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銀河帝国攻略戦⑱～バーサス・バトルシップ

作者：地斬理々亜

●彼は語る
「帝国の執政官、兼、科学技術総監……ドクター・オロチが乗ってる、『実験戦艦ガルベリオン』の所在、分かったぜ！」
　グリモア猟兵、宙夢・拓未（未知の運び手・f03032）は告げた。
「けど、ドクター・オロチが率いる艦隊が立ち塞がってる。皆には、ドクター・オロチの配下、『アマルテア情報艦隊』と戦ってもらいたいんだ」
　拓未の説明によれば、アマルテア情報艦隊とは、ドクター・オロチがブラックタールから着想を得て開発したという、『リキッドコンピューター』を搭載した艦隊だという。
「アマルテア情報艦隊自体の武装は通常艦隊に劣る。だが、このリキッドコンピューターが問題だ」
　拓未はそう述べた。
「艦内には、ねばっとした液体の入った広いプールがあるんだ。その液体自体が、情報を蓄積・処理するコンピューターだ。帝国工作員達が宇宙各地で集めた色んな情報を集積して、最適な作戦計画を立ててきた、有能なコンピューターだぜ。で、だ。リキッドコンピューターは、猟兵の出現に反応して、『帝国宇宙戦艦』を液体で強化再現した液体存在で迎撃してくるぜ」
　相手は手ごわい。それでも、艦内に転移突入し、戦うことが必要となる。
「ただ、本体のリキッドコンピューターをどうにかできれば、楽に倒すことも可能かもしれない」
　そう説明を締めくくった拓未は、猟兵達をこう激励した。
「転移は俺に任せてくれ。……必ず、敵を倒してくれるって、信じてるぜ！」

第1章 ボス戦 『帝国宇宙戦艦』

POW   :    フルバースト・コズミック 【全砲一斉射撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。 SPD   :    デストロイレーザー 【10秒間のエネルギーチャージ】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【主砲からのレーザー砲撃】で攻撃する。 WIZ   :    インペリアル・マカブル 【自身の稼働可能時間】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【帝国式鏖殺形態】に変化させ、殺傷力を増す。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

「相手が船というのは、私にとってはとてもやりやすいですね」
　レイナ・カザハナ（ヤドリガミのスターライダー・f03778）がきっぱりと言い切った。
　彼女は、宇宙戦闘艦のヤドリガミ。好敵手を求めるその性質からか、レイナが選んだのは正面からのぶつかり合いであった。
　まずレイナは、強化再現された帝国宇宙戦艦から、距離をとる。
　広いプールサイドを横方向へ移動しながら、彼女はアームドフォートを斉射した。固定砲台から発射された弾丸が、敵に着弾する。
　全くと言っていいほど効いた様子がないが、レイナは驚かない。この攻撃は、敵の反撃を誘う、いわばルアーだ。
　その時、敵の戦艦の砲口が一斉に開いた。全砲一斉射撃を行うつもりだ。
「かかりましたね」
　そう口にしたレイナは、素早く宇宙バイクに騎乗した。
　疾走するレイナのバイク。襲い来る無数の砲弾を、華麗なハンドルさばきで左右に回避しながら、レイナは敵に接近していく。
　轟音と共に、レイナの顔の真横を巨大な砲丸が通過したが、レイナはオーラで受け流してバランスを崩さぬよう耐えた。
　敵の至近距離に飛び込むことに成功したレイナは、ユーベルコードを発動する。
「魚雷装填。魚雷発射管、空間に展開開始！　魚雷発射！！」
　召喚されたのは光子魚雷。『主兵装発射』――魚雷は敵戦艦の砲口に吸い込まれ、無数の爆発を起こした。

成功 🔵​🔵​🔴​

「やって来ました、情報艦の艦内！」
　シリカ・エンフィールド（マスケッター娘・f05394）は転移を完了するなり言った。こんなことを言っている場合ではないのは分かっているが、変なことを言わないと落ち着けないのだ。
（「……別に怖いわけじゃないよ？」）
　愛銃のマスケットを手に、シリカは帝国宇宙戦艦へ向き直る。
「まさか転移された艦の内部で、液体で再現された戦艦と戦うことになるとは……」
　トリテレイア・ゼロナイン（紛い物の機械騎士・f04141）も、この状況に奇妙な感覚を抱きつつ、縦長のシールドを構えた。防具改造は、既に済ませている。
「さすがにサイズは小型ではあるようですが、本物の戦艦よりさらに強化されているはずです。油断せずに臨みましょう」
「……うん……」
　ベール・ヌイ（桃から産まれぬ狐姫・f07989）が、眠そうにしながら、トリテレイアの言葉にこくりと頷いた。それから、『護理雷招来（ゴリラショウライ）』を使用。ベールは雷獣ゴリラの霊を召喚し、『護理雷専用電動バイク』に乗せた。
『液体で機械なら、こちらには考えがあります』
　そう書かれた紙を、ゴリラは仲間達に差し出して見せる。
「そうかい、ゴリラ君。その実行は任せるよ、俺にも策があるんだ」
　紫谷・康行（ハローユアワールド・f04625）が応じた。
　――彼の策、すなわち。『固めてしまえばいい』。
「電子の海に浮かぶ0と1が君のエネルギーをゼロにする。コードにも力は宿るよ」
　康行が己の端末のコマンドラインより放つのは、熱振動停止コード。狙いは、凍らせやすそうな端の部分だ。『コード・ポテンシャル・ゼロ』――その力は、リキッドコンピューターの熱エネルギーをゼロに近づけ、コンピューターのハイレベルな処理速度と伝達速度を低下させた。
　ゴリラのバイクの後部座席に乗ったベールが双銃を撃ち、氷弾でそれに続く。
　シリカもまた、ユーベルコード『凍結弾（フリーズバレット）』を撃ち込んだ。早業で弾丸をリロードしながら、マスケット銃から、幾度も凍てつく弾を撃ち込み続ける。
　帝国宇宙戦艦は、武装を帝国式鏖殺形態へと変化させようとする……だが、動けない。
　三人の猟兵による氷属性の攻撃を受け、情報処理が追いつかない。物理的にも、武装を展開できないのだ。
「いい感じに効いてるね」
　敵の動きを止め続けることに専念しながら、シリカがにっこりと笑って言う。
　シリカやベールは回避行動を、トリテレイアは防御行動をとるつもりでいたが、作戦が有効に働いているため、敵の反撃なしに倒すことができるかもしれない状況だ。
「現在リキッドコンピューターは凍っていますが、着火したら溶けて動き出すでしょうか？」
　仲間をかばうように油断なく立ちながら、トリテレイアが疑問を口にする。熱で液体を揮発させる、というのが彼の作戦であった。
「いいや。急速に熱を加えれば、より大きなダメージを与えられるはずだよ。やってしまって、構わない」
　トリテレイアの後方から、答えたのは康行だ。必要ならば、彼自身、炎のユーベルコードで敵を燃やそうとも思っていたのだ。
「承知致しました。信じましょう」
　トリテレイアは、特殊な化学物質が封入された弾頭を、凍てついたコンピューター目掛けて発射した。化学燃焼弾頭が、低温から超高温へと、一気にコンピューターの温度を引き上げる。
『――、……。――』
　致命的なエラーが、コンピューターに発生した。
「騎士が火攻めとは……笑い話にもなりませんね……」
　トリテレイアが呟く。騎士の矜持を持つ者として、この戦法には自分自身疑問を感じるが、それは私情だと自分に言い聞かせる。
　戦艦が形状をぶれさせるのを見て、ゴリラとベールはバイクを降りた。
　ゴリラは電動バイクに、電力をフルチャージ。ばちばちとバイクが放電する。
　ベールの雷獣はそのバイクをつかむと、リキッドコンピューター目掛けて放り投げた。
　――高圧電流が、激しくコンピューターに流れる。
　ばしゃり、と戦艦の形が完全に崩れて大量の液体となり、それは、そのまま電流で焼けていった。黒煙が上がる。
「……私達の勝ちのようですね」
「そうだね。皆のおかげだよ」
「やったね！」
　トリテレイア、康行、シリカが言った。
　こうして、猟兵達の活躍により、アマルテア情報艦隊の一隻が、機能を停止したのである。

　ゴリラは放電するバイクを引きずって戻ってくる。
　ベールはしばらく、無言だった。
「…………修理できる……よね……多分……」
　大丈夫だろう……おそらくは。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月13日