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銀河帝国攻略戦⑲~抗オロチウイルス臨床研究

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「皆さんお疲れ様です……と、言いたいところですが、息つく暇もないですね。」
 カイル・アルガスト(ドラゴニアンの精霊術士・f05742)はため息をつきながら、敵の今後の動向についての説明を始めた。
「エンペラーズマインドのコアルーム内に充満していた『オロチウイルス』。これを満載した突撃艇群が迫ってきているんです。」
 オロチウイルス突撃艇群は、戦闘機程度の大きさの、多数の突撃艇からなる敵集団。直接的な戦闘力には乏しいが、ドクター・オロチが開発した殺人ウイルス『オロチウイルス』を満載している。解放軍船へ一斉ワープさせた突撃艇を自爆させ、ウイルスで解放軍を抹殺しようというのがドクター・オロチの作戦らしい。
「存在を隠蔽され、各所に散ったオロチウイルス突撃艇群全てを発見、撃破するのは不可能ですし、ワープしてくる敵を予測して、その全てを撃破する事も現状では不可能です。ですが、まだ希望はあります。」
 幸いにも、エンペラーズマインド・コアのコアマシンルームに踏み込んだ、猟兵達が『オロチウイルス』のサンプルを持ち帰ることに成功していた。現在、ミディアを主導として、『古代遺跡船』内に、スペースシップワールドの科学技術の粋を結集し、抗体作成の研究を進めている。
 しかし、現状の猟兵たちが持てる総力をあげても、通常の方法で、オロチウイルスの抗体を短期間に完成させる事は『奇跡でも無い限り』不可能とのことだった。
「ですが、『奇跡』が無ければ不可能ならば、『奇跡』を起こせばいいのです。皆さんの扱える『ユーベルコード』こそ、『奇跡』の力なのですからね。皆さんには『ユーベルコード』を駆使し、オロチウイルスの抗体作成を進めて頂きたいのです。」
 抗体さえ完成していれば、たとえ敵がワープしてオロチウイルスをバラまいたとしても、実質的に被害を0に抑えることが可能だ。ほかに被害を抑える手段がないのであれば、この方法にかけるしかないだろう。
 また、古代遺跡船の研究施設には多種多様な機材が運ばれているため、あらゆるものが揃っている。必要であれば、ミディアの助力も得られるはずだ。
「猟兵の皆さんを使った臨床研究と言うのは些か気が引けますが、今は他に手段はありません。どうぞ宜しくお願いします。」


弐呉崎
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 皆さん大好き人体実験です。私は遠慮しますけども。どうも、弍呉崎です。
 というわけで、皆さんにはユーベールコードを駆使して抗体作成のために尽力してください。体を張ってもいいし、開発そのものに協力してもOK。皆さんの得意分野を生かしたプレイングをお待ちしております。

 なお、広大な研究エリアが発生しているため、各々の担当する修復地点には、他のシナリオの参加者はいないという点は留意して頂くようお願いいたします。
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第1章 冒険 『オロチウイルスの抗体を開発せよ!』

POW   :    オロチウイルスを摂取し、未完成の抗体とユーベルコードを駆使し、全力で耐え抜く事で抗体のヒントを得ます

SPD   :    圧倒的処理速度で演算を行なったり、肉眼では確認できないウイルスの動きを見切り、その特性を導き出します

WIZ   :    集積された膨大な情報を高速処理するなど、ユーベルコードを利用して開発に貢献する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神羅・アマミ
「なるほど!スタロナーゼとステムパラフィンのアミノ結合、ノルガトキシンとブリスニチンのイオン融解を利用しているわけじゃな!タネさえわかればこっちのもんじゃよー!」
顕微鏡を覗き自分でもわかってない適当な成分を捏造した挙げ句、雑に化学式を書いてワクチンを生成。

「偉業に犠牲はつきもの!妾に何かがあった場合、後は頼むぞ皆の衆ー!」
人、それを無駄死にという。
ウィルスとワクチンを自らに投与し、その経過を観察してもらう。

多分顔面紫色になって白目剥きながら泡吹くけど、コード『見切』を発動しているのでギリギリで死ぬところは回避できると思う(効果発揮するのはそこ)。
これで本当にヒントになるかは誰にもわからない…


ナイツ・ディン
【POW】
「俺ぐらい小柄だとウイルスの作用もでかそうだよなあ。」
『我がそんな些末なものに負けるわけなかろうが!』
ドラゴンランスの『ディロ』がそれを取り込んだらどうなるんだろう。一応あれも生物枠……?自信満々だしとりあえずゴー。

最初はUC:【紅竜の夢見た世界(スリーピードラゴン)】でディロ内のUC空間で観察。……なんか思ったより苦しそうだな。俺も手伝ってやるか。

「俺を喰え、苦労は半分って言うだろ?」
【竜化の騎士】でディロに喰われて巨竜化。大きくなれば多少は抗体も出来るだろうか。
【火炎耐性】や【氷結耐性】で特異環境可での制御も試みる。ナイツ自身は暴走ぎみだが。


聖護院・カプラ
殺人ウイルスによる爆殺テロ攻撃を行うなど言語道断。
銀河帝国の考えを改めさせる為、抗体の研究を何としても完成させねばならないでしょう。

しかし抗体と言っても一種類では完全な予防は不可能。
様々なアプローチで多彩な抗体を作成する事が猟兵に望まれています。

そこで、私がオロチウイルスのサンプルの1つに行うのは――。
後光ユニットから放たれる『存在感』の光により、
『功徳』エネルギーを発生させウイルスに浴びせるのです。

ウイルスとて生物、宇宙輪廻の範疇にある。
極度の徳を受ける事により、この場で転生する事でしょう。
毒性を記憶したまま性質を変えたウイルスを広めれば…従来のウイルスの行いを改めさせる抗体になりましょう。


アヴァラ・ガヴァラ
POW
「拙僧の身を以て、必ずや抗体を作り出してみせよう!」
オロチウイルスを摂取し耐えます。
朦朧とした意識の中、自分が信奉する神とついに合一化を果たすとか危ない幻覚をいろいろ見たりするかもしれません。



「俺達ぐらい小柄だとウイルスの作用もでかそうだよなあ。」
『我がそんな些末なものに負けるわけなかろうが!』
 僅かに弱腰な発言をするナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)に異を唱えたのは、相棒である紅竜の『ディロ』。何か策があるのか――恐らくはなにもないのだろうが――自信満々といった様子だ。しかし、ドラゴンといっても、ディロの体の大きさはナイツとさほど変わらない。あまり期待ができないなと思う一方で、ディロがウイルス取り込むことで、何かしらが起こる可能性を期待せずにはいられなかった。
「そこまで言うのなら、やってみるか。」
 準備万端と鼻を鳴らす紅竜にウイルスのサンプルを注入すると、すぐさまナイツはユーベルコード【紅竜の夢見た世界】を発動する。ナイツがディロの口に手を触れると、彼はたちまちディロの中へと吸い込まれていった。そこに広がるのは澄んだ青空と広大で平和な草原……のはずなのだが、どうやらいつもと様子が違うようだ。ディロ自身の苦痛が空間へと影響を及ぼしているのだろう。空は暗雲に覆われ、草原にはしばしば暴風が吹き荒れている。実験前は強がっていたディロだが、どうやら予想以上に体への負担が大きいらしい。
「大口を叩いていた割には、苦しそうじゃないか……しょうがないな、俺を喰え。」
「ふん!誰が小童の手助けなど乞うものか!」
 ドラゴンのプライドなのか、あるいは意固地になっているだけなのか、ナイツの提案をディロは一蹴する。
「今すべきことは我慢比べじゃない。すこしでも早くウイルスの抗体を作ることだ。一緒になって苦労も半分にすれば、抗体も出来やすいかもしれないだろ?」
「……そこまで言うなら、まぁ仕方ない。だが、命の保証はしないぞ、小童?」
 肯定の意を示したナイツが首を縦に振ると、世界が突如暗転する。さきほどまでそこにいた小竜は姿を消し、代わりに現れたのは一体の巨大な竜。理性のない巨竜は炎や氷、様々なブレスを撒き散らしながら、周囲に特異な環境を作り出していく。幸いにも研究エリアは広く、暴走する竜の被害に遭う者はいなかったようだ。やがて、エネルギーを使い果たしたのか、巨竜は徐々にその動きを鈍らせ、やがて眠りについてしまった。

 ナイツが目が覚ますとそこはベッドの上だった。体内に抗体が形成することに成功したのだろう。不思議と体は軽く、後遺症もないようだ。目を覚ました彼の眼に最初に映ったのは、無機質な天井のような何か。だが、突如としてその天井がしゃべりかけてきた。
「どうやら目を覚まされたようですね。」
 天井のように思われたその物体の正体は、まるで仏像のような、圧倒的存在感を放つ巨体――聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)であった。
「やはり、私の理論に間違いはなかったようです。あなたが目覚めたのも私の存在感による賜物ということですね。」
 何を言っているのかよくわからないが、どうやら、ベッドに寝かせてくれたのはかれであることは彼で間違いはないようだ。立ち上がろうとするナイツをカプラが制止する。
「そのドラゴンと共に、もう少し安静にした方がいいでしょう。その間に抗体のサンプルと報告書は私が責任をもって提出しておきますので、ご安心を。」
 会話をそこそこで切り上げ、妖精と未だに眠っている小竜に別れを告げ、カプラはその場を後にした。

 ――数時間前、カプラはオロチウイルスのサンプルの1つに、光ユニットから放たれる『存在感』の光により、『功徳』エネルギーを発生させウイルスに浴びせていた。
「ウイルスとて生物、宇宙輪廻の範疇にある。極度の徳を受ける事により、この場で転生する事でしょう。」
 オロチウイルスが生物であるかと言われると、些か疑問は残るが、そんなことは些細な問題だ。いずれにしても、毒性を記憶したまま性質を変えたウイルスを広めれば、従来のウイルスを無毒化……つまり、行いを改めさせる抗体になると彼は踏んだのだ。抗体と言っても一種類では完全な予防は不可能。当然、様々なアプローチで多彩な抗体を作成する事が猟兵に望まれている。試せることは何でも試すことは間違いではない。しかし、いざ抗体の効果を実証しようにも、彼の周りにはウイルスに侵された者がいなかった。そんな時に、手頃な妖精とドラゴンを見つけたと思いきや、既に彼らは独自に抗体を作り出していた。当然、試験対象探しは振出しに戻る。そんな状況の中、しばらく歩いていると、何やら騒がしい声が聞こえてきた。

「なるほど!スタロナーゼとステムパラフィンのアミノ結合、ノルガトキシンとブリスニチンのイオン融解を利用しているわけじゃな!タネさえわかればこっちのもんじゃよー!」
 顕微鏡を覗き、自分でもわかってない適当な成分を捏造した挙げ句、雑に化学式を書いてワクチンを生成しようとしていたのは、神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)。
「偉業に犠牲はつきもの!妾に何かがあった場合、後は頼むぞ皆の衆ー!」
 アマミは躊躇うことなく、ウイルスと効くかどうかもわからないワクチンを自らに投与した。あたりに彼女以外の人気などなく、当然、助けるものなどいるはずもない。人、それを無駄死にという。顔面は紫色となり、その眼は白目剥きながら泡を吹くアマミ。ユーベルコード【見切】により、かろうじて死ぬことは回避できている。
「クハハハ……見える!見えるぞ!三途の川がな……!」
 いや、回避できているかはもはや怪しい。これが果たして抗体作成のヒントになるかどうか、彼女自身も全く分からなかった。むしろ、考える余裕がないという方が正しいのかもしれない。ここが好機とカプラは彼女の元へと近づいていく。しかし、突如として背後に謎の気配が迫っていることを彼は感じ取っていた。

「見つけましたぞ!我が神よ!」
 カプラは仏として祀られてはいるが、そもそも仏でも無ければ、神でもない。ましてや、あのドラゴニアンには会ったことも、見たこともないのだ。彼はアヴァラ・ガヴァラ(ドラゴニアンの破戒僧・f11996)。彼も自らにオロチウイルスを摂取し、抗体を作ろうとしたようだが、どうやらウイルスの作用により幻覚を見ているらしい。
「ついに我々は合一化を果たすときが来たのだ。さぁ、我が神よ。今ここで拙者と新たな世界を開くための儀式を……。」
 意識はもうろうとしており、明らかに目の焦点が合っていない。このままでは危険だ。カプラは無意識のうちにアヴァラから距離を取ろうとする。しかし――
「何処へ行こうというのだ?」
 アヴァラは突如、自らが神と呼ぶ存在へと竜のオーラを放った。然したる威力はないものの、わずかな爆発と共に、両者が鎖によって繋がれる。
「これで逃がしはせんぞ。さぁ、今こそ合一化を……」
 力任せに鎖を手繰り寄せながら、破戒僧はじわじわと仏を引き寄せていく。もはや逃げ場はない。かくなる上は、存在感による迎撃を……カプラがそう思った時、赤黒い鉄砲玉が鎖をめがけて飛び出してきた。
「最早妾には一切が通じると思うな!死ねーッッ!!」
 アマミによる捨て身の突進が鎖に直撃すると、鎖を引く勢いによってアヴァラはそのまま後方へと弾き飛ばされ、頭を机の角へと盛大にぶつけた。だが、彼は気絶することもなく、正気を取り戻すことに成功したらしい。
「いててて……ん?あれ……拙者はなぜこんなところに。」
「ふふふ、それは妾が教えて進ぜよう。それは――」
「それは……?」
「そうじゃ!妾が目覚めたということは、抗体が体の中で生成できたということじゃな!すぐにこの結果を報告せねばな!」
 アヴァラの疑問に答えることなく、アマミは明後日の方向へと駆け出して行った。そっちにミディアはいないというのに。やがて、騒ぎを聞きつけたナイツがその場にやってきた。
「……何かあったのか?」
「いえ、大したことではありませんよ。抗体の効果の検証は、ミディアさんに任せるしかない。そういう結論至っただけの話です。」
「抗体……!そういえば、抗体を作らねばならなかったのであるな。となると、あの嬢さんに遅れをとるわけにはいかぬな。よし、拙者もこれにて失礼。」
 アヴァラもアマミを追いかけ、その場を後にする。当然、彼の向かう方向にもミディアはいない。だが、広いとは言ってもここは船の内部という閉鎖空間だ。いずれはミディアの元へたどり着けるだろう。
「それでは、我々も爆殺テロ攻撃を阻止し、銀河帝国の考えを改めさせる為の一歩を踏み出すとしましょうか。」
 手に入れた抗体のサンプルを手に、ナイツとカプラ、残る二人も研究本部へと向かった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ヌル・プラニスフィア
とんでもないことを…ま、とんでもなさなら俺たちも同じか、《ジ》
『自力で抗体作り、なんて英雄気取るにも程があるぜ…ま、俺達なら出来るんだけどな』
違いない。
さあ、雷(f11091)。覚悟はいいか。

■SPD
実験体よりサンプルを回収
血、細胞、寄生体、可能な限りウイルスの動きと対抗手段を〔オルタナティブ・ダブル〕による別人格《ジ》と俺で解析する
【医術6】知識によるサンプリング、PCによる解析のための【ハッキング7】【メカニック2】、【世界知識1】で過去の症例も調べて結果を考察する
未知のウイルスの対処法を見つけようってんだ、最後の決めては【第六感1】かもな

生きてるさ、死んだら地獄まで殴り飛ばしに行ってやる


雷・春鳴
ヌル(f08020)と一緒に
なに……。実験するの?
抗体を作れば、いいんだね?
宇宙も機械もよくわかんないけど、人体実験はまあ…慣れてるから。役に立つなら手伝うよ。

【POW】
蜂の巣になった部分の体内からオロチウイルスを摂取する…。
そこに寄生している蜂に未完成の抗体を摂取させて、抗体を作らせる。
きっと耐えられなくて死ぬ個体もいるけれど、少しずつ。少しずつ。奴等は適応する筈。
ウイルスが俺の身体に回り辛くする為に、巣は広がっていくけれど…。
蜂が作った抗体は、今度は俺に与えられる。少しずつ。少しずつ。人の体に馴染む様に。

俺は、まだ……ちゃんと生きてる?
ああ、気が滅入るよ。早く、終わってくれないかな…。



「まったく、猟兵ってのはとんでもないことを考えるもんだな……ま、とんでさも加減なら俺たちも同じか、『ジ』」
『自力で抗体作り、なんて英雄気取るにも程があるぜ……ま、俺達なら出来るんだけどな。』
「違いない。さあ、雷。覚悟はいいか。」
 まるで会話をするかのように独り言をつぶやいていたのは、ヌル・プラニスフィア(das Ich・f08020)。厳密には独り言ではなく、彼は自身の中の一人格である、ジと会話していたのだ。彼等も今回の抗体作成に助力することとなったわけだが、被検体となるのはとなるのは彼らではなく、別の人物。
「宇宙も機械もよくわかんないけど、人体実験はまあ……慣れてるから。役に立つなら手伝うよ。」
 抗体を作るために、直にウイルスを取り込むのは雷・春鳴(迷子の跡・f11091)、彼の役割だ。
「よし、時間も限られてる。とっとと始めるとしよう。」
 二人は互いのユーベルコードを発動し、抗体作成へと取り掛かかり始めた。ヌルは、オルタナティブ・ダブルにより、先程までの会話の相手であるジを呼び出し、ウイルス解析の準備を始める。一方の春鳴は、自らの体を徐々に蜂の巣へと変化させていく。虚空の青――本来であれば、内部に巣くう青い蜂型のUDCに敵を攻撃させるのだが、今回は抗体作成のためにこの蜂を利用するつもりだ。普通の蜂であれば、当然オロチウイルスに耐えることができず、その多くが死滅してしまうだろう。だが、UDCである彼らであれば、被害を最小限に抑え、十分に適応できる個体が現れると踏んだのだ。
「うん、大丈夫だよな。きっと、多分。すぐに終わる。」
 自分に言い聞かせるように呟く春鳴。いくら人体実験に慣れてるとは言っても、やはり不安はあるようだ。勿論、未知の殺人ウイルスを体内に取り込むのだから、至極当然の反応ではあるわけだが。程なくして、死亡する個体と生存する個体が二分し始める。ヌルとジはサンプルを回収し、即座に解析を始める。だが、回収時には生存していた個体であっても、時間がたつにつれて衰弱し、やがて死に至る。当然、解析は難航していた。
「徐々に抗体の生成が進んではいるが……。」
「あぁ、まだ完全に毒性を中和するにまでは至っていないな。」
 ウォーマシンなどの生身を持たない者にも影響を与える特異なウイルス。ヌルとジはあらゆるパターンを試し、解析するも、満足のいく反応はなかなか得られなかった。しかし、時間がかかればかかるほど、春鳴は消耗していく。蜂の巣と蜂のもたらす抗体――もちろんn不完全なものではあるが――により、ウイルスの体内への感染拡大そのものは抑制しているが、徐々に広がるハチの巣はその特性上、彼の体を少しずつ蝕んでいった。
「俺は、まだ……ちゃんと生きてる?」
「生きてるさ、死んだら地獄まで殴り飛ばしに行ってやる。」
 だが、いまだに決定打となる反応が見つからない。抗体自体は生成されているが、どれも不安定で確実性に欠ける。ヌルは過去の症例等も調べてはいたが、やはり未知のウイルスということもあり、目星い情報は得られなかった。そんな情報があったのならば今この時点でこんな苦労をする必要はないなとジが笑う。
「ああ、気が滅入るよ。早く、終わってくれないかな……。」
 だが、目の前の状況は笑い事ではない。春鳴に痛みはないといっても、このまま打開策が見えなければ、彼の命にもかかわる事態だ。しかし、考えれば考えるほど、思考は泥沼へと嵌まっていく。それに比して時間は刻々と過ぎていく。
「ジ、一つだけ試したい組み合わせがあるんだが。」
 それはただの思い付きだった。何の科学的な根拠もない、ただの勘だ。だが、他にすがるものはない。ヌルは最初に死亡した蜂から体液を抽出した。生物に感染された個体が、微生物もろとも死ぬことによって、同胞への感染拡大を防いでいるという説がある。ならば、即座に反応したこの個体に何かしらの鍵があるのではないかと踏んだのだ。二人は急いで解析を開始する。
「……これだな。」
 注視していなければ見落としてしまうようなわずかな反応。だが、他のあらゆる反応より確かな反応。彼らはついに求める抗体へとたどり着いた。即座に抗体を春鳴へと投与する。経過は良好、しばらくすると先程まで青白かった顔色に血色が戻ってきた。同時に、蜂の巣と化した体も元に戻っていく。
「これで……実験は終わりですね。さあ、ミディアさんの所へ行きましょう……!」
 春鳴のふらつく体をヌルとジが支えながら歩み始める。その手に抗体のサンプルを握りしめて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三千院・操
オロチウイルス。あっちの方のドクターが作った殺人ウィルス、か。
あは、面白そうだね。とっても興味深い。どんな仕組みなのかわくわくする。
完全完璧にゼロから創造したのかな? それとも既存の菌類を弄ったのかな?
いずれにせよ、隅々まで見れば分かるよね。きひひ。

『サヴァンの叡智』を応用して情報を高速処理するよ。
オロチウイルスの遺伝子構造や感染経路、どれくらいの温度まで対応できるのかといったことを既存のウィルスと照らし合わせながら調査。
ウィルスを摂取した猟兵のデータもくれない? 色々見てみたいんだよね。

――わかってる。わかってるよ軋兄ちゃん。
こういうモノは、こうやって解明するんだよね。

※アドリブ・絡み歓迎


ヴィクトル・サリヴァン
まさかウイルスとまで戦わないとならないとはね。
自分でやるのは遠慮したい所だけどそうも言ってられないし。
それなりには頑丈だし何とかなる…といいな。

【POW】
直接摂取して耐える。
具体的には活力の雷を自分に流しつつ抗体作成に挑む。
抗体とウイルスは気軽にくいっと。同時にUC使用。
俺自身には免疫その他の生理機能、生命を維持する活動の加速、つまり活性化。
可能ならオロチウイルスの方にはその活動を可能な限り減速させるように働きかける。
強烈な毒性があってもそれは正常な体内環境で機能できればの話。
抗体に加え抵抗力を限界まで上げられた環境ならあとは体力勝負…ま、最後は気合いだね。

提出したら水浴びでもしてきたい気分。



「オロチウイルス。あっちの方のドクターが作った殺人ウイルス、か。あは、面白そうだね。とっても興味深い。どんな仕組みなのかわくわくする。」
完全完璧にゼロから創造したか、 それとも既存の菌類を弄ったのか。三千院・操(ネクロフォーミュラ・f12510)の興味は尽きない。だが、いずれにしても、隅々まで見れば分かることだ。きひひと不気味な笑い声をこぼしながら、操は解析のために準備を始めた。ウイルスがユーベルコードに類する何かではないかと考えた操は、【サヴァンの叡智】を使用することにした。このユーベルコードには、情報を演算子、高速処理するからがある。もし、ウイルスにも効果があるのであれば、遺伝子構造や感染経路、どれくらいの温度まで対応できるのかといったことも知ることができる。彼はこれまで蓄積してきた既存のウイルスの情報と照らし合わせながら、その情報を整理していく。
「――わかってる。わかってるよ、軋兄ちゃん。こういうモノは、こうやって解明するんだよね。」
サヴァンの叡智を使用したことによる幻聴なのだろうか、操は譫言のように誰かに語り掛ける。だが、その言葉通り、見る見るうちにウイルスの解析が進んでいく。彼がウイルスの基本情報を解析し終わるまでには、さほど時間を要しなかった。だが、肝心の抗体に関しては未だに手つかずだ。抗体を生成する被験者がいいないのであるから、当然といえば当然なのだが。
「うーん、やっぱりウイルスを摂取した猟兵のデータも欲しいな。 抗体もそうだけど、色々見てみたいんだよね。」
操が思案しながら周りを見渡していると、一人の猟兵に目が止まる。渡りに船とはこのことだろうか。彼のそばで今まさにウイルスを接しようとしている、シャチの姿をしたキマイラがいたのだ。

「まさかウイルスとまで戦わないとならないとはね。自分でやるのは遠慮したい所だけど、そうも言ってられないし。」
 ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は未知のウイルスのサンプルを眺め、己の行動を決めあぐねていた。勿論、自分の体躯には相応の自負がある。相応に頑丈であるから何とかなるとは思うが、なかなか踏ん切りがつかない様子だ。
「まぁ、なるようになるだろう。うん、きっと大丈夫。」
 自分に言い聞かせるような言葉を吐くと、ついにその覚悟を決めた。彼は勢いに任せてウイルスを摂取すると同時に、ユーベルコードを自身に向けて発動した。迸る電流が彼の四肢をわずかに痙攣させるが、その電撃によって傷つくことはなく、むしろ生気が漲っているようにも見受けられた。
ヴィクトルのユーベルコード――活力の雷には、電撃触れたものを癒す力がある。彼はその能力を逆手に取り、免疫やその他の生理機能、生命を維持する活動を活性化し、ウイルスへの抵抗力を高めようと考えたのだ。
「強烈な毒性があってもそれは正常な体内環境で機能できればの話だ。抗体に加え、抵抗力を限界まで上げられた環境ならあとは体力勝負……ま、最後は気合いだね。」
 活力の雷に癒しの能力がある一方で、術者の疲労もそれに比例して蓄積していく。疲労がたまれば当然、免疫力も低下する。どちらがくたばるのが速いか、ウイルスとの根気勝負になりそうだった。

「何やら、楽しそうなことをやっているみたいだね?」
 そんな様子を見ていた操がヴィクトルへと声をかける。
「別に楽しくはないんだけどなぁ……とっとと抗体のデータを提出で、水浴びでもしてきたい気分だ。」
 人を死に追いやる殺人ウイルスを体内に保持した状態で楽しいはずもなく、操の発言に対してヴィクトルは異を唱えた。だが、そんな彼の様子にかまうことなく、操は言葉を続ける。
「おれが手伝おうか?ウイルス自体の解析は済んで、ちょうど生のデータが欲しかったところからね。二人でやれば少しは時間の短縮になるかもしれないだろ?」
 操の言うことにも一理ある。現実問題として、今の自分には自身の体調というあいまいな尺度以外に抗体の生成状況を把握する術がない。若干の胡散臭さはあるが、ウイルスのことを把握している人物がいるのであれば、今の状況よりははるかにましだろう。ヴィクトルが軽くうなずくと、それを見た操がおもむろに彼の大きな腹部へと手を伸ばし始めた。
「あ、ちょっとまっ……」
 時すでに遅し。操の手がヴィクトルに接触すると、帯電していた電流が操へと一気に流れ込んだ。当然、彼はその圧力にやられ卒倒する。だが、それも一瞬の出来事。何事もなかったかのようにむくりと立ち上がると、操はヴィクトルへと親指を立てた。
「いやぁ、なかなかいい腹してたからさ、つい触っちゃったよね。」
 当然、彼の目的はそれではない―半分はそうなのだろうが―ヴィクトルの帯びるユーベルコードを受けることで、彼の体内の情報を解析しようと考えたのだ。結果は上々、免疫活性化の恩恵だろうか、ヴィクトルの体内にはすでに多くの抗体が生成されており、ウイルスも大半が不活性化していた。これだけあれば、サンプルとしては十分だろう。
「いまのって……俺の腹を触る必要はあったわけ?」
勿論、接触すればどこでもよかったわけだが、操は適当にはぐらかした。若干納得のいっていない視線を操にぶつけながらも、ヴィクトルはサンプルを届けるため、操と共に研究本部に向けて歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月16日


挿絵イラスト