5

リア充は爆発しろ！

作者：芦原クロ

　UDCアース。日本の、とある学園で。
「……うち、カップル率増えたと思わないか？」
「増えたよな。年末年始、バレンタイン、ホワイトデー、それから新学期と花見が追加で更に増えるんじゃね？」
　男子生徒の憂うつそうな溜め息が四人分、放課後の空き教室に響く。
「もうさ、マジでさ、リア充増え過ぎなんだよ！　キャッキャウフフしやがって！」
「年末からリア充スタートって感じだよな。心残り無いように告白する、的な……もう定番だけどさ、」
　言葉を区切り、四人は同時に叫ぶ。
「リア充、爆発しろっ！」
『違います……本当の始まりは、クリスマス。クリスマスから、リア充が増えるんです』
　謎の女性の声が聞こえ、四人の男子生徒はお互いに顔を見合わせて。
『貴方達が私を召喚してくれたら……私が、リア充の居ない世界を作りますよ』
　流石にそんな事は出来ないだろう、と思いながらも、半信半疑の気持ちで。
　肝試しをする感覚で、四人の男子生徒達は声の通りに儀式を始めてしまった。

「リア充、と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか？　恋人同士でしょうか。仲の良い友人同士でしょうか？　リアルが充実しているのなら、ボッチだろうとリア充な気がしますが。……今回は、リア充を敵視する男子生徒達の心に付け込んだUDC怪物が、召喚の儀式を行なわせようとしています」
　放っておけば完全体で顕現し、多くの命が失われてしまう。
　死傷者を出さない為に、召喚を阻止しなければならない。
「……仮に阻止が失敗しても、UDC怪物を全て撃破すれば大丈夫ですよ」
　淡々と冷静に説明をする、柴山・アキト。
「リア充に過剰反応するUDC怪物のようなので、引きつけ役として、恋人や友人などと共に向かうのが良いかも知れませんね。仲の良さを見せつければ、このUDC怪物も配下達も弱体化する筈です。問題は、生徒達の説得でしょう。共にリア充を敵視出来る仲間が居る時点で、リア充なのでは？　といった言葉をぶつけてみるのも、良いかも知れませんね。経験豊富な皆さんの判断に、お任せします」

　転送先は学園付近の、人気の無い場所。
　時間帯は放課後なので、部活動や友人との会話で残っている生徒が多い。
　まずは校内の調査や聞き込みをする事で、儀式が行なわれる教室を特定し、説得や儀式の妨害をするのが最善だろう。
　予知の段階なので、UDC怪物はまだ召喚されてはいないが、儀式は開始寸前の状態だろう。

「皆さんの力が必要です。どうか死者を出さず、UDC怪物を撃破してください」

第1章 冒険 『UDC召喚阻止』

POW   :    UDCの発生原因となりそうなものを取り除く SPD   :    校内をくまなく調べ、怪しげな物品や痕跡がないか探す WIZ   :    生徒達に聞き込みを行い、UDCの出現条件を推理する 👑7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●
「そう全ては、クリスマスから始まるのよ」
　現場に到着した斑染近・紬姫は即座に、UCを発動。
　校内をくまなく探索し、ハズレの教室を見つける度に、UCの効果で身体能力は上がり。
　走る速度が上昇して、素早い身のこなしで次々と教室を回る、紬姫。
（「遠回りでも、迷い道でも、必ず辿り着く場所があるのよ。儀式だって、止められるわ」）
　耳を澄ましつつ走り続けて、男子生徒４人の「リア充、爆発しろっ！」と響く声を逃さず。
「なかよし儀式は、ここかっ！」
　教室の扉を開ければ、声の指示通りに儀式を始めた男子生徒達が視界に入って。
「リ・ア・充・根・絶！！」
　力いっぱい叫ぶと、男子生徒達は驚いて紬姫のほうに振り返る。
「リア充を討ち果たし、過ちの正された真の平和な世界のために、あーしは、戦い続けるしかないのよ」
『同志ですね。共に、リア充の居ない世界を作りましょう』
　UDC怪物も反応し、紬姫へ誘いの声を掛けて。
「でも、命を奪うのは違うと思うわ。肉体という枷とも言える器を捨てて、魂でいちゃつかれても不快でしょうし」
「魂で！？」
「それはもっとイラつく！」
　紬姫の的確な言葉に、男子生徒２人が儀式を中断。
『確かに……魂でいちゃつかれるのは不快ですね。でも私が完全体で顕現出来れば、魂も消滅させられる気がします』
　だから儀式を続けるようにと、UDC怪物は男子生徒達を急かす。
「リア充デリートは、あーしの使命よ。オブリビオンに横取りされても癪だから、競争相手潰しは必須よね。召喚される前の段階で止めてやるわ」
『同志なのに争うのですか？』
　理解出来ない、といった様子でUDC怪物が戸惑いの声を響かせて。
「なかよし儀式してる時点で、あーしにはリア充にしか見えないのよ。リア充爆発スべし！　慈悲はないわ！」
　声高々に主張する紬姫に、男子生徒達も自分達の仲の良さに気付かされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　戸惑い、儀式を進められない男子生徒達が居る教室へ、ミーガン・クインとミルディア・ディスティンが駆けつけて。
「仲良く同じことをしてるのはリア充？　だと思うにゃ！」
　ミルディアが男子生徒達に、ビシッと人差し指を突きつけて。
「そうね。どう見ても仲が良くって、共通の話題で話し合えて、あなた達はリア充だと思うわ」
　続いて同意するミーガンの言葉。
　男子生徒達はお互いの顔を見合い、話し合いを開始。
『同志に恵まれていたとしても、彼らにとってのリア充であるかは、また別の話でしょう？　彼らは恋愛関係のリア充が憎い。それが事実です』
　ボスUDC怪物の声が響くと、ミルディアは小首を傾げて。
「リア充って、色々有るのにゃ？　恋愛関係のリア充が、ダメって事なのにゃ？」
　疑問符を浮かべ、不思議がるミルディア。
（「汚れるの嫌だし、怪我もしたくないから程々に行動するわ」）
　ミーガンは思案してから、男子生徒達に接近。
「恋人になる事は出来ないけど、あなた達が喜ぶ経験ならさせてあげるわ」
　スタイル抜群で、余裕の笑みを浮かべているミーガンは、男子生徒の１人に抱きついて。
「どうかしら？　これ以上は刺激が強すぎて出来ないけど、嬉しい経験だと思わない？」
　豊満な胸を押し付け、耳元で甘く囁いて。
　男子生徒は顔を真っ赤にし、こくこくと何度も頷いている。
　ミルディアも胸が大きいほうだが、ミーガンのような大胆な行動は出来ず、ただ見守って。
　その間に、ミーガンは男子生徒全員に同じ事をし。
「ふふ、満足出来たかしら？　出来たなら、もう帰りましょうねぇ」
　自信に溢れた表情で、甘い声と共に微笑む、ミーガン。
　男子生徒達は全員、赤面して聞き分けも良く、立ち去る。
「何だか私も充実したくなって来たわぁ♪　他の猟兵さんに迷惑はかけないようにするけど、イタズラぐらいはいいわよねぇ？」
　そう言って、ミーガンはミルディアに向き直る。
「あなた、痛い事が好きよね？」
「えっ……あたし、なにも言ってないにゃ」
　基本的にマイペースなミルディアだが、唐突な問いにぎくりとして。
「それじゃあ、ちょっとだけ踏ませてねぇ」
　ミーガンはミルディアの様子を確認しながら、力加減を調節し。
　痛みに性的興奮を覚えるタイプのミルディアは、逆に踏みつけるのが好きなミーガンの、踏み加減に興奮して。
『ちょっと！　なにイチャイチャしているんですか！？　ああ、もう！　配下達に任せるしか有りませんね』
　性別は問わないタイプのボスUDC怪物は、リア充アピールを見せつけられて怒り、沢山の配下を召喚した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

第2章 集団戦 『青の信者』

POW   :    「祈りを……」 自身が装備する【儀礼ナイフ】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。 SPD   :    「祝福を……」 【まるで啓示が降りてきたかの様に】対象の攻撃を予想し、回避する。 WIZ   :    献身 【儀礼ナイフを突き刺した後、青の従者】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●
　あっという間に召喚された配下UDC怪物達は、教室内に詰まってしまった。
『まだ半分も召喚していないというのに……この学校とやらは狭すぎますね』
　学校に詳しくないボスUDC怪物が、嘆かわしげに息を吐く。
　配下UDC怪物達のナイフに触れないように、斑染近・紬姫は間合いをとりながら、配下UDC怪物達を見回して。
「あなた達には、同じ夢を語り、共に行動できる同士と配下が居る。それをリア充というのよ」
　立ち去った生徒達も、UDC怪物達も、紬姫から見れば同じだ。
『私がリア充！？　そそそ、そんな馬鹿な……あ、あなたはどうなんですか？　幼い子は友人を作りやすいものですよね？　友人や恋人は居ないのですか？』
　ボスUDC怪物の声が動揺すると、配下達も動きに動けず、立ち止まっている。
「友達、居ないわね。恋人、作ったことないわね」
『嘘でしょう！？　そんなに可愛い顔をしているのに友達がいないなんて！』
　ボスUDC怪物は驚きのあまり、大声を出した。
「嘘じゃないわ。友達なら、父上には、居るし。母上には、父上が居るし。でもあーしにはどっちもないわ」
　すがすがしい程にきっぱりと言い切る、紬姫。
　ボスUDC怪物からすると、その幼い表情には、悲しみや寂しさといった色が見えず、本心なのだと理解して。
『あなたはリア充爆発を目指しているんですよね？　リア充を排除したい気持ちは同じなのですから、私と手を組みましょう？』
　ボスUDC怪物は、紬姫を同志と決めつけ、勧誘して来る。
　だが紬姫に、それは無意味だ。
「リア充の居ない世界、そこに君臨できるのはきっと、あーし一人だけよ」
　紬姫は己自身の中でUC発動条件の想いを感じ、氷の花畑を召喚した。
　動く氷の花畑は、配下UDC怪物達の視界一面を覆い、目視を奪う。
「至りましょう、尖の先へ、この世のてっぺん、もっとも孤独な王女の座へ」
　まるで紬姫のように美しく輝く氷の花畑は、配下UDC怪物達を追跡し、鋭いダメージを与えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
　猟兵が倒す度に、続々と召喚される配下UDC怪物達を前に、アス・ブリューゲルトは冷静に声を掛け。
　戦況を見極め、隙が生じた機会は逃さず、配下UDC怪物達を順当に倒してゆく、アス。
「リア充爆破ですか。RB団に進化しないうちに早めに倒しておきましょう。RB団まで進化すると色々と面倒な事になりますから」
『RB団！？　そんな団を結成している時点で、仲良しリア充じゃないですか！』
　火土金水・明の呟きを拾い、ボスUDC怪物は憤慨の声を響かせる。
「そちらも配下が居ますから。似たようなものじゃないですか」
　明の鋭い返しに、ボスUDC怪物は押し黙り、言い返せずにいる。
　肝心のボスがそんな状態の為、配下UDC怪物達も動きにキレが無く、戦い難そうだ。
　動きが鈍い内に、と明は鎧無視攻撃と貫通攻撃の技能を発揮し、フェイントで配下UDC怪物達を惑わせた後、範囲攻撃と継続ダメージを加えた、無数の聖なる槍で２回連続の範囲攻撃。
　槍に貫かれた配下UDC怪物達が一体、また一体と消えてゆく。
　だが、超攻撃力と超耐久力を得る青の従者に変化した、配下達の反撃は厄介だ。
　速く動く物を無差別に攻撃し続けて来る、配下UDC怪物達。
　振りかざしたナイフが、明に突き刺さった。
「残念、それは残像です」
　背後に回り込んでいた明はそう言いつつ、配下UDC怪物を次から次へと仕留めて。
「私の役目は少しでもダメージを与えて次の猟兵の方に繋げる事です」
「俺が庇うまでも無かったな、頼もしい限りだ」
　特に女性を護ろうとする意欲が高いアスは、無傷の明を見て安堵した。
　もう１人の女性、千束・桜花の事も気に掛け、いつでも庇える位置につきながら、アスは戦闘を再開する。
「私の剣は人を生かすための剣、人命第一で戦います！　人々を守る将校として立ち向かいましょう！」
　桜花が高々と声を上げて、配下UDC怪物達に突進。
　仲間の協力があれば威力が倍増する、大道突貫・ピンキヰパレヱドの威力は、明とアスの協力によって高威力と化し、多くの配下UDC怪物達を消滅させる。
　消滅を免れた配下UDC怪物達が、いくつもの儀礼ナイフを念力で操作し、反撃して来る。
「戦いとあらば、多少の負傷は仕方ないでしょう！　私が道を作れば、誰かが活かしてくれるはず！」
　桜花は怯まずに決意を固め、光線銃を連射して敵を撃つ。
「銃撃ならば、俺も参加しよう。隙を見せるとは……そこだ！」
　アスは桜花に加勢し、熱線銃を配下UDC怪物達に向けて発射。
　攻撃が行き届いていない場所へ、明は即座に移動し、技能で先手を取って配下UDC怪物達を各個撃破する。
　配下UDC怪物達が操作する、鋭く飛び交うナイフは、野生の勘を働かせて机を踏み台にし、ふわりと跳躍して空中で躱しまくる明。
　そして床に着地したと同時に、明は隙を見せずに上手く立ち回り、配下UDC怪物達を攻撃していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

「出てきた怪物はどうにかしないといけないわね」
　川村・育代は冷静に、戦況を把握している。
『は、配下達……負けてはいけません……リア充を撲滅するのです』
　弱腰になっている配下UDC怪物達へ、ボスUDC怪物の命令がくだるが、それは弱々しく、逆に配下UDC怪物達を更に弱気にさせていた。
「この家光、悪は決して許せぬ！」
　好機を逃さず、徳川・家光が配下UDC怪物達を次から次へと斬り捨ててゆく。
『悪は許さないとか、リア充アピールじゃないですか！　それで助けられた女性と、イチャイチャしたりするんでしょう！？』
　家光の言動に注目し、勝手に妄想を膨らませて精神的ダメージを負っている、ボスUDC怪物と、その配下UDC怪物達。
　声がするほうへ視線だけを向け、家光は配下UDC怪物達に斬撃を浴びせつつ、口を開く。
「僕ですか？　嫁が何百人もいるので、色仕掛けには反応しませんね」
『ヨメガ、ナンビャク、ニン……？』
　理解が追いつかないボスUDC怪物は、カタコトでオウム返ししている。
　配下UDC怪物達まで、憂うつそうに動きを止めているのを見て、今度は育代が口を開いた。
「あなたたちの思ってるリア充って、恋人といちゃつくって事なんだと思うけど」
　まだ戦う意思が有る配下UDC怪物達へ、カウンターで攻撃して倒しながら、育代は続ける。
「恋人がいたって不幸せ、ソロでも幸せに生きてる人なんていくらでもいるのにね」
『え、ええ！？　最近の幼い子ってこんなに悟ってるものなの！？』
　育代の正論に、驚き、戸惑い、焦っている、ボスUDC怪物の声が響く。
　なにかをしようとしている育代に気付き、呪縛によって強化される妖刀を構え、家光は育代と配下UDC怪物達の間でサポートにつく。
「リア充をアピールして精神攻撃するわね」
『えええっ！？』
　育代が召喚したのは、海賊の幽霊が何百人も乗船している、海賊船。
　海賊の幽霊達は育代の願い通り、騒がしく、楽しく、賑やかに振る舞って。
　楽しそうな仲間達といった、リア充ぶりを見せつけられ、配下UDC怪物達は脱力状態。
「あなたたちも仲間といる時点で充分、リア充じゃない。気づかなかったの？」
　最後の配下UDC怪物を倒し、ボスUDC怪物の声のするほうへと言葉を投げる、育代。
『仲間というより配下ですし……しかももう居ませんし。不完全体だけど、もう私自ら戦うしかないですね！　リア充撲滅開始！！』
　やけくそ状態で大声で叫び、ボスUDC怪物が不完全な状態で顕現した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

第3章 ボス戦 『イリス・ラヴァーズロスト』

POW   :    羨ましくはない…わけないでしょう！？ 【プレゼント袋】が命中した対象の【身体】から棘を生やし、対象がこれまで話した【「クリスマスの過ごし方」への嫉妬心】に応じた追加ダメージを与える。 SPD   :    大勢で集まるようで…それはよかったですね！ 自身が【羨望や嫉妬】を感じると、レベル×1体の【粘液で出来た自分】が召喚される。粘液で出来た自分は羨望や嫉妬を与えた対象を追跡し、攻撃する。 WIZ   :    その場所、楽しそうで何よりぃぃぃ… 敵より【寂しい気持ちになった】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

●
『完全体じゃないから、どこまで出来るか分かりませんが……とにもかくにもリア充撲滅運動を始めます！！　……リア充ぶりを見たら、心が砕けそうな気がしますが……』
　顕現したボスUDC怪物は、後半は少し不安そうに呟く。
　構わず、戦闘力のない動画撮影ドローンを召喚する、川村・育代。
『え、なんですかそれは……嫌な予感しかしないんですけど！？』
　戸惑うボスUDC怪物に説明せず、育代は戦闘開始。
　育代は祟り縄武器、跳び縄を用いたり、投げ舵輪武器、通学帽を投げたりしながら戦闘を続ける。
　どこからともなく、育代を応援する声が響いた。
　どうやら、ドローンで撮影中の動画を、そのまま配信しているようだ。
　応援のコメントが次々と自動的に読み上げられ、ボスUDC怪物は呆然としている。
「つながってる相手がいるってこういうことよ」
　応援コメントの数を示し、リア充をアピールする育代。
　うつむき、しょんぼりするボスUDC怪物。
　その場に体育座りをして、膝に顔を埋めてしまう。
『別に……羨ましいとか思ったり……してませんし……』
　明らかに、声音が沈んで、落ち込んでいる様子のボスUDC怪物。
　暴れもせず、攻撃をして来ずにただ、いじけているボスUDC怪物の様子を見て、育代はそっと近づき、手を差し伸べる。
「誰とも遊ぶ相手がいないなら、あたしと一緒に遊ばない？」
『え？　えええ！？』
（「リア充じゃない事への怒りが力の源なら、その前提を崩せば力もなくなるはずだから」）
　驚き、焦り、視線をきょろきょろ動かし、明らかに動揺しまくっている、ボスUDC怪物。
（「それに、ひとりぼっちの悲しさ、辛さは色んな子を教育支援用バーチャルキャラクターとしてモニターの向こうから見ていてよく分かってるから」）
　今までして来た行動によって、育代にしか分からない事。
『こんなに可愛らしいリア充が……私と遊んでくれる！？　いや、これは絶対、なにかの罠では！？　いや、でも……ううーん』
　不信感を抱きながらも、差し出された育代の小さな手は、ボスUDC怪物にとってはリア充への入り口といっても良い程、魅力的に見える。
　ボスUDC怪物は即決断が出来ず、おそるおそる育代の手に触れようとしては引っ込め、中々決断出来ずにいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「リア充ねぇ……アタシは気にした事が無いから分からないけど、そこまで拘る事なのかい？」
　コミュ力を活用して、ボスUDC怪物に話し掛ける、数宮・多喜。
『めちゃくちゃ拘りますよ。貴女みたいな美人さんには、非リア充の気持ちなんて分からないでしょうとも！　ああ、もう、美人さん羨ましい！』
　羨ましさと妬ましさの入り混じった瞳で、多喜を見る、ボスUDC怪物。
「私は……人間が嫌いとまではいきませんが、人付き合いが中々上手く出来ないです」
『そんなに可愛い見た目で！？』
　続くアレクサンドラ・ヒュンディンの告白に、驚きまくるボスUDC怪物。
『じゃ、じゃあ……一緒にリア充を滅亡させませんか！？』
「出来ません」
　勇気を出してアレクサンドラを誘ってみたが、即答で断られる。
　がっくりと肩を落とし、うなだれるボスUDC怪物の両肩に、エダ・サルファーが手をぽんっと置いて。
「祈れば良いんだ。大抵のことは力と祈りで解決できる」
『怪しい占い師っぽいけど！　誘われると、喜んでしまう自分が情けないですね』
　揺らぐ心を必死に保ち、慌ててエダから離れる、ボスUDC怪物。
「リア充？　滅亡はダメだよ。その代わりに、焔が遊んであげるよ！」
　邪気の無い笑顔で、片手を差し出すのは、四王天・焔。
『うう……これ以上、惑わせるのはやめて下さい！』
　陥落しそうな気持ちをなんとか堪え、ボスUDC怪物は大声でそう叫ぶと、戦闘する態勢になった。
「仕方無いねぇ。事件を解決する為には、やるしか無いみたいだ」
　事件を解決するのを一番の目的としている多喜は、そう言い終えた直後、素早くボスUDC怪物の懐へ入り。
　グラップルとマヒ攻撃を用いて、拳を叩き込む。
　ある程度連打し、引き際には回し蹴りを見舞わせて。
　後退して距離を置くと、マヒ攻撃と衝撃波が合わさった援護射撃を始める、多喜。
「はなさ、ない……がうぅぅぅぅっ……！！」
　敵に噛みついたアレクサンドラは、牙を深く突き刺し、ボスUDC怪物の動きをさえぎる。
　ボスUDC怪物が態勢を崩している瞬間を狙い、エダは聖職者式極支を展開。
　敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に、祈りを込めた極技が命中するUCだ。
「……極める！」
　エダもグラップルで畳みかけ、ボスUDC怪物の背後に回り込み、拳や蹴りを浴びせて。
　近接戦闘を巧みに繰り出すエダに、ボスUDC怪物もやられっ放しにはならず。
『貴女のような美人さん……別に羨ましくない……わけないでしょう！？』
　プレゼント袋を振り回し、半ば強引に、プレゼント袋をエダに命中させる。
　両足に力を込め、鍛えた体幹によってバランスは崩さなかったが、敵からの追加ダメージに眉根を寄せて。
　気合いで痛みを乗り越え、拳や蹴り、頭突きなどで敵にダメージを与えてゆく、エダ。
　アレクサンドラも、プレゼント袋で殴られて追加のダメージが入るが、激痛耐性でしのぐ。
　怪力を発揮し、ボスUDC怪物が逃げる事の無いように、と。
　ボスUDC怪物を押さえつけた瞬間、焔が放ったフォックスファイアが敵に勢い良く命中。
　多くの狐火が焔によって操作され、仲間には一切当たらず、ボスUDC怪物だけを燃やして。
『連携が取れてて仲良しそうで何よりぃぃぃ……』
　寂しい気持ちになったボスUDC怪物は、命中率と回避率とダメージを倍増させる。
　ほぼ必中効果の反撃により、ダメージを受ける猟兵達。
　しかし誰も怯まず、猟兵達は勇猛果敢に攻め続ける。
　その気迫に気持ちが既に負けているボスUDC怪物は、最後のあがきというように攻撃を繰り出す。
　それでも、猟兵達の攻撃の手は休まる事が無い。
『完全体で顕現出来ていたら、こんな目には遭わなかった筈……リア充を撲滅出来ず、無念です……』
　ボスUDC怪物の弱々しい声が響き、言い終えると同時に、ボスUDC怪物は完全に消滅した。
「後片づけ、しておく？」
　机や椅子などが倒れまくっている状況に気付き、焔が案を出す。
　戦闘の疲労感を抱えながらも、猟兵達は共に片づけを始め、途中からは面白おかしい話題が入ったりして、仲睦まじく笑い合うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2022年10月04日