5
熾火は赫く昌盛・コーダ

#ブルーアルカディア #勇士の島 #『オーデュボン』

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ブルーアルカディア
🔒
#勇士の島
#『オーデュボン』


0




●炎
『力天魔怪獣デュナメス』――天使戦争時に作られた天化魔獣の成れの果てである。
 60mを超える巨体で空を舞う威容は凄まじく、狂える凶獣と化した魔獣は、『アジール王国』を炎に包み込む。
 凄まじい炎は一瞬で聖域に存在する『浮島の天使核』を露出させる。
 屍人帝国『オーデュボン』より移植された『炎を放つ天使核』によって『力天魔怪獣デュナメス』は炎を手繰る。
 本来の『力天魔怪獣デュナメス』には備わっていない力だ。
「――グルァァァッ!!!」
 破壊の意志しかもたらさぬ咆哮は、己に随伴する『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちに『浮島の天使核』の破壊を促す。

 すでにこの『アジール王国』の聖域は炎によって破壊された。
 露出した『浮島の天使核』を破壊すれば、浮島は雲海に沈み、屍人帝国『オーデュボン』の新たなる領土となるだろう。
 そして、『力天魔怪獣デュナメス』は咆哮と共に『アジール王国』へと降り立つ。
 炎を撒き散らし、破壊をもたらし、この地に住まう者たち全てを殺戮せしめることだけを目的とし、進むのだ。

 抵抗は無意味である。
 破壊の権化の前に『アジール王国』は為す術はない――。

●アジール王国
「屍人帝国『オーデュボン』……! やはりまだ我等を狙うか!」
「ですが、あれは『力天魔怪獣デュナメス』……あれに対抗するだけの戦力は我等には……」
「ならば、島を捨てろというのか。何処に安寧の地があるかもわからぬまま、いつ雲海に沈むやもしれぬという不安に怯えながら航海を続けろと民にいえるのか」
『アジール王国』の国王が報告を受け、指揮を取り続けている。
 勇士たちの強力があっても屍人帝国『オーデュボン』の侵攻を防ぐことはできなかった。この浮島を捨て、新たなる浮島に移動するしかない。
 しかし、それ以前に大陸を脱出するための飛空艇が絶対的に足りない。
 この『アジール王国』は巨大な浮島である。となれば、当然これを雲海に浮かばせるための『天使核』は巨大なものとなる。
 これを破壊されては、もはや浮島を浮かせている力は通常の天使核では立ち行かない。

 それに炎がもう其処まで着ている。
 猶予はない。
 そして、絶望だけが『アジール王国』の人々の瞳を照らしている。
 煌々と燃え盛り、赫く破滅への未来を照らしている。
「駄目です、敵兵力を抑えられません……!」
『アジール王国』の兵士が報告する。
 聖域どころか市街地まで炎が吹き荒れ、あらゆるものを飲み込んでいく。もはや滅びは避けられぬ運命であった。

「これで、終わる……我が『アジール王国』が……」
 国王は膝から崩れ落ちるしかなかった。
 市街地の人々は、この堅牢なる王城に全て避難させていた。しかし、それも最早無意味。
 必ずや屍人帝国『オーデュボン』のはなった『力天魔怪獣デュナメス』は聖域の『天使核』を破壊するだろう。
 そうなってしまえば、雲海に沈み尽くが滅びるしかないのだ――。

●滅びは必定
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。ブルーアルカディア世界において、屍人帝国『オーデュボン』による大規模な放火によって、かつて皆さんが救ってくださった『アジール王国』が今まさに雲海に沈められようとしています」
 ナイアルテの言葉は、事態の急を知らせている。
 屍人帝国『オーデュボン』より放たれた『力天魔怪獣デュナメス』によって浮島の大地も市街地も激しく燃え盛り、王城さえも燃えている。
 住民の生死は不明であり、浮島は未だ沈没していない。

「『アジール王国』の皆さんの安否を案ずるところではありますが、浮島が沈んでしまえば、同じこと……まだ浮島の沈没は食い止めることができます」
 屍人帝国『オーデュボン』より放たれた『力天魔怪獣デュナメス』は『炎を放つ天使核』を移植された魔獣である。
 その炎は浮島全土を灰燼に帰すためだけに使われており、炎に寄って消失した聖域……『浮島を浮かばせている天使核』を破壊する『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは『力天魔怪獣デュナメス』の周囲にはなく、かの魔獣は孤立した状態である。

「その上、炎によって死角となっています。偶然にも浮島の外に展開していた勇士の方々が駆る飛空艇を皆さんは利用することできます。彼らの協力の下、『力天魔怪獣デュナメス』へと突撃しましょう」
 これを打倒すれば、浮島を包んでいる炎は消失し、浮島の天使核を破壊しようとしていた『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは狼狽することだろう。
 これを奇襲し、天使核の破壊を阻止すればいい。

「これを排除した後に、『アジール王国』の……生存者の皆さんの捜索を行いましょう。私の予知でも国民の皆さんの安否はわかりませんでした」
 ナイアルテの瞳がふせられる。
 これだけの炎が浮島全土を包み込んでいるのだ。
 状況は絶望的であろう。だが、一人でも救うことが出来るのならば、手を差し伸ばさない理由はない。
 どれだけ非常な現実が突きつけられるのだとしても、それでも人は生きるという歩みを止めてはならないのだから。

「燃え盛る浮島……そして『炎を放つ天使核』を持つ『力天魔怪獣デュナメス』。いずれも強敵と呼ぶに相応しい巨大な敵です。急ぎ、転移の準備をいたします。どうか、『アジール王国』の皆さんをお救いください」
 頭を下げ、ナイアルテは希望的観測を告げるしかなかった。
 救える生命が未だ在るのか。
 それさえも定かではない。けれど、救える生命がたった一つもないのだとしても、浮島を沈められ屍人帝国『オーデュボン』の版図を広げさせることはさせてはならない。

 猟兵達は燃え盛る浮島へと転移し、その破滅の予兆を覆すためにこそ戦うのだ――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 大空の世界、ブルーアルカディアにおいて屍人帝国『オーデュボン』が三度『アジール王国』を襲い、ついに炎によって包み込みました。
 このままでは浮島を浮かばせている天使核はオブリビオンによって破壊され、雲海に沈む定めとなるでしょう。
 これを阻止するために屍人帝国『オーデュボン』が送り込んだ『力天魔怪獣デュナメス』を打倒し、浮島を救うシナリオになります。

●第一章
 ボス戦です。
 屍人帝国『オーデュボン』より『炎を放つ天使核』を移植された『力天魔怪獣デュナメス』は常に激しい炎を放ち、『アジール王国』の聖域を露出させ、天使核を配下オブリビオンに破壊させようとしています。
 この激しい炎は浮島の全土に行き渡っており、現状では島の様子をうかがい知ることはできません。

 ですが、この炎は逆に『力天魔怪獣デュナメス』を孤立させています。
 浮島に展開していた勇士たちの飛空艇が騒ぎを聞きつけ、皆さんと共に戦ってくれます。
 この『飛空艇を利用した攻撃』と共に『力天魔怪獣デュナメス』を打倒しましょう。
 また『力天魔怪獣デュナメス』は通常のユーベルコードに加え、『炎を放つ攻撃』も行ってきます。

●第二章
 集団戦です。
『力天魔怪獣デュナメス』を打倒した瞬間、浮島の天使核を破壊しようとしていた配下オブリビオン『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの位置が判明します。
 突然、島を覆っていた炎が消えたことに狼狽している彼らを奇襲で持って瞬殺しましょう。

●第三章
 冒険です。
 戦いが終わり、焼けただれた浮島と破壊された市街地が残されています。
『アジール王国』の王城は炎によってか、浮島の大陸から切り離され、燃えながら空に浮かんでいます。ですが、このままでは暴風に寄って危険な領域にまで流されてしまうかも知れません。
 この王城に赴き、瓦礫や延焼した炎から生存者たちを救い出しましょう。

 それでは、ブルーアルカディアにおける新たなる熾火立ち上る皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
273




第1章 ボス戦 『力天魔怪獣デュナメス』

POW   :    ネオ・デュナメスブレス
【全ての頭】から【破壊属性のブレス】を放ち、【破壊する事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    キングオブデストロイヤー
【全てを破壊する力】【全ての攻撃に耐えうる鱗】【対象のユーベルコードを理解する知恵】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    破壊獣
【全てを破壊する破壊獣】に変身する。変身の度に自身の【頭】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。

イラスト:V-7

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 炎に包まれる『アジール王国』を見た勇士たちは絶句していた。
 飛空艇より確認できるだけでも『アジール王国』の全土は炎に包まれ、その被害は要として知れず。
 山火事などといったレベルではないほどの炎が渦巻き、さらには『力天魔怪獣デュナメス』の存在に勇士達はおののく。
「あんなの、どうしろっていうんだよ……!」
「炎だけでも厄介だって言うのに! デカブツすぎるだろう!」
 勇士達はこの事態に手をこまねく。
 今、彼らの飛空艇だけではどうにもならない。
 あまりにも戦力差が激しすぎるのだ。
 体調60mもある巨大な『力天魔怪獣デュナメス』は咆哮とともに炎を噴出させ、浮島を沈めようとしている。それは絶望の光景であった。

 だが、一人の勇士が意を決したようにつぶやく。
「やってやろうじゃないか」
「……何を、お前」
「あの炎がなんだっていうんだ! 俺たちは見たはずだ! 浮島一つ、繋ぎ止めた熾火を。あの熾火を俺たちは見た。今此処で、この浮島に生きている奴らを見殺しにしたというのなら、あの熾火はきっと嘘になる」
 彼らはかつて屍人帝国『オーデュボン』に対抗するレジスタンスであった。
 自分たちの故郷である浮島も『天使核を暴走させるユーベルコード』によって雲海に沈められようとしていた。
 けれど、それを阻んだのが、あの青い熾火であった。
 あの時、たしかに彼らは一つに繋がれた。

「そうだな……そうだよな。ああ、そのとおりだ!」
「なら行こうぜ! あのデカブツをぶっ倒す!」
 勇士達は鬨の声を上げる。
 目の前には巨大なる『力天魔怪獣デュナメス』。されど、彼らは勇士なのだ。飛空艇を自在に手繰り、翻弄し、魔獣を狩る者たち。

 そんな彼らの飛空艇に世界を越えて飛び込んでくる者たちがいる。
 彼らの名を勇士達は知っている。

 そう、『猟兵』である――!
ユーリー・ザルティア
【心境】
「やれやれ。どこの世界にも馬鹿っているもんだね。」
ブルーアルカディア…。
青い空の世界に赤い炎は似合わないね。


【行動】
レスヴァントで戦うよ。生身じゃ一般人並みだからねぇボクの戦闘力。
さて、ボクの『操縦』テクは異世界でも有効だよ。
『瞬間思考力』でブレスの軌道を『見切り』回避。
これが魔獣か。初めて戦うけど、油断ならないね。
だから…全力で行く!!こい飛空艇デルフィナス号
飛空艇とキャバリアの合体見せてあげる。フォームアップ!!

この島の勇士たちの『援護射撃』に合わせて、アストライアの『制圧射撃』とダークマンティスの『レーザー射撃』で一気に攻めるよ。



 大空の世界、ブルーアルカディア。
 眼下に広がるは雲海。そして、空に浮かぶ大地こそが人々の営みを紡ぐ唯一の生存圏であった。
 雲海に沈めば、必ず滅びる。
 それがこの世界の理である。オブリビオンとは、此の世界の人々って、脅威であると同時に生きる糧でもあった。
 オブリビオンの心臓は『天使核』と呼ばれる宝石で出来ている。
 魔獣の血肉や骨は飛空艇の材料となり、心臓たる『天使核』は浮島を浮かばせ、推力とも為る。

 ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は己の飛空艇である『デルフィナス号』と共にブルーアルカディアの空を飛ぶ。
 目指すは炎に包まれた『アジール王国』。
 今、この浮島は屍人帝国『オーデュボン』の放った『力天魔怪獣デュナメス』による炎によって飲み込まれている。
 この浮島に生活していた人々の安否は知れず。
 されど、この浮島を雲海に沈めることはすなわち『オーデュボン』の版図を広げることにしかならない。
「やれやれ。どこの世界にも馬鹿っているものだね」
 ユーリーは『デルフィナス号』の甲板上にキャバリア『レスヴァント』と共に立つ。

 彼女の力は猟兵であっても、生身であれば一般人と変わらない。
 だが、彼女のキャバリア……体高5mほどの戦術兵器の操縦テクニックは随一であった。 
 例え、異なる世界であっても関係ない。
 彼女の出身世界は故あって大空を飛ぶことの出来ぬ世界である。キャバリアとはすなわち、大地を疾駆する戦術兵器であるのだが、空を飛ぶことを諦めぬ彼女の瞳は、ユーベルコードに輝く。
「これが魔獣か」

 ユーリーは炎の中に揺らめくようにして鎮座する『力天魔怪獣デュナメス』の威容を認める。
 体長60mはあろうかという巨体。
 その咆哮が響き渡る。
「ガ、オオオオオ――!!!」
 破壊の咆哮が轟き、炎すらも吹き飛ばしながらユーリーの乗る『デルフィナス号』へとブレスが飛ぶ。
 それを躱すようにユーリーは『レスヴァント』を駆り、大空の世界へと飛び立つ。

 だが、そのままでは『レスヴァント』も雲海に沈んでしまう。
 こういうときのためにこそ、彼女の『デルフィナス号』は存在しているのだ。
「来い、飛空艇デルフィナス号、飛空艇とキャバリアの合体見せてあげる。フォームアップ!!」
 彼女の瞳がユーベルコードに迸る瞬間、『レスヴァント』と『デルフィナス号』の姿が変わる。
 機体に合体した翼は、まさしく大空を駆ける猛禽のごとく。
 そして、彼女の機体は『力天魔怪獣デュナメス』のブレスを躱し、さらに尾の頭部より放たれる破壊のブレスさえも大空を自在に駆け抜けて飛ぶのだ。

「ブルーアルカディア……青い空の世界に赤い炎は似合わないね」
 初めて戦う存在。
 オブリビオンとしての魔獣。巨体であることもさることがながら、怪物と言ってもいい『力天魔怪獣デュナメス』。
 咆哮と共に炎が荒ぶ。
 だが、ユーリーは己のキャバリアの操縦テクニックを誇る。
 誰にも負けない操縦技術。
 それがあれば、誰にも引けを取ることはないと知るからこそ、自分と同じく浮島を『オーデュボン』から救わんとする勇士たちの砲撃を背に空を駆け抜ける。

「だから……全力で行く! ダークマンティス!」
 アサルトライフルの射撃が『力天魔怪獣デュナメス』の体に打ち込まれ、背面に備えられた超巨大荷電粒子ビーム砲より放たれた一撃が強靭な魔獣の体を焼き切る。
 それはこの世界にはないビームの一撃であり、『力天魔怪獣デュナメス』の痛みにあえぐ咆哮を轟かせ、炎の中、ユーリーは己のキャバリアが大空を自在に飛ぶ姿を示すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
これはまた、戦略級のオブリビオンを送りつけてきたわね。飛鉢法で邀撃に出るわ。
相手にとって不足無し。村崎ゆかり、陰陽師。いざ参る!

このサイズなら派手にいっても大丈夫ね。
「全力魔法」「高速詠唱」破壊の「属性攻撃」「結界術」「召喚術」「衝撃波」「仙術」「道術」で天絶陣。
召喚する隕石は一つのみ。怪獣の背中に叩き付ける! このサイズなら、命中させれば地上へ余波は行かないでしょう。

怪獣の炎は「火炎耐性」の「結界術」で防ぐ。直撃より余波の熱を遮断する感じ。
ブレス斉射なんていっても、あたしの小回りの利く動きについてこられるかしら。そんなの、帝竜ヴァルギリオス戦で経験済みよ。今更畏れるとでも?
甘く見ないでよね。



 巨大なオブリビオンにして魔獣『力天魔怪獣デュナメス』の威容は凄まじかった。
 咆哮が轟き、尾に備えられた頭部が放つ破壊のブレスは、あらゆるものを打ちのめす。さらには『炎を放つ天使核』によって、周囲は吹き荒れる炎が壁となって押し迫る。
 しかし、それは逆に『力天魔怪獣デュナメス』を孤立させていた。
 炎は確かに『アジール王国』の聖域である浮島を浮かせている『天使核』を露出させるために必要な力であった。
「グゥウウウオオオオ――!!!」
 猟兵の放った荷電粒子ビームの一撃が、その巨大な肉体に打ち込まれ、巨体が傾ぐ。

「これはまた、戦略級のオブリビオンを送りつけてきたわね」
 屍人帝国『オーデュボン』の戦力の全容は未だ要として知れず。
 それ以上に、これほどまでの巨体のオブリビオンが残存している可能性のほうが恐ろしいといえる。
 飛翔する鉄鉢に乗りながら、『力天魔怪獣デュナメス』へと村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)へと迫る。
「相手にとって不足なし。村崎ゆかり、陰陽師。いざ参る!」
 破壊のブレスと炎が吹きすさぶ大空の世界。
 空の青に炎の赤が映える。

 苛烈さを極める攻撃を鉄鉢が空を舞うようにして飛ぶ。 
 周囲には『アジール王国』の窮地を知って駆けつけたレジスタンスの飛空艇が突撃を敢行している。
 砲撃が飛び、『力天魔怪獣デュナメス』の注意を引きつけてくれている。
「助かったわ! なら派手に行っても大丈夫ね」
 ゆかりは己の集中を高めていく。

 瞳に輝くのユーベルコード。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天より降り注ぐ先触れのかそけき光よ。滅びの遣いを導き、地上をなぎ払え。疾!」
 戦場全域に降り注ぐ光の流星雨が『力天魔怪獣デュナメス』を打つ。
 だが、その流星雨を振り払わんとして迸る破壊のブレスと炎は、ますますもって浮島の大地を破壊していくだろう。
「ゴアアアア――!!」
 巨体が揺らぐ。

 ゆかりのユーベルコードはこれで終わりではない。
 光の流星雨が降り注ぐ中、天より召喚されるのは燃え盛る巨大隕石。それこそがゆかりのユーベルコード、天絶陣(テンゼツジン)の本命の一撃である。
 叩きつけるような巨大隕石の一撃が『力天魔怪獣デュナメス』の背中に打ち込まれ、炎を噴出させながら傷口から『天使核』が露出する。
「グゥウウウオオオオ!!」
 その傷に怒るようにして、『力天魔怪獣デュナメス』より破壊のブレスが解き放たれる。
 だが、そのブレスがゆかりを捉えることはなかった。
「あたしの小回り利く動きについてこられるかしら」

 そう、すでに巨大な敵との戦いは経験済みである。
 帝竜との戦い。
 あの未曾有とも言って良いほどの巨体を誇るオブリビオンとの戦いはゆかりに得難い経験を与えていた。
 自分が小さき存在であるという自覚があるからこそ、戦い方を工夫する。
 そうすることでどれだけ巨大な存在であっても打ち倒せぬ道理はないと知るのだ。
「巨躯、その程度で今更畏れるとでも?」
 甘く見ないでよね、とゆかりはつぶやき、『力天魔怪獣デュナメス』の放つブレスと炎を躱し、悠々と空を飛ぶのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
……ふぅ(たそがれ
エイル様のいなくなったブルーアルカディアはなんと物悲しいのでしょう

しかしあの方が愛した場所を守るのもメイド(自称)の役目
そしてエイル様の『青い熾火』が皆様の心に残っているのならば
私が立たないわけにはいきません
ステラ、参ります

勇士様の飛空艇に乗って出撃
『ウェントス・スクートゥム』を最大展開
気流で炎を逸らしつつ

【テールム・アルカ】起動
飛空艇にキャバリアサイズのグラビティガンをセット
攻撃に耐えようともその場に残り続ける重力で圧し潰しましょう!

一発では心許なく
何発かを叩き込むには飛空艇によるヒット&アウェイが必須
皆様、操舵はお任せしていいですか?
それでは世界を守るために戦いましょう!



 仕えるべき主人無き世界の色は褪せていたことだろう。
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は黄昏れていた。
 あの日見た鮮烈なる『青い熾火』は今でも瞳に焼き付いている。人の心に残された熾火は、どこまでも人の心に燈火となって燃え続けることだろう。
 だからこそ、ステラは黄昏れていた。
 自身はメイドである。
 まあ、自称であるけれど。それでも自分は『エイル』少年のメイドであるという自負があった。

「『エイル』様のいなくなったブルーアルカディアはなんと物悲しいのでしょう」
 しかし、物悲しくとも屍人帝国『オーデュボン』はその版図を広げんと『アジール王国』を滅ぼそうとしている。
 あの炎は、その一歩であるに違いない。
 レジススタンスの勇士たちが駆る飛空艇に乗ってステラは燃えるう浮島を見やる。
 そこにあったのは巨大な魔獣にしてオブリビオン『力天魔怪獣デュナメス』の威容であった。

「グゥウウウオオオオ!!!」
 その咆哮は凄まじく、破壊の力を齎す。
 強大な外殻とも言うべき鱗はあらゆる砲撃を寄せ付けず、そして、破壊の獣となりながらも此方に向かってくる猟兵の姿を正しく認識しているようでもあったのだ。
「しかし、あの方が愛した場所を護るのもメイドの役目」
 自称であるけれど。
 それでも守らねばならぬものがあるのならば、ステラは己が戦わずしてなんとすると奮起した。
「ステラ、参ります」

 そう、あの日の『熾火』は未だレジススタンスの勇士達に残っているのならばこそ、ステラはその先頭に立って戦わねばならないのだ。
 彼女の天使核から展開された風の盾が飛空艇の前面に展開される。
 立ち上り、放たれる炎を気流で逸しながら飛空艇が飛ぶ。勇士達は誰も恐れてはいなかった。
 確かに『力天魔怪獣デュナメス』は強大で、恐るべき存在であった。
 けれど、それ以上に彼らの心に燃える燈火は、恐れをかき消すには十分であった。まだ浮島に生存者が残っているのならば、それを救わねばならぬと勇気でもって突き進むのだ。

「敵の攻撃は私が防ぎます。あのデカブツも、私がどうにかしてみせましょう! 箱舟、起動。武装、転送」
 ステラの瞳がユーベルコードに加賀悪。
 飛空艇にキャバリアサイズのグラビティガンを召喚し、接続する。
 動力である天使核と直結したグラビティガンの砲身が『力天魔怪獣デュナメス』へと向けられる。
「ガ、オオオ――!!」
 咆哮が轟き、炎が飛空艇を襲う。
 けれど、気流を制したステラには届かない。

「一発では心許ない装甲であるようですが!」
 ステラは己の乗る飛空艇を操縦する勇士に告げる。操縦は任せていいかと。その言葉に勇士は頷く。
 その瞳にあるのは勇気だけ。
 まさしく勇士足り得る彼らの姿を認め、ステラは『エイル』の存在が彼らの中に闘志をともしたことを知る。

「それでは世界を護るために戦いましょう!」
 放たれるグラビティガンの砲弾が『力天魔怪獣デュナメス』へと叩き込まれる。
 どれだけ強固な鱗であったのだとしても、ヒット・アンド・アウェイではなたれ続ける砲撃と、その重力が巨体をその場に押し留め続ける。
 炎は重力に寄って鎮火され、その強大な力を振るうこともできない。
 軋む大地の音をステラは聞くだろう。

 彼女が護ると決めたのは、彼女の主と定めた少年が愛した世界である。
 ならばこそ、彼女はその忠義でもって大地を蹂躙せんとする魔獣、オブリビオンを打倒するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桐嶋・水之江
でっかいのが出てきたわね
こういう時こそ艦艇持ちのイェーガーの出番よ
れっつごーワダツミ

この炎をどうにかしなきゃいけないのね
あまり気乗りしないけれど鯨の潮吹きの使い所かしら?
何故気乗りしないかって?
河豚が口から水吐いてる写真見たことない?
使ってる時の絵面がまんまあれだからよ
でも超弩級海洋哺乳類の潮吹きなんだから水量は馬鹿にならないわよ

私自らがワダツミの艦首に立って放水開始よ
火元に直接当てるんじゃなくて雨を降らせるようにね
広範囲を消火する時はこの方が効率がいいのよ
ついでに気温も下がるし
消火が進めば勇士さん達もまともに戦えるようになるわよね
遠くからミサイルやメガビーム砲で援護してあげるから後は頑張って



 ワダツミ級強襲揚陸艦がブルーアルカディアの空を飛ぶ。
 空海宇宙対応の強襲揚陸艦は、高い積載力と順高性能に加えて堅牢な装甲を持つ自動操縦を可能とした戦闘艦である。
 その主である桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)は、炎に包まれた『アジール王国』の浮島を見下ろす。

 そこにあったのは重力によって釘付けにされた『力天魔怪獣デュナメス』の姿であった。
「でっかいのが出てきたわね。こういうときこそ艦艇持ちのイェーガーの出番よ」
 彼女の駆るワダツミ級強襲揚陸艦の艦首が口を割るようにして展開される。
 水之江はあまり気乗りしていなかった。
 この浮島を取り囲む炎を鎮火するためには、己のユーベルコードとワダツミ級強襲揚陸艦の力が必須であった。
 けれど、鯨の潮吹き(ホエール・スプラッシュ)は、その機能性と反して非常に絵面があんまりであったからだ。

 そう、まるで河豚が水を吐いているような様相であったからだ。
 海の生物であるクジラ。
 その姿をこの大空の世界であるブルーアルカディアでは最早見ることはないだろう。この世界に生きる人々にとってはあまりにも奇異な存在に映ったかもしれない。けれど、幸いなことに、今この浮島は炎で包まれている。
「ま、だれも見ていないのならいいわよね」
 艦首が割れ、射出される潮吹きの如き水量は馬鹿にならない。

 浮島を包み込む炎を一気に鎮火せしめる。
 いや、それでも『炎を放つ天使核』から噴出する炎はさらに勢いを増す。
「グゥウウウオオオオ!!!」
『力天魔怪獣デュナメス』の咆哮が轟き、水之江は己のユーベルコードの水量が一時凌ぎにしなからぬことを知る。
 だが、道は開けたのだ。
 彼女はワダツミ級強襲揚陸艦の艦首に立って水量を調節し、放つ水量を調節し直接『力天魔怪獣デュナメス』へと当てるのではなく雨のように降らせることによって周囲の炎を広範囲に渡って鎮火せしめるのだ。

「此の方が効率がいいのよ。ついでに気温も下がるし……後は勇士さん達の本領でしょう。どれだけ巨大な魔獣だって狩って生きていくのがブルーアルカディアの人達のたくましさであるというのなら!」
 水之江の言葉に勇士たちが声を上げる。
 そのとおりであると。
 彼らはいつだって自分たちより強大な魔獣を借り、生きてきた。浮島の外、雲海に沈めばすなわち死以外の何物でもない。

 ならばこそ、彼らは勇士と呼ばれるのだ。
 勇気だけではどうにもならない戦場があるのならば、それ以外をどうにかするのが水之江の役目である。
「援護はしてあげるから、後は頑張って」
 水之江はワダツミ級強襲揚陸艦の艦首に立ち、放水の勢いを緩めることなく尋常ならざる水量で持って『力天魔怪獣デュナメス』の放つ炎を鎮火し続ける。

 その水が開いた道を勇士達は飛空艇でもって飛び砲撃を加えていく。
 さらに水之江の指揮するワダツミ級強襲揚陸艦から放たれるミサイルやメガビーム砲の砲撃が『力天魔怪獣デュナメス』の体を穿つ。
「どんなに強固な鱗があってもね」
 急激な温度変化に生物であれば耐えられないだろう。
 はなたれ続ける砲撃の飽和攻撃。
 さらに先行した猟兵たちのユーベルコード。
 それらが重なれば、どれだけ強大な存在であっても打ち砕けぬ道理はないのだと示すように水之江は、ワダツミ級強襲揚陸艦から指揮し、『力天魔怪獣デュナメス』を打ちのめすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・テルキーネス
60mって、これまた巨大な魔獣ですね。
こんなのに暴れまわられていたらいくら広大な浮島でも大変なことになってしまいます。
ステラも魔獣退治手伝います。

って、ボクは魔獣じゃないですよ勇士さ~ん(魔獣飛翔でテュポーン化して参戦)
うぅ…なんか出落ちめいた参戦になりましたが、メチャクチャがんばりますよ。
自慢の長い髪の毛を『武器改造』してランスと盾にします。
炎を『武器受け』して防ぎつつ髪の毛ランスで『切り込み』…って、ぎゃーす髪が燃えてる~(注:当たり前の結果でもある)
もうやだ。髪の恨み晴らさずにおくべきか!!
タライの攻撃からの全体重を込めた『重量攻撃』タックルです…って、ボクは重くないぃぃ(魂の叫び)



『力天魔怪獣デュナメス』の威容は凄まじいの一言であった。
 体長にして60mを超える姿。 
 その体躯を支える心臓である『炎を放つ天使核』は未だ炎を噴出し続け、『アジール王国』の浮島を炎で包み込んでいる。
 一時は先行した猟兵のユーベルコードによって鎮火させられたが、今再び炎が噴出しているのだ。
「これまた巨大な魔獣ですね」
 ステラ・テルキーネス(バイオモンスターのミュータントヒーロー・f19520)は、かの巨大な魔獣の姿に息を呑む。

 どれだけ広大な浮島であったのだとしても、あれだけの魔獣が暴れまわれば大変なことになってしまうことは想像に難くない。
 だからこそ、ステラは己も魔獣を退治することに協力しようとブルーアルカディアの世界に転移したのだ。
 彼女が勇士たちの飛空艇に転移した時、勇士達は新たな魔獣が現れたと警戒しただろう。
 ステラはバイオモンスターである。
 人のそれとは異なる体躯。
 そして、姿はまさに神話の幻獣そのものであったからだ。
「って、ボクは魔獣じゃないですよ勇士さ~ん」
 魔獣飛翔(ステラ・テュポーン)によってテュポーンの姿として顕現した彼女は、たしかに魔獣と見紛う威容であった。

 けれど、その言葉に勇士たちは手を止める。
 金ダライが何故か落ちてきて、勇士達を狙った『力天魔怪獣デュナメス』のはなった炎を防いだのだ。
「あ、あれはあんたが……?」
「え、あ、はい。そうです。味方ですよ~!」
 ものすごく出落ち感が半端ない。
 けれど、そのおかげで勇士たちはステラの姿を見ても敵ではないことを理解してくれたようである。

「うぅ……なんか出落ちめいた参戦になりましたが、メチャクチャがんばりますよ!」
 こればっかりは仕方ないのである。
 なにせ、彼女のユーベルコードは、周囲に光放ち輝く金ダライを放ち続けるのだから。
 もうオチとかそんなこと気にしてはいられない状況なのである。
「グルウウオオオオ――!!」
『力天魔怪獣デュナメス』の咆哮が轟く。
 これまで刻まれた傷跡から炎が噴出し、ステラを狙う。
 だが、ステラはたじろぐことはなかった。自慢の長い髪の毛を槍と盾へと形を変え、防ぐのだ。

「って、ぎゃーす髪が燃えてる~」
 当たり前の結果ではある。
 しかし、ステラは気がついていない。髪の毛は燃えるのである。炎と相性がワルすぎなのである。
 だが、それでもステラは神話の幻獣の姿のままブルーアルカディアの空を飛ぶ。
 彼女が護ると決めたのならば、それは何をおいても為さねばならぬことである。
「もうやだ。髪の恨みはらさずにおくべきか!!」
 光を放ち輝く金ダライをステラは空を飛びながら集めていく。折り重なった金ダライを蹴り飛ばしながらステラは一気に自身の重量を込めた一撃を『力天魔怪獣デュナメス』に叩き込む。

 自重と加速、そしてユーベルコードの輝きを受けた蹴撃の一撃は凄まじい重さとなって『力天魔怪獣デュナメス』を打ち倒すだろう。
「ボクは重くないぃぃ」
 魂の叫びであったが、それは無理である。
 勇士たちは凄まじい重量の一撃を見せたステラを称えるも、彼女自身はとてもやりきれない思いのまま『力天魔怪獣デュナメス』を大地に失墜させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
全てを破壊するか
では試してやろう

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら自身を無限加速し回避
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

光尽にて討つ
対象はオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

宿すは破壊の原理
自身を無限加速し接敵
『刻真』にて「世界が始まった瞬間から詠唱し続けた」状態で全撃を即解放
正面から叩き込んで仕留めに掛かる

本当に全て破壊できるか否か試すも良かろう
残らず消し飛ばしてくれる

※アドリブ歓迎



「グルウウオオオオ――!!」
 咆哮が轟く。
 浮島にあって、炎は噴出し続け『力天魔怪獣デュナメス』は、その巨体に備えられた尾を分裂させ、頭部を二倍に増やす。
 様々な動物を模したであろう頭部より放たれる炎は天使核の出力を有に超えていることだろう。
 それほどまでに凄まじい力の奔流。
 先行した猟兵達に刻まれた傷跡がふさがっていくのをアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は見ただろう。

 かの『力天魔怪獣デュナメス』は全てを破壊する存在である。
 かつて在りし天使戦争の折に生み出された魔獣。
 その破壊の力は凄まじいの一言である。その魔獣が今、本領を発揮しようとしている。全てを破壊する獣。
 咆哮はその証左でもあるように感じたことだろう。
「全てを破壊するか」
 アルトリウスは、その巨体を見上げる。

 炎に包まれ、迸る破壊の意志。
 放たれる炎を彼は原理でもって破壊する。無限に破壊される炎。己に辿り着く隙すら与えぬ無限に回す十一の原理は、否定を示す。
 超えることは能わず。
 無限加速した己の速度で持って炎の余波すら消去していく。
「では試してやろう」
 己の魔力は世界の外から供給されている。

「至れ」
 輝くユーベルコードより放たれるのは光尽(コウジン)。
 不可視の攻撃。
 破壊の原理が宿った一撃が正面から叩き込まれる。蒼光放つ原理の一撃は、影響も障害も受けない。
 見ることも躱すこともできぬ一撃は、尽くが破壊をもって示されるものである。
「本当に全て破壊できるか否か試すも良かろう。残らず消し飛ばしてくれる」
 アルトリウスにとって、全てを破壊する獣の存在は意味のないものであったことだろう。

 己の放つ蒼光こそが破壊の原理。 
 ならばこそ、『力天魔怪獣デュナメス』は遠く及ばぬものである。
 巨体に刻まれた傷跡が開き、炎が噴出していく。
 それは『炎を放つ天使核』が露出したことを示していた。これまで刻まれた猟兵たちの攻撃、それらが再び開いたのだ。
 巨体がゆらめき、痛みにあえぐように『力天魔怪獣デュナメス』の咆哮が浮島に響き渡る。
「グゥウウウオオオオ!!」
「無駄だと言った」
 逃がすことはない。

 原理の蒼光は尽くが視認できぬ攻撃。
 何処から来るかも、どれほどの規模かもわからぬ攻撃を前に防ぐ手立てはない。
 巨体が刻まれ、穿たれ、その血潮でもって浮島を包む炎を鎮火せしめる。

 アルトリウスはその巨体を打倒する。
 どれだけ破壊の権化を謳うのだとしても、それを超える存在があることを示すよに悠然と己の指を差し向け、絶えることのない光でもってこれを打ちのめすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
なんという……!
犠牲者をこれ以上増やさぬ為にも、早急にあの魔獣を討たねば

……用途申請、人命救助の為の脅威排除!

機械飛竜ロシナンテⅢに騎乗
炎を躱しつつ、ブレスを生身では困難なG負荷かかる空中機動で回避し接近

さあ、これ以上の跳梁はご遠慮頂きます!

UC起動
ブレスを空中に展開した巨大電脳魔法陣のゲートにて盾受けし呑み込み
再度ゲートを展開する座標は“敵の口内”
内部より再現ブレスを乱れ撃ち

この地に集いし勇士達よ、あの魔獣に一撃馳走したい者は我に続け!

勇士達を率い突撃
彼らを電脳ゲートでかばいつつ同時攻撃
禁忌剣の切っ先より放つ幾本もの破壊ブレス束ねた一撃放ち

命を救うが我が騎士道の本懐
早急に消し飛んで頂きます!



『アジール王国』は屍人帝国『オーデュボン』の侵攻を受けて炎に包まれていた。
 浮島に生きる人々の安否は知れず。
 今は炎だけが全てを灰燼に帰すかのように燃え猛っている。
 その中心にありて、オブリビオンにして『力天魔怪獣デュナメス』は咆哮する。
「グルウウオオオオ!!」
 咆哮は破壊のブレスとなって浮島の大地を削る。
 さらには『炎を放つ天使核』を移植された力で持って、次々と鎮火された炎を再燃させ、あらゆる敵を滅ぼさんとしている。

 それがかつて天使戦争のおりに生み出された魔獣としての本能であり、本質であったのかもしれない。
 破壊。
 齎すのはただそれだけ。
 咆哮は、その定めを示しているかのようでも在った。
「なんという……!」
 体長60mはあろうかという巨体を揺らして、破壊のブレスが解き放たれるのをトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は見ただろう。
 早急にあの魔獣を打ち倒さねばならない。

 すでに生命は失われているかもしれない。
 何一つ救うことができないかもしれない。
 けれど、それで全てを投げ出すには、あまりにも速かった。
「……用途申請、人命救助の為の脅威排除!」
 銀河帝国未配備A式連続報復兵装(アレクシアウェポン・リピートリタリエイション)――手にした電脳禁忌剣の使用が許諾され、剣の機能が開放される。

 機械飛竜ロシナンテⅢを借り、トリテレイアは戦場を突き進む。
 見据えるは傷だらけになりながら咆哮を続ける『力天魔怪獣デュナメス』。
 そのブレスは広範囲に破壊の力を齎す。
 だが、それらの全てをトリテレイアは躱す。どれだけ生身では困難な負荷がかかるのだとしても彼の体はウォーマシンである。
「生身ではないということは、このような機動であっても!」
 回避を可能とする。
 急上昇からの急降下。

「ゴアアアア――!!」
 放たれる破壊のブレスと炎。
 それを見据えたトリテレイアのアイセンサーがユーベルコードに輝く。
 携えた電脳禁忌剣が生み出すのは巨大電脳魔法陣。
 ゲートと為さしめた光が、破壊のブレスと炎を飲み込み、吸い込んでいく。凄まじい光景であったことだろう。
 勇士たちは飛空艇より、その光景を見ていた。
「この地に集いし勇士達よ、あの魔獣に一撃馳走したい者は我に続け!」
 トリテレイアの言葉と共に『力天魔怪獣デュナメス』の口腔が爆ぜる。

 一瞬のことで何が起こったか理解できなかったことだろう。
 トリテレイアの電脳禁忌剣が生み出したのはただ敵の攻撃を吸い込む盾にあらず。
 吸い込んだ破壊のブレスと炎を転送するための魔法陣であったのだ。
 そして、その転送先は『力天魔怪獣デュナメス』の口内。
 破壊の力が弾け、『力天魔怪獣デュナメス』は喉を、そして体内を破壊の力でズタボロにされながら傾ぐ。
「オオオオ!!」
 勇士達はトリテレイアの言葉に続くように飛空艇を駆り、一斉に突撃する。
 炎が浮島を未だ包んでいる。

 けれど、畏れるべきことは何一つ無い。
 その一番槍を務めるようにトリテレイアは『力天魔怪獣デュナメス』へと飛び込んでいく。
 放たれる剣の一撃が幾重にも重ねられた破壊のブレスを束ねた一撃となって突き立てられる。
 そこに砲撃が繰り返される。
 あの『炎を放つ天使核』さえ破壊してしまえば、如何に強大なオブリビオンと言えど消滅は免れない。
「生命を救うが我が騎士道の本懐。早急に消し飛んで頂きます!」

 勇士たちの飛空艇より放たれた砲撃が『力天魔怪獣デュナメス』の天使核を露出させる。
 加える一撃は、勇士たちの勇気を束ねたものであるとトリテレイアは知るだろう。
「人の心に灯された勇気を破壊の化身は壊すこと能わず。それを示して見せましょう!」
 放たれた剣の一撃が『力天魔怪獣デュナメス』の天使核を破壊する。
 音を立て、そして、最後の咆哮すらなく『力天魔怪獣デュナメス』は、その巨体を浮島に沈める。

 どれだけ巨大な存在であっても打倒せしめる。
 それがこのブルーアルカディアに生きる人々のたくましさであると、トリテレイアは剣を掲げ、勇士達と共に勝利の声を上げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『エンパイア・ロケット・クルセイダー』

POW   :    我ら聖なる槍を振りかざし
【ロケット噴射】によりレベル×100km/hで飛翔し、【狂える信仰心】×【狂える正義】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    神は己のものを知り給う
自身が戦闘不能となる事で、【攻撃中の】敵1体に大ダメージを与える。【己が信仰する神への祈りと願い】を語ると更にダメージ増。
WIZ   :    神の御業は偉大なり
【不屈の覚悟と不屈の信仰を込めた言葉】によって【天から射す聖なる光】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。

イラスト:スダチ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『力天魔怪獣デュナメス』の『炎を放つ天使核』が勇士たちとの攻撃で砕かれた瞬間、浮島を包んでいた炎が一瞬のうちにして消えていく。
 それはこの浮島を浮かせている天使核を破壊せんとしていた屍人帝国『オーデュボン』の『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちに動揺を走らせる。
「馬鹿な……! あの『力天魔怪獣デュナメス』がやられただと!?」
「ありえん! 天使戦争時の魔獣だぞ!?」

 彼らは己たちの勝利を確信していた。
 あの『力天魔怪獣デュナメス』は勇士達ではどうにもならない存在であった。
 例え猟兵が来たのだとしても、あの強固な鱗と巨体は『アジール王国』の天使核を破壊する時間を稼ぐには十分すぎるものであったからだ。

 だが、勇士達の心に灯された熾火と、猟兵たちの戦いぶりに寄って、その目論見は打破されたのだ。
「くっ……だが、天使核さえ破壊してしまえば――!」
 そう、浮島は沈む。
 たったそれだけ沈むのだ。
 もう目の前の聖域は炎によって露出された後だ。後は己たちのユーベルコードを叩きつけるだけでいい。

 だが、それさえも猟兵達は許さないだろう。
 己たちが頼る『力天魔怪獣デュナメス』は打倒された。そして、その狼狽や動揺は簡単に打ち消すことのできるものではない。
 そんな彼らに打ち込まれるのは勇士たちの飛空艇の砲撃である。
「速すぎる……! もう此処まで来ているというのか!」
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは、砲撃に散り散りになってしまう。

 それが過ちである。
 狼狽した彼らを打倒することなど容易い。
 猟兵達は、混乱している彼らを急ぎ排除しなければならない。彼らにとって一番の関心事は、この『アジール王国』に残された人々の安否なのだから――。
ステラ・テルキーネス
※ユーリー・ザルティア(f29915)と合流して戦います。

ふう、酷い目にあいました。(元の姿…それでも異形だけど…に戻って)
髪が焼けるは、乙女の体当たりでわざとらしく吹っ飛んで行く魔獣に出くわすは…ボクは重くないです。
ユーリーさんと一緒に戦います。
『空中浮遊』で飛行しますので、一緒に空から攻め込みます。
左右の前脚を『武器改造』で爪をより鋭利に伸ばして、この脚で『怪力』で殴って伸ばした爪で『切り込み』ます。
ここで連携技です。
新技ステラトマホークをユーリーさんのユーベルコードで強化していきまままぎゃぁぁぁ(マッハ5×三倍速で敵を轢き逃げしてそのまま空の彼方へ消えていく)


ユーリー・ザルティア
【連携】
ステラ・テルキーネス(f19520)と一緒に戦う

【心境】
まずはジャイアントkill。
あとは雑兵。天使核…だっけ、絶対に守って見せるよ。
うん。クロムキャバリアのプラントと同じようにね。

【行動】
やっほーステラちゃん。
おひさ。一緒に行くよ。
引き続きレスヴァントを『操縦』してるよ。
『索敵』で敵とステラちゃんの位置を確認しつつ、『瞬間思考力』で『見切り』天使核へ近づいている奴から優先にアストライアの『制圧射撃』で撃墜していくよ。
ステラちゃん。あの連携技行くよ。
ニーベルゲンカタストロフを発動。重力レンズを形成。これでステラちゃんを3倍速で射出してあの天使核に迫ってる奴を撃ち抜いてチョーだい。



「ふう、ひどい目に合いました」
 ステラ・テルキーネス(バイオモンスターのミュータントヒーロー・f19520)は神話の怪物の姿から元の姿に戻って『アジール王国』の浮島に降り立つ。
 すでに『力天魔怪獣デュナメス』による炎は消え去っている。
 だが、浮島の至るところが焼けただれているのはどうしようもないことであった。
 元の姿とは言え、異形。
 猟兵である彼女は他者に違和感なく姿を認識させることができるが、それでも『炎を放つ天使核』のちからに寄って髪は焼かれるは、乙女の体当たりでわざとらしく吹っ飛んでいく魔獣に出くわすわ散々であると彼女は思っていた。

 いや、たしかに散々な目にあってはいるが、それはわりと事実通りというか。
 そんなツッコミをするのも野暮である。
 しょぼくれるステラの頭上から風が巻き起こり、見上げれば白い戦術兵器『レスヴァント』と共にユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)が降り立つ。
「やっほーステラちゃん。おひさ」
 ユーリーは久方ぶりに会ったステラに『レスヴァント』のマニピュレータでもって手を振り邂逅の挨拶をする。
 ステラは見上げた先にある機体の主を知っている。
「ユーリーさん! ボクは重くないです」
 開口一番それである。
 きっとユーリーもステラの戦いぶりを見ていたことだろう。
 誤解なきように言い含めておかねばならないとステラはきっと思ったのだ。

「あはは、わかってるって。一緒に行くよ。天使核……だっっけ、絶対に守ってみせるよ」
「ええ、天使核が砕かれたら、この浮島は沈んでしまいますからね。決してボクが重いせいじゃないですから!」
 ステラとユーリーは『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを見やる。
 彼らの目的は浮島を浮かせている天使核の破壊である。
 それさえ為せれば、彼ら屍人帝国『オーデュボン』の勝利なのだ。
 ここまで勝ち目が見えているのに猟兵に構うことはないだろう。

 だからこそ、ユーリーは瞬間的に理解するのだ。
「うん。クロムキャバリアのプラントと同じようにね」
 守ってみせる。
 彼女の瞳がユーベルコードに輝き、アサルトライフルから弾丸を放つ。
 大空を自在に飛ぶ『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの動きは早い。それ以上に的が小さいのだ。
 空間を制圧するように動きを止めるしかない。

「ステラちゃん。あの連携技で行くよ」
 その言葉にステラは空中浮遊のちからでもって飛び、天使核を破壊せんとしていた『エンパイア・ロケット・クルセイダー』を鋭利に伸ばした爪でもって叩き落とし、怪力宿した脚部で持って蹴り倒していた動きを止める。
 連携技。
 その言葉を聞いた時、彼女はうなずいた。
 ユーリーが言わんとしていることを理解したのだ。それはユーベルコードの掛け合わせ。
 彼女の手にあるのは、ステラトマホーク。
 否、強靭なる爪である。

 そして、彼女の瞳がユーベルコードに輝いた瞬間、彼女の空を飛ぶ速度はマッハ5.0を超える極音速へと居たり、彼女の体を弾丸へと還る。
「ステラ、吶喊しまぁぁ…ぎゃーす!?」
 自身のユーベルコードのあまりの速度に悲鳴がまるで其処に残っているかのように残響する。
 尽くを切り裂き、弾き飛ばしながらステラは『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを一撃のもとに霧消させていくのだ

 だが、それで止まるわけがない。
「グラビティインコム射出!!重力事象制御開始。これは次の為の一手!!」
 ユーリーの駆る『レスヴァント』より放たれる空間歪曲フィールドによる重力レンズ。
 それはレンズを通過したもの全ての運動エネルギーを三倍に変える力を持つ。
「これでステラちゃんを三倍速で射出して――あの天使核に迫るやつを撃ち抜いてチョーだい!」
 ユーリーが設置した重力レンズを透過するステラ。
 その速度はマッハ15。
 理論値の最大値。
 それをステラはバイオモンスターの肉体で実現せしめるのだ。

「ぎゃぁぁぁ――」
 いや、本当に大丈夫だろうか?
 そう思わざるを得ないほどの悲鳴をあげながら、ステラの弾丸となった体は『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちをひき逃げしながら空の彼方へと消えていく。
「わーお」
 ユーリーは空気の壁を突き破って轟音を立てながら空の彼方まで一気に『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを吹き飛ばすステラの勇姿に思わず声を上げる。
 流石に三倍はやりすぎであったかと思わないでもなかったが、彼女たちの連携は凄まじいものであった。
 ソニックブームがあらゆる敵を吹き飛ばし、天使核に至らんとしていた『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを一撃のもとに排除したのだ。

 ステラの体は無事だろうかと慮る余裕は多少あれど。
 それでもユーリーは無事に敵をぶち抜いたステラに、その極音速の彼方へとたびたった姿に敬礼するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桐嶋・水之江
ご機嫌よう
出会ってすぐで悪いけれど、私の天使核…おっと口が滑った
世界平和の為に犠牲になってもらうわよ

ここからはイカルガで出た方が良さそうね
速いし飛べるし

折角奇襲掛けたんだから体勢が崩れてる内に瞬殺するわよ
アサルトライフルで牽制、機巧抜刀術ですぱーんすぱーんと切り捨て御免するわ
各個撃破で手早く処理していきましょう
硬くて斬り難いって時にはスラスター部分だけ斬り落とすわ
後は勝手に落下死するでしょ

自爆特攻?今時そんなの流行らないわよ
ミサイル使いなさいよミサイル
という訳でしつこく追い回してくる奴には遠隔操作したワダツミからミサイルの援護射撃をお見舞いするわ
その間の私自身はまともに取り合わず逃げ回るだけよ



「敵の進撃が速すぎる……! 我等の行動が察知されていた? いや、違うな。これは……!」
 屍人帝国『オーデュボン』の『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは、突入してきた猟兵たちと勇姿たちの飛空艇を認め、その進撃の速度に狼狽していた。
 炎が立ち消えたのは『力天魔怪獣デュナメス』が打倒されたからだ。
 それはまだいい。
 猟兵という存在がやってくるのならば、どのみち『力天魔怪獣デュナメス』は打倒されただろう。

 問題はその速度だ。
 あまりにも速い。並の魔獣であれば、この速度もうなずける。
 けれど、『力天魔怪獣デュナメス』は天使戦争の折に製造された特別な魔獣であった。
 猟兵だけの力だけではない、勇姿たちの飛空艇があったからこそ成せる速度であったのだ。
「ご機嫌よう。出会ってすぐで悪いけれど」
 桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)の駆るキャバリア『イカルガ』が手にしたアサルトライフルから放たれる弾丸が『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを次々と打ち落としていく。
 奇襲を仕掛けたがために体勢が崩されているのもあるが、敵の狼狽具合もまたそれに拍車を掛ける。

 巨大な戦術兵器であるキャバリア『イカルガ』による教習。
 それは水之江流機巧抜刀術・壱ノ型(ミズノエバットウジュツ・イチノカタ)の為さしめる業である。
 凄まじい速度で飛翔しながら、大空を舞う『エンパイア・ロケット・クルセイダー たちは神速の連続斬りによる斬撃を見舞う。
 水之江にとって、それは容易いことであった。
「私の天使核……おっと口が滑った。もとい、世界平和のために犠牲になってもらうわよ」
 放たれる斬撃が『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを切り捨てながら、浮島の空を飛ぶ。

「貴様……! させぬよ!」
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの瞳がユーベルコードに輝く。
 その口から溢れるのは、彼らの神に対する信仰の言葉であった。
「神は己のものを知り給う。我等は神のモノ。神の御業にほかならぬ」
 放たれるは己を弾丸とせしめた生命犠牲にして特攻攻撃。
 その一撃を受ければ、キャバリアとて無事ではすまないだろう。けれど、水之江は狼狽することはなかった。
「自爆特攻? 今どきそんなの流行らないわよ」
 ミサイルを使いなさいよ、ミサイル、と水之江は迫る『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを引き離す。
 
 だが、このブルーアルカディアの空において、彼らこそが覇者である。
 ジリジリと彼我の距離を詰めてくる彼らを前に水之江は自動操縦された強襲揚陸艦である『ワダツミ』よりミサイル援護を要請する。
「そんな自爆特攻に付き合う義理はない。まともに戦ってほしければ、キャバリアでも持ってくることね」
 飛来するミサイルを水之江は躱し、己に追いすがる『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちに見舞う。
 その爆発が背後で煌き、水之江は『イカルガ』のコクピットより四散する敵の霧消を確認し、青空の元に見下ろす。

 如何に大空の覇者であろうとも、己の機体に追いつくことは許さない。
『イカルガ』とはそういう機体なのだ。
「魔獣の天使核。大陸一つを浮かばせることのできる出力をもつもの。世界平和の為に有効活用してあげるわ」
 水之江は恐らく、本音を隠して言葉を紡いでいる。
 オブリビオンの心臓たる天使核。
 その動力としての利用価値は言うまでもない。ならばこそ、それを活用することが己の中にある倫理観に殉ずることだ。

 ゆえに彼女は『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを尽く打倒し、この浮島を結果的に救うのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
後は並のオブリビオン集団の掃討戦ね。
事前に黒鴉の式を放っておいて耳目とする。
絶陣に仲間を巻き込まないよう、「オーラ防御」を張りながら飛鉢法にて単騎で敵中へ特攻。「空中戦」で敵を振り切って。

敵の密集地帯に達したら、偶神兵装『鎧装豪腕』に「盾受け」で攻撃を防がせておきながら、「高速詠唱」で呪を唱える。
「全力魔法」風の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」「仙術」「道術」で風吼陣。
空でこの絶陣に抵抗なんて無駄なことよ。

放っておいた黒鴉の式で敵の動きを把握し、逃げようとする方へこちらもゆっくりと移動。
連中の言動からすれば、逃げずに突っ込んできてくれそうね。その方がこちらも楽だわ。
じっくり切り刻んであげる。



 屍人帝国『オーデュボン』の目的は一体何であろうか。
 これまで猟兵達は幾度もの戦いにおいて『オーデュボン』の尖兵と激突してきた。
 ただ徒に破滅を齎す存在。
 印象はそれ一つであったことだろう。
 執着していたのは青き巨神の存在のみ。『セラフィムV』と呼ばれた巨人唯一が『オーデュボン』の目的であったのだ。

 だが、今は違う。
 版図を広げんと明らかに他の浮島を滅ぼしに掛かっている。
「我等の神に捧げるのだ、この大地を!」
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの鎧から凄まじい噴射を受けて彼らは空を舞う。
 その姿は正に大空の覇者であった。
 縦横無尽に駆け抜けるのは、彼らの狂える信仰心故であろう。
「この大地も、生命も、我等の神に捧げる供物に過ぎぬ! 生命を捨てよ。我等が敵である猟兵に滅びを!」
 飛翔する『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちが迫る勇士たちの飛空艇へと突撃してくる。

『力天魔怪獣デュナメス』が打倒されたことにより、この大地を覆っていた炎は立ち消えた。
 その狼狽を突く形で猟兵達は彼らを圧倒する。
「後は並のオブリビオン集団の掃討ね」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は事前に黒鴉の式神を放ち、己の目とする。
 味方の勇士たちの飛空艇を巻き込まぬためだ。
「此処からは単騎でいく!」

 ゆかりの言葉に勇士たちの声援が飛ぶ。
「任せたぜ! 俺たちの砲撃に当たるなよ!」
「誰に物を言って! でも宛にはしてるから!」
 ゆかりはオーラ防御を張り巡らせた鉄鉢でもって単騎で『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちへと突撃する。
 放たれる槍の一撃を偶神兵装『鎧装豪腕』でもって受け止める。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天上までも響き渡る破壊の風よ。その身に宿せし無限の剣刃により触れるもの悉くを裁断せよ。疾!」

 ゆかりは己に敵の目が集中することを計算に入れる。
 敵の集団を引きつけられるだけ引きつけて放たれるユーベルコードの輝きは、彼女の周囲を無数の刀剣を孕む暴風圏へと変える。
「空でこの風吼陣(フウコウジン)に抵抗なんて無駄なことよ」
 刀剣が荒ぶ嵐の中であっても、大空の覇者である『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは飛ぶ。
 己たちの狂った信仰心のままに猟兵を打倒しようと言うのだ。
「我らが此の程度で逃げるとでも!」
 放たれる槍の一撃が、絶陣の荒ぶ刀剣に寄って砕かれていく。

「ええ、そのとおりね。逃げないで突っ込ん出来てくれる方が、こちらも楽だわ」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 煌めく光は刀剣と成りて『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの甲冑を砕いて、雲海へと沈める。
 彼らの信仰心は狂ったものである。
 その向く先が屍人帝国『オーデュボン』であるというのならば、屍人帝国とは如何なる存在であるのか。

 そして、その統治者が要るのならば、なぜ今になって版図を広げようとしているのか。
 その謎をゆかりは知るために己のユーベルコードを振るうのだ。
「じっくり切り刻んであげる」
 放たれる刀剣が次々と嵐の中にオブリビオンを飲み込んで霧消させていく。
 その光景を見やり、ゆかりは焼けただれた大地を見下ろすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
悪足掻きは仕舞いだ

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら自身を無限加速し回避
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

天楼で捕獲
対象は戦域のオブリビオン
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込める

高速詠唱を『刻真』『再帰』にて無限に加速・循環
瞬く間も与えず無数の迷宮を多重展開
強度と自壊速度を極大化し捕獲即殲滅を図る

出口は自身に設定
対象外の全てには移動攻撃その他影響皆無
万一出口へ辿り着く個体があれば破壊の原理を乗せ打撃で討つ

※アドリブ歓迎



 数多の『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちが猟兵と勇士たちの飛空艇より放たれる砲撃に寄って霧消し、沈んでいく。
 その光景を見れば、己達が劣勢になっていることは確実に理解するところであったはずだ。
 けれど、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは退かない。
 己達あるのは、信仰心のみである。
 例え、狂える信仰心であったとしても、彼らの心を支えることに変わりはない。
「我らが神に我らの生命は捧げられている。ならばこそ、我らが盟主たる神の障害たる猟兵を排除することこそ、我らが使命!」
 大空の覇者たる鎧の噴射でもって彼らは空を飛ぶ。
 聖なる光が空を割って彼らに降り注ぎ、乱れた隊列を整える。

 一種の荘厳ささえ感じさせる彼らの乱れ無き隊列を前にアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は告げる。
「悪あがきは仕舞いだ」
 すでに彼の蒼光の原理に寄って戦況は理解している。
 勇士たちの飛空艇と猟兵たちの奇襲によって、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』の軍勢は総崩れになっている。
 本来の目的である浮島を浮かせている天使核の破壊が為せていない以上、猟兵達に戦いの趨勢が傾くのは自明であった。

 けれど、アルトリウスが言うように彼らの抵抗は悪あがきに過ぎないのだ。
「我らの命を捧げて、我らの神の障害たる猟兵を!」
「排除せよ! あれなるは我らの神の敵!」
 一斉に噴射と共に『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちが生命すら捧げるようにアルトリウスへと迫る。
 十一の原理を無限に回し、害ある全てを破壊し、断絶することに寄って否定する。

「惑え」
 アルトリウスの瞳がユーベルコードに輝く。
 戦場全体に自壊の原理が迷宮となって生み出される。それは、天楼(テンロウ)。
 逃げることも進むことも許さぬ迷宮となった蒼光の原理は、加速と循環で持って瞬く間すら与えない。
 強度と自壊速度を極大化し、捕縛した瞬間に殲滅を図るユーベルコードはアルトリウスにとって『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの抵抗を無意味としていた。

 如何に聖なる光が差し込み、傷を癒やすのだとしても、自壊の原理を前には無意味であった。
「無駄だ」
「我らの生命が無駄であろうとも、我らの盟主の前に立ちふさがるお前達を!」
 天楼の迷宮より飛び出してきた『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちをアルトリウスは破壊の原理を載せた打撃で討ち滅ぼす。
 如何に迷宮を脱出するのだとしても、出口にて待ち構えるのが己であるのならば、それは行き止まりにしか過ぎない。

 無駄である。
 どんなに信仰心に満ち溢れ、己の神に奉じる心があるのだとしても、オブリビオンである以上、その信仰の先にあるのは世界の破滅でしかない。
 ならばこそ、それを赦す道理などないのだ。
「お前達の盟主が如何なる存在であっても、滅ぼす。これは必定である」
 放つ原理の蒼光の中にオブリビオンたちは霧消して消えていく。
 浮島を包み込んでいた炎は立ち消え、破壊の痕だけが残る。

 それはこの浮島の滅びを決めた炎であったことだろう。
 だからこそ、オブリビオンの版図を広げてはならない。このような惨状が屍人帝国が存在している限り、多かれ少なかれ……そして早かれ遅かれ広がっていく。
「それをさせぬのが猟兵であると知れ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
勇士の皆様、ご助力に感謝を
ですが、次は私から離れて頂きたいのです
…無差別攻撃を行いますので

用途申請、人命救助の為の脅威の殲滅の続行!

機械飛竜ロシナンテⅢにて空中機動で敵集団へ突貫
槍の如く突き出す電脳禁忌剣よりUC作動

原理は電子レンジと同一
敵のロケット制御機構を狂わし、体液全てを沸騰させ気体状にまで蒸発
内部より肉体を破裂させ鎧を血肉の袋とさせるマイクロ波を幾度も炸裂させ範囲攻撃で敵を殲滅

正道の騎士ならば、其方の信仰を尊重する戦いが相応しいのでしょうが…
このような虐殺兵装を用いたとしても、今は優先すべきことがあるのです

…ご容赦を!

生き延びた敵騎士を機械飛竜の口部機関砲やすれ違い様の剣の一閃で解釈



『力天魔怪獣デュナメス』の撃破に湧く勇士達。
 彼らの突撃は炎の壁を失った『エンパイア・ロケット・クルセイダー』さえも圧倒する突破力を有していた。
 砲撃が飛び、次々と『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは陣形を崩され、猟兵達に撃破されていく。
「このまま押し込め! 島の天使核を破壊されるな!」
 勇士たちの戦いは見事であった。

 彼らの心にある熾火は確かにあの日の燈火であった。
 人の営みを止めぬこと。
 そして、生命も、そのゆりかごたる大地も失わせぬという気概に溢れていた。だからこそ、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は彼らに告げるのだ。
「勇士の皆様、ご助力に感謝を。ですが、次は私から離れて頂きたいのです」
 彼の言葉に勇士たちは声を上げる。
 此処まで来てなんでだと。
 それもそのはずである。理解できる言葉だ。だからこそ、トリテレイアは告げる。

「……無差別攻撃を行いますので。用途申請、人命救助の為の脅威の殲滅の続行!」
 掲げる電脳禁忌剣が開封される。
 騎乗した機械飛竜ロシナンテⅢよりトリテレイアのユーベルコードの光が発露する。
 その輝きを受けて『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちは己たちの生命を捨てる覚悟で己達が奉じる神へ祈りと共に肉体を砲弾に変えて突撃してくるのだ。
「我らの神の障害を排除せん!」
「猟兵こそが我らの神の道を阻むもの! これを我が生命でもって!」
 彼らは己の肉体を弾丸のように突貫させる。

 それは特攻と呼ぶに相応しい勢いであった。
 だからこそ、トリテレイアは勇士たちを下がらせたのだ。
 彼らに塁が及ばぬようにと。
「そのロケット制御機構を狂わし、その体液全てを沸騰させ気体状にまで蒸発させます……!」
 銀河帝国未配備A式個人携帯虐殺兵装(アレクシアウェポン・マイクロウェーブボム)。
 それが彼の電脳禁忌剣より放たれたユーベルコードであった。
 生体組織を一瞬で沸騰させるほどのマイクロ波。
 これに巻き込まれては勇士たちは無事では居られない。だからこそ、トリテレイアは離れるように言ったのだ。

「正道の騎士ならば、其方の侵攻を尊重する戦いが相応しいのでしょうが……」
 トリテレイアは次々と沸騰するように破裂していく『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを見下ろす。
 このような虐殺兵装を用いたとしても、今のトリテレイアには優先すべきことがあるのだ。
 それはこの大地に生きていた人々の安否の確認である。
 未だ彼らの安否は知れず。
 だからこそ、急がねばならない。

「……ご容赦を!」
 トリテレイアは放たれたマイクロ波を躱した『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちをすれ違い様の一撃でもって雲海に叩き落とす。
 彼らとて雲海に沈めば滅びるしかない。
 さらに機械飛竜の口部より放たれる機関砲でもって浮かび上がれぬほどに叩き落とす。

「どうかご無事で……!」
 トリテレイアには祈ることしかできない。
 人々が炎に巻かれていぬことを。しかし、焼けただれた大地を見れば、炎の凄まじさは言うまでもない。
 機械飛竜でもって飛び、見下ろす大地はどこもかしこも無事ではない。
 果たして生存者はいるのか。
 その焦りだけがどれだけ敵を打倒したとしても、トリテレイアの電脳を焦がすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
デカブツは片付いたようですね
後は島の天使核を狙う輩を仕留めて
その後に住民の救助活動

…ふふ、エイル様がいたら
どう動くでしょうね?
きっとあの方は自分を困難からの盾にするのでしょう
ならばメイドはその困難を打ち砕くのみ!

勇士の皆様、ありがとうございます
ここからは単騎で突撃します!

『アンゲールス・アラース』、天使核接続完了
単独飛翔でエンパイア・ロケット・クルセイダーたちへ
『ニゲル・プラティヌム』を両手に
【スクロペトゥム・フォルマ】で応戦
空中戦が得意なのはこちらも同じです!
突っ込んできたところへ乱れ撃ち
接近されたらジャストガードで受け流し
空いた隙へ拳銃を叩き込む!
さあ絶滅するまで狩り尽くして差し上げます!



 一人のメイドの胸に去来する思いは如何なるものであっただろうか。
 こうして戦う己の姿を見て主人は何を言うだろうか。
 そして、焼けただれた大地を見て、如何にするだろうか。
「……ふふ、『エイル』様がいたら、どう動くでしょうね?」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)にとって、それは愚問であった。
 問いかけられる意味すらなかった。
 すでに彼女の主人の意志は彼女の中にこそある。
 だからこそ、問いかけは無意味であり、答えしかない。

「きっとあの方は自分を困難からの盾にするのでしょう」
 ステラにとって、それは己の存在意義と同じであった。
 仕えるべき存在を知ったからこそ、メイドは己の職務を果たそうとする。例え、それが自称であったのだとしても、変わりなきことである。
 勇士たちの飛空艇に乗り、ステラは空を往く。
 目の前に展開した『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの隊列は乱れに乱れている。
 猟兵達が介入したこともそうであるが、勇士たちの突撃があったからこそ、『力天魔怪獣デュナメス』を打倒することができたのだ。
 この勢いは止まらない。

「ならばメイドはその困難を打ち砕くのみ!」
 勇士の飛空艇よりステラは恭しく一礼してから飛び立つ。
 天使核を動力とする天使の翼を羽ばたかせ、ステラは飛翔する。彼女の単身による飛翔は、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちにとって、どちらがこの大空の覇者であるかを決定するための戦いでもあったのだ。
「我らが信仰! 我らが正義! この大空は我らが主のために!」
 凄まじい勢いで噴射し飛翔する『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たち。
 彼らの速度と力は、彼らが奉じる神と盟主に対するものによって強大な推力へと変わるのだ。

「私はメイド。主のご用命(オーダー)は、すでに承っておりますゆえに――撃つだけが銃の使い方では無い、そのことを教えてあげましょう」
 ステラの瞳がユーベルコードに輝く。
 どれだけ彼らが奉じる神と盟主が強大なのだとしても、己の中にある主への想いに陰りがあることなどないのだ。
 両手に構えた黒と白金のリボルバーが火を噴く。
 空中で繰り広げられた銃の型。
 それは瞬く間に『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを撃墜していく。

 乱れ打たれる弾丸は大空に響き渡り、大空の覇者と対等以上に戦いを繰り広げる。
 離れれば弾丸が。
 近づけば銃身と銃底による打撃が襲い来る。
「さあ絶滅するまで狩り尽くして差し上げます!」
 ステラの瞳はこの大空の世界、人々の営みを止めようとする者たち全てに向けられている。
 己の主は弛みなき人の営みを愛した。
 その営みを護るために己の身すら投じたのだ。

 ならば、その主に付き従うメイドとして己が為さねばならぬことをステラは知っている。
 奉仕の心は天使核の心臓ではない別の場所に在る。
 それを示すようにステラは天使の翼を広げ、銃の型『スクロペトゥム・フォルマ』でもって旋風のように『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを打倒し、焼けただれた大地の空を駆け抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…賽を振る前から勝ちを確信してるからそうなる…蛇の目が出ることだってあると言うのに…

…とは言えこちらも油断は禁物…クルセイダーズ達が体勢を立て直す前に勝負を決めてしまおうか…
…勇士達と連携しての飛空挺からの砲撃と爆破術式による攻撃でクルセイダー達を誘導…
…周囲に遅発連動術式【クロノス】を仕掛けた場所に集めて…
…体勢を立て直そうと●神の御業は偉大なりを使おうとする所に【夜空染め咲く星の華】を発動…
…【クロノス】により発動する障壁で閉じ込めて一網打尽にしてしまおう…
…冷静であったら見抜かれていたかも知れないけど…動揺していたのが運の尽きだね…



「我らが負けることなど在ってはならぬ。我らが盟主と神に誓って!」
『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの隊列は乱れに乱れていた。
 本来、勇士たちの飛空艇から放たれる砲撃程度では食い破られることのない実力差であったのだ。
 だというのに、今や彼らは追い込まれている。
 猟兵たちの介入があったのだとしても、この事態は想定外であったのだろう。
 傷つきながらも彼らは光指す聖なる光によって回復し、士気を高揚させる。

 だが、それは無意味であった。
「……賽を振る前から勝ちを確信してるからそうなる……蛇の目が出ることだって言うのに……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は狂信的なまでに戦うことをやめようとしない『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを勇士たちの駆る飛空艇の甲板から見上げる。
 彼らの戦いへの意義を支えるのは、狂える信仰心である。
 オブリビオンであったとしても、信仰心は存在しているのだろう。だからこそ、彼らの鎧には聖なる光が降り注ぐ。
 それが屍人帝国『オーデュボン』の成せる業であるというのならば、メンカルは油断こそが大敵であると知る。

「体勢を立て直すために勝負を決めてしまおうか……頼んだよ」
 メンカルの言葉に勇士たちは一斉に砲撃を開始する。
 展開された爆破術式が『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを襲う。
「此の程度の砲撃で我らの忠誠をくじくことなどできるものか!」
 大空の覇者。
 それが『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちの誉であったことだろう。
 彼らはその自負があるからこそ、勝利を確信していたのだ。
『力天魔怪獣デュナメス』という切り札が如き存在。
 天使核を破壊するだけで良いという勝利条件。
 其の尽くが彼らを滅びへの道へと導く慢心となったことは皮肉でしかない。

「天の耀きよ、咲け、放て。汝は光芒、汝は落輝。魔女が望むは闇夜を穿つ星月の矢」
 メンカルの唇から紡がれるは詠唱。
 それは夜空染め咲く星の華(ダイ・ザ・スカイ)。
 遅発連動術式『クロノス』が大空に輝く。それは、『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを取り囲み、逃さない。
 これまでの砲撃や爆破術式は、彼らを追い込みユーベルコードに寄って回復する瞬間を狙うためのブラフでしかなかった。
「囲まれた……!?」
「……冷静であったのなら見抜かれていたかも知れないけれど……動揺していたのが運の尽きだね」

 そう、彼らが狂える信仰心ではなく、正しき戦術眼を持っていたのならばメンカルの狙いにも気がつく事ができただろう。
 意図的に放たれる砲撃。
 こちらの装甲を削ぐためだけの爆破術式。
 その全てがこの一撃を叩き込むためだけの準備でしかなかったのだと。

「これが蛇の目というやつ……見誤ったね。お前達が見なければならなかったのは、神の御業の偉大さではなく……」
 天上に咲く星の華であったのだと。
 その光は極大なるユーベルコードの輝き。数多の星の力を宿した光柱が降り注ぐ。
 遅発連動術式『クロノス』によって生み出された障壁は、大空の覇者であった『エンパイア・ロケット・クルセイダー』たちを逃さない。
 此処で全てのオブリビオンは霧消させる。
 その意志を発露させたメンカルの放つ光柱の一撃は、一瞬で集められた彼らを蒸発せしめる。

 光の柱が散華した痕に残るのは、天使核の煌きのみ。
 その砕けた輝きをメンカルは見上げる。
 焼けただれた大地。
 人々の安否は未だわからない。けれど、脅威は振り払った。彼女が見やる先にあるのは、『アジール王国』の王城であった。

 しかし、その王城が座す大地は浮島の大陸から切り離され、未だ燃えながら空に浮かぶ。
「まずいぞ! あのままじゃ……!」
 勇士たちが呻く。
 気流に乗って浮かぶ王城が流されてしまえば、雲海に沈むしか無いのだ。
「……なら、急ごう。生存者がいるかもしれないからね」
 メンカルは勇士たちと共に飛空艇でもって切り離され空に浮かび炎に巻かれる王城へと向かう。
 一つでも多くの生命を取りこぼさぬようにと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『疾く救出せよ!』

POW   :    動けない人を抱えて救出する

SPD   :    素早く船内を駆け回って救出する

WIZ   :    魔法や知恵を使って救出する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 焼けただれた大地が続く浮島。
 その最奥に位置するのが『アジール王国』の王城である。
 未だ人々の安否は知れず。
『力天魔怪獣デュナメス』による炎は市街地を尽く破壊せしめていた。ゆえに、生存者たちは絶望的ですらあった。

 だが、猟兵達は見ただろう。

 その焼けただれた市街地の先、王城が大地より切り離され炎に燃えながらもゆっくりと浮島の大地へと降りるのを。
「あれは――」
 最初に気がついたのは勇士たちであった。
 王城を支える大きな人影を見た。いや、人影ではなかった。それは人というのはあまりにもいびつなシルエットをしていた。
「あれは、『セラフィムV』?」
 そう、王城を支える人影は、レジスタンスたちの心に燈火の如き青き熾火をともした存在であった。

 だが、シルエットが異なっている。
 鎧のような形は変わらず。けれど、両腕、両足が異なっている。
 しかも、両腕は六本腕。
 頭部の瞳の如き煌きもまた六つ。
「赤い、『セラフィムV』……?」
 ゆっくりと王城を支えていた大地を、その赤き鎧の巨人は下ろすと宙に浮かぶ。

 猟兵たちにとって、その姿はまた別のもの映ったかもしれない。
 細部は異なっている。
 けれど、その腕は破壊ではなく、遍く全てを救うためにあるのだと知るだろう。
 背に負う光が煌めいた瞬間、赤い鎧の巨人、かつて幾つかの名で呼ばれたであろう、そのいずれとも異なる姿と色を持つ巨神は、虚空へと消える。

 まるで此処から先は猟兵たちの領分であるというように。
 大地に座す王城は未だ炎に包まれている。
 生存者がいる可能性は高い。あの赤い巨神が助けてくれたのか。ただ成り行きであったのかはわからない。
 けれど、救える生命を取りこぼさぬことこそが、猟兵達に課せられた使命なのだ――。
桐嶋・水之江
なんか変なのが居たわね
レーダー探知外にすっ飛んで行っちゃったけれど
ロケットナイトかしら?
キャバリアにも見えたんだけれど
まあいいわ

さーて私の天使核は…ってまだ王城が燃えてるの?
はいはい解ってるわよ
消火してあげるから待ってなさい

生存者を探すにしても瓦礫を掃除するにしても、火事を何とかしなきゃ始まらないわよね
という訳でまたしても鯨の潮吹きの出番ね
難しい事は一切無し
炎に向かってワダツミから放水するだけよ
水浸しになる?それでいいのよ
火事は消え掛けで油断すると再発火するんだから
まんべんなく洗い流すように徹底的に放水するのよ
呪いやナパーム弾の炎じゃなければこれで消えるでしょう
まったく、今日の私は消防士ね



 キャバリア『イカルガ』のコクピットの中で桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)はレーダーに引っかかった謎の赤い鎧の巨人の姿を認める。
 六本腕。
 六つのアイセンサー。
 それはどれもがキャバリアの如き様相であったことを水之江は見逃さなかった。
 一瞬、ロケットナイトの甲冑かと思ったが、サイズが違う。
 体高は5mほど。
 キャバリアというには異形の機体であったことを水之江は理解していた。
「なんか変なのが居たわね」
 勇士たちの戸惑いをよそに水之江は己が為すべきことを把握している。

 焼けただれた大地。
 市街地はもう使い物にならないだろう。しかし、王城は一度大陸から切り離されたとは言え、あの赤い鎧の巨人が大地におろしている。
 質量を考えれば、とてつもない出力を発揮していたことになる。キャバリアらしからぬ力であるとも言えただろう。
「まあいいわ」
 それ以上に水之江の関心事は天使核にある。
 この世界の全ての原動力。それが天使核だ。その天使核を手に入れ、解析することに寄ってあらたなる道も開けることだろう。

 だからこそ彼女は天使核を求めて『力天魔怪獣デュナメス』の死骸に戻ろうとして、未だ王城が燃えていることを視認する。
「さーて私の天使核はって、まだ燃えているのね」
「頼む、猟兵の人。鎮火が追いつかないんだ!」
 勇士たちの言葉に今すぐにでも天使核の確保に向かいたかった水之江は、しかたなしというふうに頭を振る

「はいはい解ってるわよ。消火してあげるから待ってなさい」
 水之江は王城の中にいるであろう生存者を探すにしても、瓦礫を除去するにしても家事をどうにかしなければならないと、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 気乗りしないことは仕方のないことである。
 だが、ワダツミ級強襲揚陸艦の艦首が開口し、鯨の潮吹き(ホエール・スプラッシュ)の如き放水が始まる。
 またしても、というか、難しいことは一切考えない。
 炎に向かってワダツミ級強襲揚陸艦から放たれる放水が王城を水浸しにしていく。

「や、やりすぎなんじゃ……」
 勇士たちの心配をよそに水之江は止まらない。
 火の消えたように思える場所にも執拗に放水を続けるのだ。これでは後の始末が大変であると勇士達は思ったのだろう。
 だが、水之江は頭を振る。
「いい? それでいいのよ。家事は消えかけで油断すると再発火するんだから。満遍なく洗い流すように徹底的に放水するのよ」
 種火が残っているかも知れないという可能性を排除するためには当然のことであった。
 これが呪いの炎やナパーム弾の炎であったのならば、また別の手段を講じなければならない。
 けれど、天使核より放たれた炎はどうもその類ではないようであった。

「まったく、今日の私は消防士ね」
 そんな柄ではないのだけれど、と水之江はため息を尽きつつ王城の火の始末を続ける。
 早く天使核の確保に向かいたい。
 その一心であったが、王城のあちらこちらから、避難していたであろう『アジール王国』の人々の顔が見えた時、僅かな安堵を覚えたかもしれない。
 いや、それでもなお、やっぱり水之江は天使核に興味が尽きない。
 早く火よ消えろと、構わず放水し続け、燃え盛る王城の鎮火に多大なる貢献をするのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
とりあえず鎮火した区画へ降りて、アヤメと羅睺を喚んで。
「式神使い」で黒鴉召喚。作りだした式たちに、王城内深くへ浸透して、生存者を探させるわ。
アヤメと羅睺にも五感共有の符と「火炎耐性」の符を持たせて、折紙で作った大型獣の式神を率いて避難している人たちを往生の外へ連れ出してもらう。
あたしは全体の指揮監督。二人とも、よろしく!

――それにしても、今度は赤い巨人か。それも六本腕。顔の数までは分からなかったけど、似すぎてるわね。

はい、避難場所はこっちよ。勇士達の飛空艇にも横づけてもらって、そっちに乗ってもらうのがいいかしら。
王様はいる? こういう時こそ陣頭指揮するのがお仕事でしょ。ほら、ちゃんとやる。



「急急如律令! 汝は我が目、我が耳なり!」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は、黒鴉召喚(コクアショウカン)によって呼び出されたカラスに似た鳥形の式神を飛ばし、『アジール王国』の王城の中の様子を探る。
 未だ完全に鎮火していない炎と瓦礫、そして恐らく市街地より避難していた人々の姿を認める。
 王城の中深くへと走らせた式神たちに場内の様子を探らせる。
 火炎への耐性をもたせる符。
 それを式神達に手渡し、ゆかりは手早く組み上げた大型獣の折り紙による式神を手繰り、恐る恐るといった人々の避難を誘導し始める。

「アヤメと羅喉は立場のある人を探してきて頂戴」
 ゆかり言葉に式神の二人がうなずく。
 この場を取り仕切ることのできる立場の人間がいれば、避難の誘導も手早く進むだろうと判断したからだ。
 ここで外の様子を恐恐と探る時間も惜しい。
 なにせ『アジール王国』は壊滅的な打撃を受けているからだ。

 それほどまでに『力天魔怪獣デュナメス』のはなった炎は、この浮島にダメージを与えている。
 天使核の破壊には至らなかったまでも、市街地は全滅である。
 あらゆるものが燃えているせいで、これからの生活に不安と支障が残るだろう。
「はい、避難場所はこっちよ」
 ゆかりは大型獣の式神によって運ばれてきた人々を勇士達の飛空艇に保護してもらう。
 彼らは快く受け入れてくれたが、慢性的な人手不足である。
「王様はいる?」
「私だが、済まない。こちらにもけが人がいるのだ」
 ゆかりは任されたと、けが人の応急処置を始める。

 陣頭に立って指揮を執る人間にとって、国民の安否は一番に考えることなのだろう。
 少なくとも『アジール王国』の国王は、愚かな王ではないようであった。
 焚き付けなければならないかもと思っていた、ゆかりにとっては幸いなことであった。
 だからこそ、ゆかりは勇士達と連携し、式神たちを操りながら考える余白が頭の中にできるのを感じる。

 あの赤い鎧の巨人。
 その姿はゆかりも見たことがある姿であった。
 色が違うということ。そして、何より形が違う。これまで見てきた似通った存在とは、形が決定的に違うのだ。
 六本腕と聞いて彼女が思い浮かべたのは、他世界のオブリビオンマシン。
「――今度は赤い巨人か。それも六本腕。顔の数まではわからなかったけれど」
 似すぎている。
 ゆかりはそう思った。

 三面六臂。
 その言葉が思い浮かぶ。
 けれど、あの赤い鎧の巨人の頭部にあったのは六つの目に相当する煌きだけであった。
 正面に二つ。側面に一つずつ。そして後部に二つ。
「形は『セラフィムV』に似ている。けれど、色が違う。そして、六本腕に三対の目」
 わからないことだらけである。
 だが敵意のようなものは感じなかったことは事実だ。
 もしも、オブリビオンの類であるというのならば、『アジール王国』の王城を支えることなどしないはずだ。

 雲海に沈め、そのまま滅ぼせば良い。
 けれど、赤い鎧の巨人はそれをせず、それどころか王城そのものを支えて人々を救った。
 その一点においてのみ邪悪な存在ではないということに確証が持てる。
「けれど、今はそれどころじゃないわね」
 雑多を極める『アジール王国』の復興。
 その一歩を進ませるために、ゆかりは王城から次々と人々を運び出し、勇士たちと共に彼らの保護を急ぐのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・テルキーネス
※ユーリー・ザルティア(f29915)と一緒に行動します。

本気で酷い目にあいました。
もう二度としない…。絶対ですよ。ふりじゃないです。

判定:POW

ユーリーさんが飛空艇持っているというので怪我人を安全な場所へ搬送していただきましょう。
ボクは要救助者の救助です。
『武器改造』で長い髪の毛を腕状に変化させて、『怪力』で瓦礫を髪の腕で取り除きます。
大丈夫ですよー。救助隊ですよー。魔獣じゃないです(涙/髪の毛を操って怪しい人じゃないアピール)
火事は…うん。また髪燃えたらいけないので瓦礫を被せて延焼を防ぎます。って火が風でこっちに来たー。ユーリーさんへるぷー


ユーリー・ザルティア
【連携】
引き続きステラちゃんと行動。
…ねえ今度巨大サイズの魔獣にもあの連携使ってみない?
クロムキャバリアだと使えないからねぇ。あの飛行速度だと…。

【心境】
あれが、セラフィムV…。
ちょっと興味あるけど、今はそれどころじゃないわね。

【行動】
ステラちゃんの提案聞くわ。
デルフィナス号はそんなに収容できないけど、回数こなせばなんとかね。
レスヴァントじゃあ中にまで入れないから、外周から救助活動するわね。
瓦礫を拾い、炎を振り払うわ。
救助した人に安心してもらえれるように手を振ったりレスヴァントの手に乗せて上げたりね。
乗せれるだけのしたら、デルフィナス号で一時安全な浮島へ運んであげる。
あれ、ステラちゃんは…?



 空の彼方まで極音速でもって飛んだステラ・テルキーネス(バイオモンスターのミュータントヒーロー・f19520)は這々の体で『アジール王国』に戻ってきていた。
 彼女はユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)との連携でもって、その速度まで到達しオブリビオンを尽く打倒したが、その代償は凄まじいものであったことだろう。
 バイオモンスターでなかったのならば、きっと五体が無事ではなかったはずだ。
「……ねえ」
 ユーリーが何か口を開きかけた瞬間、ステラは頭を振って二の句を告げる前に断るのだ。
「もう二度としない……絶対ですよ」
 ステラの言葉にユーリーは、えー、と納得しかねる顔をしている。

 あの戦法ならば巨大なサイズの魔獣であっても容易く打倒できるはずだからだ。
 彼女の主な戦場でもあるクロムキャバリアにおいては空を飛ぶという行い事態が封じられている。だからこそ、この大空の世界ブルーアルカディアでの戦いは得難い経験となったのだろう。
 あれだけ気持ち良い飛びっぷりであったのだ、きっとステラも乗ってくると思ったのだろう。
「そんなこと言わずにね?」
「ふりじゃないです」
 釣れなくステラは断りながら『アジール王国』の王城へと向かう。
 市街地は『力天魔怪獣デュナメス』の炎によって焼けただれている。王城に人々は避難していたおかげで人的な被害は免れているようであるが、未だ王城は完全に炎の鎮火を終えていない。

 それに瓦礫などで人々が往生していることをステラは知って、長い髪の毛を腕の形に変化さえて要救助者の救助に勤しんでいるのだ。
「大丈夫ですよー。救助隊ですよー魔獣じゃないです」
 ステラにとって、魔獣と見間違えられるのは堪えることなのだ。
 彼女のそんな態度に瓦礫に挟まって身動きの取れていなかった人々は苦笑いをしながら、大丈夫だと微笑む。
「だいじょうぶ。おねえちゃんのこと、魔獣だなんて思わないもの」
 瓦礫の中からステラが救い出した少女が笑って髪の毛の腕に頬ずりする。

 そんな微笑ましい光景にユーリーは『デルフィナス号』を王城に横付けする。
 多くを積載することはできないまでも、人々を運ぶことができる。
「あのいっぱい腕のある巨人さんがね、助けてくれたんだ」
 少女の言葉にユーリーは、あれが『セラフィムV』と呼ばれたキャバリアの如き巨人であることを知る。
 興味がないわけではない。
 キャバリアの如き体高と姿を持つ赤い鎧の巨人。
 かつては青い鎧の巨人であり、頭部の形も、六本の副腕もなかったようである。

 考えれば考えるほどの疑問は尽きない。
「けれど、今はそれどころじゃないわね」
 ユーリーは考えを切り替える。
 飛空艇である『デルフィナス号』に怪我人や子供、老人と言った者たちから収容していく。
 キャバリアである『レスヴァント』では狭い場所や王城の中までは入り込めない。今自分にできることをしなければならないのならば、『デルフィナス号』の方が使い勝手がいいだろうと判断してのことだった。

「ユーリーさん、こっちはまだ炎が残ってます。髪が燃えちゃったらどうしようもないですー」
「ああ、わかったわ。こっちは『レスヴァント』でどうにかするから」
 ステラの言葉にユーリーは『レスヴァント』を駆り、瓦礫をどかしながら炎を振り払っていく。
 彼女の駆るキャバリアの姿は王城を支えていた赤い鎧の巨人とは異なるものであったが、それでも人々に安心を与えるものであった。

「さあ、こっちへ。安全な浮島まで飛空艇で運んであげるから……」
 あれ、とユーリーは気がつく。 
 先程まで近くで救助作業をしていたステラの姿が見えない。
 どこに、と思った瞬間ステラの声が響き渡る。
「火が風でこっちにきたー。ユーリーさんへるぷー」
 風によって煽られた残火がステラの髪を燃やす。
 わちゃわちゃと慌てるステラの姿にユーリーは『レスヴァント』を持って駆ける。

 仕方ないと想いながらも、こうして笑い合える余裕が生まれたことが喜ばしい。
 どんなに苦しくても、このブルーアルカディアの世界に生まれた人々はたくましい。魔獣を狩り、その血肉と天使核でもって大陸すら浮かばせる。
 その生命力があったのならば、例え焼け野原になった大地であっても生きていく事ができる。
 ステラの髪の毛に炎症した炎を『レスヴァント』のマニピュレータでもみ消しながらユーリーはそう思うのだ。

 そして、ステラはほとほとに炎は、もう勘弁して欲しいというように、トホホ顔でもって焦げた髪の一房をつまんで見せるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
…ええ、なんとなくそんな気がしておりました
今日に限ってエイル様のことが気になっていたのも
きっと予感だったのでしょう
さて
とはいえ、あれが私が知っているセラフィムV様なのか
そしてエイル様に繋がる何かであるのかはまだわかりませんし…

ならば、まずはエイル様に恥じない行動を
【メイドズ・ホワイト】で救援活動ですね
ステラ、参ります

出来るメイドの超スピードと超反応で
城の中を力技で走査して救助対象を見つけましょう
最初の数人は抱えて移動しまして
頭数が増えてきたら撤退準備ですね

『エネルギー・イン・天使核』でチャージした後
再び『ウェントス・スクートゥム』を展開
気流で炎から守りながらまとまって退避しましょう



 赤い鎧の巨人。
 その姿はステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の知る青い鎧の巨人『セラフィムV』に酷似していたが、似て非なるものであった。
 六本腕に六つの瞳。
 その姿は謂わば、三面六臂の存在と同じであった。
 だが、そこにステラの意識はない。 
 あるのは己の主人と認めた存在への思いだけであった。
「……ええ、なんとなくそんな気がしておりました。今日に限って『エイル』様のことがきになっていたのも、きっと予感だったのでしょう」
 ステラは虚空に消えた赤い鎧の巨人を見送る。

 あの存在が己の知っている『セラフィムV』であるのか、そして『エイル』に繋がる何かであるのか、その確証は未だ何処にもない。
 けれど、それでもよかったのだ。
 ただ、その存在の在り方が、彼女の主人たらしめるものの健在を示していたからだ。
『アジール王国』の浮島から引き裂かれるように分離した王城を雲海に沈めさせぬと、あらん限りの力で持って支え、その中に避難していた人々を守っていた。
 その事実だけでステラには十分だった。
「ならば、まずは『エイル』様に恥じない行動を」
 ステラは膝をわずかにかがめるようにして虚空に消えた赤い鎧の巨人を見送る礼をして踵を返す。

 今なすべきことは多くの人々を救い出すこと。
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 メイドズ・ホワイト。なんでもできる、超有能なスーパーメイドに変身したステラの瞳はユーベルコードに輝いていた。
 いや、それ以上に主人に恥じぬ行いを為さしめようとする気概に満ちていたのだ。
 王城の中をたおやかなステップを踏むようにして駆け抜ける。
 その所作は超スピードでありながら、一切乱れぬものであったし、あらゆる障害を力技でもって押しやる豪腕ささえも兼ね備えていた。

「失礼致します」
 瓦礫に挟まれていた人々を救い出し、抱えるようにして勇士たちの飛空艇に搬出していく。
 その手際は凄まじいものであった。
 何でも出来るスーパーメイドは伊達ではなかったのである。
 とは言え、未だ多くの要救助者達が王城に残されている。ステラは休む間もなく戦場を駆け抜ける。
 経口タイプに加工した10病チャージな天使核でもって、十分なエネルギーを得たステラは天使核より展開した風の盾でもって炎立ち上る王城の中を押し進む。
 熱波が肌を焼く。

「さあ、こちらへ。この盾の中ならば熱波は届きません」
「あ、ああ、ありがとう……!」
 人々を救い続ける。熱波を風の盾で防ぐ。己が盾になる。誰かのためにという思いは、今も彼女の中に紡がれているのだ。
 風の盾であっても、ステラの肌は焼かれる。それでもステラは構わなかったのだ。
 どんな熱波が肌を焼こうとするのだとしても、今の彼女に不可能など何一つ無い。
 胸に宿るのは誇らしさだけだ。
 彼女が主と認めた存在の残滓、その欠片を見つけることができたのだから。
 付き従うに値する。
 それが彼女の誇りである。『エイル』少年を誇るからこそ、ステラは人々を救うことをやめない。

 最期の時まで彼は誰かを助けるためだけに生きていた。
 その意志をもってステラは人々を救う。
 白き天使の如きメイドは、『アジール王国』において、その尽力をもって人の生命をすくい上げ続ける。

 いつかまた見えるその時に、誇ってもらえるメイドであるために――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…あの機体…ふむ…記録はしたから考えるのは後だね…敵じゃないだけよしとして…救出作業に移るとしよう…
…まずは【夜飛び唄うは虎鶫】を発動…偵察ガジェットを多数召喚…
…四方八方に飛ばしてセンサーを駆使して生存者の位置や周囲地形を記録…
…そのデータを【マルチヴァク】で受け取ってマッピング…
…それを現影投射術式【ファンタズマゴリア】で3Dの地図として出力しよう…
…自力で動ける人はガジェットの通信機能で誘導して飛空艇に来てもらって…
…動けない人は手の空いてる勇士たちに救出に向かってもらおう…
…医療製薬術式【ノーデンス】で傷薬も作るからこれをもっていってね…
…この調子で地図を基にオペレートしていくね…



 大陸より瓦解しようとしていた『アジール王国』の王城を支えていた赤い鎧の巨人。
 その姿はこれまでメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)が見てきたものに似通っていた。
 かつて幾通りかの名で呼んだ存在。
 しかし、色と形が異なる赤い鎧の巨人から敵意を感じることはなかった。
 あの六本の腕は遍く全てを救わんとするものであるように感じたし、三対の瞳は、救いを求める者を見逃さぬかのようにきらめいていた。

「……あの機体……ふむ……記録はしたから考えるのは後だね……」
 メンカルはあの赤い鎧の巨人が敵ではないことを確認し、救出作業に走る。
 王城には未だ炎が残っている。
 それに瓦礫に挟まった要救助者もいる。優先順位を違えてはならない。メンカルは小型のガジェットをユーベルコードで多数召喚し、四方八方に飛ばす。
 センサーの付いた偵察ガジェットはどんな場所でも飛んでいく。
 王城に『アジール王国』の全ての国民が避難していたというのならば、まだ他の猟兵達に救出されていない者たちがいるはずだ。

 偵察ガジェットのセンサーを駆使して、メンカルは生体反応の位置と周囲地形の記録を取っていく。
「夜飛び唄うは虎鶫(セブン・ホイッスラーズ)――此のデータで……」
 ガジェットから送られてくるデータを元にメンカルは現影投影術式『ファンタズマゴリア』でもって立体的な地図へと出力する。
 仔細を漏らさず読み込んだ地図から優先度の高い人々を救助していく。
「こっちはまだ手が足りてないみたいだ! おい、そこはゆっくりどかせよ!」
「飛空艇はこっちだ。自力で動ける者は自分の足で向かってくれ」
「怪我人がいる! 止血しなければならん!」
 勇士たちがメンカルの出力した地図でもって、要救助者を救い出していく。

「……ああ、これを。傷薬。出し惜しみしないように……」
 メンカルは医療製薬術式『ノーデンス』でもって簡易的な傷薬を生成して勇士達に手渡す。
 少しでも多くを救うためには、出し惜しみはしていられない。
 勇士たちはそれらを受け取って怪我人の治療を行っていく。メンカルは謂わば指揮者である。
 正確な情報を元に勇士たちはよどみなく動いていく。
 誰もがうめいている。
 明日も見通せぬような不安に覆われているだろう。

 今生き残ったとしても、焼けただれた市街地を見れば絶望に染まるだろう。
 全てを失ったのだ。
 わからないでもない。
 けれど、それでも彼らはブルーアルカディアに生きる人々なのだ。どんなに絶望に打ちひしがれるのだとしても、生きることを諦めない人々だ。
「……生きているのならば、明日は来る。どんなに苦しくても」
 魔獣を狩り、その血肉、骨身、内臓器官の尽くを利用して生きていくしかない。
 人々の瞳にあるのは絶望ではない。
 生きているのならばこそ、もがき苦しみながらも明日を生きる。

「それでも生きていくしかない……」
 あの赤い鎧の巨人がつないだ。そして、猟兵達は示すのだ。
 明日を。
 これまでから続く明日を、生きる人々のたくましさを信じるしかないのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
……エイル様?

いいえ、分析は後です
あのキャバリアによって得られた時間と救われた命、無駄には出来ないのです

…此度は救われてばかりでした、感謝いたします
用途申請、要救助者の治療!

機械飛竜に乗って捧げ持つ電脳禁忌剣
天に翳して齎すは『治癒』属性の『慈雨』

鎮火はほぼ完了しておりますが、重傷者への救助が間に合うまでにナノマシンでの延命処置をするならばこれが一番広範囲に影響を齎す事が出来る筈

あとは時間との勝負…急ぎましょう!

機械飛竜から降り、マルチセンサーで情報収集
勇士達には荷が重い作業…微かな声や生体反応の探査、怪力を活かした瓦礫の撤去作業を遂行
生存者の救助に当たります

どうか気を確かに、救出に参りました!



「……『エイル』様?」
 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は虚空に消えた赤い鎧の巨人の姿を認め、思わずつぶやいていた。
 あの赤い鎧の巨人はたしかに似通っていた。
 己が知る青い鎧の巨人『セラフィムV』と。
 しかし、色が違う。形も違う。『セラフィムV』の色は青色。六本腕でもなかった。そして、頭部に備えられた三対の煌き。
 そのどれもが違うものであったが、それでもトリテレイアは思わず思ってしまったのだ。

 あの赤い鎧の巨人は敵ではないのだと。
 そうした確信があったのだ。
「いいえ、分析は後です。あのキャバリアによって得られた時間と救われた生命、無駄にはできないのです」
 電脳禁忌剣を構える。
 此度の戦いでは、この電脳禁忌剣に救われてばかりであった。
 だからこそ、最後に人々を救うことを諦めてはならないのだ。銀河帝国未配備A式天災再現兵装(アレクシアウェポン・ディザスター)が展開する。
 炎に包まれた『アジール王国』の王城は未だ炎が所々に立ち上っている。

「天に翳して齎すは慈雨……!」
 機械飛竜より掲げる電脳禁忌剣が齎す慈雨は、鎮火するための雨ではない。
 瓦礫に埋まる要救助者や、飛空艇に運ばれて治療を受けている重傷者たちを癒やすナノマシンの雨であった。
 広範囲に延命処置をするのならば、己の手にした電脳禁忌剣こそが最適である。
 ナノマシンは人々の瞳に雨のようにしか映らなかっただろう。
 けれど、その慈雨の如きナノマシンは傷口に入り込み、徐々に傷口を塞いでいくのだ。体内に張り込めば、いずれ人の組織と一体化して老廃物となって排出されるだろう。

「あとは時間との勝負……急ぎましょう!」
 機械飛竜よりトリテレイアは飛び降り、他の猟兵が生み出した立体地図を手にマルチセンサーを全開にする。
 どんな生命も取りこぼしてはならない。
 己達に課せられた使命は、生命を救うことだ。そのための戦いを今までしてきた。
 そして、あの赤い鎧の巨人は己達に託したのだとトリテレイアは感じて居たかも知れない。

 あの六本腕は遍く全てを救うためのもの。
 あの三対の瞳は救い求める者を見逃さぬもの。
 ならば、己達は救える生命を救わなければならない。あの赤い鎧の巨人が敵ではないと直感的に理解したのは、それを感じたからだ。
「どうか気を確かに。救出に参りました!」
 トリテレイアはウォーマシンの躯体でもって瓦礫を押しのけ、人々を運び出す。
 人々は見ただろう。
 どんなに絶望に塗れても、救いの手は差し伸べられるのだと。

 如何に生きる明日が厳しいものであったのだとしても。
 それでも逞しさを持って乗り越えることができるのを、このブルーアルカディアの人々は知っている。
 魔獣の内蔵で暖を取るような精悍さ。
 それを彼らが持っていることをトリテレイアは知っている。
「どうぞ此方へ。飛空艇へとお運び致します。貴方は大丈夫です。きっと助かります」
 トリテレイアは重傷者に声をかけながらナノマシンによる応急処置を施していく。
 取りこぼさない。
 生命の全てを救う。
 それこそが、己の戦機としての役割であるというようにトリテレイアは、瓦解していく王城を奔走するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
さて時間もない
急ぐか

状況は『天光』で逐一把握
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

絢爛を起動
起点は目の前の空気
創造と断絶の原理を以て空間を支配
崩れそうな建物を補強し支え、炎と現地民の間を断絶して保護
隔離した炎の熱エネルギーは延焼する物のない上空で解放しておく

崩落で避難経路が作れない箇所などあれば足場を作成
落下する瓦礫などは適宜空間ごと断絶し危険がない場所へ移動

なるべくとは言わず一人も欠けず避難完了させよう

※アドリブ歓迎



『アジール王国』の王城は一体の赤い鎧の巨人によって支えられていた。
 大地より切り離されて今にも雲海に沈みそうになっていた王城は、その赤い鎧の巨人によって運ばれ、大地に降ろされる。
 地鳴りのような音が響き渡り、しかし炎の勢いは猟兵達によって削がれていた。
 未だ要救助者は残っている。
 赤い鎧の巨人は虚空に消えた。
 呻く声が王城の中に響き渡っている。手が足りないのだ。

 この王城に『アジール王国』の人々の全てが避難していたことは幸いであったが、同時にどうしようもないほどの傷跡を残していた。
 瓦礫に挟まる者。埋まる者。やけどを負った者。
 苦悶の声だけが、絶望を彩っていくかのようでも在ったのだ。
 仮に生命があったのだとしても、焼けただれた市街地を見れば絶望がぶり返してくることだろう。
 明日を生きることも難しい現状。
 されど、その現状を正しく理解しても、生きていく他無いのだ。
 生命が紡がれる以上、それは避けようのない道であったのだから。
「さて時間もない。急ぐか」
 その状況をアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は把握していた。

 他の猟兵たちによる鎮火、要救助者の救出、そして治療。
 勇士たちも飛空艇でもって駆けつけ、次々と安全な浮島に搬出を開始している。屍人帝国『オーデュボン』による侵攻は今に始まったことではない。
 けれど、彼らの営みに傷跡を残すことは、あまりにもむごたらしい行いであると言えただろう。
「煌めけ」
 アルトリウスの瞳がユーベルコードに、絢爛(ケンラン)為る輝きとなって煌めく。
 それは想像と断絶の原理を持って空間を支配する。
 目の前の空気を起点として放たれたユーベルコードは、崩れそうな建物を補強し、炎と人々の間を断絶して保護する。

 炎の熱ネルギーを上空へと解放し、次々と他の猟兵や勇士たちの道を無機物の支配でもって生み出していく。
「おい、こっちだ! まだ此処にもいるぞ!」
 立体地図を片手に勇士たちが要救助者たちを空く出していく。 
 落下しそうになっている瓦礫をアルトリウスは空間ごと断絶し、危険のないば佐保へと移動させる。
「なるべくとは言わない」
 余さず救い出す。

 あの六本腕の赤い鎧の巨人の姿を思い出す。
 光背を持ち、六本腕と三対の瞳を持つ巨人。あの存在に敵意を感じなかった。
 遍く全てを救うことを猟兵に求めたのならば。
 いや、求められたから救うのではない。
「誰一人として欠けることをさせずに避難を完了させよう」
 アルトリウスは己の手繰るユーベルコードの蒼光と共に王城の中に残された人々を余さず救い出す。

「こっちは全部チェックし終えた! 城が瓦解する前に退避するぞ!」
 勇士たちの言葉にアルトリウスは息を吐き出す。
 王城も、市街地も炎に飲み込まれ壊滅的な打撃を受けた。
 けれど、人々は誰一人として欠けることなく生きている。生きているのならば明日が来る。
 楽観的と言われるかもしれない。
 けれど、明日が来ることこそが生命にとって最も大切なことだ。

 歩む道がどれだけ困難に塗れていても、それでも歩むべき道が、その足元があることを自覚するのならば、ブルーアルカディアの人々はどんな険しい道であっても進んでいくだろう。
 これまでもそうであったように。
 彼らは魔獣を狩り、雲海に沈みゆく必定を持ちながらもたくましく生きてきた人々なのだ。

 ならばこそ、アルトリウスは如何なる心配も杞憂に変わることを知っている。
 彼らは生きる。
 それを諦めない限り、明日は必ずやってくることを知っているからこそ、その生命は救われるのだと知る――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年02月06日


挿絵イラスト