クリスマスはチキンの丸焼きを
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お待たせいたしました、とテーブルに置かれたのはチキンの丸焼きだった。
「なにこれ? 私たち、頼んでないわよ」
顔をあげると、すでに料理を運んできたウエーターの姿がどこにもない。
店内のいたるところで「すみませーん」の声が上がる。
老いも若きも、男も女も、人も人外も。チキンの丸焼きをテーブルに置かれた客たちが一斉に騒ぎ始めた。
パスタを頼んでもチキンの丸焼き。ハンバーグを頼んでもチキンの丸焼き。ジュース一杯でもチキンの丸焼き。はてはおしぼりの代わりにチキンの丸焼き。
それも一皿や二皿ではないのだ。
注文パッドの確定ボタンを押した瞬間に表示された、バーチャルスロットの出目に合わせた数がテーブルに運ばれてきていた。
一羽丸ごと一皿でも、えっと思うのに、どのテーブルにも最低四皿、すごいテーブルになるとチキンの丸焼きでピラミッドが作られている。
「ふざけんな、こんなに食えるか!」
「そーよ、そーよ。第一あたしはコーヒーが飲みたかっただけなのに」
顔を真っ赤にして、どんなに声をからして叫ぼうとも、テーブルには誰も来なかった。
「どうなってんだ、ここの店は!」
「もういいわ。他の店に行きましょう」
怒って店を出ようとする客たち。当然、お金を払う気なんて全然ない。
だが、ドアは硬く閉ざされていた。
「――え?」
「なにしてるの、早く出てよ」
ドアの前で押し合いへし合いする客たちの背に、いつの間にか戻ってきたウエーターが声をかける。
「お客様、食べ残しは困ります。クリスマスの御馳走をいっぱい食べて、マスターのためにおいしく太ってもらわないと……。なお、食べ残しされた場合は、御命でお支払いいただきます」
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「くぅぅ……オレが行きたい。食いたい。なぜだ、なぜオレはほかのグリモア猟兵を差し置いて事件を察知してしまったんだ?」
登里頭・五郎 (キマイラのフードファイター・f01677)はグッと拳を握りしめた。
察知してしまったものはしょうがない。
というより、鶏がチキン食ってもいいのか。
「こまけーことはいいんだよ。それよりも、この謎の店に行って、閉じ込められてしまった客たちの代わりに出されたチキンの丸焼きをすべて食べてくれ」
チキンの丸焼きをすべて食べきるとどうなるか、現時点ではまったく予想がつかない。だが、無事に全員解放とはならないだろう。
「とにかく、食って食って食いまくれ! 話はそれからだ。あ、食レポ、よろしくね!」
そうすけ
そうすけです。はじめましての方も、どこかでお会いした方も、どうぞよろしくお願いいたします。
一章では、とにかくクリスマスらしく「チキンの丸焼き」を食べ尽くしてもらいます。
どんどこどんどこ食べて、どんどこどんどこ運ばせて……忙しさに目が回った敵がボロを出すまで頑張ってください。
素敵なプレイングをお待ちいたしております。
第1章 冒険
『食べて食べて食べまくれ!』
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POW : ひたすら詰め込む。限界?知った事か!気合いだ気合いだ気合いだぁー!!!
SPD : 見えないスピードでお皿の上を減らそう!え、自分の分が増えてる気がする?気のせいだよ
WIZ : 馬鹿正直に食べるなんてしたくない。他が食べなきゃいいんだから激マズな物をこっそり混ぜよう!
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🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ミーファ・ミーファ
チキン!!ただ食べるだけで良い依頼!!!これは、まさにご馳走様なのらよ~。
好きなだけ食べて良いのらよね~?ナイフとかフォークとかまどろっこしいのら~。かぶりついて、チキンを中から食い破る勢いでどんどん食べるのら~。
「おや、どうしたんですお客様。さあ、席に戻って……食べないんですね。残すんですね。なんともったいない……」
チキンの丸焼きを乗せた大皿を両手に、顔を大きなマスクで隠したウエイターが震える客たちに迫る。
その時!!
「ちょっと待つのら~!!」
ミョ~ンと自動ドアが開き、ミーファ・ミーファ(大食い妖精・f04191)が颯爽と店内に――入ろうとして雪崩れた大勢のお客さんに押しつぶされそうになった。
「にゃにゃにゃ!?」
間一髪。透明な羽根を懸命に動かして、横へ逃れて下敷きを免れた。どうやら外からならドアは開くらしい。
閉まりかけたドアの隙間から、小さな体を生かしてするり、店内に入り込む。
「いらっしゃいませ、お客様。申し訳ございませんが、お客様はたったいま逃げ出したお客様の分まで食べていていただくことになりますが、よろしいでしょうか?」
よろしいも何も。店に入った以上は店のルールに従ってもらう、とウェーターは無言の圧をかけてくる。
ウェーターの前で浮かぶミーファの小さな体を見て、店内に残された客は悲鳴を漏らした。
「こ、こんな小さな子が……そんなに食べられるはずなんてないだろう!」
「お願い、ドアを開けてあげて。何も知らないで入って来たのよ、この子」
ミーファはオレンジの瞳をキラキラと輝かせてドアの前で固まる客たちに向き合うと、白いお腹をぽんっと叩いた。
「大丈夫、こう見えてもミーちゃんは食を求めて宇宙をさすらうフードファイターなのら。ここがどんな店かも知っててきたのら~」
応援してなのら~、と羽根を動かして、チキンピラミッドがそびえるテーブル席へ。
専用ホークとナイフを手に取り、舌なめずりした。
「チキン!! ただ食べるだけで良い依頼!!! これは、まさにご馳走様なのらよ~」
唸るホーク、光るナイフ、飛ぶカットチキン!
ミーファは猛然とチキンの丸焼きを胃に納めていく。
大成功
🔵🔵🔵
朱・瑞洪
チキンの丸焼き……ああ、美味しいのはわかる…沢山食べたいのもわかる……しかし、これは流石に多すぎだ!
こんな量を馬鹿正直に食べ尽くせるか、アホ!
「支援要請!支援要請!これは危急の事態である!」
召喚されるは「物資保管用ガジェット」
このチキンの丸焼きはこいつに詰め込ませて貰うぞ!
「え?これは食べてるって言えるかって?」
「馬鹿を言うな…!こいつは立派な生命体(願望)だ!ほら、こんなに美味しい美味しいって身体の中に詰め込んでるだろ???」
「だから、誰がなんと言おうと生命体(大嘘)。多分、ウォーマシンとかそういうのの仲間じゃないか?(すっとぼけ)」
崩れゆくチキンピラミッド。
信じられない光景を目撃した客たちは口をぽかんとあけ、ウェーターはよろめいて危うく手にた皿を落としかけた。
その時、厨房の奥から新たなチキンの焼き上がりを知らせる電子音が聞こえて来た。
はっとしたように、ウェーターが姿勢を正す。
「お、お客様。オーダーがまだ――」
ミョ~ンと開いた自動ドアから一陣の風が店内に吹き込んだ。
「チキンの丸焼き……ああ、美味しいのはわかる……。沢山食べたいのもわかる……。しかし、これは流石に多すぎだ!」
高いところから燃えるような怒気を含んだ美声が朗々と響く。
ガジェッティアにして破戒僧朱、瑞洪(紅を纏う華竜機士・f04728)だった。
「こんな量を馬鹿正直に食べ尽くせるか、アホ!」
客たちの間を割ってずかずかと店内へ。
ウェーターの案内を待たず、勝手に席に着いた。
「さっさとその皿をここへ置くがよい! どうせチキンしか持ってこないのだろう。どんどんもってこい!」
瑞洪は目を閉じると、胸の前で印を結んだ。
物資保管用ガジェットを召喚し、次々と皿ごとチキンの丸焼きを放り込んでいく。
「お、お客様。お持ち帰りは困ります! 保健所に摘発されます!」
「馬鹿を言うな……! こいつは立派な生命体(願望)だ! ほら、こんなに美味しい美味しいって身体の中に詰め込んでるだろ???」
「あ、ええ? 生き物には見えません」
「だから、誰がなんと言おうとこいつは生命体!! 生きてるの! 多分、ウォーマシンとかそういうのの仲間じゃないか?」
坊主が嘘ついてもいいのか、だから破戒僧なのか!
力づくで止めようとするウェーターを肘で押しのけ、足で払い、瑞洪は物資保管用ガジェットにチキンの丸焼きをガンガン詰めていく。
大成功
🔵🔵🔵
シェーラ・メルフィーア
【POW】
そーんなご馳走を前に残すなんてもったいないことできないわあ♪
もちろんひたすら食べちゃう!だって肉でしょ?肉なら任せて!
【フードファイト・ワイルドモード】で食べて力もつけてがーんがんいっちゃうわよ!
ん~!このぱりっぱりの皮とくどすぎないけどたっぷりの肉汁と脂のハーモニーがたまらないわね
チキンの魅力は焼くだけじゃなくいろんな調理にも映えるからすごく便利でおいしいしー
マジックスパイスやハーブソルトでの味付けもいいけれど、炭火で焼いて弾力と凝縮された旨味を味わうのもいいわよね
大丈夫?
あ、へーきへーき。私食べるからー
肉ならいくらでも入っちゃう☆
何頼んでもチキンが出るなら調味料持参がよさそうね♪
鮫兎・醒闇
【POW】
フードファイターとしてひたすら食べまくるの一択でしょう!
ただし食材への感謝は忘れずに綺麗に素早く食べるわ!
肉も部位によって味や触感が違うから食べる部位をずらすことによって
飽きることなく食べられるわね!
それに鳥は一羽二羽って数えるから…羽イコール実質カロリーゼロよ!(超理論)フードファイト・ワイルドモード使いに胃袋の限界は無いってことを思い知りなさい!
無双するドラゴニアンの僧侶、オレンジの飢餓子フェアリー。
二人の快食撃を受け、次第に客たちに活気が戻ってきた。声を上げて、やんややんやとで二人を応援する。
(「このままでは本当に食べきられてしまう」)
対するウェーターは狼狽えた。怯えた。
しかもコイツら……特にあの迷惑客、絶対ここに出ている分だけで『動けなくなる』なんてことはないだろう。
それはつまり、マスターの餌が作られないということ。
餌がなければ自分が代わりに――。
ウェーターはぶるりと体を震わせると、猛然と厨房と客席の間を行き来し始めた。
片手に最低三皿乗せて、どんどんチキンの丸焼きを追加していく。
ついに料理を提供するスピードが、二人がチキンの丸焼きを食べるペースを上回った。
ホークとナイフを持つ手が時々とまり、物資保管用ガジェットがげっぷのような妙な音を立てる。
(「よし、この調子で食って潰れてしまえ」)
余裕が出てきたウェイターは、憎まれ口を叩いた。
「あれあれ、どうしましたお客様。どんどん持ってこいと仰ってましたが……そろそろ限界では? 残さないでくださいね~」
――ミョ~ン。
開く自動ドア。
割れた人垣の間に麗しき乙女のシルエット二つ。
あらたなファイターの登場にウェーターはたじろいだ。
「そーんなご馳走を前に残すなんてもったいないことできないわあ♪ もちろんひたすら食べちゃう! だって肉でしょ? 肉なら任せて!」
銀の髪をさらり流して、シェーラ・メルフィーア(百味・f02300)。
「フードファイターとしてひたすら食べまくるの一択でしょう! ただし食材への感謝は忘れずに綺麗に素早く食べるわ!」
大きな胸を揺らして鮫兎・醒闇(兎と鮫となんかの触手・f02122)。
ともに全身の食細胞を活性化すると、花道を行く女子プロレスラーのごとく腕を高々と上げて入店した。
「私たちもさんせんするわあ♪」
「さあ、かかって来い!!」
シェーラが持参の調味料をチキンの丸焼きにかけて味の変化で舌の「飽き」を回避すれば、醒闇は「羽イコール実質カロリーゼロ」という謎理論で満腹中枢を騙す。
「うわぁぁぁ! お客様、勝手に味を変えるのはおやめください!」
「うるさいわよ、どんな食べ方をしようと私の勝手でしょ?」
人狼のフードファイターは緑色の瞳を吊り上げると、注意するウェーターの手からチキンの丸焼き皿を奪い取った。
「そうよ、さっさとおかわりを持ってきなさい! カロリーゼロなんだから、ちっともお腹に溜まらないわ!」
キマイラのフードファイター が空になった皿をウエーターに突き返す。
「嘘つけ、骨まで食ってゼロカロリーなんてわけあるか。白けりゃカロリーなしって言ってるのとかわんねーぞそれ!」
丁寧語を忘れたか、追い詰められていつの間にかタメ口になるウェーター。
「ふっ……フードファイト・ワイルドモード使いに胃袋の限界は無いってことを思い知りなさい!」
ウェイターは泣きなぎら厨房へ走っていった。
――と、すぐにとぼとぼと肩(?)を落として戻ってきた。
空手だ。何も持っていない。
「うわぁぁぁぁ、今日はひでぇ客ばかりだ! 打ち止めだよ畜生!」
客席にはもう、チキンの丸焼きは残っていなかった。
大成功
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第2章 集団戦
『スロットマシン怪人』
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POW : プレジャー・プリーズ
自身の【刹那的な楽しみ】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : スリーセブン・スラッシャー
【頭部のスロットをフル回転しての連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ロスト・ロケット
自身の装備武器に【遺失技術製のロケットエンジン】を搭載し、破壊力を増加する。
イラスト:風馳カイ
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ええーい! こうなったら私自らマスターの餌を作りましょう!」
ウェーターは大きなマスクを取り外してスロットマシン怪人としての正体を現すと、イェーガーたちに襲い掛かって来た!
開いたドアから客たちが逃げていく。
「お前たちは逃がさん!!」
カイム・クローバー
開いたドアからババンと登場!真打登場ってな!チキンの丸焼きが腹一杯食えるって聞いてきたぜ!金払わない飯なんて最高だぜ!さぁ、ドンドン持って……え?終わった?変なスロットと戦闘中だって?………なぁ、帰っていいか?
クソ、タイミング悪いぜ、全く。ユーベルコードを使用して攻撃。スロット怪人って事でルーレット部分にでもダガーの一撃を『2回攻撃』で打ち込んでみるか。スロットフル回転って事だが壊れりゃ回転できねーだろ。
ま、強度はあるだろうから諦めずに何回かトライしてみるぜ。
しっかし…腹減ったな…
ヒメル・ヴィーゼ
私は「お客さんたちを無事に逃がすこと(※最優先)」「他の猟兵さんたちの助けになるよう、敵を妨害すること」を狙うわ。
荒事は苦手でも、これくらいはしなきゃ…!
最初のうちに、お客さんたちがパニックにならないよう声をかけておくわ。
「皆さん、ここには猟兵たちがいるわ!だから大丈夫、落ち着いて行動して!」
ユーベルコードで召喚した子たちで、敵の足止め、行動の妨害をするわ(時間稼ぎ)
複数いるから、誰かに気を取られてるときに死角から攻撃できるかもしれないわね。
いざとなれば、猫たちや私が「かばう」わ。
最優先は、お客さんたちの無事だもの。
(アドリブや他の方との絡みOKです、人見知りなので少しどもるかもしれませんが)
回す首など何処にもありゃしないのに、イェーガーたちに大見えを切るスロットマシン。かわりレバーの腕をガチャガチャ――いや、待て、お前、どうやって皿を持っていた?
イェーガーたちの突っ込みに、戦隊怪人あるあるで返すスロットマシン怪人。
どうにも戦闘に向けて雰囲気が盛り上がらないでいたその時(ババーン)!!
開いたドアから真打登場、ダークセイヴァー世界から上手い話を聞きつけてやって来たカイム・クローバー(人間のシーフ・f08018)が現れた。
「チキンの丸焼きが腹一杯食えるって聞いてきたぜ!」
「本日の営業は終了いたしました!」
カイムの耳にスロットマシンの閉店トークは入らない。
「金払わない飯なんて最高だぜ!」
「終わったつーてんだろ! 返れ!」
腰帯に刺した刀を揺らしつつ、よっ、なんて頬っぺたを膨らましてもぐもぐしているイェーガーたちに気軽に声をかけて回る。
「胸と腹のさらしもゆったり撒いてきたし、さぁ、ドンドン持って……え?」
椅子を後ろに引いて座ろうとしたところで、やっとカイムは周りのビミョーな雰囲気に気づいた。
「終わった? 変なスロットと戦闘中だって? え、これから……あれと……なぁ、帰っていいか?」
「ふっふっふ。いいだろう。腹ペコのままお帰りしていただくのは申し訳ない。これでも食らえ!!」
突如、スロットマシン怪人の頭部スロットが回転しだした。丸焼けチキンの絵柄が 絵柄が三つそろって、口から小型チキンの丸焼きミサイルが吐き出される!
「クソ、タイミング悪いぜ、全く」
そいつぁ、食えるんだろうな。叫びながらカイムはさらしに巻いたダガーを抜きとり、スロットマシンのルーレットを突いた。
フレームに当たって火花が散り、ダガーが横に弾かれた。
だが、左端のラインの絵柄を一部切り取ることに成功。怪人の攻撃力をいくらかダウンさせた。
――その頃。店外では。
「皆さん、ここには猟兵たちがいるわ! だから大丈夫、落ち着いて行動して!」
ヒメル・ヴィーゼ(ブラックタールは草原と空の夢を見る・f04279)が逃げ出した客たちを安全な場所へ誘導していた。
「この街はこんな店ばかりじゃないから……楽しんでね。メリークリスマス」
荒事が苦手なブラックタールのお嬢さんは黒猫の姿で尻尾をフリフリ、客たちを見送った。
それから急いで店に戻り、ちらり、ドアの影から店内の様子を窺う。
チキンの丸焼きが飛び交い、壁や床に当たって爆発。イェーガーたちはなかなかスロットマシン怪人に近づけないようだ。
戦いが苦手、なんて言ってる場合じゃない。
ヒメルは顔の横で手をこまねいてニャンニャンすると、機械内蔵猫型ぬいぐるみを数体召喚した。
『カワイイの暴力に戸惑うといいわ……!』
一斉に店内に放ってスロットマシン怪人の足にじゃれつかせる。かわいいお手てから出した爪で怪人の足をガリガリ、ガリガリ。
「ぎゃーっ!! 何する、食われるのは私じゃない、オマエラだ!! 助けてマスター!!」
スロットマシン怪人の頭のランプがグルグル回りだした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オルク・オセアン
人を餌にしようとするなんて許せません!
動画撮影ドローンでこの店の実態をネットで公開して更なる被害を抑えます。
荒れた店の壁を黄色いライトが走る。
大いに取り乱し、イェーガーたちから逃げ回る怪人。
もっとチキンを出せと言いながら怪人を追いまわす腹ペコイェーガーたち。
どーにもグダグダなドタバタ劇を、撮影用ドローンを飛ばして空撮する者がいた。
バーチャルキャラクターのオルク・オセアン(電子の少年・f00431)だ。ぱっちりとした赤と青のオッド目に小さな鼻。艶やかな黒髪は一部、シャチのワンポイントアクセントである白が入っている。めっちゃかわいいけど、男の子だよ。
……と、どこからともなく聞こえて来た謎のナレーションに気づいて、スロット怪人はいきなり動きを止めた。
イェーガーたちもつられて止まる。まるでだるまさんが転んだ状態。
「――はっ!? さ、撮影されている?」
「人を餌にしようとするなんて許せません! この店の実態をネットで公開して、更なる被害が出ないように抑制します」
オルクは入り口に立って、びっと傷顔のスロットマシーンに指を突きつけた。
もちろん、この決めポーズはバッチリ撮影。しっかり配信。
「こらー! 店内は無断撮影禁止でーす!」
ドローンをチキンの丸焼きで叩き落とそうとしたスロットマシンに、視聴者からの抗議の声が浴びせられた。
「ぐあぁぁぁ!」
大成功
🔵🔵🔵
朱・瑞洪
「おいおい……まさか、顔の下にそんな物騒なもの隠してたのかよ……」
そのウェーターの豹変ぶりに呆れながら、冷静に己の武器たるガジェット『火龍神機銃砲』を構える。
先程発動したユーベルコード『武装支援要請発令』によってより武装が追加されパワーアップしている様子。
その証拠にガジェットに新しく付けられた『鎖鋸』を軽快に回転音を掻き鳴らしてる。
「さてさて、見た目は金属みたいな感じだが上手く切り刻めるかね…っと!」
そうして、ウェーターに向けて鎖鋸を振り上げる……がこれはあくまで囮でこの他に本命とも呼べる攻撃の隙を狙っていた。
その本命とはガジェットを握る手とは逆の素手の左手から放つユーベルコード『灰燼拳』だ!
怪人や他のみんなが店の入口に気を取られているいまの内に……。
瑞洪はこっそりとチキンの丸焼きでパンパンになった物資保管用ガジェットを召還した。
(「あとでゆっくり食べよう」)
代わりに戦闘用の武器を呼び出しておいてから、何食わぬ顔で咳払いを一つ落とし、怪人たちの気を引いた。
「おいおい……まさか、顔の下にそんな物騒なもの隠してたのかよ……」
いかにもたった今、ウェーターの豹変ぶり気づいた様子で首を振りながら、『火龍神機銃砲』を腰だめに構えた。
ぎょっとするスロットマシン怪人。絵柄がブレて揃わない。
近くにいたイェーガーたちは、さっと怪人から距離を取った。
「が、使う獲物はこれではないぞ。さてさて、見た目は金属みたいな感じだが、上手く切り刻めるかね――っと!」
瑞洪はウェーターに向けて鎖鋸を振り上げた。る……がこれまたおとり、フェイントだ。てっきり鎖鋸が飛んでくると思い、スロットマシン怪人が体を傾けたところに一気に距離を詰め寄る。
「活!!」
固く握った左拳が金属のボディに炸裂! ベコンと音を立ててスロットマシンの筐体がへこんだ。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ティラノサウルス怪人』
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POW : ザウルスモード
【巨大なティラノザウルス】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ティラノクロー
【鋭く長い爪】による素早い一撃を放つ。また、【装甲をパージする】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 学説バリエーション
対象の攻撃を軽減する【羽毛モード】に変身しつつ、【体から生えた鋭く尖った針のような羽毛】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:九廸じゃく
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
大破したスロットマシーンの筐体が開き、中から大量のチキンの丸焼きがあふれ出た。
モリモリモリモリ。モリモリモリモリ。
トドメなく溢れ出てくる。
ただし、小さい。チキンというよりもヒヨコの丸焼きだ。
それでもまだ一口も食べていなかった者、食べ足りない者が一斉に壊れたスロットマシーンに群がる。
――と。
ずしん、ずしんと床を揺らして、厨房の奥から巨大な影がやって来た。
フロアに頭を出すなりひと吼え。
「腹は膨れたか?! 次はオレ様のターンだ。ひとり残らず頭からボリボリ貪り食ってやる!」
ティエル・ティエリエル
「ふふーん、今日は恐竜の丸焼きがディナーだよ!」
【ライオンライド】で体長40cm程度の子供の黄金のライオンを呼び出すね♪
余ってるチキンの丸焼きが気になってるみたいだけど一緒に戦ってもらうよ。
ライオンくんに飛び乗ったら、縦横無尽に走り回りながら【SPD】でかく乱して戦うよ。
フェイントや見切りを駆使して、カウンターで相手の装甲の薄い部分をレイピア型の獣奏器でぶすりと刺すね。
ティラノクローで装甲をパージしたら逆にチャンスと攻め込むよ。
ボクとライオンくんのスピードの方が絶対絶対速いんだから!
華麗に攻撃が決まったら、薄い胸をそらしてドヤるよ!
オルク・オセアン
「あなたがマスターですね!誰一人食べさせたりはしません!」
そう言ってオルクは目を伏せ集中する。
「……私と一緒に、戦ってください!」
すると、店内に巨大なシャチが召喚され、ティラノサウルス怪人に突撃していく。
ミーファ・ミーファ
ミーちゃんは、食べるのは好きらけど、食べられるのは好きじゃないのら~。
だから、スロットマシンから出てきたチキン(小)を食べつつ攻撃するのら~。だいたい、恐竜らってチキンみたいなもんなのにー…もしかして、食べたら美味しいかな~?とりあえず味見は倒した後のお楽しみということで、頑張って戦うのら~。
チキン食い放題の戦場に、新たに現れたフードファイター(?)。
イェーガーよ、団結せよ。
チキンの丸焼き(小)を出し尽くすまで、スロットマシン(怪人)を死守するのだ!
なんか違う意味でものすごく闘志を燃やしだしたやつらの頭を、ちびの黄金ライオンに跨った妖精さんが跳び越えた。
ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)だ。
シュタッと着地を決めると、がぉ~と可愛く鳴くちびライオンの背で薄い胸を張る。
「ふふーん、今日は恐竜の丸焼きがディナーだよ!」
「ぐあっはははは! これは愉快。オマエのようなチビに何ができる?」
そうね、とティエルは可愛く小首をかしげた。
「こういうのはどう?」
後ろで食べられるチキンの丸焼き(小)をしきりに気にするちびライオンのおしりを、ぺチンと獣奏器で一打すると、店内を縦横無尽に駆け巡った。
「おおお、目が回る……なーんちゃって。そこだ!!」
ティラノサウルス怪人はとがった牙が幾つも並ぶ口を大きく開いて、椅子の下をくぐり抜けるティエルたちを椅子ごと丸のみした。
「ンン?」
巨大な口からボロボロと落ちるのは木くずばかり。美味しいお肉は一片も含まれていないことに気づいて、ティラノサウルス怪人は地団駄を踏む。
「へへーんだ♪ のろまさん、ボクはここだよ!」
脛宛ての継ぎ目部分から、レイピア型の獣奏器をずぶりと差し込んだ
「ギャァァァァス!」
ずたんばったん、脚を胸に抱えて転げまわるティラノサウルス怪人。
「くそぉ、どチビどもが!」
捨て台詞とともに涙目で立ちあがると、怪人は巨大化し始めた。
たちまち頭部が梁を持ち上げ、へし折おる。あっという間に体が天井を突き抜け、がらがらと音を立てて店は大破した。
あたり一帯、もうもうと立ち込める粉塵に、恐竜のシルエットが浮かびあがる。
ティラノサウルス怪人(大)は、ぶん、と巨大な頭を一振りすると、超有名な某恐竜流映画ヨロシク、がぉぉぉんと吼えた。
口をもぐもぐさせていたオルクは、ようやくチキンを飲み下すとドローンをスタンバイさせてポーズを決めた。
「あなたがマスターですね! 誰一人食べさせたりはしません!」
え、きみも今頃……というのはさておき。
撮られていることを十分意識しながら、オルクは怒り狂う巨大な敵の前で目蓋を伏せる。
「……私と一緒に、戦ってください!」
悪臭をともないながら、巨大な牙が美少年に迫る!
息を飲む視聴者たち! 周りに集まってきた野次馬たちも、ひっと息を飲んだ。
「ぶふぉぉぉぉ!?」
岩を砕く荒波のごとく、ティラノサウルス怪人(大)に体当たりし、でか鼻にかじりついたのは、オルクが召喚した巨大なシャチだった。
ティラノサウルス対巨大シャチ、まず……というか初の対戦ではなかろうか? いや、すでに世界のどこかで行われたことはあるかもしれないが、かなり珍しい対戦組み合わせと言っていいだろう。
もちろん、オルクが運営するチャンネルの視聴率はガン上がりだ。
はてさて、ここにもう一人。チキンを堪能しまくってなお、新たな料理の塔時用を待ち焦がれるフードファイターがいる。
ミーファだ。
「ミーちゃんは、食べるのは好きらけど、食べられるのは好きじゃないのら~」
まあ、誰だってそうだろう。
「だいたい、恐竜らってチキンみたいなもんなのにー……もしかして、食べたら美味しいかな~?」
きらりん、とオレンジの瞳を輝かせると、左手にシルバーホーク、右手にシルバーナイフを握りしめてティラノサウルス怪人(大)に突撃した。
「とりあえず味見は倒した後のお楽しみということで、頑張って戦うのら~」
よこせ、骨付き肉!
ホークで太ももを押さえ、ナイフを間接に入れて切り落とす。
「ぎゃああ! 骨付き肉はマンモスぅ! 恐竜じゃないぃぃぃぃ!」
大成功
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カイム・クローバー
スロット怪人め、出し惜しみしやがって。溜め込んだチキン…いや、ヒヨコがあるじゃねーか、もうこの際、ヒヨコの丸焼きでもいーや。腹が膨れりゃそれでオーケー。ある程度食べたら、俺も食後の運動と洒落込むか…って食うのに必死で気付かなかったけどよ、あの恐竜、デケぇな、オイ!デカけりゃ的もデカイ訳で、こっちもユーベルコードで恐竜スライス作って、試食といくぜ。狙う部位はやっぱ太腿か?体勢崩せりゃ楽に戦えそうだ。
出来るならフックワイヤー使ってよじ登ったりしてみてぇな。その図体じゃ、背中にまで手が回らねぇだろ。よじ登り出来るなら脳天にユーベルコード打ち込むぜ。じゃあな、美味しく頂いてやるから成仏してくれよ?
朱・瑞洪
「お前、ドラゴニアンのパクりかよぉ!!?!」
店に来た時から薄々わかっていたが今日の彼はかなり言動が雑い…!
「許されざるよ、その頭は」
そう言いながらまたしても何らかのガジェットを召喚する…!
今度召喚したガジェットはその……なんだ?…………アレだ!
そう!ティラノサウルスだけを殺す事に特化したアレだったのだ…!
さあ、これの使い方さえ分かれば勝利の道は近いぞ朱瑞洪!
「とりあえず、改造して使いやすくするわ」ガチャガチャガンガンキューン
ヒメル・ヴィーゼ
ふぎゃーっ!?
お、大きくなるなんてずるいわ!
このままじゃ周りにも被害が…でもあんな大きいのどうやって…。
倒すのは無理でも、私はせめて「敵の妨害」くらいはしたいわ…。
…一応ここは料理店だったわね、香辛料とか袋あるかしら?
唐辛子とか胡椒とかあったら、とにかくいっぱい袋に詰めるわ。
ライオンライドで呼び出したライオンさんと一緒に走り回って撹乱(SPD)
噛み付いてこようとしたら鼻先に思い切り投げつけるわ。
食べて辛さに悶えるも良し、破裂したのでくしゃみ止まらなくなちゃうのも良しよ!
香辛料か、それが無かったとしても走り回っての撹乱で隙を作れたら、攻撃もするわ。
頑張らないといけないもの。
…でも牙すごいこわい。
泣きながら片足跳びする怪人。ダメージを受けた分だけやや体が縮んだように感じるが、それでもまだデカイ。着地のたびに振動で地面が波打ち、瓦礫が飛びあがる。
チキンをたっぷり堪能し、身だしなみを整えていたヒメル・ヴィーゼの真横に大きな足が降ろされた。
「ふぎゃーっ!?」
ぶるぶる震えて、首に下げた鈴がシャンシャン鳴る。和風ジングルベルか。
イェーガーとしての使命を思い出したヒメルは、黒い尾をぴんと立てると辺りを見回した。
(「……一応ここは料理店だったわね、香辛料とか袋あるかしら?」)
瓦礫の中から香辛料が詰まった瓶や缶、それと手ごろな袋を掘りだした。ブラックタールの体を変形させていっぱい手を作り、袋の中に香辛料を詰め込んでいく。
「これでよし! 出てきて、ライオンさん。私を乗せてひと走りして欲しいの」
ヒメルは香辛料をパンパンに詰めた袋を担いで、呼び出した黄金ライオンの背に乗った。仮装のテーマは黒いサンタさん。悪い子へのプレゼントは――。
「食べて辛さに悶えるも良し、破裂したのでくしゃみ止まらなくなちゃうのも良しよ!」
飛び跳ねまわるティラノサウルス怪人(大)の前に回り込むと、頭を下げた瞬間を狙って
袋を投げつけた。
響くクシャミ、流れる涙、垂らされる鼻水。
香辛料で辺りが黄色く霞む中、カイム・クローバーはひとり瓦礫の中でポンコツスロットを回していた。
「スロット怪人め、出し惜しみしやがって」
足で側面をガツガツ蹴って無理やり回していると、柄が揃った。スロットの口から小さく小さくなった丸焼きが出てくる。
「お? まだ溜め込んだチキン……いや、ヒヨコがあるじゃねーか」
埃がつかないうちにチキンの足を掴んで、豪快にかじりついた。といってもヒヨコ大。ほとんど丸のみに近い。出て来た5皿をあっさり平らげてしまった。
「ふぅ……満腹とまではいかねぇが、これで勘弁してやらぁ」
ポン、と腹を叩く。
もうね、絵図らとセリフだけ拾ったらただの悪い人だよ、どこの女山賊だよって感じ。
「さて、俺も食後の運動と洒落込むか……って食うのに必死で気付かなかったけどよ、あの恐竜、デケぇな、オイ!」
デカいほうが倒しがいがある。動けば当然、腹も減ってくる?
カイムは邪魔にならないように銀髪を後ろで束ねると、ダガーを手に取った。
「よっしゃ、行くぜ!」
盛大にクシャミするティラノサウルス怪人(大)の尾から駆け上ると、背を刺し切りしながら一気に頭へ。
「じゃあな、美味しく頂いてやるから成仏してくれよ?」
額にダガーを打ち込んだ。
「お前、ドラゴニアンのパクりかよぉ!!?!」
額から角のようにダガーを生やした怪人を見て、ついつい朱・瑞洪は鼻と口を覆っていた手を降ろしてしまった。
辺りに漂う香辛料を思いっきり吸い込んで、激しく粘膜を刺激され、クシャミを飛ばす。「許されざるよ、その頭は――というか、はぁ……ハァ、ハックション!! 詰め過ぎだぞヒメル」
連続でクシャミするあまり猫化が解けかかっているブラックタールの娘はそれどころではない様子。怪人だけでなく、周りのイェーガーたちも、目をこすり、鼻を啜りしている。
「む。いま動けそうなのは俺だけか、もしかして?」
ならばやるしかあるまい。
瑞洪は新たに画期的なガジェットを召喚した。画期的過ぎて召喚者の瑞洪にも使い方が分からない。なんだ、これ?
虹色のモザイクがかかって細部が分からないそれを手に抱え持ち、破戒僧は首を傾げた。
助けて、一休さん。ポクポクポク、チーン。
「と、とりあえず、改造して使いやすくするわ!」
だが、改造している暇はなかった。
目を香辛料でつぶされ、盲目になったティラノサウルス怪人(大)が大口を開けて迫ってきていた。
「キ、キェェェェイッ」
瑞洪は画期的すぎて使い方の分からないガジェットを、ティラノサウルス怪人(大)の口へ急いで投げ込むと、横っ飛びした。
ガジェットは見事、のどチンコに命中。んがぐぐ、と奇妙な声をあげて怪人が口を閉じる。
大爆発が起こった。
体の内側からこんがり焼かれ、弾けるティラノサウルス怪人。吹き飛んだ焼き肉に程よく、空に四散する香辛料がまぶされる。
ちょっと早いけど、みんなでクリスマスチキンならぬ、クリスマストカゲを楽しみましたとさ。
めでたし、めでたし。
大成功
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