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電脳遊戯パラダイム

#サイバーザナドゥ #サイバースペース

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#サイバーザナドゥ
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#サイバースペース


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●ゲームに隠された秘密
 ワールド・ゼロ・ソフトウェア――WZSとも略される、サイバーザナドゥのメガコーポ、ワールド・ゼロ社傘下のゲーム会社。老舗のゲーム会社として人気を誇るWZSの最新作が発表されてから、一カ月が経とうとしていた。
「WZSの新作やったか?」
「当たり前だろ、今回のも出来がいいよな」
 サイバースペースへと繋ぎ、リアルにも感じられるオープンワールドでの冒険RPG。簡単に言ってしまえば新作の内容はこれに尽きるのだが、隠し要素ややり込み要素などが多くプレイヤーを飽きさせないゲームボリュームなのだとか。
「でもさ、聞いたか?」
 何をだよ、と首を傾げた仲間に男が内緒話をするように小声で答える。
「ゲームに入り込んだまま、帰ってこれなくなるって噂があるんだよ」
「廃プレイしてるだけじゃねぇの?」
「違うんだよ、セーフティのログアウトも効かないって話でさ」
 バグじゃないか、ゲーム世界の秘密に触れたからじゃないか、なんてまことしやかに囁かれているのだ。
「でもよ、そんなのが実際にあったとしたら、WZSがバグ潰しにかかるもんだろ?」
「だからさぁ……WZSが手を引いてるんじゃないかって言われてるんだよ」
 そう言って、二人は顔を見合わせて――ギャハハ、と笑った。
「噂だろ、話題作りじゃねぇの」
「はは俺もそう思う。この噂が流れてから、ゲームプレイヤー増えたからな」
「でもマジならさ」
 ゲーム世界の秘密、暴いてみたいよな、と男が笑った。

●グリモアベースにて
「新しい世界が見つかったのは皆も知っての通りだと思うんだが」
 煙草を片手に深山・鴇(黒花鳥・f22925)が猟兵達に向かって、そう切り出す。
「電脳世界で事件が起こっているみたいなんだ」
 黒幕は巨大企業群……メガコーポと呼ばれる大企業のひとつ、ワールド・ゼロ社。その傘下たるゲーム会社が意図せずして引き起こした事件だ。
「最近になって発売されたゲームでね。タイトルはオリジンというそうだ」
 己の起源を見つけ出せ、がキャッチコピーのこのゲームはファンタジー世界をベースにしたゲーム。己の分身たるアバターの姿は好きに決めることができ、職業も自分がなりたい物になれる。上級職へのジョブチェンジや極めた後に違う職へ転職し、技能を磨けるのも売りだ。
「人気のコンテンツは多々あるようでね、闘技場で戦ったりダンジョンのボスを攻略したり……戦闘系が苦手であればクラフト、アイテム作りや魔法開発なんかもある」
 至って普通のゲームだが、総プレイ人口はかなりのもの。しかし、プレイヤーから行方不明者が出るかもしれない――というのが鴇の見た予知だ。
「ワールド・ゼロ社の機密事項……いわゆる犯罪の証拠としてのデータが、このゲーム世界にバグとして流出してしまうようなんだ」
 それは様々な形でデータとして現れるのだが、このゲーム世界の性質と相まって条件付けがなされるらしい。
「ゲームにおいて、レアと呼ばれるものがあるだろう?」
 ゲームに限らず、希少であるとされるもの。
「ゲーム世界でもレアと呼ばれるものに、このデータが付随するみたいでね」
 例えばダンジョンを攻略して得られるレアアイテム、闘技場などで得られるハイクラスの称号、アイテムや魔法の作成結果から得られるレアアイテムもそうだ。
 勿論、犯罪の証拠として弱いもの、強いものがある。より一層レアなアイテムや称号などを得れば、それだけ犯罪の証拠として言い逃れが利かなくなるだろう。
「行方不明になるのは、どうもこういった特にレアなものを手に入れてしまった人のようでね」
 ならば一般のプレイヤーが手にする前に猟兵達で引き当てればいい――という解決策が立ったのだ。
「勿論、このサイバー世界の中でもユーベルコードの力は使えるからね、それによっては一般のプレイヤーよりは引き当てる確率が上がるはずだよ」
 勿論、引き当てたとしてもレア度によって情報は違う、そこは運頼みに近い要素となる。
「でね、このレアを……情報を引き当てると防衛機構が働いてエネミーが現れる」
 これはゲーム世界のエネミーではなく、オブリビオン。それ故にレアを……それに付随する情報を引き当ててしまったプレイヤーは太刀打ちできずに、そのままゲーム世界で囚われたままになるのだ。
「このエネミーを倒すと、本格的にバグを修理するべくワールド・ゼロ社からオブリビオンが送り込まれてくるだろう」
 それを倒し、機密情報を持ち帰ることができれば巨悪の一画を崩すことができるかもしれない。
「ま、難しい事は考えずに、まずは電脳世界のMMOを楽しんでくるといい」
 リアルよりもリアル、それが売り文句らしいからね。そう言うと、鴇がグリモアに触れてゲートを開いた。
「いってらっしゃい、気を付けて」
 気遣うような声に見送られ、猟兵達はサイバーザナドゥへと足を踏み入れる――。


波多蜜花
 閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
 今回は新世界、サイバーザナドゥへのお誘いとなっております。電脳世界へダイブし、メガコーポの犯罪行為の証拠データを見つけてきましょう。
 一章のみの参加も歓迎です、

●プレイング受付期間について
 タグやMSページ記載のURLにてご案内しております、参照いただけますと助かります。
 また、参加人数やスケジュールの都合によっては再送をお願いする場合がございます。なるべく無いように努めますが、再送となった場合はご協力をお願いできればと思います(この場合も、タグとMSページ記載のURLにてお知らせ致します)
 オーバーロードについてはMSページに記載があります、ご利用をお考えの方がいらっしゃいましたらお手数ですが確認していただけると幸いです。

●できること
・一章
 サイバースペースにダイブした先、MMOゲームの世界です。
 アバターの性別や衣装、職業は好きに決めて構いません。現実世界と同じで衣装だけ違うとかもOKです。
 MMOゲームならこういうのあるだろ、というOPに書かれていないやってみたい事をやっていただき、レアなもの=情報を入手するといった流れです。
 コメディ系でもシリアス系でも構いません、自分ならこうする! という行動で大丈夫です。
 情報のレア度はこちらのダイスで決定されます、自分が行う行動に有利なUCを使用していると判定時に多少有利になります。
 POW・SPD・WIZは気にしなくて大丈夫です。

・二章、三章
 敵との戦闘になります、衣装は一章のままでも普段の衣装でも構いません、戦闘判定に影響はありません(UCでの判定になります)

●同行者について
 同行者が三人以上の場合は【共通のグループ名か旅団名+人数】でお願いします。例:【電3】同行者の人数制限は特にありません。
 プレイングの失効日を統一してください、失効日が同じであれば送信時刻は問いません。朝8:31~翌朝8:29迄は失効日が同じになります(プレイング受付締切日はこの限りではありません、受付時間内に送信してください)
 未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反するプレイングなどは一律不採用となりますのでご理解よろしくお願いいたします。

 それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております!
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第1章 冒険 『ダークウェブ捜索』

POW   :    流出した最新兵器を探す

SPD   :    流出した企業機密を探す

WIZ   :    流出した重要参考人情報を探す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Start
 サイバーザナドゥにはあちこちにフリーポータルががあり、誰でもサイバースペースへとアクセスすることが可能だ。猟兵達もフリーポータルからそれぞれサイバースペースへダイブしていく――。
『サーバースペースへアクセスしました』
『MMOゲーム『オリジン』を始めますか?』
 そんな機械音声が視覚情報と共に響き、YESと答えればキャラクター作成画面へと繋がる。凝ったアバターを作るのもいいし、現実世界と同じ姿でも構わない。衣装も好きに選べるし、職業だって思いのまま。
 自分のアバターを決定したら、いざゲームの世界。チュートリアルは少しだるかったかもしれないけれど、やれることが沢山あるのが理解できたはず。
 戦闘職を選び、魔物の討伐へ向かうのもいいし、魔法職を選んでオリジナルの魔法を作り出すのもいい。生産系の職を選んで武器や防具、アクセサリーなどを作り出すのだってきっと楽しい。
 さあ、あなたはどんな風にこのゲーム世界『オリジン』の時間を過ごす?
儀水・芽亜
ふむ、『ディスティニーサーガ』よりも凝った作りのようですね。さすが、電子の桃源郷。
ですが、地雷めいた代物がばらまかれているのはいただけません。
回収させていただきましょう。

私は竪琴片手の吟遊詩人でもしましょうか。アバターは、身体データは自分そのまま。これを下手にいじると、勘が狂います。その上に旅装とマント。これでいいでしょう。

「演奏」「歌唱」で『主に向かいて新しき歌をうたえ』を披露して回りましょう。
劇場で舞台を独り占めしてコンサートもいいですね。さすが、音響はいいシステムを使っているようで。

『歌姫』の称号でももらえませんかしら? それが件のレア称号なら、これ以上探す手間が省けるというものです。



●歌は力
 サイバースペース、それは生身と変わらぬ活動が可能な電脳空間。
 その電脳空間で行うゲームとくれば、全てがリアルのような鮮明さで儀水・芽亜(共に見る希望の夢・f35644)は思わずかつてパソコンの前から参加した『ディスティニーサーガ』を思い出す。十三年近く前のMMOゲームだけれど、面白かった。
 人々の魂が掛かっていなくて、戦争という状況でなければもっと面白かっただろうけれど。
「あれよりも凝った作りのようですね。さすが、電子の桃源郷」
 戦功点で上位を取ったのも、全てが懐かしい想い出だ。
「ですが、地雷めいた代物がばら撒かれつつあるのはいただけません」
 竪琴を片手に、吟遊詩人としての衣装とマントを羽織り、芽亜はゲームの世界を闊歩する。
「ここが首都……異国の街並みにファンタジー世界が交じり合ったような場所ですね」
 そして何よりも広い、ここに職のギルドや制作系の工房、人々が憩いを求める広場などがあるのだから当然と言えば当然なのだけれど、見るもの全てが珍しくて少し楽しい。
「っと、楽しんでいるだけではだめですからね」
 求めるはレアと名の付くもの、そしてそれに付随する犯罪の情報。広場に差し掛かると、人々が自由に歌ったり音楽を奏でているのが見えた。
「路上ライブみたいなものでしょうか」
 ならば、ここで歌うことにより何らかの称号が手に入る可能性もあるはず。
「チュートリアルでも何か言ってましたしね」
 人がそれなりに居て、他の演者と被らない場所に立つと手にした竪琴を指先で軽く掻き鳴らす。辺りに響くのは流麗な竪琴の音色、芽亜のスキルとも相まってそれは人々の足を止める。
『やあ、あんたいい腕をしてるな』
 歌い出そうとした芽亜に声を掛けたのは衛兵の姿をした男、いわゆるNPCというやつだ。
「ありがとう、私に何か?」
『いや、あっちの方に劇場があるんだ。せっかくだからそちらで腕前を披露してみてはどうだ?』
「劇場? 飛び入りでも歌わせてもらえるのかしら?」
『ああ、あんたなら大丈夫さ!』
 これはそういうイベントが進んだのでしょうね、と思いながら芽亜が劇場に向かうと舞台に案内されて演奏を請われる。再び竪琴を手にして爪弾き、清らかなソプラノボイスにのせて聖歌を響かせた。
 歌いながら、音響にいいシステムを使っているようで、と芽亜が笑みを浮かべる。その笑みすら観衆の心を掴んだようで、ブラヴォー! と歓声が響いた。
 歌が終わると一礼をし、舞台から降りる芽亜にシステムメッセージが届く。
「どれどれ……」
【おめでとうございます! あなたに『目覚めたディーヴァ』の称号が贈られました!】
「目覚めたディーヴァ……レア称号ならいいのですけど」
 そうであれば、これ以上探す手間が省けるというものなのだけれど、と芽亜が小さく笑った。

 💎称号:目覚めたディーヴァ R☆☆

大成功 🔵​🔵​🔵​

静寂・拝人

シャルル(f36639)と
アバターはこんなもんか…時間があってゆっくりできるんなら生産系の職業でやるんだが今日はゴリゴリの前衛職だ。
シャルルの方はあいつに任せたが。あいつもゲーム知識がないわけじゃないから行けるだろう。

お、シャルルのアバター可愛いじゃねーか。
現実でももっとそんな格好すればいいのに。

先に言っとくがやるのはゲームだがちゃんと仕事だからな。メガコーポのデータが流出してるって話だからな。仕事に有利な情報もあるかもだし。
いろんな意味でレアなアイテムになるぜ?
ってことでレアアイテム探しに行くか。
てか個人的に気になってたゲームだしラッキーだったぜ。…いや、ちゃんと仕事はするから!?


シャルル・メリー
拝人(f36629)と
なかなか老舗のメーカーのゲームですね。
今回も良レビューが並んでますし。
しかし…データの流出ですか。ずさんとしか言いようはありませんが誰かがわざとと言う可能性もありますし。

アバターは回復職で。この職なら拝人のサポートもできるでしょうし…衣装デザイン可愛い物が多いですしね…。

私の…衣装とかはどうでもいいんですよ。
仕事なのは分かってます…そうやって言い訳じみた事を言うから怪しくなるんですよ。
一応ライバル企業のデータになるわけですから手に入れて損はない。データ流出の話が公になっても損害はあるでしょうし。
(ウキウキとゲームを始める様子にため息をつき)
これは、仕事ですからね。



●レアアイテムを求めて
 サイバーザナドゥにおいてワールド・ゼロ・ソフトウェアといえば、それなりに知られた老舗ゲーム会社。シャルル・メリー(星に手を伸ばす・f36639)もまた、その名を知っていた。
「さすが老舗のメーカーの新作、今回も良レビューが並んでいただけのことはありますね」
 自身のアバターを決めながら、シャルルが呟く。選んだのは回復職、プリーストと呼ばれる神聖職だ。
「この職なら拝人のサポートもできるでしょうし……」
 何より、衣装デザインが可愛い。聖職者らしい素肌を隠す白いロングワンピーススタイル、けれど動きやすいようにスカートには深めのスリットが入っていて白レースのニーソックスがちらりと見える、という細やかなデザインだ。
「さて、拝人の方はどうでしょうね」
 チュートリアルも終え、ゲームをスタートしますか? という問いにイエスと答えて転送を待った。
 一方、静寂・拝人(人生ゲーマー・f36629)もアバターを何にするか悩みつつも、手際よく作り上げていた。
「アバターはこんなもんか……時間があってゆっくりできるんなら、生産系の職業でやるんだが」
 今日はゴリゴリの前衛職だ、とパネルを操作していく。
「シャルルの方はあいつに任せたが、あいつもゲーム知識がないわけじゃないから行けるだろう」
 時間があればな、超可愛くしてやるんだけどな……と思いつつ、パワー系の戦士であるナイトを選択する。
「回復は任せられるからな、ステはSTR寄りでAGIとVIT多めってとこか」
 マントに甲冑、腰には剣と分かりやすい前衛職姿に決めて、ゲームをスタートさせた。
「お、シャルルのアバター可愛いじゃねーか。現実でももっとそんな格好すればいいのに」
 今度渡す服は今みたいなスタイルの服にしてやろう、と思いながら拝人が笑う。
「拝人。私の……衣装とかはどうでもいいんですよ」
 そもそも現実世界での自分は拝人の監視、および警護を担当する身だ。可愛い恰好なんかしている場合ではない、スーツが一番機能的だとシャルルがぴしゃっと言い放つ。
「わかってるって。先に言っとくがやるのはゲームだがちゃんと仕事だからな。メガコーポのデータが流出してるって話だしな」
「仕事なのは分かってます……そうやって言い訳じみた事を言うから怪しくなるんですよ」
 じぃっと見られて、拝人がすっと視線を逸らすのをシャルルが溜息をつくように息を吐き、首都からモンスターが湧くフィールドへと向かう。
「それにしても……データの流出ですか。ずさんとしか言いようはありませんが、誰かがわざとと言う可能性もあります」
「だな、それも踏まえて証拠を探すってところかな。仕事に有利な情報もあるかもだし」
「そうですね、一応ライバル企業のデータになるわけですから、手に入れて損はないでしょう」
「色んな意味でレアなアイテムになるぜ?」
 データが流出したという話が公になるだけでも、企業としての損失はあるはず。簡単に言えば信用が落ちるという事だから、株価が下がったりもするだろうとシャルルが頷く。
「ってことでレアアイテム探しに行くか」
 楽しみだな、と拝人が笑い、敵が待つフィールド減脚を踏み出した。
「お、いいじゃないか」
 広がる草原、空中に浮かび上がるモニターには簡易地図、選べるクエスト。
 これぞゲーム! という風情に拝人のテンションが上がっていく。
「オリジン、個人的に気になってたゲームだしラッキーだったぜ」
 どのクエストにしようか、やっぱレア物が手に入る可能性があるクエストだよなと鼻歌交じりに拝人がクエスト内容を眺めていく。
「……拝人、これは仕事ですからね」
「いや、ちゃんと仕事はするから!?」
 心外、みたいな声を出しつつクエストを選び、フィールドを進む。途中で雑魚を倒して肩慣らしをしつつ、レベルよりもプレイヤースキルによるところの多い戦闘スタイルなのかと理解を深め、クエストで倒すべき敵がいる洞窟へと入った。
「シャルル、サポート頼んだ」
「ええ」
 ここまでの道中でコツは掴んだ、拝人が有利になるようバフを掛け、ダメージが蓄積する前に回復を行う。拝人もまた、ゲーム好きとあって敵の動きを見極めて動くのが上手い。雑魚を蹴散らし、洞窟最奥のボスまで最短距離で進んでいく。
「次でボスだからな、ステータスチェックはしておけよ」
「オールグリーン、問題なしです」
 HPもスキールチャージも問題なし、このままいけるとシャルルが頷く。
「行くか」
 レアが出ますように、そう祈りつつボスに向かう。何せ、ボスを倒したからといって確実にレアアイテムが出るわけではない。そこは運任せだ。
 ボスの取り巻きを片付け、全体攻撃を回避しつつダメージを与え……という地道な動きを繰り返して洞窟のボスを倒すと、宝箱が現れる。
「お宝拝見ってな」
「……どうですか?」
 パカッと開いた宝箱の中には――。
「剣だな、一応レアアイテムってやつだ」
 ファイアーブレイド、炎の加護を持つ片手剣。
「情報も?」
「多分な」
 後は持ち帰って情報を精査するのみだが、もうちょっとゲームを楽しんでもいいんじゃないかと拝人が顔を上げる。
「よし、他にも探してみようぜ」
「……情報を、ですよね?」
「も、勿論!」
 ファイアーブレイドを試してみたいだなんてそんな、ははは! と笑う拝人に、仕方ないですねとシャルルが後を付いていくのであった。

 💎アイテム:ファイアーブレイド R☆☆

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

十種・天陽
親会社としては噂が広まって利用者減少、からのサービス終了、でも狙ってたんだろうけど……目論見が外れたってところか。
ま、この世界の連中がそんな程度でビビる訳ないんだよなぁ。


取り敢えずー……アバターは性別と外見をそのままにして格好だけカンフーな感じの職業:モンク(格闘系)で。
……流石に外付け部品(機翼のこと)までは読み込みに含まれないよね?含まれるんなら設定時に外しとこ。

俺に出来ることといえば戦うことくらいだから……UCも織り交ぜながら野良湧きするボスでも片っ端から倒していこうかな。



●ボス湧きタイムアタック
「取り敢えずー……アバターは性別と外見をそのままにして、と」
 外見と性別を現実世界と同じにする、という表示をオンにしてジョブをモンクに設定する。
「格闘系モンクにしておけば、自己回復もあるしいけるかな」
 選んだ衣装も上半身はボディラインに沿ったシルエット、下半身はゆったりめのボトムでとにかく動きやすい。これでいいかと設定を完了しようとしたところで、ふっと気になって腕を見る。
「……流石に外付け符品までは読み込みに含まれないよね?」
 完成させたアバターを確認し、含まれない事にほっとしながら十種・天陽(悪性喰らい・f36604)はゲームをスタートさせた。
「へぇ、流石人気のあるゲームだな」
 チュートリアルを終え、首都と呼ばれる街を軽く歩けばゲームプレイヤー達の姿が多く見られた。
 少し歩けばゲームに必要な情報やボスモンスターの情報交換などもできるコミュニティ、ギルドや酒場などもあって、天陽はそこで情報を仕入れて地図にマーカーしていく。
「こんなものかな」
 一人で挑むのは危険だぞ、とNPCが教えてくれるが礼だけ言って酒場を出る。
「普通にプレイしてればそうだろうけどね、何せこっちは」
 猟兵だから、と声に出さずに笑ってフィールドへと向かう。
「しかし……親会社としては噂が広まって利用者減少、からのサービス終了、って筋書きだったのかな」
 仮にそれを狙ってのことだったとしても、目論見は外れたというしかない。
「この世界の連中がそんな程度でビビる訳ないんだよなぁ」
 それどころか、噂が本当か確かめる配信者なんかも出てくるくらいなのだから。
「さて、そろそろ野良沸きのボスを狩りにいくとするかな」
 効率良く回るには四箇所を巡るのが丁度いい、まずは一箇所目と天陽が向かった先で見つけたのは蜂の姿をしたボス格モンスター。
「よし、一番乗りだね」
 早い者勝ちという暗黙のルールがあるので、誰かが先に戦闘を始めていれば倒れるのを待つか他の場所に向かうかしかない。
「速度とパワーを上げるスキルを回して、と」
 バフを掛けて敵へと挑む、現実世界で忍者としての立ち回りを会得している天陽にとっては、ゲーム内の敵の動きなどパターンを掴んでしまえば避けるのはたやすい。
 更にはそこへユーベルコードの力も織り交ぜての攻撃を仕掛けるのだから、勝ち確といっても過言ではなかった。
「よし、ドロップは……モンク用の装備だけど、レアって感じじゃないね」
 取り敢えず装備して、次のボスだとフィールドを変える。これを何度か繰り返し、天陽が手に入れたレアアイテムは所謂アクセサリーと呼ばれるもの。
「ハーピーの腕輪か」
 恐らくこれにも漏洩情報が付随しているはず。
「これだけだとインパクト弱いかな、もう少し回るとしようか」
 もうすぐボス湧きする時間だしね! と、すっかりボス狩りにはまったプレイヤーのような事を言いながら、天陽が笑った。

 💎アイテム:ハーピーの腕輪 R☆

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイクス・ライアー
アバター:
現実世界と同様、ファンタジー風衣装

-
戦闘職の方が馴染みがあるが
ゲームの中なら、魔法という選択肢もあるわけか(ぽちぽち)

…ゲームの中とはとても思えんな
だが、ゲームの中だろうとすべきことは変わらない。目的遂行のために来ているのだから

さて…魔法とはいかがなものか
有効範囲の確認、種別ごとの詠唱時間、麻痺毒昏睡…

知識の習得も技能の熟練も思うまま、か
夢中になる気持ちが分からないではないが、私にはあまり合いそうにない

早く標的を始末して現実へ帰りたいものだな

-
(補足)
クールで紳士的
テクニカル・スピード重視の戦闘スタイル
ゲームに馴染みなし
アドリブ◎



●紳士的ウィザード
 アバターの姿を現実世界と同様にし、さて職業は何にしようかとジェイクス・ライアー(驟雨・f00584)が宙に浮かんだパネルを指先で操作する。
「戦闘職の方が馴染みがあるが……ゲームの中なら魔法という選択肢もあるわけか」
 ゲーム、とりわけMMOゲームに馴染みはないが、普段できないことが出来るのならばとジェイクスが魔法職の中でも攻撃力に優れたウィザードを選ぶ。それと同時に、衣装も詰襟のようなトップスにゆったりとしたボトム、肩の辺りで浮いたマントに杖とそれらしくなった。
「これでいいか」
 スタート、と書かれたパネルを押せばチュートリアルが始まって、基本的な説明と戦い方を教えられる。それが済んだら首都へと飛ばされ、さぁ君の冒険は始まったばかり! という如何にもな状況だ。
「……ゲームの中とはとても思えんな」
 建物は異国風で美しく、首都というだけあってプレイヤーからNPCまで賑やかな声が聞こえてくる。酒場から流れてくる料理の匂いも、そよぐ風も、何もかも本物と錯覚してしまうほど。
「だが、あくまでもここはゲームの世界だ」
 そして、ゲームの中だろうとジェイクスのすべきことは変わらない。目的はあくまでもレアアイテムに付随するという、メガコーポの悪行のデータだ。
「モンスターでも狩るか、それとも魔法の開発か……」
 そう考えながら歩いていると、丁度魔法工房から爆発音がするのが聞こえてちらりと覗く。
『ああ、どうしても上手くいかないわ……!』
 NPCの会話が始まるのを眺めながら、クエストウィンドウに浮かんだ文字を読む。
「……魔法開発のクエストか」
 魔法というものを理解するにはいいかもしれないな、とジェイクスがクエストを受諾する。そのまま工房の魔法開発の区画まで進むと、身に付けている魔法を見せてくれと言われたのでそのまま従う。
「……こうだったか」
 つい、と魔法の杖を振るうと見た目も派手な爆裂呪文が発動する。有効範囲や威力が違うものの詠唱時間、それに続き麻痺毒や昏倒といった精神にも関与する魔法を撃ちだす。
「これだけでも技能や熟練が上がるのか」
 知識の習得だって思うがまま、なるほどこれは夢中になる気持ちもわからないではないけれど。
「私にはあまり合いそうにないな」
 しかし、このクエストとやらも仕事だと思えば出来ないこともない、何せ彼は『プロ』なので。
「ユーベルコードの力を組み合わせてみるか」
 魔法を使う時に使い捨ての魔石を加え、威力自体を底上げする。そうすれば見た目も派手で、その辺の雑魚等は一撃で葬れるような魔法が――。
「……思ったよりも威力が大きいな?」
 部屋の壁に大穴を開けたジェイクスが手に入れたのは、黒曜の魔炎と名の付いた魔法であった。
「このオリジナル魔法はレアにあたるのか、ならば」
 あとは標的を始末するのみ、だ。
「早く現実世界へ帰りたいものだな」
 己を待つ人の所へ、とは口には出さず防衛機構とやらが発動するのをただ待った。

 💎魔法:黒曜の魔炎 R☆☆☆

大成功 🔵​🔵​🔵​

鴇巣・或羽

【SN8】アバター名:トリガー

赤と黒のスーツに身を包み、カジノへ。
標的は高レア換金アイテムと、覇者に与えられるレア称号だ。

オーダーは単純だ――このカジノごと頂戴する!
アルミラージ、思い切り勝っておいで。

俺はルーレットで稼ぐ。
ディーラーは介入できないというが……どうかな、ここは電脳世界だ。
元手を増やしたら一気に大勝負といこう。

【幸運】だけには頼らない。
周りの客を【言いくるめ】、俺との勝負に乗せる。
劇的な状況を作るのさ、「運営側が俺に当てたくなる」位にね!

赤の1。オールインだ。

稼いだ金はバンビちゃんの元へ。
ん、俺の職業?
さあね、後のお楽しみじゃダメかい?
――ふふ、「遊び人」って事にしておくよ。


暁無・蘭七

【SN8】
アバター名:アルミラージ

ゲームの世界ですか。面白いところですね
私こういうのは詳しくないので、見た目はこのままで。ジョブは今の所狩人にしておきます

それではトリガー。オーダーを頂けますか?
―はい、ご命令通り「思い切り勝って」きますね

とりあえずここのスロットで遊びましょうか
ここで稼げばコインが手に入って、レアアイテムと交換できるでしょうし
たくさん勝てればレア称号も手に入るかもしれませんから
ふふ、いいですね。たまには自分で自分の【幸運】を使うのも

お待たせしました、ばんびちゃん。アルハ様とケガレ様もお疲れ様です
この稼ぎを更に増やすのはお任せします
どんなレア物と出会えるか、とっても楽しみですね


静心・穢

【SN8】
アバター名:エンジェル
ジョブは吟遊詩人としておこう

「フフ、ワタシ達にお誂え向きの楽しい仕事じゃないか!」

※カジノに出陣。
適当なゲームで早々に負け他に行くのを繰り返し、イカサマで荒稼ぎしてるプレイヤーを探そうかな

「やあやあ、随分景気が良いじゃないか!
ワタシは負けてばかりでね、運を分けてもらえないかな、なんて♪」

本来の姿そのままのアバターの美貌に見惚れている間に、山と積まれたコインに予告状をこつんと当てればこちらのもの。
不正の稼ぎは通報不可、UCには証拠も残さない。
これが怪盗さ♪

たっぷり稼いだら皆と合流。ドル箱の山を築く子鹿にびっくりして麗人の仮面も剥がれる

「って凄いな小鹿君!?」


森乃宮・小鹿
【SN8】◎
アバター名:バンビ
レア物探しなんてボクら向きじゃないっすか!

ボクは見た目は変わらず、職業は錬金術師に
みんながカジノで荒稼ぎしてる間に、金の延べ棒を大量錬成しましょ
いえ、この後のための仕込みっすよ

準備ができたらカジノへ
みんないい具合に稼いだっすね、はい回収ー
これをボクが倍以上にしてやりましょう

挑むはポーカー
影へと延べ棒全部を呑み込ませて発動
服せ、随う影の如く!
ここから先、ボクは勝つタイミングを逃しません
的確にカードを捨て、揃え、勝ちを引き込みます
やー、チップが箱で積み上がってくのは爽快っすね!
称号も獲得できちゃいそうっすよ!

さぁさ、レアアイテムと交換していただきましょうか!



●華麗に奪い尽くして
 サイバースペースへとダイブし、『オリジン』へとアクセスする。初めての行為だが、何一つ難しい事はなくスムーズにゲームの世界へ四人が入り込んでいく。
「レア物探しなんてボクら向きじゃないっすか!」
 そう思いませんっすか? と、森乃宮・小鹿(Bambi・f31388)がアバターを自分の見た目と同じにし、職業を錬金術師に設定しながら笑う。
「フフ、そうだね。ワタシ達にお誂え向きの楽しい仕事じゃないか!」
 そう答える静心・穢(強欲罰する貧窮の魔・f31405)もアバターの見た目を現実世界そのままに設定し、職業で手を止める。
「……職業、どうしようか?」
「私、こういうのは詳しくないので」
 同じようにアバターの見た目をいつもの自分に設定した暁無・蘭七(アルミラージ・f31384)が職業設定の所で目に付いたものをタッチする。
「今のところは狩人にしておきます」
「狩人かい? なら吟遊詩人にしておこう」
 ワタシの美声に丁度良いだろう? なんて穢が笑った。
「アバター名はどうするんだい? 俺はトリガーにしたよ」
 アバターの見た目はいつものように、衣装を赤と黒のスーツにと設定し終わった鴇巣・或羽(Trigger・f31397)が三人へ問う。
「私はアルミラージで」
 兎耳をぴょこりと動かし蘭七が言うと、小鹿が迷わず即答する。
「ボクはバンビっす」
「ワタシはそうだね、エンジェルとしようか」
 皮肉が効いてるだろう? と、穢がにんまりと口元を歪めると、或羽も小さく笑って指先をスタートボタンへ向けた。
「準備はいいかい? 狙うはレアと呼ばれるアイテムに称号だ」
「腕が鳴るっすね!」
「いつでもどうぞ」
「いいとも、楽しくなりそうだね」
 四人の指がスタートボタンに触れた瞬間、世界が切り替わる。チュートリアルにより、この世界の歩き方やある程度の操作方法などを学んだところで四人揃って首都へと転送された。
「ここが首都っすか、でっかい街っすね」
「面白い所ですね。」
 小鹿が辺りをきょろきょろと眺め、地図を開く。
「PTを組んでおくよ」
 或羽がPT申請を飛ばし、三人が了承すると地図に四人がどこにいるのかわかるよう、それぞれのポイントが点滅する。
「皆は先にカジノへどうぞっす、ボクはやる事やってから行くっすよ」
「わかった、それじゃあ俺達は先に行ってるよ」
「楽しみだねぇ、カジノ!」
「ばんびちゃん、また後で」
 錬金術師のギルドへ向かう小鹿を見送り、三人は真っ直ぐにカジノを目指す。或羽の作戦は単純明快、カジノでひと暴れしようというもの。手に入れたコインは高レアアイテムと換金し、ついでにカジノを制した者へ贈られるレア称号を手に入れる――実に彼ららしい遊び方。
「ここがカジノだね。フフ、燃えてきた」
 別行動させてもらうよ、と穢が手持ちの通貨をコインに変えて或羽と蘭七から離れると、適当なゲーム……賭け金も少ないローリスクローリターンなものを選び、僅かに手持ちを増やす。
「さてここからが本番だよ」
 鼻歌交じりに増えた手持ちで遊べるだけのゲームを探すと、わざと負けては他のゲームに参加するという行為を繰り返す。
「アレとソレ……はイカサマだね」
 ゲームデータに介入しているのか、バグを突いたものなのかまではわからなかったけれど、魔界盗賊たる穢の目は誤魔化せない。軽やかな足取りでターゲットに近付き、誰にも違和感を抱かせない人好きのする声で話し掛けた。
「やあやあ、随分景気が良いじゃないか!」
「なんだ……あ、ああ。お陰様でね!」
 ジロリと睨み付けようとした男が、穢を見た瞬間に態度を変えた。それを見て、穢が柔らかな笑みを浮かべて言葉を続ける。
「ワタシは残念ながら負けてばかりでね、君の運を分けてもらえないかな、なんて♪」
 フフ、と笑う穢はどのアバターよりも美しく、男は思わず見惚れてしまう。アバターなんて好きなように作れるのだから、それが本物かどうかなんて誰にもわからない。それは分かっているけれど、それにしたって見惚れてしまうほどの美貌だったのだ。
 視線を釘付けにしている間に、男の横に山と積まれたコインに向けて予告状をこつんと当てる。
「それじゃあね、君とワタシの幸運に乾杯!」
 なんて、グラスを鳴らすような仕草をして穢が男の元を離れていく。
「いい女だったな……って、あれ!?」
 男が改めてコインをベットしようと手を動かして、コインが丸々無くなっている事に気が付く。
「さっきの女……いやいやコインに触れてすらいなかったぞ」
 それに山と積んだコインを隠す場所すらなかったはずだ、じゃあどうやって――。
「フフ、不正の稼ぎは通報不可だろうしユーベルコードの力は証拠も残さない。これが怪盗ってものさ♪」
 穢の予告状が触れたコインは全て彼女の所持するどろぼう袋の中、つまりはアイテムスロットの中という訳だ。
「この調子で荒稼ぎするとしようかね」
 その美貌と手際を武器に、穢が広いカジノを泳ぐようにヒールの音を響かせた。
「穢は順調みたいだな」
「私達も行動しましょう。それではトリガー、オーダーを頂けますか?」
 蘭七の言葉に頷き、或羽が自信に満ちた笑みを浮かべる。
「ああ、オーダーは単純だ――このカジノごと頂戴する! アルミラージ、思い切り勝っておいで」
「――はい、ご命令通り『思い切り勝って』きますね」
 ふわりと笑みを浮かべた蘭七が或羽からの命令を承諾したその瞬間、彼女の紫水晶の兎としての能力が出現し、全ての能力が引き上げらtrる。
 或羽の元を離れ、蘭七が向かったのはスロット。
「まずは……そうですね、とりあえずここのスロットで遊びましょうか」
 これだと思うスロットの席に座り、手持ちのコインを投入すると感じるままのタイミングでスロットを止めていく。一枚目、二枚目と並ぶのは7の出目、そして最後の三枚目も――。
「ラッキーセブン、ですね」
 コインを入れる箱にざらざらとカジノコインが流れ込む、それと同時にステータス画面にもコインの数が追加されていくのが見えた。
「まだまだ序の口です、オーダーは『思い切り勝って』ですから」
 スロットの台が空になればまた違う台に、スロットではこれ以上勝てないと判断すればレースを扱う賭博のブースへ……それこそ文字通り、思い切り勝つまで蘭七の幸運は冴えた。
「ふふ、いいですね。たまには自分で自分の『幸運』を使うのも」
 少しだけ癖になっちゃいそうです、と呟いて蘭七が微笑んだ。
 蘭七を見送った或羽もまた、その結果を見るまでもないだろうと笑みを浮かべて己のターゲットを見定めていた。
「ポーカーにブラックジャック……どれも悪くはないが、俺はルーレットで稼ぐとしようか」
 ルーレットは完全に運、ディーラーは介入できないというけれど――。
「どうかな、ここは電脳世界だ。元締めのイカサマだって可能だろうな」
 それがバレたらゲームとしては一切の信用を失うだろうけれど、それが客の盛り上がりとなれば? 更に集客を期待できるような、プレイヤーにとって伝説ともなるようなワンゲームになったとすれば。
「運営側が俺に当てたくなるような、ね」
 そこいらのプレイヤーでは無理だろう、けれど或羽は猟兵で、悪魔で――怪盗だ。
 それを成し得るだけの運と力を持ち合わせている、そしてそんな自分を或羽は信じている。
「俺もいいかな?」
 そう声を掛け、ルーレットのテーブルに着く。まずは軽く元手を増やす、これは或羽にとってさほど難しいことではない。ある程度のルーレットの癖を見抜き、当たってもおかしくないアウトサイドベットへと賭けるのだ。
 その間にも或羽は同じテーブルに着くプレイヤーに巧みに取り入り、話の主導権を握っていく。
「兄ちゃん、中々運がいいじゃないか」
「ありがとう、賭け事は好きでね」
 徐々に或羽の前にコインが積まれ、周囲のプレイヤーも一目置くようになればこっちのもの。ギャラリーもある程度集まって、或羽の独壇場だ。
「ちまちま賭けるのもつまらないな、どうだい? ひとつ大きく賭けてみるっていうのは」
 パチン、とウィンクを一つ飛ばしながら、或羽がコインの全てを一つのマスに寄せる。
「赤の1へ、オールインだ」
 周囲が騒めくのですら彼のシナリオ通り、あとは賭けに他の者が乗るかどうかだ。
「面白い、それなら俺は黒の1だ」
 カジノの常連だという男が話に乗った、それに続けて同じテーブルのプレイヤーが思うところへ賭けていく。全員が賭け終わる頃には、ギャラリー数も倍以上に増えていた。
『ノーモアベット』
 賭けを締め切ると言う音声がディーラー役から流れ、誰も彼もがウィールの中で回るボールがどういう結果出すのか、固唾をのんで見守っている。
 回転がゆっくりになり、ボールがポンポンとウィールの中を跳ね、赤と黒のポケットへと吸い寄せられて――。
『赤の1、おめでとうございます。お客様の勝利となります』
 淡々とした機械音声も、どことなく興奮しているようにも聞こえて、或羽がどうも、と微笑んだ。
 そんな歓声響くカジノから離れた錬金術師の工房で、小鹿が一人で何をしていたかと言えば。
「みんな今頃カジノで荒稼ぎしてるんでしょうね」
 熱い歓声が聞こえてくるようっす、と呟きながら、ひたすらに金の延べ棒を大量に錬成していた。
 一見カジノに全く関係のない行動のように見えるけれど、これも立派なこの後の為の仕込み。ある程度の数が出来上がった所で、小鹿がアイテムスロットにぽいぽいと延べ棒を入れてカジノへ向かう。
「みんないい具合に稼いだっすね」
「準備ができたみたいだね、バンビちゃん」
「お待たせしました、ばんびちゃん」
「これくらい大したことないさ♪」
 では、と小鹿がにんまりと微笑む。
「みんなの稼ぎはボクが回収させてもらうっすよー」
 はい、回収回収、とそれだけでも破格な数のコインを小鹿が回収して挑むのはポーカーだ。
「これをボクが倍以上にしてやりましょう」
 イカサマ? そんな生易しいもんじゃないっすよ、と三人を連れてポーカーの席に着くと、こっそりと己の影に向けて金の延べ棒を全て吞み込ませる。
「服せ、随う影の如く!」
 とぷん、とぷんと影が金を吞み込んで、発動するのはあらゆる行動に成功する力。これより先、小鹿は勝つタイミングの全てを逃すことはない。確約された勝利だ。
「チップは全部賭けるっすよ、ちまちま賭けるのは性に合わないっす」
 的確にカードを捨て、揃え、相手のカードを読み、勝ちを引き込む。ゲームを進めるにつれ、小鹿の横にはテーブルに載らないコインが箱で積み上がっていく。
「って、凄いな小鹿君!?」
 積み上がるドル箱に、麗人の仮面も剥がれて穢が素で小さく叫ぶ。
「やー、爽快っすね! これなら称号も獲得できちゃいそうっすよ」
 小鹿が穢に笑いながら、ストップが掛かるまでポーカーの席に君臨し続けたのであった。
「さすがばんびちゃん、稼ぎを倍以上にしましたね。アルハ様とケガレ様もお疲れさまです」
「では換金と行こうか」
「楽しみっすね、カジノでも一番のレアアイテムと交換できそうっす」
 楽し気な声で笑う小鹿がふと、換金を頼む或羽を見遣る。
「そういや或羽先輩、職業何にしたんっすか?」
「ん、俺の職業? さあね、後のお楽しみじゃダメかい?」
「ダメじゃないっすけど」
 ダメじゃないけど、何か引っかかるんっすよね、と小鹿が唇を尖らせる。
「ふふ、『遊び人』ってことにしておくよ」
 だからそんな顔しないで俺の至宝、と或羽が笑った。

 💎称号:赤の王 獲得者、或羽
 💎称号:幸運の女神 獲得者、蘭七
 💎称号:美しき略奪者 獲得者、穢
 💎称号:豪運のミス・バンビ 獲得者、小鹿
 いずれもSR☆☆☆☆である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティア・メル
【波音】◎

オリジン始めるんだよ!
ね、クロウくんっ
どんなアバターがいい?
ぼくは―――このまんまでいいかなあ
大人の姿をして、紫の瞳を細め微笑む
格好はどうせならクロウくんとお揃いがいいんだよ
クロウくんは王子様とか似合いそう
それならぼくはお姫様がいいな
クロウくんだけのお姫様、なんてね

職業、職業
んにー
悩むんだよ
魔術師にしようかな
攻撃も回復もお手のものってね
どっちもなんて欲張りだと思う?
んふふ、そうそう
ぼくは強欲だからさ
クロウくんの前では隠さないことにしたの
わがままなぼくでも
うんと欲張っても受け止めてくれるんでしょ?

さ、レアなものを探しに行こう
そこの人ー!何か知らない?
誘惑たっぷりに顔を覗き込んで


杜鬼・クロウ
【波音】◎
俺、電脳世界に来たの初めてだし
こういうゲームってやったコトねェわ
はいてくだなァ(見慣れない遊戯に新鮮
まず何をすりゃァイイか…

性別は男で、折角なら普段と違う職業になりてェな
…その姿のまんま?(年相応な彼女の姿に視線泳がせ
ばっ、お前はまた…!(焦
姫サンになるのはこの世界でイイのかよ

なるなら魔王が気になるケド
盗賊もヤってみてェ(MSお任せ。服装は派手
武器も何時もと違うの選ぼうかね

両方イイトコ取りしてこうぜ
なァ、ティアサン(ニィ
ン、我儘とは思わねェしな
なりたいお前になれ(頭ぽん
その格好、様になってンじゃねェの?

うっし、手分けすっか

情報は裏で手を回し暗躍しながら証拠データやアイテム入手
恫喝も可



●両手いっぱいに欲張って
 サイバースペースにアクセスする、その初めての感覚に杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)が目を瞬かせる横で、ティア・メル(きゃんでぃぞるぶ・f26360)がいつもと変わらぬ声でさざめくような笑い声をあげる。
「わ、すごーい! さっそくオリジン始めるんだよ! ね、クロウくんっ!」
「はいてくってやつだなァ」
 電脳世界に来るのも初めてであれば、こういうゲームをするのも初めてだとクロウが零す。
「んに、クロウくんも初めて?」
「ああ、やったコトねェわ」
 まずは何をすればいいのか、と適当に目の前に浮かぶタッチパネルを指先で触り、飛ばせる部分は飛ばしていく。
「クロウくんはどんなアバターがいい?」
「性別は男で姿もそのままでいいかな」
「ぼくは――アバターの姿はこのまんまでいいかなあ」
 そう言って、ティアがいつもとは違う大人の姿で紫色の瞳を細めてクロウを見遣ると、柔らかな笑みを浮かべた。
「……その姿のまんま?」
 年相応なティアの姿にどぎまぎしつつ、そうっと視線を外して職業選択の映像を見る。
「そう、この姿のまんま。恰好はどうしようかな……どうせなら、クロウくんとお揃いがいいんだよ」
「お揃いねェ、それは構わねェけど」
「んにー、クロウくんは王子様とか似合いそう」
 王子? とクロウが笑ってティアに視線を向ける。
「王子ってガラじゃねェよ」
「そんなことないよっ、クロウくんの王子様姿……」
 すらりとしたゴシック風のロングコートにフリルタイ、ロングブーツに……と想像して、ぱちりとティアが目を開ける。
「うん、とっても似合うんだよ」
「どんな想像したんだよ」
「んふふ、カッコいいクロウくんの想像だよ。ん-、それならぼくはお姫様がいいな」
 王子様の隣に立つ、可憐でかわいいお姫様。
「クロウくんだけのお姫様、なんてね」
「ばっ、お前はまた……!」
 遠慮しないのだと決めたティアはクロウに迫るように顔を近付けて、焦る彼に満足気に笑う。
「どうかな? ぼくのお姫様姿、想像しちゃった?」
「……ったく、姫サンになるのはこの世界でイイのかよ」
 んに? とティアが首を傾げ、それからパァッと顔を綻ばせる。
「なら、現実世界でお姫様にしてね!」
 ふふ、楽しみだなと笑ってティアがズラリと並ぶ職業を眺め、どれにしようかと迷う。
「んにー、悩むんだよ」
「俺はなるなら魔王が気になるケド、盗賊もヤってみてェ」
「クロウくん、どっちも似合いそうだもんね。ぼくは魔術師にしようかな」
 ティアが選んだのは攻撃も回復も担うことが出来る魔術師、ふわりとした布地の衣装に赤いマント姿だ。
「攻撃も回復もお手のものってね、どっちもなんて欲張りだと思う?」
「両方イイトコ取りしてこうぜ。なァ、ティアサン」
「んふふ、そうそう」
 両方、どっちかなんて選べないならどっちもだと唇の端を持ち上げるクロウに向かって、ティアも笑う。
「なら俺は盗賊にして、いずれジョブチェンジってやつで魔王を狙うとするか」
 身軽ながらも見栄えのいい、身体のラインに沿った衣装を纏い武器は短剣を選ぶ。
「いいね、カッコいい! ふふ、ぼくは強欲だからさ」
 クロウくんの前では隠さないことにしたの、とティアが悪戯っ子のような笑みを浮かべて手にした杖をくるりと回す。
「わがままなぼくでも、うんと欲張っても、受け止めてくれるんでしょ?」
「ン、我儘とはおもわねェしな。なりたいお前になれ」
 我慢をしているお前なんて見たくはないと、クロウがティアの頭をぽんっと撫でる。
「その恰好も、様になってンじゃねェの?」
「ふふ、そう? それじゃあさっそくレアなものを探しに行こう!」
 いざ、冒険のスタートだよ! と、ティアが笑ってスタートと書かれたパネルを押した。
 途端始まるのはチュートリアルと呼ばれる、この世界の基本から知っておいて損はないことまでの、簡単な説明や動き方のレクチャー。それが終わると首都へ飛ばされ、その見事さに溜息を零しつつも二人はレアと呼ばれるアイテムを求めて奔走する。
「ねえねえそこの人ー! 何かいい情報知らない?」
 情報を持っていると名高いプレイヤーに、ティアが誘惑たっぷりの笑みと声で話し掛けて顔を覗き込んで微笑んでみたり。
「ハァ? それっぽっちの情報しか持ってねェってこたないだろ?」
 不正なデータを利用しているらしきプレイヤーから、クロウが綺麗な笑みを浮かべて情報を抜き出したり。
 そうやって手に入れた情報を元に、二人が罠や仕掛けが多くて中々手が出せないという洞窟からレアアイテムを発見するのは、もうすぐの事であった。

 💎アイテム:強欲のマジェスティ(首飾り) R☆☆☆

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グレアム・マックスウェル
極度に電脳が発達したサイバー世界……
初めて訪れる世界なのに、どこか僕の心になじむ

それにしても、レアなお宝を手に入れたら
地獄へ一直線だなんて、笑い話にもならないね
上等だ。それでこそ暴き甲斐があるというもの

PK可能エリアに入り、他のプレイヤーにPvP勝負を挑む
目指すは最高ランクのPKに贈られる「死神」の称号
他の一般プレイヤーを徹底的に打ち負かすことで、
彼らがレア称号=禁断のデータに触れる機会から遠ざける目的もある

このエリアに来た時点で彼らも覚悟完了しているはずだ
存分に「コロシアイ」を楽しもうじゃないか
ただし僕は「絶対に負けない」
不正や違法ツールなど必要ない
ただ僕が「完璧」だっただけだ



●極限PvP
 サイバーザナドゥ、新しく見つかったという世界は極度に機械化、そして電脳が発達したサイバー世界である。
「ここがサイバーザナドゥか……初めて訪れる世界なのに、どこか僕の心になじむね」
 サイバースペースへとダイブし、現実世界と変わらぬ姿のアバターを作り出したグレアム・マックスウェル(サイバーバード・f26109)が落ち着いた声で呟く。電脳魔術師たるグレアムにとって、慣れ親しんだ見知らぬ世界、だ。
「それにしても、レアなお宝を手に入れたら地獄へ一直線だなんて、笑い話にもならないね」
 職業は少し迷ったけれど、これから行う事を考えればとアサシンを選択する。アバターを反映させながら、一般人ならなす術もないだろうけれど、猟兵である自分であれば、と考える。
「上等だ、それでこそ暴き甲斐があるというもの」
 点滅するスタートボタンをタッチし、ゲームの世界へと入り込む。チュートリアルを済ませ、ある程度のゲーム内インターフェイスを把握したグレアムが向かうのは、PvPエリアと呼ばれるプレイヤー同士の戦闘が認められている場所。
「このエリアに来た時点でプレイヤーの覚悟は完了しているはずだ」
 そうでなければ訪れることのない場所だし、クエストとして訪れる場合もそうだ。
 この場所を訪れたグレアムの狙いはPK、Player Killerと呼ばれる行為。一般のプレイヤーを徹底的に打ち負かし、彼らが手に入れるかもしれないレア称号から遠ざけると共に、自身がその称号を得る事。
「どうせ目指すのなら、最高ランクのPKに贈られる『死神』の称号が欲しい所だが……」
 思ったよりも人がいない、これはグレアムにとって想定外だった。
「打ち負かせば、ムキになって仲間を連れてきたりするはずだ」
 徹底的にやれば、PKエリアに強いPKがいると噂にもなるはず。そうなれば、腕に覚えのある者がグレアムに挑みに来るだろう。ただし、とグレアムが独り言ちる。
「僕は『絶対に負けない』けれどね」
 不正や違法ツールなんて必要ない、それが完全なる自律式人型機械だ。
「障害となるあらゆるノイズはここに訪れるプレイヤー」
 ならば、そのノイズを排除するのは自分だと、任務遂行支援プログラムを起動する。
「さあ、存分に『コロシアイ』を楽しもうじゃないか」
 アサシンとしてのスキルを巧みに使いこなし、グレアムがPKを開始して誰も訪れなくなるのは数時間後の話である。

 💎称号:デスサイズ R☆☆

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイネ・ミリオーン
ジェイf01070と
久しぶりに手伝ってと言われて逢えて嬉しい

そう、です、か?
電脳世界、楽しいです、よ
僕の世界で、は、こんなに綺麗に、残っていません、が

アバターは元の世界仕様の自分
ガスマスクもゴーグルも厚着も必要ない
服装だけはこの世界に合わせた

戦闘職、を、やるならガンナー、ですか、ね
吟遊詩人も面白そうです、けれど
なるほど、宝探し
何時も通りの、奪還者のお仕事

情報収集をしながら、ついでに、必要なら、歌って路銀も稼ぎましょう、ね
電脳世界、でも、何処でも、酔った人は、口が軽くなりますから、酒場とか、良いかな、と
……ふぅん、未踏破の、古のダンジョン
手付かずのお宝の山、って訳です、ね
行きましょ、う、ジェイ


ジェイ・バグショット
アイネ(f24391)と

全く凄い世界だぜ
電脳世界にダイブすることになるとはな…
アバターの見た目は変えず
防毒マスクを首元へ引っ提げ衣装のみ合わせておく
武器は慣れた拷問具をそのまま

レア物を探し出せ、ってよ
まるでアポヘルで貴重な物資を探し出す奪還者のようじゃねェか?

宝探しにわざわざ不得手を選ぶ必要もない
そういうの、得意だろう?
情報収集が得意なのはお互い様
UCで小さな鼠型の血液生物を数十匹放つ
酒場や裏路地、人の集まる場所に入り有力な情報を探す

ご自慢の声が役に立ったな
アイネの歌を聴くのは初めてで、少し得をした

あぁ、さっさと行こう
まだ誰も踏破していないなんて
これ以上にない誘い文句だ

一体どんなお宝があるやら



●古のダンジョンに眠るもの
 サイバースペースへとダイブし、オリジンを始めますかという問いにアイネ・ミリオーン(人造エヴァンゲリウム・f24391)は迷いなく空中に浮かんだパネルを操作してYESと答える。その淀みない動作を眺めつつ、ジェイ・バグショット(幕引き・f01070)もまたゲームの世界へと飛び込んだ。
「全く凄い世界ぜ。電脳世界にダイブすることになるとはな……」
 アバターの選択を行いながら、ジェイがポツリと零す。
「そう、です、か?」
 ソーシャルディーヴァたるアイネにとっては、電脳世界は馴染みがあるもの。同じようにアバターを選択しながら、久しぶりに仕事を手伝ってくれと誘いを掛けてきたジェイを見遣る。
「電脳世界、楽しいです、よ」
 お陰でジェイに逢えたと、言葉にはせずアイネが柔らかく目を細めた。
「そうか? ならいいんだが」
 慣れぬ手付きながらも、アバターの見た目は変更せずにジェイが防毒マスクを首元に引っ提げて、衣装だけはそれっぽく合わせていく。
「はい、僕の世界で、は、こんなに綺麗に、残っていません、が」
 荒廃したアポカリプスヘルとでは雲泥の差とも言えるかもしれないけれど、この世界も華やかな部分と汚泥に満ちた部分はある。きっとそこは大差ないのだろう。
 アバターをいつもの自分の姿からガスマスクとゴーグルを引いて、衣装をそれとなくゲームの世界へと寄せてアイネが職業を眺める。
「戦闘職、を、やるならガンナー、ですか、ね」
「レア物を探し出せ、ってのが依頼だからな」
 きっと職業はなんだっていいのだろう、それでもジェイは使い慣れた拷問具が扱えるエクスキューショナーを選びながら、アイネを見遣った。
「まるでアポヘルで貴重な物資を探し出す奪還者のようじゃねェか?」
「吟遊詩人も面白そうです、けれど。なるほど、宝探し」
 何時も通り、というわけです、ね。
 そう言いながら、アイネが吟遊詩人を選ぶ。奪還者の仕事だと考えるならば、難しい事ではない。情報収集をするのならば、吟遊詩人が一番便利そうだと思った故の選択だ。
「準備、できました、よ」
「ああ、こっちも完了だ」
 アバターの見た目も、職業も選んだ。あとはゲームをスタートするだけだと、二人はスタートと点滅するタッチパネルに指先を触れた。
 始まったチュートリアルを難なくこなし、この世界の常識や戦闘のコツ、ステータスやアイテム画面の使用方法などを頭に叩き込む。あとは実践あるのみと送り出された首都で、二人はその広さと荘厳さに顔を見合わせた。
「電脳世界、だよな」
「ええ、現実よりもリアル、が売りでした、か」
 なるほど、確かにこの景色も頬を撫でる風も、現実と言われてしまえば信じてしまいそうなほどに再現されている。
「のんびりしたいところだが、そうもいかないからな」
 まずは情報だ、とジェイがアイネに視線を送る。
「そういうの、得意だろう?」
「お互いにです、ね」
 そういうこった、とジェイが表通りから裏通りに入り、刻印から小さな鼠型の血液生物を召喚する。走る痛みに眉ひとつ動かさず、いってこいと命を下せば数十匹の鼠が酒場やギルド、情報が集まるであろう場所へと消えていく。
「俺達も行くか」
「そうです、ね。電脳世界、でも、何処でも、酔った人は、口が軽くなりますから、酒場とか、良いかな、と」
「鉄板だな」
 そうと決まれば、と二人で酒場に向かいカウンターへ座ると適当に酒を注文し、いい話は無いかと耳を澄ます。
「もう少し、口を軽くしましょう、か」
 ついでに路銀も稼ぎましょう、とアイネが僅かに目を閉じる。サイバースペース、引いてはゲームの世界だとはいえ電波を通じて音楽を拾うことは出来る。ざわざわとした人々の声を縫うように、小さなハミングが唇から零れると酒場の人々の声が徐々に小さくなっていく。
 アイネの歌声は決して大きなものではなく、甘く掠れた囁くようなもの。けれど人々が心地よく感じる声は、柔く酩酊するように頭を、心を揺さぶった。
 歌声が途切れると、数舜の沈黙の後にワァッと歓声が広がってアイネに向かっておひねりが投げられる。
「ありがとう、ございま、す」
「……大したもんだな」
 歓声を受けるアイネの横で、その歌声を初めて聞いたジェイが緩い拍手を送りながら少し得したなと小さく笑った。
 アイネの歌声への対価はゲーム内の通貨だけではなく、情報としても二人の手に入る。
「……ふぅん、未踏破の、古のダンジョン」
「御自慢の声が役に立ったな」
「お役に、立てれば何よりです、よ」
 手つかずのお宝の山があると聞き、二人が席を立ち上がる。
「行きましょ、う、ジェイ」
「あぁ、さっさと行こう。まだ誰も踏破していないなんて、これ以上にない誘い文句だ」
 どんな宝が待っているのかと、少し楽しそうな表情を見せてジェイが歩き出す。アイネもそれに続くように酒場を出ると、早速ダンジョンがあるというフィールドへ転送を試みた。
「如何にもって感じだな」
 レアアイテムを探し出せと、再び鼠達を放つとジェイが一歩を踏み出す。
「楽しみ、です、ね」
 アイネの声もどこか弾むようで、二人はまだ見ぬ宝を求めダンジョンの最奥を目指すのだった。

 💎アイテム:蒼翠の原石 R☆☆☆

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カルマ・ヴィローシャナ
はーい今回のキトゥンchはなんとゲーム実況!
WZSのオリジンやっちゃうよ♪

この格好でゲーム内にダイブしてパフォーマンスで人を集めよう
チャンネル登録を増やす為にも頑張るにゃん☆彡
ジェネシスXQで簡易ステージをこさえて
ドミネーションで派手な演出をして、人が集まったら質問ターイム!

このゲームのレアアイテムとかイベントに関する情報を集めるよ~
そしたら――同じ奴出しちゃおう
過去を実体化するこの終末時計なら
かつて起こった事をもう一度やり直せる筈!

懐中時計からそれらを――私に支配された過去を再現して
アイテムやイベントの条件を強制的に続々と成立させる
これで情報根こそぎ貰っちゃうよ♪
勿論、イレギュラーも一緒にね



●ゲーム実況:オリジンはじめました!
 サイバーザナドゥで生きるカルマ・ヴィローシャナ(波羅破螺都計・f36625)にとって、サイバースペースに入るのは息をするよりも簡単なこと。
 猟兵としての仕事ではあるけれど、テンション上げてく為にも自分の配信チャンネルでゲーム実況しながらやれば、チャンネル登録者数も増えるのでは? と気付いてしまった。となれば――。
「はーい、今回のキトゥンchはなんとゲーム実況! WZSの最新作で最高傑作とも名高いオリジンやっちゃうよ♪」
 やるに決まってるでしょ、ってなものである。
「アバターも色々選べるし、世界に沿った姿でもいつもの自分でも思いのままなんだって」
 配信時にする恰好そのままにアバターを決定し、スタートと光るパネルをタッチすれば一気にゲーム世界だ。チュートリアルを面白可笑しく実況しつつ、カルマは首都へと降り立った。
 勿論、いつもの恰好にしたのには理由がある。配信を見ている人がカルマだと分かりやすいという点と、ゲーム内のプレイヤーがカルマを知っていれば、それだけで人が集められるからだ。
「チャンネル登録者数を増やす為にも頑張るにゃん☆彡」
 がんばれー、でもゲームもしろよー! なんて応援コメントに手を振り、カルマが軽く首都を練り歩いて視聴者へのサービスをしつつ、広場で立ち止まる。
「こ・こ・で、カルマちゃんの質問ターイム!」
 ぴっと指を画面に向けて、くるりと回せばジェネシスXQで簡易ステージが立ち上がる。カルマドミネーションによる派手な演出で、通り掛かる人々の目も釘付けだ。
 カルマちゃん? カルマちゃんだ、という声も聞こえてきて反応は上々。集まってくれたプレイヤーを前に、カルマが手を振りながら皆に質問だにゃん! とウィンクを飛ばす。
「まずは視聴者の皆も知りたい、このゲームのレアアイテムとかゲーム内イベントに関する情報を聞いていきたいと思うにゃ!」
 ぴこぴこ、と頭に付けた猫耳だって動く、あざとくても可愛ければなんぼである!
「最初は~……かっこいい鎧を着ているそこの君にゃ!」
「お、俺?」
 選ばれた男――多分、はまんざらでもないのだろう、カルマの問いにそうだなぁと答えてくれる。
「次はひらひらが可愛い君!」
 次々と指名しては話を聞き出し、視聴者にもこんなイベントや敵がいる、落とすアイテムもレアみたいだにゃ! と、情報を発信しつつ――カルマがこっそりと懐中時計の力を使い凍った刻を回す。過去を支配し、聞き出したアイテムやイベントの条件を成立させ、カルマが得るのは様々なアイテム。
 これで情報は根こそぎカルマの物となるし、インタビューされた相手は満足するし視聴者はゲームの世界に触れて楽しめるし、一石二鳥どころか三鳥だよ♪ とカルマがマスクの中でにんまりと微笑んだ。

 💎アイテム:刻を彩る秒針 R☆☆

大成功 🔵​🔵​🔵​

フール・アルアリア

■アバター→見た目はそのままピンク髪ツインテールの女子、魔女っ子衣装に三角帽子、蝙蝠羽と悪魔尻尾の種族、職業は魔法使い
※以下、プレイングが女の子ロール※
■よーし、頑張っちゃうぞ!まずはみんなよろしくね!人気の少ない狩場を鳥さんたちに偵察してみつけてもらったら、こっからがゲーマーの本気なんだから。

狙うは時間沸きのフィールドレイドボス!わいてくるまではレアドロップ狙いでひたすらモンスターを狩っちゃうわ。

演唱時間のディレイキャンセルスキルを使って、一発武器で殴ったら逃げてモンスターをたくさんチェインさせてから…振り返りながら範囲魔法どーん!

これ、人様に迷惑かける狩り方だから実際はやらないようにね!



●トレインと自滅は紙一重
「アバターはこれでよしっと」
 見た目は現実世界の自分のまま、髪をピンクにしてツインテールに。それから性別だけを変えて。
「ジョブはウィザードかな」
 衣装は正統派魔女っ子、可愛らしい大きなリボンがついた三角帽子にちょっぴりゴスロリめいたフリルたっぷりのワンピース、背中にはぴょこぴょこ動く蝙蝠羽に、スカート部分からちらりと覗く悪魔尻尾が堪らない。
「思い通りに作れるっていいよね!」
 満足のいく出来にフール・アルアリア(No.0@低速中・f35766)が微笑んで、点滅するタッチパネルに手を伸ばす。
「ここからの僕はそう――女の子だよ!」
 スタートという文字に触れ、そう高らかに宣言した。
 チュートリアルを済ませ、ある程度の操作と魔法に慣れたフールがまず行ったのは、人気の少ない狩場探しだ。
「よーし、頑張っちゃうぞ! まずはみんなよろしくね!」
 ユーベルコードの力で様々な鳥の力を借りて、情報を収集すると早速フィールドへと足を踏み入れた。
「狙うは時間湧きのフィールドレイドボス! 湧いてくるまではレアドロップ狙いでひたすらモンスターを狩っちゃうわ」
 ここからはフールのプレイヤースキルが物を言う、ゲーマーの本気を見せてあげると意気込むと、杖を構えて――モンスターを殴った。
 当然モンスターは反応してフールを追い掛ける、逃げれば他のモンスターもそれに反応して一緒に追い掛け始める……一見悪手の様に見えるが、彼の狙いはそこだ。
「取り敢えずはこのくらいで……っと!」
 チェインが切れない程度の距離を保ちながら走っていたフールが振り向き、詠唱時間のディレイキャンセルスキルを駆使しながら範囲魔法を自分の周囲に放つ!
「どーん!」
 吹雪巻き起こり、モンスターが見る間に氷柱へと閉じ込められる。モンスターが自力で氷柱を割っても、魔法の持続時間中は再び氷柱へと閉じ込められる。
「えいっ!」
 それを杖で割って速度を上げればダメージも高くなるし、魔法の効果が切れる頃にはモンスターが全部死んでいるって寸法だ。
「うーん、爽快!」
 決まるとかなりの脳汁が出るのだが、失敗するとモンスターにたかられて即死なので基本的には回復職と一緒にやると事故が少ない――いわゆる、トレインというプレイヤースキルのひとつだ。
「でもこれ、人様に迷惑かける狩り方だから人が多い狩場では実際にやらないようにね!」
 僕との約束だよっ! と、誰に言うでもなくフールが笑った。
「さあ、次はレイドボスを狩っちゃうわよ!」
 実際は多人数で討伐するべき対象だけれど、そこはフールのプレイヤースキルと猟兵としての力があればなんとかなるはず! フールが周囲のモンスターとレイドボスをガンガンに引き連れて、無双するのはすぐ後の事だった。

 💎アイテム:極氷の魔杖 UR☆☆☆☆☆☆

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス

晴夜お兄さんf00145と

使用キャラ
ピンク髪のツインテロリっ子
服は白ロリにうさ耳カチューシャ
身の丈ほどある戦斧
リュカだから…アカウント名「リカちゃん
晴夜さんのことはハレちゃん呼び
死んでも死なないから前衛する

ハレちゃん、UCとかなめてるの
もっと幼女っぽく
どうせするなら全力でした方が楽しいから
折角かわいいかっこしてるんだから

さて情報収集だね。レアの情報…
「おにいちゃん、リカね、おしえてほしいことがあるの(きゃるっ
…やばい人を弄ぶのってちょっと楽しいかもしれない
ハレちゃんももうちょっと頑張って

……今ドラゴンって言った?
ドラゴンって言ったよね?(ドラゴン好き
「いこうハレちゃん、ドラゴンは、きっとれあだよ
(首根っこ掴んで突っ込んでいく

ゲーム的にはガチ&蛮族バーサーカームーブでガンガン突っ込んでく
そして他人にもガチを要求する
ハレちゃん、その魔法クールタイム5秒だから脳内でカウントして他の魔法混ぜながら撃って
手止めない!
そして最後は突入して死ぬ
「ハレちゃん(その今落ちたレアアイテムもって)逃げて~!


夏目・晴夜

リュカさんf02586と

▼アバター
水色髪のツーサイドアップ
ブカブカのローブを羽織り
大きな杖を抱え持つ
幼女

我々が…幼女に!?
うわっ声も高いですよ、リュカさん!
おっと、ここではリカちゃんでしたね
あ、兎の耳いいですねえ
私も頭に何か欲しい…追加で巻き角生やします

これにて見事完成しました完璧幼女ハレルヤちゃん
生憎と幼女歴は皆無ですが幼女できる気しかしませんよ!
ハレルヤって見方を変えれば幼女で通用する気もするのでね

まずは街で情報収集
幼女でもクリア可能なレア情報が欲しいですね
そうだ、聞き込みに使えるUCがありますよ!
これで容易く情報ゲットです、さあ褒め──えっ
もっと幼女っぽく?もうかなり幼女なのに…?

演技うっま…プロ幼女ではないですか
クソッ、中の人の顔がチラつくけど可愛い…!
いやドラゴン行くんですか!?幼女なのに!?

しかもガチのやつ!
リカちゃん一人でガンガン行かないで…あ、なんか強い魔法出せました!幼女なのに!
さあ褒め──あっはいクールタイム…
うわ、死ん、え、逃げ、待って情緒が追いつかねえ!(逃げた



●ゲームは遊びじゃねぇんだよ
 二人揃ってサイバースペースへとダイブしたリュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)と夏目・晴夜(不夜狼・f00145)は、オリジンを始めますか? という問いに一も二もなくYESと点滅するホロパネルを叩いた。
「まずはアバターですね、リュカさん!」
「そうだね、晴夜お兄さん」
「どんなアバターにしましょうか? このままの姿でも、現実世界とはひとつも掠りもしない姿でも思いのままですよ」
「そうだね……どうせなら微塵も掠らないのにしよう」
 淡々と答えたリュカに、晴夜の目が光る。
「なるほど! どちらがより現実世界に掠ってないアバターが作れるか勝負ですね!」
「え、そんな事言ってないけど」
「お任せください! この晴夜、リュカさんが参りましたというようなアバターを作り上げてみせましょう!」
「……受けて立つよ」
 アバター勝負じゃないのだが、いつの間にかそんな事になっていた。
 そして彼らはこういうところ凝り性、黙々とゲーム内で使用するアバターを決めていき、完成したのがこちら――!
「ううん、ピンク髪のツインテロリっ子とは……!」
「水色髪にツーサイドアップ、ふんわりカールに腰まで届く長さ……」
「さすがリュカさん、妥協がない!」
「お兄さんこそ、極めてきたね」
 リュカが作ったアバターはピンクの髪を高い位置でツインテールに結った完全美少女、いや、美幼女。毛先は勿論くるんくるんにカールさせ、服装は白いロリータワンピースにうさ耳カチューシャだ。ポイントは身の丈ほどある戦斧を背負っているところ、世の男の子はギャップ萌えが好きなんでしょう、知らんけど。
 対する晴夜が作り出したのは水色のさらさらロングをツーサイドに結い、毛先をふんわりとカールさせたいとけない幼女。ぶかぶかの黒いローブはふんわりレースがあしらわれていて、大きな杖をよいしょと持つ姿が愛らしい。ポイントは萌え袖、これで落ちない男はいないんでしょう、知ってるんだから。
 ……という、甲乙つけがたい幼女アバターが二体、爆誕してしまったのである。
「兎の耳いいですねぇ、私も頭に何か欲しい……追加で巻き角生やします」
 晴夜が巻き角を生やし、満足気な顔をするとリュカに向かって微笑む。
「これで行きましょう、バ美肉ってやつですね!」
「ばび……?」
 バーチャル美少女受肉ならぬ、バーチャル美幼女受肉、いざスタートです!
「おお、我々が……幼女に!? うわっ、声も高いですよ、リュカさん!」
「あーあー、うん、可愛い声だね。あと僕の事はリカちゃんって呼ぶように」
「おっと、ここではリカちゃんでしたね。私はハレルヤちゃんです」
 呼び方に気を付けつつ、チュートリアルと呼ばれる初心者向けの操作方法のレクチャーをこなし、首都へと降り立ったのである。
「これにて見事完成しました完璧幼女ハレルヤちゃん!」
 くるんとターンを決めれば髪の毛もふわりと弾む、幼女以外の何者でもない完璧幼女だ。
「生憎と幼女歴は皆無ですが、幼女できる気しかしませんよ!」
「僕だって……こほん、リカだって幼女歴はないけど、こうなったからには幼女だよ」
 幼女歴とは、という疑問はない、だって今の二人は幼女そのものだから!
「それにハレルヤって見方を変えれば幼女で通用する気もするので」
 ほら、無邪気で天真爛漫じゃないですか! という晴夜を置いて、リュカがてちてちと歩き出す。
「あっ待ってくださいよリカちゃん!」
 追い掛ける晴夜も、とてとて、みたいな歩き方でより一層幼女である。そんな彼らが何をするかというと、幼女でもクリア可能なレアアイテムがゲットできちゃうクエストや敵はいないかを探すこと。
「そうだリカちゃん、このハレちゃん、聞き込みに使えるユーベルコードがありますよ!」
 サイバースペース、それがゲームの世界でも猟兵としての力は抑制されない。
「これで容易く情報ゲットです、さあ褒め――」
「ハレちゃん、ユーベルコードとかなめてるの」
「えっ」
「もっと幼女っぽく」
「ほ、ほえ?」
「そう、そういう感じ」
 どういう感じだと突っ込む暇も無く、リュカが畳み掛ける。
「どうせするなら全力でした方が楽しいから」
「もうかなり幼女なのに……?」
「うん、折角かわいいかっこしてるんだから、全力だよハレちゃん」
「なるほど、このハレちゃん方向性を見誤っていたかもしれません……私は幼女、ええ、私は幼女です!」
 洗脳かな? 大丈夫? 現実世界に帰ったときに幼女ムーブしちゃわない? と思わないでもなかったけれど、やるなら徹底的にというリュカの指導の元、情報収集開始である。
「ここはやっぱり酒場ですかね、リカちゃん」
「幼女に酒場……ゲームの世界だから問題ないね」
 勿論飲酒はしないけれど、入るだけなら規制はない。カウンターにちょこんと座り、ホットミルクを注文すれば完璧、もう百点満点。
「あの、おにいちゃん」
 リュカが隣に座っていた見た目がヤバい強面系のプレイヤーに向かって声を掛ければ、なんだいお嬢ちゃんと返事が来る。若干デレっとしたような声に、いけるとリュカが本気を出した。
「あのね、リカね、おしえてほしいことがあるの」
 こてん、と首を傾げたリュカ――いや、リカの語尾にはきゃるっ☆ という擬音が見えたと後の晴夜は語る。
「リカちゃんっていうの? いいよ、何でも聞きな!」
「俺も、俺も聞いてあげるよ」
 爆釣~~~! 『演技うっま……プロ幼女、いやプロ幼女さんではないですか』と晴夜がPTを組んでいるリュカにしか見えないチャットを飛ばすと、『ハレちゃんももうちょっと頑張って』と指示が飛ぶ。
「あのね、リカたちでも倒せそうな、レアアイテムを落とすもんすたーっていないかな?」
 やばい、人を弄ぶのってちょっと楽しいかもしれない、なんて新しい扉を開きかけながらリュカがきゃるんっ☆ミ する。
 あざとい、モンスターを平仮名にしてきた、あざとい! クソッ、中の人の顔がチラつくけど可愛い……!! と思いつつ、晴夜もあどけない笑みを浮かべてうんうん、と頷く。
「レアモンスターか~、エンジェルスライムとかならいけるんじゃねぇか?」
「あれが湧くところ、近くにドラゴン出るじゃん。危なくないか? それならデビデビスライムの方が」
「……おにいちゃん、今ドラゴンって言った?」
「え? ああ、うん。エンジェルスライムが湧く場所の近くにドラゴンの巣があってね、稀にボスドラゴンが湧くから」
「わあ、詳しくききたいなぁ! リカ、ドラゴン大好き!」
 危ないよ~、俺達も一緒に行こうか? なんて言われながら場所を聞き出したリュカはきちんとお礼を言って、晴夜の首根っこを掴むと酒場を飛び出した。
「いや、ちょ、口を挟む隙無さ過ぎてだまってましたけど、ドラゴン行くんですか!? 幼女なのに!?」
「いこうハレちゃん、ドラゴンは、きっとれあだよ」
 レアとかレアじゃないとかもう絶対関係ないですよね! という晴夜の叫びはリュカには届かない、だってドラゴン見たいんだもん!!
 教えてもらった場所に到着すると、エンジェルスライムなんざ関係ねぇ、俺はドラゴンを倒したいんだよとばかりにリュカが動く。
「ハレちゃん、リカが前衛を張るから魔法でガンガンやって、いいね?」
「幼女どこいったんですか」
「行くよ!」
 ドラゴンの巣と言っていた場所には稀にしかいないというボスドラゴン、そりゃあリュカのテンションも上がるというもの。
「死んでも死なない、そういうゲームなら蛮族プレイだよ」
「幼女と蛮族のギャップ!」
 ぶんぶんと戦斧を振るい、リュカがボスドラゴンの首を狙う。
「リカちゃんガンガン行かないで……」
「ぼーっとしない!」
「はい! あ、なんか勢いで強い魔法出せました! 幼女なのに! さあ褒め――」
「その魔法クールタイム五秒だから脳内でカウントして他の魔法混ぜながら撃って、MP回復はこれ飲んで」
「あっはい、ガチじゃないですか!! クールタイム……」
「ハレちゃん、ゲームは遊びじゃないんだよ」
「いや遊びですよね!?」
 そもそも、遊びに来たわけではないのでリュカの言い分が正しい、多分。
「手止めない!」
「はい!」
 半泣きの幼女と、ドラゴン相手にテンション爆上がりの幼女がわちゃわちゃしているのは正直可愛いのではないだろうか、ガチだけど。
「いくよ、ハレちゃん!」
 一発逆転を狙い、防御を捨ててリュカが首を狙った一撃を放つ。
「わーーリカちゃん!?」
 完全相打ちである、ドロップもぽろりしたけどリカちゃんの命もポロリだ。
「うわ、死ん、」
『ハレちゃん、それ拾って逃げて~!』
「えっ、逃げ、」
 絶対拾え、という気迫を感じるチャットに晴夜があわあわしつつも、何とか拾い上げて駆け出す。
「待って、情緒が追いつかねえ!」
『情緒よりも逃げて!』
「うわーん!」
 幼女ボイスを響かせて、追ってくるモンスターを振り切ってなんとか首都へ戻ってくると、リュカが立っていた。
「えっ何で」
「死んだらセーブポイントに戻るのがお約束だよ、ハレちゃん」
「あっゲーム……」
「お宝ゲットだね、ハレちゃん」
 情緒がジェットコースターな晴夜を置き去りにし、リュカならぬリカが満面の笑みを浮かべるのだった。

 💎アイテム:竜の命玉 SR☆☆☆☆

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)
うーん。アバターは中華娘っぽい恰好にしようかなっと。
衣装はアバターにちなんでスリット入ったチャイナ服で。
職業は戦闘職の武道家とかそんな感じのでいいかな。
で。ログイン。
墨ねーと相談の上で二人で闘技場行って称号入手するじぇ♪

相手の攻撃を見切って回避しながら急所に蹴りを入れる戦法。
時々軽いダッシュから急に加速して間合いを詰めて蹴るじぇ♪
武器持ちの相手は脚で武器受け武器落としてから蹴り攻撃。
ガードが堅い相手は【錠前】で守りをはずして砕いてから。
タフな相手には【錠前】の2回攻撃や零距離攻撃をしよう。
蹴りには常に重量攻撃と鎧砕きを加えて威力を上げておくね。
「う? 決勝は墨ねーか~」
同じ闘技場だからとーぜんと言えば当然だけど想定外だじぇ。
勿論全力で戦うよ。ゲームだからお互いに重傷はないはず。
実は一度だけでも戦ってみたかったんだじょ。ワクワクする♪
流石は達人。一部の隙もないから迂闊に踏み込めないじぇ。
斬られるの覚悟で一気にダッシュで踏み込んで【錠前】。
太刀筋を見切って攻撃するじぇ!


浅間・墨
ロベルタさん(f22361)
「…で、デン…ノウ…?」
簡単に説明して貰いましたがよくわかりませんでした。
とにかくロベルタさんに教えて貰いつつ準備しますね。
着物に袴の姿のあばたーで。職業はサムライにします。
ろぐいん後の相談で闘技場で称号を得ることにしました。
あ。愛刀はそのまま使えるようです。『真改』にします。

場に佇んで相手の出方次第で刀を振るう手段で戦います。
相手の一挙手一投足を見切りや野生の勘や第六感で見極め。
早業の2回攻撃で斬ります。場合により【鍔鳴】を使用。
身を低くし懐に入って斬ることも有効かもしれません。
愛刀が弾かれてしまったら見切りを利用し白羽取りをします。
相手の剣を奪って斬る状況も生まれるかもしれませんね。
「!? ろ、ロ…ルタ…さ…?」
ロベルタさんと一戦交えることがあるとは考えませんでした。
やる気に満ちている彼女を前に動揺は禁物ですね。やります。
自由気ままな戦法の方との戦いがこんなにも脅威とは。
辛うじて対処できていますが長くはもたないですね。
私も攻めますが中々決定打になりません。



●闘技場遊戯
「……で、デン……ノウ……?」
「そうなんだじぇ、この世界は電脳世界が発達してる世界なんだって……墨ねー?」
「……その、デンノウ、とは」
 そこからか~~! という顔はしたものの、ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)はこう見えてプログラマーとしての能力に長けた電脳魔術師、ちんぷんかんぷんという顔をしている浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)に、なんとか説明を試みる。
「えっと、簡単に言うと現実世界みたいにゲームの世界の中で動けるって感じなんだじぇ!」
「げぇむの世界……偽物の世界、ということですか?」
「偽物、墨ねーにとってはそうなるかな」
 どちらの世界を本当とするかはその人次第だし、サイバースペースを生活の拠点にする人もいるだろう。現実世界の肉体の生命維持さえできれば、それも可能だ。
 しかしこれ以上難しい話をしてもきっと墨にはまだわからないだろうし、ロベルタも上手く説明できる気がしない。取り敢えずそういう事にして、墨にレクチャーしながらサイバースペースへとダイブした。
「ここがサイバアスペェス……」
 簡単に説明しては貰ったものの、よくわからなかったけれど……確かにロベルタの言った通り、現実世界と変わらないように動ける。
「だいじょぶ? 墨ねー」
「は、はい……なんとか」
 次はアバターを作るんだじぇ、というロベルタにひとつひとつ教えてもらいつつ、墨がアバターを作り上げる。
「……外見は……現実世界と同じで、着物に袴姿にします」
「僕は中華娘っぽい格好にしようかなっと! 顔は同じで、髪型をツインのお団子にするんだじぇ♪」
 たどたどしい墨の動きとは対照的に、ロベルタがパパッと外見を決めると衣装をチャイナドレスにし、職業もそれらしく武闘家に決定する。
「私は……サムライにします」
 少し時間はかかったけれど、アバターの姿を決めれば後は早い。
「このスタートって点滅してるところをタッチするんだじょ」
「は、はい……たっち、と」
 二人を中心にして円形に周囲が光り、気が付けばチュートリアルと呼ばれる簡単なゲームの説明と操作の仕方を覚える場所へと飛ばされる。そこでどうにか基本を理解し、墨の動きももスムーズになった所で首都と呼ばれる都市へ飛ばされたのだった。
「う、すっごいんだじぇ~!」
「とても……偽物には、思えません……!」
 チュートリアルの時も思ったけれど、現実とほぼ……いや、まったく変わらないと言ってもいい程だ。
「さて、墨ねー」
「はい、ロベルタさん」
「これからどうしよっか!」
「……ええと、れあ、と呼ばれるものを……探すのですよね?」
 そうそう、とロベルタが頷き、辺りを見回す。
「アイテムでも称号でもいいみたいなんだけど、どれがいいかな」
 そう言って、ううんと考えだしたロベルタが空中に地図を浮かべて眺める。
「墨ねー、闘技場っていうのがあるんだじぇ」
「……闘技場、あの……説明でも、言ってましたね?」
 依頼の説明を聞いた時に、そんな事を言っていたと墨がロベルタに確認するように問う。
「言ってたんだじぇ! ここで称号をゲットしてみる? 墨ねー」
「……そう、ですね……わかりやすいかと……思います」
 現実世界と変わりなく動けるとは言え、ゲームのセオリーなどは墨にはわからない。それならば、猟兵としての力も使えるのだから対人戦でなんとかなるなら、その方が楽なのではないかと思ったのだ。
「よーし、そうと決まれば闘技場に行くんだじぇ!」
 それで、二人で勝ち進んで称号を入手するのだと、ロベルタが墨の手を引っ張って笑った。
 闘技場に到着すると、まずは登録からだと言われて受付で参加登録を済ませる。武器は、と問われて墨は愛刀がそのまま使えると気付き手にした刀、『井上真改』を見せた。
「僕はこの脚が武器なんだじぇ♪」
 格闘技で戦うのだとロベルタが言うと、それを元にして対戦表が作成されていく。基本はランダムだが、ある程度職業によるバランスなども加味されるのだとか。
「面白そうなんだじぇ~」
「……勝ち抜くと、ぽいんと、とやらも貯まるようです」
 そのポイントでアイテムを交換できたりもする、という話だ。
 ロベルタと墨の出番が決定すると、それぞれが違うゲートへと案内される。
「勝ち抜いてみせるんだじぇ!」
「……頑張って、きます」
 あとで、と手を振って二人がゲートを抜ければ、そこは人々の歓声渦巻く闘技場。相手は同じプレイヤー、装備も物を言うだろうけれど、最終的には己の技量。そうとなれば、ロベルタと墨に負ける要素はなかった。
「いっくじぇー!」
 ロベルタの初戦の相手は大剣を持った戦士、まずは小手調べだとロベルタが相手の出方を見る。大振りな武器は威力こそ高いけれど、機動力や隙が大きい。
 猪突猛進とばかりにロベルタに向かってくる戦士の攻撃を難なく見切り、最小限の動きで回避すると鳩尾を狙って蹴りを繰り出す。黒地にコバルトブルーの羽根が躍るチャイナ服のスリットから、健康的なすらりとした脚を見せて放つ蹴りは中々に強力で、ぐらりとよろけた戦士が振り回す大剣をしゃがんで避け、そのまま足払いを決める。
「いっただきだじぇ♪」
 そのまま仰向けに倒れた戦士に向けて、踵落としを放てばあっさりとロベルタに軍配が上がった。
「ぶいっ♪」
 ブイサインを作りつつ、次の対戦相手と対峙する。休憩を挟むこともできるが、ロベルタは大して疲れてもいなかったし称号を得るなら早い方がいいと判断したのだ。
「この調子でどんどん勝ち上がっちゃうんだじぇ♪」
 二回戦は同じ格闘を使う相手で、見た目は筋骨隆々な大男、タフそうな見た目通り軽い攻撃ではダメージが通り難い。
「なら――」
 ロベルタがユーベルコード『錠前』の力を開放し、素早い蹴りを放つ。防御されても当たればこちらのもの、その次に放つ蹴りは命中もダメージも三倍になるのだから、タフな相手と言えど懐に入り込んで蹴り上げれば堪ったものではない。
 そんな風に、ロベルタが観客の声援を浴びながら次々に勝ち進んでいく一方、墨はというと。
「……これが闘技場……ですか」
 和のスタイルを持つサムライということで、飛び交う声援も中々のもの。初戦の相手は魔法使い、墨はその場に佇んで相手の出方を待った。
 焦れて動いたのは魔法使いで、詠唱のモーションに入った瞬間に墨が駆け出して刀を振るう。一撃目はバリアで弾かれたけれど、そのバリアが剥がれた瞬間に二撃目をすかさず放てば相手の詠唱モーションも止まる。
「……もらいます」
 新たな詠唱に入りかけた相手に向け、刃を一閃させて勝利を掴んだ。
 その冷静な立ち居振る舞いに、ヤマトナデシコだの、ジャパニーズサムラァイだのと歓声が上がって墨が恥ずかし気に俯く。それもまた風情があると、声援が飛んだ。
 二回戦の相手は同じく剣を持つ者、西洋風の剣ではあるが魔法よりは馴染みがあると墨がほっと息を吐いて再び相手の出方を待つ。剣士が鞘から剣を抜き、墨に向かって駆け出す。
「……隙の多い動き、ですね」
 ぐっと脚に力を入れて、墨が身を低くして駆ける。その素早い動きに剣士が反応するよりも早く懐へと踏み込み、白刃を煌めかせた。
 そんな風に三戦目、四戦目と墨もロベルタも勝ち抜いて、いつしか決勝戦まで勝ち上がって――。
「!? ろ、ロ……ルタ……さ……?」
「う? 決勝は墨ねーか~」
 あちゃー、という顔をしたロベルタと、前髪で隠れた瞳を瞬かせる墨が相対する。
「同じ闘技場だから、とーぜんと言えば当然だけど想定外だじぇ」
「私も……です……」
 ロベルタと戦うことになるなんて、一つも考えなかったと墨が目を伏せた。
 けれどこれも必要な事、やるからには全力だとロベルタが墨に笑う。
「……はい、手を抜く……なんて……失礼です……から……」
 やる気に満ちている彼女を前に動揺は禁物だと気を引き締め、やるからには全力でと墨も頷く。
 戦闘開始の合図が鳴っても、両者動くことはない。否、動くに動けないのだ。
「流石は墨ねー、達人なだけあるねぃ」
 一部の隙も無い故に、迂闊には踏み込めない。でも、とロベルタが楽し気な声で言う。
「実は一度だけでも墨ねーとは戦ってみたかったんだじょ! ワクワクする♪」
 だからこそ、斬られる覚悟を持って自分から攻める! ダッシュと共に踏み込めば、墨がそれに反応して動く。それも織り込み済みでロベルタが錠前の力を以てして蹴りを放ち、墨が鞘を手にして受け止める。
「いっくじぇ~!」
「……っ!」
 迷わず墨が腰を落とし、居合術による超高速の一撃を放つ。
「うおっとっとぉ!」
 けれどロベルタの回比率も錠前の力で上がっている、紙一重で避けては蹴りを繰り出す。
「さすが、ロベルタ……さん……っ」
 自由で気ままな戦法との戦いがこんなに脅威だとは、と墨が舌を巻く。定石通りの攻撃ではなく、その場で思い付いた攻撃や動きでこちらを翻弄してくるのだ。
 中々決定打にならないと墨が唇を引き結ぶけれど、それはロベルタも同じこと。決まったと思ってもダメージを上手く受け流されて刃が襲い掛かってくるのだから。
 二人の手に汗握る戦いに、観客のボルテージも上がっていく。
「これで決めるじぇ!」
「望む……ところです……!」
 ロベルタが瞬息の間に距離を詰め、墨がそれに反応し刃を放つ。そのあまりにも速すぎる動きに、観客の誰もがどちらが勝ったのか分からぬままに固唾を飲む。
「……参り……まし、た……」
 先に降参と手を上げたのは墨で、刃は遠くに弾き飛ばされロベルタの蹴りが寸止めで鳩尾に入っている。
「う、楽しかったんだじぇ!」
「……はい、私も」
 楽しかったです、と墨が心から微笑んだ。
 大歓声を浴びながら、闘技場を出た二人のステータスには強者に贈られる称号が燦然と輝いていた。

 💎称号:輝かしき栄光を掴む者 R☆☆☆

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『アサシン・ポールダンサー』

POW   :    死を告げる刃
【アーム・マンティスセイバー】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    キリングダンサー
【ポールダンスの動作】による素早い一撃を放つ。また、【表面装甲を外す】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    パッショネイトダンス
【情熱的な激しいポールダンス】を披露した指定の全対象に【この踊りをもっと近くで見たいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●排除する者
 レアと呼ばれるアイテムや称号を手に入れた猟兵達の前に現れたのは、それに付随する情報を回収、及び手に入れた者を現実世界へと戻れないようにするようプログラムされたオブリビオン『アサシン・ポールダンサー』であった。
 ゲーム内の空間を切り取り、強制的に無人の場所へと猟兵を連れだしたアサシンが告げる。
『回収、シマス』
 たったそれだけの短い言葉ではあったが、猟兵である君達には充分すぎるほど。
 手にした情報の価値はまだわからないけれど、奪われるわけにはいかない。切り取られた空間の中、君達はゲーム内のアバター姿のまま、襲い来る彼女らを倒す為に武器を振るう――!

●注意事項
 ゲーム内の姿のまま戦闘となります。戦闘に有利不利はありませんが、ゲーム特有の派手なエフェクトとか付いたり付かなかったりするかもしれません。
静寂・拝人

シャルル(f36639)と
せっかく見つけたレアアイテムを渡してたまるもんかよ。
いつもはシャルルに前衛任せっきりだが…今は俺が前衛職だからな。プリーストは黙って守られてな。
いっそさっき見つけたレアアイテムを使うか。
後は【プログラミング】と【ハッキング】で装備を強化。
本当は俺もチートは好きじゃないんだが。
仕事だからな卑怯とは言わないでくれよ。

っていってもカンパニーマンだからか一応交渉はしておこうか?俺達の行為を見逃してくれないか?UC【メガコーポ式交渉術】

まぁ、交渉は決裂だろうから。
さぁ、戦闘と行こうか。
敵の攻撃はチートで対応。
今日は守られてるだけじゃないぜ?


シャルル・メリー

拝人(f36629)と
まぁ、ゲーム中に接触されたらこうなりますよね。(拝人は張り切ってますが守られてるだけと言うのは性に合いません。
ってさりげなく私の方にもチートデータ送ってきてますね。
(ファンタジーに不釣り合いな銃が手の中に現れる)
本来なら切り込んでいく戦法が好きなのですがここは【援護射撃】と行きましょう。
これ以上強化はいらないかもしれませんがプリーストのバフは全部かけておきましょう。
拝人のことです失敗はしないでしょうが。

スピードにはスピードで。
UC【クイックドロウ】で敵攻撃に合わせて素早く攻撃です。

やっぱり守られるなんて私には似合いませんね。



●それはゲームの様に
 手に入れたレアアイテム、ファイアーブレイドを手にし、さて次の狩場はと静寂・拝人(人生ゲーマー・f36629)がステータスから地図を開こうとした瞬間だった。
『ソレヲ、回収、シマス』
 機械音声交じりの女の声がしたと思ったら、シャルル・メリー(星に手を伸ばす・f36639)と共に見知らぬ空間にいたのだ。
「まぁ、ゲーム中に接触されたらこうなりますよね」
「ま、そうなるよな」
 首都からフィールドへ移動した時の様な感覚に、強制的な転送がなされたのだと気付き、拝人がシャルルを庇うように前へ出る。
「せっかく見つけたレアアイテムを渡してたまるもんかよ」
「拝人」
「今は俺が前衛職だからな」
 プリーストは黙って守られてな、と言われてシャルルが小さく息を吐いた。
「わかりました」
 拝人が張り切っていることだし、と後衛らしい位置取りをしたものの守られているだけというのは性に合わない。さてどうしたものかとシャルルが『アサシン・ポールダンサー』を見遣れば、さりげなく己の手に現実世界でも愛用している銃が握られていることに気が付いた。
「拝人」
「これくらいは当然だろう?」
 指先を細やかに動かす拝人が笑みを浮かべる、敵の姿を視認した瞬間からゲーム内のプログラミングにハッキングをかけていたのだ。
 見知らぬ空間とは言え、サイバースペースの中……ひいてはゲーム内の空間。これくらいの事はしてのける、それが静寂・拝人という男だとシャルルが僅かに唇の端を持ち上げる。
「本当は俺もチートは好きじゃないんだが、仕事だからな」
 装備の強化にステータスの底上げ、それがどこまで通用するかはわからないけれど――卑怯とは言わないでくれよ、と拝人がシャルルに向かってひらりと手を振る。
「言いませんよ」
 ここはゲーム世界ではありますが、これはゲームとは違いますから、とシャルルが銃を手にしたままゲームの中の力を振るう。
「おっ、強化バフ。折角だからさっき見つけたレアアイテムを使うか……っと、その前に」
 ファイアーブレイドを構えつつ、拝人が今にも襲い掛かろうとしているアサシンに声を掛けた。
「こう見えても俺はカンパニーマンの端くれだからな、一応交渉はしておこうか」
「聞き入れそうにありませんけど?」
「それはそれ、これはこれさ」
 礼儀みたいなもんだよ、と拝人がアサシンに向かって交渉を始める。
「君の仕事はこのアイテムだとは思うが、俺達の行為を見逃してくれないか? わかりやすくいえば、そうだな。お帰り願いたいってところなんだが」
『認メラレマセン、ソレハ命令ニアリマセン』
「まぁ、そうでしょうね」
「まぁ、そうなるよな。けど、これはタダの交渉じゃない」
 ユーベルコートの力故に、決裂したところでそれ相応のモノが相手から失われる。
『ピ、装甲ヲパージシマス』
 パシュ、という音と共にアサシンの装甲が外れ、手にしたポールを軸にして拝人に向かって素早い蹴りが放たれた。
「遅いな」
 装備の強化にシャルルからのバフで底上げされている能力、相手の動きは読めている。
「今度はこっちの番だ」
 手にしたファイアーブレイドをアサシンに向かって振り下ろすと、刃から炎が迸りアサシンの身体を飲み込んでいく。
「今日は守られてるだけじゃないぜ?」
「油断禁物です」
 炎の中から攻撃を仕掛けようとするアサシンよりも早く、手にした銃の引き金を引いた。
 銃口から熱線が放たれアサシンの口の中に見えた回路へと命中すると、一度大きく痙攣するように跳ねてそのまま動きを止めた。
「やっぱり守られるなんて、私には似合いませんね」
「バリアとか張ればよかったんじゃないか?」
「何か?」
「……なんでもない」
 冴えた藍色の瞳で見返され、降参といった風に拝人が片手をあげた。
「さて、回収要員を倒した後は――」
「バグを修正するオブリビオン、でしたか」
「相手にとってのバグは俺達の事だろうな」
 揺らぐ空間を前にして、拝人とシャルルは手にした武器を構え直すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フール・アルアリア
■…あ、なんか覚えあるな?と思ったけれど、噂に聞くGMの懲罰部屋みたいね、此処。

■苦労して手に入れたアイテムを渡すわけにはいかないわね。トレイン狩りでそこそこレベルもあがったし、スキルポイントとステのボーナス値を割り振って新しい魔法覚えちゃお。

装備レベルと職業が大丈夫そうなら拾った杖は装備しちゃおうかな…アイテム鑑定が必要そうなら装備は諦めるしかないわね。

さて、折角だものね、高火力ど派手な魔法を…どーん!ついでに指定UCも織り交ぜて…これはもう猛吹雪ね。アバターだから実際は寒くないんだけど敵のお姉さんの布面積少ないからなんだか寒く感じるわ…。

ところでこのアイテム、レア度いくつくらいかしら…。



●そんな部屋もきっとある
「ん?」
 楽しくトレイン狩りをしていたフール・アルアリア(No.0@低速中・f35766)が、突然飛ばされた見知らぬ空間で首を傾げる。敵が接触してきたのはわかる、わかるのだが……何か覚えのある部屋というか、空間なのだ。
「……あ! これあれね、噂に聞くGMの懲罰部屋みたいね、此処」
 都市伝説なものから、マジで実装されているゲームもある通称懲罰部屋、監獄などと呼ばれる場所。本来であれば、他の人に邪魔されずにGMが話を聞くという場所なのだが――。
『回収、シマス』
 フールの目の前にはどう見てもGMには見えない『アサシン・ポールダンサー』がいたし、GMならそう名前に入っているもの。
「苦労して手に入れたアイテムを渡すわけにはいかないわね」
 トレイン狩りで上がった分のスキルポイントとステータスのボーナス値を振り切って手に入れた、新しい魔法を試すチャンスだとフールが笑みを浮かべた。
「そう言えば拾った杖、装備レベルが合わなくて持ったままだったけど……今なら使えたりするかな?」
 アイテム鑑定とかいるのかな、と考えつつ装備してみればその必要はなく手に馴染む。
「……これってかなり強い?」
 ステータス一気に上がったんだけど、と言う暇も無くアサシンがフールに向かって襲い来る。
「っと、せっかちね」
 ポールを軸にして踊るように蹴りを繰り出してきたアサシンの攻撃をバックステップで避け、フールが杖を翳す。
「さて、折角だものね! 高火力でド派手な魔法を……」
 魔法スキルを使う時に出る魔法陣がフールを中心にして広がっていく、トレイン狩りをしていた時よりもその魔法陣は大きくて、効果範囲が広いと知れた。
 ついでに、とばかりにユーベルコードの力も織り交ぜれば赤と白の薔薇の花弁が吹き荒れて、アサシンからフールの姿を掻き消す。これは実質詠唱途中に攻撃されて、詠唱がキャンセルされるのを失くしたも同然である。
「どーんっ!」
 吹き荒れるは猛吹雪、そこに花弁も舞い散ってアサシンが凍る度に花弁が攻撃を仕掛けて、凍ってを繰り返せばアサシンのボディが罅割れていくのが見えた。
「……えぐいね?」
 転生職の魔法並みの威力に、フールが瞳を瞬かせる。それにアバターだから寒さは感じないけれど、敵の布面積が少ないのもあってか、視覚的に寒いと思わず腕をさすってしまう。
「あ、魔法効果切れたわね」
 吹雪が収まった後に敵の姿はなく、フールが一息付く。
「それにしても……このアイテム、レア度いくつくらいかしら……」
 見た目はかなり繊細な造りで美しく、威力も高い。
「ウルトラレアとかだったりして」
 なんてね! とフールが笑って次の敵に備えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
さすがサイバースペースですね。転移も何も思うままですか。
引き続き吟遊詩人の装いで、オブリビオンと相対しましょう。

小脇に抱えた竪琴を「楽器演奏」して、「全力魔法」安らぎの(ただし回復などはない)「属性攻撃」効果を受け入れやすくする「催眠術」「歌唱」「郷愁を誘う」アンチウォーヴォイスを歌い上げましょう。

ふふ、戸惑っていますね。武器を振るうことに罪悪感は感じませんか? 今のあなたを故郷の家族や友人が見たら、なんと言うでしょう?
さあ、もう武器は下ろしてください。

これで彼女たちのユーベルコードは封じられたはずです。私は演奏を続けないといけませんので、皆さんに討滅をお願いします。
どうぞよしなに。


十種・天陽
来たなぁ……!かかってこい、叩き壊してやるよ!


戦端が開かれると同時に【ダッシュ】で突撃。向こうの攻撃は【見切り】躱す。得物を振り抜いた隙に相手の腕部に手で触れてUCを発動。
上手いこと腕を壊せれば重畳。出来なくても多少の機能不全くらいは起こせるかな?

そのまま、UCを発動するために触れた手を支点として逆上がりの要領で宙へ。その後は、相手を足場にする度にUCを使うなり【怪力】でパーツをもぎ取るなりしてぶっ壊していこうか。



●吟遊詩人は歌い、モンクは拳で語らう
「あら」
「ん?」
 互いの声に、儀水・芽亜(共に見る希望の夢・f35644)と十種・天陽(悪性喰らい・f36604)が顔を見合わせる。芽亜は劇場にいたはずだし、天陽はフィールドでボス狩りを行っていた――つまり、全く別の場所にいた見知らぬ二人が見知らぬ空間へと飛ばされたのだ。
『ソレヲ、回収、シマス』
 回収シマス、という音声を繰り返す『アサシン・ポールダンサー』を前に、二人が隙なく身構える。
「あなたも猟兵ですか?」
「ああ、ってことはそちらも猟兵ってことだ」
 ゲームの中では見知らぬプレイヤー同士が協力して敵を倒すということも、ままある事。野良と呼ばれるんでしたっけ、と芽亜が考えながら小脇に抱えていた竪琴を軽やかに爪弾いた。
「私はこのゲームの中では吟遊詩人です、あなたは?」
「見たまま、モンクさ」
「……それは丁度いいですね」
 芽亜のゲームの中でのスキルは補助、バッファーに近い。極めれば攻撃職にも劣らぬ、雑魚敵であれば即死させるような呪歌も取得できるのだが……今の彼女はそうしなかった。
「援護します」
「助かるよ」
 攻撃職との相性がいいのだ、特に素早く動けるモンクともなれば芽亜の歌に惑う敵を容易く葬ってくれるはず。ゲームの中での話ではあるが、猟兵であればオブリビオンであるエネミーだって、きっと。
 そう信じて、芽亜が爪弾く音色に合わせてアンチウォーボイスを高らかに歌い上げる。ただ歌うだけではない、己のスキルを織り交ぜて安らぎの属性効果を受け入れやすくするようにと、計算尽くでの歌声だ。
「〽さあ、爪牙を収めましょう。刃は鞘の中、銃砲は蔵の中。偃武の心で、平和を築くのです」
『ア、ア、回収、シマ、ウ、ア?』
 歌声が響く中、芽亜の歌が届かなかった個体には天陽が駆け、アサシンから繰り出される腕部からの一撃を見切ったうえで左手の甲で受け止め、右手で触れる。
「――そら!」
 蝶が止まったかのような、触れたか触れないかの瞬間に天陽が力場を変換して生み出した衝撃を放つ。それは蝶の羽ばたきが巡り巡って竜巻を起こすかのように、アサシンの腕部を破壊した。
「お見事です」
「援護のお陰だよ!」
 芽亜にひらりと手を振って、アサシンに触れた手を支点とするかのように地面を蹴り上げ、天陽が軽々と宙に舞う。一瞬の俯瞰、その間に芽亜の歌声に屈していないアサシンを見つけ出し、厄介な腕を壊すべく再び駆けた。
 歌声に惑うアサシンは動作も覚束なく、首を傾げるようにして動きを止めていく。
「ふふ、戸惑っていますね」
 芽亜が響かせるアンチウォーボイスは聴く者の精神を揺るがし、戦いに対する疑問と戦意の喪失をもたらすもの。
「武器を振るうことに罪悪感は感じませんか? さあ、もう武器は下ろしてください」
 その問いに、アサシンが手にしていたポールを取り落とす。ガラン、という無機質な音があちらこちらで響く。
「オブリビオンであっても、その身を機械化義体したものであっても……この歌から逃れるのは難しいですからね」
 抵抗する者も勿論出てくるけれど、それでも動きは鈍くなっているはずだと芽亜が竪琴の弦を掻き鳴らす。
「これで彼女達のユーベルコートは封じられたはず……封じきれなかった分はあのモンクさんが片付けてくれていますし」
 ちらりと天陽に視線を向ければ、的確に芽亜の歌が通じなかったアサシンをその武功で打ち砕いているのが見えた。
「意外と多い……っと、来たなぁ……!」
 天陽を先に倒すべきと判断したアサシンが腕のブレードを振り被って向かってくるのに笑って、天陽が拳を構える。
「かかってこい、叩き壊してやるよ!」
 ブレードの腹の部分に拳を打ち付け、その衝撃と共に敵から離れる。ブレードが罅割れ、アサシンの腕が分解されるように崩れるのを横目で眺め、今度は額にと拳を打ち込めばアサシンがポールごと崩れ去った。
「私は演奏を続けないといけませんので、討滅はお願いしてもいいでしょうか?」
「ああ! 適材適所ってやつだね!」
「ありがとうございます、どうぞよしなに」
 空間に響くのは妙なる歌声と、裂帛の気合のみ――アサシンが全て倒れると、二人が視線を交わして笑みを浮かべる。
「雑魚のあとはボスだよな」
「定説ですね」
 消えゆくアサシン・ポールダンサーを眺め、芽亜と天陽が頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイネ・ミリオーン
ジェイf01070と

ダンジョン、結構楽しかった、です、ね
……ん、来ました
手に入れたRアイテムを手の中で転がしながら、現れたオブリビオンへ視線を
コードを繋いだガラクタを構え、即座に攻撃態勢へ
プログラムされている敵なら音での催眠効果は薄いと判断

ジェイ、行けます、か?
纏めて薙ぎ払います、から、抜けたのを、頼みます
UCの音波で纏めて薙ぎ払う
仕留め損ねたものへ【2回攻撃、制圧射撃、クイックドロウ、部位破壊、零距離射撃、弾幕、スナイパー、戦闘知識】、ガラクタで撃ち抜いて行く
一般人にとって、脅威、でも、僕や、ジェイにとっては、普段通りのオブリビオン退治、ですから、ね
必要なら束ねたコードも鞭のように使用


ジェイ・バグショット
アイネ(f24391)と
あぁ。割りと良さげな物も手に入ったし
あとは…コイツら片付けるとするか

いつでもイイぜ?
どこからとも無く電子の海より
よく手に馴染んだ黒剣『絶叫のザラド』を召喚
敵の攻撃を防ぐように盾として使用
剣での一撃は一瞬のチャンスを待つ

じゃあ遠慮なく。前衛は頼むぜ

アイネとの共闘はこれで二度目
前へ出てくれるのなら有難い、とすんなり任せる
抜け出た敵を影のテフルネプにより捕縛し
機械化部分を狙っての部位破壊による
円滑な動作や行動の阻害を狙う

この世界を知るには丁度いい
今日はアイネも居るしな
恐れるほどの敵でもない

敵の至近距離からの特大一撃には
UCによる捕食形態の剣顎でお出迎え

鉄も機械もバリバリってな



●いつものように
 ダンジョンで手に入れた宝を眺めつつ、アイネ・ミリオーン(人造エヴァンゲリウム・f24391)がジェイ・バグショット(幕引き・f01070)に視線を向ける。
「ダンジョン、結構楽しかった、です、ね」
 蒼翠の原石、蒼にも翠にも色を変える不思議な石を光に透かしながら言うと、ジェイもアイネが手にした石を見遣って頷く。
「ああ。割りと良さげな物も手に入ったし、あとは……」
 画面を切り替えるように自分達がいる場所は切り替わったのを感じて、ジェイが視線を鋭くする。
「コイツらを片付けるとするか」
「……ん、そうです、ね」
 敵が現れたことを感知したアイネも手に入れたアイテムを手の中で転がしながら、現れたオブリビオン――『アサシン・ポールダンサー』へと意識を向けた。
 プログラムされている敵だとすれば音での催眠効果は薄いかとアイネが判断し、ならば物理だとガラクタと呼ぶ大型の銃にケーブルを繋ぎ、即座に攻撃に移れるように態勢を整える。それとほぼ同時にジェイも無造作に右手を横に突き出し、手にするのは『絶叫のザラド』の名を持つ身の丈ほどもある大きな黒剣。
「ジェイ、行けます、か?」
「いつでもイイぜ?」
「纏めて薙ぎ払います、から、抜けたのを、頼みます」
「じゃあ遠慮なく。前衛は頼むぜ」
 アイネが前衛を張るならば、自分はすり抜けてきた敵を潰そうと黒剣を構えた。
『ソレヲ、回収、シマス』
「悪いが、渡すわけにはいかなくてな」
『邪魔ハ、排除シマス、排除、排除対象』
 排除対象二名、とアサシン達が機械音を響かせてアイネとジェイに向かって躍りかかった。
「認証Code:million. 004起動」
 アイネが己の発する電波を通じ、音楽を――攻撃的なまでに鋭い音をアサシンへとぶつけ、薙ぎ払う。数体のアサシンが吹き飛ぶ中、運良くすり抜けた機体が手にしたポールを地面に突き刺し、アイネとジェイに向かって蹴りを放つ。
「テフルネプ」
 ジェイが影に向かってそう呟くように囁けば、ジェイの影から何かが伸びた。それはアサシンの繰り出してきた足を捕縛するように巻き付いて、彼女たちの動きを止める。
「いい、的です、ね」
「違いない」
 アイネがガラクタで足を狙って撃ち抜くと、ジェイが機械化された箇所を狙って黒剣を振るい、アサシンの息の根を止めていく。
「一般人にとって、脅威、でも」
 壊れゆく個体を盾にする様にして、わらわらと向かってくるアサシンにアイネが銃口を向ける。
「僕や、ジェイにとっては、普段通りのオブリビオン退治、ですから、ね」
 この程度のオブリビオンであれば、二人の敵ではない。否、強敵であったとしても、互いの信頼する想いとコンビネーションがあればどんな相手であろうとも恐れるほどの敵ではない。
「そういや、アイネと共闘するのはこれで二度目だな」
「ええ、そうです、ね」
「ここはアポカリプスヘルじゃないが、やることはあんまり変わらないからな」
  あの時もアイネが前衛で、鼠を蹴散らし飛行船を落とし……今と大差ないなと呟きつつ、この世界を知るには丁度いいと、ジェイが唇の端を持ち上げる
「トウモロコシ、の収穫は、ないです、が」
 そう言って、アイネが再び音波をアサシン達にぶつける。
「この世界のトウモロコシか……合成トウモロコシとかじゃないか」
 倒れたアサシンの後ろから、腕のブレードを振り被り襲い掛かろうとするアサシンにジェイが黒剣を捕食形態へと変化させ、その大きな顎をアサシンへ向けた。
「鉄も機械もバリバリってな」
 貪欲なまでの凶暴性で、黒剣の剣顎がアサシンを喰い尽くしていく。
「これで最後か?」
「どう、でしょう」
 湧き出るように襲い掛かってきていたアサシン・ポールダンサーであったが、弾切れでも起こしたかのように現れなくなり、二人が顔を見合わせる。
「……この次がボス、ということです、ね」
「だな、雑魚じゃ回収しきれないって気付いたのかもな」
 バグを修正する役目を持ったオブリビオン、バグは恐らく自分達――だが、どんな敵であっても情報を渡すわけにはいかない。
 暫しの静寂の中、二人はただ意識を研ぎ澄ませ、倒すべき敵を待った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

暁無・蘭七

【SN8】

現れましたね。釣果は上々みたいです
申し訳ありませんが、盗みはすれど盗まれるのは矜持に障りますので抵抗させて頂きます
それではこの「怪盗」が、貴女がたの幸運――残らず奪って差し上げます

敵の攻撃を適宜見極めて、【ダッシュ】の即時行動で回避。黄金蝶に気を取られている隙を突いて、影から生み出した大鎌の群れで襲いかかりましょう
【残像】で実体をぼかせば、敵の視覚を撹乱させられるでしょう
重点的に四肢や胴体を狙い、無力化を図ります

私達の舞踏会へようこそ
こういう踊り方はあまり馴染みがないでしょうか?
私が教えますので、どうか身を任せてください
とはいえ、終幕は近そうです
さあ、―存分に跳ね回ってくださいね?


静心・穢

【SN8】

おやおや、団体さんのお出ましで結構なことだね?
残念ながら我々Sein N8の相手とするには役者不足が否めないけれど……バンビ、アルミラージは準備はいいかな?
ではトリガー、号令を頼むよ。

さあ精々派手に散って貰おうか!
『犯行夜告(パーティー・チケット)』を受け取り給え!!


(黄金の蝶達の輝きに混じって降り注ぐ無数の予告状により殺風景な無人空間は怪盗達が縦横無尽に活躍する舞台へと変貌する。
そこではポールダンスの動作より軽やかに舞い、加速し振るわれる刃より鋭く素早く、その生命を盗み取ることだろう)

はは、もっとダンスの練習をしておくのをオススメするよ。
この『美しき略奪者』を狙うのなら、ね?


森乃宮・小鹿
◎【SN8】
へぇー、こんな殺風景なVIPルームははじめてっすよ
しかもボクらからお宝を回収しようなんて、いい根性してやがりますねぇ
了解、リーダー。こっからはボクらのショータイムっす!

直接対峙するのはみんなに任せて
ボクは敵の狙いをかく乱していきましょう
懐から取り出すのは何枚かの金貨
敵へと向けて指で弾いて、まじないを唱えましょう
リチェス・ディスタブ・マモーナス!
さあ、あんた達の狙う獲物は『それ』っすよ!
不規則に飛び回る黄金蝶をターゲットに変更させて隙を作りましょう

怪盗たるもの、踊るより踊らせる方が得意なんすよ
あんた達もうまーく踊ってくれてますよ
ボクらの計画通りに、ね!


鴇巣・或羽

【SN8】

ああ、どうやらお出ましみたいだね。
だが……相手が悪かったな。

目元を隠すアイマスクを身に着ける。
『遊び人』なんて仮の姿――『怪盗』が姿を表すのは、仕事の時間と決まってる。
淑女諸君、手筈通りだ。始めるぞ!

奴らの攻撃手段は全て近接。
俺はフックショットを使い、【空中機動】で翻弄する。
黄金蝶の群れの隙間を縫うように、4th trickを【乱れ撃】つ。

「ポールダンサー」、名前の通りに踊ってもらおう。
華やかに、艶やかに――但し物騒な得物は抜きで、な。
狙いは腕の刃物だ。

カジノのときと同じ、演出はド派手に劇的に。
ここはもう、俺達のステージだったのさ。

――俺達は「怪盗団」なんだよ。奪うのは、十八番だ。



●軽やかなステップで
 それはカジノで伝説的な荒稼ぎを叩き出した四人が堂々と大手を振ってカジノを出ようとした瞬間であった、確かに外へ出たと思ったのに彼らが目にしたのは見知らぬ空間。
「VIPに対する扱いにしてはなってないね」
 ふふ、と静心・穢(強欲罰する貧窮の魔・f31405)が笑って辺りを見回して、そのあまりに何もない空間に肩を竦める。
「へぇー、こんな殺風景なVIPルームははじめてっすよ」
 もっと豪華で煌びやかな部屋に通すべきじゃないっすか? と、森乃宮・小鹿(Bambi・f31388)が鴇巣・或羽(Trigger・f31397)に同意を求めるように視線をやれば、或羽もそうだねと口元を隠すようにして笑う。
「皆様」
 凛とした、それでいて可愛らしい暁無・蘭七(アルミラージ・f31384)の声が注意を促すように響くと、闇を引き裂くようにどこからともなく『アサシン・ポールダンサー』達が姿を見せた。
「現れましたね、釣果は上々みたいです」
「おやおや、団体さんのお出ましで結構なことだね?」
 群れを成すアサシンに穢が笑い、蘭七が足元の影を蠢かせる。
「ああ、どうやらお出ましみたいだね。だが……相手が悪かったな」
 或羽が胸元から引き抜いた目元を隠すアイマスクを身に着け、『遊び人』から『怪盗』へとスイッチする。
「遊び人はお仕舞っすか?」
「ここからは仕事の時間だからね」
 遊び人は仮の姿にすぎない、彼の本質は夜にして怪盗――そしてそれは、ここに居る仲間全てに言えること。
『ソレヲ、回収、シマス』
 機械音声を響かせて、アサシン達が四人へと迫る。
「部屋が殺風景なだけじゃなく、ボクらからお宝を回収しようなんて、いい根性してやがりますねぇ」
「申し訳ありませんが、盗みはすれど盗まれるのは矜持に障りますので抵抗させて頂きます」
 ボクらを馬鹿にしてたりするんでしょうかね、とバンビが笑えば、丁寧な口調だけれどはっきりとした拒絶を蘭七が口にする。
「残念ながら我々Sein N8の相手とするには役者不足が否めないけれど……バンビ、アルミラージ、準備はいいかな?」
 穢の声に二人が頷くと、彼女がそれは綺麗に微笑んで或羽に視線を投げた。
「ではトリガー、号令を頼むよ」
 それを受け、或羽が涼やかながら、どこか甘さと魅惑を含んだ声で宣言する。
「淑女諸君、手筈通りだ。始めるぞ!」
「了解、リーダー。こっからはボクらのショータイムっす!」
「それではこの『怪盗』が、貴女がたの幸運――残らず奪って差し上げます」
「さあ、諸々派手に散って貰おうか!」
 怪盗から盗めるものなら盗んでみるがいいと、それぞれが笑ってアサシン達へと対峙した。
「それじゃ、まずはボクからっすね」
 仲間から一歩下がった場所で小鹿が懐に右手を差し込むと、数枚の金貨を指の間に挟んで取り出す。
「さあさあご覧あれ!」
 魅せて差し上げるっすよ、と小鹿が笑ってアサシン達に金貨を弾く。金色の煌めきを放ちながら飛んだ金貨に、アサシンの視線が向かう。
「リチェス・ディスタブ・マモーナス!」
 小鹿が歌うようにおまじないを唱えると、金貨は瞬きの間にその姿を黄金の蝶へと変えた。
「さあ、あんた達の狙う獲物は『それ』っすよ!」
 それは攻撃の優先順位を狂わせる、黄金の蝶。アサシン達に下された命令が書き換わり、空をひらり、ひらりと舞う黄金の羽ばたきを追うようにアサシンが動く。
「さすがバンビ、ではワタシの手並みも披露するとしようか」
 穢が黄金の蝶に惑うアサシン達を見遣り、パチンと指を鳴らす。
「受け取り給え、君達の為の『犯罪夜告』だ!」
 黄金の蝶が放つ輝きに潜むように混じって降り注ぐのは無数のSN8からの予告状、殺風景な空間が瞬く間に煌めいて――まるで怪盗達の為に誂えられた舞台のよう。
 アサシン達がポールを軸にして床を蹴り、その勢いのまま穢に向かって蹴りつける。
「遅いです」
 その動きを見切っていた蘭七が影から生み出した大鎌の群れを操り、穢を襲おうとしていたアサシン達に向かって四方八方から刃を振るわせた。
 更に黄金蝶に気を取られたアサシン達にも群れを向かわせ、四肢や胴体を狙わせる。
「さすがアルミラージだね!」
 一歩も動くことなく、穢が蘭七の動きに感心したように拍手をして笑う。
「余計なことだったかもしれませんが」
「ははは、まさか。助かったよ、ダンスは優雅な方が好みだからね」
 刺激的なのも悪くはないが、と穢が或羽を見遣れば、彼が唇の端を僅かに持ち上げてフックショットに変形させたマルチギミックガンの引鉄を引いた。
「優雅に、怪盗の基本だな」
 天井に向かってピンと張られたワイヤーを利用し、或羽が空中を踊るように移動して黄金蝶の群れの中から魔導呪法弾を乱れ撃つ。それはアサシン達の腕の刃物へ着弾すると同時に、或羽の魔力波長によって爆破する。
「華やかに、艶やかに――その名の通りに踊って貰おう」
 ポールダンサーと言うくらいだ、踊るのは得意なんだろう? と或羽が笑う。
「但し、その物騒な獲物は抜きで、だ」
 腕のブレードを破壊されたアサシン達がカシャン、ガシャンと音を立てて崩れ落ちていくのを眺め、小鹿が黄金蝶を更に派手に舞わせてにんまりと瞳を細める。
「怪盗たるもの、踊るより躍らせる方が得意なんすよ」
 小鹿の言葉にこくりと蘭七が頷いて、大鎌を容赦なく振るう。
「私達の舞踏会へようこそ。こういう踊り方はあまり馴染みがないでしょうか?」
 蘭七がふわりとマントの裾を翻し、軽やかなターンと共にアサシンの四肢を飛ばす。
「でも大丈夫……私が教えますので、どうか身を任せてください」
「はは、蘭七の相手としては彼女達では力不足というものだね。もっとダンスの練習をしておくのをオススメするよ」
 穢が指先を鳴らし、大鎌をすり抜けたアサシン達に予告状を飛ばす。
「もちろん、この『美しき略奪者』を狙うのにも、ね」
「とはいえ、終幕は近そうです」
 群れを成していたアサシン達の残り数は、目に見えて減っている。
「さあ、――存分に跳ね回ってくださいね?」
 逃げ惑う兎の様に、と微笑んで蘭七が再び大鎌を繰り出せば、穢も予告状を四方八方から飛ばしてアサシン達を行動不能へと追い込んでいく。
 派手に舞う予告状と大鎌の隙間を縫って、或羽が魔導呪法弾を空中から放ちアサシン達を撃ち抜くと、フックを解いて仲間達の前に華麗に降り立つ。
 カジノの時よりも演出は派手に、劇的に。予告状が舞い、黄金の蝶が煌めき、影より作られし大鎌が刃を振るう。閉鎖されたこの空間は、アサシン・ポールダンサー達が獲物を奪う場所ではなく――。
「ここはもう、俺達のステージだったのさ」
「そうっすよ、あんた達もうまーく踊ってくれてますよ。ボクらの計画通りに、ね!」
『回収、ウ、ウ、シマ、回収、不能、不能』
 最後の一体に向け、或羽が魔導呪法弾を放つ。
「――俺達は『怪盗団』なんだよ」
 奪うのは十八番だと、崩れ落ちたアサシン・ポールダンサーへ或羽が微笑んだ。
「これで終わりっすか?」
「彼女達はな」
 小鹿の問いに或羽が答え、辺りに変化がないか確かめる。
「雑魚を蹴散らすとボスが出てくる、っていうのがセオリーってものだからね」
「これで終わりなら、この空間も解除されるはず……ですから」
 穢と蘭七の言葉に、それもそうっすね! と小鹿が頷いた。
 彼らの視線の先が揺らぎバグを取り除こうとする敵が現れるまで、もう僅かのこと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カルマ・ヴィローシャナ
出たわね人攫いプログラム!
だけどカルマちゃん達は只のゲーマーじゃないんだにゃん☆彡
一般ゲーマーに危害を加えさせる訳にはいかないもんね!
存在感を発揮しパフォーマンスで挑発して興味をこちらに向けさせて
実況と撮影しながらバトルスタート!

敵の出現と同時にドミネーションを展開しつつ
ジェネシスの制圧射撃で接近を食い止めるよ
30cmの射程に入って来られない様にすれば
そう簡単にやられはしない筈……ってか危なッ!?

合わせて斬撃波で敵の連携を分断し、各個撃破出来る体勢に持ち込む
最後は変異させたドミネーションの終焉拳
必殺の功夫――フォトン・カラテで一気にやっつけてあげるんだから!
イヤーッ! カイシャクしてあげるわ!



●トラブルがあっても配信続行!
 チャンネル登録者数がぼちぼち増えた辺りで、カルマ・ヴィローシャナ(波羅破螺都計・f36625)は突如見知らぬ場所へと転移させられていた。
「これからだったのに!? でも大丈夫、配信は続けるにゃん☆彡」
 トラブルがあってこそ盛り上がる、というのは配信の強みだ。内容によっては炎上するけど。
『回収、シマス』
 そんな言葉と共に現れたのは『アサシン・ポールダンサー』で、カルマが即座に身構えた。
「出たわね、人攫いプログラム!」
 ビシッと人差し指を突き付けて、軽くポーズを決めてマスクの奥の唇を持ち上げる。
「だけどカルマちゃん達は只のゲーマーじゃないんだにゃん☆彡」
 一般のプレイヤーであれば、なす術もなく囚われる所だろうけれど、猟兵は違う。過去たるオブリビオンに対抗する力と術を持っているのだから。
「一般ゲーマーに危害を加えさせる訳にはいかないもんね!」
 ここで食い止めれば、囚われるはずの人々を救うことができるはず。テンション高めに行くしかないよね! と、カルマが己の存在感を発揮するように、ジェネシスXQの力で自身を中心にライトアップし、アサシン達を挑発するように叫ぶ。
「カルマちゃんが相手だにゃん☆彡」
 配信が妨害を受けても後でアーカイブ配信できるように、実況と撮影を行うあたり配信者の鏡といえよう。
『回収、シマス、回収、シマス』
「させないっ!」
 アサシン達が現れたと同時に展開していたカルマドミネーションによって、原子を光粒子に変換していたカルマが先手とばかりにジェネシスXQが内蔵する火器をぶっ放す。
「ふふーん、三十センチの射程に入ってこられないようにすれば、そう簡単にやられはしない筈……」
 どうだ、とばかりにカルマが視線を向ければ、仲間……と認識しているであろう個体を盾にしつつ、アサシンがカルマに肉薄する!
「ってか危なッ!?」
 連携してくるなら、してくるっていってよね! なんて文句を言いつつ、カルマが咄嗟に上半身を後ろへ倒し難を逃れ、そのままバク転するように距離を取ると手にしたドミネーションを一閃して敵の連携を潰していく。
「各個撃破ってね!」
 ジェネシスXQの射撃に合わせ、衝撃波を放ちながらアサシン達を倒し、最後の一体になるとドミネーションを変異させ、拳を握った。
「必殺の功夫――フォトン・カラテで一気にやっつけてあげるんだから!」
 放つは業斗終焉拳、カルマが得意とするフォトン・カラテの神髄。
「イヤーッ! カイシャクしてあげるわ!」
 放たれた拳は過たずアサシン・ポールダンサーの鳩尾を捉え、カルマが持つ骸の海を流し込み――爆破する!
「ふう……次がラスボスだにゃん☆彡」
 チャンネルは変えずにそのまま! とカルマがドローンにウィンクを飛ばして繋ぎの時間を稼ぐのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グレアム・マックスウェル
ようやく敵のお出ましか
このゲームの世界観には場違いな、下品なまでに煽情的な衣装とダンス
でも悪いね。そういうのは僕の趣味じゃない
むしろ情欲は思索の邪魔だとすら思っているぐらいだ

指定UC発動
今の僕のアバターはアサシン
無数のレーザービームは、このゲームのビジュアル的には
魔力のオーラを纏った投げナイフの弾幕と認識されるだろう

高速回転による大打撃が自慢のようだが
四方八方から取り囲み襲い来る、文字通りの「千のナイフ」は
そう簡単には避けられまい

この『世界』はメガコーポの作り上げた電脳空間
そこに入り込んだ今の僕は、言わば敵の掌中にある
それでも、電脳魔術師のプライドに懸けて
そう簡単にやられてはやらないよ



●アサシンVSアサシン
 PVPエリアにプレイヤーの姿が見えなくなった時点で、グレアム・マックスウェル(サイバーバード・f26109)は一度首都に戻るかとフィールドから移動しようとして――見知らぬ空間に飛ばされていることに気が付いた。
「ようやく敵のお出ましか」
 けれど、グレアムが慌てることはない。これも想定内、敵が現れるのであれば他のプレイヤーが見ている前ではあり得ないだろうから……と考えたところで、『アサシン・ポールダンサー』がグレアムの前に姿を現す。
『回収、シマス』
 機械音声交じりの女の声と、このゲームの世界観にはおよそ不釣り合いかつ場違いな衣装とダンスの敵に、グレアムが柳眉をほんの僅かながらも顰める。
「悪いね、そういうのは趣味じゃない」
 煽情的な動きで惑わそうというのならお門違いだとグレアムが目を細める、何せ情欲の類は思索の邪魔だとすら思うくらいなのだから。
「そういうのに惑わされるのを悪いとは思わないが、僕は遠慮させてもらうよ」
 早々にご退場願おうか、とグレアムがユーベルコードの力を発動させる。
 常ならば無数のレーザービームが彼の周囲を飛翔するところだが、今のグレアムはアサシン。それに見合うようなビジュアルに変換されたそれは、魔力のオーラを纏う無数の投げナイフと化して、アサシン達へと襲い掛かった。
「ダンスによる高速回転からの打撃が自慢のようだが」
 このナイフから簡単に逃れられると思ってもらっては困るな、とグレアムがナイフを操る。『千のナイフ』と名付けられたそれは、文字通り四方八方から情熱的なまでのポールダンスを披露するアサシン達へと降り注ぐ。
「蜂の巣、というやつだ」
 他の機体を盾にしながらグレアムに迫るアサシンの攻撃を避け、グレアムがさらに意識を集中してナイフを飛ばせば、火花を散らすようにオーラを輝かせてナイフがアサシン達に突き刺さった。
「この『世界』はメガコーポの作り上げた電脳空間」
 電脳空間に干渉し、この空間を作り上げて強制転送させることからも、それは間違いない。
「そこに入り込んだ今の僕は、言わば敵の掌中にある」
 それでも、グレアムとて電脳魔術師の一端を担う者。そのプライドに懸けても簡単にやられるわけにはいかないのだと、最後のアサシン・ポールダンサーが倒れるまで油断することなく千のナイフを操り続けた。
「さあ、次はボスのお出ましかな?」
 揺らぐ空間の中、何が現れても倒してみせると、グレアムが強い意志の宿る瞳で挑む様に真っ直ぐ前を見つめていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティア・メル
【波音】◎

回収なんてさせないんだよ
ね、クロウくんっ!
キャンディ・クロスを毒呪持つ細剣へ変化させ前へ
クロウくんには指一本触れさせないよ
ぼくの大切なひとなんだから

んに!
わわっと!クロウくん?
ぼくがこの細剣で刺すから大丈夫だよ
守られてばかりは嫌
これからは、君の隣にいたいから
並び立って進んでゆきたいんだよ

でも庇われるのが嬉しいのも確かで
これ、お姫様抱っこだよね?なんてどきどきしちゃう

意識を切り替えて
心はそのまま並んで寄り添わせながら
ぼくの全てをもって歌おう
んふふ、やいちゃうかもね

支配下に置いて相手の動きを封じちゃうよ
ぼくの好きな人に触れないで
あまやかに、かろやかに
さあ、ダンス勝負といこうか


杜鬼・クロウ
【波音】◎
首飾りは懐に

魔術師のお前となら、また違った世界が拓けそうだ
…ティア!

前出て戦うつもりが彼女に先越され
彼女が敵の攻撃に当たるとこをギリギリお姫様抱っこで救う

一人で無茶しすぎだ!危うく…ッ
(俺の方が戦場で場数踏んでて
強ェハズのに
彼女に勇ましさすら覚えた)

…俺、少しお前のコトを見誤ってたかもしれねェ
お前の歌、響かせろよ(通わせた心は温かい

敵のダンス見て嗤う
親指を噛みUC使用

そんな踊りじゃァ飽きちまうぜ
それに
あんまし見てると背後から誰かサンにやかれちまいそうだからな

普段より身軽な格好と武器な分、手数で攻める
踏み込みの甘さは想定済
鎌鼬の様に敵を切り裂く
さながら剣舞
宙を飛び彼女と息合わせ同時攻撃



●お手をどうぞ
 洞窟の宝箱からレアアイテムを手に入れて、さあ首都に戻ろうとした瞬間であった。
「うに……? どこだろ?」
「ティア、気を付けろ」
 見知らぬ空間に首を傾げたティア・メル(きゃんでぃぞるぶ・f26360)に杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)が注意を促すと、空間を切り裂くようにして『アサシン・ポールダンサー』達が現れる。
『ソレヲ、回収、シマス』
 響く女性の機械音声にティアが頬を膨らませ、理不尽な言葉に抵抗するように声を上げる。
「回収なんてさせないんだよ! ね、クロウくんっ」
「ああ、折角手に入れたお宝だからな」
 手にした首飾りを懐に仕舞い、クロウがティアに笑う。
「魔術師のお前となら、また違った世界が拓けそうだ」
 いつもとは少し違った戦法も試せそうだなと、クロウが目の前の敵に視線を戻す。
「ふふ、お任せなんだよ!」
 ティアが手にした可愛らしいロリポップキャンディを毒呪を持った細剣へと変化させ、前に出た。
「クロウくんには指一本だって触れさせないよ」
 だって、ぼくの大切なひとだから! そう笑って、手にした細剣でアサシン達を相手取る。
「って、お前が前に出るのかよ!」
「平気平気!」
 見た目は完全に後衛なのに、細剣を片手にアサシンの相手をするティアは勇ましく、思わずクロウが後手に回る。けれど、アサシンの攻撃がティアに届く寸前――。
「……ティア!」
「んに!?」
 彼女の腕を引き、咄嗟に横抱きにすると即座に床を蹴って難を逃れた。
「わわっと! クロウくん?」
「一人で無茶しすぎだ! 危うく……ッ」
 アサシン達から距離を取った場所で、クロウがティアに向かって眉を吊り上げて怒るけれど、ティアはふわんと笑って手にした細剣を見せる。
「敵の攻撃よりも早く、ぼくがこの細剣で刺すから大丈夫だよ」
「あのなぁ、今危なかっただろ?」
 うにに、と呻いたティアが、それでもとクロウを真っ直ぐに見つめて言葉を紡ぐ。
「だって、守られてばかりは嫌なんだよ」
「ティア……」
「これからは、君の隣にいたいから……並び立って進んでゆきたいんだよ」
 だから前にだって出るし、クロウを庇うことだってするのだと、彼の服を掴んでティアが言う。
「……悪い。俺、少しお前のコトを見誤ってたかもしれねェ」
「クロウくん……! でもね、クロウくんにこうやって庇われるのが嬉しいのも本当なんだよ」
 だってこれ、お姫様抱っこだよね? と、頬を赤らめてティアが微笑んだ。
「ったく……お前ってやつは」
 こんなことくらい、いくらでもしてやるよと思いながらクロウがティアを腕から下ろす。
「お前の歌、響かせろよ」
「クロウくんがお望みとあれば!」
 通わせた心は温かく、優しくて、二人は笑みを浮かべたままアサシン達に向かい合う。
「渇望する甘さは 此処に」
 心を並び立たせ、寄り添わせながら、ぼくの全てをもって歌おうとティアが声を響かせた。
 響く旋律は甘く優しく、そしてどこか力強く――ティアそのものと言っても過言ではないくらいの歌声で、クロウは敵に聞かせるのが勿体ねェな、なんて思ってしまうほど。
 歌声を響かせて、ティアがゆるりと手足を動かし、あまやかに、かろやかに踊りだす。アサシン達が抵抗するようにポールを床に突き刺して、情熱的で激しいポールダンスを披露するけれど、クロウの心には何一つ響かない。
「ハッ、この歌と踊りに対抗するのがそれじゃ、お粗末すぎるぜ」
 そう嗤って、クロウが親指を噛む。バチリ、と紫色をした電流が迸り、クロウの身体を駆け巡る。
「そんな踊りじゃァ飽きちまうぜ」
 それに、あんまし眺めていたら背後から誰かサンにやかれちまいそうだからな、とクロウが笑ってアサシン達へと踏み込む。
「んふふ、やいちゃうかもね」
 そう囁くように笑って、ティアがクロウの動きに合わせてアサシン達の動きを封じるべく歌と踊りに力を注ぐ。望む夢を見せ、心身を穿つ死毒の雨を放ち、幻の海に捕え支配下に置く――。
「ぼくの好きなひとに触れないで」
 その言葉に頬が緩むのを感じながら、クロウが鎌鼬のような鋭さでアサシン達を切り裂いて。
「ティア!」
「クロウくん!」
 互いの名を呼び、踊るように手にした剣で敵を貫く姿はまるで剣舞のように美しい。最後の敵を葬り去るまで、二人のステップが止まることはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)
裸…いえ。下着のみの恰好から相手は相当身軽そうですね。
速度の対応はロベルタさんにして戴きたいと考えています。
私は動きが止まったところに【神退】の一撃を放ちます。
早業とダッシュで間合いを一息に詰めてから【神退】です。
遠心力を加えた斬撃を『兼元』ですれば綺麗に斬れるかも。
人の躰ではないようなので難しいかもしれませんけれど。

狙う部位は胴か首を。ロベルタさんの攻撃と連携します。
横または縦に遠心力を加えて斬り捨てようと思っています。
【神退】に重量攻撃と鎧砕きに鎧防御無視も加えますね。

相手の攻撃は見切りと野生の勘と第六感で回避します。
私に襲ってきたところを【神退】で迎撃してもいいですね。


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)
「う! 僕がこのねーちゃんと速度対決するじぇ♪」
墨ねーの言うようにすっごく素早そうだよね。
だから限界突破と多重詠唱の【雷神の大槌】で対応。
早業と重量攻撃と鎧砕きに鎧防御無視もつけておくよ。
機械の躰みたいだから遠慮せずに顔と腹部を蹴るじぇ♪
2回攻撃で同じ部分を蹴ったら部位破壊できるかな?
鉄素材だから難しいかもだけど試してみよーと思うじょ。

墨ねーと連携。それか協力で相手を倒そーと思ってるよ。
剣技で狙いやすいように蹴りで誘導してもいいだろうねぃ。
僕が墨ねーの方へ蹴り飛ばして…もいいよね。迷うじぇ♪
低い態勢から思いきり蹴り上げるのもいいかな…うーん。

機械ねーちゃんの攻撃は見切りとか野生の勘とかで回避。
加速しても問題ないよ。僕も加速するだけだから♪



●ハイスピード
 闘技場を出た二人が称号を確認しながら、次はどうしようかと顔を見合わせて地図を開こうとした瞬間、辺りが華やかな街の風景から殺風景な空間へと切り替わる。
「う? 何が起きたんだじぇ?」
「……これは、敵が接触してきた……のではないでしょうか……?」
 ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)の問い掛けに、浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)が答えると、ロベルタがきょろきょろと辺りを見回す。
「何にもないんだじぇ!」
 優美な建物も、流れる音楽も、頬を擽る風も、何一つ感じられない空間。
 まるでゲームの裏側にでも落ちてしまったような……そんな場所で、墨が警戒するように腰に差した真柄斬兼元の柄に触れ、いつでも抜けるようにと身構えた。
「……ロベルタさん」
「わかってるんだじぇ、墨ねー!」
 少しの緊張感を孕んだ墨の声に、ロベルタが明るく返事をして墨と同じ方向を向く。ジジ、と空間が歪み、切り裂くようにして現れたのは過激な衣装を身に纏った『アサシン・ポールダンサー』の群れ。
『回収、シマス、ソレヲ、回収、シマス』
 ソレ、と言うのは間違いなく二人が勝ち取った称号の事だろう。
「レアアイテムにまんまと釣られてきたんだじぇ♪」
「……裸……いえ。下着のみの恰好からして……相手は相当身軽そうですね」
 墨からすればアサシン達の恰好はほぼ裸のようなもの、防御力も何もあったものじゃない姿に僅かに頬を染めるけれど、きっと防御よりも攻撃力、そして速度を重視しているのだろうと意識を引き締めた。
「う! 確かに墨ねーの言う通りかも……よーっし、僕がこのねーちゃん達と速度対決するじぇ♪」
 身軽さ勝負なら今のロベルタは武闘家、ゲーム内のデータとも相まって相性は悪くないはずだと前に出る。それに対するように、アサシン達も戦闘体勢に入って二人に向かって間を詰めた。
「む、すっごく素早そうに見えてきたんだじぇ」
 先に攻撃を仕掛けるのはどちらか、間合いをはかりながら墨がロベルタの出方を見る。速度の対応は彼女に任せると決めたからだ。
「なら、こうするんだじょ!」
 ロベルタの青く澄んだ瞳が煌めいて、多重詠唱を開始する。唱えるのは雷神の大槌、雷の加護持つロベルタの蹴り技、その前提動作。
「Uccidi i nemici in orbita con l'aiuto del ruggito!」
 重なり響くロベルタの詠唱に反応するように、アサシン達が動く。けれど、それよりも速くロベルタが動いた。
「限界突破の一撃だじぇ!」
 光よりも速くアサシンの懐に踏み込んで、右足に己の持つ様々な技能をのせて加速する一撃を放つ。それは青白い雷を纏って、ロベルタが蹴った位置から直線状にいたアサシン達をなぎ倒していく。
「機械の躰みたいだって思ってたけど、やっぱり機械の躰だったんだじぇ♪」
 遠慮なく頭部と腹部に蹴りを放ったロベルタがにんまりと笑い、次はどの敵かと狙いを付けた。
 アサシンが対抗するようにポールを床に刺し、情熱的なまでのポールダンスをロベルタと墨に見せ付ける。
「すっごいんだじぇ、墨ねー!」
「は……はれんち、では……?」
 重力を感じさせないその動きに感心し、もう少し近くで……なんてロベルタが近寄りながら、踊るアサシンの頭部に向けて蹴りを二発叩き込む。惑わされたとしても、敵より速く攻撃を入れれば問題ない、そういう動きだ。
「墨ねー!」
 何発か蹴りを喰らわせ、墨がその剣技で狙いやすいようにとロベルタがアサシン達を誘導する。
「……承りました」
 僅かに動きを止めた瞬間に墨が一気に間合いを詰め、相手が気付くよりも速く、速く、遠心力を籠めた全力の踏み込みからの鋭い一撃を放った。
「綺麗に斬れましたね……」
 鮮やかな切り口を残し、アサシンがガシャリと床に崩れ落ちる。
「……人の躰ではないようですから、難しいかと思いましたけど」
 ロベルタさんがアサシン達の体勢を崩してくれていたお陰ですね、と墨がほんのりと笑みを浮かべて次、とばかりに斬り込んでいく。
「ロベルタさん!」
「う!」
 墨の呼び掛けに、ロベルタが腕のブレードで襲い掛かろうとしたアサシンを低い姿勢から思い切り蹴り上げ、即座に横を抜いて同じように襲い掛かってきたアサシンの攻撃を避けては蹴りを放つ。
「崩せ……」
 それにより態勢を崩したアサシンに向け、墨が遠心力をのせた剣先を縦横無尽に走らせて斬り捨てた。
「墨ねー、かっこいいんだじぇ♪」
「ロベルタさんこそ……」
 かっこいいです、と言うよりも早く墨の太刀が鞘走る。自然な動きで敵を横薙ぎに斬り伏せ、返す動きでロベルタが蹴り寄こした敵の首を刎ねた。
 加速する敵の動きにはロベルタが加速で返し、腕の刃による攻撃にはそれよりも速く墨の刀が反応する。時に背を合わせ、時に隣立ち、二人のコンビネーションはアサシン・ポールダンサー達に負けない程のダンスのように美しかった。
「う! 最後の一人なんだじぇ!」
「はい、ロベルタさん」
 青白く帯電する神速の蹴りと、その蹴りの速さにも負けない神をも退かせる剣技が閃く。
「終わり……かな?」
「……この群れは……そう、かと」
 アサシン・ポールダンサー達がレアアイテム――漏洩した情報の回収に失敗したとなれば、バグを修復する為のオブリビオンが現れるはず。
 再びロベルタと墨の二人だけになった空間で、彼女達はその時を待つのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス

ハレちゃんf00145と

(敵がいる→ここで死ぬと死ぬのでは?
死ぬ可能性があるときにバーサーカーはちょっと…
でももちろんレアアイテムは渡したくない。折角手に入れた竜的ドロップだし……)


……
はい、ハレちゃん交代(タッチ
何言ってるのこれがいつもの戦い方じゃない
(にこやかな幼女笑顔で
いいから盾になって…いや何でもない
杖で殴ればいいじゃない
魔法(物理)だって捨てたものじゃないでしょう
…あー(なんか納得いった顔
いいんじゃない派手で。すごいお兄さんに似合うと思う

で、俺は後ろから
クソでかい斧を投げる(制圧射撃援護射撃
当たればきっと大ダメージ……の、はず
上手く行ったらブーメラン風に曲がって戻ってくるはず
戻ってこなくとも、サブウェポンはゲーマーの嗜みですから(アイテム欄から取り出しつつ
二投目行くよー

勿論サブウェポンも尽きたら、回収に走ります

大丈夫大丈夫
当たっても死なないし…あれ、死ぬかもしれないんだっけ…
まあ、何とかなるでしょう(可愛い幼女のポーズ
死ぬならそのレアアイテム俺に渡してから死んでね


夏目・晴夜

リカちゃんf02586と

苦労して得たレアアイテムを奪われたら幼女号泣案件です
敵はドラゴンではないですけど気合い入れていきましょう、リカちゃん!

いや、タッチじゃなくて
可愛い笑顔に誤魔化されるハレちゃんではないですよ!
さっきまでのガチ勢ログアウトしてません?
えっ今盾っていいました?妖刀も無しに盾になれと?こんなにも可愛い幼女に?
杖で殴るなんて、そんな(振ってみる)(エフェクトが出る)
あれ、なんか出ますね!いけそうな気がしてきました!

では杖で殴りに行ってみますから、リカちゃんは援護射撃を…
あ、いつもの銃は今はないんでしたっけ
でしたら、まあ、何でもいいのでハレちゃんを守る為の華麗な援護を頼みます!

妖刀代わりの大きな杖から呪詛を伴う衝撃波を放ちながら接敵
敵の攻撃も杖で受け止め、敵が表面装甲を外した際には
防御が薄くなったその部位めがけて杖でブン殴ります

これはいい、気分最高ですよリカちゃ──怖っ(迫りくるクソでか斧
待ってください、圧がエグくて怖い!
ポーズは可愛いけど発言が中の人むき出しなんですよねえ



●やだ幼女っょぉぃ
 ドラゴンが落としたレアアイテムを持って逃げ帰った夏目・晴夜(不夜狼・f00145)ことハレちゃんと、死に戻りをして待っていたリュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)ことリカちゃんがゲットしたレアアイテムを手にし、さてこのアイテムの価値は……と眺めていた時だった。
「……ハレちゃん」
「はい、えっまた死んだ?」
 今度は私も? と、華やかな首都から見知らぬ殺風景な空間へ瞬間転移させられた晴夜が、思わずリュカを見て言う。
「死んでないよ、首都で死ぬとかないと思う」
 ……多分、と付け足しはしたものの、どう考えてもこれは敵の襲撃だと考えるべきだろうとリュカが辺りを見回す。何せいつもの姿ではなく幼女のアバター姿であるからして、幼女がきょろきょろしてるのってめちゃくちゃ可愛いですねと晴夜が感心する。
「変なところで感心してないで、ハレちゃん」
「いやすいませ……あれ、これ私がきょろきょろしてもすごく可愛いのでは?」
 天下の幼女ぞ? 今の我は幼女ぞ? と晴夜が気付くけれど、リュカは相手にせず空間が歪んだ瞬間を見逃さない。
「ハレちゃん」
「はい」
 きょろきょろする仕草をしていた晴夜がリュカの声に戦闘体勢を取りながら、歪みのが切り裂かれるように開き、そこから現れた『アサシン・ポールダンサー』達へ鋭い視線を向けた。
『ソレヲ、回収、シマス』
「リカちゃんが命を懸けてゲットした苦労して得たレアアイテムですよ、それを奪われたら幼女号泣案件です」
 易々と奪われる訳にはいかないと、晴夜が笑う。
「敵はドラゴンではないですけど気合入れていきましょう、リカちゃん!」
 キリッとした幼女顔でそう言った晴夜が、反応のないリュカをちらりと見遣る。名を呼ばれたリュカはアサシン達の群れを眺めながら、何やら真剣な表情だ。
「敵……ゲームのエネミーじゃない、オブリビオンの敵……」
 もしかして、ここで死ぬとマジで死ぬのでは? ゲームデータであれば死んでも自動的に首都で生き返るけれど、ここではちょっと自信がない。死ぬ可能性がある時にバーサーカーするのはちょっと、いやかなり遠慮するべきではないか。
 命を賭してまで苦労して手に入れた竜的なドロップを渡したくない、ではどうするかとリュカが敵の動きを見ながら考え、出した結論は――。
「……」
「リカちゃん??」
 黙ったままのリュカに痺れを切らし、晴夜がもう一度名前を呼ぶ。
「…………はい、ハレちゃん交代」
 タッチ、と晴夜の肩にポンと手を触れてリュカが笑みを浮かべて後ろに下がった。
「え? いや、タッチじゃなくて!」
 自然な動作で後ろに下がったリュカに、晴夜が叫ぶ。
「可愛い笑顔に誤魔化されるハレちゃんではないですよ!」
 ええ~? 本当に~? みたいな顔で見てもないです! と晴夜がアサシン達から目を離さないまま言い切る。
「さっきまでのガチ勢ログアウトしてません?」
「何言ってるの、これがいつもの戦い方じゃない」
 お兄さんが前衛、俺が後衛、はい論破。にこやかな笑顔が可愛い、うーん幼女強い。
「いいから盾になって……じゃない、いや何でもないよ」
「えっ今盾っていいました? 妖刀も無しに盾になれと? こんなにも可愛い幼女に?」
 PTの後ろで、ふええ……>< ってなりながら魔法撃ってるのが似合う幼女に!? と晴夜がリュカを真顔で見た。
「可愛いならリカだって負けないから。ってそうじゃない、妖刀がなければ杖で殴ればいいじゃない」
「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない、みたいなノリで言われましても。杖で殴るなんて、そんな」
 杖で? と言いつつリュカが小さなおててで握った杖をえいっと振る。ぶわっと杖の先からキラキラ光るエフェクトと共に呪詛を伴う衝撃波が出たし、何ならアサシンを一体昏倒させた。
「あれ、なんか出ますね! いけそうな気がしてきました!」
「……あー」
 これあれだ、殴りWIZってやつだ。何かすごく納得のいった顔をしつつ、リュカが頷く。
「いいんじゃない、派手で。すごいお兄さん……ハレちゃんに似合うと思う」
 魔法少女みがあるエフェクトなのに、威力がなんかヤバいところとか。
「では杖で殴りにいってみますから、リカちゃんは援護射撃を……あ、いつもの銃は今はないんでしたっけ」
「ないけど、今はこれがあるから」
 手にしたクソでかい斧を見せると、晴夜もまた納得した様な顔をする。
「でしたら、まあ、何でもいいのでハレちゃんを守る為の華麗な援護を頼みます!」
「はーい、リカちゃんにお任せだよ」
 よいしょ、とリュカがクソでか斧を砲丸投げみたいな感じで遠心力にのせてぶん投げる。
「当たればきっと大ダメージ……っよし」
 晴夜の真横を飛んでいった大斧は見事にアサシン達をなぎ倒し、床へと突き刺さる。
「……角度をこう……こうしたら戻ってくるはず」
 サブウェポンはゲーマーの嗜み、もう一つ同じ武器をアイテム欄からぴこっと取り出して、角度を変えてもういっちょとばかりに投げた。
「うわっあぶなっ」
「大丈夫、お兄さんには当たらない絶妙な加減をしてるから」
「ほんとですか!?」
 ほんとほんと、と適当な返事をするリュカの声を後ろに聞きながら、晴夜が妖刀代わりの大きな杖をアサシンの方へ魔法のステッキよろしく振り回す。
「そーれっ!」
 呪詛を伴う衝撃波を放ちながら接近すれば、アサシンが床に突き刺したポールを軸にして放った蹴りを杖で受け止め、装甲を外し防御が薄くなったそこに向けて杖をせいやっと振り下ろした。
「これはいい、気分最高ですよリカちゃ――怖っ!!」
 スレッスレを飛んでいったクソでか斧に晴夜の動きが止まるが、斧の動きは止まらない。ブーメランの要領で戻ってくる角度を見つけたリュカが、ぶんぶん投げては受け止めてを繰り返しているのだ。
「待ってください、圧がエグくて怖い!」
「大丈夫大丈夫、当たっても死なないし……あれ、死ぬかもしれないんだっけ……」
 何ひとつ大丈夫ではないけれど、晴夜お兄さんなら大丈夫だろうとリュカが頷く。
「まあ、何とかなるでしょう」
 きゃるんっ☆彡 と、可愛らしい幼女のポーズで誤魔化しつつ、リュカが微笑む。
「あ、でも死ぬならそのレアアイテムを俺に渡してから死んでね」
「ポーズは可愛いし笑顔も百点満点なんですけど、発言が中の人むき出しなんですよねえ」
 えーい! っと杖をぶん回しながら晴夜が溜息交じりに呟いた。
「お互い様だよ、ハレちゃん」
 そーれ! っとクソでか斧をぶん投げながらリュカが答える。
 そんな風に見た目は幼女、中身は男な二人がアサシン・ポールダンサー達を蹴散らすのはすぐのことであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ガランド・クレメンテ』

POW   :    『シゅウり ヲ かイし シまス』
自身の【修理した機械兵の大軍】ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にする。終了後[修理した機械兵の大軍]は【自動発動する自爆装置】により破壊される。
SPD   :    『わタし ハ しュうリ を スるダけ デす』
対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【心身の自由と思考力・判断力】、否定したら【逃走手段と戦闘手段】、理解不能なら【理性と正気】を奪う。
WIZ   :    『シゅウりヲしュうリをシゅウりヲしュうリを――』
【この世界の何処かにある廃棄場のひとつ】に封じた【様々な材料・廃棄された機械兵等】と合体し、あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になる。ただし解除時にダメージを全て受ける。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は穂積・直哉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●バぐ
 アサシン・ポールダンサーを倒した後、再び無人となった空間の壁が歪む。ヂヂ、ジジジ、と音がして一際大きく裂けた空間の中から球体関節を持つ人形のような少女が姿を現す。
『バぐ ヲ しュうリしマす』
 声帯機能は壊れているのか、浮かび上がるホログラムに文字が羅列している。
『バぐ ハ あナたタちデすネ』
 キュイン、キュインと機械音が鳴り響く、オブリビオンたる修理プログラム――『ガランド・クレメンテ』は猟兵達をその対象と認めたのだろう。猟兵達が手にしたレアアイテムごと、無かったことにしようと動き出す。
 ガランド・クレメンテを倒し、機密情報を持ち帰る……それこそが今回の猟兵達の目的。ここで負けるわけにはいかないと、その名の通りがらんどうの機械人形と対峙する――!
儀水・芽亜
オブリビオン製の修理プログラムですか。全く、この世界の理はどうなっているのか。
とにかく、こんな安物の修理プログラムで、私たちをどうこうしようと考える方が間違っています。長らくアップデートもしてなさそうな、本当安物。

引き続き吟遊詩人のアバターで、左脇に抱えた竪琴を「演奏」しソプラノの歌声の「歌唱」を響かせ、「催眠術」を織り交ぜた『主に向かいて新しき歌をうたえ』を周囲に浸透させます。

あら、廃棄物が修理プログラムを補強しますか。困りますね。大人しくじっとしていてくれません?
修理プログラムまで手玉に取れれば楽なのですけど。
最低限、敵手の強化を妨害できれば上々です。
それでは皆さん、よろしくお願いします。



●理を崩す為に
 再び空間が揺らぎ、裂けたそこから『ガランド・クレメンテ』が姿を現すと、儀水・芽亜(共に見る希望の夢・f35644)が左脇に抱えた竪琴を再びゆるりと掻き鳴らす。
『バぐ ヲ しュうリしマす』
 浮かび上がる文字に目を通し、芽亜が溜息を零すようにして笑う。
「オブリビオン製の修理プログラムですか。全く、この世界の理はどうなっているのか」
 サイバーザナドゥ、まだまだ未知の世界ですね、と芽亜が呟いてガランドから距離を取る。
「それにしても……」
 視線を向けられたガランドがギギ、と音をさせながら首を傾げる。黒い面頬で表情は窺えない――いや、無かったとしても恐らくは無表情だっただろう。
「こんな安物の修理プログラムで、私たちをどうこうしようと考える方が間違っています」
 ワールド・ゼロ社というのもたかが知れていますね、なんて思いながら弦を爪弾けば、響くのは美しい音色。
「長らくアップデートもしてなさそうな、本当安物」
 挑発するような言葉にもガランドは反応しない、おおよそ感情というものを持ち合わせていないかのように。
「機械であっても何であっても、私には関係ないですけどね」
 正確に言うのなら、私の力には――。
 竪琴の音が深く静かに流れる中、芽亜がガランドに向かって歌声を響かせた。
「Cantate Domino canticum novum.Cantate omnis terra. Alleluja.」
 清らかなソプラノの聖歌はガランドの聴覚機能に届き、彼女の思考を揺さぶる。
『あ、ア、うタ、いイえ バぐ ハ しュうリを』
 修理をしなくてはいけない、それは彼女の根本たるもの。
『シゅウりヲしュうリをシゅウりヲしュうリを――』
 どこからともなく現れた廃棄された機械兵や様々なガラクタが彼女と合体し、補強せんとガランドへ向かっていく。
「あら、廃棄物が修理プログラムを補強しますか。困りますね。大人しくじっとしていてくれません?」
 ねえ? と微笑みを向け、芽亜が更に聖歌を響かせれば、ガラクタの動きが鈍くなるのが見て取れた。
「修理プログラムまで手玉に取れれば楽なのですけど」
 さすがに難しいですね、と呟くが最低限相手の強化を妨害できれば上場だ。
「それでは皆さん、よろしくお願いします」
 私は後衛に徹しますから、と芽亜が優美なまでの笑みを浮かべた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

静寂・拝人

シャルル(f36639)と
そう言うのは修理じゃなくて削除っていうんだよ。むしろお前の方がゲームの中じゃあバグでしかない。
せっかく楽しみにしてたゲームの新作を無駄にされちゃあたまったもんじゃねぇ。
おい、シャルル…修理コスト以前に流出しないようにするのが正しい対策だからな。

シャルルしばらく時間稼ぎをしてくれ

【集中力】による【早業】の【ハッキング】ゲームへ再接続。
ガランド・クレメンテの【情報収集】してからガランド・クレメンテのプログラムへアクセス。
指定UC発動。

今だ、シャルル!行け!

ってまたパーツをぶっ飛ばしやがった!
慣れろって言われてもねぇ…
せっかくの可愛い衣装だったってのに…


シャルル・メリー

拝人(f36629)と
いや、そう言うのはデリートって言うんですよ。
まぁ、バグを壊せば元通りになるみたいな大雑把なのを修理とは言えませんね。
なるほど、そう言う意味では正しい修理よりはコストはかからないか…
流出自体が問題…そこですよね。

私だってこのゲーム楽しみだったんですよこの事でお蔵入りになんかなったらどうしてくれるんですか。
(文句を言いつつプリーストの杖を【怪力】で振りまわして攻撃し【時間稼ぎ】)

(拝人のUCが決まれば自分も指定UC使用杖でがっつり攻撃を決めればデータ破損)

いい加減慣れてください。それに今回はただのデータなんですから現実にもどれば何もないですよ。



●楽しみを奪う者へ鉄槌を
 閉ざされた空間の壁が歪み、軋む。
「シャルル」
「はい」
 静寂・拝人(人生ゲーマー・f36629)が注意を促すと、シャルル・メリー(星に手を伸ばす・f36639)が手にしたプリーストの杖を構える。現れたのは継ぎ接ぎだらけの機械人形、どこかプリマを思わせるような衣装だけれど、それすらもガラクタめいた『ガランド・クレメンテ』であった。
『バぐ ヲ しュうリしマす』
 浮かび上がるホロ映像に映し出された文字に、拝人が眉根を寄せる。
「そういうのは修理じゃなくて削除っていうんだよ」
「いや、そういうのはデリートって言うんですよ」
 思わず二人がガランドに向かって突っ込みをいれて顔を見合わせると、だよなと頷き合う。
『デりート は シまセん シゅウりしマす』
 こてん、と首を傾げたようなガランドがそう言うのに対し、拝人が頭を軽く搔きながら、あのなぁと口を開く。
「むしろお前の方がゲームの中じゃあバグでしかない」
『ワたシ は シゅウり ニ きマした』
「そういう風にプログラムされているのですね。バグ、此処で言うあなた方にとって不都合なもの……なるほど、そう言う意味では正しい修理よりコストはかからないか……」
「おい、シャルル……修理コスト以前に流出しないようにするのが正しい対策だからな」
 呆れ顔で拝人がそう言うと、シャルルがそうでしたねと目を瞬かせた。
「流出自体が問題……そこですよね」
 何故流出したのかも疑問だが、そこは杜撰な管理であったりどこからかハッキングを受けたか……その辺りでしょうとシャルルが何てことない事のように言う。規模の大きな会社だからこそ、そういうことは起こり得るものだ。
「杜撰な管理をする時点でアウト、ハッキングを受ける時点で情報管理部門のプロテクトが甘いんだ」
「そういうことですね」
 そしてその尻拭いをするのがオブリビオンとは――ワールド・ゼロ社の上層部はどうなっているのかと拝人が薄っすらと笑った。
「そんなことで、せっかく楽しみにしてたゲームの新作を無駄にされちゃあたまったもんじゃねぇ」
「私だってこのゲーム楽しみだったんですよ、この事でお蔵入りになんかなったらどうしてくれるんですか」
 それだけは防ぎたい、二人の意見が一致する。
「まずはこのガランドってのを何とかしないとな。シャルル、しばらく時間稼ぎしてくれ」
「ええ、折角のデータをふいにするなんて惜しいですからね」
 プリーストの杖を握ったシャルルが拝人の言う通り、時間を稼ぐためにガランドの前に出る。
『シゅウり ヲ かイし シまス』
「そう簡単に消されたりはしませんよ」
 プリーストの杖を振り回しながら、ガランドが拝人に近寄れないように絶妙な間合いを取って牽制する。
「……殴りプリーストも悪かないけどな」
「無駄口は結構です」
 はいはい、と返事をして拝人が意識を集中させる。空中に投影した仮想キーボードに指を走らせ、外部へのハッキングを試みる。
「さて、ガランド・クレメンテの情報は……こいつか」
 どれ、と目を走らせれば、ガランドの立体映像と共に情報が拝人に流れ込んできた。
 ガラクタで修理された元廃棄品、無感情で思考が乏しく、こういった仕事を任せるには最適のオブリビオン。
「……なるほどな」
 自分に施された修理の模倣のように、修理という行為に執着したもの。
 憐れみはあったかもしれない、けれど今それは不要だと拝人はガランドのプログラムへとアクセスする。
「行動制御だ」
 バグデータ、ハッキングデータ、ウィルスデータ、それらを全てガランドに向かって放つ。
『わタし ハ しュうリ を スるダけ デす』
「そいつは遠慮させてもらう」
 こちらの戦闘手段を奪おうとも、拝人は一人じゃない。
「今だ、シャルル! 行け!」
 拝人の力によってガランドがこちらに攻撃する力は減っている、今がチャンスだとシャルルに叫ぶ。
「了解です」
 右手で握り締めた杖に力をのせて、シャルルが容赦なくガランドに向かって攻める。杖だと侮ることなかれ、打撃武器としては相当なもの、そしてシャルルの力によって威力は更に上がっているのだから。
『シゅウり ヲ かイし シまス』
「修理する前に壊せばいいのでしょう」
 可憐なプリーストの見た目で殴打する姿を眺めつつ、拝人がプリーストというよりはモンクだなとちょっとばかり意識を飛ばす。
『あ、ア、しュうリ』
 修理した機械兵を盾にするようにして、ガランドが空間の裂け目に逃げ込もうとするのをシャルルが阻止しようと杖を投げかけ――。
「はぁ、タイムアップですね」
 右手が力の代償とばかりに、オーバーヒートによりガシャリと音を立てて分解する。
「ってまたパーツをぶっ飛ばしやがった!」
「いい加減慣れてください」
「慣れろって言われてもねぇ……」
 慣れていいもんじゃないだろ、とは口にせずに拝人が小さく息を零す。
「それに今回はただのデータなんですから現実にもどれば何もないですよ」
「そうかもしれないけどな、せっかくの可愛い衣装だったってのに……」
 がっくりと項垂れた拝人にシャルルがちらりと視線を向けて、ゲームの中ならまた着てもいいですよ、とぼそりと呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フール・アルアリア

■誰がバグよ、失礼ね。他プレイヤーに害を成す其方の方が明らかにバグなんだからね!(小悪魔尻尾を不機嫌にぶんぶん)

そんな悪い子にはお仕置きよ。ミラー展開、そのお得意のバグ修正機能とやらで自滅しちゃえ!要求は敢えて否定してデバフをリフレクト、逃走手段も戦闘手段も封じたら…

後はお楽しみの時間ね。

さぁて、折角始めたオリジン、折角手に入れた杖だもの。攻撃モーションは勿論、今取得できるスキル技能の効果や魔法の効果…あらかた確認できるまであなた実験台ね(ウィンク)

MMOの基本は検証・確認の繰り返しよ(ステリセ・スキルリセを繰り返し、魔法攻撃特化型・物理特化型の効率的・効果的な育成パターンの検証を開始)



●ガチ勢に勝てると思うなよ
 雑魚を片付けたなら次はボスよね、とフール・アルアリア(No.0・f35766)が杖を手にして辺りを警戒していると、アサシン・ポールダンサーが現れた時の様に空間の壁が歪んで裂け目となった。
「お出ましね」
『バぐ ヲ しュうリしマす』
 宙に浮かんだホロ映像に投影された言葉を読んで、フールが心外! とばかりに『ガランド・クレメンテ』に向かって小悪魔尻尾を不機嫌そうにぶんぶんと揺らす。
「誰がバグよ、失礼ね。他プレイヤーに害を成す其方の方が明らかにバグなんだからね!」
『? バぐ ハ あナた』
「話が通じない!」
 そもそも、バグを破壊……いや、彼女の言を取れば修理にのみ固執する改造生物たるオブリビオンだ、話が通じるかどうかで言えば、通じないのだろう。
「もう! そんな悪い子にはお仕置きよ」
『わタし ハ しュうリ を スるダけ デす』
 フールが黒塗りの鏡の群れを展開すると、ガランドがフールに向かってそう要求する。
「悪いけど、答えはノーよ」
『ヒてイ さレまシた』
 否定は逃走手段と戦闘手段を奪う、そういう交渉術にも似たガランドの力だ。
 けれどフールは慌てることもなく、ただ声にする。
「残念でした、お返しね!」
 鏡の群れがその効果を反射するべく、くるくると回る。受けた力をそのまま返すように、黒塗りの鏡がガランドを包囲した。
「後は――僕のおたのしみの時間ね」
 にんまりと笑ったフールが手に入れた杖を掲げてまじまじと見つめ、ガランデに視線を移す。
「折角始めたオリジン、折角手に入れた杖だもの」
 攻撃モーションは勿論の事、今現在取得できるスキル技能の効果に魔法の効果、と指折り数えていく。
「MMOってのは、基本的に検証と確認の繰り返しよ」
 特にステータスリセットやスキルリセットができるゲームなら、どのステータスにどのスキルが一番適しているか、攻撃ダメージの倍率はどうか、そういったものの検証をする一定数の人々がいる。
 そしてフールもまた、その一定数の一人――!
「魔法攻撃特化型、物理特化型の効率的・効果的な育成パターンの検証をさせてもらうわよ」
 にひひ、と笑ったフールの笑みは、小悪魔そのもの。
「あらかた確認できるまで、わかるわね?」
 そう、あなたが実験台よ、とフールがガランドにウィンクを飛ばし、まずはこれからと実験に付き合わせたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暁無・蘭七

【SN8】

来ましたね。先程の敵が前座なら、メインダンサーといった所でしょうか
私達と踊りたいって、やる気十分みたいですし
観客がいないなら、彼女になってもらえばいいですよ
どちらが主役か、たっぷりと思い知らせてあげましょう

それにしたって随分強固な舞台衣装ですね
【ダッシュ】で一気に間合いを詰め、影鎌で一閃
ダメージが通らなくても構いません。その一撃が入りさえすれば、私の仕込みは完了です
どんなに守りを固めても、自分の弱い所は自分が一番知ってるでしょう?
私達と踊りたいのでしょうけど、独りで踊っていてくださいね
皆さん。混乱の効果が続いている限り、隙はできやすくなってるはずです
エスコートの続きは、お任せします


森乃宮・小鹿
◎【SN8】
やーっと本命が現れたっすね
こっからがボクら最大の見せ場っす!
観客がいないのは残念っすけど……
ははぁん、さっすがアルミラージ!
それじゃあたっぷりお見せしましょうか!

……に、しても厄介っすねぇ!
戦いにくいっていうかなんていうか!
エンジェルのボムの降らない安全地帯を見極めつつ
アルミラージがうまいこと動きを止めてくれてる間に
まじないを唱え終えて準備を
――凍えろ、凍えろ、黄金に凍えて、汝美しき静寂となれ!
【止れ、寂たる樹氷の如く】を発動したなら、あとは相手に触れて逃げるだけ
解除したらダメージを受けるならば、解除までに呪いを蓄積させておきましょう!

美味しいところは、リーダー!お願いっすよ!


鴇巣・或羽

【SN8】

いいや、バンビ。アルミラージの言う通り、彼女も立派なギャラリーさ。
魅せてやろう、俺達のやり方を。

さて、勿論要求を飲みはしない。
であれば「逃走手段にして戦闘手段」……俺の愛銃なんてまさに使用不能だろう。
――絶体絶命、か?

違うな。
忘れて貰っては困る。俺は戦士じゃない、『怪盗』だ。

予告しよう。
――お前が守るお宝は、俺達が頂戴する。

King's trick。
さあ諸君、問題だ。怪盗は何をする?
そう、【盗む】のさ。

エンジェルのキャンディ・ボムの合間を縫って。
アルミラージの技に惑う隙を突いて。
そしてバンビが動きを止めた刹那。

その体躯を支える合体の要を【見切り】、奪う。
弱点は合体解除――だったな?


静心・穢
◎【SN8】
ふぅん? ポールダンサー達より雰囲気があるじゃないか。
これは本腰入れて行かないと、だ。

『甘くて美味しい魅惑の罠』をクレメンテを中心に降り注がせよう。
仲間達に当てないように気をつけて、かつ美しく、ね!

さぁ踊ろうかお嬢さん、演出は任せ給え!
あらゆる角度から爆発を無数に連鎖させれば、ダメージは受けずとも爆風で煽られはするだろう?

さぁさぁ、色とりどりの爆炎に囲まれて華麗に踊り狂うといいよ!
エスコートは私達がしっかり務めるからね♪

おや、もう踊り疲れたかい?
演目が終わったなら、あとは壊れるだけだよ。さようなら、不良品のコッペリア。次に会うときにはもっと情熱的に踊っておくれ。



●壊れた人形にさよならを
 アサシン・ポールダンサーの群れを倒し、一息入れる暇もなく空間に揺らぎが生じる。
「皆、お客様が来たようだ」
 いち早くその揺らぎに気が付いた鴇巣・或羽(Trigger・f31397)が信頼する仲間達にそう告げると、森乃宮・小鹿(Bambi・f31388)が唇の端を持ち上げる。
「やーっと本命が現れたっすね」
 歪んだ空間はやがて切り裂かれたかのように亀裂が走り、中から継ぎ接ぎの機械人形『ガランド・クレメンテ』が姿を見せた。
「来ましたね」
 素材も質感も異なる素材で継ぎ合わせたガランドに視線を向け、暁無・蘭七(アルミラージ・f31384)が呟く。
『バぐ ヲ しュうリしマす』
 空中に浮かんだホログラムに映し出された文字を読み取り、静心・穢(強欲罰する貧窮の魔・f31405)が笑いながらガランドを見遣る。
「ふぅん? ポールダンサー達より雰囲気があるじゃないか。プリマドンナのお出ましかな?」
「先程の敵が前座なら、メインダンサーといった所でしょうか。私達と踊りたいって、やる気充分みたいですし」
 バグって私達のことなのでしょうね、と蘭七が言うと小鹿がバグってるのはあっちの方っすよ、と片眉を上げた。
「ま、こっからがボクらの最大の見せ場っす! 観客がいないのはちょっと残念っすけど……」
「ばんびちゃん、観客がいないなら、彼女になってもらえばいいですよ」
「彼女って……ガランドにっすか?」
 今から倒す敵を観客に? と小鹿が軽く首を傾げれば、或羽がふっと笑って口を開く。
「いいや、バンビ。アルミラージの言う通り、彼女も立派なギャラリーさ」
 俺達怪盗団のな、と指先をガランドに向けた。
「ははぁん、さっすがアルミラージにリーダ!」
 ぽん、と手を打って納得したように笑う小鹿に、穢も楽しそうに指を鳴らす。
「これは本腰入れて行かないと、だ」
 そうだろう? と穢が三人に視線を向けると、それぞれが頷く。
「魅せてやろう、俺達のやり方を」
「それじゃあ、たっぷりお見せしましょうか!」
「どちらが主役か、たっぷりと思い知らせてあげましょう」
「そうこなくっちゃね、それじゃあまずはワタシから!」
 頼もしい仲間達の声に笑って、穢がガランドに仕掛けた。
「お嬢さん、甘いキャンディは如何かな?」
『ワたシ に イんシょク は フよウ』
「そう言わずに、ほら」
 穢の言葉と同時に、ガランドを中心として色とりどりのキャンディ――いや、キャンディの形をしたボムが降り注ぐ。
「仲間達に当てないように気を付けて、かつ美しく、ね!」
 虹のように煌めくキャンディ・ボムが穢の指先がパチンと鳴る度に、ボンッと音を立てて爆ぜる。
「さぁ踊ろうかお嬢さん、演出は任せ給え!」
 あらゆる角度からキャンディ・ボムを爆発させ、その爆発によって連鎖が起こる。次々と爆ぜるボムの爆風に煽られ、ガランドがまるで踊っているかのようにも見えた。
『シゅウりヲしュうリをシゅウりヲしュうリを――』
 ガランドが何処からともなく様々な材料や廃棄された機械兵を空間の裂け目から取り出し、己と合体させていく。それはあらゆる攻撃から身を守る、ガランドの為のオペラチュチュのようでもあった。
「おや、衣装替えかい? ならば色とりどりの爆炎に囲まれて華麗に踊り狂うといいよ! エスコートは私達がしっかり務めるからね♪」
「それにしたって随分強固な舞台衣装ですね」
 爆煙を隠れ蓑にし、蘭七がガランドに向かって間合いを詰める。その勢いのままガランドの真上に跳躍し、影鎌を一閃させると彼女の背後へと回った。
 傷一つ付いていないガランドの姿を金の瞳に映しながら、蘭七が影鎌をくるりと回転させて影の中にとぷりと落とす。
「ダメージが通らないのは織り込み済みです。この一撃が入りさえすれば、私の仕込みは完了です」
 そう言うと、蘭七が囁くようにガランドへ問い掛ける。
「ねえ、そこに誰かいますか?」
『ソこ ニ だレか ワたシ あナた』
 じわり、とガランドの思考回路に影が差す。混乱したようにガランドが頭を抱え、それから自分を攻撃するように動く。それはまるでソリストが舞台で踊るかのようにも見えて、蘭七が口元に指先を当てて目を細めた。
「どんなに守りを固めても、自分の弱い所は自分が一番知ってるでしょう?」
『シゅウりヲしュうリをシゅウりヲしュうリを――』
 修理をする傍から自分で自分を壊す、その矛盾にガランドが浮かべるホログラムも赤や青に点滅を繰り返す。
「私達と踊りたいのでしょうけど、独りで踊っていてくださいね」
 最初から、立つ舞台が私達とあなたでは違うのですから、ね? そう言って、蘭七がくるんと華麗なターンを決めて小鹿にどうぞ、と微笑んだ。
「舞台も佳境ってやつっすね!」
 穢のキャンディ・ボムが降らない安全地帯を見極めつつ、己の手番を待っていた小鹿が唇を尖らせる。
「……に、しても厄介っすねぇ! 戦いにくいっていうかなんていうか!」
「そうだな、だが――」
 或羽が小鹿の言葉にくすりと笑って、俺達ならやれるだろう? と視線を送る。
「仰せのままに!」
 そんな視線を貰ってしまっては、期待に応えるしかないというもの。蘭七がガランドの動きを止めてくれている間に、小鹿がまじないを口にする。
「――凍えろ、凍えろ、黄金に凍えて、汝美しき静寂となれ!」
 沈黙は金、っていうじゃないっすか、ねぇ? と微笑んで、ベルベットに触れるかのように優しく、そうっと右手でガランドの頬を撫でた。
 びくん、とガランドの肩が跳ねる。触れた指の柔らかさに驚いたのかどうか、ガランド自身にもわからない。それを思考する領域は彼女の中には残されていないから。
『シゅウりヲ あ ア あ ?』
「それ、解除したらダメージを受けるっすよね?」
 小鹿がステップを踏むようにしてガランドから離れ、歌う様に問い掛ける。
「なら、解除までに呪いを蓄積させておきましょう!」
 動けば身体が徐々に黄金化する呪い、更に速く動こうとすればするほど、その呪いは深く侵食していく。穢が操るキャンディ・ボムの爆風に煽られる、僅かな動きであってもそれは有効だ。
「さぁ、舞台は整ったっすよ!」
「ええ、エスコートの続きはお任せします」
「最終章ってやつだね」
 美味しいところは、我らがリーダーにと彼女達が笑う。
「リーダー! お願いっすよ!」
「ああ」
 言葉少なに、けれど楽し気な笑みを浮かべて或羽がガランドの真正面に立つ。
『わタし ハ しュうリ を スるダけ デす』
 この身が黄金になろうとも、どれだけ惑おうとも、ガランドにはそれしかないのだから。
 修理をさせろという要求に、或羽が首を横に振る。それは強制的になされる契約にも近い力、拒否すれば闘争手段と戦闘手段が奪われる、或羽が手にした愛銃は力を失くしたように反応しなくなっていた。
「――絶体絶命、か?」
 否、と仲間達は或羽を信頼に満ちた瞳で見つめている。
「そうとも。忘れてもらっては困る」
 或羽が銃から予告状に持ち替えた右手を見せ、笑う。
「俺は戦士じゃない、『怪盗』だ」
 必要とあれば肉弾戦も見せるけれど、どんなに厳重な宝だって華麗に盗むのが怪盗というものだ。
「予告しよう。――お前が守るお宝は、俺達が頂戴する」
 ガランドに向かって予告状が放たれ、ガランドのオペラチュチュのようになったスカート部分にふわりと着地する。それを見た怪盗達は、チェックメイトを目前にした者のように、獲物を追い詰めた狩人の様に目を細くする。
「King's trick。さあ諸君、問題だ。怪盗は何をする?」
「答えるまでもないよねぇ」
「たった一つしかありません」
「今まさにボクらがしようとしてる事っす!」
 彼女達の回答に或羽が笑って、そうだと言葉を発する。
「盗む、のさ」
 そう言った瞬間に、或羽が穢のキャンディ・ボムの間を縫うように駆ける。
 蘭七の技に惑うガランドの隙を突き、小鹿の呪いが敵の動きを止めた瞬間を狙い、ガランドの体躯を支える合体の要を見抜き、奪う――!
「弱点は合体解除――だったな?」
 攻撃ではなく、盗む。
 それは強制的になされた契約にも反さない、まさしく彼らにしかできない戦い方。
『うアあ、グ、う』
「おや、もう踊り疲れたかい?」
 演目が終わったコッペリアの末路はたった一つだと、穢がキャンディ・ボムを炸裂させて。
「さようなら、不良品のコッペリア」
 次に会うときにはもっと情熱的に踊っておくれ、とウィンクを一つ飛ばす。
 残されたのは、動かなくなった人形のみ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

十種・天陽
コイツ潰したら今までの行方不明者も解放されるのかな?
ついでに行方不明になったヤツがどうなってるのかも訊いてみようか。答えてくれるかは知らないけど。


修理された機械兵の大群は真っ向から相手取る。
攻撃は纏った力場(オーラ防御)で往なして、手近に来た奴を掴んで振り回して他の機械兵に叩きつけたりする。(グラップル,ぶん回し)
大軍に押されているフリをしながら3分経つまで時間を稼いで、3分経つ直前にUCを発動。ガランド目掛けて機械兵を吹っ飛ばすと同時に、吹っ飛ばして出来た隙間を駆け抜けて、吹っ飛ばした機械兵の爆発を目眩しにしてガランドの胴体を狙って貫手を突き込む。(貫通攻撃)



●真っ向勝負
 息つく暇も無く空間の歪みから現れた『ガランド・クレメンテ』を前にして、十種・天陽(悪性喰らい・f36604)は素早く距離を取り相手の出方を窺う。
『バぐ ヲ しュうリしマす』
 浮かび上がったホログラムに映し出される文字を読み取り、上等だね、と小さく笑いつつ既に行方不明となっているヤツはいないのかと考える。
「他にお前がバグとして処理したやつはいるのかい?」
『バぐ ハ しュうリすルの ガ わタし ノ やクめ』
 いるのかいないのか、よくわからない返答だったけれど、ここに猟兵がいることこそが一般人に被害が及んでいない証拠。そう信じて天陽が思考を切り替えると、目の前の敵を倒す事だけに集中する。
「いないなら、それでいいんだけどね」
『ばグ が ホかニも?』
 いるのならば、全て修理するとばかりにガランドがホログラムを展開し、文字を映し出す。
「修理できるものなら、してみるといい」
 挑発するような天陽の言葉に、ガランドが自ら修理した機械の大軍を天陽へと仕掛けた。
『シゅウり ヲ かイし シまス』
「そう簡単にいくかな?」
 大群を前にしても怯まず、天陽がその身にオーラを纏いながら機械兵の攻撃を右に左に、巧みな体捌きで往なす。
「隙だらけだね」
 天陽に掴みかかろうとした機械兵の腕を掴み、全身を使って振り回すとこちらへ向かってこようとした機械兵達に叩き付け、時に間合いを取り、時に距離を詰めてと対応する。
「そろそろ、か?」
 大群に押されているフリをしつつ、おおよその時間をカウントしていた天陽が呟く。この群れが自爆をするよりも早く天陽が己の力を解放し、ガランド目掛けて機械兵ごと見えぬ衝撃波を放つ!
 吹き飛んだ機械兵の隙間を縫うように天陽がガランド目掛けて駆け抜け、機械兵が自爆する閃光と爆炎を隠れ蓑にしつつガランドへと肉薄する。
「悪いけど、修理は自分にするんだね」
『しュうリ を』
 ガランドが全ての言葉をホログラムに映し出すよりも先に、天陽が手の指を真っ直ぐに伸ばした貫手にオーラを纏わせ、森羅牙道砲の力と共にガランドの胴体を狙い、指先を突き込んだ。
『シゅウ り』
「もうその必要はないよ」
 修理しても間に合わないだろう? そう言いながら、天陽が突き刺した指先をゆっくりと引き抜いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カルマ・ヴィローシャナ
引き続き撮影続行!
何かこの子もおかしい?
もしかして、本当はこのゲームの世界自体を直そうとしてるのかな
でも――今はカイシャクせねば!

早速相手の術中に嵌ります
修理をしたいって言うけど、何を修理するの?
まずは否定も肯定もせず、言葉を理解した上でこちらから問いかける
パフォーマンスめいて自分の存在感を誇張しつつ
レアアイテムを適当に投げドローンに回収させる
そこで相手が視線を外す隙を見切ってカゲブンシン発動
分身は存在感を消してアンブッシュの準備
悪いけど、これは渡せないわ

これで否定が成立
逃げる事も戦う事も叶わない……けどね
分身のアンブッシュで相手の体勢を崩し
そのまま功夫――私のフォトン・カラテをブチ当てるよ!



●最後までカメラは止まらないっ!
 繋ぎもばっちり、あとはボスを待つだけとなったカルマ・ヴィローシャナ(波羅破螺都計・f36625)はカメラ……ドローンの位置を細かく確認しつつ、敵が現れるのを待つ。
「そろそろ出てきても……にゃっ!?」
 空間の歪みを感知し、カルマがその方向を向けば現れたのは継ぎ接ぎだらけの機械人形、修理プログラムとして動く『ガランド・クレメンテ』であった。
『バぐ ヲ しュうリしマす』
 浮かび上がる文字列を眺め、カルマがドローンに向かってポーズを決める。
「みんなー! お待たせにゃんっ☆彡 引き続き実況するにゃっ!」
 ウィンクを飛ばしつつ、ガランドに向かって指先を突き付け覚悟するにゃん! と見得を切るけれど、ガランドは至って反応しないまま、空中に浮かび上がるホログラムに修理という文字列を並ばせていた。
「……何かこの子もおかしい?」
 もしかして、本当はこのゲームの世界自体を直そうとしてるのかな? なんて考えるけれど、この場においてのバグはカルマ自身の事。今はカイシャクあるのみ――!
 まずは相手の話を聞く所からだにゃん、とドローンに向かってブイサインをし、敢えて敵の術を誘う。
「ねぇ、あなたは何をしようとしているの?」
『わタし ハ しュうリ を スるダけ デす』
「修理をしたいって言うけど、何を修理するの?」
 相手の要求に、まずは否定も肯定もせずに疑問を返す。
『バぐ デす バぐ ヲ しュうリ しマす』
「バグかぁ、それってカルマちゃんがバグってことだにゃん?」
 そっかぁ、と答えを曖昧に濁しながら、本来であればガランドが回収すべきレアアイテムを適当に、それこそお手玉でもするような気軽さでぽんっと投げた。
『ソれ ハ』
 ふっとガランドの視線がアイテムに向いた瞬間、カルマがカゲブンシンを発動させる。投げたアイテムはドローンが回収し、更に絶妙なアングルでカルマとガランドを捉える。
「悪いけど、これは渡せないわ」
 分身達は存在感を消し、ガランドの背後を取る。
『ひテい ト とリまス』
「ええ、そうね、私は否定した。逃げる事も戦う事も叶わない……けどね」
 私の分身達はどうなのかな?
 ガランドの背後から不意を打つように、カルマの分身達がガランドへと襲い掛かる!
「分身達は私と同じ力を持つ、すなわち分身達の一撃は私の一撃と同じ!」
 だにゃんっ☆彡 と、ドローンに向かってマスクにブイサインにした指をあて、カルマがスマイルを決めると分身達が渾身のフォトン・カラテをブチ当てた。
「あなたに罪はないのかもしれないけど」
 メガ・コーポの、ワールド・ゼロ社の不正を暴く為に最後まで責任を持ってお相手するわ、とカルマがガランドに向かって分身達と共に駆けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティア・メル
【波音】◎

最終舞台って聞くとなんだかわくわくしない?
うんっ!
機密情報を持ち帰って、無事にゲームクリアと洒落込もう!

元の姿に戻るけど、大人のまま
んにー
クロウくん、かっくいーんだよ
王子様みたいだね
ぼくの、なんて言葉は仕舞い込んで咲う

これは…?
首飾りを付けてもらって困惑
付けちゃっていいのかな?って思いと
彼に付けてもらえた喜びの狭間に揺れる
んふふ、ありがとう
君だけのお姫だよん
結局喜びが勝っちゃった

もちろん!援護は任せて!
クロウくんを強化する舞台を展開しよう
みんな、ぼくの支配下に置いちゃうもんね
じーっとして、クロウくんに葬られて?

まだ行けるよ
存在を認識させない花弁をクロウくんに纏わせて
これでおしまいだね


杜鬼・クロウ
【波音】◎
最終舞台ってヤツかねェ
機密情報持って帰ってゲームクリアといこうぜ、ティア

元の姿に戻る
剣の重さが手に馴染む
服は黒騎士風

やっぱ何時もの俺達の方が本領発揮できるしな
…服はまた変わっちまったケド(見る人が見たら王子になるのか、コレ
その姿なら…(ティアへ首飾りをつけて
似合うぜ、お姫様

大層な出迎えだなァ(大軍見て嗤う
まずコイツらからどうにかする
援護頼めるか?

UC使用
手袋を代償に螺旋剣へ変形
踏み込み一つ
大軍の中に跳んで対峙
敵の火力に注意し弾道や振り下ろす得物を視て回避
敵の自爆利用
一網打尽できる様に一ヵ所に誘導

さて、残りはテメェだ
まだ行けるかティア(目配せ

剣に炎を出力させ再起不動にすべく灼き尽くす



●ゲームクリアのその前に
 アサシン・ポールダンサー達を倒し、束の間の休息とばかりに短剣を納めて小さく息を吐くと、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)がティア・メル(きゃんでぃぞるぶ・f26360)を見遣る。
「次でひとまず終わりだな」
「だね、この衣装ともお別れかな」
 くるん、とターンを決めて赤いマントを翻したティアが笑う。
「そうだな。俺は一足お先に元の姿に戻るが」
 ティアはどうする? と、クロウが問い掛けながら元の姿へと戻る。
「んに? クロウくんが戻るなら、ぼくも戻ろうかな」
 次に戦うのはアサシン・ポールダンサーよりも手強いオブリビオンだ、いつもの方が動きやすいだろうとティアも元の姿に戻ろうとして、にんまりと笑って大人のまま衣装だけ元に戻した。
「やっぱ何時もの俺達の方が本領発揮できるしな……服はまた変わっちまったケド」
「んにー、クロウくんはいつもの姿だってかっくいーんだよ」
 大人の姿で、マーメイドドレスのような衣装を身に纏ったティアが満足気に微笑む。
「王子様みたいだね」
 ぼくの、という言葉はそっと飲み込んで、ティアが眩しそうに目を細めて咲った。
「そうか?」
 見る人が見れば、王子様みたいな恰好なのかコレ、とクロウが考える。帰ったら検索してみるか……と軽い気持ちで検索し、マジだ、と思うのはまた後々の話である。
「ティアはその姿なら……」
 懐に入れていた首飾りを手にし、クロウがティアの首に手を回す。
「んに!?」
「大人しくしてろよ」
 パチン、と首飾りの留め具を嵌めると、手に入れたレアアイテムの首飾りがティアの胸元で水面のような光を放った。
「これは……いいのかな?」
 付けちゃっても。そう思いつつ、クロウに付けてもらえたことが嬉しくてティアの頬がへにゃんと緩む。
「いいだろ、装備品だしな」
「んふふ、ありがとう」
「……似合うぜ、お姫様」
 クロウの言葉に目を瞬かせ、そうっと内緒話をするようにティアが囁く
「君だけのお姫様だよ」
「……ッ、またそういう」
 んふ、と笑ったティアにクロウが頭を抱え――すぐに空間の歪みの気配を察知して顔を上げる。
「ティア」
「うんっ!」
 歪んだ空間はすぐに裂け目となって、継ぎ接ぎの機械人形『ガランド・クレメンテ』が姿を現す――!
「最終舞台ってヤツかねェ」
「んに、最終舞台って聞くとなんだかわくわくしない?」
「ふはっ、そうかもな」
 敵を前にして、それでも二人なら何にも怖くないとでもいうようなティアに、クロウが笑う。
「機密情報持って帰ってゲームクリアといこうぜ、ティア」
「無事にゲームクリアと洒落込もう、クロウくん!」
 やる気は充分、二人がガランドと対峙する。
『シゅウり ヲ かイし シまス』
 宙を浮かぶホログラムに映し出された文字が点滅し、ガランド自身が修理を施した機械兵の大軍が姿を現し二人を囲むように動く。
「大層な出迎えだなァ」
 ハッ、とクロウが嗤って、手に嵌めた黒い手袋を代償に漆黒の大魔剣を螺旋の形へと変える、
「まずはコイツらからどうにかする、援護頼めるか?」
「もちろん! 援護は任せて!」
 クロウを強化する為の舞台を用意しちゃうよ、とティアが笑ってユーベルコードの力を放つ。
「涯の海へ還す沙羅双樹 甘やかな馨を伴に」
 白い花弁が舞い踊り、クロウが動きやすい舞台を整える。そして白い花弁に触れた機械兵達の思考を支配して――。
「みんな、じーっとして、クロウくんに葬られて?」
 全てはぼくの支配下だと微笑んで、ティアがクロウくん! と叫んだ。
「ああ!」
 ティアが己の名を呼ぶのと同時に強く踏み込み、大軍の中に跳んで螺旋剣を振るう。機械兵の火力に気を付けつつ、三分後に自爆する性質を利用する為に機械兵を一ヵ所に誘導するように動き、タイミングを見計らってクロウが離脱する。
 連鎖するように自爆していく機械兵から距離を取った場所で、ティアが花火みたいだと笑った。
「花火にしちゃ、ちょいと品がないけどな。さて、残りはテメェだ」
 バグを修理しようと動く、憐れなオブリビオン。
「まだ行けるか、ティア」
 そっと視線をやれば、まだ行けるよとティアが頷く。
「存在を認識しない花弁をクロウくんに纏わせるよ」
 ふわりと白い花弁が舞い、ティアがクロウを後押しする。
「ああ、行くぜ!」
 螺旋の剣から炎が噴き出し、目の前の敵を灼き尽くさんとばかりに燃え盛る。
「これでおしまい、だね」
 ティアが首飾りにそっと触れ、燃えて崩れ落ちるガランドに手向けの様に白い花弁を舞い散らせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グレアム・マックスウェル
「バグ」はお前だよ。ガラクタ

企業の、それも相当にヤバい機密情報を易々と漏らした上に
その事後処理が「自社のサービスのお得意様を存在ごと消去する」とはね
セキュリティもコンプライアンスもまるでなってない

指定UC発動
1000のレーザービームのナイフは、先の戦闘で使用済み
当然敵も把握してるはず
おまけに機械兵と合体までされては
蚊に刺された程度のダメージしか与えられないだろう

そう、「今は」それでいい
無敵モードもいつまでも維持できるものじゃない
手も足も出ない僕を侮った時
或いは別の刺客が現れた時
モードチェンジする隙は必ず生まれる
その瞬間に、蓄積した膨大なダメージが一気に襲い掛かるように
ありったけの弾幕を叩き込む



●それが瞬きの間であっても
 揺らいだ場所が裂け、通り道が出来上がるのを真っ直ぐに見つめながらグレアム・マックスウェル(サイバーバード・f26109)が油断なく距離を取る。
 やがて裂け目から継ぎ接ぎだらけの機械人形『ガランド・クレメンテ』が現れ、ホログラムを展開していく。
『バぐ ヲ しュうリしマす』
 ホログラムに映る文字を読み取り、グレアムが失笑する。
「企業の、それも相当にヤバい機密情報を易々と漏らした上に、その事後処理が『自社のサービスのお得意様を存在ごと消去する』とはね」
 セキュリティもコンプライアンスもまるでなってないと、グレアムが大企業としてどうなっているんだと溜息を零して言い放つ。
「『バグ』はお前だよ、ガラクタ」
 その言葉にカクンと首を傾げ、ガランドがぎこちなく目を瞬かせる。
『バぐ ハ あナた』
 それを不思議だとも思っていない、当たり前だと信じているのだ。
「ここでお前にバグやセキュリティを説いても仕方ない」
 きっと理解もできないはずだ、そういうプログラムが施されているのだろうから――とグレアムが解釈する。ならば語るよりも力で示すのみ。
「一のナイフ、千のナイフ、電光石火の刃の檻が、全てを切り裂き虚無へと返す」
 その数、千を超えるレーザービームのナイフがグレアムの周囲に浮かび上がり、幾何学模様を描くように飛翔しガランドへと放たれる。
『シゅウりヲしュうリをシゅウりヲしュうリを――』
 修理を、とそれだけを思考したガランドが様々な廃棄された機械兵を何処からともなく呼び寄せ、合体していく。それはガランドの身を守る衣装の様にも見えて、グレアムがプリマのようだと独り言ちる。
「ガラクタを従えたダンサーか」
 機械兵と合体した今、グレアムの攻撃も蚊に刺された程度のダメージでしかない。
「だが――」
 そう、『今は』それでいいと、グレアムがレーザービームを操り、絶え間なく攻撃を仕掛ける。
「無敵モードもいつまでも維持できるものじゃない」
 手も足も出ず、悪足掻きをしているように見えるかもしれない。けれど、必ずそこに勝機があるとグレアムは確信していた。
「僕を侮った時、或いは別の猟兵が現れた時」
 その瞬間に、無敵の状態は解除されるはず。
「そうなった時、お前はどうなっているだろうな」
 蓄積した膨大なダメージは、まるで豪雨の様に一気に襲い掛かるだろう。
「踊れ、ガラクタ」
 そう囁いて、グレアムがありったけの弾幕をガランドに叩き込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイ・バグショット
アイネ(f24391)と

この世界は或る意味恐ろしいところだな
電子の世界じゃ敵を寄越すのは簡単だろうし
現に空間の壁からいとも簡単に次の敵が出てきている訳だしな

しかも使い捨てもいい所だ
代わりなんて幾らでもいる…って感じか?

拷問具『荊棘王』を七つ召喚
高速回転する茨の鉄輪が触れるものを削り引き裂きながら強襲

さっさと終わらせよう
大した敵じゃあないと言っても
無駄に体力削られるのは御免だからな

せっかく手に入れたコイツにどんな価値があるのか
アイネ、お前も早く知りたいだろう?

相手の要求は否定しない
UCは発動済み
拷問具やテフルネプは俺の意思がなくとも自動で敵を追尾する
便利だろ
優秀な道具に使い手の意思は関係ないのさ


アイネ・ミリオーン
ジェイf01070と

まぁ、書き換えられる限り、は、何でもありですから、ね
その力を、現実に持って来られる、電脳魔術士や、ワールドハッカーは、便利だなあと、思います
……あ、はい、僕、電脳魔術士、です、よ
という訳で、ですね
演算勝負と行きましょう

ふふ、勿論、お宝の価値は知らないと、です、よ
終わったら、ゆっくりして、疲労が取れたら帰りましょう、ね、ジェイ
自分は体力がある方だが、彼の身体があまり強くなさそうなのは何となく見ていれば分かる
電脳世界でなら大丈夫なのだろうか

相手の要求には否定も肯定もしない
理性?正気?
そんなもの、百万の死体で造られた、僕に、元からあると、でも?
僕は、人造ディーヴァ
ただ、歌うだけ



●演算勝負と洒落込んで
 集団で襲い来る敵を退け、ふっと一息つきながらジェイ・バグショット(幕引き・f01070)がアイネ・ミリオーン(人造エヴァンゲリウム・f24391)を見遣って口を開く。
「この世界は或る意味恐ろしいところだな」
「と、申し、ます、と?」
 きょとん、と首を傾げたアイネに小さく笑い、元の形態に戻った黒剣を収めながら言葉を続ける。
「電子の世界さ、敵を寄越すのは簡単だろうし――」
 ふっと揺らいだ空間に視線を向け、戦闘態勢を改めて整えながらジェイが歪みから裂け目となりかけている空間を指さす。
「現に空間の壁から、いとも簡単に次の敵が出てきている訳だしな」
 ああ、と合点がいったようにアイネが頷く。
「まぁ、書き換えられる限り、は、何でもありですから、ね」
 ケーブルをガラクタと呼ぶ大型の銃に繋ぎながら、アイネが答える。
「その力を、現実に持って来られる、電脳魔術士や、ワールドハッカーは、便利だなあと、思います」
「……いや、お前」
「……あ、はい、僕、電脳魔術士、です、よ」
 然も他人事のように言うアイネにほんの少しだけ呆れた視線を向けて、ジェイがお前らしいな、と小さく笑った。
「さて、お出ましだ」
 現れた『ガランド・クレメンテ』の姿にジェイが僅かに眉根を寄せて、使い捨てもいい所だなと言葉を零す。
「代わりなんて幾らでもいる……って感じか?」
 継ぎ接ぎだらけの機械人形は声帯すら機能していないようで、浮かび上がらせたホログラムに言葉を並べているのが見えた。
『バぐ ヲ しュうリしマす』
「バグはこのゲームの中じゃなく、大元のメガコーポの方だろうにな」
「そう、です、ね。それに、は、同意、しま、す」
 ジェイが自分の周囲に鉄輪に棘が刺さった拷問具『荊棘王』七つ召喚し、高速回転させながらガランドに向けて放つ。いばらの鉄輪が触れた箇所を削り、引き裂き、ガランドに襲い掛かる。
 警告音を響かせガランドが鉄輪を避けるけれど、避けた先に向けて次々と放たれる鉄輪をいつまでも避け切れるはずもない。ズタボロになりながらも、ガランドはホログラムを展開してその意思を告げる。
『わタし ハ しュうリ を スるダけ デす』
「好きにしな」
『ヒてイ、しマせンでシた、ネ?』
 否定しない、それは心身の自由と思考力・判断力を奪うというガランドの一方的な交渉術。けれど、ジェイに焦る様子はひとつもない。
『あナた、ハ?』
 そう問い掛けられ、アイネが首を傾げて青と赤の瞳を瞬かせる。
「否定も、肯定も、しません」
『りカい フのウ』
 ならば、奪うのは理性と正気――しかし、アイネは自身が何者かを知っている。
「理性?正気? そんなもの、百万の死体で造られた、僕に、元からあると、でも?」
 僕は人造ディーヴァです、よ? と、目を細めた。
「という訳で、ですね」
 アイネが己の発する電波を通じ、音楽を流す。
「演算勝負と行きましょう」
『えンざン』
 唇より紡がれるは歌、それは時に攻撃的に、鋭くガランドの乏しい思考と身体を揺さぶる。
『あ ア しュうリ を』
 修理への執念だけで動くガランドに、ジェイがふっと笑う。彼の視線の先には人形と、それに向かって走る拷問具とジェイの影からひたり、ひたりとガランドに忍び寄ったテフルネプがあったからだ。
「便利だろ? 俺の意思がなくとも自動で追尾するんだ」
 優秀な道具に使い手の意思は関係ないのさ、と腕を組んで人形が抵抗するのを見つめていた。
「アイネ、さっさと終わらせよう。大した敵じゃあないと言っても無駄に体力削られるのは御免だからな」
「終わったら、ゆっくりして、疲労が取れたら帰りましょう、ね、ジェイ」
 前衛を務めるだけあって、アイネは体力がある方だ。そして、アイネから見てジェイの身体はあまり強くなさそうなのは何となくわかる。電脳世界であれば、大丈夫なのかもしれないけれど――早く終わらせるに越したことはない。
「それもいいが、折角手に入れたコイツにどんな価値があるのか……アイネ、お前も知りたいだろう?」
「ふふ、勿論、お宝の価値は知らないと、です、よ」
 増々早く終わらせる理由ができた、とアイネの歌声が高らかに響き渡る。
「演算勝負、制するの、は」
 僕、です、よ。
 そう、アイネが壊れゆくガランドに囁いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)
『兼元』の太刀で早業と属性攻撃を加えた【蓑火】を仕掛けます。
火炎がぷろぐらむとかいうものに効果があるかわかりませんけれど。
斬撃ならば効果がある…かもしれません?どうでしょうロベルタさん。
ごめんなさい。こういった…デンノウは理解が追いつかないので。

先程の身軽な女性に斬撃が効いたので恐らく問題はない…でしょう。
私はロベルタさんの攻撃に合わせ連携をしようと思います。
…え?ロベルタさんは冷気の剣技を使うのですか?
なるほど…。冷やしてもいいんですね。デンノウっていうのは。

連携技は左右挟むように交差して少女を斬ることにします。
戦況によって上下斜めと工夫して連携を繰り出そうと思います。


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)
脚技ばかりじゃーなくて久々に愛剣を使おうと思うじぇ♪
早業と属性攻撃に鎧砕きを加えて【雪の女王】を使う!

墨ねーは電脳世界にまだまだ順応してないみたいだねぃ。
サムライエンパイアにこーゆーのないから仕方ないかも?
墨ねーの故郷だと慣れるのに凄く時間かかるのもわかるじぇ。
だから。
「墨ねー。いつものよーに戦って問題ないと思うよ。
例えば僕と対戦した時の感覚でこの女の子と戦う感覚で!」

墨ねーの動きに合わせて僕も連携で動こうと思うよ。
まだ慣れない墨ねーのフォローする感じで動いてもいいよね。
墨ねー。前後左右から挟むように攻撃するみたいだからするじょ。
別方向から同時に攻撃するから防御も取り難くなるのが狙いみたい。
やっぱり墨ねー戦いになると凄いかもねぃ♪



●炎熱と氷雪
 先程までの喧騒が嘘のように静まり返った空間で、ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)はうーん、と考え込むように眉根を寄せた。
「どうか……なさいましたか?」
 悩み事とは無縁のようにも見えるロベルタを心配するように、浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)がおずおずと声を掛ける。
「う、脚技ばっかりじゃ芸がないかも? って思ったんだじぇ」
「……芸、ですか」
 あっこれ深刻な悩みではないですね、と思ったかは知らないが、墨が少し安堵したように話を聞こうと頷く。
「そうなんだじょ! 脚技も得意だけど、僕には剣も銃もあるからねぃ♪」
「では……剣はどうでしょうか?」
「剣?」
「……はい、その……私とお揃い、です……」
 最後の方は消え入りそうな声だったけれど、ロベルタにはしっかりと聞こえていた。
「それ、いいアイデアなんだじぇ! よーし、久々に愛剣を使おうと思うんだじぇ♪」
 そう言って、先程までの思案顔はどこへやら、ロベルタが幾重にも魔術式を刀身にあしらったショートソードを取り出して試し斬りをするかのように、何度か空を斬る。刀身が短く、ロベルタ程の身長であっても取り回しがいいこともあって、彼女が愛用しているのが窺えた。
「西洋の剣も……興味深い……ですね」
「墨ねーならすぐに扱えるようになると思うんだじぇ」
 控えめに微笑んだ墨がふっと表情を厳しくし、ロベルタさん、と小さく名を呼ぶ。
「う、やっとお出ましなんだじぇ」
 二人の視線の先、空間が揺らぐ。その揺らいだ空間を切り裂くようにして現れたのは、様々なパーツを継ぎ接ぎにして出来上がったような機械人形であった。
「ポールダンサーの次はバレエダンサーなのかな?」
「どうでしょう……踊るようには見えません、けれど」
 動きもどことなくぎこちないように見えて、墨が黒石目塗りの鞘より真柄斬兼元を抜き放ちながら、相手の動きを注視する。
『バぐ ヲ しュうリしマす』
「ほえ、バグなんてどこにもないんだじぇ」
『バぐ ハ あナたタちデす』
「ロベルタさん、あの……ばぐ、とは?」
 なんでしょう? と首を傾げた墨に、ロベルタが簡単に説明する。
「プログラムの中の誤りなんだじぇ! これがあるから正常に動作しない、だからそれを取り除くってことだろうから……僕らを排除するってことなんだじょ!」
 理解したのかしていないのか、なるほど? という顔をした墨が、ぷろぐらむ……と考え込む。
「墨ねーは電脳世界にまだまだ順応してないみたいだねぃ」
 サムライエンパイアにも徳川の威光により多少の設備があるだろうけれど、此処までのものは無いだろうから仕方ないかも? とロベルタが笑う。
「ごめんなさい。こういった……デンノウは理解が追いつかないので」
「でも、墨ねーの故郷を考えると、慣れるのに凄く時間がかかるのもわかるじぇ」
 だから、とロベルタがガランドを指さす。
「墨ねー。いつものよーに戦って問題ないと思うよ。例えば僕と対戦した時の感覚でこの女の子と戦う感覚で!」
 難しいことは省いて、感覚だとロベルタが言う。頭であれこれ考えるよりも、よっぽどわかりやすいんだじぇ! という言葉に、墨もふっと笑みを浮かべる。そして、やる事は変わらないということですね、と頷いて兼元の刃に炎の属性をのせた。
「火炎がぷろぐらむというものに効果があるかわかりませんけれど……」
 参ります、と墨が低い姿勢から駆け出し、ガランド目掛けて抜刀する。それは超高速の動き、発火を伴いガランドを燃やす。
「斬撃ならば効果がある……かもしれません? どうでしょう、ロベルタさん」
 先刻戦った身軽な女性には斬撃が効いたのだから、恐らく問題はないはずと墨が尋ねると、ロベルタがブイサインを見せた。
 紅蓮の炎を纏ったまま、ガランドが浮かぶホログラムに映し出す言葉は変わらずバグを修理するというもの。
『シゅウり ヲ かイし シまス』
 途端、どこからか現れた機械兵の大軍が二人目掛けて襲い来る。
「……ロベルタさん!」
「こっちはもっとわかりやすいんだじぇ!」
 ガランドを守ろうと押し寄せる機械兵に手にした魔法剣を向け、ロベルタが叫ぶ。
「Alito congelato!」
 それは雪の女王の息吹が如く、絶対零度の冷気を纏った斬撃が瞬く間に機械兵をガラクタへと変えていく。
「……え? ロベルタさんは冷気の剣技を使うのですか?」
「そうだじぇ!」
「なるほど……冷やしてもいいんですね、デンノウっていうのは」
 ちょっと違うんだじぇ! と思いはしたが、あながち間違いでもないかとロベルタが容認する。結局のところ、二人のこう言うところの相性は凄まじく良く――なんとかなるのだ。
 出現してから三分経ったところで、倒しきれていない機械兵が自爆する。
「墨ねー! なんか爆発したんだじぇ!」
「自爆……ですか」
 随分と潔いのですね……と墨が感心する暇も無く爆発しようとする機械兵を真っ二つに一閃し、体感時間的に三分ですねとロベルタに伝える。
「墨ねーがそう思うなら、きっとそうなんだじぇ!」
 三分で自爆するならその時には距離を取ればいいねぃ、と至極簡単に答え、ガランドを守る機械兵がいなくなった道を墨と共に駆ける。
「先手は墨ねーにまかせたんだじぇ!」
 こくり、と頷いた墨が兼元の柄に手を掛けながらガランドの右手から攻める。それに合わせるようにロベルタが左手に回り込み、墨の抜刀と共に斬り込んだ。
 別方向からの同時攻撃、片や火炎、片や氷雪――。
 異なる属性の攻撃を受け、ガランドが浮かべるホログラムにノイズが混じる。
「……効いていますね」
 ならば、と墨が下から刃を走らせれば、ロベルタが背後を取って真上から切り掛かり、二人の絶妙な連携がガランドを追い詰めていく。
 鮮やかな二人の剣舞に翻弄されるガランドの姿はまるで操り糸が切れた人形のようにも見え、ますます二人の剣技が冴え渡る。
『シゅウり ヲ かイし シまス しュうリ を』
 それでも尚、己の成すべきことはバグの修理であると……其れのみが存在意義であるとばかりにガランドが再び機械兵の大軍を墨とロベルタに向かってけしかけた。
「また来たんだじぇ!」
「……どれだけ来ても、同じこと……です」
 炎と氷の剣舞の前に、機械兵など何するものぞ。
 息の合った二人の連携は機械兵などに破れるものではない。その牙は再びガランドに迫り、糸を断ち切らんと閃いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜

リカちゃんf02586と

ラスボスっぽいのが現れましたね
こいつも倒してゲームクリアと洒落込みましょう!

うわ、こいつ無敵ですか。デバッグ対象ではないですか
…いや、無敵ということはつまり色んな技を試し放題なのでは!?
リカちゃん、幼女を極めるべく色々と試してみましょう!
…ん?それは褒めてますよね?
ですよね!よし、それでは楽しく幼女しましょう

ハレちゃんは魔法使いっぽく遠距離攻撃したいんですよねえ…
こうして(杖を重そうに構えて
こうして(幼女っぽい表情で
こう!(よろめきながら懸命に振ってUC発動
…どうです(ドヤ顔

ほほう、ではリカちゃんのお手並み拝見といきましょう
斧投げ幼女ってなんか都市伝説感ありますね
…くそっ、すこぶる可愛い!やってる事は残虐な殺人ピエロと同じなのに
表情とポーズも可愛いが過ぎる。一体どこで学んだのですか
瞳の濁った軍人みたいな返答ですね

しかしハレちゃんも負ける気はないですよ
ええ、私もいずれはリカちゃん級のあざとさを習得してみせます!
そうなればきっと実生活にも大いに支障が出るでしょうね!


リュカ・エンキアンサス

ハレちゃんと
本当だね。見るからにさっきまでのとは格が違う
ほんと、ゲームのバグとか(命の危険がない敵なら)良かったんだけど……
(斧を射撃する態勢のまま
ていうか無敵か…
…いや。……いや
お兄さんの前向きな思考は称賛に値する
…褒めてるよ。珍しく心から

…(ぅゎぁ
お兄さんが本気を出してる
……
うん可愛いよ。すごく可愛いと思う
これは…負けていられないな。意味もなく負けていられない気がしてくる。本当に意味はないけど

わかった。兎角お兄さんに敬意を表して俺も理想的な斧投げ幼女を演じて見せるよ
こう、お手玉みたいに同時にクソデカ斧を二連射できる練習…
巨大な凶器をぶん回しながらも動作はあくまで洗練・優雅に。まるでティアラでも投げるみたいに
ほら可愛い
いやまあ、一応敵いるから戦わなきゃいけないかなと思って
どこで学ぶって…しいて言うなら殺した相手から学ぶことが多いかな

うんうん、お兄さんもかわいい可愛い
お互い幼女道を極めよう
でもあざといってだけは言われたくない。いわゆるおまいう案件


……
実生活に支障を出すのはちょっと



●幼女道とはギャップにあると見つけたり
 幼女に掛かれば杖もクソデカ斧もマジカルアイテム、みたいなノリで見事アサシン・ポールダンサーを撃退したリュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)と夏目・晴夜(不夜狼・f00145)の二人は、杖とクソデカ斧の扱いを完全にマスターしたという顔で次に来るであろう敵を待っていた。
「いやー、杖の可能性って無限大だったんですね。だから魔法少女は魔法のステッキを持っているのですかね、リカちゃん」
「斧の可能性だって負けてないよ、いつか手斧とかクソデカ斧を持った魔法少女も現れるから」
 世界は広いので斧を持った魔法少女もいるのだが、それはもう魔法じゃないのでは? 物理では? という気持ちは隠せないところである。
「リカちゃん」
「わかってるよ、ハレちゃん」
 益体もない話で盛り上がっていた二人が視線を同じ方向へ向けると、空間が歪んでいるのが見えた。
 すぐにその歪みは亀裂となり、裂け目からあらゆる素材を継ぎ接ぎにしたような機械人形――『ガランド・クレメンテ』が姿を現すと、空中に浮かび上がらせたホログラムに文字を浮かび上がらせる。
『バぐ ヲ しュうリしマす』
 機械仕掛けの乙女が真っ直ぐにリュカと晴夜を見つめ、二人をバグだと断定した。
「ラスポスっぽいのが現れましたね!」
「本当だね。見るからにさっきまでのとは格が違う」
 アサシン・ポールダンサー達も厄介さはあったけれど、それ以上の厄介さを感じると、リュカが目を細めた。
「ま、こいつも倒してゲームクリアと洒落込みましょう!」
「そう簡単にいくかな……」
 何か嫌な感じがするとリュカが呟くが、何もしない訳にもいかないか、と覚悟を決めて構えたままのクソデカ斧を投げる準備を始める。
「ほんと、ゲームのバグとか(命の危険がない敵なら)良かったんだけど……」
『バぐ ハ あナたタち』
 キュイン、と機械音が鳴って、ガランドが動き出す。
『シゅウりヲしュうリをシゅウりヲしュうリを――』
「えっこわっ」
 突然のホラーじゃないです? と、修理と埋め尽くされたホログラムを見て晴夜が一瞬怯んだ隙に、ガランドがこの世界のどこかにある廃棄場から様々な材料に廃棄された機械兵を喚び出し、己と合体させていく。
 それはまるで、舞台に立つプリマドンナの衣装の様にも見えた。
「とりあえず食らえ、ですよ!」
 晴夜が杖でえいえい! と幼女み溢れる攻撃を仕掛けるが、ガランドには傷一つ付いていない。
「うわ、こいつ無敵ですか」
 無敵持ちのボスとか難易度高すぎでは? と晴夜が眉根を寄せる。幼女なのでついでに唇も可愛らしく尖らせていた、幼女が板に付いてきている証拠である。
「寧ろこいつの方がデバッグ対象ではないですか?」
「一理あるね……ていうか無敵か……」
 いやな感じはこれだったのかな、さてどうしたものかとリュカが思考を巡らせようとした時だった。
「……いや、これはチャンスですよ、リカちゃん」
「え?」
「無敵ということは、つまり色んな技を試し放題なのでは!?」
 どうですか、この天才的な晴夜の冴え渡る思考! とばかりにハレちゃんの目が輝いている、幼女の瞳は無垢そのものだ。
「……いや」
「リカちゃん、そうと決まれば幼女を極めるべく色々と試してみましょう! 幼女アカデミー賞をリカちゃんとハレちゃんで総なめですよ!」
「…………いや」
 幼女アカデミー賞とか何言ってるの、とは思ったけれど。
「お兄さんの前向きな思考は称賛に値すると思うよ」
「そうでしょう、そうでしょう! ……ん? それは褒めてますよね?」
「……褒めてるよ。珍しく心から」
 ばかだなぁとか思ってないよ、本当だよ。口にはせず、リュカが全てを誤魔化す幼女の愛くるしい笑みを浮かべた。
「ですよね! よし、それでは楽しく幼女しましょう」
 楽しく幼女とは、いいや疑問に思ってはいけない、ここから先は疑問に思ったやつから死んでいくんだ……!!
「ハレちゃんはですね、魔法使いっぽく遠距離攻撃したいんですよねえ……」
 さっきまではほら、魔法という名の物理だったので。
「やってみたら? お兄さんならきっとできるよ」
 何せさっきもやったら出来たのだ、もしかしたら電脳世界とはやったもん勝ちなのではないだろうか。
「ですよね、ハレちゃんの才能をもってすれば……!」
 水色の髪の毛をくるんと揺らし、晴夜がガランドに向き合う。
「こうして」
 杖をちょっと重たそうに、よたよたっと構え。
 いやさっきまで絶好調でぶん回してたじゃない、とリュカは思うが黙っておく、沈黙は金。
「こうして」
 幼女っぽい、ふええ……(涙目)みたいな表情で。
「こう!」
 よろめきながらも、懸命に杖を振り――ユーベルコードの力を発動した。
 杖からは悪しき魂から成る数多の霊が現れ、ガランドに向かって救いの糸を求めるかのように群がり、その装甲を剥がし取らんばかりの勢いで怨嗟の声をまき散らす。
「…………」
 ぅゎぁ……みたいな顔をリュカがしたのも仕方がないだろう、あまりにも晴夜が本気を出してきたのだから。
「……どうです!」
 ドヤ! と言わんばかりの表情に、リュカが即座に脳内で判定を下す。
「……うん、可愛いよ」
 確かに可愛かった、中身が晴夜だということを差っ引いても、すごく可愛かった。
「これは……俺も負けていられないな」
 意味もなく負けていられないな、とリュカが思う。本当に意味はないのだけれど、幼女として受けて立つしかないな、という気持ちになったのだ。幼女マジック怖い。
「ほほう、ではリカちゃんのお手並み拝見といきましょう!」
 このハレちゃんを超えられるかな! みたいな顔だ、絶対超えてやろうとリュカが心に決めた。
「わかった。兎角お兄さんに敬意を表して俺も理想的な斧投げ幼女を演じて見せるよ」
「斧投げ幼女ってなんか都市伝説感ありますね」
 クソデカ斧を投げてくる幼女、あると思います。
「お兄さんに対抗するには……」
 やはりインパクトも大事だろう、それならばお手玉みたいに同時にクソデカ斧を二連射するしかない。クソデカ斧を両手に持って、曲芸師よろしく上へと放り投げてはキャッチしてタイミングを計る。
「両手にクソデカ斧は控えめに言ってもにもヤバさしかないですね」
「こんなものじゃないよ」
 巨大な凶器をぶん回しつつも、その動きはあくまでも洗練された優雅さを感じさせなくては……そう、まるでティアラでも投げるみたいに――!
「今だね」
 タイミングを見計らい、まずは一つ目を投げてすかさず落ちてきたもう一つを投げ、ブーメランの如く戻って来たクソデカ斧をキャッチ、しかもポーズは可愛らしく!
「ほら、優雅かつ可愛い」
「……くそっ、すこぶる可愛い! やってる事は残虐な殺人ピエロと同じなのに」
 相手が無敵状態だからいいものの、と言い出しっぺが何か言ってる。
「いやまあ、一応敵いるから戦わなきゃいけないかなと思って」
「それにしたって表情とポーズも可愛いが過ぎる、一体どこで学んだのですか」
「どこで学ぶって……しいて言うなら殺した相手から学ぶことが多いかな」
「幼女が言う事じゃないんですよ、その瞳の濁った軍人みたいな返答!」
 殺伐とした空気だって、幼女が微笑めばなんとかなる。もうこうなってくるとガランドを倒すのは二の次みたいになってきたぞ。
「しかしハレちゃんも負ける気はないですよ」
 幼女の仕草もいい感じに身に付いてきた晴夜がセリフと共に杖をくるんと回し、ガランドに呪いの塊みたいな力をぶつける。
「うんうん、お兄さんもかわいい可愛い」
 本当ですか? と問う晴夜に頷きつつ、リュカもお手玉クソデカ斧をガランドに投げ付けては返ってくる斧をターンを決めつつキャッチする。
「こうなったらあれだね、お互い幼女道を極めよう」
「ええ、私もいずれはリカちゃん級のあざとさを習得してみせます!」
「あざといってだけは言われたくない」
 これは完全におまいう案件だよ、とリュカがぷんすこ! と頬を膨らませて連続でクソデカ斧を投げる。
「でもそうなればきっと、実生活にも大いに影響が出るでしょうね!」
 息を吸うように幼女の仕草が出てしまうんですよ、きっと。
 その言葉にピタッとリュカの動きが止まり、心底嫌そうな顔をした。
「……実生活に支障を出すのはちょっと」
 もう手遅れじゃないかな、とは口にはせずに晴夜がもういっちょ可愛いポーズを追求するかと杖を振り上げようとして、敵が倒れている事に気が付いた。
「えっ、あれっ」
「……無敵時間切れたんじゃない?」
 無敵時間が切れたら、今までのダメージが全てガランドに降り注ぐ訳で。
「……もしかして、ハレちゃん達勝ちました?」
「……幼女は勝つ、お約束だよ」
 セオリーってやつ、ご存じ? と幼女二人は現実世界に帰るべく、サイバースペースを後にする。

 ――こうして、猟兵達はそれぞれレアアイテムを持ち帰り、ワールド・ゼロ社の不正の一端を暴くことに成功したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年03月31日


挿絵イラスト