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ティタニウム・マキアの渦動

#サイバーザナドゥ #サイバースペース #巨大企業群『ティタニウム・マキア』

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#サイバースペース
#巨大企業群『ティタニウム・マキア』


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●サイバースペース
 電脳空間はこの世界にあって最高の娯楽であったことだろう。
 無論、金が物を言うのは言うまでもないことであった。このサイバースペースにあってなお、人々は金に縛られている。
 アバターも、サイバースペースにアクセスするためのフリーポータルもまた金でもって得られるものであるからだ。
 モラルすら破壊された文明において、金以上に価値のあるものは存在しない。
 そして同時に金があるのならば、あらゆる無法は許容されるものである。
「そういうものさ、結局の所な。知っているか、情報っていうのはうまく頭を使った者が金を得られる。しかしまあ、あれだ。それが重要な情報であるのならば、あるほどに人目に触れないような場所に隠されているものだ」
 男は言う。

『巨大企業群(メガコーポ)』には争うべき敵がいる。
 それは同じく『巨大企業群』である。世界の覇権を争う以上、いや、争いが起こる以上、同レベルの存在の間にしかそれは起こり得ない。
 だからこそ、メガコーポは情報を集める。
 他のメガコーポを出し抜くために、貶めるために、罠にはめるために。
 同時にそれは己達を危機に陥らせるものでもある。
「昔の人はよく言ったもんだ。『ピンチはチャンス』ってな。だがなぁ、もう一つ知っておくべきだったんだよな。『チャンスはピンチ』ってのもあるんだぜ、世の中には。残念なことに、チャンスだって浮足立っている連中の足元ほどおろそかになっているものはない」
 渦を巻くように情報は取り巻き、周囲を巻き込んでいく。
 争いの渦中に引きずり込もうと、その足元で渦巻いているのだ。

「それでどうしろっていうのよ」
「おいおい頼むぜ、お嬢ちゃんよ。此処まで言ってわかんねぇかな。メガコーポに務めてるような連中なんてのは、みんな脛に傷がないなんてこたぁねえんだよ。ということはだ。これが『チャンスはピンチ』ってことだ。連中にとっては『ピンチはチャンス』ってやつではあるんだが」
「簡単に言いなさいよ。マジでムカつくんだけど」
 男は目の前の少女の義体に向かってひらひら手を振って、首を鳴らす。
「連中が巧妙に隠してきた犯罪行為の証拠データをサイバースペースに漏洩させろってこったよ。できんだろ、そういうの。あ、でお前の名前ってなんだっけか」
 少女の義体は、男の態度に心底苛立ったのか、現実世界に具現化させたナイフをその顔面のすぐ後ろにある壁へと突き立てる。

「『ケートス』だっつってんでしょ。何回言わせんのよ」
『ケートス』と名乗った少女が壁からナイフを引き抜いて背を向ける。
 もう話は終わりだというように男から離れた。
「そうそう、そうだった。悪いな。報酬はいつもの口座でいいんだな。まあ、首尾よくやるだな」
 まあ、がんばれよと男は『ケートス』と名乗った少女の背中を見送る。
 足がガクガク震えていたが、これはあれである。別にちびりそうだったからとかそういうんじゃないからと、誰かに言い訳するように男は呟くのだった――。

●情報漏えい
「どういうことだ! なぜ誰も気が付かなかった!」
『巨大企業群』、『ティタニウム・マキア』の重役の一人が慌てふためいている。
 彼はどうしてこのような事態に陥っているのか理解できていなかったようである。
 なぜならば、彼は不当な手段でもってこの地位を確立していた存在であるからだ。とりわけて優秀であったわけではない。
 いや、この地位を確保した時点で優秀であると言わざるを得ないだろうが、それでも彼等が手を染めた違法なる犯罪行為はデータとしてサイバースペースに残ってしまっている。
 隠滅することはできない。
 一度サイバースペースに記録された情報はサイバースペースが存在する限り、消えることはないのだ。

 そして、サイバースペースが消えることは、このサイバーザナドゥにおいてはほぼありえないことであった。
「クソ、クソッ、クソ! マズイぞ……此の事が本社に知られたのならば、私は……!」
『ティタニウム・マキア』は平和を売るメガコーポである。
 あらゆる争い、諍いに介入し、これを『平和』のうちに解決するメガコーポなのだ。そんな企業の重役に収まっている己が、これまで不当に行ってきた犯罪行為の証拠データがサイバースペースに漏洩したとあっては、これを回収する他無い。

「……そうだ、奴らを使うしかない。ハハハッ、簡単なことだ! おいっ! 奴らを呼び出せ!『サイバーアサシン』たちだ! サイバースペースの電脳障壁を強化しろ! 我が『ティタニウム・マキア』の周辺一体をだ! 鼠一匹入り込ませるな――!」

●サイバーコロッセオ
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の予知はサイバーザナドゥのサイバースペースにおける事件です」
 サイバーザナドゥにおいて、サイバースペースは誰もが自由にアクセス可能な電脳空間である。
 まるで生身そのままのように活動できる電脳空間であり、サイバーザナドゥのあちこちにあるフリーポータルから誰でも自由にアクセスすることが可能なのだ。

「このサイバースペース内に『巨大企業群』、『ティタニウム・マキア』の重役の一人がこれまで巧妙に隠蔽してきた犯罪行為の証拠データが漏洩するのです」
 どうやら、一人のハッカーがこれを為すようなのである。漏洩したデータはサイバースペース内を漂っているようであり、これを直接ダイブして奪わなければならない。
 しかし、証拠データが漏洩した周辺のサイバースペースは電脳障壁を強化されており、容易には突破できないようになっている。
「ですが、このサイバースペースではユーベルコードが使えます。電脳障壁はまるで障害物競走のようになっています。さらに皆さんを迎え撃つ攻勢プログラムが迫ってきます。これらを突破し、証拠データを確保しましょう」

 だが、それだけではない。
 このサイバースペースにアクセスできるのは猟兵だけではない。
 当然、この漏洩を嗅ぎ回る猟兵達に気がついたメガコーポがオブリビオン『サイバーアサシン』たちを送り込んでくる。
 これを迎え撃ち、データを回収しなければならない。
「この証拠データで今すぐにメガコーポである『ティタニウム・マキア』をどうこうすることはできません。ですが、いずれ一矢報いるチャンスがあるかもしれないのです」
 ハッキングに寄って漏洩されるデータを回収したいメガコーポもまた必死である。
 戦いはサイバースペースであり、慣れぬ戦いでもあるだろう。
 ナイアルテはそれでも頭を下げ、猟兵達を送り出すのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。
 サイバーザナドゥの電脳空間サイバースペースに漏洩する『ティタニウム・マキア』の重役がこれまで隠蔽してきた犯罪証拠のデータを回収し、来たるべき戦いにおいて一矢報いるための布石を得るためのシナリオになります。

●第一章
 冒険です。
 サイバースペース内部にダイブを行い、とあるハッカーによって漏洩したデータが漂う『ティタニウム・マキア』の周辺へと向かいましょう。
 ただし、この周辺のサイバースペースの障壁は情報が漏洩したことにより、強固なものとなっています。
 通常の方法では突破できません。
 ユーベルコードなどで障壁を破壊し、また皆さんをはばむ攻勢プログラムが生み出す迷宮を突破しなければなりません。

 皆さんはこの障壁を力づくで突破できるプログラムを武器やユーベルコードにコンバートすることができます。

●第二章
 集団戦です。
『サイバーアサシン』が、漏洩したデータを探しに来た皆さんに気がついて、一斉に駆けつけてきています。
 データを回収するためには『サイバーアサシン』たちを打倒しなければ辿り着けないでしょう。

●第三章
 ボス戦です。
 オブリビオンである『サイバーアサシン』たちを率いていた、ひときわ強力なオブリビオンである『アームド・サイコブレイカー』が現れます。
 この『アームド・サイコブレイカー』は巨腕の義体により超能力を増大させた力は、サイバースペースにおいて凄まじい物理的な力へと変わって皆さんを襲うでしょう。
 言うまでもなく、ものすごく強いです。

 この強敵を打倒しなければ、犯罪証拠のデータを回収することはできません。

 それでは、『巨大企業群(メガコーポ)』、『ティタニウム・マキア』と戦いを繰り広げる皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『サイバーコロッセオ』

POW   :    暴力だ、溢れるヴァイオレンスで全てを解決するしかない……!

SPD   :    攻略ルートは見えた。あとは徹底的に叩くのみ!

WIZ   :    ハッキングやツールアタックでエレガントに潰してやろう!

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『巨大企業群』、『ティタニウム・マキア』は言うまでもなく強大であった。
 平和を売る企業。
 争いに介入し、これをおさめる。言葉はきれいなものであったが、実態はそうではない。
 争いに介入するということは、武でもってこれを制するということである。
「でも好きよね、みんな。平和って言葉。字面に踊らされちゃうのよ。仕方ないけれど、っと」
 少女の義体『ケートス』はサイバースペースを経由して『ティタニウム・マキア』のデータベースに侵入する。
 電脳障壁も何も彼女には関係なかった。
 データベースは海に例えられることも多いだろう。電子の海。この大海を征くのに他者の力は必要ない。彼女にとって、この海を泳ぐのは簡単なことであったからだ。
「よっ、と。はい、おしまーい。大企業って言ってもこんなものよね」

 攻勢プログラムをばらまきながら、彼女は『ティタニウム・マキア』のデータベースに穴をあける。
 容易なことではなかったが、彼女にとっては些細なことであった。
 凄腕のハッカー『ケートス』。
 彼女を雇うには、一メガコーポの重役の年収が必要と言われている。それほどまでに彼女の手腕は、電脳障壁の『殺し屋』そのものであったからだ。
 溢れ出すデータ。
 それは『ティタニウム・マキア』にとっては情報漏洩。
 まさに企業の殺し屋。それが『ケートス』と呼ばれるこの業界において名を知られる義体の仕事であった。

 そして、『ティタニウム・マキア』と対立するメガコーポにとっては、千載一遇の好機。
「ここからどう動くかな。ま、そんなのは私の知ったことではないし、もらった金のうちには含まれていないからね。仕事は此処まで」
『ケートス』は穴を開けたデータベースの障壁から離れていく。
 データを回収する必要はない。
 ただサイバースペースに漏洩させるだけでいい。
 たったこれだけでも彼女の報酬は通常の人間であれば、数十年は遊んで暮らせるものであった。

「そろそろあっちも気がつく頃よね。アハハハ、じゃあね」
 電脳障壁が一気に立ち上る。
 まるで障害物競走のようにあちこちから壁面がせり上がり、攻勢プログラムが一気に充満する。並のハッカーでは逃げることさえできないだろう。
 しかし、すでに其処に『ケートス』の姿はない。電脳の『殺し屋』は、その足取りすら掴ませぬままに消える。
 電子の大海を征く彼女にとって、サイバースペースは海そのもの。ならばこそ、障壁など無意味。誰も彼女をサイバースペースで捉えられない。
 漂うデータ。
 そのデータさえあれば、メガコーポ『ティタニウム・マキア』に一矢報いることもできるかもしれない。
 それを狙う者たちが今、サイバースペースにダイブする――。
楠井・沙智
企業の犯罪情報……私達の世界なら告発して正せるかもしれないけど、この世界だと企業同士の抗争の武器でしかないのかな。
だからこそ私達が押さえておくのが良いのかも。

詠唱兵器を電脳空間用にコンバートして、サイバースペースに入ります。
詠唱インカムによる「情報収集」技能で、周囲の情報を音に変換し、三次元的に把握しながら進みます。
避けられる障害は回避し、困難な障害に対しては【ブラストヴォイス】を使います。
固有振動に合わせた音波で対象を破壊するユーベルコード。電脳空間では特定のプログラムに共鳴して破壊するウィルスとして作用させます。
この世界の事はまだよく分かってないけど、だったら自分のステージで戦うのみです。



 サイバーザナドゥにおいて、『巨大企業群(メガコーポ)』とは乱立する国のようなものであった。
 資本主義の恐竜的進化とも言うべき彼等は拝金主義でもあったが、同時にこの世界の覇権を争うためにはあらゆる犯罪行為すらも許容するものでもあった。
 金を得るためにあらゆるものが商品に成り得る。
 金こそが全てを支配するのならば、このサイバースペースもまた同様であったことだろう。
「企業の犯罪情報……」
 楠井・沙智(スレノディ・f36496)はサイバーザナドゥのフリーポータルからサイバースペースにアクセスしながら考える。
 いや、自身の出身世界と、この世界の違いについて考えた時、それはあまりにも無意味な考えであると気がついたことだろう。

 彼女の世界、シルバーレインにおいては、企業が犯罪を犯したという事実は、告発し正すことができるだろう。
 しかし、このサイバーザナドゥにおいては企業同士の抗争の切り札、武器にしかならないのである。
 現に、サイバースペースに情報がもれると気がついたメガコーポ『ティタニウム・マキア』のサイバースペースの周辺には強力な電脳障壁がたちならび、沙智の行く手をはばむ。
 規制線が貼られ、まるで障害物競走のように障壁がそそり立っているのだ。
「だからこそ私達が押さえて置くのが良いのかも」
 そう、自分たち猟兵が巨大企業群の犯罪証拠のデータを押さえているのならば、メガコーポ間に起こる無駄な争いは抑えられるであろうし、同時にメガコーポに対する切り札になるかもしれないからだ。

 電脳空間にコンバートされた詠唱兵器はイグニッションカードに納められている。
 展開された詠唱インカムの調子を調整しあんがら沙智はサイバースペース周辺の情報を音に変換していく。
 このサイバースペースは生身そのもののように活動できる空間だ。
 ならば、あらゆる音が沙智の鼓膜を叩く。
 人が歩くリズム。
 なにかの攻勢プログラムが動く音。
 あらゆる情報が音となって沙智の頭の中に流れ込んでくる。彼女の脳には今や反響する音によって、この電脳空間の周辺全てが三次元的な地図として描かれている。

「こっち……攻勢プログラムが動いているなら」
 沙智はインカムに指を添えながら、電脳障壁に寄って迷宮のようになったサイバースペースを疾走る。
 避けられるべき障害は回避する。
 だが、それだけでは進めないのもまた事実だ。
 まるでドローンのように攻勢プログラムが沙智を追ってくる。それを背後を振り返りざまに、沙智はブラストヴォイス、共鳴現象を伴う破壊音波を解き放ち、砕くのだ。

「砕けて」
 ただ、小さく呟くだけで、彼女のユーベルコードは音を何倍にも増幅させ攻勢プログラムであるドローンを撃ち落とす。
 固有振動に合わせた音波であるがゆえに、彼女の声はあらゆるものを破壊する。それは電脳空間においては特定のプログラムに共鳴して破壊するウィルスのようでもあった。
「この世界のことはまだ良くわかっていないけど」
 沙智の瞳はユーベルコードに輝き続ける。
 骸の海によって汚染された世界。
 金だけが全てを解決するモラルの破壊された世界。
 サイバーザナドゥは、その言葉の意味よりもずっと欲望に塗れた世界なのかもしれない。

 けれど、沙智は歌うのだ。
 いつだってそうだったように。今までも、これからも変わらず歌い続ける。
「だったら、自分のステージで戦うのみです」
 迸る歌声が、その美しさと相反する破壊の力となってサイバースペースに響き渡る。
 攻勢プログラムを破壊し、犯罪証拠のデータが漏洩したスペースに至らせんとする障壁全てを破壊し、沙智の道を砕いて拓くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

南六条・ヴィクトリア三世
お~っほっほっほ! 企業同士の抗争に我が株式会社UAIも武力介入ですわ!
「素晴らしいフロンティア精神だ、Ms.南六条! しかし、我が合衆国も企業群に支配されているとは……人民の人民による人民のための国家の誇りを取り戻さねば!」
(UCで召喚したプレジデントの電脳複製体と共にサイバースペースへ)

わたくし達同様にティタニウム・マキアの不祥事を探っているハッカーも多いはず。2人で説得しハッカー達の協力を取り付け、人海戦術でデータを探索しましょう。
サイバースペース内で社長と大統領の演説を行い、協力に応じたハッカーたちと共にサーバーへお邪魔しますわ!
あ、攻勢プログラムは電脳グラップルでぶっ壊しますわ。



 サイバーザナドゥにおいて企業間の争いは、世界の覇権を争うものであった。
『巨大企業群(メガコーポ)』は己の威信と金のためにこそ、己たちの企業努力を怠らない。
 そこにあるのは、環境への配慮であるとか人権的なものを一切不要とするものであった。
 金を得るためであれば環境破壊など躊躇する理由にはならず。そして、金を生み出すためには人権など存在しないかのように当然のように踏み潰すものであったからだ。
 全ては金のため。
 モラルなど何の役にも立たないことを、『巨大企業群』である『ティタニウム・マキア』は証明していた。
 日々の平穏は勝ち取るのではない。
 買うものである。

 金さえあれば平和すら売ってみせる。
 それがメガコーポ『ティタニウム・マキア』であった。
 しかし、そんな巨大企業群にあっても急所というものは存在している。サイバースペースにハッキングによって流出したデータ。
 それはとかげの尻尾切りで対応できるものであったが、かといって切り捨てては金が失われるだけである。
 だからこそ、そのデータを回収するために『ティタニウム・マキア』は電脳空間、サイバースペースに強大な障壁を築き上げ、阻むのだ。

「お~っほっほっほ!」
 だが、そんなサイバースペースに響き渡る高笑い。
 あれは誰だと規制線の貼られた電脳空間にいる者たちが皆声の主を探して見回す。ひときわ高い場所にから響く高笑いは、すぐにサイバースペースに行き交う者たちの視線に止まったことだろう。
「企業同士の抗争に我が株式会社ユニバーサル・アーマメンツ・インダストリーも武力介入ですわ!」
 南六条・ヴィクトリア三世(株式会社UAI最高経営責任者(現職)・f30664)は、その最高責任者。まあ、あれである。社長である。

 サイバースペースの人々は皆、一様に彼女を見やる。
 彼女の自信満々な表情は彼等にとって奇異為るものに写っただろう。なぜならば、正面切って『巨大企業群』に喧嘩を売っているからである。
 言うまでもなく『巨大企業群』はサイバーザナドゥにおいて強大な組織だ。一国と言ってもいいほどの権力と金を有する存在。
 そんな存在に楯突こうというのは、そう、あまりにも……。
「素晴らしいフロンティア精神だ、Ms.南六条! しかし、我が合衆国も企業群に支配されているとは……人民の人民による人民のための国家の誇りを取り戻さねば!」
 共感する声明を出したのは、プレジデントの電脳複製体である。
 彼の言葉は不思議と心に響き渡るものであった。

「共鳴する社長魂と大統領魂は世界を制圧するのですわ(ザ・プレジデンツ)!」
 何の説明にもなっていないが、社長はご満悦である。
 彼女の目論見はこうである。社長である彼女とプレジデントの演説に感動した民衆の支持を得ることに寄って、彼女は多くの同志を味方に引き入れるのだ。
 いや、同志と呼ぶにはあまりにもその場しのぎであったが、彼女の言葉に突き動かされたサイバースペースに存在してた無数のハッカーたちが彼女へと協力するのだ。
 大体金のせいである。
 金さえあれば、地獄の沙汰もどうってことないのがサイバーザナドゥの善いところであり、悪いところでもある。

 ヴィクトリア三世は、協力を取り付けたハッカーたちに報酬を支払い、人海戦術でデータが流出しているスペースを探索する。
「というわけで、お邪魔いたしますわ!」
 ごめんあそばせ、グラップルのお時間である。
 彼女の電脳グラップルは、彼女に賛同する者たちの支持によって強化される。
 それはプレジデントの電脳複製体の応援演説に寄ってブーストされ、彼女を排除せんとする攻勢プログラムを寄せ付けぬ、強固な拳となって打ち砕くのだ。

「目指すは、『ティタニウム・マキア』の本丸ですわ!」
 彼女が指差す先にあるのは強固な障壁が囲うサイバースペースに存在する『ティタニウム・マキア』の領域。
 確かに強固。
 けれど、ヴィクトリア三世は恐れるに値しないとまた高笑いをする。
「エレガントにつぶして差し上げましょう」
 煌めくユーベルコード。
 その輝き灯る瞳のままにヴィクトリア三世は障壁などなんのその。拳でぶち抜いて、一直線に漏洩したデータに迫るべく邁進を続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「ティタニウム・マキアの機密情報ですか。
それは我が社にとっても見逃せないチャンスですね。
ブラック・カンパニー特殊渉外課、出動です」

同期の新入社員のフォスさんと共に電脳空間にダイブしましょう。
ティタニウム・マキアのデータベースにハッキングを依頼したメガコーポの正体もできれば掴んでおきたいところですが……
ここは漏洩した機密情報の取得が最優先ですね。

『ディスクガン』により攻性プログラムの制御プログラムを破壊します。
そして制御を離れた攻性プログラムを【サイバーリンクシステム】で掌握。
他の攻性プログラムたちを破壊していきましょう。

「私が援護しますので、突っ込んでください、フォスさん」


フォス・オネイロス
【ブラック】

『お嬢様』の初仕事、わたしも特殊渉外課として、
そしてエージェントなのがばれないようにしっかりしないとね。

これはたしかに会社にとってもいい交渉材料になりそう。
おちてるデータは全部もらっておけば、証拠以外も役立つかもだしね。
初仕事で成果を出せば居心地も少しはよくなるかな?

わたしもまずは【ディスクガン】で攻性プログラムを引きはがして、
ペルセポネさんの有利を確保しよう。

状況が整ったら、ペルセポネさんのタイミングで突っ込むよ。
背中はペルセポネさんにお任せして、わたしは目の前の敵に集中

【闘気】を纏って全力で距離を詰めたら、
攻性プログラムの『穴』を見極めて【降魔点穴】で障壁共々打ち壊していくね。



 ペルセポネ・エレウシス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属・f36683)は
『ブラック・カンパニー』の社長令嬢である。
 エリート後方の新入社員として特殊渉外課に配属された社長令嬢である。
 ちなみにこれが初仕事。
 そんな初々しい新入社員の傍に控えるのは同じく新入社員のフォス・オネイロス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属、腕力担当・f36684)。
 だが、それは表向きである。
 なんとなく察してもらえるであろうかもしれないが、一応言っておく。
 ペルセポネは言うまでもなく社長令嬢である。
 ということは、時にウィークポイントにも成り得る。彼女に万が一の事があった場合、困るのは『ブラック・カンパニー』だ。

 だからこそ、フォスは彼女のパートナー兼護衛として送り込まれたのだ。
「『ティタニウム・マキア』の機密情報ですか。それは我が社にとっても見過ごせないチャンスですね。『ブラック・カンパニー特殊渉外課、出動です」
 ペルセポネは意気揚々とサイバースペースにダイブする。
 そんな彼女の背後に付き従うフォスはできれば争いごとにならなければいいと思っていた。
 腕力担当ではあるのだが、自分がペルセポネに秘密裏につけられた企業エージェントであることを悟られてはならないのだ。
 ペルセポネがもしも、フォスがエージェントであると気がついたのならば、きっと面倒なことになるであろうかとは容易に想像出来たからだ。

「さあ、フォスさん。本来であれば、『ティタニウム・マキア』のデータベースにハッキングを依頼したメガコーポの正体もできれば掴んでおきたいところですが……」
「ええ、まずは成果を出そう。初仕事だからね」
 二人は規制線の貼られたサイバースペースへと降り立つ。
 すでにデータの流出騒ぎがサイバースペースにしれているのだろう。多くの野次馬たちが集まっている。
 だが、それ以上に彼等を阻むのは障害のプログラムだ。
 強度も数も尋常ではない。それほどまでに、流出したデータを守りたいのだろう。

「流石に慌てているようですね」
「まずは攻性プログラムを引きつけよう。ディスクガンの用意は」
「ばっちりです!」
 二人が手にしたディスクガンはデータディスクをセットすることで破壊プログラムをレーザー化できる光線銃だ。
 特にサイバースペースであれば電脳障壁を破壊するにはもってこいの武装であろう。
 放たれるレーザーが迫るドローンのような攻性プログラムを貫き破壊していく。

「これで制御系は破壊できました。次は――サイバーリンクシステム起動」
 ペルセポネの瞳がユーベルコードに輝き、有線接続型電脳とドローンを繋ぎ、掌握する。
 これによって攻性プログラムは彼女の制御下に置かれる。
「――……」
 初仕事とは言え、ペルセポネの有利に事が運んでいることをフォスを把握しうなずく。
 これならば、自分が彼女のそばをはなれて突っ込んでも大丈夫だろうと判断し、フォスは電脳障壁へと突っ込む。
 彼女のまたユーベルコード使いである。

 練り上げられた闘気はサイバースペースであっても問題なく作用している。
 ディスクガンにより放たれた光線によって穿たれた電脳障壁の穴を見極め、放たれるのは指突である。
 電脳障壁に打ち込まれた闘気が巡る。
 それは穿たれた穴に亀裂を打ち込むように広がっていく。
「どんなプログラムにも穴がある。ならば、機甲闘技拳は問題なく」
 打ち込まれた闘気がプログラムを破壊し、道を開く。
「やりましたわね、フォスさん。さあ、後ろはお気になさらずに! 私が援護しますので、突っ込んでください、フォスさん」

 ペルセポネの言葉にフォスがうなずく。
 開かれた道の先にはさらにまた電脳障壁と攻性プログラムが道を塞ぐようにして展開してる。
 さすがは『巨大企業群』と言うべきであろう。
 しかし、セキュリティが存在する限り、それを打ち破る方策もまたあるのである。特にサイバースペースであればなおさら。
 現実世界と同じように干渉できるのであればこそ、ペルセポネとフォスが構えるディスクガンの光線は尽くを破壊し、流出したデータの下へと一直線奔るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レナ・ヴァレンタイン
……この手の犯罪で脇が甘いということは、まあ遠からずなんらかの餌か、セキュリティに穴開けられた責任で粛清か
まあなんにしてもこの重役個人の未来(さき)は潰れたな

等とどうでもいいことを考えつつサイバースペースの地面(?)をぶん殴ってユーベルコード発動
可能なら攻性防壁まで「喰って」しまいたいが、さてこの能力でどこまで動かせるか……。とりあえず鬱陶しいので足下から生える障害物は全て止めさせてもらって、攻撃に対してはどうでもいいデータの塊を盾として集めて防御
ギャラルホルンの砲撃で障壁ごと攻撃プログラムを砕きながら真っすぐ進もう

おっとなんでもない業績データまで壊したか、……うむ、必要な犠牲と割り切ろう



 メガコーポ『ティタニウム・マキア』の重役がこれまで行っていた犯罪の証拠データがサイバースペースに流出したという情報は瞬く間に広がっていく。
 一度流れてしまった情報は尾ひれがつくのだとしても、必ず真実にたどり着くための楔となるだろう。
 だからこそ、彼等は隠蔽しようとする。
 だが、『ティタニウム・マキア』のデータベースにハンキングしたハッカーの脇が甘いことをレナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)は気がついていただろう。
「……この手の犯罪で脇が甘いとうことは、まあ遠からず何らかの餌か、セキュリティに穴空けられた責任で粛清が狙いか……」

 そう、ハッキングするだけの愉快犯など恐らくサイバーザナドゥにはいないだろう。
 金が全て。
 金で何もかも解決できる世界であるからこそ、金の力は絶大だ。これだけのことをしておいて金が絡まないことなどありえない。
 ならばこそ、データを流出させるだけなどあるはずがない。
 傍目には、ハッキングに成功はしたがデータを持ち出すまでには至らなかったと『ティタニウム・マキア』のセキュリティの厳重さに目が行くだろう。
「まあ、なんにしてもこの重役個人の未来(さき)は潰れたな」
 責任問題であることはもちろんのこと。
 どうあっても、処分がくだされることには違いあるまい。

「――世界よ、私に従え」
 レナは己の魂を分化、変換した特殊な衝撃波を己の拳から放つ。
 それは、文明簒奪者(コード・スナッチャー)。
 レナの拳から放たれた衝撃波は、サイバースペースを構成するモノ全てに影響を及ぼす。
 これら全てを精密に操作する力をレナは、そのユーベルコードとし、サイバースペースに立ち上がる電脳障壁の尽くを無力化する。
 生物のように蠢く迷路であった電脳障壁の動きが止まる。攻性プログラムのドローンがこちらに攻撃を仕掛けてくるが、今のレナには無意味であった。

 己の拳が叩きつけたサイバースペースの地面が盾のようにせり上がり、弾丸を防ぐ。
 さらに抽出したデータを塊に変えて投げ放ち、攻性プログラムを叩き落とすのだ。
「おっと、これは」
 レナは己が抽出したデータを見やり首をかしげる。
 なんでもないデータをと抽出したのだが、なんでもない業績データまで壊してしまったようである。

「……うむ、必要な犠牲だな」
 仕方ない。仕方ない。
 そんなふうに自身を納得させながらレナは装甲破砕砲でもって電脳障壁に穴を穿ちながら前に進む。
 打ち抜かれた電脳障壁の残骸を吸い上げながらレナは迫る攻性プログラムを打倒し続ける。
「これだけの障壁を生み出すメガコーポのデータベースを人知れず抜けるハッカーとはどのような存在なのだろうな」
 凄腕であることに変わりはない。

 けれど、不可解な行動でもある。
 ここまでしたのならデータを持ち逃げして、報酬を依頼主から頂きつつ、『ティタニウム・マキア』を強請ることだってできただろう。
 それをしないということは、他になにか理由があるのか。
「判断材料がまだ少ないな……ここのデータの中になにかあればいいのだが」
 どうせ、痕跡など残していないだろう。
 そう割り切ってレナは次々と流出したデータの存在する区域まで放たれる散弾でもって障壁を突き破っていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
POWで挑む
アドリブや連携も大歓迎だ

「やー、まさか電脳にダイブする日が来るなんてな!
イメージだと0と1が無数に並んで空中に浮いてたりしそうだけど、
迷宮がある以外は思ったより普通だな。」
サイバースペースに入って周りを見渡して体の調子を確かめる
…体の輪郭が若干ふわふわ?しているけど、問題なさそうだ

「さて、迷宮があるんだったな。
悪いが、オレはオレのやり方で突破させてもらう!
やるぞ!ブレイズ・ビートル!」
UCを発動させてソルブレイザーを強化
[オーラ防御]を展開し、アクセルを踏み込む
先端の武装によって次々と壁を粉砕しながら直進
「壁があるなら乗り越える!
こんくらいでオレを止めることは出来ないんだよ!!!」



 サイバースペースは現実空間のように生身で体験できる電脳空間である。
 サイバーザナドゥに存在するフリーポータルからアクセスでき、ダイブすれば、そこにあるのは現実空間と何ら変わりのないものである。
 匂いも、音も、触覚も、現実そのもの。 
 データであるから、現実を凌駕する体験をすることだってできるだろう。
 最高の娯楽と言われるのもうなずけるものである。
「やー、まさか電脳にダイブする日が来るなんてな!」
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は、0と1の数字の羅列が無数に並んで空中に浮いていたりするものを思い浮かべていたが為に、己のイメージと異なる電脳空間の様子に驚いていた。

 とは言え、目の前に広がるのは巨大企業群『ティタニウム・マキア』のスペースである。
 すでに情報流出のニュースが広まっているのだろう。
 野次馬達が屯し、規制線の外から見るしかできない。しかし、猟兵として転移したからには、規制線の中に立ち上る迷宮のような電脳障壁を超えていかなければならないのだ。
「……体の輪郭が若干ふわふわしているけど、問題なさそうだ」
 清導はうなずく。
 体の感触を確かめていたが、これならば問題なく動けそうである。それでもまだなんとも言い難い違和感のようなものを感じないわけではなかったけれど。

「さて、迷宮があるんだったな。悪いが、オレはオレのやり方で突破させてもらう! やるぞ! ブレイズ・ビートル!」
 清導はブレイザインの赤い機械鎧の姿に変身し、専用バイクにまたがる。追加武装が空より舞い降り、スピードを超強化する。
 それこそが合体『剛炎勇車』(ハイパーソルブレイザー)である。
 増強されたスピードは、誰も捉えられぬ速度へと到達する。

 野次馬たちが突如として現れた赤いヒーローの姿に驚き、どよめきながら道を開く。
 サイバースペースの地面を斬りつけるタイヤが火花を散らしながら、疾駆するソルブレイザーが白煙を上げながら電脳障壁へと突っ込んでいく。
「ぶつかるぞ!」
 野次馬たちの声が聞こえる。
 だが、清導には関係なかった。アクセルを踏み込む。曲がるという概念すら必要なかった。
 ソルブレイザーの戦端に備えられた武装がスピードに乗って電脳障壁を力づくで破壊していくのだ。
「壁があるなら乗り越える!」
 いや、それは乗り越えるというか、粉砕しているというか、という野次馬たちのツッコミも振り切って、ソルブレイザーは突き進む。

「こくらいでオレを止める事はできないんだよ!!!」
 ブレイザインの咆哮が轟き、障壁の尽くを貫く。
 まさに一直線。
 ソルブレイザーの車輪が斬りつけるタイヤの痕はまるで『ティタニウム・マキア』に放たれた矢の軌跡のようにサイバースペースに刻み込まれていく。
 攻性プログラムを寄せ付けぬ圧倒的なスピードで持ってブレイザインは突き進む。

 アクセルを踏み込む力は変わらない。
 どれだけ強固な電脳障壁であっても力づく突き破って進む。それがブレイザインの戦い方であるし、ヒーローとしての己の在り方でもあったのだろう。
 曲がらず、折れず、己の信じる正義を貫く。
 その在り方を示すようにブレイザインは『ティタニウム・マキア』の流出データの存在するスペースまで猛スピードで駆け抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

堂島・アキラ
メガコーポの悪事の証拠データか。そいつを使ってゆすれば、たんまり金を頂くことも……クックック。
おっと、あんまり悪い顔するとせっかくの美少女が台無しだ。

障壁だの迷宮だの、そんなもんは全部ぶっ壊して真っ直ぐ進めばいい。
現実世界だろうがサイバースペースだろうが、オレに壊せねえものはねえ。
デスブリンガーの本領見せてやるぜ。

【ザナドゥの死神】があればその障壁がどんなに硬くてもぶっ壊せる。
拳を叩きつけてぶっ壊せなきゃ十倍。まだぶっ壊せなきゃ次は百倍だ。

さあ、どんどんぶっ壊して大金ゲットだ!ハーッハッハッハ!



 巨大企業群に敵は多い。
 企業間戦争が公然と行われているサイバーザナドゥにおいては当然のことであろう。
 金が全ての世界にありて、金というシェアを奪い合うのだから、表向きは平和を売る企業であっても、裏では何をしているかわからないものである。
 だからこそ、その犯罪に手を染める者も少なくはない。いや、多くがモラルを失ったからこそ、当然の行使であると言えたのかも知れない。
「そらそうだよな。あれだけ金を持っているのならば、そういうこともするだろうさ。当たり前のことだ」
 モラルなんてない。

 金で全てが解決するほどに発展した世界の文明は、モラルなど不要と切り捨てるものであったからだ。
 けれど、そのデータをうまく活用したのならば、されたのならば、企業間戦争におけるウィークポイントに成り得るであろうし、己たちの立場を危うくする材料となるのは当然の帰結であった。
「メガコーポの悪事の証拠データか。そいつを使って強請れば、たんまり金を頂くことも……クックック」
 堂島・アキラ(Cyber×Kawaii・f36538)は金髪碧眼の美少女の躯体で笑う。
 あまりにもあくどい顔をしていた。
 せっかくの美少女が台無しである。

 しかしながら、金さえあればあんなパーツやこんなパーツだって手に入るのだ。
 金で手に入らないものなどないからこそ、アキラの笑みが悪い奴のあれになるのも無理なからぬことであった。
「おっと、あんまり悪い顔するのもな」
 せっかくの美少女フェイスなのだ。
 表情のモーションを整えるようにしながら、アキラは立ち並ぶ電脳障壁と規制線を見やる。

 流出したデータが存在するスペースまではまだ多くの障害が残っている。
 迷宮のように入り組んだサイバースペースは、それこそ巨大な壁そのものであった。けれど、アキラにとってそんなことは些細なことであったのだ。
「壁だろうが迷路だろうが、そんなもんは全部ぶっ壊してまっすぐ進めばいい」
 単純明快である。
 目の前に障害があるのならば、それを避けて進むという思考はアキラにはない。
「現実世界だろうがサイバースペースだろうが、オレに壊せねえものはねえ」
 全身武装傭兵たるデスブリンガー。
 それがアキラの本領。

「ザナドゥの死神……どんなに障壁が固くてもぶっ壊せるってえのが!」
 ユーベルコードに煌めく瞳。
 あるのは破壊への欲求のみ。
 拳を障壁に叩きつける。壊れない。ならば、さらに十倍に己の拳の硬さを高めていく。
 それでも壊れないのであれば、次は百倍である。
 タガが外れたかのようなユーベルコードの煌きは、徐々に大きくなっていく。打ち込まれる拳の威力が跳ね上がり、電脳障壁であろうと亀裂を走らせ砕くのだ。

「さあ、どんどんぶっ壊して大金ゲットだ! ハーッハッハッハ!」
 アキラは笑う。
 どんな時だって笑うだろう。これで素面であるのが恐ろしい。
 薬物も何もキメてはいない。
 あるのは破壊の意志のみ。
 叩きつけた拳が電脳障壁を砕き、迫る攻性プログラムのドローンさえも叩き潰しながらアキラは一直線に進む。

 まっすぐ進むことを阻むもの全てを破壊しうるアキラの拳は、その威容をもってザナドゥの死神たる壊し仕事を完遂させるために、なお勢い余るように拳を叩きつけながら突き進むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
種族柄、サイバースペースは慣れております
ある意味では現実空間よりも自在に活動できますね
…まず、天井を気にせず済みますので

巨悪打ち倒す鍵となるデータも、数多のハッカーにとっては強請りの道具
多くの者が狙う以上、確保に時間を掛ける訳にも行きません

瞬間思考力にてプログラミング
機械馬ロシナンテⅡ象った処理速度向上プログラムに騎乗
馬上槍を構え、穂先から防御障壁バリアの形にハッキングプログラムを構築

少々乱暴で、盛大に痕跡も残るハッキングですが…
私の場合、速度だけならこの方法が一番です

電子空間を突撃
障害物や迷宮の形の電子障壁を真っ向から突き破り大穴開けて蹂躙
数多の攻性プログラムを跳ね飛ばし中枢へ



 まるで現実のようにリアルを上回る体験をすることができるのがサイバースペースである。
 サイバーザナドゥにおいて、サイバースペースは誰もがダイブできる最高の娯楽であった。だからこそ、ここまで発展したのだろう。
 金を詰めば、サイバースペースにおいてできないことはない。
 故に、このサイバースペースに流出した『ティタニウム・マキア』の犯罪証拠のデータは重要な意味を持つ。
 企業間戦争において、それは敵に一矢を放ち、楔とすることもできるからだ。

 それ故に『ティタニウム・マキア』は規制線と電脳障壁を張り巡らせ、流出したデータの回収をしようとしている。
「ある意味では現実空間より自在に活動できるのが、このサイバースペースの利点であります。特に天井を気にせずに済むところがまた……」
 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)はウォーマシンであるが故に、人間準拠の現実世界での建築物などに入ることが難しい存在でもある。

 だが、故郷たるスペースシップワールドの電脳魔術と同じように慣れていることは、このサイバースペースにおいては利点と為るだろう。
「巨悪打ち倒す鍵となるデータも、数多のハッカーにとっては強請りの道具。多くのものが狙う以上、確保に時間を掛ける訳にもいきません」
 そう、このサイバーザナドゥはモラルの破壊された世界である。
 どれだけ巨悪がはびこっているのだとしても、金の魅力の前には正義など無意味と化す。
 それほどまでに腐敗しながらも、人々は今も生きている。
 ならばこそ、ハッカーたちより先んじてトリテレイアはこの電脳障壁立ち並ぶスペースを迅速に突破しなければならない。

 機械馬『ロシナンテⅡ』に騎乗し、処理速度向上プログラムを上乗せする。手にした馬上槍の穂先に展開された防御障壁が煌き、ハッキングプログラムを構築していく。
「少々乱暴で、盛大に痕跡も残るハッキングですが……」
 だが、速度を重視するのならば今はとやかく言うところではない。
 自身の持てる最大速度で持って、データが流出したスペースへと急がねばならないのだから。
 蹄の音が響く。
 それは、鋼の騎士道突撃行進曲(チャージ・アット・ウィンドミル)の序曲であったことだろう。

 電脳空間を疾駆するトリテレイアは正しく槍。
 放たれる一撃が電脳障壁を貫き、周辺のデータを巻き込んで破壊していく。突き破って空けた大穴から次々と雑多なデータが流失していく。
「攻性プログラム、来ましたか……ですが! 風車に撥ね飛ばされぬように……いえ、負けても止まるつもりはありません!」
 放つ槍の一撃が攻性プログラムをハッキングし、蹂躙していく。
 ドローンのように飛んでいたプログラムを槍の穂先から投げ捨てながら、機械馬が疾駆する。

 それはあまりにも非現実的な光景であったことだろう。
 だが、これもまたサイバーザナドゥにおけるサイバースペースの現実では得難い経験の一つ。
 人々は電脳障壁を貫き、疾駆する騎士の姿を見て規制線の外から声援を送る。
 決して正しいものではなかっただろう。
 ただ金を持つ巨大企業群に対するやっかみから来る声であったのかもしれない。
 モラル無き世界にあって、トリテレイアは騎士としての矜持を掲げても、彼等には理解し難いものであったからだ。

「モラル無き金だけが全ての世界……」
 嘆かわしいと思うだろうか。
 それとも別の感情を抱くだろうか。
 どちらにせよ、オブリビオンが絡むのならばこれを打倒せしめるのが己の責務であるとトリテレイア信じ、サイバースペースを駆け抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『サイバーアサシン』

POW   :    サイバー・ニンジャブレード
【光学迷彩で潜伏した状態から放つ仕込み刃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【高圧電流を纏う強化ブレードによる連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ナパーム・シュリケン
自身が発射した【強力な爆発物が仕込まれた手裏剣】の軌道を、速度を落とさずレベル回まで曲げる事ができる。
WIZ   :    ステルス・カギナワ
【光学迷彩が施されたワイヤー付きアンカー】が命中した敵の部位ひとつを捕縛し、引き寄せる。

イラスト:雲間陽子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「電脳障壁が次々に突破されるだと!? どういうことだ、敵は複数のハッカーを雇っているということか!」
 巨大企業群『ティタニウム・マキア』の重役はサイバースペース、己の犯罪証拠のデータが流出したスペースに迫る猟兵たちの姿を見てうめいていた。
 電脳障壁の強度は並大抵のものではなかったはずだ。
 だというのに、猟兵達は次々とこれを打ち破って、一直線に流出データが浮かぶスペースに迫っているのだ。

「貧乏人共が! あのデータを手に入れて、一丁前に私をゆすろうというのだろう!『サイバーアサシン』たちはまだか!」
「只今急行しております。ハッカー共の殲滅でよろしいか」
 重役の言葉に『サイバーアサシン』たちから通信が入る。
 その言葉は、淡々としており、ただ己たちの仕事を果たすためだけに紡がれるものであった。
 矜持などない。
 あるのは己たちが雇われ、その働きに対して対価を得るという契約だけ。

「ああ、さっさと連中を片付けろ! 本社に気取られる前にな! くそっ! どうしてこんなことに……!!」
 忌々しげに重役はそこらに在ったものを蹴り飛ばし、デスクに並べられた書類をばらまく。
 そんな重役を尻目に『サイバーアサシン』たちは、データの流出したスペースに陣取る。
 ここに構えていれば、このデータを狙う者たちがやってくると知っていたからだ。
 容赦はない。
 慈悲もない。
 あるのはただ、この場に居るもの全てを排除するという任務のみ。

「排除を開始する。総員、構え」
 号令と共にスペースに迫った猟兵達を迎え撃つ『サイバーアサシン』たちの瞳が怪しく煌めくのであった――。
楠井・沙智
守ってるのはプログラムだけじゃないよね。
忍者……じゃなくてニンジャ、だっけ。気配はないけど待ち構えられてると考えたほうがいいかな。警戒しよう。
「楽器演奏」「索敵」「情報収集」の技能を組み合わせます。
詠唱ギターでアルペジオを奏で、音波の反響を詠唱インカムで聞き取り空間認識。死角や迷彩で視認出来ない敵を捉えます。
【災禍の手】。敵の隠れている影自体から生じた赤い手で掴みあげ捕縛。生身の部分を崩壊させる猛毒を浸透させて攻撃します。
「歌唱」「範囲攻撃」「結界術」で、歌声をインカムで破壊音波に変えて周囲に展開。手裏剣の信管を誘爆させて撃墜し防御。
ニンジャがいるって事はこの先が目的地だね。もう少し頑張ろう。



 サイバースペースにおいて重要なのはプログラムだけではない。
 攻性プログラムはたしかに脅威であったが、それ以上に脅威であったのはサイバースペースにダイブしたオブリビオンである。
『サイバーアサシン』たちは、まさしく忍者……いや、ニンジャである。
 その語感の違いを楠井・沙智(スレノディ・f36496)はうまく実感できないでいたのかもしれない。
「護ってるのはプログラムだけじゃないよね」
 わかっていたことであるが、こうしてサイバースペースにて待ち受ける『サイバーアサシン』たちは確かに脅威であった。

 迷彩は現実世界とは異なり、完全なる存在の隠蔽を為し得る。
 見て分からないほどに洗練された隠蔽技術は、沙智にとって脅威であったが、それを攻略できないわけではなかった。
「待ち構えられてると考えた方がいいよね」
 気配は感じない。
 けれど、たしかにこのスペースに『サイバーアサシン』たちが存在していることは理解している。
 予知によって敵が出現することがわかっているのならば、待ち伏せの利点はある程度潰せるのである。
 彼女が手にしたギターが和音を奏でる。

 同一に放つのではなく、音階を踏むようにして分散して放つ。
 それはアルペジオと呼ばれる演奏方法であり、同時に分散和音とも呼ばれる。異なる和音が響き渡る反響で持って沙智は詠唱インカムを通じて世界の姿を三次元的に知るのだ。
 類まれなる空間認識と絶対音感がなければ為し得ぬことであった。
「……やっぱり居る……なら、そこ! カラミティハンド!」
 沙智の瞳がユーベルコードに輝く。
 ここが現実世界と変わらぬ電脳空間であればこそ、『サイバーアサシン』たちの足元には影が落ちる。

 そのあらゆる影から赤い闇の手が放たれ、沙智に向かって手裏剣を放とうとしていた『サイバーアサシン』たちの肉体をを絡め取る。
「――ッ!? 何処から!?」
『サイバーアサシン』たちは己の背後から突如現れた赤い闇の手が自身達を捕縛したことに驚愕する。
 締め上げられ、取り落した手裏剣が爆発する。
 危険な爆発物を仕込んだ手裏剣は、『サイバーアサシン』たちの自滅を誘うものであったし、同時に災禍の手(カラミティハンド)たる沙智のユーベルコードは致死の猛毒を打ち込む。

 その存在を崩壊させる猛毒は浸透させられ、さらに沙智の歌声が響き渡る。
「くっ、一陣がやられた……! 続け!」
「それはさせない!」
 響く歌声が結界によって反響し、破壊音波となって『サイバーアサシン』たちの手にした手裏剣の信管を誘爆させる。
 爆発がサイバースペースに響き渡り、その煌々たる炎が立ち上る。
 これだけの数が未だこのスペースに存在しているということは、沙智たち猟兵の求める『ティタニウム・マキア』の犯罪証拠たるデータがまだ此処にあるということを示していた。

「これだけ守りを固めているのなら、まだ回収はされていないということ。ニンジャとアサシンはどう違うんだろう……」
 沙智は未だわからぬことを思い出しながら、それでもまだ目的のデータの確保に至らぬことを思い出して己の歌声を響き渡らせる。
 煌めく歌声とは裏腹に、『サイバーアサシン』たちの持っていた手裏剣が暴発する爆発音が轟々と響く。
「うん、もう少し頑張ろう」
 敵を打倒していれば、必ず目的のデータに至ることができる。
 沙智は気を入れ直して、喉を震わせ、さらなる爆発でもって『サイバーアサシン』たちを蹴散らすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

南六条・ヴィクトリア三世
(引き続きプレジデントの電脳複製体と行動)
「おぉ、あれは噂に名高いNINJAではないか!相手にとって不足はないなMs.南六条!」
えぇ、これぞ好機ですわプレジデント!アレをやりますわよ!
「……電脳世界で?」
電脳世界で。
「大丈夫だろうか……」
(「無問題」と書かれた扇子を広げて親指を立てる社長)

(腕を上に掲げて指を鳴らし、指定UC発動)
さぁ、ご覧あれ!土遁の術ですわ!
(ゴゴゴ、と地響きを立てて電脳世界に生えてくるUAI本社ビル)
「おぉ、成功した!SSWからビルが消えて通勤中だった秘書のお嬢さんが悲鳴を上げるだろうが何も問題はないな!」
(2人でビルの屋上に仁王立ち)
行きますわよ本社ビーム発射ァ!



 サイバースペースを突き進む猟兵たちの目的は唯一である。
 それは流出した巨大企業群『ティタニウム・マキア』の犯罪証拠データ。
 今はただの一矢に過ぎないのであっても、来たるべき戦いの時にはそれが反撃の一撃となるかもしれない。
 今はか細い糸であったのだとしても、より合わせれば強靭な綱となるように、これらの戦いも決して小事ではない。
 故に南六条・ヴィクトリア三世(株式会社UAI最高経営責任者(現職)・f30664)は腕を天に掲げ、打ち鳴らす。

 それは彼女のユーベルコード。
 迫るは『サイバーアサシン』。その見た目であれば、噂に名高き忍者。もといニンジャ。えっとNINJYAというやつである。
 相手に取って不足なし。
 それが電脳複製体の言葉であった。
 ヴィクトリア三世にとってもまた同様であったし、掲げた手が打ち鳴らした指の音に呼応するように電脳空間に地鳴りのような音が地の底から聞こえてくるのだ。
 一体何であるかと『サイバーアサシン』たちは動揺していた。
「何が……」
「地面から、下からの攻撃……!?」
『サイバーアサシン』たちは、猟兵の攻撃が如何なるものであるかを知らない。

 だからこそ、その地の底から響き渡る音に足を止めたのだ。
「えぇ、これぞ好機ですわ! アレをやるのですわ!」
 電脳複製体は若干、引いた。
 ヴィクトリア三世の言う所のアレとは、いわば『ティタニウム・マキア』への宣戦布告と呼ぶに相応しい所業であるからだ。
 問題在りまくりな気がする。
 そんな心配を一蹴するかのようにヴィクトリア三世の手にした扇子に書き殴られていたのは『無問題』。
 親指も立てている。
 何がどう問題ないのかわからないが、それでもなお、ヴィクトリア三世は笑っていた。

「さぁ、ご覧あれ! 土遁の術ですわ!」
 凄まじい地響きとともに姿を表したのは、株式会社UAI本社ビルディング(可動式)(チナミニジメンカラハエテキマス)であった。
 なんで?
『サイバーアサシン』たちはその突如として地面より生えてきたユニバーサル・アーマメンツ・インダストリー本社に吹き飛ばされ、サイバースペースの空を舞う。
「な、な、な……!?」
 開いた口が塞がらないとはこのことであろう。
 意味がわからんのである。
 なにゆえ目の前に他社ビルがそびえ立っているのかも、その会社が如何なる会社であるかも、さっぱりわからないのである。

 それもそのはず。
 ユニバーサル・アーマメンツ・インダストリーはスペースシップワールドの企業であるから。巨大企業群といえど、把握などできようはずもない。
 まあ、いまスペースシップワールドに通勤中だった秘書のお姉さんは悲鳴を上げていることであろうが、何の問題もないのであるとヴィクトリア三世はビルの屋上で仁王立ちしているのだ。
「私が立っているところ、そこに株式会社UAIがあるのですわ!!」
『サイバーアサシン』たちは理不尽さを感じていたことだろう。

 可変式のビルから謎の光が放たれる。
 それは収束し、一点を生み出すのだ。
「行きますわよ、本社ビーム発射ァ!」
 扇子を掲げ振り下ろした先にあるのは『サイバーアサシン』たち。放たれる向上は凄まじい勢いで放たれ、謎のぶっといビームとなって『サイバーアサシン』たちを貫く……というよりは、消し飛ばしていく。

 正しくやりたい放題。
「見ましたか、これが社長魂。その象徴たる本社ビームなのですわ!!」
 刮目してみよ。
 これがスペースシップワールドのトンデモ企業、株式会社ユニバーサル・アーマメンツ・インダストリーの誇る社長の魂の咆哮なのである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
SPDで挑む
アドリブや連携も大歓迎だ

「防壁の次はニンジャだって?
よほど見られたくないデータみたいだな!
…にしても、ニンジャか。」
若干のミスマッチさを感じながらも油断はしない
見た目以上にその無機質な瞳
必ず殺すという意思は見えるのに殺意を全く感じない
「筋金入りのプロってことか。相手にとって不足はねえ!」
アクセルモードに変身し、加速と共に行動開始

何人かを撃破するも慣れ始めたのシュリケンが発射され始める
[オーラで防御]しながら、
レザーをグンと伸ばして着弾前にまとめて[なぎ払う]
(…まだ足りないか。なら!)
解決策は単純明快
[限界突破]して更に加速するまでだ!
アサシン達の視界から消えた瞬間に全員を撃破する



 迫る電脳障壁を突き破りながらソルブレイザーがサイバースペースを疾駆する。
 今の空桐・清導(ブレイザイン・f28542)――いや、ブレイザインを止められるものはいない。
 突き破った伝承障壁が電子データになって散っていく中、猟兵たちが求めた巨大企業群『ティタニウム・マキア』の犯罪証拠データが存在するスペースには多くの『サイバーアサシン』が跋扈していた。
 その手にした手裏剣が放たれれば、周囲に爆発が巻き起こる。
 危険な爆発物を内包した手裏剣は、ブレイザインを狙って空中で変幻自在なる軌道を見せながら追いすがるのだ。

「防壁の次はニンジャだって? よほど見られたくないデータみたいだな!」
 ブレイザインは理解していた。
 此処にあるデータを手に入れたとしても、『ティタニウム・マキア』を転覆することはできないだろう。
 たとえ、どれだけ重大な犯罪の証拠であったとしても、サイバーザナドゥにおいてモラルは失墜している。
 特にブレイザインの心に燃える正義など、塵芥ほども価値のないものであっただろう。
 だからといって、それを捨て置くことができるほどブレイザインの心に灯った炎は小さくはなかったのだ。

「……にしてもニンジャか」
 若干のミスマッチ差を感じながらも油断はしない。
 炎のように燃える己の正義の光。
 それとは対照的な『サイバーアサシン』の無機質な瞳は、彼にとって殺意を感じるものではなかった。
「筋金入りのプロってことか。相手にとって不足はねえ! 往くぜ、超変身!!ブレイザイン・アクセルモード!!! 光速を超えた一撃をみせてやる!!」
 輝く瞳はユーベルコードの光。
 超高速戦闘モードに変身したブレイザインが疾駆する。

 伸縮自在なる刃、ブレイジング・レザーが迸るように迫る手裏剣を弾き返す。
「弾いた……! だが、私達の手裏剣は軌道を自在に操ることができる!」
 弾くだけでは足りない。
 弾いたとしても、空中で軌道を変えられ、また己に迫ってくるだけだ。
 腕部に備えられたブレイジング・レザーの刃が弾くのではなく、手裏剣を薙ぎ払う。
 爆発が頭上で吹き荒れ、その爆風が赤い機械鎧の装甲を焼く。
「まだ足りないか……なら!」

 手数が足りない。
 爆風の中からさらに手裏剣が迫ってくる。
 これを防がなければ、そもそもブレイザインの攻撃は『サイバーアサシン』には届かない。
「此処で朽ち果ててもらおうか!」
『サイバーアサシン』たちの瞳が煌き、自在に操られる手裏剣がいびつな軌跡を以てブレイザインへと迫るのだ。

「なら、ブレイジング・アクセラレーション!!」
 限界を超えた出力がユーベルコードの煌きとなってブレイザインが加速する。
 手裏剣はブレイザインを追うことすらできない。
 目標を見失った『サイバーアサシン』たちは周囲を見回す。
「おのれ、どこに……!」
「此処だ! ブレイジング・レザー!!」
 一瞬で『サイバーアサシン』の視界から消えた超加速のままブレイザインの放つ刃の一撃が切り裂く。

 走り抜け、火花を散らしながら着地したブレイザインの背後で『サイバーアサシン』たちが手裏剣の爆発に巻き込まれながら霧消していく。
 その鮮やかなる斬撃の一撃はブレイザインの心に燃える正義に後押しされたものであった。
 どれだけモラルが破壊され、正義の心が失墜しようとも、燃え上がる心の炎だけは消せるものではない。
 それを示すようにブレイザインはさらにスペースの奥へと迫るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 サイバースペースでの激闘は規制線の貼られたスペースの外からでも窺い知れるものであったことだろう。
『ティタニウム・マキア』の流出した犯罪データを守るために『サイバーアサシン』たちが光学迷彩や、爆発物を内包した手裏剣を駆使して迫る猟兵達を退けようとしている。
「敵の数が多い……まだ増えると思っていいだろう」
「ああ、だが、こちらの数も増員の派遣が決まっている。時間の問題だ」
『サイバーアサシン』にとって、これは金のための働きである。
 猟兵がどのような存在であろうと『サイバーアサシン』たちは金のためにこそ働くのだ。

 モラルが破壊されたサイバーザナドゥであるからこそ、成り立つものであった。
 金さえあれば他に必要なものはない。
 そう言っても過言でもないほどに金はこの世界において絶対であった。

「敵企業の実働部隊がでてきたようですね」
「守りを固めてきたね」
 ペルセポネ・エレウシス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属・f36683)とフォス・オネイロス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属、腕力担当・f36684)の二人は流出したデータを求めてスペースの中に侵入していた。
 様子を伺うに、『サイバーアサシン』たちは守りを固めるようである。
 時間経過と共に援軍が来るのであれば、その方が得策であると言える。だが、ペルセポネとフォスにとって、その援軍を待ってやる道理などない。

「何者だ!」
 ペルセポネが動いた瞬間、『サイバーアサシン』たちが一斉に手にした手裏剣を投げ放とうとする。
 しかし、即座にペルセポネは言葉を口にするのだ。
 何事もまずは交渉から。
 彼女の信条であり、同時にユーベルコードでもあった。これがメガコーポ式交渉術というものであった。
「あなたたち。雇い主の倍の報酬を支払いましょう。我社に味方するつもりはありませんか?」
 彼女の言葉は魅力的な言葉であった。
 けれど、それを保証するものはなにもない。ペルセポネが『サイバーアサシン』たちに報酬を払うという確証はないのだ。

「愚問だな。金払いの良い方に着くに決まっているだろう」
『サイバーアサシン』たちは笑って応える。
 それは否定の言葉であった。けれど、彼女たちは冷静な判断ができない。今なぜペルセポネがそのようなことを言うのか。
 そして、彼女が如何なる存在下を精確に判断出来ないのだ。
 ならばこそ、フォスは疾走る。

 ペルセポネの交渉でもって『サイバーアサシン』たちが寝返るのならば良し。寝返らないのであれば、ペルセポネのユーベルコードによって生み出された隙をフォスは見逃さなかった。
 義足に装着されたブースターが噴射し、加速する。
 一気に踏み込む。
「交渉は決裂ってことでいいんだね」
 空中を飛ぶフォスが『サイバーアサシン』たちの只中に飛び込む。彼女の瞳がユーベルコードに煌めくよりも、そして『サイバーアサシン』たちが鉤縄を放つよりも早く、飛跳旋蹴(ヒチョウセンシュウ)による旋風のような一閃が放たれる。

「――ッ! こいつら、やはりデータをっ!」
『サイバーアサシン』に放たれるディスクガンの光線。
 それがフォスの背中を護るように放たれるのだ。
「寝返ってくれるならそのまま使ってあげようかと思っていましたが……まあ、どちらにせよ報酬を支払う前に始末するつもりでしたので、手間が省けました」
 金で寝返るような相手など危険で仕方ないとペルセポネが息を吐き出す。

 さらにフォスのアームブレイドの一閃が煌き、『サイバーアサシン』を切り裂く。
「フォスさん、後ろです!」
「任せたよ!」
 二人の動線が交錯する。
 互いに背中を預ける。僅かな時間。これが初仕事であったとしても、二人のコンビネーションは徐々に研ぎ澄まされていくことだろう。
「隙がない……!」
 放たれる手裏剣もフォスには届かない。

 ペルセポネの放つディスクガンの光線が手裏剣を打ち落とし、爆風が吹き荒れる中、フォスが走り込んで蹴撃でもって『サイバーアサシン』たちを打倒し続ける。
「心強い味方が背中を護ってくれているからね、何も心配する必要がないよ」
「私とフォスさんのコンビネーション。これが私達の交渉術です」
 二人の戦いはまだ続く。
『サイバーアサシン』たちの数は未だ多く、そして迫りくるからだ。

 けれど、何も心配することはない。
 彼女たち二人が織りなす交渉術という名のコンビネーションは、誰にも止められないのだから――。
ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「敵企業の実働部隊が出てきたようですね」

ならば、我がブラック・カンパニーの実働部隊である特殊渉外課がお相手しましょう。

「フォスさん、後方からのサポートはお任せください」

敵実働部隊に対して【メガコーポ式交渉術】を使用します。

「あなたたち。雇い主の倍の報酬を支払いましょう。
我が社に味方するつもりはありませんか?」

否定したり悩んだりするなら、隙が生まれますので、そこをフォスさんに突いてもらいます。
寝返ってくれるならそのまま使い、報酬を払う前に始末するとしましょう。
お金で寝返るような相手など、危険で雇っておけませんからね。

「私とフォスさんのコンビネーション。
これが私達の交渉術です」


フォス・オネイロス
【ブラック】

相手は守りを固めてきたね。

うん、ペルセポネさん。交渉と背中は任せるね。

ペルセポネさんの交渉でも寝返ってはくれなければ、
わたしはペルセポネさんが作ってくれた隙をついて、
【レッグブースター】全開で、思いっ切り加速して高高度までジャンプ。

上空からアサシンたちの中に飛び込んで【飛跳旋蹴】一閃。
相手を吹き飛ばして陣形に穴をあけつつ、怯ませて動きを止めるね。

そのまま乱戦に持ち込み、拳打と蹴撃で目の前の敵を倒していこう。
横からの攻撃には【ダマスカスブレイド】で対処かな。

え? 後ろ?
心強い味方に任せてるから、心配してないよ。

抵抗するなら思いっきりやっちゃうけど、アバターだから問題ないよね。



 サイバースペースでの激闘は規制線の貼られたスペースの外からでも窺い知れるものであったことだろう。
『ティタニウム・マキア』の流出した犯罪データを守るために『サイバーアサシン』たちが光学迷彩や、爆発物を内包した手裏剣を駆使して迫る猟兵達を退けようとしている。
「敵の数が多い……まだ増えると思っていいだろう」
「ああ、だが、こちらの数も増員の派遣が決まっている。時間の問題だ」
『サイバーアサシン』にとって、これは金のための働きである。
 猟兵がどのような存在であろうと『サイバーアサシン』たちは金のためにこそ働くのだ。

 モラルが破壊されたサイバーザナドゥであるからこそ、成り立つものであった。
 金さえあれば他に必要なものはない。
 そう言っても過言でもないほどに金はこの世界において絶対であった。

「敵企業の実働部隊がでてきたようですね」
「守りを固めてきたね」
 ペルセポネ・エレウシス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属・f36683)とフォス・オネイロス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属、腕力担当・f36684)の二人は流出したデータを求めてスペースの中に侵入していた。
 様子を伺うに、『サイバーアサシン』たちは守りを固めるようである。
 時間経過と共に援軍が来るのであれば、その方が得策であると言える。だが、ペルセポネとフォスにとって、その援軍を待ってやる道理などない。

「何者だ!」
 ペルセポネが動いた瞬間、『サイバーアサシン』たちが一斉に手にした手裏剣を投げ放とうとする。
 しかし、即座にペルセポネは言葉を口にするのだ。
 何事もまずは交渉から。
 彼女の信条であり、同時にユーベルコードでもあった。これがメガコーポ式交渉術というものであった。
「あなたたち。雇い主の倍の報酬を支払いましょう。我社に味方するつもりはありませんか?」
 彼女の言葉は魅力的な言葉であった。
 けれど、それを保証するものはなにもない。ペルセポネが『サイバーアサシン』たちに報酬を払うという確証はないのだ。

「愚問だな。金払いの良い方に着くに決まっているだろう」
『サイバーアサシン』たちは笑って応える。
 それは否定の言葉であった。けれど、彼女たちは冷静な判断ができない。今なぜペルセポネがそのようなことを言うのか。
 そして、彼女が如何なる存在下を精確に判断出来ないのだ。
 ならばこそ、フォスは疾走る。

 ペルセポネの交渉でもって『サイバーアサシン』たちが寝返るのならば良し。寝返らないのであれば、ペルセポネのユーベルコードによって生み出された隙をフォスは見逃さなかった。
 義足に装着されたブースターが噴射し、加速する。
 一気に踏み込む。
「交渉は決裂ってことでいいんだね」
 空中を飛ぶフォスが『サイバーアサシン』たちの只中に飛び込む。彼女の瞳がユーベルコードに煌めくよりも、そして『サイバーアサシン』たちが鉤縄を放つよりも早く、飛跳旋蹴(ヒチョウセンシュウ)による旋風のような一閃が放たれる。

「――ッ! こいつら、やはりデータをっ!」
『サイバーアサシン』に放たれるディスクガンの光線。
 それがフォスの背中を護るように放たれるのだ。
「寝返ってくれるならそのまま使ってあげようかと思っていましたが……まあ、どちらにせよ報酬を支払う前に始末するつもりでしたので、手間が省けました」
 金で寝返るような相手など危険で仕方ないとペルセポネが息を吐き出す。

 さらにフォスのアームブレイドの一閃が煌き、『サイバーアサシン』を切り裂く。
「フォスさん、後ろです!」
「任せたよ!」
 二人の動線が交錯する。
 互いに背中を預ける。僅かな時間。これが初仕事であったとしても、二人のコンビネーションは徐々に研ぎ澄まされていくことだろう。
「隙がない……!」
 放たれる手裏剣もフォスには届かない。

 ペルセポネの放つディスクガンの光線が手裏剣を打ち落とし、爆風が吹き荒れる中、フォスが走り込んで蹴撃でもって『サイバーアサシン』たちを打倒し続ける。
「心強い味方が背中を護ってくれているからね、何も心配する必要がないよ」
「私とフォスさんのコンビネーション。これが私達の交渉術です」
 二人の戦いはまだ続く。
『サイバーアサシン』たちの数は未だ多く、そして迫りくるからだ。

 けれど、何も心配することはない。
 彼女たち二人が織りなす交渉術という名のコンビネーションは、誰にも止められないのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

堂島・アキラ
企業の犬どものご登場か。つーことはコイツらを出張らせるだけの価値はあるって事だな。
俄然やる気が出てきたぜ。さっさとコイツら蹴散らしてお宝の中身を見てやろうじゃねえか。

飛んでくる手裏剣はサブマシンガンで撃ち落とす。だがちょこまか軌道を変えられたらそれも難しいか。
だったらスピードで圧倒してそもそも追いつかれねえようにすればいい。

バイクに跨ってフルスロットルだ!コイツの速さにはご自慢の手裏剣も追いつけねえだろ。
このままアサシンどもに突っ込むぞ!デスアックスを構えてすれ違いざまにフルスイング!
サイバースペースの彼方までブッ飛ばしてやらあ。



 サイバースペースの喧騒は、瞬く間に広がっていく。
 現実世界と何ら変わりないほどの感覚でもってエンターテインメント体験をすることができるサイバースペースはサイバーザナドゥにおいては最高の娯楽でもあった。
 そんな空間にバイクのエキゾーストパイプから放たれる音が響き渡れば、野次馬が集まってくるのも無理からぬことであった。
「企業の犬どものご登場か」
 堂島・アキラ(Cyber×Kawaii・f36538)はカスタムされ、ピーキーな性能を持つバイクにまたがりながら、その金髪をなびかせる。

 巨大企業群『ティタニウム・マキア』の犯罪証拠のデータは、一矢足り得る情報であったのだろう。
「つーことは、コイツらを出張らせるだけの価値はあるってことだな」
 俄然やる気が出てくるというものである。
 データを獲得できたのならば、金を強請ることができる。たとえ、つっけんどんに突き返されたとしても、そのデータを持っているということが今後のアドバンテージになるというのであれば、それはいわばお宝と呼ぶに相応しいデータであったことだろう。

 地面を斬りつける振動させもリアリティをもたらす。
 それほどまでにサイバースペースの再現性は高いものであった。この電脳空間で傷つけば、肉体にもフィードバックされる。
「次から次へと良くも此処まで来るものだ。数が多い……単独犯ではないな、これは」
『サイバーアサシン』たちは猟兵たちが群れをなすのではなく、波状になって迫りくることに違和感を感じていたことだろう。
 企業に対する抗争というのならば、必ず組織だって動くものである。
 個人での力など巨大企業群には叶うべくもない。
 圧殺されるだけなのだから。けれど、アキラを含めた猟兵達は波状攻撃でありながら、完全なる個であった。

「まさか、こいつらは……『メリサ』とでも言うのか。あの『殺し屋』ギルドの!」
「あ? 何言っていやがる?」
 アキラにとって聞き覚えのない単語。
 けれど、『サイバーアサシン』たちは確実に取り乱している。放たれる手裏剣の描く軌道もどこか精彩を欠く。
 サブマシンガンのトリガーを引き、ばらまく弾丸で手裏剣を打ち落としながら、アキラの駆るバイクが一気に速度を上げて引き離す。
「コイツの速さにはご自慢の手裏剣も追いつけねえだろ!」

 手裏剣を振り切ってアキラは疾駆する。
 凄まじい速度。そして手にしたデスアックスの重量が掛け合わされれば、すなわち、破壊力である。
 速度に乗ったデスアックスの一撃は『サイバーアサシン』の胴を一撃のもとに打ちのめし、フルスイングでもってサイバースペースの彼方まで吹き飛ばす。
「ホームランってな! ブッ飛んでいきな!」
 アキラはご機嫌でバイクを駆りながら一気にスペースを縦断していく。

 目指す先にあるのは『ティタニウム・マキア』の重役が犯した犯罪の証拠データ。
 お宝はもうすぐ先だ。
 追いすがる『サイバーアサシン』たちにサブマシンガンの銃口を向け、弾丸をばらまきながらアキラは打ち落とした手裏剣が内包した爆発物の盛大なる炎を背に、さらなる加速を見せる。
「お宝まで一直線。さっさとコイツら蹴散らしてお宝の中身を見てやろうじゃねえか――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
このテクノロジーが発達した世界で忍者に類する文化に触れる事になるとは…
…フォースナイトが畏敬の対象たる私の故郷も似たようなモノでしたね

さて、データの奪取が我が目的
曲者は私の方ではあるのですが…押し通らせて頂きます

光学迷彩…電子的な隠蔽処理ですか

UCにて瞬間思考力にて電脳空間を情報収集
即座に情報検索システムをプログラミング
ソナーの如く使用
高密度情報体…敵の所在を見切り剣と盾にて攻撃を防御

その程度の電子攻撃…私の護りを抜けると思わぬ事です
(電撃耐性)

怪力で振るう得物で悉く返り討ちに

姿を捉えた以上、騎士が忍者に遅れを取る筈も無し
御覚悟を

全身の格納銃器を乱れ撃ち
光学迷彩で潜む周囲の敵全員を撃ち抜き



 サイバーザナドゥは文明の発達した世界であることは言うまでもない。
 この世界にありて『サイバーアサシン』はいわゆる『ニンジャ』に類する者たちであったことだろう。
 もしかしたのならば、その文化の起源は地続きの歴史が紡いできたものであったかもしれない。
 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は、よもやこのようなテクノロジーが発達した世界にあってある意味で全時代的な忍者に類する文化にふれるとは思っても居なかったのだろう。

 光学迷彩でもって迫る『サイバーアサシン』たちは、自分たちを『ティタニウム・マキア』の犯罪証拠データの存在するスペースに近寄らせまいとしている。
「……フォースナイトが畏敬の対象たる私の故郷も似たようなモノでしたね」
 時代を重ねるごとに人々の中にある伝承は伝説になっていく。
 伝説は常に畏敬でもって語られるものである。連綿と紡ぐことが人の歴史の証左であるのならば、ニンジャもまた受け継がれた恐怖の対象であったのかもしれない。
「……光学迷彩……電子的な隠蔽処理ですか」
 電脳空間であるサイバースペースはたしかに現実世界と変わらぬ感覚でもって人々に娯楽をもたらす。

 ならばこそ、この電脳空間であっても光学迷彩を見破ることは難しいだろう。
「鋼の擬似天眼(マルチセンサー・フルアクティブモード)……とまではいきませんが、目星は付きました」
 トリテレイアのアイセンサーがユーベルコードに煌めく。
 センサーでもって周囲の電子情報を収集し、その電脳が生み出し超高速演算による解析は、即座に情報検索システムをプログラミングする。
 それはいわば、ソナーのように電子の海の揺らぎを捉え、光学迷彩に寄って姿を消した『サイバーアサシン』たちの姿を捉えるのだ。

「高密度情報体……そこですね!」
 放たれる剣が『サイバーアサシン』の光学迷彩によって隠された義体を切り裂く。
 その一撃で持って光学迷彩が解除された『サイバーアサシン』の驚愕に歪む表情が顕になるのだ。
「馬鹿な……光学迷彩は、完璧であったはずだ……!」
「姿は隠せど、この電脳空間においては電子情報が全て。ならば、その密度の高い場所を形作るのは揺らぎでございましょう」
 トリテレイアは背後から放たれる高圧電流を纏うブレードの一撃を大盾で受け止める。

「この程度の電子攻撃……私の守りを抜けるとは思わぬことです」
 迸る高圧電流をもトリテレイアは問題としない。
 彼の躯体はすでに電撃に対する耐性を得ている。故郷たるスペースシップワールドにおいて、ウォーマシンの大敵は荷電による電子系の破壊である。
 ならばこそ、そのための備えはあるのだ。
「姿を捉えた以上、騎士が忍者に遅れを取る筈もなし。御覚悟を」
 放たれる斬撃が『サイバーアサシン』を切り裂き、その義体を崩れ落ちさせる。

「囲め! 四方からの攻撃であれば!」
 迫る『サイバーアサシン』たちがトリテレイアを取り囲み斬撃を見舞う。
 しかし、トリテレイアは、姿見えずとも『サイバーアサシン』たちがそう動くであろうことを先読みしていた。
 不意打ちが失敗した以上、『サイバーアサシン』たちがすることは一斉攻撃である。
 そして、光学迷彩は打ち破られているのだ。
 ならばこそ、トリテレイアの全身に格納された銃器が銃口を光らせる。
 ハリネズミのように突き出した格納銃器が一斉に火を噴き、『サイバーアサシン』たちの義体を貫く。

「馬鹿な……! 私達の光学迷彩を感知した上で、一斉攻撃に対応するなど……!」
「コイツらは、個のはずだ……! なのに、これは、まさか、『殺し屋』の……!」
 弾丸に貫かれ、『サイバーアサシン』たちが事切れる間近にうめいた言葉。
 それにトリテレイアは訝しむ。
『殺し屋』……己の容貌を見て騎士とするのならば理解できる。
 だが、『殺し屋』とは如何に。
「どういうことなのです……」
 撃ち抜いた『サイバーアサシン』たちは霧消していくだけだ。これ以上の情報は得られないだろう。

 ならばこそ、トリテレイアは流出したデータを獲得するために、さらにスペースの奥へと進むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『アームド・サイコブレイカー』

POW   :    メタル・クラッシャー
【超念動力を帯びた巨腕】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    ラックイーター
【幸運収奪の超能力】を解放し、戦場の敵全員の【生命力】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ   :    ライトニング・カリギュラ
戦場内に【炸裂する稲妻の鎖】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。

イラスト:とのと

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 サイバースペースにおける重要なデータを巡る戦いは猟兵達に趨勢が傾こうとしていた。
 それはある意味で当然であったのかもしれない。
 集められた『サイバーアサシン』たちは私兵。重役がデータ流出を隠蔽するために派遣した戦力である。
 猟兵達をそれで止めるには値しない。
 だからこそ、重役は焦っていた。
 そこらのごろつき程度であるのならば、『サイバーアサシン』たちで十分であったこだろう。だが、現実は違う。
 絶え間なく猟兵達は『ティタニウム・マキア』から流出したデータの存在するスペースへと迫ってきている。

「隠蔽は失敗いたしましたな。上層部の決定をお伝えにあがりました」
「ヒッ……! ま、待ってくれ! これには訳が!」
「いいえ、貴方は失敗した。その損害は『ティタニウム・マキア』にとって許容できるものではない。故に処分すると決定がくだされました」
 暗闇から声が聞こえる。
 突如として重役の体を持ち上げる巨大な腕部。
 その腕部が重役の胴を一掴みにしているのだ。みしみしと音が響く。
「や、奴らはきっと『殺し屋』だ! そうなのだ! ぐっ、あっ、『ティタニウム・マキア』にも奴らの……! 奴らの尻尾を掴むために……!」
「それは貴方が決めることではない」
 それが最期の言葉となって、重役はまるでトマトジュースを絞るように、その血潮を噴出しながら物言わぬ骸へと変わる。

 影からゆっくりと現れたのは『アームド・サイコブレイカー』。
 強力なオブリビオンであり、巨腕の義体でもって超能力を増大させた『ティタニウム・マキア』の掃除人とでも言うべき存在であった。
「『サイバーアサシン』程度では止められないか……奴らが『殺し屋』……『メリサ』であるかどうかはこの際どうでもいい。私の職務を果たすとしよう」
 増大した超能力で持って砲弾のようにサイバースペースを飛ぶ『アームド・サイコブレイカー』が白煙を上げながら『ティタニウム・マキア』の犯罪証拠データの存在するスペースに降り立つ。

 煌めくユーベルコードは、その超能力。
 サイバースペースにおいて尚、その尋常ならざる力を発露させ、ゆっくりと『アームド・サイコブレイカー』は猟兵達に対峙する。
「お前たちが何者かなどどうでもいい。これより先に進むのであれば、排除する」
 短く告げ、『アームド・サイコブレイカー』の巨腕が唸りを上げる――。
楠井・沙智
企業倫理ってよく分からないけど、オブリビオンを利用してるのなら悪と断定しても構わないよね。何となくこの世界が分かってきた気がするよ。

さて、と。強敵だね。まず敵の攻撃に備えてみよう。
「結界術」技能で「個人結界」を展開。『超能力なんてあり得ない』という常識の結界で攻撃を軽減。
これだけだと自分も能力を使えなくなるけど、「詠唱銀」を銀の雫に変えてユーベルコードを発動。

【ブラストヴォイス改】。
全方位放射していた破壊音波を、地形で反射させて一点集中させます。
効果範囲を狭める分回避されたら効かないけど、「聞き耳」で反響を瞬時に計算、回避不能の包囲攻撃を仕掛けます。譜面が完璧なら、演奏に運不運は関係ないのよ。



 企業倫理とは、結局の所利益追求による弊害を防ぐものである。
 確かに利益を追求することが企業に属する者たちに求められるものであるが、環境や法令、そうしたものを著しく脅かすのであれば、これは倫理に反する行いであるといえるだろう。
 すなわちモラルである。
 だが、そのモラルすら破壊せしめるだけの力が巨大企業群にはあるのだ。
 このサイバーザナドゥの世界において、金こそが至上である。
 だからこそ、企業倫理の尽くは潰えた。表面だけの倫理を掲げたとしても、それを護ることすらしない。

 メガコーポに務めるものたちにとって、それだけが最上であるのならば、モラルを説くことは無駄であった。
「私の査定に響くのでね。さっさと終わらせてしまおう」
『アームド・サイコブレイカー』は、ゆっくりと立ち上がる。
 戦場にある幸運を集め、それに応じた不幸を他者に与える。それこそがラックイーターたる超能力。
 彼にとって、戦場に立つということは、それだけで他者から幸運を吸い上げる行いであった。

「何となくこの世界のことが判ってきた気がするよ」
 楠井・沙智(スレノディ・f36496)は砲弾のように戦場におりたった『アームド・サイコブレイカー』と対峙する。
 結界術によって己の周囲に展開される結界は、超能力を否定するものであった
 常識の結界。
 それこそが沙智の思い描く世界の在り方であった。同時に自身の能力者としての在り方をも否定するものであった。

 彼女は能力者であり猟兵でもある。
 かつて戦ってきた世界は超常にさらされていた。認識すれば、それは見えざる狂気として人を脅かすものであったからだ。
 けれど、彼女たちは超常を認識し、それでも差異をこそ護るために戦ったのだ。
 詠唱銀を握りしめ、沙智は銀の雫へと還る。
「超能力を否定するか……だが、私には幸運がある。君等がどれだけの存在であってもな!」
 迸る超能力が沙智を襲う。

 けれど、沙智の瞳に輝くはユーベルコード。
 確かに幸運は『アームド・サイコブレイカー』の味方であろう。
 しかし、彼女には超能力でもなければ、幸運でもない、己自身の歌声がある。
「オブリビオンが世界を脅かすのなら、誰かの幸せを奪って不幸を撒き散らすのなら!」
 歌声は反響する。
 結界を張り巡らせたのは、己を護るためでも在り、同時に『アームド・サイコブレイカー』の超能力を封じるものでもあた。
 しかし、それ以上に彼女の歌声を反響させ増幅させるものであった。

 膨れ上がった歌声は見えぬ多重包囲攻撃となって『アームド・サイコブレイカー』を襲うだろう。
 反響する音は、次々と膨れ上がり、鋭さと重さを増幅させていくのだ。
「これだけの反響を全て理解しているというのか!」
 どれだけの幸運が積み重なっているのだとしても、『アームド・サイコブレイカー』を襲うブラストヴォイス改(メガブラストヴォイス)は淀み無く一転を目指す。

 掲げた巨腕をガードに回しても遅い。
 音は響き、伝わるものである。
 回避不能の包囲攻撃は、その巨腕を通り越して『アームド・サイコブレイカー』の脳を揺らすだろう。
「譜面が完璧なら、演奏に運不運は関係ないのよ」
 これまで沙智が積み重ねて来たものが、彼女の足元を固めている。少しも揺らぐことのない礎。
 今までの戦いもそうであったし、戦い以外の青春の日々もまた沙智を支えるものである。

 故に響く歌声は『アームド・サイコブレイカー』がどれだけの幸運を誇ったとしても、関係なく、その脳を揺らし膝をつかせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォス・オネイロス
【ブラック】

ミスをしたら、即処分対象。
さすがにこのあたり容赦がないね。
蜥蜴の尻尾切りの準備は、いつでもできてるってことかな。

でもそうはさせない。
その『証拠データ』は渡してもらうよ。

それは特殊渉外課の実績にさせてもらうんだからね。

言いながら相手に突っ込んで、
ペルセポネさんのサポートを受けた【周破迅拳】を叩き込みます。

だけど胸に穴を開けるつもりで放った拳は、
相手の巨腕にブロックされ、罅を入れるにとどまります。が。

ガード間に合ったんだ、でもそれがせいいっぱいの『幸運』だね。

【衝撃波のもや】を足場に頭上に跳んだら、
作った罅を狙ってアームブレードを振るって、巨腕を切り落としちゃおう。


ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「どうやら、『ティタニウム・マキア』が秘匿する情報を得るには、機密保持担当を倒さないといけないようですね」

メガコーポには暗部を担当する部署が付き物。
――そう、私たち特殊渉外課のような。

「フォスさん、私たちの交渉術、見せてあげましょう。
交渉とは相手より優位に立つことが絶対条件。
そのために、相手に絶対的な戦力差を見せつけます」

『サイバーバリア』で相手の巨腕を防ぎつつ、フォスさんの義体に【サイバーリンクシステム】で接続。
周破迅拳を放つ義腕の威力を向上させましょう。

「幸運などに頼っているようでは、裏社会は生き抜けませんよ。
流出した機密情報は私たち特殊渉外課が回収させていただきますね」



 巨大企業群にとって、重役であってもそれは変わりの利くものであった。
 どれだけ優秀な人材だろうと、失敗を犯したのならば損失に変わりなく。利益を優先するモラル無き世界にあって、金を失うということは生命を失うことと同義であった。
 故に此度の情報流出、そして犯罪証拠データを生み出した元凶たる重役は『アームド・サイコブレイカー』によって葬り去られた。
 猟兵の響き渡る音の衝撃に吹き飛ばされながら『アームド・サイコブレイカー』は頭を振る。
「まだだ……! 私の職務はまだ終わっていない。おまえたちが『殺し屋』であるのだとしても、業界最高峰の『メリサ』であったとしても、私の超能力は些かの陰りも見せぬことを証明してみせる!」

 サイバースペースに迸るユーベルコードが煌めく。
「ミスをしたら、即処分対象。流石にこのあたり容赦がないね」
 フォス・オネイロス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属、腕力担当・f36684)は、メガコーポ『ティタニウム・マキア』の判断の速さに容赦がないと評価した。
 とかげの尻尾切りであると表現できるだろう。
 たとえ、彼女たちが流出データを確保したとしても、言い訳する準備は既に出来ているということだろう。
 抜け目がないと言えるかも知れないが、それでもデータを確保することが『ティタニウム・マキア』の牙城を崩す一矢になりえるかもしれないのだ。

「どうやら、『ティタニウム・マキア』が秘匿する情報を得るためには、機密保持担当を倒さないといけないようですね」
 ペルセポネ・エレウシス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属・f36683)はフォスと共に流出したデータの存在するスペースまでたどり着く。
 彼女の言葉通り、『アームド・サイコブレイカー』を打倒しなければ、データを得ることはできない。
 そして、それを阻むものがいいるのもまた想像の範囲であった。

 メガコーポは表と裏の顔を使い分ける。
 ならばこそ、どこのメガコーポにもまた裏を担当する暗部とも言うべき部署が付き物なのである。
「――そう、私たち特殊渉課のような」
 ペルセポネは迫る『アームド・サイコブレイカー』のはなった巨腕の一撃を見やる。
 凄まじい勢いである。
 それを『サイバーバリア』でもって防ぐ。だが、その一撃の強烈さは言うまでもない。
 完全に防ぐことはできない。
 保って数秒。

「フォスさん、私達の交渉術、見せてあげましょう。交渉とは相手より優位に立つことが絶対条件。そのために、相手に絶対的な戦力差を見せつけます」
 ペルセポネの言葉ん居フォスがうなずく。
「その『証拠データ』は渡してもらうよ。それは特殊渉課の実績にさせてもらうんだからね」
 サイバーバリアが砕けると同時に弾かれ、巨腕が『アームド・サイコブレイカー』の下に戻る。
 それを追うようにフォスはスペースを義足の噴射でもって駆け抜ける。一気に距離を詰めるのだ。
 あれだけの巨腕だ。取り回しが難しいはずなのだ。

「甘い。その程度の義体で私に敵うとでも」
 フォスの義手の一撃が巨腕によってガードされる。胸に穴を開けるつもりではなった言葉はガードされる。
 だが、その一撃はただの一撃ではなかった。
 周破迅拳(シュウハジンケン)、しかもペルセポネが有線接続型電脳でもって接続し、力を強化させた一撃である。
 どれだけ超能力で周囲の幸運を吸い上げ、己の幸運とするのであったとしても、『アームド・サイコブレイカー』の巨腕にヒビを入れる。相殺できぬほどの一撃であったのだ。

「私の腕にヒビを……!」
 フォスの一撃は螺旋を描く靄となってその場に残り続ける。その靄を足場にしてフォスは飛ぶ。
「ガード間に合ったんだ、でもそれが精一杯の『幸運』だね」
 フォスの言葉に『アームド・サイコブレイカー』は見上げる。彼女が飛翔した先にあったのはペルセポネの張り巡らせたサイバーバリアである。
 すでに有線接続型電脳でもってつながったフォスとペルセポネは、互いの行動をロスなく理解することができていた。
 即座にフォスの動きにペルセポネは対応し、その処理速度を増加させる。

「幸運などに頼っているようでは、裏社会は生き抜けませんよ。流出した機密情報は私達、特殊渉外課が回収させていただきますね」
 その言葉と共にペルセポネの向上させた処理速度に寄ってフォスはすあまじい速度で義手に備えられたアームブレードの一撃が『アームド・サイコブレイカー』の亀裂疾走る巨腕の装甲を切り裂く。
「させぬよ……だが、見事だな……! 『ブラック・カンパニー』の特殊渉外課……!」

 切り捨てられた装甲が宙を舞い、スペースの地面に落ちる。
 ペルセポネとフォスのコンビは、今此処に『ティタニウム・マキア』に認識される。それが幸か不幸かはまだわからない。
 けれど、確実に『ティタニウム・マキア』の脅威として知られることになるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

南六条・ヴィクトリア三世
わたくし達株式会社UAIは凡百のメガコーポと大違いでしてよ!
何故ならば! 大宇宙を相手に商売をしておりますので!
ギガ、テラ、を超えてエクサコーポUAI!
ティタニウム・マキアなんぞ買収して傘下に加え、グループ企業として「UAIマキア」を名乗る栄誉を与えますわ!

「敵は巨腕が売りだ! ボクシングで鳴らしたこの私の出番というわけだ!」
プレジデント、ツープラトンで参りますわよ! 誰でもジェイミィくんスーツ、着装!
(MODIFICATION TYPE[JM-E]を装着)

全力のグラップルですわ! 炸裂する稲妻の鎖はスウェーで回避! 懐に入って関節を極めますわ!
今ですわプレジデント!私ごとぶん殴るのですわよ!



 巨大企業群は文明を発展させる。
 いや、加速させるものであったことだろう。その加速は世界を緩やかな滅びへと導かせるものであった。
 生き永らえるために滅びていく。
 それがこのサイバーザナドゥであったからだ。
 だが、その世界にあってモラルはない。あるのは金という絶対的価値観においてもたらされる繁栄だけであった。

 巨大企業群『ティタニウム・マキア』は『平和を売る』企業である。
 平和とはなにかを考えた時、それは人によって価値観や概念が異なるものであったことだろう。
 平穏無事に日々を過ごしたいと考えるのであれば、時として武力を用いることもまた当然であった。だからこそ、『アームド・サイコブレイカー』のような存在がいる。
「『殺し屋』……『メリサ』だと思っていたのがな」
「わたくし達株式会社ユニバーサル・アーマメンツ・インダストリーは凡百のメガコーポと大違いでしてよ!」
 南六条・ヴィクトリア三世(株式会社UAI最高経営責任者(現職)・f30664)は『至高』と書かれた扇子を広げて高笑いを続ける。
 彼女の言葉に『アームド・サイコブレイカー』は僅かに訝しむ。

 巨大企業群の敵は巨大企業群である。
 ならば、ユニバーサル・アーマメンツ・インダストリーの社長を名乗るヴィクトリア三世もまた敵でると認識できるであろう。
「なぜならば! 大宇宙を相手に商売をしておりますので! ギガ、テラを超えてエクサコーポUAI!『ティタニウム・マキア』なんぞ買収して傘下に加え、グループ企業として『UAIマキア』を名乗る栄誉を与えますわ!」
 ヴィクトリア三世の言葉に『アームド・サイコブレイカー』はかぶりを振る。
 取り合うつもりはないらしい。
 迸る超能力が炸裂し、稲妻の鎖となってヴィクトリア三世を狙う。

 その巨大な超能力こそが『アームド・サイコブレイカー』の義体を支える根幹でもあったのだ。
「大物が釣れたと喜ぶべきかはわからんがな……!」
 迫る巨腕を前にヴィクトリア三世の瞳がユーベルコードに輝く。
 実体を持つプレジデントの電脳再現体が召喚され、巨腕と激突するは大統領魂を込めた拳である。
「敵は巨腕が売りだ! ボクシングで鳴らしたこの私の出番というわけだ!」
「プレジデント、ツープラトンで参りますわよ! 誰でもジェイミィくんスーツ、着装!」
 666ラウンドの死闘が結びつけたやべーコンビ(インビンシブル・プレジデンツ)の結成である。
 パワードスーツに身を包んだヴィクトリア三世とプレジデントの電脳再現体が炸裂する稲妻の鎖を躱しながら、交錯するように『アームド・サイコブレイカー』へと迫るのだ。

 スウェーでヴィクトリア三世が躱せば、そこに飛び込むのはプレジデントの電脳再現体である。
 放たれる拳の一撃が『アームド・サイコブレイカー』の巨腕のガードを弾き飛ばす。
「ぬぅ……! この私のガードをこじ開けるだと……!」
「隙在りですわ!」
 瞬時に跳ね上がったガードの中に飛び込むヴィクトリア三世ががっちりと『アームド・サイコブレイカー』の体に関節を極める。
 ガッチリとホールドした関節技は、その動きを封じる。

「今ですわプレジデント! 私ごとぶん殴るのですわよ!」
 レディごと殴るということはプレジデントにとって抵抗があったかもしれないが、しかしながら、この戦いを制するためには致し方ない献身であると理解するからこそ、プレジデントの電脳再現体は裂帛の気合と共に渾身の右ストレートを『アームド・サイコブレイカー』に叩き込む。
 インパクトの瞬間、パワードスーツより脱出したヴィクトリア三世が華麗に降り立ち、その扇子を開いて扇ぐ。
「ふぅ、良い汗をかきましたわ!」

 その扇子には『勝利』の文字が鮮烈に輝くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レナ・ヴァレンタイン
やれやれ、どうでもいいデータまで読み込んでて遅れてしまった
兵器方面では中々面白いことを考えてるな、流石メガコーポ
等と思いつつ私は不意打ち狙い
目の前にダッシュで飛び込んだ瞬間にギャラルホルンの連射を浴びせかけ、さらにユーベルコードで奴の強さを支える『超念動力』そのものを掴み潰しにかかる
一度で“喰い”切れないなら壊れるまで何度でも何度でも

仕切り直ししようというなら『気配を掴んで』敵位置を補足して銃撃してガードを上げさせ、ガードに対してギャラルホルンの砲撃を合わせて体勢を崩させてもう一度喰いつく

そちらもビジネスでやってることだと思うがね、私の仕事とぶつかるなら答えは一つ
『お前がどけ』



 電脳空間たるサイバースペースには情報が氾濫しているのと同じであった。
 だからこそ、ハッカーは電脳障壁に穴を開け情報をかすめ取る。それが有益なものであったのならば、巨大企業群に売りつけるであろうし、時には巨大企業群をも強請る手段とするだろう。
 情報とはすなわち金である。
 金が全ての世界にあって、金で解決できぬものはない。
 情報すら金になるというのならば、サイバースペースほど金になる場所もなかったことだろう。

 故に情報はあらゆる場所から紐づく。
 レナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)は概念を喰らう。
 ならばこそ、気がついただろう。
「やれやれ。どうでもいいデータまで読み込んでいたが、これは中々に面白い事を考えているな、流石メガコーポ」
 兵器方面に関しては『ティタニウム・マキア』は『平和を売る』ことを掲げている以上、そのアプローチは面白いと言わざるを得ない。

 機械化義体に換装しなければ生きて行けぬ世界であるサイバーザナドゥにおいて義体は必要不可欠なものだ。
 護身用から拠点制圧まであらゆる武装を義体に詰め込むことを可能としているし、何より、今レナが見ている猟兵とと戦う『アームド・サイコブレイカー』は戦闘義体と超能力の融合を果たした存在であった。
「そんな彼等が警戒する『殺し屋』、『メリサ』か。ふむ。私達のように群のように見せて個である『殺し屋』か」
 確かに猟兵は個である。
 しかし、常にオブリビオンとの戦いは個でありながら繋ぐ戦いの群である。

 だからこそ『アームド・サイコブレイカー』や『ティタニウム・マキア』の重役たちは、この襲撃を『メリサ』の仕業ではないかと後手に回っていたのだろう。
「だが、今は関係のない話だ」
 レナが飛び込む。
 放たれる散弾が『アームド・サイコブレイカー』の破損した腕部に亀裂をさらに走らせた。
 不意打ちを狙って、他の猟兵と入れ替わるようにレナは飛び込んでいた。

「――……! 散弾! この程度で私の義体をどうこうできると思うな!」
 漲るユーベルコード。
 超能力の発露となって巨腕が飛ぶ。
 しかし、それをレナは『掴んで』いた。
 彼女の手ではない。概念、非物質すら掴み潰す掌。緋色の悪性(ヴァーミリオン・バイス)とも言うべきレナのユーベルコードが巨腕を突き動かす『アームド・サイコブレイカー』の超能力そのものを掴んでいたのだ。
「私の腕は、お前を害したくてたまらないらしい。――喰わせてもらうぞ」

『アームド・サイコブレイカー』の強さを支えるのは言うまでもなく、その超能力である。
 義体はそれを補完し、増幅させるための器に過ぎない。 
 その本質を掴むレナのユーベルコードであったのならば、超能力に寄る駆動は無意味であった。
「貴様も超能力……! 多種多様だな!」
 仕切り直すように巨腕が翻る。
 だが、それをさせない。仕切り直しなどさせてはならない。呼び戻した巨腕にさらに散弾が砲撃される。

 衝撃でもって『アームド・サイコブレイカー』が吹き飛ぶ。
「そちらもビジネスでやってることだと思うがね、私の仕事とぶつかるなら答えは一つ」
 レナはさらに己の赤熱化した掌を向ける。
 貪欲なる悪性。
 その赤は、あらゆるものを掴み、貪る。
 形なきものを、形あるものを、目に見えぬものも。何もかも喰らう悪食たる赤熱。

 その掌が拓くのはいつだって、レナの征く道である。
「そうだ。私も貴様も同じだ。こうして正面からぶつかっているのなら――」
 振るわれる巨腕。
 対する赤熱する掌が、ユーベルコードの火花を散らす。
 しかし、レナの振るう赤熱した掌は尽くを貪り狂うように突き進む。

「お前が退け――」
 ただその一つの答えを以てレナは、立ちふさがる障害を抉るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

堂島・アキラ
オレもお前が誰かなんざ興味ねえな。これからぶっ潰す相手の事を覚えてもしょうがねえからな。

見るからに腕力自慢って感じだがオレだって負けてねえぞ。
オレの義体は可愛さだけじゃねえ。力強さや速さも誰にも負けねえパーフェクトボディよ。
そのバカでけえ腕ぶっ壊してそれを証明してやる。

デスアックスでぶっ潰してやるぜ。反撃の拳もこれでガードして……
って、あー!テメェ!オレの斧壊しやがったな!?
ついこの間ぶっ壊れた(自分のせい)から修理したばっかなんだぞ!

許せねえ……。これ以上使ったら完璧にぶっ壊れちまうだろうが、関係ねえ。
コイツがバラバラに砕けるまで叩きつけてそのクソ腕絶対ぶっ壊してやる!



 あらゆるものを抉り貪る赤熱たる掌と超能力が激突し、ユーベルコードの火花を散らす。
 電脳空間、サイバースペースにおいて『ティタニウム・マキア』の犯罪証拠を巡る戦いは苛烈を極めていた。
 当然ながらデータを護るべく現れた『アームド・サイコブレイカー』は強大な存在である。戦闘義体と超能力を融合させ、高いレベルで維持している。
 漲る超能力は、これまでの猟兵との戦いで消耗指定ながらも、その巨腕を手繰る力は未だ健在であった。

 ひび割れた巨腕の装甲を見やりながら『アームド・サイコブレイカー』はにべにもなく言う。
「私を此処まで追い込むとはな。さすがは業界最高峰と言うべきか……いや、そうでなくても大したものだな」
 目の前にあるのは金髪碧眼の美少女。
 堂島・アキラ(Cyber×Kawaii・f36538)は機械斧を手に美少女の義体に似合わぬ悪態をつく。
「オレもお前が誰かなんざ興味ねえな。これからぶっ潰す相手のことを覚えてもしょうがねえからな」
 壊し屋らしい思考であった。

 見るからに『アームド・サイコブレイカー』は強大な義体の力を超能力で増幅させるタイプであったし、小細工の利く相手でもないことをアキラは理解していたことだろう。
 だからこそ、巨大なデスアックスを少女の義体のまま振るうのだ。
「オレの義体は可愛さだけじゃねえ!」
 振るわれたデスアックスの一撃が巨腕と激突する。
「力強さや速さも誰にも負けねえパーフェクトボディよ。そのバカでけえ腕ぶっ壊してそれを証明してやる」
「無駄なことを。私の超能力はな!」
 振るわれるデスアックスをこともなげに受け止める巨腕。

 単純な重量であればデスアックスのほうが上であったことだろう。
 だが、その一撃を『アームド・サイコブレイカー』は受け止め、さらに握りつぶすのだ。
「って、あー! テメェ! オレの斧壊しやがったな!?」
 こともなげに押しつぶされ、鉄くずとなったデスアックスの柄をアキラは忌々しげに見つめるより早く、その握りつぶされてひしゃげたですアックスを振るう。

 このまま振るえば、また壊れるだろう。
 ついこのいだ壊れたのだ。また修理すれば金がかさむ。まあ、だいたい自分の扱いのせいであることは言わぬが花というやつであろう。
 だが、それでもアキラは怒る。
 腹立たしいことに腹立たしいと言って何が悪いというのだ。
「許せねぇ……!」
「なら、なんとするかよ!」 
 振るわれる巨腕と激突する斧の残骸。止まらない。
 使い捨ての玩具(エクスペンダブルズ)は使い潰してこそである。アキラの瞳はユーベルコードに煌めいている。

 そこにあるのは絶対の意志だ。
「そのクソ腕絶対ぶっ壊してやる!」
 たとえ、この斧がバラバラに砕けるのだとしても、叩きつけ、叩きつけ、叩きつけまくって、『アームド・サイコブレイカー』の巨腕が砕けるまで叩きつける。
 愚直とも言える武器を、玩具を振るうアキラの腕は通常の義体のさらなる三倍の出力を発露させる。
「――……私の超能力が押し負ける……!?」
「こいつぁ、とびっきりのプレゼントってやつだよ!」
 乱雑に振るわれる斧の残骸の一撃が巨腕の装甲を砕く。

 ひしゃげた柄を投げ捨て、アキラは砕けた巨腕を押し込むようにして『アームド・サイコブレイカー』の体へと己の義体の拳をその顔面へと叩き込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
先程の『サイバーアサシン』達の懸念……矢張りこの電脳世界は魑魅魍魎が蠢く魔境のようですね

さて、此方がデータを欲し、其方が守護する以上、妥協点などある筈も無し
雌雄を決するといたしましょう

…参ります!

念動力にて跳び回り殴る掛かる敵に対し此方もUC使用
思考演算のオーバークロックにて、電脳世界での行動、思考速度を飛躍的に向上させ相手の攻撃を見切って躱し
拳を横から大盾で殴りつけて逸らし、剣で反撃

互いに近接戦が得手な以上、簡単に趨勢は決まりませんか
ならば…

瞬間思考力プログラミングで電子空間をハッキング地形破壊
相手の移動先に突如“壁”を出現させる破壊工作で行動妨害

御覚悟を!

剣の一閃にて勝負決め



『殺し屋』――その言葉はサイバーザナドゥにおいてどのような意味を持つものであったことだろうか。
 モラルすら破壊された世界にあって金とはあらゆるものを解決することのできるものであった。だからこそ、金次第では何事をも為し得る。
 他者の生命であっても金でどうにかできるものであっただろう。
 ならば『殺し屋』という職種が存在するのもまた理解できうるものであったのかもしれない。

 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は突破した『サイバーアサシン』たちの言った言葉、懸念を思い出す。
「矢張りこの電脳世界は魑魅魍魎が蠢く魔境のようですね」
 自分たち猟兵を『殺し屋』、『メリサ』と誤認したのは、トリテレイアたちが個にして群であるからであろう。
 そのような『殺し屋』がこのサイバーザナドゥには存在しているのかもしれない。認識されていながら、誰もその全容を知らぬというのが底しれぬ恐ろしさをもたらすものであった。

 だが、トリテレイアは切り替える。
 目の前には機械斧の残骸を叩きつけられ吹き飛ばされてきた『アームド・サイコブレイカー』の姿があった。
 巨腕は砕けながらも、未だ超能力に寄って形を保っている。
「機能不全にはまだほど遠いと言っておこうか……私は私の職務を全うする。貴様たちが何者であろうとな!」
 振るわれる巨腕。

「……参ります!」
 トリテレイアたち猟兵がデータを求め、『アームド・サイコブレイカー』がそれを守護する以上、妥協点など存在しない。
 金であれば、多少は落とし所があったのかもしれない。
 けれど、両者は雌雄を決する事を望んでいる。
 ならば、後は己たちの拳と剣とでもって語るほかないのだ。

 戦機の時間(ウォーマシン・タイム)はこれより始まる。
 電脳が白煙を上げるほどに駆動部への過負荷がトリテレイアの躯体に起こる。それはユーベルコードの代償であり、同時に彼の反応速度を極限まで向上させるものであった。
 一瞬でトリテレイアは振るわれる巨腕を躱す。
 サイバースペースの地面を砕きながら巨腕が破片を撒き散らす。その破片一つ一つの軌跡すらトリテレイアは捉えていたであろう。
「……追いつけますか、私達の時間に」
 更に迫る巨腕に第二撃目。
 それをトリテレイアは大盾で殴りつけるように横合いからの衝撃でもって弾き飛ばす。

 返す刃で『アームド・サイコブレイカー』の本体を狙うが、その一撃は呼び戻された巨腕に防がれる。
「騎士のアバターという成りをしているからと言ってもな! 力無くば何も為せぬよ!」
 巨腕の両手のひらが組み合わさって、直情から放たれる。
 それはハンマーのように凄まじい勢いでトリテレイアを叩き潰さんとするだろう。

 だが、トリテレイアは一瞬で理解していた。
 あれを受けては己の躯体が持たぬことを。だからこそ、トリテレイアは一瞬で電脳空間をハッキングし、己の足元を破壊し、壁を生み出す。
 砕ける壁。
 僅かな時間しか巨腕の一撃を防げない。
 凄まじい超能力の一撃。

「素晴らしい超能力の発露と言わざるをえませんが……御覚悟を!」
 それは一瞬の交錯。
 砕ける壁の先にトリテレイアの姿はなかった。
 壁はブラインド。トリテレイアの姿はすでに『アームド・サイコブレイカー』の横へと飛び込んでいた。
「目隠しを……!」
「場数が違うのですよ!」
 放たれる剣の一閃が無防備たる『アームド・サイコブレイカー』の胴を薙ぎ払う。

 如何に強固な超能力に守られていたのだとして、最大の一撃を放つ際には本体を覆う超能力は最低限のものとなるだろう。
 その一瞬の隙を突く一撃は、騎士の勝利をもたらすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
POWで挑む
UC:攻撃回数5倍、射程半分

「アンタが最後の門番か!
その奥にあるデータをもらうためにも、アンタは倒させてもらう!」
アクセルモードを解除して、勢いのまま拳を叩き込む
振り下ろされる巨腕を[気合い]で避けて
サンライザーの[零距離射撃]を叩き込みながら距離を取る
戦いを続ける中で違和感の正体に気がつく

「なるほど…。
このふわふわした感覚は、そういうことか!」
清導を中心に世界が書き換わり、サイコブレイカーを弾き飛ばす
「今のオレはデータ!
なら、もっと自由にイメージしろ!」
周囲のデータを変換して姿が変わる
より鋭角的なボディとなり、拳から雷が奔る
拳を握りしめ、再び接敵して攻撃
当たった瞬間、無数の打撃が全く同時に発生
巨腕が振るわれる瞬間、背後に転移して翻弄
「超必殺!ブレイジング・スパーキング!」
脚に光焔と雷光を収束して叩き込む!

「勝てたか。先に進まねえと。
て、ありゃ。なんだお前?」
先程のデータ変換によって生じたのか、
光球のようなものが周囲を飛び回っていた
「…連れて行け?
とりあえずは、分かったよ。」



 剣の一閃が『アームド・サイコブレイカー』の胴を薙ぎ払っていた。
 確かに勝負は決していたのかも知れない。
 これ以上の戦いは損失でしかなかった。生命という損失。だが、金はこの世界において生命よりも重たいものであったことだろう。
 金で全てが解決する。
 金を得るためにあらゆるものが許容される。それこそ悪すらも許容されるものであった。
 正義という名のモラルは地に失墜している。
 だからこそ、巨大企業群『ティタニウム・マキア』は『平和』という名の欺瞞を売るのだ。
「まだ私はやれるとも……ここを死守する。それが私の職務なのだからな!」
 発露する『アームド・サイコブレイカー』の超能力が砕けながらも未だ形を保っている巨腕を構える。

「アンタが最後の門番か! その奥にあるデータをもらうためにも、アンタは倒させてもらう!」
 アクセルモードを解除しながら、その速度を活かして飛びかかる空桐・清導(ブレイザイン・f28542)の拳が巨腕と激突する。
 しかし、その頭上から迫る巨腕がそれ以上をさせぬと振り下ろされた。
 勢いに乗った体はすぐに止まるものではない。だが、ブレイザインは己の体を捻じ曲げるようにして巨腕の一撃をかわしながら、ザンライザーから放たれる弾丸でもって距離を取るのだ。

「多少はやるようだがな……!」
 さらに追撃するように振るわれる巨腕。
 その一撃一撃が重たいものであった。同時に速い。超能力で強化されている義体の武装は、一撃だけでも致命傷に成り得るだろう。
 だからこそ、『アームド・サイコブレイカー』はこのスペースの守護を任されたのだ。
 気を抜いてしまえば、それこそ一瞬でやられてしまう。
 多くの猟兵との戦いによって消耗してもなお、色褪せることのない力。それをブレイザインは感じ取っていたことだろう。 
 だが、それ以上に彼は違和感の正体に気がつく。

 このサイバースペースにダイブしてからというものずっと体に違和感を感じていたのだ。
 戦いの最中であったが、それを彼は掴むのだ。
「なるほど……このふわふわした感覚は、そういうことか!」
 ブレイザインの瞳が輝く。
 電脳空間にありて、己の体が電子へと変わる感覚。己が今なんであるかを理解した時、それは発露するのだ。
 振るわれる巨腕を弾き飛ばす。
 世界を書き換える力。
 ユーベルコードの発露が、超克となってオーバーロードを拓く。

「今のオレはデータ! なら、もっと自由にイメージしろ!」
 あらゆる体験を、現実ではできぬことが生身の感覚のままできるのがサイバースペースである。
 最高の娯楽空間であるからこそ、イメージは電脳のアバターにさらなる力を与えることだろう。
 清導はブレイザインである。

 己の持つ想いと勇気がブレイザインに反応するのならば、その全身を光が包み込む。
 力を持つ者の責務と、相対する『アームド・サイコブレイカー』の職務とが相反するものであるというのならば、これを打ち倒す力をイメージしなければならない。
 迸る雷は拳から発露し、機械鎧がさらなる鋭角なデザインへと変わる。
 巨腕が迫っている。
 だが、ブレイザインは静かに構え、迫る巨腕を無数の打撃でもって撃ち落とすのだ。
「――何が、起こった!?」
 目の前で巨腕が砕けるのを『アームド・サイコブレイカー』は見ただろう。

 あまりにも理不尽な光景。
 これこそが、超越変身!(ミラクル・トランスフォーメーション)である。
 この場限りの特殊携帯への変身。
 振るわれる拳から雷が常に発露し、踏み込む速度は迅雷のごとく。
 背後に一瞬のうちに転移したブレイザインの瞳がユーベルコードに煌めく。

 全身を覆っていた光焔と雷光が脚部に収束していく。
「超必殺! ブレイジング・スパーキング!」
 放たれる蹴撃は迸る雷と、焔を巻き込んで『アームド・サイコブレイカー』の胴を撃ち抜く。
 ひび割れるように『アームド・サイコブレイカー』の全身に雷が走り、その体を霧消させる。
 振り抜いた蹴撃の残身。
 解除された変身形態。ブレイザインの周囲に光球が飛び交う。

「勝てたか。先に進まねえと。って、ありゃ。なんだお前?」
 光球に意志のようなものを感じたブレイザインは、それを手にする。イメージを膨れ上がらせる世界、サイバースペース。
 その世界にあって生じたものがなんであるのかをブレイザインは知らない。
 けれど、それがどうにも訴えかけているようにも思えたかも知れない。
「……連れて行け? とりあえずは、分かったよ」
 ともあれ、この先にある『ティタニウム・マキア』の犯罪証拠データを確保してからだと、清導は頷き、データを回収して電脳空間を後にする。

 それは渦を巻くようにして蠢き、そして新たなる戦いを予感させるものであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年03月08日


挿絵イラスト