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アカリのヒロアス紀行・集結編

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #猟書家 #ダークメナス #ヒーローチーム #アカリのヒロアス紀行 #“ラッパ吹きの”ステントル #セレス・ダイアリー #“神獣使い(見習い)”アニマ #『シーカーボーイ』ロバート・ノット #『マイティガール』メリンダ・マーズ

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●いくつもの文明が根付く世界
 ヒーローズアース、そこには「知られざる文明」というものがある。海洋都市、宇宙基地、地下世界……SF小説に幾度となく描かれた世界が地球のそこかしこに実在する、それが英雄の世界のもう一つの顔だ。
 だが、いくつの顔を持っていようとその体は一つ。全てはヒーローズアースなのだ。そこに根付いた文化という意味では、それらに何一つ違いはない。
 今、それが一つになる時が来たのだ。

●道は続き、やがて交わり
「ち、アトランティスの連中面倒くさいこと依頼してきやがって……」
「うーん、集合場所ってどこだっけ……てかUFOに駐禁切られるとか思わなかったし……」
「だーかーら! 行くのはあっち! あっちだってばジュニア!」
 ヒーローズアースのとある街。その街の各所で一風変わった人物たちが一つの場所を目指して歩いていた。
 一人は3メートル近いコートの大男。一人は機械の組み込まれた全身スーツを着た少女。そして一人は恐竜に跨った半裸の少年。
 彼らはアースクライシスを機にその存在を広く知られるようになった『知られざる文明』ダストブロンクス、ラグランジュポイント、センターオブジアースの出身者。その中でも外界との交流に積極的な派閥に属する者であり、彼らの居住地が同時期に猟書家の襲撃や猟兵の助けを受けたことを機とし、半ばなし崩し的に交流大使のような役目を負っていたのだ。
 残る一つの文明、アトランティスも同時期に襲撃を受けていたが、とりわけ平和かつ穏健派だったそこには荒事のできる人材がおらず、解決のほとんどを猟兵に頼り切ってしまった。代わりにふんだんにある技術力や海洋資産を元にした財力を使い、地上とのコネクションを築き地上人を協力者に仕立てることで彼らと対等な立場を保とうとしていた。
 今日はその面通しの日なのだが、何しろまともに自文明から出たことのない面々。ものの見事に全員が迷ってしまっていた。
 一方そのころ、件の協力者はというと。
「ああ参ったよもう! 何でこんな日に限って寝坊するんだ! 笑えないよ、目覚ましかけない癖が抜けないなんてさ……起こしてくれる人なんてとっくにいないのに」
 彼もまた待ち合わせ場所へ向けて全力で走っていた。元々不眠症の気があったところ最近それがやや改善、その代わり睡眠のリズムをうまく取れなくなってしまったのだ。
 そんなそろいもそろって絶賛遅刻中の面々。当然待ち合わせに指定された場所のスタッフは困惑しきりであった。
「時間は過ぎてるのに誰も来ない……ま、まさか! またバーガーショップだって気づいて貰えてない!? ちょっと変身して迎えに行ってきます!」
 困惑の理由はさておいて、ではあるが。

●そして全ては一つとなる
「皆さん、お疲れ様っす! ヒーローズアースでの依頼っす!」
 ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)のボディの一人でそのヒーローズアース出身、アカリ・ゴールドが勢いよく猟兵たちに挨拶した。
「ヒーローズアースでは1999年『ジャスティス・ウォー』ってのがあって、そこでたくさんの神が善悪問わず戦死してるんす」
 ここでの神とは種族としてのものではなく、より超常的な存在のことを言う。
「その中の一つ……というか二つに、互いの主張によって争い最終的に相打ちになった兄弟神がいるんす。片方はあらゆる垣根を超え世界は一つとする融和の神。もう片方は自他の境界をはっきりさせて自立と自律を促す境界の神」
 元々彼らは自分の持つ意味の善悪双方を司る神であった。だが、ジャスティス・ウォーという全ての二元を対立させる戦いは、この兄弟神にもそれを強いた。その果てに、兄弟はこの地に共に倒れたという。
「で、今はそこも普通に人が暮らす場所になってるんすけど、その神の力を狙って『ダークメナス』って猟書家が攻めてくるんす」
 本人も邪神であり、戦死した神の欠片を集め文字通りの神をも超える存在……即ち『スナーク』を作り出さんとする猟書家だという。
「ダークメナスは既に境界の神の方の力を自分で入手しており、部下に融和の神の力を集めさせてるんす。ただ、融和の神の力はそれより先に偶然現地にいる五人のヒーローに宿っちゃったんすね。五人はそれぞれ知られざる文明四つと、地上世界の力を持ってるっす」
 アースクライシスが終わっても平穏が訪れない今、ヒーローズアースは一丸となるべき時。それが亡き神の遺志によるものかは分からないが。
「五人は同じ場所を目指して移動中なんすけど、そこに『強化人間『マギニア』』っていう猟書家の配下が追ってくるっす。配下たちはヒーローを殺して力を奪うつもりなんで、何とか守りながら集合場所までヒーローを連れてってあげて欲しいっす」
 道がよく分からない者も地図は持っているし、一人は他を探しに街中に出ている状態だという。落ち着いて道を確認する余裕を作るか、何ならいっそ強引に集合場所へ連れて行ってしまってもいい。
「で、集合場所で合流ができたらダークメナスが襲ってくるっす。こいつは自分の能力の他、境界の神を召喚して攻撃してくるっす。けどヒーローたちが揃ってればこっちは融和の神の力を出して抑え込んでくれるっす。ま、平たく言えばヒーローたちと共闘すればいいってことっすね」
 猟兵同士はもちろん当のヒーローたちや装備として登録されている様々な生物、機械、果ては各種召喚、使役系ユーベルコードなど、とにかく自分以外の力に頼る全ての力に兄弟神は影響を及ぼすという。
「なんか、骸の月が偉い騒がしくなって猟書家も凄く焦ってる感じがするっす。大きな決戦の予感もしますし、それに備える意味でもどうかヒーローズアースを一つにしてくださいっす。それでは、よろしくお願いしますっす」
 アカリはそう言って、暗雲垂れこめ始めたヒーローズアースへ猟兵を送り出すのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。まさか骸の月の仕様があんな風に変わるとは。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス(全章共通)……ヒーローチームと共に戦う、もしくは猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗る(敵がスナークの名の元に恐怖を集める企みを妨害します)』

 ヒーローチームは今日が初対面ですが、ある程度話は通っており全員猟兵とは面識があるので簡単な説明で指示に従ってくれます。

 第一章では集合場所である『マイティバーガーイーストアベニュー店』へ向かうヒーローたちを護衛、案内しつつ『強化人間『マギニア』』を撃退していただきます。ヒーローたちは全員それなりに戦えるので協力してくれます。どのヒーローを選ぶかはご自由に。お任せもOK。

 第二章では猟書家『ダークメナス』との戦闘です。ヒーローたちをうまく共闘することで『融和の神』の力が増し、様々な『他者との連携』の力が共闘します。こちらもどのヒーローと協力するかは自由。複数も可。一方で敵も『境界の神』を召喚し自身が同種で同胞と認める者(含む自分)のみの力を強化しています。お気を付けを。

 以下、ヒーローたちの能力と出身。

 “ラッパ吹きの”ステントル バイオモンスターのミュータントヒーロー×白燐蟲使い(20歳、男) ダストブロンクス。
 セレス・ダイアリー 強化人間のアームドヒーロー×電脳魔術士(14歳、女) ラグランジュポイント。
 “神獣使い(見習い)”アニマ 神のスピリットヒーロー×ビーストマスター(外見10歳、男) センターオブジアース。
 『シーカーボーイ』ロバート・ノット 人間のダークヒーロー×サバイバルガンナー(16歳、男) アトランティス(出身ではなく装備を送られた)。
 『マイティガール』メリンダ・マーズ 人間のスーパーヒーロー×パーラーメイド(19歳、女) 地上。

 各人の登場作については称号込みのキャラ名でタグ検索してください。

 注意点としまして、今回はサポート優先では『ありません』が、2月17日16時までの完結を目指しますので、状況によってはサポート活用、文字数少な目になる可能性があります。ご了承くださいませ。

 それでは、世界を一つにするプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『強化人間『マギニア』』

POW   :    コード・ブラスト
【周囲の空気を自身の周囲に収束する】事で【暴風操縦モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    コード・エゴ
自身の【微かに残っていた自我】を代償に、【自身に掛かる数十倍の重力】を籠めた一撃を放つ。自分にとって微かに残っていた自我を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
WIZ   :    コード・グロウ
自身からレベルm半径内の無機物を【太陽光】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:Nekoma

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 街の各所、同じ場所を目指して移動する四人と、彼らを探してあちこち動き回る一人。その前に、その道を阻む者が現れた。
「回収対象『融和の神』20%発見。因子回収を最優先。回収法は保持者殺害を提案……承認されました」
 張り付いたような笑顔を崩さず言うその相手に、囲まれた者たちはそれぞれの反応を返す。
「こんなガキがカツアゲか? 聞いてたよりずいぶん物騒だな地上ってのは」
「うわー……これひっどいね。こんなイジりかたしてたらあと一年も生きられないよこの子たち。どこの宇宙人がやったんだか」
「え? 何言ってんの? ……ジュニアが唸ってる、危険なんだね、ジュニア」
「参ったな、一応僕はヒーローなのに……弱い自覚はあるけどさ」
「どうしたのかな? 迷子さん? え、まさか……オブリビオン……なの?」
 一部の者たちが察している通り、少女達は『強化人間『マギニア』』。とあるヒーローのクローンに改悪強化したユーベルコードを埋め込み、理性と寿命を代償に強力な力を得た強化兵たちだ。
 彼女たちの目的は知らぬ間にヒーローたちに宿った『融和の神』の力。それを回収し猟書家へと届けること。その為なら自身の命も顧みない使い捨ての兵だ。
 ヒーローたちも決して弱くない。だが、半ば生きる機械と化し自分を捨て去ったものとの死闘などの経験はそう何度もあるまい。そしてもし彼女たちを首尾よく駆逐できたとしても、今度は猟書家が一人ずつを狙い動き出すだろう。そうなれば今度こそ彼らに対抗する術はない。
 猟兵よ、命と未来なき追手たちを食い止め、今はまだ分かれて動くヒーローたちを本来の集まるべき場所に集めるのだ!
死絡・送
ヒーローチームと共に協力して戦います。
「初見の方もお久しぶりの方もどうも宜しく、ノーブルバットです」
詳しい事は動画チャンネルでと挨拶と説明をして索敵と情報収集で周囲を警戒しながらヒーロー達を護衛しつつ移動。戦闘になればジガンソーレを召喚
し搭乗して戦う。
組むヒーローはお任せ。
●コード・グロウには「太陽光と言ったな、それはこっちの燃料だ」
と言ってエネルギー充填と生命吸収で吸収を目論みます。
装備した武器を使い分けて
オーラ防御とかばうでバリヤーを展開し街や仲間を守ります。
最後は光子魚雷一万発発射!!を使います。



 街中を彷徨う五人のヒーローたち。彼らを取り囲むように現れた多数の少女達。これがただ事でないというのは当人たち、そして周囲の一般市民にも一目でわかることだ。
 俄かに騒然となる街中。そこにさらに注目を集める巨体が現れた。
「初見の方もお久しぶりの方もどうも宜しく、ノーブルバットです」
 少女とヒーローの間を遮るように現れたスーパーロボット。その中から死絡・送(ノーブルバット・f00528)は自らのヒーローネームを名乗った。
 その名を聞き、その場にいたヒーロー……『マイティガール』、本名メリンダ・マーズが歓声を上げる。
「ノーブルバット! いらっしゃいませ! ノーブルバーガー、人気ですよ!」
 その言葉通り、送は以前彼女の務めるバーガーチェーンで新商品開発のアイデア出し、さらにはその後来襲したオブリビオン撃退に力を貸したことがあった。
「詳しい事は動画チャンネルで」
「はい、後で見ておきます! で、やっぱりこの子たちはオブリビオンなんですか!?」
 突然囲まれてからの物騒な言葉。ヒーローであればヴィランに狙われることは決してありえないことではないが、平和な地域のローカルヒーローである自分がそこまでの恨みを買うとは思えない。
「詳しいことは後で伝えるが、会う予定のヒーロー全員がこいつに襲われている。今はとにかく店に戻ろう」
 なぜ彼女が狙われるか、その理由は猟兵側には分かっているがとにかく今は時間がない。土地勘のある彼女はともかく、他のヒーローが唯一目指せる場所であるマイティバーガー店舗を集合場所とし、そこへ全員を護衛するのが当座の目的だ。
 そこを目指し彼女について移動を始めようとするが、当然そうすれば襲撃者、『強化人間『マギニア』』達も追ってくる。もちろんそれは猟兵側も分かっていたことだ。
「妨害行為を確認。猟兵と推定されます。命令優先順位変更なし、因子保持者殺害を優先します。【コード・ブラスト】起動」
 マギニアは周囲の空気を自身の周囲に収束し、自身のスピードと破壊力にその力を上乗せした。その追撃を、送は機体を張って受け止める。
「コード・グロウとやらが来てくれれば楽だったが……読み違えたか」
 太陽光を操作するコード・グロウによる攻撃なら、直接の破壊力がない故に一打での致命傷にはならず、あまつ自分のエネルギーとして吸収することもできたであろう。だが、実際に敵が選択したのは寿命と引き換えのパワー強化であるコード・ブラストだ。恐らく力を重視するユーベルコードを送自身がセットしていた故、敵もそれに対応した能力を用いてきたということだろう。オブリビオンは猟兵の能力を察しそれに対応した攻撃を用いる、それは敵の強弱や種類に関係ない基本であった。
 マギニア達はその小さな体、細い腕に暴風を纏い、弾丸のようになって次々とぶつかってくる。当て込んでいたエネルギー吸収がなく、さらに敵が命を削り強化されているとあって敵集団に押されがちとなるジガンソーレ。だが、ここで倒れてしまっては後方の、そして他の場所にいるはずのヒーローたちが危ない。
 機体が壊れる前に、考えていた策を実行するのみ。周辺に最低限守れるだけのオーラを張って敵が零れていくのを防ぎ、後はこの目の前に全てをぶつける。
 冷気とビームを交互に放って温度差で敵を鈍らせ、必殺のロケットパンチで叩き潰す。防御を捨てて攻撃に振り切っている敵は簡単につぶれていくが、一方で隙あらば抜けてヒーローの方へ行って目的を果たそうとする。最初の一手をしくじってしまったこともあり、長期戦は危険だ。
「全てを光に変えて消す!!光子魚雷、射て~~~~~~~っ!!」
 ならばその力を見よ。送は群がるマギニア達に、【光子魚雷一万発発射!!】を放った。光の渦がマギニア達を飲み込み、その小さな体を消し飛ばしていく。
「すごい、流石です!」
 メリンダが歓声を上げるが、送の声はまだ固い。
「こいつらはただの尖兵だ。本当の危険は残っている。店に急ぐぞ!」
 そう言って彼女を機体に捕まらせ、送は自身も場所を知るマイティバーガーイーストアベニュー店へ急ぐのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

春原・冬馬
「どいてろ、ヒーローってやつを見せてやる。招雷、アラストル!」
戦闘は変身状態で(姿はMoi絵師のイェーガーカードを参考に)
ヒーローとはいかなるものかという先輩面をさせてもらおうか

SPD対応
力はすごそうだが動きがメカではな
「落ち着き」をもって「フェイント」や「不意打ち」をかましてやればなんとでもなりそうだな
「カウンター」や「受け流し」で対応しても良さそうだ
相手の攻撃をよけつつブレードや拳で対処すればいいな
派手な動きをしてくるなら糸を飛ばして「体勢を崩せ」ばいいだろう
自我が少しでもあるなら「恐怖を与えて」やればひるむだろうしな
トドメはUCでまとめて焼き払おう
倒しきれずとも痛手にはなるしな



 一か所でマギニア達と猟兵の戦いが始まるのと時を同じくして、各所でも同じように猟兵たちがヒーローの救援に入っていた。
 ラグランジュポイント出身、アームドヒーローのセレス・ダイアリーの前に現れたのは細身の若い男。
「どいてろ、ヒーローってやつを見せてやる。招雷、アラストル!」
 叫ぶと同時に雷が彼の体を包み、その身から黒き鋼が溢れ出した。それは瞬く間に彼の体を覆い、虫の意匠を持つ黒いスーツへと変化する。
「ヒーローとはいかなるものかという先輩面をさせてもらおうか」
 堂々と敵前に見栄を切るその男。春原・冬馬(自称親愛なる隣人・f35277)はパラサイトスケイル『アラストル』を纏い、土蜘蛛のヒーローとしてここに搭乗した。
「わー、出た! 地上のヒーロー! 生で見たかったんだよね!」
 そのいかにもヒーロー然とした登場に、元々地上への憧れがあったセレスは大興奮だ。そしてその堂々たる登場は、マギニアにも明確に妨害者の登場を認識させた。
「障害発生。【コード・エゴ】にて対応します」
 変わらない笑顔のまま、マギニア達は己の理性を消し去り自分にかかる重力を測定した。もちろん考えるまでもなく、地上で負荷を負っていない彼女たちにかかる重力は1G。だがその両手には万物を吸い寄せ、あるいは抑え込むほどの重力が纏われ始めた。
 それを強烈なハードパンチとして冬馬に繰り出すマギニア。冬馬はそれを大きめに動いて躱し、地面を抉るその一撃を観察する。
「力はすごそうだが動きがメカではな」
 数十倍の重力を纏ったその一撃の破壊力はすさまじい。だが、とっさの判断や機転が利くようには思えないし、目的遂行に向けて余りに真っすぐすぎる。
 それを見越し、冬馬は落ち着いて冷静に相手の動きを見極め自分の立ち位置を調整していく。立っている場所に来るならあえて誘導したい場所に身を置いて躱し、さらには攻めると見せて引き、攻め勇んだところを不意を撃って攻撃する。
 だが、マギニアも敵が強いと見てか、さらに自分の自我を消していきその身にかかる力を強めていく。次の一撃は下手をすれば周囲を纏めて崩壊させかねない。
 その一撃を放たんと大きくマギニアが踏み込んだ。その瞬間、手のひらから『ステルスシルク』を放ちその足を絡めとって体勢を崩させた。
 重力を武器にするマギニアはそれを自分の身に受け、巻き込まれ潰れていく。それを踏み越え繰る者には握った剛拳と、高周波ブレードによる相手の重力部を外した鋭いカウンターを決める。そこからさらに体を滑らせる受け流しで敵の攻撃に巻き込まれないよう対応を重ね、マギニア達に優位を見せつける冬馬。
「少しくらい自我が残っているなら恐怖を感じてもくれるかと思ったが……」
 残りわずかな自我を犠牲にするコード・エゴ。その燃料となる自我の方に働きかけてみようとするが、どうやらもうマギニア達は味方や自分の死にも微塵も恐怖を覚えているようには見えない。文字通りに、怖いものなどない機械のような存在と成り果てたのだろう。
 なれば、最後に手向けるのはこれしかない。
 スーツの胸部中央、蜘蛛を模した部分のその頭部にあるコアに粒子が収束していく。
「こいつで塵に還れ! メガ・スマッシャー!」
 超高出力の粒子砲が、マギニアの一団を飲み込んだ。マギニア達はそのままそこに倒れていき、全身の機械と生体双方の機能を低下させ倒れていく。
「すごい! さすが本場ヒーロー!」
「倒しきれずとも痛手にはなるしな。それに……こいつらを全滅させるのが目的じゃない」
 またも歓声を上げるセレスの方に冬馬は向き直る。
「地図を出せ。そこに行くぞ。移動手段はあるか?」
 まず最初にすべきは集合場所にヒーローたちを集結させること。他のヒーローは別の猟兵が上手くやっていると信じ、冬馬は彼女の案内に努めることにする。
「え? あ、あるけど……あんま評判良くないよ? いいの?」
「いいから早くしろ。この位置なら……あっちが近い」
 冬馬が地図を見て大まかな方向を指すと、セレスは大きなドローンを取り出しそれを浮かせた。
「分かった! ウィングパック換装! 方向転換は適宜指示出しよろしく!」
 そのまま高機動スラスターをドローンに取り付け、それに捕まって高速ですっ飛んでいくセレス。
 だがこの程度のスピードについていけずして何が先達か。それを見せつけるかのように冬馬はアラストルの脚力をフル稼働、平然と彼女に並走し高速での誘導をつけていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
SPD

守護霊の【ドーピング】で戦闘力増強。
マギニア達が自我を失う前に
『無情なる刻』で23.8秒の時を止め
ドレインフィールド【結界術・生命力吸収・範囲攻撃】で救済

吸収した彼女達の魂に残る記憶と微かな自我を頼りに
【学習力・ハッキング】で元の人格を修復し【召喚術】で蘇生

クローンだからって使い捨てにして良い訳が無いわ。
私は貴女達を救う為に来たの。力を貸して頂戴

【念動力・重量攻撃】で自我を失わずに重力操作を再現。
単体の力は落ちても【気合い・鼓舞・集団戦術】で補いつつ
敵マギニア達の動きを封じて先程と同様に救済し
優しい抱擁から【慰め】

今日から貴女達は私の大切な家族よ。
使い捨ての兵なんかじゃないわ



 マギニア達は自分の意思をほとんど持たない。命令を理解し、遂行するその知能さえあれば良い使い捨てのクローン兵だからだ。当然、命令のためならば相手が子どもだろうと容赦することはない。
「騎手の方が因子保持者です。騎獣の生死は不問ですが排除した方が任務が円滑に進む可能性が高いと見られます」
 年齢にあまり意味は持たない種族なれど、外見、そして実年齢も恐らくは相応であろうセンターオブジアース出身の神“神獣使い(見習い)”アニマを平然と殺害しようとするマギニア達。
 アニマの方とて殺されかけるのはこれが初めてではない。だが、相手にも己なりの誇りと信念があった前回とは違い、今度の相手はまさに機械的に相手を殺そうとする意思なき集団。獣の捕食とも戦士の戦いとも違う、己を個として見られない冷たい無視は生命の炎滾る世界で生まれ育った彼には無縁だったもの。
 なれどその意思なき体、使い捨ての命を求める者もまたいる。ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)はマギニアとアニマの間に割って入るように現れた。
 アニマもまた彼女の姿には見覚えがあった。子どもの短い人生、狭い世界の中で最も強く、頼れると信じる存在である両親が深々と謝意を表した相手。その相手が自分を守るような位置にいることと、自身の相棒が危険を知らせたことで彼はこの場で取るべき行動を理解する。
「ありがとう……でも、気を付けて! ジュニアが言ってる、その人達、普通の生き物じゃない!」
 大いなる野生と共にある生物だからわかる、生命を冒涜する技術の塊。マギニアがそうであると告げ、アニマは自身の操る獣脚竜『ポチジュニア』を転回させる。普段は舐めているようで肝心な時には忠実な相棒であるその恐竜は、主を乗せたまま一直線に指示されていた方向へと駆け出した。
 マギニア達はドゥルールを無視しそれを追おうとするが、その前に自身に守護霊を宿したドゥルールが立ちはだかる。
「妨害を確認。コード・エゴ……」
「未来さえ、私には追いつけない」
 マギニア達が何かをする前に、ドゥルールは【無情なる刻】を発動した。とにかく相手のユーベルコードより先に動くこと、彼女にとってはそれが何よりも肝心であった。幸いにしてマギニアは無茶な強化をされているとはいえ集団型であるし、あくまで目的はアニマの持つ神の力であるが故、ドゥルールへの注目度は低かった。
 そうして得られた時間は、しかしそれでも23.8秒だけ。そこで行うのは、『ドレインフィールド』と名付けた吸収結界による、可能な限りマギニア全員からの力の吸収であった。
 そしてその僅かな時間が過ぎる。
「……起動。殲滅します」
 何事もなかったかのように、残る自我を捨てマギニアたちが動き出した。その前に、ドゥルールは今吸収したばかりの力を放出する。
「クローンだからって使い捨てにして良い訳が無いわ。私は貴女達を救う為に来たの。力を貸して頂戴」
 吸収したものを核に、自分の中で練り上げたマギニアを召喚する。その表情は真剣なもので、感情の籠らぬ笑顔を張り付けた敵マギニアとは対照的。少したどたどしくも真剣に任務に臨む様は、クローンの元となった本来の人格が甦ったものか。
 あくまで力の欠片から作ったものゆえコード・エゴを発動した本物には劣る。それを自らの力を添え、念動力で重量をかける、理性が残っていることを利用し集団戦術を指揮しその心を震わせるなど、相手にはできない戦法を取らせることで補った。
 真っ向からの潰し合いになればどうしても不完全なこちらが不利。故に拘束に留めさせ、最後の一手は自らが行う。
「今日から貴女達は私の大切な家族よ。使い捨ての兵なんかじゃないわ」
 拘束させた敵のマギニアを、ドゥルールは自らの胸に抱き寄せ優しく最後の力を吸い上げた。意思を失い残った力を先に吸収したものと合わせれば、元のマギニアが出来上がる。
 ドゥルールはそれからも『本当の』彼女たちを呼び戻すかのように、一人ずつマギニアを抱き寄せて先に吸収した欠片と己の中で一つにしていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雁野・リジ(サポート)
「オレが盗んでいいの?それとも盗まれたいの?何をくれる?」
貼り付けたような笑顔を浮かべている女性。
怪盗であると言うが怪盗が何かは分かっていない。

人間の姿をとる狸。人間には人間の、狸には狸の、オブリビオンにはオブリビオンの生活があるし考え方も違う。ということを知っている。
合わせられることは合わしていきたいけれど、
世界が滅ぼされると困っちゃうので、普通に戦う。



 マギニアにとって相手の強弱はさして関係ない。目標を回収し持ち帰る最後の一人が生き残ればそれでいいし、相手が弱いから手を抜こうなどという怠け心とも無縁である。
「敵戦力、脅威度低。迅速に回収した後他部隊の支援に回ります」
 相手が弱いと分かればそれを速やかに片づけ、苦戦の予想される他の場所へ当たる。その一切気遣いも何もない機械的な勤勉さは、時にどんな暴言より言われた方の心に刺さるものだ。
「言ってくれるね。これでも一応気にしてるんだよ? まあ、だからこそこういうのを送られたんだろうけど」
 言われた若い男が手で弄ぶのはやや大型の拳銃。だがそこに込められているのは弾丸ではなく小さな矢のようなもの。グリップ部分にはいくつものダイヤルやボタンがついており、その矢に様々なエネルギーを伝えられる特殊な銃だ。アトランティスでパフォーマンスを兼ねた漁に使われているものを、より殺傷力を高め戦闘用に作り直したものだと聞いている。
 彼の名はロバート・ノット。『シーカーボーイ』のヒーローネームを持つダークヒーローだ。元ヴィランであった彼は犯罪者側の視点から犯罪を読み解くことに長けた、後方支援型のヒーローである。頭脳派と言えば聞こえは良いが、実の所直接の交戦はほとんど経験がない故後ろに回らざるを得ないだけである。
 そんな彼を囲むマギニアの表情は、何があっても動かない張り付いた笑顔。その彼女たちと相対するように、同じように張り付けたような笑顔の女性が現れた。
「オレが盗んでいいの? それとも盗まれたいの? 何をくれる?」
 冗談か本気かもわからない調子で言う雁野・リジ(たぬき・f34917)。
「対象の言動、本気とは取れません。神の力を狙う盗賊ではないと考えられます」
「盗賊じゃないよ怪盗だよ。……怪盗ってなに?」
 やはりどこまで本気か分からない調子でいるリジに、ロバートは頭を軽く押さえながら答えた。
「さあね……とりあえず、育ての親に吹き込まれてヒーローの家に押し入るような奴じゃないと思うよ」
 自身の消せない過去をしょうもない切り返しに使える、それは彼がそれなりに過去と折り合いをつけられた証左か。だがリジもマギニアも彼の過去など知らない。ただ、己の成すべきを成すのみだ。
「対象は言を弄することに長けていると予測。意図を推測することは無意味です。コード・エゴでの掃討が適当と判断します」
 舌戦は無用と己の自我を消し、破壊するための機械となるマギニアたち。一心不乱に重力を纏い攻めかかるその動きを、リジは躱しながら思う。
「人間には人間の、狸には狸の、オブリビオンにはオブリビオンの生活があるし考え方も違う。これが彼女たちが選んだ道なら、それでいいんじゃないかな」
 人が選んだ道をとやかく言う権利は誰にもない。だが、それと同時にもう一つ。
「でも世界が滅ぼされると困っちゃうので、普通に戦うよ」
 彼女たちは猟書家の配下。そしてその上にいるのは、近く出現が予想されるオウガ・フォーミュラ。さすがに世界の一大事は看過できぬと、彼女たちを止めることをリジは決めた。
「いらないかもしれないけど、一応言っておくよ。彼女たちはまるで機械だ。だから、驚いたり迷ったりはしないだろう。けど一方で、意味のない理不尽な動きにはついてこれないんじゃないかな」
 ロバートが文字通りに機械的なマギニアの動きに言う。それを聞き、リジも取るならこれと一つの力を使用した。
「まずはこれ。さあ、どう出るかな?」
 リジはこれぞ化け狸とばかりに、提灯お化けに変じて舌を出す。それにマギニアは驚きこそしないが、相手の手に対応するため大きな目と舌を冷徹に狙い、武器を潰そうとしてきた。
「ああ、なるほど、たしかに、つまらないかもね」
 その動きに、彼女たちはそもそも自分の生活自体がないのかもしれないと少しの憐みを覚え、巨大狸に姿を変えるリジ。驚かせ力から破壊力に変わった変化の力は、不用意に飛び込んできたマギニアを容易に叩き潰した。
「ところでお兄さん、変身はもう一つあるんだけど、見たい?」
「……移動に役立つならお願いするよ」
「お任せを」
 丁度いいとばかりに【トリプルどろんチェンジ】最後の一つである一反木綿に変じ、ロバートを乗せて飛んでいくリジ。その眼下で潰れ消えていくマギニアに何を彼女が思うのか、それはロバートにも計り知ることは出来なかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
縁は異なもの、ですねぇ。
参りましょう。
護衛先は『担当不在・不足の方』で。

私は全員面識が有りますので、『スナーク所属』と共に名乗れば協力は可能でしょう。
合流次第【炳輦】を発動、『防護結界』を展開し護衛対象を保護、共に飛行して合流地点へ向かいますねぇ。
妨害者が『速度』を強化しても、結界に『FMS』のバリアを重ねた防護に『高速飛行』&『瞬間移動』による回避も加えればまず捉えられませんし、『戦場全体』を覆う『時空切断の嵐』で間断なく包囲し『回避場所が無い』状態にすれば『反応』への対応も可能ですぅ。

『目立つ様に飛ぶ』ことで他の方々の目印になったり、途中で更に拾えれば最良ですねぇ。



 今、集結を目指して移動しているヒーローたちは誰一人互いに面識はない。だが、猟兵の中に一人だけその中の全員を知る者がいた。
「縁は異なもの、ですねぇ。参りましょう」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は彼らがそれぞれ一度ずつ、各々の故郷で巻き込まれた事件全てに参加し全員と顔を繋いだことがあった。
 それ故に、彼女が顔を見せればそれだけで事の大きさも相手は理解してくれることだろう。それ故に向かうのは、担当がいない、あるいは不足している場所としてあえて出発を後らせていた。その彼女が向かった先では。
「こっちは急いでんだ。消えな」
「対象に交戦の意思あり。コード・ブラストにて速攻撃破を試みます」
 各文明の中で最も治安が悪く、また荒事慣れしている者の多いダストブロンクス。そこの出身である“ラッパ吹きの”ステントルが故郷の慣例に従い売られた喧嘩を買おうとしている、まさにその時であった。
 その巨体の前に別方向に巨大な体を出し、自身の存在を彼に見せるるこる。
「お久しぶりです。スナークの猟兵としてお迎えに来た……と言えば伝わりますでしょうか?」
「あんたのツラだけ見りゃ大体わかるよ。つまりあのガキ共も、そうってことだろ」
 一度助けられたことのある彼は、やはりというかるこるの登場にこれがただの恐喝や強盗でないことを一目で察した。だが、それでも本当にどうすべきかまではまだ彼も理解しているまい。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて典礼を捧げましょう」
 【豊乳女神の加護・炳輦】で飛行と運搬能力を得たるこる。それでまず行うのは、ステントル自身を運搬し目的地へ飛んでいくことであった。
「お、おい! どこ連れてく気だ!」
「元々の目的地です。そこに行けば全て……」
 るこるの説明を、強烈な衝撃が遮った。大都会でないとはいえ、ここはそこそこの大きさの街。そこら中にある建造物を足場に、コード・ブラストで移動力を強化したマギニア達が飛んで追いついてきたのだ。
 そのままスピードを乗せた打撃で防御結界を破壊しようとする彼女たちの前に、バリア『FMS』を展開してさらに防御を固める。
 さらに寿命が削れるのも構わず攻撃を繰り出してくれば瞬間移動も混ぜて少しでも攻撃を外し、後方に斬撃の嵐を振りまいてさらなる追撃も妨害していくるこる。
「あのガキども、殺っちまった方が早いんじゃねぇのか?」
「それよりも優先することがありますので」
 とにかく優先すべきはヒーローたちを一か所に集めることなのだ。攻撃を後ろに巻いていくことによって追ってくるマギニアの数は徐々に減っていくが、元より己の命など省みない彼女たちの事、反応しても無駄なら追うことに全力を注ぐと、回避を完全に捨て負傷の重いものから仲間をかばって消え、追いつけるものを増やすという捨て身の策に出ていた。
 やがて見えてくるのは集合場所に指定されていた『マイティバーガーイーストアベニュー店』。るこるはそこ目がけて着地し、ステントルを下ろした。
「助かったぜ。運賃はこいつだ」
 最後によろけながらなんとかついてきたマギニア。その体を、ステントルの大きな拳が叩き潰した。彼とて戦えないわけではない。むしろ単純な力なら、集まる五人の中でも最も強くすらあるのだ。
「とりあえず、店の中で……」
 他の仲間を待とうと店内へ向かおうとするステントルとるこる。その後ろから、追いすがるように最後のマギニアが四人追いついてきた。少し遅れた故に結果的に無事だった四人は、せめて一人でもと一斉にステントルに襲い掛かろうとする。
 だが。
「申し訳ないですが入店拒否です!」
 輝く拳に殴り飛ばされ。
「ソードパック、新しく作ったよ!」
 高速で飛んできた巨大なビームソードを構えたドローンに両断され。
「後でもっとおいしいものあるみたいだから、とりあえずこれで我慢してジュニア!」
 鞭に絡めとられて恐竜の牙に噛み砕かれ。
「狙って撃つのは得意なんだよ?」
 電撃を発する小型の矢に射抜かれた。
 他の猟兵に助けられた残りのヒーローたち。彼らもまたるこるとは面識があり、空飛ぶその大きな体を目印に最後に一直線にここまでやってきたのだ。
 こうして、猟兵の助けと豊満な体の導きによって五つの道はここに重なった。だがそれと同時に起こるのは、決して並べぬ大きく邪悪な道との交差の時……!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ダークメナス』

POW   :    我、失われし汝等の盟主なり
全身を【盟主の威光 】で覆い、自身の【同志達が奪ってきた神or不死の怪物の力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    我は盟主として、同志達の無念を晴らそうぞ
自身に【神々の時代の頃より得てきた同志達の無念 】をまとい、高速移動と【六枚羽根より滅びを齎す衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    我が同志達の怨念、晴らさずにいられようか
自身が【同志達が殺された事への憎悪 】を感じると、レベル×1体の【神々の時代より存在する古代遺産】が召喚される。神々の時代より存在する古代遺産は同志達が殺された事への憎悪 を与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:塒ひぷの

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エリス・シルフィードです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ついに集まった五人のヒーローたち。全員自分の故郷以外に詳しいとは言えないだけあり、お互いが珍しくてしょうがないらしい。
「え、何これ、いつ時代の遺物!? てか生きてんの!?」
「うわー、でっかいおじさん! 父ちゃんより背が高い!」
「バーガー屋……? 俺の知ってるバーガーとはだいぶ違うもんばっかだが……」
「アトランティスって魚しか食べてないって本当ですか!? え、アトランティス人じゃない?」
「異星人の技術で作るのがこれ……いや、玩具にすらこのレベルの技術を回せるのが凄いってことか」
 それぞれの持ち物や境遇に好き勝手言い合うヒーローたち。だが、その空気はすぐに断ち切られた。
「兵たちは皆絶えたか。なれど神の力を一つに集めたならば結果としては良し」
 冷たい声と共に現れたのは、どこまでが肉体でどこからが装甲かも判然としない、機械のようにも見える女。女はゆっくりと宙から高度を下ろし、五人の前に降り立つ。
「骸の月も最早絶える。その前に、我らが同志の力を集めミストレス・バンダースナッチ様に捧げ奉らん」
 そう言う女の後ろに厳つい大男が現れた。男が女を守るようにその前に巨大な手を置くと、その手から力が内側へ流れ女に注がれていく。
 だがそれと同時に、五人のヒーローたちの後ろに穏やかな顔をした巨人が現れた。巨人が手を広げると、同じようにその力がヒーローたちやその携えたもの、さらには彼らに味方しようとする者全てにまでとどいた。
 二人の男は『境界の神』と『融和の神』。ジャスティス・ウォーにて共にここに倒れた兄弟神であり、本来は善悪どちらの側面も持つ存在であったが、今境界の神は悪の側面を引き出され猟書家の力となり、融和の神は善の側面を出してヒーローとそれに交わるものを守っている。
「人も神も、全ては闇へと還るのだ。弟神よ、お前も我が元へ下れ」
 女は融和の神に自らに交わるよう言うが、彼は決して動かない。その先にあるのが彼の目指す融和ではなく、一切の破滅と支配であるからと知っているからか。
「……で、あれをぶちのめせってのか? 無茶言うなおい」
「いやでもあの大食いドラゴンと同格っぽいし、やれなくなさげ?」
「人任せにすればだろ? 話に聞いた亀とも同じなら、だけどね」
 一部の者は察している通り、女は『ダークメナス』。ジャスティス・ウォーで死した神の力を集め怪物『スナーク』を創造せんとする猟書家だ。
「でも、人任せは悪い事じゃないですよ。ワンオペNGってうちのマニュアルにもあります!」
「うん。なんだかジュニアが強くなってる気がするんだ。もしかしたら、皆はもっと……!」
 そう、融和の神の加護は他者と交わることで最大の力を発揮する。ヒーローたちを通し、それは猟兵にも伝わるはずだ。
「同志、同胞、それによってのみ世界はある。我は失われし神代の盟主なり。我が加護は同志がためのみにあり!」
 遠き者との交わりを拒むダークメナスにもまた、境界の神の力が流れ込む。共に神の加護がある状態。なれば加護さえ失わなければ、条件は対等のまま戦えるはずだ。
 さあ猟兵よ、一つとなったヒーローズアースに迫る危機、それを迎え撃つため自身もこの世界と共にあるものとして、ヒーローたちと共に猟書家を迎え撃て!
春原・冬馬
「あんまり走らせるんじゃねえ!で、それはそうと次はあのエロメカを吹っ飛ばせばいいわけだな?」

POW
連携・アドリブ可
前回からの流れでそのまま戦闘だ
変身は解除してるぜ、あのままだと腹減るしな
闇雲に突っ込んでも危ねえからなカウンターと不意討ちを狙う
攻撃は基本的に銃撃と肉弾戦だ
雷属性の誘導弾と打撃と斬撃を見舞うぜ
回避しつつUCを発動して相手の力をこっちにもらおう
相手が高まった分奪う力も高まるしな
飛翔できても蜘蛛の巣に引っかかったらまともに動けねえだろ

あとは動けなくなったところを一方的にやらせてもらおう
見たところ
蜘蛛の巣に引っかかった蜂がどうなるか知ってるだろ?覚悟しな


死絡・送
SPD
アドリブ共闘OK
前回に続きヒーローや仲間達と協力して戦う。
オーラ防御とかばうを組み合わせて味方を守ったり
しつつ、ルーチェ・デル・ソーレで貫通攻撃と範囲攻撃を組み合わせて
射撃。
近づいてきたらカウンターでブルザードインパルスを発射。
念動力で味方の行動の援護とできる事を行いつつタイミングを計り
ノーブルストームを使う。



 五人のヒーローたちの前に現れた猟書家『ダークメナス』。その目的は彼らを殺害しその身に宿った『融和の神』の力を奪い取ることだ。
 既に奪った『境界の神』の力を身に宿しそれを成そうとするダークメナス。いかに神の力を得た者同士とはいえ、地力の差と宿す神の性質の違いにより、その力の差は一見して分かるほどに歴然だ。
 だが、この場で戦うのは直接神の力を宿した者だけではない。
「あんまり走らせるんじゃねえ! で、それはそうと次はあのエロメカを吹っ飛ばせばいいわけだな?」
 まず登場するのは春原・冬馬(自称親愛なる隣人・f35277)。全速力で走りながらヒーローたちに交じるように戦場へエントリーだ。彼の登場には五人の中の一人、全身スーツの少女セレス・ダイアリーが答える。
「そうみたいだよ! あれ? 変身やめちゃったの?」
 この場所を目指して移動している際、セレスは彼から護衛と案内を受けていた。その時彼は蜘蛛の意匠を持った鋼の装甲を纏っていたが、今の姿は生身のままだ。
「変身は解除してるぜ、あのままだと腹減るしな」
 体内に巣食う鋼を展開し装備する状態はエネルギーの消耗も激しい。実際ここにかけてきたことで冬馬の息も軽く上がっているが、これくらいウォーミングアップのうちとばかりにそのままの流れで戦闘の構えを取る。
 そして空から来るのは、太陽を模した鋼の巨体だ。
「ノーブルバット、再び参上!」
 それは死絡・送(ノーブルバット・f00528)の駆るスーパーロボット『ジガンソーレ』。彼もまた別のヒーローを護衛、この場所まで導いた後機体を応急修理するために一旦離れていたのだ。その巨躯を仲間を守るよう前に出し、敵前へと配置した。
 全体として堅守の構えを取るヒーローと猟兵に、ダークメナスは自身のものとした『境界の神』の力を呼び起こし浮かび上がる。
「我、失われし汝等の盟主なり。我は盟主として、同志達の無念を晴らそうぞ」
 その身に威光とも呼ぶべき光を纏い、突進をかけるダークメナス。その勢いはすさまじく、正に全身が弾丸になったかの如くだ。
 だがその動きは、危険であることが認識できるほどにははっきりと猟兵、そしてヒーローの目には把握できた。
「闇雲に突っ込んでも危ねえからな」
 冬馬が一歩踏み出し、雷纏う拳でカウンターパンチを叩き込む。それは相手の突進の威力をそのまま利用し、強烈な一撃となってダークメナスを弾き飛ばした。
「ぐ……しからば同志よ、その無念を我に貸せ!」
 なればとダークメナスは一度引き、羽に纏う光を黒い怨念で染め上げ一度羽ばたく。それは衝撃波となって全員をなぎ倒さんばかりに襲い掛かった。
 だがそれは、ジガンソーレから展開されたオーラに押し返され大きなダメージとはならない。
「なんと……なぜだ!?」
 上級のオブリビオンである猟書家たる自分が、神の力を得手まで放った一撃が簡単に押し返される。その理由は、守りを固める猟兵とヒーローにもまた神の力が宿っているから。
「条件は互角だからな」
 誘導性を持った雷弾でダークメナスに追撃を駆けながら冬馬が言う。それによって姿勢が崩れたところにジガンソーレから放たれるビームが襲いさらに相手に大きく押し返した。広範囲を貫き通すビームは、多少逃げたところで避けられるものではない。
 猟兵側の持つ融和の神の力は協力するほどに力を増す。隔絶を力とする境界の神が最初からフルスロットルなら、こちらは仲間と協力するごとに力を増していく出力無限のスロースターター。最初押し返すだけだった力も、仲間と共にあれば相手を上回るほどに強化されていく。
「神様って意外と物分かりいいじゃん! ランチャーパック換装! 出力最大!」
 下がったダークメナスにセレスが大型ランチャーを装備した自身の武装ドローンを差し向ける。その射撃は彼女自身が想定した出力を大幅に超えたビーム砲を放ち、ダークメナスにダメージを負わせた。
「弟神め、あくまで我を阻もうとするか。なれど、我が力が失われたわけではない!」
 再度の飛翔。こちらは敵が強力になったことでそれを拒絶するべく神の力が増し、その鋭さを増させている。その突進を、ジガンソーレが冷凍ガスを振りまくことで迎え撃った。
「チャンスだな……そこから動くなよ!」
 冷気によって動きが鈍った所を抑え込むように、冬馬が【土蜘蛛の檻】を重ねた。辺りを取り巻く糸がダークメナスを捕らえ、その腕力を制限してく。
「飛翔できても蜘蛛の巣に引っかかったらまともに動けねえだろ」
「ならば私も!」
 そこに畳みかけるのが、『マイティガール』ことメリンダ・マーズ。金色のオーラを纏い強化された拳は神の力とも相まって、下がった猟書家の腕力にも十分力比べを挑めるほど。
「相手が高まった分奪う力も高まるしな」
 土蜘蛛の檻で奪った力も乗せ、メリンダがダークメナスを叩き伏せていく。
 豊満な体同士がぶつかり合う肉弾戦に、後ろから押しこみをかけるのはジガンソーレ。
「断罪の嵐が貴様らを裁く、ノーブルストーム!」
 後ろから放つ【ノーブルストーム】の吸血蝙蝠が、ダークメナスの体に噛みついてその力を吸い上げた。暗闇でない故威力は据え置きだが、元々力を吸収させれていたダークメナスは抵抗する力すら失せていく。
「お、おのれ……我は、神の盟主なるぞ……」
 己が神たることを誇り力を奮い立たせようとするが、猟兵側はなんでもありの混成軍。この状態から一つの力で抗しえるものではない。
 ダークメナスの背中の薄羽を見ながら冬馬が言う。
「蜘蛛の巣に引っかかった蜂がどうなるか知ってるだろ? 覚悟しな」
 そこから入る打撃と斬撃にロボの剛健、それに呼応して放たれるのは武装ドローンの巨大砲と豊満ヒーローの輝く拳。続いて鞭に巨拳に機械銃が続けて放たれ、ダークメナスを完全に餌食とした。
「我は……同志の……!」
 あくまで己が同胞のみを貴ぶ女は、一切の垣根のない力の奔流にその身を引き裂かれたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
SPD

ダークメナス様、別の貴女から賜った力で貴女を救済します

守護霊の【ドーピング】で戦闘力を高めると共に加護を得て
【オーラ防御・激痛耐性・気合い】で攻撃に耐え
【第六感・索敵・学習力】で高速移動を【見切り・カウンター】
暗黒結界【属性攻撃・範囲攻撃・結界術】に閉じ込め
威力3倍の『猟書協奏曲・虞月の章』で闇を照らし
彼女の同志達の無念を浄化して強化を解除。
彼女自身も穏やかな気持ちに

月は闇の住人をも優しく照らす。
私と融和(アイ)し合いましょう?

【誘惑・催眠術・全力魔法】も上乗せして魅了効果を高め
【念動力・マヒ攻撃】で金縛りにしつつ引き寄せ
濃厚なキスと共に豊満な胸を愛撫して【慰め・生命力吸収】



 ヒーローズアースはいま最も骸の月が押し返されている世界である。それは猟兵の活躍が目覚ましいと言う一方で、猟書家との激しい戦いが世界各地で起こった激戦地だということでもあった。
 そしてそれは猟書家と戦った、倒したことのある経験を持つ者も多いということ。
「ダークメナス様、別の貴女から賜った力で貴女を救済します」
 ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)はダークメナスへそう言うが、骸の月が逼迫したこの状況では追い込みをかけるための一手のようにしか相手には映らなかった。
「最早我も敵に非ずと。甘く見るな。骸の月果てるその時まで、我は盟主たらん」
 六枚の薄羽をはばたかせ、瞬時に距離を詰める高速移動で迫る。その突進を、ドゥルールは自らに霊を宿す得意の形で受け止めた。
 強烈な衝撃と共に弾丸のような体当たりがぶち当たる。ダークメナスはさらにそこから高速で羽をはばたかせ、零距離での衝撃波を見舞った。
 ユーベルコードで強化された猟書家の一撃。いかに高レベルの猟兵とてそう耐えられるものではないはず。だが、それなりの痛みはあれどドゥルールはそれに揺らぐことなく耐えきった。
「おのれ弟神、いかにしても我を阻もうとするか」
 ドゥルールは死霊を体に宿すことで自らを強化している。それはつまり、他者を自分の体に入れることと同じ。融和の神はそれに対しても力を与え、彼女の力は今普段以上に高まっていた。
 それを察したダークメナスは一度ドゥルールの体を蹴って距離を取り、さらに高速で移動することで攪乱、再度の突撃を図った。
 その体が今度は視覚からドゥルールを襲う。その瞬間を見極め、ドゥルールは周囲を結界で区切りその中を闇の属性で満たし暗闇の空間を作り上げた。
「我に闇で挑むか」
 光のないその空間の中でダークメナスは嘲笑する。その名の通り闇は彼女の領分。そして世界を区切るということは彼女に宿る境界の神の力の方が強化されるということ。手を誤ったと嘲りつつ、闇の中全てを衝撃波でなぎ払おうと羽根をはばたかせるダークメナス。
 だがそれより早く、その身を眩い光が照らしだした。
「闇夜を照らすは優しき月。迷える者を安寧へと導け」
 まるで闇夜に月が昇ったかの如く、結界内を光が照らしだした。その光が、ダークメナスの身に宿る同志たちの無念を消していく。
「どうしたことか!? なぜ、滅ぼされし同胞たちの力が消える!」
 【猟書協奏曲・虞月の章】、これこそがドゥルールの言った、ダークメナスより吸収した力。それは同胞の無念を力とする彼女の性質を反転させたかのような、負の感情を除去し安らかに命を吸い上げる技。それは彼女に宿った同胞の怨念だけでなく、彼女自身の怒りや焦りも鎮めていく。
「月は闇の住人をも優しく照らす。私と融和(アイ)し合いましょう?」
 暗闇にこそ月は映える。闇の中で威力を増すその力はダークメナスの心と体を侵していき、その体を抑え込むことすら可能とさせた。
 そこからはドゥルールの得意の時間。体を重ねて魅了し、心を誘惑、体を金縛り。肌と大きすぎる互いの胸を合わせて生命力を吸い上げる。相手を受け入れることで融和の神の力はそこに乗り、隔絶された空間での境界の神の力を抑え込んでいく。
「お、おの、れ……」
 抵抗しようとするが、全力を封じられたダークメナスはどうしてもそれを振り切れない。
 月の光に導かれ、あるいは月だけが見ていた。そんな少女漫画のような結末を、閉ざされた闇の中でドゥルールはダークメナスから啜っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
さて、御出での様ですねぇ。
皆さん、力を貸して下さいませ。

『FAS』を使用し飛行、『FMS』のバリアと『FGS』で守りを固めましょう。
そして【臨髄】を発動し5人のヒーローと『融和の神』、私自身の力を象った多数の『玉』を形成し合体しますねぇ。
ロバートさんの『読み』で相手の動きを読み、セレスさんの『技術』を私に重ねて操作した『FGS』で『重力空間』を形成し相手の行動を阻害、アニマさんの『鞭』で捕えますぅ。
ステントルさんの『怪力』で逃がさない様押さえ、『F●S』各種の[追撃]とメリンダさんの『拳』を振るいましょう。
『融和の神』の御力で強化した全員の力を重ね、確実に叩きますねぇ。



「我は盟主。我は無念を背負いし者……神の、同胞の無念を晴らすまで……」
 既に深い傷を負っているダークメナス。だが、骸の月の状況を鑑みればここで敗れては最早『次』はない。そうなれば最早同胞の無念を晴らす機会もなくなり、またオブリビオンの世界を築くこともできなくなってしまう。
 後がないこともあり、決して諦める姿勢を見せないダークメナス。そしてそれを阻むのは。
「さて、御出での様ですねぇ。皆さん、力を貸して下さいませ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)、そして彼女と共にある五人のヒーローたち。
 まずはるこるはいつも通り、飛行して守りを固め前に重力を張る。敵の手の届かない所から守りを固め一方的に攻撃するための得意の型だ。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、遍く力を象りし『霊玉』達よ、私の元へ」
 そこからさらに【豊乳女神の加護・臨髄】を発動、他の仲間の力を玉として抽出し自らに宿すことでさらなる強化を図った。湧きだした無数の玉がるこるに吸収され、その体を巨大化させていく。
 だが、徹底的に自らを強化し嵌め殺そうとする敵対者はダークメナスの怒りと身に纏う怨念、そして敵を拒絶するほどに増す境界の神の力を奮い立たせる。
「兄神よ、彼の者は我と決して相容れぬ。我が立つため滅ぼす力を与えよ!」
 一切の共存の余地なき敵を排すべく、盟主の威光を纏い立ち上がるダークメナス。高速飛行で貫かんとするその狙いは。
「怒っているようだけど馬鹿じゃない。他人の力で強化されていることは分かっているだろう。いきなり大物にぶち当たるんじゃなく削げるところから削いでくるさ。まずは一番弱い所、つまり」
 ダークメナスの突進が突如として直角に軌道を変えられ、その体が地面にたたきつけられる。
「僕ってことだ」
 その前にいるロバート・ノット、ダークヒーロー『シーカーボーイ』が眼前に横たわるダークメナスを見ていった。もちろん彼に見てから対応する力などない。彼の読みに従い、事前に配置されていた重力兵器を起動させたのだ。
「うわ、めっちゃ動く!」
 その兵器を操作するのはラグランジュポイントのアームドヒーロー、セレス・ダイアリー。彼女の持つ武装ドローンは元々るこるの兵装をモデルに作成されている。それを重力制御装置と連動させれば、暫定チャンピオンである彼女の技術でそれを操作することもできた。
「おのれ……この程度……我ら神の怒りにて……!」
 羽根も千切れよとばかりに力を籠め、強引にそれを振りほどこうとするダークメナス。だが、その羽自体を強靭な鞭が絡みついて強引に折りたたみ戒めた。
「ジュニアより軽いんだから、捕まえるくらい簡単だよ!」
 その鞭を操るのはセンターオブジアースの神、“神獣使い(見習い)”アニマ。ダークメナスや兄弟神のような超常の神でなくとも、原初の生命たる不死の怪物を抑え、従える一族。己が権能の下にある生命の制御と封印においては、融和の神の力を得た今一時的にでも超常の域にあると言っても過言ではない。あるいは一切の支えなしにこの領域に至った時こそが、彼が本当に一族の役目を継ぐ時となるのか。
「泣き入れて許して貰えるとか思ってないだろうな? ガキの喧嘩じゃねぇんだぞ」
 そうして戒められたダークメナスの頭部を巨大な手が掴み、持ち上げて乱暴に引き起こす。サイズは人間級のダークメナスの足が宙に浮き、その自重は纏めて彼女の首に襲い掛かった。
 片手で人一人と軽々持ち上げるのはダストブロンクスのバイオモンスター、“ラッパ吹きの”ステントルだ。彼の故郷では命は安く、軽い。ましてダークメナスは配下にも使い捨ての強化兵を用いていた。まさか自分だけがその理から逃れられるなどと思うな。平等なる無価値を文字通りに頭に叩き込むかの如く、強烈な握力がその頭部を締め上げていく。
「は、はなせ……なぜだ、我は……!」
 なおも抵抗するダークメナス。そのかたくなな態度に境界の神も力を貸しているはず。ならばなぜ、猟兵ですらない者たちの戒めも振りほどけないのか。
「いきましょう、メリンダさん」
「はい! 次のイベントは『知られざる文明フェア』! 企画書提出しておきますね!」
 るこるの声に応える、ローカルヒーロー『マイティガール』ことメリンダ・マーズ。彼女の言葉通り、ここに集まった者は地上を含めたヒーローズアースの全文明に属する者。この世界の全てを繋げた今、融和の神の力は最大に発揮されていると言っても良かった。そしてその全てに通じているのは、だれあろう猟兵たるるこる自身。
「それでは、これで!」
「骸の海へお帰りをぉ」
 メリンダの輝く剛拳と、るこるの兵装がダークメナスへとどめをかける。
「馬鹿な……我は、我らの世界は……ミストレス・バンダースナッチ様……!」
 ヒーローズアース全ての力を受け、頑ななる邪神は同胞の元へと還っていった。それと同時に、彼女が抑えていた境界の神が解放される。
『弟よ、正しかったのはお前のようだ。世界は最後に全て通じた』
『否。これより世界の全てを脅かすものが来る。それを拒むは兄の力』
 ジャスティス・ウォーで共に倒れた兄弟が20年越しに通じ合う。それを成したは皮肉にもアースクライシス、そして猟書家の侵略という大乱。
 その声はヒーローたちと猟兵にも聞こえたが、その意味を正しく理解しているのは猟兵のみ。
(もし、アックス&ウィザーズと同じなら……)
 大天使ブラキエルとの決戦では猟書家に関わった者たち全ての力を借りる必要があった。間もなく来るであろうオウガ・フォーミュラとの戦いでもそうなる可能性は大いにある。すぐにまた彼らの力を借りることになるかもしれないと、るこるは黙ってヒーローたちを見た。
 決戦の時は、近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年02月13日


挿絵イラスト