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銀河帝国攻略戦⑱~水鏡よりも己を知れ

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 ……カチコチカチコチ……。
 戦況は進む。と同時にタイムリミットも近付く。
 集まった猟兵達の姿を確認すると、仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)は手にした懐中時計から目を離し微笑む。
「皆様、ガルベリオンの発見、お疲れ様でした」
 会釈と労いの言葉の後に顔を上げ、しかし厳しい顔で続ける。
「しかし、未だその戦艦に乗り込む事は出来ません。次に行く手を塞ぐのはドクター・オロチの配下、アマルテア情報艦隊です。皆様にはその内の一隻を相手していただきます」

 アマルテア情報艦隊は、ブラックタールから着想を得て開発したという『リキッドコンピューター』を搭載した艦隊だ。
 艦内には粘性の液体が満ちた広いプール空間があり、この液体自体が情報を蓄積、処理するコンピューターとなっている。
 その情報処理性能は宇宙屈指で、帝国工作員達が宇宙各地で収集する多種多様な情報を集積、最適な作戦計画を立案して来た。
「アマルテア情報艦隊自体の武装は通常艦隊に劣るのですが、リキッドコンピューターは猟兵達の出現に反応し『強力な敵を強化再現した液体存在』で迎撃して来ます」

「今回皆様に相手していただくのは『アナリシス』と呼ばれるものを模した存在です」
 ドクター・オロチが、ユーベルコードを研究するために実験体として造り上げた、金属生命体。実験終了後に全て銀河帝国へ譲渡され、実戦配備されたという。猟兵のユーベルコードを解析し、逆に利用して来る厄介な敵だ。
「手強い相手ですが、今回は一つ、状況が違います。此度の相手はあくまでそれを再現したリキッドコンピューター。精密機械という弱点を抱えています。その辺りを突いた戦術ならば、有効な打撃を与える事が出来るかもしれません」

 集まった猟兵達を見回し、艦内に転移させる為己のグリモアを出現させる。
「それでは、よろしくお願いします」


小風
 小風(こかぜ)です。
 二作目にして戦争シナリオですが、よろしくお願いします。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦 『アナリシス』

POW   :    アナライズ&コードテイカー
【ダメージのない解析ビーム 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【対象のユーベルコードを借用した攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    カウンターコード
【近くで使われたユーベルコードを解析する事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【そのユーベルコードのコピーを使用する事】で攻撃する。
WIZ   :    ミラーフォーム
対象の攻撃を軽減する【対象と鏡映しの姿(ミラーフォーム) 】に変身しつつ、【対象が所持するユーベルコードを借用する事】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鏡繰・くるるです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 その戦艦の中心には、黒い水のようなもので満ちた広い部屋があった。
 据え付けられたプールの淵から時折飛び出すように波打ち、しかし水ではありえないほど伸びた位置でぴたりと止まり、再び己の水槽の中に静かに戻ってゆく。
 これこそがこの情報戦艦の心臓にして頭脳、ドクター・オロチの作りしリキッドコンピューターである。

 それが大人しい情報処理機に徹していたのもここまで。
 グリモアにより転送された猟兵達が部屋に踏み込むと同時に、その姿は変貌する。
 プールの中央へ集まるようにして高い水柱を形成したかと思うと、瞬きの間に人型の輪郭へと変形する。
 作者を同じくし己の兄弟ともいえる金属生命体、アナリシスの姿だ。
蜂蜜院・紫髪
心情:
情報というのは実に厄介な物、残しておけば必ずや禍根が残ろう。
今も儂らについて何か集められておれば適わん。
それに確か予知の中に捕まっている者がいるとの事じゃったな。
位置を知っていそうじゃのぅ…さぁ帝国よ。情報戦じゃ。

戦闘:護衛人形を盾に狐火で戦います。怪我人が出れば【癒しの狐火】で回復
前衛が居れば中衛として隙をサポート
下記条件は無理せず行います
【アナライズ&コードテイカー】護衛人形で【かばう】ことで不発を狙います
【ミラーフォーム】反転した姿である事を【見切り】【カウンター】を狙います
【カウンターコード】護衛人形で【オーラ防御】【武器受け】【かばう】し、【厄受人形】【呪詛返し】を狙います



「情報というのは実に厄介な物、残しておけば必ずや禍根が残ろう」
 最初に動いたのは蜂蜜院・紫髪。
 護衛人形を自分の前へ立たせると同時に狐火を放った。
 アナリシスの姿だったそれは変幻自在。次は飛んで来た狐火の主である紫髪の姿へとすぐさま変形し、同じ数の狐火を灯して放った。
 本物の紫髪は飛んで来る狐火を人形にかばわせながら、鏡写しの相手を見やる。

 そして、幾度かの撃ち合いの後に、気付く。
 自分と同じ姿で同じ技を使っているはずの相手が、時折不自然に震えていることに。
「……なるほど。器用に借用は出来ても、使っているユーベルコード自体は別物。その反動というわけじゃな」
 ならばと、紫髪は狐火を操る。
 気取られぬように、放つ狐火を相手の際をかすめるようにして撃ち込む。
 その実、反転した相手の後方、死角へ自分の狐火を集める為に。
 真似された狐火は護衛人形を操作して打ち落とし、相手の手玉を減らすことも忘れない。
 あの様子ならばもうすぐ――そして反転した自分の姿が、僅かに痙攣する。
「ゆけっ!!」
 鋭い掛け声と共に盾としていた護衛人形が相手に向かって走る。
 こんなものと避けようとする鏡写し。
 しかしその背後から迫るのが本命。
 密かに集め、瞬時に合体させた紫髪のフォックスファイアだ。
 反転したその後ろ姿から、大量の湯気と蒸発音が響いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携歓迎】
相手のユーベルコードをコピーする……ねぇ。
面白ぇ、どこまでコピーできるのか試してやろうじゃねぇか!
相棒の宇宙カブに乗ってひとまずぶちかましをかけたら、
【人機一体】を発動させて合体!
さあ、どうやって相棒を準備するか見せてもらおうじゃねぇか。
まあ何とかしそうな気がするけど、そしたら高速戦闘の開始さ。
メーザーと高機動戦……までが限界だと思ってるだろ。
最高速に至った時にこそ、アタシの真打ち!
【黄昏砕く脚】をぶち込んでやるよ!
解析が間に合うか、電熱で液体が蒸発するか、見ものだね!



「面白ぇ、どこまでコピーできるのか試してやろうじゃねぇか!」
 相棒の宇宙カブJD-1725に乗って走るのは数宮・多喜。
 未だ蒸気の立ち昇る背中を、他の部位から移した液体で塞いで修復するリキッドコンピューターことアナリシスは、向かって来るそれをなんとかギリギリで躱す。
「気合入れろよ相棒!」
 アナリシスを通り過ぎ、方向転換すると同時に宇宙カブから飛ぶ多喜。
 後ろへ蹴り出された宇宙カブは一瞬でバラバラになると、再び多喜の元へ集まり新たな形でその身に纏わせる。
 同じくアナリシスもユーベルコードの使用を察知。肌を波立たせ多喜の纏った宇宙カブのパワードアーマーを再現する、と同時に奔り出した。

 超高速の追い駆けっこ。互いのメーザーが飛び交う中、相手の後ろへ付こうと加速を繰り返す。床のみならず壁や天井、トリッキーなコース上でのデッドヒートを繰り広げる。
「ここまでが限界だと思ってるだろ。最高速に至った時にこそ、アタシの真打ち!」
 両者目視出来る距離、ほぼ同時。人機一体となったライダー同士の黄昏砕く脚が炸裂する!
 そこに差があったとすれば――宇宙カブJD-1725のマスターは多喜であり、アナリシスの体に合わせる為にはそれを変形せざるを得なかった、という僅かな点であろうか。
 多喜の蹴りがアナリシスの腹を捉える!
 高熱を帯びた飛び蹴りが液体の肌を蒸発させ、電撃が内包する回路を縦横無尽に駆け回って焼き切った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エルシー・ナイン
金属生命体を液体で再現するとは、さすが宇宙屈指のコンピューター。なかなかに意味不明なことをしてくれますね。

なるべくユーベルコードをコピーされないように注意して戦います。
解析ビームが来たらブラスターによる【狙撃】で相殺するとかですね。
もし【クイックドロウ】をコピーされたら、同じく【クイックドロウ】で反撃します。
どちらがより速く連射できるか勝負です!

相手のユーベルコードを喰らいそうなら【覚悟】を決めて【オーラ防御】で耐えます。
そうして【時間稼ぎ】して、他のみなさんの攻撃の機会を作ることに専念しましょう。

いくらコピーしても所詮偽物。本物には到底及ばないということを教えてあげましょう!



「金属生命体を液体で再現するとは、なかなかに意味不明なことをしてくれますね」
 撃ち合いに興じるのは固形のウォーマシンであるエルシー・ナイン。
 十代半ばの人間と見紛う見た目だが、全長222.6cm。
 対するアナリシスは二十代程の体積だろうか。
 大きな傷の修復に液体を回した影響か、若干髪の長さと身長が縮んでいるように見える。
 自分のユーベルコードをコピーされないよう、ブラスターによる狙撃で対抗するエルシー。
 あくまで必殺技の複製に特化したアナリシスは、熱線に身をさらしながら攻めあぐねているようだ。
「どちらがより速く連射できるか勝負です!」
 エルシーがクイックドロウの構えをとる。
 それを視認したエルシーもすぐさま解析して同様の構えをとる。
 早撃ち勝負はその時点で決したかのように見えたが――。

「!!?」
 先に肩を焼かれたのはエルシーの方だった。
 相手の方が遅れて構えたのに何故。
 続けざまに撃たれる射撃をなんとか避けながら見やり、エルシーはある恐ろしい確信を得る。
「レベル分の1秒で発射する技……まさか、ワタシではなく相手自身のレベルで撃っている!?」
 先の対決では確かに猟兵と同じ数の狐火を出していたのに。
 追いつめられる中で、その解析精度を上げてきたようだ。
「さすが宇宙屈指のコンピューター……というわけですか!」
 だが今初めてコピーし使っている情報処理機械と、その技で数多の死線を潜り抜けて来た戦闘機械では熟練度が違う。
 覚悟を決め、オーラ防御の僅かな守りで弾幕に身をさらすエルシーは、全く同じ位置からブラスターを連射する。
 一撃目が相手の熱線を相殺し、二撃目が別角度から来たそれと相打ちになり……。
 そうして先の攻撃に守られながら進んでゆく最後の一撃は、見事アナリシスの眉間を撃ち抜き視界を奪った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アルト・カントリック
「リキッドコンピューター……とりあえず、なんか凄い……みたいだね」
いまいち、ピンと来ていないが戦法の参考になるだろうと、伝えられた情報を反芻する。アルトが気になったのは「精密機械」という点だ。

「上手くいくか分からないけど、やってみよう!」

強い磁力で、金属を引き寄せ、水を寄せ付けない薙刀(籠釣瓶)を飛ばして、近づけたらどうなるのだろうか?精密機械や液体に何か異変は起こるだろうか?

好奇心半分、戦意半分。実験のようにアルトはユーベルコード【金引き 水弾く 籠釣瓶の舞】で特殊な薙刀を複製していく。真似されても薙刀が増えて鍔迫り合いが始まるだけだろう。

上手くいくといいなぁ……。



「リキッドコンピューター……とりあえず、なんか凄い……みたいだね」
 分かったような分からないような、でもやっぱりいまいちピンと来ていない表情で情報を反芻するのはアルト・カントリック。
 あの何度焼かれても撃たれても目の前で即修復する者が、実は水であり機械でもあると理解出来るのは、銀河帝国でも少数なのだから仕方ないか。
 しかし一番気になった単語"精密機械"を何度も呟いたところで、大きく頷く。
「上手くいくか分からないけど、やってみよう!」
 ユーベルコード発動の気配を察知し、アナリシスがアルトと対峙する。

「ふるべ、ゆらゆらと…釣瓶!」
 金引き 水弾く 籠釣瓶の舞で複製したなぎなた籠釣瓶の一本を振るい、迫るアルト。
 対するアナリシスも同じ技で複製した籠釣瓶を、こちらは念力で操り薙刀の柄で受け止める。
 押しつ押されつの拮抗状態になるかと思われたが――変化が起きたのはアナリシスだ。
 突然、機械であり液体でもある己の体が、組み合う薙刀の刃に引かれるように伸び始めたのだ。
「!?」
 ゴーグル越しの目を見開き驚愕の表情を浮かべるアナリシス。
 己の意志で伸ばしているわけではないようだ。
 たまらず他の薙刀を飛ばしてアルトを弾き後退する。
 すると今度は後ろへ控えていた他の薙刀へ向かって己の体が伸び始めた。
 こちらも勿論、己の意志ではない。
「うん! 上手くいったね!」
 アルトの嬉しそうな声が響く。
 ――なぎなた籠釣瓶は特殊な薙刀。先端の刃は非常に強力な磁力を発し金属を引き寄せ、水を寄せ付けない。
 此度のリキッドコンピューターにとっては相性の合致した武器であった。
 急いで己が複製した籠釣瓶を遠ざけるアナリシス。
 そしてガラ空きになった懐へ自分の籠釣瓶を引き連れたアルトが迫る。
 成す術なくその水の胴体が、弾かれるように豪快に薙ぎ切られた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

犬憑・転助
俺のユーベルコードは超嗅覚、キナ臭さだってかぎ分ける

ははっ、からくり仕様か……
だがな! からくりにゃあ弱点が付き物だろう?
見つけてやるさ

着物姿に二刀流

敵の奇襲や発見は超嗅覚で感知し、仲間に知らせる
来ると思ったぜ(かばったり避けたり敵の弱点ついたり)

戦いが膠着したら、頭脳派な旅団の仲間の指示に従う。またはやろうとしてる作戦をフォローする
(コロ助が傷だらけは望むところです。苦労人ポジ希望)

サムライに斬れないものは、ないんだぜ?

敵の弱点を超嗅覚で見切り全力で攻撃!
例え自分がやられても、最後にその弱点を仲間に知らせる
あとは……頼んだ、ぜ……?

アドリブ歓迎、他PCと絡み希望
ぎりぎり最後の採用で構いません


城田・紗希
同じユーベルコードでの攻撃かぁ。
でも、私の火力までマネできるかな?

使うのはウィザードミサイル、ついでに全力魔法と誘導弾で…
……えっと、80本?(数え切れてない)
とりあえず、同じように矢が飛んできたら誘導弾で相殺させて、
相殺させても余るはずだから、残りは偽物の私に打ち込むよ!

……これって持ち帰れば、姿見の代わりにできるかな?



「同じユーベルコードでの攻撃かぁ。でも、私の火力までマネできるかな?」
 魔法の矢を従え微笑むのは城田・紗希。
 数にしてざっと――80本くらい(数えてない)。
 これだけあれば防御に使っても余りを攻撃にまわせる、と意気込んでいたのだが……。
「えっ?」
 目の前で鏡写しの自分となったアナリシスが従えるウィザード・ミサイルの数は、戦艦が燃えているのかと思ったほど。ざっと――いや、もはや数え切れない。
 先の戦いでレベルが反映される技に関しては、己の数値を反映出来るまでに解析精度を高めた結果であった。
「ちょっ、これはムリ無理! インポッシブルだよ!!」
 同じ技であるがゆえに、力量差が直接手弾の差として現れる。
 誘導弾による相殺なぞ狙えば、潰されるのは自分の方だ。
 先程の紗希と同じような微笑みを浮かべ、アナリシスが数本の矢を同時に操り火球のように放った。

「右へ走れ!!」
 力強くよく通る声が紗希の耳に届いた。
 咄嗟に踏み込んだ左足が床から離れた瞬間、その位置に魔法の火炎矢が降り注ぐ。
 瞬時に床材を焦がし溶かし、嫌な臭いが立ち昇る。
「次は左だ!」「後ろへ飛べ!」「反対側へ走れ!!」
 途切れることなく飛んで来る指示に全速力で応える紗希。
 少しでも遅れたら自分の命はない。
 そう確信出来るほど声の予測は的確であった。
 潤沢な矢を惜し気もなく使った攻撃が続き、プール空間は陽炎が発生するほど熱く、目が眩むほど明るくなっていた。
 苛立つようにアナリシスの顔がゆがむ。

「俺のユーベルコードは超嗅覚、キナ臭さだってかぎ分けるんだぜ」
 今の声は己の後ろから。
 アナリシスが振り返ると既に白髪の妖刀使い、犬憑・転助が抜刀していた。
「からくりにゃあ弱点が付き物だろう? あんたの弱点は、体内部への攻撃に弱いことだ!」
 傷の修復に余念がなかったアリシス。
 それは単に液体だからという理由以外に、むき出しになった内部へ撃ち込まれるのを避ける為だった。
 転助は一太刀目による袈裟切りで付けた刀傷へ、すかさず返す刀で逆袈裟を放つ。
 ぴたりと重なる二つの一閃は、アナリシスを両断せんほどに深々と斬り付けた。
 ずり落ちそうになる体を両腕で支え、怒りの表情を浮かべるアナリシス。
 その感情を現するかのごとく、残りの矢をこれでもかというほど大量に転助へ向かって射った。

「あとは……頼んだ、ぜ……?」
「はい!」
 火だるまの後ボロ雑巾のようになった転助が倒れゆく中、返事をするのは紗希だ。
 ほとんど減らすことの無かった自分のウィザード・ミサイルを、アナリシスへ向かって降り注がせる。
 転助の作った大きな刀傷へ、矢の着弾点を誘導させることも忘れない。
 もはや残りわずかとなったアナリシスの矢では、その炎の豪雨を止ますことは叶わなかった。
 内側から爆発するように炎と電気の破裂音を上げ、水のようだったアナリシスことリキッドコンピューターは、今度こそ何の形もとらない水となり、黒い飛沫と共に弾け飛んだ。
「もう姿見の代わりにもならないね……」
 宇宙屈指の情報艦隊は一隻、ここに沈んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月16日


挿絵イラスト