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巷に星の降るごとく

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 流れ星にお祈りすれば、その願いはきっと叶う。
 そんなことを最初に言い出したのは、いつの時代の人なのだろう。
 だけど、流れ星にはそんな言い伝えを信じてみたくなるような神秘がある。
 それが夜空一面に降り注ぐ流星群の夜なら、なおさらだ。

 今夜は、待ちに待った星祭りの日。
 シャーナ村の住民達はみな期待に胸を膨らませていた。
 普段は決して豊かな村ではないけれど、この夜だけは別だと村の誰もが思っている。
 何故なら年に一度の流星群が、アックス&ウィザードで一番綺麗に見える村だから。
 星をあしらった衣装にも着替えたし、ご馳走だって準備は万端。
 あとはこの澄み切った夜空に最初の流星が流れれば、それが星祭りの合図だ。
 今夜はきっと一年で一番楽しい夜になる、はずだった。

 だが遂に始まった流星群に村人達が歓喜の声を上げたのは、ほんの束の間。
 程なくして誰もが気付く。雲一つない夜なのに、星空が何かで遮られて見えない。
 流れ星は増える一方のはずなのに、空は刻一刻と黒い影で塗り潰されていくばかり。
 闇に目を凝らし『何』が視界を遮っているかを悟った一人が、青ざめて叫ぶ。

「……逃げろ! 悪魔だ!」

 夜空を悪魔の群れが埋め尽くしているのだと、皆が気付いた時にはもう遅く。
 天より一斉に降り注いだ呪詛の雨が、人々の命を奪い尽くした。
 それはさながら、巷に星の降るごとく――。

 ☆ ☆ ☆

「星空は良い。彼方の光を眺めていると、俗世の事柄などちっぽけに感じられる」
 優雅に足を組み、ツェリスカ・ディートリッヒ(熔熱界の主・f06873)は微笑む。
「ふふ、とはいえ星の世界に平和を取り戻したばかり。汝らも星など見飽きているか?
 だが、流星群となれば話は別であろう。余の美貌ですら、星降る夜には及ぶまい」

 豪奢な椅子に腰かけたまま指を弾くと、魔導書型のグリモアが空中に出現した。
「話が逸れたな、本題に入ろう。汝らには、とある召喚儀式を阻止してもらう」
 ひとりでにページが開き、牧歌的な村の風景が立体として猟兵達の前に投影される。
「これはアックス&ウィザードのとある高地に位置する、シャーナ村の映像である。
 普段はあの世界の何処にでもあるような村だが、年に一度の流星群の夜だけは別だ。
 住民総出で星祭りが開催され、訪れる人々も交えて夜通し大いに賑わうらしい」
 この流星群は、立地的な条件によりこの高地以外でははっきり見ることが出来ない。
 それだけに、星祭りはシャーナ村の誇りであり、一年で一番待ち遠しい日なのだ。

「だが、その流星群の夜に儀式を執り行い、大量の悪魔を召喚しようと目論む者がいる。
 星の導きが魔術に力を与えるのはよく知られているが、流星群は影響が桁違いだ。
 敵の狙いはまさしく、流星群の影響下にある環境でのみ可能な大儀式であろう」
 予知において召喚されていたのは、天を埋め尽くさんという数の下級悪魔の群れ。
 儀式が完遂されれば、村だけでなく周辺一帯が壊滅的な被害を受けることになる。
 幸い予知で敵の拠点は判明済みだ。儀式を流星群直前で阻止すれば、まだ間に合う。

「首謀者は『呪飾獣カツィカ』。欲深い盗賊が呪われて魔物に堕した存在だと聞く。
 粗暴な性格に見合わぬ高度な呪術を用いるようだ。見た目や外見に惑わされるな」
 カツィカは既に数体のレッサーデーモンと契約し、護衛として使役しているようだ。
 現状でも中々の戦力だが、儀式を控えた状況で追加の召喚を行う余裕はないだろう。
「奴の根城はシャーナ村から少しばかり離れた山林にある、朽ち果てた薄暗い祠だ。
「拠点へ乗り込むとはいえ不意を突けば我らにも分がある。存分に戦ってくるがよい」
 カツィカと配下のレッサーデーモンは、共に呪詛属性の魔術を得意としている。
 搦め手に注意しつつ、呪いへの対抗策を考えれば、より優位に戦えるだろう。

 そこまで説明し終えてから、ツェリスカはふっと微笑みを浮かべた。
「……さて、ここからは余談だが。儀式を阻止できれば、星祭りは例年通り行われる。
 せっかくの良い機会だ、汝らも一緒に祭りに加わって、羽を伸ばしてきてはどうだ?
 村の広間ではダンスを踊って楽しみ、燻製肉や木の実のパイも振る舞われるそうだ。
 あえて村人の輪に入らず、降り注ぐ流星群を眺めるのも楽しみ方の一つであろうな」
 労いの言葉と共に、ツェリスカは猟兵達を星降る地へと送り出す。

「何しろ星の世界を救った汝らだ。願い事の一つ二つ、星に祈っても罰は当たるまい」


滝戸ジョウイチ
 ご無沙汰しております、滝戸ジョウイチです。
 猟兵の皆さん、銀河帝国攻略戦お疲れ様でした。
 そういうわけで、今回は星にまつわるシナリオです。

●シナリオ概要
 流星群の夜に儀式を企む『呪飾獣カツィカ』の拠点に乗り込み、撃破してください。
 強敵ではありますが、プレイング次第で十分有利に戦えるでしょう。
 無事に儀式を阻止できた場合、第三章で、村で催される星祭りが楽しめます。
 もちろん祭りに直接加わらず、流星群を眺めたり願い事をするのもいいでしょう。

●行動について
 技能は戦闘中にいくつ使っても構いませんが、具体的にどう使うかプレイングに盛り込まれてあれば判定ボーナスに反映される可能性が高くなるでしょう。
 なお、第三章は特に指定がない場合プレイングの内容に近い能力値で判定します。

●グリモア猟兵について
 ツェリスカ・ディートリッヒ(熔熱界の主・f06873)は、第三章で「ツェリスカと一緒に○○する」等の具体的なプレイングがあった場合に限り、現地に合流します。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『レッサーデーモン』

POW   :    悪魔の三叉槍
【手にした三叉槍】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    金縛りの呪言
【手で複雑な印を結んで】から【呪いの言葉】を放ち、【相手を金縛り状態にさせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    呪いの鎖
【投げつけた三叉槍】が命中した対象を爆破し、更に互いを【呪われた漆黒の鎖】で繋ぐ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


滅び去った前文明の遺産と思しき朽ち果てた祠の奥で、怪しげな声が木霊する。
祭壇には奇妙な古えの神像が祭られ、石畳の床には奇妙な魔方陣が描かれている。
その中央で呪文を唱え続けているのは、金色の山羊のような頭をした魔物だった。
いや、その表現は正確ではない。魔物が、金色の山羊の頭蓋骨を被っているのだ。

「……へへへ、儀式さえ成功すれば冒険者なんぞ敵じゃねえ。金も女も奪い放題だぜ」

詠唱の合間に下卑た願望を漏らしながら『呪飾獣カツィカ』は儀式の準備を進める。
祠の守りは使い魔として契約したレッサーデーモン達に丸投げしてある。
今頃は祠の入り口あたりで、侵入者の襲撃に備えているに違いない。

もっとも、そもそも企みがバレるはずがない以上、ビクビクするなんて無駄なことだ。
今は召喚儀式の成功と、その後いかに面白おかしく暮らすかを考える方が大事である。

「聞けば村では祭りだっていうじゃねえか。最後の宴になるとも知らずになぁ」

堪えきれないカツィカの含み笑いが、薄暗い祠の中で反響している……。
泉・星流
今回の話を聞いて、色々と憤慨
「星の力を邪悪な企みに使うなんて…」

「僕に先行させて貰っていいかな?」
先陣を切って攻め込み、出会ったレッサーデーモンはBMMで対応、『倒す』よりも『拘束』し動けなくする事で無力化

羽根や手足を狙い動きに制限、手は複雑な印を結べなくする意味も含み、顔を狙うことで視覚や嗅覚…呼吸を奪う
[属性攻撃2][全力魔法]を活用

このあとの呪飾蹂との戦闘への余力を残す為、動けなくなった敵(それこそ、可能なら粘液まみれ…粘液の塊と化すまでさせるさ)は無理に倒さずに他の人に任せる
[援護射撃]を活用
         


アララギ・イチイ
狭い場所での戦闘かしらぁ?
なら、この御薬を試してみるわぁ♪

【UC:禁忌薬・黒色薬】を自分に投与して身体を液体ボディに変質させて行動するわぁ
薄暗い洞窟だから【暗視・聞き耳】で敵の位置、姿を確認して、粘着性と流動性を変化させて、洞窟に壁面・天井に張り付くように【ダッシュ】で移動ぉ

視覚から【暗殺】する様に奇襲攻撃、スライムの様に相手に覆いかぶさり、身動きできない様に粘着性を高め、【念動力】も併用で拘束しつつ、毒ガス【毒使い・マヒ攻撃、で補正】、腐敗性を高めて敵の身体を腐らせるわぁ(敵は手を使う攻撃が多いので手を重点的に破壊
拘束中に別の敵に邪魔されそうなら、機関砲を召喚して弾幕を展開して牽制攻撃よぉ



猟兵達が古びた祠に到着した時には、既に辺りは夕闇に包まれようとしていた。
事前の情報通り、祠の付近には数体のレッサーデーモン達が三叉槍を手に待機している。
下級とはいえ悪魔。軽く見るべきではないが、それにしても守りが薄いように感じる。
親玉のカツィカが敵の襲撃を想定していないという話は真実だったようだ。
奇襲を掛けるなら、今こそが絶好のタイミングなのは間違いない。
猟兵達は頷き合い、それぞれの武器を手に敵陣へと駆け出した。

「敵襲か!?」
「おのれ猟兵ども、何故この場所を……!」
「我らが主をお守りするのだ! 奴らには惨たらしい死をくれてやれ!」
猟兵達の強襲に気付き、レッサーデーモン達は三叉槍を握って祠の通路で迎撃を試みる。
だが先手を握ったのは猟兵達だった。悪魔には体勢を整える間も与えられていない。
真っ先に敵陣へと踏み込んだのは、奇襲作戦に加わった猟兵の中では最も幼い少年。

「僕に先行させてもらっていいかな?」
仲間の返事を待つことなく、泉・星流(人間のマジックナイト・f11303)は走った。
武器を振り上げるデーモンの禍々しい姿にも動じず、愛用のブルームロッドを振るう。
放たれたのは魔力弾。威力だけを見れば、魔術に通じたデーモンに通じようもないもの。
だが、それでいい。星流が誰より先に飛び込んだのは、敵を倒すためではないのだから。

「馬鹿め、そんなつまらぬ魔術が我ら悪魔に……何だこれは、動けぬ!?」
難なく魔術弾を弾いたはずのレッサーデーモンの一体が、驚愕の呻きを上げた。
拘束魔術弾(バインド・マジックミサイル)。略してBMM。
着弾と同時に粘液へと変化するこのユーベルコードは、いわば魔力のトリモチ弾だ。
命中したデーモンは、三叉槍ごと片腕と翼を接着されている。あれでは印も結べまい。
とどめは後続の仲間達に任せ、星流は次の標的へとロッドを向けた。
放たれた魔弾を間一髪で回避するデーモン。しかしかすっただけで顔の半分が塞がった。
片目の視界を失い、激昂したレッサーデーモンが星流目がけて三叉槍を振り上げる。

「おのれガキめが! こんな小細工で悪魔を愚弄した罪、その身で――」
「――片目じゃご不満? それじゃあもう半分も塞いでみましょっかぁ」
悪魔の頭上から響いた少女の声。その直後、天井から黒い液体状の何かが滴り落ちた。
まるでブラックタールを思わせる液体は瞬く間にデーモンに纏わり付き、動きを封じる。
「な、何者だ貴様は! 貴様も猟兵ぐぼぉっ!?」
「よし今度こそしっかり命中、と」
不意討ちで拘束されたデーモンの顔面にBMMが直撃、悪魔は口まで塞がれ悶絶する。

「アシストありがとねぇ。お礼に私もベトベト作戦手伝うわぁ」
デーモンに取り付いたままの液体の一部が、和装の少女の姿へと変化した。
アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)。無論、ブラックタールではない。
あらかじめ自らに『禁忌薬・黒色薬』を投与し、体を液状化させていたのだ。
禁忌薬というだけあって寿命が縮む副作用があるが、それを気にするアララギではない。
液状化自体は解くことなく、更に腐食性の毒ガスを全身から噴出させる。

「この子はこのまま腐らせちゃうとして、奥から来る子達もネバネバさせなきゃねぇ」
アララギの言葉通り、祠の中に控えていたデーモン達が一斉に集まってきている。
「思ったよりも数がいたみたいだ……でも、二人がかりでなら!」
星流は先頭の一体にBMMを叩き込み、翼を絡め取って固い石畳へと叩き落とす。
すかさず液体モードのアララギが上から押さえ込み、腐食ガスを無理やり吸い込ませた。
そのアララギを狙う敵を星流が撃ち、二人は敵の戦力を確実に殺いでいく。
「お前達の好きにはさせない……星の力を、邪悪な企みに使うなんてことは!」
秘めたる星への思いを込めた、星流の言葉が祠の回廊に響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ステラ・ハーシェル
【ヘール・ボップ】の速度、【騎乗】で肉薄する。敵の攻撃を【見切り】、【残像】、【騎乗】、【暗視】で回避を試みる。完璧に回避できずとも、致命傷を避ける様に受ける。そして一瞬の隙を【見切り】【早業】による【フェイント】交えた【剣刃一閃】で斬る。その一撃で斬り伏せれない場合は【2回攻撃】で追撃、初撃で倒しきれた場合は別の敵に攻撃を行う。

「知っているか……? 流れ星は死を意味する事もある……天体観望の邪魔をしたのだ。精々自分の星が落ちない事を祈ると良い……」

【殺気】を乗せた言葉を洞窟に反響し、奥に行く様に放つ。まぁ、貴様の星はすぐに落ちる事になりそうだがな。


ユーイ・コスモナッツ
レッサーデーモン達が待機しているのは
祠の入り口付近ということですから、
ここは得意の高速機動戦で先制攻撃を仕掛けて、
呪詛呪言の類を使われる前に
決着をつけてしまいましょう

まずは祠の見える位置まで移動して、
レッサーデーモンの位置を把握
先に気取られるといけないので、
視力を活かして遠くの物陰からこっそりと観察

把握したら、気付かれない程度に距離を詰めて、
ユーベルコード「流星の運動方程式」を起動
側面ないし背面から、高速突撃を仕掛けます

一度の突撃で倒しきれなくても、
速度は緩めず一撃離脱
距離をとれば、魔術の効きも弱まるんじゃないかな
そうして反撃を凌いだら即座に反転、再突撃
応援を呼ぶ隙は与えません



「星の力を邪悪な企みに使うなんて、か……まったくだな……」
ステラ・ハーシェル(星屑のサンダーボルト・f00960)は小さく頷いた。
「星の光は、人の希望であるべきだ……邪な輩には勿体ない」
ステラもまた星に憧れを抱く一人。彼女にとって星とは理想に他ならない。
あくまで冷静さを保ちながら、決意を秘めて宇宙バイク『ヘール・ボップ』を疾らせる。

「知っているか……? 流れ星は死を意味する事もある……」

天体観望の邪魔をしたのだ、精々自分の星が落ちない事を祈ると良い……と。
殺気を込めたその言葉が向けられた先は、目の前のレッサーデーモン達ではなく。
祠の奥で儀式に備えているであろう、呪飾獣カツィカへと放たれたものだ。
届いただろうか? いや、どちらでも構わない。すぐに相対することになるだろうから。

「狭い通路でやり合うな! 体勢を立て直すのだ!」
先行した二人にやられたのか、片腕を粘液で封じられたデーモンが祠から転がり出た。
その一瞬の隙に合わせて加速。すれ違いざまに無事な方の腕を剣刃一閃で切り飛ばす。
デーモンの絶叫が響く。だがこの程度では終わらせない、急旋回からの再突撃。
瞬時に敵の死角から接近したヘール・ボップの、光を吸い込むような黒が鈍くきらめき。
直後、愛刀ミルファクによる二段目の剣刃一閃が今度こそ敵を唐竹割りに両断した。
まずは一体。だがこれで終わるわけもない。次々とデーモン達が祠の中から現れる。
だが、既に粘着弾が絡まったり腐食ガスに侵されたりと、動きが鈍い者も少なくない。
機動力は完全に分がある。そして祠の外ならば、その機動力を存分に生かし切れる。
そして――この場において、スターライダーは彼女ひとりではない。

「注意は引いた……畳み掛けよう」
「任せてくださいっ! ブースト・オン!」

敵の側面の方角から、ステラの呼びかけに応えたのは幼い少女の声。
だがそれを訝しむ暇すら、レッサーデーモン達には与えられはしなかった。
それだけの加速。さながら天翔る星のように、『盾』は一直線に悪魔達へと向かう。

「流星の運動方程式(フルアクセルシューティングスター)!!」

ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)がボードのように乗りこなす反重力の盾。
最大加速で激突したシールドは、その剛性と運動エネルギーで悪魔の肉体を粉砕した。

  ▼  ▼  ▼

「――決まった! まずは一体!」

超高速で反重力シールドを駆りながら、ユーイは内心胸を撫で下ろした。
遠方から戦況を窺い、絶好のタイミングで『流星の運動方程式』による側面攻撃。
敵がステラに気を取られていたというのもあり、イメージ通りの一撃を叩き込めた。
だが、気を抜くのはまだ速い。ユーイはシールドの加速を緩めることなく距離を取る。
その背に呪詛の呪文が投げかけられるが、一瞬で射程圏外に逃れたユーイに影響はない。

敵の反撃を凌いだことを確認して空中で急旋回し、再び祠の方向へと加速させる。
それと同時に、ステラのヘール・ボップも祠を挟んだ反対側へと回り込んだ。
挟み撃ちの恰好だが、決して事前に示し合わせたわけではない。
ただきっとお互いに、宇宙の騎士ならこう動くだろうと考えたに違いない。
なんだか嬉しい。ほころぶ顔を意識的にキッと結び、ユーイは敵陣へと再突撃を駆ける。
今度は正面から飛んでくる呪詛をシールドで弾きながら、一気に接近。
ステラの方はバイクに乗ったまま攻撃を見切り、紙一重で躱しているようだ。
接敵するタイミングはほぼ同じか。クレストソードを抜き放つと最後の加速をかける。
そして両者が交錯するその一瞬――二人の剣が煌めき、二重の剣閃が敵を裂いた。
そのまますれ違い、更に旋回。ふたつの軌跡が、舞うように戦場を刻んでいく。

「――これなら、奴の星はすぐに落ちる事になりそうだ」

ステラの言葉を心強く感じながら、ユーイはマフラーをたなびかせ戦場を駆けていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アンナ・フランツウェイ
【オリガ・ホーリエルと同行】

オリガに連れられてきた。祭りに興味はあるけど、その前にオブリビオン共を片付けるのが先決だね…。行こう、オリガ。
「オリガ、私が前に出るから援護して。」

私のユーべルコードと似た物使うようだし、ぶつかり合いになったら膠着状態になるのは目に見えている…。ならユーべルコード以外の技術で上回るのが一番。

「先制攻撃」で敵が動き出す前に攻撃を仕掛け、敵が悪魔の三叉槍で攻撃して来たら、その攻撃で重視する行動を「見切り」、その戦法に合わせ戦闘を行う。敵の数が多いなら「範囲攻撃」と「なぎ払い」で周囲にいるレッサーデーモンを切り払おう。

アドリブ歓迎


オリガ・ホーリエル
【アンナ・フランツウェイと同行】

星祭り、いいですわねぇ!アンナと一緒に楽しめるいい機会ですわ!その前にこの悪魔達を片付けてしまいしょう。
「えぇ、任せておきなさいな!」

あたしはアンナの援護を担当しますわ。共鳴する行進歌を「歌唱」と「鼓舞」を乗せ全力で歌い、アンナと周囲にいる皆様にあたしの歌を届け、戦闘力を高めましょう。
「貴方たちの呪詛が何ですの!アンナが使う呪詛の方がよっぽど恐ろしく、強いですわよ!」

当然妨害も行って来るでしょうし、その際は防御中心で立ち回り歌を絶やさず歌う事に専念しますわ。三叉槍が飛んで来たら私も「槍投げ」で傘を投げて迎撃したり、「見切り」で攻撃の軌道を見切って回避を行います。



星祭り……心が躍る響きだ。それも親しい相手と共に過ごせるとなれば、なおのこと。
オリガ・ホーリエル(生きる意味を探す者・f12132)は期待を抑えて隣へ微笑みかけた。
アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)はその微笑みを受け、小さく頷く。
「祭りの前に敵を片付けるのが先決だね。行こうオリガ、前に出るから援護して」
「えぇ、任せておきなさいな! さっさと片付けて星祭りを一緒に楽しみましょう!」

祠の周囲の敵は、既にスターライダー達の波状攻撃により完全に浮き足立っている。
この機を逃すわけにはいかない。アンナは処刑具を構え、オリガは日傘を広げた。
そしてオリガが歌声を響かせるのと同時、二人一緒に戦場へと身を躍らせる。
レッサーデーモンの一体が、迎撃せんと槍を振り上げる。だが、しかし。

「――断罪式・薊ノ花(ダンザイシキ・アザミノハナ)」

アンナが自らの血液で作り上げた処刑具による一撃は、悪魔の動きすら速さで上回った。
先制攻撃。禍々しい鋸の刃がデーモンの肉を抉り、苦悶の呻きを吐き出させる。
これこそオリガの歌う「共鳴する行進歌(シンフォニック・マーチ)」が引き出した力。
無駄がない。隙もない。パートナー同士だからこそ出来る連携。信頼の証だ。

(……とはいえ、私の『薊ノ花』と悪魔の槍は特性が似ているみたい)

先制に続く追撃を仕掛けながらも、アンナは努めて冷静に状況を分析する。
使い慣れた武器だからこそ知っている。正面からぶつかれば戦況が硬直し得ることを。
打開策は一つ。ユーベルコードではなく、それを用いる技術でもって上回ることだ。
それには敵の動きを分析して、見切らなければ。

「オリガ、ちょっとだけ防御代わって」
「承りましたわ!」

後衛を務めていたオリガがすぐさま前に出て、アンナを庇うように立った。
手傷を負わされたレッサーデーモンは、それを見て目を血走らせる。
「そっちの処刑具使いならまだしも、丸腰の女が我が槍を防げるものか!」
「うーん。それはちょっと、オリガを軽く見すぎかな」
アンナの言葉通りに、デーモンの槍は敢えなく防がれた。その防いだものとは、
「ひ、日傘!? 悪魔の槍が日傘に防がれたのか!?」
「当然ですわ! なにしろこのあたし、オリガ・ホーリエル謹製ですもの!」
狼狽するレッサーデーモンの攻撃を、そのまま日傘一本で凌ぐオリガ。
その僅かな攻防を目に焼き付け、アンナは小さく息を吐いた。
「ありがとう。もう大丈夫、あとは任せて」
「ええ、思い切りやっちゃってくださいな」
立て続けに突き出された三叉槍を、日傘ではなくアンナの薊ノ花が受け止める。
いや、正確無比な鋸捌きで、攻撃回数を重視した敵の攻撃を難なく受け流したのだ。
逆に敵の精密な攻撃はパワーで跳ね飛ばし、力でのごり押しは手数でもって凌駕する。
「ば、馬鹿な! こんな僅かな時間で、我が槍が見切られ――」
「さあ、報復の時だ」
既に動きを読み切った三叉槍を掻い潜り、唸る鋸刃がデーモンの胴を叩き斬る。
血飛沫を上げて崩れ落ち、地面に倒れ伏しながら、悪魔は最期の力で怨嗟の声を上げた。
「よくも貴様ら……呪ってやる、呪ってやるぞ猟犬共……」
「貴方達の呪詛が何ですの! アンナの呪詛の方がよっぽど恐ろしく、強いですわよ!」
オリガに最期の呪いすら一刀両断にされ、悪魔は心底悔しそうな顔で息絶えた。
「……そんなに恐ろしい?」
「ふふ、あたしにとっては頼もしいですわ!」
視線を交え、言葉を交わし、二人は残るレッサーデーモンとの戦いを続けていく。
祠の外部での戦いは、決着の時が近づこうとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

熾天・朔夜
星の力をそんな悪行に使おうなんて見逃せないな。
身の程を弁えたまえよ、星や願いは君らが穢して良いものではない。
―――さあ、断罪を始めよう。

殺気を放って正々堂々と敵に相対し、猟兵との連携を意識して戦闘開始。
先ずは小手調べがてら敵がどんな技を使うのかを見極め、第六感と己の剣技に頼りにしつつ三叉槍と打ち合う。
自身と敵の立ち位置、周囲の状況、味方との連携、利用可能な地形や足場等の各種情報を戦闘をしつつ処理して、常に有利に戦闘を運ぶよう心掛ける。
呪いの言葉や三叉槍の投擲は初動を読むなり直感なりで回避を試みる。特に呪いの言葉については回避不能と判断した場合、オーラ防御で防げないか試す。


セシリア・サヴェージ
【WIZ】

自らの欲求を満たすために村を襲うか…その企みがいかに愚かなことであるか思い知らせてやりましょう。

戦闘が始まったらUC【死翔の黒剣】を発動。【高速詠唱】で周囲に素早く黒剣を展開し、暗黒剣による攻撃と共に射出する【二回攻撃】を繰り出します。
物理的な攻撃は【武器受け】、魔術的な攻撃は暗黒の【オーラ防御】で防ぎます。
呪詛の魔術が得意とのことですが…私はすでに暗黒の呪いを宿す身。これ以上の呪いは容量一杯で受け付けませんよ。【呪詛耐性】


御形・菘
流星群で召喚儀式とは見事な大望ではないか
妾にボコられ、未遂の大業として名を残せば良いぞ
星々の降る前に終わらせてやろう!

妾が望むのは誰よりも目立つことよ
手下どもが最も密集している地点目掛けて、尻尾を叩き込む!
勢いをつけて翼で飛翔、かーらーの……存在感を見せつけ、殺気を込めた挑発を入れつつ
さあ三下ども、妾の英姿を篤とその目に焼き付けよ、そして潰れて果てるが良い! 楽土裁断!

後は敵のど真ん中で大立ち回りよ
はーっはっはっは! 妾から目を離す余裕があるとでも?
さあ皆の衆、態勢は崩したぞ
ありったけ攻撃するがよい!

呪詛? そんなものは邪神の気合でなんとかしてくれよう
見た目さえ変にならなければ我慢できるわ!



戦いの流れは、いよいよ決定的に猟兵の側へと傾こうとしていた。
事前の予想よりも配置されていたレッサーデーモンは多かったが、しかしそれだけだ。
敵が奇襲を想定していなかったことに加え、猟兵達が短期決戦を狙ったのが大きい。
悪魔達は得意の呪詛も存分に発揮することも出来ず、一体また一体と数を減らしていた。

「……なんということだ、このままでは全滅だ!」
屋外での戦いで手傷を負ったレッサーデーモンの一体が、思わず呻いた。
このまま戦ってもどうにもならないと判断したのだろう、翼を羽ばたかせ宙に浮かぶ。
向かう先は猟兵達の元ではなく、祠の奥……おそらくはカツィカがいるであろう場所。
「契約に従い、主をお守りせねば……がっ!?」
だが、言葉通りに事は運ばない。悪魔が動くよりも先に宙を舞うものがあったからだ。
既に闇の力を秘めた幾つもの黒剣が、二重三重に悪魔の周囲を取り巻いていた。
それらは敵が反応するよりも早く一斉に動き、一糸乱れぬ動きで悪魔を切り刻んだ。
 「お、おのれぇ……!」
悪魔は最期に呪詛を込めた槍で地上の猟兵を狙い、投げつけると同時に絶命した。
断末魔の呪いと共に飛来する槍を、しかし狙われた猟兵は難なく魔剣でそれを弾く。
セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)にとって呪詛など脅威たり得ない。
「私は既に暗黒の呪いを宿す身。これ以上の呪いは容量一杯で受け付けませんよ」
持ち前の呪詛耐性とオーラによる防御で呪いの鎖を凌ぎ切り、セシリアは魔剣を掲げる。
それと連動して、周囲に展開していた無数の黒剣が一斉に次の敵へと殺到した。
『死翔の黒剣(ダークスピラー)』。先ほどの悪魔を切り刻んだユーベルコードだ。
更に自身が振るう暗黒剣ダークスレイヤーとの二段構えで敵を切り伏せていく。
「自らの欲求を満たすための企み、がいかに愚かであるか思い知らせてやりましょう」
正しき闇の力を振るい、セシリアは華麗にそして荒々しく戦い続けていった。

  ▼  ▼  ▼
 
そんな戦場を、空中から俯瞰する猟兵がひとり。
「はーっはっはっは! いよいよ妾が全ての視線を独り占めする時!」
御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は場違いなくらい派手に笑ってみせる。
蛇を中心に複数の爬虫類の特徴を持つ彼女は、翼膜を羽ばたかせ高空に陣取っていた。
その傍には一機のドローン。撮影用の『天地通眼』は今も彼女をカメラに収めている。
今回の敵は悪魔というのもあり、なかなか派手で見栄えのする映像が撮れているはずだ。
「あとはそろそろ、動画の山場に出来そうな大技を決めておきたいところだな!」
わざわざ一時的に戦線を離脱したのもそれが理由だ。全てはより良い動画のためである。
敵と決着が着くというタイミングで、必殺の一撃をたたき込めればベストだ。
そしてそのタイミングこそ、今この時である。
「はーっはっはっはっは! 流星群を利用した召喚儀式とは見事な大望ではないか!
 妾にボコられ未遂の大業として名を残すが良いぞ!星が降る前に終わらせてやろう!」
あえて戦場全体に響くような声を張り上げながら、菘は地上へとその身を躍らせる。
抜群の存在感を発揮しながら、敵の呪詛などものともせずに一気に加速しながら急降下。
 実際はものともしていないわけではないが、そこらへんは気合と根性である。
「はっはっはっは! さあ三下ども、妾の英姿を篤とその目に焼き付けよ!
 そして潰れて果てるが良い! 楽土裁断(ジャッジメント・テイル)!」
渾身の力を込めた蛇尻尾による一撃が、隕石さながらの威力をもって激突する。
祠のそばに巨大なクレーターを作るほどの破壊力が、周囲の敵をも巻き込んでいく。
辛うじて健在だった悪魔達が軒並みなぎ倒されたのを確認し、カメラ目線で〆の一言。
「皆の者! チャンネル登録よろしく、であるぞ!」
動画ではテロップが出るだろう虚空を指さし、アピールに余念がない菘だった。

  ▼  ▼  ▼

祠の中にまで響いた衝撃は、外の戦いが一区切りついたという事実を示していた。
既に祠へ侵入していた熾天・朔夜(正義の天秤、女神の剣・f13896)もそれを察する。
「後は祠の中の討ち漏らしを始末しつつ、親玉のいるフロアを見つけないとね」
そう呟きながら愛刀『裁天剣』を振るうと、すぐそばで断末魔の叫びが上がった。
たった今斬り捨てたのは、粘着弾と腐食ガスで身動き取れずにいたレッサーデーモンだ。
先行して祠の中に侵入していた二人が無力化した敵を、確実に倒しつつ朔夜は進む。
味方ながら、なかなかえげつない戦い方をするものだと考えながら。
とはいえ状況に合わせて動くつもりでいた朔夜にとってこういうサポートは有り難い。
このまま極力リスクを排して進んでいければいいのだが……。
「……いや、そうはいかないか」
朔夜の目は、通路の薄暗がりにレッサーデーモンの姿を捉えていた。
既に手傷を負っているようだが行動が妙だ。そう考えた矢先、敵もまた朔夜を見た。
「――『その手に断罪の剣を(アストレア)』!」
気付かれた、そうと思った瞬間には既に朔夜の姿は敵の視界から掻き消えていた。
『その手に断罪の剣を(アストレア)』は一瞬で距離を詰めての不可視の斬撃。
言い換えれば奇襲向きだ。敵が反応する前に、裁天剣の刃は敵へと至っていた。
だが、敵の傷もまた浅い。どうやら一撃で絶命させるには至らなかったようだ。
「まだだ、まだ死ねぬ……主に危機を知らせるまでは……!」
レッサーデーモンは呟くやいなや祠の奥へと槍を投げ、地獄の鎖を手繰って離脱する。
追撃しようとする朔夜。そこに、他の猟兵達も集まってきた。
それぞれの話を総合するに、あのレッサーデーモンは祠周辺の最後の一体らしい。
「あの後を追おう。その先に呪飾獣カツィカがいるはずだ」
猟兵達は頷き合い、祠の最深部へと足を進めるのだった。
   

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『呪飾獣カツィカ』

POW   :    呪獣の一撃
単純で重い【呪詛を纏った爪 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    呪飾解放
自身に【金山羊の呪詛 】をまとい、高速移動と【呪いの咆哮】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    カツィカ・カタラ
【両掌 】から【呪詛】を放ち、【呪縛】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


猟兵達が辿り着いたのは、祠の奥に存在する大部屋だった。
いや、果たして部屋と呼んでいいのか。どこまでが人工物なのか判然としない。
その半ば剥き出しの岩盤めいた壁で覆われた空間へ、猟兵達は足を踏み入れる。
むせ返るような臭気。血の匂い。足元を見れば動物の骨。生け贄にでも使ったのか。
床の石畳に描かれた魔法陣も、よくよく見れば既知の術式ではない。
恐らくは遥か昔に滅び去った呪術体系。オブリビオンによるものに間違いない。

「……あ、主! 我が契約者よ! 猟兵共がすぐそこまで――」
「何だぁ? 俺ぁな、テメェらにこの祠を守れっつったんだよ? 脳みそ無ェのか?」

その大部屋の奥で会話する2つの影。片方は先程逃げ込んだレッサーデーモンだろう。
そしてもう一体こそ、この儀式の黒幕である『呪飾獣カツィカ』に違いない。
だが、そのカツィカの手からは呪詛のオーラが伸び、手下のはずの悪魔を拘束している。

「しかも随分手酷くやられてんじゃねえか。え? このクソ雑魚の劣等悪魔がよ」
「き、貴様! 契約者とはいえ、現世の魔物風情がそんな口を――」
「聞こえねえよバーカ。盾にもなれないってんならもう要らねえや。死ねよ」

カツィカが掌を握ると、纏わりついた呪詛のオーラがデーモンの首をへし折った。
壊れた人形を処分するように部屋の片隅へ死体を投げ捨てると、カツィカは顔を上げる。

「で? テメェらか、俺様の偉大なる計画をオシャカにしようって連中はよぉ」

野卑な口調で猟兵達に凄む様子はなるほど盗賊同然だが、しかし纏う呪念は並ではない。
猟兵達は気を引き締め、この邪悪なる呪術師へと立ち向かう――。
ユーイ・コスモナッツ
己が欲を満たさんがために、
なんの罪もない人達を手に掛けようとは、
言語道断の不届き者!
恥を知りなさいっ

鬼畜にも劣る悪党に、
名乗る名前などありません
宇宙の星々に代わって、
天誅をくだします!

ユーベルコード「変光星の第三法則」!
重視するのは攻撃回数
薙ぎ払い、斬り上げ、振り下ろし
上中下段、タテヨコナナメ、緩急強弱……
変化をつけた連続攻撃で、
呪術を使う隙を与えないよう牽制します

苛々して「呪獣の一撃」を使ってくれたら狙い通り
力任せに放った大振りの一撃なら、
かわすことも出来るはず
回避しつつ間合いを詰めて、
渾身のカウンターアタックを打ち込みます


泉・星流
今回も戦闘スタイルはBMMによる【援護射撃】

【属性攻撃2】【全力魔法】【範囲攻撃】で一回一回の攻撃毎にカツィカの全身を魔力の粘液まみれにして、ユーベルコードも含めて相手の能力の低下を狙う

まともにカツィカとはやりあわず、冷静に射撃だけを決めていく事を考えで行動


カツィカを見て
「『呪われて魔物に堕とした存在』…とは聞いていたけど、欲深さで身を堕としたか?…ある程度は望んでそうなったのか?」

呪詛が絡む攻撃に…
「呪飾獣…とはよく言ったものか…下手をすると呪いによる犠牲者とか増えそうだ…」
『呪い』という名のウイルスを持った獣…野に放ち、深く関われば同様の呪いで呪飾獣化しそうな人が出そうな気がして…



「チッ、冒険者じゃねェなテメェら。あれか、猟兵ってやつか? ナメやがってよ」
呪飾獣カツィカは悪態を付きながら、その山羊のような両目で猟兵達を睨みつけた。
そうしている間も、周囲からは呪詛が煙のように立ち上っている。

「……『呪われて魔物に堕した存在』とは聞いていたけど、欲深さで身を堕としたか?」
用心深く杖を構えながら、泉・星流(人間のマジックナイト・f11303)は問う。
だが、それを聞いたカツィカはせせら笑うような声を上げ、被った金の頭骨をつついた。
「へへ、違えねぇ! この呪いの骨に込められた魔力がありゃあ何でもできちまう。
 金も女も欲しいだけ手に入るぜ。たかが魔物になるぐらい何だってんだ、え?」

その言葉に込められた剥き出しの欲望に、星流は思わず顔をしかめる。
だが、彼の隣へ一歩進み出た少女の声が、魔物の下卑た笑い声を遮った。
「己が欲を満たさんがために、何の罪もない人達を手に掛けようとは、言語道断の不届き者! 恥を知りなさいっ!」
ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)は剣を握り、決然と言葉を放つ。
カツィカは不快そうに目をすがめ、苛立ちを隠そうともせずに舌打ちした。

「何だぁそのお利口さんな台詞は、鳥肌が立つぜ。次は名乗りでも上げるかよ騎士様」
「悪党に名乗る名前などありません! 宇宙の星々に代わって、天誅を下します!」
「……言うじゃねえかガキが。もう命乞いしたって無駄だからな、えぇ!?」
膨れ上がる感情そのままに、カツィカの纏う空気が更におぞましいものに変じていく。
決して気圧されることなく向かい合うユーイの代わりに、星流が言葉を繋いだ。
「何を言っても無駄なのはお互い様だよ。自ら望んで堕落した奴に情けは無用そうだ」
「ほざけェェェェェッ!!!」
 
カツィカが咆哮した。同時に、突き出した巨大な腕から呪念の波動が放たれる。
恐らくレッサーデーモンを捕らえたのと同じ術だ。掴まれば動きを封じられるだろう。
星流は横っ飛びに回避。なおも追いすがる呪詛を、ユーイのシールドが弾き返した。
「私がこのまま前に出て、敵の攻撃を引き付けます!」
「分かった! 援護は任せて、僕が動きを止めてみせる!」
交わす言葉は僅か。だが、猟兵としての本能はそれ以上の意思疎通を必要としない。

星流の言葉に頷いたユーイは、そのまま一切の迷いなく剣を構えて突進した。
巨大な爪で迎撃せんとするカツィカへと肉薄し、渾身のユーベルコードを放つ。
「受けなさい! 我が剣技、変光星の第三法則(ヴァリアブルスターソード)を!」
白銀に輝くクレストソードが軽やかに舞い、縦横無尽にカツィカを攻め立てる。
薙ぎ、斬り、払う。その剣閃は、まさしく変光星が輝きを変じるがごとく変幻自在。
呪術使いの魔物であるはずのカツィカが捌き切れているのが不思議なくらいだ。
「どうした騎士様よぉ! 確かに素早いが、そのぶん剣が軽いぜ!」
カツィカが挑発する。だが後衛の星流には、言葉ほどの余裕が無いように感じられた。
「……なら、BMM(拘束魔力弾)で動きを確実に封じていけば!」
ブルームロッドを構え、神経を研ぎ澄ます。一発必中。それが現実となるように。
ユーイの剣は凄まじい速さだ。巻き込まずに敵だけを狙うのは至難の技だが……。
「――それくらい、出来てこその一発必中だ!」
まさしく針の穴を通す正確さで剣閃を掻い潜り、BMMがカツィカの右腕に着弾した。
「何だとォッ!? 畜生、ふざけやがって!」
片爪を封じられ、激昂したカツィカが呪詛を纏って大振りの攻撃を放たんとする。
だが余裕の無さが生んだ雑な一撃は、ユーイにその狙いを読ませるには十分だった。
「その隙、見切ったりっ!」
怒涛の連撃で攻め続けながらも、同時にユーイはこの一瞬を待っていたのだ。
瞬時に踏み込んでカウンターで放たれた斬り上げが、敵の体を深々と抉った。


「グアァァァッ!? クソが、痛えよ! 畜生、絶対にブッ殺す!」
カツィカの怨嗟の叫びに呼応して、呪詛がBMMの粘液を少しずつ侵食していく。
まさかああやって拘束を解除するつもりか。その光景を目にし、星流は思わず呟いた。
「呪飾獣とはよく言ったものか……呪いという名のウイルスを持った獣……」
このまま野放しには出来ない。二人は決意を新たに、更なる攻撃を加えていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ステラ・ハーシェル
予めミルファクを納刀しておく。
【ヘール・ボップ】の速度で【殺気】を放ちながら肉薄し、敵に【恐怖を与える】。恐怖により、一瞬膠着した瞬間を【見切り】、【早業】による【星の定め】の居合いを放つ。敵が想像より早く動ける様になった場合は、爪を振り上げた瞬間のすれ違いざまを【見切り】、【早業】かつ【フェイント】と【残像】を交えた【星の定め】で斬る。

最も最近の昨年は1時間当たり、5〜10個観測できたとの事だ……さぁ、貴様は何度の斬撃に耐えられる?

地形破壊は【騎乗】の技術で乗り切る。


アララギ・イチイ
よーし、こいつがボスねぇ
活造り、丸焼き、冷凍しておくもいいかもぉ(喰らおうとしている子

洞窟内は視界が制限されそうだから【暗視】で視界確保ぉ
敵から距離を離して【特殊武装・超振動~】を散布、【念動力】でナノマシンを操作するわぁ

散布したナノマシンで分子振動を操作、振動を高めて相手の周囲を超高温で加熱攻撃、もしくは分子振動を抑えて超低温で凍結させてみようかしらぁ?

高温、低温攻撃の効果が薄かったらナノマシンを刃物状に薄く成形して敵に飛ばす【2回攻撃】の切断攻撃(超振動による切削【鎧砕き】と高温の物理攻撃

相手の動きは【見切り】で未来位置を予想して攻撃ぃ
敵の攻撃はシールドビットによる【盾受け】で対応ねぇ



「……見事な剣技だ。あれもまた、星の名を冠する剣か……」

少女騎士の技に、ステラ・ハーシェル(星屑のサンダーボルト・f00960)は感嘆する。
レッサーデーモンとの戦いでは並んで戦ったが、幼い少女とは思えない剣の冴えだ。
「……私も、負けてはいられないな」
愛刀『ミルファク』を鞘へと収め、愛馬たる宇宙バイク『ヘール・ボップ』に跨る。
その無骨ながらも洗練された車体は、周囲の光を吸い込むようなマットブラック。
カツィカとの間には十分な距離がある。敵には遠く、こちらは一瞬で詰められる距離が。
大きく深呼吸。敵は目の前の猟兵達に気を取られ、何やら喚き散らしている。
呪術の腕は確かなようだが、その精神性はまるで粗暴な盗賊の頃のままだ。
それゆえに精神に乱れが生まれ、隙が生じ、そこに付け入る余地がある。

ヘール・ボップに跨ったまま、ステラはミルファクの柄に手をかける。
その直後、カツィカと対峙していた二人が同時に後方へ飛び退き、敵から距離を取った。
こちらの意図を察してくれたか。間髪入れずにヘール・ボップを急加速させる。
彗星さながらの速度。敵までの距離は文字通り、瞬きひとつでゼロへと縮まる。
更に肉薄した瞬間、ステラは敵目掛けて有らん限りの殺気を叩きつけた。
 
「なっ、てめ――」
「……怯んだな」

一瞬の煌めき。それが抜刀によるものだと敵が気付いた時には、もう遅かった。
荒ぶる獅子のごとき神速の居合いが、既にカツィカを深々と切り裂いていたからだ。
これこそがステラの秘剣、その一の太刀。そして、真骨頂はその先にある――

「――させねぇよぉ!!」
だが、敵の復帰もまた想定外に早かった。呪詛を操るゆえに恐怖にも耐性があったのか。
憤怒に燃えるカツィカの瞳が、至近距離からステラを睨みつける。
敵の反撃よりも先に動けるかは賭けだ。だが、その賭けに乗るしかない。
僅かな時間で覚悟を決め、ステラはミルファクの柄を握り込んだ。
刃と爪が交錯する。いや、爪の動きが何故か鈍っている。こちらの方が速い!

「星は落ち、運命は決した……『星の定め(レオニード)』!」

放たれたのは獅子座流星群の力を秘めた、一瞬にして十にも及ぶ斬撃。
流れ落ちる流星の数だけ刃が走る、誇り高き獅子王の必殺剣。
続けざまに無防備な胴を切り裂かれ、カツィカの絶叫が響き渡った。
 
  ▼  ▼  ▼

「よしよし、うまく効いてるみたいねぇ」
アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)は満足そうに頷いた。
彼女は敵から距離を取り、一見すると戦闘には参加していないように見える。
だが、それはそう見えるというだけの話。実際には、彼女は既に行動を起こしている。
たった今『星の定め(レオニード)』を前にして、カツィカの動きが鈍ったのは、
アララギがあらかじめ散布していた特殊武装・超振動ナノマシンによるものだ。

彼女の視線の先には、今まさに必殺の斬撃を受けたカツィカの姿がある。
その片腕は無残にも凝り固まって、満足な攻撃を放てない状態なのは明らかだった。
ならば、その腕を封じているのはいったい何か?

「……ベトベト作戦を手伝ったのが、こんな形で生きるとはねぇ」
その正体は凍結したBMM……拘束魔力弾の粘液が結晶化したものだ。
超振動ナノマシンは念動力によって制御され、対象の振動数を変動させる機能を持つ。
振動数とはすなわち温度。振動数を増やせば温度が上がり、逆に減らせば温度が下がる。
つまり対象の周囲に散布したのち、遠隔操作で加熱か冷却のいずれかが可能ということ。
今回は敵の腕に粘液が付着していたのを利用し、それを凍結させて動きを封じたのだ。
レッサーデーモンとの戦いの時に、間近でその特性を見ていたからこその芸当である。

「ナノマシン自体を薄く飛ばして斬ったりもできるけどぉ、今回は不要そうねぇ」
応用編は次の機会に回すことにして、攻撃役は味方に任せて敵の拘束に専念する。
念動力で遠隔操作を続けながら、アララギは敵の山羊を思わせる姿を眺めた。

(……活造り、丸焼き、冷凍しておくもいいかもぉ)

呪飾獣が実際に山羊なのかはともかく、密かに物騒なことを考えるアララギであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御形・菘
まずはトリニティ・エンハンスで、主に風メインに攻撃力を強化
レッサーデーモンを追い抜くつもりで、全身で這って一気に洞窟に突っ込むぞ

空気は読まん! 最速の奇襲で、殺気を込めた左腕の先制攻撃をブチ込んでやろう
悪いがお主と悪人トークをするつもりは無い!
はーっはっはっは! 野望がブッ潰されて、お主は今どんな気分かの、ん~?
妾の存在感をもって挑発して煽ってやれば、そう冷静ではいられまいて
そんな精神状態で、万全の呪詛は使えまい?

それでも妾への攻撃を選ぶならそれも良し
その一手に費やした時間は、皆の衆を万全にさせる貴重な時間よ!
やられたら嫌なことをやる! そのまま張り付き、徹底的にお主の行動を阻害してくれよう!



「一度ならず二度までも、俺の体に傷をつけやがってよォ……!」
滴り落ちる体液が石畳を濡らし、そこから悍ましい瘴気が立ち上ってゆく。
呪飾獣カツィカ。その執念。あるいは、被った金色の頭骨から染み出す怨念か。
三下めいた口調にすら、粘りつくような呪詛の力が宿っているようにすら感じられる。

 「テメェら、何も分かっちゃいねぇ。俺がこの日のため、どれだけ備えてきたと思う?
 人だってそんなに殺してねえ。趣味の略奪も半分にした。全部この日のためよ。
 そう、この流星群の儀式で悪魔軍を編成し、俺はこの国の富を全て手に入れる!
 人間だった頃は盗賊に身をやつすほど奪われた俺が、何もかもを奪う側に回るぜ!
 ……へへ、思い出しちまうよなぁあの頃を。あれは確か、雨の降り続く夜だった……」
 かつての自分を思い出したのか、カツィカはどこか遠い目をしながら天を仰ぎ。
 
 その顎に異形の腕によるアッパーカットが直撃し、カツィカは奥の岩盤に激突した。
 カツィカ自身はおろか周りの猟兵達まで唖然とする中、彼女は断言する。
 
「空気は読まん!!!」

御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)はグッと拳を握り、反対の手で指さした。
「というか、話が長い! 悪党の自分語りほど見苦しいものはないわ!」
自らを邪神と称する菘。それだけに、悪党のあり方にも一家言あるのだろう。
ちなみに高速の一撃はトリニティ・エンハンスの風の魔法によって実現したものだ。
 
「これで儀式もおしまいよな! 野望をぶっ潰されるとはどんな気分かの? んん?」
呪飾獣を煽るたび、敵は冷静さを失って敵意をこちらに向け始める。
(よし、この調子で、奴がやられたら嫌なことをやる! とどめは任せたぞ!)
敵の攻撃を引き付けながら、菘は密かに確かな手応えを感じていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

オリガ・ホーリエル
【アンナ・フランツウェイと同行】

あなたが今回の首謀者ですわね!アンナとのデートの為にあなたには倒れてもらいますわよ!あたし達の力を見せましょう、アンナ!

接近戦を挑むアンナを援護する為、ハンドガンを使い「援護射撃」でカツィカを牽制しますわ。同時に「鼓舞」でアンナを応援しましょう。

カツィカの地形破壊攻撃は、「見切り」で動作を見切り回避行動を取りますわ。破片が飛んで来たら日傘を広げて前へ展開、「武器受け」での防御を行いますわよ。

アンナが攻撃を仕掛けたら、あたしも蒼き激情の歌をアンナが付けた傷口目がけて放ちますわ。「属性攻撃」を乗せた全力の「歌唱」で歌う激情の歌、耐えれる物なら耐えて見てくださいませ!


アンナ・フランツウェイ
【オリガ・ホーリエルと同行】

アンタが親玉か。呪詛を使えるのはアンタだけじゃない。それを教えてやる。二人の力を見せてあげよう、オリガ。

呪詛天使・再臨を発動させ、真の姿を強化。無数の呪詛を纏った黒翼の天使へと変身する。これが私が操る呪詛、いやこの世に残る怨念達だ。

地形破壊攻撃が来たら、宙へと飛び上がり「見切り」で爪の一撃と飛んでくる瓦礫の軌道を見切り回避を行いたい。回避し切れないなら「武器受け」で飛んでくる瓦礫を切り払う。

攻撃後カツィカに隙が出来ていたら、断罪剣・ラストブラッドをカツィカの胸元へ突き立てよう。命中したら「傷口をえぐる」で内臓を切り刻んで、深手を負わせてやる。
「オリガ、後はお願い。」



「畜生、畜生、ナメやがって! 必ず呪ってやるぜクソ共め!」
地団駄を踏みながら、呪飾獣カツィカはもはや余裕を取り繕うことも出来ずに怒る。
その体は既に猟兵達の連撃によってバッサリと切り裂かれ、長く保たないのは明らかだ。
更に冷静さを失っている今こそ、とどめを刺す絶好の機会なのは間違いない。

「二人の力を見せてあげよう、オリガ」
「あたし達の力を見せましょう、アンナ!」
アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)とオリガ・ホーリエル(黒き天使を支える者・f12132)は同時に口を開き、同じ言葉が出てきたことに思わず笑みを浮かべる。
二人でなら、一人では出せない力で戦える。改めてそう確信したから。

「何をニヤニヤしてんだ小娘共がよ! 死ぬ順番の相談かぁ!?」
「別に? ただ、あなたを始末した後のデートプランを練っていただけですわ!」
「な……!? ほざくじゃねえか……!」
二人の絆が心底気に入らないのだろう、カツィカは敵意を剥き出しにする。
仮にも災害レベルの召喚儀式を行おうとしていた術者とは思えないほどの余裕の無さ。
膨れ上がる怨念に半ば乗っ取られるように呪文を呟くと、瘴気が一層力を増す。

「決めたぜ、テメエらは念入りに呪い殺す! 後悔しながら這いつくばれェ!」
瘴気がカツィカの爪に集中し、禍々しいオーラとなってその忌まわしい力を増す。
そのまま全身をバネのように跳ねさせ、カツィカは呪獣の一撃で急襲した。

「アンナ、来ましたわ!」
「うん、見切った通り。やろう、オリガ」
だが、その大振りな攻撃は既にこれまでの戦いで目にしたもの。
技巧を凝らす余地もない一撃を二人は後ろに飛び退って回避。アンナは翼で飛翔する。
カツィカの爪はそのまま床を直撃し、石畳を粉々に粉砕して瓦礫を撒き散らした。
上空のアンナを庇うようにオリガが踏み込み、開いた日傘を盾にして破片を凌ぐ。
更にハンドガンを抜き放ち、即座に発砲。敵をその場で釘付けにする。

「そんな豆鉄砲が効くか! 俺の呪術の才に絶望しながら死ね!」
「お生憎様。あたしのアンナならその程度では済みませんわ」
「そう、呪詛を使えるのはアンタだけじゃない。それを教えてやる」
翼を広げるアンナ。片翼は黒、もう片翼は白。その白い翼までもが黒く染まってゆく。
染め上げるのは怨念。死して尚この世を憎む者たちの怨嗟の叫び。
呪詛天使・再臨。黒き両翼を羽ばたかせ、ここに滅びの御手は来たれり。

「お、おい、なんだよそりゃあ!? それだけの死霊を纏って無事なはずが……!」
アンナの黒翼を目にして、始めてカツィカの声色に動揺が走る。
曲がりなりにも呪術の使い手。目の前の光景が何を意味するかを本能的に理解したか。
「滅ぼせ……全てを……」
「や、やめろ! 来るな!」
カツィカが狼狽を見せたその僅かな隙で、黒翼の呪詛天使は瞬時に距離を詰める。
その手が握るのは血に錆びた鋸刃の断罪剣・ラストブラッド。
真の姿の解放によって膨大な呪詛を纏った刃が、敵の胸元へと深々と突き刺さる。
ラストブラッドは刺突用の剣ではない。そういう用途を想定した形状の刃ではない。
それを強引に突き入れられ、あまつさえ鋸刃で内臓を抉られる苦痛は如何ばかりか。
カツィカの断末魔の絶叫は、もはや言葉の体を成していない。
 
「……オリガ、あとはお願い……!」
「ええ! お聞きなさい、『蒼き激情の歌(パッション・オブ・ファイア)』!」
オリガの歌声がシンフォニックデバイスを介し、蒼い炎となって敵を襲う。
そしてラストブラッドが抉った傷跡から、カツィカの体内を一気に焼き尽くした。
揺らめく蒼い炎が敵を飲み込む様は、幻想的にすら感じられる光景だった。

「星が墜ちる……俺の、星が……」

アンナが断罪剣を引き抜くと、呪飾獣カツィカの体はその場に倒れ伏した。
次第に蒼の炎は消え、後に残ったのは鈍い金色に輝く魔物の頭蓋骨だけ。
己の欲望のために星降る夜を利用しようとした、邪なる魔物の最期だった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『星降る夜の物語』

POW   :    ご馳走を食べる

SPD   :    音楽に合わせてダンスを踊る

WIZ   :    星空を見上げて過ごす

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


呪獣カツィカを討ち滅ぼし、シャーナ村を訪れた猟兵達。
星祭りの支度は既に整い、村中が期待と喜びに満ちあふれている様子だ。
 
中央の広場には遠方から訪れた楽団が、踊りの曲を弾き始めようとしている。
通りには出店が並び、燻製肉やチーズに果物、木の実のパイも並んでいる。
星をあしらった素朴ながら華やかなドレスを、訪れた客に貸している店もあるようだ。
少しでも近くから流星を見ようと、今のうちから屋根の上に登っている人々もいた。

ふと、村人の一人が夜空の一点を指さした。
闇の中を滑るように流れていく光を目にして、人々は口々に快哉を叫ぶ。
待ちに待った年に一度の星降る夜が、ついに始まろうとしていた。 
アンナ・フランツウェイ
【オリガ・ホーリエルと同行】

これで一件落着。あとはオリガと共に星空を見上げて過ごそう。かつていた実験施設では外に出たことが無かったし、こうやって星空を見るのは初めてなんだよね…。

星が流れ始めたら、以前聞いた通りに願い事をしよう。
願いは「もっと今まで知ら無かった事や、世界の事を知りたい。」今の私にはこれ以上の願いはないと思う。

もう一つ願えるとしたら「この先オリガと一緒に居たい」かな。今の私には分からない事や出来ない事、辛い事が多いけどオリガが居てくれるなら、きっと乗り越えていけると思うから…。

・アドリブ歓迎


オリガ・ホーリエル
【アンナ・フランツウェイと同行】

やっと星祭りの時間ですわね!二人で流れ星を見ましょうか!…二人だけだし言葉遣いを素に戻してもいいわよね?

流れ星を待つ間アンナに、【予備の血液パック】を渡して飲んでもらいましょうか。戦闘で血液結構使ったし、そもそもあの子の生命維持には他者の血液が必要なのよね…。
「アンナ、これあげるわ。いつもの物よ。」

流れ星が流れ始めたら、あたしも願い事をするわ。
願い事は「アンナが幸せになって欲しい」。あの子は今まで辛い目に合ってきた分、幸せになって欲しい。その幸せは、いつの日かアンナの生きる力になってくれると思うから…。

・アドリブ歓迎



天には、満天の星。眼下には、星祭りに備えて動き回る人々。
年に一度のその時を前にして、シャーナ村の誰もが流星群の到来を待ち侘びている。
既に屋根の上に登って、最初の流星を見つけようと空を見上げる人も出始めていた。

シャーナ村の中心部にある教会の尖塔の上。この村の中で一番高い屋根。
その屋根の縁に腰掛けて、二人の少女が寄り添い合って星空を眺めている。
本来は登ってはならない場所だが、猟兵の活躍を聞いた神父が特別に貸してくれたのだ。
「アンナ、これあげるわ。いつもの物よ」
「……うん、ありがとう」
隣に座るオリガ・ホーリエル(黒き天使を支える者・f12132)に手渡された血液パックを、アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)は頷きながら受け取った。
彼女のユーベルコード『断罪式・薊ノ花』は自らの血液で武器を形作る禁断の術式。
ゆえに血液の消耗は激しく、戦闘後は何らかの手段で補給しなければならない。
(もっとも、元々この子の生命維持には他者の血液が必要なのよね……)
パックから血液を摂取するアンナの横顔を、オリガは複雑な表情で見つめた。
かつて親に売られ、実験施設で育ったアンナ。今は解放されたとはいえ、背負ってきたその過去が落とす暗い影は、彼女に光差す道を真っ直ぐ歩むことを許さない。
そんな彼女を支え続けると誓ったから、オリガ・ホーリエルはこうして此処にいる。
「施設では外に出たこと無かったし、こうして星空を見るのは初めてなんだよね……」
「ふふっ、どう、綺麗でしょう?」
「うん……なんだか吸い込まれそう」
星の輝きに目を奪われているアンナにつられて、オリガも同じ空を見上げる。
どちらからとも無しに肩を寄せ合い、寄り添い合って、二人は天に想いを馳せた。

そして。
「……あっ、流れ星!」
天を翔る最初の流星。思わず声が漏れたその時、管弦の音色が響き渡った。
流星を合図に星祭りが始まったのだ。楽しげな歓声が地上の方から聞こえてくる。
「……次の流れ星には、ちゃんと願い事をしないと」
「そうね、一緒に探しましょう」
祭りの喧噪からは遠く離れて、二人の少女は遙かな夜天へと目を凝らす。
ほどなく二つ目の流星を見つけた二人は、流れ落ちる僅かな時に願いをかけた。
そしてそんな一生懸命な様子をお互いに目にして、思わず微笑み合う。
「アンナは、どんなお願いをしたの?」
問いかけるオリガの瞳を見つめ、アンナは思い浮かべた願い事をもう一度繰り返す。
「……『今まで知らなかった事や、世界の事を知りたい』って。今夜生まれて初めて見た 流れ星みたいに。未知の世界を、まだ知らない心を、少しずつでも知っていきたい」
「ふふ、アンナらしい」
「うん、今の私にこれ以上の願いはないと思う。オリガは?」
アンナが問い返すと、オリガは僅かにはにかみ、それでもすぐに口を開いた。
「私は『アンナが幸せになってほしい』って祈ったわ。これまでの過去を取り返せるくら い……ううん、未来へ向かっていけるくらいに、知らなかった幸せを知ってほしい」
嘘偽りのない、それはオリガの心に宿っていた真っ直ぐな願い。
黒き天使を支える者になると決めたその時から、変わらず抱き続けてきた確かな祈り。
その想いを受け止めて、アンナの胸に秘めた言葉が溢れ出す。
「……もう一つだけ、願い事してもいいかな」
「どんなこと?」
「私……『この先もずっとオリガと一緒にいたい』。今の私には知らないことも、分から ないこともも多いけれど。でも、どんな辛いこともオリガと一緒なら越えていける。
 私がこれから、まだ知らない幸せを知るとしたら……それはオリガと一緒にだよ」
「……うん、うん。二人で一緒に、まだ知らない幸せを、見つけていきましょう」
寄り添った肩から互いの体温を感じる。重なり合ったてのひらに、想いを感じる。
指先を絡め、そっと握り合って、絆を確かめながら二人の少女はもう一度空を見上げた。
 
視線の先にまたひとつ、天から星が流れ落ちる。
希う。どうか二人の歩んでいく先を、星の光が照らしてくれるように、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御形・菘
はーっはっはっは! また一つ、分不相応な悪をボコってしまったわ
流れ星には、妾の敬虔な動画視聴者の無病息災を祈っておくとしよう

そうだ皆の衆よ、星空をバックに皆で記念撮影をせんか?
編集動画のサムネ案を検討しておったが、呪詛ったムサい奴らとバトってる絵面を採用するよりも、この綺麗な光景の方がはるかに素敵であろう!
尻尾の鱗が美しいグリモア猟兵のお主も、一緒にどうであるかな?
ほれほれ住民の皆も、集まれ集まれ!
あの浮いとる装置(天地)に笑顔だ!

勝利の証の頭蓋骨を掲げて、ドヤッと決めポーズよ!


ユーイ・コスモナッツ
輪から少し離れたところに腰かけて、
音楽を聞いたりダンスを眺めたりしながら、
のんびりとします

ふふっ、皆楽しそう
それでこそ、
身体をはった甲斐があるというものです

それにしても、あの木の実のパイの
おいしそうなことといったら……
眺めるだけのつもりが、
なんだかお腹が空いてきちゃった
ちょっと食べてこようかな

あれっ、ツェリスカ様
こんなところで何を?
そうだ!
良かったら、ツェリスカ様もご一緒しません?
そんなことおっしゃらずに、ほら、ねっ?

→YES
わあ~~、ハイッ!
それじゃあ、何から食べます?

→NO
そっか、せっかくの星祭りですもの、
静かに星空を眺めたいですよね
私もさっきまでは、
そのつもりだったんですけれど……えへへ


泉・星流
『とんでもない甘党』…なだけに甘味目的で参加

…だったが『女性(女の子)に間違われ』、ドレスの貸し出し店の人から「お嬢さんによく似合うドレスがある」…と、強引に(女性店員達に)着替えさせられる

なお…女性店員達は途中で気づいたが、「可愛いから…」「こんなときでもないと、こんなドレスなんて…」…との理由からヒートアップ…しっかり化粧やら装飾やらにもこだわり出した

しっかり元着ていた服は(店が強引に)預ける事となり、女の子として祭りに参加(しかも、よく似合ってる)

『村の外から来た可愛い女の子』…と言うことで、祭りで色々とサービス(主に甘味店)からサービスをしてもらったとか



最初の流れ星を合図に、広場では村人達の踊りが始まった。
楽団が奏でる軽快なリズムに合わせて、晴れ着の裾を翻しながらステップを踏む。
星をあしらった衣装の少女たちが、この日のために練習した秘伝のダンスを披露する。
入れ替わり立ち替わり踊る人々も、それを見ながら声援を送る人々も、皆一様に笑顔だ。

「ふふっ、皆楽しそう。それでこそ、身体を張った甲斐があるというものです」
ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)はそんな人々を眺めて微笑んだ。
この幸せな光景は、ユーイたち猟兵が命を懸けて守り抜いた大事なものだ。
愉快そうに笑う人々の姿は、オブリビオンと戦う本当の意味を思い出させてくれる。

「それにしても……」
ユーイの目の前を、子供達が木の実のパイを頬張りながら通り過ぎていった。
森で採れた何種類もの甘い実を煮込んで作ったパイからは、甘酸っぱい匂いが漂う。
こらこら歩きながら食べないの、と窘める母親達の顔にも微笑みが浮かんでいる。
「……眺めるだけのつもりが、なんだかお腹が空いてきちゃった」
せっかくお祭りに来たのだから、ここでしか食べられない味を楽しんでみよう。
ユーイは立ち上がり、広場を離れて村の大通りへと足を向けた。

通り沿いには食べ物や民芸品、衣装の貸し出しに至るまで、出店がひしめき合っている。
村人だけでなく近隣の街からやってきた人も行き交い、辺りは祭りらしく賑やかだ。
そんな人混みの中に紛れて、ユーイは見覚えのある後ろ姿を見つけた。
褐色の肌に白い長髪、白い翼、白い尻尾。何やら考え事をしながら屋台を覗いている。
「あれっ、ツェリスカ様! こんなところで何を?」
ユーイの声に、ツェリスカ・ディートリッヒ(熔熱界の主・f06873)は振り返る。
「ユーイ・コスモナッツか、その様子だと星祭りは満喫できているようであるな。
 なに、余も市井の営みを肌で感じねばと思ってな。これも貴人の務めであろう」
そう言いながらも、ツェリスカの視線は屋台のパイに釘付けになっているようだ。
「そうだ! 良かったら、ツェリスカ様もご一緒しません?」
「一緒だと? 余のことは気にせず、楽しんでくればよかろうに」
「そんなことおっしゃらずに、ほら、ねっ?」
ユーイの熱心な誘いに、ツェリスカはふっと微笑みを浮かべる。
「ふふ、良かろう。汝にはヘロドトスの戦いの礼もしたいと思っていたところだ。
 ユーイよ、今宵は余の奢りである。まずはこの木の実のパイから頂こうではないか」
さっそくパイを買って分け合うと、二人は連れ立って雑踏の中へ歩き出した。

しばらく談笑しながら歩いていた二人は、ふと道端の人だかりに目を留めた。
何やら、赤茶色の髪をした小柄な少女が、村の女性達に囲まれているようだ。
いや、四方八方から揉みくちゃにされていると言ったほうが正しいか。
少女は困ったような笑みを浮かべて応対していたが、二人を見つけて手を振り始めた。
ユーイとツェリスカは思わず見つめ合い、そのまま並んで首を傾げる。
「ツェリスカ様、お知り合いですか?」
「はて、あれだけの美少女を余が見忘れるとも思えぬが……」
二人揃ってしばらく考え込み、ほぼ同時に答えに辿り着く。
「……もしかして星流さん?」
「泉か、驚いたな。どうしたのだその格好は」
「あはは……これには色々と事情があって……」
女性達の輪を脱し、泉・星流(人間のマジックナイト・f11303)は安堵の息をついた。

遡ること数刻、星祭りが始まって間もない頃。
星流は大好物の甘いお菓子を目当てに、通りに並ぶ露店巡りを楽しんでいた。
祭りの主役は流星群ではあるが、星流にとっては花より団子、流星よりもパイである。
でもパイもいいけどこっちの蜂蜜漬けの果物も美味しそうだな、などと考えていると。
「あら、見ない顔ねぇ。よその街から来たの?」
星流の容姿は人目を惹くのか、村の女性が興味津々といった様子で声を掛けてきた。
素性を説明しようとして、そういえばこの世界の人々は猟兵を知らないのを思い出す。
「ええと、そうだな……その、実は僕、冒険者で……」
「冒険者! まだ子供なのに偉いわねぇ!」
「うちの悪ガキとは大違い! 見た目はこんなに可愛いのに!」
「それじゃお嬢ちゃんは旅の人? ちょうど星祭りとは、本当にいい時に来たね!」
「お嬢ちゃん? いや、僕はおと」
容姿こそ中性的だが、星流はれっきとした男性だ。咄嗟に訂正しようとしたのだが、
「でも折角の星祭りなのに、そんな男の子みたいな服じゃ勿体ないよ!」
「そうだ、うちの店の服を貸してあげましょうか!」
「いいわね、目いっぱいお洒落させてあげましょ!」
盛り上がった女性達は星流を洋服店へと担ぎ込み、勢いに任せて着替えさせたのだった。

「……というわけなんだ」
「な、なるほど……」
全身をフリルで飾った愛らしいドレスに、星の衣装をちりばめた髪飾り。
髪型や化粧まで手を加えられ、今や星流はどこからどう見ても女の子だった。
ちなみに男なのは既にバレているが、可愛ければ良しの精神で流されてしまったらしい。
「ふふ、まあ似合っているから良かろう。意外と得もしているようだしな」
ツェリスカの言う通り、星流の両手は村人達にサービスされたお菓子で塞がっている。
「複雑だけど、これは確かに嬉しいかな……」
苦笑いする星流。そんな三人の名を、遠くから呼ぶ声があった。
「おお、そこにおったかお主ら! どうだ、一緒に記念撮影でも……」
御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)はそう言いながら近づき、ふと首を傾げた。
「こちらのお嬢さんはグリモア猟兵殿の知り合いか?」
その流れはもうやったよ!という星流の叫びが、雑踏に響き渡った。

「実はな、今回の顛末をまとめた編集動画のサムネ案を検討しておったのだがな。
 あのカツィカといい手下の悪魔共といい、揃って呪詛ったムサい奴らではないか。
 あんなのとバトってる絵面より、この綺麗な光景の方がはるかに素敵であろう!」
三人を引き連れて広場へと戻りながら、菘は力説する。
その口振りからすると、カツィカとの戦いは初めから一通り録画してあるらしい。
「最初は教会の屋根の上の二人にも声を掛けようと思っておったが、二人だけの時間を邪魔するのも野暮だと思い直してな。そこでお主らを探しておったというわけだ」
そう言って案内した広場には、既に村人や楽団員たちが集まってきていた。
「おお、皆の者も来たようだな! これより写真……姿写しの魔術を執り行う!」
どうやら魔術道具ということにしているらしい撮影ドローンを、菘は宙へと浮かべる。
それと同時に人々へてきぱきと指示を出し、フレームに収まるように整列させていく。
「猟兵の皆はこちらだ。尻尾の鱗が美しいグリモア猟兵殿も入るであろう?」
「ほう、我が尻尾に目をつけるとは大したものよ。そう言われては参加せざるを得まい」
「ふふっ、それじゃツェリスカ様は私の隣ですっ」
「あの、僕はこの女の子の服のまま? やっぱり?」
「はっはっは! 観念して我が動画のサムネに輝く一輪の華となるがいい!」
談笑しながらも皆一所に集まり、宙に浮かぶ撮影ドローンを見上げる。
菘の合図と共に、シャッターが切られたその瞬間。
背後の夜空を、一際大きな流星が駆けた。

  ▼  ▼  ▼

こうして、星祭りの夜は更けていく。
笑い合い、寄り添い合い、空を見上げて、楽しい時間は過ぎていく。
そんな人々の営みを見守り、勇気づけるように、流星群は夜空を駆け抜ける。
地上から見上げる人々の想いを引き受け、彼方へと運んでゆくかのように。
流れ星に願いを掛ければ、その願いはきっと叶うというのなら。
願いという名の流星は、人の心の中にこそ輝くのかもしれない。

巷に星の降るごとく、我が心にも星ぞ降る――


                         【巷に星の降るごとく】終

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月12日


挿絵イラスト