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殲神封神大戦⑲〜黄天に終焉を

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑲ #大賢良師『張角』

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#大賢良師『張角』


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●黄天、まさに立つべし
 仙界の広大な草原『太平道』に姿を現したのは、ついにその姿を現したオブリビオン・フォーミュラ、大賢良師『張角』であった。
 草原を埋め尽くさんばかりに黄色の布がはためく様は、張角が陣を敷いているのだと知れる。配下である『黄巾オブリビオン』の軍勢は数十万にも見える大軍勢、その頂点に立つ張角が声を上げる。
「邪魔をするな、猟兵よ。カタストロフこそが、平和に至る唯一の道なのだ!」
 黄巾の兵達が張角の声に奮起する、猟兵恐るるに足らず、と。

●グリモアベースにて
「連日の戦争お疲れさまなんよ! いよいよほんまの最終局面やで」
 ふん! と拳を作った八重垣・菊花(翡翠菊・f24068)が集まった猟兵達に笑みを向けて語りだす。
「敵はオブリビオン・フォーミュラ大賢良師『張角』、太平道で大軍を構えて皆を待ち受けとるんやって」
 この大軍って言うんがな、ほんまにようけおるんやけど、と菊花が唇を尖らせる。
「その数、およそ数十万、せやけどそんなに強いオブリビオンではないみたい」
 けれど、弱いと言っても数十万もの兵を相手取るのは骨が折れるだろう。張角はこの軍勢を指揮するべく最奥に位置取っているようで、正しくラスボスといったところ。
「言うてもな、全部の兵を倒さなあかん訳でもあらへんよって、最短コースを狙うんもええと思うんよ」
 勿論、最短コースを行くのであれば予想される妨害や、兵達からの攻撃に備える必要があるだろう。全部ぶちのめす勢いで行くのだって大歓迎だ。
「あ、それとな」
 大事な事言うん忘れるとこやった、と菊花が猟兵達にもう一つと情報を伝える。
「張角には先を制する力はないよって、そこが今までの有力敵よりは少し違う点なんよ」
 つまりは、先制攻撃をしてこないということ。その代わりとして、この大軍がいるのかもしれないが、猟兵達のやりよう次第では先手を取って全力で叩き潰すことも可能ということだ。
「それでも、相手はオブリビオン・フォーミュラやよって油断は禁物やよ」
 先手を取れずとも、使う能力が強い事には変わりない。
「あとは皆にお任せやけど、これが封神武侠界のカタストロフを止める最後の一手やからな」
 どうか、張角を倒して来てほしいと言葉を締め括って、菊花が柏手をひとつ。それから、手に中に現れたグリモアに触れた。
「ほな、あんじょうよろしゅうにな!」
 気を付けていくんよ、と菊花が猟兵達を見送った。


波多蜜花
 閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
 最終戦です、どうぞ最後までよろしくお願いします。
 これ無双ですね、無双! 真面目から不真面目まで幅広く歓迎しております、プレイング次第ではシリアスしたりコメディしたりします。

●プレイングボーナス
 黄巾オブリビオンの大軍勢を蹴散らし、張角と戦う(先制攻撃はありません)。

●プレイング受付期間について
 公開されてからすぐの受付となります。早めに書き上げるつもりですので成功🔵が👑の数に達するまでの受付ですが、プレイングが送れる間は送ってくださって大丈夫です。
 できるだけ戦争期間内で完結させたいと思いますので全採用できるかはわかりません。頑張りたいとは思いますが、その点だけご了承くださいませ。

●同行者について
 同行者は【二人】まで。
 プレイングの失効日を統一してください、失効日が同じであれば送信時刻は問いません。朝8:31~翌朝8:29迄は失効日が同じになります。
 未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反するプレイングなどは一律不採用となりますのでご理解よろしくお願いいたします。

 それでは、皆様の無双なプレイングだったり、抜け道模索なプレイングだったりをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『大賢良師『張角』』

POW   :    戦術宝貝「黄巾力士」
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【巨人兵士型宝貝「黄巾力士」】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD   :    黄巾三巨頭
戦闘用の、自身と同じ強さの【妖術を操る地公将軍『張宝』】と【武芸に長けた人公将軍『張梁』】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ   :    黄巾之檄
【「蒼天已死 黄天當立」の檄文】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:藍

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

灰神楽・綾
【不死蝶】◎
これまでの敵さんはクセモノばっかりだったけど
ラストは実にシンプルだね
小難しいこと考えずにひたすら斬り倒せばいいだけ
こういうの俺大好き

しかも張角は俺達より先に動けないだなんて
やっぱりおじいちゃんだからかなぁ

両手にDuoを構えUC発動
敵の群れに突っ込み、Duoを大きく振り回してざくざく斬り刻む
攻撃されても敢えて防御や回避はせずに
激痛耐性で凌いで即カウンターでやり返す
傷を負えば負うほど、俺の一撃は強烈になっていく

梓のドラゴン達が道を作ってくれたら
紅い蝶を盾にしつつ飛翔能力で一気に張角へと接近
武器をEmperorに持ち替え、力溜めた渾身の一撃をぶつける
おじいちゃん、もうおやすみの時間ですよ


乱獅子・梓
【不死蝶】◎
まぁー、俺達の場合、そのクセモノ達の相手よりも
桃源郷でのんびりしていた記憶の方が多いんだが…

始皇帝もそんな感じだったしな
やはりオブリビオンいえども歳には勝てないのだろう(適当

流石に数十万は無理だが、こちらも数で挑むぞ!
UC発動し、水と雷属性のドラゴン達を召喚
数の差を埋める為、攻撃回数重視
水のドラゴン達がブレス攻撃を浴びせたあと
雷のドラゴン達のブレス攻撃で追撃
ずぶ濡れからの雷撃という凶悪なコンボで
広範囲に効率良くマヒと大ダメージを与えていく

更に、体当たり、頭突き、尻尾による薙ぎ払いなどの物理攻撃をしつつ
綾が張角のもとへ向かう為の道を開けてやる
ご老体の相手は任せたぞ!



●終わりよければ
 見渡す限りの草原、空を見れば青い空が何処までも広がっている。
「ピクニック日和って感じだよね」
「目の前に黄色い軍勢がいなけりゃな」
 大軍を前にしても怯むことなく軽口を叩くのは灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)と乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)で、どこから攻めようかなぁ、なんて綾が楽しそうに夥しいまでの黄色の群れを眺める。
「でもさ、これまでの敵さんはクセモノばっかりだったけど、ラストは実にシンプルだね」
 小難しいことは考えずに、ひたすら斬り倒せばいいだけだと、綾が笑う。この軍勢を前にしてそう言い切るのは何とも彼らしい。
「まぁー、俺達の場合、そのクセモノ達の相手よりも桃源郷でのんびりしていた記憶の方が多いんだが……」
 いいよねぇ、桃源郷! 戦争が終わったら、今度はもっとのんびり楽しみたいよねと綾がしみじみと言う。
「そうだな、終わったら慰安を兼ねてどこかに遊びに……まぁそんな相談はこれを片付けてからだな」
 どこから湧いたのかと言いたくなるほどいるな、と黄巾オブリビオンに向かって梓が目を細めた。
「それもそうだね、終わったら相談だよ梓。たっくさんざくざくするぞー、こういうの俺大好き」
 手にした一対の大鎌を肩に乗せつつ、綾がどれだけ倒せるかなとわくわくを隠せない顔でシミュレーションしている。
「張角まで一直線でいいんじゃないか?」
「それが手っ取り早いかな? 張角は俺達より先に動けないみたいだし」
 やっぱりおじいちゃんだからかなぁ? なんて、綾が梓に向かって首を傾げて問い掛けた。
「そういや始皇帝もそんな感じだったしな。やはりオブリビオンといえども寄る年波には勝てないんだろう」
 すごい適当言ったけど、綾はそんなもんなのかな、と大鎌をくるくる回している。
 あっこいつ飽きてきてるな、早く戦場に飛び込ませるかと梓が小さく咳払いをしてドラゴン達を喚び出す。
「綾、先に行くのとドラゴン達の後を行くのと、どっちがいい」
「先に行く~、梓の召喚したドラゴンの後なんて、敵が残ってなさそうだし」
 くるんと回していた大鎌をぴたりと止めて、両手に構える。
「じゃ、お先にね」
「おー、気を付けろよ」
 ちょっとそこまで行くような気軽さで綾が言うと、車に気を付けろよ、みたいなテンションで梓が返す。
 それに満足したように、綾が軽く駆け出した。
「おいで」
 そう呼び掛ければ、紅い蝶の群れが綾の身をひらひらと舞い踊る。
「目指せ、一万コンボってね」
 駆ける速度を上げ、振るうのは手にした大鎌。大きく振り回したそれで、遠慮なく黄巾オブリビオンを斬り刻む。黄色の中に、紅い軌跡を描いて進む綾に梓が笑う。
 数は多いが固体自体は然程強くはない黄巾の攻撃は、綾からすれば避けるのも難しいことではない。けれど、敢えて防御や回避といった手段を取らず、即時のカウンターによって黄巾の群れを薙ぎ払う。
「これっくらいなら余裕かな」
 痛みへの耐性は人一倍なのだ、それに紅い蝶の力によって綾自身が傷を負えば負うほど放つ一撃は威力を増していくのだから。
「この調子なら、二万コンボも夢じゃないね」
「ほんっと、生き生きしてんな」
 本人が楽しそうなのは何よりだけれど、倒したそばから群がる黄巾は少しばかり厄介だ。
「流石に数十万は無理だが、こちらも数で挑むとするか」
 喚び出したドラゴンの群れはいつしか百を超えていて、水と雷の属性を持つドラゴンが今か今かと梓の命を待っている。
「よし、綾も充分暴れただろう。行け、お前達!」
 号令と共にドラゴン達が綾の元へと飛んでいく。
「あ、梓のドラゴン達」
 綾が視認し、ブレスの邪魔にならぬ位置取りをしたところで水の属性を持つドラゴン達が一斉にブレス攻撃を放つ。続いて、雷の属性を持つドラゴン達が追撃を駆けるようにブレスを吐いた。
「うっわぁ、梓もやることえぐいね」
 アクアブレスでずぶ濡れになった黄巾達が、今度はサンダーブレスで感電していくのだ。
 広範囲に効率よく放たれるマヒと多大なるダメージを受け、まるで一本の道のようにバタバタと倒れていく。
「綾、行け! ご老体の相手は任せたぞ!」
「了解」
 梓の声を背に受け、綾が紅い蝶を盾にしながら飛翔するとそのまま一気に張角へと向かう!
 その間にもドラゴン達は綾の為に道を開ける為、ブレスを吐きながら体当たりや頭突き、尻尾での薙ぎ払いで黄巾の群れを吹き飛ばす。
「居た、あれだね」
 武器を大鎌からハルバードに持ち帰ると、張角に向けて急降下を決める。
「おじいちゃん、もうおやすみの時間ですよ」
 そう笑って、綾が渾身の一撃をぶちかました。
「邪魔をするな、猟兵よ」
 張角が宝貝の力を用いて無機物との合体を果たし、身の丈三メートル以上のロボの姿で綾へ反撃の鉄槌を落そうと拳を振り上げる。
「遅いよ、おじいちゃん」
 マッハの速度で飛翔する綾からすれば、避けるのは難しくない。
「あはは、ロボとドラゴンの対決も面白そうだね」
 ね、梓? と綾が楽しそうにハルバードを構えながら、笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第四『不動なる者』盾&まとめ役武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:黒曜山(刀形態)

(どうして四悪霊の前に集団おいちゃったんですか、とヘロヘロ文字で書かれた看板もってる陰海月)

陰海月。大人しく影に戻るがよかろう
まあ、UC発動して被弾しつつジグザグ進軍するから、気持ちはわかるが

うむ、この状態だと強化にしかならんのよなぁ…
傷は再構築で塞ぐ、生命力吸収で活力は戻る
ジグザグ進軍なのは、少しでも強化を得るためよ

進むときには邪魔であるから、黒曜山で斬りはらっていこう。
張角にはそれに加えて、槍形態に変型させての刺突をも

陰海月や霹靂と過ごす、はじめてのお正月潰されたからな?



●気晴らし無双
 黄巾の大軍勢を前にして、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の影からぴょこりと出てきた陰海月が、その口腕で支え持つのはへろへろな文字がデカデカと書かれた看板。
 そこには、『どうして四悪霊の前に集団おいちゃったんですか』という、陰海月の素朴で可愛い疑問が見える。
「陰海月。大人しく影に戻るがよかろう」
 看板を持ち、黄巾オブリビオンや張角にアピールする陰海月に向かい、そう声を掛けたのは四人の中の一人たる不動なる者。手にしているのは刀の形態を取った黒曜山だ。
 でも、と言うように看板をふりふりし、ぷきゅぷきゅ鳴く陰海月に義透がわからぬでもないが、と黄色で埋め尽くされた戦地を見遣る。
「まあ、ユーベルコードを発動して被弾しつつジグザグ進軍するから、気持ちはわかるが……」
『無双ってやつでは?』
 持っていた看板をくるりと裏返し、陰海月が今度は義透に問うた。
「うむ、この状態だと強化にしかならんのよなぁ……」
 義透が今から行うのは防御などを一切捨てた、常人から見れば捨て身の行軍。
 しかし、四悪霊たる義透からすれば、傷は再構築で塞ぎ敵から受けた攻撃で生命力を吸収するから、元気溌剌ってなものである。更には自身の戦闘能力の強化も伴うので――。
『進軍すればするほど強くなっちゃう……ってコト!?』
 陰海月が看板の紙をぺろっと捲り、義透にぷきゅぷきゅ物申す。
「うむ……ジグザグ進軍なのは少しでも強化を得るためよ」
 そうすれば、張角の元に届くころには――。
「一撃必殺も可能というものだろう」
 さ、もう戻れという言葉によって、陰海月が看板ごと影へと戻っていく。
「では……行くとするか」
 先程言った通りに、義透が力を発動しながら黄巾の群れへと飛び込んだ。
 四悪霊の呪詛を纏った身体は再構築を繰り返しながら、ジグザグを描いて前へ前へと進んで行く。勿論、前へ進む際に敵は邪魔であるからして、まるで伸びた雑草でも刈り取るかのように黒曜山で斬りはらっていくのだ。
 これを無双と言わずして、何を言うのかと影の中から覗いている陰海月は思う。
「あれが張角か」
 この戦争を引き起こした張本人、その罪は償ってもらうぞと義透が黒曜山を槍の形態に変形させ、突進する!
 張角に至るまでに受けた傷は数えるのも馬鹿らしく成程、それだけ受けた傷は全て義透の力となって張角を貫いた。
「気晴らしにもならんな」
 そう義透が呟いたのを、陰海月が聞きとめて。
 もしかして、自分と霹靂と過ごす初めてのお正月潰されたからな? なんて、考える。
 帰ったら、お餅を焼いてもらおうと陰海月が影の中でぷきゅ、と鳴いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネフラ・ノーヴァ
共闘、アドリブOK。

黄色か、あまり好きな色ではないな。だから染め上げよう、鮮やかなる赤に。
UCで鉄馬車と霊達を召喚、突撃させ敵兵を血祭りに上げて行こう。自らも返り血で染まりながら。
上々に切り崩せたならば赤く染まった敵の旗を掲げてこちらの優勢を示して見せようか。
さあ張角、血の花を咲かせるがいい。



●赤々と
 目の前に広がる空の青、それから地に埋め尽くされた黄巾の黄色に、ネフラ・ノーヴァ(羊脂玉のクリスタリアン・f04313)が血棘の刺剣を手にして呟く。
「黄色か」
 思い浮かぶのは向日葵、狂おしいほどの夏の太陽。
 黄色、黄色か、と口にしてネフラが唇の端を軽く持ち上げる。
「あまり好きな色ではないな」
 嫌いだという訳でもないけれど、目の前にこれだけの黄色があれば嫌にもなるというものだ。
「だから染め上げよう」
 鮮やかなる赤に、とワインを口に含んだような甘さで誰にともなく囁いて、力を発動させる。
 現れたるは刺剣と血塗れの舞踏服で武装した、無数の貴族の男女――と言っても幽霊だが、を乗せた鉄馬車。
「さ、往くがいい。あそこが貴殿達の舞台だ」
 倒れるまで踊り尽くすがいいと言の葉にのせれば、ネフラの足元から血の絨毯が伸びて鉄馬車の車輪が音もなく回りだす。
「血祭りに上げておいで」
 ヒヒン、と真っ黒な馬が嘶いて、黄巾の軍勢へと突撃していく。
「ああ、綺麗な赤だ」
 血の絨毯がまたひとつ鮮血の色に染まる、と軽やかな足取りでネフラが歩く。
 悠々と歩く彼女に向かって黄巾オブリビオンが襲い掛かっても、ネフラの足取りが止まることはない。返り血で白いワンピースを紅く染めながら、煌びやかな舞踏服で踊りオブリビオンを血祭りに上げていく幽霊たちの間を真っ直ぐに進んで行く。
「ふふ、戦果は上々」
 敵陣を上手く切り崩し、赤く染まった黄巾の旗をネフラが高々と掲げる。それはこちらの優勢を張角に伝えるかのようで、軍にも乱れが生じていくのが見えた。
「大軍といえど、脆い物だな」
 蟻の巣を思わせる、と笑ってネフラが貴族達を引き連れて行軍する。
 目と鼻の先、張角の姿を視認してネフラが鮮やかな赤に染まったワンピースを翻し、駆けた。
「さあ張角、血の花咲かせるがいい――!」
 貴様の首級をもってして、猟兵の勝利を知らしめよう。
 ネフラが真っ直ぐに駆け、刺剣の先を張角へと突き刺した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
心情)自分はあンま強くねェから、大群率いたり自分よか強い奴引き込んだりする。いやァ親近感わくねェ。マ・俺の場合は使役してンじゃなく、あいつらが暇つぶし兼趣味で手伝ってくれてるだけなンだが…俺がいっとう弱ェからな。
行動)大群には大群だ。こっちは少少小さいがな。天馬ども、おいで。ちいさなお友達らを引き連れて。ああ、一頭は俺を乗せておくれよ…。イナゴども、ご覧よ食い放題だぜ。鎧の革も、武器の木も。なにより本体たるヒトも…みィんなおいしいゴハンだろ? 食い尽くせ。今日この日、この地は荒野となるぞ。



●呑みこみ喰い尽くす死の群れ
 軍馬程の大きさをした子猫の背に腰掛けて、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)がほォん、と煙管を片手に張角率いる黄巾の大軍を眺める。
「自分はあンま強くねェから、大軍率いたり自分よか強い奴を引き込んだりする」
 定石ってやつさ、と逢真が笑って毒の煙をぷかりと吐く。
 逢真もまた、神としての権能は持てど諸事情によりその身は驚くほど虚弱だ。
 よく仲の良い者にお爺ちゃんだのなんだの言われるが、正直お爺ちゃんより体力はない。
「階段上れンしな」
 足を引っかけて顔面からいく、間違いない。だから、彼は移動のほとんどを眷属に頼るか、空間を裂いて三歩で足りるような風に済ますのだ。
「いやァ、張角だっけェ? 親近感わくねェ」
 張角は虚弱ではないだろうが、大軍を率いるという点では似ている。
「マ、俺の場合は使役してンじゃなく、あいつらが暇つぶし兼趣味で手伝ってくれてるだけなンだがね」
 よく間違われることだが、眷属ではあるが使役しているわけではない。
 彼岸は退屈なので、此岸に顔を出すチャンスがあれば我先にと来たがるものの多いこと。
「お陰で助かってンよ、何せ俺がいっとう弱ェからな」
 単純な力比べなら、最弱も最弱だと逢真は笑う。
「さて、最後に一仕事するとしようか」
 大群には大群をぶつけるんだよ、戦争は数。
「ひ、ひ。こっちは少々小さいがな」
 天馬ども、おいで。
 囁くような小さな呼びかけに、彼岸より此岸へ眷属が現れる。
「小さなお友達らを引き連れて、おいで」
 病み飢えたイナゴの群れを率いた天馬、その数は優に百を超すだろう。
「ああ、一頭は俺を乗せておくれよ」
 子猫から降りてその背をぽんと叩けば黒猫は影へと消える。跪き、その背を差し出した天馬に乗って、逢真が空を翔ける。
「さァさ、ご覧よイナゴども」
 眼下に見えるは黄巾オブリビオンの群れ、群れ、群れ。
「食い放題だぜ?」
 ぶぅん、とイナゴが羽音を鳴らす、それは死の音にも似て。
「革の鎧も、武器の木も、何より本体たるヒトも……」
 みィんな、みィんなおいしいゴハンだと囁けば一層羽音が戦場へと響き渡る。
「喰い尽くせ」
 その声を合図に、天馬がイナゴを引き連れて黄巾の軍へと押し寄せる。
 黒い海が、黄色を蹂躙し塗り替えて――否、塗り潰していく。
「今日この日、この地は荒野となるぞ」
 草の一本も残さない、イナゴとはそういうものだ。
 天馬の背の上、この世界に戦乱を齎した張角に向けて、逢真が笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
蒼天已死でっすかー?
いえいえいえいえ!
青空はここにあるのでっす!
藍ちゃんくんが歌うのでっす!

というわけで!
歌うのでっす!
歌いながら花道を進み、ステージインしちゃうのでっす!
なにせ黄巾の皆様は張角のおじさまの檄文を聞こうと耳を澄ませているはず!
藍ちゃんくんの大きな声でありながらも澄み渡る歌もいっそう聴こえちゃうかと!
そのままこちらの歌で感動・誘惑しちゃうのでっす!
おじさまもカリスマ抜群のようでっすがー。
大きな声を出し続ける・自然と耳にお届けする技術は、こちらのほうがプロなのでっすよー?
楽器演奏とパフォーマンスも携えて蒼天黄天歌合戦、制させてもらうのでっす!



●青空の下で
「藍ちゃんくんでっすよー!」
 黄巾たなびく大軍を前にして、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)が高らかに叫ぶ。
「蒼天已死でっすかー?」
 嘗て張角が蜂起する際に打ち立てた言葉、漢王朝は死んだという意味のそれ。実際は、三皇は既に死に絶えているという渾沌氏より伝えられた言葉であるけれど。
「いえ、いえいえいえ!」
 否! と強く藍が叫ぶ。
 世は乱れていたとしても、それを何とかしようと思う者がいる。今を生きる人々がいる。
「過去の出番などないのでっすよー! 青空はここにあるのでっす!」
 そう、黄色にも青にも染まらぬ、染まるならばたった一つの色だと決めた藍が恐れることなく笑顔を浮かべて前へと進む。たった一つ、歌の力を携えて。
「藍ちゃんくんが歌うのでっす!」
 彼が手にするのは剣でも槍でもなく、その歌声を響かせるためのマイク。
「なにせなにせー、黄巾の皆様は張角のおじさまの檄文を聞こうと耳を澄ませているはずでっすのでー!」
 空を飛ぶ鳥の声が聞こえる程、言の葉すら最小限。
「と言うことは、なのでっす! 藍ちゃんくんの歌声も、どこまでも聴こえちゃうかと!」
 何せ藍はアイドルゆえ、その大きな声と澄み渡るような歌声は野外ライブでも揺らがぬという、努力と天性のそれ。
 そのまま、この歌声で彼らの心を揺り動かし、誘惑しようという寸法だ。
「歌は万里を翔けるのでっす!」
 歌よ轟け、戦場の空気を己がものにせんと藍が高らかに声を張り上げる。
「藍ちゃんくんでっすよー! 天を覆う闇も障害も吹き飛ばして! 青空に藍ちゃんくんの歌を響かせるのでっす!」
 青空の如く済んだ歌声は半径およそ百メートル以上にも響き渡り、黄巾オブリビオンの耳に届く。
 心無きものにすら感情を呼び起こす、藍の魂の歌声が彼らの感情を揺さぶり動かす。
『うぉぉーーーーー! 藍ちゃんくーーーーーん!!』
 簡単に言えば、ライブ会場で熱狂するファンと化したのである!
 ファンサして☆ と書かれたうちわを振るもの、ただ涙を流して歌に聞き入る者、尊いと呟き続ける者……無血開城が如く、藍が張角を目指し真っ直ぐに花道を進む。
 時に楽器を掻き鳴らし、ファンサービスを兼ねたパフォーマンスを魅せ、黄巾オブリビオンの心をがっちりと掴まえてて離さない。
「ふっふっふー、大きな声を出し続ける、自然と耳にお届けする技術は、こちらのほうがプロなのでっすよー?」
 張角を前にして、藍がえっへんと胸を張る。
「蒼天黄天歌合戦、この藍ちゃんくんが制させてもらうのでっす!」
 高らかに、勝利の歌声が響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

結・縁貴
黄巾オブリビオンの軍勢は数十万
数は力だ
俺はその数から力を得よう

さて、俺が扱うは戦場全域の黄巾党の御縁
普段はこんな広域は扱わない
弄る御縁も、揺り戻しが怖いから早々扱わないものだ
最終戦だからね、大盤振る舞いしよう!

さァ、因果を巡らせよう
ひとつひとつはオブリビオン一体の小さな幸運
其れが数十万積み重なったら、どうなるだろう?

証明しようか!
武器など持たず、丸腰で歩こう
でも、ほら、当たらないなァ
俺を狙ったはずの矢は逸れて
俺を狙ったはずの剣は逸れて
そのまま同士の処へまっしぐら!

…数は力だねェ、こんなに整えられた場は早々ないだろうな
俺が力を得る数を揃えてくれて謝謝、張角!
戦場を一周、嗤いながら騶虞は悠々と歩く



●戦場散歩
 蒼天の下、黄巾の大軍が草原を犇めく様を眺めて結・縁貴(翠縁・f33070)が唇の端を持ち上げる。
「数は力だ、とはよく言ったものだね」
 事実、数とは力であり暴力だと縁貴は思う。軍事においては数が無ければ始まらない。
「可以啊、俺はその数から力を得よう」
 草原を良く見渡せる、少しばかり小高い丘に立った縁貴が無数とも思える黄巾オブリビオンを見渡して、ぽんと軽く手を叩く。
「俺が扱うは戦場全域にいる黄巾党の御縁」
 言葉にすれば、より一層その糸のような縁が縁貴の異能の眼にはっきりと映る。
 普段はこれほどの広域に渡る縁の糸を扱っうことはない、弄る縁も揺り戻しが怖いから早々扱ったりもしない。
「けど、最終戦だからね、大盤振る舞いしよう!」
 黄巾オブリビオンは骸の海に還るだろうし、張角が斃れるのも時間の問題に思えた。
「この戦場には猟兵が俺以外にもたくさんいるからね」
 だからまぁ、少しばかり遊んでもいいかと縁貴が笑う。
「さァ、因果を巡らせよう」
 まるで楽団を指揮するように縁貴がその指先を動かして、場に在る全ての御縁の糸を手繰る。
「この縁のひとつひとつはオブリビオン一体の小さな幸運」
 無数の糸を手繰り寄せその手中に収めると、謎掛けをするように言葉を紡ぐ。
「其れが数十万と積み重なったら、どうなるだろう?」
 そう、俺のものにしたとしたら? そして、奪われた相手は不幸になるとしたら?
 酷く楽し気に笑みを浮かべ、縁貴は手繰り寄せた糸を己のものにする。それが今一時だけのものだとしても、この戦場を面白おかしくするには充分だ。
「説明しようか! ああ、それよりも」
 そう言いながら、縁貴が無造作に黄巾の軍に向かって歩いていく。
「百闻不如一见、こうした方が早いかな」
 武器のひとつも持たず、丸腰で向かえば黄巾オブリビオンがすぐさま反応し、矢を射かけた。
 良い的とばかりに幾百の矢が縁貴に向かって飛んでくる、針山のように矢が突き刺さる――はずであった。
「でも、ほら、当たらないなァ」
 縁貴を狙った矢は何故か明後日の方向へと逸れたり、突風によって阻害される。
 ならば剣だと突進すれば、何故か発生するのは同士討ち。
「不思議だよねぇ、俺が歩くだけでオブリビオンがばったばったと倒れていくんだからね!」
 ああ、本当に数は力だねェ、と縁貴が目を細める。
 こんなに整えられた場は早々ないだろうな、と腹の底から湧き上がる可笑しさに縁貴が笑った。
「俺が力を得るに足る、十二分な数を揃えてくれて謝謝、張角!」
 そう高らかに嗤いながら、淡翠緑色の騶虞は悠々と戦場を一周する。残るは倒れたオブリビオンのみ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スティーナ・フキハル
◎【向日葵と桜】スティーナ口調

カリカリするなって言いたいとこだけど、
妲己の最期を笑って迎えさせてあげられないって苛ついてたからなお前……根源があそこにいるとなっちゃな。
あぁ止める気ないよ、アタシもあいつが……あいつが喚んだ白いのには何してくれてんだって感じだし。

邪魔されないよう氷属性の護符の誘導弾投擲と衝撃波で敵の侵攻遅らせて……と。
命令だ華蘭、アタシとミエリの全部託してやる……奴をぶっとばせ!
命令をした後一応結界を華蘭の盾になるように体の周りに張っておく。
ま、正直この後のお前にはいらないと思うけどね。

準備出来たらUC使用、華蘭に合体して真の姿に変える。
さぁここからはお前次第だ、頼むぞ!


隠神・華蘭
◎【向日葵と桜】真の姿は赤い着物の八百八狸

もう待てと仰っても待つ気ありませんよ
あの髭めの行動が巡り巡って妲己さんを……ぶった斬ってやるの刑です

命令受託後UC使用、残像が残るくらいの速さで攻撃を逃げ足回避しながら張角へ接近
前を塞がれたら空中浮遊で頭上を飛びます
武器も小判と狸火をばらまいて武器落としその武器を自分の姿に化術変化させ囮として攪乱させます
散々妲己さんの所でやったことです、もう慣れましたよ

張角が見えたらその辺の敵を掴んで盾にし念動力で叩きつけ勢いそのまま捨て身で突撃、鉈に呪詛と金の炎の焼却力を込めて全力で切断攻撃です
召喚などさせません

妲己さん貴方には怒ってましたよ、この位いいでしょう?



●優しい願いの為に
 隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)は黄巾の大軍を前にして、最奥に控える張角だけを真っ直ぐに見ていた。
 その金の瞳は爛々と怒りに燃えていて、戦場を駆けるのを今か今かと待っている。
「もう、待てと仰っても待つ気ありませんよ」
 華蘭が共にこの戦場に立つスティーナ・フキハル(羅刹の正義の味方・f30415)に、そう言い切った。
「カリカリするなって言いたいところだけどね」
 スティーナも同じように張角だけを見据え、小さく息を吐く。
「妲己の最期を笑って迎えさせてあげられないって苛ついてたからな、お前」
 その根源があそこにいるとなっては、冷静ではいられないのも仕方ないかとスティーナが頷く。
「あの髭めの行動が巡り巡って妲己さんを……ぶった斬ってやるの刑です」
 何度も殺した、殺してほしいと願う妲己を、それこそ幾度でも焼いて、焼いて。
 もう大丈夫だろうと思ったら混沌氏『鴻鈞道人』なんてものが出てきて、倒したはずの妲己を再孵化なんてするものだから、今度こそ華蘭の怒りは爆発した。
 人界なんかに心を割いて、だからそんな目に合うのだと何度言っても懲りずに笑って泣いていた女。見飽きたと怒っても、本気で死ねと言っても感謝しか述べなかった女。
 妲己をそんな女にした元凶があの男だ、華蘭が一発ぶちのめしてやりたいと息巻いても当然のこと。
「あぁ、止める気なんてないよ。アタシもあいつが……あいつが喚んだ白いのには何してくれてんだって感じだし」
 真にぶちのめしたいのはそっちの白いのだけれど、その機会はいずれ回ってくるだろう。今はこの戦争を引き起こした張本人を倒すのが先決だ。
「で、お前はあいつまで一直線で行くのか?」
「はい、ちんたら時間を掛けるのも馬鹿らしいので」
 それに、既にこの戦場を駆け巡っている猟兵がある程度は大軍の数を減らしてくれている。今なら最短で駆け抜けるのも無謀ではないだろう。無謀であったとて、今の華蘭ならやり遂げてみせるのだろうけれど。
「援護はしてやるよ」
 そう言ったスティーナの手に握られていたのは氷の属性を持つ護符、これを宙へばら撒くと同時に誘導弾を放ち、更には衝撃波で敵軍がこちらへ押し寄せるのを食い止める。
「これくらいでいいか。さて、命令だ華蘭」
 くるりと華蘭の方へと向き直り、スティーナが言い放つ。
「アタシとミエリの全部を託してやる……奴をぶっとばせ!」
 命令を聞いた華蘭が目を閉じ、山口霊神へと祈り願う。
 この命を成し遂げたいのです、勝手に出ていった悪い子のお願いですけれど……どうか力をお貸し下さい! そう願い、華蘭が承諾の言葉を口にする。
「はい、必ずや!」
 その瞬間、華蘭の身を覆うように金色の炎が噴き出す。
「一応結界も張ってやった、いきな」
 放たれた獣のように飛び出していく華蘭へ、盾となるように結界を張ったスティーナがその勢いに少し笑みを落とす。
「ま、正直この後のお前にはいらないと思うけどね」
 目一杯暴れてきな、そう言いながら次の一手を打つべくスティーナが華蘭の動きを見極めるように駆けていく彼女を見守った。
「邪魔です!」
 残像が残るような速さで黄巾の軍からの攻撃を避け、そのほとんどを回避しながら華蘭が張角を目指す。狙いはただ一人とばかりに軍を突っ切る華蘭に対し、張角を守らんと盾となるオブリビオンが立ち塞がる。
「障害にもならないですよ」
 ぐっと脚に力を込めて跳び上がり、そのまま空中を浮遊するようにオブリビオンの頭上高く舞うと、小判と狸火をばら撒く。オブリビオン達が小判に目が眩んだり、狸火に驚いて武器を落とすと、華蘭が化け術の応用を利かせてその武器を自分の姿へと変えて囮に仕立てた。
 敵が撹乱している隙に、再び張角へと向かう。
「散々妲己さんの所でやった戦法です、もう慣れましたよ」
 目を閉じていても出来るくらい、と華蘭が吐き捨てるように呟いて、戦場を駆ける。
「見えましたよ、張角!」
 また、そう叫ぶ華蘭の姿をスティーナもしっかりと捉えていた。
「頃合いだな」
 こっちの準備もばっちりだと、スティーナが息を吸い込む。
「いくよ、取っておきの技! アタシ達の力……全部貸すぜぇ!」
 自身の身体を霊体化させ、スティーナが華蘭へと憑依する。それにより、華蘭の姿が真の姿へと覚醒していく!
 深紅の着物を纏い、手にするのは鉈ひとつ。
 張角に向け、近くにいた敵を引っ掴んで盾にしつつ、念動力の力を込めて叩き付ける。
「これでも生温い」
 捨て身とも言える勢いで突撃する華蘭を止められる者などなく、鉈にありったけの呪詛と金の炎を纏わせて全力の一撃を閃かせた。
「召喚などさせません」
 鉈から滴る血を振り払いもせず、華蘭が張角に向かって唇の端を持ち上げる。
「妲己さん、貴方には怒ってましたよ」
 だから、この位はいいでしょう? ねぇ、妲己さん。
 それは優しい狸の、酷く純粋な怒りであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

待鳥・鎬
確かにね、僕も乱世を恨めしく思いながら生きていた頃があったよ
民間を巻き込んだ戦とか大っ嫌い
でも……一方で、闘争自体は生物において当たり前の営みだとも思う
真剣に生きる個々の生命に対して、貴方は傲慢だ

いつも通り「山吹」の光学【迷彩】で姿を晦ませ、杞柳に翼を借りたら上空へ
【目立たない】ように一定の高度を維持して、黄巾オブリビオンの頭上を【空中浮遊】で進む
敵の攻撃が届きそうな時は「鋼切」で【受け流し】、速やかに立ち位置を変えよう
こんなのいちいち相手してられるかっ

張角が射程に入ったら……行くよ、杞柳!
UC発動
敵を灼き切って、猟兵を癒して
全力で光を降らせよう

この数相手だと本当に雨みたい
敵には少々苛烈だけど



●蒼天に降る雨
 草原には緑ではなく黄色が埋め尽くし、空は何処までも青く晴れていた。
「絶好の採集日和なんだけどね」
 本当なら、戦場ではなく野山で薬草や漢方薬になるものを探しに行きたいほど。でも。
「最終決戦ってやつだ」
 見渡す限りの黄色、その奥に張角がいる。
「確かにね、僕も乱世を恨めしく思いながら生きていた頃があったよ」
 民間を巻き込んだ戦争なんて大っ嫌いだと、待鳥・鎬(草径の探究者・f25865)が呟く。
 戦火に巻き込まれた何の罪もない人々の呻きや苦しみを思い出すと、苦しくなるほどに。けれど、その一方で闘争という行為は生物においては当たり前の営みだとも思う。
「闘争心がなければ進歩もあり得ないだろうからね」
 でも、張角は違う。
「真剣に生きる個々の生命に対して、貴方は傲慢だ」
 命を軽んじること、それは鎬にとってはどうしたって赦せないこと。
「行こう、杞柳」
 名を呼べば、雪色の翼持つ蛇がするりと鎬に絡みつき鎬の身に融け込んでいく。そして、主が望むままに翼を貸し与えた。
 その翼を羽ばたかせ、八重山吹の花紋を織り込んだ紗の羽織を隠れ蓑にして姿を晦ませると、天高く鎬が飛ぶ。一定の高度を保ち、眼下に黄色の大軍を見下ろして、張角まで一直線に――!
 雲一つない空を往くのは難しい事ではないけれど、時折勘のいいオブリビオンがその羽音に反応して矢を射かける。それを綱切で軌道を逸らし、自身は素早く飛行する高度や位置を変えてやり過ごす。
「こんなのいちいち相手してられるかっ」
 数が多すぎるんだ、数が! と最短距離を目指す。それでも、上から眺めていれば他の猟兵達が大軍を蹴散らしていくのも見えて、この戦いを終わらせようとする仲間が居るのだと心強くも思う。
「っと、そろそろ張角が射程内かな」
 随分飛んできたけれど、と張角がいる場所を見ればもう少しで自身の射程に入るのが見えた。
「行くよ、杞柳!」
 杞柳を宿した鎬の背から生えた翼が、淡く……やがて強く光を放つ。
「これが最後だ、全力をお見せするよ」
 光を湛えた翼から、まるで羽根が無数に舞い散るかのように光が地上へと降り注ぐ。
 それは敵を灼く聖なる光、そして味方を癒す清浄な光。
「この数相手だと、本当に雨みたい。敵には少々苛烈だけど」
 張角と黄巾オブリビオンへは天罰のように、味方へは慈雨のように、蒼天の下に光の雨が降り続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
「ご主人サマ!フォーミュラの癖に物量で攻めるのがいるよ!もうあれの出番だね☆」
ぐぎぎぎぎ…

【情報収集・視力・戦闘知識】
敵軍の陣形と張角の立ち位置
効率的に殲滅しつつ張角を仕留める為の突撃ルートの分析

竜眼号搭乗
UC発動
今地獄の門が開かれた…!
「「わーいわーい☆」」

幼女軍団500師団+竜眼号
【空中戦・属性攻撃・念動力・スナイパー・砲撃】
上空を舞いながら竜眼号を中心に陣形展開
念動障壁で主を護衛
音属性の弾丸を乱射して地上の敵軍を大蹂躙
轟音を響かせ檄文妨害

残りの幼女軍団
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
おい張角!今すぐ自決した方がいいぞ!

張角へ突撃する幼女群
周囲の軍毎切り刻み金目の物は根こそぎ強奪☆



●幼女様のお通りだ!
 眼下に広がる黄巾の群れ、それをちょっとした丘の上から眺めるカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
 別にこの大軍が恐ろしいとか、対処できないとか、そんな理由ではない。では、何かといえば――。
『ご主人サマ! フォーミュラの癖に物量で攻めるのがいるよ! もうあれの出番だね☆』
 と、さっきからカシムの耳元で、出番、あれのでーばーんー! と、キャバリア『メルクリウス』が人型に変身した少女が延々言い続けているからだ。
「ぐぎぎぎぎ……」
『ぐぎってる場合じゃないよね? だってそれが一番だって、ご主人サマもわかってるもんね☆』
 悪魔の誘惑か、メルシーの甘言か。
 けれど、確かにあの手が一番効率的なのは間違いない。
「仕方ない……こうなったら腹ァ括るか!」
 出来れば使いたくはなかったが、致し方なし! そうと決まればカシムがやるべきことはひとつ、黄巾軍の陣形と張角の立ち位置の把握、それから効率的に黄巾オブリビオンを殲滅しつつ張角を仕留める為の突撃ルートの分析だ。
 それらを瞬間的に演算し纏め上げると、カシムがパチンと指を鳴らして。
「来い、竜眼号」
 帝竜大戦艦『竜眼号』を喚び出すと飛び込むように乗り込み、そのまま空へと飛んだ。
 黄巾軍が犇めく地上を見下ろしながら、カシムがユーベルコードの力を開放する。
『やったぁ! ご主人サマ! 依り代お願い!』
「しょーがねぇ、その分しっかり働けよ!」
「もっちろーん☆」
 なんてやり取りをしてはいるが、カシムは心の中でそっと張角と黄巾オブリビオンに手を合わせていた。
 何せ、今から地獄の門が開かれるのだから――。
『『わーいわーい☆』』
 現れたのは幼女となったメルシー、その数は――1200師団である。
 数には数をぶつけるんだよー☆ と、幼女達がきゃっきゃと楽し気に口にしている。
「500師団は空中戦だ、竜眼号を中心に陣形展開しろ!」
 この力を使えばカシムは戦うことが出来なくなる、維持に全てのリソースを持っていかれるからだ。
 その代わりに、この無数ともいえる幼女メルシー達がカシムを守り戦う――まさしく戦争であった。
『いっくよー☆』
 竜眼号に障壁を張ると、幼女達が音の属性を持つ弾丸を地上に向けて掃射する。蹂躙というに相応しい有様で、張角が檄文を以てして兵の戦闘力を上げようとしても、轟音によりその声が掻き消される始末。
 更には残りの700師団の幼女達が、張角に向けて攻め入る!
「おい張角! 今すぐ自決した方がいいぞ!」
 銀色の群れが黄巾軍を斬り刻み、金目の物を根こそぎ強奪しながら張角の元へ押し寄せるのだから。
 俺なら迷わずそうする、それか逃げる。そう思いながら、カシムが半笑いで突撃していく幼女達を見下ろしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコリネ・ユーリカ
リダン隊長(f03694)と
我等ナイスミドルを求め征くオヤジ狩リ団!
双眼鏡を覗きヒゲオジの座標を隊長に報告
渾沌氏に頤使される小人感も悪くないわ

張角直々の出陣で士気が爆上がりしてる
黄塵万丈を切り開く道は私が作ります(敬礼!

騎乗したFloral Fallalの進路上にUCを展開し
重機の重量攻撃に敵を蹂躙しつつ張角までの道を拓く
さぁ退いて頂戴、邪魔するなら轢いちゃうわよ
新年の狩り初め、爆速でレッツ&ゴー!(ギンッ

私達が袖を通す白服が示すは金德
黄→白の流れは武侠界に馴染む五行説にも合ってる
私コレで平和になれました☆(個人的見解)なノリで流行を促す

口撃中は張角の衣装替えを手伝い
白服を着た三人でパチリ☆よ


リダン・ムグルエギ
ニコ(f02123)と共にイケてるオジ様に押しかけキャーキャー言う
それが我らオヤジ狩リダン!
拡声器と共に栄光の道(舗装済)を駆け抜けるわ

世は乱れた!(乱を起こす)のマッチポンプは論外
今の流行はホワイトカラー…平和に知略で治めること
さぁ、皆
このピースフルな白服を着て平和を望みましょ?

ま、アタシのコレも純真無垢な主張じゃないわ
白は現王朝の晋の色だし
人心を乱すのは仕掛け人&黒幕の基本よ
服を車の上からばらまき
戦いへの厭世感のブームを生み配下の戦意を削ぎ
ニコや皆の道を切り開きやすくするわ

「で、アナタは"どう思うかしら"?

張角の元までたどり着いてアタシがするコトはニコの花を添えた服を手渡しつつの、インタビュー
…に見せかけた口撃よ
コードの力、服の模様や香水による催眠術で思想を無力化し
相手に無理矢理「自分の意見を否定させ」る事で
以降の彼の言葉の重みを弱めるのよ
当然、彼の言葉はスマホで撮って動画を戦場へ放映してしまうわ

じゃ、仲直りの写真もらってくわね
チャオー
ニコと張角さんの3人で写真を撮ったら後は離脱よ!



●オヤジ狩り団無双
 見上げれば青い空、輝く太陽。見下ろせば黄巾はためく大軍の群れ。そして、その先には――。
「今回の! イケオジ!」
「そう! ありがとう今回のイケオジ枠! ラスボスだから中々出てこなくてハラハラしたけど出てきてくれてありがとう!」
 ニコリネ・ユーリカ(花屋・f02123)とリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)の二人が言う所のイケオジ、オブリビオン・フォーミュラたる張角がいた。
「ああ~渋いわ、ちょっとこけた頬なんかも素敵よね! 渾沌氏に頤使される小人感も悪くないわ」
「ええ! 骨ばってややカサついた手なんかも完璧よ」
 そう、彼女達こそナイスミドルを求め、西へ東へ今日も往く! 今回の戦争もイケオジサンキュー! な、オヤジ狩り団である!!
 入団方法を知りたい、切実に。もとい、彼女達の活動は遡ればマジで戦争の度にイケオジが居れば行くしかないでしょ、の精神で行われている。ちなみにやることはイケてるオジ様に押しかけてキャーキャー言うことである、最高。
 バトルオブフラワーズのドラゴンテイマーを皮切りに、エンパイアウォーでは織田信長、猟書家の侵攻ではコルテス、迷宮災厄戦ではサー・ジャバウォック、羅針盤戦争ではネルソン提督、アポカリプス・ランページではプレジデント……数々のイケオジを制覇してきている、正しく筋金入りな二人組だ。
 そんな彼女達が張角に会いに行かないわけがない!
 双眼鏡を覗いていたニコリネが的確な座標を叩き出し、リダンへと報告する。
「こっちの方角を真っ直ぐ行けば大丈夫よ、リダン隊長!」
「さすがニコ、それじゃ――行くとしましょうか!」
「ええ、張角直々の出陣で士気が爆上がりしてる黄塵万丈を切り開く道は私が作ります!」
 ビシッと敬礼を決め、ニコリカがFloral Fallalの運転席に乗り込むとリダンがその助手席へと座り、拡声器を構えた。
「いつでもいいわよ、ニコ!」
「いっくわよー! 道は辿るものじゃない。道は――作るものよ!」
 エンジン音を唸らせて、ニコリネが叫ぶ。
 現れたのは塗装工事用の重機、空より降り注ぎし重機が黄巾の群れを押し潰し敷き潰し蹂躙の限りを見せながら、張角までの道を拓いていく。
「さぁさぁ、退いて頂戴! 邪魔するなら敷いちゃうわよ!」
 既に重機が敷き潰しでいるのだが、それはそれ! イケオジとの邂逅を邪魔するならば、それ相応の覚悟をすることね! とニコリネがアクセルを踏み込んだ。
「新年の狩り初め、爆速でレッツ&ゴー!」
 初手からベタ踏みである。
 助手席のリダンも窓をフルオープンにして、拡声器を構える。彼女達が行くのは栄光の道(塗装済)、もう誰にも止められない――!
「世は乱れた! のマッチポンプは論外!」
 乱を起こしておいて世は乱れたとか、馬鹿言ってんじゃないわよって話である。拡声器を通したリダンの声は、爆音で走る車にだって負けない大きさで黄巾オブリビオン達の耳に届いていた。
「今の流行はホワイトカラー……平和に知略で治めること」
 ファッションデザイナーであるアタシの言うことに間違いはないわ、と自信を持ってリダンが勧めるのは――。
「そう、このピースフルな白服!」
 白服、という言葉にニコリネも窓から手を振って白い服をアピールする。
 ニコリネとリダンが袖を通す白服は、勿論リダンがデザインした最新の流行を追ったもの。尚且つ、この白が示すのは金徳であり、黄色から白への流れは武侠界に馴染む五行説にも適っている。
「私、コレで平和になれました☆」
 この白服を着てからというもの、争いはなくなり花は咲き乱れ商売も上手くいき、イケオジにも出会えました!(注・個人の感想です) とニコリネが力説すれば、黄巾オブリビオン達の動きが何とはなしに鈍りだす。
 時代は黄から白……ってコト!?
「さぁ、皆! この白服を着て平和を望みましょ?」
 黄色で埋め尽くされていた草原が、徐々に白に侵食されていくのは、リダンの手腕の成せる業であろう。流行のトップはリダンと共に吹き荒れるのだ。
「ま、アタシのコレも純真無垢な主張じゃないわ」
 白は現王朝、晋の色だしね? とリダンがニコリネに笑う。
「でもね、人心を乱すのは仕掛け人と黒幕の基本よ」
 そうでなければ、こんなに沢山の黄巾の大軍が出来上る筈も無い。
 だからこそ、とリダンは車から白い服をばら撒き、戦いへの厭世感を煽りオブリビオン達の戦意を削ぐのだ。
 ニコリネや他の猟兵達の道を切り開きやすくする為に、ひいては自分達がイケオジに会うために――! 張角が見えてくると二人のボルテージは正に鰻上り、一気に近付くと車を横付けにして乗り上げる!
「で、アナタは『どう思うかしら』?」
 颯爽と車から降り、張角の元へ辿り着いたリダンがニコリネの花を添えた服を手渡しながらインタビューと言う名の口撃を仕掛ける。
『どうも何もない、カタストロフこそが、平和に至る唯一の道なのだ!』
「……本当に?」
 ユーベルコードの力を使いながら、リダンが問う。
 それだけではなく、リダンが纏う服の模様、香水、それらによる催眠術を用いて張角の思想を無力化していく。
『く……平和、平和が』
 眉間に皴を寄せ、白い服を手に張角が抵抗する中、ニコリネがそっと白い服を手から取って張角に着替えさせていく。合法的にイケオジに触れるチャンスである、賢い。
「白い服、とってもハートフルで平和的でしょ?」
『う、ああ、白い服は平和的だ……』
「そうよね! 時代は白!」
 言質は取ったわよ! とばかりにリダンがスマホで撮影していた今の言葉を戦場へと放映する。
 白い服は平和的――! その言葉を聞いた黄巾オブリビオン達も張角様が言うなら、と更に白い服に着替えていく。
「じゃ、仲直りの写真もらってくわね」
『う、うむ……』
「笑って笑って!」
 張角を真ん中にし、左右をリダンとニコリネが固めて先ずは自撮りである。その後、その辺のオブリビオンをとっ掴まえて、全身が入るよう調整した写真や、張角とリダン、張角とニコリネといったツーショットまでばっちり収めると満足そうに笑って二人が車へと乗り込んだ。
「チャオー!」
「チャオ!」
 チャーミングな笑顔を残し、目的は果たしたとばかりにエンジン音が響き渡り、オヤジ狩り団は張角の元を去ったのであった。
 イケイケ! 我らのオヤジ狩り団! 次の戦争でもイケオジがいることを願って――☆

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜

これはまた凄い人数ですねえ
まるでハレルヤの握手会会場です

しかしこの大軍も、最奥で棒立ちしているラスボスへ一撃喰らわせれば消え失せるのでしょう?
ならば、ハレルヤの心根と同じくらいに真っ直ぐ突き進むまでですね!

『喰う幸福』での高速移動を駆使して、なるべく最短ルートを選んで進みます
まあ最短でなくても構いませんがね
皆々様このハレルヤと少しでも交流していきたいとお思いでしょうから

身を低くしながら駆け抜けつつ妖刀で直接【なぎ払い】ながら、
もしくは呪詛を伴う衝撃波を斬撃から放って切り裂きながら最奥へ
妖術を操るという張宝は【目潰し】にてその視界を奪い、
武芸に長けているという張梁は【カウンター】で足を切り落とします
一々殺していくのは億劫ですので、最低限の攻撃で足止めと無力化を狙いたく
あ、このハレルヤに殺されたいと願っている奴がいるならば吝かではないですよ!

ラスボスである張角の姿が見えたなら
そのまま一気に接敵して直接【串刺し】にして差し上げます
お喜びください、嫉妬される事間違いなしな特別大サービスですよ!



●晴れたる君の独壇場
 わあ、と場違いなまでの明るい声で、太平道に犇めく黄巾オブリビオンを眺める男、夏目・晴夜(不夜狼・f00145)が声を上げた。
「これはまたすごい人数ですねえ」
 数十万といる大軍の何割かは既に他の猟兵達に倒されているとはいえ、それでもまだ無数に思える程の数があった。
「これではまるで……」
 ふっと目を伏せ、晴夜が口元に手を当てる。どこか憂いを帯びたような顔で視線を上げて――。
「まるでハレルヤの握手会会場です!」
 あっはい、そうですね! そうかもしれないですね!
 何処までも自信と自己肯定感が高い、それが夏目・晴夜という男である、メンタルが死ぬほど強い。
「しかしですね、この大軍も最奥で棒立ちしているラスボスへ一撃喰らわせれば消え失せるのでしょう?」
 握手会の時間、ありますかね? と考えて、晴夜がハッと気付く。
「オブリビオン如きに、このハレルヤとの握手という栄誉を与えるのもなんですしね」
 さっさと片付けた方がいい、ということに。
「ならば、ハレルヤの心根と同じくらいに真っ直ぐ突き進むまでですね!」
 ある意味どこまでも真っ直ぐな男は、そうと決めたら早かった。
 犬型のからくり人形、えだまめより妖刀悪食を取り出し、今までに悪食が喰らってきた暗色の怨念を身に纏う。
「なるべく最短ルートを進んでみますか」
 トンッと地を蹴って駆け出す晴夜は通常よりも動きが速い、高速に近い動きで戦場を駆け抜ける。
「まあ、最短でなくても構いませんがね」
 身を低くしながら駆け抜けつつ、邪魔をするオブリビオンは悪食で直接薙ぎ払い吹き飛ばす。
「だってあれでしょう!」
 ふふふ! と楽し気に笑いながら晴夜が戦場を往く。
「皆々様、このハレルヤと少しでも交流していきたいとお思いでしょうから!」
 サービスですよ、サービス! と呪詛を伴う衝撃波を放ち、目の前の敵を切り裂き張角の立つ方へと向かう。
「ははぁ、あそこがトップアイドルが立つ舞台ですか」
 張角のいる場所を見て、晴夜が笑う。
「そして貴方達はセキュリティガードってところですかね?」
 現れた地公将軍『張宝』と武芸に長けた人公将軍『張梁』に向かって、悪食を振るう。まずは妖術を操るという張宝の目を潰すべく、悪食の怨念を飛ばしそれに重ねて刃を振るった。
「ハレルヤの顔を見たんですから、その目はもう見えなくても構いませんよね?」
 張宝が怯んだ隙に、こちらに黄巾の旗と共に剣を振り下ろさんとする張梁の懐に潜り込み、大サービスですよ! と笑って足を斬り落とす。
「一々殺していくのは億劫ですので、この辺で」
 では失礼、と張宝と張梁に綺麗に一礼してみせると、今度こそ張角の元へと駆けた。
「あ、このハレルヤに殺されたいと願っている奴がいるなら相手をするのも吝かではないですよ!」
 握手会は中止ですから、その代わりといっては何ですが――。
「きっちり殺して差し上げますからね!」
 そう、唇の端をニィっと持ち上げて晴夜が悪食をくるりと回し、まだこちらに向かってこようとする敵を切り裂いた。
 張角の姿がしっかりと視認できると、晴夜が駆ける速さを上げる。
 一足飛びに駆け抜けて、張角が何か言う暇も無い程の速さでその胸を串刺しにするかのように貫いた。
「ははは、お喜びください」
 突き刺した悪食を手首を返すようにして捻り、晴夜が張角を見上げる。
「嫉妬される事間違いなしな特別大サービスですよ」
 握手なんて目じゃないでしょう? この晴夜の手によって、骸の海に還るのだから。
 そう笑って、悪食を引き抜いた。
「ああ、ハレルヤのファンが消えていきますね」
 いつの間に自分のファンにしたのかはさておき、これにて仕舞いでございます、と舞台の上で晴夜が悪食を手にしたまま右手を胸に添え、左手を広げて片足を後ろに下げると、綺麗な一礼をしてみせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年02月01日


挿絵イラスト