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眠れる獣に目覚めの時を

#アポカリプスヘル #【Q】 #戦後 #賢い動物 #生物 #全部乗せ

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#生物
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●春が訪れる前に
 アポカリプスヘル、ワシントン州北西部にある半島の海峡の向かいに大きな島があった。
 アメリカ大陸の太平洋側最大の島の南東部、海岸沿いに隠された研究施設では生物に知性を与える研究が行われていた。
 太平洋へと繋がる内海に近いこの研究施設、文明崩壊前は各国から様々な検体を得て禁断の技術研究に供していたのだが、オブリビオン・ストームにより環境は一変。
 検体を維持するコスト、研究員自身も生きるか死ぬかの状況に追い込まれた世紀末の環境では研究を進める事もできず、されど研究成果を途中で捨てる事も出来ず。
 いつか研究を再開できる日を――未来に託す為に、動物達は地下奥深くでコールドスリープされて、研究施設は必要最低限の機能だけを維持した状態で封印された。
 時が過ぎて、放棄されて久しい研究施設に一頭の白黒毛並の賢い中型犬が住み着いていた。
 地上部や地下でも上の階は崩壊した場所や崩れてしまいそうな場所も多く、そして一番下の階は海の水が入り込んでいて溺れてしまいそう。
 それでも中間あたりの階なら危険も少なくて外にいるよりは安心できるらしい。入り辛い場所もあったけれども、無理に入る必要もないし気にしなければ問題ない。
 寝坊助な動物達も沢山いて、いつ起きるか分からないけれども何となく寂しさも紛らわせる事ができる。
 よく分からないものも沢山ある施設跡のあちこちを探検しつつ、たまに保存食を見つけたり変なスイッチを押してびっくりしたりしながらその中型犬は一匹でどうにか生きていた。
 そんなある日の事、中層で寝そべっていた犬は突然起き上がり地上の方を見上げる。
 聞きなれない機械の音、騒々しいが地上の方から聞こえてきたのだ。
 怖がって地下へと逃げていくけれど、増殖しながら階段を下りてくる機械達は施設跡を破壊しながら徐々に距離を詰めていく。
 ドクター・オロチの配下による侵略――そんな事情は欠片も知らない彼が、逃げ場を失って施設に眠る同胞と運命を共にする終焉はそこに迫っていた。

 グリモアベース。
「アポカリプスヘルでの調べごとを頼まれてくれぬか」
 集まった猟兵たちを前に、人狼の猟師、ロー・シルバーマン(狛犬は一人月に吼え・f26164)は猟兵達にそう呼びかけた。
「賢い動物のプロトタイプに関わる予知が見えた。かつて禁断の技術研究が行われていた研究施設跡をドクター・オロチの配下が襲撃するというものじゃ」
 小型哺乳類のみが知られている賢い動物だが、他の種類の動物についても知恵を与える為の研究が各地で密かに行われていたのだとローは説明する。
「現在賢い動物のプロトタイプは全てコールドスリープ状態に置かれており、各地の研究資料をできるだけ多く集めれば彼らを目覚めさせることもできると予測されておる。……今日までにかなり多くの資料が回収されておるからもう少しで何らかの成果が得られるかもしれぬな」
 そう説明した老狼の猟師は、予知で得た研究施設の詳細についての説明へと移る。
「襲撃される研究施設跡は地上三階、地下六階の建物で、元々はオフィスに偽装されていたようじゃ。地上の方はレイダーによって物資は粗方収奪されておるが、もしかすると偽装された研究資料等が紛れ込んでおるかもしれぬ」
 ただ地上部は建物自体が文明崩壊の影響でかなり傷んでいるようで、迂闊に探ろうとすると崩れて資料等も滅茶苦茶になってしまうかもしれないと彼は続ける。
「地下部分は階段で侵入できる。元々は隠されていたようでほぼ手付かずの状態のようじゃ。ただ、地下二階までは地上からの浸水と崩落でかなり傷んでおるから探るにも注意が必要かもしれぬ。そして最下層の地下六階は海に繋がってしまっていて完全に水没しておる。ただ、そこにも書類が密閉された状態で保管されていたようじゃから上手く回収できればいいかもしれぬな」
 傷んだ建物や水中からのサルベージを避けつつ資料回収をするならばその間の階がいいじゃろう、とローは言う。
「地下三、四階の部屋は電子錠や鍵等が多く、侵入者を拒んでおる。資料庫部屋には起動可能なコンピュータもあるようじゃが、ご丁寧にロックがかかっている。ハッキングなどが得意ならば機械類からも効率的に情報を探れるじゃろう。そして地下五階はフロア全てがコールドスリープされた賢い動物のプロトタイプの眠る部屋になっておる。大きさも住処も様々な……小さいものならクモなどの昆虫、大きなものならクジラに属するものまで多くの種類の動物達がいるようじゃな。このフロアにも研究資料はあるが、あまり数はないようじゃから探すなら他の階のがいいかもしれぬ」
 施設についてはそれ位じゃ、とローは話を一旦区切る。
「そして資料回収がある程度進んだらこの研究施設跡を破壊せんとオブリビオンが襲撃してくると予知されておる。ドクター・オロチの配下で『機械技師・マノン』と言うそ奴はフィールド・オブ・ナインのユーベルコードの一つ『増殖無限戦闘機械都市』を与えられた彼奴は戦闘機械を増殖させつつ地上から地下に向かって進行してくるじゃろう。上手く施設を守りつつどうにか撃破し眠れる動物達を守ってほしい」
 そう説明したローは、もう一つ思い出した事を付け加える。
「どうやらこの研究施設には一頭のボーダーコリーが住み着いているようじゃ。どこかにいるからもし見つけて友好的に接触できれば、もしかすると資料回収を助けてくれるかもしれぬな」
 そしてローは左手の鈴型のグリモアを翳し、転送の準備を開始する。
「……研究資料もかなりの量が集まっておる。眠れる獣達を目覚めさせるために、もう少しだけ力を貸してほしい」
 それでは頼んだぞ、と話を終えたローは左手の鈴を鳴らす。
 鈴の音は澄み渡るように響き空間が揺らいでいく。
 そして音が途切れたその時に、猟兵達は海にほど近い荒野の研究施設跡の前に立っていたのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 だんだん終点が見えてきたような気がします。

 第一章は地下に隠されていた研究施設跡での資料集めになります。
 各階で資料を集めやすい探索方法が異なるようですが、思うままにプレイングをかけて頂いて大丈夫です。
 ちなみにボーダーコリーは好奇心旺盛なようですが、無警戒という訳ではないようです。

 第二章はコールドスリープ状態の動物を狙い現れたドクター・オロチ配下の『🌗機械技師・マノン』との戦いになります。
 戦場は基本的に研究施設周囲の荒野と研究施設跡の地上部になります。
 数で押してくる戦闘機械に上手く対処できれば効果的にダメージを与えられるようです。

※このシナリオタイプのシナリオが一定数成功するとコールドスリープから解き放つために必要なデータが全て回収され、『小型哺乳類以外の賢い動物』が解き放たれるかもしれません。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 日常 『研究資料回収』

POW   :    施設内をくまなく歩き回り、資料を探す

SPD   :    散乱した書類の中から目ぼしいものを探し出す

WIZ   :    施設に残されたコンピュータにアクセスする

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

蓮池・大輝
☆連携・アドリブ歓迎。

「僕もビーストテイマーの端くれとして、できる限りお手伝いします。」

まず、研究施設に住んでいるボーダーコリーさんに接触したいです。【風呼ぶステッキ】で思念を送り、【動物と話す】でお手伝い頂けないか語りかけましょう。

お手伝い頂けるならコリーさんと【相棒の羊さん】に安全な階の探索をお願いして、僕は地下六階の水の中を探します。

【水中戦】や【環境耐性】、【寒冷適応】等でうまくやりくりしながら水中を散策。【動物使い】としての知識を元に必要な情報をピックしてカバンに詰めていきましょう。
【運搬】で出来るだけ多くの資料を持って帰りたいですね。


アーネスト・シートン
おんや?
わんこが住み着いてるのですね?

まず、動物たちが安全に脱出できるように入り口と地下1〜2階を改築致しますか。
てなわけで、キャッスルクラフト。
せめて、通路は安全になるように致しましょう。
そして、資料集めも致しますか。

【医術】【情報収集】で情報をピックアップして有用なのを持っていきましょう。

地下3階あたりのわんこにも挨拶して、餌とか与えてから話聞きましょう。
わたくし、動物たちを守りに来たものです。
今回、襲撃が予測されますので、今日は、あまり動かないほうがいいと思いますね。

アドリブ歓迎



●牧羊犬と羊飼いと動物愛好家と
 放棄されて久しい研究施設に、大曲ステッキを持った青髪の羊飼いの青年とふかふかの羊、そしてレンジャー風の青年が踏み込んでいく。
「おんや? わんこが住み着いてるのですね?」
 賢い動物のために各地の研究施設跡を巡っているアーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)が興味深げに呟く。
「友好的に力を借りる事ができるといいですね」
 そう言って返す羊飼いの青年は蓮池・大輝(のんびり屋の羊飼い(?)・f35542)。できる限りお手伝いすると、やる気十分な彼は羊と共に発見した地下への階段を下り始める。
 二人と一匹が地下一階のフロアに差し掛かった辺りで、アーネストが階段から離れる。
「ああ、私は先にこの階でちょっと作業してから下ります。崩れそうなままだと危ないですから」
 そう言って彼は崩れかけた廊下を歩いて行き、大輝の方はさらに下の階へと下りて行った。
 地下一階の探索を始めたアーネストを迎えるのはボロボロに傷んだ通路。
 前にグランドキャニオンの研究施設跡でも見たような光景のそれを前に、彼が行うのはその時と同じ改築工事。
 こんな状態のままでは下の階に眠る賢い動物達が崩落に巻き込まれてしまう可能性もあるし、大型動物も眠っている事を考えると目覚めた後に外に出るにも危険が伴ってしまうだろう。
「これはお仕事ですよ」
 と言う訳でユーベルコードにより工事作業員を召喚するアーネスト。
 十分な時間があるなら城や街をも築く事さえできる彼らの力を借りれば、短時間での完全な改築は無理にしても通路を安全に通れる程度に修復する事は可能だろう。
 地上入口部分と地下の一、二階へと三班に分けて通路の修繕を最優先で進めさせつつ、アーネストは補修を待つ間に下の階へと下っていった。

 一方、五階へと下りた大輝と羊を迎えたのは。コールドスリープ装置が所狭しと並べられたフロア。
 見通しも悪く、警戒心を抱いているならばどこかに隠れている可能性もあるだろう。
 先の大きく曲がったステッキに意識を集中して周囲の動物に優しく思念を送ってみる。
 眠っている動物達は反応しないけれども、起きている動物なら何らかの反応があるはずだ。
 それでもフロアはしん、と静まり返ったまま。相棒の羊が大輝を見上げるだけだ。
「今このフロアにはいないみたいですね。上の階を探しましょう」
 反応がないことを確認した大輝は足元に転がっていた資料を拾い上げつつ、階段を上がり再びステッキに意識を集中して思念で周囲に呼びかける。
 反応なし。更に上の三階。
 同じように思念を飛ばした所、かつかつと爪が床に触れる音がして近づいてきた。
 丁度その時、上の階からアーネストが下りてきた。
 足音が聞こえると彼に伝えた大輝は慌てず、焦らず、足取りゆっくりと大輝と羊がそちらの物音へと近づいていく。
 すると通路の角からボーダーコリーが姿を見せた。
『ひつじさんとにんげんさんだー』
 と、こちらから声をかける前に割とはっきりした言葉が返ってきた。
 かなり幼いようだけれどもどうやら賢い動物らしい。少しばかり驚きながらも、アーネストがしゃがんで視線を合わせ、餌を差し出しつつ挨拶をする。
「わたくしはアーネストといいます。あなたは?」
『あ、どーもどーも。ここに住んでる名前は……なんだっけ」
 てりーとかちりーとか呼ばれてた気がするけど、てりーがいいかなと首を傾げるボーダーコリー。
 あまり警戒心を抱いているようには見えないが、動物の扱いに慣れた二人が先に友好的に接触できたからなのだろうと、大輝は推測する。
『ええと、にんげんさんたちはなんでここにきたの?』
「わたくし、動物たちを守りに来たものです」
 今日この場所を襲撃するものがいる、そうアーネストは伝える。
『……怖いのがくるの?』
「まだ少し時間はあるみたいですけどね。今日は、あまり動かないほうがいいと思いますね」
 もう暫くは大丈夫でしょうけどね、とアーネストが返せばそっかー、とわんこはほっとした様子。
 挨拶も程々に、大輝は警戒心を解くように微笑みんだまま丁寧な口調で聞いてみる。
「ええっと、探し物にここに来たんですけども……よかったらちょっとの間、お手伝い頂けないでしょうか?」
『いいよーどんなものをさがしてるの?』
 アーネストの差し出した餌を齧りつつ、あっさりといい返事が返ってきた。
「この階と上下の安全な階で、こんな感じの紙束とかが沢山置いてる部屋があったら教えて欲しいんです」
 先程拾った資料を見せると、白黒わんこはふんふんと匂いを嗅いでゆっくり歩き出す。
 そして着いたのは電子錠のかかった部屋。
『ここはこれをこうすればひらくんだよー』
 どこからか取り出したカードキーをくわえてよいしょっと後ろ足立ちで電子錠に近づければ、扉が横にスライドして開く。
 その中は書類の雑多に積まれた書庫。どう? と反応を伺うわんこに、大輝はその頭を撫でてお礼を言う。
「こんな感じの部屋が他にあったら、この子に教えてあげてくれませんか?」
 流石に羊と犬では資料捜索、回収は難しいが、どの部屋かが分かれば大輝が回収する事もできる。
「それでは私は上の階の探索に戻ります。そろそろ補修も進んでいるでしょうし、襲撃があったらすぐに下の階に伝えられますから」
 そう言ってアーネストは廊下を戻り、上の階への会談へ向かっていった。
『じゃあぼくはこのこにおしえていくねー。はいれないところもあるけど』
 牧羊犬だからか羊にも興味があるようで、羊の後脚を鼻先でつついている。
 この階の資料部屋の確認は任せて大丈夫だろうと、大輝は羊とわんこにお願いをして、一番下の階へと階段を下りていった。
 最期の階段を降りる途中、既に水がなみなみと満ちている。ここからは泳ぎになるだろうと準備を整えて、水の中へと入っていく大輝。
 春も近いとはいえ緯度の高いこの地の水温はかなり低い。しかしこの程度の冷たい環境は大輝には問題ない。
 水没した階は扉は全て開いていて、息継ぎにさえ気を付ければ探索自体は容易だった。
 階段まで戻り、回収してきた金属製のケースを開き中身の資料を確認してみる。
 研究内容についてあまり詳しい事は理解できないけれど、重要そうだという事は何となくわかる。
 必要な分を鞄に詰め替えて、運びやすいように纏めてから再び水没階層の探索へと取り掛かる大輝だった。
 それから数度水中調査を行った後、相棒の羊さんが一匹で合流してきた。
「あのボーダーコリーさんは?」
 そう大輝が問えば、相棒の羊は何部屋か回って下りてくるときに五階で分かれたとの答え。
(「ちょっと疲れたのかもしれませんね」)
 昔は誰かと一緒にいた野だろうけど、この辺りの環境的に誰かと話している感じはしなかった彼。
 もしかすると久しぶりの人間との接触と、襲撃があるという情報でちょっと疲れてしまったのかもしれない。
 警戒心はあるようだし、地下五階に居続けるならば不安に思わずとも大丈夫だろう。
「どの部屋を案内してもらったのか覚えてますか?」
 羊に問えば、覚えてる、と答え。
 水没階層も一通り探索を終えた、なら羊と牧羊犬の調べた場所を確認しに行こうかと、羊飼いの青年は服を整え上の階へと向かっていった。

 一方のアーネストは補修を終えた通路を手前から順に探索していって、侵入できた部屋から資料を回収していく。
 所々棚なども崩れて資料は散乱しているが、この手の調査はもう二十回は行っているから対応も手慣れたもの。
 獣医としての知識で関係がありそうと思われる資料をピックアップして回収しつつ、階段の近くへとてきぱきと運んでいく。
(「補修をしておいて正解だったかもしれませんね」)
 敵は上から来るという。補修がなかった場合、もしかすると戦闘の余波で地下の天井が崩れてしまい、そこから研究施設内への侵入を許していたかもしれない。
 だが今は補修も進んでいる。これだけやればそう簡単には崩れる事はないだろう。
「さて、もうひと頑張りしましょうか」
 そう言ってアーネストは資料回収を継続するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四十物・寧々(サポート)
※サポートプレイング

多少の怪我や失敗は厭わず積極的に行動し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

その上で現在の状況に対応できる人格で行動します。
シナリオ進行に必要な言動など青丸稼ぎに役立てて下さい。

使用ユーベルコードの指定はありません。
「成功」の結果で書けそうなものを一つステータス画面からお選び下さい。フラグメント次第で不使用も可です。

アイテムもご自由にお使い下さい。
服装系は提案の一例として装備せず公開設定としております。

あとはお任せ致します。
宜しくお願い致します。



●方言少女と忍者の彼女と
 他の猟兵達が探索、資料回収を進めていく中、四十物・寧々(あいもの・ねね・f28377)は地下一階を探索していた。
 先行した猟兵に召喚された存在による補修工事が行われている中、彼女は補修された廊下を渡り一部屋ずつ几帳面に資料回収を進めていく。
「この辺りにはもう目ぼしい資料はないみたいですね」
 コールドスリープに関わりそうな資料を纏めてバッグに詰めて一息吐く寧々。
 UDCエージェントでもある彼女は情報収集には少し慣れているけれども、生物学などのあまり触れていない内容の資料を探るのは少々骨が折れる。
 それでもどうにか十分かな、と思える程度には資料を回収できている。
 さて、次はと考えたその時、
『こちらでござる』
 忍者のような口調の寧々が現れて、寧々を次の部屋へと案内する。
 この階層にはいくつも部屋があるが、殆ど資料のない外れの部屋もある。それらすべてを探るのは流石に時間もない。
 だからユーベルコード【ネイティブ・ダブル】により他の人格を実体化させた寧々は、忍者人格の自分に大まかに部屋を探させつつ手分けしてこの階の探索を行っていたのだ。
 そうして案内された部屋には倒れた棚や散らかった書類等が床に広がっていた。
「……地上階に比べれば偽装もないから分かり易いですね」
 足元の資料を拾い、内容を確認しつつ寧々が呟く。
 地上部も一応調べはしているが、偽装、暗号が仕込まれているものが殆どであまりいい成果は得られなかった。
 一部解読できたものにそれらしき単語があったので、もしかするとグリモアベースに持ち帰れば解読できるかもしれないと纏めてはいるのだが。
(「流石に専門的な言語学はちょっと……」)
 その資料に混じっていた本の一部は先住民族の言語体系に関する論文で、不自然に感じた部分を解読しようとした寧々。
 だが方言より複雑で、隠された内容は全ては理解できなかった。
 読み取れた部分はどのように研究を進めていくか、その予定のようにも読み取れたのだけど詳細は不明だ。
 そんな事を思い出しながら資料に目を通せば、潰れた施設を買い取って研究施設に改造した経緯――これは違うと別に分け。
 次に拾った資料はこの施設で扱っていた動物のリスト、これは少し関係あるかもしれないとバッグに詰める。
 忍者が偵察、持ってくる資料も目を通して仕分けして、地道に資料回収を進めていく寧々なのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美(サポート)
副人格・シルヴァーナ
「あら、なかなか楽しそうですわね」
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
特徴 長髪 のんびり 社交的 惨殺ナイフを愛用 実は胸が大きい
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格。楽しそうなことには積極的なおっとりお嬢様。食べ物とかはイタリアン系が好き。基本的にお嬢様然とした態度は崩さない自称フランス系イタリア人。
楽しそうな催し物があれば、参加者側でのんびりと参加します。
裕美に出てきて欲しいときは【オルタナティブ・ダブル】も使用可能です。

あと、虫が苦手



●猟奇令嬢とネガティブクラッカーと
 地下四階では中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)が資料回収に当たっていた。
 白髪で令嬢風の立ち振る舞いの彼女は多重人格である裕美の別人格のシルヴァーナ、
「……つまらないですわね」
 誰もいない、単調な景色が続くこの場所は社交的で楽しい事を好む彼女には少々退屈なようだ。
 それに資料回収などと言った仕事もやや合わない。秘密を握っている誰かから情報を聴き出す交渉だとかオブリビオンとの接近戦等の派手な振る舞いなら得意なのだけれども。
 だからシルヴァーナはもう一人の自分である裕美をユーベルコードにより召喚していた。
『……開いたわ』
 電子錠を前に立つ黒髪で眼鏡をかけた裕美が電脳魔術デバイスによりハッキングをかけて閉ざされた電子錠を解放する。
 この階は安全ではあるが、電子錠のかかった扉が数多く存在する。
 更に電子的なデータ類が保存されているコンピュータもあるようで、だからこそ電脳魔術士でハッキングを得意とする彼女の独壇場でもある。
 因みに物理的な鍵のかかった扉はシルヴァーナがナイフで切断して無理やり開けたりしていた。
「それにしても殺風景な場所ですこと」
 部屋の中にあったコンピュータにハッキングをかけている裕美を他所に、シルヴァーナが部屋を見渡し呟く。
 文明崩壊で滅茶苦茶になった世界、この施設跡にもそれなり以上の混乱があった事だろう。
 けれど、それらの痕跡は彼女達が見てきた範囲ではどこにもない。余程理性的な人間ばかりが集まっていたのだろうか。
 棚に刺さっていた資料を手に取ってみる。それが方向性や倫理的に正しい研究なのかは分からないけど、動物に知恵をあたえようという情熱の端々は見て取れる。
『……これで、全部かしら』
 たん、と端末を操作する裕美。プロテクトのかかったコンピュータ内のデータ全てを抜いて保存媒体への複製が完了したようだ。
 次の部屋を探しましょう、そう言って休む間もなくシルヴァーナが部屋の外へ出て、裕美が後を追いかける。
 これで二桁の部屋からデータを回収してきたが休み話だ。まあ、8717万2485秒不眠不休で働くような事にはならないだろうからかなり楽ではあるのだけれども。
 時折資料の中身――虫への知性付与の研究資料を開いてしまって虫が苦手なシルヴァーナが固まったり、休みなしでの連続ハッキングで感じ始めた疲労感に裕美がエナジードリンクで気合を入れ直したりしつつ、二人は各部屋から一つ一つ丁寧に資料を回収していくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

納花・ピンチン(サポート)
ブギーモンスターの勇者×殺人鬼
布を被ってから7年が経ちましたわ
普段はお嬢様口調で、時々関西弁がちょこっと
……って、勉強中なんですわ!

あくまでお仕置きをしに来ているから
あまり殺伐とした戦い方はしませんわ
武器も直前で刃を返して叩いたり
その光景はギャグになることが多いですわ

商人街出身、お話しや交渉なんかも好きです
小さなスイーツや飴ちゃんを渡して一緒に食べると
色々話してくれるんですわ

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し
多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功の為でも
公序良俗に反する行動はしません

あとはおまかせ
ほないっちょ、よろしくおねがいします



●シーツおばけと黒白わんこと
「疲れましたわ~!」
 そんな声と共にふよふよ巨大クラゲに金属製の鞄を乗せて階段を上るブギーモンスターの少女、納花・ピンチン(ブギーモンスターの勇者・f31878)だ。
 先に別の猟兵が水没階層から資料回収を行っていたが、水中という環境により適応できていた彼女は、騎乗用クラゲの海月ちゃんと共により回収し辛い位置に沈んでいた資料を回収してきていたのだ。
「それにしてもあの怪獣みたいな骨はびっくりしましたわね……」
 完全に水没していた地下六階の一番奥、冷たい水の環境に耐えつつ辿り着いた部屋に巨大な骨があった。
 魚のように足の無いがっしりとした巨大な骨格標本は、研究施設というよりも水族館とか博物館に飾られていそうなもの。
 うっかり驚いて息を吐き出してしまいそうになったけれども、海月ちゃんの手助けと限界を超えて何とか戻ってこられたのだ。
 その部屋で回収した資料らしき鞄も手放さず持ち帰ったピンチンは、可愛くデコられた知恵の布の水を払って上のコールドスリープ部屋へと戻ってきていた。
『わっ、おばけ!?』
「なんですの!?」
 と、そこでピンチンが遭遇したのは上の階から戻って来ていた賢いボーダーコリー。
 幼い彼にとって、シーツおばけな見た目のピンチンはちょっとびっくりする姿だったのだろう。
 たたっと走ってコールドスリープのポッドの影に回り込んでピンチンをじっと見ている。
「驚かせてごめんなさい、怖がらなくても大丈夫ですわ」
 お詫びにこの飴ちゃんあげますわ、とピンチンはポップでポイズンな飴玉一つ取り出して、警戒するわんこに差し出した。 
 見た目の割に犬が食べても大丈夫な安全仕様の飴玉に、恐る恐る鼻を近づけてぱくっと頂くボーダーコリー。
『あまーい! おばけさんありがとう!』
 どうやらお気に召したようで、尻尾をぶんぶん振って喜んでいる。
「ところでこの階で何か資料……紙の束みたいなものが大切そうに置かれてるところとかありますの?」
 ボーダーコリーに対し、ピンチンがそう尋ねる。普通の資料ならあちこちに転がっているけれど、大事に保管されている資料があるならそれも解析を進める為に役立つかもしれない。
『うーん……あ、あれかな』
 そう言ってくるりと振り向いて走り出す黒白の姿を、ピンチンと海月ちゃんは追いかける。
 そして一人と二匹はポッドに囲まれた人の背丈ほどの高さの黒い立方体の前に到着する。
 取っ手もない細い隙間があるだけのそれはよく分からない
『このカードをここに差して……』
 くわえたカードを隙間に差し込めば、音もなくその面が扉のように横にスライドする。
 中にぎっちり詰められていたのは書類、難しい図形とか数字とか記号とかが並び内容はわからないけどもきっと重要なものなのだろう。
 お礼を言うピンチンに、ボーダーコリーもどこか嬉しそうだ。
『きょうはいっぱいおきゃくさんがきて、どきどきするなあ』
 この施設の周りに住んでいる人類はいなかった。ここで一匹暮らしている彼にとって、猟兵達が久しぶりの話相手になるのだろう。
「……ここで暮らしていて、寂しくないんですの?」
 ふと抱いた疑問をピンチンが口にする。
 過酷で孤独なこの地、一応施設の中は安全だけども、仲間を求めて旅に出るという選択もあるのではないか。
『ううん、だいじょうぶ。みんながおきるかもしれないから』
 そう言って彼は周囲のポッドを見る。そこに眠るのは沢山の種類の賢い動物のプロトタイプだ。
 彼と同じ種類はいないようだけれども、同胞のように感じる彼らの存在はまだ見ぬ仲間を求めるよりも大切なのだと。
 そこまで聞いたところで、上の階から他の猟兵の発した警告の音が響いてくる。
「大変! すぐお仕置きしてきますわ!」
 敵の襲来を意味するそれを聞いたピンチンは不安げなボーダーコリーにここにいるよう伝えつつ、可愛くデコられた愛用の剣を手に海月ちゃんに乗って上の階へと向かっていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『🌗機械技師・マノン』

POW   :    ゴートリック・マスプロダクション
【世界を自分の作品(機械)で埋め尽くしたい】という願いを【増殖する機械】の中に紛れこませた【司令機】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
SPD   :    バトルドロイドメーカー
レベル×1体の、【正面装甲】に1と刻印された戦闘用【モヒカン付き二足歩行戦車】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    マキーネコンダクター 7
自身の【放った観察用飛行ユニットが敵を解析して】から極大威力の【観察対象に最も効果的な特性を持つミサイル】を放つ。使用後は【周囲の機械全て】が【メンテナンスが必要な】状態となり、一定時間行動できない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリダン・ムグルエギです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●メカニックゴートの襲来
 周囲の荒野は機械の群れに埋め尽くされていた。
 増殖機械都市――かつてフィールド・オブ・ナインの一人が操り猟兵達を苦しめたユーベルコード、それを与えられたドクター・オロチの配下『機械技師・マノン』がやってきたのだ。
 そのオブリビオンの願いは至極単純、自身の愛する作品で世界を染め上げる事。
 オロチに与えられた力はその願いに都合がいいもので、与えられた命令を他所に鋼の魂を周囲に溢れさせて侵食していく。
『さーてここには賢い動物が眠ってると聞くが』
 施設地上部からかなり離れた位置にて、機械油に汚れた緑の毛並みのヤギ獣人のような姿のマノンは魚のような尾で金属と化した地面を軽く叩きながら施設の地上部を見遣る。
 恐らく猟兵もこの地にやってきているのだろう。それでも負けるつもりはないと、大胆不敵に口の端を吊り上げ笑う機械技師。
 猟兵達が破れればこの施設跡も徹底的に蹂躙され、全ては機械に塗り潰され破壊されてしまうだろう。
 ここで集めた研究資料も、地下で眠れる動物達も、目覚めをまつ犬も一切区別などなく。
 その悪しきオブリビオンを迎撃する為に、猟兵達は地上で態勢を整えていた。
 無数に増殖する戦闘機械群に守られた機械技師へは、戦闘機械群を突破しある程度接近せねばダメージを通す事は難しいだろう。
 その上で機械技師自身が持つユーベルコードに対処せねばなるまい。
 圧倒的な数の暴力に加えそれにも対処せねばならない難しい戦いになるだろう。それでも、猟兵達はこの地を守る為に機械の群れに応戦するのであった。
久遠寺・遥翔(サポート)
UCでフレアライザーや派生形態に変身するか
イグニシオンに【騎乗】して戦う
死角を突いたりといった戦法に躊躇はない
戦いでは取れる手を全力でとる
ただ人質を取ったりなんて義にもとる真似はしないけどな
救助対象がいる場合それ優先で動くぜ

変身・騎乗どちらの場合でも基本的に【空中戦】を仕掛ける
飛行系UCの速度やワイヤーを使った【地形の利用】【ダッシュ】による高速機動戦闘だ
相手の攻撃は【第六感】【視力】を駆使した心眼で【見切り】ながら【残像】でかわし
避けきれない攻撃を【オーラ防御】や【各種耐性】で受け流しながら【カウンター】の
【生命力吸収】する黒焔で対象を【焼却】する【2回攻撃】を叩き込む戦術になる


ギャレット・ディマージオ(サポート)
●設定等
ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士です。
オブリビオンに滅ぼされた都市で自分だけが生き残った過去を悔い、人々を守ることを重視して行動します。

●戦闘において
「及ばずながら、手助けさせて貰おう」
「貴様の相手は、この私だ!」
「なんと強力なユーベルコードだ……! (解説) 直撃すれば一たまりも無いぞ!」

・牽制攻撃
・敵の攻撃から他の猟兵や一般人を守る
・敵の攻撃を回避してカウンター
・ついでに敵の強さを解説する
など、防御的・補助的な行動を得意とします。

メイン武器は「黒剣」です。

他は全てお任せします。
別の猟兵との交流や連携等も自由に行ってください。
どうぞよろしくお願いします。


クロエ・ボーヴォワール(サポート)
「カネならありますわよ~!」
◆口調
・一人称はわたくし、二人称はあなた様。典型的なお嬢様風
◆性質・特技
・好奇心旺盛にして仕事熱心
・実はゲテモノ料理好き
◆行動傾向
・ボーヴォワール社の持て余した圧倒的カネの力にモノを言わせ、万事解決を目指す
・法すらカネで買い取る自由奔放すぎる性格であるが、ノブレスオブリージュの精神に則り他者の為ならば才と財を惜しまない(混沌/善)
・猟兵としての活動は異世界を股にかけたボーヴォワール社の販路開拓と考えており隙あらば自社製品を宣伝し、「実演販売」に抜かりはない
・シンフォニアとしての教育も受けており、歌を媒介とした魔術の使い手でもある
・細かい仕事は老執事セバスチャンに一任



 荒野を埋め尽くさんばかりに増殖する戦闘機械群を前線に出し、山羊獣人の姿のオブリビオンは後方から新たな戦闘機械を次々に創り出している。
 無限に増殖する戦闘機械の群は、この戦場での敵――猟兵達に一斉に襲い掛かる。
 黒騎士のギャレット・ディマージオ(人間の黒騎士・f02429)は圧倒的な数の敵の群に一歩も退かず、前に出る。
「及ばずながら、手助けさせて貰おう」
 愛用の黒剣、漆影剣リグガガを握る手に力を籠めてユーベルコードを起動、
「我が黒剣の姿は一つではない」
 すると黒き刃が鞭のように伸びしなって、飛び込んできた戦闘機械の群に命中しそれらの機体を切断した。
 だが切断された戦闘機械の群の後ろから新たな機械がは塔の如く押し寄せてくる。
 鞭剣を薙ぎ払った直後の隙を狙う戦闘機械達の装備したドリルが黒騎士を捕えようとした時、空飛ぶ金貨が盾のように舞ってドリルの軌道を逸らした。
「カネならありますわよ~!」
 そう高笑いするのは金色の髪や装飾の眩しいクロエ・ボーヴォワール(ボーヴォワール財閥総裁令嬢・f35113)だ。空飛ぶ金貨の大群は所有者を守るようにぐるぐると空を廻り、機械の群を翻弄する。
 そして体勢を崩した機械にクロエはドリル片手に飛び込んで、
「取り出しますはこの蒸気式掘削機ドリルヴォワール! わたくしのボーヴォワール社の製品の破壊力、とくとご覧あれ」
 蒸気を噴出させながら回転する金の先端を叩き込み、鋼鉄の機体に風穴を開けた。
『ハッ! そのドリルは中々面白そうだが……カネなんて碌な使い道もありゃしねえよ!』
 機械の群の奥の方から機械技師がそんな風に煽ってくる。
 実際文明崩壊しているこの世界では金よりも物々交換が主流になっているのだけれども、
 そのタイミングで研究施設跡の方に巨体が出現する。
 久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)の登場したクロムキャバリア『イグニシオン』だ。
 5メートル程の機械の巨人はその機動力をいかんなく発揮し、キャバリア用の漆黒の太刀を振るい戦闘機械群を薙ぎ払い斬り飛ばしていく。
『巨大ロボか! だがオレの作品はそれだけじゃないぜ!』
 マノンが叫び、遥翔とキャバリアに大量の戦闘機械群をけしかける。体が大きい分狙われやすいという弱点もあるイグニシオン。
 けれど遥翔は群がる無限の戦闘機械達を優れた視力と直感による心眼で見切りながら追い詰められないように攪乱しつつ回避し、反撃で戦闘機械達の数を減らしていく。
 徐々に数を削られていく戦闘機械達、けれど機械技師・マノンの表情に焦りは欠片もなかった。
 ある程度数が減らされる中、突然マノンは叫ぶ。
『――オレはこの世界を機械で埋め尽くす! あの脳髄野郎の命令なんか後回しだ!』
 自身の作品への強烈な愛情、愛する作品で世界を満たしたいと、マノンは戦闘機械の群に紛れ込ませた司令機に呼びかける。
 あまりに荒唐無稽な願いは完全には叶わない。それでもこの戦場全てを新たな機械で埋め尽くす位は可能で、先程まで倒された戦闘機械と同数の機械が新たに出現した。
「なんと厄介なユーベルコードだ……! あのオブリビオンが呼びかけている司令機を潰さねばキリがない!」
 そう忌々し気に言ってギャレットは勢いを取り戻した戦闘機械の群に応戦する。
 新しく次々に作られる戦闘機械の群に疲労はない。だがこちらは戦闘が続けば続く程に疲労が蓄積してしまう。
 影のように黒き刃が振るわれる度に機械は切断されていくが、その残骸を踏み越えて新たな戦闘機械が襲い掛かってくる。
 ジリジリと削られていく悪い想像が猟兵達の頭を過ろうとした、その時。
「『風』が、来ますわ……騒がしい時代の――『風』が!」
 重い空気を吹き飛ばすようにクロエがユーベルコードを起動、蒸気機関式拡声器に持ち替えて演説を始める。
「この世界を鋼に埋め尽くすなど言語道断! この世界の神と宣っていたフィールド・オブ・ナインも多くが倒れ、人々の復興による新しい、騒がしい時代が訪れようとしているのです」
 そんな希望を前に、世界を金属の色に塗り潰させていいのか――そうクロエが演説すれば、オブリビオンに抗する猟兵達の目に希望に満ちた未来像が一瞬浮かんだ。
 不思議と力が沸いてくるその未来像の助けを借り、猟兵達は反転攻勢に移る。
 キャバリアはその高い機動力を更に高め、残像すら残す速度で一気に戦闘機械の群を薙ぎ払っていく。
 希望の未来視による強化を受けたギャレットは冷静に戦闘機械の群に紛れた司令機を見出し、変幻自在の鞭剣で的確に切断し機能停止させていっていた。
 呼びかけ賛同してくれる対象が減ればそれだけマノン自身のユーベルコードの実現範囲は狭められていく。
 クロエも空廻る金貨の大群に守られながら、手にした蒸気式ドリルで戦闘機械に穴を穿っていく。
 徐々に機械の数が減らされ、再度マノンが戦力の回復を図ろうとする。
 だがその瞬間、キャバリアが加速し空高くへ跳躍、焔の翼を広げ滑空するように空からマノンへと急襲を仕掛けた。
 戦闘機械達は自動的に迎撃態勢に入るが、司令機を幾ばくか潰された影響で反応が悪く対空火砲も散発的。
 弾幕の薄い位置へと滑るようにキャバリアは空を移動し、回避しきれぬ分を纏うオーラで受け流しつつ黒焔纏う太刀をマノンに振り下ろした。
 マノンは太刀を受ける直前に回避し刃による両断は回避した。けれど太刀の纏った黒焔までは回避しきれずその炎で体を焼かれてしまう。
『チッ! 消火装置だ!』
 即座に自身の作品から水を勢いよく放出し黒焔を消しつつ距離を取るが、その飛んだ先はギャレットのリーチ内だ。
 黒き影のような鞭剣が伸ばされると、戦闘機械達の守りをすり抜けてマノンの肩口を貫いた。
 苦悶の声を上げつつも、再び機械群に紛れた司令機に呼びかけユーベルコードを起動を発動するが、最初程に戦力の回復は行われなかった。
『やるじゃねえか。 だがオレは何としてでも作品で世界を染めてやる……!』
 一部復活した戦闘機械の群で一度猟兵達を押し返したマノンは陣形を整え直し、構える猟兵達に再度戦闘機械の群を差し向けたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

氷咲・雪菜(サポート)
 人間のサイキッカー×文豪、15歳の女です。
 普段の口調は「何となく丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 独り言は「何となく元気ない(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

氷や雪が好きな女の子で、好きな季節は冬。
性格は明るく、フレンドリーで良く人に話しかける。
困っている人は放ってはおけない。
戦闘は主にサイコキャノンを使って戦う。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



『次はこいつだ!』
 オブリビオンが叫ぶと、その周囲に百を超える二足歩行戦車が出現する。
 その頭部と思われる部位には逆立った髪――モヒカンのようなものがついている。
「……あれは必要なのでしょうか」
 疑問を抱くのは氷咲・雪菜(晴天の吹雪・f23461)。数字の刻印されたガチガチの装甲に似合わぬふさふさは正直違和感がある。
 この世界特有のセンスなのかもしれない、そう考える彼女に二足歩行戦車、そして戦闘機械の群が一斉に襲い掛かる。
 装備した凶器を手に襲い掛かってくる戦闘機械の群に雪菜は腕に嵌めた増幅器で魔力を増幅し、氷の弾丸を放つ。
 次々に放たれる氷の弾丸は戦闘機械の装甲を貫き内部を破壊し機能を停止させていくが、数の暴力はそれを上回る勢いで襲い掛かってくる。
 逆の手で構えた澄んだ氷のような穂の槍を振るい距離を取りつつ迎撃していくが、そこに二足歩行戦車の援護砲撃が飛び込んできて炸裂する。
 身に纏う氷の属性のオーラで爆風の直撃を避けるも、このまま受け身で戦えばジリ貧になるだろう事は直ぐに理解できた。
 故に、追い込まれる前にユーベルコードを起動する。
「……あなた達は世界をあなたの作品で満たして、そしてフィールド・オブ・ナインを探し出した後、どうするんですか?」
『あン? それは……』
 その雪菜の問いにマノンは答えようとするが、その前に雪菜の手にした小説の文庫本から情念の獣が出現する。
 ホラー小説から出現したその獣は、問いかけに答えない二足歩行戦車をまず標的に定め恐ろしい速度で荒野を駆けて貪り喰らう牙を突き立て機能停止させる。
 周囲のモヒカン戦車が獣を撃ち落とそうとするが、だが情念の獣はその程度は止まりはせず速やかに戦車を貪り喰らうように破壊していった。
『……答えは次の作品の創造だ! 世界を埋め尽くした程度でオレの鋼の魂が満足するわけないだろう!』
 マノンが怒鳴るように叫ぶ。その回答は満足できてしまうものだったようで、情念の獣は攻撃を止め姿を薄れさせていく。
 と、その瞬間マノンの胴体に激痛と寒気が走る。
 注意が情念の獣に向いていたその隙を見出して、戦闘機械を最小限撃破しつつ接近してきていた雪菜が至近距離から氷の弾丸を撃ち込んだのだ。
 即座に戦闘機械を迎撃に回すがダメージはかなり蓄積されている。
 しかし山羊の如き機械技師は倒れない。その欲望――情念はまだ欠片も満たされていないのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

アーネスト・シートン
ヤギの獣人…
尻尾が魚…
そういえば、知り合いに「宇宙ヤギ」のキマイラがいるんですけど、もしかして、同類でしょうかね??

えぇ。宇宙ヤギ。山羊座って、後ろ足の代わりに魚の尾鰭になったヤギが居るんですよ。素はパーンとかいう神様なんですけどね。

獣人と言えど、ここで動物たちを殺させるわけには行きませんからね。
ましてや、オロチの配下。
余計な事をさせるわけには行きませんからね。
だからこそ、我々猟兵がいるのですよ。
こいつも、無限機械を使うんですか。
これには、対策方法があるんですよね。
大量の機械を一気に鼠やリスに置き換えるUCがあるんですよ。
前にも同じ手を使ってきた配下がいましてね。

だから、今回も使いますよ。
奴が使うガジェットも纏めて齧歯類にするんですよ。
使ったら、後はM.S.L.で【スナイパー】で撃ち抜くのみですよ。

「文明の機器を使い全て置き換えようなんて、そうはさせませんよ。」
「そして、去年10月から長きに渡って半年。いよいよですよ。賢い動物達の目覚めはすぐそこです。その邪魔はさせません!!」


蓮池・大輝
☆連携・アドリブ歓迎。WIZ

「なるほど……これは厄介ですね。こうも機械が多くては、技師を探すだけで一苦労です。」

風の力を借りましょう。疾風を纏い、戦闘機械たちの合間をすり抜けながら【高速詠唱】、そして【風属性攻撃】で出来る限り薙ぎ倒しながら進みます。

機械技師のところへ辿り着いたら、わざと解析させて相手の放つミサイルを誘発。
【空中機動】と強化された回避力で躱して、戦闘機械群の上に墜落させます。

あとは行動不能になっている隙に【風属性攻撃】の【衝撃波】。

「動物たちに手出しはさせませんよ!」



 こおりのだんがんに負傷した機械技師は、まだ破壊されていなかった残りのモヒカン戦車を合体させ砲撃させて猟兵を牽制しつつ、集まってきた戦闘機械群の中に身を隠した。
 合体したモヒカン戦車は前面装甲に刻印された数字を7まで増やし、おまけにモヒカン部分まで鋼鉄に変化していて氷と雪の猟兵を執拗に狙っている。
 そんな状況を、施設地下から地上に出て施設を防衛していた二人の猟兵が伺っていた。
「なるほど……これは厄介ですね。こうも機械が多くては、技師を探すだけで一苦労です」
 無限に増殖する戦闘機械に身を隠した機械技師を見た蓮池・大輝(のんびり屋の羊飼い(?)・f35542)は呟く。
(「ヤギの獣人……尻尾が魚……」)
 猟兵達の猛攻に晒されるオブリビオンに、アーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)は何故か知人を思い出していた。
「そういえば、知り合いに『宇宙ヤギ』のキマイラがいるんですけど……同類でしょうかね??」
「……宇宙ヤギ、ですか?」
 まったく聞いた事のない単語に不思議そうな顔をする大輝、アーネストは頷く。
「山羊座って、後ろ足の代わりに魚の尾鰭になったヤギが居るんですよ。素はパーンとかいう神様なんですけどね」
 怪物に襲われ川に逃げこむ為に変身したけれど、慌てすぎて変身が中途半端だった牧畜の山羊神の神話だ。
 空に浮かぶ星座の一つのモチーフでもあるそれに、何となく聞いたことがあるようなないような奇妙な感覚を大輝は抱く。
「それにしてもあの機械達は派手に戦っていますね。止めませんと」
「えぇ、獣人と言えど、ここで動物たちを殺させるわけには行きませんからね」
 ましてやオロチの配下であるオブリビオンだ。余計な事をさせれば何があるか分からない。
 この研究施設跡と、地下にいる賢い動物達を守る為に今ここに猟兵達はいるのだ。
「去年10月から長きに渡って半年。いよいよですよ。賢い動物達の目覚めはすぐそこです。その邪魔はさせません!!」
 いつになく気合の入っているアーネストはライフルを構え、同時に大輝が戦闘機械の群れに向かって飛び出していく。
 そんな彼に先行する形で大輝は風を纏い加速。
「僕は風だって使いこなせますよ!」
 風の力を借りるユーベルコードを発動しながら、マノンの紛れた位置を目掛け大輝は機械の群れへと飛び込んでいった。
 身体が疾風を纏い、それを操る事で飛翔能力と回避力を強化された彼は、反撃の銃弾や凶器も風のようにすり抜けて回避しながら高速で呪文を詠唱して大曲ステッキから強烈な突風を放ち戦闘機械の群れを薙ぎ倒していく。
 一方、アーネストもライフルを構えながら戦闘機械の群へと距離を詰めていた。
「……こいつも、無限機械を使うんですか」
 猟兵を認識し、向かってくる戦闘機械達を前にアーネストは静かに呟く。
 増殖無限戦闘機械都市、フィールド・オブ・ナインの用いていたものによく似たそれは戦場全てを機械で満たし自動的に攻撃させる厄介な力だ。
 他のドクター・オロチの配下と以前戦った時に使われたから性質はよく知っている。
 ――その対策方法も。
 大量の機械、すなわち無機物。相手が無機物であるならば彼の有するユーベルコードに丁度いいものがある。
「大自然の精霊よ、力を与え給え」
 それはアーネストが研究資料を探索する時に愛用していたユーベルコード、その効果範囲である彼の半径116メートル内に存在する戦闘機械の群れが全てネズミやリスに変換されていく。
 樹脂などの有機物で構築された戦闘機械があるならば別に対処する必要があるのだろうが、愛する作品は鋼の魂であるマノンの周囲のガジェット、機械は全て無機物であった。
 変換できる距離に制限はあるし、その外に出た場合は再び戦闘機械に戻るが、それは今の状況では問題にはならない。
 向かってくる戦闘機械の群れを片っ端からげっ歯類に変換しつつ、アーネストは機械技師を探していった。

 そして、先に機械技師を発見したのは大輝であった。
 キャバリアの大暴れで数を減らし司令機も黒騎士に両断され連携も乱れていた戦闘機械、その間を高速で移動できる彼がマノンを発見して、
「動物たちに手出しはさせませんよ!」
 空へと飛翔し強烈な風の一撃を放とうとした大輝に対し、機械技師はにやりと笑う。
 大輝の更に高空に、ずっと彼の様子を観察していた飛行ユニットがいた。
 飛翔したその時、解析が完了してその特性に合わせたとっておきのミサイルを放つ準備ができたのだ。
『とっておきだ! 喰らってみな!』
 マノンが叫び、飛行ユニットからミサイルが放たれた。
 風を纏い回避能力が極端に高められた大輝、その特性を潰すように放たれたのは爆発地点を中心に大気を圧縮させる特殊追尾ミサイル。
 その効果を知らないながら、超威力のミサイルを想定していた大輝はまともに受けたなら戦闘の継続は不可能になるだろうと予測してそれを振り切るように空を飛翔する。
 ミサイルは彼の特性に合わせ追尾していくが、それすら大輝の想定内。
 追われながら誘導するように飛翔して戦闘機械の群れがいる地点に飛び込み、その瞬間地面すれすれで急加速してミサイルを振り切る。
 後に残るのは追尾し損ね地面に衝突したミサイル、その超威力は戦闘機械の群れの中で解放されて周囲を根こそぎ壊滅させた。
 戦闘機械の大半を失い、残る戦闘機械もユーベルコードの代償で行動不能になったマノンは、けれど増殖無限戦闘機械都市によって戦力の補充にかかろうとする。
 しかしその前にミサイルを凌いだ大輝が空から一気に距離を詰めてきて、ありったけの魔力を込めた疾風の衝撃波を叩き込んだ。
 強烈な一撃に反応できず戦闘機械の守りが完成する前にその外へとマノンは吹き飛ばされてしまう。
 その瞬間を、アーネストは見逃さなかった。クリアになった戦場の視界、マノンまでの射線が確保された。
 マルチプル・スナイパーライフルを構え、機械技師に照準を合わせる。
「文明の機器を使い全て置き換えようなんて、そうはさせませんよ」
 文明の機器である機械、その存在自体は悪くはないにしても全てを置き換えてしまう等、アーネストに許せることではなく、引鉄を引く指に躊躇いはなかった。
 銃弾が空中のヤギ獣人の機械技師を撃ち抜いた。空中で防御もできない状態でまともに受けたマノンは、数度バウンドした後に地に伏せ動かなくなった。
 同時、残りの戦闘機械が動作を停止し消滅していく。
 戦いも機械も夢だったかのように消えて、後には荒野に立つ猟兵と守られた地下施設だけがあった。
 かくしてこの研究施設跡はドクター・オロチの配下による侵略から守られたのであった。

●目覚めの時はすぐそこに
 戦いを終えた猟兵達は、地下施設から纏めた資料を回収して地上へと運んでいく。
 当分は安全だろうと恐る恐るでてきた中型犬に伝え、猟兵達はグリモアベースへと帰還していく。
 数多の研究資料が回収された今、眠れる賢い動物達が目覚める日もそう遠くはないだろう。
 この暴力と破壊に満ちた黙示録の地獄の世界に、どのような未来が待ち受けているのかはわからない。
 それでもこの世界の人々や動物達の未来がよいものになるように、猟兵達は祈るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年03月18日


挿絵イラスト