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銀河帝国攻略戦⑲~ウイルスに打ち勝つ奇跡を!

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 帝国の執政官兼科学技術総監ドクター・オロチが乗る『実験戦艦ガルベリオン』の所在が判明した。
 だが、猟兵達の行く手には、ドクター・オロチが率いる艦隊が立ちふさがる。
 戦争の局面が、また一つ動いた。

●奇跡を信じて
「みんな、聞いて! ドクター・オロチ配下のオロチウイルスを満載した突撃艇群のワープを阻止して撃破を目指そう!」
 ルビナ・ベイビーブルー(スペースノイドの電脳魔術士・f01646)が、猟兵たちに呼びかけた。
 オロチウイルス突撃艇群とは、戦闘機程度の大きさの、多数の突撃艇からなる敵集団だ。直接的な戦闘力は乏しいのだが、ドクター・オロチが開発した殺人ウイルス『オロチウイルス』を満載していると言うのだ。
「どうやら、解放軍船へ一斉ワープさせた突撃艇を自爆させ、ウイルスで解放軍を抹殺しようというのがドクター・オロチの作戦らしいね」
 各所に散ったオロチウイルス突撃艇群全てを発見、撃破するのは不可能に近い。ワープしてくる敵を予測して、その全てを撃破する事も現状では不可能とのこと。
「でもね! 希望はあるんだよ」
 エンペラーズマインド・コアのコアマシンルームに踏み込んだ、猟兵達が『オロチウイルス』のサンプルを持ち帰ることに成功していたのだ。
「ミディアさんがヘロドトスの戦いで発見された『古代遺跡船』に、スペースシップワールドの科学技術の粋を結集し、抗体作成の研究を進めているんだって!」
 しかし、『古代遺跡船』と『スペースシップワールドの科学の粋』の総力をあげても、通常の方法で、オロチウイルスの抗体を短期間に完成させる事は『奇跡でも無い限り』不可能な事だろう。
 そう、奇跡でもない限り、だ。
「お願い! みんなの力で、奇跡を起こして! 『ユーベルコード』を駆使して、オロチウイルスの抗体作成を進めて欲しいの」
 抗体が完成すれば、敵がワープしてオロチウイルスをバラまいても、被害はゼロ!
 今こそ奇跡の力、『ユーベルコード』を駆使して、実験や研究を行い、オロチウイルスの抗体作成をすすめよう!


陵かなめ
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 ⑲オロチウイルス突撃艇群を攻略します。

●説明捕捉
 このシナリオでは、ミディア・スターゲイザー及び、他の猟兵が多数いる中で、オロチウイルスの抗体を開発する事になります。
 古代遺跡船の研究施設は、スペースシップワールドの多くの船から持ち込まれた多種多様な機材が運ばれており、広大な研究エリアが発生しています。そのため、他シナリオに参加されている猟兵さんとはお会いできません。
 ミディアは、作業する猟兵の間を走り回っているので、必要があれば声をかけてみてください。
 ユーベルコードを有効に利用したプレイングをお待ちしております。

 それでは、プレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『オロチウイルスの抗体を開発せよ!』

POW   :    オロチウイルスを摂取し、未完成の抗体とユーベルコードを駆使し、全力で耐え抜く事で抗体のヒントを得ます

SPD   :    圧倒的処理速度で演算を行なったり、肉眼では確認できないウイルスの動きを見切り、その特性を導き出します

WIZ   :    集積された膨大な情報を高速処理するなど、ユーベルコードを利用して開発に貢献する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アシェラ・ヘリオース
「待ったなしだな。まったく無茶な作戦を立てる。愚かにも程があろう」
盗賊を見て縄をなうと言う言葉があるが、それよりもなお酷い状況だ。
諦めると言う単語を知らない姿は、かって敵とした見えた解放軍に似ている。知らず笑みがこぼれる。

「それでは、私も愚か者の一人として一口かませてもらうか」
闇鋼の印章を触媒に小型の騎士ユニットを85体ほど召還し、半数を広範囲に散らせて情報収集&伝令役、半数を演算補助として用いる。
自身も情報の高速処理で協力しつつ、他の猟兵達の成果を皆で共有できるネットワーク作りに貢献しよう。
必要であれば騎士ユニットにオロチウイルスを摂取させ、その情報共有も行いたい。

※連携・アドリブ推奨


アリス・フェアリィハート
アドリブや他の方との絡みも歓迎です

私達猟兵でさえ
数秒と持たない
『オロチウイルス』…
ミディアさん達が
抗体の作成の為に研究を進めて下さってます…

私に…どんな
お役に立てる事があるのか
わかりませんけど…
何か、お手伝いできる事が
あるでしょうか…

とりあえず…
シンフォニアとして、
歌の『奇跡』の力をぶつける感じで
ユーベルコードの
【シンフォニック・キュア】を
オロチウィルスに使ってみます

『私達シンフォニアは…歌で皆さんの傷を癒したり回復を図ったりしますので…それを、オロチウィルスに使ってみます…』

何か反応や変化等
がみられたら
それをミディアさんや皆さん方にデータ解析して貰います

『ミディアさん…いかがでしょうか…?』


鎮杜・アリア
【蒼慧・楓奏(雪花・f05136)】と一緒に研究します。
他の猟兵さんとも情報共有など協力します。
私は猟兵としてまだ未熟で医術の知識も本や講義から得たものでしかないけど、それでも出来ることがあるはずだよね。
ウイルスに含まれる細胞の中に人を害する細胞があるはずだから、「生まれながらの光」の聖なる光でウイルスを治癒したら、ウイルスの元になった細胞が見つけられるかも。それに聖なる光を当てる時間を変えたウイルスを検査すればどの細胞を治癒すればウイルスを無力化できるか分かるかもしれない。
聖なる光の照射時間を変えたウイルスのテストを楓奏お姉ちゃんにお願いします。ブリュンヒルデとジークリンデ、ありがとう。


蒼慧・楓奏
【鎮杜・アリア(光の旋律・f09759)】と協力して研究します。
【ニーベルングの指環】の力を使ってアリアちゃんが試みるウイルスの調査に協力します。
ニーベルングの指環で召喚できる戦騎なら、何度でも召喚することが出来るので調査の効率を上げることが出来るはず。
アリアちゃんが時間を分けて聖なる光を照射したウイルスを戦騎達に摂取させて、戦騎達の変化を記録してアリアちゃんにフィードバックします。
「ごめんなさい。ブリュンヒルデ、ジークリンデ」
戦騎の犠牲は私にとって自分の身を削るように辛いです。けれど多くの人を救うため試験を続けます。


バジル・サラザール
毒使いとして、ウイルスの恐ろしさ、難解さは承知のつもりよ、それでも私達で絶対に完成させてみせるわ。

「医術」や「毒使い」としての知識、ウイルスのサンプルやウイルスを摂取した人への問診、他の猟兵から得た情報等々を総動員して、時には「野生の勘」も混ぜつつ、ワクチンの開発を行うわ。
それでもいよいよ行き詰まったら自身でウイルスを接種、症状等の情報を得つつ、「バジリスク・ブラッド」を使ってポーションを強化するわ。自分の血液をもとにしたユーベルコード、血清みたいな要領で抗体の開発の助けになればいいけれど。

毒を以て毒を制す、絶対に開発を成功させてみせるわ。


ユーノ・ディエール
連携アドリブアレンジ歓迎

私はそれほど頭が回る性質でも無いです
ですがあのドクター・オロチという男が
生命を全く大事にしない外道だという事は
ヘロドトスで十分知っています
このウイルスの恐ろしさも身を以て体験していますし
命を懸けたとしても抗体を作らなければなりませんね

ミディアさん、今度は私達が体を張る番です
貴女が繋いだこの生命、決して無駄には致しません!

輝鉱戦態――痛みを軽減し念動を操る
己に取り込んだウイルスに負けぬよう
念動力でウイルスを追い込み
ウイルスが余りにも暴れそうなら
自身の体内で作ったエネルギー波で
肉体ごと飛ばしてでも抗体を作るのです
医術や早業で可能な限り迅速かつ正確に
抗体を産生出来る様努めます



●奇跡を呼ぶ実験の始まり
 古代遺跡船に到着した猟兵たちは、慌ただしい研究室の一角ですぐにオロチウイルスの研究を開始した。
「待ったなしだな。まったく無茶な作戦を立てる。愚かにも程があろう」
 強靭な猟兵をもってしても数秒程度しか活動できないというオロチウイルス。そのウイルスを満載した突撃艇群のワープがすぐにでも迫っている。
 アシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)は、現状を「盗賊を見て縄をなうと言う言葉があるが、それよりもなお酷い状況だ」と断じた。
 だが、この場にいる誰も諦めてなどいない。
 アシェラの口元が上がった。知らず笑みがこぼれる。
「それでは、私も愚か者の一人として一口かませてもらうか」
 そう言って、ユーベルコード・黒騎招来を発動させた。小型の戦闘用兼広範囲偵察用の闇鋼製騎士ユニットをざっと85体ほど召喚して並べる。情報収集や伝令役として活躍できるはずだ。また、演算の補助にも十分役立つだろう。
 アシェラは各騎士たちに、広範囲に散るように命令した。
 その様子を見ていたアリス・フェアリィハート(猟兵の国のアリス・f01939)がアシェラに声をかける。
「あの……もしよろしければ、データ解析をしていただけませんでしょうか? 私達シンフォニアは……歌で皆さんの傷を癒したり回復を図ったりしますので……それを、オロチウィルスに使ってみます……」
「なるほど。それでは騎士を数体、それに私も情報の処理で協力しよう」
 アシェラはすぐに騎士を使い実験の場を整えた。
 オロチウイルスのサンプルを前にしてアリスが表情を引き締める。目に見えないけれど、この特殊ガラスの容器の中に、確かにソレはいるのだ。
「ここに……猟兵でさえ数秒と持たない……『オロチウイルス』があるのですね」
 アシェラが頷く。
 これから何が起こるのか分からないけれど、どんな変化も情報も漏らさないようしっかりと見届けると目を凝らす。
 準備が整い、アリスはシンフォニック・キュアを発動させた。
 自分にはどんな役に立てることがあるのかは分からない。けれど、きっと何か手伝うことができるはずだとここに来たのだ。
 歌の『奇跡』の力を声に乗せ、オロチウィルスにシンフォニック・キュアを注ぎ込む。美しい歌声が、周辺に響いた。
 アシェラはその間、数値の変化に目を光らせ記録していく。
 その時、研究を行う猟兵たちの間をぱたぱたと走るミディアが近づいてきた。
「ミディアさん……いかがでしょうか……?」
 アリスが声をかけると、ミディアはアシェラのデータを見比べて笑顔を浮かべる。
「本当にありがとうございます。いただいた情報は、必ず有効に活用させていただきますね」
「それと、他の仲間たちとの情報共有も可能だ。結果をまとめて改めて報告させてもらう」
 アシェラはアリスとの実験結果を取り急ぎまとめながら、周辺の仲間たちの動きを見た。
「はい、とても助かります。よろしくお願いします」
 そこに実験の準備を整えたユーノ・ディエール(アレキサンドライト・f06261)が近づいてくる。
「ミディアさん、今度は私達が体を張る番です。貴女が繋いだこの生命、決して無駄には致しません!」
 自分はそれほど頭が回る性質ではないとユーノは思う。しかし、あのドクター・オロチという男が、生命を全く大事にしない外道だという事はヘロドトスで十分知っている。
 もちろん、このウイルスの恐ろしさも身を以て体験していた。
「命を懸けたとしても抗体を作らなければなりませんね」
 ユーノの決意の言葉を聞いて、ミディアはユーノに正面から向き合う。
「ありがとうございます。ですが、決して無理はなさらないでください」
 そして、他の猟兵たちにも小さく礼をした。
「すみません。もう行かなければ」
 そう言い残し、ミディアはまたぱたぱたと駆けて行く。
「……お忙しそうですね……」
「この状況ではな」
 やはりまだ誰も諦めてはいない証拠だ。
 アリスとアシェラはミディアの背中を見送る。
「私もウイルスを使った実験をしようと思っています。記録をお願いできますか?」
 ユーノはアシェラに申し出た。
 アシェラは頷き、数体の騎士を動かす。すぐに実験が始まった。

●必ず抗体を作ると誓う
「この姿を見せたくなかった……だけど、やるしかない!」
 ユーノは迷わず最初からユーベルコード・輝鉱戦態を発動させた。この姿は、痛みを軽減し、さらに念動を操ることができる半鉱石体だ。
「今から、ウイルスを取り込みます!」
 そう宣言し、ウイルスのサンプルを自ら取り込んだ。当然、ウイルスは即座にユーノの体内から攻撃を仕掛けてくる。
「ぐっ……負けません」
 輝鉱戦態を発動しているとはいえ、激痛は免れない。ユーノは痛みを無理矢理抑え込みながら、体内で暴れるウイルスを念動力で追い込んだ。
「まだいけるのか?」
 アシェラがユーノに声をかける。
「はい、もう少し……抑え込みます」
 額に汗をにじませ、ユーノは念動力を繰ることに集中した。体内のウイルスを何とか追い込み、せめて体の一部分に集めようと誘導する。
「く、ぅ、あああ――」
 しかしウイルスはユーノの体を蝕んでいく。これは、時間との勝負だ。
 痛みでふらつく足に力を込め、ユーノは頭をフル回転させた。迅速かつ正確に、何とかして抗体を作り上げたい。
「こ、の……ここです」
 ユーノは体内で作り出したエネルギー光波を、自身の体の一部に向けて放った。
 そして、吹き飛んだ自分の肉体の一部をすぐに念動力で押さえる。
 医術の知識を以って、ウイルスの集まった個所を切り離したのだ。
「サンプルとしてここに入れよう。しかし、無茶をする」
 アシェラは待機させていた騎士ユニットにガラスの保存管を差し出すよう指示し、ユーノを見る。
「ええですが、私に出来ることは、やり遂げたかったんです」
 ユーノはほっと息を吐き出し、ユーベルコードを解除した。
 そこに、バジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)が近づいてくる。
「疲れているところ申し訳ないのだけれども、話を聞かせてもらえないかしら」
 バジルはウイルスのサンプルやウイルスを摂取した人への問診をして回っていた。それに、今までアシェラが収集した情報なども得たいという。それら情報を総動員してワクチンの開発を行おうと言うのだ。
「はい。協力できると思います」
 ユーノはもちろん、と、頷いた。

●多くの人を救うために
 そのころ、鎮杜・アリア(光の旋律・f09759)と蒼慧・楓奏(雪花・f05136)は、二人で協力してウイルスの調査を行っていた。
「今度は照射時間を伸ばしてみるね」
 そう言って、アリアは生まれながらの光をウイルスのサンプルに照射した。
 ウイルスに含まれる細胞の中に人を害する細胞があるはずと言うのが、アリアの考えだ。そこで、生まれながらの光の聖なる光でウイルスを治癒することにより、ウイルスの元になった細胞が見つけられるかもしれないと思った。うまくいけば、聖なる光を当てる時間を変えたウイルスを検査し、どの細胞を治癒すればウイルスを無力化できるか判明するかもしれない。
「これで、どうかな。楓奏お姉ちゃん、お願いできるかな?」
 頷いて、楓奏はニーベルングの指環を発動させた。
「指環の所有者権限において、戦術戦闘機構ワルキューレを起動、戦騎を戦闘モードでリアライズ」
 騎士型戦騎ブリュンヒルデと銃士型戦騎ジークリンデを召喚すると、アリアから受け取ったウイルスを戦騎達に摂取させる。
 猟兵たちでさえ数秒と持たない殺人ウイルスだ。
 戦騎は、それぞれウイルス接種から数秒程度で形もなく崩れ去った。
「ごめんなさい。ブリュンヒルデ、ジークリンデ」
 楓奏が目を伏せる。
 戦騎の犠牲は楓奏にとって自分の身を削るように辛いことだ。
「ブリュンヒルデとジークリンデ、ありがとう」
 アリアは消え去った2騎を思い、胸に手を当てた。
「アリアちゃん、今の時間はどうでしたか? 気になる点は、これです」
 それでも、楓奏はすぐに顔を上げ、2騎の変化や気になった点をアリアに伝える。多くの人を救うため、まだ実験を続けるつもりだ。ニーベルングの指環で召喚できる戦騎なら、何度でも召喚することが出来る。生身の肉体で実験するよりも、ずっと調査の効率を上げることができるだろう。
 結果を受け取ったアリアは、時間を再設定しなおし、生まれながらの光を発動させた。今度は少し長い時間の設定だ。疲労が蓄積していくが、今はそんなことを言っている時ではない。
「楓奏お姉ちゃん、もう一度、お願いね」
 はあ、と、大きく息を吐き出しアリアが楓奏に治癒したウイルスを差し出した。
「はい。ブリュンヒルデ、ジークリンデ、お願いします」
 繰り返される2騎のウイルス接種。
 何度見ても、殺人ウイルスに侵された状態は見慣れない。
 苦しみだすまで何秒か、地に膝がつくまで、顔を上げることができなくなるまで、と辛い心を抑えながら、記録を取る。
 ――ごめんなさい。
 心の中で2騎に謝罪し、崩れて消える時間を記した。
 そして、顔を上げる。
 時間が無いのだ。このウイルスを満載した突撃艇が、すぐにでも攻撃を仕掛けてくる。そうなる前に抗体を完成させ、多くの人を助けなければならない。
「アリアちゃん。これが今回の記録です」
「ありがとう楓奏お姉ちゃん。一度、他の猟兵さんたちと情報の共有をしようかな」
 アリアの手の中には、かなりの数のデータが出揃った。
 それほど二人の実験は効率よく進んだのだ。
 抗体を作成するためには、多くのデータが必要だろう。
 二人は頷き合い、アシェラが派遣してくれた騎士ユニットに情報を託した。

●毒を以て毒を制す
「毒使いとして、ウイルスの恐ろしさ、難解さは承知のつもりよ」
 バジルは集めたデータを睨みながら、そう語った。それでも、自分たちの力で絶対に完成させてみせると言う。
 ウイルスを取り込んだ猟兵の言葉。
 ウイルスの動きを記録した情報。
 そして、必要な時にはバジル自身の野生の勘をも頼りにして開発を進める。
「とは言え、決定打にかけるわね」
 バジルは唸った。
 ウイルスがとんでもない殺人ウイルスと言うことはよく分かる。じっくり時間をかけてサンプルを集めれば、さらに研究が進むだろう。
 しかし、今は時間がない。
 もう少しで掴めそうな気もするのだが、短時間で完成を目指すにはやはり正攻法だけでは難しいようだ。
「やはり、この方法を試すしかないようね」
 バジルはそう言って、自らウイルスを接種した。
 瞬間、頭がくらくらと回り始める。接種したと同時にこれほどの症状を引き起こすとは、やはり聞いていた通り、とんでもないウイルスのようだ。全身にウイルスが回る前に、速やかにバジリスク・ブラッドを発動させる。
「毒を盛って毒で制す、なんてね」
 取り出したのは、ポーションだ。
 このポーションを、自身の血液――ウイルスに侵された血液を代償にして強化しようと言うのだ。
「これが血清みたいな要領で抗体の開発の助けになればいいけれど」
 猛毒の付加されたポーションを眺めてみる。
「その成果も、一緒にミディアさんに託そうと思うのだが」
 情報を仲間に共有しようと待機していたアシェラが声をかけた。
「ええ、もちろんお願いするわ。これが助けになればいいけどね」
「皆の情報を集めれば、きっと助けになります」
 ユーノが励ますように言う。

 事実、様々な角度からウイルスに踏み込むことができたはずだ。
 猟兵たちは実験や研究の成果を取りまとめ、ミディアに託した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日


挿絵イラスト