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殲神封神大戦⑱〜破滅の前に破滅させろ！・２

作者：鳴声海矢

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　ついに現れた大賢良師『張角』。一方その頃……

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「皆さん、お疲れ様です。殲神封神大戦の依頼です」
　ミルケン・ピーチ（魔法少女ミルケンピーチ・f15261）を頭に乗せた花園・桃姫が勢いよく集まった猟兵に言う。
　殲神封神大戦も最早最終局面、オブリビオン・フォーミュラである大賢良師『張角』との戦いが始まっている。もう依頼するならそれしかなかろうと猟兵たちは構えるが、ミルケンが告げたのは別の戦場。
「皆さんに行って欲しいのは三皇伏羲の塒、そこの『八卦天命陣』です」
　確かにまだそこから支援は張角へ送られているが、最早直接叩ける状態。さらには張角自身も風前の灯火だ。行く意味はあるのかと猟兵たちは首をかしげる。
「ここの持ち主の伏羲はまだオブリビオンとして出てきてないません。張角の話では骸の海にいると言ってますし、どこでどう出てくるか分かりません。なので、後で変なことにならないようにさっさと落としちゃいましょう！　あと、せっかくだから完全制覇したいですし、深読みすれば完全制覇が条件のエクストラステージとかあるかもしれませんし」
　本人が有力敵として登場した神農、同名の帝竜がいた女媧と違い、伏羲を名乗る者は未だにどこにも現れていない。念には念を入れておいて損はないだろうということらしい。最後のはまあ気分の問題になるかもしれないが、戦場の数そのものは今までの戦争より少なかったこの戦い、何かが隠れているのではと勘繰る者もいるだろう。なければないでそれでよしだ。
「で、内容としてはここに行くと『破滅の未来』というのが襲ってきます。張角が戦ってる影響か、今出てくるのはカタストロフの未来みたいですね」
　平和のために全てを滅ぼす。張角の切なる願いが起こした恐るべき破滅だ。
「なので、カタストロフしてオブリビオンがたくさん湧いてる封神武侠界を叩き潰してきてください。こんなのにさせちゃいけないって気合を込めて、思いっきりやってきてください！　それじゃ、お願いします！」
　そう言ってミルケンはグリモアを起動し、三皇伏羲の塒へ猟兵を送り出すのであった。

第1章 冒険 『八卦天命陣』

POW   :    腕力、もしくは胆力で破滅の未来を捻じ伏せる。 SPD   :    恐るべき絶望に耐えながら、一瞬の勝機を探す。 WIZ   :    破滅の予感すら布石にして、望む未来をその先に描く。 👑7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　三皇伏羲の塒の中、破滅の世界と化した封神武侠界。張角を倒せばこの世界の訪れは防ぐことができる。だが、張角の後ろにいる存在は余りにも計り知れなさすぎた。彼を唆した渾沌氏に、オブリビオンとしての再生が為されていない伏羲と女媧。異門同胞が効かぬとされその名だけが聞こえた韓信と、後顧の憂いとなり得る存在がちらつきすぎている。
　それ故今手の出せるものは全て抑え、隠れたものあらば引きずり出さんとこの破滅の世界へ猟兵は飛び込んだ。
「三皇伏羲の英知の塊、一つでも頂ければいい値になりそうですわね」
　最もルイズ・ペレンナ（怪盗淑女・f06141）はそんな世界情勢にはさして興味はない。宝として価値があるか否か、それが彼女の判断基準である。そんな彼女の前に、その欲望を肯定する者が現れた。
「ああ、もうだれも……私を殺してはくれないのですね……」
　封神仙女妲己。カタストロフの果てには彼女もまたオブリビオンとして再生され、破滅の世で望まぬ生を送らされるのだろう。金銀財宝をどこからか撒き散らしながら振りまく香気はルイズの欲望を刺激するが、ここが破滅の幻だと知っているルイズはそれを振り払う。
「その宝が本物なら貰わないでもないですけれど、出てから消えてしまうのでは」
　幻の宝などいくらもらっても意味はない。その思いと共に、ルイズは妲己に向けて一直線にバイクを走らせた。
「おいらが来たからにはもう安心だな」
　その後にゆっくりと続くのはゴリラ・シャーク（森の賢者×海の支配者・f24959）。その名通り鮫を生やしたゴリラの彼は優しく妲己に語り掛けた。
『なぁ相棒、あれは食っていいのかい？』
　その腹の鮫がゴリラに問う。普段はゴリラはそれを止めるし鮫も本気では聞いていないが、今回ばかりは違った。
「そうだな……それがきっと彼女のためだうほ」
　死を望む妲己。幻影とはいえ彼女はオブリビオンの天下たるこの世界ですら苦しみに苛まれているのだ。心優しいゴリラは、それを終わらせてやろうと相棒の鮫に言った。
「お優しい方々……どうか……！」
　妲己の周囲から流星胡蝶剣が迫る。ルイズはそれを高速移動して躱し、ゴリラはその巨躯と怪力を持って刃を掴みへし折っていく。
「お代は結構ですわよ。けれど懐には注意なさいませね？」
　懐……胸を抉る装飾を排した腕からの神速の一撃。まるで血抜きをするかの度特鮮血を溢れさせる妲己に鮫の顔が近づいた。
「今、助けに行くんだな！」
『オレに喰われてえのか？　……かまわねぇよ』
　ゴリラのドラミングによって速さを与えられた鮫が、素早く、鋭く妲己を一飲みにした。
　幻影の中でも望まぬ生を与えられた彼女。もう二度と悲しく迷い出ることが無いようにとゴリラは祈り、この宝を汚す破滅の世界が早々に消えればとルイズも幻影の中から去るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　あと少し、あと一押しで、この三皇伏羲の塒の制圧は完了する。
「最後の仕上げ、ですねぇ。参りましょう」
　その一手を詰めるべく、夢ヶ枝・るこる（豊饒の使徒・夢・f10980）はまたしてもこの破滅の幻影の中へ飛び込んだ。
　その彼女を攻めるのは仮面の瑞獣、王翦大将軍。彼女の登場と共に、周囲はブルーアルカディアのような浮遊都市へと形を変える。
「やー、張角って賢いばっかの役立たずだと思ってたけど、カタストロフ起こすなんてやるじゃん！」
　愚かでスケールの大きい極悪人をこそ奉じたがる王翦にとっては、賢く世を憂いる張角はまさに利用価値の薄い存在。だが目的が為せればそれでよいと、自称忠実な瑞獣はあっさり手のひらを返していた。
「『神農』さんと並んで出番の少なかった『王翦大将軍』ですかぁ」
　そう、彼女も再孵化は一度しかしていない。しかもインパクトは韓信と戦場頼みだったりして意外と本人の影は薄いのだ。
「や、やめろ！　ヘタすりゃあっしがあのポジションに収まってたとか言うな！　女の子補正でギリ勝ったって自覚はあるんだよ！」
　どうやら本人的にも思うところはあったらしい。だが彼女もまた殲神封神大戦以後の憂いの一端を担うもの。幻影であっても生き残らせてはならないとるこるは討滅にかかる。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『霊脈の加護』をお与え下さいませ」
　【豊乳女神の加護・虚籃】を発動し、戦場である浮遊島全体を揺らするこる。もちろん本人は飛行済みだし、連れている配下もその気になれば飛べる。だが。
「あー！　戦場間違えたー！」
　当然ながら王翦は飛べない。島から落ちた彼女を部下が慌てて拾いに行こうとするが、さして強くない部下は空間を少し揺らせばあっさり倒されていく。
「えーい、何とか着陸して逃げるぞ！　侍とか剣と魔法の連中がいるあたりまで行けばど安定……」
「逃がしませんよぉ」
　王翦が分かりやすい世界の場所へ逃げようとするが、その前に落ちている彼女を浮遊兵装で滅多打ちにする。その爆炎の中に、王翦大将軍は消えていった。
　それと共に周囲の風景は元の形に戻る。そしてそこにあるのは、この破滅の幻影の元となっていたらしき陰陽を表す図像。その図像が心なしか穏やかになって見えるのは気のせいだろうか。
　ともあれ、ここに三皇伏羲の塒は制圧された。殲神封神大戦の決着も、きっとすぐそこだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2022年01月30日