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銀河帝国攻略戦⑲~奇跡の軌跡、その記録について

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●予知
 ドクターオロチは確信していた。
 これで解放軍を一掃出来るのだと。しかし………それは、彼らにとって最善の策にして悪手である。
 だが彼等は留まることを知らない。銀河帝国軍にとって、この程度の犠牲などちっとも痛くはないのだろう。
 そんな帝国軍がスペースシップワールドを滅ぼさんと、今───ミッションを開始する。

●奇跡の軌跡
 グリモアベースの一角。ここでは戦争を一刻も早く止める為、様々な猟兵達が集結していた。
「実は新たな予知があってね………皆にはその解決をするために協力して欲しいんだ」
 そう話すのは戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)。彼も少し焦っているのか早めに話しながら、ある1つの資料を取り出す。
「予知したのは銀河帝国攻略戦、ドクターオロチのオロチウイルスについて。………それはとても強力で危険な代物らしい」
 彼の話によれば、ドクターオロチ配下の艦隊がオロチウイルスを満載させて、解放軍船に向かっているのだという。……それだけ聞けば、それが何か?と分からない者もまだ大半を占めている事だろう。
 だが。
 解放軍船へ、一斉ワープさせた後、どうやら自軍もろとも自爆するつもりであるらしい。
「そんなことは絶対に駄目だ、いや、させない」
 彼も苦虫を噛み潰したような表情になって言う。……だが、どうすると言うのだろう。曰く、オロチウイルスとは抗体が出来ていないのではなかったのだろうか?
「うん、だから皆には抗体を作る手伝いをして欲しいんだ」
 存在を隠蔽された戦艦全てを見つけ出すのは不可に等しい。だからこそ抗体を作るのだという。そして、奇跡とも呼べる、ユーベルコードを使用出来る猟兵達だからこそ、この抗体を作れる。
「その為にまずは、ユーベルコードでの対抗処置を実験体として行ってくれるかな」
 困ったようにいいながら、これは本当に大切な事だからと付け加えて、続ける。
「オロチウイルスの犠牲者を出さない為にも、皆の力をどうか貸して欲しい」
 彼は猟兵達を見据えると、頭を静かに下げる。そんな恐ろしいシナリオの掌の上で転がされるのは、些か不服だと感じたのなら、猟兵達はすぐ行動に移し始めるのだった。


Parmigiano
 はじめまして、もしくはお世話になっております。Parmigianoです。皆様にとって良いリプレイを御送り出来るよう、精進して参ります。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 以上テンプレ文章です。
 オロチウイルスというウイルスの抗体を作る為、皆には実験体(被検体)になってもらいます。
 シナリオの構造上、ユーベルコードの有効利用をなさったプレイングを優先させて頂きますので、ご了承ください。

 皆様の素敵なプレイング、お待ちしておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
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第1章 冒険 『オロチウイルスの抗体を開発せよ!』

POW   :    オロチウイルスを摂取し、未完成の抗体とユーベルコードを駆使し、全力で耐え抜く事で抗体のヒントを得ます

SPD   :    圧倒的処理速度で演算を行なったり、肉眼では確認できないウイルスの動きを見切り、その特性を導き出します

WIZ   :    集積された膨大な情報を高速処理するなど、ユーベルコードを利用して開発に貢献する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ナハト・ダァト
【WIZ判定】

任せるといイ。
治すべき病があれバ、動かずにいられないのが我々医者だからネ

世界知識、医術、情報収集を用い

また過去に治療したあらゆる世界、時代の病の情報も併せて統合

近い症例を抽出したら
ニノ叡智を使用して抗体を産生
自らに実験を施す

効果が現れなければ、直ぐに次の抗体を検討

2回攻撃、早業を用いて、迅速正確に行う

協力できる人員がいれば支援、回復をお願いする

治療中のウイルスによる痛みは
呪詛耐性、毒耐性、激痛耐性
一ノ叡智を状態異常耐性の上げて対処
限界まで研究を行う

※アドリブ歓迎


ジング・フォンリー
アドリブ絡可
【POW】判定希望
ウイルスの抗体を作るための被験体か…いや、問題ない『慣れている』体は頑丈な方だと思うから好きに使ってくれ。俺の方でできるのは…まぁ【第六感】でわかる範囲の感覚を伝えることと…あとは【気合い】だな…俺の体が役に立てつならいいのだが…


スターリィ・ゲイジー
このウイルスもオブリビオンなのじゃろうか…
過去に似た事例が無いかを調べて世界知識で纏め上げ、医術や毒に詳しい者の知見も聞いてみよう。
期待はできぬが、対策はなるべく多くあった方が良かろう。

さて、と…
我がUC、『光は見えるが大元は既に滅んだ星』の光の魔力を受けて、時間や存在の概念を歪ませるモノじゃが…
・自分を加速させて、経過時間に対して長く被験できる。
・滅んだ星の力を借りるため自己の属性が『死』に近づく。(殺人ウイルスと属性が似通う事でウイルスの反応がまろやかになるかも)
という点を利用するのじゃ。
命を削るUCでウイルスの被験なんて二重の意味で嫌じゃが、背に腹は代えられぬ…あー!うん、やるのじゃ!


レイ・キャスケット
【POW】
ボクの≪付与の羽衣≫は現象を再現できるからウイルス解析に役に立つかな?
ウイルスって水とか炎みたいにわかりやすい現象じゃないし、耐性魔法の構築にはちょっと時間がかかるかも。
でも時間や音みたいに理解できない概念とか現象でもないからやれるハズ。
申し訳ない程度だけど【毒耐性】もあるし…
死にはしないよ、猟兵だし。ヤバかったら回復コード持ちの人のお世話に…

アドリブ・苦戦・凄惨描写、歓迎、推奨。



●希望の為のPathway
 とある場所の一角。そこには、オロチウイルスの抗体開発を進める為、4人の猟兵達が集っていた。
「俺はオロチウイルスを摂取して抗体が作れるかどうか試そう。………ダァトさんはデータ集計を頼めるだろうか?」
 ジング・フォンリー(神躯108式実験体・f10331)がそう問えば、光を宿したブラックタール、ナハト・ダァト(聖泥・f01760)もまた二つ返事で了承する。
「任せるといイ。治すべき病があれバ、動かずにはいられないのが我々医者だからネ。……………それニ、実験なら自身にも施すヨ。1つでもデータは多い方がいいからネ」
 生きとし生けるもの全てを救わんとする彼は、誤解はされやすいものの、間違いのない医療の知識や心得を持ち合わせている。
「じゃが、このウイルスもオブリビオンなのじゃろうか………」
「う〜ん、一応毒っぽいものなのかな?っていう解釈でいたんだけど、そのセンも有り得るかも?」
 じっと顔を突き合わせてウイルスのサンプルを見つめるのは、スターリィ・ゲイジー(ほしをみあげるスターリィ・f06804)とレイ・キャスケット(だいたい全部半人前・f09183)の2人。共にまだ成人に満たないが、彼女達も立派な猟兵である。現に被検体という事は死と隣り合わせであるにも関わらず、ここに馳せ参じているのだから。しかし、2人のその発言にダァトもまたふむ、と考えた。
「未知の物質ではあるのだかラ、オブリビオンという見方も有りうることではあル……」
「だとしたら、毒耐性はあっても役に立たないのかなぁ……」
 レイが少し肩を落として言えば、ゲイジーがかぶりを振る。
「そんなことはないじゃろう。これはあくまでもワタシの予想じゃ。まだ見ぬ抗体の正体を、憶測だけで判断してはならぬものな」
「そっか、ゲイジーさんありがとう。──なら色んな所から考えたほうが得策なのかもしれないね。神経系に効く、とか………。あ、でもでも“ウイルス”って言うくらいだから細胞が無いって事?」
「そうなるだろうネ」
「……細胞がないならどうやって増殖するんだ?」
 会話を静かに聞いていたジングが、ここで疑問を投げかける。確かに、細菌系統のものは「えさ」を捉えられれば簡単に、且つ勝手に分裂・増殖をする。それに対してウイルスは、細胞をもたないため他生物の増殖機構を借りている。
「実はと言えバ、ウイルスはDNA、RNA等の遺伝子が1、2本入ったカプセル──なんていうシンプルな構造をしていてネ」
 ダァトが話しながら手を翳すと、図面で解析するように黒い球体(だが表面は凹凸している)が浮かび上がる。その中は空洞に変化し、透けた中身は螺旋状の物が入っているように窺えた。
「つまりハ、そんなシンプルな粒子では自ら餌を食べ、自分のDNAを増殖させるような機能はなイ…と考えられているんだヨ」
「ああ、成程。…ならどういった方法で増殖するのだろう」
「それはネ、体内で借りるのサ」
 トン、と自身を指で軽く叩くようにして言う。──そう、つまりウイルスは、他生物の細胞を利用して自己を複製しているのだ。
「なるほど………なら、そこにも注目して調べられそう!」
 レイがそう言ったのを区切りとして、顔を見合わせる4人。それは行動開始の合図。
 こうして猟兵達はオロチウイルスの抗体研究に取り掛かるのだった。

「まずはボク達でオロチウイルスを摂取しないと、だよね」
「そうだな。……俺は『慣れている』が、皆は無理しないように気をつけてくれ」
「う〜了解なのじゃ…………くぅ、背に腹は代えられぬ!…あー!うん、やるのじゃ!!」
 覚悟を決め挑むレイ、 さも子慣れた様子のジング、投げやりになりつつも挑もうとするゲイジー。その3人が各々、ウイルスを摂取する。ちなみにダァトはというと、
『私はキミ達が終えたらやることにするヨ。ここで全滅したら元も子もないからネ』
 ………だそうだ。確かに治療出来る者は残っていた方がいい。
 なにはともあれ摂取されたウイルスは、それぞれの身体を蝕み始める。身体の芯から熱くなる感覚と、異様な頭と腹部の痛み───。それは早急な症状の現れだった。
「………ぐっ…………かは……っ…」
 先んじて変化が現れたのは、レイ・キャスケット。彼女が、ウイルスが回るのが早いのは、女性故という事もあるだろうが身体の大きさ、若さ…等などが直結しているとダァトは推察する。そうしていれば、ごぽ………と気味の悪い、何かが逆流したかのような音がした。レイも堪らず口元を抑えるが、抑えた手の間から漏れた液体………血液は、とどまるところを知らない。
「これ、は…………っ………多分、消化器官が………やられている……。それが、肺まで炎症を、きたしている、………ようだ、な」
 続いてジングが苦しげにしつつもそう述べる。だが彼はまだ出血、発熱などの症状のみで、意識は朦朧としていない。………流石サイボーグ計画の実験体の成功者、と褒めるべきかどうかは分からないが(というかむしろほぼ気合いで耐え切った感じがする)。しかし、彼の第六感によって感覚が伝えられた熱や出血、激痛など、様々な疾患が出る様子は非常に貴重なものであった。そうして暫く観察していたダァトだったが、
「…うん、ここまでかナ。これ以上は医者としては許可出来なイ」
 彼は2人の実験を取りやめさせるようにし、治療を施す。直ぐさま癒される身体に、レイもシングも安堵する事だろう。

 ✓ 発熱、及び出血有り。

「正直死ぬかと思ったよ………」
「………アレは厄介なウイルスだな」
 彼等がそう話す一方で、ゲイジーただ一人だけが倒れずにいた。それは彼女のユーベルコードの力による効果であった。───Lost Star(ロスト・スター)。それは“光のまだ残る滅んだ星”の光の魔力により、自身を加速させ、経過時間に対し多く被験出来るようにするためのものだった。加えて、幸をそうしたのか、自己の属性がより『死』に近づいたことによる、症状の緩和が見られる。

 ✓ 似通う属性による緩和。

「なに、心配はいらぬと言ったじゃろ?これはこの為の技なのじゃからな。………さて、なにか近しい病気はあるかのぅ?」
 オロチウイルスを受けていながらもそう話すゲイジー。そうして過去に似た症状を発した事例がないか、彼女は探し始める。様々な文献を取り出し、これなんかどうじゃと皆の前に差し出す。それを見るに、どうやら急性のウイルスなのでは?と彼女は予測しているようだ。
「ふむ、だんだん見当がついてきたネ」
 そう言う彼もまた、その文献を眺める。だが、中々にフューチャリングが出来ない。そう手をこまねいていると、レイが話しかける。
「…………百聞は一見に如かずって言うように、兎に角見てみた方がより早く分かるんじゃない?」
 文献を眺めていた2人をそう少し止めて述べる。………彼女の言う事は最もだが、どうやってもう一度経過を見るというのだろうか?まさか、もう一度オロチウイルスを摂取しようとでも言うのか。
 否、そういった事ではない。
「ボクのユーベルコードはね、その身に起きた現象を再現する事が出来るんだ」
 レイはそう言うと、力を集合させ再現を試み始める。
「………まぁ、ウイルスって水とか炎みたいにわかりやすい現象じゃないし、耐性魔法の構築にはちょっと時間がかかるかも」
 集まった力は、ウイルスの形状を成し再現される。内部構造、引き起こした症状を鑑みて算出されるそれは、正に顕微鏡で見たのではないかとも思ってしまうほど精密だった。そのユーベルコードの名は付与の羽衣(エンチャント・オブ・フェノメナ)。体験した自然現象を魔力で再現し、自身に纏うことで強化する技である。………そうしてみれば、そのウイルスは特異な形をしている事が分かる。
「これは………見当の付きやすい形状をしているネ。いい情報(UC)を有難ウ」
「えへへ……どういたしまして!」
 こうしてウイルスの形状は捉えることが出来た。

 ✓ 特異な形状のウイルスの模様。

 そうしたら次は、特徴をあらかた書き、近い症例を絞り出す作業を始めた。賢智であり医術にも長け、そういったものの情報収集に適した人物、ダァトの指揮の元、探し始めたのだ。
「やっぱりこれなんか近いんじゃないかな?」
「ほぅ………これは急性ウイルス性感染症、じゃのう」
「うん…あんまり難しい事は分からないんだけど、ほら。ここにボクが感じた症状に似てるものが書いてあるから」
「これは……。空気感染はしないものみたいだな。それに滅多に発症例がない」
「あぁ、じゃあ駄目か………」
 皆で話し合いながらそう探していると、それを聞いていたダァトが、ピタリと文献を捲る手を止めた。そしてレイが指し示す文献をある程度見ると、口を開く。
「駄目、となりそうな所だシ、限りなく有り得なイ、と思うヨ。………普通ならネ」
「……………普通なら?」
 そう聞き返すと、彼は持っていた文献を静かに置きながら続ける。
「そう、普通なラ。でもこれは銀河帝国のお膝元で作成されたウイルスだヨ?それがオブリビオンの影響を受けていル……いや受けさせられているんだとしたラ、空気感染も出来てしまウ“万能のウイルス”に変容する可能性は大いにあル」
 彼はそう言うと、ユーベルコードを使い、抗体を産出する。
「どちらかと言えバ、即効性が見られる事かラ、急性だろうネ。そして細胞を喰い荒らし炎症を引き起こすウイルス………」
 ───ユーベルコード、二ノ叡智・知恵(セフィラ・コクマ)によって次々と構成されていくそれは、遺伝子組み換えの作業とも言える途方もない作業。だが、彼のユーベルコードはこの時の為にある。何故、皆と同じくしてウイルスを摂取しなかったのか、それが明らかになる瞬間であるのだから。
「これでウイルスを摂取しテ、本当に抗体が効くかどうか、だネ」
 そうして自身に実験を施したのだ。だがしかし、事前にどのような症状なのか、文献を見、更には実際に見たことによって練度を上げたそれは、限りなく正解に近く出来た抗体であった。次から次へとそれを試せば、益々それに近しくなることだろう。
 暫くして、ようやっとそれが完成を迎えた。

「どうやラ、これが“抗体”みたいだネ」
「へぇ、これが抗体か……なんか出来た実感が湧かないや」
「そうだな、俺もだ。だが、俺は実験体しかやっていないからな……貢献出来たかどうかは無いに等しい」
「そんな事はなかろうよ。現在進行形な意見は、より症状の早さを実感させ危険だと直ぐに分からせられるからのぅ。ワタシだけの見解では、こうはならなかったじゃろう」
「そうか……だが、あなた達の力添えによって出来たも当然だろう」
「なんかそう言われると照れるなぁ………じゃあ、ボクも役に立てたのかな?」
「うん、皆大いに貢献してくれたと思うヨ」

 彼等はそう、穏やかに笑い、話す。そうして、苦労した甲斐あって高練度の抗体が完成されていたのである。
 ────こうして4人の力によって、ある1つの抗体が生み出されたのだった。それはきっと多くの人々を助ける事となるのだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

シホ・エーデルワイス
痛々しくも耐えて抗う感じのアドリブ希望


咎人…かもしれない私に適役ですね
この身を捧げてワクチン開発に貢献します

オロチウイルスを投与してもらい実験体になります

まずは【生まれながらの光】でウイルスの浸食速度を抑えつつ
<医術、情報収集、学習力>で体の変化や浸食状況を観察し逐次報告

また<呪詛耐性、毒耐性、激痛耐性>辺りも駆使して
基礎抵抗力を高める

記録を取っているスタッフさんに心配をかけない様
<勇気と覚悟>で明るく振舞う

大丈夫です…こんなのダークセイヴァーの依頼で受けた
拷問に比べたらへっちゃらです
(汗まみれで笑顔を浮かべて見せる)

データ収集を優先し極限まで耐え
限界を感じたら【贖罪】で抗体の作成を開始します


シシィ・オクトニーア
オロチウイルスによる被害……絶対に阻止しないと、ですね。
ウイルスの抗体を作るためのお手伝いをするのは初めてですが、頑張ります……!
オロチウイルスは殺人ウイルスと呼ばれるものらしいので、ユーベルコードによる治療行為は効果があるのかを試してみたいです。
そのために、生まれながらの光を使用してオロチウイルスの症状や進行を抑えたり回復出来るかどうか確認します。
他に同じような実験を行っている猟兵の方がいらっしゃったら協力し、実験データを比較したりして開発に貢献したいです。
種族や性別、年齢などの違いだけではなく、ユーベルコードによる回復量や疲労の具合による症状の差異など、とにかくデータを集めましょう!



●ウイルスの攻撃性、またはその解決法について。
 シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)、シシィ・オクトニーア(金剛石は宝石箱から旅立つ・f03316)の2人もまた、抗体開発に取り組まんとしていた猟兵達であった。
「オロチウイルスによる被害……絶対に阻止しないと、ですね」
 そう言ったのはシシィ。彼女はより沢山のデータがあった方がよいと考えたらしい。
「そうですね。──それに、咎人…かもしれない私には適役かもしれません。……被検体が必要みたいですから」
 一方でシホも、オロチウイルスのサンプルを眺めつつ同意の言を述べた。実験もしなければならないし、データを摂り、抗体を作らなくてはいけない。やる事は沢山ある。そんな中、どうやら双方ともより多くのデータを集める事に決したようであった。
「ウイルスの抗体を作るためのお手伝いをするのは初めてですが、頑張ります……!」
「私もこの身を捧げてワクチン開発に貢献します」
 そう覚悟を決めた猟兵達は、それぞれ協力しつつオロチウイルスと対峙する事となる。──こうして2人の少女は抗体開発に取り掛かるのであった。

「まずは私からいきます」
 まず名乗り上げたのはシホだった。次いで投与の準備が始められる。────この実験は、第三者がいないと危険な実験である事は言わずもがな理解出来るだろう。……何故なら、殺人兵器とも成りうるオロチウイルスを投与しなければならないからである。もし万が一の事があっても誰も助けてくれる人がいないだなんて、普通に笑えた事ではない。
 そうこうしている内に、シホにウイルスが投与された。抗体開発には必要不可欠ではあるものの、やはり恐ろしいものだろう。かく言う彼女も、エーデルワイスを少し震わせていた。
 ………そうして彼女はまず、自身のユーベルコードである、生まれながらの光でウイルスの侵食速度を抑えようと図った。それはじわりと暖かに広がっていく。
「これは…………多分炎症を起こさせて、発熱を促している、ような感じがします」
 医術などの専門知識を持ち合わせていた為、これにはちょっとした既視感を感じていた。感染症に近しい病原体のウイルスに、なんだか似ている気がしたのだ。
 そうして続けて観察結果を伝えようとする。だが、それを阻んだのはオロチウイルスだった。
「ぐ………………っ………はぁ………は……ぁ……くぅ…っ!!」
 急激な発熱と腹痛、そしてそこから猛烈に逆流しようとする血液。気持ち悪さとも似つかないその嘔吐感は、冷や汗をかかせてしまうほどであった。
 そうして彼女は、暫く耐え忍んでいたが、遂には吐血してしまう。
「シホさん!!!!」
 データを採っていたシシィが心配し、急いで取りやめようとする。
「まって!!!…………止めない、で」
「でも…………」
「大丈夫です…こんなのダークセイヴァーの依頼で受けた拷問に比べたらへっちゃらです」
 大量の汗をかき、それでもへら、と安心させるように笑顔を浮かべるシホであったが、顔色が悪く全然大丈夫そうではない。それでも、大丈夫大丈夫と言い聞かせてくるのは、心配させまいとするが為であろうか。
 …………そうしながら彼女は、限界まで耐えに耐えてデータ収集を行った。そのお陰か大体の所は掴めてきたようだ。急性ウイルスであるとか、熱病のようなものと類似したものなのではないか、とか。
「………私はあなたを許します」
 そうしていよいよ限界が近くなってきたシホは、微笑みながらユーベルコードを発動させた。【贖罪】償いの時間(ラクニハシネナイノロイ)───これは彼女の痛みを軽減する為のユーベルコードだ。これを使用し、抗体を作れないかと考えていたらしい。

「これなら、どうでしょうか」
「………!確かに、抗体が出来てます……凄い」

 しかし、これはまだ完全体ではない。いうなればβ版がやっと出来た、といった所だろうか………。

「なら、今度は私がやってみますね!同じ技、同じ
年代、でも種族は違う………これはちょっと違ったデータが採れるかもしれません!」

 シシィはそう意気込むと、オロチウイルスを投与し始めた。オロチウイルスは殺人ウイルスと呼ばれるほど強力なもの…………そのオロチウイルスに対してユーベルコードでの対抗は出来るのだろうか?そう疑問を持ったシシィは、ユーベルコード、生まれながらの光を使用してシホと同じように対処する。
 ───結果を言ってしまえば、確かに抑制はするものの、根本的な解決まではいたらない。否、至ることが出来ない、というのが結果だった。
「…………っ、症状は抑え、られても、回復は出来ないと、いうことですか……」
 ウイルスによる影響で、少し息が上がり苦しそうにしながらそう言う。
 だが本当に相違した点は出血がないことだった。もう一人の猟兵、シホの場合、発熱した後に吐血といった症状が出ていたのにも関わらず、彼女からは一切それが感じとられない。
「熱は……ないけど、それはもしかして種族が関係しているのでしょうか」
 伏せ目がちに悩ましいと言った感じで、シホが推察する。
 こういった言い方にするとおかしいかもしれないが………彼女、シシィは生きている生物である。生きている生物ではあるのだが────クリスタリアンとして生を受けた者だった。その為、人間やオラトリオなどの哺乳類とは身体構造が異なっている。
「──多分ですけど、インクルージョンが破壊……されてる気がします。あとは……炭素原子も壊されてるような………」
 宝石には多くの場合、インクルージョンが含まれている。それと同じく、クリスタリアンにもインクルージョンなるものは存在してい、例外ではない。だが、彼女が苦しむ大元はそこではないらしいのだ。曰く、彼女はダイアモンドであるからだそう。
 ……………ダイアモンドはインクルージョンが少ない方が鑑定価値は高い。シシィは、流石箱入り娘といった所か…蝶よ花よと育てられたこともあって、インクルージョンが少ないのだった。
 次に炭素原子の破壊、とあったがこれが実際に彼女を破壊しようとしているものだろう。人間で表すなら、細胞が喰らわれている危険な状態だ。
「炭素が壊されているせいで、身体が、何というか変なのです……」
 言われてみれば、ディスパーションも少なくなってきているように感じる。
「でも、これでデータは十分に採れました!」
 そうして彼女もデータ収集を行った後、自身の治療を行う。………種族が違うだけでもこれほど症状が違うとは驚きだ。そう感じながらも集計していく事だろう。

 彼女達はこれまで協力してくれた猟兵達の実験データを元に、症状の差異等もおもんばかった上で、さらにデータをまとめた。そうしてから、試しにもう一度抗体を協力しながら作ってみる。

「わぁ!………これは、完成なのでは!?」
「………はい、これが抗体みたいです」

 華やいだ声で話す2人の目の前には、苦しみつつもようやっと完成した抗体があった。
 これで沢山の人を救う事が出来る………そう考えては少女達は達成感で一杯であった。

 ────こうして、彼女達の作ったある一つの抗体も、誰かを救った。………というのはまた別の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月16日


挿絵イラスト