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ただ甘いものが食べたいだけなんです

#サクラミラージュ

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#サクラミラージュ


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 帝都に住む女子のお話をしようか。
 サクラミラージュ、帝都の街角にはいちごパフェや甘み100%の漉し餡桜餅など、たくさんの絶品を食べられるスイーツカフェというものがあって、彼女はそこの常連さんであったのだよ。
 ただ数年前、友人たちをそこで偶発的に発生した爆破テロで亡くしてしまって。その悲しみを今はもう乗り越えられた、とそう思ってしまっていたのだけど。
「……臨時、休業?」
 最近近くに不審な人物が出没していたというのでその店は今日休み。悲しい出来事を忘れない為に毎日訪れていたそのカフェ、今日は楽しめないのだよ。まあまた明日通えばいいか、と思いはするけれど。
「貴女、悲しくはないの?」
 ああ、影朧がそんなことを恨めし気に囁くから!
「今も悲しいよ」
 そんなことするから今更な復讐心が生まれてしまうんだ!
「ならそれでいいじゃない、貴女の理不尽な怒りを解き放ちなさいよ」
 叶わぬ復讐。何故なら犯人はもう、この世にはいないんだ。影朧も似たような境遇があって、爆発に巻き込まれて死んでいたもんだから。
「…あぁ、」
 だから、叶わぬ願いを京子が口にするんだと。
「甘い物が、食べたいなあ」

「残念ながら彼女の願いは叶いません」
 悲しいことですけど、その過去ばかりはこの予兆だけではどうしようもありません――それが宙に浮くグリモア猟兵の答え。學徒の服を着こんで、椅子の上に降り立って、名を東・よるはと申せば。
「わたくしの故郷、サクラミラージュに点在する帝都の有名なカフェですが、その近くへのテレポートから1分後に爆発。近くの都民が大勢巻き込まれ死亡します」
 そんな急ぎ過ぎた未来を宣ったものだからやってきた猟兵たちもまあびっくり、それじゃどうしようもないじゃないか、否しかし。
「幸い誰がそれを行うかは割り出せました。帝都の学校に通う、18歳の京子という女の子です…彼女は影朧、オブリビオンに憑依されて、寂しさのままにその力を振るうようです」
 その悲しさは、一緒に甘い物を楽しむ友を失った悲劇から来たもの。だからあのカフェもまた、後々リニューアルして新装開店したのだという。要は再度の爆発を、それも被害者自身の手で引き起こされてしまう因果を止めろというお話。
「彼女を影朧から解放することは可能です。それが叶えばオブリビオン退治にまで持っていけますから――ただ前述の通り、最初は時間がそれを許してくれません。理由がどうあろうが、まず強引に止めることから始めてください。目印はピンクの着物にピンクの花飾りです」
 勤勉にもそう語るのだ、この猟兵は。ではどうする、強引に止めたとして、具体的には何をすればいい?
「…彼女の願いは叶わないといいました。甘い物を友達と一緒に食べる願いは」
 それこそ臨時休業が解かれない限りは――。
「そうですね、例えば…わたくしなら、奇跡があってもいいんじゃないかなと思いますよ」
 ああ、そういうことか。
「超弩級戦力が未然に爆破を阻止して、それを偶然、店主さんに見られる、とかね」
 やはり、未来を変えられるのは猟兵だけだ。紫のミニグリモアキューブを左手に載せて、ほらくるり。
「桜の世まで幾千里、旅は道連れさあどうぞ」


川内主将
 お世話になっております。川内主将です。今日からまた通常運転です、殲神封神大戦お疲れ様でした!
 全3章構成で、影朧に憑依された帝都住みの京子の行動を阻止し、その執着を弱めて憑依から解放、影朧を倒すことが目的になります。甘い物の恨みって恐ろしいですよね。
 京子はピンクの着物を着ており、ロングの黒髪にピンクの花飾りを差し込んでいます。幸い近くまでテレポートで到着できるようですから、探すのは簡単だと思います。
 それでは、皆さんの桜吹くプレイングをお待ちしています!
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第1章 冒険 『平和的なばかりでは得られない』

POW   :    死なない程度に力技。

SPD   :    ハッタリやカマ掛けで情報を引き出す。

WIZ   :    良心に訴えかける。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四王天・焔
アドリブや他猟兵との連携歓迎

■心情
友人を失った悲しみは大きい物だと思うけど
だからと言って自暴自棄になってしまってはいけないと思うよ。
これ以上悲しみを繰り返さない様に、此処で爆発を止めて見せるね!

■行動
ピンクの着物にピンクの花飾りを付けた少女を見つけて
時間も無いからすぐに話し掛けるね。
「ここのスイーツカフェ好きなんだね、焔も甘い物は大好きだよ」
「今は臨時休業みたいだけど、きっとすぐに店が開く時が来ると思うから
その時は焔と一緒に食べに来よう!」

そう言い『四王神楽唄』を歌い京子さんを落ち着かせるね。
「どうかな、焔の歌……上手だった?」
この歌の力で、影朧の影響を抑える事が出来れば幸いだよ。



 ああ、一分が始まる。
「どこかな、どこかな?」
 テレポートに導かれ、桜の世に降り立つ無邪気な声、紫の瞳。ふんわり狐火の和服を身に纏い四王天・焔が帝都の美しい景色を見る。視線はあちこち、目印を探しててくてく。その先に見えたるは、お話にあったピンクの着物、ピンクの花飾りの京子。
「あっ、見つけた! ねえねえ!」
 余程びっくりしたか、或いは取り憑いた影朧が瞬間的に猟兵の存在を認めたか、振り返ってみる京子なのである。
「ここのスイーツカフェ好きなんだね、焔も甘い物は大好きだよ」
 無邪気な声がよく通る。その声に聴き入りながらも、目の前にちょうど見えたカフェの戸にかけられた臨時休業の文字がどうしても悲しき女子の心を負の方向に走らせる。
「…うん、ちょうど食べたかった絶品があって、甘み100%の漉し餡桜餅って言うんだけど…でも、今日はやってないみたい。だから、悲しくて、」
 だから、爆発させてしまいましょうよ、と影朧が囁いて、だから心が膨れてしまうのだと。
 でも、自暴自棄になろうとした京子を見て、それではいけないと考えたから。だから、手を繋ぐのだよ。
「え?」
「そうだね…今は臨時休業みたいだけど、きっとすぐに店が開く時が来ると思うから。その時は焔と一緒に食べに来よう!」
 驚いたことだろう、それでも。
「焔の希望の歌、最後まで聴いてね」
 安心させる為に。これ以上悲しみを繰り返させない為に。響けや響け清浄なる歌声――これこそは四王神楽唄、希望を運び慈しみを齎す世にも美しい歌。
 肉体の怠ささえ吹き飛ばせ、この希望はかの影朧の復讐心にもよく届く。
(…なんだろう、ずっと聴いていたくなる歌だ)
 取り憑かれたその意識の奥底から、潜む影朧の声が聴こえる気がする、ああ、やめて寂しさを奪わないで、と。
「どうかな、焔の歌……上手だった?」
 上手だったよ、と一瞬我に返ることが叶ったその心。影響はまだまだ拭い去れぬが、早くからそれが弱まり始めた確信が持てて、安堵する妖の薔薇の焔である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルゥ・アイシテ
おいしい味は、思い出すと寂しくなるよね。
辛いことや思い通りにはならないことが有るたびに、こんな世界なくなっちゃえ!と思うことは人間として自然な心かもだけど。失ったあとで、今よりもっと辛くなるよ?

残りあと1分。もう少し猶予がほしいかな。UCと[カリスマオーラ]で、京子と向き合うよ。
京子、こっちを見て!
ルゥの瞳に宿る力で、誘惑。手をつないで、(素肌を通して伝わる熱、私の胸の鼓動)ルゥも生きてるから、ルゥの命、感じて!

京子の行動回数を奪い続けて、爆破を阻止。制限時間を無期限延長。

触れていれば寂しくないよ。
京子が安心するまで、ルゥはそばにいる。



 一番いい夢を見させてあげるよとは彼女のキャッチフレーズだったか。
「ねえ。おいしい味は、思い出すと寂しくなるよね」
 それに気づかせようとするはルゥ・アイシテ、今を時めく刹那主義アイドル。影朧の影響が今また少し強くなりだした京子と相対するその姿がどうしても眩しく見えて、スタアのオーラが溢れておいでだ。
「寂しく…ああ、ほんとだ、寂しいなあ」
 見ていたいのに、宿るオブリビオンがそうさせてくれない。今だって辛いのは、確かに否定できないものなのだよ。
「辛いことや思い通りにはならないことが有るたびに、こんな世界なくなっちゃえ!と思うことは人間として自然な心かもだけど。失ったあとで、今よりもっと辛くなるよ?」
「もっと、辛くなる…それは、嫌だな」
 そう、今だって京子の身が勝手に動き出してしまえば、きっと後悔のみでは済まないのだから。それでも彼女の手が伸びてしまう――。
 揺れるルゥの瞳。最早一分の端がそこまで近づいてきていると知れ、このままではいけないと瞬間的にその力が発せられ。
「京子、こっちを見て!」
 手と手を繋ぎましょ、ほら届いたぞ。肌身に触れては纏わりついて精気をむさぼることの意味が垣間見える――否、ここでは精気を行動の一つ一つとしてみよう。途端にまた京子の瞳が正気に戻ったり、爆破の意志が宿ったりを繰り返し。
「や、あぇ、えっ?」
「ルゥも生きてるから、ルゥの命、感じて!」
 幾度も幾度も影朧が狙うその機会は奪われ続け、これではまたもどかしくなるばかりだ。猶予は確かに無期限にまで伸びるように思える――これこそはルゥの瞳に宿る力の一端、時を延ばす為の手段としても十分。
「触れていれば寂しくないよ。京子が安心するまで、ルゥはそばにいる」
 言葉で以て更に安心させよ。おかげさまで京子はまた落ち着きを取り戻しながら、ぎゅっと手を繋がれたまま、見守られている。
「側に…いる、んだ。…安心するね」
 もししびれを切らす程の余裕が影朧にあるのだとしても、きっと大丈夫。ルゥは微笑んで居るのである、確かに京子の表情は、もう少しで十分に正気を取り戻すと感じたので。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菊石・光
全ての事の始まりに還すのだな?だが、何度繰り返しても同じ結果に収束する。
特異点であるお前が変わらない限りはな。

タイムリミット1分。大丈夫だ、なんとかする。
京子が繰り返す悪夢の内に何を見ようとも、爆破の被害が出る前に止めよう。

テレポート直後、UCで京子の元まで飛び、その異能の発現を阻止しよう。

阻止してる最中に[映し灯火]を落とし現場を照らしてしまう。
囚われるな!炎と煙の中に京子は居ない。
京子の手は、たとえ炎の痛みに耐えれても、どこにも届くことはない。幻の中の、友にも犯人にも、どこにも。
店が元に戻ろうと、去った者は帰ってこない。
新たな被害者が出るような事が有れば、辛くなるのは京子自身だ。

爆破を阻止しつつ、騒いでいれば店の人が気づくかもしれない。

こうなったら[眼刺し]!店主あたりの視線をこちらに引き寄せろ!京子の意識が店主の方に逸れた隙きに、御用だ!

店主!縄か何か拘束できそうな物を持ってきてくれ。私は犯人じゃない猟兵だ。事件中だ。
京子を落ち着かせるために甘い物でも出してもらえたら助かるのだが?



 誰の深層心理より舞い降りた。
「タイムリミット1分。大丈夫だ、なんとかする」
 全ての事の始まりに還すのは誰の意志だ。ああ、京子がいよいよ再度心を囚われようとしている。和らぐそれを影朧がまるで許さず抵抗するかのよう。しかして菊石・光はこうも仰せる。何度繰り返しても同じ結果に収束する。特異点であるお前が変わらない限りはな――心の浮き沈みが繰り返す光景のすぐ傍まで飛んで行け。虚無界より出し光がそれを可能にするのだ、合言葉はこの通り。
「アクセル、灼熱メーターアップ――」
 飛翔せし炎は紅葉に様変わり、辿り着くまでに時間はかかるまい。秋の訪れとも呼べそうなこれこそは、『ルクス』の超新星たる輝きと知るがいい。目に映すは京子がまた臨時休業の店舗に向けて手を伸ばす有様。大丈夫、力づくでもいい、もとより阻止しなくてはと覚悟を決めていた。
 ところであなた、何か落としましたよ。
「何っ!?」
 ああ、残滓を描いたか。照らした場所、京子のすぐ傍。光は強く発せられこれでは前を見るにも、
「囚われるな! 炎と煙の中に京子は居ない!」
 叫びのみが響くだけだ――ええ、ええ――京子の腕が足が燃えているがそれさえも映し灯火が起こせるまやかし。痛みも無し、ただ京子の穏やかな悲しみを映すばかり。友人にも犯人にも届くことなどありやしない。
 それらが過ぎ去りし過去だというので、どうしようもないのは自明の理。でもそうだ、これ幸いか、京子は自分を見失わず悲しめているではないか。その様を見ていて、最後の砦はこう思うことだろう。
「そうだ。店が元に戻ろうと、去った者は帰ってこない」
 言葉にもしたことだろう。今また腕を影朧に操られようとしているところの京子が振り返り。
「新たな被害者が出るような事が有れば、辛くなるのは京子自身だ。それを忘れるな」
「あ……」
 これ以上犠牲を出すわけにいかないのだ、これ以上悲しみを感じさせるわけにはいかないのだ。この言の葉もまた、京子の悲しみに染み渡って、さあ暴走を完全に止める時が来る。
 灯火を拾い上げてみれば、そこに現れる店主と思しき人。紫の和服を着こなした、セミロングの黒髪。
「これは、いったい何が起こっているのかしら…」
 不安げな顔が辺りを見回しているようだ――ああ、桜のみならず紅葉が舞う様子にさえ困惑している。
「こうなったら――[眼刺し]!」
 悪目立ちで目を引くにはいい機会なのだろうよ――それとも仕舞うには大きすぎるか。ハッと店主がそれを見る――その流れで京子が店主を見る。
「えっ、店主さん。今はやってないんじゃ――」
「御用だ」
 さあ上手に取り押さえてみよう、影朧にもうその手綱を握らせはしない。本来なら眼刺しはへし折ってしまいたい理由がある、でも縋るしかない理由もある。
「店主!縄か何か拘束できそうな物を持ってきてくれ。私は犯人じゃない猟兵だ。今は事件中でな」
 全ては猟兵――世界を渡り護る運命。
「京子を落ち着かせるために、甘い物でも出してもらえたら助かるのだが?」
 慌てる店主に、召喚獣が宣ってみせる。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 日常 『甘いモノはお好きですか?』

POW   :    目指せ、メニュー全制覇!

SPD   :    お気に入りの一品を味わう

WIZ   :    お店のお薦めをいただく

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
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 大失敗[評価なし]

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※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ただ縄で縛るにはきつすぎると店主が仰るので。
「自分は悪いことをしました」
 ええ、白の着物の帯の予備でぐーるぐるされた京子の姿がある。臨時休業であるはずの店内だ、しかし事が事なので猟兵たち共々店内に案内されたことだろう。店の外観もとても良いものだが、内装まで清潔とあっては人が大勢来るのも仕方なし。
「そっか、京子ちゃんは寂しかったのね。だからあんな風になってしまったの」
 猟兵たちによる説明はしっかりとなされ、セミロングの店主さんも納得の表情。超弩級戦力たる猟兵がここに駆け付けたのであれば、心配は凡そあるまいよ。
 では、今度は影朧を京子から切り離してみよう。キーは甘い物を京子と一緒に食べてあげること。
「そうだ、あなたたちも折角だし、何か食べてみる? 常連さんを助けてくれるんだもの、お礼はたくさんしないとね」
 何もこの店お薦めのいちごパフェ、甘み100%の漉し餡桜餅だけじゃない。ここには絶品の甘味がたくさんある。どんな食べ物が並んでいるか…和菓子、洋菓子、全てが想像に難くない。
 ついでに召し上がってしまえ、思い切り。影朧の影響がこうして完全に鳴りを潜めた今、京子もそれを享受してくれるだろうから。
四王天・焔
アドリブや他猟兵との連携歓迎

■心情
京子さんを、影朧から切り離して解放させてあげなきゃね。
折角だし、焔もこの店の甘い物を一緒に食べて楽しみたいな。

■行動
焔は、この店のお薦めのいちごパフェを頂こうかな。
「お薦めってだけあるから、どんな物が出て来るんだろう。楽しみだなー!」
「わぁ、とても美味しそうなパフェ!苺が宝石みたいで凄く綺麗だね!」

京子さんと一緒に甘い物を食べて、楽しもうね。
「京子さんも、ここのパフェを食べたらきっと心も落ち着くと思うよ」

苺パフェを食べて感想も述べてあげようね。
「とっても甘酸っぱくて、幸せな気分になるなぁ。こんな絶品を食べたのも久しぶりだよ」
後は影朧が襲って来るのに備えるね。



根底にあるものはわくわくだとも。
「ねえねえ京子さん! この店のお薦めのいちごパフェ、一緒に食べてみようよ!」
焔の無邪気さと純粋さがまた京子の心を拾い上げる。
「お薦めってだけあるから、どんな物が出て来るんだろう。楽しみだなー!」
「えっ…でも、いいの?」
先のことがあって、遠慮がちにする様を認めたとしても。
「折角だし、焔もこの店の甘い物を一緒に食べて楽しみたいって思ったの。京子さんも、ここのパフェを食べたらきっと心も落ち着くと思うよ!」
件のパフェをお盆に乗せて持ってきた店主にいいよねと頷けば、解ける白の着物の帯。忽ち解放された京子、そして猟兵…二人の目に映るのは、一番下にサクサクのクッキーのピースを敷いて、いちごのムースと生クリームを交互に重ねた有様がグラスの中、そして上層にはふんわり美味しいいちごのトッピングに、頂上には桜の花びらを模したピンク色のチョコレート。
「わぁ、とても美味しそうなパフェ!苺が宝石みたいで凄く綺麗だね!」
「うん。桜の花びらのチョコレートも、可愛いよね…ムースにクリームもとろっとろで!」
宝石のように輝ける大正の一席、時代の絶品。一緒にわくわくに胸を膨らませるだけで、あれよあれよと言う間に京子の心が跳ねそうだ、焔もそれに気付けばにこりと京子に笑ってみせて。
「どうぞ召し上がれ」
そう言って笑う店主にお礼を言って、二人でいただきます。スプーンで救ってみろ輝きを、口に運んで乗せてみるだけで心に馴染んで溶けていくようだ。世界を味わうひとときに頬が落ちる。
「ん〜! とっても甘くて美味しいな! 苺のジューシーさも、ムースの甘さも、クリームの舌触りも、ぜんぶぜんぶ食べちゃいたいくらい!」
「ほんとに! 何度でも食べたくなるよ…!」
 ああ、幸せが高まる。刻が降り積もる。
「とっても甘酸っぱくて、幸せな気分になるなぁ。こんな絶品を食べたのも久しぶりだよ」
「うん。自分も、一緒にこれを食べることができて嬉しい」
 記憶せよ、体感せよ。豊かで穏やかで、満たされるような瞬間。魂を込めて、影朧を出迎える準備は如何ですか。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベアータ・ベルトット
着いて早々ティータイム!(ほくほく)敵が現れる前に、英気を養っておかなきゃ

京子が食べてるパフェも美味しそうだけど…和菓子はあまり馴染みが無いし、開拓しときたい所ね
「ねぇ、餡系のお菓子ならどれがオススメ?」常連の京子に尋ねよう
つい取り過ぎちゃう。食べるのも作るのも人一倍好きなの、私

良かったら、茶飲み話に聴かせて頂戴よ。アンタ達の思い出話
ここにはよく来てたの?

京子に感応した影朧の手掛りがあるかもだし…それに
哀しみにしっかり向き合った後は、甘く楽しい記憶も思い返してあげるべきだわ。この店が友達も愛した場所だったなら…もう二度と、壊そうなんて気を起こさないように

友達も、京子と過ごせて倖せだった筈だから



 こちらが今しがた参上したベアータ・ベルトットになります。
「着いて早々ティータイム! 敵が現れる前に、英気を養っておかなきゃ」
 目に見えてほくほくとしておられる赤髪の餓獣機関、ヒトの側にありたいと甘味を願う。
「あっ、いろんな人が増えた…」
「いらっしゃい。あなたもこのお店で気に入った品はあるかしら?」
「うーん、そうね…」
 しかして機械化以前の記憶を失っている以上、どうしても菓子には馴染みが無いのだ。それも和菓子となれば尚更…ああ、丁度京子の食べていたパフェの桜の匂いが鼻腔を擽る。
「ねぇ、餡系のお菓子ならどれがオススメ?」
 いっそ委ねてみよう、色とりどり。
「そうだね…なら、カラフルミラージュかしわもちとかどうかな。色々な味が楽しめるの…どれも綺麗で、黄色はカスタード餡、ピンクは漉し餡、紫は粒餡っていう風に…本当に色々あるから」
 元気がだんだん戻ってきた故か、このお店のことになると常連らしさが垣間見えるようで。ではそれにしてみようと頼んで、暫し待てばこれまた美しい宝石のよう、カラフルな餅がたくさん並んで……召し上がれ。はっぱを外してお口に黄色のもちを運んでみよ、そうすれば瞬く間に広がるだろうさクリームの口溶けが。
「わ……すごい食べるんだね。こういうの、好き?」
 何度でも口に運びたくなるから仕方ないのだよ、ベアータが浮かべてみせる笑みは柔和なり。つい取り過ぎちゃうとは彼女の言葉か。
「食べるのも作るのも人一倍好きなの、私」
「…よかった。このいっぱいのもちはね、友達の、お気に入りなんだ」
 ではどのように愛されていたか、聞いてみるがいい。
「そっか。良かったら、茶飲み話に聴かせて頂戴よ。アンタ達の思い出話。ここにはよく来てたの?」
「うん。友達数人と、一緒に…ここも事故が起こる前は、もーっと、人で溢れてたの」
 友達と共に、何度でも訪れていたのだよ。その度にお気に入りの一品を毎度見つけて、それを味わって…みんなで共有する。この店を大事に思っていたからこそ、友達との時間が大事だったからこそ、京子は……。
「…だから、なんていうんだろう。それが壊されて、すごく悲しくて、だからさっきは、消えて悲しくなるなら、いっそ全部燃やしてしまおうかなって、そんな声が、聞こえたんだと思う」
 …されど、悲しみばかりで終わるべきではあるまい。
「ねえ、私はこうも思うの。哀しみにしっかり向き合った後は、甘く楽しい記憶も思い返してあげるべきだわ。この店が友達も愛した場所だったなら…もう二度と、壊そうなんて気を起こさないように」
「甘く、楽しい……」
 反芻するその顔は、やがて希望になじんできたので。
「友達も、京子と過ごせて倖せだった筈だから」
 Tasting Humanity――いつしか、まごころは、彼女に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キャロル・キャロライン
蘇生者:銀誓館学園生徒

えっ、今日は全員甘味を食べていいのね!
おかわりもいいの?

さて、まずは一口。
――!
あ、これ、本当に美味しい奴だ。

こんなに美味しいものを後のことを気にしながら食べたりしたらもったいない。
こーゆーのは、影朧を退治するなり、転生させるなりした後、何の憂いもなく真正面からゆっくりじっくりと味わうべきよ。
第一、「影朧を倒すため」だなんて不純な理由で食べたりしたら、このお店にも、この××にも失礼じゃない?

と、ゆーわけで。

京子さんの中に隠れているそこの貴方。
いい加減に出てきたらどう?
こんなに美味しいものを自分の目で、鼻で、舌で味わわないなんてもったいないわよ?



「えっ、今日は全員甘味を食べていいのね! おかわりもいいの?」
「ええ。いっぱい食べてもらえると、私も店主冥利に尽きるわ」
 では、キャロル・キャロラインはどんな風に彼女の希望を開花させただろう。蘇生者なる身で甘味を味わいつくすか、頼んでみた先で注目してみるのが洋菓子のミルフィーユ。
 千枚の葉を重ねたような名前のそれは、滑らかな生地でクリームもいい具合に織り込まれ、お皿には桜の葉がひとひら。
「さて、まずは一口」
 フォークでカットして、刺して食べてみるだけで。
「――!」
 一口のみで十分確信できる――あ、これ、本当に美味しい奴だ。ほろほろ、なめらか、ふわふわ。舌触り、クリームの味、食感……全て味わい尽くせゆっくりと。
「……あの、私が言うのもなんだけど、ゆっくりしてて、大丈夫だった? 私の中、何かいるんでしょ?」
 本当は急ぐ方が猟兵たちにとっても良いのではないか、とはふと浮かび上がってしまう心配。超弩級戦力なれど、また自分が暴走してしまわないか、本当にそこが心配なのだ、彼女は。
 しかして、時間など最早気にするまでも無い。何故ならキャロルは蘇生者なり。
「こんなに美味しいものを後のことを気にしながら食べたりしたらもったいない。こーゆーのは、影朧を退治するなり、転生させるなりした後、何の憂いもなく真正面からゆっくりじっくりと味わうべきよ」
 味わい方をおさえておけ――これは京子を思いやる礼儀。
「第一、『影朧を倒すため』だなんて不純な理由で食べたりしたら、このお店にも、このミルフィーユにも失礼じゃない?」
 折角だから本当に、じっくりとこのお菓子を味わいたいの、と。純粋な理由を届けることが、京子を安心させることに繋がるのだ。ほら見ろ、京子の表情は既に。
「……そっか。私も、嬉しいな。……ねえ、私の中に響いてた声も、私と同じように味わってくれるかな?」
 希望で満ちている。
「うん、きっと大丈夫よ。――と、ゆーわけで」
 さあ、そのトリガーを引け。
「京子さんの中に隠れているそこの貴方。いい加減に出てきたらどう? こんなに美味しいものを自分の目で、鼻で、舌で味わわないなんてもったいないわよ?」
 するとそこで、きっかけが起こる。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『桜火ノ少女』

POW   :    ファイヤー・オン・クイーン
自身の身体部位ひとつを【、又は対象の身体部位ひとつを強力な爆弾】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
SPD   :    花散る爆弾
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【含む、生物・非生物を生きた爆弾】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    バレッテーゼボム
【指定座標に見えない爆弾を設置、起爆する事】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 うずうずしていたんだろうよ、その子は。
《なんでなんで、そんなことばっかり言うの!》
 声が響く――京子の底から、はっきりと。かけ離れていく、分離していく、しまいにゃここにやっとこさ舞い降りる。
 桜火ノ少女。その様は如何にも、大急ぎで馳せ参じる女の子のようだった――散々希望に楽しさにとっぷりと漬けられて、這い出ることすら難しかったらしい。
「叶わぬ復讐(ねがい)を――怒りをぶつけるのがあなたの望みじゃなかったの!?」
 当の京子は首を振るだけで梨の礫。うーん、少女もこれにはおかんむり。
「こっちは大変だったのよ…貴女が理不尽に直接抗わないから、私、私…!」
 自分のことのように怒り、されど目を閉じて限りない感情を込める様は。

「私まで甘味、食べたくなっちゃったじゃない!!」
 ええ、最早放火殺人魔のそれには永遠に届かぬだろうよ。
 火の女王に(笑)をおまけサービス。店主もふぁんが増えて歓喜の表情です。

「もう怒った。こうなったら猟兵、貴方たちをまず燃やしてあげるんだから!」
 ふわ、ふわ。炎が浮かび上がる、ぼうと桜火ノ少女の下へ。ああ、どうしても猟兵と過去の骸は相容れぬ運命。慰め葬り送り届けるべし、彼女にせめて何かを覚えさせてからでも。
「そしてこの際、甘味だって味わっちゃうんだから!」
 だって目的が全然変わっちゃってるんですものこの女。未来が変わるのも猟兵の業。
 後はいつもの如く、よろしくどうぞ。
キャロル・キャロライン
蘇生者:魔剣士
UC取得:見切り、切断、不意打ち、闇に紛れる

ようやくお出ましね。
貴方を倒して、ゆっくりお菓子を堪能させてもらうわ。

影の剣を手に生み出し――
ふと思い直し、ポイっと捨てる。

ここで戦ったら、お店に迷惑よね。
それ以前に、戦うのなんてお菓子を食べた後でもいいと思わない?

さっきと言っていることが逆だってことは分かっている。
でも、負けた方がそのまま消えちゃうのは悲しすぎると思うのよ。

貴方もその若さで亡くなったんでしょ?
せっかく蘇ったんだから、戦うのなんて世界を十分に楽しんでからにすべきよ。

私なんてこの世界に来たのは初めてなんだから。
あのお店も、あのお店も、あのお店もまだ1回も行ってないのよ?


火土金水・明
「邪魔な炎は黄金の雨で纏めて消火していきましょう。火事になっても甘味が焼き菓子になってしまうのも困りますし。」「できる限り相手にダメージを与えつつ、味方の回復もしないと。」
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【巷に金色の雨が降るごとく】を【範囲攻撃】にして、『桜火ノ少女』と周辺の炎達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃には【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に繋げることです。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。


ベアータ・ベルトット
京子は影朧に親しみを感じてる…痛めつけて倒すのは、友達の喪失を再現する事にも成りかねない
なら…一切攻撃せず、この身を盾にして情念の炎を受け止めよう

どれだけの火炎と激痛も、耐えきってみせる…!

そのままダッシュで接近し、炎を振り払ってから影朧にクリンチ
密着されたら起爆も出来ないでしょ

影朧と京子に語りかけよう

怒りや悲しみに任せて燃やしたって、同じ痛みを負う人を増やすだけよ
…もう大丈夫。辛い思いは、私達と分け合いましょ。アンタ達が前向いて歩き出すのを、皆願ってんだから
(そう、きっと…亡くなった子達もね)

皆が愛したかしわもち、アンタもお一つどうぞ
楽しい思いも分かち合うため。残しといた一つを、影朧の口元に


四王天・焔
アドリブ・他猟兵との連携歓迎

●心情
甘い物が食べたいんだったら、素直にそう言えばいいのに。
それはそうとして、爆弾で周囲を破壊させられる訳には行かないから
此処でちゃんと懲らしめてあげないとね。

●行動
混沌七彩符(UC)を使用して戦うね。
見えない爆弾は【第六感】で察知しつつ、【幸運】で
爆弾の位置を上手く把握しておくね。
その爆弾に対して、UCの冷属性の光線を当てて、起爆しない様に氷漬けにしておくよ。

敵に対しても、UCの光線で攻撃していき、
【範囲攻撃】で広範囲を攻撃し、避けにくくして、【天罰】で一気に攻撃するよ。

「破壊とか、燃やすのとか止めて、貴女も甘味を食べたら良いじゃない!」
と、一応説得してみるね。



 では本当に叶えてみようか。
「ようやくお出ましね。貴方を倒して、ゆっくりお菓子を堪能させてもらうわ」
 先のキャロル、今度は蘇生者を魔剣士に変えてきたか。では存分に剣を発現するがいい。刻印より漲り伝わるその刃(ぎのう)は何の為にある――目の前で猟兵を滅ぼさんと嗤う火の少女を討つ為か――、
(……でも)
 否、影の剣を放る為にある。ぽいっとすれば其れ即ち再考の証。
「は?」
 ついでに火も消えたのは、過去の骸が口を開けてびっくりしているから。
「ここで戦ったら、お店に迷惑よね。それ以前に、戦うのなんてお菓子を食べた後でもいいと思わない?」
 御尤もです。当然向こうはおかんむり。
「貴女は何を言っているのよ! 私は貴方たちを燃やす、貴方たちは私を殺す! それでいいじゃない!」
 だが忘れるな、影朧ももとは報われぬ心をお持ちだ。それを救い上げたくなるのも仕方がない。
「さっきと言っていることが逆だってことは分かっている。でも、負けた方がそのまま消えちゃうのは悲しすぎると思うのよ」
 憂いを帯びるその双眸が柔らかに彼女の心をなだめていくのだよ。
「でも、だって…!」
「貴方もその若さで亡くなったんでしょ? せっかく蘇ったんだから、戦うのなんて世界を十分に楽しんでからにすべきよ」
 有無は言わせまいよ。だって後ろを振り向けば、
「それに…ほら」
 先の妖の薔薇にやさぐれ娘が辿り着いて居る。
「甘い物が食べたいんだったら、素直にそう言えばいいのに!」
 無邪気な妖狐がもふもふ紫の尻尾を振るわせて、楽しむ心を持ってもらう為に言葉を紡ぐのだ。
「破壊とか、燃やすのとか止めて、貴女も甘味を食べたら良いじゃない! そうしたらきっと、」
 きっと、心がとても弾むのだと思うから。それはそれとしてちゃんと懲らしめてあげないと、という気持ちもあるけれど。これからさらに起こることに焔も準じる用意が出来ているらしかった。
「ええ。京子はあなたを蔑ろにしているわけじゃない。怒りや悲しみに任せて燃やしたって、同じ痛みを負う人を増やすだけよ…でも、もう大丈夫」
 ベアータにおいても同様。かの悲しき常連さんのことを思えば、少しでも幸せな気持ちを抱いてもらいたいと、そう願うので。
「辛い思いは、私達と分け合いましょ。アンタ達が前向いて歩き出すのを、皆願ってんだから」
 優しい言葉ばかりが、降り注いで。これでは今すぐに燃やすわけにもいかずにあうあう困惑するしかなし。
(そう、きっと…亡くなった子達もね)
 おお、そのまま幸福を享受してくれ。京子の友人(せんだつ)たちもきっとそれを願っておられるだろうから。
「本当ね。私なんてこの世界に来たのは初めてなんだから。あのお店も、あのお店も、あのお店もまだ1回も行ってないのよ?」
 お隣に、そして店の向こうに立ち並んでいたのは…なるほど、他にも系統や専門は違えど、お団子のお店だったり、和菓子に傾いた和のお店だったり…実に色とりどりの様相を見せていたじゃないか、この街角が。
「そこのあなたも、一緒にどうかしら?」
「おや、私ですか?」
 なんと夜闇の魔法使いまでいらっしゃる。一連の流れを今しがた把握していた彼女としては、この店が火事になって折角のパフェが焼き菓子と化してしまうことを危惧していたものだが。
「…そうですね。私も、ご一緒させていただきましょう。その幸せが“次”に繋がりますように」
 その願いを叶えるのであれば、ご相伴に預かるのが礼儀だろうよ。火土金水・明も連れ立っての――、
「決まりね! じゃあ早速いきましょ、みんなで!」
「京子ちゃんも一緒にどうかな。きっと、もっと楽しいよ!」
「え、私も? …いいのかな、じゃあ、私も連れてって」
 ところで貴女たち、今指したお店全部巡るつもりでおいでなの。とまあ、そのような過去の骸の反論なぞ、
「わわっ、ちょっと、待ちなさいってば! 私は別に――」
 手を繋いで封じてしまうが良い。ほら、店主も見送ってくれている。
「ふふっ、いってらっしゃい」

 そこからは、例えるなら矢のように時間が過ぎ行く。思い出が、積み重なり実を結ぶ。
 例えば、和菓子専門のお店では本当に色々なお菓子を試してみたり――大判焼き、あんドーナツ、ぜんざい、その他なんでもござれ――また別のお店を巡ってみるなど、本当にレパートリーは困らないレベルだったか。
 後はそうだ、お団子で有名なお店――三食団子にみたらし団子だとか、その品の種は幾つにも及ぶわけで。勿論それらを思いっきりみんなで味わうともなれば、時間のかかり方には殊更に拍車がかかっただろうよ。
 心の動きにクローズアップしてみるならば、このように。
「ほらっ、これ美味しいよ! 食べてみる?」
 焔のその右手に持ったみたらし団子をば、桜火ノ少女の口に運んで。
「あむっ…あ、これ、美味しいわ! 甘くて、とろけちゃうみたいで…」
 先の拒みは何処へか、あんまり巡ったもんですっかり夢中になってしまったか。これには焔もにっこりです。
「ねっ、だから言ったでしょ? こんな時くらい、楽しんでとろけちゃいなさいってね!」
 三食団子をはむりと食んで金髪のデッドマンも同じように、お団子のもちもち食感に頬を綻ばせ、美味しさを共有できるならそれで結構。春夏冬の色合いが揃って大地から陽の光へと届きそうだ、さぞ次の未来が煌めいて居ることでしょう。
「ああ、でも。こんなにもっちりしてるお団子があると、ついつい柏餅も忘れられない味だって思い出しちゃうわ」
 もちもちだけに、先の柏餅の味もすっかり記憶してしまったか。思い出せば思い出す程に、それさえも味わってほしいと思う気持ちがベアータの中でふーんわり。それさえもがまごころか。
「こんな風に大勢で甘味を味わうのは、中々機会が無かった気がしますから…私も楽しいですよ、影朧さん」
 魔法使いまでもがお茶を頂きながら心身ともにぽかぽかしておられる。それほどまでに甘味が好きなのですね、と京子にも少女にも話しかけるならば。
「うん…なんだろう、叶えてもらっちゃった気がするな、今までで、一番楽しい時間だったかも」
 京子もご満悦、影朧も言に及ばず。
「…これじゃ、さっきまで何もかも燃やそうとしてた自分がバカみたいじゃない」
 優しい時間が、クライマックスまで導かれて。

 さてさて、なんやかんやありまして。
 先の京子行きつけのスイーツカフェの外まで戻ってきた御一行様、その瞬間を見送るまでにはもうちょっとだけかかると見る。あんなにも穏やかな空間に浸かって、最早周囲が爆発するだとか、京子や店主さんが傷つけられる心配が無くなるレベルでその心は絆されていたものだけど。
「…貴女たち、今日は…その…まあ、あんな風に連れて行ってもらって、嬉しかったわ」
 感謝の上手な伝え方さえ、小恥ずかしすぎるんだかオブリビオンとしての立場があるんだかで。
「もう一つ、頼んで、いい?」
 つまりは助けてくれと、ここに始まるは慰めの儀。みんなして頷いて――。
「勿論よ!」
 ああ、これ以上の言葉は要るまい。再度目覚めよ蘇生者、その手には再び影の剣を握ってくれ。向こうの様子は如何か――おや、かの火の女王の右腕がちかちか紅く光っているようだ。握り構える、その時が来るまで。
 ではその間どうするかといえば。
(痛めつけて倒すのは、友達の喪失を再現する事にも成りかねない。なら…)
 かの紅い光が見えた瞬間に、その“答え”を弾き出した餓獣機関、獣の如く走り出せ。ヒトの側にある為に。
「ほんと~~~に、楽しかったね!」
 妖の薔薇よ、手繰ってみせよその符をば。七色の属性が揃って、ああここにもデザートがあったんですかと錯覚してしまいそうだ――いつの間にか地に添えられていたらしき不可視の爆弾すらも把握する直感。びびびっと降り注ぐぞ冷のレイ――れいだけに。
「私の心にも雨が降る」
 されど晴れ渡るようだ――。
「できる限り相手にダメージを与えつつ、味方の回復もしないと」
ウィザードハットを被り直して夜の闇が忽ち金色の雨を時間差でさーっと。優しい雨に混じりて注ぐ虹の雷がかの桜火を穿つ、痺れながらも抗う過去の骸、しかしてその表情の色はまさに希望。
「私、生きてみたいの、今度こそ、ちゃんと!」
 叶わぬ復讐に心奪われませんように――オブリビオンからこんなことを願うなんざ珍しいものだが――目の前に躍り出るベアータにぶつけてみよう、ぼうと生まれ出た火を。生憎と花散る爆弾は誰も気絶していないので満開にもなりやしない、ところがベアータ、まともに受けやがる!
「あっ!? 大丈夫!?」
「どれだけの火炎と激痛も、耐えきってみせる…!」
 焔の声が響いたが応えは変わらぬよ。なるほど先ほどのは『一切攻撃せず、この身を盾にして情念の炎を受け止めよう』というアレだった。オブリビオンの表情がついに歪みだす――心配しているのだよ。それでも炎を振り払って――否、雨がいっそう強くなりだしたようだ、桜の火すらじゅわっと消火。
「私の役目は少しでもダメージを与えて次の方に繋げることです。…無理はなさらず」
 雨の中で魔法使いが笑う――二度の勢いで降り注ぐ優しき魔法。癒えていく肉体を再度動かして、ベアータの唇が動いて示すは“ありがとう”の言。確かにこの雨(やみ)ならば――キャロルもその身を紛れさせて動ける。それに火の女王が気づくのだろうけど、気づくだけで後には焔の施したユーベルコードが在るだけだ。
「符よ七色の力を顕現せよ。混沌の輝きにて敵を討て!」
 どうでしょう、天罰が範囲を描き出して七色のハーモニー、思いっきり注いでみましょうよその御身に。忽ちオブリビオンがまともに光を受け大きく仰け反る始末。大いなるダメージが入ったようだ――再度虹色の稲妻にまで刺されて、ダメージで周りが正確に見えないか、きょろきょろとようやっとキャロルを探し始めた少女である――明のお得意の残像は次回にまで取っておけそうだ、油断はしないが。
「あとは…また誰かが傷ついた時に回復が追いつくか、ですかね」
 その心配も杞憂に終わる。
「私はここよ!」
 今一度響く大きな声――火の女王が振り返る暇すら与えずに――この瞬間を待っていたとばかりの不意打ちが、その身をはっきりと斬り裂いてみせて。これこそが刻印の為せる業――血が咲いたようだ、まるで次の生を願う激しい炎のよう。
「……大丈夫」
 しまいにゃベアータがついに追いついた――クリンチ。その傷だらけの身を離さずに。
「皆が愛したかしわもち、アンタもお一つどうぞ」
「あ――っむ?」
 まだ分け合い足りないというので。ちゃんと取っておいたんですね、みんな大好き柏餅。気づけば、その口に遠慮無く運ばれて。寧ろあちらの方から食べてもらえたと見える。
「……ふふっ。やっぱり、美味しいわね」
 たまらず綻ぶその頬、猟兵たちのお仕事の終わりを告げる証。幸せなままに消えゆくその身体に。
「もしまた出会えたら、今度は影朧としての形じゃなくて、ちゃんとみんなで――甘い物、食べようね!」
 転生を願う心は誰もが同じ――焔の誘いが追いついて、頷いた桜の火の女の子が、召されるだけ。
 Tasting Humanity――願わくば、彼女の“次”がどうか、華やかなものでありますように。即席パーティーのメモリー。
「…きっと、喜んでもらえたよね」
 京子の声が静かに零れて――ごちそうさまでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年06月20日


挿絵イラスト