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レイジ・アゲインスト・オキアミ

#サイバーザナドゥ #アミダインダストリー

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#サイバーザナドゥ
#アミダインダストリー


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 旧日本領関東部、オミヤ・ディストリクト。
 いくつもの高層ビルディングが空を埋めるさまは、まるで限られたパイを奪い合うメガコーポの暗黒闘争を戯画化したようだ。
「ただいま、治安向上キャンペーン実施中につき、不審人物には警告なしの発砲行為が認められています。外出の際は、即時身分証明が可能なアミダ・インダストリーのホロIDサービスをご利用ください……アミダ・インダストリーがあなたの生活を守っています……」
 ただでさえ狭い空を、大企業アミダ・インダストリーの欺瞞広告飛行船が覆った。
 船体横のウィンドウを「治安維持」「警察と連携」「即時発砲」「本日の鎮圧件数:35件」「ホロIDサービスで安全と安心を」といった極彩色のネオン文字が流れていく。
 もちろんこれは、IDサービスを普及させることで地元住民をナンバー管理登録し、企業の奴隷にしようという狡猾な罠だ。"鎮圧"された哀れな犠牲者の一部は、アミダ社製レプリカントによる自作自演である。
 アミダ社がこれだけ大規模な欺瞞広告を展開できるのも、この一帯にある企業のほぼすべてが、アミダ系列下ないし事実上の支配を受けているからだ……。

 林立するなかでひときわ巨大なビルは、つい先頃買収工作によってアミダ社傘下に入った食品メーカー「D.F.C(ダイヤマ・フード・カンパニー)」のものだ。
 現在のCEOは、イソベ・ダイヤマ。代々社長業を歴任してきたダイヤマ家の傍流筋に当たり、就任前は能力不足により課長代理止まりだった男である。
「ククク……ざまあみろ、本家のクソどもめッ! 僕を侮るからこんな目に遭うんだ、いい気味だッ!」
 イソベは窓の外、ゆっくりと飛んでいく広告飛行船を眺め、悦に入っていた。
「何が「古きよき、人に寄り添った企業経営を」だ。そんなものはクソだ。これからの時代はストリームラインが鍵なんだッ!
 メガコーポの庇護下に入ることでストリームラインをオプティマイズしていく……イノベーションなんだ、僕こそが正しいッ! だからこそ僕はここにいるッ!」
 もうおわかりだろう。D.F.Cの企業買収劇は、すべてこの男によって引き起こされた。
 アミダ社特殊営業課と密通し、旧経営陣を解雇ないし処刑。
 そして自らは、密約によってCEOの椅子を手にしたのである……!

 PRRR! 机に設置された、旧時代的な電話機が鳴り響く。
 イソベは舌打ちし、受話器を手に取った。この電話自体が、旧経営陣の古色蒼然さの顕れだ。電脳を使えばこんな必要はないというのに……。
「ぼ……私だ。用件は? ……ああ、例のオキアミ工場のことか」
 イソベはネクタイを緩めつつ、どうでもよさそうに答える。
「雇っていた労働者が過労死した? 知ったことか!
 そこらのホームレスなり最下層のゴミどもなり、適当な奴らを拉致してこい。
 コストコントロールだ! そんなこともわからないのか、バカめッ!」
 イソベは苛立たしげに受話器を叩きつけ、ネクタイを外した。
「今日はもう業務終了だ! このあたりで一番高級な店の女を全員連れてこい、CEO就任パーティだ! ハーッハハハハ!」
 窓の外では、広告飛行船の船体ウィンドウに大きく「あなたのよき隣人、アミダ・インダストリー」の極彩色ネオン文字が点滅していた……。

●グリモアベース
 猟兵たちの前に現れたのは、スキンヘッドの巨漢サイボーグだった。
 でっぷりと腹が突き出した肥満体だが、よく見ればその下に頑強な筋肉が隠されていることがわかる。その男は見た目にそぐわぬ、人懐っこい笑みを浮かべた。
「ドーモ、はじめまして。おれはデンゾウ・ゴガミだ。
 あンた達には、こちらの名前がいい……グフフ、気にせンでくれ。
 猟兵ってのに覚醒したばかりでね、あンた達の流儀にまだ慣れてねェんだ……」
 禿げ上がった頭をかきながら、デンゾウは笑った。

 が、本題に入ると、彼はいささか表情を引き締める。
「何の因果か知らないが、おれにもグリモアの力が使えるようになったようでなァ。
 今回はあンた達に、メガコーポ傘下の企業が作った、秘密工場を叩いてほしいンだ。
 いわば、おれからあンた達への仕事(ビズ)の依頼ってことになるかね……」
 新たな世界での予知。つまりは、猟兵の出番ということである。

 デンゾウはまず、問題の秘密工場の背後関係について簡単に説明した。
「この地下秘密工場を経営してるのは、D.F.Cって食品メーカーのバカ社長だ。
 もともとこの会社は、アミダ・インダストリーってェ札付きのメガコーポに従ったばかりでな……グフフ、よくある企業工作だよ。バカ社長は体のいいコマってワケだ。
 ま、操り人形だとしても、イソベとかいう野郎はゴミ以下のクソカスだぜ。
 なンせ野郎は、社会身分のない弱者を拉致して、工場で強制労働してンだからな」
 デンゾウは大きな口をへの字に曲げ、嫌悪を示した。
「秘密工場の存在と強制労働の様子までは、おれの予知で突き止められたンだがね。
 メガコーポが関わってるだけあって、工場の位置までは掴めなかったンだよ。
 情報屋失格だぜ、グフフ……だからあンた達に、まずその在処を探ってもらいてェ」
 彼曰く、位置そのものは突き止められなかったが、そこに繋がりそうな情報源にはアテがあるらしい。

「オミヤ・ディストリクトには、サウスゲンザ・ストリートってェとこがあってな。
 治安は最悪だが、そこにいるヤクザどもは色々詳しい奴らが多いンだよ。
 おそらく、直接拉致誘拐に関わってるヤクザもいるかもしれねェな……」
 となればやることはひとつだ。
「取り入るなり、実力行使なり、カネで買うなり、とにかく情報を集めてくれ。
 が、そう簡単にはいかねェ。アミダの連中が、罠を張ってるはずだからな。
 企業警察が鎮圧なんてお題目を掲げて襲撃を仕掛けてくるかもしれねェし、
 ヤクザどもが連携して始末しに来るか……ま、荒事は避けられンだろうよ。
 それがイヤなら、うまくストリートに溶け込むこった。奴らの鼻は鋭いぜ」
 デンゾウはニヤリと笑う。猟兵たちの力の程を測っているようでもあった。
「位置さえわかれば、あとは襲撃(レイド)だ。工場には武装警備員が待機してる。
 アミダには『特殊営業課鎮圧係』ってェ大層なお名前の"さらりまん"どもがいてよ。
 ま、早い話がブラックオプ……荒事のタツジンだ。油断してるとヤられちまうぜ」
 顎の下を「ギィーッ」と親指で掻っ切るジェスチャー。戦闘は必至というわけだ。
「上手くいけば、イソベを直接叩くことも出来るかもしれねェな。
 ただ、こいつはおれのカンだが、イソベもおそらくオブリビオン化してやがる。
 どンなフリークスが出てくるかはわからンが、注意しておいたほうがいいぜ」
 そう言って、デンゾウは腹を叩いた。
「傘下企業を潰せりゃ、少なからずメガコーポにだってダメージが行く。
 いずれアミダをぶっ潰すためにも、力を貸してくれや、猟兵=サン」
 フィクサーは値踏みするような目で、猟兵たちを見渡した。
 これまで戦い抜いてきた実力というものを、ひとつ見せてやるとしよう……。


唐揚げ
 サイバーザナドゥシナリオ第三弾です。
 調査→工場襲撃(集団戦)→CEO襲撃(ボス戦)の三段仕立てとなっています。

 1章では正体を隠して普通に情報収集をしてもいいですし、
 正体がバレた! という体で、ヤクザや警察を返り討ちにする感じでもOKです。
 どちらであれ、🔵が溜まれば次の章へ進みます。
 特にプレイング期限は設けず、ヒマのある時に採用していこうと思います。

 あ、それともうひとつ。
 本シナリオで登場する「アミダ・インダストリー」の設定については、発案者のブラツマスターに直接許可を得た上で、設定を共有させていただいております。
 #アミダインダストリーのタグをたどれば関連シナリオが出てくると思いますので、そちらもどうぞよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『酒場で情報収集』

POW   :    多くの人から多くの話を聞く

SPD   :    より詳しそうな人物に話を聞く

WIZ   :    一般人に紛れた情報屋を見つけ出し、情報を買う

イラスト:十姉妹

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●サイバーザナドゥ:サウスゲンザ・ストリート
 大通り入り口の「南幻座」という古びたネオン看板が、忘れ去られた自らの存在をアピールするかのように、バチバチと明滅した。
 古来からこの地を締めていたスマヨシ・ヤクザ・クランは弱体して久しく、今では余所から流れ着いたヤクザどもが幅を利かせ、裏ではアミダ社を通じて警察と癒着する始末。
 仁義という言葉は喪われて久しく、ただ強かで狡猾な者だけが生き残る、まさに生き馬の目を抜くような無法地帯と化している。

 ストリートを歩けば、「美女の玉手箱」「魔天LAW」「完全無料合法インプラント手術」といった扇情的なネオンサインが目に入る。
 すべての店にヤクザのケツモチが配置され、重税同然のみかじめ料と引き換えに、欺瞞で覆われたパワーバランスを保つ。サイバーザナドゥの下層街の縮図だ。
 いくら外見で違和感を与えない猟兵でも、呑気に歩いていれば白眼視は避けられないだろう。
 退廃的で猥雑とした空気に溶け込み、狡猾に情報を集めるか、
 それともヤクザや警察相手にハデなケンカを仕掛けるか。
 もちろん、カネですべてを解決することだって出来るだろう。
 ここはそういう世界の、そういうストリートなのだから。
アルトリウス・セレスタイト
なかなか厳しい世界のようだ
まあ働くか

状況は『天光』で逐一把握
必要なら守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら自身を無限加速し回避
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

透化にて己を隠し行動
『天光』にて周囲の情報を走査。探すのはアミダ関係者
『刻真』にて本人の情報を遡り工場の位置を特定する

ついでにアミダ関係者に細工
隠れたまま接近、持ち物のごく一部に破壊の原理を行使
装備の不調なり機器の故障なりを図る
対応のために動きが出れば他の者が探りやすくなる部分もあるだろう
あとは特定した場へ

※アドリブ歓迎



●新たな世界で
 ユーベルコードの力で自らを完全に隠蔽したアルトリウス・セレスタイトは、誰にも気付かれずにストリートを征く。
 たとえ裏路地の危険な暗がりに踏み込もうと、そこで犠牲者を手ぐすね引いて待つサイバーサイコが彼を襲うことはないし、手癖の悪いストリートチルドレンが財布を盗もうとすることもない。
 問題は、彼が探そうとしていたアミダインダストリーの関係者は、このストリートにはいなかったということだ。

 アミダ社は狡猾なメガコーポであり、ヤクザなどの違法な人員とのつながりを徹底的に秘匿している。
 グリモア猟兵が触れた特殊営業課のエージェントでさえ、下位企業の戦闘要員が手も足も出ないレベルの存在なのだ。
 奴らはヤクザ(あるいは腐敗した企業警察)にストリートの実効支配を任せ、自らは安全な場所でふんぞり返っている、というわけだ。
「……なかなかに厳しい世界のようだ」
 改めてサイバーザナドゥの実情を痛感したアルトリウスは、その堕落がオブリビオンではなく、オブリビオンの力を求めた人間によって起こされたことに呆れた。
 ダークセイヴァーは、吸血鬼という邪悪なオブリビオンが支配する闇の世界だ。
 アポカリプスヘルはどうだろうか。あれもまた、人々は破滅の未来に抗い力強く生きようとしている。
 クロムキャバリアでさえ、オブリビオンマシンという悪意がなければ、人々はもっとシンプルに平和を求められているだろう。
 だが、この世界は違う――少なくとも、今明らかになっている事実としては。
 堕落のきっかけは、オブリビオンによるものだったのかもしれない。
 だが現在、現実として終末時計を加速させているのは、他ならぬ人間だ。

「本体を叩くには、まだまだ時間がかかるか。しかし……」
 アルトリウスは周囲の情報を走査し、いくつかのヤクザクランの隠れ家を突き止めた。
 もしかしたら奴らは、自分たちのさらった下層民が、どこで何をしているかさえ知らないのかもしれない。
 メガコーポを相手取るとは、そういうことだ。そして……。
「こないだの仕事の実入りは最高だったな!」
「"ゴミ拾い"してくるだけであんだけの金がもらえるとはな!」
 奴らは、人間をさらう程度、なんの良心の呵責も覚えない、ということだ。
「……」
 アルトリウスは密かに、ヤクザどものドスやチャカといった装備を原理の力で破壊した。
 これで、どこかの猟兵が実力行使に踏み込んだとしても、奴らがまともな反撃をすることはないだろう。
 吸血鬼や屍人帝国とは、また異なる敵が、闇の奥深くに潜んでいる。

成功 🔵​🔵​🔴​

撒菱・しのぶ
大企業の腐敗を暴露する任務、これは…取れ高の予感!

ニンジャ的にこっそり情報収集すれば誰も傷つかないところではござるが、配信映えの為にUC『ライバーズ・インセイン』の悪魔に従い、適当なチンピラを締め上げて情報を集めるでござる。

おや、お仲間がいたでござるか。これは好都合。取れ高のために全員ぶちのめすでござる!



●忍びは撮れ高を求める
「メガコーポの腐敗を暴露する任務、これは……」
 撒菱・しのぶはくるっと振り返り、カメラドローンにキメ顔を披露した。
「……撮れ高の予感! でござる!」
 しのぶは元広告AIである。そして今は、以前に比べると登録者数は激減。
 色々あって新たなチャンネルで再始動したストリーマーは、撮れ高を求めていた。
 メガコーポ相手の潜入捜査となれば、荒事は必至! 案内役もそう言ってた!
「ニンジャ的にこっそり情報収集もいいでござるが~、ここはやはり~?」
 しのぶはまたカメラのほうを振り返る。配信者は目線が大事なのだ。
「いつものように、ニンニン☆チョイス! の時間でござる~!」
 なんか恒例のネタがあるらしい。しのぶは、ユーベルコードを発動!

「しのぶ、しのぶよ、私の声を聞くのです……」
「おいおい、アタシの声を聞きな~?」
 するとなにやら、スポットライトが照らされ、上からしのぶ似の天使が。
 その隣の地面に黒い魔法陣が描かれ、下からしのぶ似の悪魔がせり出てきた。
「まがりなりにもここは公共の空間……ストリートの住民に迷惑をかけてはいけません……サイバーニンジャとして、安全を心がけて調査を行うのです……」
 天使は、顔だけしのぶに似てるくせに、まるで常識的なことをのたまう。
「むむむ! ということは、ニンジャ的に動けば成功間違いなし、でござるな?」
「その通りです……あとそのキャラ、まだ続けるのですか……?」
「なっ!?」
「この間配信中にカメラドローンが撃墜されそうになって、キャラブレてたでしょう……」
「だ、だだだ誰がキャラ被りでおじゃるか!? 営業妨害でござるぞよ!?」
 しのぶはあたふたと慌てた。さっそくキャラがブレている。
 ちなみにこれも立派な撮れ高なのだが、しのぶ的にはあんまりよくなかった。
「ひひひ……ここはやっぱりよぉ、適当なヤクザを締め上げてみるべきじゃね~?」
 悪魔しのぶが耳元で囁く! ちなみに、格好も悪魔なのでちょいセクシーだ!
「はっ! お、おぬしは悪魔……! それはあまりにも非常識……!」
「そうすりゃヤクザどもが大挙して襲いかかってくるぜぇ? 危険だよなぁ~?」
「たしかに……しかし華麗に切り抜ければ、撮れ高抜群……!」
「しのぶ……しのぶ……あなた毎回そちらを選ぶのにわざわざ私を呼ぶ意味ありますか……」
「だから営業妨害でござるよそれ! ええーい、今回も悪魔に決定でござる!」
 天使は仕方ねえなあみたいな顔で、謎のスポットライトに吸い込まれていった。

「さあアタシ、やっちまいなー!」
「いざ、ニンニンアタックでござる~!」
 悪魔の声援を受けたしのぶは、そこらへんのヤクザにアンブッシュ!
「ダッテメコ」
「せいッ!」
「ナンオラー!?」
 フォトンセイバー一閃! ヤクザの服がズタズタになり、ステテコパンツ一丁に!
 なお、サイバーステテコパンツなので、LEDラインが走っている。サイバーだし。
「アイエエエ!」
「さあ、我がフォトンセイバーのサビになりたくなくば、おとなしく情報を話すでござる!」
「デ、デアエ! デアエーッ!」
「むむっ!?」
 すぐ近くに事務所があったようで、大量のヤクザが「スッゾコラー!」と飛び出してきた!
 しかし実は別の猟兵によって危険な武器を破壊されているため、チャカガンを構えるが弾丸は出ないのだ!
「「「ナンオラー!?」」」
「これは好都合。全員ぶちのめすでござる!」
「「「アイエエエ!」」」
 数分後、そこにはステテコパンツ一丁になったヤクザどもが、折り重なるようにして倒れていたという。
 情報よりも大事な撮れ高を得られたしのぶは、満足げな顔で配信を一区切りした。

成功 🔵​🔵​🔴​

東雲・深耶
(舌打ち)
御家騒動という訳か
胸の悪くなる話だが、まずは情報収集を
直接襲撃する事がありならそちらを使おう
後、罪なき市民の為にも街の浄化をな?
ある程度情報収集を行い、有力な情報を握っているヤクザや狗(企業の下僕となっている警察の事、警察官の名家出身である深耶は企業の下僕を警察と認めていない)共を襲撃
サーチアンドデストロイ、次々と奴らの所在地に電撃戦を仕掛けて情報を集めていく

フォーミュラの力を再現するUCだ、幾らUC使いの狗だろうがヤクザだろうが格と言うモノが違うよ
そう言いながらも集められる情報をある程度吟味と見切りをしたら即座に逃走
——悪の敵は、こんなものでは終わらないぞ



●悪の敵
「……チッ」
 東雲・深耶はストリートに降り立ち、饐えた匂いに舌打ちした。
 醜いお家騒動――といっても本家にほとんど非はなく、ダイヤマの虚栄心と自尊心が原因なのだが――と、それを利用するアミダ・インダストリー。
 犠牲になるのは、いつだって弱い者だ。深耶はあまりいい気分はしなかった。
「罪なき市民のために、ひとつ街の浄化に励むとするか」
 深耶がそう言った瞬間、遠くから企業警察のサイレンが聞こえてきた。
 暴徒鎮圧という名目の、猟兵抹殺のために。

「え? 警察? ナンデ?」
「スッゾコラ市民! 暴動の通報があり我々は来た!」
 ぽかんとするモヒカン頭に、完全武装のフルフェイス企業警察兵が恫喝する。
「アイエッ!? 暴動ナンデ? そんなの起きてない!」
「通報に間違いなし! よってこれより、暴徒鎮圧を開始する! 全体、構え!」
 ザッ! 背後のフルフェイス下級警察兵が致死的アサルトライフル準備!
「銃器ナンデ!?」
「邪魔する者はすべて暴徒! 企業特務法14条49項により射殺重点! 合法!」
「「「アイエエエ!?」」」
 阿鼻叫喚だ! だが放たれた弾丸は、深耶の『妖刀・時雨』で切り落とされた!
「ダッテメコラー市民!?」
「所在地を探す手間が省けて助かるな。狗どもめ」
 深耶は嫌悪たっぷりに吐き捨て、ユーベルコードを発動した。
 時空間をも断ち切るほどの斬撃には、特注ボディアーマーなど紙屑同然だ!
「「「グワーッ!?」」」
「企業の下僕に成り下がった狗どもでは、格というモノが違うよ」
 深耶は冷たく言い、後ろの装甲車両を両断すると、爆炎を突っ切り突撃!
「抵抗確認! 射殺重点!」
「「「重点!」」」
 BRATATATATAT! 弾幕を切り払い、深耶は次々に企業警察兵を斬り捨てる!
「「「グワーッ!?」」」
「どいつもこいつも……これを警察などと、私は決して認めない」
 倒れ伏す企業警察兵をゴミを見る目で一瞥し、深耶は炎に紛れて暴れた。

 やがて彼女は、混乱に紛れて情報ソースになりそうなデータのいくつかを走行車両からサルベージし、ビル屋上に逃れる。
「――悪の敵は、こんなものでは終わらないぞ」
 退廃の都に、もうもうと爆炎が花咲く。赤い瞳が炎に照らされきりりと煌めくと、次の瞬間には彼女は姿を消していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャルロッテ・ヴェイロン
暗黒メガコーポがこの世を支配していて、そいつらがヤクザや腐れマッポを操っている――ま、この世界ではよくあるような光景ですね。

とりあえず安全そうな場所に陣取って、ネットワークに【ハッキング】を仕掛けましょう。で、ヤクザクランのPCに潜入して【情報収集】していきましょう。防衛機構があるなら【ジャミング】で攪乱しましょう。
あっちが襲撃を企てているようなら偽情報を流して(敵対勢力にも同様の偽情報を流す)、適当な場所に【おびき寄せ】て潰し合いをさせましょうか。
――ああ、念のため痕跡を消しつつ、敵PCも使い物にならなくさせちゃいますよ?

※アドリブ・連携歓迎



●電脳世界の歩き方
 現実がどうであれ、そこにウェブがあるのならハッカーのやることは変わらない。
 意識を没入させ、電脳世界を駆け、電子から現実を変えるだけだ。
 むしろ、この世界はやりやすい。シャルロッテ・ヴェイロンにとっては。

 企業警察が、鎮圧の名目でアミダ社を嗅ぎ回るもの=猟兵を排除しようとし、そして失敗している間、シャルロッテはヤクザクランにアタックを仕掛けた。
 こういうどさくさにまぎれて、夜逃げやなんらかの悪事を企てるというのは、アウトローの常だ。裏で繋がっているとなれば、なおさらのことだろう。
「たとえ直接繋がってはいなくても、どこかに痕跡があるはず……あ、そうだ」
 シャルロッテはAR投影されたキーボードを叩き、欺瞞情報を生成。
 それを電脳防壁攻撃プログラムめいて、LAN内に放流した。
 企業警察が、見せしめのためにヤクザクランを強制査察しようとしているという偽情報だ。アミダが垂れ込んだかのように偽装されている。
 実際に鎮圧が現実で起きている今なら、信憑性は抜群だろう。
 メガコーポが仲介役となっているとはいえ、警察とアウトローは所詮水と油。
 じきに、企業警察とヤクザクランの潰しあいが始まるはずだ。
「腐れマッポとヤクザが潰し合うなら、似た者同士でお似合いですよね」
 そう言いながら、シャルロッテは怪しいデータを片っ端からGREPし、有力そうであれば確保、そうでなければ自我破壊ウィルスや欺瞞情報に書き換えていく。
 驚くべき速さである。この世界に来訪したばかりとは思えない。

 だが、それも当然だろう。
 現実がどうであれ、そこにウェブがあるのならハッカーのやることは変わらない。
 ハックし、クラックし、痕跡は消して鮮やかに去る。同じことだ。
 直接電脳を破壊しないだけ、シャルロッテは慈悲深いほうだろう。
 彼女の耳に、偽情報に踊らされ、企業警察にカチコミを仕掛けるヤクザクランのヤクザスラングが聞こえてきた。
「ちょろいもんですねぇ」
 なんでもないことのように、彼女は呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

相馬・雷光
潜入に暗殺はニンジャのお家芸よ、任せときなさい

何ともマッポーって感じの世界ねぇ
【忍び足】で気配を消してネオン街を探索
【聞き耳】を立てたりして関係者を洗い出す

家出少女とかそんな雰囲気でヤクザに接触するわ
ねぇ、ちょーっとお願いがあるんだけどさぁ……

【誘惑】でその気になったら、人目のない路地裏に【おびき寄せる】
調子に乗ってお尻とか触ってきても今は我慢よ

アミダが色々やらかしてるの……知ってるでしょ?
差し当たってD.F.Cの秘密工場とかさ

【早業】でヤクザの懐から銃を【盗んで】、喉元に押し当てる
ガキと思って油断したわね、私はニンジャよ
あと結構気が短いの
早く喋らないと、あんた始末して次の獲物を探すわよ



●きれいな花には……
 企業警察の偽の鎮圧が、逆に猟兵に鎮圧され、一時的に落ち着いてきた頃。
「ねぇ、そこのお兄さん。ちょーっと、お願いがあるんだけどさぁ……」
「ア?」
 相馬・雷光に話しかけられた強面のヤクザは、雷光に振り返ると、サイバーサングラスの下からギロリと睨んだ。
「なんだガキ、このあたりじゃ見ないツラだな。上層から迷い込んだか?」
「まあ……そんなところかな。私ね、ちょっと冒険してみたくてさ」
 雷光はにこりと艶やかな笑みを浮かべて、しなを作ってみせた。
 女の肢体をこの上なく見せつける、自然なようで計算された素振りで。
 ヤクザの視線は厳しいままだが、まんまとつられる。雷光は目を細めた。
「でもね、クレジットがなくなっちゃって……私、心細いんだよねぇ」
「へぇ……いけねえなぁお嬢ちゃん、悪い奴に捕まっちまうぜ?」
「だから、あなたに声をかけたんでしょ?」
 雷光の甘やかな声が、ヤクザの耳朶に奇妙に染み込む。
 一言二言言葉を交わしただけなのに、もう目をそらせなくなっていた。
 これが、化身忍者の手管だ。優れたニンジャは、武と技だけでなく言葉と仕草で人の心を手玉に取ることにも長けている。
「ね、お兄さんに助けてほしいな……だから、あっちで"お話"しよ?」
 雷光はさりげなくヤクザの生身のほうの腕を指先でなぞり、伺うように瞼を伏せて、誰もいない路地裏のほうを指差した。
 ヤクザの口元に、下劣な笑みが浮かぶ。かかった、と雷光は内心で呟いた。
「いいぜ、ビジネスってのは交渉から始めねえとだからな?」
「ふふ、そういうこと。さ、早く……」
 雷光は腕に抱きつくかと思いきや、ひょいと離れて路地裏に入り込む。
 あえてベタベタしすぎないことで、相手をおびき寄せているのだ。
 その目論見通り、ヤクザはあっさりと、路地裏に連れ込まれてしまった。

 そして人目を離れてしまえば、もう取り繕う必要はない。
「さァてお嬢ちゃん、どうかわいがって……アイエッ!?」
 ヤクザは、自らが喉元に銃を突きつけられていることを自覚した。
 しかもそれは、奴が腰にぶらさげて見せつけていたチャカ・リボルバーだ!
「ガキと思って油断したわね、私はニンジャよ」
「ニンジャ? ニンジャ、ナンデ?」
 雷光が一瞬で銃を抜き取り奪ったのだと理解したときには、もう遅い。
 雷光はヤクザが逃げられないように、奴の片腕を極めて動きを封じた上で、ぐりぐりとこれみよがしにチャカで喉元を圧迫した。
「ウグッ!」
「アミダに関して知ってることを教えなさい。直接名前を出してなくても、それらしい"仕事"のひとつやふたつ、斡旋されてるんでしょ?」
「し、知らね……」
「……私ね、けっこう気が短いの」
 雷光は別人のような、残忍な笑みを浮かべた。コワイ!
「早く喋らないと、あんた始末して次の獲物を探すわよ」
「ア、アイエ……」
 ヤクザは震え上がった。ヤクザとなって以来、忘れていたはずの恐怖を思い出させられたのだ。
 そして奴は一瞬で観念し、降参した。三下相手には、自らの得物を見せつける必要さえない……実に鮮やかで見事な、ニンジャのワザである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星群・ヒカル
これはまた治安が悪そうなとこだな。だがこの超宇宙番長にとっては朝飯前。
こういうところにはこういうところのルールってのがあるもんだぜ。
そして、総じておれと似たような性質(タチ)を持つ奴らもいるはずだ。

宇宙バイク『銀翼号』を程よく汚しつつ街へ。
走り屋界隈のヤクザを見つけたら、銀翼号に『騎乗』し、おれを仲間にしてくれと『コミュ力』で取り入るぞ。走りの実力は銀翼号で十分に証明できるだろうな。下手にUC使うとビビられて入れないかもしれないから全力は出さないぜ。

奴らの拠点、奴らの行動、持ち物から、【超宇宙望遠鏡・析光形態】『視力・第六感』を用いて、敵につながる迂闊なヒントがないか、情報を探っていこう。



●スピードに魅せられた奴ら
 どんな世界にも、スピードに魅入られてしまったバカどもはいるものだ。
 宇宙を駆けるのも、ハイウェイを駆けるのも、結局は同じ。
 より速く、より危険で、よりクールな走りを求めるのは、もはや本能である。
 星群・ヒカルのような"本物"と、ただ命知らずな愚か者はまったく違うが、
 走らずにはいられないという意味では、どちらも共通している。
「こういうところには、こういうところのルールってのがあるもんだぜ」
 ヒカルはウォーミングアップがてら、ストリートを囲うハイウェイを軽く流し、ニヤリと笑った。無法の法に取り入るのは、並大抵のことではないが……。

 愛騎『銀翼号』に、ほどよい汚しをつけたところで、ヒカルはストリートに。
 すると、明らかに走り屋とわかるヤクザどもが、マシンに跨り円陣を組んでいた。なにやらざわついているようだ。
「おい、あれだ。間違いない、あいつだぜ」
「へえ……」
 どうやら目ざとい誰かが、ヒカルの「ウォーミングアップ」を見ていたらしい。
 そして、噂になっていたというわけだ。もちろん彼はユーベルコードを使わず、あくまでストリートの排気でマシンを汚す目的だったのだが、それだけでも"違い"はわかるというもの。武道のタツジンが、些細な挙措から実力を見抜くようなものだ。
「ようおめぇら、もうおれのことはご存知かい? 話が早くて助かるぜ」
 ヒカルはへりくだったりせずに、胸を張っていつも通りに話しかけた。
 アウトローの世界では、ナメられた奴から命を落とす。
 逆に堂々としていたほうが、対等に見てもらえることも多いのだ。
「テメェ……とんでもないマシンに乗ってやがるな。どこのシティから来た?」
「まあ、ちょっと遠くからな。地元じゃ窮屈になっちまってよ」
 ヒカルは出身を濁しつつ、ニヤリと笑ってこう言った。
「だからおめぇらの仲間に入れてくれないか?」
「アァ?」
「どこに流れ着こうが、おれは走らずにはいられないのさ……おめぇらも、そうだろ?」
 番長の威風と、マシンからわかる走りの実力が相まって、ヤクザをも圧倒する風格を醸し出した。
「……いいぜ。ならまずは、ひとっ走り付き合ってもらおうじゃねえか」
「もちろんさ。だが、ビビってハンドル切らすなよ。なにせおれは……超宇宙番長だからな!」
 ヒカルはどん、と胸を叩き、屈託なく笑った。
 そうして彼は、見事に走り屋ヤクザのコミュニティに溶け込み、奴らに隠然と影響を与えるアミダ社のデータを入手することに成功した。
 同時に、彼のカリスマとテクニックに気圧されたヤクザたちから、ある種のリスペクトとシンパシーを得ることも、出来たのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレーネジール・メーベルナッハ
あはは、びかびかてかてか、おもしろいおもしろーい♪
よーっし、お仕事頑張る頑張るー♪

ストリートをふらふらしながら歩いていけば、オクスリでラリラリな感じに見えちゃうかなー?
ボク別にオクスリなんて使ってないけどねー♪

そのまま路地裏に入っていけば、誰かが……それこそ拉致誘拐に関わってるヤクザさんが近寄ってくるかな?
捕まえようとしたところを逆に抱きついて、囁いてみる。

「ボクのコト、オキアミ工場に連れてっちゃうの?」

離れようとしてもしっかり抱きついて逃がさない。
オキアミ工場のコト、場所から何から全部聞かせてもらうまでね♪

「大丈夫、素直に教えてくれたら…ごほうび、あげちゃうから♪」
なんて【誘惑】も交えつつ。



●ネオンライトのあわいに踊る
「楽園」「欲望の坩堝」「あなたのことが必要です」……様々な言語と書体のネオンライトが、ひっきりなしに極彩色の輝きを生み、道行く客(カモ)を引きつける。
 そんなビビッドなネオンの通りを、フレーネジール・メーベルナッハはおぼつかない足取りで、まるで雨の中を跳ねる子供のように楽しげに歩く。
「あはは、びかびかてかてか、おもしろいおもしろーい♪」
 無警戒で、まるでジャンキーめいて大通りを歩くなど、それこそ正気の沙汰ではない。
 フレーネジールは吸っても打っても飲んでもいないのだが、傍から見ればジャンキー同然だ。ストリートを無防備にさまよう時点で、命知らずなのだから。
「この世界って、たのしいなたのしいな~♪ 見てるだけでうきうきどきどき♪」
 事実、彼女の心はコワれ、狂気が根を張っていた。
 これもまた、人の生み出す光である。フレーネジールは視線を虚空にさまよわせ、ただただ踊るように歩いていた。

 そうしてフレーネジールは、誰もいない路地裏へとふらふら入り込む。
 彼女は後ろから、明らかによからぬ輩がついてきているのを感じていた。
 人さらいか、それともサイコキラーの類か。フレーネジールは恐れず笑った。
 それもまた「たのしい」。狂った彼女にとっては、どちらも変わらない。
 袋小路でぴたりと足を止めたフレーネジールに、いかついサイバーアームの魔の手が伸びる……!

 だが、彼女の首根っこをつかもうとしたヤクザは、逆に自分が抱きつかれていることに気づいた。
「アイエッ!?」
「ねえ。ボクのコト、どこに連れていくの? オキアミ工場に連れてっちゃうの?」
「な……!」
 どうしてそのことを、と言いかけたヤクザは、底なし沼めいたフレーネジールの瞳孔に視線を奪われた。
 もっと言えば、離れることが出来ない。がっちりと拘束されている。
「何か知ってるんだよね? おしえておしえて♪」
 獲物を見つけた下卑た喜びは、すでにヤクザからは消え失せていた。
 弾む言葉の裏の狂気を感じ取り、本能的恐怖に襲われたからだ。
 アウトローにとって、危険を察知する能力は生き延びる上で重要である。
 いまさら感じ取ったところで、もはや時既に遅しなのだが……。

 いずれにせよ、ヤクザはあっさりと口を割り、自らが人さらいの実行犯のひとりであることを認めた。
 それがアミダ社のビズに直結していることまでは知らなかったようだが、おそらく工場へ直接運ぶための輸送部隊に、さらった獲物を引き渡すための「受け渡し地点」を掴むことに成功したのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エアリーネ・シルベンスタイン
……ああ、知ってます。似たような空気。懐かしい……まあ、好きでは、ないですけれど…

では、ちょっと目立つかもしれませんけどUCを使います…
本来はダンジョン探索用なのでどこまで効果があるかわかりませんけど、駄目ならだめで霧化し分散させ、その霧に身を隠して動くだけです…

ついでです…この探索者たちは《宝探し》もできるので金目のものも探してもらいましょうか

それで何か知ってそうな人…攫われる側に近いか、事件からある程度距離を置いている人、つまり黒幕との繋がりが弱く「口止め料」が少なくて済む人から情報を買いましょう…

足りないならこっちにちょっかいを出してきた人にも“出資”してもらいますね……(ダガーを出す)



●霧を連れて
 欲望と殺意と、抜け目ない者だけが生き残る無慈悲な路地裏の暗がり。
 エアリーネ・シルベンスタインは、似たような空気をよく知っている。何処の世界にも、どんな街にも、繁栄の影にこういった場所が生まれるものだから。
「懐かしい……あまり、好ましくは、ないですが……」
 エアリーネは色々な記憶を思い出し、懐かしむような、悲しいような、あるいはうんざりするような顔をして、小さくため息をついた。
 少なくとも今は喜ぶべきだろう――なにせ、自分の技は、この上なく役に立つ。
 どうすればいいかも、よく知っている。そうやって生きてきたのだから。

 エアリーネは非物質的な『霧の探索者』を召喚し、四方に散開させて、ストリートのあらゆる情報を目と耳と足で集めることにした。
 常に骸の雨が降り続けるこの世界では、霧という媒体は紛れるのが楽で、仮に見つかったとしてもほとんど攻撃を受けることがない。
 エアリーネ自身も気配を消し、ビルからビルを渡る。隠れるのに適した物陰が、この街にはいくらでもある。いや、この世界には、というべきか。
 霧化した探索者が、エアリーネの姿を他者から隠す。これも慣れたテクニックだ。
「"宝探し"が……うまく効くといいのですが……」
 ぽつりと呟いたエアリーネの耳が、ぴくんと揺れた。
 霧を通じて、声がする。これは……争い合う男女の声だ。
「……効果は、あったみたいですね」
 エアリーネはしめやかに、そして素早く、霧を伝ってそこへ急いだ。

「た、助けて! 誰か!」
「チッ、うるせえ女だ。おい、そっちで足を持て!」
「仕方ねえなあ!」
 まさにエアリーネの読み通り。金目のもの……つまり、このストリートに危ないもの見たさでふらりと迷い込んだ上層の住民が、ヤクザに襲われていた!
「狙いとは少し違いましたが……まあ、いいでしょう」
 エアリーネは呟きつつ、素早くダガーを振るい、女性を掴んでいたヤクザのサイバーアームをするりと両断した!
「「グワーッ!?」」
「あ、ありがとうございま……」
「……感謝するヒマがあるなら、どうぞ逃げてください……」
 小さな、しかし有無を言わせぬ迫力に、どこぞのいい家のボンボンであろう女性は、短く悲鳴を上げて去っていく。良い教訓になっただろう。
「テ、テメ……」
「こんなことをするぐらいです……きっと、黒幕ともあまり繋がりがないせいで、仕事を振ってもらえないんですよね……?」
 エアリーネは倒れ込んだヤクザの前にしゃがみこんだ。
「金目のものでお支払いするつもりでしたが……こういった「口止め料」でも……取引には、なりますよね?」
「「ヒッ!」」
 盗みを躊躇しないエアリーネは、別に善意で彼女を助けたわけではない。
 助かりたいなら、知っていることを喋れと、これまた有無を言わせぬ声音で言った。
「アミダ社の秘密工場について……「買います」よ、情報……」
 命より高い物種はない。食うに困っていたヤクザどもは、「人を高く買う業者がいる」ということをおとなしくゲロった。
 おそらくは、そいつが秘密工場へ人員を横流ししている仲介者だ。
「……仕事をあちこちに委託しているんですね。抜け目ない人たちです……」
 エアリーネは空を見上げた。雨は、降り続けている……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

賀茂・絆
元々猟兵は外見で違和感与えないデスけど、ワタシの格好はこういう場所だと更に溶け込みやすそうデスネ。

とりあえず酒場とかで羽振りの良さそうなヤクザとか警察に絡みにいきマスかね。
「一儲けした連中からお零れ貰えないかなーという意図で近づいた」そういうお店の女という感じで誘惑しながら話しかけマショウ。

酒の席かつお店の女性相手だと口が緩む人は結構いマスよね。商売人としてのトークスキルによるコミュ力で情報収集しマスヨ。
当然、ワタシを怪しめるちゃんとした人もいるデショウが、そういう人はUCの餌食デス。
…親しい女性相手ですら口が堅い人ばかりだったらお手上げデスけど。

その時は、全部暴力でどうにかしマスカネ…。



●ハニー・トラップ
 古来から、機密情報というのは女を通じて漏れ出すものだ。
 そこに酒が絡むと、なおさら男の口は軽くなる。因果なものである。
「お兄さん、最近とっても羽振りがイイんデスってネ?」
「あ~ん?」
 とある高級クラブ(といっても下層基準での「高級」だが)に潜り込んだ賀茂・絆は、VIP席を貸し切る企業警察幹部に、店の女のひとりとしてすり寄った。
 もともと「それっぽさ」全開の絆のこと、猟兵の違和感を与えないという特性がなくとも、完全に店の空気に溶け込んでいる。
「ワタシ、そういうヒトって素敵だと思いマス。どうしてそんな稼げるのか、ぜひお話お聞きしたいデス……」
 絆は、人間二人分はありそうなほどに肥え太った醜い中年警察幹部に、しなだれて甘い声を囁いた。
 ただ相手をいい気にさせるのではなく、いかにも「金に目がくらんですり寄ってきた」というオーラを隠さないことで、わざと見下させることが重要だ。
 油断というのは、相手を見誤ってしまうことから生じる。
 おこぼれ狙いの商売女……そう思わせれば、あとは簡単だ。そして、分不相応な金を与えられた者ほど、そういう警戒心が薄く、脇が甘いものである。
「ブフフフ! いいぞいいぞ、いくらでも話してやるぞ、ンン?」
 ユーベルコードの力で好意と信頼を刷り込まれた警察幹部は、あっさりと表情をとろかせ、いい気になった顔で笑う。
「いいか? これはお前にだけ教えてやるのだが……実はな、俺様は、メガコーポに目をかけられているのよ」
「まあ……さすがデス、お兄さん」
「驚くのはまだ早いぞ? しかもあの、アミダ・インダストリーなのだ!」
「一体どうして、そんなメガコーポとお付き合いが生まれたんデス?」
「ブフフ……ちょっとした"人材派遣"の仲介をな、手伝ってやったのよ。
 俺様の息がかかった警備をつけてやれば、大事な取引もうまくいくというわけだ」
「……なるホド……」
 皮肉な話だ。巨悪を見つけ出し撲滅すべき警察が、逆に人さらいの奴隷引き渡しを警護するとは!
 この様子では、奴隷の輸送にも、企業警察が噛んでいると見るべきだろう。
「ありがとうございマス」
「なあに、よいよい。その代わりに今夜……」
「ええ。今夜はよくお眠りくださいネ」
「へ?」
 警察幹部の意識はそこで途切れた。笑顔の絆がヒュンッと繰り出した神速のジャブで下顎を揺らされ、カクーンと気絶したからだ。
「コチラのお客様、酔い潰れてしまったようデス」
 しっかり"情報料"を懐からいただきつつ、絆は席を立ち、誰にも怪しまれることなく店を離れる。
「お酒は怖いデスネ」
 こきり、と指を鳴らしつつ、絆は猥雑なストリートの闇へと、ふわりと姿を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

虻須・志郎
中々面白そうじゃねえか
転移と同時に端末を展開し情報収集
ハッキングで電脳空間から荒らし回ってやるぜ
半数はデコイの電脳攻撃部隊
残り半分で以下の情報を調べる

・電力消費量が特に多い所
・交通量が特に多い所
・人気が余り無い所
・上記を改竄した形跡
・他、周辺のニュース等関連事象

ハッキングで略奪すれば行けるだろう
ここまでやんのは工兵時代以来だ
インセインとマッドネスで逐次解析し
ターゲットの当りをつけてやる

俺自身は孤独にグルメでも楽しんで溶け込むさ
何せサイボーグの街だ。きっと美味いモンがある
街の奴を色々言いくるめて話を聞かせて貰うぜ

ってかアミダねぇ、御大層な名前だ
遍く衆生を救済するってか?
テメェの懐の間違いだろうよ



●フロム・サイバースペース
 ストリートのグルメは、かなり独特だ。
 まともな頭をしていたらやっていけない世の中だからこそ、食という娯楽は先鋭化し、同時にローコストになっていく。
 結果的に何が起こるかと言えば、すべての食品はケミカルな合成物に変わり、その味と見た目がカンブリア爆発めいた多様性を起こす、というわけだ。
「へえ、なんだこりゃ。アメリカの菓子でもこんなん見たことねえぞ」
 虻須・志郎は、虹色の光沢を放つ魚肉を眺め、ヘラヘラと笑った。
「兄ちゃん、ここいらは初めてかい? それ、癖になるよ。美味いよ」
「癖になる、の意味が違うんじゃねえの? ま、いただこうかね」
 どこかの上層から、危ない場所にしゃしゃり出てきた観光客か何かだと思っているらしい店主と、他愛もない会話をしつつ、志郎は得体の知れない肉をかじる。
 鼻にツンと来る刺激、そして鬱陶しいぐらいに主張する脂の旨味!
 明らかに身体に悪い。が、雰囲気も相まってか、妙に癖になるのは確かだ。
「明らかにサイボーグ向けの飯だなこりゃ」
「何言ってんだ兄ちゃん、この世にサイボーグじゃない人間なんざいないだろうに!」
「ああ、そうだったな。じゃ、オヤジ、次はこっちの飯を……」
 調査そっちのけでジャンクグルメにハマっている志郎だが……しかし。

 実際の彼は、現実(マンデイン)でなく電脳(ウェブ)で、その糸を広げていた。
 大量の電子線情報起動端末を展開し、半分をデコイにして敵の注意を引く。
 本命の残り半数が、電力消費量や交通量といった、ごまかしようのないラインから怪しい場所を絞り込んでいく、というわけだ。
 事実、この目のつけどころは見事なものである。常に稼働し続けているなら、絶対に電力を消費せざるを得ない。そして、そのメーターはごまかせない。
 仮に改竄がなされていたとしても、志郎のハッキング技術ならば見つけ出せる。
(「ここまでやるのは、工兵時代以来だな……」)
 問題は、隠れてシノギをやらかしている連中があまりに多すぎることだ。
 ここはドラッグの製造工場。真っ黒ではあるが今回のヤマに関係はない。
 こちらは闇カジノ。汚職の証拠はクラックしておくが、やはり関係なし。
(「怪しいところが多すぎて難航するってのも、マッポーだねぇ」)
 だが、確実にポイントは絞られている。この情報は大いに役立つはずだ。
「っと……オヤジ、この丼はなんだよ。面白そうだな、4つ乗せてくれないか?」
「ふたつで十分ですよ!」
「いや、4つだ。2と2で、4だ」
「ふたつで十分ですよ!」
「仕方ねえな……じゃあヌードルもつけてくれ」
「わかってくださいよ!」
 やれやれと苦笑いしつつ、割り箸を手にする志郎。
「……アミダねぇ、御大層な名前だ。あまねく衆生を救済するってか?」
 テメェの懐の間違いだろうよ、と吐き捨てて、志郎はまた、電脳と物理の両面作戦に意識を没入させた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シルキー・アマミヤ
ふーん、仕事の内容はそれでいいのー?
よーし、シルキーお仕事がんばっちゃうよー★

とりあえずまずはヤクザさんとお話しするね♪
こんなかわいい美少女(※ホログラム)がお願いすれば案内してくれるよねっ★
ほら、「ちょっと事情があって非公式の仕事しか頼れないの……」っていえばかんぺき★

……あれー?なんで囲まれてるのかなー?
かよわい女の子相手にそれはひどいんじゃない?うぇーん

………だから、返り討ちにあっても文句、言えないよね?
(戦闘モードへと移行、箱からごつい腕とデスブレイドを出し、UCで強化後周辺を力尽くで薙ぎ払い武力制圧します)

……わかってくれたよね★
ハイって言え

※アドリブ他歓迎です。よろしくお願いします



●触らぬ戦車に祟りなし
「ふんふんふん、ふふんふーん♪」
 しとしとと雨の降るストリートを、鼻歌交じりにスキップする可憐な美少女。
 ……の、ホログラムの後ろには、奇妙な箱型頭脳戦車がジャキジャキ歩く。
 実はこちらが本体である。彼女の名は、シルキー・アマミヤ。
 自分が「元人間の頭脳戦車」だと思いこんでいる、ちょっと、いやだいぶクレイジーなデスブリンガーだった。

「こーんにっちはっ、ヤクザさん★」
「ア? なんだこのポンコツ」
 それがいきなり声をかけてきたら、殺気立ったヤクザが睨み返すのも当然だ。
 が、シルキーは気にしない。こういう反応は慣れたものである。
 ヤクザの台詞も、シルキーの頭脳フィルタを通すと「やだ、なにこの可愛い美少女」ぐらいの意味になっていた。ポジティブだ。
「あのねシルキー、ちょっと事情があって、非公式のお仕事しか頼れないの……。
 だからヤクザさんの知ってる、美味しいおシゴトを紹介してほしいなって★」
「……テメェ、さては例の「ネズミ」だな?」
「それでな、案内して……あれ? あれれ??」
 美少女ホログラムが、困惑を浮かべる。ぞろぞろと事務所から出てくるヤクザども。
 ドス、チャカ、ネイルハンマー、ショットガン、内臓マシンガンなどを構え、ヤクザどもはシルキーを取り囲んだ。絶体絶命だ!
「のこのこ出てきやがって、てめえをぶっ殺せば、クランの上層部からたんまり金がもらえるんだ。悪く思うなよ」
「あれー? なんで囲まれてるのかなー? か弱い女の子相手にそれはひどいんじゃない? うぇーん!」
 美少女ホログラムが、コミカルな鳴き真似をした。涙がぴょんぴょん飛ぶ。
「気色悪い頭脳戦車だ、スクラップにしちまえ!」
 ヤクザ集団が、武器を振り上げる! シルキーもここまでか!?

「――そこまでするなら、返り討ちにあっても文句、言えないよね?」
「「「エッ?」」」
 ヤクザ集団が認識できたのは、がしゃりと箱型の本体からヤバげな腕とデスブレイドが展開される瞬間までだ。
 漆黒の闇に包まれた瞬間、シルキーは鏖殺回転斬撃を繰り出し、ヤクザ集団の9割を一撃制圧!
「「「アバーッ!?」」」
「ア、アイエエエ!?」
 指揮を執っていたヤクザは、真っ二つになったチャカを放り捨て、腰が抜けてへたりこんだ。
 がしょん、がしょん……闇の衣を脱いだシルキーが、眼前ににじり寄る。
「た、助け……」
「……わかってくれたよね★」
「た、頼む! 命だけ」
「ハイって言え」
「アッハイ! 許して!」
「情報を教えてくれたら、許してあげるよ★」
 ヤクザは失禁していた。腐っても彼女はデスブリンガー、けして手を出してはならない存在だったのだ……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィランサ・ロセウス
まずはその秘密工場とやらの場所を探ればいいのね、任せて!

「ねえ、素敵なお兄さん。
私と“イイコト”しない?」
街を歩いてヤクザらしき人を見かけたら、こんな風に声をかけて誘惑してみるわ
うまく釣れたら、人目につかない所に連れ込んで…縛り上げる!

「…何をするのかって?
あはっ、ちょっとしたインタビューよ♥」
要するに拷問にかけて苦痛と[恐怖を与える]ことで、秘密工場に関する情報を喋ってもらうわ。
あ、心配しないで?これでも[医術]の知識と[暴力]の加減は心得てるから!
素直に教えてくれれば、壊れちゃうまではしないであげるね♥

こんな感じの手口で、有力な情報が掴めるまで何人かインタビューしてみましょう



●虚ろな徒花にご用心
「ねえ、素敵なお兄さん。私と、"イイコト"しない?」
「あン?」
 ヤクザは、自らに声をかけてきたフィランサ・ロセウスをじろりと睨んだ。
 ずけずけとした視線を隠しもせず、つま先から頭のてっぺんまでを値踏みする。
 相当の上玉だ。しかし、ストリートで美味い話にすぐ食いつくのはバカの証拠。
 彼はそこそこに修羅場をくぐり抜けたヤクザであり、警戒心は人一倍だ。
「商売女か? 他を当たりな」
「あら、つれないのね。けど……懐、あったかいんでしょ?」
 フィランサはなおも食らいついた。しどけなく、触れるか触れないかまで指先を近づける。不用意に触れれば、指先をチャカで吹っ飛ばされるだろう。
「……」
 ヤクザはもう一度、フィランサを睨んだ。この女、なぜ自分が「金払いのいい仕事」を掴んだことを知っている?
「私ね、あなたみたいなワイルドで危険な匂いのするヒト、好きよ」
 フィランサの瞳の奥に、刃めいた鋭い光が昏く輝いた。
 ヤクザは危険な香りを感じ取る……が、それは男を強く惹きつける輝きでもある。
 アウトローは、ナメられたら終わりだ。時として、危険にあえて足を突っ込む度胸の持ち主であることが、一種のオナーとなる。
「……面白ぇ」
 ヤクザはにやりと笑い、掌を返した。フィランサはくすりと妖しく笑う。
 そうしてふたりは、人目のつかない路地裏にしけこみ……。

「おい女、テメェ一体なにを……グワーッ!?」
 だがヤクザは、甘かった。相手が猟兵であることまでは嗅ぎ取れなかったからだ。
 チャカを構えるよりも早く、フィランサのナイフがサイバーアームを切断!
「何をすると思ったの? あはっ、ちょっとしたインタビューよ❤」
 フィランサは拷問具でヤクザを縛り上げ、ぐりぐりと顔を踏みつけた。
「テメェ! やっぱり例のネズミ……グワーッ!」
「てことは、私みたいな探りを入れる輩に警戒するよう命令されていたのね。
 じゃあ、何か情報を持ってるでしょ? おとなしく話してくれるかしら?」
「ナメんなッコラー……こちとらヤクザ何年やってると思ってんだテメッコラ!」
「そう……じゃあ、じっくりと身体に聞くしかないわねえ」
 フィランサの瞳の奥に、あの輝きがまた生まれる――嗜虐心という輝きが。
「ア、アイエ……」
「安心して? これでも知識はあるし、加減も心得てるの。ただし……」
 フィランサがしゃがみこむと、その顔がネオンライトの光で完全な影になり、貪欲な赤い眼光だけが瞬く。
「あんまり意地を張ると、それだけ苦しくなると思うわよ❤」
「アイエ……アイエエエ! アイエーエエエエ!」

 その日、古参のあるヤクザが、裏の世界から足を洗った。
そいつは震えながら、「あんな恐ろしいものを知って、裏にはいられない」と言い続けていたという……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テン・オクトー
コワイ所だね。信じられるのは自分と仲間の猟兵だけじゃない?理想は荒事にならないよう動いて情報収集だよねえ。

秘密工場に誘拐した人を運ぶなら、どこかに一旦人を集めてそうだけどどうかな?誘拐した人の食料、いや電源とか?まあ生命維持に必要そうな物資が動いてないか散策しつつ情報収集してみようかな。
目立たないように行動するつもりだけど、もし見つかっちゃったらフレイルで殴って気絶してもらおっと。

連携アドリブ歓迎



●発見
 これまで仲間の猟兵たちが集めてきた情報をもとに、テン・オクトーが見つけ出したのは、ヤクザどもが集めた「人材」を受け渡すためのポイントだ。
 アミダ社は狡猾な連中で、末端であるヤクザや企業警察にはほとんどまったく自らの介入を悟らせず、いくつものブローカーを仲介することで関係を隠していたのだ。
「やっぱり、秘密工場に誘拐した人たちを運び込むのは、別のチームだったんだね。
 行き先もだいたい割り出せてるし、あとは確証を得るために、待ち伏せしなきゃ」
 テンは気配を消して、ヤクザと輸送役が落ち合う瞬間を待ち続けた。

 ……しばらくして。
 一台のトラックが、廃工場へとやってくる。
 すると工場の奥から、何人もの人々を鎖で拘束したヤクザ集団が、ぞろぞろと現れたではないか。
「ドーモ、皆さん。お勤めご苦労さまです」
「オウ。今週も上々だぜ。謝礼は弾んでくれるよな?」
「ヨロコンデー」
 覆面で正体を隠した輸送スタッフは、ヤクザどもに現金報酬を手渡す。
 テクノロジーが発達したこの世界では、こうしたアナログなマネーのほうが、電子的な追跡が出来ず足がつきにくい。一種の先祖返りのようなものだ。
「ギャハハハ! ボロいもんだぜ。一体どんなバックがついてんのやら」
「……詮索無用ですよ、センセイ」
「言われるまでもねえや! おら、行くぞお前ら」
 ヤクザ集団は、奴隷を受け渡すと、足早にその場を去っていく。
 テンは、あえて奴らを見逃した。今叩くべきは、秘密工場なのだから。
(「メガコーポの悪事を暴ければ、きっとあいつらもお縄のはずだよね」)
 テンは、奴隷たちが荷台に積み込まれている隙に、素早くトラックに接近。
「では、出発しま……」
「えいっ!」
「グワーッ!?」
 そして敵が気を緩めた瞬間、フレイルで覆面スタッフを気絶させた!
「なっ!? いつの間に!?」
「おっと、暴れないでね。あなたは、荒事とかできない人でしょ?」
 トラックドライバーは顔を青ざめさせた。図星なのだ。
「行き先を教えてくれたら、変なことはしないよ。ボクだって、コワイもの」
「アイエ……」
「教えてくれるよね?」
「で、でで、データを漁ればわかります! 脅されてたんです、許して下さい!」
「それはボクが決めることじゃないから、なんともいえないけど……でも、ありがとね」
 テンはドライバーを捨て置くと、まず攫われそうになっていた奴隷たちの拘束を解除していく。
「あ、ありがとうございます!」
「どういたしまして! ボク以外にもたくさん仲間がいるから、その人達が保護してくれるはずだよ。心配しないでね」
 このトラックのデータサルベージは、然るべき猟兵が行ってくれるだろう。
 そのデータを、これまで集めた情報に照らし合わせれば、行き先は絞り込めるはずだ。
「ほんとにコワイ世界だなあ……何も信じられないや」
 理想通りにはいかなかったものの、こうして秘密工場のアドレスは判明した。
 あとは強襲(レイド)を仕掛け、すでに強制労働させられている人々を解放するフェーズだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『アミダ・アーミーズ』

POW   :    サイバネティック・ランページ
自身の【部下】ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にする。終了後[部下]は【過労】により破壊される。
SPD   :    アンタッチャブル・アドミニストレータ
状態異常や行動制限を受けると自動的に【強制停止コード】が発動し、その効果を反射する。
WIZ   :    ハイ・アンド・ロー
常識的な行動を囁く【論理AI】と、非常識な行動を囁く【暴走AI】が現れる。[暴走AI]に従うと行動成功率が8倍になる。

イラスト:鋼鉄ヤロウ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●サイバーザナドゥ:ノスモト・ゴーストタウン
 かつてはベッドタウンとして栄えたノスモト・ディストリクトは、今では無数の廃屋が連なる広大なゴーストタウンと化している。
 企業警察の目も届かないこのエリアは、アウトローにとってはうってつけの潜伏ポイントであり……秘密工場は、その地下深くに存在していた。

「アイエエエ!」
「テメッコラー! 何を倒れてんだッコラー!」
 疲労困憊のあまり、へたりこんだ労働者に、監督役のヤクザが近づいてくる。
 サウスゲンザのヤクザとは別に、D.F.Cに雇われた連中だ。
「も、もう無理です、目が霞んで……」
「スッゾコラー!」
「アイエエアバーッ!」
 スタン警棒打擲! 足に枷を嵌められた労働者は電気ショックに悲鳴を上げた!
「アイエエ……コワイ……」
「もう限界だ、帰りたい……」
 労働者たちは見てみぬふりをし、しかしひそひそと囁きあった。
「ザッケンナコラ! テメェらも教育的指導受けたいか? ア?」
「「「アイエエエ!」」」
 ここでは、彼らに拒否権などない。過酷な労働環境を示すかのように、工場の壁には「裁量労働」「モチベーション向上」「なせばなる」「やりがい」などのショドーが威圧的に掲示されていた。

 そんな最悪の環境を、キャットウォークから見下ろす連中がいる。
 それが、アミダ社から派遣された、恐るべき『特殊営業課鎮圧係』のエージェントどもだ。
「今日で72時間連続労働です」
「私は128時間働きました」
 など、脳以外を完全置換したサイボーグエージェントたちが会話を交わす。
「クズどもめ。これではもう少し、増員が必要だな……」
 J58G指揮官型の女型レプリカントは、冷ややかな目でオキアミ製造ラインを見下ろす。
 これこそが、メガコーポの搾取構造の具現化。奴らを斃し、秘密工場を破壊しなければ、人々を救い出すことは出来ない……。
星群・ヒカル
増員が必要か!ならばこの超宇宙番長が適任だッ!……いいや、てめーらに代わるリーダーとしての増員だ。本当に優秀な舎弟たちを使い潰すのは、何よりシケた行為だってこと、全然わかってねぇみてぇだからなッ!

宇宙バイク『銀翼号』に『騎乗』して工場を駆ける
労働者を助けて外に放りつつ、敵はバイクではねていくぞ
なお労働者の介抱は外に控えさせておいたヤクザたちに『コミュ力・威圧・パフォーマンス』で指示しているぞ。危害は加えないはずだ。

【超宇宙望遠鏡・析光形態】『視力・第六感』で『地形の利用』を考えるぞ
工場の崩れやすい場所を攻撃し敵を押し潰す、その効力の反射は瓦礫に向くから、おれにダメージは入らないという寸法だ


虻須・志郎
二十四時間戦えますかってかあ?
ドーモ、ロウキショです。何てな

こんな非効率なワークじゃあ成果出ねえだろ
挑発しつつ目立たない様ハッキングし奴らのAIに細工を加える
騙し討ち――電脳のアンブッシュって奴だ
プロテクトを鍵開けて催眠術……さあ何が出るかな

周囲は内蔵無限紡績兵装のロープワークで罠を仕掛けている
迂闊に動けば捕縛されてグーパンの返り討ち
そのまま生命力吸収で喰らってやんよ
それで暴走すればしめたものだ。倍返しにしてやるからな

じゃあどうするかって? ファルシオン――俺のAIに尋ねる
確かに恐怖を与えて鎮静化させるのはいい
どう見せつけるか……
奴等の首でホームランダービーをしてみろだって?
本当かいそれは!?



●スタート・レイド
 ドルン、ドルルン……工場に響き渡る、重々しいエンジン音。
「誰だッ!」
「増員が必要か! ならばこの――超宇宙番長が、適任だッ!」
 ガオオオン! 怪物の雄叫びじみたエグゾーストノートを響かせ、星群・ヒカルと宇宙バイク『銀翼号』がダイレクトエントリーした!
「アイエエエ!?」
「バイク!? バイクナンデ!?」
 労働者たちはパニックに陥るが、ヒカルは逆に彼らを守るようにハンドルを切る。超宇宙番長の背中を見た労働者たちは、唖然としつつも落ち着きを取り戻した。
「自ら強制労働を志願しにきたか? 愚か者め」
「……いいや、増員と言っても、てめーらに代わるリーダーとしての増員さ」
 ヒカルは、指揮官型レプリカントの皮肉をニヒルに笑い飛ばす。
「本当に優秀な舎弟たちを使い潰すのは、何よりシケた行為だってこと、全然わかってねぇみてぇだからなッ! この超宇宙番長が、教えてやるぜッ!」
「コロセ!」
「「「ヨロコンデー!」」」
 敵強襲型が重ショットガンを構える! BBBLLLAAAMMMNNN!!
 しかしそれを『星の目』で見抜いていたヒカルは、華麗なドライビングテクニックでスリップストリームめいた風を生み出し、弾丸を弾いてみせたのだ!

 そして、レイドを仕掛けたのは、ヒカルだけではなかった。
「24時間戦えますか、ってかぁ?」
「「「誰だ!!」」」
 ジャキン! 銃口が一斉に向けられると、暗がりから虻須・志郎が現れた。
「ドーモ、ロウキショです。なんてな」
「まだ侵入者がいただと? 外の警備は……」
「「「ダッテメコラー!」」」
「「「グワーッ!」」」
「どうやら、番長の舎弟が働いてくれてるみてえだな?」
 地上から聞こえてきたのは、ヒカルが仲間に引き入れた走り屋ヤクザたちの戦闘音である。
 志郎は挑発的にニヤリと笑う。指揮官型レプリカントは苛立ち、再び一斉射撃の命令を下した!
「撃て! コロセーッ!」
「「「ヨロコンアバババーッ!?」」」
 だが見よ! 強襲型レプリカントは一斉にバグを起こし痙攣!?
「なっ!?」
「悪いね、アンブッシュってやつさ。ただし電脳の、だがね」
 なんと志郎は、ヒカルが騒ぎを起こしている間に敵集団のAIをハッキングしていた。
 わざわざ挑発的に姿を現したのは、奴らのAIにバックドアを仕掛けるための時間稼ぎだったのだ!

 志郎のハッキングで起きた混乱に乗じ、ヒカルは銀翼号で工場内を駆け回り、労働者を助けては外の走り屋ヤクザたちに受け渡していく。
「ザッケンナコラー!」
「ふん、ヤクザのくせに企業の言いなりなんて、だせぇ奴だぜッ!」
 監督ヤクザのスタン警棒攻撃を躱し、ジャックナイフで前輪を持ち上げ殴り飛ばす! まるで手足のようにマシンを扱う巧みなドライビングテク!
「グワーッ!?」
「このまま工場を崩落させて、全員押し潰してやるぜ。悪いが時間を稼いでくれるかッ!?」
 ヒカルが見上げて声をかけると、志郎はニヤリと笑いサムズアップした。
「任せておきな、俺のAI、ファルシオンもこう言ってるのさ」
 あえて敵のユーベルコードを喰らい、自らのAIを暴走させ、非論理的行動を導き出した志郎は、その指示に従った。
「恐怖を与え見せつけるには、こうすればいいってなぁ!」
「ピガガーッ!?」
 SMASH!! ハッキング痙攣する強襲型レプリカントの首が野球ボールめいて盛大に飛んでいく! ホームラン!
「ホームランダービーの時間だぜッ!」
「「「アイエエエ!?」」」
 SMASH! SMASH!! SMASH!!! レプリカントどもは恐怖に震え上がった!
「派手でいいじゃねぇか、喧嘩ってのはそうこなくっちゃあな!」
 ヒカルもニヤリと笑い、地下工場の脆弱点を突くためにバイクを走らせる。
 一瞬にして、地下工場はアビ・インフェルノ・ジゴクと化した……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
絵に描いたような、と評すべきか

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら自身を無限加速し回避
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

魔眼・封絶で拘束
行動と能力発露を封じる魔眼故、捕らえればユーベルコードも霧散する
AIは沈黙し反射も叶わぬ
『天光』にて捕捉した対象を纏めて拘束
他の猟兵が対応する分は任せる

捕らえたら打撃で始末
破壊の原理を乗せ無限加速した白打で端から叩く

※アドリブ歓迎


シャルロッテ・ヴェイロン
さて、秘密工場の場所も判明したところで――派手にぶっ壊していいですよね?
てなわけで、修理が終わったばかりのホワイトラビットを【操縦】して、殴り込みといきましょうか!

――と、早速敵の銃撃が来ましたか。でもここでUC発動!敵が射撃禁止のルールに戸惑っている隙に、ビームソードで工場の施設ごと【切断】していきましょう。
あと、敵の脳内に【ハッキング】を仕掛けて、AIの囁きを【ジャミング】で無効にするとかやってみましょうか。
当然、捕まってた労働者は拘束具の【封印を解いた】うえで、安全な場所に逃がしてやりますよ?

※アドリブ・連携歓迎


フレーネジール・メーベルナッハ
こんにちはーこんにちはー♪
今日はこの工場をブチ壊しに来ましたー♪

というわけで工場を破壊しつつアーミーズをやっつけよう♪
ボンベンメッサーを【投擲】して工場の色んなトコを【爆破】。
働かされる人達を巻き込まないようにだけ気を付けるよー。

敵が出てきたらウングルック・シュテルでざくざく【切断】。腕と脚と首、狙いやすいところからずばずばっと♪
囲まれそうになったら凶汽で非実体化して攻撃をかわしつつ【空中機動】、包囲を抜けたらボンベンメッサーを投げ込んで全員爆破爆破ー♪

ついでに働かされてる人達には逃げるように呼びかけよっか。
ヤクザさんはギーリッヒ・シュランゲの【ロープワーク】で縛っちゃうよ。


東雲・深耶
どこもかしこも度し難い……
皆殺しだ

真の姿に変貌し、黒き髪が瞳の色と同じく深紅に染まっていく
抜き放つは漆黒の機械刀、黒後
解き放つは黒騎士のUCの進化系――

その部下が過労で破壊される過去は切り捨てた
つまり、その部下の過労死による強化は打ち消される!
破壊されるのは貴様らだ!

瞬間、『アミダ・アーミーズ』の体から『過去より浮かび上がる斬閃』が因果から浮かび上がり、切り刻まれていく
過去そのものに『斬られた』という因果を飛ばす斬閃
時空間切断剣術の発展形だ

幾ら何時間働けようとも、真実に向かおうとする意志が無ければ無価値で無意味だ
そう言って黒後を振るい、殲滅していく



●フラッシュ、ジャンプ、スラッシュ、ジャミング
 猟兵のレイドにより、大混乱に陥る地下工場。
 労働者たちはわけもわからず怯え、互いに身を寄せ合い震え上がっていた。
「おい、あっちのラインの連中が、地上に連れ出されたみたいだぞ!」
「救助? 救助ナンデ? 私たちは?」
「ま、待ってれば助けてもらえるんだよな? そうだよな?」
 助けが来たのだ、ということすらも飲み込めない労働者たち。
 限界を越えて酷使された肉体とニューロンでは、何も考えられない。
 ただ、唖然として、猟兵とアーミーズの戦いを見守るしかなかった。

 ブガーブガーブガー! 彼らの頭上では、赤い警告灯が回転し続けている。
 その赤いスポットに照らされ、フレーネジール・メーベルナッハの無邪気な笑みがいっそう狂気の影を色濃くした。
「こんにちはーこんにちはー♪ 今日はこの工場を、ブチ壊しに来ましたー♪」
「敵襲!?」
「「「射撃開始!」」」
 BBBLLLAAAMMMNNN!! 一糸乱れぬ重ショットガン斉射!
 しかしフレーネジールは、散弾の嵐の中を非実体化して踊るように躱し、弾丸が肉体を突き抜けると再実体化、敵横列に投げナイフ投擲!
「えーい♪」
「「「アバーッ!?」」」
 KBAM!! 突き刺さった投げナイフは頭部を巻き込み爆発! 仕込みナイフだ!
「ザッケンナテメッコラー侵入者!」
「ヤクザさんは殺さないよー♪ジケンにはショーニンが必要だもんね?」
 フレーネジールは監督役ヤクザを鉤爪付き投げ縄で縛り上げると、鉤爪を天井キャットウォークへ投擲、監督役ヤクザをミノムシめいて吊り下げた!
「アイエエエ!?」
 慈悲からではない。メガコーポの悪事を証明するには生きた証人が必要だ。
 フレーネジールは一瞥してヤクザから興味をなくすと、殺到する防御型レプリカントを凶星剣で切り刻みながら、ゆらゆらと工場内を進む。

「チッ。ゴミどもめ……! 総員、迎撃に向かえ! 全敵殲滅!」
「「「ヨロコンデー!」」」
 指揮官型レプリカントの指示を受けたサイボーグ兵士が、サイボーグ用大型アサルトライフル『AM-771』を手になだれこんでくる。
「アイエエエ!」
 この非常事態にあってもライン労働を止めなかった――自分で作業を中断して逃げるという判断力すら奪われているのだ――労働者たちが突き飛ばされ、廃棄オキアミボックスに転げ落ちる。オキアミまみれだ!
「どこもかしこも度し難い……皆殺しだ」
 深紅の髪を揺らめかせ、東雲・深耶は嫌悪たっぷりに吐き捨てた。
 漆黒の機械刀を抜き放ち、サイボーグ兵士の頚椎を斬撃破壊!
「「「アバーッ!」」」
「いくら何時間働けようとも、真実に向かおうとする意志がなければ無価値で無意味だ。そして、破壊されるのは貴様らだ!」
 後ろに詰めていた強襲型レプリカントの身体に、すでに「斬られていた」斬撃がいくつも浮かび上がり、因果レベルのダメージにより瞬断される。
「「「射撃開アバーッ!?」」」
 鎧袖一触! 深耶は足を止めず剣を振るい、次々に敵を殺す。
 防御型レプリカントの重装甲も役に立たない。その剣は過去から来るのだ。

 すると第三波の敵が襲来。強襲型レプリカントはグレネードランチャー装備!
「もはや地下工場の被害はどうでもいい、なんとしてでも奴らを止めろ!
 ゴミどもがいくら死のうが構わん、まとめて吹き飛ばしてしまえ!」
「「「ヨロコンデー!」」」
 なんたることか……このような地下空間で榴弾など使えば被害は甚大!
 なりふり構わぬ反撃だ。許してしまえば、被害は猟兵にとどまらない!
「おっと、それは困りますね。派手にぶっ壊したいところですが!」
 ホワイトラビットに搭乗するシャルロッテ・ヴェイロンが、ワールドハッキングプログラムを発動。
 工場内の一角をサイバーファンタジー世界に塗り替え、『飛び道具禁止』のルールを課した。
 カチリ。トリガが引かれるが……KBAM!! グレネードランチャー爆発!
「「「グワーッ!」」」
「フレンドリーファイアしたら大変じゃないですか。まあ、あなた達にとってはフレンドじゃないかもしれませんけどね」
 シャルロッテはビームソードを展開し、爆発で怯んだ強襲型レプリカントをスパスパとチーズめいてスライスしていく。
「そうそう、みなさんも早く逃げてください。最終的にここをぶっ壊すのは変わりませんので!」
「「「アイエエエ!」」」
 もちろん、ベルトコンベアの下に潜り込んで震える労働者たちの枷をハッキング解除し、避難経路を示してやるのも忘れない。
「射撃攻撃不可能!? 判断求む!」
「うろたえるな! ならば貴様ら自体が爆弾になれ! 突撃せよ!」
「「「ヨロコンデー!」」」
 AIを暴走させた強襲型レプリカントに恐れはなし! 体内炉をオーバーロードさせ、バンザイ状態で全力スプリント! 自爆特攻だ!
「死ぬならば自分ひとりで死ね。ほかを巻き込むな」
「「「アイエッ!?」」」
 だがアルトリウス・セレスタイトの魔眼が青く輝くと、まるで見えない蜘蛛の糸で縛り付けられたかのように、バンザイ・ランは封じ込められた。
 あらゆる行動を封じ能力発露すらも縛る封絶の魔眼により、体内炉のオーバーロードも強制停止。地面から浮かび上がった強襲型レプリカントは、両手をバンザイさせたままシャカシャカとむなしく足を振る。無様!
「爆破爆破ー♪ 吹き飛ぶのはキミ達だけでいいよー♪」
「破壊されるのは貴様らだ、罪もなき人々を酷使した報いを受けろ!」
 深耶の斬撃とフレーネジールの仕込み投げナイフが、行動を封じられたレプリカントを爆殺ないし斬殺し、片付ける。
「「「アバーッ!」」」
「食べ物を焼却処理するのはちょっともったいないですが、まあどうせコストも切り詰めてるからろくなものではないんでしょう。まるごと破壊しちゃいますよ!」
 SLASH! シャルロッテのビームソードが、巨大オキアミマシンを切断破壊!
 集積回路めいたベルトコンベアの交差地点の巨大タンクが派手に爆発する。
 引火しているということは、やはり可燃性の高いなんらかの危険な材料が使われていたのだろう。もくもくと立ち込める黒煙には毒性がたっぷりだ。
「て、敵戦力異常! レーザーライフル使用許可……アバーッ!」
 防御型レプリカントの頭部に、アルトリウスの拳がハンマーめいて叩き込まれた。
「何を出してこようと無駄だ。お前たちはすべて滅ぼす」
 人を人とも思わぬメガコーポの手先に容赦なし。オキアミ地下工場が燃えている!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

テン・オクトー
労働者さん達を無事に逃しつつ敵を攻撃したいね。
WIS
”さらりまん”さん達のAIに常識非常識を長時間悩んでもらおう。可能ならボクも常識AI側の応援しちゃうよ。暴走AIに反論しちゃうよ。長時間労働自慢なんてカッコワルイ。従う価値のある指揮官さんなのかなあ?ブラック大変だよ。ホワイトな職場の魅力を説きましょう。

AI干渉無理かな?結果がどう転んでもボクのやる事は変わらないけどね。悪い事した人達にはUCでどっかんだよ~。
(時間稼ぎ)できてたらいいな。労働者さんが危険な場から逃げていてくれますように。

連携アドリブ歓迎


撒菱・しのぶ
はい、えー、それじゃ引き続きメガコーポの秘密工場を襲撃していくでござる。

うーむ聞いてはおったが何ともむごたらしい仕打ち…全部配信して、物理的にだけでなく社会的にも炎上させてやるでござる。

おや、好き勝手に配信したりサンシタヤクザをしばいたりしてたら特殊営業課鎮圧係に目をつけられたでござる。
撮影許可?そんなものは取っていないでござるよ。UC『ダイレクトMAKIBISHI』! 動きが止まったところをド派手にやっつけて撮れ高ゲットでござる!


シルキー・アマミヤ
よーし★
真正面から突入、6倍でUCを起動……そのまま生産ライン上方、鎮圧係のいる方へ『Ku-9』投射機構を出して乱れ撃ち!施設でもアミアミ達でも刃が刺されば爆破しちゃうぞ★
適材適所、依頼は工場破壊だし助けたりとかは他の人のお仕事だよね★

うん今殆ど動けないしやっぱり誰か止めに来るよね★よそーどーり!
(ホログラム美少女、なんか目に悪い光り方の剣を構える)
…あー!何もできないと思ってるでしょー?

……甘いよ
(所詮映像と油断した相手には『ホログラフィックブレイド』での不意打ち、不用意に近づけば本体側がデスブレイド)

128時間勤務して成果は工場喪失だけとか★やーい無能のマドギワさん★

※アドリブ他歓迎です



●【サツバツ】オキアミ地下秘密工場襲撃! 意外な展開が……!?【カワイイ】
「はい、えー、それじゃ引き続き、メガコーポの秘密工場を襲撃していくでござる」
 そこらじゅうで爆発と火災が起き、悲鳴と怒声と銃声と破砕音が響くなか、
 撒菱・しのぶはマイペースに配信を続けていた。
 これが、この世界のライブストリーマーの日常である。
 配信内容がエキサイティングであればあるほど、チャンネル登録者は増加する。
 テクノロジーが進化した世界でも、人が求めるものはバイオレンスなのだ。

「アイエエエ! コワイ!」
「作業を続ければいいんですか? やめていいんですか? ワカラナイ!」
 停止したオキアミ製造ベルトコンベアの前で立ち尽くす労働者たち。
 過酷な労働で自我をすり減らされ、この状況で逃げるという発想自体が湧かないレベルにまで追い込まれているのだ。そして、体力も奪われている。
「うーむ、聞いてはおったがなんともむごたらしい仕打ち……。
 これはもう、全部配信して社会的にも炎上させるしかないでござるね!」
 しのぶは威圧的に掲げられた「D.F.C」のロゴを大映しにした。
 キャバァーン! 圧倒的チャンネル登録者数増加! 視聴者大興奮!
「貴様! 誰の許可を得て撮影しておるかーッ!」
「ぬおおおっ!?」
 BLAMN!! そこへ強襲型レプリカントの重ショットガン射撃!
 間一髪、しのぶはしゃがみこみ回避し、足場から飛び降りて逃れた。
「不法ストリーマー発見! 最優先射殺重点!」
「「「ヨロコンデー!」」」
「しまったでござる! 特殊営業課鎮圧係に目をつけられたでござるー!」
 しのぶは身軽なニンジャの身のこなしで逃げ回る。逃げ回る!

 すると、ヒュカッ! とレプリカント集団の足元に何かが突き刺さった。
「ン?」
 KBAM!! なんらかの組成変化を起こし、投射刃が爆発した!
「「「アバーッ!?」」」
 ヒュカカカカ! 爆発を皮切りに、さらに無数の投射刃飛来!
 KBAM! KBAM!! KA-BOOOOM!! レプリカント部隊爆殺!
「おお、これは撮れ高でござる! 一体何が!?」
 もうもうと立ち込める爆炎の向こうに、しのぶはフォーカスを合わせた。
 そこには箱に手足がついたような奇妙な頭脳戦車……いや、それを包み込むようにビュインとホログラムが出現した。美少女だ。
「あれ? もしかしてシルキーちゃん、撮影されてる? やっほー★」
 美少女ホログラム……シルキー・アマミヤが、カメラに向かって手を振る。
 キャババババァーン! チャンネル登録者数増加! カワイイは正義だ!
「こ、これは予想だにしない撮れ高でござる! スマイルスマイル!」
「いえーい★シルキーちゃんのこと、可愛く撮ってね★」
「まさしくウィンウィンでござるな! ……いや待てよ」
 シルキーの爆殺作業光景を撮影しながら、しのぶははたと我に返る。
「これおかしくないでござるか? 拙者だっていつも映ってるんだから理論上は常にチャンネル登録者数増えるべきでは?? おいどういうことだぞよリスナー!!」
「「「デアエー! デアエー!」」」
 色々正直なリスナーにキレているしのぶはさておいて、シルキーの投射爆殺攻撃にしびれを切らせたアーミーズが集団で来襲。
 シルキーを包囲し、重ショットガン展開! 絶体絶命だ!
「うん、いまほとんど動けないし、やっぱり誰か止めに来るよね★」
 予想通りの対応に、シルキーはにこりと微笑んだ。
 美少女ホログラムが、非常にケミカルな光を放つホログラム剣を構える。
「分析完了! 目標はホログラムと断定!」
「ホログラムゆえ攻撃不可! 恐れる必要なし!」
「射殺重点!」
「「「重点!」」」
「……甘いよ」
 シルキーの笑みが消えた。ホログラフィックブレイドが円弧を描く!
「アバーッ!?」
 コワイ! ホログラムとてそれはフォトン技術の応用、光の刀身は実体であり物理的に作用可能、すなわち強襲型レプリカント両断殺!
「128時間勤務して、成果は工場喪失だけとか★やーい無能のマドギワさーん★」
 美少女ホログラムが笑顔で煽る。しのぶのチャンネル登録者数増加!
 リスナーの中にソフトマゾがいたらしい。難儀な性癖である。

 が、アミダ社の人材は豊富だ。次から次へとレプリカントが出現する。
「こっちだよ、早く逃げて! 地上に出れば安全だからね!」
「「「アイエエエ……アリガトゴザイマス……」」」
 この騒ぎの間に、震える労働者たちを誘導し逃がしていたテン・オクトーは、
 どこからともなく現れたさらなる増援を振り返り、うわあと顔をしかめる。
「まだいるの? 一体どれだけの戦力が……」
「「「スッゾコラー労働者!」」」
「げ、気づかれた」
 防御型レプリカントが近づいてくる! テンは逡巡し、立ちはだかった。
 ここで彼が退いてしまえば、労働者たちは後ろから狙い撃ちだ。
「待って! ここから先は通さないよ!」
「ペットドロイド重点?」
「関係なし! 社敵は射殺すべし!」
「し、しかし動物殺害は危険! 我が社のイメージにキズが!」
「……あれ?」
 と思ったら、なにやら揉めている。はてな?
「ふふふ、そうでござるよ! 全部まるっと撮影中でござる!」
 しのぶだ! 彼女のライブ配信は懲りもせずに続いていた。
 こんな秘密工場で強制労働させておいて、いまさら社のイメージもクソもないが、それはそれとして動物虐待は強制労働よりヤバい案件である。
 そしてテンの見た目は、可愛らしいケットシーだ。非常に……マズい!

「なんかよくわかんないけど、どうやら躊躇してるみたい? だったら今のうちに……」
 テンはフレイルを構えた。見かけにそぐわず凶悪な武器である。
「AI判断重点!」
「「「重点!」」」
 迷ったあげく、防御型レプリカントはAIの判断に任せることにした。
 AIの判断であれば、それはいわば業務上のやむを得ない事故ということになる。
 実際どうかはさておき、アミダ社の社内規定的にはそうなるのだ。
 つまり、アーミーズに責任はなし! なんたる欺瞞か!
「社のイメージは実際重要。敵のライブ配信とて猟奇行為は禁ずるべし」
「否! 社敵抹殺重点! 見た目など関係なし! あとで工作すればすべてよし!」
 ビロビロビロビロ。レプリカントに搭載されたふたつのAIが喧々諤々だ!
「待って! 本当にいいの? 工作なんて出来るのかな?」
「「「ムム!?」」」
 そこでテンは、常識的なほうのAIを擁護するという手に打って出た。
「工作が不十分だったから、ボクらはここを見つけ出すことが出来たんだよ?
 それに、長時間労働自慢なんてカッコワルイ。是正すべきは社のイメージより社内の労働規則じゃないかな? そのAI、本当に従う価値はあるの??」
「「「ムムムム……!」」」
「アミダ社の一般社員の有給が日割でなく秒割というのはマジみたいでござるなあの反応……」
 猟兵の言うことを真に受けて悩むあたり、レプリカントも相当酷使されているのだろう。
 完全に棒立ちだ。テンはちらり、としのぶにアイコンタクトした!
(「今がチャンスだよ!」)
(「了解でござる!」)
 しのぶは懐から非人道的兵器マキビシを取り出し、投げつけた!
「イヤーッ!」
「「「グワーッ!?」」」
 マキビシが突き刺さり、さらに脚部パーツを故障させ、移動不能にする!
 このように、ダイレクト攻撃にも効果は十分。そしてクナイ・ダート投擲!
「イヤーッ!」
「ついでにダメ押しのスプレッドダガーもどうぞ★」
「「「アバーッ!!」」」
 遠方からのシルキーの援護! 二重爆発により防御型レプリカント四散!
「ふっ、見事な連携プレイを見せてしまったでござる……!」
「あーよかった、時間稼ぎになったね! ふたりともありがとう!」
「気にしないで★そっちこそ、労働者を助けてくれてありがと!」
「そうでござる、適材適所でござる。ところで、でござるな」
「? どうしたの?」
 きょとんとするテンを、カメラ付きドローンが舐め回すように撮影する。
「え? え? 何? これ、もしかして撮影してる?」
 キャバ! キャバ! キャババババァーン! チャンネル登録者数増加!
「や、やはり! 困った時は動物映像に限るでござる!」
「……いや、いいんだけどさ……いいんだけど! いいんだけどね!?」
 まんまと動画に利用されたことに、怒っていいやら呆れていいやら。
 でもカワイイ扱いされるのは悪くないので、まんざらでもないテンだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エアリーネ・シルベンスタイン
コストを下げて品質も下がり…結局工場ごと使い捨てにされる奴ですねこれ…

地形を利用し忍び足で潜入、近くの機械から部品とかを適当に(いまいち価値が分かりません…)解体して盗んでは『ぷちぽーたるくん』に確保していきます…

敵に遭遇したら、さっきまで拝借した物品を代価にUCの黄金ゴーレムくんを召喚、暴れてもらってその隙にダガーとナイフを手に不意打ちして回ります…

そうそう、あなた達の武器も、その「義体」も、この世界では価値の有る品……でしたっけ…?なら遠慮なく「使わせて」貰いますね…
(攻撃ついでに盗んだ武器や破壊された部下等、全部回収しては追加の「代価」としてゴーレムに投入する)

※アドリブ他歓迎です


相馬・雷光
なんとも絵に描いたようなブラック企業ね

まずは煙幕爆弾を投げ込んで【目潰し】
【闇に紛れて】忍び寄り(ダッシュ・忍び足)、ヴァジュラブラスターの雷撃弾(電撃)で撃ち抜く!

72時間労働? 128時間労働?
まったく、奴隷の首輪自慢ほど聞いてて情けない話はないわね(挑発)

ニンジャツールから取り出したワイヤーで、キャットウォークを【ロープワーク】【ジャンプ】! 銃撃を躱す!
当たらないわっ! そんな腕でニンジャを捕まえようっての?

ところで……今の私はここの労働者を救出に来た味方、つまり仲間なわけよ
何が言いたいか分からない?
これはあんたたちがしてきた暴力の報いってことよ!
【帝釈天雷刃剣】!


賀茂・絆
人の使い方が下手っぴ…だから生産効率が上がらないのデス。実績低下は労働者ではなく監督者の無能が原因デス。

では、ワタシが人の使い方というものを教えてあげマショウ!
敵の部下1体をUCで魂を掴んで木偶に!そしてそのまま振り回して打撃武器として使いマス!
弱音吐いて倒れる自由を与えているアナタは緩いんデスヨ!どっちが効率よくアナタの部下を使い潰せるか勝負デス!

武器に使っている部下さんが壊れたら次の部下さんを掴んで武器にしマス。さすがは天下のメガコーポ。武器として優秀な人材が揃っていマスネ。
最後には指揮官さんも掴んで、床にでも叩きつけマス。

…マジに言うならQOL上げてやるとかの餌が必要だと思いマスけどね。



●地下工場、崩壊
 もうもうと爆煙立ち込める地下工場に、またひとつ新たな爆発音。
「「「敵襲!?」」」
 すわ新手かと強襲型レプリカントが銃口を向けるが……見えない。
 爆煙とは違う。アーミーズの義体には赤外線センサーがあるからだ。
 つまりこれは……煙幕! さきほどの爆発音はそれが原因か!

 ZZTT!! と、稲妻じみた銃声が響き、煙の中から蛇のような雷光が迸った。
「アバーッ!」
 一撃で電子頭脳を灼かれた強襲型レプリカントが、煙を噴き出し倒れる。即死。
 さらにZZTT!! 二撃! 三撃!
「アバーッ!?」
「ピガッ! ピガガーッ!」
 精密な射撃だ。煙幕をものともしないとは、まるでニンジャめいている!
「72時間だの128時間働いただの……まったく、奴隷の首輪自慢ほど、聞いてて情けない話はないわね」
 くるくると二丁のヴァジュラブラスターをガンスピンさせ、相馬・雷光が肩をすくめた。
「社敵テメッコラー!」
 BLAMN! 生き残りレプリカントの重ショットガン射撃!
 雷光はすでにブラスターを収めており、代わりに取り出したワイヤーをキャットウォークに投擲、間一髪垂直ジャンプして散弾を躱す!
「当たらないわっ! そんな腕でニンジャを捕まえようっての?」
「ニンジャ!?」
「ワッザ!?」
「応援重点! 包囲戦術して射殺すべし!」
「「「ヨロコンデー!」」」
 ザカザカザカ! サイボーグ兵士の増援だ!

 雷光がくるくると猫めいて着地したキャットウォーク上には、指揮官型レプリカントが佇んでいた。
 ぎらり、と鋭い眼光が、雷光を睨む。知性が高く、判断力もスゴイ級だ。
「貴様らはタイガーの尾を踏んだのだ。この損害の代償は命で支払ってもらう」
「絵に描いたブラック企業にこき使われてるくせに、偉そうじゃない」
 雷光の軽口に、指揮官型レプリカントは静かに激昂した。
 アミダ・インダストリーは実際どうしようもない過酷なメガコーポだが、
 レプリカントはすべて愛社精神を叩き込まれ、命を捨てるようにプログラミングされている。許しがたい挑発だった。
「社の利益を破壊するパブリック・エネミーどもめ!
 貴様らのせいで、せっかく築き上げた地下オキアミ工場がパァなのだぞ!
 もはや損害費用は計上不能! 貴様ら全員射殺重点し業績回復せねばならん!」
「まるでワタシ達が原因のようにおっしゃいますネ?」
「誰だッ!?」
 いつのまにそこにいたのか、指揮官型レプリカントを挟んで背後に佇む賀茂・絆が、にこりと微笑んだ。皮肉の笑みだ。
「そもそも、人の使い方が下手っぴだから生産効率が上がらないのデス。
 実績低下は労働者ではなく、監督者の無能が原因デスよ? ご存知ない?」
「この私の性能が低いと言いたいのか? それすなわち社への風評被害だぞ!」
「事実を述べただけで風評被害にはなりませんヨ、不勉強な方デスね」
 どこ吹く風の絆のふざけたような言葉に、指揮官型レプリカントはみしみしと拳を握りしめた。
「貴様ら、言わせておけば……ッ!!」
 指揮官型レプリカントの両目が、赤く光った。
 残存するすべてのレプリカントおよびサイボーグとシステムを同期させ、
 もはや自身のカロウシすらも織り込んで暴走総攻撃するつもりだ。
 これまでとは比較にならない暴力の嵐が吹き荒れる……そのはずだった。

 だが直後発生したのは、三者それぞれにとって想定外の事態だった。
「ゴウオオオーンッ!」
「「「!?」」」
 眼下! 金属質な咆哮とともに爆煙の中から立ち上がったのは、ギラギラと即物的黄金の輝きを放つ謎の巨大ゴーレムだった!
 ゴーレムは振り上げた拳を、勢いよく下ろした! KRAAASH!!
「「「アバーッ!」」」
「な……!?」
 サイボーグ兵士一小隊爆発四散! 指揮官型レプリカントは予想だにしない状況に混乱し、隙を生んだ。
 一方、雷光と絆は、それが同じ猟兵の誰かが召喚したゴーレムであることを即座に理解し、状況判断して動いていた。
「隙だらけよ!」
「ピガガーッ!?」
 雷光のヴァジュラブラスター抜き撃ち! 指揮官型レプリカント被弾!
「せっかくデスし、ワタシが人の使い方というものを教えてあげマショウ!」
「アバーッ!?」
 一方絆は、ゴーレムが破壊したことでへし折れたキャットウォークを滑り台めいてスライディングで高速滑降し、真下にいたサイボーグ兵士の魂を「掴み」、巫術により一瞬で木偶に変える。
「弱音を吐いて倒れる自由を与えている時点で、アナタは緩いんデスヨ!
 これが、本当に部下を「効率よく使い潰す」ということデスッ!」
「ア、アバッ、アババババーッ!?」
 絆は巫術の見えざる力で、痙攣するサイボーグ兵士を持ち上げ、ハンマーめいて振り回した! なんたる打撃的利用法! サイボーグ兵士は壁に床にあるいは同僚に叩きつけられるたびに手足がへし曲がり、5度目で痙攣死亡! 爆散!
「アバーッ!」
「強度が足りないデスネ。では次デス」
「アババーッ!?」
 武器はそこらじゅうにある。絆は平然とした顔で次のサイボーグ兵士の魂を掌握、そして振り回す! 飛び散る血! サイバーパーツ破片! ゴア風景だ!

 ところで、一瞬にして趨勢を変えたこの黄金ゴーレムは、誰が召喚したものなのか?
 それは、騒ぎに乗じて火事場泥棒を働いていた、エアリーネ・シルベンスタインだった。
「なかなかの大きさですね……ということは、この機械や部品も、そこそこの価値があったんでしょうか……」
 エアリーネは、猟兵の襲撃で爆散したパーツ片やレプリカント残骸をかき集め、それらの「価値」を代償に黄金ゴーレムを召喚したのである。
 この状況で彼女が考えることは、より価値のある「戦利品」の獲得だ。
 ゴーレムの拳で粉砕したレプリカントないしサイボーグ兵士のパーツ片を集め、それをさらにゴーレムに投入。すると、価値に比例して巨大化するゴーレムは、ズズズっと一回り大きくなり、さらなる破壊を巻き起こす。
 まさしく火事場泥棒だ。モラルなき世界においてすら、エアリーネの道徳観は破綻している! だがひとまず破壊作戦においては有効!
「社敵発見! 攻撃アバーッ!?」
 目ざとくエアリーネを見つけたレプリカントがいても、ゴーレムが最優先で攻撃しバラバラにしてしまう。
「アーミーズとやらのパーツはなかなかの価値ですが……この工場、どうせ放っておいても使い捨てにされる運命だったんでしょうね……」
 せっせと残骸を拾いつつ、エアリーネは呟いた。彼女の見立ては実際当たっている。
 D.F.Cという傘下企業そのものが、アミダ社にとっては捨て石に過ぎない。
 つまりここに配置されたレプリカントたちも同様。換えの効く消耗品だ。
「……まあ、私は価値のある品が手に入れば、それでいいですが……」
 エアリーネは、いちいちレプリカントどもを憐れむようなことはしない。
 さすがはメガコーポ、末端のアーミーズですらかなりの高品質だ。
 それがゴーレムを強化し工場を破壊してしまうのだから、インガオホーとはまさにこのことである。

 と、このようにして、エアリーネが自由に略奪を働いているため、ゴーレムはとどまるところを知らず暴れまわった。
 かろうじて動けるレプリカントないしサイボーグ兵士も、絆の暴虐で数を減らしていく。
「ピ……ピガッ……」
 それでもなお、指揮官型レプリカントは立ち上がる。インプリントされた愛社精神がために。
「マジに言うなら、QOL上げてやるとかの餌が必要だと思いマスけどね」
 絆は呆れた顔だ。オブリビオン相手に慈悲はないが、歯車の自覚すらないとは。
「ア、アミダ……インダストリの……ため、に……」
「いっそ哀れね。けど、あんた達に苦しめられた労働者たちの苦しみは、私が代わって晴らさせてもらうわよ」
 バチバチと、雷光の手刀に稲妻が集まり、刀身を形成した。
「社敵ィーッ!」
「これはシンプルな話。あんた達がしてきた暴力の報いよ! 帝釈天、雷刃剣ッ!」
 殺到するレプリカントを一閃で切り裂き、雷光はとどめの刺突を指揮官に突き刺した!
「アバーーーーッ!」
 電脳貫通! 指揮官型レプリカントは痙攣し、小爆発を起こして機能停止した。
「そろそろここも崩れそうデスネ、撤退しマショウか」
 最後の一体を雑に叩き潰した絆。視線の先では、ゴーレムが地下工場のクリティカル部分へと殴り込みをかけているのが見えた。
 エアリーネはすでに潮時と見て撤退している。絆の見立て通り、地下空間に大きな振動が走った。
「であれば、残るはD.F.Cのオフィス、ね」
「メガコーポを直接叩ければ早いんデスけどね~」
 などと話ながら猟兵らが撤退すると、地下工場は完全に崩落した。

 労働者の救助は済んでいる。彼らは実際疲弊しているが、体力さえ回復すれば各々の住処へ戻れるだろう。それからは、猟兵が斟酌することではない。
 今なすべきことは、メガコーポの傀儡となり、人々を苦しめたD.F.C代表、イソベ・ダイヤマを叩くことだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ケイオス・キマイラ』

POW   :    急速進化
自身の【現在の形態】を捨て【敵の攻撃方法に対応した新たな形態】に変身する。防御力10倍と欠損部位再生力を得るが、太陽光でダメージを受ける。
SPD   :    防衛反応
状態異常や行動制限を受けると自動的に【瞬間的な形態変化による環境適応と防衛反応】が発動し、その効果を反射する。
WIZ   :    増殖分裂
自身の【肉体から分裂させた体の一部】から、自身の技能どれかひとつを「100レベル」で使用できる、9体の【自身と同じ姿をした、一回り小さな分身】を召喚する。

イラスト:塒ひぷの

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ムルヘルベル・アーキロギアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●オミヤ・ディストリクト:D.F.C.本社ビル66階
「バカナーッ!?」
 イソベ・ダイヤマは、社長室で髪をかきむしり、泡を吹いていた。
 あの忌々しい前時代的電話端末は、とっくに壊した。コールが鳴り止まないからだ。
 きっと下層フロアでは、蜂の巣をつついたような大騒ぎだろう。

 ……なにせ猟兵たちの襲撃により、地下オキアミ秘密工場は崩壊。
 それどころか、地下工場の惨状をライブストリーミングされたことにより、
 イソベのこれまでの悪行がすべて暴かれてしまったのだ。
 D.F.Cはもうおしまいだ。古きよき企業は、この愚か者によってとどめを刺された。

 だが、まだ手はある。イソベにはアミダ・インダストリーの力があるのだ。
 スキャンダルなどすべて握りつぶせばいい。そしてイノベーションし、株価V字回復。逆境はチャンスなのだ。ビジネス新書にもそう書かれている。
 メガコーポの力さえあれば! 無敵なのだ!

 ……しかし。
「何故だ! どうしてコールが繋がらないィーッ!?」
 イソベは現実を直視出来なかった。もうアミダ社に切り捨てられたのだという現実を。
 狂ったように携帯端末を叩き、やがてヒステリックな金切り声を上げ、それを壁に叩きつけて破壊した。

「……ウフ、ウフフッ! ウフハハハハ!」
 イソベは哄笑をあげた。
「そうか、そういうことか! つまりオプティマイズを自らやればいいんだッ!
 役に立たない部下は全員処刑! また一からやり直そう!
 そして今度は、社名をイソベ・フード・カンパニーにするんだ! 再建だッ!」
 狂ったように笑うイソベの肉体が……おお、邪悪に泡立ち、変形……!
 やがて出現したのは、煮え立つ渾沌をDNAに刻んだ『ケイオス・キマイラ』だ!
「ウフフハハハ! イヒヒーッ! 処刑! 処刑処刑処刑! 処刑ィイーッ!」
 発狂したイソベは、手始めに本社ビルの全従業員を殺戮するつもりだ!
 すべてが無罪とは言えないが、多くの社員は悪行を知らぬまま働いていた者たちである。
 なによりも、ここでオフィス破壊と殺戮を許せば、アミダ社の関与を裏付ける証拠がなくなってしまう!

 超高層ビルへと突入し、危険な渾沌の怪物を急ぎ滅殺せよ。
 常に変身し変態する怪物との戦いは熾烈を極める。油断してはならない!
新田・にこたま
拉致誘拐に関わっていた汚職警官共を警察署の屋上から吊るしていたら遅れてしまいました…!現場に急行します!

ミニパトを全速力で運転し本社ビルに突撃します!
社員の皆様は轢かれないように全力で避けてください!正義の警官である私を人殺しにするつもりですか!

私の正義の心が込められたミニパトはビル内部の何処にぶつかろうが無傷!階段を走って色々壊しながら66階まで登ります!

そしてイソベさんを問答無用で轢殺!正義のミニパトによる轢殺は防護不能です!
悪を轢殺した時に車体が跳ね上がる感覚…これぞ正義の醍醐味です…!

おお!まだ轢かせてくれるのですか!
では!命尽きる時まで私の正義をその身でとくと味わい尽くしてください!



●ジャスティス・ランページ
 ギャギャギャギャッ!! とすさまじいスキール音を鳴らし、オミヤ・ディストリクトに駆け込んできた一台のミニパ……いや、四輪装甲車。
 申し訳程度についたサイレンをけたたましく鳴らしているあたり、どうやら職務中のようだが、そのあとに続くパトカーの列は同行者ではない。
「そこの暴走車両! 止まりなさい! ここは企業特区でありその暴走は違法!
 すなわち合法的に破壊可能! 今ならまだ禁固刑で済むゆえ投降すべし!」
 ウーウーウー! サイレンを追うサイレン! 警察が警察に追われている!

 それもそのはずだ。四輪装甲車(運転手の主張に配慮し、ここからはミニパトと呼称する。ミニパトではないが)は所轄を越え、ついでに警察と企業の間に結ばれた密約もすべて意図的に無視し、ここに突っ込んできたからだ。
「黙りなさい汚職警官ども! 人命のかかった一大事なのです!!」
 新田・にこたまは片手で運転しながら、追跡パトカーのタイヤをサイバー軽機関銃で破壊!
「「「グワーッ!?」」」
 KRAAASH!! パトカー列スリップにより瓦解! 負傷はあるが全員存命!
「まったく、あとで奴らも軒並み吊るさなければ……!」
 にこたまは、正義に燃える武装警官だ。汚職まみれのこの世界の警察のなかで、
 それでも正義を貫き通し、悪を許さぬ苛烈な意志を持った若き才媛である。
 しかし少々、いやだいぶやりすぎるきらいがあった。
 メガコーポ相手に警官として戦うならば、そのぐらいでなければいけない。
 それはたしかである。たしかなのだが……。

 ギャギャギャッ、KRAAAASH!! ミニパトは本社ビルエントランスに突撃!
「「「アイエエエ!?」」」
 業務中だった社員は泡を食って左右に飛び分かれる! 危険だ!
「社員の皆様! 轢かれないように全力で避けてください!」
「アイエエエ警察ナンデ!? 暴走車両ナンデ!?」
「いいから避けてください正義の警官である私を人殺しにするつもりですか!!」
「アイエエエ!」
 コワイ! 暴走突撃しておいてなんたる勝手な言い様!
 必死に逃げ惑う社員を蛇行運転で多少回避してやりつつ、
 ミニパトは裏階段に突撃! そのまま斜めに駆け上がる!
 ガガガガガ! とすさまじい勢いで車内が揺れる。にこたまは歯を食いしばり耐える!
「私の正義の心が込められていれば、どこだって踏破してみせる……!」
 事実、暴走突撃中のミニパトは、地形による激突ダメージを受けない。
 受けはしないのだが、それはそれとして、このユーベルコードの銘は『正義の轢殺』だし、ついでに言うと発動中の正義の意志は別に無関係である。
 なので、特に正義であることは肯定されない。だが彼女は彼女を肯定する!
「待っていなさい、イソベさん! このまま正義の名のもとに轢殺します!」
 にこたまは正義に燃えていた。正気と狂気の境目はあやふやである。

 ……そして、66階!
「イヒヒヒ! 処刑処刑処刑ィーッ!」
「轢殺です!!」
「処刑処けアバーッ!?」
 KRAAAAASH!! ミニパト激突! イソベはおもいきり吹き飛んだ!
 さすがの衝撃に、ミニパトが大きく跳ね上がる。にこたまはぎしりと笑った。
「ああ、悪を轢殺した時に車体が跳ね上がる感覚……これぞ正義の醍醐味です……!」
 その表情は完全にキマッており、あきらかに正義ではない。
 正義ではないが、相手がクソ外道の悪党なので、とりあえず問題はない。
「貴様ァーッ! イノベーティブを邪魔するかァーッ!?」
「おお、まだ轢かせてくれるのですか! では! 命尽きる時まで、私の正義をその身でとくと味わい尽くしてください!!」
 お互い会話も成り立っていなかった。狂気!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
退場する時間だぞ

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら自身を無限加速し回避
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

光尽にて討つ
対象は召喚物含むオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

宿すは破壊の原理
自身を無限加速し本体へ接敵、『刻真』にて「世界が始まった瞬間から詠唱し続けた」状態で全撃を即時解放
群れる分体諸共消し飛ばす

骸の海へ帰れば業績悪化に悩む必要もなくなろう
遠慮はいらんぞ

※アドリブ歓迎


相馬・雷光
完全に正気を失ってるわね
情報吐かせるのも無理そうだし、さっさと倒してデータ漁りよ

今まで使ったのは盗みの技と雷刃剣
雷撃弾も使ったけど、あいつの認識の中じゃ私は「銃で牽制して、必殺の近接攻撃を叩き込む」になってるハズ
それを訂正する気はないわ
誤解を元に対応した形態になってくれれば丸儲けよ

誤解を助長するために、弱めの雷撃弾を放ったり、雷キックを繰り出す
当然ダメージが通らないけど、予想外の苦戦に焦ってる【演技】で調子に乗らせるわ
蹴っ飛ばして壁に叩き付けて、苦し紛れの銃撃――と見せかけて、【リミッター解除】! 本命の【帝釈天降魔砲】!
防御力10倍なら、威力100倍で攻撃すれば何の問題もないわ!


撒菱・しのぶ
カギナワを使って地上66階の窓を突き破り登場!いよいよ今回の配信も大詰めでござる。

むむむなんと不気味な面構え…拙者ホラー配信は苦手でござるが、クナイ投擲で相手の注意をこちらに向け、こっちに意識が向いてる間に従業員に逃げてもらうでござる。

何せ拙者はおぬしの会社の悪行を配信した張本人、さぞ憎いでござろう。
敵の攻撃をこちらに引きつけ、ひたすら攻撃をかわし続けて従業員たちに逃げてもらう時間を稼ぐでござる。

なぜ当たらないか?フッ…
『状況判断』でござるよ

最後までしっかり配信して登録者を稼がせてもらうでござる!


フレーネジール・メーベルナッハ
わー、グログロの化物だー。これで社長さんって言うのは無理無理じゃないかなー?

社員さん達を殺されるのは良くないし、急いで戦いに行くよー。
鏡鬼で複製体を呼んで、二人で左右から連続攻撃。
凶星剣で羽や腕を【切断】したり、それに耐性がついたらボンベンメッサーを【投擲】して【爆破】を狙ったり。

ユーベルコードでカタくなったら、またボンベンメッサーを投げ…るけど、今度はフラッシュグレネードを仕込んだ【目潰し】狙い。
怯んだところに鉤爪縄で捕縛して、ぶんぶん振り回してビルの外へ投げ出して太陽光でのダメージを狙ってみるよ。

…この世界のお空って晴れてるのかな?



●渾沌の怪物
 ガシャーン!! と、社長室の展望台めいたガラス壁が割れた。
 煌めく破片の中に飛び込んだのは、カギナワでダイレクトエントリーした撒菱・しのぶだ!
「グゥウッ!? また、僕のイノベーションを邪魔する輩かッ!」
「あいにく拙者はただの配信者でござる! いよいよ大詰めでござるよ。
 おぬしにはクライマックスの撮れ高を盛り上げるため、派手に散ってもらうでござる!」
 しのぶはふふん、と不敵に笑い身構えるが、油断はなかった。
 ケイオス・キマイラと化したイソベの身体は常に煮え立つように沸騰し、小変異を続けている。まさしく、怪物だ。
「むむむ、なんと不気味な面構え……拙者、ホラー配信は苦手でござる」
「配信者? 胡乱な無職ごときがイノベーションの邪魔をするなァア!!」
 イソベの肉体から、槍のような奇怪な突起物が生え、しのぶに襲いかかる!
 先端部は鋼鉄を貫くほどに硬質化しているが、それ以外は柔軟な構造だ。
 下手に回避しても、ミサイルめいて曲がりながら襲いかかる危険な変異!
「おおっと! こちらでござるよ、化け物!」
 しのぶはサイバーニンジャの身のこなしで攻撃を躱し、駆け出す。
 投げつけたクナイ・ダートの爆発も、大して効いた様子がない。
 しかし、それでいいのだ。彼女の目的は、まず従業員の安全を確保すること。
「おのれェー、さては地下工場の配信をしたのは貴様かァー!!」
「そうでござるよ! 憎いでござろう? さあ、来るでござる!」
 死の追いかけっこが始まった。イソベはしのぶを怒り狂って追いかける!

 すでに戦端は開かれ、下層階はそこらじゅうが大騒ぎになっていた。
 だが、おとなしく逃げ出す従業員ばかりではない。
「アイエエエ……仕事、仕事しないと……」
「ノルマ達成まであと899%ナンデ……」
 哀れなことに、イソベの掲げた非現実的イノベーティブ成績目標を達成するため、アミダ社直伝の過剰労働マインドコントロールで自我を破壊されつつある従業員が多数いたのだ。
 破壊が起ころうと彼らは逃げられない。奴隷工場の奴隷たちと同じように。

 そんな彼らが向かい合うコンピュータが、バチバチと放電して破壊!
「「「アイエエエ!?」」」
「もう仕事なんてしなくていいのよ! 早く逃げなさい!」
「「「アイエエエ!」」」
 己を繋ぎ止めていた電子の鎖めいたコンピュータを破壊されてしまったのでは、仕事が続けられない。となれば、さすがに彼らも両手を上げて逃げ出す。
 非常用階段になだれ込む彼らに道を譲ってやりつつ、相馬・雷光はヴァジュラブラスターをガンスピンさせて嘆息した。
「まったく反吐が出るわね! 仕事で人の精神壊そうってのが気に入らないわ。
 本当なら情報を引き出したいところだけど、ろくなデータ残ってないでしょうしね」
 おそらく、ハッキングならもっと得意な猟兵が担当してくれるはずだ。
 そう考えた雷光は、目につくコンピュータを雷撃で破壊! 破壊! 破壊!
 KRAAASH!! すると天井が破砕し、逃げ続けるしのぶとイソベがエントリーだ!
「貴様ァーッ!! 我が社の備品を逃がすとは許すまじィーッ!!」
「社員を備品扱いとは見下げ果てたわね。完全に正気を失ってるわ……」
 ZAPZAP!! 雷光はヴァジュラブラスターを叩き込みながら、槍状飛来物を回避。
 しのぶもクナイ・ダートを突き刺すが、やはり破損箇所は即修復!

「わー、グログロの怪物だー。これで社長さんっていうのは無理無理じゃないかなー?」
 そこへさらに、急いで駆けつけたフレーネジール・メーベルナッハが登場。
 階段を駆け上がりフロアに入った瞬間、自らの理性と正気を代償に複製体を召喚。
「いくよいくよー、ボクたち♪ さあ社長さん、遊んで遊んで?」
「遊んで遊んで!」
 謳うように狂った少女は言い、雷光としのぶを襲うイソベを左右から挟み撃ちにして怒涛の連続攻撃を叩き込む!
 しかしやんぬるかな、斬ろうがえぐろうが爆発させようが、雷撃だろうが刃物だろうがその傷は即座に修復されていくのだ!
「フハ! ハハハ! イヒヒヒヒッ! 無駄無駄無駄ッ! すべて無駄ッ!
 僕こそがイノベーションでありオプティマイズの具現化! 僕こそI.F.C!
 すなわち僕はこの世で最強でありCEOとはそういうものだ! 無駄ァーッ!」
「さすがのボクでも、その理屈は無理無理ってわかるよー」
「いのべーしょんとかおぷてぃまいずって、そういう意味意味?」
「怪物化してるくせに意識が高いままってのが滑稽ね……」
 フレーネジールたちの言葉に、雷光は苦笑した。
「グルゥウアアアア!!」
「来るでござるよ!」
 雄叫びを上げるケイオス・キマイラの口がめきめきと裂ける!
 奈落の底じみた闇を拡げながら、フロア残骸ごと貪らんとするイソベ。三人(そして複製体)は身軽にそれを躱し、三方から様々な攻撃を叩き込むが、やはり効果は薄い。
 常時変異による再生継続と防御強化。どちらも貫くには至難だ。
 かといって状態異常に頼れば、即座の防御反応で効果を返される。
 しかも、見よ。爆破攻撃で千切れ飛んだ肉片がむくむくと育ち、小さな分身体となり涎を垂らした。フレーネジールのユーベルコードを学んだというのか!?

 だが、その時だ!
「いつまでもあがくな。お前はもう退場する時間だ」
「グウウッ!?」
 KRASH!! 瓦礫で封鎖されたエレベーターを破壊し、アルトリウス・セレスタイトが飛び込んできた!
 生成された分身体が飛びかかるが、それらを蒼い輝きを宿した不可思議の光が焼き払うように消し飛ばす!
 光芒がケイオス・キマイラの肉体を貫くと、その部位は再生せず防御も出来ず貫通!
「ゲェエエエッ!? ぼ、僕のイノベーションがぁあああ!?」
「骸の海へ帰れば業績悪化に悩む必要もなくなろう。遠慮はいらんぞ」
「ほ、ほざけェ!!」
 イソベは直接戦闘を諦め、爆ぜた肉片からさらに分身体を生成、それに戦闘を任せて修復に専念しようとする。
 だが、その隙を逃すアルトリウスではない。蒼い輝きを自らの拳に纏い、分身体を叩きのめす! 霧散! 叩きのめす! 消滅! 叩きのめす! 爆散!
「言ったはずだ。お前は退場の時間だとな」
 再び蒼輝の光尽がケイオス・キマイラを貫いた! まるで神話の光の槍めいて!
「グォオオッ!?」
 イソベは克服したはずの苦痛に悶え苦しみ、身体をめちゃくちゃに変異させ、そこらじゅうを盲撃ちならぬ盲突き刺しで攻撃しまくる!
 だが、アルトリウスはもちろん、機敏なる三人の女たちには通用せずだ!
「何故だ!? 何故当たらないぃいい!?」
「フッ……状況判断でござるよ!」
 しのぶは不敵な笑みを浮かべて言い切った!
「お、おのれェエエエ!!」
 いつまでも避けられることに業を煮やしたイソベが、しのぶに集中攻撃を仕掛けた。そこへ雷光、フレーネジールの連撃。雷撃弾が命中、しかし効かない!
「くっ、やっぱり通用しないの!?」
「ハハハ、バカめぇ! 貴様から死にたいならイノベーションしてやるッ!!」
 ぐるんと方向を変えたイソベが噛みつきを……いや待て、雷光の笑み!
「せいッ!」
「ぐうッ!?」
 アッパーカットじみた蹴り上げで、イソベの巨体が吹き飛ばされた!
 そこへ苦し紛れの銃撃と見せかけ……これまでの雷撃弾とは次元が違う、超破滅的出力の雷撃弾を放つ!
「こいつが本命よ! 帝釈天……降魔砲っ!!」
 ZAAAAAAAAP!! 修復しきらぬアルトリウスの光尽で受けた傷口をさらにこじ開けるような痛烈な閃光! イソベの肉体の防御力と再生力ですら追いつかぬ火力だ!
「ギャアアアアアッ!? え、演技をしていたのかァアアア!?」
 巨体を貫通した雷撃は、その向こうの壁をぶち抜いて大穴を拡げていた。
 差し込む太陽光がイソベを苦しめる! 奴は即座に日陰に逃れようとするが、その全身にフレーネジールの投げた鉤縄が巻き付く!
「ゲェエエ!?」
「この世界のお空って、あんまり晴れてなさそうだよね?」
「せっかくだし日光浴、楽しみなよ楽しみなよ♪」
 複製体とふたりがかりで、フレーネジールはイソベの巨体を押さえつけた。
 太陽光こそが奴の弱点だ! 全身が日光で焼けただれ泡立つ! 再生が追いつかない!
「ギ、ギ……ギャアアアアアッ!!」
 狂気の怪物と成り果てた邪悪CEOの悲鳴が響き渡る。フレーネジールは凄絶なる笑みを浮かべ、決して奴を放そうとはしない。瞳は狂気と嗜虐に燃えていた……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

星群・ヒカル
従業員無くして何が再建だッ!てめーは宇宙船を一人で作れる奴なのか!?
社長も番長も無くしちゃいけねぇ魂は同じ。てめーに酷い目に遭わされたてめーの舎弟たちの分まで、きっちりお礼参りをしてやんねぇとなッ!

相手が変形するなら、こっちも瞬間が勝負だ
宇宙バイク『銀翼号』に『騎乗』し、突撃
机などの『地形の利用』し飛び道具を避けつつ、『勇気』をもって正面から敵へ突撃だ
奴はバイクの突撃を受け止めるために適した形態に変わるだろう

だが、銀翼号の力はこれだけじゃないんだ
【超宇宙・真正面墜星拳】バイクを変形させ、受け止めることに必死の敵の防御を崩す
その隙に『視力・第六感』で敵の弱点を見抜き、変形した拳で撃破だッ!


虻須・志郎
事前にハッキングで状況証拠を略奪してから突入
全く酷ぇイノベーションだな
更迭だ更迭。処分されるのはテメェ一人で十分だ

暴灼舞神――戦闘服を纏い巨大な蜘蛛の邪神を召喚する
内蔵無限紡績兵装のロープワークでワイヤーを張り巡らせ
奴の進路を塞いで一般社員の逃げる時間を稼ぎ
邪神には増えた小物の相手をさせる
全部喰っていいぜ。不味そう? 確かになぁ……
こいつぁオキアミ以下だな、マジで

何がしかの技能に特化するならばそれに関する部位を破壊し
捨て身で懐に飛び込んで騙し討ちだ
それが使えなくなりゃあ後は暴力の時間
捕縛して怪力で恐怖を与える
こういう目に遭ってたんだよ、テメェん所の社員はな
よく分かったろ――それじゃあ終いだッ!



●狂気の炸裂
「AAARRRGH!!」
 全身を太陽光に焼かれたイソベは、鉤縄から逃れるために強引に床を破壊、形態を変異させながら太陽光から逃れた。
 再生力と防御力が特化した状態では、外に引きずり出されること自体が致命的となる。ゆえに奴は、より攻撃的かつ即応的な形態へと変異していくのだ。
 下階は営業部フロアだったが、彼らはもともと外回りと称して昼間から社費で豪遊していたゆえ無人! なんたる堕落!
「ったく、上にも下にもろくなのがいねえな! まともな社員もいたみたいだが」
 すでにハッキングで状況証拠を集めておいた虻須・志郎は呆れ顔だ。
「イノベーションだ! 新陳代謝を活発化させるんだァアアア!!」
「ひでぇイノベーションもあったもんだな。更迭だ更迭。処分されるのはテメェひとりで十分だ」
 戦闘服を纏った志郎の言葉に、イソベは青紫色の涎を垂らして怒り狂う。
「黙れッ! 会社とはCEOのもの、つまり全社員全備品全株式が僕のものだッ!
 僕こそがI.F.Cであり、僕の一存ですべては決まる! 意見など不要ッ!」
「もう新会社おっ立てたつもりかい? 残念ながらこの会社は今日で終わりだよ」
「黙れェ! 社員なくともCEOあり! 僕がいればそこが会社だァーッ!」
 もはや狂気に陥ったイソベの言動は不可解かつ意味不明だ!
「従業員なくして何が再建だッ! てめーは宇宙船をひとりで作れるのか!?」
 ガオオオオン! ガラス壁をぶち破り星群・ヒカルと銀翼号が飛び込んでくる!
「社員も番長もなくしちゃいけねぇ魂は同じ……いわば従業員はてめーの舎弟だ!
 てめーに酷い目に遭わされたてめーの舎弟のぶんまで、きっちりお礼参りしてやるぜッ!」
 勢いそのまま、ヒカルは銀翼号でチャージを仕掛ける! KRAAASH!!
「経営方針を理解しない愚物めがァアアア!!」
 だがケイオス・キマイラの肉体は強靭! しなやかかつ不気味なまでに硬質な肉体は、轢殺タイヤに肉を削られながらもヒカルをはねのける!
 反発力で吹き飛んだヒカルはしかし、類まれなドライビングテクで志郎の横に着地! 赤い絨毯床にバーンナウト痕を刻みながら減速した。
「あんな社長にこき使われた、まともな従業員が浮かばれないぜ」
「縁起でもないぜその台詞。殺されちゃたまらないからなッ!」
「たしかに。過労死させられた奴らのぶんまで、痛い目見てもらうとするか!」
 志郎はヒカルと並んで身構えた。ケイオス・キマイラが、吠える!

 暴走タンクローリーじみた突進攻撃を、志郎とヒカルは左右に別れて回避。
 ロープワークでワイヤーを張り巡らせながら、志郎は巨大な雲の邪神を召喚する。
 第四の蜘蛛。それもまた、渾沌の怪物と同じ理外の化け物。正しき宇宙の怪物!
「「「ゲギャギャギャギャ!!」」」
 すると、ヒカルのチャージで削り取られた肉片が、醜悪なるケイオス・キマイラ分身体へと成長! 青紫色の涎を垂らしながら志郎に襲いかかった!
「全部喰っていいぜ、邪神様!」
『なんと不味そうな肉どもよ。醜悪!』
「そいつはたしかに。こいつぁオキアミ以下だぜ、マジで」
 不満を漏らしつつも、第四の蜘蛛はその爪で分身体を串刺しにし、強靭な鋏角でむしゃむしゃと変異する肉体を破砕し咀嚼した。
 咀嚼されてしまえば、再生もクソもない。明らかに悪い影響がありそうなもの、邪神ゆえか、それすらもねじ伏せて喰らうさまはまさに狂気の炸裂!
「おのれェ! 社の備品を喰らうなァアアア!」
「わけのわからねーことを言ってんじゃねえ! おれも相手だッ!」
 加速する銀翼号! スピードが頂点に達した瞬間、銀翼号が……変形した!?
「ヌウッ!?」
「こいつが銀翼号の喧嘩形態だ! 超宇宙番長の拳、骨の髄まで味わいやがれッ!」
 SMAAAASH!! ガントレット化した銀翼号の拳が真正面から炸裂!
 いかなる状態異常をも即時反射する変異の弱点……それは、単純な暴力!
 先のチャージ自体が布石だったのだ。突撃衝突に備え硬質化していたケイオス・キマイラの肉体では、より一点に集中した打撃の威力を殺せない! 肉体が爆ぜ、臓物じみたおぞましい血が飛び散る!
「ギャアアアッ!?」
「オォオオオラアアアアッ!!」
 ズガガガガガッ!! ヒカルは目にも留まらぬラッシュを叩き込む! 叩き込む、叩き込む……まるで肉の城を両篭手で削り突き進むように叩き込みまくる!
 瞬間的打撃による破壊には変異も再生も追いつかない! 変異した瞬間に、番長の拳がそれを砕くからだ!
「お、おの、れ、え、ェエエエ!!」
 ケイオス・キマイラは、せめて打撃から逃れようとした。

 ……が、その肉体を、張り巡らされていたワイヤーがぎちりと締め付ける。
「グッ!?」
「動けないままに痛めつけられる気分はどうだ? CEOサマよ」
 志郎だ! 同じく決戦形態となった彼の拳は……番長のそれに劣らない!
「こういう目に遭ってたんだよ、テメェんところの社員はな!」
「や、やめ……」
「やめるか、ボケがッ! テメェがしでかしたことの痛みと苦しみ、味わいな!!」
 SMAAASH!! 頭部にハンマーパンチ! あまりの衝撃にイソベの肉体が床を砕いて下階へ! 下階の第2営業部もやはり無人! 汚職の温床だ!
「アバーッ!」
「まだまだ行くぜ! 逆ダルマ落としだッ!」
 SMASH! SMASH!! SMAAAAASH!!
 頭上に回り込んだ志郎は、拳で、足で、時には頭突きでケイオス・キマイラを上から叩きのめす。叩きのめす。叩きのめす!
「こいつが、邪神と」
「番長の! お仕置きだッ!」
「アバーッ!!!」
 そしてKRAAAASH!! ふたりの拳が同時に叩きこまれ、イソベは肉体を砕け散らしながら吹き飛び、床を転がった……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

賀茂・絆
社長としての才能はなくても怪物としての才能はあったんデスネ…性根が腐っていたようデスし、魂に見合った姿になれたと思いマスヨ。

入神導入剤と脱魂恍惚剤を服用。
前者で瞬間思考力をアップして回避率を上げ、後者でダメージを受けても動けるようになることでタフネスを上げマス。
これで分身たちに最低限殺されないように進撃することは可能デショウ。身体ダメージは無視しマス。

そして霊媒たる我が身に今回の騒動の犠牲者たちの霊を降霊し、その憎悪と殺意をワタシの拳に込めマス。
…少しばかり、数字として消費される命の怒りを知るがいいデスヨ。無能社長のアナタは数字すら把握してるか怪しいデスガ。

数多の殺意を込めた拳で殴り殺しマス。


シルキー・アマミヤ
お仕事してたらライブ配信に出られてラッキー★きっと宣伝になるよね★気分いいから残りのお仕事も頑張っちゃうぞー★

避難とかは他の人に任せてどんどん上っていってー、敵に逢ったら『Ku-9』!今回はちゃんと狙って撃ち込んで、近づかれたらデスブレイドしちゃうぞ★

そうやって「今の」攻撃手段に対応してきて、相手がさあ反撃だ!って気持ちになった所で『ホログラフィックブレイド』!
そしてー、そのまま必殺【ぶんしん・さっぽー★】!
エネルギーの刃での不意打ちで鎧無視して中身を直接焼いちゃう★

一度でも「これも攻撃かもしれない」と思ってしまえば対応を迫られる
後は虚実入り混ぜ攻撃して嫌がらせしちゃうよ★

※アドリブ他歓迎です



●因果・応報
 D.F.C本社ビル35階。
「僕のイノベーションを邪魔するなァアーッ!!」
「ありゃ、もうこんなところまで降りてきてるんだ★上ってく手間が省けてよかったなー★」
 上階から叩き落されてきたイソベ……あるいはケイオス・キマイラと、シルキー・アマミヤが遭遇。すでに猟兵らによって従業員の避難は済んでいる。
 無人と化した第四人事部のオフィスで、渾沌の怪物とホログラム美少女体が相対した。
「貴様もイノベーションを邪魔するか! 社敵めェ!!」
「わぁこわーい★近づきたくないな★」
 スポスポスポ! シルキーの本体部からKu-9が射出される!
 ショットガンめいて突き刺さったスプレッドダガーが爆発! だが、ケイオス・キマイラは負傷箇所を即時再生し、恐るべき速度で突撃した!
「死ねェーッ!!」
「ふうん、まだこれだけの再生速度があるんだね……っと!」
 ホログラム体は逃げ遅れて薙ぎ払われるが、そもそも所詮はホログラムだ。
 本体である頭脳戦車は、蜘蛛めいて天井に張り付くことで突撃を回避している。
 ケイオス・キマイラは肉体底部をスパイクのように変化させ急停止、頭上のシルキー本体を串刺しにしようと、そのまま肉体上面部が同じような変化を起こした。
 が、シルキーはこれも回避! 避けながらデスブレイドで背中部分を魚の開きめいてばっさり斬りつつ、ホログラム体が再生成されてにぱっと微笑む。
 振り返った時には、切り開いた傷がやはり再生されている。速い。
「ちょっと面倒だなー★だんだん攻撃も効かなくなってきてるし」
「バァアアアア!!」
 ケイオス・キマイラは傷口を修復しながら、再び方向転換! が、その時!

 KRAAASH!! スパイクによって綻んだ足場が崩れ、両者は落下!
「わぁ!」
「グッ!?」
 反応が遅れ、ケイオス・キマイラはずしん! と34階に巨体を激突させる。
 押し潰されたオフィス残骸が土煙めいて舞う中、それに乗じて攻め込むのは賀茂・絆である。それも素手でだ!
「小手調べデスよッ!」
 SMASH!! 徹甲弾を思わせる鋭い拳、次いで蹴り。
 鋼鉄をもたやすく粉砕する徒手空拳だが、ケイオス・キマイラの強化された皮膚装甲と肉体再生速度にはさすがに通じない。
 絆は蹴り込んだ足で、ケイオス・キマイラを踏み台にすることですぐさまロケットのように飛び離れるが、それを切り離された肉片が追う。
 ボシュッ! と肉体から射出された肉片は、飛来しながら複数の分身体に変身、汚らわしい青紫色の涎を撒き散らしながら殺戮に酔いしれた!
「「「AAAAARGH!!」」」
「社長としての才能はなくても、怪物としての才能はあったんデスネ」
 しかし、これは絆の読み通り。彼女はすでに、特製の薬剤を打ち込むことで肉体と精神を半ば分離させ、集中力を極度増幅していた。
 四方八方から襲いかかる分身体の攻撃を、極度増幅された集中力で読み切り、巧みに躱す。避けきれない肉体ダメージも、精神が肉体を凌駕した今なら実質無傷。
 間合いを読み違えた分身体の頭部を螺旋蹴撃で粉砕し、着地。遅れて襲いかかる敵は、シルキーのKu-9による援護で爆殺された!
「おっと、感謝しマスヨ」
「気にしないで! シルキーちゃん、ライブ配信に出れて気分がいいんだ★
 だから残りのお仕事も頑張っちゃう! そのほうが宣伝になるよね★」
「いい心がけデスネ! 化け物に成り下がった商売下手とは大違いデス」
 その商売下手は新たな分身体を生成、さらに肉体を変化させていた。
 シルキーの攻撃も通じない。万事休すなのか? 押し切られてしまうのか……?

「まあ、その姿は腐った性根にお似合いデスよ。魂に見合った姿というやつデス」
「なんだとォ……CEOをナメるなよッ!!」
「そっちこそ、自営業(フリーランス)ナメんなよ★」
「それに部下も満足に使えない管理職なんて、ナメられて当然デスヨ?」
「貴様らァーッ!!」
 怪物が動いた! シルキーは再びKu-9射出、絆はまっすぐ立ち向かう!
 爆発が奴の勢いを削ぐ。絆の両拳に宿るは、使い潰され死んでいった奴隷たちの怒り、殺意!
「……少しばかり、数字として消費される命の怒りを知るがいいデスヨ」
 SMASH!! 霊媒師たる絆の肉体は、それを動かす半分抜けた絆の魂と、死者たちの殺意を込めたことで凄まじい破壊力を生み出した!
 今しがたは攻撃の通用しなかった肉体を、そして分身体を! 拳が、足が、砕く!
「「「AAAARGH!」」」
 ケイオス・キマイラが怯んだ。再生だ。再生をして体勢を建て直さねば。
 そこに隙が生まれる。シルキーのホログラム美少女体が追って飛び込み、ホログラムであるはずの剣を振るう。しかしフォトン技術を応用したそれは実体!
「えいえい★シルキーちゃんとも踊ろ★」
「「「アバーッ!?」」」
 分身体殺戮! 逆にホログラム美少女が無数に分身し、勢いそのままケイオス・キマイラ本体の全身をずたずたに斬り裂いていくではないか!
 圧縮光子による斬撃は、どれだけ皮膚装甲を硬質化させたとて防げない。
 これまでの攻撃は、対応を困難にさせるための布石! ふたりの攻撃は変幻自在かつ虚実入り混じり、何より疾い。再生が……追いつかない!
「な、何故だ! 僕のイノベーションが! 何故!!」
「無能社長のアナタは、数字すら把握してないデショウ? それがアナタの限界デス」
「フリーランスにはフリーランスの生存戦略があるんだぞ★身を以て思い知っとけ★」
「AAAARGH!?」
 汚れた血がオフィスを穢す。私利私欲に呪われたカンパニーの末路を知らせるように!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エアリーネ・シルベンスタイン
……証拠の隠滅に、怪物化し己の討伐理由まで用意するなんて、随分と勤勉な捨て駒ですね…

さっさと仕留め……たいのですけどね…攻撃手段が決定打になりません……これはよくないです……どうしましょうか…

…?ロッドから、風…?
(「ロッド」から風と魔力が湧き出る)
……正直得体が知れませんけど、どうせ手詰まりです…なら、その力に賭けましょうか……

(『竜呪杖』から力が流れ込みUC発動。
A&W群竜大陸の「皆殺しの平野」の竜化オブリビオン達同様に半ば竜化し、
無詠唱化した属性魔法を高速多重発動させ攻撃を開始、攻撃命中時には毒を付与。
仮に反射されても代償で既に毒状態、加えて「UCそのものへの攻撃能力」により敵UCにも「ダメージを与え」「毒で侵し」その「UCごと」敵を破壊していきます)

まさかの竜化です、か……流石に……負荷が大きい…ですね……
正直力を抑えるのもきついので……敵に打撃を与えられたら、ほどほどで退場、しましょうか……

※アドリブ負傷連携等歓迎です


シャルロッテ・ヴェイロン
まあ典型的なトカゲのしっぽ切りですね。ご愁傷様と言わせてもらいましょうか?
でもただ倒すだけでもつまらないので――

真の姿開放!「電脳魔法少女」に変身!(【限界突破・リミッター解除】)
そしてUCでドローンを召喚しネットワークにアクセス!
「ドーモ、日ごろ暗黒メガコーポの支配に辟易している市民!これから私たち猟兵が、哀れアミダ社に買収された上にリストラされた馬鹿社長の悪事を公表しちゃいまーす!」(【演技・パフォーマンス・ブームの仕掛け人】)

そして社内ネットに【ハッキング】して悪事の証拠を確保!
そして勢いそのままに突入し、ボスに対して光線銃の【乱れ撃ち】!何の技能LV100かは知りませんが、こっちにはネットワークの向こうから応援受けてますからね!(【援護射撃・2回攻撃・レーザー射撃】)

※アドリブ・連携歓迎



●キマイラ、ドラゴン、レーザーシャワー
 KRAAAASH!!
 D.F.C本社ビル25階、第5システム事業部オフィス、倒壊!
「AAARGH!! 僕は社長なんだぞ! CEOなんだ! イノベーションなんだーッ!
 先進的ソリューションを邪魔する奴らめ! 社敵! 処刑処刑、処刑だァーッ!」
 天井を突き破り落ちてきたイソベ……いやケイオス・キマイラは、全身の血からマグマじみた熱血を噴き出しながら、怒りと苦痛と屈辱に身を捩らせる。


「……怪物化して己の討伐理由まで用意した上に、発狂して頭の中の証拠も隠滅済みですか。ずいぶんと勤勉なんですね……捨て駒として、ですが……」
 エアリーネ・シルベンスタインは、呆れと軽蔑が入り混じった表情で敵を睨む。
 この展開(シナリオ)は、何もかもがアミダにとって都合がいい。
 猟兵という存在がなければ、計画はより完璧に遂行されていたはず。
 メガコーポという敵の強大さを、改めて感じ取るエアリーネ。
「まあ典型的なとかげの尻尾切りですね。御愁傷様、と言うまでもなさそうです。
 あとはさっさとこいつを倒し、出来るだけ証拠を集めるしかないですが……」
 シャルロッテ・ヴェイロンはにやり、と小悪魔めいた笑みを浮かべた。
「でも、ただ倒すだけではつまらない。そう思いませんか?」
「……そもそも、さっさと仕留めたくても、あれは手を焼きそうなんですが……」
 エアリーネはシャルロッテに返しつつ、攻撃を仕掛けた。
 が、多少のダメージでは、ケイオス・キマイラの変異によって再生される。
 おそらく、ゴーレムでも物量負けするはずだ。ならば状態異常で攻めるか?
 それも怪しい。効果をそのまま反射されるため、むしろ逆効果である。

「そうですねぇ。なら、ここは数の力で押すといたしましょうか!」
 シャルロッテがパチン! と指を鳴らすと、その姿が一瞬で変身。
 電脳魔法少女というべき装いになったシャルロッテの周囲に、動画撮影ドローンが現れると、無数のARライトがシャルロッテを効果的にライトアップした。
「ヌウッ!?」
 突然のショウタイムに、ケイオス・キマイラは怯み、訝しんだ。
「ドーモ、日ごろ暗黒メガコーポの市民に辟易している市民の皆さん!
 これから私たち猟兵が、哀れアミダ社に買収された上に、リストされたバカ社長の悪事を公表しちゃいまーす!」
 シャルロッテは、ハッキングで集めた証拠をずらりと並べ、公開生配信でイソベとアミダ社を弾劾するつもりなのだ!
「なるほど……その手がありましたか……」
 エアリーネには出来ない手だ。テクノロジー的な意味でもそうだが、単純に彼女は日陰の住人なので、表舞台に出るような目立つ行為が苦手なのである。

 動画撮影ドローンを通じて、サイバーザナドゥのネット上にあふれる証拠の数々。
 そしてなにより、目の前のイソベの異形! まさしく揺るがぬ証拠だ。
 アミダ社の直接的関与に繋がる証拠はほとんどなく、あったとしても(おそらくはアミダの介入によって)即座に抹消されるのだが、人の口に戸は立てられないとも言う。
 情報を受け取った誰かが中継機(ハブ)となり、消されるたびに情報を伝える。
 拡散速度はもはや止められない。そして、それが猟兵たちを後押しする、抑圧された人々の怒りとなるのだ。ふたりに、力が満ちていく!
「ふ、ふ、ふざけるなーッ! 社内機密だぞォーッ!」
 イソベ、激昂! 煮え立つ巨体が恐るべき速度でふたりに襲いかかる!
「……来ました……」
「なんの! 数で押すというのはこういうことですよ!」
 ZAPZAPZAP!! シャルロッテは光線銃をシャワーのように乱れ撃ちして対抗!
 その破壊力は、もはや一発一発がユーベルコード級といっていい。
 レーザーに焼き切られた肉体は即座に再生していくが、情報の拡散速度に検閲が追いつかないように、徐々に攻撃が再生を凌駕していく!

 しかし、それでも決定打にはなりえない。ジリジリと押し返しているような状況だ。そこでエアリーネは、『ロッド』の異変に気づく。
「……? ロッドから、風が……?」
 杖からは、まるで木の虚を吹き抜けるかのように、風と魔力が湧き出ていた。
 エアリーネの魔力ではない。もっとおおいなる、しかし得体の知れない力だ。
「……どうせ、私は現状手詰まりです。なら、この力に賭けます……!」
 エアリーネは、ロッド……いや、恐るべき『竜呪杖』の力を引き出した。
 すると杖に秘められた竜の呪いが、エアリー値に注ぎ込まれる。
「ぐ……が……ッ!」
「おお?」
 エアリーネの全身がめきめきと音を立て、竜の翼を背負い、瞳孔が細まった!
「まさかの竜化です、か……さすがに、負荷が大きいです、ね……!」
「大丈夫ですか! とりあえず、こっちは持ちこたえられますけども!」
 シャルロッテはレーザーシャワーで敵を押し留めている。
「AAAARGH!!」
「「「ゲギャアーッ!!」」」
 が、ケイオス・キマイラは肉体から分身を生成し、盾にすることで突破するつもりだ!
「正直、力を抑えるのもきついです……。全力で、叩き込むので……合わせてください……」
「わかりました! では、目にも見せてやりましょうか!」
 まるで引き絞られた弓弦が矢を放つかのように、エアリーネの姿が消えた。
 すさまじい速度で突撃したのだ。竜の翼が大気を叩き、すべての魔力を無詠唱で魔法へ転化、シャルロッテのレーザーシャワーに合わせて火力を叩き込む!
「ア、アバーッ!?」
「「「アババババーッ!!」」」
 分身消滅! 本体もすさまじい火力に吹き飛ばされ、巨体にいくつもの穴を穿たれた! 24階倒壊! KRAAAASH!!
「視聴者数大増加ですよ! やりましたねぇ!」
「無茶をしたかいは、あるみたいですね……!」
 反射毒に苦しめられながらも、エアリーネは口元にわずかに笑みを浮かべた。
 竜の力は強大だ。しかしそれゆえに、イソベはあと一歩まで追い詰められている!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロア・パラノーマル
◆連携歓迎

(音もなく、何処からともなく現れる。)

――ふむ、そうもおどろおどろしい姿になられては
ワタシ
怪異の立つ瀬がなくなってしまうな。
とはいえ新人(ニュービー)に作法を教えて差し上げるのも先人(ベテラン)の役目。

よろしい、では――
(顔に白い面を付け)
錆落としがてら教えて差し上げよう。
本物の怪異(パラノーマル)がかくあるべきか。

(ふ、と消えて)
(かと思えば、すぐ後ろから、ぞわりと背筋を凍らせる手つきで触れる。)

声を荒げればいいと言うモノではないのだよ……
覚えておきなさい――

(脳に氷柱を差し込まれるような、底冷えする、「怪異」としての声を君の耳に直接囁く)

いついかなる時も

 sneaky,
「静かに、」
   spooky,
「おどろおどろしく」
   sparky
「されど刺激的に」だ。

来世で私の同類になった時に役立て給え。
(あとは味方の攻撃に任せるもよし。私手ずからサイバークナイで分身もろとも切って回るもよしとしよう。)



●Sneaky,speaky,sparky.
 KRAAASH!! イソベの巨体が、地上エントランス階に落下、激突!
「AAARGH……! お、おのれ、おのれ社敵どもォ……!」
 ガラガラと瓦礫を払い除け、イソベはぐるぐると唸った。
 いまだ再生と変異を続けるその肉体は、しかし損傷をカバーしきれていない。
 この世に無限のエネルギーなど存在しない。オブリビオンとて形ある存在だ。
 世界そのものが、時間という質量を消費して未来に向けて進んでいるように、
 顕現した以上は物質としての制約に縛られる。再生はいずれ、終わる。
 無限に思える大海も、バケツで汲み続ければ理論上はいつか枯れる、そういうことだ。

 上階の猟兵どもを始末しようと、イソベが身をもたげた。
 しかし、その前にいつのまにか現れたのは、ひとりの紳士である。
「な、なんだ……? お前は」
「ふむ」
 その男――ロア・パラノーマルは、誰何に答えず、顎に手を当てて思案した。
「そうもおどろおどろしい姿にならわれては、怪異(ワタシ)の立つ瀬がなくなってしまうな」
「何を言って……」
「とはいえ、だ」
 ロアは相変わらず、ほとんどひとりごちた。
「新人(ニュービー)に作法を教えてさしあげるのも、先人(ベテラン)の役目か」
「何を言っている貴様ァーッ!」
 イソベの巨体のあちこちに突起物が生え、それらが蛇のように襲いかかる!
「よろしい。では」
 ロアは慌てず、避けようともせず、優雅ですらある仕草で白い面を装着した。
 面、と呼ぶべきなのか……顔らしい絵柄も装飾も一切ない、のっぺりとした面だ。
「本物の怪異(パラノーマル)が、かくあるべきか」
 泰然自若としたロアに、無数の突起物が飛来し、串刺しにして即死させた。

「――錆落としがてら、教えてさしあげよう」
「!?」
 そうなったはずだ。だが、現実はイソベの認識と違っていた。ロアは背後!
 彼がいた場所は、ただ突起物によりぐしゃぐしゃになった瓦礫の残骸があるだけだ。
「貴様、いつの間に、ィッ!?」
 振り返ろうとしたイソベの首の付根に、ぞわりと手が触れた。
「声を荒らげればいいというモノでは、ないのだよ」
 甘やかですらある囁き声。だが、それゆえに恐ろしい。得体が知れない。
 イソベは肉体を瞬間的に沸騰させ、ハリネズミめいて変異しようとした。
 あるいは分身を出して撃退しようとする。……出来ない。
 それどころかその肉体は、人間としてのイソベの身体に戻っていく。
 本物の怪異を前に、渾沌を宿したDNAすらも怯えていた……!

「覚えておきなさい」
 脳に氷柱を差し込まれるような、底冷えする怪異の声。
「いついかなる時も」
「あ、あああ」
「静かに」
「アアアア!」
「おどろおどろしく」
「アア、ア……ア」
「されど刺激的に、だ」
「……!」
 イソベは哀れな人間の姿に引きずり降ろされ、陸揚げされたマグロめいて口をパクパクさせた。
 しかし、静かに(Sneaky)と言われたからには、声は出せない。震えている。
「来世で私の同類になった時にでも、役立てたまえ」
 ロアは励ますように肩を叩く。イソベは彫像めいてうつ伏せに斃れた。

 死んでいる。
 限界を越えた恐怖の感情が、「動いてはならない」という感情を呼び起こす。
 不動。すなわち、心肺停止(フラットライン)。完全なる死。
 怪物としてすべてを蹂躙するはずの愚か者は、人間として死んだのだ。
「静寂はいい」
 ロアは白い面をしまい、髪を後ろに撫で付けた。
「それはどんな音楽にも勝る、私はやはり、この静けさが一番好きだよ」
 カツン、コツン……影法師は出し抜けに消え、あとには死だけが遺る。
 怪異は去りぬ。そしてD.F.Cはこの日、倒産を迎え、アミダ社の関与を示す証拠が拡散され、検閲され、そしてわずかな片鱗と疑惑が世界に残された。
 いずれ、メガコーポの頂点を引きずり下ろすその時のために。ここにまた一段、猟兵たちは石畳を乗せ、欺瞞の頂点へ目指す階を築いたのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年03月17日


挿絵イラスト