●希望的冒涜論
悪魔に唆された人間が彼等の仔を孕む。最早、読み慣れた、聞き慣れた展開のひとつで有り、その恐怖が何れ幸福になるのも当たり前か。ゆったりと今まで生きていた。ぼんやりと今まで生きていた――男は鏡面の前で自分という『醜悪(バケモノ)』を罵った。
兎に角、早く出勤しなければならない。今日も上の人間に怒鳴られると思うと憂鬱でしかないが、嗚呼、やるしかない。遣る方無い。そういえばお惣菜、魚が安いと聞いている。残業が無ければ買いに行こうか――。
――何故、私は海に来ている。仕事を放り出し、安い買い物を止め、泳ぎにきている。とても気分が良い。いっそ、このまま――。
●グリモアベース
「血の繋がりとは確も厄介なもので『遠くまで』薄めても、突如として覚醒する可能性を持つものだ。嗚呼――貴様等、邪神の仔が目覚める予知を見た。早々に現場へ向かい覚醒の阻止、邪神の仔(おとこ)の保護を願う」
ロバート・ブレイズは『何処かで読んだ展開だ』と吐き捨てた。
「邪神の仔たる男は自らの真実を知らぬ。されど『酷く海に惹かれる』性質らしい。海付近を探せば見つかるだろう。されど気を付け給え――既に影響は出始めている。低級のUDCも力を求めて現れるだろう。片付けた後は『メンタルケア』とやらを成せ……嗚呼、もしも。貴様等が邪神の仔を『手遅れ』だと判断する場合はUDC連中が『処理』してくれる筈よ。現場の奴等に委ねると言うワケだ。宜しく頼むぞ」
グリモアが輝いて。
にゃあら
にゃあらです。
蛙の仔は蛙。
第一章。
海にて邪神の仔との接触を試みます。
まずは探すところから。
影響が出始めています。怪奇現象が発生するかもしれません。
第二章。
邪神の仔を狙って低級UDCが襲ってきます。邪神の仔を守りつつ戦闘してください。
第三章。
邪神の仔は自身の正体を知りました。
おそらく混乱は避けられないでしょう。
メンタルケアをお願い致します。
ケアを終えた後、UDCによる安全が保証されるようです。
もしも猟兵が彼を『危険』だと判断し、殺すと決めた場合、UDC職員が適切な処理を行うようです。
宜しくお願い致します。
第1章 冒険
『海からの呼び声』
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POW : 海に入って調査する
SPD : 海の周辺を調査する
WIZ : 海の近くで魔力を探って調査する
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
海に面した街並は寂れていたが『安らぎ』を与えるのに丁度良いのかもしれない。男――邪神の仔――が向かったとされる場所はひどく潮臭く思え、到底通常の人間が楽しめる空気ではなかった。つまり『安寧と醜悪』が共存(い)きる領域と言えよう――ザザぁん。ザザぁん。
何かしら、筆舌に尽くし難い視線が猟兵(オマエ)を刺した。局外者(よそもの)を拒む住民の『目』とも思える。ジメリと予感を背負いながら探索が始まった。
ヴィルジニア・ルクスリア
先祖返り、になるのかしら?
このままだと誰も幸せになれないわね。なんとか助けてあげたいわね。
「碌なところじゃないわね」
訪れた地は想像以上に排他的、住人から人探しの協力は得られそうにない。
なら、人以外から情報を集めましょう。
猫やカラス、【動物と話す】ことで【情報収集】。
男はなりかけのはず、『磯』の香りが住人達より薄いと思う。それとも、既に変異が始まっているのかしら?
……分からないわね。
「ねえ、あなた達。何か恐いモノ、知らない?」
一先ず、動物たちが本能的に恐れそうな場所やモノを見なかったか質問するわ。
蛇に騙された人間は自らの過去、そう称される知識(かじつ)を貪り喰ったのだ。味わいその他も説明もされていないのに柘榴を妄想の糧とする。ざわめいた輪郭(かたち)でこぼれた汁気のなんとも名状し難い代物か――まるで先祖返り、無理に混ぜられた親と子の血(ジュース)――このままだと誰も幸せになれないわね。猟兵(オマエ)はバスに揺られるような心地で転移先(いま)を眺めた。山と積まれた廃材とのご挨拶。鏡の前に座り込んだ悪魔(きみ)のような。
碌なところじゃないわね――溝で跳ねたあの魚は腐っていないか。おそらく住民の誰かが落としたか放流(なが)したか成(し)たのだろう。或いは。あの魚こそが本当の住民(ひと)で此処に棲んでいるのは人ではない――? ぞくりと突き刺さった何者かの視線、ぎらりと光輝(ぬめ)った彼または彼女、やけに酩酊(くる)っていなかったか。
嫌な気配(つば)を呑みつつオマエは『人以外』との対話を選んだ。たとえ排他的、退廃的な街(せかい)と言っても生物(いのち)を拒む事は難しい――ねえ、あなた達。何か恐いモノ、知らない? 猫と鴉の大合唱、魂(アストラル)を攫う夜はいない。
アイツだ。アイツ、街の人間と違って『なりかけ』だったよな? そうだ、そうだ、あの綺麗な服、きっと真面だった人(やつ)に違いねぇ! 恐いモノ? そうさなぁ、この街には恐いモノしかないからなぁ――猫の一匹が足(ゆび)差した――アンタ、彼方。あの岩礁(とびでてる)とこにゃあ行っちゃならねぇぜ。なんでか判らねぇが凄ぇこわいんだ。特に夜、視る事だってオススメ出来ねぇ。
探している『邪神の仔』はおそらく『この街では浮いている服装』なのだろう。重ねて臭いは『まだ弱々しい』。それで……猫が教えてくれたあの岩礁。ちら、と視線をやれば如何考えても不自然な人影――そう、人の影。
気分が悪くなるほどに『きれい』だった。
絶望的な状況を打破すべく、神が造った天使(もの)じみて。
成功
🔵🔵🔴
蓮池・大輝
☆アドリブ歓迎。
「うーん、何やら凄くヤな感じですね……忌避すれど嗅ぎ慣れたこの臭いも、この海の退廃とした空気感も。」
とりあえず海辺でも探してみましょうか。海に惹かれて居るのなら無意識でもここには足が向くでしょう。
周りの視線はとりあえず無視です。海岸線をなぞる様に歩きながら痕跡を探します。
『似たもの同士』の痕跡なら、ある程度は分かると思いますから。
(それにしても海ですか。こちらの世界の海の深き暗がりが、骸の海に繋がっている……なんて、ない話でもなさそうです。)
もし視線の主たちと遭遇したならば。暗澹たる心持ちですね。穏便には済まないと肌で感じます。
腐り禍けの建築物(ほねぶと)にもたれ、項垂れていた誰かさんはきっと酩酊していたのだ。底の割れた酒瓶(びんづめ)がころころ、からからと頽廃の貌(つら)を孕んでいく。注がれたのは潮だ、渦めいた輪郭(それ)は何れブヨブヨと蟾蜍を肥やすに違いない――何やら凄くヤな感じですね――まるで故郷だ。忌避的な臭いに慣れた鼻が嗤(ひく)と謳う、空気感(いま)に触れた髪先がちくちくと傷んでみせた。何方が異端(ものがたり)なのか判断する脳もない――とりあえず海辺でも探してみましょうか。
人・人・人、人だろう存在(それ)の目が刺さる。青々とした猟兵(オマエ)はおそらく深淵(ふか)み『異常』に綺麗(グロテスク)なのだろう。同族嫌悪(にたもの)暴くには先ず崩壊(みどり)、ぬめりと薫った小世界(アート)がゼリー状を映す……オマエは不定形(ばけもの)を見た事が在るか? 何を今更。
海が混沌(カオス)に繋がっていた場合、無限量への投身は運命(ぜったい)なのかも知れず、痴れた過去(けもの)の行き先としては上等とも謂えた。曲がり角でバッタリと遭遇(あ)ったのは厄介でしかない――目玉・目玉・目玉、寄生虫(うじ)の棲家。頭の上には畸形な冠(かん)。
暗澹たる心持ちで鏡(きみ)を見た。一触即発。斧で頭をノックされる気分だ――が、彼等は『何もせずに』通り過ぎた。真逆、同じだと『考えられた』のか。在り得ない。そもそもチェンバース、時旧(ふる)いとでも哂われた……?
莫迦々々しい、兄弟喧嘩は余所でやってくれ――岩礁に突っ込んだのは小舟だった。数多の人類(もの)が出たり入ったりと騒々しい、希望、これがノアの理想と告ぐのか。ビアスを舌につけると好い、それが地獄だ。
成功
🔵🔵🔴
日向・陽葵
SPD
蛙の子は蛙。真理だと思っちゃうよねこの諺。しかし俺っちの心理的には納得いかなーいっ!
特に血の繋がりー……んー。円満なら口を閉じます
この身は潮溜まりを避けたがる傾向がありましたがあ、今や踏みつけられちゃうよ流動体。此処って土足厳禁かな? 靴を脱いだらマナーはセーフ? そも来たのがお門違い?! やーん、ざわざわしてきたんですけど。寒さも相まって鳥肌
保護対象は泳ぎに来てるっぽいし足先だけじゃなく頭まで浸かんなきゃかな。さっきから足元伝ってナメクジに塩振ってるからか頭痛がうるさいような気が……
あ痛ったヤダ海月!? 刺すような視てくれ骨が有る奴と見た
邂逅一番挨拶を! どお最近の海、盛り上がってる?
ごちゃついたスタンガン曰く、四肢が痙攣(ひくひく)するのは悪臭の所為だ。首筋と脳漿の位置を違えた末路だろう、ぶくぶくと泡(しろ)を腐(ふ)いて往く。蛙の仔は蛙、真理だと思っちゃうよねこの諺――井戸に棲む化け物は大海を知らない、そんな大会(こと)聞いていないのだ――俺っちの心理的には納得いかなーいっ! 引っ込めた尾っぽが持ち主を探している、俺(きみ)はお母さんとお父さんから出来てお母さんと愛し合う――んー。円満なら口を閉じます。子の心と親の心が繋がった、とても神秘的。
がさがさと泣いているのはオマエの髪質だ、ツインテール・コンプレックスに潮がいたい。流動体(レヴィアタン)に踏み付けられて久しく自分のお足で維持(た)つ事も赦されない。此処って土足厳禁かな? 抜き足差し足素足で波打ち際、それとも危篤が宜しいだろうか。来たのがお門違い?! やーん。ざわり擽ったい甲殻の構築、寒さも相まって鳥肌ヤバい。飛び込み台が無いのは残念だ。視線(がめん)がおかしい――カタツムリが割れる、いつものとおりに。
頭隠して尻も隠しておまけに足裏まで隠すと好い。ピクルスじみて浸かるのが最低限のマナーだ、脱ぐならいっそ人皮も破棄(す)ててくれ――さっきから不定形(てけりり)鬱陶しいナメクジ、塩撒けよ塩、しおしおと味噌が収縮して頭痛い……あっヤダ海月!?
透明度にまぎれて刺生やす輩骨が有る奴と見た。ひらいた細胞(くち)からじゅるじゅると微毒、アラちょっと頭蓋(ふた)まで海月になっちゃいそう――どお最近の海、盛り上がってる? え、盛り上がってない? 海藻(そう)……。
希(ねが)わくば、お口円錐しなさい。俺っちヒトガタですけど!?
成功
🔵🔵🔴
シホ・イオア
邪神の仔ね……まずは話をしてみないと。
人探しなら人数が多い方がいいよね。
「輝石解放、ガーネット。影よ、シホの身を映して群れと成せ。」
さあ、みんなで手遅れになる前に探すよ!
空から捜索しつつ動物がいたら潮臭い場所とか情報収集してみよう。
視線?
光ってるし飛んでるから目立つからねー。
邪神の仔を見つけたら浄化の結界でも張ってみようかな。
男性に影響がないなら破魔も追加。
おそらく男は『運が良かった』のだ。苦悩なく海へと誘われ、変異(か)わる儘に遊泳(およ)いで往く――しかし偶然が全てを掻っ攫った。
蒼々(そうそう)と煌めいた世界には数多の星(つぶて)が降るのだろう、脳天(ふた)を抉るような刺激が蟾蜍(ひと)の心を揺さぶるのか。魚類の仔は魚類と聞くが、果て、神(ひと)の仔は本当に神(ひと)なのか。兎にも角にも先ずは『おはなし』が重要だ。猟兵(オマエ)は小躯(からだ)を躍らせる――輝石解放、ガーネット。影は無数(かたち)を分身(はら)んで満たす。手遅れになる前に片っ端から探索(さがしもの)だ。君は誰と会話(おしゃべり)したい? 犬か猫か鴉かその他――あの岩礁には近づいちゃいけないよ。臭い? 臭いってんなら酒場は如何だい。宿屋も兼ねてるから一晩……。
酒場(やど)の窓から目立つ貴様へ視線の嵐、あれは小人か。きっと外来(そと)のモンに違いねぇ。さっさと出ていきゃあいいんだが――まるで希望のお星さまじゃねえか。嫌な感覚(ねば)りに中てられて漸く男(めあて)を発見した。取り敢えず『ひとり』に戻ってから――知れぬ宝石の極光、月の反射(めん)にさらす……少しの蒸気(しゅうしゅう)。邪悪がもらす悲痛の音(ねん)。
このまま結界(きよ)め、破魔(と)かして終えば男は核から失せていただろう。もう『覚醒』寸前と考えられる。ゾク、と背を這うような心地――海に面した場所から『かげ』が涌いている。あれは怪物だろうか。あれは人間だろうか。
――恋煩った乙女の群れが獰猛さに縋るよう。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『希望の信仰者』
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POW : 『希望』は全てを解決してくれる
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【希望への渇望】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
SPD : 『絶望』は殺すしかないよね
【一般人への擬態】を脱ぎ、【狂信的殺人鬼】に変身する。武器「【文房具や調理器具などの日用品】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。
WIZ : これは高かったんだからね!
200G(万円)相当の【怪しい通販で買った召喚石】をx個消費し、ランダムな強さ・外見を持つ【邪神】族の【集団型オブリビオン】をx体召喚する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
酒場兼宿屋――看板は腐り、名を読むものはいない――でボンヤリとしていた男、邪神の仔の力(マイナス)に中てられて、岩礁から彼女等(きぼう)がやってくる。まるで怪物の演技(フリ)が得意な一般人だ。ずるずると過去(うみ)を引き摺りながら狂気塗れの恍惚(つら)を晒した。それは希望。それこそ希望。それを還して。本来在るべき海の底へと。本来棲むべき深淵(ふか)みへと。
男の困惑と謂ったらそれはもう『筆舌し難い』ものだった。いや、薄々理解(わか)ってはいたのだ。自分が異常だと。自分が異端だと。正気ではない、と――猟兵(オマエ)の為すべき現(こと)は変わらない。
UDCをぶっ叩け、あれらの頭(おつむ)は崩れている。
蓮池・大輝
☆アドリブ歓迎。WIZ
正気も狂気も、外から見れば同じようなもの。
それは希望と絶望も然り。
ああ、だから焦がれてしまうのですね。火傷するほどに触れても、まだ足りないと脳が疼く。
では貴方から見たら、僕はどう見えるのか。黄色に黒を混ぜたら、キープアウトの出来上がりです。
さて、UCを纏って海までランデブーしましょうか。邪神の仔の変わりに僕がエスコートしましょう。
遍く全ての過去を海へ放りながら、彼女を海面に叩きつけます。
海には文字通り何でもあるんですよ。貴方はそこで眠っていなさい。まだ悪夢から覚めるのは早いです。
酔っ払いは不定形(ばけもの)を知っていた、故に何処かで召喚石(アーティファクト)を購入(つか)んだのだ。それは希望、それこそが希望。
ぬくぬくと戯れていた仔羊はいつの間にか鍋底で並んでいたのか、自らが焼かれ、焦げ、々がれたところで己の貌(ざま)を理解する事は赦されない。正気も狂気も外から覗き込めば同じ人間(もの)。憧れた超越性(エネルギー)の果てには不足しかない。触れた々れた、腐り果てても餓えている。疼いた脳の行き先はまさしく無限量(うみ)か――では。貴方から見たら、僕はどう見えるのか。薄まっていた赤(もの)が鮮明に、おぞましく警鐘している。黄色に黒を混ぜたらキープ・アウト。進んではいけない。這ってはいけない。待ち望んではいけない――出来上がりです。胃液の音(ぽちゃん)が聞こえる。
代償の話は地獄の沼(どろ)でやってくれ。貴婦人(バイアクヘー)の導きとは真逆ではないかと男(だれ)かが苦笑(わら)う。邪神の仔(かれ)のかわりに蒼々の彼方まで。過去から現在へ現在から未来へ、或いは深淵(あちら)――叩き付けられた肉の塊、一般人の演技(フリ)が大好きな希望(ほし)の屑――海には文字通り何でもあるんですよ。
悪夢がのたうち、枕が蔓延り、ようやく従兄弟が寝返りをうった。貴方はそこで眠っていなさい――混入した異物が腸の隅で蠕動している、お高い買い物をした。
はぜた疾風(かぜ)が爛々と双眸(ひか)り二足歩行、大きく々きく。躱したオマエは足元で踊るだけだ、それでも十分。
成功
🔵🔵🔴
ヴィルジニア・ルクスリア
件の男性、自覚されているのね。
自身の異常性に苦しむのは、『普通』が理解できるからこそ。
『普通』を理解できるうちに保護すれば、今後の『メンタルケア』も円滑に進める事ができるかもしれない。
その為にはお邪魔虫を排除しなければ。
「いつの世も無理な勧誘は嫌われますよ」
保護対象者を【かばう】ように狂信者共の前に立ちふさがる。
お世辞にも広いとは言えない屋内で保護対象者を守りつつ、集団と戦う。
厄介な状況ね……普通なら。
『毒の芳香』発動
元々、少ない理性が失われていく中で、甘い香りを危険に感じることが出来るかしら?
灰々(はいはい)あんよが上手だと海コネる、ひたした両手(ひら)に生えたのは膜か――小さな々さな鋏で爪を整えるような、そんな僅かな狂気に男(かれ)は中てられていた。普通と称される苦悶(いた)みが重なって暈なってようやく異常の悪辣さを解せるのだ。今の内に保護出来たならば『メンタルケア』とやらも容易に違いない――いや、たとえ円滑に進まずとも必ず『ひと』として過ごせるだろう――お邪魔虫が蔓延っている。怪物のフリした人間と人間のフリしたい怪物、オマエは何の味方をする? 見方を変えたところで希望が輝いている――いつの世も無理な勧誘は嫌われますよ。黙れ、鬱陶しい、魔女裁判から抜け出した奴に謂われたくはない……怖気、そのカッター・ナイフは非売品か?
どろりと大皿(うろ)から溢れ、たれた芳香(パフューム)は煉獄。野晒しにされた脳味噌(ザクロ)が襤褸々々とこわれていく。腐れて微かな理性の薄膜、つつく、つつく、もう破裂(は)ぜる他にない――女どもの愉悦、優越、神に身投げする。
甘い、甘い毒素(しるけ)に誘われて数多が跪いた。リンゴ・タルトの眼球に舌を伸ばす。ぼた、ぼた、過去(いのち)が溺れて逝く――厄介な蠅がとられたのだ。
無自覚の化身(にく)が自覚(きみ)の前で斃れ散(お)つ。塞がれた深淵(ふか)みへの導、塗りたくられた看板(インスマス)。
――ひとつだって渡せない、と、蛇が謂う。
成功
🔵🔵🔴
リーリア・ブラッドスノー
希望?恍惚?
莫迦らしい、過去から現在、未来に至るまであるのは痛みと絶望ばかり
絶望を殺すなら絶望を感じないよう死ぬだけよ
あぁ、それを恍惚と思えるならいいかもね、それはもう異常だけれど
絶望の一端をくれてやりましょう
疑似体験を放ちます
狂えれば幸せね、さぁ絶望を殺してみなさい
たった一度で無様を見せたら笑ってあげる
心のなかで羨ましいと思いながら
血の繋がり?
生きるために麻酔なしで腹を暴き臓物を薬漬けにしなければ生きていけない身体に改造されてそれでもそれを感じれるなら大したつながりだわ
とんだ欠陥品を産んでくれたものよ
還せるものはなにもないわ
気が触れたか己の腹を掻っ捌き
さあ、希望と絶望の我慢比べをしましょうか
恍惚と記された頁を破り棄てた、莫迦らしい、そんな代物に縋れるほど真面ではない。希望と刻まれた心臓を叩き付けた、莫迦らしい、未だ鼓動(うごめ)く血管に苛々がつのる。過去から現在、未来に至るまであるのは痛みと絶望ばかり。嗚呼、副王、アーカーシャが回転するならば教えてくれ、世界が騒々しい、創造者がやかましい――絶望を殺すなら絶望を感じないよう死ぬだけよ。じくじくと悦びが這い上ってくる。それはもう異常だ。狂っている。狂っている……? なんとも羨望まみれだ、疑似体験(おすそ分け)をどうぞ。
まるで世の中はピラミッドだと王様と奴隷は語り合ってみせた。ただのひと睨みで屑折れた複数人が仰々しく幻視(はらわた)を押さえている。抑えている。こぼれないで、誰か戻してよ――全く無様な連中だ、面白くもない見世物の群れ――溜息(わら)々。
薬漬けの蒼白が血の繋がりとやらを認識する。そんな夢物語に頭を沈めて臓物(もつ)煮込みになってしまえたらどんなに楽しいか。本当、大した『もの』ね。とんだ欠陥品を産んでくれたものよ――首飾りに絞められている、針の太さは小腸程度。
還せるものはなにもないわ――辱められた云々と赤面(もも)捥ぐ所以はない。気でも触れたのかオマエ、雫もゆるさず腹あてた。ぎりぎり、ぶちぶち、みちみち――おかしな劇場だ、最早『我慢比べ』はままごとの域を越えている。
希望と絶望の殴り合い。
――血濡れの絶望、自殺(みたくない)と希望(きみ)。
成功
🔵🔵🔴
シホ・イオア
邪神の仔には浄化や破魔の力はキツイみたいだね。
彼を保護する結界は調整をしておこう。
さてさて、お呼びじゃないお客様にはお帰り願おうか。
物騒なものを買ったみたいだけど……高かったの?
無駄なものを買っちゃったね、ここでシホにい焼き尽くされるんだから。
「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、舞い踊れ!」
ガトリング砲も使って制圧射撃!
【浄化】と【破魔】の力も付与すれば邪神族には効くんじゃないかな。
強さはランダムらしいから面攻撃で倒せなければ、
収束させた一撃に切り替えるよ。
敵の攻撃は【残像】【空中戦】で回避重視で対応。
邪神の仔と話すために名前を聞いておきたいな。
セイレーンの詩が聞こえる、神は面を隠し、美しい戯曲に則ったのか。心臓(ハート・マーク)のローストが香ばしくも希い求むる。
アメジストの爛々に中てられて目を回すとは矛盾(きっかい)な現(こと)だ、されど男が朦朧(ふら)ついた事に変わりはない。浄化(きよ)め破する結界(ふた)の調整は不可欠か――兎も角。お呼びじゃないお客様にはお帰り願おうか。一般人のフリした殺人鬼(フリークス)にはただの台詞(ひとつ)も赦してはならない。物騒なものを買ったみたいだけど――まるで無意味な売買(たわむ)れだ、かわいそうに。ここでシホに焼き尽くされるんだから。冥々(みょう)に砕けた宝玉(たま)が転がっていく、顕現(み)えたのは触手か粘性か……輝石解放、ルビー。赫々に当てられ、塗り潰された輪郭。
炎は愛情を以て世に満ち満ち、傲慢な過去(オブリビオン)へと放たれる。機関銃(ガトリング)の口腔(あな)から無尽蔵(げんどなく)点ではなく面へ。ばらら、崩壊(くだ)けていく肉壁(ハンバーグ)の群れ――あの固形はすこし硬くないか? ならば集中、収束させた焔(えん)で抱擁(いだ)くと良い。
わずかに這いよって魅せた先端(とげ)を小躰(おのれ)活かして躱す。カウンター気味に返した残像(もの)が最後の破片(にく)を滅ぼした――ねえ。あなたの名前はなにかな? ようやく静まった戦禍(いま)、彼に尋ねる……。
私は――ギルマン。本当の名は忘れたのだと男は苦笑(わら)った。
成功
🔵🔵🔴
日向・陽葵
ヒトのカタチしてる割には不定形隠せてないな? 欲しいのは王様御本人、それとも王冠御神体
人間はてけりり鳴かないの。ちゃんと欲する希望は見据えてられてますか。この見せたがりさんめっ
凶器が日用品って殺されても凶器と見なされずにスルーされちゃいそーね!? でもぉ、寄ってたかってだったら不和は生じてくれるでしょ……希望的観測ダア
やーん!! そんなので還せって言われても頼りない!! 保護欲蠢いちゃう!
頸と一緒に切っちゃえ縁結び。リボンで装飾したら形崩れも誤魔化せる……しょ、ショッキング。俺っち、酸素が減った気がします
海に惹かれても溺れたら元も子もない、呼吸できても陸上生物は地上の拠点を易々捨てないっしょ!
押し付けられた水素が妙な嘔吐(おと)を漏らした、頭痛が巻き起こした特大の事故だ、でろでろと脳髄(ずい)が一回転している。ヒトのカタチしてる割には不定形(ショゴス)隠せてないな? チョコレート・ケーキに加工された肝臓が騒いでいる。欲しいのは王様御本人、それとも王冠御神体――祭壇を囲んでくれよ裸体、ぐるぐる巡れ何度でも狂っとる。嗚呼、人間はてけりりなんて鳴かない。絶望は殺すしかないって――やーん! そんなので還せって言われても頼りない! 見せたがりに欲しがりに満たされたい、見据える事も出来やしない滑稽な殺人鬼――やあ、名状し難い。ポンッと腸から出してくださいな。
希望的観測だとオマエは発言(つ)げてみた。見世物じゃあないと嘆くクセにおっ始めたのは怪物回収に違いない。狂気が日常で凶器が日用ってんなら日曜日(おととい)きやがれ。どっちにせよスルーされそうでおそろしい。黙れよ不和っふわな猟兵(オマエ)、それこそ解離していないか――崩れてもリボンで誤魔化せる。
ショッキングな出来事だと生首(ほだ)されたのは信仰者(ひとびと)だった。ごろりと目と目が遭ったらガリリと削れる酸素――あ、ダメめまい――転倒(ころ)ぶついでに踏み潰してしまえ、仕舞いだ々々いだ海に惹かれて溺れたら蛙の仔もない。
呼吸できても陸上生物(きみ)は易々、地上(テリトリー)から逃れられない。こんなにも住み易い世界(いま)を棄てるなんて莫迦げている。おれっちだってここどこかわからんかったら困る! 赤茶色の泥(いし)に留まる、この滅裂具合が丁度いいのだ。
暴君の造ったオアシスの方が住み心地最高、鞘はどっかに忘れていた。
成功
🔵🔵🔴
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ描写×
POW
【結界術】で男を保護。
守護霊の憑依【ドーピング】で自身の戦闘力を高めつつ
今まで救済した数多のオブリビオンの面影を希望の信仰者達に見せる
皆、私と魂の契りを交わし永遠の幸福を得たの。
私こそが貴女達の希望。第2の骸の海よ
指を弾いて弾丸のような空圧を放つ【怪力・衝撃波】の指弾を
【早業】で【乱れ撃ち】彼女達の持つ召喚石を砕き
『挽歌・土蜘蛛魂縛陣』の【範囲攻撃】で纏めて【捕縛】
この糸はUCを封じる上に物理的な力では切れず
濃厚なキスと愛撫による【慰め・生命力吸収】で寿命消費も相殺
命に保険はかけていたもの。
再会は必然なれど、こみ上げる想いは頬を伝い
存在を確かめ合うように素肌と唇を重ね合う
人工甘味料(あま)ったるいものが好物なのだと人々がざわめいた。想像していた地獄よりも現実は深淵(ふか)い奈落(もの)で鰓呼吸(いき)苦しいと男(きみ)は謂う。囲まれた。何に囲われた? まるで王子様の寵愛を受けたお姫様だ、懐かしい、嗚呼、おそろしいほどに柔らかい羽毛――それは信仰者(かのじょ)等にも視えていた。目の前の『これ』は幻覚ではない。本物だ。本当だ。嘘偽りのない狂気じみた混血の沙汰……。
皆、私と魂の契りを交わし永遠の幸福を得たの――表現するならば『第二の骸の海』、もしくは『新たな混沌の種』か。私こそが貴女達の希望――そんなの他人(ひと)が勝手に決めた事じゃない! 苦し紛れに放った罵声、しかし涎が止まらない。猟兵(オマエ)に抱かれたい。ぽろり、と、こわれた召喚石(アーティファクト)だけが悲鳴を上げる。
命に保険はかけていたもの――恍惚とした現実(リアル)の虚(なか)で真実(リアリティ)を見つける。過去(オブリビオン)は女王(オブリビオン)の埒外性(罪悪)を理解していた。絡まった。捕まった。何か、プライドのような精神(もの)を剥がされた。希望(かめん)は抗う事を止め縋るようにおちる――再会は必然、こみ上げる想い――雫が共鳴(いと)を孕み啜る々る……重なった唇(かじつ)の塩からさ。
絆された者は自由(すべ)を忘れ総てのはじまりを認識するのだ。暗い冥い最下層(うた)に喰われたところで契約(くさり)を殺す事は出来ない。もちりと弄った肌と肌が希望(ひかり)の位置を証明する――ありがとう。ありがとう。
否定的な悪魔は去り肯定する化け物の胎へ。
成功
🔵🔵🔴
第3章 日常
『空中庭園』
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POW : 散策する
SPD : 観察する
WIZ : 景色を見る
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
嗚呼――ひどく臭う。ひどく心地が好い。
彼女等はきっと私を連れ去りに来たのだ。
いや、そんな展開(こと)は理解しているし、私が何なのかは見ての通りだ。変質が進んでいる。異形(かたち)が視えてくる。素晴らしいほどの永久が私を歓迎してくれて異るのだ――海が私を呼んでいる、なのに、どうして君達は『こんな場所』に引っ張ったのだ。勿論、一番遠いからだろう。真逆だからだろう。
知っている。君達はおそらく、私を『きれい』にしたいのだ。手遅れになる前に人間として『洗いたい』のだ。当たり前だ、しかし、狂っているかもしれないが――もう私は彼方側に行きたくて仕方が無いのだよ。放してくれ、お願いだ!
これなら……そう。彼女等のように、私を処分してくれないか。私がたとえ『人間』を謳歌(うた)えるとしても――また何某かに誘われるだろう。
まあいい、全ては私ではなく君達次第なのだ。好きにしてくれ。最悪、この庭園から身を投げれば――!
ヴィルジニア・ルクスリア
『処分』される事を『仕方がない』と思っているみたいですね。
諦観?自暴自棄?違うような気もしますが他人の心を理解するのは難しいですね。
不安を和らげるためにお話をさせていただきますね。
ギルマンさん。よろしいですか?
貴方の様々な推測は大体合っています。
我々は貴方を『きれい』に、より正確には『人類社会にとって無害な存在』でいて欲しいのです。
UDC組織では現在、UDC-Pと呼ばれる存在を保護しています。
UDC-Pには生まれついた時から人とはかけ離れた存在でありながら、人に害をなすことに忌避感を抱くものもいます。
私自身も人外の存在ですが、人と違っても人と一緒に生きていくことは出来ると思います。
人が人の心をほぐし、咀嚼する事は難しい。それは怪物、化け物の脳髄(シナプス)も同じような行為(もの)で一線を越えては身投げを誘発(お)こすに違いない。嗚呼、処分される事を『仕方がない』とでも思っているのだろうか。もしくは処分『されたい』と考えているのだろうか。諦観、自暴自棄、何方も正解とは謂えないが――甘い々いスイーツで心を溶かすように、不安を和らげるために。お話しなければ何も始まらない。
ふわりと遊んでいる雲(わた)に流されたらどんなに楽だったか。男――ギルマンは溜息を吐いた。いっそ何もかもを投げ棄てて、自分すらも忘れられたら素晴らしいのだろう。そんな事も出来ないのか、と、愚痴(おと)をこぼす――。
推測は大体合っていたのだ。「我々は貴方を『きれい』に、より正確には『人類社会にとって無害な存在』でいてほしいのです」――UDC組織には数多の怪物(UDC-P)が保護(い)る。それらは生まれた時から『人ではないのに人に害をなしたくない』ある種の忌避感(ノイズ)を抱いているのです。つまり、私も彼等と同じように生活(い)きる事が可能だと?
ふわり、悪霊(サキュバス)が微笑(かお)を晒した。「私自身も人外の存在ですが」――十人十色を拡大(ひろ)く扱っても良いのだ、人と違っても人と一緒に生きていくことは出来ると思います。それこそ、枕を投げ合うように。
ぐるりと回転した男の眼球、そろそろ瞬く事もなさそうだ。
愛情と呼ばれた執拗(いと)が背骨を定めている。
成功
🔵🔵🔴
リーリア・ブラッドスノー
…かはっ
説得したいのは山々ですが、色とりどりの臓物が腹から溢れかえっている今の姿では
いや、もしかしたらかえって都合がいいのでは?
その…今のあたしの姿から見えればあなたのほうがよっぽど人間ですよ
狂っているかもしれない、と判断できるのならばあなたはまだ狂っていません
そうでなければあなたはとっくに思考を放棄し身を躍らせているはず
血と臓腑の香りを漂わせながら彼にもたれかかりましょう
要は余計なことを考えさせなければいいのです
ショック療法と言うやつですね
このままではあたしは死にますよ?
彼の手を導き己の臓物に触れさせる
桃色の表面に青紫の糸が走るそれは柔らかく温かい
もっと優しく、あたしの胎を傷つけないようにね
ミート・ミート・ミート、大皿に盛られたスパゲッティの量、それを確認する事は難しくない。ぶつぶつと歯切れのいい、素晴らしい環形動物(もの)が襞の真似事をしている。じっくりと炙られる事もなく、艶々としたトマト・ケチャップが鼻腔(あな)を刺激すると謂うのか――女の音がかすれる。生きる為に、活かされる為に、何度も何度も割腹(わら)う妖艶(なまなま)とした――それで説得するつもりなのか、男は息をのんだ。
色とりどりの臓物(わた)がこぼれている。空中庭園へといたるべく、段をのぼればのぼるほどに大切な部位(もの)が回転(くず)れるのだ。これは――嗚呼、考えようによっては『都合がいい』のかもしれない。思考を手繰っているのか小腸を手繰っているのかも解せないが――少なくとも、今のあたしからすれば彼は正気の沙汰でしかない。
狂っているかもしれない。そう判断(おも)える時点で人類はマトモなのだ。まだ、あなたは狂っていません。そうでなければとっくに、思考を放棄し身を躍らせているはず――ずるり・ずるり、濃密な香を孕みながら彼(きみ)にもたれる。余計な事を思ってはいけない。マイナス・イメージを埋め込んではいけない。ショック療法――荒すぎやしないか。
このままではあたしは死にますよ――ヌメリ気を帯びた男の手を下へ下へ導いて魅せた。桃色の表面にツギハギと、まるで調理済みのような青紫(いと)――柔らかい。温かい。こんなにも美しい宝石が在ったと謂うのか。もっと優しく、あたしの肚を……胎を傷つけないように……ぐ、ち。パンドラ、知恵の実、舞台上の魔物。男は唾をのんだ。君(ファム・ファタール)――!
混ざる、混ざる、混ぜられている。吐くとして、胃は何処だ。
――スパゲッティは添え物だ、ハンバーグが大好きなお子様め。
苦戦
🔵🔴🔴
日向・陽葵
待て待て待てえ〜い。俺っち別に洗いたいワケじゃあナインですけど!? 洗ったって取れないしい……汚いままでも生きてける世、……小さな範囲でも作りたいよねテラリウム。築くか〜?
俺っち下っ端だけどお、UDC職員に片足両足突っ込んでる身。掛け合えるしお望みもたらすまで戦いまっす!
んでも自主性は重んじたいし望むならば死すら与え……ん〜〜。うーーん、無いなー‥…無いわ〜! だってえ危険性が感じられない……ここの海もキレイね。モノホンの海らしくて
え〜遊びに行ってまた帰ってきたらよくない? そういう問題じゃあない?
俺っちとおてて繋いで互いの行けるとこまで行ってみるチキンレースとかはどう。ドキドキドッキング!?
自己犠牲(オペラ)を知るには若過ぎた、掌を汚してはならない。
もれた腸をゴシゴシ・ゴシゴシ、洗浄したとして、全てが穢れでは如何しようもない。内容物(もつ)を煮込んだ結果が焦げ臭いでは勿体ないのではないか。待て待て待て。伸ばし棒を使ってぐるぐると掻き混ぜろ、ざわつく脳内(もり)はウォシュレットを望んでいない。しかし――小さな範囲でも作りたいよねテラリウム。小さな藻から孵化するお魚、せっせと築くならば今だろう――俺っち下っ端だけどお、職員(UDC)に片足両足突っ込んでる身。掛け合えるしお望みもたらすまで戦いまっす! たとえば新鮮な、墜ちた天使(エンジェル)を捌くのは如何だ。誰も悲しまないし君は満たされる。
救いと称された死(もの)は深く々く、無限量と記されたマッチ・ポンプの宝物殿。そんな勿体ないほどに危険性が感じられないのだ、しっかりと観察(のぞ)き込めばここの海もキレイね――まるで本物(モノホン)の真珠だ、俺っちと貝になりたい……? 無いわ~! もっとマグロみたいに動きなさい。
門限までに帰ってこれるなら何やっても良いよ。そういう問題ではない、と、涎滴らせて男(かれ)が苦笑(わら)う。手を繋いで行けるとこまでグルリ、生かされるのはこれにてお終い。あとはチキン・レース、彼方へ々々へケチャップと往こう。ドキドキドッキング!? 母なる海、融合(と)ける前に脱出だ――希う、希う、天眺めるのも悪くはない。
やかましい頭痛は波の証だ、今は水溜まりで十分だろう。
成功
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