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銀河帝国攻略戦⑲~『死』を乗り越えるものは

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 猟兵たちが慌ただしく行き交う。
 銀河帝国との戦いはここまで比較的順調な推移を見せているといえるが、それでもいつ何時、何が起きるかは判らない。前線で戦う者も、裏で戦線を支える者も、皆一様に張り詰めた時を過ごしている。

「お集まり頂きありがとうございます。まずは戦況のご報告から」
 ニニア・ウェン(欠片探し・f01860)は集まった猟兵たちに軽く一礼すると、すぐに話に移る。その姿は、表情からは伺えないがどこか急いているようでもあった。
「先だって行われたガルベリオンを発見するための作戦の成功により、帝国の執政官兼科学技術総監ドクター・オロチが乗る『実験戦艦ガルベリオン』の所在が判明しました。ただし、そこに乗り込む前にオロチの率いる艦隊が立ちふさがっています。そして問題なのが、その艦隊の突撃艇群です」
 一拍置いてからニニアは話を続ける。
 曰く、その突撃艇群は戦闘機程度の大きさの、多数の突撃艇からなる敵集団であるという。
 直接的な戦闘力には乏しいのが、ドクター・オロチが開発した殺人ウイルス『オロチウイルス』を満載している。
 そしてドクター・オロチは、解放軍船へ一斉ワープさせた突撃艇を自爆させ、ウイルスで解放軍を抹殺しようという作戦を企てているという。
 ではその突撃艇群を先に破壊しろという作戦なのか、と猟兵の一人が尋ねると、ニニアは首を振って答える。
「いいえ、これらの突撃艇群は存在を隠蔽されており、探し出して全てを撃破するのはほぼ不可能でしょう。また、ワープ先を予測して待ち伏せするというのも限界があります」
 厄介だな、と呟く猟兵の言葉に、ええ、本当に、とニニアは応じる。
「そこで皆様にしていただきたいことは、このオロチウイルス自体を無力化する為の抗体を作り出すことです」
 先の作戦でエンペラーズ・マインドのコアルームに踏み込んだ猟兵によってオロチウイルスのサンプルが持ち帰られている。現在すでに、ミディア・スターゲイザーが『古代遺跡船』で抗体作成の研究が進められている。
「しかし、進捗は芳しくありません。いかに科学技術の粋を集めようとも、残された時間が少なすぎるのです。オロチウイルスはただのウイルスではなく『死』という概念そのもの。それを無力化する抗体を作るためには、『死』をも超えるような、それこそ『奇跡』とでも言わんばかりの力が必要なのです」
 ニニアは猟兵たちをじっ、とみつめる。その眼差しには、期待と幾分かの後ろめたさが込められているようだった。
「……もうやっていただくことはお判りかと思います」
 つまり、『奇跡』にも等しい力――すなわちユーベルコードを使ってオロチウイルスの解析を手伝って欲しい、と。
「……その過程で、人によっては自らウイルスを取り込まなければならない人もいるかもしれません。『死』という概念を乗り越えるのは『奇跡』の力をもってしても生半なことではないでしょう。私にできるのは案内ばかりで、ご負担をおかけしてしまいますが……」
 何卒、よろしくお願いいたしますとニニアは深く頭を下げた。


桐白
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 桐白です。初めての戦争シナリオとなります。
 今回の作戦は裏方作業です。裏から戦線を支えるというのも素敵ですよね。実質、敵の作戦を潰すので前線と言っても良いかもしれませんが。
 基本的にはオープニングにある通り、オロチウイルスをユーベルコードを使用することで解析して下さい。
 ただ、解析と言っても単純に分析する以外にも、わざとウイルスを取り込んでみてウイルスの変化を促したり、実際の影響をレポートしてみたり、人手を増やせるユーベルコードで人員の補助をして時短を図ったりと色々なアプローチが考えられるかと思われます。
 研究系のキャラクター・ユーベルコードではない、という方も発想次第で色々と試してみて下さい。
 戦争シナリオという性質上、全員採用するのは難しいかと思われますが、できるだけ頑張ってみたいとは思います。
 皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『オロチウイルスの抗体を開発せよ!』

POW   :    オロチウイルスを摂取し、未完成の抗体とユーベルコードを駆使し、全力で耐え抜く事で抗体のヒントを得ます

SPD   :    圧倒的処理速度で演算を行なったり、肉眼では確認できないウイルスの動きを見切り、その特性を導き出します

WIZ   :    集積された膨大な情報を高速処理するなど、ユーベルコードを利用して開発に貢献する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

亜儀流野・珠
オロチめ…エグい作戦を!
短い時間で成果を出さないとだな…間に合うか?
まあ考える時間が勿体無いな!手を動かそう!

人手ならたっぷりと貸せるぞ!…奥義「千珠魂」!俺たち、召喚だ!
まあ小さいが力もあるし色々とできるぞ!何より数が多い!
記録やら連絡やら、ウイルスを取り込んでの影響観察も良い。
戦闘と同じくダメージを負ったら消えてしまうだろうが…まあ気にしている場合ではないな。今この場も戦場だ!
さあ解析を急ごう!死んでる場合ではないからな!


アイ・エイド
【POW】
無謀ねェ…これぐれェ超えねェと
オレの課題はこなせねェからなァ
ちょいと荒治療で試してみるか

【膨張する毒素】は普段、
攻撃サポートに使ってる訳だが…

【毒を以て毒を制する】で
状態異常回復の毒霧を放つ!
んでその霧を集めてダガーに纏わせる

さァて、準備は整ったぜェ!
オロチウイルスを注射に入れて左腕に摂取…
抗体と周りに毒霧があるとしても…やっぱ、辛ェな
よし、次だ!
治療可能な範囲内で
毒霧ダガーで注射打った左腕を斬る!

こ、こで【膨張する毒素】を発動!
抗体の効果を倍増させる新たな毒を
作り出してやる!!

空の注射器で採血
オレが動けなきゃ、誰かに任せた
これが、ヒントになりゃ、いいんだが…


御形・菘
なんと、死という概念そのもの? 奇跡を起こして超克?
はーっはっはっは! 良い、実に良いぞ! 最高のシチュではないか!
見事に克服して、邪神としての階梯をズドンと上げてやるとしよう!

ということで【逆境アサルト】で身体を事前に強化をしておいて、ウイルスを摂取するぞ
量だとか情報分析、レポート作成など諸々は皆の衆に任せるとしよう

躊躇なぞする理由は何も無い!
これほどおいしい状況、願っていても普通まず来んぞ?
まあ怖い部分はあるが、そんなもの動画の撮れ高と比べるまでもなかろう
なんせ妾は真の邪神であるからな!


……はっはっは、苦しむ顔は我慢して見せんようにせんとな
ガチでまずい場面は編集でカットよ……! ぐう……!



「なんと、死という概念そのもの? 奇跡を起こして超克?
はーっはっはっは! 良い、実に良いぞ! 最高のシチュではないか!
見事に克服して、邪神としての階梯をズドンと上げてやるとしよう!」
 古代遺跡船の一角に大きな声がこだまする。声の主たる御形・菘(目指せビリオン・f12350)は常と変わらぬ調子で声をあげる。
 『死』をも克服したとなれば邪神としての箔も付くというもの。ならばこの千載一遇の好機を逃す手などあるものか。
「無謀ねェ…これぐれェ超えねェとオレの課題はこなせねェからなァ。
ちょいと荒治療で試してみるか」
 その横で、サンプルを見つめながら不敵に笑うアイ・エイド(腐れ人狼・f10621)も、目標のためであればこんなことは通過点に過ぎないと考えているという意味で、似た者同士であった。
 もっとも、アイのそれは菘に比べれば幾分以上に真面目なものである。そもそもが、動画の撮れ高を気にしながら恐るべきウイルスに挑む菘の方が珍しいのではあるが。
「オロチめ…エグい作戦を! 短い時間で成果を出さないとだな…間に合うか?」
 2人の解析をサポートするのは亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)だ。これもかつて助けられた命の恩を返すため。放っておけば数え切れないほどの人が死に絶えるウイルスをなんとかするのだ。
「まあ考える時間が勿体無いな!手を動かそう!俺たち、召喚だ!」
 珠が呪言と共に指を宙空に走らせて印を切れば、同じ姿をした小さな分身が数多出現する。
「これだけ数がいれば大抵のことは手伝える!連絡や記録は任せてくれ!」
 個別に指示を与えられた分身たちがあくせくと動き始める。
「じゃあ、俺達もやるぜ!」
「はーっはっはっは! では往かん!」
 その様子を見たアイと菘も各々の実験に取り掛かり始めるのだった。

2人の実験方法は奇しくも同じ方法であった。つまり、己の身体を犠牲に実験をするというものだ。
 アイはその周囲に予め自身のユーベルコードによって作り出した霧を拡散させていた。毒々しい見た目ではあるが、その力は歴とした治癒のものだ。そうしてそれを一本の短剣へと纏わりつかせる。
 準備が整えば後はやるだけだ。ウイルスの入った注射器を手に取り、躊躇う事なく左腕に突き刺し、ウイルスを注入する。
 ウイルスが入り込む先から、急速に腕の感覚が消失していく。
 自らの細胞が死んでいくという感覚は、覚悟していたとしても抗いがたい苦痛を生み出す。
「やっぱキツイな…だが!」
 苦痛に耐えながら右腕で短剣を振り上げる。
毒の効果を倍増させるユーベルコードを用いながら、急速に「死んでいく」左腕に向けて振り下ろし、切り落とす。
「これでウイルスと抗体に変化があれば…」
 調べるためにも採血を、と思った所で身体はゆらりと後ろに倒れ込む。
「おいおい、無茶しすぎだろ!後は俺がやるから!」
 分身に経過観察をさせていた珠が慌てて駆け寄る。血を採る事は分身に任せ、急いで救護の手を呼びに行く。
「これが、ヒントになりゃ、いいんだが…」
 解析は少しずつ、進んでいく。

 一方で菘の方はというと、アイ以上に過酷な実験だ。
 何せユーベルコードの補助があるとは言え、その身にそのままウイルスを取り込むつもりなのだ。
 抗えなければ待っているのは本当の『死』だ。
「躊躇なぞする理由は何も無い!」
 おいしい状況であれば全て良し。動画の撮れ高となることが大事。ついでに世界も救えればもっと良し。
 願ってもまず巡り会えぬであろう好機を邪神は見逃さない。
「いざ!」
 勢いよくウイルスを取り込む。
 取り込んだ先から、自らの身体が『死』という概念に覆われていくのを感じる。
 痛み、苦しみ、しかしその先にあるのは何も感じぬ終着点。
 その感覚に、冷汗が浮かぶ。
 しかし、敢えて自らを逆境に置くことでその身体能力を大幅に向上させる力によって、菘の身体は、細胞は、迫り来る『死』に抗っていた。
 カメラ(経過観察用)も回っている。あまりに酷い見た目を晒すわけにもいかない――。

――――。

「お前もか!身体張りすぎだろまったく!」
 アイの為に人を呼びに行って戻ってきた珠が見たのは、酷い容貌になりながらも、それでも確かに『死』を超克した邪神の姿であった。
「すぐ人を呼んでやるからな……!」
 バタバタと忙しく走り回りながら、珠はここまでで回収したデータを眺める。
 詳しいことは専門外なのでわからないが、着実に進んでいる手応えはあった。
 これならば――。
 希望を胸に、報恩の狐は次の現場へと直走る。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ナハト・ダァト
【WIZ判定】

身体を張るのも医者の務めサ
治すべき病があるならネ

武器改造、八ノ叡智
生み出した触手から限界までウイルスを取り込む

その後
世界知識、医術、情報収集
過去に治療、研究したあらゆる世界時代の毒や病を検索し
近いものを抽出

ニノ叡智によって自らの体内に抗体を産生して実験
効果が無ければすぐに次の抗体生成
2回攻撃、早業の技能を使い、素早く、正確に行う

ウイルスの痛みや症状は
激痛耐性、毒耐性、呪詛耐性
一ノ叡智を防御に振り限界まで耐える

協力できる人員が要れば、研究中の回復や支援を行ってもらう

※アドリブ歓迎



「身体を張るのも医者の務めサ。治すべき病があるならネ」
 そう語るのはナハト・ダァト(聖泥・f01760)だ。
 ブラックタールとしては異様とも言えるその身に宿した光は、かつてはそれ故にその身を害するものであった。
 だが、どのような過去があれども、彼が見据えるは未来。過去に拘泥せず、未来に邁進する彼の光は、今この場にあってはまさに希望の光であった。
 これまで学んできた数多の知識と、必要とあらばその身を使うことを辞さぬ覚悟を併せ持って、彼はウイルスの解析へと向かう。

『ALHIM TzBAVTh』
 生命の樹にも通ずる呪言を発せば、数多の触腕があたりを埋め尽くす。
 『死』への恐れなどないかの如く次々にウイルスを取り込んでいく。
 取り込んだ先から崩れ落ちていく触腕を見て、ナハトは思考を巡らせる。
 これまでの生、研究、文献、経験、あらゆるものを総動員する。
 似たものはなかったか?
 それは何時のものか?
 ――どこで。どんな。そうだ、あれは――。

 ナハトの思考が一つの解を結ぶ。
 ならば、次に為すべきことは抗体の作成だ。
 身の内を蝕む苦痛などないかの如く、黒煌の医師は次々に抗体となり得そうな組成を試し、作り上げていく。
 本来であれば、一つの抗体を実験するのにも相応の時間が掛かる。それを短時間で為し得るのはひとえにユーベルコードの力と、ナハト本人の医師としての力量だ。
 実験、そして失敗を幾度か繰り返す内に――。
「これダ」
 ふと、ウイルスの力が弱まったように感じられた。
 即座にそれを近くで協力していた研究員と共に記録する。
 既にウイルスによってかなりの体力を消耗させられてはいたが、ナハトは動きを止めることはなかった。
 生きとし生けるものの為に、まだやらねばならぬことがある。
 完治を見届けるのも、医者の務めなのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リグレース・ロディット
ウ、ウイルス?さっきの痛いあれ……んー……んー……皆がいたくなるの嫌だから僕頑張る!
【POW】UCの『血統覚醒』をした場合にウイルスがどう動くか試してみるね。うん、戦闘能力が上がるだから、体の調子が良くなってるんでしょ?たぶん。その時にどんな動きをするか僕も気になるー装備の『導きの銀』で動きとか見れないかな?
痛いの、痛いの嫌だから『激痛耐性』で我慢するね。
え、あ、寿命は……いっぱいの人がいっぱい生きていられるなら我慢するしかないよね!……んとね、終わった時……疲れてるから……えっと、抗体づくりのお手伝い終わったら甘いものたくさん食べるのー『ぷるんぷるんB』飲んでるね。

(絡み・アドリブ大歓迎)


三寸釘・スズロク
機械語のウイルスならちょいとは知見もあるんだケドなぁ。
まあ一つやってみますかね。

【次元Ωから覗く瞳】でウイルスの特性予測データ作ってみる。
…けど正直『生きてるもの』が摂取した状態のデータも加えた方が
予測の精度も速さも上がりそうなんだよな。
コワイんですけど……けど皆さんイノチ張ってるわけで、しゃーないやるか。
あ、勿論観測させてくれるお仲間サンがいたら乗っからせて貰いますケド。

『死』の概念てことは、時間操作系の魔術回路でも仕込まれてるんかね…?
遅かれ早かれ皆辿り着く所なのにな。

そういやミディアさん居るってホント?
あんまし無理しないでなって言いたいよな。
その辺に座っててくれるだけでマジ癒しですんで。



「ウ、ウイルス?さっきの痛いあれ……んー……んー……皆がいたくなるの嫌だから僕頑張る!」
 怖がりながらも覚悟を決めるのはリグレース・ロディット(夢みる虚・f03337)。
 彼は先だって行われたコアルームの破壊ミッションにも参加しており、既にオロチウイルスの強さは身をもって体感していた。
 それでもなお、顔も知らぬ数多の人の為に身体を張ろうと言うのだから、その覚悟はただならぬものだろう。それは猟兵としての使命感か、それとも「誰かを守りたい」という内なる強き願いが故か。言葉とは裏腹に、その金の瞳には強い意志が浮かんでいた。
「機械語のウイルスならちょいとは知見もあるんだケドなぁ。まあ一つやってみますかね」
 緊迫した古代遺跡船の中にあって飄々とした態度を崩さないのは三寸釘・スズロク(ギミック・f03285)だ。
 電脳魔術士であるところの彼の本業は、ウイルスはウイルスでも全く別の代物。
機械を蝕むあれと同じならイチコロだったんだけど、と本気とも冗談とも判らぬ態度を崩さない。
「コワイんですけど……けど皆さんイノチ張ってるわけで、しゃーないやるか」
 命を張る者がいれば、それを無駄にしない為に動くものも要る。
 スズロクは今回は観測者の役回りだ。様々な『己』と対峙してきた彼は、ある意味他者の状況を客観的に見ることには特段優れていると言えるかもしれない。
「じゃあ、始めようぜ。間違っても死ぬんじゃねーぞ」
 言ってスズロクは観測用の電脳魔術を展開する。この空間内で起きたことの一切を見逃さぬために。

 対するリグレットは、研究員に協力してもらい、スズロクの見守る中でオロチウイルスを投与される。
 彼が実験するのは、自らの血を呼び覚まし、戦闘能力を向上させた時にウイルスがどのような反応を見せるか、ということだ。
 投与して直ぐ様、身体が死んでいく、動かなくなっていく事を感じる。痛みには少しは慣れている。それでも『死』そのものというのは「慣れられる」ようなものではない。
 歯を食いしばって痛みに耐える。ウイルスの進行が強い部分は痛いのか、苦しいのか、死んでいるのか、もはやわからない。
 それでも、己の血が流れている事は感じる。ヴァンパイアたる血が、ウイルスをも喰らい、我が物とせんとしている。
 ――頑張れ……!負けるな……!皆のために……!
 心の内で応援する。やがて痛みは徐々に消え失せ――。

「『死』の概念てことは、時間操作系の魔術回路でも仕込まれてるんかね…?」
 観測していたスズロクは疑問を抱く。
 概念そのものの「ウイルス」等なんとも荒唐無稽な話だ。
 ならば何か仕組みがあるはず――。
 魔術的な方向に思い至ったのは、電脳とはいえ魔術士が本業であるからか。
いずれにせよ、『死』など遅かれ早かれ皆辿り着く所。わざわざこんなものを作ってまで実現するものなのか、と彼は思う。
何時になく真面目な顔をしていたが、それは視界の端に映った1人の人物によってかき消される。
「今のはミディアさん? こうしちゃいられねえ、すぐに片付けるぜ」
 言うが早いが、電脳魔術を駆使して驚くべき早さで観測データを処理していく。
 僅かな後、リグレットが身体を張ったデータは正確に纏められて研究員に渡された。
 ――その後、スズロクがミディアに会えたかどうかは本人のみぞしるところだが――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ラスベルト・ロスローリエン
星辰の彼方で死を解読する機会が訪れるとは驚きだが、一つ究明に取り組んでみよう。
『何しろ奇跡を起こすのは魔法使いの本分だ』

◇WIZ 自由描写歓迎◇
偉大なる星界の科学とは異なる神秘の側面から死病の正体に迫ってみる。
“永久の白緑”から生じさせた《古森の手枷》で死の根源を封じ、内包する秘密を紐解く。
『邪なる病魔よ。その忌まわしき螺旋に刻まれし呪詛を顕わせ』
封魔の枝は僕の命の一滴を滋養とするが故に、死病の中核を探るにはお誂え向きだろう。
森の民には永い時があるのでね。
この病が蝕まんとする命の大河と取引すると思えば安いものさ。
“浮酔草”を燻らせながら【世界知識】も存分に駆使して全容を暴いてやろうじゃないか。



「星辰の彼方で死を解読する機会が訪れるとは驚きだが、一つ究明に取り組んでみよう」
 ラスベルト・ロスローリエン(灰の魔法使い・f02822)は緑の瞳で試験管に入ったサンプルを見据えながらそう呟く。
 森から出でて、今はこの空へと至った叡智の探求者は、長命で培った己が知識を武器として、『死』に挑まんとしていた。
 奇跡を起こすことこそ魔法使いの本分であると嘯く彼の瞳には、迫り来る脅威への覚悟と共に、好奇の色が浮かんでいた。

 先にも言ったように、彼の本分は魔法である。
 このスペースシップワールドの世界とはある種対極に位置する神秘の力を持ってして、彼は『死』の正体を探っていく。
『邪なる病魔よ。その忌まわしき螺旋に刻まれし呪詛を顕わせ』
 腕に絡みついた若木より、ウイルスのサンプルに向かってか細い枝が伸びていく。
 サンプルの満ちた液体に触れた枝が一瞬、その動きを止めたのを見て、彼は興味深そうな顔をする。
「封魔の枝すら蝕むのか。だが――」
 溶液に沈み、静かにウイルスを取り込んでいくその枝は、発動している間、ラスベルトの命を徐々に蝕んでいく。
 枝自体はユーベルコードであり、ラスベルト自身にウイルスの影響は直接及ぶことはないが、それでも『命』を糧に『死』を読み取ろうとしている事に違いはない。
 だが、彼は長命種。その命の流れは、常人のそれとは比べるべくもない。
 大河より僅か数滴漏れたくらいで誰が気にするだろうか?
 ウイルスを相手に奮闘する枝を横目に、椅子に腰を落ち着け、パイプを取り出して火を燻らせる。
 まるで何事もないかのように寛ぐ彼の姿は異質ではあったが、その目は真剣そのものであった。
 片手にペンを取り、判明した事実に筆を走らせていく。
 
――貴重な魔術的データが完成したのは、それから暫く経ってからであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

須藤・莉亜
「えーっと、下手に触ったらダメってことで良いのかな?」
なら一回ウイルスの活動を止めてみようかな。

時喰らいを使ってウイルスの時間を止める。
止まってる間に顕微鏡かなんかで拡大したウイルスの画像を撮ってみる。

2秒ちょいあれば画像くらいは取れないかなぁ。

撮った画像は研究系の他の人に渡そう。僕難しいことわかんないしね。

「なんかわかれば良いけどねぇ。」
さて、僕は戦場に行こっと。



「えーっと、下手に触ったらダメってことで良いのかな?」
溶液に入った、目に見えないウイルスを見つめながら須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)は考える。
触ってはいけないのならば、どうすれば良いか。
まさかウイルスと直接戦ってどうにかするわけにもいかない。
ならば――。
「一回動きを止めてみようかな」
 言うが早いが、呪言と共に指を鳴らして時を止める。
 止められる時間は極わずかではあるが……その一瞬の間に指を突っ込んでみる。
「うん、大丈夫そうだ」
 確かにウイルスに触れたが、自分の身体に特段影響はなさそうだ。
 それなら、とウイルスをも撮影できる機材を近くにいる研究員に頼んで持ってきてもらう。
 やがて現れたどう見てもカメラにしか見えないそれは、スペースシップワールドの技術の粋の一つであるようだった。
 そうして始まる2.5秒間の撮影会。
 時間を止めていられるのはごく短時間。少しタイミングを誤れば自身にウイルスが感染しかねない状況下で、莉亜はぼんやりとした表情を崩さず、それでも迅速に己の仕事をこなしていた。
 そうして撮られた写真は、しかし本人には何の役に立つかはさっぱり判らず。
「ねえねえ、これ」
 と、近くの研究員を捕まえて資料だと言って手渡す。
「なんかわかれば良いけどねぇ」
 どこか他人事のように呟く彼の目は、既に次の戦場に向いていた。
 銀河帝国との戦争はまだ半ば。楽しい戦いがまだまだ待っているはずだ、と。

成功 🔵​🔵​🔴​

デナイル・ヒステリカル
僕には死を乗り越えるような真似は不可能です。
終わったものが再び立ち上がり、動き出す。それはオブリビオンの在り方に他ならないと考えています。

しかし、だからと言って手をこまねいて見ているだけでは、オロチウイルスによって骸の海へと連れていかれてしまいます。
いま僕に出来ることを、全力で取り組みましょう。

UC:レギオンを召喚しますが、兵器として使用するのではありません
その電子回路を計算機として流用出来るよう、ハッキングによって仕様を変更しましょう

また、古代遺跡船自体のシステムへもアクセスし、使える機能が無いかを情報収集しようと思います。
解析や分析、仮説の計算に必要な時間を短縮できれば、助けになる筈です。


富波・壱子
時間が無いんだね!オッケー!どれだけ役に立てるか分からないけど、私も手伝うよ!

首のチョーカーに触れて人格を戦闘用に交代しワクチン開発に参加します

医学の知識は私も多少は持ち合わせていますが、その程度ではこの場では不十分でしょう。よって別のアプローチで助力しましょう
私は時間を稼ぎます

ユーベルコードによって他の方が行った研究、実験の結果そのものを片っ端から予知しレポートにまとめていきます
実験の過程に要する時間を短縮することが出来ればそれだけ多くのトライアンドエラーが可能となるでしょう

オロチウイルスの威力は私も身をもって体験しました
あれを広く蔓延させるわけにはいきません。全力を尽くします



「僕には死を乗り越えるような真似は不可能です。
終わったものが再び立ち上がり、動き出す。それはオブリビオンの在り方に他ならないと考えています」
 デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)は、『奇跡』たるユーベルコードを振るえる猟兵とは思えぬほどに道理的だ。
 『死』とは必ず来るものであり、終わりでなければならないというのは、ある種彼が「物事をあるがままに受け入れる」存在であるが故の思考かもしれない。
 とはいえ、彼とてそのまま『死』を座して受け入れるつもりはない。
 まだ、骸の海に連れて行かれる時ではないのだ。
「いま僕に出来ることを、全力で取り組みましょう」
「オッケー!どれだけ役に立てるか分からないけど、私も手伝うよ!」
 デナイルの言葉に応えるのは富波・壱子(夢見る未如孵・f01342)だ。
 多重人格者であるところの彼女は、別人格が先の作戦で、オロチウイルスの威力を、身をもって体験している。
 あれを蔓延させるわけにはいかない、と闘志を燃やす。
「それじゃあ、頑張るよ!」
 と、首につけたチョーカーに触れれば、その雰囲気が一変する。
 どこか兵士を思わせるような冷たい空気を帯びたそれが、壱子の戦闘用のもう一つの人格であった。

2人がいるのは、古代遺跡船の一角、データを管理する演算機の前だ。
幾人もの猟兵達の命を賭した実験により、数多くの研究データが得られていた。
しかし、幾つものデータを処理、解析し、誰が見てもわかるものとする人手が足りていなかった。
本来であれば、スペースシップワールドの科学者たちがデータの整理に手を焼くことはないだろう。
しかし、今は非常事態で、現場はあまりにも慌ただしかった。慣れ親しんだ科学者も、宇宙に初めてくる猟兵も、あらゆる人が入り混じって様々な実験を行った結果、とても整理されているとは言い難い状況にあった。
だから2人はデータの解析・整理に尽力することとしたのだ。

『さぁ、状況開始だ』
 デナイルが小型のレギオンを呼び出す。
 本来は戦闘用ではあるが、今回は別の用途で用いる。
 呼び出したレギオンを並べると、デナイルは宙空に電脳魔術の魔法陣を奔らせる。
 電子の魔力によってレギオンの仕様が書き換えられ、それぞれが繋がれていく。
 数瞬後には、それらはひとつなぎの高性能な演算機と化していた。
「これでデータの解析にかかる時間も短くなるはずだ……」
「では、私はそこに流し込む為のレポートを作成しましょう」
 と、壱子がデータ管理用のモニターに目を通せば、そこにはまだ整理されていない実験結果が山となっていた。
 いくら良質な実験データが得られようと、活用できる形になっていなければ何の意味もなさない。
 しかし、壱子の能力は既存のデータの整理だけに及ぶものではない。
「そろそろあちらからサンプルRのデータが来るはずです。結果は――」
 まるで実験結果を知っているかのように、データの整理を手伝う研究員に指示を出していく。
 次に、何時、何が来るかが判っていれば、処理すべきデータの優先度がつけやすくなる。
 それによって、壱子が関わった範囲のデータの閲覧性・検索性は大幅に向上することとなる――。


 ――猟兵達の『奇跡』の力、そして各々が示した命を賭すような覚悟や、火急にあって取り乱さぬ冷静さ、そして自らの力をしっかりと知り、為すべきことを為した判断により、迫りくる『死』を乗り越える準備は着実に進みつつあった――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月16日


挿絵イラスト