アカリのヒロアス紀行・決戦編
●それに中身など無くて
「ああ、ジャバウォック。あなたが死んだ世界のなんとつまらないこと」
どことも知れぬ暗い部屋で、けだるげに支援を吐く妙齢の女。女が思うのは既に死した一人の老紳士のこと。
「あなたの真似をして『スナーク』を作った。あなたの真似をして猟書家を名乗らせてみたりもした。何体作ったかももう忘れたし、どれが死んだかも覚えていないけれど」
紳士の顔はかろうじて思い出せれど、作ったもののことなど思い出せない。なぜなら、どうでもいいからだ。
「骸の月が失われた。どうやら時間潰しもそろそろ終わるようだ。最後にあるだけ怪物を作っておこう。確かどこかにまだ材料があったはずだ」
女が耳を澄ますと、水の流れる音が聞こえてくる。だがそれは川のせせらぎでも激しい雨音でもない。汚れ切った汚水が、下水を流れる音。
「どうせ暇な奴らが止めに来るだろう。怪物が連中を殺せばそれでよし。私が殺されても……別に何も変わらない」
全てがどうでもいいと言わんばかりに、女は煙管を逆さにしてとんとたたいた。まだ火の残る煙草が落ち、女の足元を照らす。そこを横切っていくのは、汚れた体を持つ大きな鼠だった。
●空虚を満たすものは
「皆さん、ついにヒーローズアースのオウガ・フォーミュラ、ミストレス・バンダースナッチが現れたっす!」
グリモアベースに集まった猟兵にミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)が力強く言う。当然というかボディは現地出身のアカリ・ゴールドだ。
「バンダースナッチはずっとダストブロンクスの奥深くに隠れてたみたいっす。骸の月が完全に抑え込まれたことで、ようやく見つけることができたっす」
全容を把握しているものは誰もいないとも噂される地下迷宮ダストブロンクス。ヒーローズアースの汚点を全て集約したその場所に、この世界の新たな悪の王が潜んでいたとはなんという皮肉か。
「なんで、皆さんにはダストブロンクスに乗り込んでミストレス・バンダースナッチをぶっ倒し欲しいんす。けど……」
何やら歯切れの悪いアカリ。
「どうやらこいつはこっちが来るのを分かっていて、煙草の煙をダストブロンクス中にまき散らして住人のバイオモンスターを本質なき怪物……『スナーク』に変えてくるんす」
サー・ジャバウォックから始まり多くの猟書家たちが流布せんとしてきたスナーク。それを彼女もまた用いるという。
「で、この怪物をけしかけてくるんすけど、言った通りこれは元はダストブロンクスの住人、一般人っす。なんでなるべく……出来れば皆、殺さないようにやっつけて『スナーク』が体から抜けるのを待って欲しいんす」
ダストブロンクス住民は犯罪者や脛に傷を持つ者も多いが、大半は善良な住人である。最近彼の地について学んだアカリはそれがよく分かっている。
「そうなればどうしたって手加減するような戦い方になるっす。なんで、その隙にバンダースナッチは逃げちゃうっす。これはもう止められないって予知に出てるっす」
あるいはその為にあえて元に戻せる状態にしたのか。そこまでは分からないが。
「でも、追っかけることは出来るっす。あたしがすぐに転移を使って皆さんをバンダースナッチのいるところに送るっす。どうやらセンターオブジアースにバンダースナッチの協力者である神がいて、こいつが逃げる手引きをしたらしいっす」
聞くに地上から人間を一掃し、己がものとするためにミストレス・バンダースナッチに協力しているという。どう見ても利用されているだけのようにしか見えないが、果たして本人はそれを分かっているのだろうか。
「こいつも既に『スナーク』化していて、戦うことになるっす。相手は一体だけど無茶苦茶強いっす。こいつはもう元に戻らないし戻す義理もないんで、ぶっ倒しちゃってくださいっす」
野望のために愚かにもに悪に与し体を変えられ、そして滅び去る。ある種美しいまでの三流悪役の末路だろう。
「まあ、バンダースナッチにとってはこいつも捨て駒みたいなもんらしく、やっぱり戦ってる間に逃げちゃうっす。こいつを倒せばこっちも敵の行く先を予知できるようになるんで、皆さんを転移で送れるっす。どうやら行く先は、アトランティスみたいっすね」
地下から地底、そして海底へ。どこまでも『下』へ行きたがるのは偶然か否か。
「ここが決戦の地になるんで、ようやく直接バンダースナッチと戦えるっす。実の所、バンダースナッチはそこまで強くないっす。少なくともブラキエルよりは全然弱いっす。ただ、ここでもこいつは『スナーク』を作ってくるっす。リアルタイムでアトランティスの住人達が怪物に変えられて襲ってくるんで、殺さないようにこれに対処しつつバンダースナッチをぶっ倒して欲しいっす」
先に訪れた二つの戦場で要求されたことを同時にこなすような状態とも言える。たとえ個々の実力は規格外という程でなくとも、苦しい戦いになることは間違いあるまい。
「まあ、かなり大変というか面倒な戦いが続くことになるっす。けど、こっちも打てる手は打っとくっす。幸いバンダースナッチが逃げ回るところにはちょっとした伝手があるんで、猟兵特権使って助けを頼んどくっす!」
奇しくもここ数カ月で全ての文明について学んだアカリ。世界の危機ゆえ使えるものは使って戦う猟兵たちを助けるつもりのようだ。
「あと最後に戦いには関係ない話なんすけど、何でバンダースナッチがオウガ・フォーミュラやってるかっていうと……別に意味はないみたいっす」
例えば大天使ブラキエルは天上界を命を懸けて求めていた。それに類するような目的意識は、ミストレス・バンダースナッチには一切ないという。
「なんかサー・ジャバウォックにはそこそこいい感情持ってたみたいっすけど、それを失ってから自分の命も含めて全てがどうでもよくなっちゃったみたいっす。スナークを作ってるのも、思いついたからサー・ジャバウォックの真似をしてるだけって感じみたいっす。猟書家も何体かはバンダースナッチが作ったものらしいんすけど、愛着もないしどれ作ったかも覚えてないみたいっす」
全ては空虚な心が向いたままに。あるいは最初から、彼女こそが究極の『中身のない怪物』だったのかもしれない。
「そんな暇潰しみたいな真似であたしの故郷潰されてたまるかっす。だから皆さん、どうかヒーローズアースを、よろしくお願いしますっす!」
大声を上げて一礼し、アカリは最初の戦場となるダストブロンクスへ猟兵たちを送り出すのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。いよいよ決戦の時が来ました。
今回は章ごとに取るべき行動が大きく変わってきます。追記事項も多いので、プレイングは断章執筆後からの受付とさせていただきます。
第一章ではダストブロンクスで『スナーク』となったダストブロンクス住民たちと戦います。相手は集団型オブリビオンと化していますが倒せば元に戻せるので、なるべく致命傷を与えないような方法を考案して倒し、体からスナーク現象が抜けて元に戻るのを待ちましょう。
ミストレス・バンダースナッチも現地にいますが、彼女を攻撃することは出来ません。
第二章ではセンターオブジアースにて、彼女の協力者であった神が『スナーク』となって襲い掛かってきます。実力は強めのボス級オブリビオン相当です。ガチバトルになりますが、ここでも手助けは用意されていますのでうまく使ってみてください。
第三章ではアトランティスでミストレス・バンダースナッチとの決戦です。彼女はボスとしては強めですが先制してくるほどではありません。その代わりアトランティス住人を第一章同様にリアルタイムで『スナーク』にしてどんどん攻めさせてきます。スナークを殺さないようにしつつミストレス・バンダースナッチを倒す、本気と手加減を同時に行う矛盾した戦いを強いられることとなるでしょう。
実の所フレームの難易度自体は『普通』です。敵は物凄く強いわけではありません。ただし召喚や創造能力を多用し大量の殺してはいけない手下まで出して来るので、とにかく手が足りない戦いになるでしょう。
アカリがその辺りの手助け役を手配しているようです。詳しくは各断章で説明します。
プレイングボーナスについてもギミック連動のものとなるので、お手数ですがやはり断章をご確認ください。
それでは、最後にはヒーローが勝つというお約束のプレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『ダーティーポリス』
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POW : 動くな、止まれ
【銃弾】が命中した対象を爆破し、更に互いを【手錠】で繋ぐ。
SPD : 命をかけて全うする
【仲間と共鳴する咆哮により暴走状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ : 我々には覚悟があるのだ
【絶対的な忠誠心】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
イラスト:森乃ゴリラ
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
転移の光を抜け、ダストブロンクスにたどり着いた猟兵たち。その前にいたのは、煙管を咥えたけだるげな表情の女。
「やはり来たか。この世界は本当に暇な奴が多い。私が言えた義理ではないかもしれないがな」
ふぅ、と紫煙を噴き出す女。だがその煙は、一息に噴いたにしては異常なまでに多い。煙は辺り一面だけでなく、周囲に枝分かれして張り巡らされた無数の下水道までも余すところなく満ち、そしてそこにいた全ての者に染みついていく。
そしてその煙にまかれた者たちが、まるで引き寄せられたかのように女の元へ集まり始めた。
「おれ、たち……われ、ら……」
「我ら、我らは……」
「我らは、スナーク……ミストレス・バンダースナッチ様の、忠実なる、番犬……!」
口々に言う、警察官の服装をした犬の獣人たち。彼らが女、ミストレス・バンダースナッチの配下であるオブリビオンか。
それは半分正解だが、もう半分は違う。彼らはたった今彼女が巻いた紫煙によって『スナーク』を植え付けられ還られた、このダストブロンクス住人達だ。
彼らはその体、さらには心さえ『スナーク』に侵され、彼女の僕である怪物に変えられてしまった。その警邏隊の後ろで、やる気なさげに彼らと猟兵を見るバンダースナッチ。
「一応戻せはするはずだが、殺したければ殺せばいい。私も、こいつらも」
投げやりに言う恐らくは本心だろう言葉。戻せる、の一言に一瞬躊躇した猟兵たちに警棒が襲い掛かる――
「おらっ!」
その瞬間、その獣人が大きく横に吹っ飛んだ。そのまま壁に叩きつけられ崩れ落ちた獣人は、崩れるように服と毛皮が剥がれボロを来た巨大な異形に変わる。
「なんだ、ロタリアの野郎じゃねぇか。手間かけさせやがって」
殴り飛ばしたのは同じようなコートを着た異形の巨漢。そしてその陰から、いかにもヒーロー然としたタイツとビキニのコスチュームを着た豊満な女性が現れる。
「大丈夫、死んでません! 怪我してますけど!」
「じゃあこれでも食ってろ」
男が自分が殴り飛ばした巨漢に何かの塊を投げつけた。それは巨漢の体に張り付き、その傷を装甲のように覆って塞いでいく。その体を女が担ぎ上げ、猟兵たちのさらに後ろに転がした。
「で、だ。俺は見ての通り、タフで馬鹿力で傷を塞げるだけのウスノロだ」
「私は早く動いて力いっぱい殴りながら倒れた人を持って帰れます! でも頑張ってもノックアウトが限界なくらい弱いです!」
猟兵に端的に自分が何ができるかを説明する二人。彼らがグリモア猟兵が言っていた『伝手』の一つだろう。
猟兵ではない彼らはオブリビオンを殲滅できるほど強くはない。しかし、猟兵の届かない分の手足となるにはちょうどいい能力と、殺さずに一人ずつ鎮圧していける程度の戦闘力を持っている。
さあ猟兵よ、二人のヒーローと共にダストブロンクスから『スナーク』を追い出し、名もない空虚の怪物を貧しくも強く生きる者たちへ戻すのだ!
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『第一章のプレイングボーナス……『ダーティーポリス』の群れを致命傷を与えないよう鎮圧する。またその際二人のヒーローを利用する』
協力者
“ラッパ吹きの”ステントル バイオモンスターのミュータントヒーロー×白燐蟲使い(20歳、男)
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=39221
『マイティガール』メリンダ・マーズ 人間のスーパーヒーロー×パーラーメイド(19歳、女)
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=38756
死絡・送
アドリブ絡み共闘OK
WIZ
ノーブルバットに変身して参加、仲間達と協力してまずは『ダーティーポリス』の群れを致命傷を与えないよう鎮圧を目指す。
マイティガールやステントルに宜しく頼むと言い行動開始。
ダッシュとジャンプの組み合わせで動き回りながらグラップルと範囲攻撃を組みあわせて関節技祭りを仕掛けて行きノーブルアイで魅了したら
「今だ、マイティガール、ステントル!」
と叫び合図をして二人のヒーローにノックアウト役を頼む。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
お二方の協力が得られるのは心強いですねぇ。
それでは、参りましょう。
『FAS』を使用し飛行、『FGS』の重力結界を展開しますねぇ。
『銃弾』の弾道を重力結界で逸らし、更に『高速飛行』による回避行動を併せれば、当てるのは困難ですぅ。
そして【秤濤】を発動、『乳白色の波動』を放射し広域への[範囲攻撃]を行いましょう。
『魅了』は然程効かないでしょうが、『超重力波』で動けない様押え込んだ上で『暴徒鎮圧用ゴム弾』に換装した『FRS』『FSS』の[砲撃]で順に気絶させますぅ。
『FMS』はバリアによる『保護エリア』を形成、お二方は『気絶させる』手を増やすか、此方への搬送をお願いしますねぇ。
「やれやれ、もう少し有意義なことに人生を使ったらどうだ?」
集まってくる猟兵、そして駆けつけたヒーローに言うミストレス・バンダースナッチ。だが、彼らにとってはこれ以上有意義なことなど無かろう。なにせヒーローズアース全ての運命をその背に背負って戦うことになるのだ。
「マイティガール、ステントル、宜しく頼む」
死絡・送(ノーブルバット・f00528)は共に並ぶヒーローたちの名を呼んで声をかけた。
「お二方の協力が得られるのは心強いですねぇ。それでは、参りましょう」
そして夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も。二人はヒーローたちがチームとして初めて集まった場に居合わせ、それを手助けした者。さらにはその前からの面識もあり、彼らのヒーローとしての能力はよく理解していた。
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
「手伝うのが限界だからな。期待しすぎるなよ」
言いながらも、二人の士気はやはり高い。元より要請を受けここに来たのだ。猟兵の力となるのが本来の役目。そしてその力を使い猟兵が為すべきは、まずは敵の殲滅に非ず。
「分かっているな。まずは『ダーティーポリス』の群れを致命傷を与えないよう鎮圧を目指すぞ」
目的を口に出して再確認する送。この敵はあくまでミストレス・バンダースナッチの影響でスナーク化した一般人。とりわけステントルにとっては同郷者でもあるのだ。ヒーローとして、猟兵として、彼らを殺すわけにはいかない。
まずは相手の動きを制するべきと、るこるが重力制御装置『FGS』を差し向ける。さらに飛行も試みるが、ここは下水道、それほどの高度が得られるわけではない。だがそれでも水に足を取られないようにはできるため、機動面で相手に対しまずは優位を取れた。
「ミストレス・バンダースナッチ様のため、射殺せよ!」
ダーティーポリスたちが一斉に腰の拳銃を抜き、発砲する。弾幕のように発射された銃弾は、しかしまるで狙い通りには飛ばずあらぬ場所に着弾した。如何なる原理か着弾した場所が爆発するが、それは汚水を巻き上げるだけで相手を殺傷するには至らない。
「大いなる豊饒の女神、その御力の欠片による裁きをお与え下さい」
そこに重ねて【豊乳女神の加護・秤濤】を発動。乳白色の波動を撒いて相手を取り巻く重力をさらに増加、抵抗を抑え込んだ所に非殺傷弾に換装した兵装を差し向け鎮圧を図る。
「我らはミストレス・バンダースナッチ様の番犬……覚悟があるのだ!」
忠誠心を奮い立たせ、それを力に変え体さえ巨大化させて重力を振り切るダーティーポリスたち。
「魅了の効果は薄そうとは思いましたが、これほどとは……」
たとえ中身のない忠義であろうと、外側に塗り固められた『スナーク』はそれほど強力ということか。だが、一人で足りぬならまだ手はある。
「まずは動かないでいて貰おうか!」
送が一気に駆け寄って跳躍し、巨大化したダーティーポリスの腕に組み付いた。人体ほどの大きさになっているその腕に全身で絡みつき、まるで背骨折りでもかけるかのように腕ひしぎを極める。
「うおぉぉぉぉぉっ!?」
痛みに耐えかね、絶叫と共に腕を振り回すそのダーティーポリス。その振り回す勢いで跳躍し、別のダーティーポリスの肩のあたりに取り付き、そこから腕を持ち上げて全身でアームロックを極めていく。
そこからも次々ダーティーポリスの間を飛び回っては関節技祭りを仕掛けていく送。関節技は痛みによって相手にギブアップを促す技。相手の意気を挫き、殺さず取り押さえるにはまさにうってつけの技術だろう。
もちろんそれだけでは『スナーク』の忠誠は簡単には揺らがない。
「闇の正義に魅せられよ!」
そこに重ねる【ノーブルアイ】の魅了効果。視線による無意識の友好行動が、ダーティーポリスたちの行動をさらに鈍らせていく。
多重の精神攪乱と拘束により、ダーティーポリスたちは完全に動きを封じられていた。今こそ、彼らをすくい、そして『スナーク』を滅するその時。
「今だ、マイティガール、ステントル!」
「お任せを!」
「分かったよ!」
送の号令に合わせ、一気にダーティーポリスに殴り掛かる二人のヒーロー。彼らの全力の攻撃は丁度良くダーティーポリスたちをノックアウトし、その命を奪わぬままに撃沈させていく。
「倒した人たちは此方への搬送をお願いしますねぇ」
るこるが自分の後ろに円盤『FMS』のバリアで一時的なセーフゾーンを作り、そこへの運搬を促す。
倒れたダーティーポリスや、既に戻ったバイオモンスターたちをヒーローが担いで駆け戻りそこへ転がしていく。
「デリバリーもやってますので!」
「地下にピザも持ってきてくれるってか?」
アメリカナイズなヒーローたちの軽口。それこそがこの地に生きている証と、中身なき番犬からスナークを引き剥がしていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニクロム・チタノ
今まで暇潰しをして世界を混乱させていたの?ハタ迷惑なやつだね許さないよ!
まずはスナーク化してるお巡りさん達をどうにかしないと
反抗の加護あり
護りの蒼焔の力で銃弾を防御その後重力領域を展開して動きを封じるよ
ボクを手錠で繋いだりしたら大変だよ?なぜってそれは反抗の雷装が手錠を伝わってイヌのお巡りさんをビリビリ痺れさせちゃうからさ!
手荒な真似してごめんね、でもボクもここで負けるわけにはいかないからね
お巡りさん達には少し気を失ってもらうとして、早く猟書家を追わないと
クロネ・ネルネコン
アドリブなどは歓迎です
ヒーローズアースの一大事ですね!猟兵に覚醒して日は浅いですが人々と父様の会社を守る為にもがんばりますね!
罪もない人をスナーク、つまりオブリビオンに生じさせるとは許せませんね。殺さずに無力化すればなんとかなるのでしたら当然そうします。ヒーローとして、いいえ。人としてなすべきことです!
ではマイティガールさん。協力お願いします。
私が「ミューカス・ボール」で敵を気絶させていくので倒れた人たちを安全な場所までお願いしますね。
UCを使用時は攻撃回数に特化させ大量の粘液水球を作り出し次々と撃ち込みます。
一発一発は弱くても大量に撃ち込めば相手を殺さずに無力化できるでしょう(気絶攻撃)
オウガ・フォーミュラは放置すればオブリビオン・フォーミュラとなる。それは即ちクライング・ジェネシスの、そしてアースクライシスの再来にも等しい大事と言っていいだろう。
「ヒーローズアースの一大事ですね! 猟兵に覚醒して日は浅いですが人々と父様の会社を守る為にもがんばりますね!」
クロネ・ネルネコン(ミューカス・レディ・f36457)はヒーローズアースに生きるものとして、そしてそこで活躍するヒーローとして、この大きな危機に立ち向かわんと気合を入れていた。
「日が浅いと自覚しているのに私に立ち向かおうというのか。いくらどうでもいいこととはいえ時間潰しにもならないのは勘弁願いたい」
相変わらずけだるげに紫煙を噴き出しながら言うミストレス・バンダースナッチ。挑発というにもおこがましい程にやる気のないその口調には、大事を起こした自覚など欠片も見受けられるものではない。
「今まで暇潰しをして世界を混乱させていたの? ハタ迷惑なやつだね許さないよ!」
その態度にニクロム・チタノ(反抗者・f32208)が怒りをあらわにした。彼女にとってはただの暇潰しであったとしても、そのために生み出された猟書家によってどれほどの騒動と悲劇が世界に齎されたことか。猟兵として戦い続けてきたニクロム、そして少し前まで普通の人間だったクロネもそれはよく知っていた。
「罪もない人をスナーク、つまりオブリビオンに生じさせるとは許せませんね。殺さずに無力化すればなんとかなるのでしたら当然そうします。ヒーローとして、いいえ。人としてなすべきことです!」
そしてまた、ダストブロンクスの罪なき……とも言いきれないかもしれないが、決してそうされるべきではない住民が『スナーク』を植え付けられた。それを救援するのが今なすべきことと、二人は動き出す。
「まずはスナーク化してるお巡りさん達をどうにかしないと。反抗の加護あり」
ニクロムが【反抗の竜チタノの加護を】受け、護りの蒼焔で自身を包む。だが、その姿に怯むことなく、ダーティーポリスたちはニクロムに銃を向けて引き金を引いた。
いくつもの銃弾がニクロムに着弾、大爆発を起こし爆炎がその体を包み込む。そしてそれが晴れた時、いくつもの手錠がニクロムの体に繋がれていた。
爆発のダメージ、そして手錠の拘束。だが、ニクロムはそれに一切たじろぐ様子はない。
「ボクを手錠で繋いだりしたら大変だよ? なぜってそれは反抗の雷装が手錠を伝わってイヌのお巡りさんをビリビリ痺れさせちゃうからさ!」
その宣言通り、反抗の雷装が手錠を伝いダーティーポリスの側へと流れ込んでいった。直接攻撃として放ったわけではないそれはちょうどよくダーティーポリスを感電させ、動きを鈍らせる。
一旦手錠を解除し電撃を遮断しようとするダーティーポリスたちだが、ニクロムは一歩踏み込んで重力領域に巻き込んでそれもさせない。
「ではマイティガールさん。協力お願いします」
敵の動きは封じられている。ならばこのままノックアウトを狙うべき時。クロネはマイティガールに声をかけ、共にそれを成さんと敵へ迫る。
「あなたにはこれが有効そうですね。発射します!」
ミューカス・レディの必殺技、【ミューカス・ボール】が放たれ、ダーティーポリスを襲った。徹底的に攻撃回数に特化させた粘液水球が多く、広くダーティーポリスたちを打ち据え、その間に倒れ込ませていく。
「一発一発は弱くても大量に撃ち込めば相手を殺さずに無力化できるでしょう」
その狙い通り、粘液の玉という特性も相まって強い衝撃とそれに反する殺傷力の低さで、ダーティーポリスたちは次々とその場に倒れながらも深い傷を負わないまま蹲っていく。
「怯むな、撃て、撃てっ!」
まだ倒れていないダーティーポリスが賢明に銃を撃つが、水球に当たった弾丸はそれと相打ちに終わり、よしんばクロネやニクロムに届いても何重にも敷いた妨害が致命傷を避ける。そしてニクロムの方に当たってしまえば、お返しの電流が流れてくるのだ。
「手荒な真似してごめんね、でもボクもここで負けるわけにはいかないからね」
ここで猟兵が敗れればヒーローズアースが再び危機に襲われるのだ。その為今は多少の痛みは我慢してもらわねばならない。
「倒れた人たちを安全な場所までお願いしますね」
「はい!」
クロネがマイティガールに命じ、倒れたダーティーポリスを回収させる。最早抵抗することもなく気絶した彼らは、安全圏に転がしておけばいずれ『スナーク』も抜けることだろう。粘液濡れなのは、この際マイティガールともども我慢して貰おう。
「お巡りさん達には少し気を失ってもらうとして、早く猟書家を追わないと」
ミストレス・バンダースナッチはすでに逃げる態勢に入り始めている。ここで捕捉することは不可能と言われているが、それ以上を許さぬために迅速な行動が必要だ。
猟兵の目は、すでに先を見据えていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
美波・蜜香
【AS】
一般人を怪人にするなんて悪者のする事だよ!
あ、元々悪者なんだっけ
えっと、やっつけすぎちゃダメなんだよね?
だったらアリスランスの【なぎ払い】でノックアウトしたり、相手をUCで巨大化させておいて比較的ダメージの少ない【ブルーメンブリッツ】でまとめてやっつけてからステントルさんに傷を塞いでもらって、【怪力】で安全な場所へと運んでいってスナークが抜けるまで大人しくしてもらう
正義の協力プレイで、みんなを元に戻すよ!
※アドリブOK・NGなし
在原・チェルノ
【AS】
メリンダさんお久しぶり!元気だった?
っと、積もる話は後にしてまずはスナークの群れをどうにかしないとね
【残像】と【迷彩】でスナークを攪乱しながら片っ端から【サイキックブラスト】で感電させて、その隙にメリンダさんにノックアウトしてもらってお持ち帰りしてもらう
スナークが忠誠心で巨大化しても、【目潰し】で視界を奪った隙に【暗殺】で死角に回り込めば怖くないわよね!
蜜香ちゃんとも協力して、どんどん片付けちゃうわよ!
※NGなし・アドリブOKです
ヒーローズアース。そこはヒーローとヴィランの世界である。世に悪がはびこる時、そこに必ずヒーローが現れるのだ。
「一般人を怪人にするなんて悪者のする事だよ! あ、元々悪者なんだっけ」
ちょっとボケを入れつつ登場したのは、ヒーローチーム【エンジェルスクワッド】の一人美波・蜜香(ブルーメンリッター・f20221)。そしてそれに並び現れたのが在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)。
豊かな体をぴっちりしたコスチュームに包んだ、ある種方向性の分かりやすいスタイルのヒーロー二人。その否応なしに目立つ肉体を隠すことなく現れた二人は、顔見知りである同スタイルなもう一人のヒーローに声をかける。
「メリンダさんお久しぶり! 元気だった? っと、積もる話は後にしてまずはスナークの群れをどうにかしないとね」
チェルノの声にマイティガールことメリンダ・マーズも喜びの表情で二人を迎え入れた。
「はい! お陰様で二人のセットが大人気です! 感想も色々頂いていますが、今はこちらを、ですね!」
彼女もまた豊満な体にぴっちりコスチュームを纏った女性ヒーロー。三人そろえばそのサイズ感はまさに圧巻だ。
とはいえそれに惑う『スナーク』ではない。
「我々はミストレス・バンダースナッチ様に全てを捧げた『スナーク』。惑うことなどない!」
銃を抜き、あるいは警棒を振り上げ豊満ヒロインたちを制圧にかかるスナーク。警官の格好をしているが絵面的には完全にこちらの方が暴漢だ。
「えっと、やっつけすぎちゃダメなんだよね?」
アリスランス『シュテンペランツェ』をなぎ払い、ダーティーポリスを殴り倒していく蜜香。突き刺すのではなく側面を叩きつけることで打撃主体の運用とし、致命傷を与えないようにしていく。
「ほらほらこっち! 捕まえてごらん!」
チェルノは敵中に飛び込んで残像を残すような動きで攪乱、それを追ってがら空きとなった相手の体に【サイキックブラスト】の電撃を当て、相手の動きを一時的に封じる。
「いまだよ、やっちゃって!」
「はい!」
そうして動けなくなった相手をマイティガールにノックアウトさせ、次々相手を沈黙させる。能力に合わせた明確な役割分担と装備の運用で、次々丁度良くKOされていくダーティーポリスたち。
「今こそ我らの覚悟を見せる時だ!」
だが敵もここが正念場。ミストレス・バンダースナッチへの忠誠を爆発させ、巨大化していくダーティーポリスたち。しかしその忠誠は所詮外側から植え付けられたもの。巨大化してもその体ががこの下水道に収まるレベルであることからもそれは察せられる。
相手もユーベルコードを投入したとあってはヒロインたちもギアを上げなくてはなるまい。
「まずは……目ね! こっちの体の見せ所!」
チェルノがマイティガールと共に跳躍し、ダーティーポリスの顔目がけて飛び掛かる。そこから繰り出されるのは体を広げてのボディアタックや組み付いて体を押し付けての目潰し。巨大化したダーティーポリスの顔面さえなお包み込む二人の豊かなる体が、ダーティーポリスたちの視界を次々と奪っていった。
「み……見えん! 何というサイズだ!」
柔軟に目を塞がれうろたえるところに、蜜香が今が好機と迫る。
「正義の花吹雪、吹き荒れるよ!」
暗い下水に吹き荒れる【ブルーメンブリッツ】によるピンク色の閃光の嵐。それをダーティーポリスたちは避けることもできず纏めてなぎ倒され、耐えきったものも死角からのチェルノによるとどめによって昏倒していく。
「ステントルさん、おねがい!」
「任せろ!」
蜜香の声に応え、これまた巨大な体……ただしこちらはダーティーポリスと同方向に、なバイオモンスターステントルが倒れた敵を回収していく。流石に猟兵のユーベルコードを受けたとあって敵にはそれなりの傷が入っているが、それを彼は自身の体の一部であるラッパムシを変じさせた装甲でふさぎ、そのまま猟兵たちの後ろに乱雑に転がした。
「どんな巨体も死角に回り込めば怖くないわよね!」
「スナークが抜けるまで大人しくしててね!」
残る敵も対処は容易いとマイティガールと共にアピールするチェルノと、後ろに転がった相手をステントルに任せて前を見る蜜香。彼女たちの格好でこれは一つのフラグでは……と一部の文化に明るい者は思うかもしれないが、今回に限ればそんなことは一切ない。
「蜜香ちゃんとも協力して、どんどん片付けちゃうわよ!」
「正義の協力プレイで、みんなを元に戻すよ!」
そこからも連携を決め、残るダーティーポリスも昏倒させていくヒロインたち。全てのダーティーポリスが倒れ転がった時、そこには軽く汗をかくだけで一切の穢れのないヒロインの姿のみがあった。
「これでいいだろ。どうせ腕の2、3本折れるなんざ慣れ切った連中だ。死にさえしなきゃ文句は言わねぇよ」
「大丈夫です、救護や物資の補給は我が社が総力を挙げて行います! なんたって組織がバックについてますから! ローカルですけど!」
バイオモンスターたちの後処理は任せろという二人のヒーロー。その言葉を受け先ほどまで敵がいた側を向けば、ミストレス・バンダースナッチの姿は既にそこには無い。そして猟兵を導くように、そこに転移の光が現れる……
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ティガーウーマン』
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POW : タイガーエルボー
単純で重い【虎の気を纏ったエルボー】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : タイガーフライングボディプレス
【空中を駆ける事】によりレベル×100km/hで飛翔し、【高さ】×【落下の衝撃】に比例した激突ダメージを与える。
WIZ : 痛みは強さ!
自身の【勝利】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アテナ・カナメ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
巨大な樹木生い茂る熱帯のジャングル。冬だというのにそこは蒸し暑く、周囲には極彩色の花が咲き空を飛ぶ鳥、地を這う虫や蜥蜴もその一匹ずつが極端なまでに大きい。さらに遠目には、6500万年前の地上の覇者であった巨大爬虫類、恐竜が闊歩している姿さえ見える。
ここはセンターオブジアース。ヒーローズアース中心に広がる大空洞であり、原初の炎燃え盛る神が支配する文明。
そこに二人の女がいた。
「どうせここにもすぐ追手が来る」
「分かってるよ。そいつらをぶっ倒せば約束通り、地上はあたしのものにしてくれるんだろうね?」
「好きにしろ。誰がどこを支配していようと私にはもう関係ない。誰が死のうともな」
一人は煙管を咥えたけだるげな女、ミストレス・バンダースナッチ。そしてもう一人は、虎を模したマスクを被った高露出の女。
ミストレス・バンダースナッチのやる気なさげなその言葉に、しかし虎の女は奮起したかの如く全身から虎そのものにも見える気を滾らせる。
「その通りだ。あたしだって最初はヒーロー面して助けてやったさ。だがいくらやったってヴィランはちっとも減りゃしない。それどころか正義の反対は別の正義なんて屁理屈捏ねて悪党守る連中まで湧いてくる始末だ。だったらもう……全部ぶっ殺すしかないだろ!」
彼女なりに理由があることではあるらしい。だが、それを明らかに聞き流しているミストレス・バンダースナッチの態度に彼女は気づいているのか。
「まあ、頑張ってくれ。私は行くぞ」
グリモアの転移とはまた違う光をくぐり消えていくミストレス・バンダースナッチ。それを見送り、女は歩き出す。
「さぁて、ウォーミングアップがてら最近地上とつるんでるって奴らをぶっ殺しに行くか……」
肩を回して上げたその腕に、長い鞭が絡みついた。
「僕のことだろ? こっちから来てあげたよ!」
その鞭を操るのは大型獣脚竜に跨った半裸の少年。その力の見た目以上の強さに、女の足が止まる。女がそちらの方を振り向くと、彼を守るかのように二人の巨人の姿が重なる。
『正邪相合わせてこその人、命。汝、世界和するに非ず』
『彼ありてこそ境のうちに我あり。汝、世界定めるに非ず』
それは神。ただの種族ではなくより超常の力を持ったもの。その加護あればこそ自分を子供一人が抑えられるのかと女は合点がいく。
「邪魔すんじゃないよ……くたばったんならそのまま消えとけ!」
力を込めて鞭を振り払う女。彼らは他者に宿り力を貸しているだけ。既に実体は滅びた神なのだろう。己も超常の神たる女は、相手が三者纏まれど己に能わずと見切る。
だがさらに追い打ちをかけるかのように、光の扉が開きそこから大勢が現れた。その姿を見て、少年は声を上げる。
「待ってたよ! 僕は鞭で捕まえて、ジュニア……この恐竜は噛んだり体当たりできる!」
彼もまたグリモア猟兵が用意した『伝手』だろう。神の加護を得た彼はダストブロンクスで出会ったヒーロー二人分と同等の力が一時的に湧きだしている。
大勢に囲まれ、しかし女の戦意は微塵も衰える様子はない。
「ふざけるな! 全部真正面から相手取ってやるよ! このティガーウーマンを舐めるな!」
全身から湧きだす虎のオーラは並のオブリビオンを遥かに凌駕するもの。だがこの力こそ彼女に与えられた『スナーク』であり、やがて彼女さえ空虚に飲み込む虚ろの力。
猟兵よ、絶望の果て先と本質を失った神を滅し、ミストレス・バンダースナッチを追え!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『第二章のプレイングボーナス……『ティガーウーマン』に単独での速攻または無生物含めた他者との連携をかける。その際ヒーローを利用する』
協力者
”神獣使い(見習い)”アニマ&ポチジュニア 神のスピリットヒーロー×ビーストマスター(外見10歳、男)
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=39201
『融和の神』と『境界の神』
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=40806
在原・チェルノ
【AS】
今度の助っ人は神様って訳ね
遠慮なくその力、お借りするわよ!
蜜香ちゃんや他のヒーローと協力し、ティガ―ウーマンを迎え撃つ
エルボードロップはジャンプして空中から落下して肘を叩きつける技
だったらそのカウンターを蜜香ちゃんに任せてあたしは手裏剣の【乱れ撃ち】で【目潰し】して蜜香ちゃんのフォローに回る
アニマくんに絡め取られたティガ―ウーマンが落下したら、蜜香ちゃんとタイミングを合わせて【神羅迅雷】の一撃をお見舞いするわよ!
「たとえあなたがみんなに絶望しても、それでもあたし達はみんなを信じ続ける。…今のあなたにはどうでもいい話でしょうけど」
美波・蜜香
【AS】
今度は遠慮なくやっつけていいんだよね!よね!
『融和の神』の力を借りて、協力プレイでノーミスクリアだよ!
敵がUCを使おうとしたら【空中浮遊】でそれを追って空を飛んで【怪力】で押さえつけて技を封じる!
ジャンプの最頂点に到達する前に押さえればエルボードロップは効果が半減するんだよね!
その隙にアニマくんに敵を鞭で捕まえて地面に叩きつけてもらう
そこへチェルノさんとタイミングを合わせて空中からの【ランスチャージ】とUCで同時攻撃!
炎燃え盛るセンターオブジアース。ミストレス・バンダースナッチを折ってそこに来た猟兵たちを迎え撃つのは、彼女から『スナーク』を与えられた一人の女神だ。
だが同じスナークでも、先に猟兵がダストブロンクスで戦った者たちとは違う。ミストレス・バンダースナッチの撒く紫煙により強制的にスナークへと変えられた彼らと違い、この神は自らの意志でスナークを受け入れ、自らの力としていた。
「今度は遠慮なくやっつけていいんだよね! よね!」
それ故元に戻すため手加減の必要があった前回とは違い、美波・蜜香(ブルーメンリッター・f20221)の言う通り倒していい……むしろ倒さねばならない敵。彼女を倒さない限り既に逃げたミストレス・バンダースナッチを追うこともできないのだ。
「舐めたこと言ってくれるね。あたしをそんな簡単に倒せるとでも?」
自らが通過点として見られていることを不服に思ったか、苛立ったように声を上げる女。ティガーウーマンの名の通り、その体からは『スナーク』が虎のようなオーラとなって立ち上っている。
まさに神域と呼べる力だが、しかしそれに怖じる様子は猟兵には無かった。
「今度の助っ人は神様って訳ね。遠慮なくその力、お借りするわよ!」
在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)の言葉通り、猟兵の側にもまた神の力が託されているのだ。それは一つは種族として実体を持つ神。そしてもう一つは、実態を失えどなお力と加護を与える超常の神だ。
「『融和の神』の力を借りて、協力プレイでノーミスクリアだよ!」
「蜜香ちゃんや他のヒーローと協力し、ティガ―ウーマンを迎え撃つ!」
二人が連携する意思を見せれば、それに呼応するように二人、そして現地のヒーローを神の力が繋いでいく。それを断ち割らんかのごとく、ティガーウーマンが大きく跳躍した。
「くたばった神に何ができるっていうんだい!」
「今だよ、蜜香ちゃん!」
彗星の如き鉄肘を繰り出さんとするティガーウーマン。それを着弾前に蜜香が飛び、勢いが乗る前に空中で強引に抑え込んだ。
「ジャンプの最頂点に到達する前に押さえればエルボードロップは効果が半減するんだよね!」
肘うちの体勢に強引に力比べを挑むことで発動を防ごうとするが、ティガーウーマンの体さばきもかなりのもの。不安定な体勢でなお強引に肘を下ろし、空中で蜜香を叩き割らんとする。
「ちょっととんだくらいであたしの技を何とか出来ると思ったかい!」
ユーベルコードだからというだけでなく、元々そう言うファイトを得手としているのかティガーウーマンのプロレス技はただの見せ技に留まらない威力がある。言葉通り蜜香の拘束も徐々に緩められて行くが、元より彼女とて一人で全て抑えられるなどと思ってはいなかった。
「アニマくん、よろしく!」
「うん!」
地上から実体ある神の少年、アニマが鞭を伸ばし、それをティガーウーマンの体に巻き付けた。それを肘うちとは逆の手で掴み引きちぎろうとするが、そこにチェルノが手裏剣を顔に向けて乱れうちにし視界を塞いで妨害を試みる。
「ち、なんなんだいあんたたちは!」
連続で出される攻撃と拘束に苛立つティガーウーマン。本来ならば『スナーク』の力でこの程度纏めて振り払えるはずなのにそれができないのも苛立ちの一因か。
その理由は、他者との協力、共生を是とする『融和の神』の力が流れ込んでいるから。それは連携を重ねるごとに強化されていき、やがてはスナークすら上回る力となる。それを示すかのように、猟兵ならぬ身であるはずのアニマが鞭を引けば、それはティガーウーマンの抵抗を無視しその体を地に叩きつけるに至った。
「ぐあっ!?」
不発のエルボードロップの体勢のまま強かに叩きつけられたティガーウーマン。すぐに立ち上がろうとするが、反応速度も高められた猟兵たちがそれすらも許さず追撃にかかる。
「いくよ、蜜香ちゃん!」
「うん、チェルノさん!」
アリスランスを構え突進する蜜香と、踏み込んで掌底を繰り出すチェルノ。二人の攻撃を避けることもできるティガーウーマンがその身に受ける。
「貫け、想いの光!」
そこから【リヒトシュトローム】のエネルギーがティガーウーマンの体を駆け巡りその肉体を破壊していき。
「灼き滅ぼせ、破邪の一撃!」
【神羅迅雷】の一撃がスナーク諸共ティガーウーマンを大きく吹き飛ばした。
纏うオーラを消し、遠くへ転がるティガーウーマン。
「たとえあなたがみんなに絶望しても、それでもあたし達はみんなを信じ続ける。……今のあなたにはどうでもいい話でしょうけど」
人に絶望し『スナーク』を受け入れたティガーウーマン。それはヒーローとして真の敗北であり決してならぬことというチェルノの声は、やはりティガーウーマンには届いていないようであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
WIZ
守護霊の【ドーピング】で戦闘力を高め【迷彩】魔法で透明化。
アニマ達と交戦中の彼女に【不意打ち・怪力・捕縛】の抱擁。
アニマ達を利用した事で加護も得る
正義なんて、業を背負う覚悟の無い人間が
不都合な存在を体よく排除する為に作った免罪符。
真の正義があるとすれば
人類もオブリビオンも全て救う意志を持つ者だけ
【念動力・解体】で彼女の裸体と素顔を暴き
唇・乳・局部に口づけ【慰め・生命力吸収】しつつ
媚毒の【呪詛】唾液を塗り付ける【マヒ攻撃】
人類を憎み、下心ありきで貴女達を救う……
私の心と行動に一点の曇り無し。全てが悪よ
拒まれても『歪愛・救済の華』で
身動き・強化UC・スナークの力を封じ
救済に導くわ
一度膝をつかされたとは言えどティガーウーマンの地力はまさに神の領域。大きく削られれど猟兵が一度引けば再度立ち上がり戦うことも容易い。
「次が来るまで、僕が止めるよ!」
少年神アニマの勇ましい覚悟。無謀な特攻ではなく時間稼ぎを目的としているのは己の分を弁えているとも言えるが、ティガーウーマンとの力の差を考えればそれでも相当に重い役目だ。
「強い味方が来て調子にのったかい? もうちょっと利口になりな坊や!」
それはティガーウーマンの方にも十分に分かっていること。これ以上彼が『便利な道具』にされる前に仕留めてしまおうと一気呵成に責め立てていく。それを相棒の恐竜ポチジュニアと共に抑えようとするアニマだが、力の差はやはり大きくすぐ押されてしまう。
「捕まえられれば……!」
鞭による捕縛を得意とするがそれを中々決められないアニマ。彼を仕留めようと一気に踏み込んだその体を、別のものが後ろから戒めた。
「なんだ!?」
ティガーウーマンが首をひねり後ろを向くが、その目には何も見えない。いや、よく見れば周囲の景色がどこか歪に歪んでいる。それはまるで人の輪郭のようだ。それを見た時、アニマは大人しく鞭を引いた。
「これで加護も貰ったわ」
声とともにはっきり姿を見せたのはドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。アニマは彼女とある程度面識があり、他人との共闘を好まないのも何となく分かっていたのでそこで手を引いたのだ。
「は、神のご加護だけ掠め取りに来たってわけか。いいねぇ、殺し甲斐があるよそういう奴は!」
アニマに注力しているところを不意打ちし、他者と共闘しないままに融和の神の加護を受ける。確かにそれだけ見れば掠め取りだが、実の所融和の神の力は召喚、使役物にも及び、ドゥルールが得意とする死霊術も例外ではない。スロースターターな代わりに及ぶ範囲が広範かつ青天井である弟神の力。それを知らなかったのかそれとも彼女が譲歩できる範囲でアニマの意思を汲んだのか、それはドゥルール自身が語らぬ故誰にも分かることではない。
何よりそれ以上に告げるべきことが彼女にはある。
「正義なんて、業を背負う覚悟の無い人間が不都合な存在を体よく排除する為に作った免罪符。真の正義があるとすれば人類もオブリビオンも全て救う意志を持つ者だけ」
言いながら、ドゥルールはマスクを含めティガーウーマンの着衣を剥ぎ取っていく。彼女の衣服に防御力や特別な力があるわけではないが、ヒーローとして、覆面レスラーとしての象徴を奪われるのは彼女にとってはこの上ない辱めだ。
「自分がその正義だっていうつもりか? こんなふざけた真似しといて!」
その服をあえて剥がれるままにされるティガーウーマン。その屈辱、心の痛みは勝利がための力となり、全身に虎のオーラを湧き上がらせていく。
その間も体をまさぐり、吸い付き、少しずつ生命力を吸い上げながらドゥルールが言う。
「人類を憎み、下心ありきで貴女達を救う……私の心と行動に一点の曇り無し。全てが悪よ」
人もオブリビオンも救うものが正義なら、彼女は間違いなくそれから外れるだろう。己の目に適ったオブリビオンだけを救い、他を省みず人を憎みさえする彼女は己がティガーウーマンに言った正義とはまさに真逆の存在。
「なんかどっかの悪徳政治家ぶっ殺した時思い出したね……じゃあ久しぶりに正義のお仕事してやるよ! くたばりな!」
爆発した力で対に拘束を振りほどき、ドゥルールに殴り掛かるティガーウーマン。それはただの拳打ながら並のユーベルコードを凌駕するほどの威力を持つ、『スナーク』を乗せた一撃だ。
だがその一撃こそが、ドゥルールが待ち望んでいたもの。
「貴方に救いを」
「さあ、楽園へ参りましょう」
突如現れた女性たちが、服の中から大量の触手を伸ばす。それはティガーウーマンに巻き付いていくが、そこに一切のダメージはない。
「は、くすぐり攻めか何かのつもりか? 遊んでんじゃないよ!」
そのままそれを突っ切り拳を叩きつけるティガーウーマン。だがそれは痛み、そしてスナークが乗ったとは思えないほどに貧弱な一撃と成り果てていた。
【歪愛・救済の華】の触手は相手を傷つけない代わりに強化を消す。かつてはこのセンターオブジアースの地でこれによって不死の怪物の力を消し去った。そして今はミストレス・バンダースナッチが持ち込んだスナークの力を。
「ふざけるな……あたしは、元々強いんだよ!」
言葉通りに力を込め触手を千切りドゥルールを殴りつけるティガーウーマン。それを躱しながら彼女から生命力をより強く吸い上げるドゥルール。痛みなき恥辱に体を震わせながら、ティガーウーマンは抵抗をやめない。
悪に落ちた正義と悪を成すため正義の側に手を貸した者。正邪の境も融けた戦いは、神が膝を尽き果てるまで続くのであった。
成功
🔵🔵🔴
ニクロム・チタノ
正義の反対は別の正義か・・・ボクにとっては圧政は正義とは言い難いけどね
アナタの嘆きもわかるけどアナタが壊す側に回ったら元も子もないよだから・・・嘆いて反抗の聖剣よ
もたもたしていられないんだ、直ぐに決着をつけさせてもらうよ!
重力操作で敵の周辺の重力を倍化して出だしを潰しつつ蒼焔を聖剣に集中して攻撃力を強化するよ
余力を残して置きたいけど生半可な攻撃じゃ倒せないなら全力の速攻で撃破するよ
圧政に堕ちた神に反抗の聖痕を
アナタは悪そしてボク達猟兵は正義そこは決して揺らがないよ!
ティガーウーマンは今でこそ『スナーク』と化し地上人類の根絶を望んでいるが、元は人を救うために戦うヒーローであった。そんな彼女が心変わりしたのはどれほど救えど絶えぬ悪と、その悪さえ受け入れようとする多様性。多様であることだけが絶対の善であるかの如きその主張は、一つの正義の為に戦った彼女にとっては裏切りにも等しい行為だったのだろう。戦いの中破れても全く同じデザインの新しいコスチュームを身に纏う彼女は、まさにその生き方を誇り、本来はそれしかできぬ存在だったのかもしれない。
「正義の反対は別の正義か……ボクにとっては圧政は正義とは言い難いけどね」
そして多様だろうと何だろうと肯定してはならない、どうあっても正義にならぬものもある。ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)がその一つを上げると、ティガーウーマンも腕を組んで頷いた。
「あたしもそう思うさ。けどそういう奴をぶっ倒してすぐ、助けられた本人がそう言いだすんだ。ちょっと前まであいつを殺せとか言ってた奴がだよ。それでやる気を持ち続けてられるほど、あたしは物忘れはひどくないさ」
ティガーウーマンが人を見限った理由の一つ。それは危機が去れば無責任に相手に同情し分かった素振りを見せる態度にあるのだろう。
「アナタの嘆きもわかるけどアナタが壊す側に回ったら元も子もないよ。だから……」
それに嘆く心そのものはニクロムにも理解できる。ともすればティガーウーマン、そしてミストレス・バンダースナッチを倒した先にヒーローズアースの人々がそうなるかもしれないのだ。それでも。
「嘆いて反抗の聖剣よ」
妖刀を抜き、【其の妖刀の真名を】掲げてニクロムはティガーウーマンに切り込んでいく。
「嘆いてる暇があったら殺せばいい、あたしはそう結論付けたんだよ!」
そのニクロムを弾き飛ばそうと跳躍し肘うちを繰り出さんとするティガーウーマン。だが、そのしなやかな肉体は宙を華麗に舞うことは出来ず、無様に地面に倒れ込むばかりだ。
「ぐっ……これは……!」
ニクロムの重力操作によりエルボードロップの出だしは潰された。さらに護りの蒼焔を自らの剣に纏わせ、そこに追い打ちをかけていくニクロム。
「く……なめるな……!」
ティガーウーマンは重力の中何とかそれを転がって躱す。だがその動きも重力に囚われ決して早いものではなく、一方で術者であるニクロム自身は自由にその中をかけ、鋭い追撃を連続でかけた。
聖剣が僅かに体を掠めるだけで蒼焔が体に回り、身を焼いていく。その炎の周りは通常の火炎よりはるかに速い。
「ちくしょう……お前もか……!」
ニクロムの背に厳めしい顔の巨人が浮かぶ。他者との交わりを拒み、彼我を分かつ者に力を与える『境界の神』。ニクロムの反抗と、そしてティガーウーマンの境遇自体は理解しながらも戦うという姿勢は決して崩さぬ覚悟。神はそれに力を貸し、ニクロムは最初から全力以上の力を持ってティガーウーマンへを抑え斬ることができたのだ。
「余力を残して置きたいけど生半可な攻撃じゃ倒せない。なら全力の速攻で撃破するよ。圧政に堕ちた神に反抗の聖痕を」
本当に討つべき大物はまだ先にいる。だが、その前に立ちふさがるこの敵を倒さねばそこにたどり着くことは出来ないし、手加減をして勝てるほど生易しい相手でないのは分かり切ったことなのだ。
境界の神の力は最初から全開な代わりに積み増しが起こりづらい。まさに速攻に向き、そしてそれを心がけねばならない力。その力は一人で立ち向かうものに敵を倒す力を与える。
その力を蒼く燃える聖剣に乗せ、ニクロムは改めて敵との断絶を宣言する。
「アナタは悪そしてボク達猟兵は正義そこは決して揺らがないよ!」
相容れぬ、己と相手を分かつ反抗の一撃が振り下ろされ、その一撃が猟兵と神を勝者と敗者に切り分けたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
死絡・送
アド絡み共闘OK
POW
前回に続きノーブルバットに変身して参加、今回も仲間やヒーローや神々と協力して戦う。
「心が挫けた元ヒーローか? ならば現役の俺達が成仏させてやる!」
相手がレスラー型ならこっちもレスラー。
速攻を仕掛けるべくアニマに鞭で相手を捕えてもらう。
「隙ありだ、まずは腕一本1」
アニマに目が行った、ティガウーマンへ近づきグラップルと部分破壊
を組み合わせた飛びつき腕ひしぎ十字を仕掛けてから離脱。
召還術でジガンソーレを呼び出して搭乗してビームで攻撃。
敵がユーベルコードを使って来たらオーラ防御とかばうで
味方ごと守りに行く。
反撃で「地獄へ落ちろ!」
と味方の動きに合わせてプロミネンスバスターを使用
クロネ・ネルネコン
アドリブなど歓迎です
あなたにどのような考えがあってオウガ・フォーミュラに与しているのか、詳しい経緯は知りませんがあなたのやろうとしている事は未来を壊す行いです!見過ごせません!
ここは速攻で行きましょう!アニマさんよろしくおねがいしますね。
今回アニマさんにお願いしたいのはズバリ敵の妨害です。
私は真っ直ぐ駆け寄り接近戦を仕掛けるので敵はユーベルコードでの迎撃を行ってくるでしょう。
なので、敵ユーベルコードの初動を鞭による拘束などの妨害で邪魔をしていただければと思います。
妨害の間に接近できたら「肉体改造」手術で手に入れた「怪力」自慢の超人的な身体能力から繰り出す「ブレード・キック」で勝負を決めます!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
此方としては、然程時間は掛けられませんので。
アニマさんに『鞭による拘束』での『準備完了までの時間稼ぎ』をお願いしますぅ。
『FAS』を障壁に使い守りを固め、【接穣】を発動し『FMS』のバリアで敵方の周囲を囲い、閉じ込めますねぇ。
元々の『超強化』に加え、『祭器との連携』且つ『相手との境を作る』形ですから、双神の力も重ねられる上、『エルボー』で破壊しても『即時修復』が行われますので、十分な強度での拘束が可能ですぅ。
後は、同様の『超強化&即時修復』が施された『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』による閉鎖空間での[爆撃]、『FBS』の斬撃も重ね集中攻撃、一気に叩きますねぇ。
ヒーローズアースにおいて、ヴィランからヒーローへ転向する者は少なくない。だが一方、それに比べれば数は少ないもののヒーローからヴィランへ堕ちる者もまた一定数いるのもまた事実が。
「心が挫けた元ヒーローか? ならば現役の俺達が成仏させてやる!」
ティガーウーマンがまさにそのような経歴の持ち主であることを知る死絡・送(ノーブルバット・f00528)は、今を生きるヒーローとして彼女に引導を渡すべくその前に立つ。
「あなたにどのような考えがあってオウガ・フォーミュラに与しているのか、詳しい経緯は知りませんがあなたのやろうとしている事は未来を壊す行いです! 見過ごせません!」
そしてもう一人、クロネ・ネルネコン(ミューカス・レディ・f36457)も最近活動を始めたばかりとはいえヒーローズアースの現役ヒーロー。相手の事情や善悪の複雑な絡み合いを紐解いていくには経験不足かもしれないが、それでも止めねばならないこと、戦わねばならない相手を見間違えることはない。
「苛つかせてくれるね、あたしも昔はそんな風に息巻いてたよ!」
ティガーウーマンもかつてはそのような志を持ち、人を守っていたのだろう。そしてそれに失望し、『スナーク』の力を受け空虚な怪物へと成り果てたのだ。
それは折れ失われた心の中を満たすものでは決してあるまい。だが、その外側に着けられる力としては途方もなく強く恐ろしいもの。決して決意や覚悟だけで乗り越えられるようなものではない。
「此方としては、然程時間は掛けられませんので」
しかし夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、彼女を通過点として足早に通り過ぎんとしていた。決して相手を軽く見ているわけではない。この強大な障害すら足早に通り過ぎねばならない、事態はそれほどに逼迫しているということなのだ。
そして戦いを早期に決めたいというのは他の二人の意見も一致するところ。
「ここは速攻で行きましょう! アニマさんよろしくおねがいしますね」
「ああ、そのために頼みたいことがある」
そのために使えるものは何でも使うべきだ。三人は若き神である”神獣使い(見習い)”アニマに協力を要請した。それに答え、アニマは相棒である恐竜の上で自らの武器を構える。
「大勢でかかりゃ何とかなると思ってるのかい。あんまりあたしを舐めるなっ!」
これが一番の得意技なのか、高い跳躍からエルボードロップをかけるティガーウーマン。だがこの技は、得意であるだけに何度となく披露されて来た。そして未熟ながら、それを使われた回数だけ眼前で見た者がいる。
「僕のことも舐めるなよっ!」
ティガーウーマンに絡みつくアニマの鞭。猟兵ではない彼であっても、不死の怪物の番をする一族の者であり、ヒーローズアースのヒーローなのだ。今までのように巻き込まれたのではなく自分の意思でここに立ち、三人の猟兵から一つの役目を託された。それを果たせずしては自分を助けてくれた猟兵にも、出来たばかりの他文明の仲間にも合わせる顔がない。
それを全力で振りほどこうとティガーウーマンがアニマの方を見た。その視線を奪うこともまた彼に託された役目の一つ。
「隙ありだ、まずは腕一本!」
鞭を引きちぎろうとしたその腕に、送が飛びついて腕ひしぎ十字固めを決めた。受け身を捨て相手諸共地面に倒れる衝撃まで乗せたそれは、ギブアップではなくへし折ることを目的とした本気の殺人技。
「あたしにレスリングで挑む気か!」
見た目通りにレスラースタイルを得意とするティガーウーマンが体を捻って抜けようとするが、その前に送は自分から離れて飛び退る。そこから入れ替わるように接近するのはるこるだ。
「そのまま準備完了までの時間稼ぎをぉ」
腕を痛め、アニマの拘束が続いている今がチャンス。周囲に障壁とバリアを作れる兵装を展開し、相手を完全にそこに閉じ込める。
「大いなる豊饒の女神、豊かなる器を今一度、新しき力へとお導き下さい」
【豊乳女神の加護・接穣】を発動し兵装を強化するるこる。だが、ティガーウーマンは構わずそれらに肘を叩きつけた。
「こんな趣味の悪いリング、願い下げだね!」
必殺のエルボーは強化された兵装さえ容易く叩き壊す。だがユーベルコードの効果によりそれはすぐに元に戻り、またティガーウーマンを閉じ込める檻となった。
「ち、面倒くさい……じゃあ体ごといきゃいいだろ!」
今度は肘を突き出しながら体当たりの形で肘うちを繰り出すティガーウーマン。これならば破壊と同時に囲みを突っ切れる……そのはずだったのだが、破壊と共になぜかその体は先へ進むことを阻まれた。
『汝この世界に出ること能わず。その境、踏み越えること許さぬ』
重い男の声。『境界の神』が場を隔てる兵装に力を貸していた。
『兄よ、いつの間に後からの力添えを覚えた』
『言うな弟よ。我とてもう少し活躍したい』
荘厳な声で冗談のような言い合い。ジャスティス・ウォーで殺し合ったはずの兄弟がこうしていられるのも猟兵の活躍の一つの作用か。
そして神の力を持つ折となった場所に、るこるは一気に兵装を差し向け封殺を図る。無機物であれ愛用の武器となればそこに融和の神の力も宿り、そしてそれを当てるべく戒めるアニマの鞭もより強い拘束となる。またその足となり、相棒ポチジュニアも深く地面に爪を指し大地そのものを自らの支えとして立った。
誰から倒すべきか。ティガーウーマンは一瞬の逡巡の後、やはり明確に実力の劣るアニマに狙いを定める。だが、その前に鋼の巨体が立ちふさがった。
「地獄へ落ちろ!」
檻の中で暴れまわる兵装に追従するように、送がスーパーロボット『ジガンソーレ』に飛び乗り檻の中に飛び込んだのだ。5メートルの圧巻の巨体はさしものティガーウーマンの力でも簡単に凹ませることは出来ず、得意の力比べでも不利を取るように押し返され兵装に嬲られるままになっていく。
「太陽の紅炎が一切の邪悪を焼き尽くす、プロミネンスバスター!」
そのまま押し込みとばかりに密着距離から【プロミネンスバスター】を発射。消えない炎がティガーウーマンを包み、神の力さえもを焼き尽くしていく。
「よし、このまま一気に速攻します!」
今こそ勝負を決める時。さらに境界を飛び越え、クロネが砲撃と爆撃の嵐の中ティガーウーマンに飛び掛かった。
「悪を斬り裂く脚撃です。覚悟してください!」
正義を成すため改造した肉体に宿る怪力から繰り出す【ブレード・キック】。圧倒的な身体能力から放たれるそれは最早打撃に非ず。その鋭さは既に斬撃の領域。ミューカス・レディの必殺キックが本質なき虎のオーラを切り裂き、その奥にある中身を失った体を深く深く切り裂いた。
「あたしが、あいつが死んだって……悪の芽は消えやしない……もし消えたとしたって……あんたたちが忘れられるだけだ……きっと次のスナークは、あんたたちさ……!」
切れた体から金のオーラを散らせ、ティガーウーマンは消滅した。その後にはまるでその存在など最初からなかったかのように骨の一つすら残らず、ただ中身のなくなった虎のマスクが落ちているだけであった。
ティガーウーマンの消滅と共に猟兵の前に光の扉が開く。それをつい先ほども全員がくぐった転移の光。
「あの人が使った力が完全に消えたか分からない。僕はここで見張ってるよ」
アニマは勿論それが何かは知らないが、敵が空間を越えた移動ができることは分かっているのだろう。
『我らは最早形留めること能わず。されど忘れるな。我ら常に共にあり』
『この戦い最早我らの力及ぶところに非ず。されど忘れるな。我ら常に内にあり』
力を使い果たしたのか、兄弟神の姿も薄くなっていく。彼らはこのまま消滅するのか、あるいは己が司るものそのものとなるのか。
だが、今考えるべきはその去就ではない。彼らは猟兵を信じ、全てを託したからここに残り、消えるのだ。
ここに来た時と同じように、猟兵は光の中へ飛び込んでいく。その先にある、最後の戦いへ臨むために。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ミストレス・バンダースナッチ』
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POW : 紫煙の狙撃手
自身の装備武器を【紫煙のバレットXM500(対物狙撃銃)】に変え、【あらゆる障害物を貫く狙撃】能力と【紫煙に触れている対象の位置を捕捉する】能力を追加する。ただし強すぎる追加能力は寿命を削る。
SPD : 紫煙の格闘家
自身のオリキャラ「【紫煙の格闘家】」を具現化する。設定通りの能力を持つが、強さは自身の【周囲の戦場に満ちる紫煙の量】に比例する。
WIZ : 紫煙のスナークシールド
自身の【煙草】から【紫煙のスナークシールド】を放出し、戦場内全ての【敵が行う攻撃】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
イラスト:machi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
三度目の転移を抜けた先。そこは直前までの戦場であった緑あふれる大地とは打って変わって、青に支配された世界。
足元を埋め尽くし、塔の如く聳えるのは極彩色の巨大な珊瑚。上を見上げれば白の混じる青い空が見えるが、それを構成するのは空気と雲ではなく水とそこに差す光。
ここはアトランティス。ヒーローズアースの知られざる文明の一つであり、適応光線を浴びた人間たちが超技術を持って暮らす海底都市だ。ここはその中でも自然環境との調和を良しとし、巨大サンゴ礁を破壊せず利用し築かれた美しい都市。
だがその町は、今毒々しい紫色に包まれていた。
アトランティスは海洋都市ではあるが、そこに住む人間たちは海に適応した体を持っているわけではない。あくまで技術の力による外付けでそこに住む力を得ているだけであり、それが及ばぬ自然の力を遮断するため海底都市はドームに覆われているのだ。その中に過剰なほどの煙が発生すれば、当然それは逃げ場なく中を満たすことになる。
その中心にいるのは一人の女。
「やれやれ、もう追ってきたのか。まあ、時間稼ぎ程度にはなった。久しぶりに仕事とやらをした気分になれたぞ」
女の咥えた煙管から、煙草というには余りにも多すぎる紫煙が立ち上り辺りを埋め尽くしている。そしてその煙の中から、何人もの人型をしたものが這い出してきた。
水のような髪を持った少女、謎の金属鎧を身に着けた豚に似た亜人、体が腐ったように崩れた動く死体、眼鏡をかけた張り付いた笑顔の少女など、一見すればまるでまとまりのない集団。
武器を持つ者はそれを構え、持たなくとも戦いの構えを取る彼らは全てこの紫煙に巻かれ、体を変えられたこの海底都市の住人。まるで違う見た目を持つそれらは、しかしすべて同じ名を持つ。『スナーク』と言う名を。
「……で、こいつらはどういう集まりなんだ? 知っていたら教えてくれ」
そのスナークの創造主である女、ミストレス・バンダースナッチは自分が作ったものであるのに何も知らないかのようにそう尋ねた。
「君に振り回された被害者の会、かな」
その問いに、紫煙の奥から男の声が答えた。女が素早くそちらに向け煙管を振ると、高い金属音を立てて一本の矢が弾き返された。その方向からやってくるのは二人の若い男女。
「あのさー、喋る時一々かっこつけすぎじゃない?」
「虚勢を張ってなきゃ舐められるんだよ。弱いからね」
「お前たちはスナークにはならないのか? なるほど、ここの連中よりは中身が詰まっているということか」
二人がそれぞれ機械の武装を携えているのを見て、戦う力がそれなりにはあるのだろうとバンダースナッチは看破した。そして、自分や猟兵には遠く及ばない程度のものだろうということも。
「名前よりこっち説明した方がいいよね? あたしのドローンは砲撃と斬撃と高速移動切り替えオッケー! ちょっと小突かれても壊れない! でもあたしは殴り合いNGだからよろしく!」
「僕ははっきり言って弱いよ。その代わりいろいろ勉強してきた。あのスナークって呼ばれている奴らがどんなオブリビオンをベースにしているか大体わかるし動きもある程度読める。それからこの銃はアトランティス特性だから、威力や属性の調整ができるよ」
これが最後の『伝手』だろう。直接戦う力は薄いが、それ以外で猟兵をバックアップするべく現れた二人のヒーローが猟兵についた。
「ああ、つくづく、仕方のないことをしたがる奴らばかりだ。どうせスナークはどこからでもいくらでも湧くというのに。だがどうせ無駄な努力をしたいなら私を楽しませて見せろ。自慢ではないが、彼が死んでから二年間一度として楽しいなどと思ったことはない」
そう言ってふぅ、とふく煙は辺りに混ざり、消えていく。
「さあ、つまらないお喋りは終わりだ。私でもこいつらでも殺したいものを殺せ。その先がどうなるか……私はどうでもいいからな」
挑発でも何でもない本心から、悪意よりもよほど恐ろしい倦怠を垂れ流す女。さあ猟兵よ、今こそ決戦の時がきた。世界を巻き込んだ女の茶番を終わらせるのだ!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『第一章のプレイングボーナス……次々湧いてくる『スナーク』を致命傷を与えないよう鎮圧しつつ、ミストレス・バンダースナッチを倒す。またその際二人のヒーローを利用する』
協力者
『シーカーボーイ』ロバート・ノット 人間のダークヒーロー×サバイバルガンナー(16歳、男)
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=35573
セレス・ダイアリー
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=39206
※この章で登場する『スナーク』は、タグ『#アカリのヒロアス紀行』シリーズに登場した集団敵のいずれかの姿をしています。どれと戦うかを選ぶことも可能で戦法もそれに近いものを用いてきますので、対処の際の参考にしてください。
(追記)
ボーナスは第一章でなく第三章。
またセレスのデータは強化人間のアームドヒーロー×電脳魔術士(14歳、女)です。失礼いたしました。
ジャスパー・ドゥルジー
アカリにゃ俺の予知で世話ンなったからな
助太刀するぜ
…なんだ!猟兵だけじゃなくてヒーローまで来てんのか?頼もしーねェ
じゃーさァ、スナークの能力の割り出しとドローンでの牽制を頼んでいいか?
俺は頭をぶっ叩く
腕にナイフで傷をつけ
流れる血で【イーコールの匣】
作り出すのは「もう一人の自分」
ナイフと翼飛翔を武器に
二人の俺で女と紫煙の格闘家を相手取る
万一にでも格闘家がヒーロー達に攻撃しねえように接近戦を仕掛ける
スナークが増えすぎて抑え込みがムズかったらすぐに呼んでくれ!
そっちにもう一人の俺を向かわせる!
その分俺は不利になるがまァいい
【激痛耐性】で意識を失うギリギリまで戦い抜いて
後のことは続く猟兵に委ねるぜ
煙満ちるアトランティスに転移の光を抜けて猟兵がやってくる。それはミストレス・バンダースナッチも予想していたことであった。
だが、最初にやって来た猟兵の姿を見てバンダースナッチは怪訝な顔をする。
「なんだ、お前は……知らない顔だな」
ダストブロンクスからスナークを押しのけ自分を追ってきた猟兵。いかに万事に興味がないとはいえ、数時間前に見た顔ならいくらなんでも覚えている。だが彼女の記憶の中に、今目の前に現れた猟兵の顔はなかった。
「アカリにゃ俺の予知で世話ンなったからな。助太刀するぜ」
その男の名はジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)。高い実力を持つ猟兵であり、また予知の力を持つグリモア猟兵でもある。彼が予知したミストレス・バンダースナッチとの戦いには、ミルケンピーチのボディとなりアカリ・ゴールドも参戦していた。そして今、ジャスパーがアカリの予知したミストレス・バンダースナッチとの戦いに参戦した。互いに目指すべき相手を同じくする者同士の助け合い。あるいはこれこそが猟兵のみがなし得る場所を超えた共闘か。
そしてその繋がりはさらに外まで広がっていく。
「……なんだ! 猟兵だけじゃなくてヒーローまで来てんのか? 頼もしーねェ」
ヒーローズアースに無数にいるヒーロー。それは数いるからと言って一人ずつが無価値ということは決してない。奇異なる円の果てここに力を貸し合う仲間として並んだ。それはまさに『戦友』と呼ぶべき仲間であり、そして大敵を倒すため利用しつくすべき力である。
「すっごい、パンクなお兄さん! なにそれ地上の流行り?」
「分かっていると思うけど、僕らはあなたより弱い……それでも、できることはするよ」
それぞれの性格や興味そのままの反応を返す二人のヒーロー。彼らを最大限活かし、己が最高に戦うには。
「じゃーさァ、スナークの能力の割り出しとドローンでの牽制を頼んでいいか? 俺は頭をぶっ叩く」
ジャスパーはスナークの分析と抑えを二人に指示した。それを受け、ヒーローたちは紫煙の向こうから這い出す相手をしかと見る。
「アア……タスケテ……クルシイ……」
ぐちょぐちょと音を鳴らし這い寄ってくるラフな格好の女性。その半身は緑色に染まり、そこが崩れ落ちては別の女として立ち上がる。
「あれは『悲劇のゲルミュータント』、ダストブロンクスでの目撃例が多い。知性は低いが硬軟自在のゲルの体を持ち、しなりと柔軟性を活かして高速で動くこともできる。防御を省みない反面体の欠片でも残っていればそこから何度でも分裂、再生できる……つまり、多少粉砕しても中の人は死にはしないはずだよ」
「了解、完全に消し飛ばさなければいいんだね! ウィングパック換装! 高速体当たりでいい感じに砕いてけ!」
ロバートが学んできたオブリビオンの特徴を伝え、セレスはそれに応じた致命傷にならぬ鎮圧方法でドローンを差し向ける。知性が低いという言葉通り真っ先に向かってきたドローンにゲルミュータントたちは殺到し、高速でゲルの体を吹き飛ばされては小さな欠片にされていた。
「あれで死なねぇッてのも難儀なモンだ。ま、今は有り難いけどよォ」
二人の戦う様子を見ながら、ジャスパーはナイフを抜いてその刃を自分の肌に滑らせた。鮮血が溢れ出し滴り落ちるが、それを見て彼は笑う。
「自傷か……私もそれができるくらいの気概が残っていればな。だがそれで私を殺せると?」
「造作もねえよ」
溢れ、落ちた血が形をとって立ち上がる。その姿は角と翼を持つ悪魔の如き聖者……ジャスパーそのものの姿であった。
血から生まれたジャスパーは翼をはばたかせ、高速でバンダースナッチへ飛翔する。だがその飛翔を、体を張って止める者がいた。
紫煙より生まれた格闘家。これは煙が他者に宿ったものではなく、煙そのものを凝縮したいわば純粋な『スナーク』。作られた者同士のぶつかり合いの横を抜け、ジャスパー自身もまたバンダースナッチに迫った。
「さぁ、一緒に楽しもうぜぇ!」
ジャスパーが『驟雨』の如く刃を打ち付け、バンダースナッチの肌を刻む。バンダースナッチもまた煙管を短棍の如く扱いそれを防ぐが、規格外の強さではないという情報通り全ての攻撃をいなすには至らず、露な肌から女の血が溢れ出していく。
「二対二だ、ダブルデートとシャレこもうぜ!」
二人のジャスパーがぴったりと女と格闘家をマークし、自分から離れることを許さない。しかしてジャスパー自身はそうではなく。
「スナークが増えすぎて抑え込みがムズかったらすぐに呼んでくれ! そっちにもう一人の俺を向かわせる!」
砕けても再生するゲルミュータントたち。それを維持するために完全に消し飛ばさぬよう戦う二人のヒーローが消耗するようなら、それを自らの片割れに肩代わりさせることを厭わぬという宣言。
「あはは……うん、そのうち呼ぶかも!」
「ごめんなさい……甘えさせてほしい!」
どうしたって猟兵に力は劣る二人は、その言葉に乗らざるを得ない。そしてそうなれば、格闘家とバンダースナッチからの熱烈なアプローチを本物のジャスパーが一身に受けることとなる。
「命も要らないという奴か? 潰せる時間が短くなるのはごめんだな」
「悪魔は独占欲が強いんだ」
その分俺は不利になるがまァいいと、与えられる痛みを全身で享受しながら刃を振るうジャスパー。
猟兵最高峰の痛みへの耐性で全てのダメージを受け入れれば、その意識が吹き飛ぶ時間まで振るえる刃、吐かせられるスナークはどれほどか。
そのギリギリまで戦い抜いた聖なる悪魔は女に深い深い爪痕と世界への癒しを残し、後を続く猟兵に委ねるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
クロネ・ネルネコン
アドリブ歓迎です
いよいよ決戦ですね。私が暇つぶしにもならない相手か試してみませんか?
ロバートさんはスナークに心当たりがあるとか。なるほどファイティングガールズというのですね。格闘能力なら活路はあります。セレスさんも後に協力お願いしますね。
まずは粘液を生成し全身を粘液まみれにします。こうすることで相手の打撃を受け流すことが出来るでしょう。
そのままUCの超スピードで動き回りながら気絶攻撃によりスナーク化した人を無力化します。
数を減らしたらセレスさんにドローンで敵を避けた目眩ましの砲撃をやってもらいます。
そこを突き進みミストレス・バンダースナッチに怪力を活かした攻撃を当て吹き飛ばしてしまいましょう!
ヒーローズアース全土を逃げ回って来たミストレス・バンダースナッチだが、とうとう猟兵はそれを追い詰めた。
「いよいよ決戦ですね。私が暇つぶしにもならない相手か試してみませんか?」
クロネ・ネルネコン(ミューカス・レディ・f36457)のその言葉は、最初の戦場であったダストブロンクスで彼女がバンダースナッチから言われた言葉を受けてのもの。
『時間潰しにもならないのは勘弁願いたい』
まだヒーローとなって日が浅いと言ったクロネを、バンダースナッチはそう嘲った。自ら言ったこととはいえ、そう侮られて気分のいいはずがない。ここまでスナークとなったバイオモンスターを救い、神を倒してきたのだ。その見立てが間違いであることを証明してくれんとクロネは静かに滾っていた。
「いいだろう、ここまで追ってきたのだからそれなりに使えることを期待しよう」
それに対しバンダースナッチは紫煙を撒きながら答える。気のないその言い方は恐らくクロネを見直したというより、自分で言ったことを忘れているだけなのだろう。
だが、それでもここまで追ってきたクロネを自分に敵し得ると見做したということ。最強クラスとは言わないまでも実力あるオブリビオンであるバンダースナッチからそう見られたということは、クロネの力は最早駆け出しの域ではないと証明されたのと同じことだ。
そして彼女を迎え撃ち、その行動に制限をかけるべく紫煙の中から『スナーク』が現れる。その姿は、紫の髪としなやかな体を持つ若い女性。その姿は、クロネには見覚えのないものだ。
「ロバートさんはスナークに心当たりがあるとか」
協力者としてここに来たダークヒーロー、『シーカーボーイ』ことロバート・ノットは最近ヒーローズアース各所に現れたオブリビオンについて学んできたという。彼に聞いてみれば、外見からその正体を彼は推測しそれをクロネに教えた。
「なるほどファイティングガールズというのですね」
それはその名の通り格闘少女のオブリビオン。猪突猛進な性格で細かな作戦を立てるのは苦手だが、その格闘センスは本物だという。
「格闘能力なら活路はあります。セレスさんも後に協力お願いしますね」
だが、その特徴さえわかれば対策はあると、クロネはまずは一人で前に出る。その体からは、ミューカス・レディの名の通り多量の粘液が分泌されていた。
「そんなもんでビビると思うなよ、つかまえた!」
ファイティングガールズはそれに構わず、クロネにグラップリングを仕掛けていく。だがその掴みかかりは当然のように粘液で滑り、しっかりと相手の体を捕らえることは出来なかった。
なればと拳や脚をふるい打撃戦を試みるが、圧倒的な量の粘液はそれさえも体表で滑らせ決定打にはさせない。
そのままクロネは指を鳴らして【クロックアップ・スピード】を発動。粘液のぬめりまで加えた超高速移動でファイティングガールズの周囲を動き回り、捕らえられないでいる隙を狙い一撃ずつ決めて相手を昏倒させていった。
「なるほど、生半可な力では捕らえられないか。ならば生半ではない力ならどうだ?」
倒れたガールズの変わりと言わんばかりに前に出てくるのは、堂々たる体躯の格闘家。若い男をイメージしたであろうその容姿はヒーローズアースの猟書家の一人を思わせるが、果たして彼がバンダースナッチの創造物であったのかは彼女自身が忘れている故に定かではない。
格闘家は手を貫手に構え、クロネに向けて真っ直ぐに突いた。それを僅かに体を傾け粘液で滑らそうとするが、ファイティングガールズとは比較にならないほどの鋭さを持つその一撃は粘液さえ切り裂き、撫でた肌を鋭く切り裂いた。
己も斬撃に至る格闘技を持つだけに、その一撃で相手の強さを思い知るクロネ。
「確かに、半端な力ではないようですね。これは受けきれるかどうか……セレスさん!」
クロネの合図で、セレスがドローンを飛ばす。その機体には、超大型のランチャーが装着されていた。
「よーし、ランチャー発射!」
ビームランチャーを格闘家に向けて射出するセレス。だが、格闘家は極太のその光線を、僅かに身をかわすだけで避けてしまった。外れた場所に光線が着弾し、辺りの紫煙を土煙の如く大きく巻き上げる。
やはり彼の大天使には劣るとはいえオウガ・フォーミュラのユーベルコード。いかにヒーローとはいえ猟兵ならぬ身の兵器ではダメージを与えるには至らないのか。
だがそれでも、セレスは幾度となくランチャーを撃ちかける。しかしそれを、僅かな動きだけで次々と避けていく格闘家。
「いい加減にしたらどうだ。私とて好きで時間を無駄遣いしているわけではない」
あたりもしない攻撃にうんざりしたように言うバンダースナッチ。
「無駄? いいえ、大事な援護です!」
仲間のヒーローの行動は決して無駄ではないというクロネ。その声は、バンダースナッチのすぐ真下から聞こえた。
「な……!」
セレスの砲撃は格闘家を倒すためではない。派手に撃ちかける目くらましと、格闘家の引きつけが目的。そもそも格闘家はあくまでユーベルコードによって呼び出された存在。今倒さねばならぬ敵そのものではないのだ。
その間隙を縫って本当に倒すべき敵、即ちミストレス・バンダースナッチに肉薄したクロネ。粘液で滑る勢いさえ拳に乗せ、その一撃を叩きつけんとする。
「ふん……!」
煙管を横に向け、その拳を受けようとするバンダースナッチ。真正面からそこに叩きつけられた拳は直撃の威力こそそこに吸われるが、そのまま粘液で滑り斜め方向に力の向きを変えて伸びていく。
「もう、暇なんて言わせません!」
ミューカス・レディの拳がミストレス・バンダースナッチの下顎を確かに捉え、そのまま振り抜いてその体を紫煙の奥へと吹き飛ばしたのであった。
成功
🔵🔵🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
此方も『為すべきことを為す』だけですので。
【炳輦】を発動し『防御結界』を形成、協力者二名を内部に入れ共に飛行しますねぇ。
『FCS』を使用して『FSS』をゴム弾に換装し『FGS』共々セレスさんの機体と連結、ロバートさん指揮の下操作とスナークへの対処を任せましょう。
スナークの攻撃は『結界』と『FMS』で防御、ミストレスの狙撃も『煙』が触れるのは『結界』になる為、内部の位置が把握し辛い分狙いも多少甘くなるでしょうから、『瞬間移動』による回避と『時空切断』の[カウンター]を併せ何とか防ぎますぅ。
更に『FRS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]、『FBS』の斬撃を重ね叩きますねぇ。
死絡・送
アドリブ絡み共闘OK
POW
ノーブルバットに変身し、ジガンソーレに乗って参加。
仲間達と協力して、市民を殺さないように手加減しながらボスと戦います。
気絶攻撃と範囲攻撃を組み合わせてブリザードインパルスを放出して
スナーク憑きにされた人達を寒さで動きを弱らせようとさせようと試みて
止めはヒーロー達に頼む。
ボスに対しては、ロケットパンチで重量攻撃と貫通攻撃を組み合わせて殴りつつ相手のユーベルコードを限界突破と根性で耐えてから
「そんな汚い煙もお前も、まとめて光と散れ!」
と言ってから光子魚雷一万発発射!!を発動してカウンターを狙います。
猟兵との直接交戦。それが始まってなお、ミストレス・バンダースナッチの態度は無気力なままだ。それはその姿勢がポーズや作戦上のものではなく、偽らざる本心からのものだから。
どうでもいい、その言葉を繰り返す彼女はまるで語彙がないようにすら見えるが、恐らくは他の言葉は知っていても使わないだけ。別の言葉を探すのすら面倒なのだろう。
だが、戦いに対して気炎を吐かないのは彼女だけではない。
「此方も『為すべきことを為す』だけですので」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も冷たく言ってミストレス・バンダースナッチに向かい合った。ただしそこにあるのは全てがどうでもいいという倦怠ではなく、無意味な情熱を持たずただ目的遂行への最短距離を邁進せんとする冷たくも鋭い刃の如き意思。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて典礼を捧げましょう」
【豊乳女神の加護・炳輦】を使い、協力者であるヒーロー二人を結界の中に入れるるこる。彼らは頼もしき仲間ではあるが、頭脳戦や遠隔攻撃を得意とすることもあって生身での戦闘能力は低いと言わざるを得ない。二人と幾度となくかかわったことのあるるこるはそれをよく分かっており、それ故守りを受け持つのが必要と判断しての事であった。
さらにその前には鋼の巨体が聳え立つ。死絡・送(ノーブルバット・f00528)の乗るスーパーロボット『ジガンソーレ』。ここまで生身で戦ってきた彼の、満を持しての愛機搭乗だ。
「目障りなデカブツだな。見上げるのも首が痛い。まあ、丁度良く大きな『スナーク』もいるようだ」
ぐちゃりと湿った音を立て煙の中から現れるのは、2メートルを超える巨体の腐乱死体。るこるはこれを見たことがあるが、そうでないものはその腐った体に嫌悪感を覚えることだろう。
「『デッドボディバタリオン』、見た目通りの腐った体と強い力を持つゾンビだ。ただし、彼らは勝手に行動しているわけじゃない。実際の行動の核になるのは『呪法骸操士ネウィ』……彼女だ」
ロバートが指さす方には、ゾンビたちの陰に隠れるように身を縮める小柄な少女がいた。恐らくは数人が纏まってスナーク化し、操作役のネウィと取り巻きのゾンビとされているのだろう。
ゾンビたちに知性は見るからにないが、ネウィの操作の元精密に動いて迫ってくる。送は冷凍ガス『ブリザードインパルス』を振りまくことでその腐った体を凍り付かせ、動きを鈍らせた。
このまま力で押せばゾンビを砕くことも容易いだろう。だが、それは決してしてはならないと送は分かっている。彼らはあくまで『スナーク』に変えられた一般人。腐乱死体のような見た目であっても本質は生きた人間であり、無力化し時間が経てば元に戻すことができるのだ。
「頼むぞ、ヒーローたち」
ダストブロンクスでそうであったように、ヒーローたちに制圧を任せる送。猟兵よりも力は劣る彼らだからこそ、殺さずに鎮圧するのにちょうどいいことは分かっているのだ。
「セレスさん、これをぉ」
るこるは自身の兵装をセレスのドローンと接続させる。元々それはるこるの兵装を参考に開発されているということもあり、まるで誂えたかのようにぴったりはまりその性能を格段に上昇させた。
「ネウィはゾンビを盾として使い捨ててくる。ただ、今はゾンビの動きは鈍っているからそっちからかばいにはこれない。彼女は自分から逃げ回る必要があるはずだ」
「つまり追っかけまわして捕まえちゃえばいいんだね、了解!」
るこるから貸し与えられた『FGS』で重力操作し逃げることを困難にしつつ、ゴム弾でネウィの制圧を図るセレス。元々身体能力は高くないネウィは棒立ちのゾンビの間を逃げ回るばかりで、やがてはゴム弾の直撃を受けて昏倒させられた。
「仕方ない。たまには自分から動くとしよう」
配下の敗北を見て、バンダースナッチは煙管を口から離し顔の前に構えた。するとそれは見る間に形を変え、長い重心を持つ大口径の狙撃銃へと変形した。
その銃のスコープを覗き込み、狙いをつけるバンダースナッチ。
「とりあえず、そのデカブツから抜かせてもらおう」
ジガンソーレに向けてまずは一射。それは鋼の装甲を容易く貫き、その機構に甚大なダメージを与えた。
「なんだと!?」
中の送こそ限界を超え根性を振り絞って耐えられるが、あらゆるものを貫く対物狙撃銃は機械にとっては天敵とも言える。さらに向きを変え、今度はその照準をるこるの方へ合わせるバンダースナッチ。
その一射に備え、るこるはバリアと結界を動員し、さらに煙にそれを触れさせることで自身の位置の把握を困難にさせた。
そして放たれる一射を、瞬間移動しながら時空切断を放って返そうとするるこる。だが文字通りに『何でも』貫くその弾丸は、時空の刃を軽々貫通し一瞬前までるこるがいたところを超速で貫いていった。本体の移動で直撃は避けられたが、過剰な離脱はスナーク鎮圧に影響が出ると避けたためバリアと結界の一部を弾丸に貫かれ、その部分はやはり大穴を開けられていた。
確かに、バンダースナッチに絶対先制の力はない。だが彼女の力が弱いというのは猟書家首魁である大天使ブラキエルなどと比較しての事。そもそも比較対象が強すぎたのだ。
コッキングし、さらに次の射撃を重ねようとするバンダースナッチ。もう一度るこるに狙いをつけるが、その銃口は妙に震えている。
「なるほど、確かに……」
バンダースナッチの狙撃銃は本当に何でも撃ち抜く力がある。それはまさに反則級の強さ。だが、それを作ったユーベルコードは強すぎる力には代償として命を要求するものが用いられている。『あらゆる』というあまりに広範すぎる言葉に要求される対価は如何程か。
その隙を逃さず、送がロケットパンチをバンダースナッチに向けて放つ。とっさに狙いを切り替えそちらを射撃し、放たれた弾丸がパンチさえ貫き破壊するが、防いだはずの攻撃を受けたかの如くバンダースナッチは一瞬体を崩し、慌てたように膝を震わせながら立ち上がる。
巨大なロボを、ユーベルコードの守りを、そして重い鉄拳を。その全てを易々と貫く弾丸は他ならぬバンダースナッチ自身の命を大きく削り取っていた。
しかし自分の命すら心底どうでもいいと思っているバンダースナッチのこと。戯れ程度に己の最後の一欠片まで弾丸に変え撃ってきかねない。故に、その決断を下さず息を切らしている今が最後のチャンス。
「全てを光に変えて消す!!光子魚雷、射て~~~~~~~っ!!」
「叩きますねぇ」
送の【光子魚雷一万発発射!!】とるこるの斬撃、砲撃、爆撃の群れが一気にバンダースナッチを襲った。それに対し最も攻撃の密度が高い部分に弾丸を放ち全てを打ち返さんとするバンダースナッチ。
放たれた弾丸は射線上にあった攻撃全てを穿ち、かき分けた。だが、そこから外れていたものは全てそのまま本来の標的、即ちミストレス・バンダースナッチへと襲い掛かる。
「く……!」
もう一射、そうしようとした手から力が抜け、銃を取り落とす。それは地面にたたきつけられると同時に煙管に戻り、そしてその上でいくつもの攻撃が持ち主に炸裂していた。
どうでもいいと言い軽んじた己の命。その浪費が仇となり、肝心の一度を女に撃たせなかったのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
美波・蜜香
【AS】
それでも、少なくともあなたを倒せばスナークにされる人たちはいなくなる
だからあなたをやっつける!
あたし達、みんなの力で!
スナーク達はチェルノさんに任せてあたしはロブくんのアドバイスの助けを借りながらバンダースナッチをやっつける!
「ロブくん、あいつの狙撃の対策教えてくれない?」
珊瑚礁を障害物にしながら【オーラ防御】で紫煙を遠ざけ、アリスランスの【なぎ払い】で紫煙を吹き飛ばしながら【ダッシュ】で接近
そのまま【ランスチャージ】でアリスランスを突き立てて【リヒトシュトローム】!
在原・チェルノ
【AS】
あなたがどうでもよくてもこっちは大迷惑なんだからね!
ボスは蜜香ちゃんにお任せしてあたしはセレスちゃんと一緒にスナークの対処に専念
セレスちゃんのドローンには高速移動でスナークをひっかきまわしてもらって、あたしも一緒に【残像】と【迷彩】でスナークを攪乱しながら【暗殺】で【サイキックブラスト】で気絶させたり手裏剣の【範囲攻撃】で制圧したりする
スナークシールドで攻撃を無力化されても、攪乱が目的なんだからむしろもってこいよね!
ミストレス・バンダースナッチにとって猟書家の侵略は単なる惰性にでしかない。ここまで逃げ回り抵抗していることも、一度始めたことを止めることすら面倒だからにすぎない。そして彼女には、それが他人にとってどのような影響を与えるか、どう思われるかも心底どうでもいい事であった。
「あなたがどうでもよくてもこっちは大迷惑なんだからね!」
それ故在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)の至極真っ当なこの怒りも、バンダースナッチにとっては何一つ心に響くものではない。
「ああ、そうか。だが一つ忠告しておくが、私が死んだところでオブリビオンが消えることなどないぞ。元よりこの世界は悪に傾倒する者が腐るほどいる。お前たちだってそれを倒してここまで来たのだろう」
論点のすりかえ……というより思いついたことを適当に口にしているだけのけだるげな言葉。だが彼女が何も意味を求めていなくても、それによってもたらされた結果はありそれに抗う意思を持つ者が大勢いるのは事実だ。
「それでも、少なくともあなたを倒せばスナークにされる人たちはいなくなる。だからあなたをやっつける! あたし達、みんなの力で!」
美波・蜜香(ブルーメンリッター・f20221)の言う通り、例えオブリビオン、そしてヴィランが根絶されることはなくとも『スナーク』にまつわる現象は彼女の死を持って幕を閉じることになるはず。今まさに目の前でそれによって怪物とされてしまった被害者たちがおり、それを救い、そしてそれ以上の被害を抑えることが出来るのならば、ヒーローたちの行動は間違いなく意味あるものと言えるのだ。
そしてそれを成すため、ヒーローたちは動く。
「セレスちゃん、高速でスナークたちをかき回して!」
「了解! ウィングパック換装! なんか今日これの出番多いね!」
強化人間セレス・ダイアリーが高機動装備を付けたドローンを飛ばす。スナークは殺してはいけないため、機動力に優れる反面火力に劣るこの兵装が選ばれることが多いのだろう。ともあれ、高速で動き回るドローンはスナークたちの間を飛び回り、時に掠めてぶつかって相手の動きを乱していく。
「こ、こいつ……」
スナークが手にした武器でそれを叩き落とそうとするが、その瞬間手に鋭い痛みが走り思わず構えた武器を取り落としてしまった。
「ほらほらこっち!」
それはチェルノが広範にばらまいた手裏剣。そしてチェルノ本人も、スナークたちの只中に飛び込んで彼らを鎮圧していく。
「じゃあちょっとお休みしててね!」
両手から高圧電流を放ち、スナークを感電させるチェルノ。
「プルプルプルプルトォォォォォォォン!!??」
「おのれ小癪な、捕まえてやるトォン!?」
奇声を上げそのスナークが昏倒するが、また別の者がチェルノを捕まえにかかる。だがそれも、横から突っ込んできたセレスのドローンに跳ね飛ばされ地に転がった。
「やれやれ世話の焼ける……少しだけ分けてやる、時間稼ぎをしていろ」
バンダースナッチがふぅ、とため息をつきスナークの方へ紫煙を吹きかける。するとそれはその一帯を包み込み、スナークたちの前で固まり盾のようになった。
ミストレス・バンダースナッチのユーベルコード【スナークシールド】。強烈な制限時間と引き換えに全ての攻撃を無効化する絶対の盾。こうなれば最早スナークを倒すことはチェルノやセレスにはできない。
だが、それはむしろ彼女たちには望むところであった。
(攪乱が目的なんだからむしろもってこいよね!)
そもそも、スナークは本来救助対象であり決して殺してはいけない相手。無限の耐久はむしろ手加減の必要がなくなり有難いくらいだ。
攻撃そのものが効かなくなるので、残像を残す早い動きや敵やドローンの動きに紛れた回避中心の動きに切り替えるチェルノ。それを助けるように、セレスのドローンも飛び回る。
「捕まえられるもんなら捕まえて見なさい!」
「いっぺん倒したザコキャラだし、一応チャンピオンのあたしが負けるわけないからね!」
ちなみに彼女たちの相手するスナークは『プルトン人』……豚の獣人に似た宇宙人である。チェルノのような体形と衣装のヒロインがそんな相手に調子に乗るのは何かのフラグにしか見えない。なおセレスの体型はチェルノや蜜香と真逆だが、そういうのがザコとか言い出すのも最近は危なかったりする。しかも彼女どちらかと言えば天才型の強化人間だったりするので倍率マシマシである。ただやっぱり今回はそう言う展開はないのでその辺は安心であった。
そして二人のヒロインのスナークとの激戦。それはそれ自体が大いなる迷彩とっていた。
「ロブくん、あいつの狙撃の対策教えてくれない?」
その乱戦に紛れるように、周囲の珊瑚礁に隠れた蜜香と『シーカーボーイ』ロバート・ノット。先の戦いでも用いた狙撃銃は、圧巻の威力を持っていた。迂闊に射線上に出ては一射にて屠られてしまうだろう。
「そうだね、とりあえず威力は半端じゃないし、こっちの場所も正確に把握している。多分、今隠れているのも意味はないだろう」
そこまで行ったところで、珊瑚を軽々砕いて二人の間を弾丸が通り抜けていった。紫煙を避けるために張っていたオーラ防御が紙のように貫かれ、再び二人の体に煙がまとわりつく。
この煙が自分たちの位置を把握していることは分かっているため蜜香は再びオーラを広げながら次の障害物へ隠れるが、そこもすぐに弾丸で撃ち抜かれる。
「ただ、彼女の狙撃技術は正直並程度だ。下手とは言わないけど、あのくらいの射手ならヒーローにはごまんといる。それから、あの銃は撃つごとに本人の命を削るみたいだ。恐らく、撃ててあと2、3発と言ったところだろう」
先の猟兵との戦いでもそうであったが、ミストレス・バンダースナッチの狙撃銃はあらゆるものを貫く威力と紫煙を媒介にした位置把握という驚異の能力と引き換えに、彼女の命を大きく蝕んでいる。防ぐことこそ叶わないが、外せばそれだけで敗北につながる諸刃の剣……もとい銃。
次の隠れ場所が破壊された時が勝負だ。そしてその時を告げるが如く、二人の隠れる珊瑚が貫かれた。
「さあ、始めるよ!」
壊れた障害物から転がり出て、まずはロバートが銃を抜き打ちにする。だがそれは所詮一般ヒーローの一撃、バンダースナッチは軽く銃を振るいそれを易々叩き落とした。
「かかったね!」
それに呼応するように蜜香がバンダースナッチに突進する。アリスランス『シュテンペランツェ』を振り回して紫煙を振り払い少しでも自分の位置を把握させ辛くしながら突進する彼女にバンダースナッチは即座に銃を向け、引き金を引いた。だが別方向から慌てて銃を戻したこと、把握に使う紫煙が多少なりとかき分けられていたこともあり、その弾丸は蜜香の輪郭をギリギリ掠めるにとどまった。
「くっ……!」
それでも、威力は最上という話通り掠っただけなのにダメージは大きい。もし次の射撃が直撃すれば、命を持っていかれてもおかしくない。だが、その次は相手にとっても命懸けなはず。
「くっ……スナーク、私を守れ……!」
初めてバンダースナッチがスナークに指示を飛ばす。だが、当のスナークたちはチェルノとセレスにかかり切り、とっさに戻るなどできる状況ではなかった。
最初から仲間たちと協力、分業した猟兵たちと、勝手に動かしておきながら急を要して初めて頼りだしたバンダースナッチ。全てがどうでもいい、その態度が今、ここで彼女に牙をむいていた。
命を振り絞り強引に引き金を引こうとするバンダースナッチ。だがその手を遮るように、アリスランスの穂先がその体に食い込んだ。
「貫け、想いの光!」
【リヒトシュトローム】のエネルギーがバンダースナッチの体に流れ込む。命の削りすぎによってスナークシールドも維持できなくなっていたその体は、光に飲まれ大きく吹き飛ばされた。
「これが仲間の、他人の力だよ!」
「どう、これでも『どうでもいい』?」
勝利を掴んだ猟兵たちの声に、バンダースナッチはやはり何も答えないまま仰向けに倒れるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニクロム・チタノ
ついに追い詰めたよヒーローのみなさんよろしくお願いします
反抗の力を
住民達をまず無力化しないとロバートさんの話によると最初に会った犬のお巡りさんの能力があるみたいだね
セレスさんのドローンで上から砲撃して注意を引いてください、その隙にボクが蒼焔の盾で突撃して吹き飛ばします
その後重力操作でスナークを押さえつけて動きを封じつつミストレスに接近する
八つの蒼焔の盾を展開してランダムで隠れながら狙撃銃の攻撃を撹乱して防ぐ
召喚された格闘家は周りの紫煙を重力を掛けて拡散させることで弱体化しながら重力を重くして動きを止めて重力槍を一本撃ち込んで体勢を崩したところを妖刀の一撃で倒す
残り七つのうち六本の重力槍を発射して紫煙のスナークシールドで防いだところに蒼焔の盾はスナークシールドを押さえつけて動きを封じる
押さえるのは攻撃じゃなくて足止めだよ
トドメに最後の重力槍を撃ち込んで避けたところにオーバーロードで強化した一撃を叩き込むよ!
哀しき猟書家よ、せめて最後は安らかに
ダストブロンクス、センターオブジアース、そしてアトランティス。ヒーローズアース各地を逃げ回ったミストレス・バンダースナッチはついに猟兵との直接対決に至った。そしてその戦いの結果、彼女は大きく傷つき、どうでもいいと言っていたその命も最早付きかけるまでになっていた。
「ついに追い詰めたよ」
ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)はミストレス・バンダースナッチに対しはっきりとそう宣言する。逃げるための移動の力を持っていた神も倒れ、命を削るユーベルコードも幾度となく使い、彼女が持ちうる手段は全て振り絞り使い切った。
「そうだな。そろそろ終わりになる頃だろう。お前がその最後になってくれるか?」
自分の状況を把握し、それでいてなお戦うことを止めようとはしないバンダースナッチ。それは悪あがきというよりは、『止める』という行為さえ面倒くさがる惰性。だが、その大元となる感情が何であれ彼女を倒し、止めねばならない。ニクロムの、そしてこの場に集った者たちの行うことに何ら変わりはなかった。
「ヒーローのみなさんよろしくお願いします。反抗の力を」
猟兵ならぬ身でありながらここに参じた二人のヒーロー。スナーク化に、そして猟書家の侵攻に抗うものである彼らにもまた己と同じ加護あれと告げ、ニクロムもまたその身に加護を滾らせる。
彼らの眼前から出てくるのは、警官の制服を着た犬の獣人たち。ニクロムにも見覚えのあるその姿は、ほんの少し前にダストブロンクスで戦った『ダーティーポリス』だ。
「あれは君の方が詳しいんじゃないかな? ただ二年以上前から出現が記録されている古参のオブリビオンだから情報は多いよ。とりあえず犬種による能力の差はない。武器は拳銃と手錠、あとは感情と忠誠が力になる」
「なるほど、見た目通り最初に会った犬のお巡りさんの能力があるみたいだね」
基本的にダストブロンクスで戦った時と同じと考えていい。ただし、その時はただ見ているだけであったミストレス・バンダースナッチが今度は積極的に攻撃してくる。全く同じ手段で鎮圧とはいかないだろう。
だがこちらにも、また前回と違う仲間がいるのだ。
「セレスさんのドローンで上から砲撃して注意を引いてください」
「了解! ランチャーパック換装! 今回ソードパック出番なかった!」
基本殺してはいけないので、単体火力特化な装備が出番がないのは致し方なし。ともあれセレスがドローンを操作し、巨大ランチャーを高高度から、相手への直撃を避け紫煙をかき回すように撃ちかけさせる。
「怯むな、あれを……」
攻撃しているのがドローンなのは分かっている。それを撃ち落とすべく情報に拳銃を向けるが、その引き金が引かれる前にダーティーポリス立ちは纏めて吹き飛ばされた。
「その隙にボクが蒼焔の盾で突撃して吹き飛ばします!」
反抗の加護の一つを構えての強烈なシールドチャージ。よそ見をしていた上元々一人ずつは決して強くないダーティーポリスは、次々と吹き飛ばされた転倒していく。残った者は今度はニクロムの方へ銃を向けようとするが、それにはまた上空からドローンが砲撃してその妨害をした。
前後に敵がいる状態になることでダーティーポリスたちの狙いは割れ、壁や火力としては最早用をなさない。
「結局、私がやらなければならないのか」
狙撃銃を構えるバンダースナッチ。その眼前で、ニクロムは自分を守っていた蒼焔の盾を防御壁のようにばらまいてその陰に隠れた。さらにその盾の後ろを滅茶苦茶に移動して自分の位置を紛らわせるニクロム。
「そこだろう? 見えている」
だがバンダースナッチは迷うことなく、一つの盾を撃ち抜いた。それは焔の盾さえ易々貫き、砕け散らせる。とっさにニクロムは転がり出て別の盾に隠れるが、すぐさまバンダースナッチはそちらへ銃口を向けてくる。
「やっぱりあの紫煙が曲者だね……だけど、こいつは格闘家は呼べないみたいだ。だったら!」
バンダースナッチは戦う場所によっては三つのユーベルコード全てを一気に使ってくる個体もいた。だが、目の前の相手は一つの精度が高い代わりに問答無用の使い分けは出来ないらしい。そして狙撃銃と格闘家は紫煙にまかれることで力を発揮するのは同じ。格闘家が来ればそうしようと思っていたのと同様に、ニクロムは自身の周りに一本の重力槍を打ち込んで紫煙を抑えつけ自分の位置を完璧には把握できないようにさせる。
「流石に、あと7連射はしたくないな。だがいない場所は分かる」
重力の外にある盾の後ろにいないことは分かる。ならば残るどこかだと紫煙の振れ具合を見極め、ニクロムが隠れる場所に当たりをつけるバンダースナッチ。
おそらくここだ、そう考えた場所に狙いをつけるが、それと同時にまさにその盾の後ろから六本の槍が一斉に飛び出してきた。
「やはりそこか!」
狙いは正しかったと引き金を引くバンダースナッチ。蒼焔の盾が砕かれ、後ろにいたニクロムも掠めて浅からぬ傷を負わせた。だが、それと引き換えに襲ってくるのは六本の重力槍。
「もうスナークシールドの時間は残ってないみたいだね!」
スナークシールドが張れればその時間削りのつもりであったが、それがないなら本体にそのまま叩きつけられる。周囲に突き刺さった槍が重力の檻となってバンダースナッチをとじこめた。
「心配するな。こんなことしなくても、もうどこにもいかないさ……!」
どうせ逃げる場所などないし、どこかへ行ってしたいこともないのだ。このまま相手を撃ち抜いてくれよう。そう構えるバンダースナッチに、最後の一本の重力槍が叩きつけられた。
「くっ……!」
それでも強引に引き金を引くバンダースナッチに、残る盾を全て自分の前に集めたニクロムが突進する。本来スナークシールドの対抗に使うつもりだったが、シールドがないなら自分の守りに回せる。
だが、その盾たちは強引に放たれた次の射撃で全て貫かれた。命を削り放った『あらゆる』ものを貫く弾丸。それは重力も、反抗の蒼焔も貫き、そしてその後ろのニクロムさえ穿つ。
「本当にどうでもよかったら、ここまでの力は出せない……きっと、サー・ジャバウォックという人はそれだけ大切な人だったんだね」
その力はまさにフォーミュラの名を冠するに恥じないもの。たとえあの大天使には劣るとも、上位のオブリビオンに列せられるだけの力はある。そしてその力を無駄に使い捨てるようになったきっかけは、ただ一人の男の死。
あらゆるものを貫く弾丸に貫かれたニクロムは、しかしそれでも倒れることはない。体の奥から、猟兵を超克する力が沸き起こる。
「なんだそれは、知らないぞ……? この二年、お前たちは何をしていた……!?」
全てがどうでもいいから、敵の情報など集めていない。ほんの半年前に得た新たな力、オーバーロード。死の先の強者から学び奪ったその力は、ただ無為に止まり続けた女の世界には存在せぬものであった。
その全てを乗せて、ニクロムは妖刀を掲げる。
「哀しき猟書家よ、せめて最後は安らかに」
道を繋ぐ力の一撃が、取り巻く紫煙諸共ミストレス・バンダースナッチを断ち切った。
「……なるほど……彼が生きていたら、同じようにここでこうして敗れていたのかもな……いや、それこそどうでもいい……彼のいない世界から私もまた消える……消えた先で彼に会えるか……ふふ、楽しみ、だ……」
最後の最後、無縁だったはずの感情を口にしながら中身のない女は虚ろとなって消えた。
それと共にあたりを染め上げていた紫煙も一気に張れ、『スナーク』だった者たちも次々と元に戻っていく。
大勢が倒れるアトランティスの中。立っている僅かな者たち。
「えっと……勝った、んだよね? あたしたち……」
「多分ね」
恐るべき敵の首領が目の前で倒れた。その事実をまだ飲み込めないでいるセレスと、早々に通信機を取り出し地上のヒーローたちと状況確認の連絡を始めるロバート。
だが確かめるまでもなくニクロムに、そして猟兵には分かっていた。今、怪物『スナーク』は狩りつくされた。役目を終えた猟兵結社『スナーク』がどうなるのかは分からない。正義の象徴として残されるのか、『スナーク』を完全に消すため解体の形をとるのか。
だが戦後の処理を始める前に、まずはこう高らかに宣言すべきであろう。
この世界を飲み込む幾度目かの大乱。今度もまた、それはヒーローの勝利で終わったのだと。
大成功
🔵🔵🔵