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銀河帝国攻略戦⑱~驚異のリキッドコンピューター

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「トラウマを乗り越えジャミング装置を破壊してくれたみなさんの奮闘のおかげで、帝国の執政官兼科学技術総監ドクター・オロチが乗る『実験戦艦ガルベリオン』の所在が判明しました」
 エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)は、やや興奮気味の声で集まった猟兵達にそう告げた。
「ですが『実験戦艦ガルベリオン』はアマルテア情報艦隊に守られており、接近は容易ではありません。そこでみなさんにはアマルテア情報艦隊の1隻に転移突入し、内部から艦を撃沈して頂きたいのです」
 アマルテア情報艦隊は、ドクター・オロチがブラックタールから着想を得て開発したという『リキッドコンピューター』を搭載した艦隊だという。
「艦内には粘性の液体が満ちた広いプール空間があり、この液体自体が情報を蓄積、処理するコンピューターとなっています。その情報処理性能は宇宙屈指で、帝国工作員達が宇宙各地で収集する多種多様な情報を集積、最適な作戦計画を立案して来ました」
 情報艦隊という性質上、武装は通常艦隊よりも劣っている。
「ですが、『リキッドコンピューター』はみなさんが艦に侵入すれば『【地獄宇宙人アビ星人】を液体で強化再現した液体存在』を生み出し迎撃して来るでしょう」
 【地獄宇宙人アビ星人】は、かつて星々のあった時代に暗躍した邪悪な侵略宇宙人だ。元々高い身体能力を持つ上に強力な特殊能力まで持つ、危険な存在である。
「そのアビ星人を、さらに強化した存在を相手にしてもらわねばなりません。正直、かなり危険を伴う作戦ですが、ここはみなさんにお任せするしかありません」
 アビ星人はリキッドコンピューターを庇うように戦うので、そこをうまく突けば勝機を見いだせるかもしれないと、エルシーは言う。
「厳しい戦いになるでしょうが、どうか作戦を成功させ無事に帰ってきてください」
 エルシーはそう言って猟兵達を送り出したのだった。


J九郎
 こんにちは、J九郎です。
 ただでさえ強敵の地獄宇宙人アビ星人をさらに強化した存在が立ちふさがります。

 ですがドクター・オロチを一発殴ってやるにはアマルテア情報艦隊の撃破が必須。
 みなさんの奮闘を期待しています。
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第1章 ボス戦 『地獄宇宙人アビ星人』

POW   :    宇宙地獄近接格闘術
単純で重い【宇宙マーシャルアーツ 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    宇宙地獄超次元殺法
【短距離テレポートを駆使した近接格闘術 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【超高速連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    宇宙地獄プラズマ弾
【掌から100,000,000℃の光弾 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠砲撃怪獣・ガンドドンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


○○体存在、顕現
『艦内ヘノ異物ノ侵入ヲ確認。最適ナ守護者ヲ作成シマス』
 アマルテア艦内に猟兵が転移してきたことを、ソリッドコンピューターは艦のセンサーを通じて感知する。すると、ソリッドコンピューターを構成するプールの表面が不気味に蠢きだし、ゆっくりと人型の存在に変じていった。
『守護者ガ完成シマシタ。コレヨリ侵入者ノ排除ニ移リマス』
 液体が変じて生み出されたのは、地獄宇宙人の二つ名を持つ、凶悪なアビ星人。
 猟兵達がソリッドコンピューターの元に辿り着いたのは、まさにそのタイミングでのことだった。
蜂蜜院・紫髪
*連携アドリブ歓迎
心情:
情報というのは実に厄介な物、残しておけば必ずや禍根が残ろう。
今も儂らについて何か集められておれば適わん。
それに確か予知の中に捕まっている者がいるとの事じゃったな。
位置を知っていそうじゃのぅ…さぁ帝国よ。情報戦じゃ。

戦闘:護衛人形を盾に狐火で戦います。
怪我人が出れば【癒しの狐火】で回復
前衛が居れば中衛として隙をサポート
最初の短距離テレポートは【野生の勘】【第六感】で【見切り】ます
格闘術と次元殺法は護衛人形で【オーラ防御】【武器受け】【かばう】します
可能なら【厄受人形】【呪詛返し】の【カウンター】を狙います
プラズマ弾は味方への被害もでるためこれは行わず【かばう】のみです


アーサー・ツヴァイク
※協力アドリブ大歓迎

…リキッドコンピューター…恐ろしいもん作るな…
さて、仕事の時間だな!
無理に近づいてもやりにくそうだしな、武器はレイシューターを主軸に攻める! コンピューターなのだとしたら、熱には弱そうだしな。ソーラーパワーで温めてやるぜ…ぶっ壊れる位にな!
敵のナントカ星人も素材は同じだろ? 【一斉発射】でまとめて焼き払うぜ!
それでもこっちに近づいて 来るって言うなら…出番だぜ、バスターホーン!
【早業】で武器を持ち替えて…ぶちかますぜ、飛びっきりの一発!
宇宙パワーとファンタジーパワー、どっちが上かマッコイズ勝負だ!


伊美砂・アクアノート
【SPD】やっほー! あたしは宙が飛べないのでホイホイやってきたアクアちゃん! こっちは、なんか超強そうなアビ星人さん! ーーーいや待て、こんな強敵がいるなんて聞いてねぇぞ!? コロコロと表情変えて、おどけたように振る舞う。……正攻法じゃあ、勝てねぇ。一瞬だとしても、オレが敵の攻撃を引きつける…! 【オルタナティブ・ダブル】の分身を盾に使用。【だまし討ち5】【見切り2】【盾受け1】で、アビ星人さんの宇宙地獄超次元殺法を死ぬ気で避ける。…コレあたったら死ぬぞなもし!? 【2回攻撃4】で、マシンピストルの一斉射撃と鉈の斬撃を飛ばしつつ、悲鳴を上げる。ーーー思考は冷静に、敵の戦力を推し量る。



●恐るべきはアビ星人
「……リキッドコンピューター……恐ろしいもん作るな……」
 アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は、前方に広がる粘性の液体に満ちたプールと、その前に立ちふさがる異形の宇宙人型のモノを交互に見やり、思わずそう呟いていた。
(「情報というのは実に厄介な物、残しておけば必ずや禍根が残ろう。今も儂らについて何か集められておれば適わん」)
 蜂蜜院・紫髪(怠惰な蜂蜜屋・f00356)は、必要以上に情報をリキッドコンピューターに与えないように警戒しつつ、周囲の様子を観察する。
(「それに、確か予知によれば捕まっている者がいるとの事じゃったな。こやつ位置を知っていそうじゃのぅ……さぁ帝国よ。情報戦じゃ」)
 紫髪は心の中でそう宣戦布告をすると、護衛人形を前面に押し出し、自身はその背後に隠れるように後退した。
 そんな緊迫した雰囲気の中、
「やっほー! あたしは宙が飛べないのでホイホイやってきたアクアちゃん! こっちは、なんか超強そうなアビ星人さん!」
 伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)は、場違いなくらいハイテンションなノリでアビ星人の前に進み出ると、右手を挙げてアビ星人を紹介する仕草を見せる。直後、
「――いや待て、こんな強敵がいるなんて聞いてねぇぞ!?」
 いきなり表情を引きつらせて飛び退いた。アクアノートの予想の付かない言動に、さしものアビ星人も戸惑ったように動きを止めている。
「ほう。本物のアビ星人ならば、このような時でも動揺せずに逆に隙をついて襲い掛かってきたじゃろう。所詮はコンピューターが解析してコピーした偽者。コンピューターの想定の範囲内でしか動けぬようじゃの」
 紫髪がそう分析する間に、アーサーは大型兵器『レイシューター』を構え、
「さて、仕事の時間だな!」
 そう宣言すると同時にソーラーパワーを砲弾にして撃ち出した。
『ヴォフォッ!』
 不気味な声と共に、短距離テレポートでソーラー弾を避けるアビ星人。的を外したソーラー弾はプールに着弾し、満ちていた粘性の液体を一部蒸発させる。
「避けてもいいんだぜ。コンピューターなのだとしたら、熱には弱そうだしな。守る気がないなら遠慮なくソーラーパワーで温めてやるぜ……ぶっ壊れる位にな!」
 コンピューターの守護者として生み出された以上、自らの身を守るためにコンピューターの守りを疎かにすれば本末転倒。アーサーの攻撃はそういう意味で、アビ星人の動きに大きな制約を与えることになった。
『ヴゥオッ!!』
 アビ星人は守りに入るよりも、速攻で猟兵達を全滅させることを選んだらしく、一気に攻めに転じた。誰も反応ができないほどの高速でアーサーの懐に飛び込むと、単純で重いパンチを叩き込んだのだ。なんの変哲もないただのパンチ。だがその一撃で、アーサーは後方に吹き飛ばされ、壁に激突してようやく止まった。鋼鉄製のはずの艦の壁に、放射状にヒビが広がっていく。
「なんて威力だ!? ……こいつには正攻法じゃあ、勝てねぇ。一瞬だとしても、オレが敵の攻撃を引きつける……!」
 先程とは打って変わって真剣で険しい表情に変わったアクアノートは、【オルタナティブ・ダブル】を使って分身を生み出すと、分身を盾に単身アビ星人に突撃していった。
「今癒してやる故、避けるでないぞ?」
 その間に、紫髪は【癒しの狐火】で、アーサーの傷を癒していく。
 アビ星人は、短距離テレポートと近接格闘術を組み合わせ、予測不可能な動きでアクアノートに連続攻撃を繰り出していた。その攻撃を、アクアノートはある時は『タクティカルマチェット』で受け流し、ある時は分身を身代わりにして、死ぬ気で避けていく。
「……コレあたったら死ぬぞなもし!?」
 一瞬たりとも気を抜くことのできない攻防の中、なんとかマシンピストルの一斉射撃と鉈の斬撃で反撃したアクアノートが、そう悲鳴を上げた。だが、言葉とは裏腹に彼女の思考は冷静に澄み渡り、アビ星人の戦闘能力を推し量っている。
「動きが幾ら素早くたって、ナントカ星人も素材はコンピューターと同じだろ? なら、まとめて焼き払うぜ!! よけろ、伊美砂!!」
 傷の癒えたアーサーが、叫ぶとほぼ同時に、最大出力でレイシューターからソーラーパワーを解き放った。慌ててアクアノートが飛び退くが、アビ星人は動かない。先程のように、回避すればコンピューターにダメージが行くのは明白だからだ。その代わり、アビ星人は掌から超高熱のプラズマ弾を発生させた。そして、ソーラーパワーにぶつけるようにプラズマ弾を放つ。
 両者の激突が生んだ激しい閃光が室内を塗り潰した直後、相殺し合ったソーラー弾とプラズマ弾は、双方ともに消滅していった。だが、その間にもアビ星人は次の動作に移っていた。腰だめに拳を構えると、一息に床を蹴り、再びアーサー目掛けて飛び込んできたのだ。
「厄受人形よ、その役目、果たすのは今ぞ!」
 その時、紫髪の行使する厄受人形がアーサーの前に立ち塞がった。アビ星人の拳は、盾となった厄受人形を粉々に砕いたが、
「護り給え 清め給え」
 紫髪の唱える呪文と共に、砕かれた厄受人形の破片が、一斉にアビ星人に襲い掛かっていった。
『ヴォムッ!?』
 思わず両手でガードを固めるアビ星人。そしてアビ星人の動きが止まったその一瞬を、アーサーは逃さなかった。
「出番だぜ、バスターホーン!」
 目にも止まらぬ早業で武器を巨大なハンマーに持ち替えたアーサーは、
「【Select……SMASH ACTION!】バスターホーンの馬力……受け止めてみろおおおおお!!」
 全身全霊を込めて、『バスターホーン』をアビ星人に叩きつけた。咄嗟に腕を交差させて『バスターホーン』による【ダイナミック・ストライク】を受け止めたアビ星人だったが、たちまち床が陥没し、アビ星人の姿勢が崩れる。
『ヴゥォホッ!!』
 アビ星人は短距離テレポートを発動し、辛うじて致命傷を避けたが、腕に少なからぬダメージを負ったようだった。
『緊急事態、緊急事態。侵入者ノ戦力評価ヲ、上方修正』
 ソリッドコンピューターの機械音声もまた、心なしか焦りを感じさせるものとなっていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紫谷・康行
相手が液体だとしても初めから無かったことにすればいい
コンピュータの演算によって生まれた存在ならそのプログラムを壊せばいい
その存在は霊魂のように初めから虚ろなものだから

【無言語り】を使いリキッドコンピュータのデータを破壊して無力化を狙う
蓄積されたデータではなく実行プログラムを虚無で覆い情報自体を消し去り動作を止めようとする
そののち言葉に力を込め全ての有(1)を無(0)に帰するよう、虚無の言葉をリキッドコンピュータに送り込み存在そのものを無に帰そうとする。
「液体に備えられた頭脳よ、無限の連なりを奏でるデータよ。その全ては無。1の全ては0。お前の記憶と思考はすべて無に変換される。安らかに消えよ。」


メンカル・プルモーサ
…飛行式箒【リントブルム】に乗り、【天翔る突風の馭者】で運動性能を上げてた状態で戦場に駆けつける…
アビ星人から一定の距離をとりつつ【鳴り止まぬ万雷の拍手】で動きを止め…短距離テレポートを使われたら【煌めき踊る銀の月】で牽制しながら距離を取る……
…狙いは『アビ星人を入り口にした』ハッキング…そう、同じ素材であり、コンピュータがあれを操っているのであれば逆にアビ星人を踏み台に本体にハッキングが出来るはず…ぐちゃぐちゃな情報を流し込んで戦力評価をでたらめにしてやる……

…最後は【尽きる事なき暴食の大火】
例えプラズマだろうとそれを飲み込み燃料にする大火を全力でアビ星人とコンピュータにぶつけ、燃やす…


クーナ・セラフィン
強化再現怪人とは迷惑だね。
強敵をさらに強化してとか少々不安でもあるけれどもまあ、やろうじゃないか。
あくまで余裕は崩さず、強気ににゃー。

コンピュータを風花は舞い散りで狙い牽制。
反撃にプラズマ弾やってくるかもだけどスライディングとかで避ける。
視界塞がれてるならそこまで精度もないはず…毛並セット後でしないとね(ちょっと毛先が焦げたり)
此方潰しに来るだろうけど、短距離テレポートで姿が消えた瞬間スカイステッパーで連続跳躍。部屋の天井付近まで一気に跳ねる。
とにかく近接格闘術の最初を回避する事に専念。
回避出来たら頭上から突撃槍カウンター。
最初を避けれたなら次の連続攻撃は躱せる、はず。


※連携アドリブ等お任せ



●無へと帰る
「強化再現怪人とは迷惑だね。強敵をさらに強化してとか少々不安でもあるけれどもまあ、やろうじゃないか」
 騎士然とした羽根付き帽子を被ったケットシーのクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は、芝居がかった口調でそう宣言すると、突撃槍『ヴァン・フルール』を天に向けて掲げた。
「まずは、こんな趣向はどうだい?」
 クーナが槍をアビ星人に向けると、槍の先端から雪混じりの花吹雪が放たれ、アビ星人の周囲を吹き荒れる。アビ星人の姿をしていてもその大本はリキッドコンピューターと同じ粘性の液体だ。冷気に晒され、次第に凍結していく。
「……動きが止まったなら、さらに……」
 そこへ、飛行式箒『リントブルム』に乗ったメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)が駆け付けてきた。
 アビ星人は、辛うじて動く右手の先にプラズマ弾を発生させその熱で凍結を解こうと試みていたが、
『観測せし虚像よ、沸け、轟け。汝は観客、汝は賞賛。魔女が望むは舞台を止めし大喝采』
 メンカルが歌うように囁くようにそう唱えると、アビ星人の周囲で唐突に閃光と喝采に似た轟音が発生し、動きの取れないアビ星人の五感を惑乱。過度の負荷に耐えかねたかのように、アビ星人の動きが再び止まった。
 その隙に、アビ星人の脇をすり抜けリキッドコンピューターの満ちるプールの縁に立ったのは紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)だ。
「相手が液体だとしても初めから無かったことにすればいい。コンピュータの演算によって生まれた存在ならそのプログラムを壊せばいい。その存在は霊魂のように初めから虚ろなものだから」
 康行は、リキッドコンピューターに語り掛けるように、言葉を紡いでいく。
『虚ろなる眼窩に見出された全き無。お前は世界に在る真なる虚。在ることは無く、虚ろにして全。残るはただ静寂のみ』
 虚言を真実に変える康行の言霊は、コンピューターの理解できる理の外にある力でもって、少しずつリキッドコンピューターのプログラムを書き換え始めていた。
 コンピューターに蓄積されたデータではなく、実行プログラムを虚無で覆うことで、情報自体を消し去っていく。
『ヴゥオッフォッ!!』
 理屈は分からなくとも、コンピューターに危機が迫っていることを感知したアビ星人は、ようやく動くようになってきた体で強引に近距離テレポートを発動し、康行の正面に出現。強烈な回し蹴りで康行を蹴り飛ばし、リキッドコンピューターから引き離す。さらに追い打ちの宇宙地獄超次元殺法を繰り出そうとするが、
『我が愛杖よ、舞え、踊れ。汝は銀閃、汝は飛刃。魔女が望むは月の舞い散る花嵐』
 メンカルが愛用の杖『シルバームーン』から放った単分子の花びらがアビ星人に纏わりつき、その出鼻を挫くことに成功する。
(「……アビ星人がコンピューターと同じ素材であり、コンピューターがあれを操っているのであれば、逆にアビ星人を踏み台に本体にハッキングが出来るはず……」)
 メンカルは花びらに仕込んだ偽情報を、アビ星人に流し込もうと目論んでいた。だが、アビ星人もただやられたままではいない。プラズマ弾を発生させると、メンカル目掛け放とうとする。
 その時、アビ星人の視界の端に、『ヴァン・フルール』を構え今にも冷気を放たんとするクーナの姿が映った。先程凍結させられた経験から、クーナの方が脅威度が高いと判断したアビ星人は咄嗟に対象をクーナに切り替え、プラズマ弾を放つ。
 しかしアビ星人の動きを想定していたクーナは、スライディングでプラズマ弾の下を滑りぬけることでその攻撃を回避した。少しだけ毛先が焦げたが、今は気にしていられない。
(「……毛並セット、後でしないとね」)
 だが、アビ星人はまだ攻撃の手を休めない。短距離テレポートで、クーナとの距離を一瞬で詰めると、目にも止まらぬ回し蹴りを放つ。
「危ないにゃー!!」
 それでもクーナはあくまで余裕は崩さず、スカイステッパーで空中を蹴って間一髪でその攻撃をかわしていた。そのまま連続跳躍で天井付近まで一気に跳ねたクーナは、頭上から突撃槍を構え、落下の加速度も乗せた一撃をアビ星人に叩き込む。
『ヴォフォッ!!』
 直撃を受けたアビ星人がよろめき、遂に片膝をついた。
 メンカルとクーナがアビ星人を引き付けている間に、康行は再びリキッドコンピューターに対し、言霊を投げかけていた。先程の攻撃で全身が痛むが、構ってはいられない。
「液体に備えられた頭脳よ、無限の連なりを奏でるデータよ。その全ては無。1の全ては0。お前の記憶と思考はすべて無に変換される。安らかに消えよ」
 言葉に力をこめて、全ての有(1)を無(0)に変換していく。
 康行の言霊によるプログラムの書き換えとメンカルのハッキング、そしてクーナの物理的な攻撃によって、アビ星人は……いや、アビ星人を形作っていた液体はもはやアビ星人の形すら維持できなくなってきていた。それでも、最後の反撃とばかりにこれまでで最大級のプラズマ弾を左手の先に発生させる。放たれれば、アマルテア艦自体も無事では済まないだけの威力を秘めた火球。艦の損傷覚悟で侵入者を排除しようとしているのか、それとも最早そんな判断すらできなくなっているのか。
 そんなアビ星人だったものと背後のリキッドコンピューターに、哀れみのこもった一瞥をくれると、メンカルは詠唱を開始した。
『貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ。汝は焦熱、汝は劫火。魔女が望むは灼熱をも焼く終なる焔』
 それは、尽きる事なき暴食の大火を放つ危険な魔法。放たれた白色の炎は、アビ星人の放ったプラズマ弾に触れるとその力さえ飲み込み燃料に変え、アビ星人とリキッドコンピューターをも飲み込んでいく。プラズマ弾の火力も加わった白色の炎が艦内を荒れ狂い、全てを蒸発させていった。
「全ては無に帰る。終わりの時だね」
 暴虐の限りに燃え盛る炎は康行のそんな呟きすら飲み込み、やがてアマルテア艦全体を包み込んでいったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月16日


挿絵イラスト