べずとも、調査の手段は幾つもあるのだ。
続いて警備に関しても、こちらは少々手間がかかったが、アクセスに成功。警備情報もある程度は入手できた。過信はできないが、あれば後が多少楽になる。
「時間をかけすぎても良くは無いでしょう。そろそろ侵入しますか」
ダミーのビルに入るが、確かに中は空だ。おかげで何をしても目立たない。
カグヤは太刀状の光剣エクストラ・ブルーを構え、不可視の居合斬りを地面に放つ。これを複数個所で数回繰り返し物体の構成情報から地下の状態を把握する。
あとはテレポートだが。
「試してみましょうか」
障害物を避ける感覚。絡んだ糸を解くように。サイキックエナジーの力に任せ、テレポートを発動。
カグヤは見事狙い通りに資材倉庫に降下してみせたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ロジャー・カニンガム
我々の『取引先』にとってもレイゲツは目障りなようです
では、業務を始めましょう
私の体は汚染物質など問題としませんが、海中での活動は「できなくもない」程度です
そこで『取引先』から小型の潜水艇を借りられないか、メガコーポ式に『交渉』します
『レイゲツが傘下の秘密工場で新兵器を開発中との情報を得た、
詳細は不明だが放置すれば必ず我々の脅威になる』
と危機感を煽り立てれば首を縦に振らざるを得ないはずですが、
拒否するにしても水中活動用の装備位は支給して頂きたいものです
いずれにせよ防水処理は念入りに行います
秘密の出入り口は排水口に擬装しているのが定番ですが、
他にも周辺の地形に不自然な点が無いか注意深く調査します
UDCアースには『出る杭は打たれる』という言葉があるらしい。レイゲツは高く見積もって上の下にあたるメガコーポ。トップ層の他のメガコーポからすれば、まさに出始めた杭といったところで、できるならば抑えたい位置だ。
「我々の『取引先』にとってもレイゲツは目障りなようです」
ロジャー・カニンガム(兎型歩行戦車RIT-17/S・f36800)の所属する企業にとっても『取引先』にとっても、認識は共通されている。
「では、業務を始めましょう」
丁寧で真面目な、聞く者によっては威圧感を感じる人工音声が海上に流されていき、眼前の小型潜水艇にぶつかって霧散する。
頭脳戦車であるロジャーは、汚染物質など問題にならない。が、海中での活動は可能だが得意ではないし、できれば汚したくはない。きっと掃除が大変だ。特に臭い。
そこで、『取引先』とメガコーポらしく『交渉』した。
『レイゲツが傘下の秘密工場で新兵器を開発中との情報を得た、詳細は不明だが放置すれば必ず我々の脅威になる』
と、幾つかの証拠と、レイゲツ相手ということから、『快く』小型潜水艇を借りることができた。事前準備だったとはいえ、良い仕事ができた。
幸先良いスタートだと、ロジャーは防水処理を念入りに行い潜水艇に乗り込む。操縦はリモートも可能なため、彼でも楽に扱える。汚染された海中を、各種探査機器を頼りに潜っていく。
「秘密の出入り口は排水口に擬装しているのが定番ですが……」
果たして潜水艇は通れるのか。別に降りて入ってもいいけれども。注意深く調査を続け、幾つものデータを重ねていくと、浮かび上がる違和感。
「1つ1つは流してしまうような、小さなズレですが、こうして計測結果を総合すれば不自然さは確かなものになります」
普通ならば見つからなかったのだろう。隠されていたのは資材搬入等に用いる、潜水艇用のゲートだ。セキュリティロックはされているが、ロジャーには大したものではない。速やかに解除して、悠々と内部に入っていった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『サイバーアサシン』
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POW : サイバー・ニンジャブレード
【光学迷彩で潜伏した状態から放つ仕込み刃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【高圧電流を纏う強化ブレードによる連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ナパーム・シュリケン
自身が発射した【強力な爆発物が仕込まれた手裏剣】の軌道を、速度を落とさずレベル回まで曲げる事ができる。
WIZ : ステルス・カギナワ
【光学迷彩が施されたワイヤー付きアンカー】が命中した敵の部位ひとつを捕縛し、引き寄せる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
潜入に成功した猟兵たちは、明るく簡素な地下工場内を探索しているとき、そこかしこで労働者たちの姿を見る。
通路からのみ見える窓、あるいはモニター室などから、労働作業は様々異なるが、どの労働者も表情は暗い。若干やつれているように見えるが、それは精神的なもののようである。誰もかれも、チラチラと隅や影を怯えるように視線を頻繁に向けている。
そして、猟兵たちも気づいた。どこからか、見られている、と。
侵入者を排除するため、暗殺者が死角から襲い掛かってきた。
支倉・錫華
死角からの不意打ちね。悪くない作戦だと思うよ。
でもね?
【アウェイキング・センシズ】で相手の気配を感知して、
【小太刀】でカウンターの斬撃を叩き込もう。
さて初撃は躱せたけど、これだけの基地だしひとりってことはないよね。
引き続き感覚を研ぎ澄まして、相手の不意打ちを躱しながら倒していくけど、
不意打ちが通用しないとわかったら数に頼ってきたか……。
正直こっちのほうがやりにくくはあるんだけど、
それでも負けるつもりはないよ。
相手のワイヤーアンカーに絡みとられたら、ここからが私のターン。
アンカーを掴んだまま猛ダッシュで懐に飛び込んで、
今度はこちらから仕掛けていくよ。
乱戦に持ち込み、小太刀二刀で切り伏せていこう。
倉庫、あるいは書類等が保管してありそうな場所を探している支倉・錫華(Gambenero・f29951)は、隠れながら新たな扉を通る。中は広く、薄暗い。壁際には棚が並び、棚の上には箱が並んでいる。中央付近には大型機械の部品らしきものが幾つか安置されていることから、ここは予備部品の倉庫のようだ。
「ここには…… 目的の物は、無さそうかな」
ざっと見て回りながら、彼女はそう判断する。それでも何かしらの手掛かりはあるだろうか、と集中して確認する錫華の背中に、虚空から刃が突き出された。鋭利な切先は彼女の柔らかな首を貫こうとして、髪の毛1本を断つに終わる。
「死角からの不意打ちね。悪くない作戦だと思うよ」
超常的な知覚能力で察知した錫華は、相手の視界から消えるように屈み、体を捻る。
「でもね? 全部、見えてる」
ブレードを突き出し伸びきったサイバーアサシンの懐に、錫華は回転しながらするりと滑り込み、いつのまにか手にしていた緑刀身の小太刀を敵の急所に刺した。ぐり、と捩じりながら小太刀を抜けば、サイバーアサシンは力無く床に沈む。
「さて初撃は躱せたけど、これだけの基地だしひとりってことはないよね」
研ぎ澄まされた感覚は、他にも敵がいることを看破する。
不意打ちをカウンターで撃破し、小太刀を自然体で構える錫華を見、サイバーアサシンたちはすぐに作戦を変更して彼女を囲うように布陣した。
「不意打ちが通用しないとわかったら数に頼ってきたか……」
錫華としてはこちらの方がやりにくい。1体1体、不意打ちをカウンターで処理する方が楽だ。もちろん、だからといって負けるつもりは無い。
数秒か数分か、じりじりと膠着状態が続き、彼女の未来予知にも近い直感が、不可視の飛来物を捉える。初撃は体を逸らして避けて、2投目は切り払い、3射目は跳び避けるが、4発目が遂に彼女の腕を捕えた。
「しまったっ」
アンカーを絡ませることに成功したサイバーアサシンは、ブレードを構えてワイヤーを引く。機械ゆえの強大なパワーで錫華を吊り上げようとして、彼女は毒花の如くニヤリと笑った。
「なんて、ね」
引っ張る力に逆らわず、錫華はむしろ自ら走り寄る。予想外の行動にサイバーアサシンは一瞬硬直し、その間に接近した錫華はしなやかな体捌きで飛びかかり、豹のように小太刀を突き刺し仕留めた。
そして、もう1本の小太刀を取り出し二刀流になると、最も近い別のサイバーアサシンに攻撃し流れるように切り伏せる。
「さて、ここからが私のターン。今度はこちらから仕掛けていくよ」
包囲を破り乱戦に持ち込めば、優位は錫華のものとなる。翡翠に見紛う緑刃が煌めき、暗殺者たちの命運を断ち切るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カグヤ・アルトニウス
〇海賊VS忍者
アドリブ歓迎
前回の探索で何となく居るのは分かってましたけど…
「姿なき番犬」ですか…邪魔にならない様に排除します
ただ、今回は余波を残さない様にしなくては今後の調査に差し支えますから、そこら辺は注意ですね
(行動)
まずは、足音を消す為に数センチ浮上、位置を変える為に数メートルだけテレポートしてUC発動、こっちも熱光学【迷彩】で姿を晦ませます。
後は、【念動力】+【索敵】で暗殺者のサイバー装備による磁場の乱れや思念の流れ視覚化したものを手掛かりに暗殺者の居場所を特定します
後は一体づづテレポートで背後に踏み込んで【気絶攻撃】で黙らせます
ここで殺さないのは血痕とかを残したくないからですね
資材倉庫のコンテナの隙間に身を隠したカグヤ・アルトニウス(辺境の万事屋兼宇宙海賊・f04065)は、周囲の気配を探る。確かな位置や数はわからないが、事前調査通り、見えない敵が居る。
「「姿なき番犬」ですか…… 邪魔にならない様に排除します」
残していても利は無い。静かに、迅速に、跡を残さないようにする必要がある。
カグヤはサイキックエナジーを慎重に操って自身を数センチ浮かせる。さらに今の場所が見つかっていないとしても、予測されている可能性を考慮して短距離テレポートで別の隠れ場所に移動。次に近接防御デバイスを操作する。
「アブソリュート・ウォール、認知阻害モード起動…… コンプリート」
カグヤの周囲を覆う不可視の防壁で、自らの姿を隠す熱光学迷彩を起動。音と姿を消した彼は、ついに受け手から攻め手に回る。
念動力を扱う技能を応用して、思念の流れを探り、電脳端末経由で磁場の乱れ、あるいは残滓を探す。
「…… ああ、ありましたね」
サイバー装備は優秀なのだろう、痕跡は少なく見つけ難い。しかし、全てを隠すことはできない。カグヤは幾つかの手掛かりからサイバーアサシンの居場所を計算、予測し、工場内部の構造と照らし合わせて、特定する。居所のバレた暗殺者は、後は対処するだけだ。
「失礼しますよ」
彼はテレポートを駆使してサイバーアサシンの背後に踏み込むと、即座にサイキックエナジーを叩きこんで気絶、停止させる。
音を立てないために倒れ込む敵を支えると、そっと寝かせる。
「血痕やオイルなどが残ると困りますからね」
殺す方が手間な時もある。見つからないように隠すと、カグヤは次のサイバーアサシンへテレポートした。
かくして、無音不可視の暗闘は誰も知らずに終わるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
堂島・アキラ
隠れてコソコソしてるだけなら見逃してやってもよかったが、出てきちまったら殺るしかねえよな。
見えない何かを飛ばしてきたから咄嗟に片腕でガードしたら縛られちまった。
ムカつくぜ。お前ら如きが傷つけていい体じゃあねえんだよボケ。
オレをキレさせたらどうなるか、その身にたっぷり教えてやるよ。
まるでチェーンデスマッチだな。引き寄せてブレードでぶった斬るつもりか?
だとしたら好都合だ。オレを引き寄せてみろ。ヤツのブレードの射程内って事はオレのマンティスの射程内でもあるって事だ。
ユーベルコードで強化も入ってんだ。むしろ片腕じゃねえと勝負にならねえってもんよ。
ま、それでもオレが余裕で勝つだろうがな。
堂島・アキラ(Cyber×Kawaii・f36538)は堂々と工場内を歩いていた。自由を愛しヒャッハーな彼あるいは彼女に、そもそも隠れるという発想は無く、通路を我が道とばかりに行く。
四方から向けられる気配も、どこ吹く風だ。手を出してこないのならば、だが。
「隠れてコソコソしてるだけなら見逃してやってもよかったが、出てきちまったら殺るしかねえよな」
足を止めたアキラの背中目がけて、天井に潜んでいたサイバーアサシンが腕からアンカーを射出する。不可視のワイヤーアンカーによる不意打ちを、直感で反応したアキラは振り返り様に片腕を掲げて防ぐが、代償としてワイヤーが腕に巻き付いてしまった。
「ムカつくぜ。お前ら如きが傷つけていい体じゃあねえんだよボケ」
サイバーアサシンが床に降り立つ。ワイヤーを片腕で巻き取りながら、能面の如き無表情で残った腕を構える。
「オレをキレさせたらどうなるか、その身にたっぷり教えてやるよ」
ピンと張るワイヤー、引き寄せ合う両者。さながらチェーンデスマッチのよう。
じりじりと距離を詰める。獣性を露にしたアキラに対し、サイバーアサシンは冷酷な機械そのもの。相反する2人は互いの射程内に相手が踏み込んだ瞬間、腕に内蔵された折り畳み式ブレードを振るう。
火花を散らして2合、3合と至近距離で斬り結び、鍔迫り合いになる。
「ハッ余裕だボケが!」
アキラの全身を漆黒の闇が覆う。威力の増したマンティスセイバーが、サイバーアサシンのブレードごと腕をぶった切る。断ち切られて宙を舞う刃をアキラは掴み、敵の胴体に突き刺した。
「これはお前が傷つけた分ッ!」
そうして胴体を押さえこみ、ワイヤーを掴んで腕を全力で引く。
「これはお前が汚した分!!」
オイルと火花をぶち撒けサイバーアサシンの腕が肩から千切れる。
「そして、これが俺をキレさせた分だッ!!」
アキラは両腕の内蔵ブレードを展開して巻き付いたワイヤーを切断すると、一対の刃を重ねて振り上げ、サイバーアサシンの頭から叩きつけて両断した。
「勝負にならねえな」
ブレードを格納したアキラは、残骸を踏み潰し、邪魔する敵を切り捨てながら先へ進むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ロジャー・カニンガム
従業員の表情やバイタルデータを見る限り、職場環境はお世辞にも良いとは言えないようですね
どうやらカメラだけではない、監視の目があるようですね
失礼、工場見学の途中で道に迷ってしまったのですが、
トイレはどちらでしょう?
わざとらしく声をかけた所、問答無用で襲われてしまいました
やれやれ、こんなジョークも許されないとは、聞いていた以上にひどい環境です
仕方なく応戦しようとした所で、思うように身動きが取れない事に気が付きます
これは…どうやら極めて視認し難いワイヤーに絡め取られてしまったようです
これで私を捕えたつもりでしょうが、残念でしたね
ワイヤーの先に此方のスタンワイヤーを打ち込み、痺れさせてやりましょう
この工場の通路には、内部の様子が見える窓を模したモニターが据え付けられており、ロジャー・カニンガム(兎型歩行戦車RIT-17/S・f36800)のカメラアイがモニター越しに労働者の顔に向けられ、情報を収集する。数人ほどデータ収集を繰り返したあと、次はデータの比較を行う。
「従業員の表情やバイタルデータを見る限り、職場環境はお世辞にも良いとは言えないようですね」
職場の視察をするかのように、慣れた様子で把握して嘆息するような仕草をするロジャー。また、記録した労働者たちの視線は監視カメラ等とは別の場所に向けられていることを確認する。
「どうやらカメラだけではない、監視の目があるようですね」
ロジャーの頭部にある兎耳に似たアンテナが動く。角度を細かく変えて稼働する様は本物の耳のようだ。ふむ、と呟いた彼は虚空に向けて声を発した。
「失礼、工場見学の途中で道に迷ってしまったのですが、トイレはどちらでしょう?」
返答は射出されたアンカーだった。背中のキャノン砲ごと絡め巻き付く不可視のワイヤーに、しかしロジャーは動揺を見せない。
「やれやれ、こんなジョークも許されないとは、聞いていた以上にひどい環境です」
職務に忠実らしいサイバーアサシンからの返答は無い。光学迷彩で隠れたまま、捕縛したロジャーを仕留めるつもりなのだろう。
「これで私を捕えたつもりでしょうが、残念でしたね」
不可視のワイヤーとて、接触している状態ならば別だ。微細な振動がワイヤーを伝って、ロジャーに敵の姿を映し出す。身動きが取れないが問題は無い。手の一部が稼働し、銃口をサイバーアサシンに向ける。
「電撃による制圧を試みます」
無音で発射されたワイヤー付きアンカーがサイバーアサシンに刺さると、間髪入れず高圧電流が流される。サイボーグにも有効な電撃が敵の内部を焼き、機能を阻害それた相手は光学迷彩を解除して地面に落ちた。
巻き付いているワイヤーを解いたロジャーは、スタンワイヤーを回収するとサイバーアサシンが死んでいないことを確認し、捕縛する。
「捕縛完了です。後ほど回収に参りますので、大人しくしていてくださいね」
そのまま放置するわけにはいかないので、適当な一室にサイバーアサシンを安置すると、ロジャーは工場の深奥へ行くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『サイバーニンジャ用強化外骨格・サンダンメ』
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POW : イヤーッ!
【カラテ】が命中した敵をレベル×10m吹き飛ばす。
SPD : イヤーッ!
速度マッハ5.0以上の【カラテ】で攻撃する。軌跡にはしばらく【固体化したカラテ粒子】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
WIZ : イヤーッ!
【両拳の超振動ステーク】から【カラテ波動】を放ち、【カラテ】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ムルヘルベル・アーキロギア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
サイバーアサシンを排除しながら地下へ進み続け、長い通路を進んだ先にあったのは広いオフィスだった。
簡素で機材を除けば装飾の少ない、殺風景な工場とは異なるオフィスの内装は、とにかく無駄に豪華だった。貴金属で装飾されたり、デスクや棚が高級そうな素材だったり。室内の広さも不必要なほどに広く、使ってる者の人間性がよく表れているようだ。
だが、幸いにも部屋の主は不在だ。すぐに戻ってくるだろうが、探索するなら今が好機である。
カグヤ・アルトニウス
〇サイバー・カラテ
アドリブ歓迎
カラテ粒子ですか…
他に広まった時の対策用サンプルとデータを頂きます
(行動)
予め目を付けて置いた室内の端末にGOKUを投入
【ハッキング】させて「カラテ粒子」を中心とした機密データを収集させます
対サンダンメ
まずは…UC発動
ただ、GOKUはデータ入手しているのでTometamaとCavallでの戦いです
Tometamaは脚部狙いの凍結の矢の【マヒ攻撃】で足止め、Cavallは頭上から障壁での【不意打ち】+【気絶攻撃】で牽制、その隙に背後に【残像】を纏い回り込み、エクストラ・ブルーの「重ね突」による【鎧無視攻撃】+【衝撃波】+【二回攻撃】で痛打します
後は長居は無用です
ロジャー・カニンガム
おや、秘密の地下工場に似つかわしくない豪奢な部屋に来てしまいました
レイゲツ製品が少々高額なのは、ここにコストを掛けていたからのようですね
ともかく、部屋の主が戻る前に、まずは帳簿のデータを探しましょう
あらゆる物が金で買えるこの世界では、資金の流れは自身の活動履歴と言っても過言ではありませんからね
と、我々の調べ物が済む前にボスがランチから戻って来たようです
スーツにしては随分と物々しいですね
工場で製造していたのはアレの部品でしょうか
敵の攻撃に当たらないよう動き回りながら、
背部戦車砲の装填が完了次第、照準を合わせず発射していきます
その後UCで砲弾の軌道を曲げ、敵の後方や側面から命中するように調節します
ほぼ同時にオフィスに到着したカグヤ・アルトニウス(とある辺境の宇宙海賊(プライベーター)・f04065)とロジャー・カニンガム(兎型歩行戦車RIT-17/S・f36800)は、お互いが猟兵だとわかると協力して事に当たることにした。
特級社員並の権限を持ち交渉等も行うロジャーと、万事屋営む宇宙海賊のカグヤの話し合いは実にスムーズだった。
ロジャーは室内を見渡し観察すると同時に記録していく。
「レイゲツ製品が少々高額なのは、ここにコストを掛けていたからのようですね」
秘密の地下工場に似つかわしくない豪奢な部屋。その費用は持ち主の懐からだけではあるまい。
ロジャーが室内を記録する間に、カグヤは予め目を付けておいた端末に近づくと、サルのぬいぐるみを模した汎用ユニットGOKUを取り出し傍に置く。GOKUが端末に触れるとハッキングが開始され、モニターに様々なデータが流れていく。
「カラテ粒子ですか…… 他に広まった時の対策用サンプルとデータを頂きます」
多くのデータに記されているカラテ粒子なるもの。どうやらかなり重要な機密データらしい。カグヤはカラテ粒子を中止にデータを収集するようGOKUに命ずる。
そこへロジャーも寄ってきた。
「では、帳簿のデータもお願いできますか? あらゆる物が金で買えるこの世界では、資金の流れは自身の活動履歴と言っても過言ではありませんからね」
「はい、お任せください」
サイバーザナドゥでは金の力は極めて強力であり、金の流れを始めとする資金の情報は重要機密でもある。それを暴かれることは、手札を全て知られてしまうようなものだ。
GOKUに新たな命令を追加し、機密データに潜り込んだところで、ロジャーの兎耳アンテナに反応があった。
「と、我々の調べ物が済む前にボスがランチから戻って来たようです」
音も無く扉が開き、ぬっと入ってくる黄金の甲冑。重厚な見た目に反し動作は柔らかく軽やかで、青く輝く2つのカメラが猟兵たちを見る。
「コソ泥がいると報告があり、サイバーアサシンたちに対処を任せていたが…… いやはや、私のオフィスまで侵入を果たすとは。ただのコソ泥では無いらしい」
「スーツにしては随分と物々しいですね」
ロジャーの気さくなつもりのジョークに、冷笑で応じる敵。
「サイバーニンジャ用強化外骨格・サンダンメ。この工場で製造された、レイゲツの新製品第1号だ。凄いぞぉ、従来の肉体など比べ物にならない。私はコイツと一体になることで最も優れたニンジャとなったのだ」
機械の顔に表情は無いはずなのに、恍惚としていることが理解できる。サンダンメはロジャーとカグヤを指で示す。
「光栄に思いたまえ。君たちは、この製品によって殺される対象第1号になれるのだから!」
「お断りですね。それと残念でしょうが、今日限りで工場は閉鎖です」
GOKUはまだハッキング中だ。破壊されないように、カグヤは前に出る。ロジャーは前傾姿勢を取り、キャノン砲に装填する。サンダンメが拳を握って構える。
「では、死にたまえ」
サンダンメが踏み込もうとした機先を妨げるために、ロジャーはキャノン砲を発射、すぐに走り出す。敵が砲弾を拳で弾いている間に、カグヤはユーベルコード『Operation "MOMOTAROU"』を発動した。
「GOKUは動けない…… Tometamaは脚部を狙って、Cavallは頭上から牽制してください」
雉のぬいぐるみ型自律ユニットが足を狙い凍結効果のある矢を放ち、犬のぬいぐるみ型ユニットが障壁を纏い頭上から突進する。
「その程度。イヤーッ!」
サンダンメは床に超振動ステーク付の拳を叩きつけ、カラテ波動の放射により矢を砕き、立ち上がりながら頭を振り上げ、頭上からの突進に頭突きで押し返す。
そして、背後に向けて回し蹴り。
「読めているぞぉ!」
モーターによって加速を重ねた蹴りは容易く音速を超え、後ろで太刀状の光剣を構えていたカグヤに突き刺さる。胴体を粉砕した、と思った瞬間、カグヤの姿は朧となって消え失せた。
「なにっ」
「残像です」
本物のカグヤは残像よりも下、伏せるかのような低姿勢で蹴りを回避している。
だが、サンダンメは関節のロック機構で無理矢理蹴りを中断し、踵落としで追撃しようとするも、その足を砲弾が弾いて逸らす。
首を回してロジャーを探して見つけ出せば、あらぬ方向へ発射されるキャノン砲。空中で軌道を変える戦車砲弾。
「誘導弾、それも手動操作のッ」
「センサーに頼り過ぎましたね。直接照準されなければ反応できないのでしょう?」
驚愕し、意識がロジャーに向いた隙を狙い、虎が獲物に跳びかかるとうにカグヤは伏せた状態から突きを放つ。サンダンメは咄嗟に後退しようとするも足を凍らされて、身体を逸らそうとすれば障壁を纏った突進が阻害した。
滝登りの如き、昇竜の刺突は一撃に見えるかのような2連続の突き。寸分狂い無く同一箇所に直撃し、黄金の装甲を貫徹する。
「ぬぅ、貴様ら!?」
怒りに染まったサンダンメは、刀を抜かれる前にカグヤを叩き潰そうと拳を振り上げるが、軌道を曲げながら飛来した砲弾が直撃して吹き飛ばされてしまう。
その間に後退したカグヤは、ロジャーの横に並び立ち態勢を整えた。
「想定よりも頑丈ですね」
「長居は無用ですが、もう少しかかりそうです」
立ち上がるサンダンメを見て、冷静に分析する。ハッキングを終えるまではまだ少しの時間がいるようだ。
けれどカグヤとロジャーは慌てることなく、戦闘を続行した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
支倉・錫華
わたしとしては、レイゲツのブラックだけでなく、
この世界のメガコーポ情報が欲しいところだね。
そのうえで、裏につながるネタも手に入れられるなら越したことはないかな。
【クーリエポーチ】の端末をこの部屋の端末に接続して、サーバーのおいしそうなところをコピーさせてもらおう。
っと、お部屋の主のお帰りかな?
逃げられる感じはしないし、ここは戦うしかないかな。
相手は……『カラテ』?
ならこちらは【黒鶺流匝線法】でいこうかな。
相手の攻撃を受けて捌きつつ、攻め込んできたところで『機』を外して、攻守を入れ替え。
死角から【小太刀】の峰撃ちで、内部にダメージを与えて一時的に機能停止させたいな。
相手が止まったら、脱出だね。
オフィス内には複数の端末が存在する。できるだけ死角になる場所を選び、支倉・錫華(Gambenero・f29951)はクーリエポーチを用いてハッキングを仕掛けていた。
「わたしとしては、レイゲツのブラックだけでなく、この世界のメガコーポ情報が欲しいところだね」
サイバーザナドゥは発見できたばかりの新世界だ。手に入る情報は多ければ多いほど良い。そのうえで、裏に繋がる情報も手に入れられるなら越したことはない。
セキュリティの網目をするりと抜けてサーバーに侵入し、重要そうなデータや機密、おいしそうなものをコピーしていく。トントン拍子に進むのはレイゲツが手抜きというわけではなく、錫華の諜報員としての腕前だろう。
「っと、お部屋の主のお帰りかな?」
咄嗟に身を隠した錫華はそろりと観察。他の猟兵と1戦交えた末に吹き飛ばされたサンダンメだが、すぐに立ち上がるのを見て、抜けるのは簡単ではなさそうだと判断する。
「逃げられる感じはしないし、ここは戦うしかないかな」
仕事を終えたクーリエポーチを回収し、緑刃を持つ二振一具の小太刀、『神成翁』・『鬼怒婆』を音も無く抜いた錫華は数舜、呼吸を整え切り替える。
「相手は……『カラテ』? だっけ」
サイバーニンジャの近接格闘術の類だったか。あまり真正面からやり合いたいものではないが、搦め手よりは戦いやすい。
錫華は飛び出すと同時に疾走。歩幅をずらし体を振り、狙いを絞らせない。
「コソ泥が増えたか。砕けろ、イヤーッ!」
機械駆動に構造を熟知した技量が合わさっての高速の踏み込みは、途轍もない圧を感じる。金属の塊が猛スピードで突っ込んでくるのは恐ろしい。真っすぐ放たれる拳の突き。
「フッ」
鋭く息を吐き、紙1枚の隙間を空けて錫華は体を逸らして避ける。大質量の殴打を臆さず、怯まず、冷静に対処する。
「イヤーッ! イヤーッ!」
正拳突き、裏拳、膝蹴り、足刀。サンダンメの素早い連撃を錫華は屈み、引き、逸らし、流して捌く。最中にある敵の視線が攻撃で切れる瞬間に、彼女は懐潜って死角に入る。
「どこに……!?」
「これで、どうかな!」
相手を見失って隙を晒すサンダンメ。そこへ影が襲いかかる。柔な一撃では通るまい。先ほどの猟兵が攻撃を加えた部分目がけて、小太刀二振りを重ねての峰撃ちを叩きこむ。装甲を徹す衝撃が、内部機構への痛打となった。
「な、なにっぐ、動きが」
機能停止とはいかなかったが、動きは鈍くなった。これなら十分と、錫華は駆けだす。
「それじゃ、バイバイ」
オフィスの扉を抜けて、彼女は離脱することに成功したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
七瀬・夏希
あいつを倒さなければ、ゆっくり資料を漁ることもできないってわけね。
任務了解。
《操空回路》を展開し、室内の状況や敵の動きを把握。
ハンドガンを構え、敵がこちらに接近するより先に足関節を攻撃。
《回路》の力を用いて弾丸を転移させ、タイムラグなしに着弾させる。
移動力を封じたなら、上半身の関節も破壊していく。
もちろん、中に入っているニンジャの身体ごと。
それにしても、助かるわ。
その最新鋭の強化外骨格。
企業秘密をそちらからわざわざ持ってきてくれたんだから。
資料は貴方ごと持ち帰らせてもらうわ。
敵の稼働を停止させることができたなら、《回路》の力を用いて異空間に捕縛。
資料ごと転移して脱出する。
衝撃で機能を鈍らせていた強化外骨格がシステムを修正して再起動することで、元の動きを取り戻したサンダンメ。
それを七瀬・夏希(SWAT隊員・f29827)は、高級そうな木製デスクに隠れて観察していた。
「あいつを倒さなければ、ゆっくり資料を漁ることもできないってわけね。任務了解」
夏希は自らの全身に組み込まれている魔術回路を励起する。操空回路、と名付けられたそれは、多様な能力を有する。空間に干渉し室内の状況、障害物の位置、敵の動きや状態を把握していく。
「この感覚…… そこだな!」
回路の励起か、空間への干渉が原因か、サンダンメは夏希に気付いた。頭部カメラを彼女に向け、ステークを装着した拳を構える。
見つかった夏希は慌てず冷静に、ハンドガンを両手で持ち、腕を伸ばしてデスクの上で狙いをつける。
サンダンメが力強く踏み込み、突撃しようとした瞬間。
「イヤっ!?」
パン、という発砲音と、ガチンとサンダンメの足が固まるのは同時だった。混乱する敵を無視して、夏希はハンドガンを連射する。操空回路によって発砲と同時に弾丸が転移して強化外骨格の内部に着弾。拳銃弾の威力では本来ダメージ足り得ないが、内部、それも関節のモーターやギアなどならば別だ。異物が噛まされ、あるいは撃ち抜かれて破壊され、強化外骨格の足が動かなくなってしまう。
「クソ、ならばコイツでッ」
カラテ波動を纏ったステークを、サンダンメは地面に叩きつけようと振り上げる。だが、夏希は先と同様に数発の弾丸を肩や肘の関節部に転移、阻害する。
「ぐぁあ!?」
弾倉を交換し、夏希は残りの関節を破壊。中のニンジャの四肢も撃ち抜いて、サンダンメを無力化した。
「それにしても、助かるわ。その最新鋭の強化外骨格」
警戒を解かず夏希はハンドガンを構えたまま立ち上がると、サンダンメに近づいて行く。
「企業秘密をそちらからわざわざ持ってきてくれたんだから。資料は貴方ごと持ち帰らせてもらうわ」
「き、貴様……っ」
出来の悪いオブジェのように動かなくなったサンダンメ。
夏希はその後、資料を回収して強化外骨格ごと転移、脱出した。
レイゲツの企みはこれで1つ潰れたが、しかし氷山の一角に過ぎない。それでも、今回手に入れた証拠と資料は、今後の役に立つだろう。
大成功
🔵🔵🔵