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ワル道〜獄中!!監獄バトル編

#デビルキングワールド #魔界大監獄

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●……監獄バトル編?
 デビルキングワールドに住まう悪魔たちは、もはや説明不要なほどに強い。
 そこらに歩いている子供であっても猟兵と同じくらいのユーベルコード使いであるし、あちらに見える腰の曲がったおばあさん悪魔もまあ、猟兵と同じくらい強い。
 一般人……じゃない、えっと一般悪魔ですらこうなのである。
 だが、彼らは基本的に良い子の種族である。
 クソ強くても、心根が純粋であり、同時に良い子だるがために彼らは力に見合った悪事を働こうとしないし、思いつかない。
 とんでもないワルにあこがれてはいるものの、悪魔たちの発想では、可愛らしい類の悪事しか思いつかないのだ。
「ふ、ふふふ……まさか、この私が『魔界大監獄』送りになるとはね……でも、これは僥倖であったわ」

 オブリビオン、『夢魔エンプーサ』は、デビルキングワールドにおいてトップクラス……いや、どの世界を見渡してみてもトップクラスに危険な場所である『魔界大監獄』に収容されてしまったオブリビオンであった。
 彼女の罪状は言うまでもない。
 一般の悪魔たちでは及びも付かぬほどのワルな悪事……そう、『睡眠不足の人が夜、羊が一匹、羊が二匹……と数えるあれをしている横で、それ英語圏じゃないと意味ないですよと囁く』悪事をしでかして、ここの『魔界大監獄』へと収容されたのだ。
 長い上によくわからん罪状である。
 まあ、『シープ(羊)』と『スリープ(眠り)』がにており、『シープと発音する時、息を吐き出すために深い呼吸が促されて、リラックス入眠できるからとか、まあそういう説があるのである。

 だから、日本語で羊を数えても意味ないのである。
 それを睡眠不足の悪魔の耳元で囁くという大それた悪事をしでかした『夢魔エンプーサ』は『次世代のデビルキング候補』として『魔界大監獄』へと打ち込まれたのだ。
「……でも、ここマジでヤバない? 本当に。UDCの邪神が完全覚醒した空間に放り込まれるレベルでヤバイわね……」
 彼女の言葉は真実である。
 目の前の『魔界大監獄』にひしめくのは、超弩級のワルたちである。
 彼らは尋常ならざる力を持つ悪魔たちである。
 期せずして『夢魔エンプーサ』は彼らに取り入るチャンスを得たともいえる。彼らを勧誘し、この『魔界大監獄』を支配することで、デビルキングワールドにカタストロフを引き起こすことができる。

「どうやって勧誘したものかしら……そうだわ」
 にやりとワルに笑う『夢魔エンプーサ』。
 彼女は夢を力とする悪魔。眠る者を悪夢の中に閉じ込め、夢の中でじっくり拷問し、この『魔界大監獄』にひしめく悪魔たちを一人ひとり籠絡していけばいい。
「フハハハ! 簡単なことなのだわ! さあ、悪夢を見せてあげるわ! そう、例えば、つや消しクリアーで保護してプラモデル完成するはずが、よく似たサーフェイサーの缶を手にとって吹き付けてしまって全部灰色にして台無しにしたり、そんな悪夢をね――!」

●ワル道
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます」
 彼女の表情は浮かない。
 どうしたことだろうと猟兵達は訝しんだ。なんだかしょんぼりしている。あまりにもしょんぼりしているものだから、猟兵の一人がおずおずとどうしたことかと尋ねると、彼女は垂れ下がった眉根のまま告げる。

「……完成間近のプラモデルに、つや消しクリアーの缶を、間違えて……サーフェイサーの缶で吹き付けてしまいました」
 なんて?
 いや、マジで何を言っているのかわからん。或る種の猟兵には悪夢であったかもしれないが、この際それはどうでもいいのである。
 グリモアベースに呼ばれたからには事件であろう。
「……はい。デビルキングワールド、その『魔界大監獄』にオブリビオンが収監されたのです」
 それはまたなんというか、ワルいことをすれば報いがあるというものであるなと猟兵達は思ったことだろう。
 だが、ことはそう簡単ではなかったのだ。
 この『魔界大監獄』には超弩級のワル……すなわち、『次世代のデビルキング候補』たちがひしめいている。
 彼らをオブリビオンは勧誘し、味方につけることで凄まじい勢力となってデビルキングワールドを支配しようとしているのだ。

「……具体的に申しますと、UDCの邪神が完全覚醒した空間に放り込まれるレベルのヤバさです」
 ゾッとする言葉である。
 その言葉だけで『魔界大監獄』がどれだけ尋常ならざる状況であるかが知れるだろう。
 シンプルであるが、空前絶後にヤバイ状況である。
 オブリビオンが『魔界大監獄』を支配すれば、圧倒的な戦力で持って猟兵たちをすりつぶすことなど容易である。
 ならばどうするか。

「皆さんも適当なワルをやってデビル警察に捕まって『魔界大監獄』に収容されて潜入してください」
 わーなげやりー。
 適当なワルとは。猟兵達は首をかしげる。まあ、なるべく害のないやつがいいだろう。言うまでもないが。
 しかし、ナイアルテは放心状態である。完成間近のプラモデルが台無しになったのがそんなにも悲しいことなのだろうか。
 いや、割りと真面目に仕事してくれないかなと思わないでもない。

「収監されましたら、脱獄しましょう。パワーです、パワーで牢屋を破壊し、広大な『大監獄内部の巨大ダンジョン』を攻略しましょう。ここは所々がセキュリティー……すなわち『嘘つつ以外絶対通さない扉』となっているのです」
 ……。
 言葉面だけで頭痛がしてくる。
 扉を開けようとすると扉が質問を投げかけ、嘘の答えを返さない限り扉が開かないようになっているのだ。
 まあ、適当に嘘をつけばいいので、これは簡単であろう。
 だが、問題はその先である。

「ダンジョンの先、監獄最深部には、よりすぐりの屈強な看守たちの詰め所……名付けて『デビルアロケーションセンター』……悪魔配備室とでもいいましょうか。看守である『グレーターデビル』さんたちは、とても強いですが、自分たちのユーベルコードがこう……地味なことを気にしているようです。このへんを突けば、簡単にぶちのめせるかもしれません」
 ナイアルテの瞳は徐々に生気を取り戻しつつあった。
 立ち直り始めているのだろう。そんな彼女は頭を下げる。

「最深部では、オブリビオンが超弩級のワルの悪魔の皆さんに加勢を頼み、皆さんを撃退しようとしています。これを阻止し、何ならこちらに協力してもらうのもいいでしょう」
 なるほど、たしかに『デビルキング候補達』は尋常ならざる強さを持っている。
 彼らを味方に引き込めば、オブリビオンとの戦いにも有利になる。
 ナイアルテは頭を下げ、猟兵たちを見送った後、ため息を尽き、ライトグレーに染まったジャイアントキャバリアのプラモデルを所在なげに見つめるのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はデビルキングワールドにおける魔窟、マジでとんでもなくやべー『魔界大監獄』に収容されたオブリビオンが『次世代のデビルキング候補達』を取り込む前に、これを阻止し、ぶちのめすシナリオになっております。

 ちなみに完成間近のプラモデルにつや消しクリアーではなくサーフェイサーを吹き付けたのは私です。とても悲しい出来事でした。

●第一章
 冒険です。
 まずは収監されなければなりません。できれば害のないワルなことでデビル警察にとっ捕まって『魔界大監獄』に打ち込まれましょう。
 その後、牢屋をパワーでぶち破り、監視を諦めている看守たちが作り上げた広大な『大監獄内部の巨大ダンジョン』を攻略しましょう。
 と言っても、『嘘つき以外絶対通さない扉』だけです。
 基本、デビルキングワールドの悪魔たちは良い子なので、扉が出す質問に正直に答えてしまいます。
 だから脱獄できないのです。なんて優しい世界。

 そこで、皆さんは扉が問いかける質問に全て嘘をついて通らねばなりません。適当に嘘をつきましょう。

●第二章
 集団戦です。
 地味でまともなユーベルコードしか使えない看守『グレーターデビル』の詰め所を通らねば監獄最深部へは迎えません。
 屈強な彼らを打ちのめさなければなりません(死にませんのでご安心を)。
 ですが、彼らはクソ強いため、まともに戦えば皆さんでも突破は難しいでしょう。そこで彼らが地味なことしかできないという点をつついて動揺させ、またそれを上回るワルな戦法を披露するなどして、容赦なくぶちのめしましょう。

●第三章
 ボス戦です。
 監獄最深部でオブリビオン『夢魔エンプーサ』との決戦です。
 ですが、ここには猟兵やオブリビオンよりも強そうな『デビルキング候補達』がゴロゴロしています。真面目に牢屋に入っていたり、スナック感覚でちょっと脱獄して戻ってきたりしています。
『夢魔エンプーサ』は彼らに加勢を頼もうとするので、それを阻止し、なんなら此方に協力してもらってぶちのめしましょう!

 それでは、悲しい悪夢を乗り越え……じゃない、『魔界大監獄』にひしめく『デビルキング候補達』の加勢を得ようとするオブリビオンの野望を阻止する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『嘘つき以外絶対通さない扉』

POW   :    開かない扉を純粋なパワーでぶち破る

SPD   :    前置きとして本当のことをまず言い、それを覆すような嘘を続ける

WIZ   :    まるで本当のことのような嘘をいけしゃあしゃあと答える

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「お、おい……あいつらはまさか……」
 デビルキングワールド、『魔界大監獄』の分厚い扉の前に猟兵達はデビル警察にしょっぴかれながら歩いていた。
 彼らの姿を見た看守は思わずたじろいでいた。
 この『魔界大監獄』に収容される者たちは皆、『次世代のデビルキング候補』と呼ぶに相応しいワルな所業を為してきた悪魔たちばかりである。
 猟兵達は、デビルキングワールドのどこそこかで、ワルなことをやらかして此処に連れてこられていた。
「……なるほどな。奴らか。綺羅星の如く現れて、凄まじいワルの所業をデビル警察にしょっぴかれるのも構わずに行ってきた奴らだ」
「ああ、面構えからして違う」
 おののく看守たち。
 猟兵達が為してきたワルの所業は、まあ、なんていうか、他世界では、そこまで悪いことなぁってなるアレな感じのものばかりであったが。いや、そうだよね? ドン引きするようなワルさしてないよね? 信じているからね!?

 とまあ、そんな具合に猟兵達は『魔界大監獄』に打ち込まれる。
 牢屋は簡素な作りで、囚人服も用意されているので着るといい。そんでもって、ここからが本題である。
 そう、牢屋に打ち込まれたら?
 ぶち破るのがマナーである。そうかな? そうなのか?
 猟兵達は当たり前のように脱獄する。パワーで全部解決である。壁なんか力づくでぶち破ればいいし、鉄格子なんか、ふんがーってやればいい。なんとでもできるはずである。
「セキュリティレッド! おい! 新入りの囚人たちがいきなり脱獄し始めたぞ!?」
「大丈夫だ、ここの扉はそう簡単に破れはせん!」
 看守たちはいきなりのアラートに飛び起きてしまう。

 収監して秒で脱獄である。
 ワルの極みってやつである。しかしながら、この『大監獄内部の巨大ダンジョン』は『嘘つき以外絶対に通さない扉』で阻まれている。
「ククク……質問に正直に答えないなんて極悪なワル……この最深部に収監されているワルどもでも突破できぬ扉だ。今日昨日収監された奴ら突破できるわけがない!」
 自信たっぷりである。
 なにそれ簡単じゃんって猟兵達は思っているだろう。
 そう、嘘つけばいいのである。
 あらゆる質問が飛ぶだろう。例えば、『看守たちのつまみ食いをしたのは貴方ですか?』『洗濯機に靴下裏返さないでいれましたか?』「ハンコ売り場でハンコを全部ひっくり返して入れ直しましたか』とか。そんな些細な悪事を問いただす質問が扉からされるのだ。
 どんな些細な嘘でもいい。自分が思う嘘をもって、この扉を突破するのだ――!
ドウジ・ユークレナ
うん。こんな生まれ故郷にはない常識。里を飛び出して正解でありました。
さて、まずは『ワル』をしなければいけないのでありますな…ではッ(刷毛とブラシとペンキを取り出し)
『DOUJI惨状!!』
ふう。いい仕事した(ぁ/罪状:無断アートという名のらくがき)
あ、ローマ字の場合UはいらなかったでありますOrz

では脱走は怪盗の醍醐味であります。あと蜘蛛童に着れる囚人服がなかったであります。その不手際を咎める手紙を置いて大脱走でありますよ。

判定:SPD

種族を応えよ?
蜘蛛ですが何か(注:蜘蛛童は蜘蛛の姿をしただけでれっきとした人間です)
好きな食べ物は何ですか?
苺…大福の苺無し大福(注:好物は大福無しイチゴ大福)



 世界はいつだって驚きに満ちている。
 それを知る者は幸いであろう。己の持つ常識の外にあるのが非常識であるというのならば、今目の前に広がるデビルキングワールドの『魔界大監獄』は非常識の極みであった。
 ドウジ・ユークレナ(風渡り人・f36443)は蜘蛛童である。
 彼の生まれ故郷はかつて銀の雨が降った世界。シルバーレイン。超常の存在として生まれ出た彼は、里を飛び出した。
 世界への憧れがあったこともあるが、それ以上に能力者の活躍に憧れがあったのだ。
 憧憬は抑えられず。
 そして、覚醒した猟兵の力によって彼は様々な世界を見てきた。
 荒廃した世界。
 空だけの世界。
 悪魔の住まう世界。

 これらを経た彼は異世界とのでかいに胸を踊らせる。
「うん、ワルがかっこいい、クールだっていう常識、この世界。うん、うん!」
 ドウジは胸を踊らせながら刷毛とブラシとペンキを器用に多脚でもって取り出す。言うまでもない。
 これから彼はワルをやるのだ。
「ではッ」
 彼が『魔界大監獄』の壁面に描いたのは『DOUJI惨状!!』というグラフィティであった。
 漢字が間違っているのはご愛嬌である。
 こういうところも含めてグラフィティと呼ぶのである。きっとそうなのである。

「ふう。いい仕事した。あ、ローマ字の場合はUはいらなかったであります」
 がっくり頭を垂れるドウジの前に怖い顔した『グレーターデビル』が立っている。あ、これは怒られるやつだな、とドウジは直感した。
「この『魔界大監獄』の壁に落書きとは大したワルだな! こっちに来い! しょっぴいてやる!」
 あっさりドウジはデビル警察にとっ捕まり、前科者となる。
 いや、そういう問題であろうか。
 しかしながら、『魔界大監獄』へと収監されるという目的の一段回は見事にクリアしたともいえる。

 収監されたドウジは囚人服を着ていない。
 大きな蜘蛛そのものな蜘蛛童である彼に合うものがなかったのだ。
「では脱走は怪盗の醍醐味であります」
 あっさりとドウジは牢破りをしてから、つったかたーと『広大なダンジョン』を走りる。
 彼にとって壁も天井も関係ない。
 あらゆる障害を多脚で持って乗り越える。これがデビルキングワールドに赴いて得た彼の怪盗としての技術である。
「それにしてもアラームがうるさいであります」
 わんわんアラームが鳴り響いている。
 きっと他の猟兵達も潜り込んで即座に脱獄しているのだろう。そして、ドウジは一番乗りで『嘘つき以外は通さない扉』の前にたどり着く。

「あなたの種族を教えて下さい」
「蜘蛛ですがなにか」
 いきなりである。そう見た目は蜘蛛であるのだが、蜘蛛童は蜘蛛の姿をしただけでれっきとした人間である。
 正直に見せかけて、これは嘘なのだ。
 次々と迫る扉をドウジは嘘でもって突破していく。

「好きな食べ物はなんですか?」
「苺……」
 素直にすんなり答えそうに為る質問の数々。基本的に良い子なら通れないたぐいの扉なのだ。
 そこまでいいかけてドウジは思い出す。これは罠である。嘘を答えないと通れない扉。
「いちご大福の苺なし大福!」
 ……ん?
 えっとすなわちそれは大福ってこと?

 ぴんぽーんである。
 素直に苺といいかけたところでのファインプレー。
 苺なし大福の大福とはすなわち大福。本当に好きなのは大福なしのいちご大福である。
「もうそれ苺でよくないでありますかっていうツッコミがありそうではあります」
 だが、それでもドウジは広大なダンジョンの扉を次々と嘘をついて突破していく。
 まだまだ道のりは長い。
 この先に待ち受けるデビルキングワールドの洗礼、そのワル道の第一歩、小さな嘘をつき、ドウジはワルな怪盗の鮮烈なるデビューを飾るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
UDCの邪神が完全覚醒レベルとは放っておけませんね!
と、邪神様なりきりセットに身を包んで向かいます。

駅構内で「ハトにエサを与えないで下さい」とポスターが張られている横でエサやりをするという大それた悪事を行った詩乃。
(ちなみにあげたのはパンでは無くハト用のエサ。)

手錠を掛けられつつも女帝の様な悪のカリスマと威厳を纏いつつ収監される。
その後、なんやかんやで牢屋から出て、『嘘つき以外絶対通さない扉』の前に。

毅然と扉の前に立って一言。
「私は犬派です。」

瞬時に全開する扉。
内心”犬も好きなのですよ。でも猫ちゃんの方がもっと好きなのです💦”と葛藤しつつも、表面にはおくびに出さずに堂々と最深部に向かいます。



 優美な黒絹のドレスが風に翻る。
 その姿は正に優雅と呼ぶに相応しい威容であり、漆黒のドレスの美しさ以上にそれを纏う大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)の美しさを知らしめるものであった。
 とてもセクシーである。
 しかしながら、それはネット通販で手に入れたものであり、詩乃にとってはあまりにも冒険した姿格好であった。
 邪神様なりきりセット。
 それが今の彼女の姿である。

 彼女はデビルキングワールドの『魔界大監獄』がUDCの邪神が完全覚醒したレベルの凶悪で危険な場所であることを知ってこうして駅構内に降り立つ。
 何をするつもりなのだろうと見ていると、彼女は思い切ってという言葉がしっくり来るように意を決して駅の構内に何かを撒き散らす。
 あ、これはあれだろうか。
 駅の構内にゴミをポイ捨てするというやつであろうか。
 確かにワルい。
 ポイ捨てダメ絶対である。
「鳩のみなさ~ん、ご飯ですよ~!」
 ん?

 詩乃はたしかに何かを撒いていた。
 パンくずとかそういうのなら散らかって大変であるし、鳩のためにもまあ、よくないかもしれない。
 けれど彼女の手にあるのは鳩の餌である。鳩用の。栄養たっぷりの。
 しかも、『ハトにエサを与えないで下さい』というポスターが張っている前での暴挙。極悪である。そうか? と思わないでもないが、集まってきた鳩たちがものすごい勢いでフンやらなにやらをしてしまうので、確かに悪事である。
「こいつ! わざわざポスターの前でやりおったわ!」
「とんでもねぇワルだ! けいさつー! デビル警察ー!!」
 人々は詩乃のあまりのワルさにおののき、恐慌状態に陥ってしまう。駅の構内は阿鼻叫喚の地獄絵図。

 通報されてやってきたデビル警察もたじろぐ程の大混乱。
 こうして詩乃は駅の構内での迷惑行為によって『魔界大監獄』へと収監されることになったのだが、手錠をかけられながらも余裕たっぷりの態度に悪のカリスマ、女帝のような威厳を振りまいていた。
「とんでもねぇワルが入ってきたもんだぜ……!」
 看守たちが詩乃のあまりの堂々たる収監に冷や汗を垂らした瞬間、あっさりと詩乃は秒で脱獄するのだ。

 まあ、なんやかんやで牢屋から出る手はずは整えていたので割愛する。なんやかんやったら、なんやかんにゃよ!!

 そんな詩乃の前に立ちふさがるのは『嘘つき以外は絶対通さない扉』である。
 アラームと赤い明滅する通路にありて、彼女の前にある扉から質問が繰り出される。
「貴方は何派です?」
 何だその質問。
 どういうことなんだと思わないでもない。そして、その質問に正直に答えてしまうと扉は開かない。
 悪魔たちが皆良い子であることを利用した絶対防衛扉。
 その真価が今、詩乃の道をはばむのだ。

「私は犬派です」
 瞬間、あっさりと全開する扉。
 えー!? と看守たちが監視カメラで驚愕する。あっさりと、淀みなく。流れるように。息をするように嘘をつく詩乃に看守たちはガクブル震え、ちびりそうになりながらおののく。
「あんな、涼しい顔をしていやがる!?」
「な、なんだあのワルな女は! にょ、女帝じゃ、女帝の降臨じゃ……!」

 そんな看守たちの慌てふためきようはつゆ知らず詩乃は内心で思っていたのだ。
 犬も好きであるが、猫ちゃんの方がも~っと好きなのであると。
 しかし、詩乃の葛藤は渦巻く。
 嘘を付くという神に在るまじき行い。でもでも、今は邪神なりきりセットで邪神様そのものだし、女帝じみたオーラをバンバン出しているのでセーフである。
 セーフったらセーフなのである。

 そんな詩乃の堂々とした立ち振舞で、最深部への扉はバンバン開かれていく。
「……でも、いいのでしょうか」
 こんなに簡単なセキュリティで。
 いいのである。基本、最深部のクソ強悪魔たちもスナック感覚で脱獄したりしているのだ。
 詩乃のように真正面からぶち破っていくのこそワルの花道。
 しゃなりしゃなりと歩む詩乃は『魔界大監獄』始まって以来の女帝として、その名でもって看守たちを震え上がらせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルロット・ゴッドハンド
公然猥褻で逮捕される全裸幼精
幼く愛らしい見た目なのに大胆な犯行に慄く悪魔達
遊園地みたいな楽しい所に連れてって貰えると勘違いして大人しく連行されます
幼精サイズの囚人服は恐らく無いでしょうが、もし服を着せられそうになった場合は絶対嫌がり超大暴れ

収監後は、脱出ゲームと勘違いして遊び(破壊して)回りながら脱獄を目指します

「ふんがー♪」
牢屋の檻を軽くツンとしたら折れてしまう

POW『開かない扉を純粋なパワーでぶち破る』に挑戦
没収されていた愛食のパワーフードで【食事】して怪力と超怪力を高め、扉から質問を投げ掛けられるよりも先に直撃地点を破壊する《地球割り》の一撃を叩きつけ、Lvの二乗m以上吹き飛ばします



 公然猥褻罪。
 字面からして画数多いなと思う罪である。
 とは言え、それをなしたのが15cm程度の身長しか持たぬシャルロット・ゴッドハンド(素手と怪力だけで竜とキャバリアを薙ぎ飛ばす全裸幼精・f32042)であったことはある意味で驚愕の事実であったおのかもしれない。
「こら、これを着るのだ!」
『魔界大監獄』の看守たちは四苦八苦しながらシャルロットに囚人服を着せようとがんばっていた。

 いくらなんでも小さいからといって全裸のまま収監するわけにはいかないのだ。
 色んな意味で論理感にアウトが出てしまうがためである。
 元々悪魔とは良い子の種族だ。彼らの論理感から言って、全裸で過ごすのは裸族とは言えど、流石に目に余る。
 そんな公然猥褻を当たり前のように敢行しているシャルロットに看守の悪魔たちはおののいていた。
「いーやー!」
 シャルロットは囚人服の着用にひどく抵抗していた。
 いや、体長が小さいのだから力任せに着せてしまえばよいのだろうが、それでもシャルロットの抵抗は激しかった。
 もう超大暴れというのがしっくりくるほどの暴れっぷり。

 小さくとも獰猛な獣のように看守たちに抵抗しつづけ、もう彼らはクタクタになって諦めるしかなかった。
 それまでシャルロットは遊園地みたいな『魔界大監獄』……そのように彼女には見えたらしい。そこに連れて行ってもらえると勘違いして大人しく連行されていたがゆえに、その抵抗は凄まじかった。
「なぜ、こんなにも頑なに服を着ることを拒むんだ……」
 看守たちはヘトヘトになってへたり込んだ瞬間、収監されらたシャルロットが牢屋の壁をぶち抜いて飛び出してくる。

 その悪夢のような光景に彼らは呆然とするしかなかった。
「ふんがー♪」
 ふんがー、ではない。
 割りと真面目に。彼女の力は凄まじかった。牢屋の檻を彼女は指で軽くツンとしただけなのだが、あっさりとへし折った上に壁までぶち抜いてきたのだ。
「コンディション、レッド! 囚人が逃げたぞ! 全裸の小さな妖精だ!」
 慌てて隔壁がバンバン落ちる。
 それは『嘘つき以外は絶対通さない扉』である。
 堅牢堅固。
 今までどんなに強大なワルであったとしても破壊できなかった扉なのだ。

 しかしながら、そういったものを力づくで破壊していくことに挑戦したがるのがシャルロットという猟兵でもあった。
「わー、これかたそー! しゃぅもやるー!」
 これを脱出ゲームと勘違いしている節の在るシャルロットは躊躇わず、立ち向かっていく。
 しかし、渾身の力を叩きつけても、じぃぃぃんとあまりの硬さにシャルロットのほうがしびれてしまう。
「当然だ! この扉は絶対に破壊できぬ!」
 看守たちの言葉にシャルロットは闘志を燃やす。絶対にと言われると、絶対に破壊したくなるものである。
 パワーフードをしっかりと飲み込み、シャルロットはその瞳をユーベルコードに輝かせる。

 漲る力。
 扉から質問をされるよりも早く彼女は、その一撃を扉に叩きつける。
 それは単純で在るがゆえに重たい衝撃波。
 その一撃でもって扉に亀裂が奔るのだ。
「はぁぁぁぁぁ――!?」
 看守たちは目を見開く。それもそのはずだ。自分たちよりも小さな妖精のシャルロットの拳で、あの絶対に壊れないはずの拳に亀裂が走ったのだ。
 だが、シャルロットのユーベルコードの本領はここからである。
 放たれた拳の一撃はまさにちきゅうわり(チキュウワリ)。
 亀裂はみるみるまに大きくなっていき、扉を粉々に粉砕するだの。
「わーい、しゃぅの勝ちー! このままどんどん割っていくよぉ!」
 きゃっきゃとシャルロットは笑いながら、扉をぶち破っていく

 まさに悪夢そのものであった。
 看守たちは呆然とぶち抜いていくシャルロットはの小さな体躯を見送るしかなかったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星海・冴香
今回の目的は魔界大監獄への潜入、そして脱獄。
落ち着いて事に当たれば問題は無いはず。

ちなみに今回のコスプレは女子高生。
つまり女子高生を詐称して人を誑かすワルとして収監されようと考えています。
その過程で、もしも持ち前のミステリアスオーラや誘惑、ユーベルコードなどが看守の誰かの心を絡め取り遂せたなら、最深部に収監されているワルの面々について聞き出そうと試みます。

囚人服は自然にセクシーな着こなし。
牢屋は怪力でぶち破り、扉はユーベルコードを使用して魅了していく。
なお魅了状態の扉からの質問には、恥じらいを湛えた微笑みで「私もあなたの事が好きです」とか「永遠に一緒です」等と回答。

開きました。



 デビルキングワールド、『次世代のデビルキング候補』たちがひしめく『魔界大監獄』への潜入。
 それは容易ならざるものであったが、それ以上に危険であった。
 『次世代のデビルキング候補』たちは言葉は悪いが、ものすごく強い。クソ強である。
 そんな連中が『魔界大監獄』の最深部に収容され、数多く存在している。そんな場所が危険でなくてなんだというのだろう。
 悪魔たちは皆、性根の善い種族であるから均衡を保っているが、これが一度オブリビオンに唆されればどうなるかなど火を見るより明らかである。
「今回の目的は『魔界大監獄』への潜入、そして脱獄。落ち着いて事に当たれば問題はないはず」

 星海・冴香(地獄配達人・f36316)は、そのJKルックで女子高生を詐称してたぶらかすワルとしてデビル警察にしょっぴかれた猟兵の一人である。
 そんな彼女の美貌は意図せずして周囲を誘惑するものであった。
 一つ一つの所作だけでも、視線の一瞥だけでも、人を魅了し、骨抜きにしてしまう。それが彼女の寵姫としての力でもあった。
 元の体がセクシーアイドルであったのも助けになっていただろう。
 元々は都会に蔓延る魑魅魍魎を人知れず始末してきた死神。
 だが、故あってセクシーアイドル『星海冴香』の肉体に憑依した後、猟兵へと覚醒した。
「さっさとこれを着るのだ!」
『魔界大監獄』の看守が冴香に囚人服を押し付ける。

「わかりましたから。だからってそんなに押し付けては」
 無意識であったのかもしれないが、さすがセクシーアイドルの肉体である。
 ただ其処に在るという事実だけで看守たちを骨抜きにしている。持ち前のミステリアスなオーラや、意図せずして振りまかれる色香は看守たちをもじもじさせるには十分すぎる力であったのだ。
 囚人服に着替える時も、本来ならちゃんと小細工されないように見張っているものだが、看守たちはみんな背を向けて着替えタイムが終わるまで待っている。良い子である。

 そんな彼らの心を冴香は絡め取るように衣擦れの音をひびかせる。
 やばい。
 これはあれである。
 レーティングが、こう、エイティーンなあれになってしまう。ギリギリか? ギリギリなのか?
 そんな心配を他所に冴香が着替え終わると、ドキドキしている看守たちにエスコートされて冴香は牢屋へと入れられる。
 なんか妙にセクシーな着こなしである。本当に囚人服かこれ? と不自然にタイトな着こなしなのですが、それは。

「さて、脱獄ですが……」
 彼女は確かにセクシーアイドルである。だが、規格外の膂力を有した猟兵でもある。
 飴細工のように鉄格子を捻じ曲げてゆうゆうと牢屋の外に出れば、あちこちでアラームが鳴っている。
 どうやら他にも脱獄をした猟兵たちがいるようだ。
 だが、冴香は悠然と歩むのみである。
 まるでファッションショーの花道を歩くように、優雅に進む。
 どれだけ隔壁のように扉が道をはばむのだとしても、彼女には関係ない。

 魅了(セクシー・ショット)は常に彼女の体から発せられている。
「私の事が好きですか!」
 扉が食い気味で質問する。それ質問かな?
 だが、冴香はすぐには答えない。まるで恋する乙女のように恥じらいながら、しかし、微笑みを湛えながら彼女は告げる。
 ごくりんこ。
 なんか唾飲み込む音が聞こえた気がする。扉ってツバ飲み込むのだろうか。

 いやまあ、そういうこともあるのかもしれない。
「……私もあなたの事が好きです」
 微笑み百パーセントである。いや、千パーである。
 扉がバーン! バーン!とあちこちで開く。万物を魅了する彼女のユーベルコードはあらゆる障害を障害にしない。
「開きました」
 ほほえみながら冴香はアラーム鳴り響くダンジョンを散歩道のようにゆっくりと歩むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルテミシア・アガメムノン
まあ、魔界大監獄にオブリビオンが?
あそこに収監されている悪魔達がオブリビオンの味方をしてしまいますとヤバイですわねえ……
オブリビオン如きに扱えるとも思えませんが、興に乗ったら何をするか分かりませんからね。
いいでしょう。わたくし自ら退治しにいってあげましょう。

大監獄へ。罪状は『国家反逆罪』。具体的には何かって?
そんなことは自分で感じ取りなさい!
入ってすぐに脱獄。最深部へ。
嘘つき以外絶対に通さない扉?
『美神の眼睛』の魔力を籠めた眼差しで扉を味方に。
嘘つくことなく突破を。

ほほほ、嘘つき以外絶対に通さないという扉さんの存在意義を覆させるワルです。



「まあ、『魔界大監獄』にオブリビオンが?」
 その一報を聞いたアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は、思わずうめいていた。
 デビルキングワールドの制覇を目指す女帝でもある彼女をしてうめかせるほどに『魔界大監獄』の最深部に収監された囚人たちは凄まじい力を持っているのだ。
 曰く、『UDCの邪神が完全覚醒した空間』とも呼ばれる他世界を見回してみてもトップクラスにやべー空間なのである。
 そんな『次世代のデビルキング候補達』をオブリビオンが味方につけてしまったのならば、どうなるかなど明白である。

 そう、カタストロフである。
 世界の破滅である。冗談みたいな状況であるが、本当にやべーのである。緊迫感ないのはデビルキングワールドの常であるが、これまでも割りと綱渡りであった。
 悪魔たちの性根は基本、善良である。
 しかし、ワルに憧れるがゆえに、そのはちゃめちゃに強い彼らの力を誤った方向に導けば、如何に猟兵とて止められないのだ。
「ヤバイですわねえ……」
 本当にヤバイ。アルテミシアをしてそう言わせるほどなのである。オブリビオンごときに彼らが扱えるとは思えないのだが、それでも彼らがワルに大はしゃぎしてしまったのならば。

「カタストロフですわねえ」
 マジで。
 仕方ないとアルテミシアは己が自ら退治しに行くしか無いのかと重い腰を上げるのだ。
 彼女はその足で『魔界大監獄』へと赴く。
 看守たちは魔王国の王であり、世界征服を標榜しているアルテミシアの参上に驚いている。どうしたというのだろうかと首を傾げている。
「わたくしの罪状は『国家反逆罪』ですわ」
「……はあ」
 イマイチ要領を得ない看守たち。
 だってそうである。アルテミシアは魔王国の王。普通、それって臣下の側が問われる罪である。

 それを王自らがやりましたって自首してくるのだ。
 首を傾げたくなるのもわからんでもない。
「えーと、具体的にはー、そのー……」
「そんなことは自分で感じ取りなさい!」
 えぇ……。まさかのゴリ押しである。アルテミシアは看守たちを振り払って、ずんずかと『魔界大監獄』へと歩み始める。
 するっと牢屋に入ったかと思ったら、秒で脱獄。
 速い。展開が早い。早すぎる。

 アラームが鳴り響く中、アルテミシアは隔壁の如く落ちる壁を見やる。
 それこそが『嘘つき以外絶対通さない扉』。
 この『魔界大監獄』を脱獄不能な要塞たらしめる最高のセキュリティなのである! いや、まあ、最深部の『次世代のデビルキング候補』はスナック感覚で脱獄しては戻ってきたりしているが、まあ、それでも最高セキュリティなのである!
「貴方は嘘つきさんですか?」
 その問いかけにアルテミシアは高笑いして一歩を踏み出す。

 嘘をつかないといけないのだが、アルテミシアの瞳は、美神の眼睛(アプロディーテー)にきらめく。
 ユーベルコードの光は、視線となって『嘘つき以外絶対通さない扉』にぶち当たる。びかーってなっている。なんだか投げやりであるが、仕方ない。
 アルテミシアの視線は生命体、無機物、自然現象の全てを魅了する。
 それほどまでに凄まじき力なのだ。
「どうぞお通りくださいませ!!」
 扉たちがバンバン開いていく。
 嘘つくことなど必要なし。アルテミシアの覇道の前にそんな些細なワルなど必要としないのだ。

 王は堂々たる姿でもって他者を威圧するのみ。
 ゆえに。
「ほほほ、嘘つき以外絶対にとおさないという扉さんの存在意義を覆させるワルなのですわ」
 高笑いがダンジョンに響き渡る。
 そう、アルテミシア最大のワルとは、その存在意義を覆すこと。
 そう在るべきと存在する者の根底をひっくり返す悪魔の如き所業。いやさ、魔王――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
もうツッコむのも諦めたけど
出鱈目な世界だね、ほんと

番長グループが無駄に大きくなったし
そもそも銀行強盗から奪ったDばら撒いてたし
捕まるのは何とかなるんじゃないかな

中に入り込んだらワイヤーで檻を切って脱獄しようか
力技はあまり得意じゃないからね
その場で生成するから身体検査では防げないよ

大監獄内部の巨大ダンジョンっていっても
何か素直な構造になってそうな気がするんだよね
捻くれた罠も無いだろうし

それはそうと嘘をつかないと開かない扉なんて
UDCアースでは考えられないなぁ

悔い改めました
もう二度と悪事はしません
とでも言ってみようか

悔い改めないといけないような事はやってないしね

晶は少々割り切り良すぎる気もしますの



 デビルキングワールドは他世界を知る猟兵からすれば、とてつもないほどにツッコミどころの多い場所であった。
 UDCの邪神が完全覚醒した空間と同じと言われる『魔界大監獄』の最深部。
 いや、そんな空間なんて他世界の何処を見回してもそうそう在るものではない。というか、そんな状態で常時あるのに世界の破滅が起こらないところがデビルキングワールドらしいとも言えたかもしれない。
「もうツッコむのも諦めたけど、でたらめな世界だね、ほんと」
 佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はがっくりと肩を落としていた。

 いや、疲れたというのが本当だろうか。
 番長グループはいつのまにか無駄に大きくなって、番長ブームの火付け役になってしまっている。
 街中では番長が乱立して、番長パンデミックが起こっている。もう何がなんだかわからんし、銀行強盗して奪ったD(デビル)はばらまきにばらまいて飽きられていた。
 そんなこんなで、世情を顧みて晶は首謀者として名乗り出てデビル警察にしょっぴかれたのだ。
 番長たちはみんな泣いてた。なんで?

 だってそうである。
 ワルなことをするのは楽しかったし、何より、最高にクールなワルがしょっぴかれるのは、ワルがクールでかっこいいことなデビルキングワールドにおいては誉であるからだ。
「えぇ……」
 晶は盛大に見送られながら『魔界大監獄』へと収監される。
 その見送りの数にドン引きしてしまう。なんかもう、大出世しました、みたいな感じで見送られるものだから居心地が悪い。
 両隣を固める看守も些か畏敬の念を抱いているように見えるのは気の成果。

 そんなこんなで晶は収監されたのだが、目の前の鉄格子を秒で切断する。 
 ボディーチェックどうした? というくらい、簡単にワイヤーで切断しての脱獄。しっかりボディーチェックしていたはずだ。
 しかし、晶は邪神と融合した猟兵である。
 その場でワイヤー生成するなど簡単なのだ。身体検査程度で引っかかることなどありえないのだ。
 複製創造(クリエイト・レプリカ)、ずっこい! ずっこい!

「さて、脱獄したけど……このアラートは他の猟兵も脱獄しているってことだよね」
 目の前に広がるのは大監獄内部の巨大ダンジョン。
 いやまあ、一本道である。ダンジョンって言ったよね? と晶は訝しむ。だが、目の前にあるのは隔壁のごとく閉じられた扉。
 これは『嘘つき以外絶対通さない扉』である。基本良い子な悪魔たちにとっては、どうにもこうにも通れない扉なのだ。
 だって、素直に答えてしまうからね。

「簡単ですの」
「だよね。嘘をつかないと開かない扉なんて、UDCアースでは考えられないなぁ」
 だって簡単だし。
 些細な嘘でも嘘なのだし。
「貴方の悪事を悔い改めましたか?」
 質問も質問である。本当に通さない気あるのか? となる程度の質問に晶は苦笑いしてしまう。

「くいあらためましたもうにどとあくじはしません」
 棒読みである。
 こんな簡単なことで開くのか? と晶は首を傾げた瞬間、扉がバーン! ってあっさり開くのだ。
 早い。
 流石に早すぎではないだろうか。
「まあ、悔い改めないといけないようなことはやっていないしね」
 そうなのである。
 悔い改めることがないのであれば、悔い改めるという言葉は嘘になる。
 ゆえに、嘘。

「晶は少々割り切り良すぎる気もしますの」
 内なる邪神もまた、このガバガバセキュリティには苦笑いするしかなかった。
 善良なる悪魔たちの作った仕掛けであると言えばそれまでであるが、それでもこれはいくらなんでもガバガバすぎである。
 晶は特に他に罠や仕掛けのないことを確認し、こんな一本道でいいのかなぁ、と首を傾げながら『魔界大監獄』の最深部へと至る道を歩むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、そろそろ残機がヤバいです(こふっ
そーゆーところやぞ、ナイアルテさん
略して、そゆアルテさん!(ダイイングメッセージ
こんな新しい形の萌えを出してくるとは
私もまだまだファンクラブとして研鑽を重ねなければ

あ、依頼ですねー
いってきまーす!

というわけで改めて
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことないもんっ!

よーし嘘ですか
この世に忍ぶクノイチとしては楽勝の類ですが
さて何を言いましょうか?
あれ?もう扉開いてます?なんで?
まだ本当のことしか言ってないんですけど?
ちょっと扉ー?!
限界越えるまで開こうとするの、おかしくないですか!?



 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は開幕から吐血していた。
 いやなんで?
 最近、彼女はよく吐血しているようにおもえる。
 皆目検討もつかぬ。
 しかし、現に彼女は口の端から赤いトマトジュースかなって感じの血糊っぽい血を流しながら、手で拭う。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、そろそろ残機がヤバイです!」
 ごふっ、とまた吐血しているのは、『魔界大監獄』の前である。

 看守たちは何アレやべーやつって顔でサージェを見ている。
 何のようなのかまったくわからんところも怖い。
「先輩、自分怖いっす、あの人吐血してるっす!」
「俺も怖い。なんでいきなり血反吐吐いてるの。どうしたんですか、大丈夫ですかー?」
 そんな看守たちの気遣いが逆にサージェの胸をえぐる。いや、えぐってはダメでしょ。

 そう、サージェは新たな形の萌えに目覚めていた。
 そうなの? ってなる所であるが、そゆアルテさん! と謎の言葉を発し、サージェはずんずか『魔界大監獄』へと入っていく。
 えぇ……と戸惑う看守たち。
「待ってください、待ってください」
「あー! 困りますお嬢さん! 困りますあっー!!」
 止めようとする看守たちを振り切るサージェ。
 今のサージェに止められるものなど存在しない。なぜならば、新たな萌えを手に入れたから。
 ファンクラブとして研鑽を積むためには、事件を解決しなければならない。
 そうなのかなぁって思わないでもないが、サージェは本気であった。本気と書いてマジと読むアレであった。

 ずりずりと止めようとする看守を引きずるようにしてサージェは『魔界大監獄』の中を突き進んでいく。
「お嬢さん何者なんです!? あーっ、そこはだめです! そこは囚人以外入ったらだめな牢屋なんです、やめてください、あーっ!!」
「私はクノイチ、胸が大きくてしのべてないとかそんなことないもんっ!」
 答えになってない。
 強引に牢屋に入ったサージェは、即座に脱獄する。
「なんで、一度牢屋に入ったんですか……?」
 看守がおずおずとサージェを見やる。

 たゆんとした揺れを見せながらサージェはニコリと微笑む。
「だって、そうしろって言われたからです!」
 えぇ……。
 もう彼女を誰も止められない。しかし、脱獄に寄ってアラームが鳴り響く。
 隔壁のように扉が閉ざされる。
 そう、これこそが『魔界大監獄』を脱獄不能とまで言わしめた『嘘つき以外絶対通さない扉』!
 いやまあ、スナック感覚で脱獄している『次世代のデビルキング候補』たちもいるのだが、そこは見なかったことにする。だって後で真面目に戻ってきたりしているんだから、ノーカンである。

「ふっ、嘘ですか。この世に忍ぶクノイチとしては楽勝の類です」
 ニヒルに笑っている。
 確かにクノイチとは、人を欺く者である。情報を掠め取り、時に暗殺も生業とする。
 ゆえに卑劣!
 こういう時にこそ、自分のアイデンティティを示す時でもあった。サージェは、どんな嘘をついてやろうかと手ぐすね引いていたが、いきなり目の前の扉が全開になる。
「なんで? まだ本当のことしか言ってないんですけど?」
 ばーん! ばーん! ばーん!

 一直線に扉がバンバン開いていく。
 限界超えて、なんか他の扉まで開いているような気がするのは気のせいだろうか。いや、気の所為ではない。
 サージェはたしかに嘘をついたのだろう。
 言及することは、この場ではやめておく。泣いてるアイデンティティだってあるんですよ! そんなこと! できるわけがないっ!!

「ちょっと扉ー?! おかしくないですか!?」
 サージェのツッコミだけが虚しくダンジョンに響き渡る。
 悲しいかな、それが真実。
 目の前のこれが現実なのである――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『グレーターデビル』

POW   :    シャイニング・ダーク・スペル
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【右手から光属性の収束魔法を、左手】から【闇属性の拡散魔法】を放つ。
SPD   :    エンチャント・フレイム・ライトニング・ソード
【炎属性の魔法を付与した剣による斬撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【雷属性の魔法を更に付与した剣による斬撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    エンチャント・アイス・ジャイアントビースト
レベル×1体の【超大型魔獣】を召喚する。[超大型魔獣]は【自身が付与した極めて強力な氷】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。

イラスト:良之助

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達が突破したダンジョンの先にあるのは『デビルアロケーションセンター』……すなわち『悪魔配備室』である。
 まあ、モンスター部屋とでも言うべきであろうか。
 ダンジョンものには付きものである。
 モンスターが湧いて湧いてわきまくって、一歩足を踏み込んだらアイテムやら経験値やら全部ロストしてしまうことを覚悟しなければならない類のアレである。

 しかしながら、その『デビルアロケーションセンター』に配備された屈強なる看守たちは、なんだか気分が重いようである。
「はぁ~……地味だ地味だと言われ続けてはいるけど……」
「ああ、だって仕事ないんだもんなぁ……」
「もっと派手なことしてぇ~……」
 なんかどんよりしておる。
 彼らは『グレーターデビル』。『偉大なる』概念を持つデビルたちであり、彼らの手繰るユーベルコードはどれも強力であり、クソ強であった。

 しかし、絵面がどうにも地味なのである。
 こう、どれも正統派だし、ワルっぽさがないのである。このワルこそがクールでかっこいいと言われるデビルキングワールドにおいては致命的なまでに地味であった。
 ゆえにこんな『魔界大監獄』の最深部に繋がる詰め所という閑職に追いやられているのである。
「あ~……派手にワルなことしてぇ~……」
『グレーターデビル』たちは、ゴロゴロしている。
 本気で戦えば、マジで強いのである。
 猟兵がまともに戦っては突破できぬほどに。しかしながら、彼らのやる気というか覇気のなさがヤバイ。

 ならば、猟兵達はどうするか。
 彼らの地味さを突いてさらなる動揺を誘うか。
 もしくは、彼らが驚くようなワルな戦法を披露して心酔させ、道を開かせるか。
 どちらにしたって突破しなければ最深部へは至れないのである――。
シャルロット・ゴッドハンド
極めて強靭な妖精の体・超耐性な体の激痛耐性・超耐性の体2・超頑強な体のハイパーアーマーで怯んだり押し負けずに、敵のUCで受けるダメージや悪い影響を軽減します!

その時!偶然にも隕石が天から飛来し、デビル大監獄に直撃!
獄中をぶち抜きながらシャルロットの真上に落下して来ますが、平然と受け止め、幼精翔翅で加速し正面突撃します!
思い切り振りかぶって、勢いよくド派手でド迫力な【いんせきなげ】の一撃を叩きつけます!

「あぅてぃめっと・しゃぅおっとしゅーとぉ♪」とその場で考えた必殺技の名前を言ってみたりします!

超怪力で投げつけた隕石は更に周辺地形を破壊し、床に空いた大穴から降下して最深部を目指します!



 シャルロット・ゴッドハンド(素手だけで絶対破壊出来ない扉を破壊した怪力全裸幼精・f32042)は悠々と『魔界大監獄』のダンジョンを踏破し、看守たちの詰め所である『デビルアロケーションセンター』へと辿り着いていた。
 しかし、そこは一般悪魔であっても猟兵並のちからを持つユーベルコード使いである『グレーターデビル』たちひしめく尋常ならざる空間であった。
「なんだ? この小さいのは……」
「これが脱獄犯なのか?」
「いや、わからん」
 彼らは皆、性根が善良なのである。
 となれば、基本全裸。裸なシャルロットの姿に視線を逸してしまうのまた無理なからぬことであった。

「う?」
 シャルロットにとってはよくわからない。
 これもまた脱獄ゲームの続きであると判断したのだろう。この詰め所の『グレーターデビル』たちを全て打倒できればゲームクリア! ときゃっきゃしている。
「とは言え、この詰め所を通すわけにはいかん!」
「行くぞ、みんな!」
「光と闇が合わさり最強に見えるシャイニング・ダーク・スペル!」
 何を言っているのかさっぱりわからん。
『グレーターデビル』たちは、その手に集まった光と闇の収束魔法をほとばしらせる。

 シャルロットの小さな体は的にできない程に小さかったが、この吹き荒れるユーベルコードの光と闇の嵐の中であるのならば、体躯の差など意味をなさなかった。
「う~! 目がチパチパするぅ!」
 明滅するユーベルコードの光。
 確かに悪魔にしては地味なユーベルコードだなぁって思わないでもない。今更光だの闇だの言われてもと思わないでもないからだ。そういうところが地味なのである。
 そう、今のトレンドは光と闇ではない。

 その時、偶然にも隕石が天から飛来する。
 なんで?
 それはシャルロットのユーベルコードである。
 彼女の頭上より墜落してくるのは巨大隕石。彼女が呼び寄せたと言っても過言ではない。
 極超弩級隕石が飛来し、『魔界大監獄』の天井をぶち抜いてシャルロットに迫る。
「ええぇぇぇぇッ!?」
 看守たちは皆、目を見開いた。
 だってそうである。ユーベルコードだとわかってはいるが、シャルロットが呼び寄せたクソデカ隕石は、『魔界大監獄』の天井ぶち抜いてシャルロットめがけて落ちているのだ。

 しかも、それをシャルロットは受け止める。
「あぅてぃめっと・しゃぅおっとしゅーとぉ♪」
 舌足らずな声。
 その声と同時に受け止めたクソデカ隕石を『デビルアロケーションセンター』へと叩きつける。
 アホみたいにでかい隕石は、簡単に『デビルアロケーションセンター』の天井をぶち抜き、光と闇とか言っていた『グレーターデビル』たちを吹き飛ばす。
 安心して欲しい。
 彼らは死なない程度にぶっ飛び、デビルキングワールドの何処其処かに頭から大地にぶっ刺さっている程度で、死んでいない。

「ふんがー♪」
 きゃっきゃとまた一人シャルロットは叩きつけた巨大隕石の一撃で穿たれた『デビルアロケーションセンター』の床から、小さな体で持って、ひらひらっと最深部を目指すべく飛んでいく。
 傍から見たら巨大隕石が偶然『魔界大監獄』へと落ちてきて、甚大な被害をもたらしたように見えるだろう。
 だが、真実は異なる。
 小さな妖精の体でもって隕石を受け止め、その一撃で持って彼女は破壊をもたらした。
 その恐るべき派手具合に『グレーターデビル』たちは完全なる敗北を悟るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドウジ・ユークレナ
フッフッフッ…。
自分の手にかかれば魔界大監獄など、遊歩道のようなものでありますな。
(グレーターデビルの横を通り過ぎつつ)
はっ、敵でありますか!?
地味すぎて、風景と同化してて気がつかなかったであります。
恐るべしグレーターデビル…。


『存在感』を持った『残像』を残しつつ『ダンス』を踊るような、軽快な動きで攻撃を回避しつつ接近したら、蜘蛛の足戟であります。
あ、4撃目はわざと外しでありますな。殺すには惜しい悪魔達でありますからな。
そして、見るであります。我がワルを…。
攻撃のどさぐさに『盗む攻撃』で剣を奪ったであります。
自分はこの剣を………捨てる!!(ぉぃ)



 クソデカ巨大隕石の一撃が『魔界大監獄』の天井をぶち抜き、悪魔配備室とも言うべき『デビルアロケーションセンター』の天井も打ち破ってしまった後、ドウジ・ユークレナ(風渡り人・f36443)は割りと悠々自適にダンジョンを突破していた。
 なにせ彼は蜘蛛童である。
 多脚でもって、ササーっと壁走りに天井走りなど造作もないことである。
「フッフッフ……自分の手に掛かれば『魔界大監獄』など、遊歩道のようなものでありますな」
 簡単この上ないミッションである。
 スニーキングミッションと聞いてはいたが、今のドウジにはあまりにも簡単でイージーであった。

 彼の視界には敵の姿など無い。
 いや、いる。おる! おるよ!『グレーターデビル』おる!!
 聞こてないのかな?
「ま、待て貴様! 何をすんなり最深部に行こうとしている!!」
『グレーターデビル』たちは涙目である。
 だってそうである。彼らは地味なことを気にしている。コンプレックスなのである。看守なのに、脱獄囚人にどスルーされるなんてあってはならないのである。
 手にした剣に炎の力を宿し、『グレーターデビル』は叫ぶ。
 確かにあの剣に付与された力は凄まじいものである。
 炎の一撃を加えた後に雷の力が発露されるように計算された凄まじきユーベルコード。受ければ確かに深傷を負ってしまうことは避けられないだろう。

「はっ、敵でありますか!? 地味すぎて、風景と同化してて気が付かなかったであります」
 ひどい。
 流石にそれは酷い。『グレーターデビル』たちの心を抉るチクチク言葉である。
「恐るべし『グレーターデビル』……」
 ドウジは、彼らががっくり肩を落としているのを臨戦態勢に入ったと勘違いし、ダンスを踊るような軽快な動きで『デビルアロケーションセンター』の崩壊した天井や壁を跳ねるようにして飛ぶ。
 それは謎のタップダンスであるが、しかして、『グレーターデビル』たちを翻弄する動きであった。

「奇っ怪なダンスを!」
「動きが早い……! だが!」
 どっせいと振るわれる炎の軌跡を描く剣。
 それをドウジは蜘蛛の足から繰り出される怒涛の連続漕ぐ液でもって弾き飛ばす。
 四連撃が当たれば、相手は死に追いやられる。蜘蛛の足戟(クモノアシゲキ)とはそういうユーベルコードだ。
 しかし、ドウジは最期の一撃を外すのだ。そう、彼らは死すべき者ではない。殺すには惜しい悪魔であるとドウジは理解していた。
 地味なことを気にしているコンプレックスはあれど、そのユーベルコードの力は本物だからだ。

「くっ、殺せ! こんな地味地味な悪魔なんて……」
「殺すには惜しい悪魔でありますからな」
 くっころ悪魔になった『グレーターデビル』をドウジは剣を奪い取って天井から見下ろす。
 殺すなんてとんでもないことである。
 彼らは悪魔であるが良い子の性根を持った存在。ならば、ドウジは己のワルさを見せつけて、彼らを活かすのだ。
「ふっ、見るであります」
 すちゃっと『グレーターデビル』たちから奪い取った通義をドウジは多脚でもってかき集めて見せつける。

「あっ! それは通販で買ったニーベルングソード!」
 通販なんだ、あれ。
「ふ……どさくさで奪ってやったであります。自分はこの剣を……」
「ま、まさか……!」
 そう、そのまさかである。最深部に通じる穴へと投げ捨てるドウジ。
 ワルである。
 通販で3万D(デビル)位する剣を惜しげもなくポイポイ空いた穴に投げ入れて捨てたのだ!
 盗んだ剣で走り出すことなく、それをあっさり捨てるワル!
 そのワルに『グレーターデビル』たちの足はガクガク震えるほどに震え上がり、がくりと膝から崩れ落ちる。

「見たでありますか、これが自分のワル道! では、自分はこれにて!」
 バイバイとドウジは多脚を振りながら『魔界大監獄』の最深部へと、あらよっと怪盗ムーヴで飛び込み、『グレーターデビル』たちの追跡を躱すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
女帝として演技。
悪のカリスマと威厳を振り撒きながらUC:慈眼乃光を発動。
視線のみ優しく『グレーターデビル』さん達に会う。

「其方達の目には己に対する不信が宿っている。
どれほど力があろうと己を信じられぬ者に勝利は無い!
とはいえ、すぐに自分を変える事など出来まいな。
我を信ぜよ!そうすれば其方達を変えて見せよう」
と説得(UC効果&コミュ力&言いくるめ)。

自分が深夜の神社でやっていたように”威厳があるワルっぽい演技”を指導。
「違う!そこは腕を組んで尊大な感じを出しつつも礼儀正しく!」と愛のあるスパルタ教育(優しさ&審美眼&礼儀作法)。

そうして『グレーターデビル』達の尊敬を得た後、堂々と最深部に進みます。



『魔界大監獄』の『デビルアロケーションセンター』に詰めている看守たち――『グレーターデビル』たちは慌てふためいていた。
 猟兵たちんのでたらめなダンジョン突破能力もそうであったが、自分たちの地味なユーベルコードとは違い、彼らのユーベルコードが派手派手であったからだ。
 そして、ワルさもまた桁違いであった。
 基本的に悪魔たちは性根が善良である。
「くそう! どうして俺たちのユーベルコードはこんなに地味なんだ!」
「超大型魔獣を召喚しても、派手なのは魔獣のほうだし!」
 彼らは苦悩していた。
 その能力は割りとマジで猟兵達におきかえてもかなりの力を持っていると言わざるをえない。

 けれど、それ以上に彼らは自分たちが地味であることを憂いていた。
「どうやったら……って、来るぞ! 脱獄囚だ!」
 カツーン。
 カツーン。
 先行した猟兵たちのユーベルコードで『魔界大監獄』は甚大な被害を受けている。その白煙の向こうから何かこう、硬い廊下をゆっくりと、それでいて確実にこちらに近づいてくる足音が響く。
 足音っていうか、これあれだよね。
 ヒールの音だよねって『グレーターデビル』たちは気がついた。
 己達に近づいてくる影。
 それは漆黒のドレスを身にまとった大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)であった。
 邪神様なりきりセット。今更であるがものすごいネーミングである。

 その邪神になりきった詩乃は柔らかな瞳、その優しげな視線のママ『グレーターデビル』たちと対峙する。
「くっ……! ここは通さんぞ、脱獄囚!」
「そうだ! どれだけ地味であっても俺たちは看守だ! 必ずここを死守してやる!」
 いいのかな。それだと普通にいい人っていうか、職務に忠実な善い看守って感じだけど。
 そんなことなど彼らが一番わかっている。
 だが、詩乃はそんな彼らを一喝する。
「其方達の目には己に対する不信が宿っている」
 えっ――。
 動揺が奔る『グレーターデビル』たち。彼らは己たちの心の内を読み取られたことにたじろいだだろう。

「どれほど力があろうと己を信じられぬ者に勝利はない! とは言え、すぐに自分を変えることなど出来まいな」
 詩乃はワルの威厳たっぷりに『グレーターデビル』たちに演説を打つ。
 そのオーラは只者ではない雰囲気がたっぷりであった。
「我を信ぜよ! そうすれば其方達を変えて見せよう」
 慈眼乃光(ジガンノヒカリ)。
 それこそが詩乃の瞳より放たれるユーベルコードの輝く。
 慈愛に満ちていながらも、他者に友好の念を抱かせるには十分すぎる力。

 彼女の言葉と瞳に『グレーターデビル』たちは膝をつく。
「おお……! 俺たちを導いてくれるのか……!」
「新たなる扉、新たなるワルへの高みへと……!」
『グレーターデビル』たちは皆、涙さえ流している。他に猟兵がいたのならば、なんでや……と割りとドン引きしてしまうかもしれないが、幸いに詩乃だけである。
 そこからはもう大変なものであった。
 アメとムチ。
 優しさと厳しさ。そして詩乃の審美眼により、礼儀作法まで叩き込まれる『グレーターデビル』たち。

「こうですか、邪神様ぁ!」
「違う!」
「こんな感じですよね!?」
「そこは腕を組んで尊大な感じを出しつつも礼儀正しく!」
 詩乃スパルタ教育は続く。
 そう、これは全て詩乃が深夜の神社でやっていたように『威厳あるワルっぽい演技』の指導である。
 自分でやっているからこその説得力。
 詩乃が『グレーターデビル』たちに与えたいのはワルとしての尊厳である。
 自分たちの力が地味であることなど忘れるほどの尊厳を得れば、彼らは立派なワルになるだろう。

 だからこそ、詩乃の指導は熱を帯びていく。
「さあ、どんどん行きますよ。付いてこれますか!」
「ははっー!!」
『グレーターデビル』たちは皆、一様に詩乃に頭を垂れる。
 彼女の熱血指導後、其処に在ったのは悪魔としての、ワルとしての尊厳を得た『グレーターデビル』たちの精悍なる顔つき。
 その顔を満足気に見て、詩乃は最深部へと向かうのだ。
「いってらっしゃいませっ!!」
 なんか思ってたの違う気がしないでもない。

 けれど、こうして最深部への道は開けた。
 あとはオブリビオン、そして『次世代のデビルキング候補』たちばかりである。詩乃はこれより踏み込む『魔界大監獄』の最深部に恐れることなく一歩を踏み出す。
 彼女が思い描くワルの理想を体現するように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星海・冴香
話は聞かせてもらいました。あなた達にも悩みがあるのですね
お聞きましょう。話せばきっと楽になります。

適当なテーブルに『札束』を積んで手を叩き、ユーベルコードで悪魔族の地獄ホストを8体召喚
今日は私ではなくてグレーターデビルの皆様をお酒と料理でもてなしてもらいます。

ホストでしかも悪魔なら十分にワルっぽいはず。
彼らに愚痴を聞いたり相談に乗ったりしてもらって、私は同情したり慰めたりを担当。たっぷり癒してあげます。

そんなに強ければ、もっとワルい活躍ができそうなのに、地味だからダメなんて可哀想です
でもきっと、その内いいコトありますよ。

やがて宴もたけなわになれば
ホストに目配せで後事を任せ、奥へと進みます。



『魔界大監獄』の館主を務める『グレーターデビル』たち。
 彼らは一人ひとりが猟兵に匹敵するほどのユーベルコード使いである。これは言うまでもないことであるが、彼ら悪魔は性根が善良なる種族だ。
 善良ゆえに滅びかけたがために、ワルいことはかっこいいこと、クールなことと定めたデビルキング法によって彼らは滅びを回避している。
 そして、同時にワル=かっこいいという図式が成り立つ以上、彼らはどうにも派手さを求めてしまう。
「うっ、うう……脱獄囚たちのユーベルコードが派手すぎる……!」
「勝てる気がしない……! 派手さで……!」

 彼らはあまりにも地味な己たちのユーベルコードにがっくりきていた。
 確かに地味かもしれない。
 けれど、強力なユーベルコードに変わりないのである。だが、そんなことなど彼らには些細なことだ。
 強力な力よりも派手さを!
 それが彼らの求めるところであった。
「話は聞かせてもらいました。あなた達にも悩みがあるのですね」
 しゃなりしゃなり。
 なんか妙にセクシーな女性猟兵がダンジョンから姿を現す。そう、星海・冴香(地獄配達人・f36316)である。

 彼女は囚人服をセクシーに着こなし、『魔界大監獄』の最深部を目指していた。
 歩く姿はなんちゃらかんちゃらである。
 そんな冴香に『グレーターデビル』達は身構える。
「止まれ! これ以上先には進ませないぞ!」
 ワルにあこがれていても、性根が善良であるために職務に真面目に取り組んでしまうところもまた地味である。
 だが、そんな彼らに冴香は適当なテーブルに札束を積む。
 なんで?
 買収しようというのかと『グレーターデビル』たちは色めきだつ。看守を買収しようというのは、わりとワルであるから。

 しかし、冴香は違う。
「Make me happy.――とでもいいましょうか。お聞きしましょう。話せばきっと楽になります」
 手を叩けば現れる、使役(ホスト・プレイ)された地獄のホストたち。
 彼らは眉目秀麗なるホストである。
 本来ならば、彼らは冴香をもてなす色男たちだ。けれど、冴香が指鳴らせば、彼らは『グレーターデビル』たちを歓待し始める。
 ワルな雰囲気ぷんぷんである。
 普通はホステスでは? と思わないでもない。

 けれど、ここはデビルキングワールドである。
 地獄のホストほどワルな雰囲気を持つ者もいないだろう。そんな彼らに『グレーターデビル』たちはでへでへしてしまう。
「あざっす。パイセンのそのかっけーワルな感じ、どうやって出すんすか!」
「憧れるっす! そのワルなファッション!」
 あぁ……『グレーターデビル』たちはすっかり三下な雰囲気になってしまっている。

 そんな彼らに冴香は言うのだ。
「そんなに強ければ、もっとワルい活躍ができそうなのに……」
「で、でも、地味だから……ダメなんだよなぁ」
 しょんぼりしている『グレーターデビル』に冴香は優しくほほえみ、その手を取る。こういう時肝心なのは、同意とスキンシップである。
 冴香の魅力でもって微笑めば、心に波が生まれる。その波を大きくするも小さくするも冴香次第だ。
「地味だからダメなんて可愛そうです。でもきっと、その内いいことありますよ」
 ね? と冴香が微笑めば、すっかりその気になってしまう『グレーターデビル』たち。
 優しい言葉が彼らをとろけ落とし、地獄のホストたちもまた場を盛り上げていく。

 やがて宴もたけなわになれば、冴香は後をホストたちに任せ、最深部へと歩み出る。
 彼女の背後ではどんちゃん騒ぎの声が聞こえる。 
 確かに最初は彼らの気を引くための宴であったけれど。それでも地味なことにコンプレックスを持つ『グレーターデビル』たちが立ち直ってくれるのならば、これに勝ることもないだろう。
「なにせ、彼らは元々善良なる心の持ち主たち。オブリビオンに唆されるよりも……」
 時には自分に騙されるのもいいだろう。
 それで彼らが自信をつけてくれるのならば、それもいい。
 そんな風に思いながら冴香は、また一歩と最深部へと進むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルテミシア・アガメムノン
開幕『黄金の暴嵐』で看守たちを吹き飛ばして行動不能にしてから。
グレーターデビルの皆さん、看守のお勤めご苦労様です!
危険な悪魔達の監視(できてないけど)、大切なお仕事ですわね。
褒めてつかわします!
何でも皆さんは地味なUCしかもっていないことを気にされているとか。
気にする必要はありません!
UCが地味でも派手にワルいことをすれば十分に輝けます。
そうですわね、わたくしの国にいらっしゃい。
征服戦争(大ワル)の尖兵として使ってあげますわ!
貴方達にド派手な活躍の機会を用意してあげましょう。
あ、わたくしは最深部に用がありますので希望者は表で待っていてくださいね。
(となんかよくわからない勢いで最深部へ)



 開幕直後に黄金の暴嵐(ルドラ)。
 それを卑怯ということなかれ。デビルキングワールドにおいて起き攻め、壁はめ、対空ブッパもまた立派なワルである。
 格闘ゲームの筐体の向こう側から灰皿が飛んでこようが、蹴り飛ばされようが、リアルファイトが勃発しようが、それもまた立派なワルなのである。
 一体何の話をしているのかと言われれば、『魔界大監獄』の『デビルアロケーションセンター』に吹き荒れる黄金の神雷と滅びの暴風のことを言っているのである。

 これはユーベルコードの発露。
 そう、アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)のユーベルコードという名の超必殺技ぶっぱなのである。
「あー!?」
 看守である『グレーターデビル』たちは皆、悲鳴をあげながら吹き荒れる黄金の雷と暴風の前に吹き飛び、頭から車田落ちをしてしまう。
 ゴグシャァ! ってやつである。痛そう。
 けれど、その程度で死なないほどに頑強なのがデビルキングワールドの悪魔たちである。さすが一般人でも猟兵なみの強さを誇る者たち。
 そんな彼らを前に舞い降りるは黄金の縦ロール。
 いやさ、アルテミシアである。
「『グレーターデビル』の皆さん、看守のお勤めご苦労さまです! 危険な悪魔たちの監視、大切なお仕事ですわね。褒めてつかわします!」
「ええぇぇぇぇ!?」
「脱獄囚なんで!? あれ!? 突破されてる!? あの『嘘つき以外絶対通さない扉』を突破してきている!?」
 いやまあ、監視できてないし、ついでにいうと、脱獄囚という身分のアルテミシアが言うことではない気がする。
 ものすごい大物オーラを放っているけど、君、一応、この『魔界大監獄』に収監された囚人だからね?
『グレーターデビル』たちは皆、口を噤んだ。
 なんか否定しようものなら、この派手派手なユーベルコードがまたブッパされそうであったからだ。

「なんでも皆さんは地味なユーベルコードしかもっていないことを気にされているとか」
 ぎくり。
 そうなのである。『グレーターデビル』たちのユーベルコードはどれもが強力なのであるが、どうにも見た目が地味なのである。
 そうかな? って他世界の猟兵達は思わないでもなかったが、それでも彼らにとっては由々しき問題であるのだ。
 彼らを前に派手の極地とも言うべき金髪縦ロールをふぁさーってやりながらアルテミシアは大げさにうなずいた。

「気にする必要はありません! ユーベルコードが地味でも派手にワルいことをすれば十分に輝けます!」
 それもそれでどうなのかなぁって思わないでもない。
 というか、地味地味言い過ぎな気がしないでもない。涙目になっている『グレーターデビル』もいる。コンプレックスを刺激されてしまったのであろう。。
「いや、あんまりその、地味地味言わないでくださると」
「こちらとしても、そのー、ありがたいといいますかー」
 彼らは彼らでなんかアルテミシアの言わんとするところに思うところがあるのだろう。
「そうですわ、わたくしの国にいらっしゃい。征服戦争の尖兵として使ってあげますわ! 貴方達にド派手な活躍の器械を用意してあげましょう!」
 それは渡りに船であった。
 看守の仕事は大変であるし、こうも地味地味なことをしているよりも征服戦争という大ワルなことにヘッドハンティングされたのならば、彼らは首を縦に喜んで振るだろう。

「あ、わたくしは最深部に用がありますので希望者は表で待っていてくださいね」
 疾風のようにアルテミシアは最深部へと飛び込んでいく。
 ものすごい勢いである。
 というか、結局最初の開幕ブッパだけでことを収めてしまった彼女の手腕は確かに魔王と呼ぶに相応しいものであったことだろう。
 その美貌とカリスマをもってして、彼女は新たなる征服戦争の尖兵を手に入れ、オブリビオンの存在する最深部へと飛ぶ。
 ものすごいワルな高笑いと共に――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
なるほど
地味であることが辛い、と
わかりますよ、とってもわかります
私も世に忍ぶクノイチなので
目立つこともなく、どちらかと言えば地味…(遠くから扉の開く派手な連続音

だからなんで??
これじゃあ、私が『胸が大きくて目立つので全然忍べてないクノイチ』ってことになりません??
おかしくないですか??
むぅ、黙秘ですか

いえ、戦いに来たんでした
それではクノイチらしく【かげぶんしんの術】で参ります!
シンプルなのであまり派手な部分はありませんが
やはり手数が増えるのは良いことですね!
ふっ、私の堅実さ(=地味さ)に慄け…
なんで懐いてるの??
おかしくありません??
いや、あの、私忍んでますから!



 毎日毎日に『グレーターデビル』たちは『魔界大監獄』において看守の仕事を頑張っている。
 がんばってはいるのだが、最深部の『次世代のデビルキング候補』たちは、まるで制御などできようはずもなかった。
 性根が善良であるが、基本悪魔っていうものはワルに憧れるのである。
 脱獄は言うまでもなくワルである。
 ならば、彼らはスナック感覚で脱獄しては、いつのまにか牢屋に戻ってきて何くわぬ顔でいたりする。

 正直に言おう。
 わりともう限界なのである。ブラックなのである。
 その上に自分たちのユーベルコードが地味だというコンプレックスもある。
「俺たちだって、奴らみたいに脱獄したい! スナック感覚で牢破りして、何くわぬ顔で戻ってきて、『何かやっちゃいました?』みたいなこといいたい……!」
「『俺のユーベルコードが強すぎる? 牢屋のセキュリティが脆すぎるの間違いだろ』とかいいたい……!」
 なんか別ベクトルで悩みを打ち明けているような気がしないでもない。
 というか、それは別のあれではないだろうかと思わないでもないのだが、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)はいつのまにか『グレーターデビル』たちの輪の中に入り込んでうなずいていた。

「なるほど、地味で辛いですよね。わかります。とってもわかります」
 うんうん、とサージェがうなずく。
 わかるんだ?
「私も世に忍ぶクノイチなので、目立つこと無く、どちらかと言えば地味……」
 何処かと置くでなんか『嘘つき以外絶対通さない扉』がバンバン開閉している音が響く。あれが腹を抱えて笑うというやつなのであろうか。扉がパカパカしている音ばかりが響く。
 なんか若干腹立たしい感じであるが、サージェはこめかみをピクピクさせる。アンガーコントロールは完璧なのだ。
 自分は出来るクノイチ。
 誰がなんと言おうと出来るクノイチなのだ。

「だからなんで??」
 パカパカ言ってる扉の音にやっぱりコントロールできな感情が爆発する。
「これじゃあ、私が『胸が大きくて目立つので全然忍べてないクノイチ』ってことになりません?? おかしくないですか??」
 沈黙だけが『デビルアロケーションセンター』に痛々しく続く。
『グレーターデビル』たちも沈黙している。
 正直にうと気まずい。
「……えっと」
「その……」
「だから、その……」

 彼らは皆、一様にサージェから視線を逸している。みんなわかっているのだ。なんていいっていいのか分からないだけだ。
 彼らは基本、性根が善良な良い子。
 サージェにこれいったら傷つくだろうなぁっていうことは言えないのである。しかし、その沈黙というか、しどろもどろになっているのがもう答えである。

「いえ、戦いに来たんでした。というわけで、しゃどふぉーむっ! しゅばばばっ!」
 気を取り直してのかげぶんしんの術(イッパイフエルクノイチ)。
 今更であるけど、そういうことなのである。増えるわかめならぬ増えるクノイチ。
 非常に目立つ。
「うわー!? 悪目立ちするクノイチだー!?」
「すっご……でっ……!」
 でっ?
 サージェとしては、己の堅実さ、イコール、地味さに戦かれることで、『グレーターデビル』たちに自信を持ってもらおうとしていたのだが、なんか驚かれている。

 いや、これはあれである。
 言ってることとやってることがあってないワルに対する畏敬の念!
「おかしくありません?? いや、あの、私忍んでますから!」
 サージェの大合唱。
 けれど、その言葉は聞き入れられることはなかった。
 だって、今の彼女はまるで忍べていない。にも関わらず、忍んでるからと、虚勢を張るワルにしか見えないのだ。
 大言壮語のワルにしか彼等には見えないがゆえに、とんでもないビックマウスをふかすサージェパイセンちーっす!ってやつなのである。
 そんな彼等に道を開けられながら、サージェは釈然としない気持ちのまま最深部へと至らなければならないのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『夢魔エンプーサ』

POW   :    妖艶なる拷問具
【夢魔の魔力】を籠めた【拷問具】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【魂】のみを攻撃する。
SPD   :    秘めたる欲望の問いかけ
質問と共に【対象を拘束する拷問具】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ   :    覚めない夢への誘い
【夢魔の魔力】から、対象の【現実を忘れたい】という願いを叶える【拷問具】を創造する。[拷問具]をうまく使わないと願いは叶わない。

イラスト:和狸56

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 オブリビオン『夢魔エンプーサ』は焦っていた。
『魔界大監獄』の最深部に収監されている悪魔たちを味方につければ、猟兵なんて目じゃないと思っていたのだ。
 しかし、この異様な空間に彼女は完全に尻込みしていた。
 だってそうなのである。
 ここに収監されているのは皆、『次世代のデビルキング候補』たち。言ってしまえば、そのユーベルコード使いとしての力は完全に『夢魔エンプーサ』よりも、そして猟兵よりも優れている。
 そんなのが此処にはゴロゴロしているのだ。

「ごくり」
 生唾飲み込む。
 こうなっては自棄である。
「み、皆さん、これから、悪夢の拷問ショーの始まりですわ!」
 意を決して声を上げた瞬間、ものすごい重圧伴う視線が『夢魔エンプーサ』を貫く。
 それはまさに死線とも言うべきものであった。
 突き刺さる鋭い視線。それだけで心臓が凍りつくような重圧。されど、次の瞬間『次世代のデビルキング候補』たちは目をキラキラさせながら『夢魔エンプーサ』のもとに集うのだ。
「なになに、どんな悪夢?」
「拷問てなんだ? どんなワルなことなんだ?」
「これ、歯を抜くあれ……? うっわ、痛そう……」
「歯医者……! それは極悪非道の憧れ職業ランキング上位常連……!」

 あ、これはちょろい。
『夢魔エンプーサ』は思った。こいつら力は強大だし、見た目は怖いが、完全に中身が小学生くらいである。
 それもそのはずだ。
 だって、スナック感覚で脱獄するような悪魔たちである。
「おーっほっほほ! 簡単ですわ、これより此処に来る猟兵共をいたぶって差し上げましょう。そう、サーフェイサーとつや消しクリアーを取り違える悪夢なんて些細なこと! これより見せる悪夢は、世界の破滅! さあ、皆さんご一緒に世界の破滅まっしぐらですわ!」
『夢魔エンプーサ』の言葉に『次世代の悪魔候補』たちは気炎を上げる。
 凄まじい重圧。

 この異様なる空間において、猟兵達は示さなければならない。
 オブリビオンよりもワルなことを示し、『夢魔エンプーサ』に協力しようとしている『次世代のデビルキング候補』たちを引き抜き、これを返り討ちにする。
 今こそ見せる時である。
 本物のワルってやつを――!
アルテミシア・アガメムノン
高笑いする夢魔の周囲に漂い始める黄金の霧。そして、響く声。

あらあら、大きく出ましたわね。
威勢が良いのは結構なことですが……わたくしの世界に手を出したのは許せまえんわねえ。

夢魔の手の先、足の先から黄金の炎が発生して焼き始めます。
夢魔の周囲というか空間一帯に漂う輝く霧は『地母神の戦域』

敵SPDにはノータイムで真実を告げます。
彼女に都合の悪い真実とかないのです。(なんか凄い自信)

夢魔をじわじわと焼きながら周囲の悪魔達を勧誘。

世界の破滅などという一度やったら終わりのワルはくだらないことです!
わたくしと共に終わらないワル道を楽しみましょう。
手始めにその夢魔を八つ裂きにするのもいいかもしれませんわね!



「わっしょい! わっしょい!」
「おーっほっほほ! 勝てる! これは勝てますわ!」
 高笑いするオブリビオン『夢魔エンプーサ』は、神輿に担がれていた。正確に言うのならば『魔界大監獄』の最深部にて『次世代のデビルキング候補』たちにを取り込み、彼等の力でもって、このデビルキングワールドを席巻しようとしているのだ。
「流石ワルの鏡! 高笑いも似合ってるぅー!」
「略してさすワル! いえいいえい!」
 ノリノリである。
 基本的に悪魔というのは善良なる種族。
 約束は護るし、法律を守れと言われたら、はーいって従うものである。

 ワルの道徳。
 デビルキング法に定められたワル=かっこいいー! を実践する彼等がオブリビオンの凶悪なる悪事に魅せられてしまうのも無理なからぬことであった。
「おーっほっほほ! いけますわよ! これならば! 猟兵恐れるに足りず! おーっほっほほ!」
 二回笑った。
 しかし、そんな高笑いする『夢魔エンプーサ』の周囲に漂い始めるのは黄金の霧。
 そして、響き渡るは――!

「あらあら大きくでましたわね」
「何奴!」
 完全に小悪党ムーヴであるが、それはいいのか。
 そんなツッコミが野暮なほど、彼に颯爽登場したのはアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)であった。
 今此処は、地母神の戦域(ティアマト)である。
 彼女のユーベルコードに寄って黄金の霧が発せし、それは視界を妨げない。
 本来であれば、隠れるための霧かもしれないが、今はアルテミシアを目立たせるためだけのものである。
「威勢が善いのは結構なことですが……わたくしの世界に手を出したのは許せませんわねぇ」

 いや、アルテミシアはまだ世界征服してないので、彼女のものではない。
 しかしながら、そんなことはっどうでもいいのである。彼女のユーベルコードに寄ってジリジリと『夢魔エンプーサ』の体を焼く黄金の炎。
「しゃらくさいですわ! どんな者にだって答えたくないものはあるのですわ! 世界の破滅を見たいのではなくって!? 世界征服なんて、標榜するのなら――」
「いいえ。世界征服死体ほどに世界を愛しているからこそ、世界の破滅など見たいものではありませんわ!」
 ノータイム。
 食い気味にアルテミシアは答える。
 それは『夢魔エンプーサ』のユーベルコードであったし、アルテミシアを拘束しようとしていた拘束具が瞬時に霧散される。

 そう、アルテミシアにとって都合の悪い真実はない。
 あるのは彼女の目の前に広がる世界のみ。世界は自分を中心に回っている。そうでなければ、世界征服などという壮大な野望を抱くことはできないのだ。
「世界の破滅などという一度やったら終わりのワルはくだらないことです!」
 世界征服すれば、何度だっていける。
 だって、世界を己がものにせんとしているのだ。
 世界という宝石を手中に納めたものが、それを自分の手で砕くというものはただの心中に他ならない。

「そんなもののどこにクールさがありましょうか。ワルの道は見果てぬ夢! 終わらないワル道。それこそがわたくしの求めるものですわ!」
 くわっ!
 アルテミシアの瞳がユーベルコードに輝く。
 それは金色の神炎。『夢魔エンプーサ』を燃やす炎は、煌々と高く燃え上がる。
「……確かに!」
「一度やったらおしまいっていうのもなー。何度もワルをしたいし!」
「なら、やっぱり……」
 そこら編にゴロゴロしていた『次世代のデビルキング候補』たちが次々と『夢魔エンプーサ』を担いでいた神輿をなげてアルテミシアの側につく。
「わたくしと共に終わらないワル道を楽しみましょう! 手始めにその夢魔を八つ裂きにするのもいいかもしれませんね!」

 敗北者に鞭打つ行為!
 死体蹴りと同義。
 でも、それがいい! それでいい!
「ひゃっはー!」
「ひえぇぇぇっ!? ちょ、やめ、マジで洒落にならんですわ!?」
『夢魔エンプーサ』の悲鳴を聞きながらアルテミシアはとてもワルな顔で、昭和の喧嘩なアレな土煙を見下ろし、己の勝利を確信する。

 世界征服バンザイ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドウジ・ユークレナ
世界征服がワル?
随分みみっちい悪事でありますな。
だって相手を脅したり、物を壊す。つまりただのガキ大将の大きい版。
あれ?つまり未来の大将たおすのってすごくワルくね?だって世界のトップを倒すのでありますのよ(超☆飛躍思考)

未来の王様倒す一番の悪事は自分の手に!?
『残像』を残す『ダンス』でユベコを回避であります。
嘘を許さないなんて、なんて善人なオブビリオンなんでありますか。

蜘蛛の糸を飛ばして『捕縛』し動きを封じたら、即座にスパイダー・ランページであります。
あえて無差別(候補者達には手加減)ああ、なんてワルでありますか(わなわな)



 基本的に悪魔とうい種族の性根は善良そのものである。
 言うまでもないことであるが、彼等はクソ強い。クソがつくほどマジで強いのである。正直なところをいうと、一般悪魔であっても猟兵並である。
 そして、この『魔界大監獄』に収監された中でも、最深部に収監された悪魔たちというのは『次世代のデビルキング候補』とも呼ばれた極悪なる戦闘力を持った悪魔たちなのだ。
 しかしまあ、そこはほら、あれである。
 彼等が悪魔たる所以。
 スナック感覚で脱獄しても、刑期があるからと言って素直に牢屋に戻ってくるのである。
 そこらへんがなんだかなぁってなる部分ではあったが、ドウジ・ユークレナ(風渡り人・f36443)はうなずける部分もあったのだ。

「くっ……猟兵の邪魔が入りましたが! ですが、この世界は私が頂きます! この『デビルキング候補』たちが居れば如何に猟兵と言えど私に邪魔はできませんわ!」
 オブリビオン『夢魔エンプーサ』はなんともまあ、情けないこと言う。
 自分の力でどうにかするのではなく、この最深部にゴロゴロいる『次世代のデビルキング候補』たちを味方につけようとしているのだ。
 彼女が見せようとしているのは世界破滅の悪夢。
 そんな悪夢をドウジは一蹴する。
「随分みみっちい悪事でありますな」

 えっ。

『デビルキング候補』たちは皆、ドウジの言葉に首を傾げた。
 世界の破滅である。
 それは正しくワルの所業のはずだ。
 なのに、ドウジはそれを一笑に付したのだ。どういうことだと彼等はドウジをねめつける。
 彼等の視線はマジで重圧が凄まじい。自分より強いと言われて、たしかにとうなずけるものであった。
 けれど、ドウジは特に怯むことはなかった。
「だって相手を脅したり、物を壊す。つまりはただのガキ大将の大きい版であります」
 その時『次世代のデビルキング候補』たちに電流奔る。

「あれ? つまり未来の大将倒すってすごくワルくね? だって世界のトップを倒すのでありますよ」
 ものすごい飛躍思考である。
 しかしながら、ドウジの言葉に『次世代のデビルキング候補』たちはうなずいた。確かに。たしかに。
 ここらへんでみみっち雑兵を倒したってワルとは言えない。
「え、何言ってますの? 皆さん、私を見てますが、冗談ですわよね?」
 さっきまで昭和の喧嘩かな? って土煙でボコスコやられていた『夢魔エンプーサ』は引きつった顔をしている。

「未来の王様倒す一番の悪事は自分の手に頂きであります!」
 それいけ一番乗りと言わんばかりにドウジは『夢魔エンプーサ』に襲いかかる。
 スパイダー・ランページのユーベルコードによってドウジは自分の躰を巨大化し、『夢魔エンプーサ』にクモニとを放つ。
 それはべっとり『夢魔エンプーサ』の体を絡め取り、ミノムシならぬサンドバックのように宙吊りにしてしまうのだ。
 だが、ドウジの蜘蛛の糸は無差別であった。
 だって『次世代のデビルキング候補』たちと言えど、自分の悪事、ワルの邪魔をするのならば敵である。

 一等賞を取るためには、その他大勢を蹴落とさなければならない。
「ああ、なんてワルでありますか……」
 わなわなドウジは震えていた。
 これがワル。
 これが悪事。
 彼の心は今言いようのない高揚で満たされていたかも知れない。

「えぇ……それ、そんなにワルでしょうか?」
「ワルなのであります!」
 ドウジは『夢魔エンプーサ』の言葉にあっさり答える。
 だって、とんでもないワルである。オブリビオンに与したとは言え、悪魔たちまで無差別に蜘蛛の糸で捉える必要はなかったのだ。
 けれど、今の自分は巨大化した蜘蛛童である。
 言ってしまえば、あれ、あれであります。そう、戦隊モノの怪人がクライマックスで巨大化して一矢報いようとするお約束のアレっぽいいのである。
 それがワルでなくてなんであるというのか。

「というわけで、悪魔の皆さんには手加減するでありますが、その他一切合切関係なく!」
 どっせいと振るわれる多脚の一撃が『魔界大監獄』をさらなる崩壊に導きながら『夢魔エンプーサ』の悲鳴と共に瓦礫に押しつぶすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
UC:神威発出を発動。悪のカリスマと威厳を纏って登場。

エンブーサさんを見て「世界の破滅?貴女が行うのですか?ふ~ん?」
(明らかに力量不足ですよね~という視線)

次世代のデビルキング候補さん達を見て「皆さん、格好悪くなりかけてますよ」と心を揺さぶる。
「世界の破滅のような大偉業は、このような小物に唆されて始めるものですか?違うでしょう。
邪神である私であれば、しかるべき星辰揃いし時に貴方達に神託を与える事ができます。
デビルキングを目指す者であれば、その人と私とどちらに着くか判る筈です!」とコミュ力&言いくるめ&誘惑。

寝返った皆さんと一緒にエンプーサさん攻撃。
(星辰揃いし時?そんな時は来ませんけれどね)



 世界の破滅を望むのはオブリビオンの本懐とでも言うべきものであっただろう。
 停滞した世界。
 未来に進むことなく、変わりようのない世界。
 それはすなわち世界の破滅。
 生きることも死ぬことも叶わぬ永劫の檻。
 そんな世界の破滅を願う『夢魔エンプーサ』にとって、猟兵こそが脅威そのものであった。
 しかし、それ以上にこの『魔界大監獄』にひしめく『次世代のデビルキング候補』たちは厄介であった。
 なにせ一人ひとりが猟兵と同じか、もしくはそれ以上のユーベルコード使いであるからだ。問題があるとすれば、彼等の性根が善良であるという一点に尽きた。
「くっ……此処まではうまく言っていたというのに……!」
 昭和の喧嘩みたいにボコスカ土煙が舞う『魔界大監獄』の最深部。
 もはや子供の喧嘩である。

 まあ、なんていうか、デビルキングワールドの善いところは、殺伐としていないところである。その危険性と反比例して。
 そんな最深部に神威発出(シンイハッシュツ)のオーラと共に大仰しく降臨するのは大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)であった。
「あれは……! 邪神様!」
「邪神様の降臨だー! ひゅー! かっこいいー!」
 黒のドレスを翻し、物々しい雰囲気のまま詩乃は『次世代のデビルキング候補』たちの声援に応えるように恭しく手を掲げる。

 物を言わずともはっきりとわかる。
 あれこそワル。
 ワルの権化。まさしく邪神と呼ぶに相応しい威容。
 神の威を此処に知らしめるが如く。
「世界の破滅? 貴女が行なうのですか? ふ~ん?」
 すげぇワルそう!
 詩乃の首を傾げた姿はとても底意地が悪そうであった。明らかに力量不足ですよね~という視線が『夢魔エンプーサ』に突き刺さる。
「何を言っていますの! 私が世界の破滅をもたらそうというのですよ! これこそワルでしょう!」
 その言葉に『次世代のデビルキング候補』達は確かにとうなずく。
 
 世界の破滅を願うなんて、とんでもないワルである。
 しかし、詩乃はその盛り上がりかけた彼等ののぼせ上がった頭に冷水をぶちまけるように決定的な一言を告げる。
「皆さん、格好悪くなりかけてますよ」
「な、なんだってー!?」
 マジでそうなのかはわからない。そもそも、デビルキングワールドにおけるかっこいい、クールとはすなわちワルである。
 些か他世界とは異なった価値観ではあるものの、それこそが彼等の行動基準。
 かっこいいことをするためにワルになるのではなく、ワルになるためにかっこいいことをする。
 そうすり替えてしまえば、彼等はあっさりと寝返る。

 それはこれまでの猟兵たちとの戦いでもはっきりしていたことであった。
「世界の破滅のような大偉業は、このような小物に唆されて始めるものですか? 違うでしょう」
 詩乃の言葉が最深部に響き渡る。
「邪神である私であれば、しかるべき星辰揃いし時にあなた達に信託を与えることができます」
 え、そうなの? と初耳の事実。
 無論、はったりである。ついでにいうと、そんな時が来ないようにするのが猟兵の役目でも在るのだ。
 しかし、今の詩乃は邪神になりきっている。

 深夜の神社における演技修行の賜物だ。
「デビルキングを目指す者であれば、その人と私とどちらに着くか判るはずです!」
 ががーん!
『次世代のデビルキング候補』達に衝撃が奔る。
 確かに。確かに、と彼等は次々にうなずく。
「う、裏切るのです!? この私を!?」
「だって……」
「裏切りって最高にワルって感じするしー!」
 そうなのだ。彼等は性根が善良である。だからこそ、素直に詩乃の言いくるめに説得されて寝返ってしまう。

 またもや始まるボコスカタイム。
 詩乃はワルな邪神よろしく後方邪神面をしながら『次世代のデビルキング候補』たちが『夢魔エンプーサ』をボコボコにする様を見続ける。
「あなたの失敗は、彼らを巻き込んだこと。取り入ろうとすることは悪くありませんが、彼等が転びやす性質であったことを考慮すべきでした」
 詩乃は微笑み、非常に善いワルな笑顔でボコボコにされるオブリビオンの末路を見送るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
あれ?『第九号』(推定)がライトグレーに染まったのはエンプーサのせい?

ほほう、ふーん

あ?泣かすぞコラ?(マジ威圧&ガンつけ
ワルってのはなぁ、
いたいけな少女だけは泣かしてはいけないんだよォォォ!!!

その女は私の友達の、何の罪もないチョコ肌たゆん美少女を
サーフェイサーとつや消しクリアーを取り違える悪夢で泣かせました
やっちゃいけないことにも限度があります
その限度を超えた時、ワルは正義になってしまうのです!!

おっとーデビルキング候補が正義の使徒ですかー?
いいんですかーそんなことー
何者にも従わないのがワルの道では?

というわけで私の戦いを邪魔しないでもらえると嬉しいです!
必殺、クノイチあたーっく!!



 昭和の喧嘩みたいな土煙の中から這々の体で這い出してきた『夢魔エンプーサ』はげっそりしていた。
 なにせ、一般悪魔であっても猟兵並のユーベルコード使いなのである。
 さらに『次世代のデビルキング候補』とも呼ばれた『魔界大監獄』の最深部に収監された悪魔たちはより強大な悪魔だ。
 そんな彼等がひしめく最深部は他世界を見てもトップクラスにやべー場所なのである。
 オブリビオンである彼女の彼等を味方に引き込んで一気に世界の破滅に加速せんとしていた作戦は猟兵たちにとって危険極まりない作戦であった。同時に、なんとしても防がねばならないことでもあった。

 しかし、誤算があったのだとしたら、悪魔たちの性根があくまで善良であったことだろう。
 彼等は他人を疑わない。
 頼まれたら素直に、はいって首を縦に振るのだ。
 この『魔界大監獄』に収監されながらも脱獄はスナック感覚。けれど、しばらくすると元の牢屋に戻っていたりする悪魔たちを見ていればわかる。
「こ、こんな奴らを制御するなんて無理ですわ……!」
『夢魔エンプーサ』は悟った。
 これは無理筋がすぎる。いくら強力な力を持っていると言っても、簡単に猟兵たちの口車に乗ってしまって裏切ってしまう連中を宛にできない。

 しかし、そんな彼女の前に降り立つ猟兵がいた。
 いつでもどこでもしゅたっと降り立つクノイチことサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)であった。
「あなたが『夢魔エンプーサ』ですか」
 彼女の言葉は冷ややかであった。
 なんか凄まじい威圧感が在った。見に覚えがなさすぎる。なんでそんなにキレちらかしているのかと不安になるほどのキレ具合であった。

 サージェは怒っていた。
 まあ、見ればわかるけど。しかしながら、どうしてそんなにキレ散らかしているのかというと、彼女はグリモア猟兵のしょんぼりした表情を思い出していたからだ。
 ライトグレーに染まった完成間近のプラモデル。
 台無しになってしまった特別なプラモデル。ブロークン・スペシャル・プラモデル。
 夢魔と言えば悪夢。悪夢と言えば夢魔。
 イコール、それは『夢魔エンプーサ』の仕業であると断定したのである。
「いや冤罪!?」
 本当に冤罪である。あれは彼女の不注意である。もっといえば、似たような缶のデザインが悪い。

 だが、サージェには関係なかった。
「ワルってのはなぁ、いたいけな少女だけは泣かしてはいけないんだよォォォ!!!」
 キレ散らかしている。
 美少女バーチャルキャラクターがしてはいけない表情をしている。
「まあまあ、弘法も筆の誤りってあるじゃないですかぁ」
「そうそう、怒らない怒らない」
「りらっくすりらっくす」
『次世代のデビルキング候補』たちがあまりのキレ具合になだめにかかる。しかしい、サージェの怒り心頭は収まるところを知らんのである。
「その女は私の友達の、何の罪もないチョコ肌たゆん美少女を、サーフェイサーとつや消しクリアーを取り違える悪夢で鳴かせました。やっちゃいけないことにも限度があります」

 いや、冷静に聞くとマジで冤罪だな。
 難癖にもほどがある。しかし、正義はサージェにあり。いや、正義っていうか、逆恨みっていうか。わりとワルだな。
「その限度を超えた時、ワルは正義になってしまうのです!!」
 くわっと見開いた瞳がユーベルコードに輝いている。
 その理屈はおかしいと誰もツッコめなかった。『夢魔エンプーサ』もツッコめなかった。
 ツッコんだら、何されるかわかんなかったからだ。
 しかし、基本良い子の悪魔たち。流石にこれは止めないと、と立ちふさがるが、サージェはすごくワルな顔で首をかしげる。

「おっとーデビルキング候補が正義の使徒ですかー? いいんですかーそんなことー何者にも従わないのがワルの道ではー?」
 すごいワルな迫力である。
 マジで悪役の顔をしている。ビキビキこめかみが言っているし、背景には「!?」が浮かんでいる。
 此処だけ画風が違う。

 そんな彼女のを前にモーセのごとく道が開かれる。
 あとは、そう。
「もしかして乾坤一擲(ヒッサツノイチゲキ)のクノイチアタックですか?」
「問答無用! 必殺、クノイチあたーっく!!」
 最期は雑に。
 サージェのカタールの両手同時攻撃が『夢魔エンプーサ』の拷問器具を破壊し、彼女の体を貫くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星海・冴香
せかいのはめつ、なんておそろしいたくらみ。
大した悪党ではないようですが、オブリビオンだから狩っておきますか。

夢魔、つまり悪夢を見せる悪魔
その力がもし魂にまで影響を及ぼすものなら、そこに身体から抜け出すヒントあるかもしれない
そう考えて、敢えて敵のユーベルコードを受けます。

そして結果がどうあれ、現実そっくりの悪夢で苦しめられたお返しに、悪夢そっくりの現実をみせてあげましょう。
ミステリアスオーラを一際強く放って、ユーベルコードで『ブラックナース』に変身します。
サービスシーンで裸身を隠す薄闇だったクロを『大鎌形態』に変形、怪力で操って戦います。

大丈夫、痛くない
ちょっとチクッとするだけ
すぐ終わりますよ?



「世界の破滅のために邁進してきたのに……こんな、冗談みたいな連中にやられるなんて……!」
 オブリビオン『夢魔エンプーサ』は己の胸を穿つ一撃にうめいていた。
 ここまではうまく言っていたのだ。
『魔界大監獄』に収監された『デビルキング候補』たちをそそのかし、世界の破滅という極上のワルを行なう。
 強力な悪魔たちを使役できれば、猟兵たちも恐れるに足りないものだった。
 なにせ、ここは他世界を見回してみても類を見ないほどに危険な空間であったからだ。
 ここさえ自身の牙城にできたのならば、世界の破滅など簡単にできたはずなのだ。
 だが、それは成らなかった。
 悪魔たちがそもそも善良な種族であったことが誤算。
 となれば、この世界を標的にした時点で彼女の敗北は必定であったのかもしれない。

 カツーン。
 また音が響く。それはハイヒールが床を踏み込む音であった。
「せかいのはめつ、なんておそろしいたくらみ」
 棒読みであった。
 星海・冴香(地獄配達人・f36316)はゆっくりと歩み進める。
「大した悪党ではないようですが、オブリビオンだから狩っておきますか」
 自販機が見えたから缶コーヒー買っとくか、くらいの雰囲気であった。あとなんか、妙にセクシーなのは気のせいか。
 囚人服の着こなしからして大体おかしいなって感じであったが、それに突っ込めるものはいなかった。

「やかましいのですわ!」
『夢魔エンプーサ』のはなった拷問器具が冴香を襲う。
 彼女は躱すこともできただろう。しかし、あえてその拷問器具を受けてしまう。拷問器具は夢魔の魔力を込められ、その肉体を傷つけず魂のみを攻撃するユーベルコードである。
 なんかこう、あれである。
 自主規制しておくが、こう、拷問器具が、大変にピンクな雰囲気なのは気の所為であろうか。
 悪夢を見せる。
 それが『夢魔エンプーサ』の力であるのならば、きっと彼女は己が憑依した肉体から抜け出すチャンスがあるかもしれないと考えたのだ。
 そう考えて敢えて攻撃を受けたのだが、ざんねんなことにそういうことはなかった
ただただ、こう、ピンクな感じのセクシー悪夢がクリ日ロゴ得られただけであった。

「As you wish.」
 呟く言葉と共に冴香の瞳がユーベルコードに輝く。
 ミステリアスオーラがひときわ強く放たれ、うお、まぶしっ! てなるほどの閃光の中、冴香はブラックナースに変身(コスプレ・サービス)する。
 一瞬だけサービスシーンがあったが、自主規制である。あしからずっていうやつである。
 裸身を隠す薄闇だった不定形の闇が漆黒の大鎌へと姿を変え、ブラックナースとなった冴香が『夢魔エンプーサ』に迫る。
「大丈夫、痛くない」
「それ嘘ですわよね!? 絶対刈り取る形をしているじゃあありませんの!」
 にこり。

 冴香は微笑む。
 いや、絶対痛い奴じゃんそれ!
「ちょっとチクっとするだけ。すぐに終わりますよ?」
 あなたが動かなければ、と念押しするように冴香は踏み込む。
 これまで『デビルキング候補』たちにボコスカにやられ、猟兵たちからもバンバン打ちのめされた『夢魔エンプーサ』に逃げる力はない。
 逃げようとする彼女の背中に突き立てられる漆黒の大鎌。
 その一撃は違えず、彼女の胸を穿ち、霧消させる。
「こんな、はずでは……!」
「ほら、すぐ終わりましたよ。それでは、ご機嫌よう」
 もう二度と遭うことはないでしょうけれど、と冴香はクールなワルっぷりを見せつけながら、『夢魔エンプーサ』を打倒する。

 こうしてデビルキングワールドの安寧は守られた。
 しかしながら、なぜか冴香は『次世代のデビルキング候補』たちにワッショイワッショイと胴上げされている。
 なんか、彼女のワルでセクシーな雰囲気を気に入られたようである。
 なんとも締まらない最期ではあったものの、それでも冴香はやれやれと胴上げされるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年02月20日


挿絵イラスト