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銀河帝国攻略戦⑤~武装輸送船アラート号、来援す

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「クソッタレ、出遅れちまったぞ!」
「仕方ないですよ船長、壊れた武装にエンジン機関、船の装甲版を直してたらこれくらいかかりますって」
「わざわざ助けてもらった船と命、ここで張らなかったら申し訳が立たねぇだろうが!」
 宇宙の辺境を、一隻の輸送船がひた走る。武装輸送船『アラート』号。快速と輸送船としては重武装が自慢の艦は、かつて猟兵たちの手によって帝国の宇宙バイク部隊の襲撃から救い出された過去がある。
 解放軍の結集と、銀河帝国への反攻作戦。その報を聞いて恩を返すべくすぐさま彼らも駆けつけたかったものの、荷物の届けに先の襲撃で受けた損傷の修理を行っていた結果、ここまで合流が遅れてしまったのである。
「いいか、戦争を動かす要素は無数にある。兵の質、軍の数、取れる戦術、兵器の技術……だがな、最も重要なのは兵站だ! 腹が減っては戦が出来ぬ、武器が無ければ戦えない。燃料が無くなればたちまち船は棺桶に早変わりだ!」
 いくらコアマシンがあるとはいえ、時あたりの生産量にはおのずと限界がある。それをサポートするのが、輸送船の役目。余裕のあるところから枯渇しているところへ、戦えぬ兵を後ろに下げて、復帰した戦士を乗せてとんぼ返り。最も優秀な兵士には兵站をやらせろ、なんて格言もあるくらいだ。
「おまけに、こっちはただの輸送船じゃねェ。武装と快速があって、ある程度自衛も出来る。こんな時にうってつけの船なんだぜ、こいつは!」
 猛る船長に対し、モニターを眺めていた船員が恐る恐る進言する。
「あのー……その真価が早速試されそうなんですが」
「OK、予想は出来てるぜ。またぞろ帝国の連中だろう? いいぜ、バイク野郎なんざ返り討ちにしてや」
「戦闘機です」
 無慈悲な一言に船長は絶句し、天を仰ぎ、モニターをぶん殴った。
「総員、戦闘配置ぃぃぃぃいいいいいっ! 対空防御を密にしろ、全速前進ケツを巻くって逃げまくれぇっ!」
「あーあ、やっぱこうなったよ」
「仕方ねぇ、もっぺん遊ぼうか帝国兵さんよぉ!」
 かくして、アラート号はその名の如く、再び警告に包まれるのであった。

「と、いう訳で救援をお願いしたいんだ」
 集まった猟兵たちに、ユエイン・リュンコイスは端的にそう告げた。
「既に解放軍の船は集まってはいるんだけど、辺境に居たなどの理由で合流が遅れている船があったね。今回襲われた『アラート』号もその一つさ」
 武装輸送船『アラート』号は以前も猟兵に助けられており、その恩に報いるためと非常に士気が高かったのだが、諸事情により合流が遅れてしまっていた。その為、合流を阻まんとする帝国軍に目をつけられてしまったのである。
「彼らも以前の経験から武装強化など対策は取っていたのだけれど……戦闘機相手ではそもそもの設計段階から相性が悪い。こればかりは小手先の対応で抗しきれるものではないからね」
 と、いう訳で猟兵たちには彼らを救援し、無事合流まで援護して欲しいのである。
「と言っても、彼らも只守られているわけじゃないよ」
 戦闘中、『アラート』号も微力ではあるが自前の武装を使用して支援してくれる。各部銃座による牽制や、弾頭に煙幕を積んだミサイルによる攪乱、物資の補給による援護などだ。望めばこちらにとって最適なタイミングで支援を行ってくれるだろう。
「まぁ、自力で戦闘機部隊を撃退できるレベルではないけれど……それでも、彼らは戦いた、恩を返したんだ」
 その意気を汲んでくれると嬉しいかな。そう話を締めくくると、ユエインは猟兵たちを送りだすのであった。


月見月
 どうも皆様、月見月でございます。
 今回は合流を望む輸送船の援護と、帝国軍戦闘機部隊の撃退をお願いしたく思います。
 それでは以下補足です。

 =============================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 =============================

 ケルベロス達は宇宙空間で、敵戦闘機を迎撃することになります。
 また望むのであれば、輸送船が微力ながら支援をしてくれます。例についてはOPに記載しておりますが、その他してほしい事があれば、出来そうな範囲で採用させていただきます。

 プレイングにつきましては出来る限り採用するつもりですが、数やスケジュールによってすべて採用できない場合もございますので、その点ご了承いただけますと幸いです。

 それでは、どうぞよろしくお願い致します。
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第1章 集団戦 『デルタ・ファイター』

POW   :    増援要請
自身が戦闘で瀕死になると【増援飛行隊 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    帝国軍の栄光のために!
【制御不能の高速航行モード 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    対宙銃撃
レベル×5本の【貫通 】属性の【機銃弾】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エメラ・アーヴェスピア
ふふっ…前にここに来たのが遠い昔のように思えてしまうわね
再開を祝って…と行きたい所だけど、お仕事を頑張りましょうか

猟兵よ、協力に来たわ!…この言葉をまたここでいう事になるとは…お久しぶりね、船長
…いえ、実は操縦室に来る必要はなかったのだけど…なんとなくね
…こほんっ、それじゃ、砲撃支援行くわよ!『我が砲火は未来の為に』!
召喚するのは大型重砲(攻撃力重視)、大型を複数出すのは時間がかかるけど…ここでなら問題ないかしら
操舵の視界の邪魔をする奴は片っ端から撃ち落とすわよ!

…ついでに前回と同じでハッキングを使って『CODE:Chaser』を仕込めるかしら?

※アドリブ・絡み歓迎



●支援砲撃、共に戦列を構築せよ!
「ふふっ……前にここに来たのが遠い昔のように思えてしまうわね」
 エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)がまず足を踏み入れて感じたのは喧騒。そこは以前彼女が訪れた時と良く似た状況に包まれていた。次々届くダメージレポートにロックオン警報、慌ただしく動き回る船員たち。
 だが、前と明確に変わっているのはその表情。怯えや混乱は無く、誰もが不敵な笑みと共に己の役割を全うしている。その中へと彼女が歩き出すと、ある者は道を開け、ある者はひゅうと口笛を吹き、ある者は頼もしげな表情を見せる。そうして、エメラは船長の元へ辿りつくと口を開いた。
「猟兵よ、協力に来たわ! この言葉をまたここでいう事になるとは思っても見なかったけれど……お久しぶりね、船長。元気そうで良かったわ」
「ふっ、そっちも無事なようで何よりだ。歓迎するぜ、猟兵殿。さて、いきなりで悪いが、何が出来る?」
 交わされるのは、かつての輸送戦における会話の再現。互いに悪戯っぽさと不敵さの入り混じった笑みを浮かべながら、エメラはそれに応ずる。
「それじゃあ、今回は砲撃支援にしようかしら」
「おいおい、この中でぶちかますのは勘弁してくれよ?」
「いえ、実は操縦室に来る必要はなかったのだけど……なんとなくね?」
 船長の軽口に対し咳払いで照れ隠しをしながら、エメラは船外へ向けて手をかざす。
「こほんっ……それじゃ、砲撃支援行くわよ! 『我が砲火は未来の為に』!」
 宣言と共に召喚されるは、複数門からなる大型の重砲。威力は十二分だが、生成が完了するまでには多少の時間がかかる。
(やはり、以前のバイク相手の様にはいかないわね……)
 時間稼ぎも兼ねて、それと並行し敵機へ追跡プログラムを侵入させようとするも、進捗は芳しくない。移動の為の道具と戦闘用の兵器では、電子戦の能力も段違いである。戦闘機群は不正なハッキングの源がアラート号だと見るや、群れを成して殺到してくる。
「助けて貰っているばかりじゃ、こっちのメンツも無いんでな……煙幕弾、散布しろっ!」
 それに対し船長は煙幕弾頭のミサイル発射を命じ、相手の視界を塞ぐ。敵艦や味方同士で衝突しては堪らないと、一瞬速度を落としたのが運の尽き。
「援護、感謝するわ……さぁ、操舵の邪魔をする奴は片っ端から撃ち落とすわよ!」
 準備の整った重砲が火を噴き、轟音と共に敵機を纏めて叩き落す。文字通りそれを開戦の号砲として、他の猟兵たちも隊列の乱れた敵軍目掛けて飛び出してゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

櫟・陽里
アラート号!来ると思ってたぜ、頼りにしてる!
毎度の事だが俺は大した火力武器を持ってない
もしアラート号と通信できるなら協力して攻撃したいな!

ヘルメットの通信機能とサイバーアイで戦場マップを共有
敵周辺を走り回り挑発して引きつけたら敢えて追われ逃げる
3秒後の通過ポイント・5秒後の通過ポイントを通信しアラート号に狙撃してもらう
飛行機乗りがセレモニー飛行で時間ぴったりに会場を通過するあの技術…挑戦してみたかったんだ
ぶっつけ本番、ワクワクするだろ?
俺はちゃんと絶対避けるから遠慮せず撃ってくれ!

それが無理なら単純に敵に追われながら何度も何度もアラート号の銃座の前を横切る

やるじゃん!と
楽しげに口笛を吹きながら


鎧坂・灯理
戦闘:【SPD】バイクにまたがり縦横無尽に駆け回りながら、銃器を擲弾発射機に変形させて攻撃。アラート号による援護、自前のハッキングなども並行して仕掛けることで敵を苛立たせる。敵が制御不能モードに移行したらブレーキをかけて減速し、銃器を狙撃銃に変形させUCを使用。相手の走行に影響していると思われる部分を撃ち抜く。
技能:クイックドロウ、騎乗、ハッキング、鍵開け、スナイパー、追跡、時間稼ぎなど
心情:武装船ゆえに庇護に甘んじぬ、と。いいぞ、その心意気が気に入った。約束しようアラート号、我々が貴様等を解放軍まで届けてやる。必ずな!



●高速戦闘、敵軍を翻弄せよ!
『今だ、各銃座は自由目標へ各個に射撃! IFFに猟兵殿らを登録したからな、間違っても背中を撃つんじゃねぇぞ!』
『そんな下手くそ、ウチの艦には居やしませんよ! タリホーッ!』
 砲撃によって乱れた敵戦線へ輸送船が追撃を加える中、それらの間を縫って二条の光点が食らいついてゆく。戦闘機よりも二回りほど小さいそれは、宙駆けるバイクに跨りし櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)と鎧坂・灯理(不退転・f14037)だ。
「アラート号、来ると思ってたぜ、頼りにさせてもらう!」
「武装船ゆえに庇護に甘んじぬ、と。いいぞ、その心意気が気に入った!」
 陽里は以前の救援の際に駆け付けたこともあり、船との連携は十二分。灯理もアラート号の意思に賛同し、その士気は陽里にも劣らない。二人は敵中を縦横無尽に走り回り、翻弄してゆく。
「侵入こそ難しいようだが、いわゆるハラスメント攻撃だ。そちらに僅かでも気を取られ得ればこっちのもの」
 相手にハッキングが効き辛いのは操縦室からの連絡で分かっている。だがなまじそれに気づける能力があるがゆえに、電子攻撃を受ければ相手も万が一に備えて対処せざるを得ない。鬱陶しい相手を叩き落すべく、機銃を浴びせようと相手が背後に張り付いた、瞬間。
「順番交代、今度はそちらが先を行け……早撃ちには自信がある、逃がしはしない」
 灯理は急制動をかけ、相手をオーバーシュートさせて逆に背後を取った。彼女はそのまま銃を瞬時に組み立て狙撃形態へと変形させるや、後部エンジンを狙い撃つ。それだけでは航行不能になるだけであるが、動きの止まった敵機をこれ幸いにと輸送船の機銃が撃ち抜いていった。
『横取りしてしまったみたいで申し訳ないな』
「いや、気にすることはない。目標はまだまだ残っているからな」
 また他方では、陽里が戦闘機と熾烈な速度勝負を繰り広げていた。基本スペックに差がある状況で渡り合えているのは、偏に強化を繰り返した愛機と磨き上げた腕の成せる技。
(確かに速度は速いけど……威圧感で言えばあの青軍服の方が上だぜ!)
 それに心理的な面も大きいだろう。後ろから機銃を放たれても、そこまでの恐怖はない。単に早いだけであれば、幾らでもやりようがあると知っている。陽里はちらりとヘルメットのモニターに表示された彼我の位置情報を確認し、素早く輸送船へと通信を放つ。
「さて、うまくいくかな。ぶっつけ本番だけど、なんかワクワクするぜ……!」
 短い通信を終えるのと同時に、業を煮やして戦闘機はリミッターを解除し速力を急速に上昇させた。だが陽里は慌てることなく巧みなハンドリングで攻撃をいなし、目標のポイントへと敵を誘導してゆく。
(目標地点まであと十秒、お互いの距離は約五秒。さぁ、遠慮せずに思い切りやってくれよ……!)
 じりじりと迫る戦闘機が後ろに張り付き、陽里のバイクを照準に捉えた。パイロットが射撃ボタンに指を掛けた……瞬間。
 ドガガガガッと狙い澄ましたかのような偏差射撃が戦闘機を蜂の巣にした。本来であれば容易く避けられるにも関わらず、まるで自ら銃弾に飛び込む様に鉄屑へと変貌していった。対して、陽里はその悉くを避けて無傷。
『ひゅうっ! ブルズアイ、大当たりだ! 誘導と指示ありがとよ!』
「へへっ、そっちもやるじゃん! 飛行機乗りがセレモニー飛行で時間ぴったりに会場を通過するあの技術……一度挑戦してみたかったんだ」
 自らの走行ルートを予め提示し、それを追う敵の数秒後の位置を予測して輸送船が狙い撃つ。両者の息がぴったりと合わなければ誤射にも繋がりかねない大技を、陽里と機関銃手は成功させたのだ。
「っと、新手か……」
 だがそれを喜んでばかりもいられない。撃墜間際に呼ばれた増援が、仇討とばかりに殺到してきたのである。慌ててハンドルを切るも、相手とて馬鹿ではない。複数方向より追い立てるように攻めたててくる。更にたちの悪い事に、避ければ輸送船に命中する射線をあえて狙ってきていた。
「っと、こうなると純粋な火力差が響いてくるな……」
 陽里の武器はバイクを除けば拳銃やワイヤーなどで、相手を纏めて薙ぎ払える大火力は持っていない。だからこそ……。
「だからこその仲間、だからこその協力だ……吹き飛べ」
 当然、二の矢三の矢まで用意して然るべきだ。得物を擲弾形態へと変形させた灯理が、横合い食らいつき榴弾を射出する。敵軍の中心で爆発したそれは敵機を半ばから引きちぎり、辛うじて逃れたものもキャノピーを破損させた。
「装甲は抜けなくても、操縦者本人なら!」
 そうしてぽっかりと開いた空隙から陽里は拳銃弾を叩き込み、確実に相手を戦闘不能へと落としてゆく。二機と一隻の連携は、確実に敵軍の戦力を削り取る。
「あの時と比べれば、まだまだいけるぜ!」
「ああ。約束しようアラート号、我々が貴様等を解放軍まで届けてやる。必ずな!」
 そう宣言しながら、二つの光は宇宙空間へ軌跡を描き駆け抜けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セルマ・エンフィールド
私には戦争の経験などありませんし、戦略も分かりません。ですが必要なことである、というのは理解できますし……無為に死なせる気もありません。

ドローン【ペレグリーネ】を展開、飛行させます。
援護射撃、および高速の飛行で敵のかく乱をしながら制御不能の高速航行モードに入った敵の誘因を行い、その間に私のマスケットの【氷の狙撃手】で仕留めましょう。

高速飛行によりドローンの動力の減りは早くなりますし、弾薬の消耗もあります。ここはせっかくですし、『アラート』号に助けてもらいましょう。
動力、弾丸が切れかけたらペレグリーネは『アラート』号に帰還、充填後に援護およびかく乱を再開します。


サラ・カトレット
【WIZ】

【見切り】や【オーラ防御】で攻撃を掻い潜りつつ、敵の密集地へ

上手く位置取り出来たら【桜花爛漫】で攻撃を
範囲内の敵さん達を纏めて一網打尽にしちゃいます!

その際銃口に花びらを付着させて【マヒ攻撃】を付与
少しでも攻撃頻度を落とせるといいのですが

装甲が固いなら【鎧無視攻撃】で機械の隙間を探して花びらを送り込めないかしら
【属性攻撃】で【雷】を付与して、内部からショートさせてみましょう

輸送隊の皆さんには後方から煙幕での防御や攻撃遮断を要請

…どうせ逃げてと言っても聞いてくれないのでしょう?
けど、絶対無理はしないで下さいね?
皆さんに何かあったら私…泣き喚いて作戦を滅茶苦茶にしちゃいますからね!



●船体防衛、接近敵機を退けよ!
「私には戦争の経験などありませんし、戦略も分かりません。ですが必要なことである、というのは理解できますし……」
 無為に死なせる気もありません。甲板上、膝撃ちの姿勢で愛用のマスケット銃を構えながら、セルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)はスコープ越しに捉えた敵へと銃弾を叩き込んでゆく。
 偏差狙撃を支えるのは、彼女の射撃支援用ドローン『ペレグリーネ』だ。それがスポッターの役割を果たすことにより射撃情報を補正、更には敵機の誘因や機銃攻撃を行うなど、八面六臂の働きをしている。
「……減ってはきましたが、相手も形振り構わなくなってきましたね」
 火薬と鉛玉を銃口より押し込めながら、セルマは戦場を俯瞰する。視線の先では、仲間達が敵軍を翻弄していたが、敵戦闘機も半ば制御を手放して高速航行状態へと移行し対抗していた。火力、耐久力、速度、どれをとっても侮れる相手ではない。その為、『ペレグリーネ』の動力、弾薬の消耗も加速しつつあった。
「すみません、こちらの支援ドローンに補給をお願いできますか?」
『お安い御用だ。武装してるとは言え本分は輸送船。弾薬も燃料もたっぷりあるぜ!』
 装甲版の一部が開くやそこから飛び出したアームがドローンを受け止め、速やかに補給を進めてゆく。だが、それは彼女への道を阻む存在が不在となることを意味していた。
 大きく弧を描きながら、編隊を組んで戦闘機が彼女へと襲い掛かる。往々にして、戦場で狙撃手は敵兵に忌み嫌われる兵科だ。その殺意は並々ならぬものがある。
『ちぃっ、止まらん!』
 バラバラと対空砲火が上がるも、この状態の敵機に効果は薄い。そのまま、敵編隊はぐんぐんと距離を詰めてくる。
「セルマさんと輸送船、どちらにも近づけさせはしませんよ?」
 そんな中、相手の真正面から飛び出す人影があった。展開したオーラで全身を防御するするその人物はサラ・カトレット(夢見る乙女・f06458)である。大気無き宇宙において彼女は風の精霊を宿した錫杖を振るい、巻き起こる突風を推進力代わりに単身にて敵中へと飛び込んだ。
「甘い香りは、お嫌いですか? と言っても、キャノピー越しでは分からないかもしれませんけどね」
 そう苦笑するサラを基点として、無数の花びらが吹き荒れた。それらはまるで濃密な壁の如く宇宙空間へと広がり、敵戦闘機を絡め取ってゆく。彼らの機密構造は徹底されているが、それも操縦席周りに限る。機銃の発射孔、装甲版の隙間から内部へと入り込むや、花弁は電流を流して各操縦系や基盤部品を次々ショートさせてゆく。
 一部の機体はそれが燃料系にまで及び引火、内部より紅蓮の炎を噴き上げて爆発四散する。サラも至近距離にいたものの、寧ろその爆風を利用して敵集団より距離を取った。
『すまん、助かった! 危うく直撃を食らうところだったぜ!』
「もう、助かったじゃありません……どうせ逃げてと言っても聞いてくれないのでしょう? けど、絶対無理はしないで下さいね? 皆さんに何かあったら私……泣き喚いて、作戦を滅茶苦茶にしちゃいますからね!」
『はははは、そりゃ勘弁を。可愛いお嬢ちゃんを泣かせたとあっちゃ、船長に叩きのめされちまうぜ』
 頬を膨らませそう忠告するサラに対し、船員は呵呵と笑って応ずる。だがその直後、無線越しに切羽詰った声が響いた。
『接近警報! あいつら、体当たりしてても船を落とす気だ!』
『煙幕弾……っ、爆発が間に合わない!?』
 その叫びにサラが宙へと目を向けると、流星の如く敵戦闘機が突撃してきていた。その勢いは回避などを考慮していない、捨て身の一撃狙いだとすぐに分かる。煙幕弾頭のミサイルが飛び出すも、それが爆発するよりも先に敵機が通り過ぎてしまう。
「燃料、弾薬の補給完了……行きなさい、ペレグリーネ。サラさんはもう一度先ほどの花びらをお願いします。相手の視界を防げますか?」
「ええ、勿論です! お願い、エヴァンジル」
 そこへ指示を飛ばすのは、戦闘体勢を整えたセルマの氷の如き声。銃床をしっかりと肩へと固定し、スコープを覗く彼女は微動だにもしていない。サラは瞬時に応ずるや再び花びらを飛ばしてキャノピーへと張り付かせ、視界を完全に封じた。そのすぐ傍では、ドローンが必要な情報を収集、解析し主へと送り続けている。
「さて……完全に凍り付くのは何発目でしょうか?」
 慣性のままに前進し続ける戦闘機。だがセルマは慌てることなく氷の弾丸を放ち、決して連射性能の良くない銃でも対象を射抜き続ける。
「狙撃なら、こちらも!」
「頼みます……これで、最後」
 凍てついてゆく船体へ白と桃色の双弾が命中する。それきり、戦闘機は操縦手、機体共に永遠の停止へと叩き落された。スコープから視線を外したセルマは、動く者が仲間たち以外に存在しないことを確認する。
「敵戦力は全滅。他に増援は無し、ですね」
「か、勝ったんですか、私たち……良かった~!」
 戦闘終了と判断するセルマの言葉に、サラはほっと息をつく。耳を澄ませば、通信機の先から船員たちの歓声が聞こえてきた。
『よっし、見たか銀河帝国さんよ!』
『アラート号と猟兵殿が協力すれば、ざっとこんなもんさ!』
 船はゆっくりと艦首を動かし、進路を定める。行き先は解放軍の集結地。
『こちらアラート号の船長だ。猟兵殿の救援に心から感謝を表する……その恩に報いるため、これより我らも解放軍へと合流する!』
 船長の号令一下、猟兵たちと共に武装輸送船『アラート』号は、一路戦場へと向けて航行を再開するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月15日


挿絵イラスト