#サイバーザナドゥ
タグの編集
現在は作者のみ編集可能です。
🔒公式タグは編集できません。
|
●
「サイバーザナドゥにおける楽しい暮らしの一例は、『軽くメシにして、遊びにいって、2次会で打ち上げ』……だそうです」
グリモアベースにて。珍しく事件でもないのに話しかけてきたのは眞清水・湧(分界簸却式超人類祖型・f02949)だ。
眼鏡の奥の瞳に、未知の世界への好奇心を湛えている。
「現地の文明の一端にでも触れる為、私もこの一連の娯楽を体験してみようと考えているのですが……皆さんもご一緒にどうですか?
実は、私1人ではこのメニューを上手くこなせるかが不明で……特に『2次会』というものは、1人では行えない懸念があります。複数人で協力する必要があるのではないかと」
神妙な表情で、至って真面目に語る湧の話を、とりあえず聞き続けてみる。
「プランはこうです。
まずはごくポピュラーな食事処、『ガード下のサイバー居酒屋』で腹ごしらえをします。
お酒が飲めなくても大丈夫。合成食材や培養肉、バイオマグロ、味覚情報改竄系ナノマシンペースト等を使った色々な料理が楽しめるようです。
事前に情報収集して美味しそうなメニューを選ぶのもいいですし、一期一会の出会いに賭けてみるのもいいでしょう。
次に大型ゲームセンターへ遊びに行きます。いわゆる近未来のゲームで普通に遊ぶことも出来る他、リアルマネーを賭けたカジノゲームも楽しめるとか。
メガコーポの意向により、未成年でもお小遣い程度の少額から賭けて遊べます。
最後はコンセプトカフェ――ロボカフェで二次会です。
ロボットアニマルや執事ロボ、メイドロボ等が接客してくれる、深夜まで営業するバー兼カフェというお店です。
合成スイーツが豊富な他、ロボット用のメニューにも対応しているらしいです」
「――作戦は以上です。
そういうわけで、そろそろ夕御飯の時間ですし、よければ夜の街の探検に出かけませんか?」
はにかんで提案しながらも、湧はいそいそと世界を渡る準備を整えている。プランを遂行し好奇心を満たす為なら、1人2次会も辞さない様子だ。
誘いに乗った猟兵は、転移によってサイバーザナドゥへと向かった……。
魚通河
夜の街へ遊びに出かけよう、という日常シナリオです。
●NPC
オブリビオンは登場せず、戦闘もありません。
店員さんや一般客、酔っ払いや不良グループなど、プレイングで指定するとモブキャラが出て来ます。話し込んだりゲームで対戦したりの他、態度の悪い客をアームロックで撃退するなどの軽い戯れもありです。
湧もプレイングで呼べば登場しますが、放っておいても描写外で楽しんでいるので、気にしなくても大丈夫です。
●1章
サイバー居酒屋で食事をします。「場末のサイバー居酒屋にはこんなメニューがありそう」というメニューは大体あります。
●2章
ゲームセンターでゲームに興じます。「未来のゲームセンターにはこんなゲームがありそう」というゲームは大体あります。お金も賭けられます。
●3章
ロボがいっぱいのロボカフェで二次会です。「こんなサービスがありそう」というサービスは大体あります。
20歳未満のPCは飲酒・喫煙をすることは出来ないのでご注意ください。
第1章 日常
『サイバー居酒屋の夕暮れ』
|
POW : 好きなメニューを好きなように飲み食いする
SPD : 店主や他の客のオススメを頼む
WIZ : 他の客との世間話を楽しむ
イラスト:del
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
オイルと薬品の混じり合った匂いが鼻を衝く。
街並みはゴミゴミしているが、よく見れば現代地球ではありえない高度なテクノロジーの産物がそこかしこに散見される。
街頭ビジョンから流れるギラギラしたCMは、酩酊プログラムを入れたレプリカント達が肩を組んでかき鳴らす電子音に邪魔されて、聞き取ることは出来ない。
雑踏を歩いてみれば、騒々しくはあるが、どんな環境でも楽しんでやろうという人々の活気が感じられた。――そんなささやかな希望すら許されない場所は、もっと深くに隠されているのだろう。
辿り着いた真空チューブレールの高架下には、提灯型電飾を掲げたサイバー居酒屋が窮屈そうに並んでいる。
猟兵ならばどんな姿をしていようと、疑問を抱かれる心配はない。
暖簾をくぐり、店内へ足を踏み入れると、「イラッ、シャイ、マセー!」という接客用ロボットのたどたどしい合成音声が響いた。
ユーフォリア・ヴェルヌ
培養肉バーガー!
一部ヒーローが超技術アイテムを使いこなす
ヒーローズアースでも、NYで市販はされてない珍品ですの
向こうではまだ研究開発段階で、実際とてもコストがかかりますし
話の種に、ザナドゥ産の培養肉バーガーを頂きましょう
(注文して、出されたバーガーをじっと見つめ)
これは、細胞ペーストを培養しただけのミンチ肉?
はたまた、お肉の繊維を3Dプリントで再現したもの?
培養肉には血が通ってないとも聞きますし、そこをどう調理してるか?
香りは…?
さて、いただきますの
(小さなお口を大きく開けて、ひとくちガブリと)
●
「培養肉バーガー! 珍品ですの!」
メニューに見つけたその名前に、目を輝かせるのはユーフォリア・ヴェルヌ(夢渡りのユッフィー・f16701)。
様々な超技術が存在するヒーローズアースでも、市販されているようなものではない。
「向こうではまだ研究開発段階で、実際とてもコストがかかりますし――話の種に、ザナドゥ産の培養肉バーガーを頂きましょう。
店員さん、これをお願いしますの」
「カシコマリー」
注文してから、待つこと数十秒。どうやって調理したのか不明だが、店員ロボットが運んで来たバーガーを、ユーフォリアはしげしげと観察する。
「バーガーですから、ミンチ肉を固めたパティなのは一般的ですけれど――培養肉というのは最初からミンチ状なのかしら? 細胞ペーストを培養して……。それともお肉の繊維を3Dプリントで再現したものだったり?
その辺りはどうですの? 店員さん」
ユーフォリアの質問を受けて――それまで愛嬌のある動きと喋りで接客していた店員ロボットはぴたりと動きを止め、流暢に語りだした。
「お客様、当店で使用しております培養肉は全て、政府が定めた健康基準と倫理規定をクリアしており、大変安全です。
遺伝子は95%まで国産牛と一致しており、バイオロイド被験体テストによっても安全であることが実証され――」
「わわ。も、もういいですの。安全なのはよく解りましたから……」
食材に関する質問がトリガーだったのだろう。とにかく安全な肉であると並べ立て続けるロボットに、ユーフォリアは質問を取り下げて制止するしかなかった。
「(強調しすぎて逆に怪しいし、肝心の製造過程は一切話してくれませんでしたの……)」
どうやらメガコーポに支配された世界では、消費者の知る権利は限りなく制限されるらしい。
「では気を取り直して、匂いは……うん。悪くないですわね」
暖く焼き上がったバンズとパティの香り。NYでハンバーガーを頼んでも、出て来るものはこんな匂いだろう。
「さて、いただきますの」
小さな口をあーんと開けて、ガブリと齧りつく。もぐもぐ……ごくり。
「これは――ちゃんとお肉の味がしますの!」
それ以上でもそれ以下でもないのだが、ロボットの怪しい言動で不安を煽られていただけに、少し嬉しい。
「ハンバーガー全体としての味は――野菜はいっさい入っていませんわね。
そして、調味料がたくさん加えてありますの。どこか単調で、こちらの食欲を無理矢理亢進させてくるような……」
そうは言いつつもぱくぱくと食べ進めて――食べ終える頃には飽きが来ている。そんな味であった。
「イカガ、デシタカ?」
「ごちそうさまですの。美味しく頂きましたわ」
「アリガタキ、シアワセー」
愛嬌を取り戻したロボット店員を、ユーフォリアはやや複雑な気持ちで見つめるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
臥待・夏報
ガード下の居酒屋いいねぇ
千円でべろっと飲めるお値段感だと更にいい
でも今日はちょっと贅沢しちゃおっと
バイオエタノールのカイピリーニャと
お刺身食べ比べセットを頼んでみたよ
日本海側出身の夏報さんは魚の味には厳しいぞ
バイオマグロは……あんまり期待してないけど
この……これは何?
ナノマシンペースト(マグロ味)?
うわっっ美味い
美味いっていうか、体に直接信号が送り込まれてるみたいで怖い
これ合法なの?
食べ続けたら脳が駄目になりそう……
同業者のよしみもあるし
湧くん……エージェント眞清水を見かけたら声を掛けておこう
こういうお店が好みかい?
いつかUDCの居酒屋も案内してあげるよ
君が成人するまで、お互い生き残れたら、ね
●
「ガード下の居酒屋、いいねぇ」
サイバー居酒屋の外観にうんうんと頷くのは臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)。
「臥待先輩、こういう場所は慣れておられそうですね」
「まあちょっとね。湧くん……エージェント眞清水はこういう場所は――」
夏報は話しかけてきた相手、きょろきょろと落ち着かない様子の湧を見やる。
「(慣れてなさそうだなぁ。慣れてたらそれはそれで問題あるけど)」
そういうわけで同業者のよしみもあり、お姉さん風を吹かせて同行を申し出ると、湧は喜んで夏報の後ろをついて行くのだった。
「さて、千円でべろっと飲めるこのお値段感がまたいい。――でも今日はちょっと贅沢しちゃおっと」
夏報が注文を入れて暫し後。異様な速さで給仕されて来たのはバイオエタノールのカイピリーニャと、お刺身食べ比べセット。
外観への配慮などは一切なく、味気ないプレートに刺身だけが無機質に並んだ一品だ。
「それでも刺身は刺身の見た目をしているんだな。――じゃあ味は? 日本海側出身の夏報さんは、魚の味には厳しいぞ」
醤油色をした調味料に刺身をつけて、口に運ぶ。
「……うん。生だけに、味のごまかしようがないって感じ……」
幸い、食べられないことはなかった。食べ比べセットの名の通り、様々な刺身のぼんやりとした味の違いを食べて探っていく。
「このバイオマグロも……あんまり期待はしてなかったけど」
期待しなくて正解だった。そんな後味に、カイピリーニャを一口。こちらは現代地球と変わりない品質で、ほっとする。
そうして食べ進めた結果、残ったのは真っ赤な色をした謎のペーストだった。
「この……これは何?」
思わず側にいた店員ロボットに尋ねると、元気な答えが返って来る。
「ソチラ、なのましんぺーすとニナリマス。まぐろノ味ヲ完全再現! トッテモ、オイシイ!」
「ふうん……」
もはや義務感で、ペーストをひと掬い、口へ入れたのだが……。
「うわっっ美味い!」
――舌に感じたのは今までのぼやけた味を吹き飛ばすような、鮮烈すぎる旨味。脳内をあらゆるマグロのイメージが駆け巡る。
「美味いっていうか、体に直接信号が送り込まれてるみたいで怖い!
これ合法なの?」
「当店ハ法令ヲ遵守シテオリ、提供スル食品ハ全テ安全デス」
「本当だ……すごい味です」
見れば隣席の湧も、何らかのペーストを食べて目を丸くしている。
「体積も小さくて栄養価もないなら、いくらでも食べ続けて神経に刺激を送り続けられそうですね」
「怖いこと言うね。癖になって食べ続けたら脳が駄目になりそう……」
ナノマシンペーストに危機感を覚えた2人は、箸休めに世間話を始める。
「ところでエージェント眞清水、こういうお店は好みだった?」
「はい、臥待先輩。普段は研究所で暮らしているせいか、雑然とした場所は面白いです」
「そうか。それならいつか、UDCの居酒屋も案内してあげるよ」
「本当ですか? 嬉しいです。是非連れて行って下さい」
湧はアルコールを摂っていないが、雰囲気に酔ってふわふわ微笑む。
「ああ。君が成人するまで、お互い生き残れたら、ね」
「はい。その時までUDCアースが滅んでいなかったら、ですね」
それから、2人は少ししんみりした空気に浸りつつも、ついつい止められずにナノマシンペーストに手を出し――食べ終わる頃には脳か舌かが麻痺してしまったようで、何の味もしなくなっていた。
「これ本当に大丈夫?」
やや青ざめる夏報に、店員ロボットは「安全デス、安全デス」と頻りに繰り返した。
大成功
🔵🔵🔵
リケ・ヴァッハ
アドリブ・連携◎
高度なテクノロジーの産物…マニー(お金のこと)の匂いがぷんぷんする世界があるなんて…サイバーザナドゥ…まさに私にうってつけなところね!
そうと決まれば最近の流行な物とかの聞きこみ調査よ!
サイバー居酒屋…ここはいい話が眠ってそうじゃないの
私は一応8歳だし酒はダメとしてジュースとか頼もうかしら?
それと〜…マスターのおまかせでいいや!
さってと!いかにもワルそうな輩がいっぱいいるわねぇ〜…金の話だけ聞くだけ聞いて悪どい誘いは適当に断るか
ほかの猟兵と話すならここでの活躍とかも聞いても良さそうね?
●
「高度なテクノロジーの産物……マニーの匂いがぷんぷんするじゃない!
こんな世界があるなんて……サイバーザナドゥ……まさに私にうってつけな世界ね!」
目をドルのマークにしてウハウハな様子のリケ・ヴァッハ(「太陽」を司る小さな聖女神・f35566)。こう見えても太陽の神様らしい。
「そうと決まれば、最新の流行や売れ筋商品――儲け話の調査開始よ!」
意気揚々とサイバー居酒屋に乗り込んだ。
「うーん、けっこうなお客の数。いい話が眠ってそうじゃないの」
逸る気持ちを押さえ、まずはお客として注文。
「マスター、ジュースをお願い。それと──マスターのお任せでいいや! 適当に見繕ってくれる?」
リケの注文に、サイボーグのマスターはこくりと頷くと、4本の機械腕を駆使してミックスジュースを作り、合成ヤキトリを焼いてくれた。
「どうもありがと!
さってと、マニーの話を聞き出すわよ!」
もぐもぐとヤキトリを片づけると、ジョッキ一杯のジュースを片手に、リケは果敢に他のお客に絡んで回った。
「うんうん。そうなのね、わかるわ! ――ところで流行の品って……」
ある時は愚痴に相槌をうち。
「それは大変だったわね! ――ヴァーチャルキャラクターと同じアイテムが人気?」
ある時は苦労話に同情し。
「そんなことってあるのね、ケッサクだわ! ――人気キャラは皆メガコーポ所属?」
ある時は悪い話に乗っかって。
「……ふう。何となく掴めたわ」
結果、解ったことがある。
「この世界じゃ、儲け話はそうそう転がっていないって」
倫理が荒廃したサイバーザナドゥにおいて、唯一絶対の価値を持つもの、それは金。
支配者たるメガコーポは表の商売でも裏の稼業でも、商品と金の流れ全てを牛耳っており、強固かつ排他的な集金システムは縄張り内に浮いた富の存在を許さない。
メガコーポに属さない異邦人が、簡単に食い込めるものではなさそうだ。
しかしそれを知っても尚、リケの目の輝きは衰えない。
「そうだとしたら……やるべきことは簡単ね。メガコーポはがっぽりとマニーを貯め込んだ金庫みたいなもの。
その支配に風穴を空けることが出来たなら、膨れ上がったマニーが洪水みたいに溢れ出すわよ!」
やはり、メガコーポ倒すべし。リケはジョッキを傾け、ミックスジュースを飲み干した。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 日常
『サイバー遊技場』
|
POW : とにかく全力で遊びまくる
SPD : 自分の得意な分野で勝負する
WIZ : 策を巡らせ、一瞬の勝負を狙う
イラスト:del
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
サイバー居酒屋で腹拵えを終えた猟兵達は、巨大ゲームセンターへ向かった。
広大な店内には古今の様々なゲーム機や筐体、サイバースペース装置が揃えられ、金銭を賭けられるカジノゾーンでは、レプリカントのディーラーと不良っぽいグループが揉めたりもしている。
このサイバーザナドゥにも、別の地球で馴染みのゲームと同じものが偶然存在するかも知れない。勿論、全く知らないゲームに手を出してみるのもいいだろう。
リケ・ヴァッハ
アドリブ・連携◎
ほっほ〜…カジノにゲームかぁ〜
ギャンブルでお小遣いでも稼いじゃおうかなぁ〜♪
この世界は無法地帯だから未成年がゲーム感覚でギャンブルしてもいいわよねぇ〜♪
私がするのは…オセロよ!
シンプルでハイなテクニックを要求するゲームでがっぽがぽよー!
まぁ負けても私はアイテムで「ブルーアルカディア通貨(G)」と「グリードオーシャン通貨(シルバー)」持ってるから正当なギャンブルを成立できるんだけどね
対戦相手がワルで不正行為してきていちゃもん付けてきたら「ビジネス知識」と「誘惑」で逆にマニーを引っこ抜いてやるわー!
●
「ほっほ~……カジノにゲームかぁ~。
ギャンブルでお小遣いでも稼いじゃおうかなぁ~♪」
相変わらず、目をドルマークに輝かせて稼ぐ気満々なのはリケ・ヴァッハ(「太陽」を司る小さな聖女神・f35566)。
「未成年でもゲーム感覚でギャンブルしていいなんて、やっちゃったわねメガコーポ。私と勝負することになっちゃうんだからねぇ~♪」
そんなリケのやる気を嗅ぎつけて、レプリカントのディーラーも寄って来る。
「お客様、当店は初めてでいらっしゃいますか? よろしければ私と一勝負――」
「勿論、望む所よ! お金も賭けてね!」
「グレート……では御希望の勝負内容などは?」
「あるわ! 私がやるのは――オセロよ!」
「オセロ? ……成程。お受け致しましょう」
「そうこなくちゃ。シンプルかつハイなテクニックを要求するゲームで、がっぽがぽよー!」
かくして、賭けオセロでの勝負が始まった。
リケの申し出を受けて、ディーラーは内心ほくそ笑んでいた。
オセロで決着がつくまでの手順の全パターンは、10の60乗ほどと言われる。ディーラーに搭載された電子頭脳を以てしても完全に読み切るには至らないものの、生体計測分析からして生身の脳であろうリケに負ける筈はないと踏んでいたのだ。
――ディーラーの誤算は、リケが埒外の存在である猟兵、しかも神であったこと。その高レベルの知力は、ディーラーの計算能力と互角以上に渡り合うことが可能であった。
「やったわ! 私の勝ちね!」
「まさか、そんな……!?」
「ねえ、どうする? もう一勝負しましょうよ!」
無邪気に尻尾を揺らして喜ぶリケに、愕然とするディーラー。
その後、ディーラーの申し出もあり、2人は様々な賭けゲームで勝負を続行した。賭け金をだんだん吊り上げながら勝ち負けを繰り返し、それでもリケはやや勝ち越し。
そしてリケの機嫌が最高に良くなり、油断する頃合いと見たディーラーは、カード勝負で逆転の一手に出た。――機械腕の超スピードを駆使したイカサマである。
ディーラーには勝算があった。生身の眼球であろうリケにこの速度を見破れる筈はないと。
しかしリケは猟兵で、神なのだ。
「ねえ。ちょっと」
ディーラーが不正なカード操作を行う刹那、その手をリケの手(前足?)が踏んづけて、押さえ込んだ。
「これは何の真似だい?」
リケの赤い眼が不気味に輝き、レプリカントのカメラアイを見下ろす。勿論、リケはこういう展開を予見していた、どころか待ってさえいたのだ。
「ア……ウウ……」
ディーラーには、まだ打てる手はあった。バックにはメガコーポがついており、警察さえも彼等の味方である。
しかし、目の前で圧倒的存在感を放つリケに2度までも計算を狂わされたディーラーは、もはや自分の計算を信じられず……代わりに本能に従うしかなかった。神を畏れ、供物を捧げて許しを乞うたのだ。――リケの大好きなお金を。
「やった、やったわ。儲けちゃった~♪」
こうして、ディーラーが貯め込んでいた個人資産を巻き上げたリケは、うきうきでその額を計算するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
クロア・ルースフェル
【合縁】ナナとご一緒
『超忍対戦シノビサバイバー』ですって、コレにしましょー!
ふむふむ、術をひとつ選ぶんですね
あっ、わたしこの銀色の忍装束がイイです~♪キラキラー♪
こうして初心者感を出せば賭けのオッズが上がっていきます
自分達に賭けておくのを忘れずに
サイバー空間で街が展開されます
シノビらしく忍んで…おっとああ!
つまずいて身をさらしてしまいました、あわわ…!
飛んでくるシュリケンが刺さりますが、ソレは『変わり身の術』なんですよねぇ
反撃はナナにお任せしましょう
わたしは演技に引っかからなかった猛者の索敵を
いました、ナナ、あちらのビル
やーん流石ナナ~!
拳タッチで優勝を飾りましょう
さて、配当金は…コレはスゴい
黒瀬・ナナ
【合縁】クロアさんと一緒に
きゃーっ!そのゲーム楽しそう!
チーム対抗戦なんて燃えるわね♪
わたしは初期設定のクノイチ装束で
カスタマイズのやり方も知らない初心者丸出し感を漂わせてオッズを吊り上げましょ
サイバー空間の街についたらいざ開戦!
物陰に隠れて、クロアさんを狙ってきた相手に手裏剣をお見舞い!
猛者が潜んでいるビルは『口寄せの術』で巨大使い魔を召喚してぺしゃんこに
折角だから、連れの子亀の綿津見を呼んじゃいましょうか
やっちゃえ、巨大亀・綿津見!
瓦礫や綿津見のお腹の下から出てきた歴戦のシノビ達に接近して
カラテでキュッ★と一撃必殺!
拳タッチの後は、配当金で勝利の打ち上げに♪
さて、おいくら……え、すごっ!!
●
「『超忍対戦シノビサバイバー』……ですって、ナナ」
「何々、どんなゲームかな? クロアさん」
連れ立ってゲームを物色していたクロア・ルースフェル(十字路の愚者・f10865)と黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)。賑わった一角で足を止める。
そこでは仰々しく聳えるサイバースペース筐体を中心に人だかりが出来ている。中継されるスペース内のバトル映像に、観衆が沸いていた。
「やあ、このゲームは初めてですか?」
親切そうな笑顔のサイボーグが、このゲームについて教えてくれる。
サイバースペース内でニンジャになってチーム戦を繰り広げる。ギャラリーはどのプレイヤーが生き残るかで賭けをする、等々。
「きゃーっ! このゲーム楽しそう! チーム対抗戦なんて燃えるわね♪」
「ですよね! コレにしましょー!」
説明を聞いた2人はウキウキでプレイに望み、キャラクターのカスタマイズを始める。
「ふむふむ、術をひとつ選べるんですね。
……あっ、わたしこの銀色の忍装束がイイです~♪ キラキラー♪」
「わあ、綺麗でいいじゃなーい! 私は難しい設定はスルーして、初期設定でいいわ!」
初心者らしく、好みでビルドを決めていく2人の様子を、周囲のプレイヤーはにこにこ顔で眺めている。「最初の獲物はあそこにしよう」と小声で相談しながら。
ギャラリーも「あのチームは期待できない」と考えて、誰も2人には賭けない。ナナとクロアだけがしっかりと自分達に賭け、そのオッズは跳ね上がった。
「準備完了、いよいよですね!」
「頑張ろうね!」
周囲の視線や声には気づかないふりをし、2人は無邪気な笑顔で――その裏に思惑を隠して――サイバースペースへ潜る。
視界が暗転する。
一瞬の暗闇の後、目の前に広がっていたのは無人の街並み。
「いやあ、上手くオッズが吊り上がりましたね」
「後は全員倒すだけ……油断してどんどん寄って来たね」
敵の気配を察知した2人はアイテム集めもそこそこに、迎撃の算段を始める。
「よーし、シノビらしく忍んで敵に狙いを……おっと、ああっ!」
キラキラに輝く銀装束のクロアが、ドジを装って敵前に姿を晒す。
「あわわ、どうしましょう……!」
慌てるクロアに向けて、周囲に身を隠した敵から一斉にシュリケンが飛んで来る。
全ての攻撃が命中したクロアは――1本の丸太に姿を変えていた。
「……ソレは『変わり身の術』なんですよねぇ。流石にちょっと白々しかったですかね?」
「騙されてるから、いいんじゃない? ――そこと、そこと、そこぉっ!」
「あ、向かいの屋根の上にも1人いましたよ」
位置が判明した敵に対し、ナナはシュリケンで反撃。ヘッドショットで次々に撃破していく。サイバースペース内でも元の力や技は反映されており、このくらいは造作もない。
「あいつら、戦い慣れてるぞ!」
「ハメられた!」
ようやく実力差に気づいたニンジャ達は逃げ惑うが。
「今から逃げ隠れても遅いんですよね」
「よーし、どんどんいきましょ!」
クロアが索敵、ナナが撃破。その役割分担で、2人はサクサクと敵を狩っていった。
「……と、これだけ倒してもまだゲームが終わりません。残りは姿を見せず隠れ潜んでいますね」
「ゲームに慣れた猛者達ってところかな?」
「わたしが探し出します、その後はお任せしますよ」
「おっけー。任された!」
――クロアは注意深く歩みを進め、市街地の外縁から候補を絞っていく。そして中心部のとあるビルに近づいた瞬間。
「おっと、危ない」
正確に頭を狙って来た敵のシュリケンを、変わり身で回避。反応が少し遅ければやられていただろう。
「やっと敵の位置が判明しましたね。あのビルの内部です、他には残っていません」
「そこまで解れば、後は口寄せの術で!」
ナナは印を結び、術を発動。呼び出すのは連れ歩いている子亀の綿津見だ。
「――やっちゃえ、巨大亀・綿津見!」
口寄せの術には、ナナの精神力が反映される。まんまるおめめにまんまるボディのキュートな子亀・綿津見は、強化された術により超ビッグサイズで召喚された。――ほわわんと空から落ちて来た後、ビルを圧し潰して全壊させる程に。
落下。衝撃。崩壊。轟音。粉塵。悲鳴。
何人かの猛者は亀さんの下敷きになって倒れたようだ。それでも瓦礫から這い出して来た敵に、ナナは立ちはだかる。
「くっ。しかし接近戦なら口寄せもシュリケンも使えない!」
「他に武器もない様子。囲め!」
相手も術は使える。分身の術や縮地の術で、敵はナナを取り囲む。
1人の敵が背後から近づき――ゴッ! という鈍い音と共に倒された。
「武器がないなら、カラテでキュッ★とやっちゃえばいいじゃない」
裏拳で敵を沈めたナナがにこやかに言い放つ。
「ひっ……」
「一撃必殺!」
「うわああ!」
残った敵を素手で薙ぎ倒していくナナに、
「やーん流石ナナ~! やっちゃえ~!」
クロアは綿津見の甲羅の上に腰かけ、精一杯の声援を送った。
「やったね!」
「やりました!」
盛大な優勝の演出がサイバースペースを満たし、ナナとクロアは拳タッチで勝利を喜ぶ。
――現実に戻ってくると、ギャラリーの熱狂が2人を迎えた。誰も儲からなかった筈だが、大番狂わせが純粋に面白かったのだろう。
手を振って歓声に答えるのもそこそこに、2人は受け取れる配当金の額を調べる。手間をかけてオッズを跳ね上がらせたのだから、さぞ儲かった筈だ。
「さーて、配当金は?」
「おいくらかな? ……え、すごっ!!」
「……これはスゴい」
振り込まれたのは、猟兵の2人から見てもちょっと驚く額であった。
しばし顔を見合わせたクロアとナナは、今度は気分よく打ち上げの相談を始める。――勝利の打ち上げは豪勢なものになるだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『二次会パーリナイ!』
|
POW : 思いっきり夜更かししてあれこれ楽しむ
SPD : 面白そうな店やイベントに顔を出してみる
WIZ : 飲み物と会話を楽しみながらのんびり過ごす
イラスト:del
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
思い思いに楽しんだ猟兵達は、2次会の為にロボカフェへ足を運んだ。
「お帰りなさいませ、お嬢様、旦那様」
恭しく彼等を出迎えるのは執事風の多脚式頭脳戦車や、外装にデコレーションを施したメイドアンドロイド、利口なペットといった振舞いを崩さないロボットアニマル達。
この世界の技術であれば、有機パーツを使用して外見を本物の生物に近づけることも可能な筈だが、この店にはそのタイプは少数で、ほとんどはメカニカルな姿をしている。あえてそういうタイプを揃えているのが売りらしい。
受け答えからして、サイバー居酒屋で接客していたロボット等より高度で柔軟な対応をしてくれそうだ。
ラボを思わせる内装の店内を、青白い照明が満たす。テクノロジーの産物である合成スイーツや合成酒を頼むのもいいし、機械の身体向けのサービスもあるようだ。
リケ・ヴァッハ
アドリブ・連携◎
いやぁ〜♪思ったよりよかったわねぇサイバーサナドゥ
でも…やっぱ暗いわ…よーし!このリケちゃんがこの世界でメガコーポをしらみ潰しに金をひんだくって乗っ取ってよくしてあげるわよー!
っと、そうこうしてるうちに立ち寄った店が盛り上がってきたわね〜…よーし!リケちゃんズのダンスを披露するわよー!
私はUCで分身9匹出して「ダンス」を特化させてステージに上がって踊りまくるわよー!
あっそ〜れ!暗い顔も明るくぶっ飛ばしちゃいなぁ〜♪
●
「いやぁ~♪ 思ったよりよかったわねぇ、サイバーサナドゥ」
高級そうなソファにちょこんと腰かける、金色の毛並み。紙幣を団扇みたいにして仰ぎながら、葡萄ジュースの注がれたグラスを傾けるのは、リケ・ヴァッハ(「太陽」を司る小さな聖女神・f35566)だ。
多脚戦車の執事が傍に控え、機械の小鳥達が心地よく囀る。その光景を満足そうに眺めながら、今日一日の出来事と儲けを思い返す、至福の時間。
――と、視界の端に、窓から店内を覗き込む貧民の子供達の姿が映った。
「あの子達は……」
この店は貧民街との境目にあるらしい。店に入れるだけのお金を持たないのだろう、羨ましそうにジュースやスイーツを見つめる子供達の視線に、リケはちょっと気落ちする。
「……やっぱ暗いわ、この世界……。
よーし! こうなったら、このリケちゃんがメガコーポをしらみ潰しに金をひんだくって乗っ取って、この世界をよくしてあげるわよー!」
――だがしかし、ここでせわしなくロボ達が動き出し、子供達を店に招き入れてパーティーを開始する。
他の猟兵の計らいにより、今夜は代金は彼等持ちで誰でも飲み食い出来る店になったのだ。
「奢りだなんて、やるじゃない!」
自分もお金を払わなくてよくなった、という甘美な響きに目を輝かせ、喜ぶ貧民達の様子に胸を撫で下ろす。
店内は俄然、活気と笑い声に包まれた。
「みんな盛り上がってきたわね~……ちょっと、あのステージには誰でも上がっていいのの?」
リケが質問すると、「どうぞ御自由に」との執事ロボの解答。
「よーし! それならリケちゃんズのダンスを披露するわよー!」
リケはステージに駆け上がり、【彩陽之光(アヤヒノヒカリ)】を発動して自分の分身を召喚。
ダンス技能を与えられた、色とりどりの9体の分身は思い思いに踊り始める。
「ミュージック、スタート!」
執事ロボがリケちゃんズに相応しい曲や照明をセレクトし、ロボ達もバックダンサーを務めて、ダンスステージは最高潮に。
「あっそ~れ! 暗い顔も明るくぶっ飛ばしちゃいなぁ~♪」
キラキラ輝く彼等のステージに、子供達はきゃあきゃあとはしゃいで歓声を送り続けた。
大成功
🔵🔵🔵
クロア・ルースフェル
【合縁】ナナとご一緒
ゲームで稼いだ軍資金で、白タキシードなんて新調しちゃって
さて、豪勢にカフェを楽しむとなると……
ナナ豪勢~、そのくらいできる額持ってますもんねぇ
ふむ、合成スイーツ
スゴいですね、高タンパク低脂肪でこの味……?
な、ナニでできてるんでしょ
いえやっぱり知らないままで……
さすがにメニュー全部は量が多いですねぇ
でしたらわたしも奥の手を
「こちらのお料理に飲み物全部、わたし達の奢りです!」
お客さんを巻き込んで立食パーティーを始めましょう!
窓から現地の痩せた子供達が覗いていますね
どうぞ、今日はどなたも歓迎のパーティーです
合成ジュースをお渡ししてチンと乾杯
ナナ。笑顔がいっぱいで、最高の贅沢ですね
黒瀬・ナナ
【合縁】クロアさんと一緒に
ふふ、タキシードの美形さんにエスコートしてもらうんだもの
わたしもドレスとヒールを新調してロボカフェへ
さぁ、メニューの端から端まで持ってきてもらおうかしら!
くぅ〜っ、一度言ってみたかったのよね、この台詞
初のサイバーグルメ、目一杯堪能しましょ♪
えぇと、このカラフルなペーストも食べ物?
蛍光ブルーのはハンバーグ、ピンクのはパンケーキ、ライムグリーンのは鮪寿司っぽい味がする!
どうやって作るのかしらコレ
そうね、楽しくゲームで稼いだお金は楽しいことに使いましょ♪
お客さんも現地の子達も巻き込んで、笑顔溢れる立食パーティーなんて素敵だわ
誰とでも何度も乾杯して
幸せで贅沢な時間を満喫するの
●
少し時間は遡る。
ゲームセンターで驚くほどの儲けを手にした、クロア・ルースフェル(十字路の愚者・f10865)と黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)のコンビは――。
「いやぁ、稼いだお金で新調しちゃいました。わたしの美しさがより引き立ってしまいますね」
「ふふ、タキシードの美形さんにエスコートして貰えるなんて、素敵ね」
「そういうナナも、ドレスがよくお似合いで」
「ありがと、クロアさん。わたしも負けずに着飾らないとね」
瀟洒な白タキシードを纏ったクロアと、煌びやかなドレスとヒールに身を包んだナナは、執事アンドロイドに案内されてテーブル席へ。
「さて、豪勢にカフェを楽しむとなると……?」
「勿論これでしょ。――さぁ、メニューの端から端まで持ってきてもらおうかしら!」
「畏まりました。少々お待ち下さい」
ナナの注文を受けて、複数のロボット達がやや慌ただしく動き始める。
「くぅ~っ、一度言ってみたかったのよね、この台詞」
「ナナ豪勢~、そのくらいできる額持ってますもんねぇ」
感慨に浸るナナに、豪遊の姿勢を楽しむクロア。
ほどなく、ロボット達が原色鮮やかなスイーツを続々と運んで来て説明を始め、2人のテーブルはどんどん賑やかに。
●
「ふむ、合成スイーツ……美味しいですね」
味も見た目もレアチーズケーキにそっくりな食品に、クロアは驚く。
「コレ、本物のチーズケーキではないんでしょう?」
「ええ。ですが栄養価については本物よりも生体の御健康にはよろしいかと……」
クロアの質問に、アンドロイドは合成スイーツの利点を列挙していく。
「スゴいですね、高タンパク低脂肪でこの味……?」
「はい。保存性も高く、1年経過しても品質の劣化が見られない為……」
「1年……!?」
「ええ。しかし御安心下さい。当店で提供いたしますのは、私共がココロを込めた作り立てで御座います」
鋭敏にこちらの反応を窺うらしい。執事の言葉に、1年前のケーキを食べた訳ではないと解ってほっとするクロア。
「ああ、それはよかった。……色々とスゴいようですが、コレ、材料はナニでできてるんでしょ」
ぽつりと漏らした問いに、執事は更に慎重にクロアの顔色を窺い、モノアイでじっと覗き込んで一言。
「――本当にお聞きになりますか?」
クロアは悟る。材料について話せば更なるショックを与えかねない、と、このアンドロイドは判断したのだ。
「い、いえ、やっぱり知らないままでいいです……ああ、あっちのプリンも美味しそう~!」
何も聞かなかったことにして、クロアはスイーツを楽しむことにした。とにかく味は美味しいし、健康にもよい。夢のようなスイーツなのだから……。
●
「こちら、バイオプラント製ワイン、熟成期間10時間もので御座います」
「10年ものとかではないのね。でもいい口当たり!」
味も香りも悪くないワインに、ナナはご満悦。
物珍しい合成スイーツにも舌鼓をうち、初めてのサイバーグルメを楽しんでいたのだが、ふと目についた不思議な品を前に、手を止めた。
「えぇと、このカラフルなペーストも食べ物?」
「はい。ナノマシンペーストで御座います」
整然と仕切られたパレットにぺったりと並ぶのは、様々な原色のナノマシンペースト。どうもこの辺りではそうやって提供するのが普通らしいが、見様によっては絵の具か化粧品のようにも思える。
――ナナは好奇心半分、恐れ半分の心持ちで、蛍光ブルーのペーストを掬って口に運んだ。
「これ、美味しい! ハンバーグの味がする!」
あまりに強力なハンバーグ味による錯覚か、ハンバーグの匂いさえ感じる気がする。
「こっちのピンクのはパンケーキ、ライムグリーンのは鮪寿司っぽい味がする!」
ナナは次々にペーストを掬っては、はっきり解るその味に驚いた。
「すごいけど、どうやって作るのかしらコレ」
「はい。私共がおいしくなあれとココロを込めて、毎日ナノマシンに命令を打ち込んでおります。そうしますとどのナノマシンも元気一杯に、舌の受容体と適合して活性化させます次第で……」
「あはは、難しい話は解らないけど、そうだったのね!」
うっすら酔っているナナはアンドロイドジョークにも笑い――いつしかペーストは空になっていた。
●
こうして、思い思いにスイーツを楽しむ2人だったが、口にしたのはまだほんの一部。ロボット達は更なるスイーツを用意し、運んで来る。
「さすがにメニュー全部は量が多いですねぇ」
「じゃあどうする? クロアさん」
「わたしも奥の手を出しましょう。――皆さん、こちらのお料理に飲み物全部、わたし達の奢りです! 立食パーティーを始めましょう!」
クロアの宣言に、ロボット達は畏まりましたと頭を下げ、他の客席から歓声が上がる。
「ナナもこれを考えていたんでしょう?」
「そうね、楽しくゲームで稼いだお金は、楽しいことに使わなくちゃ♪」
頷きあう2人は、窓の外から店内に向けられる視線に気づく。
店は貧民街との境目にあったらしい。痩せた子供達が身を寄せ合って、羨ましそうにスイーツの数々を眺めているのだ。
「執事さん、あの子達も入れてあげられないかしら?」
「御希望とあらば」
ナナの提案に、アンドロイドがぱちりと指を鳴らせば、店の変形機構が働いて窓は入口へと変わる。更に店内の床はゆっくりと移動し、立食パーティー用のテーブルが用意されていく。
驚く子供達を、ロボット達は事情を説明して店内に招き入れた。
「僕等もいいの?」
「ええ、どうぞ。今日はどなたも歓迎のパーティーです」
「乾杯しましょ。もちろん合成ジュースでね」
クロアとナナは子供達にもグラスを渡し、順々にカチリと打ち鳴らす。
「本物の合成ケーキだ! 食べてみたかったの!」
「ロボットバードだ、すごい! かっこいい!」
子供達も他の客もわいわいと盛り上がり、ステージでダンスを披露する猟兵もあり――店内は喧騒に包まれた。
「素敵だわ、皆を巻き込んで笑顔溢れる立食パーティーなんて」
歓ぶ人々と、何度も乾杯して回ったナナ。その表情はやはり、皆の笑顔が移ったかのように綻んでいる。
「ナナ。笑顔がいっぱいで、最高の贅沢ですね」
同じく人々の間を回って来たクロアがナナの横に並び、微笑む。
「そうね。こんな贅沢で幸せな時間、まだ終わるのは勿体ないわ。もっともっと満喫しましょ♪」
「ええ。夜はまだ長いですからねぇ」
2人はグラスを合わせて澄んだ音を響かせると、その中身を飲み干した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵