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スーパーにゃんこの日！

作者：芦原クロ

「俺、将来は大金持ちになってさ、保護猫を一匹でも多く引き取りたいと思ってる」
　日本の、とある高校の一室で、男子生徒が語り終えると、聞いていた４人の男女の生徒が拍手をして。
「にゃんこの会は、にゃんこへの愛を決して忘れてはいけないんだ！」
「とか言ってて皆……実は気付いていないだろう。俺は気付いたぜ！　今年は２０２２年２月２日！　にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんの日になるんだ！」
　１人の生徒が立ち上がって大声をあげると、他の４人はざわついて。
「つまり、スーパーにゃんこの日！？」
「めでたい日じゃないか！　これは何か、特別なことをしなければいけないんじゃないか！？」
「猫カフェ巡り？」
「いやそれは、いつもしてるわよ」
　ああでもない、こうでもない、と議論している４人。５人目のにゃんこ会員の男子生徒だけが、１人黙り込んでいる。
　数秒経過して、その男子生徒は声を上げた。
「あのさ、噂だから百パー信じることは出来ないんだけどさ……にゃんこ神って居るらしくてさ。召喚の儀？　とかいうのをやれば、にゃんこに関する事なら一日だけ叶えてくれるとか……」
「やろう！！」
　即答する、４人。
　噂通りの儀式を始めるべく、猫のぬいぐるみを廊下側の扉へ置き、扉を閉めて鍵を掛ける。
　５人はスマホを取り出し、自分達が撮った中で最高と思う猫達の画像を開くと、どこからともなく聞こえて来る声。
『にゃんこは全てのものに癒しをくれる、尊い存在……それを分かっていて、私を呼んでいるの？　悪戯なら、許さない』
「俺ら全員、にゃんこへの愛は海より深いぜ！　にゃんこ神、願いを一日叶えてくれるっていうなら……」
「たくさんの猫に囲まらせて下さい！」
　頭を下げる、一同。
『貴方達の本気、分かったわ。……完全体で顕現出来たら、にゃんこ以外の動物を消せる。そうすれば、にゃんこだけの楽園が出来る』
　後半は小声で呟いていた為、喜ぶ５人の生徒達には聞こえなかった。

「この学園でUDC怪物が召喚される予知が出ました！　放っておくと大暴走して、猫以外の生き物を殺害してしまいますし、殺害対象は人間も含まれていますし、とにかく大変なのです！　みなさん、力を貸して下さい！　UDC怪物の召喚を阻止して欲しいのです！　失敗しちゃっても、UDC怪物を全部倒せば大丈夫です！」
　慌ただしく、持って来た資料を広げる、ノア・アルヴァストライン（キマイラのサイキッカー・f35184）。
　資料には学園の場所、校舎内の正確な見取り図などが記載されている。
「今回、召喚の儀式をする女子生徒さん２人と男子生徒さん３人、みんな猫さんが大好きで、UDC怪物も猫さんを愛しているようです！　猫さんに関する言動や、猫に変身したりすれば、攻撃する気も起きなくなるくらい、UDC怪物は夢中になります！」

　転送先は、部活動が始まる、放課後の時間帯の校舎内。
　部員だけでなく、居残って友人と会話を弾ませている生徒も多い。
　聞き込み調査をすれば、儀式が行なわれる教室の場所を、特定出来るだろう。
　件の生徒達の説得や、儀式の妨害を行なうのが最善だが、扉には鍵が掛かっている為、スムーズに進行出来るかが不安要素と云ったところだろうか。

「UDC怪物の討伐は、みなさんにしか出来ません！　みなさん、どうかよろしくおねがいします！」
　説明を終えた後で、深く頭を下げた。

第1章 冒険 『UDC召喚阻止』

POW   :    UDCの発生原因となりそうなものを取り除く SPD   :    校内をくまなく調べ、怪しげな物品や痕跡がないか探す WIZ   :    生徒達に聞き込みを行い、UDCの出現条件を推理する 👑7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

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　件の校舎内に到着するなり、廊下のプランターを調べ始める、雪・兼光（ブラスターガンナー・f14765）。
（「今回、手を引いている奴がアレなら、生前の肉体の記憶とか利用して花とかにも細工しているはず。食料は必要だろ？」）
　どうやら今回のUDC怪物に、心当たりが有るようで。
　何かしらの細工が施されていないか、と。念入りに、花壇のほうまで行き。
「……とにかく探すか」
　怪しい痕跡や細工を探し、見つければ即撤去。
「猫が触れると皮膚炎をおこすカーネーション……猫が食べると内臓がやられるバラ、菊、ツツジ、ポインセチア、ヒヤシンス、チューリップ、紫陽花、かすみ草、ユリ」
　花の名と効果を無意識で声に出していると、園芸部らしき女子生徒が２人、兼光を見て目を丸くした。
「え、どういうこと？　イケメンが花見てるよ？」
「猫って呟いてるね、あのイケメンさんは花と猫が好きなのかな？」
（「猫が食べても良い花を時期関係なく、室内に置いているかもな」）
　思案していた兼光だったが、２人の会話が耳に入ると、そちらのほうへ振り向いて。
「猫といえば、あのヤバい会の人が、お昼休憩の時に１人で高笑いしてたんだよね」
「やっぱあの会、まともじゃないよね。正式な部じゃないし、勝手に作ってるだけだもんね……って、ちょっと、イケメンさんがこっち見てる！」
　女子生徒２人は兼光を意識し、顔を赤らめ。
「開花時期じゃないが、胡蝶蘭とキンレンカは育てているか？　見たいんだ」
　声を掛けると、女子生徒２人は赤面しつつ緊張気味の様子で、開花時期では無い花も育てている別室へ案内する。
（「利尿作用や口臭予防のほか、リラックス効果に、カモミール……他には安全なガーベラ、ぐらいだな。何かしらの呪文の痕跡があるかも」）
　花々を細かくチェックする兼光に対し、２人の女性生徒は兼光をうっとりと見ているのだった。

「よーし、今回は息子のコロと調査だにゃ！」
「ママと一緒にUDCの怪物のことを調べるぞ～！　……じゃなくて、調べるにゃ～！」
　愛らしいケットシーのココ・エネコ（夢と希望の執行猫・f32999）と、語尾に猫語を付け直す、コロ・ヴァッハ（星と正義の血を引く子・f35820）。
「へへ、猫語は雰囲気でしょ♪」
　ココが明るく言うと、コロも元気に頷いている。
「さて！　僕は学校内の高いところに昇ったり、狭いところに入って調査していくにゃ！　怪しいものを見つけたらママに報告にゃ！」
　地形の利用を用いて、早速調査に向かう、コロ。
「コロの身のこなしは私も太鼓判押してるから任せても大丈夫にゃ♪　　でも、コロが寄り道して遊んだりしてたら叱らなきゃ……」
　後半はほんの少しだけ、困った表情で。
　運動や散歩が好きで活発なコロは、わんぱく気質だ。まだ幼い為、色々な物事に目移りしてしまうかも知れない。
　興味を惹かれる物事が有れば、調査も忘れて夢中になるかも知れない。なので、たまに合流して、情報交換をする、という約束をココは事前にしておいた。
「私は重いものをどかしたり動かしたりして、隅々まで学校内を調査していくのにゃ！」
　ココは怪力を使い、記念碑などを壊さないように退かし、下になにか無いかとチェックする。
　いくつかの銅像や記念碑の下に、猫のストラップが半分埋まっているのを見つけた、ココ。
　それらを念の為、全て回収した頃に、コロが駆け足で戻り。
　両手にリンゴや柑橘類などの果物を抱え、目をきらきらさせて。
「ママ！　美味しそうな果物をいっぱい見つけたにゃ～！」
　それらは完全に無関係で、ココも察し、完全に寄り道していた我が子を叱ろうとした、矢先。
「わー、可愛くてキレイ系の猫さんじゃーん」
　ひょいっとココを抱き上げた女子生徒が、ココの頭を優しく撫でて。
「あのヤバめな会の連中に見つかったら、大変じゃない？　逃がしたほうが良くない？」
　数人の女子生徒が、ココとコロを優しく抱き締めたり撫でたりしながら、会話をして。
「その会の人達は何処にいるにゃ？」
　使われている教室を聞きだし、礼を言ってからするりと難なく女子生徒の腕の中から抜け出し、ココとコロは急いで向かった。

（「このセイフクというのに袖を通すのは何回目だろう。UDCアースに一人で来た場合は必ず着用している気がする」）
　この学園の制服に、着替え終えたシビラ・レーヴェンス（ちんちくりんダンピール・f14377）は、動きやすいかどうかを判断する為、人気の無い場所で走り出し、壁を蹴って、くるりと身軽に跳躍。
　組織が用意した制服なので、やはり動きやすい。
「とにかく敷地内を調べてみるとするか」
　呟き、一歩足を進めてから、シビラの脳裏によぎる、今までの学園での対応。
（「理由は不明だが、今迄の経験上で私がうろつくのは目立つことだと理解した」）
　人並み外れた美貌と魅力に、シビラ自身はまったく気づいていない。
（「だから今回は代理人たちに情報収集をしてきて貰う。もう女の生徒の質問攻めやスキンシップは非常に困る」）
　小さい援軍を発動させ、黒いヴェールをかぶった手乗りサイズのシビラを召喚。
　手乗りサイズのシビラ達は皆、支援に長けている上、数も多い。
　迷彩の力を使わせ、噂話を三人一組で集めてきて貰うようにと頼む、シビラ。
「学園の人間達には決して見つからないようにするんだ」
　念押しまでするが、手乗りサイズといえども、自分だ。問題は起こさないという、確信は有る。
「魔力の痕跡の反応が少しでもあれば上々だが……さて」
　シビラ自身は、身を隠しつつ、気になる場所は電脳ゴーグルで探り始めて。
　女子生徒が視界に入ると、ふと思い出す、とある少女の事。
（「あの少女にはもう一度だけ会いたいかな。まあ偶然でもない限りはこの学園に居ないだろう」）
　シビラが懐かしげに考えた直後、声が掛かる。
　全力で走っているのだろう、息を切らしながら近づいて来たのは、シビラが思い出していた少女だった。
　少女はシビラを近くで見て、納得し、「やっぱりあの時の……」と、嬉しそうな反応を見せる。
（「ふむ。丁度いいから少女に学園の噂話でも聞いてみようか。“ついで”に彼女の生活を聞くのも悪くはない」）
　シビラが噂話について問えば、この学園にもやはり有る、と。
「猫の神様って言われてるけど、猫の姿ではないらしいんです。でも、誰も見た事が無いので、謎のままなんですよね。……あ、猫と言えば、今日は猫のグッズをあちこちで見かけました」
　完全に、儀式用だ。
　シビラが、にゃんこの会についても尋ねれば、彼らが拠点としている教室まで教えてくれた。
　最後に、生活について聞けば、転校して楽しい学園ライフを送っているそうだ。
　また会えたら……と、少女は思っていたようで、シビラに会えて嬉しいと素直な感想まで発して。
　何度か言葉を交わし、終えると、シビラは早く帰るようにと促す。
　少女は察したのか、シビラの身の安全を願ってから、走り去り。
　聞きだした教室へ向かいながら、シビラは、目につく猫系の不審物をしっかり排除していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第2章 集団戦 『偽りの自由を手に入れた人形』

POW   :    存在を代価に願うもの 自身が戦闘で瀕死になると【邪神と再契約をし、ボロボロになった自身】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。 SPD   :    略奪をもってしても得られぬもの 技能名「【盗み攻撃】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。 WIZ   :    手に入れたものを捨ててでも手に入れたいもの 【自身の動く体の一部】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【邪神の加護をさらに増した形態】に変化させ、殺傷力を増す。 イラスト：香 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

●
　教室の中で、件の生徒達は儀式を続けていた。
『……変だわ。必要な物が、何らかの理由で消えてる？　……このままじゃ、完全体で顕現出来ない』
「えっ！？　にゃんこ神、俺らの願いを叶えられないんっすか！？」
『大丈夫、配下に探らせてみるわ』
　そう言い、ボスUDC怪物は、配下のUDC怪物をどんどん呼び出す。
　教室いっぱいになるまで出て来た配下の所為で、２人の生徒が廊下側へ押し流された。
『全員戻って来て。祈りを続けなさい』
「いやこれ、入れないよ。教室いっぱいじゃん」
「にゃんこ神、無茶っすよ……」
『じゃあちょっと、整列させるから待って』
　ボスUDC怪物が、配下のUDC怪物に命令させようとした、その時だった。
「……」
　シビラ・レーヴェンス（ちんちくりんダンピール・f14377）が、到着するなり、無言で黒の猫耳カチューシャを装備。
（「猫関連の言動で戦う意思が消えるとの助言を参考にしよう。言動で意思が消失するなら相手が猫耳ならどうだろう？　効果はないと考えるが、しないよりはマシだろうかな」）
『にゃんこおおおおお！！！』
　ボスUDC怪物、大興奮。
　配下のUDC怪物も、視線が釘づけ状態で、隙だらけだ。
　召喚を阻止する側なので、攻撃はされるだろうと予測していたシビラだったが、UDC怪物達は攻撃の体勢にすらなっていない。
『黒にゃんこ激可愛い！！　愛でまくりましょう！』
（「ふむ。このUDC怪物達には私が猫に見えるのか？　阿呆なのか？」）
　ボスUDC怪物の声が響き渡ると、シビラは呆れ顔で。
　配下UDC怪物達は攻撃意志も無く、シビラの頭を撫でたり、「黒にゃんこ可愛い」と言い合ったりしている。
（「黒猫可愛いだと？　……いや。私が何に見えているんだこの子らは」）
　試しに、シビラが様子見がてら攻撃してみるが、反撃が来ない。
（「……まさかこんなに絶大な効力を発揮するとは考えなかった……相手が反撃をしてこなくとも私は倒していくぞ。……疲れた」）
　早業と高速詠唱を駆使し、全力魔法と破魔が付与された砕霊呪を展開。
　敵の邪心のみを攻撃するものだが、やはり反撃は無いまま、UDC怪物達は消滅してゆく。
　中には、『黒にゃんこからのご褒美……』と呟いて消えてゆくものまで居る。
　一体ずつ確実に仕留めていくシビラは、敵が喜んでいてもスルー。
　いつ反撃が来ても良いように、敵の動きを見切り、野生の勘と第六感を働かせて死角からの攻撃を回避する気で。
「ご褒美？　とはなんだろう？　邪な精神を持つ存在には……かなりの苦痛の……はず……なんだが……？」
　理解不能な敵を相手にし、シビラは疲れを感じている。
（「とても疲れる。なんだかとても精神的に疲れる。……これがこの人形達の真の攻撃？」）
　疲労を抱えながらも、シビラはなんとか配下UDC怪物達を次々と消滅させて。

「わっ！　敵がいっぱい！」
　教室に辿り着き、大勢の配下UDC怪物を目の前にして、驚きの声を上げる、コロ・ヴァッハ（星と正義の血を引く子・f35820）。
「ここはママと一緒に戦うよ！　足でまといにならないようにしなきゃ～！」
　やる気十分なコロが、ココ・エネコ（夢と希望の執行猫・f32999）のほうを向く。
「ごろなぉ～ごぉ～♪」
「……ってママ！？　なんで猫の仕草してるの！？」
　ココは床に転がり、愛くるしいポーズをとっていた。
「ふふふっ～……ケットシーの可愛さを武器に、敵たちをおびき出して油断を誘うわよ～♪」
「え？　……油断を誘うため？　なるほど！」
　ココが前足で顔を洗うような仕草をすれば、UDC怪物達も、残りの生徒達も黙り込んで、幸せそうな表情で魅入っている。
　コロは真似をする為か、じーっとココを見ていて。
（「こ、コロが見てるのめちゃくちゃ恥ずかしいけど……あとでコロに猫の真似は誰にも話さないように言いきかせなきゃ」）
　多少恥じらいながらも、猫の甘えるような鳴き声を出し、敵の注目を集めるココ。
『愛でたい！　撫でたい！　儀式を早くしなさい！』
　ボスUDC怪物の声が響くと、魅了されていた生徒達がはっと我に返り。
　が、コロが残りの生徒達をくいっと引っ張れば、その愛らしさに、でれでれになる生徒達。
　一度教室からコロが出れば、残りの生徒達が全員、追い駆けて来る。
　それを確認した上で、コロはダッシュ。
「にゃんこちゃん待ってー！」
　生徒達は全員、コロを追い駆けて。
　ほんの僅かな時間で、コロは戻って来た。
　どうやら、上手く撒いて来たようだ。教室の扉に鍵を掛け、生徒達が戻って来れないようにする。
「お？　コロ偉い～」
「これで儀式は出来ないね！　僕はUCを使用して隙を見て敵を蹴散らすよ」
　コロは褒められて嬉しそうに笑うが、直ぐに戦闘態勢に入り。
　隙だらけのUDC怪物達を前に、コロは闘気を全身に巡らせ、自身の戦闘力を底上げ。
　コロがUDC怪物達へ攻撃を仕掛けると同時に、ココは敵の足を掴み、怪力を用いて敵を振り回し、周囲の敵達にもダメージを与えて。
　瀕死状態になり、ボロボロになったUDC怪物が召喚されるも、ココは一声、猫声を出せばUDC怪物達は動きをピタリと止め。
（「ボロボロになった敵が出てきてもコロがそれを倒しちゃう算段よ～♪」）
　ココの思案通り、多くのUDC怪物達を、コロが消滅させていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　化術を使い、猫の耳と尻尾を生やした、ドゥルール・ブラッドティアーズ（狂愛の吸血姫・f10671）。
　猫では無くとも、耳と尻尾があれば良いのか、UDC怪物達は触りたそうにドゥルールへじりじりと近づき。
　美少女のUDC怪物達に、触られたい本心を抱いているドゥルールは、なんとかそれを抑えて。
　横になって欠伸をし、片手で顔を洗う仕草などをすれば、歓喜の声を上げるボスUDC怪物と、配下UDC怪物達。
「気安く触るニャ」
　触ったり撫でようとするUDC怪物達の手が迫るが、それらを見切り、手や尻尾でぺちっと叩いて阻止する、ドゥルール。
　特に尻尾で叩かれたUDC怪物達は、あまりの喜びから身を震わせている。
　ドゥルールも暫くは我慢していたが、長くは続かず、大胆にスカートを自ら捲り上げて腹部を見せ。
　いくらでも触れて良いとばかりに、誘惑と催眠術を使って魅了する、ドゥルール。
　UDC怪物達は我先にとドゥルールを撫でまくり、耳や頭を撫で、敏感な尻尾の付け根をも刺激して。
「ふにゃぁぁ……そんなに触られたらぁ……」
　語尾にハートマークが乱舞するほど、甘く艶やかな声を出す、ドゥルール。
「あぁん、もう我慢できない！！」
　高まるムラムラを抑えられず、発動するUC狂愛。
　二頭身の小さな分身体がドゥルールの強さ分、現れて。
　念動力と空中戦で分身体をUDC怪物達のあちこちに飛ばし、甘えるように頬ずりする姿に、UDC怪物達もメロメロになり、完全なる部防備状態となっていた。
　甘えながらも、そんな彼女達の生命力を吸収する事は、ちゃっかりしているドゥルールだった。

「あらあら……。ふふ、ご安心を。お手伝い致します」
　現場に到着した土御門・泰花（風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833）だが、大勢のUDC怪物を前にしても、柔和な笑みを崩さない。
『にゃんこじゃないけど、モフモフ……』
　腕が鳥の翼になっているヴィヴィ・ジーヴ（いつも誰かのお手伝い・f22502）を見て、ちょっと心が揺れている様子の、ボスUDC怪物と配下UDC怪物達。
「あまりお手手は見ないでね、女の子の秘密よ」
　焦って翼をささっと後ろ側へ隠す、ヴィヴィ。
　気になるのか、複数のUDC怪物達が、ヴィヴィに接近し始めた瞬間、援護射撃の銃弾がUDC怪物達に浴びせられ。
「そんなに纏まってたら、撃って下さいって言ってるようなもんだぜ」
　日に焼けた肌、男と変わらない口調で笑うのは、柊・りりあん（人間のサバイバルガンナー・f35996）だが、気高い美しさをどこと無く纏わせていて。
　他の猟兵達が弱体化させてくれたUDC怪物達を、銃火器で片っ端から撃ちまくる。
　一方で、反撃が来る可能性を考慮し、早業で自分と仲間達に、オーラ防御と結界術を展開して、護りを固める、泰花。
　その間の泰花が狙われないよう、乱れ撃ちで配下UDC怪物達に弾丸を浴びせる、りりあん。
「ビビは素早いの、苦手」
　ヴィヴィがUDC怪物の足を掴み、軽々と持ち上げる。
「だからね、一撃ドーンっ！　が好きだよ」
　掴んだUDC怪物を振り回し、周囲のUDC怪物達へぶつけてダメージを与えながら、最終的には床にドーン！　っと、派手な音を立ててめりこませる。
「豪快で良いな」
　銃弾を装填していたりりあんが、にいっと口元を上げて笑みを見せ。
「ビビ、蹴るのも投げるのも得意よ」
　天井ぎりぎりの位置で飛行し、得意の怪力を使っての、蹴撃。
　ヴィヴィは隙を逃さず、投げ技に移る。
　弱体化しているUDC怪物達は、次々と消えてゆき。
　ヴィヴィの攻撃の邪魔にならぬよう泰花は技能を活用し、上手く移動して残りのUDC怪物達を巴形薙刀【菫】で薙ぎ倒す。
　２回攻撃を繰り返し、更には黒揚羽の式神も使い、UDC怪物に呪詛をかけたり攻撃をさせたりする、徹底ぶりだ。
「残りはオレが貰うぜ」
　りりあんによる、早業からの銃撃。
　最後に残った数体のUDC怪物達にダメージを与え、完全に消滅させる。
　配下のUDC怪物は、これで全て倒された。
『……もう我慢出来ないわ』
　怒っているのか、低く、重々しい声が響く。ボスUDC怪物の声だ。
『完全体じゃないけど、私にもにゃんこを！！』
　どこまでも、にゃんこを求めるボスUDC怪物は、不完全な状態で顕現した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

第3章 ボス戦 『花の魔法使いだったもの』

POW   :    魔法の双錘 自身が装備する【魔法の双錘】から【闇の波動と漆黒の煙と多種多様な花弁】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【気絶、激痛、火炎、氷結、幻惑のどれか】の状態異常を与える。 SPD   :    この体が覚えている格闘戦術 【花の花弁と魔力を纏った自身の両手両足】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【殴った感触と生体エネルギーと反応】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。 WIZ   :    煙と植物の龍 【煙を纏った体に多種の花が咲いている邪竜】に変身する。変身の度に自身の【花の種類】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。 イラスト：熊木 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

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　ボスUDC怪物が現れても、ドゥルール・ブラッドティアーズ（狂愛の吸血姫・f10671）は化術を解かず、無防備にお腹を見せて。
「にゃぅん……」
　ハート乱舞な鳴き声を上げ、ボスUDC怪物を誘惑する。
『ふふふ、そんな手に……全力で引っ掛かるわよぉぉおおお！！』
　ドゥルールの頭やら背中やらあちこち、愛情のこもった優しい手つきで撫でまくる、ボスUDC怪物。
　そんな隙だらけのボスUDC怪物に、催眠術を素早くかけて。
『美味しそうにご飯食べてる、可愛いわ！　初めてのお風呂かしら、ふふふ……私に任せなさい！　ああ、こんなに愛くるしいにゃんこ様と添い寝だなんて……はぁはぁ！』
　ボスUDC怪物が大興奮しているのは、催眠術によって、ドゥルールが幻覚を見せているからだ。
　餌付けに、お風呂、一緒に布団で寝る、などの幻だけで、こんなにも激しく興奮するボスUDC怪物。
　更にドゥルールは鼓舞を用いて、自分を飼いたいという欲求を強くさせる。
『飼いたいわ！　でも飼うなら、にゃんこ様に相応しい高級マンション、そして高級なにゃんこグッズや高級な餌が必要になるわね。人間を殺してお財布を奪えば良いのかしら？』
　物騒なセリフを平然と吐く、ボスUDC怪物。
　ドゥルールは素早く女帝の交渉を展開し、自身の懐から札束を披露。
「これで世話代も引っ越し代も解決よ★」
　頼もしい言葉を放ったかと思えば、唐突にボスUDC怪物に抱きついて。
「お金あげるから、一緒に居させてニャン……♪」
　匂いを付けるように、ボスUDC怪物に頬ずりする、ドゥルール。
　ボスUDC怪物はあまりの幸福感から一時的に放心状態となり、その機会を逃さずに生命力吸収を使うドゥルールだった。

（「何故か思いきり私の方を凝視している気がする」）
　シビラ・レーヴェンス（ちんちくりんダンピール・f14377）は、さっと視線を少しだけ逸らす。
　気がする、では無かった。ガチで見ていた。いや、見まくっていた。
『ちっちゃくて愛らしい上に、ミステリアスな銀色の毛と黒耳が絶妙に合っていて可愛過ぎるわ……抱きかかえて撫で撫でしたいわぁ』
　うっとりと呟くボスUDC怪物の言葉が聞こえて、背筋に寒気が走る。
（「わからんことを呟いていて近寄りたくないな。……そうか。この存在も先程のと思考が同じなのか…」）
　ならば、やることは同じ。
　今回のUDC怪物達は、シビラにとって、精神を疲弊させるタイプのようだ。
「やれやれだ……」
　溜め息交じりに呟けば、『気だるげな姿も素敵！』と言われる始末。
（「他の者達と連携をしてもいい。協力をしてもいい。とにかく早く帰りたい。……近くの喫茶店で茶でも飲みたい」）
　その思考が、シビラの切実さとメンタル的な限界値を物語っている。
　まるでその願いが届いたかのように、他の猟兵が到着。
　ボスUDC怪物は、物色するように猟兵を見て。
『にゃんこ耳カチューシャがつけられそうな子……』
　猫耳カチューシャいっぱい持って、なにか言っている。
（「邪神は流石に攻撃や反撃をしてくるだろうから警戒を……」）
「ひっさーつ！」
　猫耳カチューシャをつけられた赤星・緋色（サンプルキャラクター・f03675）だったが、そんな事など気にせずに跳躍し、ガトリングで属性弾を連射して弾丸の雨を降らせ。
『強いにゃんこ様も良いわぁ』
（「警戒、を……？」）
　半分ボロボロ状態になりながらも、ボスUDC怪物は反撃しない。
　それでも念の為、シビラは警戒態勢を崩さずに移動し、パフォーマンスと封印を解き、自身を強化。
　緋色もオーラを纏い、防御を固める。
　ダッシュからの跳躍後、緋色はボスUDC怪物を容赦なく踏みつけて。
「今のは猫っぽかったかな？」
　直ぐに離れつつ、悪戯っこのように微笑みながら問う。
『はぁはぁ、猛烈にオイシイです』
　興奮とダメージ半々、な状態でボスUDC怪物が答えた瞬間、高速詠唱で行使された砕霊呪が、ボスUDC怪物に直撃。
　限界突破後に全力魔法と破魔を付与した、シビラの攻撃だ。
　吹き飛んだボスUDC怪物が起き上がるが、やはり反撃の様子無く。
『ありがとうございます、爆裂にオイシイです』
　もう少しで消滅させられそうだと云うのに、反撃せず、悦に浸っている。色んな意味で、危ない。
（「ご褒美と言わないだけマシなんだろう。マシなんだろうが……礼を言われたのは初めてだ」）
　さっさと終わらせたい、という気持ちが、シビラの瞳に浮かんでいる。
（「邪神を滅ぼした後、この学園周辺で少し店を探すとしよう。帰宅し、好みの紅茶をゆっくり飲むのもいいが……滅ぼしたら即、飲みたい。贅沢を言うなら今飲みたい」）
　現実逃避じみた思考を巡らせる、シビラだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

「何をお手伝いしましょうか？」
　到着したシャルファ・ルイエ（謳う小鳥・f04245）は敵を見て、翼をふわりと動かし。
「もふもふの動物が居ます」
　ボスUDC怪物を見て、シャルファは瞳を丸くさせ。
　触って良いか確認する為、ボスUDC怪物の周りをふわふわと飛び回り。
「素敵なもふもふに、触れても良いですか？」
『にゃんこ様にしか触らせないわ！』
　我慢出来ず、ボスUDC怪物にシャルファは問うが、ボスUDC怪物はざっくりと拒否。
「説得？　と言っていいのか不明ですが……要求には応じない、という事でしょう」
　和田町・いずみ（人間の電脳魔術士・f07456）が冷静に伝えれば、シャルファは残念そうに肩を落とし。
　心なしか、オラトリオ特有の翼も花も、元気が無く。
「シャルファ様が友好的なモフモフに出会える事を願い、この場は戦闘を優先致しましょう」
　マルガレータ・フォルシアン（フォルス・ザ・モンスター・f16583）はバイオミック・オーバーロードを素早く展開し、怒りの感情を爆発させて。
　感情の強さに比例し、戦闘能力を増大させ。
　ボスUDC怪物を引っ掴み、怪力を発揮させて吹き飛ばす。
　魔法の双錘で反撃を試みるボスUDC怪物は、多種多様な花弁を放ち、場に居る全員へダメージと状態異常を付与して。
　負傷したマルガレータだが、多少の傷と判断して、傷には構わず積極的に攻撃を続ける。
「怪我の治療やちょっとした支援ならお任せ下さい」
「頼りになります！　素敵な歌声ですね～」
　シャルファが浄化を込めた美しい歌声を響かせれば、いずみが尊敬の眼差しを向けて褒め。
　お互い、友好的な気質も有って、戦闘中でも言葉を交わし合い。
「猫に関する歌とか、歌えます？」
「歌ってみます」
　いずみの要望にシャルファは応え、破魔や属性攻撃を付与した歌唱を、ボスUDC怪物に向けて。
『これは……にゃんこ様の歌！？』
　ぴくりと反応したボスUDC怪物の隙を逃さず、いずみは世界知識と流行知識と学習力をフル活用し。
　世界中の猫達について語れば、ボスUDC怪物は今度はいずみに反応し、夢中で聞き入って。
　歌が終わった事にすら気付いていない、隙だらけのボスUDC怪物。
　窓から外へ出て空中を飛んでいたシャルファは、空中戦の技を使用し、狙いを定め。
　高速詠唱をし、破魔を付与した全力魔法に、範囲攻撃も加え。
　いずみも戦闘知識と属性攻撃で、シャルファと同時攻撃を行ない、ボスUDC怪物にダメージを与えて。
　多重詠唱で再びの全力魔法を次々と放ち、ボスUDC怪物に攻撃を畳みかける、シャルファ。
「出来れば仲良く、お話ししたかったです」
　寂しげに目を伏せるシャルファが窓を通って戻って来れば、ボスUDC怪物は消滅寸前で。
「話相手なら私が居ますよ！」
　挙手をするが、そういう意味では無いという事を、いずみは理解していない。
『私を倒したところで……にゃんこ様が愛される限り……第二、第三の邪神が現れるに決まってるわ。それだけ、にゃんこ様は尊い存在なのだから』
　フフフ、と怪しく笑いながら、ボスUDC怪物は完全に消滅した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2022年03月07日