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噂は広がり、やがて波となる

#UDCアース #感染型UDC

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●見ることで一人目を作り
「ふんふふーん~♪」

 UDCアースのとある都市にて。
 軽快な鼻歌を鳴らしながら、オカルトマニアの久遠 響は街を歩いては楽しそうに辺りを写真に収めていた。
 街に蔓延るオカルトをネタに、撮った写真のオカルトを解明していくというブログを経営している彼にとって、まさにこの都市は最高のネタの宝庫だ。

「うーん、今日のネタどないしよかなぁ。ええ感じのが撮れんかったから、もーちょい回らんとアカンのやけど……」

 今日もネタを探すために街を歩いていたのだが、大半を解明し尽くした上にネタがちょいちょい被っているのもあって、なかなかいい収穫がなかった。
 響にとってネタがないというのはかなりの痛手だ。いっそ自分でネタを作ってしまおうかと考えるほどだが、オカルトマニアとしての矜持がそれを許さない。
 じゃあどうしようかと悩み悩んで、人気のない路地裏をゆっくりと歩いていくと……なにかの歌が彼の耳を通り過ぎていった。

「うーさぎさーんのおててー♪」
『うーさぎさーんのおめめー♪』
「もっこもっこ ふっわふわー♪」
『もっこもっこ ふっわふわー♪』

 渋い声で歌う男の声と、若い女性の声が交互に聞こえてくるものだから、響も気になってそちらをちらりと除いてみた。

 そうして響が見てしまったのは、月のようにまんまるな大岩に乗った小さな兎がずらりと並んでいる姿と……女性の幽霊を引き連れた男の姿。
 男女が歌を歌うたびに兎が1匹、また1匹と増殖していく。スピードはそこまで早くないのか、男女の歌が完全に終わるまでは増えることはなかったのだが、それでも響には異常な光景に見えていた。

 そんな中で気配に気づいた1匹の兎が響に目をやると、同じように他の兎達も響に目を向けた。赤い、爛々と輝く瞳が一斉に響を見続ける。

「うわ、わああぁぁ!!?」

 思わず、響はその場から逃げ出した。いや、逃げ出すのが当然の光景だった。
 残酷な赤い瞳が一斉に彼を追いかけようとするものの、男がそれを止める。

「まあ待て。奴さんには、この噂を広めてもらおうじゃねェか」
『そうすることで、みんなも強くなれるし……ね?』

 クスクス、ケラケラ、2つの笑い声が路地裏に響いていく。
 残された者達は再び列を作ると、歌声に誘われ増えていった。

●聞かせることで広め
 翌朝、響の経営するブログにはある記事が載せられた。
 『怪異!? 歌で広まる兎さん!』というタイトルの記事が。

「歌で増殖する兎! 動画に収められんかったけど、逃げる瞬間に写真撮れてたっぽくてな! それも置いとくわ!」

 響はあの現場で見た光景を写真に収めたと言っているが……その写真はブレており、内容の把握までは上手くいかない。
 この情報はガセじゃないのか? 自分が作り出したデマじゃないのか? そういったコメントが多く寄せられた。……初日は。

 しかしブログの記事が載せられたその次の翌日、自分も歌で増える兎を見た! というコメントが多く寄せられた。中にはその瞬間を収めようとした者もいたようだが、動画や写真のファイルはことごとく写りが悪い。
 更には響の見ていた光景よりも速い速度で増え続けていたというコメントが多く寄せられており、響はこれはまずいことをしてしまったのではないか、と焦りを見出していた。

「……アカン、俺……もしかしたら、ヤバい事に手ぇ出したんか……?!」

 このままでは何かしらの悪いことが起きる予感がする。そう思った響は、ひとまず自分を清めてもらわねばと、カメラと荷物を持って部屋を出た。

 また同じ路地裏を通らなければ、神社へはたどり着けない。
 流石にあのときは襲いかかってこなかったが、今回はどうだろうかと不安になったが……その不安は、的中してしまった。

「――っ……!?」

 あの日見た赤い瞳が、2つ、4つ、6つ、たくさん。
 既にお前の仕事は終わったのだと言わんばかりの目が、爛々と輝いている――。

●口を封じるために殺しにかかる
「皆さんお疲れさまです。UDCアースの方で、急ぎ向かって欲しい現場があります!」

 深刻そうな顔で告げるエーミール・アーベントロート(《夕焼けに立つもう一人の殺人鬼》・f33551)は、現状がかなりヤバいということを伝えた。

 今回予知されたUDC――「ヴォルフ・E・シュトルツァー」は人々の噂を利用し、自分が呼び寄せた集団型UDC達の強化を図っているという。
 まさに現在、その噂は広がりに広がり……その噂の仕掛け人となった人物・久遠 響を殺しにかかりはじめたとのこと。

 噂の出どころでもある響はヴォルフの居所を知っている。
 彼を殺すことで真相をもみ消し、噂だけを広げることでそのエネルギーだけを貰い受けるというのが今回のUDC側の動きだそうだ。

「現在、久遠 響は集団型UDC『月の兎』によって取り囲まれ、生命の危険が迫っています。彼を殺すことになればヴォルフ・E・シュトルツァーの居場所を探ることは難しくなり、致命的な状況にしかなりません」
「ですので、今すぐ! ええ、今すぐにでも出向いていただける方は戦闘準備を行っていただきたい! 響さんは生還、それ以外の兎やなんやらは全員ぶっ飛ばす勢いで!」

 兎達に取り囲まれた危機的状況の響を守り、噂の発起人であるヴォルフを倒すことが今回の目標だとエーミールは告げる。
 響は絶対に殺されてはならない。これだけは守れ、とのこと。

「すぐに転送を行います。準備のほどはよろしいですか!?」

 彼は猟兵達に手を伸ばし、素早い転送を行う。
 ――もこもこふわふわ、兎の海の中へ。


御影イズミ
 閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
 勢いのあるシナリオ作りたいなぁ……せや! いきなり集団的に一般人取り置きしたろ!
 ということで誕生しましたのがこちらのシナリオです。響くんごめんね。

 初めての方はMSページをご確認の上、ご参加ください。

●第一章:集団戦シナリオ
 集団敵『月の兎』との戦いです。めっちゃたくさんいます。わっさぁ。
 到達場所は路地裏となります。そのためキャバリアの使用は難しく、飛翔も若干制限がかかります。
 壁と壁の距離は少しだけ広いため、壁を蹴って飛び上がることは可能です。
 月の兎は丸い浮遊岩石に乗っているため、多少動きづらそうです。

 なおこちらの章では一般人である『久遠 響』が一緒にいます。
 彼を守るプレイングがあった場合はボーナスが入ります。
 絶対に死なせないようにしてください。

●第二章:冒険シナリオ
 集団敵を乗り越えた後、響から情報を聞き出してボスの居場所を探るシナリオ。
 詳細については断章にて。

●第三章:ボス戦シナリオ
 ボス敵『ヴォルフ・E・シュトルツァー』との戦いです。
 冒険シナリオを乗り越えた先でお目見えします。
 詳細については断章にて。

 皆様の素敵なプレイング、お待ち致しております。
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第1章 集団戦 『月の兎』

POW   :    満月
【透明化】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮捕食態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    新月
自身と自身の装備、【騎乗している浮遊岩石】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
WIZ   :    朔望
【油断や庇護欲】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【仲間】から、高命中力の【装備武器による一撃】を飛ばす。

イラスト:仲原

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

言之葉・蓮
共闘アドリブ大歓迎

[結界術]で兎から響を護ろうか
「死にたかったら結界から出るといい。尤も、死んでも死なせるなと言われてるから死ぬ気で生かすけど」
熟れた毒林檎を地に放れば潰れて毒霧が噴き出る
勿論[毒使い]で味方に害無いよう操るさ
「まだ生きてるかい響。まあ死なれてると困るらしいから死んでても生きてるってことにするが」
「これに懲りたらオカルトなんて夜遊びは止めて、昼の眩しさに焦がれることだね。好奇心は猫を殺すよ。次はレンジでチンされちゃうかもなぁ」
これでいいかなエーミール。まだ兎が残ってる?それは大変だ。そこの猟兵、君のお手前を見せてくれよ。ほらほら、か弱いわたしと響がお餅みたいに潰されちゃうぞ



●こんなことがあるからオカルトはやばい
 月の兎から追いかけ回されている久遠響は必死で道という道を走った。
 逃げなければ、殺される。ただそれだけの理由だが、一般人である彼にとってはまさに生死の境をさまようものだった。
 しかし現実というのは無情なもので、例え頑張って逃げ切ったとしてもその先にはまた別の個体が控えている。体力の限界が近い響に向けて、まんまるな月から飛び降りた兎が杵を振り下ろす。
「ひっ……?!」
 その杵が響に当たろうとしたその瞬間、見えない膜のような、ガラスのような結界が杵を弾く。響を守るようにして作られた結界は杵の一撃を受けても壊れることはなく、無事に響を守っていた。
「な、え……?」
「大丈夫? ……うん、大丈夫そうだね」
 駆けつけた言之葉・蓮(言つ葉の魔女・f36265)は結界の強度を確認し、響の無事を確認する。月の兎達は現れた猟兵の存在に一瞬驚きを隠せなかったが、最優先は猟兵を倒すことだと指示を受けているようで、突然可愛らしい表情を見せつけ始めた。
「ああ、なるほどね。そういうことか……」
 蓮はちらりと響を見やる。庇護欲を与えられた響はフラフラと結界から出ようとするが、それを制してきつく出ないようにと指示を入れた。死なせないようにとグリモア猟兵から言われているため、無理矢理に結界を少し広げて彼を守り続けた。
 月の兎は油断や庇護欲の感状を与えた相手――響に向けて仲間を呼び出し、手に持っている杵を何度も振り下ろす。結界によって阻まれる一撃だが、それでも月の兎達の攻撃は止まらない。
「ならば、響。もう少し怖い目に遭っていてもらうよ」
「んえぇ!?」
 蓮は集まった月の兎達に向けて、ユーベルコード『ウィッチクラフト』で作られた毒リンゴをぶん投げる。美しいものを殺したいという願いを叶える毒リンゴではあるが、今、その願いは叶わなくてもいい。使うのは毒リンゴだけだ。
 月の兎達に向けて投げられた毒リンゴは、べちゃり、潰れた果肉が飛び散って果汁も同じように飛び散る。毒の成分が含まれた果汁はじわじわと月の兎の身体に染み込み、体内からゆっくりと蝕んでいった。

「まだ生きてるかい、響」
「い、いい、生きとるわ! 毒とか怖いやんかー!」
「大丈夫大丈夫、わたしがいる限りはキミに被害は出ないよ。これに懲りたら、オカルトなんて夜遊びはやめて昼の眩しさに焦がれることだね」
「や、オカルトは俺の生きがいやからやめんし! やめへんしー!」
「やれやれ。……さて、まだ生き残りがいるみたいだ」
 再び集まってくる月の兎達に目を向けた蓮は、もう一度毒リンゴを準備する。
 どれだけ集まってこようが、全てを打ち倒すという気概を持って彼を守り続けたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

被検体番号・四六九三(サポート)
 おいらはシロクマ!
ここに悪いやつがいるって聞いてやってきた!
とりあえず全部潰せば良いんでしょ?

おいら難しい事とかほーりつ?とかはわからんから全部倒すぞ!
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●討て、打て。話はまずそれからだ。
 走って、走って、走り続けた。逃げ続けて、どれほどの時間が経ったかはわからない。
 響は息が切れようとも、必死で逃げ続けた。あの兎の一撃を自分が食らったら、それでこそ死が待っていると分かりきっていたからだ。
 だが……ただの一般人がオブリビオンから逃げることは難しい。月の兎は響の動きを知っていたかのように先回りし、彼を囲い込んだ。
「うわっ、こっちにもおるやんけ!? って、逃げ道塞がれてもうたー!!」
 絶体絶命。もうその一言しか頭に浮かんでいない響は、振り下ろされそうになった杵から自分を守るように腕を突き出し少しでも生きながらえようとしていた。
 しかし、来るはずの衝撃は響には来ず、逆に痛手を負ったのは月の兎の方。振り下ろされた杵も一緒に吹き飛ばされた姿が響の目に映っていた。
「よーしよし、これは効くんだな。じゃあいつものように、全部なぎ倒せばいいって感じだな!」
「え、え?」
 響の前に現れた猟兵、被検体番号・四六九三(やべータイプの白き森の蛮族・f36037)はえっへん、と胸を張る。危機的状況を救いに来たヒーローのような人物は、ぐるりと周囲を見渡すと何もない場所に向かって拳を突き立てた。
 直後、ごとん、と重いものが落ちる音が聞こえる。どうやら月の兎達は姿を消して響に近づこうとしていたのだが、僅かな物音を聞き逃さなかった四六九三がそれを貫いたということらしい。
「姿を消したぐらいじゃおいらは止められないし、響は殺させないぜ。ってことで、響、ちょっと頭下げといてくれ」
「え? こう? こうでええの?」
「そう。顔上げないように注意してくれ」
 諸々の諸注意を告げた四六九三はユーベルコード『ガチキマイラ』を発動させると、腕をライオンの頭部に変化させて月の兎に思いっきり噛み付く。噛みつかれた兎は一瞬の内に生命力を奪われたかと思うと、すぐさま消滅。噂で増えたとはいえ、強靭的な生命力までは手に入れなかったようだ。
 これは有効的だと判断がついた四六九三は次々にライオンの頭部で月の兎を刈り取って、自身の生命力へと転化させる。月の兎達も必死で杵を使って四六九三に一撃を与えるのだが、それよりも生命力の回復のほうが早いせいでほとんど傷は見受けられなかった。

「とりあえず全部倒せーって言われてるし、この辺はドンドン倒していくぞ!」
 難しいことはわからないけど、倒せって言われてるものは倒す。
 それが、四六九三の信条なり。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジン・マキハラ
取り敢えず久遠響は結界に守られている様だな。なら此方も遠慮なく制圧できると言う物だ

UCを発動し大量の重火器を展開、兎の群れに掃射をかける。あらかた撃ち終わったら蒼炎を内包したナパーム弾を撃ち込んで炎を操作しつつ撃ち漏らした敵を焼き払う

「オカルト趣味は結構だがあからさまにヤバいモノを噂で広めるとは感心できないな。これに懲りたらヤバいモノを見た時は口にチャックをする事を覚えた方がいい」

人には知らなければ良い事が山ほどある。そんなモノは人知れず葬り去られる方が良いんだ



●知ったところで全て喋る必要はなし
 頭を下げて数分。響の周囲にいた月の兎はあらかた消滅していた。しかし増殖速度が凄まじい故、すべてを打ち倒せてはいない。
 ああ、俺やっぱダメなのかなぁ……そう思っていた矢先に、響より少し離れて密着していた月の兎が吹き飛ぶのが見えた。
「うぇっ!?」
 何が起こった!? そう考える間もなく、爆発は小刻みに何度も何度も繰り返されては爆風が響を包み込む。先に来た猟兵が響に結界を張っていたおかげか、爆発の影響は響にはまったくない。
 その様子に確認が取れた爆発を起こした人物――ジン・マキハラ(ブレイズ・オブ・マキナ・f36251)は響の前に立ち、無数展開させた内蔵兵器のリチャージを行った。
「どうやら、結界に守られているようだな。なら、此方も遠慮なく制圧できるというものだ」
「んえっ、何!? 何が始まるん!?」
「また頭を下げておけ。死にたくなかったらな」
 そう言うとジンはユーベルコード『終焉炎獄炎式内蔵兵装』によって呼び出されていた内蔵兵器に向けて一斉に命令を下し、周辺の月の兎を撃破。攻撃の隙を与えること無く、散り散りになっていく。
 月の兎達は透明化を捨てて殺戮捕食態へと変貌して近づこうとするものの、ジンは視認出来る・出来ないに関わらず、周囲の道という道全てに攻撃を打ち込み、月の兎を屠っていった。

 あらかた射出を終わらせると内蔵兵器は休止状態へと陥る。その合間にも残党が響に近づかないように蒼炎を内包させたナパーム弾を打ち込み道を塞ぐ。轟々と燃え盛る蒼の炎を前に、ジンはくるりと響に振り向いて注意の言葉をぶん投げた。
「オカルト趣味は結構だが、あからさまにヤバいモノを噂で広めるとは感心できないな」
「うぐっ。いや、確かに今までも色々あったけどぉ……」
 視線をジンから反らした響は、申し訳無さそうな表情を浮かべてジンに礼を述べる。今までにもこういうことがあったのかとため息を漏らしたジンだったが、今回は流石に看過出来ない。また同じ様な目に遭ってしまうのも困りものなため、強めに言い切る。
「これに懲りたら、ヤバいモノを見た時は口にチャックすることを覚えたほうがいい。人間、知らなければ良い事が山ほどあるんだからな」
「うー……そうなるとオカルトブログ成り立たへんやん……」
「そう言ってまたこういう目に遭ったら次はどうするつもりだ。そんなモノ、人知れず葬り去られる方がいいんだぞ?」
「うぐー」
 反論の出来そうにない響を背に、ジンはもう一度周囲を確認する。

 ……月の兎はまだ、残っているようだ。彼は内蔵兵器のリチャージを終えると、再び辺りを掃討して響を守り続けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミュー・ティフィア(サポート)
困ってそうですね。少しお手伝いしましょうか?

口調 (私、あなた、呼び捨て、です、ます、でしょう、でしょうか?)

基本的に誰に対しても友好的です。

時々うん、と相槌をしたり、敬語はやや崩れちゃったりします。

好きなものは紅茶です。
余裕があったら飲みたいです。

なるべくなら助けられる人は助けます。
復興のお手伝いとかは積極的に頑張っちゃいます!
現地の人達との交流やケアもしていきたいです。

もちろんオブリビオンや悪人には容赦なしです!
相手次第では手加減するかもしれないですけど。

ユーベルコードやアイテムは何でも使います。

いかなる場合でも公序良俗に反する事には関わりません。

不明点や細かい部分はお任せします。



●紅き炎の守り
 ミュー・ティフィア(絆の歌姫・f07712)は走る。急いで護らなければならない人がいるとグリモア猟兵から聞きつけて、久遠響がいる場所まで走っていた。

 彼は今もなお、月の兎から逃げ続けている。理由は――噂を広めた1人目だから。
 増殖する月の兎は噂の出どころである響を殺すことで、創造主でもある親玉オブリビオンへと近づけさせないようにしている。彼が見てしまった光景こそが最終的に事件を収束させる必要事項であることから、急ぎ殺せと命令を下されている。
 よって、刑罰執行。そう言わんばかりに杵を大きく振りかぶって、彼の頭を貫く勢いで振り下ろして……。
「――災厄の魔女より切り離されし、闇を照らす異端の篝火よ。八百万の光宿せし我との絆を以て此処に具現せよ!」
 まさに響に杵が当たろうとしたその瞬間、月の兎が燃え盛る炎に包まれる。ミューのユーベルコード『精霊召喚・紅き炎の灯り』によって呼び起こされた火の精霊ルミエルの魔力によって、響の自分を護りたいという願いを叶えるための炎の結界が発動。敵意を持つ存在を持つ炎が月の兎を焼き尽くしていた。
「は、え、え?」
 響は何が起こっているのかよくわからない。気づいたら炎が周りにあって、兎が焼けて、というよくわからない展開が起こっていたからだ。だがミューが炎の結界について説明を施すと、なんとなく理解が及んだようで。
「だから、あまりルミエルから離れないでくださいね。じゃないと……本当に死んじゃいますから!」
「わ、わかっとる! わかっとるから、ちょっとあの兎どうにかしてー!」
 月の兎達は油断させようと表情をころりと変えてミューに近づくが、すでに本性を見てしまっているため油断を突いて隙を作ることはかなわない。油断させるために無防備になった月の兎を狙いすまし、ミューは天槌・スフォルツァンドを振り下ろして一気に周辺の月の兎を倒していく。
 ルミエルも時折援護を行い、響が安全そうなときにはミューの一撃に対して炎の力を付与して衝撃波に熱を生み出す。高温の壁を前に月の兎達は毛皮を思い切り焼かれる痛みが発生して、思った以上に前に進めないようだ。

 ドンドンと削れていく月の兎の群れ。
 ミューの一撃によって減っていく数が多くなっていったからか、増殖の勢いが少しずつ減っていたのは……誰も気づくことはなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユノフェリア・ソーダライツ(サポート)
『そう、了解。
Initiating the operation.』

愛称:ユノ 
感情が希薄。
人体実験のせいで感情が一部欠落している。

口調「淡々と/女性的(私、~殿、言い捨て)」

戦闘中「ほぼ無口/男性的(自分、お前、呼び捨て、言い捨て)」

行動:頭が良すぎる為にしばしば秒単位で思考し自己完結のち色々とすっ飛ばし動く。

戦闘:銃と素早さ重視の体術とロボを使い分け戦う。
積極的かつ戦略的に行動。
致命傷や敵の罠に注意はしながらも、ある程度の危険や怪我は全く厭わない。
本人的には死なず、動ければ問題い。

他猟兵に迷惑をかける行為は不要ならしない。
あとはおまかせ。

・アドリブ連携ok
・グロ系ok/お色気NG



●秒単位の思考は時に結末が先にくる。
 僅かに数を減らした月の兎は、なおも久遠響を狙う。自分達が増え続けるためには彼を殺し、親玉を隠し通す必要があるからだ。
 だが、オブリビオンの存在はあってはならないもの。それを数秒単位の思考で結論づけたユノフェリア・ソーダライツ(アンサーヒューマンのオブリビオンマシン・f30068)が戦場へと降り立った。

「――発見」
 響を見つけたユノフェリアは彼と月の兎の間に入ると、すぐさまアサルトライフルを構えて連続射撃で全てを撃ち落としていく。ユーベルコード『アドバンテージ・アンサー』によって坂上にいることを活かし、登ってこれないように銃弾の波を作ることで的確に命中させて、確実なダメージを与えていた。
 無言で連射すること数十秒。月の兎達は前へ出ることを諦め、今度は空に浮く月型岩石を使って空へと飛び上がった。
 ユノフェリアは素早くアサルトライフルを外し、スナイパーライフルへと装備変更。相手が空にいるという事実を活かし、逃げ場のないように銃弾を打ち込み的確に月の兎の身体を貫いていった。
「だ、大丈夫なんか……?」
 響がこっそりと顔を出してユノフェリアに尋ねるが、その言葉にさえ反応を示さず淡々と敵を処理していくユノフェリア。時折響が無事かどうかの確認をしながらライフル類を打ち込み、着々と月の兎の数を減らしていった。

「……これで、よし」
 ある程度の処理を終わらせたユノフェリアは残党がいないかを確認しつつ、残党を見つけてはきちんと処理をしていく。銃弾の数も残り少ないため、残党処理は叩き込まれた戦闘術を駆使して確実に仕留めていった。
 油断させて隙を作ろうにも、感情が少々希薄なユノフェリアには通用せず、響が月の兎を目に入れる頃にはすでに油断させようとした月の兎は絶命しているためほとんど被害は出なかった。
「あとは……ボスを倒す」
 急速な思考回路は数秒で事件のあらましと解決策を導き出し、すでに子分である月の兎を倒し終えたので後は事件の発生源である親玉を倒すだけだと意気込むのだが……ここで、響から問いかけが入った。
「そのボスの場所、わかってはるん?」
「…………」
 普段から表情の変わらないユノフェリアだが、何故か今だけは、すん……と音を立てて表情が崩れたように見えたかもしれない……。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『通りゃんせ、通りゃんせ』

POW   :    とにかく歌が聞こえる方向へ、全力ダッシュだ!

SPD   :    アイテムを駆使して、歌声の主を特定してみよう!

WIZ   :    呪歌なら魔力痕跡があるはずだ、それを辿る!

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「はぇ~……助かったぁ……」

 月の兎達を退けた猟兵達を前に、響がぺしょんと座り込む。
 長い間走り続けた影響で体力が無くなっていたようで、息を整える様子も伺えた。

 何故そこまでして響が狙われたのかといえば、彼が噂を広めた第一号だから。
 それはわかるのだが……もう1つ彼には猟兵達に有効な情報を持ち合わせている。
 すなわち『歌の内容と歌っていた人物を知っている』からだ。

 それらについて尋ねてみれば、響はあっけらかんと認める。

「ああ、うん。見たな、確かに」
「えーと……そうそう、夫婦が歌ってたね。うさぎさんのおててーとか歌ってた」
「場所まではようわからんのよなぁ……。あー、確か神社を出た後に聞こえてきてたからー……」

 ぺらぺらと手帳をめくりながら、当日の巡回コースを思い出す響。
 この近辺にある緋音神社という場所を出た後、近道である路地裏を使って山へ向かおうとしたまでは覚えているのだが……どのルートを辿ったかまでは覚えていないとのことだ。

「あの辺、音が結構響いてなぁ。せやから、路地裏走ってたらわかるんちゃう?」
「あの歌はなんか惹きつけられてまうんよな……。なんかあったりするんやろか?」

 当時の響は歌に釣られて覗き込んだと言うが……そもそも一般人である彼が引き寄せられるほどの歌ともなれば、呪歌の可能性もあるだろう。

 今も歌を歌っているとなれば、きっと必ず何処かにいる。
 それを信じて猟兵達は路地裏を走り始めた。

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 プレイング受付:即時
 ※MSページに更新があるので確認をお願いします。

 親玉のオブリビオンが歌っているであろう場所を探る第二章となります。
 この章は探索となりますので、プレイング次第で確実に親玉にたどり着く形となります。

 歌は路地裏内に入るとよく聞こえてきますが、場所の特定をするには時間がかかりそうです。
 そのためプレイングが非常に重要となってきます。是非ともアイテムや技能などを駆使して親玉を見つけてください。

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カグラ・ルーラー
※アドリブ・連携等お任せ致します。

「路地裏で歌を追えと。ならこいつの出番だろ」
猫耳猫尻尾をアピール。
「冗談だよ。本命はこれだ」

「とにかく歌が聞こえる方向へ、全力ダッシュだ!(POW)」に挑戦だ。
ユーベルコード「ノラネコーション」で猫に変化して路地裏へ。

猫の持つ特性と狭い隙間に入り込む能力、
それと技能の【聞き耳】【野生の勘】【空中浮遊】【空中戦】【根性】なんかを駆使して、
歌がどこから聞こえようが、歌の主が瞬間移動しようが食らい付いてやるさ。

しかしUDCアースは快適だな。路地裏でも理屈の通る道になってる。アリスラビリンスとは大違いだ。

これであの歌もただの歌だったら平和でいいんだが、そりゃ無ェよな。



●やはり猫。猫はすべてを解決する。
「路地裏で歌を追う。なるほど」
 月の兎が退けられた後、グリモア猟兵から現状の話を聞きつけやってきたカグラ・ルーラー(バーバリス・f21754)は耳を澄ませて音を拾う。
 今はまだ微かな音しか聞こえてこない。人間の耳でも捉えられるほどの音ではあるが、近づかない限りははっきりと場所まではわからないようになっているようだ。
「となれば、うん。ここはこうだな。――猫を、恐れ敬え……!」
 ユーベルコード『ノラネコーション』の力により、肉体を猫へと変貌させたカグラ。可愛らしい赤毛の猫の耳と尻尾がぴこぴこと動く様子は、その辺りにいる猫となんら変わりない様相。これならば人間では聞き取りづらい音でも拾う事が出来るため、カグラはそのまま歌が聞こえる方向へ全力ダッシュをキメた。

「えーと、こっち? いや、こっちだな!」
 路地裏に入れば入るほど、歌う声が鮮明に聞こえてくる。だが敵もバカではないのか、入りづらいようにゴミなどを使ってバリケードを敷いており、人間ならば入りづらいと感じるだろう。……そう、人間ならば。
「よっこいしょ。いやぁ、やっぱり猫って偉大だな」
 にゅるんと入って、にゅるんと出た。猫は液体の名の通り、どんなにゴミで塞がれていようが猫に変身しているカグラには全く関係がない。顔さえ入ればあとは骨と内臓をちょっと動かして、適した形にすれば良いのだから。ユーベルコードによって狭い隙間に入る能力も手に入れているが、これは一部を猫にした時用である。
 ともあれ、野生の勘を駆使して路地裏を走り回るカグラ。歌がより一層聞こえるようになって、男性と女性が可愛らしい歌を歌っていることに気づく。夫婦が歌っていたと響が言っていた、と情報を受け取っているカグラは間違いなくその夫婦の場所まで近づいていると確信した。……はずだった。
「……ありゃ??」
 声の位置はわかったのだが、姿が見当たらない。何処行ったんだ? と首をグルグル回して辺りを見渡しても、その姿は何処にもない。
 これはいったいどういうことだ? そう考えて上を見上げると……建物の屋上から風になびく黒のコートの姿と白い髪の姿が見えた。
「なるほど、上なら歌は聞こえるけどなかなか見つからにゃい!!」
 猫の特性を活かし、カグラは壁を蹴って蹴って、蹴りまくって建物を登ったのだが……瞬間、鋭い刃物がカグラの横を通り過ぎる。

 ――敵の視線は、空高く飛び上がったカグラという猫を睨みつけていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジン・マキハラ
この手の手合で有れば恐らく呪歌の類、ならば魔力の流れがある筈だ。それを解析し、魔力の流れを辿る形で全力で駆けるまで!

視覚同調型演算装置をスキャンモードにし魔力の形跡がないか解析する。魔力の形跡を発見したらその形跡から伸びる魔力の流れを逆探知する事で場所を特定する。

如何に枝分かれした水の流れでもその水源は一つであるはず、この流れを辿って呪歌の発生源まで全力で突っ走るのみ!



●呪いの道筋を辿れ。
 響からの情報を得たジンは路地裏を走る。四方八方から聞こえてくる音は聴覚を揺らがし、位置を悟られないようにしているが……ジンには全く関係のない話。
「この手の手合であれば、おそらくは呪歌の類……ならば、魔力の流れがあるはず」
 詩の流れてくる方向を耳で感じ、反響する場所を割り出して1番魔力の流れの濃い部分を視覚同調型演算装置によるスキャンモードを使って確認し、魔力の大本となる歌を歌う者達を探し続ける。
 ……とはいえ路地裏は迷路のように曲がりくねっており、そして歌の流れはかなりの広範囲に広がり続けている。急を要する内容とはいえ、ジンは間違った情報を手に入れないように情報を精査し続けた。

 裏路地にあふれかえる歌の魔力の流れは川の流れのようなものだ。いくつもの流れが裏路地の中で枝分かれして、先へ、先へと広がり続けて街の中という海へ流れ出ようとしている。
 それでもジンは流れをしっかり読み、着実に大本へと近づいていった。時にはオブリビオンがゴミを使って作り出した壁なども立ちはだかったが、周辺を壊さない程度に破壊することでその先の道を作り出した。
「如何に枝分かれした水の流れでも、例え壁で阻んでいたとしても、その水源は1つのはずだ。……このまま、一気に突っ切らせてもらう!!」
 少しずつ魔力の流れが収束している事に気づいたジンは更にスキャンモードの範囲を広げ、広範囲に渡っての魔力の流れを視認。距離を詰めれば詰めるほど、ある雑居ビルに魔力が収束していることに気がついた。

 雑居ビルに近づいたジンは注意深く周囲を探索するが……それらしき人物は見つからない。むしろ、味方の猟兵が探索を終わらせていたおかげか、敵の居場所を探ることは安易だった。
「……なるほど、自分達は屋上にいれば見つからないと思っていたか」
 空を見上げると、風にはためく黒いロングコートの姿と、白く美しい髪の姿が屋上からチラリと見える。響の言っていた夫婦とは彼らのことなのだろう。スピーカーを使うことで自分達は屋上を動かず、なおかつ呪詛を届ける事で居場所を悟らせないようにしていたようだ。

 ――それなら、残るは決戦の場へ辿り着くのみ。
 ジンは演算装置による計算を一瞬で終わらせると、雑居ビルの壁を走って駆けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロビン・バイゼ
「困ってる、人……絶対、助ける」
UCで登場(※不可ならなし)

歌ってる、人……探す……でも、考えるのは……苦手。
ひたすら、歌が聴こえる方向に向かって……飛ぶ……目立つ? なら……走る……。
【瞬間思考力】で、走りながら考える……迷わない、ように……通った道、とか……外れの、道とか……印、つけとく……これ、なら……後から来た、人も……たぶん、分かりやすい……よね……。

※連携・アドリブ歓迎。
※基本無表情。何があっても表情変わりませんが、感情がないわけではなく。
初めてになりますが、よろしければお願いします。



●助けるのが己が役目、己の使命。
 歌によって増えたオブリビオンが、一般人である響を狙うという事件。既に集団オブリビオンの討伐は終わっているが、困っている人がいるなら助けねばなるまいとロビン・バイゼ(芸術と鮮血・f35123)は光り輝く自身の翼と共に、路地裏の入り口へと降臨した。

「困ってる、人……絶対、助ける」
 使命と決意を口にして前へ進んだロビン。しかし今回は敵を殲滅したり、誰かを守ったりする等の事柄は行わない。行うのは……歌を歌って集団オブリビオンを増やした犯人を探すこと。考えるのが苦手なロビンはどうしたら良いのだろうと首を傾げていた。
 空を見上げては地を見据え、とにかく歌を歌っている人物を特定するために聞こえる方角をてくてくと歩いた。途中で少々空を飛んだりもして様子を窺ったりもしたが、流石に敵に位置がバレてしまうのではないかと気づき、そっと地上へと降りた。
「むぅ……。目立つのなら、走るしか……」
 表情は動いていないが、困った様子のロビン。どうにかこうにか瞬間思考力を駆使し、苦手ながらも考えをまとめながら路地裏を走っていった。

 そして、路地裏を走って十数分の後にロビンは立ち止まる。
「……?? ……あっ」
 ふと、ロビンは壁を見て気づいた。――ここ、前に通った道だ。
 路地裏に流れる歌に気を取られ、ロビンは迷子になる寸前だった。幸いなのは、入ってすぐの場所で気づいたこと。見覚えのある看板が道を塞いでいたため、一度通った道をもう一度入ってしまったのだと気づくことが出来ていた。
「それなら……」
 消える塗料と巨大絵筆を準備したロビンは通り終わった道の壁にバツの印を付け、二度と立ち入ることのないようにしておく。通れなかった道、無理矢理塞がれていた道には印をつけて、自分が通れる場所だけをきっちりと進んでいった。

 やがて、ロビンはとある雑居ビルに近づく。歌は今も歌い続けられているようで、渋い声で歌う男の声と若い女性の声が聞こえていた。
 ここに敵の元締めがいる。そう考えたロビンは辺りを見渡し、今一度空を飛んで様子をうかがうことにしたのだが……一瞬だけ、キラリと光る何かがロビンの頬を掠めていった。
「……っ!?」
 ――今、隣を過ぎていったのは何か?
 それを考えるよりも前に、ロビンは太陽を背に大きく飛び上がる。

 眼下に広がるのは黒衣の男と、幽霊の女性。
 愉しそうに、楽しそうに歌う夫婦はロビンを見上げていた――。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロラン・ヒュッテンブレナー(サポート)
※絡みアドリブOK
※感情が尻尾や耳によく表れる
※人見知りだが【優しい】性格で育ちのいいお坊ちゃま
※「ぼく」「~なの」「~さん」

狼の嗅覚と聴覚(【追跡】【聞き耳】)や敏捷性(【ダッシュ】【地形の利用】)を駆使した肉体的な探索方法と
電脳空間を通してのデータ引き出し(【世界知識】【ハッキング】)による【情報収集】
たまに姉に似たAI(UC)に協力してもらうこともある

さらに魔術師としての【学習力】、狼変身しての【動物と話す】
貴族スキルの【礼儀作法】と探索スキルを活かす



●歌を追う狼、迷路を走る。
「お歌を歌ってる人を探せばいいって聞いた、けど……??」
 路地裏をてくてくと歩く子供の狼――もとい、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)はきょろきょろと辺りを見渡し、周辺の探索を行っていた。
 グリモア猟兵からこれまでの情報を聞いて駆けつけたのは良いが、その敵の居場所を探るために今回は歌を辿っていかなければならないという。

 てくてく、てくてくと小さな歩幅で辺りを駆け回ってみるロラン。そのうち、迷路に迷ってしまったと不安に駆られた彼はユーベルコード『シスター・ネットワーク』を用いて姉によく似たAIキャラを呼び出し、協力をお願いした。
「色んな所から聞こえてくるから、何処にいるのかまではよくわからないなの。おねえちゃん、手伝ってくれる?」
「オッケー、任しといて! ……それにしても、この歌……」
 AIキャラは瞬時に歌の中身が呪歌に等しいものだと判断すると、すぐさま魔力の流れにハッキングを仕掛けて解析。ロランにわかりやすいように流れに色を付け、彼が辿りやすく導いてくれた。
 オブリビオンを増やすというだけあって、その力は本物。歌っている本人たちもハッキングを仕掛けられ、魔力を解析されたと判断したのか少々魔力の質を変更してきた。
「おねえちゃん、またわからなくなってきちゃった……!」
「相手もなかなかやるみたいだね……! 次の流れを出すよ!」
 ハッキングで浮かび上がった魔力の流れを辿り、迷路のような路地裏を走り抜けていくロラン。魔力の動きが変わればAIキャラが再びハッキングを行い魔力の流れを視認化させ、ロランがきっちりとたどり着けるように1番大きな流れだけに色を付けていく。

 やがて、ロランの足が止まる。というのも、視認化されている魔力の流れがとある雑居ビルから伸びていたからだ。オブリビオンを増やした犯人はこの雑居ビルにいるのだとわかると、辺りをもう一度確認する。
 ふと、ロランの視界に黒色のコートの男性の姿と、白色の長髪を持った女性の姿が映り込む。それ以外に人らしき姿は見えず、ロランは直感的にあの2人が犯人だと特定にこぎつけることが出来た。
「あとは登るだけなの。おねえちゃん、ありがとね」
「気にしない気にしない。中、危ないかもしれないから気をつけてね?」
「うん」
 ゆっくりと、小さな狼は迷路のゴールを登っていく。
 この事件の終わりを目指すかのように、小さく、とんとんと。

成功 🔵​🔵​🔴​

シホ・エーデルワイス(サポート)
私でお役に立てるなら喜んで


人柄

物静かで儚げな雰囲気

余り自己主張せず
仲間が活躍しやすい様に支援します


心情

仲間と力を合わせる事で
どんな困難にも乗り越えられると信じています


基本行動

手伝いや救助が必要な人がいれば
身の危険を顧みず身代わりになったり庇ったり
疲労を気にせず治療します

一見自殺行為に見える事もあるかもしれませんが
誰も悲しませないよう
UCや技能を駆使して生き残る事を諦めません

またUC【贖罪】により楽には死ねません

ですが
心配させない様
苦しくても明るく振る舞います


探索
得意な技能を優先して使います
またUCも使える物があれば出し惜しみしません

戦闘

味方がいれば回復と支援に専念します
攻撃は主に聖銃二丁を使用



●牙を剥いた者
 シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は走る。ユーベルコード『【潜霊】情報の海を泳ぐ電子幽霊〔薄雪詩帆〕』を使用して情報の海を自在に移動できる幽霊を呼び寄せ、集めた情報から呪歌の魔力を感じ取って路地裏を迷うこと無く。
 既にグリモア猟兵からの情報で歌を歌っている者が路地裏の何処かに潜在していることまでは聞きつけている。あとはその居場所を割り出すだけなのだが、音が四方八方から聞こえる以上、オブリビオンを増やしている歌に含まれた魔力を辿って行くしか方法はなかった。
「けれど……これだけ複雑だと、少し迷ってしまいそうですね……!」
 この街は路地裏が広いせいか、迷路のように入り組んでいる。おかげさまで何処から歌が聞こえているのかもわからない上に、魔力の辿り方を失敗するとすぐさま行き止まりに行き着いてしまう始末。オブリビオンがゴミを利用して壁を作り上げている場所もあるようで、時折魔力の流れには全く問題がないのに壁があるなんて状況も見受けられた。
「この先は一気に突き抜けて、それから……」
 少しずつ、先に出向いた幽霊から得た路地裏の情報を更新しつつシホは走る。魔力の流れを見失わないように、自分が何処にいるのかを忘れないように。

 やがてシホはある雑居ビルに辿り着く。幽霊も同じくこの場所に敵がいると注意を促しており、アレを見て、と空を指差した。
「あれは……コート? 髪?」
 空に似つかわしくない、闇が広がったような真っ黒なコートと雲のようになびく白く長い髪。2人組の姿なのだろうか、顔までは見えなかったが雑居ビルの屋上に男女がいるということだけはわかった。
 それならあとは敵陣に乗り込み、倒すだけ。……そう思っていた矢先、シホはふと第六感がざわめいて、身体を少しだけ前へと走らせる。
「っ……!?」
 その数秒後に聞こえてきたのはちゃりん、ちりん、ちゃりんと金属とコンクリートがぶつかる音。振り向いてみれば、先程まで自分がいた場所に向けてメスがいくつか降り注いでいた。
 ああ、敵はもう自分を視認している。ここが正解なんだと、一瞬のうちに理解を広めたシホは急ぎ雑居ビルの入り口へと身体を動かし、深呼吸をして調子を整えた。

「……大丈夫です。きっと、この世界も助けられる」
 そうして決意と覚悟を決めたシホは、雑居ビルの扉に手をかけた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『ヴォルフ・E・シュトルツァー』

POW   :    じゃあ、癌は切除しなきゃな?
【医療用メス】が命中した対象に対し、高威力高命中の【医療用高圧電流】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    アンナ、助手を頼めるか?
自身が戦闘で瀕死になると【共に死んだ嫁】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
WIZ   :    俺に切除出来ねぇモノは無い!!
【怒りと憎悪】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【共に死んだ嫁の持つカバン】から、高命中力の【相手を追い続ける医療用メス】を飛ばす。

イラスト:そらみみ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠木々水・サライです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「うさぎさんのおーてて♪」
『うさぎさんのおーてて♪』

 雑居ビルの屋上で夫婦が楽しく歌っている。
 これがただの夫婦であれば、猟兵達はそのまま見過ごすことが出来ただろう。

 ……だが、その歌は近くで休んでいたオブリビオンをぴょこん、ぴょこんと簡単に増やしている呪歌そのもの。とてもじゃないが、一般人が出来るような芸当ではない。
 一般人である久遠響が目撃したという夫婦というのはこの2人のことなのだろう。夕焼け空を背に、夫婦が猟兵達に振り向いた。

「おいおい、兎ちゃんたちはどうした? まさか、倒したってのかァ?」
『増えてたはずなのに全部倒すなんて、やっぱり猟兵ってすごーい』
「ははは、確かにな。それだけは称賛に値するよ」

 ぱちぱちぱちぱちと小さく拍手を送る黒衣の男――ヴォルフ・E・シュトルツァー。
 その様子に嫁のアンナもまた、医療バッグを両腕で支えながらぱちぱちと小さな拍手を送っていた。……彼女は幽霊だからか、音は聞こえていないが。

 だが徐々にヴォルフの表情が険しくなってゆく。せっかく自分が選んだ子たちを滅ぼされ、あまつさえ邪魔に入った猟兵達は、絶対に許さないのだそうで。

「俺が選んだかっっわいい~~~兎ちゃんたちが世界を埋め尽くすのを見ていたかったのになァ……まあ、お前らには関係ねェか」
『私達を倒しに来たのでしょう? だったら……』

 ――どっちが世界の癌として切除されるのか、とても楽しみだ。


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 プレイング受付:即時
 ※MSページに更新があるので確認をお願いします。

 ボス敵『ヴォルフ・E・シュトルツァー』との戦いになります。
 彼は通常ユーベルコード以外にもメスの投擲・体術を使用してきます。
 また嫁のアンナも手出しはしてくるものの、SPD反撃以外での攻撃ではあまり強くはありません。せいぜい薬物をぶん投げてくる程度です。

 場所は雑居ビルの屋上。
 5階建てのビルの屋上が戦場となりますが、周辺ビルの屋上も同じぐらいの高さで行き来が出来るため、実質広い戦場です。
 柵を飛び越えたりするだけで簡単に隣の建物に移ることが出来、距離を取ることが可能です。

 ただし、キャバリアを使うと建物が潰れますので使用しないほうが良いでしょう。

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ロビン・バイゼ
「……あれが、元凶」
フードを被って敵を睨み
「……人、困らせるなら……許さない、よ」

考えるのは苦手とか、もう言わない
【瞬間思考力】駆使して飛んでくるメスとか、薬物とか、飛んで避ける。避けきれないなら巨大絵筆で【武器受け】必要なら隣のビルに飛び移って距離をとる
避けるだけじゃない、機を見て近付いて、【オーラ防御】しながら、巨大絵筆で【足払い】【なぎ払い】して、体勢を崩したところに消える塗料でグラフィティスプラッシュ
何言われてもされても【落ち着き】怒りと憎悪の感情は抱かない
それでもメスが飛んでくるなら【武器受け】
でも誰かに攻撃当たりそうなら【かばう】
考えるより先に体が動く
「大……丈夫……?」


※連携OK



●本番に苦手は通用しない。
「……あれが、元凶……」
 雑居ビルの屋上に佇む夫婦――ヴォルフ・E・シュトルツァーとその嫁のアンナを見据えて、ロビンはフードの奥底から目を光らせる。倒すべき敵が今、目の前にいるのだと。
 一方の2人はロビンの出方を伺っていた。狭い屋上、広大な空の下で繰り広げられる戦いはいったいどんな一撃から始まるのか、楽しみで仕方がないようだ。

 ――もう、考えるのは苦手とか言わない。
 ロビンは素早く、瞬間思考力を働かせると巨大絵筆を片手に構え、一気に距離を詰める。狭い屋上故にすぐに近づけるかと思ったが、ヴォルフは素早くメスをロビンに向けて投げると柵を蹴ってロビンの真上を飛び越して彼の後ろを取る。
 その際に投げられたメスや薬物は全て、着弾位置を計算した上で紙一重に回避。避けきれないものは巨大絵筆で振り払って、出来る限り自分への攻撃を避け続けた。
「へェ、やるな? 今までこの攻撃を避けたやつは何度も見てきたが、お前さんほど綺麗に避けたヤツは見たこともねェ」
 喉の奥で笑ったヴォルフは、更に煽り立てようと言葉を繋ぐ。回避し続けるだけで攻撃をしてこない臆病者、攻撃を与えもしない弱者と言った罵詈雑言を並べ立て、ロビンへ怒りと憎悪を与えようとしていた。
「……落ち着けば、大丈夫……」
 ヴォルフに何を言われても、ロビンは一言を聞き流して落ち着き続ける。そうすることが1番の最善策であると答えを導き出している以上は、様々な罵詈雑言が流れてきても水のように、風のように流し続けるだけ。ビルとビルの合間を縫いながら飛び、飛んでくるメスを絵筆で弾き飛ばしながら攻撃の隙を伺い続けていた。

 長らく罵詈雑言を受け続けていたロビンなのだが、ここでヴォルフの言葉が少なくなってきた。どうやらありったけの言葉を使い切ったようで、言葉が浮かばなくなったらしい。
「あー、えー……くそっ、これ以上浮かばねェんだが!?」
『あらあらあら。ヴォルフってば、意外と知ってる言葉が少ない感じ?』
「うるせェ! あの坊主が反応しねェのが悪ィんだろ!?」
「……反応したら、危ないから……」
 瞬間思考力によって導き出された道がどうやら正解だったようで、2人の言い争いの合間に巨大絵筆を2人の身体に直撃させる。
 更にロビンはユーベルコード『グラフィティスプラッシュ』による力を上乗せした上で、彼は消える塗料を思いっきり筆先に染み込ませ、大きく振り上げる。

「……これからも、人、困らせるなら……許さない、よ」
 ――黒衣と白銀の色は大きく、塗り潰された。

大成功 🔵​🔵​🔵​

火土金水・明
「夫婦揃ってでオブリビオンになるとは珍しいですね。」「知人が見たら、リア充は爆破だと言いそうですが。」「結局の所、事件の解決の為には似たような事をするんですけどね。」
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【巷に金色の雨が降るごとく】で、『ヴォルフ・E・シュトルツァー』達を【2回攻撃】します。相手の攻撃には【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に繋げることです。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●充実してるかどうかは本人達次第なんですけどね
「夫婦揃ってでオブリビオンになるとは、珍しいですね」
 雑居ビルの屋上、夕焼けを前に火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)はヴォルフ・E・シュトルツァーとその嫁のアンナを見定める。夫婦という形で蘇るのはなかなか見たことがないのか、少々珍しさで眺めていたようだ。
「……誰だ? いや、猟兵以外にいねェか」
「そうですね。……それにしても夫婦となると、知人が見たらリア充は爆破だと言いそうですが」
『なんでリア充は爆発って認識が広まったのかしらね?』
「さあ。でもまあ、私も今から似たようなことはするんですけどね」
 そう言うと明はすぐに地を蹴って距離を取りながらユーベルコード『巷に金色の雨の降るごとく』を発動させる。辺りに金色に輝く光の雨が降り注いだかと思えば、雷が上空で鳴り響く音が聞こえて来た。
 ヴォルフはいち早く、その雷がアンナに直撃することを避けるためにメスなどの貴金属が入ったバッグを取り上げ、距離を取る。直後に彼の身体には虹色の稲妻が迸り、防御も何もかもを貫いた一撃が連続で2度も叩き込まれる。
 宙に舞うヴォルフの身体。その様子を確認し、狙われないようにと自分の位置を変えようと走っていた明だったが、ヴォルフが突如カバンを投げたことに気づき、素早く身を翻す。
「俺を狙ったのは間違いだったなァ! アンナ!!」
『まかせて!』
 放り投げられたカバンの中からバラバラと降り注ぐ大量のメスと医療器具。アンナはそれらを空中で素早く手に取り、明に投げつけてきた。明はメスの飛んでくる方向を読み、雷による妨害を駆使しながら残像を用いて攻撃を避け続ける。
「残念。それは残像ですよ」
『むむ……!』
 今ここで彼女にダメージを与えるのも良いが、今回の明の動きはトドメを刺しに来たという様子ではない。アンナもそれに気づいているようだが、止まる様子はない。
「……テメェ、何を狙っている……?」
 少しだけ呼吸の荒いヴォルフの言葉。瀕死故に自分を治療する様子が伺えているが、金色の雨が降り注ぐ中で発生する虹色の稲妻の影響で思うような治療が出来ていない。
 その様子に少々安堵したのか、明は自分の目的を告げた。『次の方へ繋げるために、少しでもダメージを与えていくことだ』と。
「あなたは一筋縄ではいかない。そう、私の勘が告げていますので」
「はっ、そうかい。それなら、もう少しだけ楽しんでいってもらおうじゃねェか!」

 大きく笑った黒衣の男を背に、虹色の稲妻が鳴り響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジン・マキハラ
いかなる理由でこの事態を引き起こしたか問うつもりはない、ただ人に害を為すのであれば排除するまでだ

ビルを飛び交いながらクロックヘイズでメスを叩き落としながら距離を詰める

接近する時メスが当たるもサイボーグの身体でメスが刺さる筈もない。気にせず突っ込んでいく

そしてヴォルフとの距離が縮まったら蒼炎覇気を発動し持ち前の格闘術よる近接戦に持ち込む

いくら特殊な能力があろうとただの医者である以上格闘技の心得はないだろう、拳や蹴りを叩き込む

そして体勢が崩れた所でUCを発動しヴォルフの身体を横一文字に斬り捨てる

悪いな、色々言いたいことがあるだろうが聞く耳を持つつもりは無いのでね。このまま散ってくれ



●剣とメスならどちらが勝つか。
「痛ェ……くそ、初っ端からマジでついてねェな。次の相手は……」
 恨み言を吐き捨てるように呟くヴォルフ・E・シュトルツァー。痛みに耐えながらも鋭い視線がジンを捉えると、またか、と呟いた。
「いかなる理由でこの事態を引き起こしたのか、それを問うつもりは無い」
「あァ、そう。じゃあ帰ってくれねェ?」
「帰る? ああ、そうだな、帰ろう。――人に害を為した存在を排除してからな」
 その一言を告げると、ジンは素早く雑居ビル群の屋上を飛び交う。軽業と対空戦闘技術を組み合わせ、自分が何処から攻撃していくのかを悟られないように残像を残しながら距離を詰める。
 狙うのはヴォルフ1人。アンナの方は特に気にすることはないと判断したジンは、少しずつ、タイミングを見計らいながら間合いを詰めていった。

 流石に間合いを詰められるのはまずい。そう考えたヴォルフはいくつもの医療用メスを投げつけて、残像と本体を区別してゆく。通り抜ければ残像だという単純な思考で、けれど的確に残像を潰していく。
 おかげで残像が少しずつ削れてしまい、本体であるジンが露出してしまったが……飛んできたメスを無明剣クロックヘイズで叩き落とすことで初撃を外し、次に起こったであろう高圧電流の一撃を免れた。
「なっ、今の当たっただろうがよ!?」
「剣には当たったな。その電流、試してみるか?」
「試すわけねェだろ!! くそ、こうなりゃ近距離か!」
 メスによる攻撃を取りやめ、近づいてきたジンに向かって体術を繰り出すヴォルフ。患者を取り押さえるためにそこそこの体術を扱えるようで、構えてきた。
 ジンもまた、腕の永久機関を同調させて蒼炎覇気を発動させる。連続した格闘技による一撃でヴォルフの体勢を無理矢理に崩し、彼が立ち上がるその一瞬で今一度クロックヘイズを構えた。
「おま、何処にそれ置いてたんだよ!? 今の流れは格闘技のみでやり合う流れだったじゃねェの!?」
「悪いな、色々言いたいことがあるだろうが……聞く耳を持つつもりはないのでね」
 握りしめたクロックヘイズに、腕から溢れる蒼炎覇気が広がってゆく。ヴォルフが立ち上がる前にジンはユーベルコード『無明剣・蒼覇一閃』を発動させて、一撃を叩き込んだ。

 横一文字に切り結んだその一撃は、黒衣の身体を切断する。
 驚異の一撃はその身体の治癒力を大幅に減少させていったようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミント・キャラメル
※アドリブ・連携等お任せ致します。

「かわいいもこふわおててでも、人を潰して食べるうさぎさんは駄目ですよぉ」
だから歌は終わりにしてもらいますぅ。

「アンナ、助手を頼めるか?(SPD)」に対し「オールナイト・シンデレラ」ですぅ。

まずはシンデレラ騎士を3~4人召喚して、
一人にわたしを守らせて他の2~3人で攻撃してもらいますぅ。
これなら少し眠いけど何とか耐えられますぅ。

はわっ、アンナが強くなりましたぁ。
召喚していなかった残りの8~9人のシンデレラ騎士さん全員アンナに突撃ですぅ!
「あとはよろしくお願いしますねぇ……zzz……」
わたしを守る役目のシンデレラ騎士さんに抱えられておやすみなさいですぅ。



●姫を守る騎士と旦那を守る嫁
「かわいいもこふわおててでも、人を潰して食べちゃううさぎさんは駄目ですよぉ~」
 ミント・キャラメル(眠兎キャラメル・f25338)はユーベルコード『オールナイト・シンデレラ』によって呼び出されたシンデレラ騎士とともにふわふわと雑居ビルの屋上へ降りてくる。
 その様子に先手必勝と言わんばかりにメスを投げたヴォルフ・E・シュトルツァーだったが、既に数多の猟兵達による手傷がその命中精度を狂わせているのか、見当外れな場所へとメスは飛んでいく。
「チッ……、流石に傷が厳しいか」
『あらあら、ヴォルフってばもう瀕死?』
「何人にボコされたと思ってんだ。……アンナ、助手頼めるか?」
『ん、いいわよ~。あっちもまだ、隠し玉持ってそうだし……ね?』
「むむむ、見抜かれてるですぅ……!」
 アンナの視線がシンデレラ騎士へと向けられる。その騎士はまだ呼び出せるのだろうという、女の勘が働いているようだ。
 ミントは未だ召喚していないシンデレラ騎士を3人ほど召喚し、自分とともに降りてもらった騎士には自分を守らせ、呼び寄せた騎士らにヴォルフとアンナを叩いてもらった。
 騎士達の動きは完璧に統率の取れた軍隊の動きそのもの。おかげで、ヴォルフもアンナも慣れない軍隊相手に格闘技を繰り広げたが……やはり統率力の高いほうが打ち勝つわけで。
「くそっ、統率の取れた患者ってのは厄介ってのは身にしみてるが、こいつァ……」
『仕方ない、ヴォルフは下がってて。私がなんとかしてみるから』
「……しゃーねェ。援護は任せな」
 一言二言、夫婦のやり取りが繰り広げられる。それを眺めていたミントも、やはり女の勘が働いているのか、呼び寄せていないシンデレラ騎士を呼び出しておいた。
「はわっ……なんだか、嫌な予感っ!」
『ふふふ、その予感というのはもしかしたら……当たるのかもしれないわね!』
 一気に距離を詰めてきたアンナはメスの連続射出、近接格闘を駆使してシンデレラ騎士達の動きを押さえる。出来るだけヴォルフに攻撃を受けさせないように、自分が大いに体を張っていた。

 既に12人のシンデレラ騎士を呼び寄せているミントは起きている時間を代償に彼らを呼び出しているせいか、既に眠くなりつつあった。
「あふ……騎士さん、がんばれー、ですぅ……」
 ヴォルフとアンナ、2人を相手取るシンデレラ騎士達はミントが眠りにつくまで戦い続ける。

 姫には手出しをさせない。旦那には手出しをさせない。
 2つの想いが、雑居ビルの屋上で繰り広げられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シホ・エーデルワイス
アドリブ&連携歓迎
『詩帆』は隠れて見届け


歌で増える兎さんの怪異
黒幕は…医師の夫婦?
…お二人は兎さんが好きなのかしら?それとも…
もう生前の在り方から変質して無関係かしら?

医術の心得がある者として悲しみを感じる

真相は兎も角
敵は私を怒らせようとしてくるでしょうから
落ち着いてマイペースに礼儀作法に沿ったコミュ力でつけ入るスキを与えず
敵の攻撃は第六感と聞き耳による読心術で見切り
ダンスの様な動きで残像回避と
投擲物を聖銃の零距離射撃カウンターで弾き飛ばしつつ
弔いと浄化の祈りを籠めたデフォルメ兎さんを描く誘導弾で【星奏】


これが私なりの先達に対する敬意の表し方
どうか
一時でも狂気から解放され楽しんで逝けますように



●空に打ち上がれ、白と黒の花束よ
「黒幕は……医師の、夫婦……?」
 雑居ビルの屋上にたどり着いたシホの目に映ったのは、数多の猟兵達にいくつもの傷を与えられたヴォルフ・E・シュトルツァーの姿。その隣でヴォルフの傷を必死で癒そうとする嫁のアンナはシホの存在に気づくと、優しげな視線を向けてきた。
『なぁに? 驚いた?』
「……いえ。兎さんが増えたのは、お二人が好きだからですか?」
『そうねぇ、可愛いものが大好きなのは私達の趣味。でも、増やそうって言ったのはヴォルフの趣味。世界に沢山の兎さんが溢れたら、ええ、それはもう楽しい手術になりそうだからって』
「そう、ですか……」
 シホは言葉を交わすうちに、同じ心得を持つものとして少しだけ悲しみを感じていた。……オブリビオンとして堕ちた者は、こうまで思考が変わってしまうものなのかと。
 だが、真相はどうであれ、彼らを倒さなくてはならない。オブリビオンという存在がある限り、猟兵としての戦いは終わることはないのだから。

 先手を切ってきたのはヴォルフだった。彼は医者としての矜持、医者としての考えをシホに向け、怒りと憎悪を沸き立たせるように動く。合間合間にメスを投げてきては手術だと言い切って、シホの冷静さを欠こうとしていた。
「猟兵が存在する限り、このイタチごっこは終わらねェ。結局はどっちかが全滅するまでは、この戦いは終わりゃしねェんだよ」
「それなら、私達の戦いもそうですね。どちらかが倒れるまでは、終わりはしないのです」
「そのとおり。だから……とっとと手術を受けな、嬢ちゃん!!」
 その言葉を受け入れないように、シホは飛んでくるメスをダンスのような動きで華麗に避けながら、相手のペースに乗らないようにマイペースに立ち回る。
 メスが投げられる瞬間に第六感と聞き耳を用いて軌道を読み、目前まで迫ってきたメスは二丁の聖銃を用いて撃ち落とし、出来る限り自分の距離とヴォルフの距離を離して戦い続けた。

 そして、その時は来た。
 連続した猟兵達との戦いによって傷がほとんど癒えていないヴォルフの身体が、がくりと崩れ落ちる。それを支えようとアンナが手を貸したが、もう、彼らには立ち上がる気力は残されていない。
「クソッ……!」
『ヴォルフ!』
 彼らはもう、僅かな気力しか残されていない。それを知ったシホは2つの聖銃を構え、ユーベルコード『【星奏】聖銃二丁で奏で紡ぐ芸術的弾幕結界』を発動させる。
「――……少しでも、あなた達の苦しみと寂しさが紛れますように」
 弔いと、浄化の祈りが込められた美しい魔弾。それは彼らが呼び寄せた兎をデフォルメ化させた形を作り出すと、真っ直ぐに、2人の胸を貫く。
 背後に上がるは、白と黒の花火。彼らの死を祈るかのようなモノクロームの花束が打ち上げられた。



●そして、噂は終わりを告げる。
「――……あー……」

 雑居ビルの屋上で、横たわった黒と白の2つの身体。
 ヴォルフとアンナの打ち砕かれた身体が残されていた。

 既に彼らと縁を持つ者が何処かで因縁を断ち切ってくれたのか、その身体が戻ることは二度と無い。
 ただ、彼らは本当の死が来ることを待ち続けていた。

『……でも、楽しかった、かな』
「そーだなァ……楽しかった、な」

 小さく笑った夫婦は、手を取り合って夕焼け空を見上げる。
 噂を広めたことはとても楽しかったと、2人で笑い合って……。

 そうして、黒と白の身体は塵へと消えた。
 二度と戻ることのない、永劫の終わりが2人を包み込んだ。


 後日、オカルトサイトに残っていた目撃情報の掲載も徐々に止まり、その噂による怪奇現象は終わりを迎えることになった。
 もう、二度と現れることはない。それを知るのは、猟兵達のみ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年03月22日
宿敵 『ヴォルフ・E・シュトルツァー』 を撃破!


挿絵イラスト