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銀河帝国攻略戦⑱~揺蕩う情報の泉を枯らせ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 心に作用する妨害機構。
 しかし、それも打ち破られたならば、ただの鉄屑だ。
 その鉄屑が妨害していた道の先、そこにはドクター・オロチが乗る『ガルベリオン』の姿が!
 だが、それを覆い隠すかのように、新たな艦隊が猟兵達の前へと現れたのであった。

「皆さんのお蔭でぇ、ガルベリオンの位置が特定できましたぁ」
 ハーバニー・キーテセラ(時渡りの兎・f00548)は、猟兵達の活躍がお蔭で道が拓かれたことをいの一番に讃える。
 だが、そこへ辿り着くにはまだ幾つかの障害があることは確かだ。
 その1つがアマルテア情報艦隊。
 だが、その艦隊は銀河帝国の集めた情報を蓄積し、処理するを担う艦隊でもあるのだ。言わば、頭脳とも言えるものだ。
 ならば、それを討ち果たすことができれば?
「少なくともぉ、銀河帝国の活動を抑制することができるかもしれませねぇ」
 ならば、行きがけの駄賃というものだ。
 それを討つことで道が拓け、更には銀河帝国の動きも鈍らせることが出来る。
 討たない理由はないだろう。
 だが、油断はしてはならない。
 当然、そこには障害となるものもあることだろう。
「内部への侵入はこちらで手引きしますのでぇ、あとは内部で障害の排除をお願いしますねぇ」
 やるべきことは今迄と変わらない。
 そして、そのやるべきことを過たずこなしてきた猟兵達だからこそ、ハーバニーは信頼して託すのだ。
「それではぁ、皆さんの更なる旅路の幸運を祈ってぇ~」

 アマルテア情報艦隊。その内の1隻が艦内。
 その内側へと手引きされた猟兵達は進む。
 そして、常の水とは異なる液体で満たされたプールがそこにはあった。
 その水は猟兵達を前にして蠢き、ぬるりと形を変じる。
 その姿は――。


ゆうそう
 オープニングへ目を通して頂き、ありがとうございます。
 ゆうそうと申します。

 ドクター・オロチへの道すがら、新たなる障害の登場。
 形はあれども、元々は液体のものであり、リキッドコンピューターそのもの。
 その辺り、考慮して攻撃したりしても良いかもしれませんね。
 猟兵の皆さんであれば無事にそれすらも突破できると信じています。
 皆さんのプレイング・活躍をお待ちしております。

 なお、このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 ボス戦 『アナリシス』

POW   :    アナライズ&コードテイカー
【ダメージのない解析ビーム 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【対象のユーベルコードを借用した攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    カウンターコード
【近くで使われたユーベルコードを解析する事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【そのユーベルコードのコピーを使用する事】で攻撃する。
WIZ   :    ミラーフォーム
対象の攻撃を軽減する【対象と鏡映しの姿(ミラーフォーム) 】に変身しつつ、【対象が所持するユーベルコードを借用する事】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鏡繰・くるるです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

蜂蜜院・紫髪
心情:
情報というのは実に厄介な物、残しておけば必ずや禍根が残ろう。
今も儂らについて何か集められておれば適わん。
それに確か予知の中に捕まっている者がいるとの事じゃったな。
位置を知っていそうじゃのぅ…さぁ帝国よ。情報戦じゃ。

戦闘:護衛人形を盾に狐火で戦います。怪我人が出れば【癒しの狐火】で回復
前衛が居れば中衛として隙をサポート
下記条件は無理せず行います
【アナライズ&コードテイカー】護衛人形で【かばう】ことで不発を狙います
【ミラーフォーム】反転した姿である事を【見切り】【カウンター】を狙います
【カウンターコード】護衛人形で【オーラ防御】【武器受け】【かばう】し、【厄受人形】【呪詛返し】を狙います


ユーイ・コスモナッツ
ユーベルコードをコピーするというのなら、
ユーベルコード抜きで戦ってみせましょう

というわけで
抜剣して突進、剣と盾とで接近戦を挑みます

私も剣の達人というわけではありませんが、
アナリシスも私と切り合っている間は、
他の猟兵さんの動きに意識を向けづらいはず
そうしてアナリシスの隙を作ることで、
他の猟兵さんがユーベルコードを直撃させる
サポートができれば、と思います

他の猟兵さんに向かって
コピーユーベルコードが放たれたときは、
間に割って入って「天球の虚数変換」を発動
外部からのエネルギーを虚数化するバリアで、
威力を雲散霧消させてみせましょう
私が盾になって反撃の隙を作ります
「かばう」技能が役立つでしょうか



 プールより出でた常ならざる水。
 それは水銀のように張力を持ち、プールの外であっても形を崩さない。
 ――誰も瞬きはしておらず、そこから意識も離してはいなかった。
 しかし、気付けば目前には鋼色の女が1人。
「視たことあるわぁ、アナタもぉ、アナタもぉ」
 ぐにゃり、ぐにゃり、ぐにゃり。
 その女――アナリシスが姿を相対した蜂蜜院・紫髪(怠惰な蜂蜜屋・f00356)、ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)……と、次々と銀河帝国との戦いの経験がある者の姿を取り、最後には元の姿へ。
 猟兵達の間に奔る戦慄は如何ほどであったか。
「情報というのは実に厄介な物、残してけば必ずや禍根が残ろうとは思っておったが……これは想像以上じゃな」
 眼鏡の奥、金の瞳に怜悧な光を宿し、紫髪は言葉に苦みを含ませる。
 今もなお繰り広げられている銀河帝国との戦い。
 その中で猟兵達の活躍は目覚ましいものがある。故に、重要対象と判じられ、優先的に解析されるのは当然であり、それを情報艦隊の一部でもあるアナリシスが知っているのも当然と言えた。
 だが。
「ですが、即座に私達に対処する行動を取れなかったということは、解析もそこまで完璧ではないのでは?」
 ユーイの語る言葉のとおり、解析が終わっているのであれば、猟兵達に対する対処もまた分かっている筈である。だが、それがなかった。ということが、ユーイの言葉を何よりも証明していた。
「その通りよぉ、猟兵達ぃ」
 そして、意外なことにアナリシスからも肯定の言葉が返る。
「――でもねぇ、解析ならぁ、もっと直接的にぃ、アナタ達を解析すれば早いじゃなぁい?」
 嗤う声は不吉。
 紫髪の身体が考えるよりも先に動いた。
 それは第六感であり、野生の勘。そして、もしもを考えていたからこその反応。
「来たれや!」
 アナリシスから奔った光――人の身を暴き、その内を解析する光。
 それが自身へと当たる直前、その目の前に盾と立ち塞がるは護衛の人形。
 光は虚しく護衛人形へと当たり、何の成果もなく四散していく。
「――悪いが、儂らについて、これ以上の情報は渡さんよ」
「あらぁ、ざんねぇん。ならぁ、捕らえてからかぁ、死体からでもぉ、直接解析するわぁ」
 ――それも御免被るのう。
 紫髪の漏れ出た言葉は風と消え、そして、戦いの幕はあがる!

 先駆けと走ったのは純白白銀の騎士。
 清廉なる輝きを翻し、ユーイはアナリシスへと肉薄する!
「技は真似ても、そこに宿る魂まで模倣できますか?」
 猟兵が猟兵たる所以はやはりユーベルコードの存在であろう。
 だが、それだけではないと敢えてそれは使わず、ユーイは剣を閃かせながらアナリシスへと問うのだ。
「魂ぃ? そんなものがなくてもぉ、効果や効力に違いなんてないわよぉ」
 ――ぐにゃり。
 金属の色はそのままに、その姿はユーイの瓜二つ。
 そして、その身にユーイとは異なる剣術のデータをダウンロードしつつ、アナリシスは閃く刃に己と同色の刃でもって応じるのだ。
 その表情には己の言葉を肯定するかのように、嘲笑が浮かんでいる。
 鍔迫り合い、互いが押し合うようにして反動で距離を取り、仕切り直し。
「いいえ、それは違います」
 言い切るユーイの言葉に籠るは真似など出来ない誇りが垣間見える。
 静かに見つめ来る青の双眸。それへ、無意識にアナリシスの脚が下がった。
「言葉よりも、この刃でそれを証明しましょう」
 言うよりも早く、力強い踏み込みの音が響く。
 ――斬!
 踏み込み、肉薄したユーイの刃がアナリシスの宿した剣術よりも速く、その身を断ち割る!
 身に沁みついた技術と検索し、処理し、実行しなければ行動に移せない技術。
 その差がまざまざと現れた瞬間であった。言うなれば、これこそが魂の有無であろうか。
「はっ、はははは!?」
 瞬間的に身体を断ち割られようとも、元は液状たるその身。
 大きな損傷もなく、アナリシスはその身体を復元させる。
 だが、そこには確たる動揺が存在した。
 液状でありながら、本当にその身を断ち切られると、そう感じさせるものがそこにはあったのだ。
 ――今の剣術では駄目だ。あの技術の方に更新すれば!
 そして、ユーイを目掛け、解析の光を――。

「これ以上の情報は渡さんと、そう言ったじゃろう」
 その名が示す通りの髪を焔の色に照らし出し、紫髪は優雅に嗤う。
 傍に侍るは護衛の人形のみに非ず。
 炎で模られた狐が数多。
 そして、それは既に目標――アナリシス目掛け、走り出していた。
 解析の光は狐火に呑み込まれた。アナリシスの姿も間を置かずに。
「はははっ、なんじゃ。それは儂のつもりか?」
 だが、アナリシスとて伊達でこの場に居る訳ではない。
 一瞬の時間を使い、その姿を紫髪と似たものに。
 狐火を浴びつつも、全てまでは許さじとばかりに狐火へ干渉し、消し止めたのだ。
 だが、紫髪の嗤う通り、その姿は不完全。
 豊かな髪は途中で身体と同化し、手足の長さは不揃い。顔に至っては眼鏡と同化し、形も崩れている。出来損ないの紫髪がそこにあった。
「よくもぉ、よくもやってくれたものだわぁ」
「それは致し方あるまい。これは机上の遊びではなく、現実の戦いなのじゃからな」
 ほれ、もう2,3程でも喰らってみるか? と、紫髪。
 嗤われるを怒りと感じ、動揺をなんとか心の奥底へと追いやって、その姿を元の物へと戻したアナリシス。
 その瞳には最初のような侮り、嘲りの含まれた光はない。ただ、強い怒りが渦巻いていた。
 だが、それは冷静さがあってこその情報処理能力を著しく阻害するもの。
 紫髪の挑発によりアナリシスが平静さを失った今、それは十全なる力を発揮できないものとなったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ガイ・レックウ
【POW】で判定
『液体なら…蒸発させてやるぜ!!』

【クイックドロウ】【2回攻撃】を使用したアサルトウェポンによる掃射を仕掛けた後に接近し【怪力】のスキルを使った【串刺し】で攻撃するぜ
相手の攻撃を【見切り】と【オーラ防御】で対処すると同時に攻撃に【フェイント】を混ぜていくぜ
連続して攻撃し、隙を作ってユーベルコード【紅蓮開放『ヴリトラ』】の炎を解放し、焼き尽くしてやるぜ!!


オリヴィア・ローゼンタール
りきっど、こんぴーたー……ですか
ふむ、ふむむ……
難しいことは分かりませんが、精密機械は熱に弱いと聞いたことがあります
炎熱を操ることにかけてはそれなりに自負があります

【紅炎灼滅砲】の超火力で真っ向から押し切る
【全力魔法】【属性攻撃】で限界を超えた火力を発揮し、
自身は【オーラ防御】【火炎耐性】で熱への耐性
斬っても突いても効果が薄そうですし、蒸発するまで撃ち尽くします
同じ攻撃をしてくるならば、その攻撃の余波で自滅していただきましょう
百を超える灼滅砲の撃ち合い、根性比べと参りましょう


フィーナ・ステラガーデン
ブラックタールみたいなものかしら?
食べがいのなさそうなやつね!

そうね!他の人と連携をして攻撃するわ!
【火炎耐性】(場合によって他耐性系も)【ダッシュ】【オーラ防御】を
使用して動き回りながら様子を見るわ!
他に水場があるなら【アイテム:魔法陣が彫られた靴】に魔力をこめておくわね!
【属性攻撃】を使用してUCでない火球で牽制してみるのもいいわね!
仲間の攻撃に合わせてひるんだ隙にUCを叩き込むわ!
この炎の槍は大きい分、投擲に時間がかかり飛んでいく速度も遅いわ!
普通に投げてもそう当てられないけど・・
あんたの敗因は1人だったってことよ!!

(アドリブ、アレンジ、連携大歓迎)



「りきっど、こんぴーたー……ですか」
 ふむふむ。と、興味深げに、不思議そうに、アナリシスの様子を窺うは、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)。
 自身があった世界との隔絶した技術の差。
 それを理解はしつつも、実際に目にするのはやはり別なのだろう。
 それを眺め、小首を傾げて、はてさてと思案顔。
「ブラックタールみたいなものではないかしら。食べがいのなさそうなやつね!」
 それへ、既知の情報から近しいモノを選んで提示したのはフィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)。
 さらりと食欲が前に出ていたりもするが、その指摘はある種正しい。流石の感性鋭き右脳派である。
「なるほどな。とりあえず、何かよく分からん液体みたいなもんか」
 それへ、したりと頷きを見せるガイ・レックウ(流浪の剣士・f01997)。
 アナリシスがなんであるかを深くまで理解するつもりはない。
 だが、それがひとまずどんなものであるかと理解さえ出来ればいいのだ。
「なるほど。難しいことは分かりませんが、精密機械は熱に弱いと聞いたことがあります」
「おう、熱なら任せとけ。なんであれ、蒸発させてやるぜ!」
「そうね! 全員でやれば、あっという間よね!」
 集いたる3人、その共通点。
 ――じわりと、室内の温度があがる。
 ――それぞれに灯った、赤、朱、紅。
 そう。それは、誰もが焔をその身へと抱く者!
 そして、焔は互いを互いに煽り立て、より大きな炎へと変じていくのだ!

「一番槍は頂くぜ!」
 3人の中でいの一番に動き出したはガイ。
 踏み込み、距離を詰めながらのAW01-2カスタムによる連続射撃は、怒りに燃えるアナリシスの身体を文字通り蜂の巣とばかりに撃ち貫いていく。
「わたしにぃ、そういったのは無駄なんですよぉ!」
 咆哮。そして、見せつけるようにその穴を塞ぎ、即座に修復がなされいく。
 だが、その修復の瞬間はそれ以外の動きが止まっており、僅かではあっても確かな隙がそこにあった。
 ちらり、他の面子を見れば、解き放つ力は莫大でも、少しばかり時間がかかりそうな様子。
 ならば――。
「無駄かどうかは俺が決めるんだよ!」
 止まらぬ射撃音。
 弾の撃ち果てるまでとばかりに、ガイはアナリシスへと弾丸を撃ち込み続ける。
 それはアナリシスをその場に釘付けとし、動きを抑制するもの。
「あぁ~、もぉ! 鬱陶しいぃ~!!」
 跳びはね、躱し、撃たれて、修復し、それの繰り返し。
 ただでさえ怒りに燃えるアナリシスの苛立ちを更に煽るには十二分。
「――もぉ~、アナタは絶対にゆるさなぁい!」
 猟兵達は今迄良く解析の光を良く凌いだと言える。
 だが、戦い続ければいつかは訪れる時が来る。光がついに猟兵を、ガイを照らしたのだ。
 そして、生まれ生じるは焔の竜――ガイには竜の形を模した獄炎。
「誰もお前に許しなど乞うてはいない!」
 舌打ち一つ。
 そして、怨嗟を火の粉と零す妖刀が、使い手の命を喰む妖刀が、その獄炎に呼応したかのように鍔を鳴らす。
 ――あれの存在は許さじ。
 まるで、そうがなり立てるかの如く。
 そして、ガイにも使い手としての矜持がある。
 故に――
「我が刀に封じられし、炎よ!! 紅蓮の竜となりて、すべてを焼き尽くせ!!」
 ――それを解き放つに迷いなどなし。
 宙でぶつかり、喰らい合う2匹の火竜が空気を焦がす!

 火の粉舞い、肌が焼けるような熱気が吹き荒れる。
 そのただ中にあっても、オリヴィアの顔は涼しいもの。
 その身に宿る炎熱の加護が最大限に働き、守りとなっているのだ。
「炎熱を操ることにかけては、それなりに自負がありますが」
 正面で喰らい合う2匹の火竜。それを見て、負けたとは思わない。
 だが、そういった使い方もあるのか。と、オリヴィアは学ぶのだ。
 オリヴィア・ローゼンタール。その身は未だ完成ではない。
 それに激発された訳ではないだろう。
 掌に宿す焔は更に熱く。紅は白へと変じ往く。それはまるで解き放たれる時を待つかのように。
「猛き炎よ、我が掌中に集い、万象を灰燼と化す破壊の奔流となれ――!」
 そして、太陽の一欠けらが零れ落ちた。
 それは火竜の喰らいあう間を抜け、空気をプラズマの如くと変えつつ、アナリシスの身体を呑み込んだ!
 アナリシスが平静を保てていたならば、もしかしたら、その攻撃に対処されていたかもしれない。
 だが、それは所詮もしもの話だ。
 今、目の前にある現実はもう揺るがない。
 白炎に呑み込まれたアナリシスと同時に、制御を失った火竜がガイの火竜へと呑み込まれた。
「その一撃だけで終わりと、思わないでください」
 更に追撃が1つ、2つ、3つ……と、次々に同じ射線を通り、壁の向こうへと消えていく。
 もしかしたら、隔壁に穴が開いたのかもしれない。それとも、消火機能が働いたのか。
 煙が壁の向こうへと吸い込まれ、視界は段々と晴れていく。
 そして、完全に晴れたそこには、赤熱化した身体。蒸発し、幾分か小さくなった身体を見せるアナリシスの姿があった。
「待たせたわね!」
 そして、終わりを告げる声が響き渡る!

「――待たせたわね!」
 火の粉が花吹雪と散る舞台。残る篝火はスポットライトか。
 巨大な、莫大な熱量を伴った魔法陣が赤々と終末の時を照らす。
 大掛かりな分、時間の掛かるものではあったが、他の猟兵達の活躍もあり、それを構成するための時間は確保できた。
 あとは、それを解き放つのみ。
 誰もがそう思った瞬間、アナリシスがまだ諦めてはいないとばかりに動き出す。
「お前をぉぉ、取り込んでぇぇぇぇ!」
 蒸発し、失った身体の一部、失った情報を少しでも補填せんと!
 猟兵の誰もが動けなかった訳ではない。
 勿論、刃が、銃弾が、炎が、その身を斬り、穿ち、焼き、蝕んでいく。
 だが、それでも止まらない。
 修復の手間すらも使わず、アナリシスは進むを選んだのだ。
 猟兵達の誰もの脳裏に、手負いの獣と言葉が浮かぶ。
 そして、それはついにフィーナをその身が届く範囲へと捉え。
 ――ゴッ!
 鈍い音が響いた。
「生憎だけれど、食べられる趣味というものはないわ!」
 ボールを蹴った後のように振り抜かれたフィーナの足。
 それがアナリシスの身体を捉え、宙へと舞いあげる。
 幾分か蒸発したとはいえ、液体金属でもある筈のその身体。何故、ただの蹴りが捉えられたのか。
 それはフィーナの水の上すらを歩ける魔法の靴のお蔭。
 液体である水を捉え、歩けるのであれば、それを蹴ることもまた出来うるということ。
 その結果は偶然か必然か。
「それじゃあ、さようならね! 貫けええぇぇぇえええ!!」
 だが、どうであれ、宙を舞うアナリシスに魔法陣から解き放たれた炎の槍を避けることは出来ず、跡形もなくその身をこの世から蒸発させたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月13日


挿絵イラスト